遊星「ところで君は何でここに来たんだ？」

セレナ「・・・猫」

クロウ「は？」

セレナ「な、何でもない！」

ジャック「しかしサジを投げられる何て余程の事だぞ」

クロウ「何やったってテコでも変わらねえらしいな！しかも十代を毛嫌いしてるって」

遊星「今から君を更生させる。わかるな？」

セレナ「私はそんな目的で来たわけじゃない！」

遊星「なら何だ？」

セレナ「お前は・・・十代の」

遊星「十代さんがどうした？」

鬼柳「俺に満足させてほしい娘ってのはどいつだ」

遊星「こっちだ鬼柳！」

鬼柳「とりあえず着替えろ」

セレナ「このジャケットにか？ふざけるな！」

クロウ「そんなに怒る事ねえだろうが！」

鬼柳「柚子と同じ顔してんのに気が強いなお前」

遊星「あっちで着替えて来てくれ」

セレナ「誰が着替えると言った！」

ジャック「随分と古いな、お前の上着は」

遊星「俺が縫ってやろう」

セレナ「触るな！これは借り物だからお前達に触らせてたまるか！」

クロウ「さっきからワガママ言いやがって！誰のためにやってると思ってんだ！」

セレナ「うるさい！」

遊星「誰の借り物なんだ？」

セレナ「お、お前に関係ない・・・私は要件が済み次第帰る！いいな！」

遊星「話がまるで噛み合わないな」

遊星「その用を言ってくれないか」

セレナ「それぐらい理解しろ！」

鬼柳「よいしょっと」

セレナ「お、おい！何をしている！」

鬼柳「面倒だからよ、上からジャケットを着させてやるぜ」

ジャック「でかしたぞ鬼柳！」

セレナ「やめろ！」

鬼柳「本当に苦労の知らなさそうな子供だなお前・・・そんなんで満足してんのか？」

セレナ「くっ・・・」

遊星「似合っていると思うぞ」

クロウ「お前の根性叩き直してやるからな、覚悟しろよ！」

ジャック「このままどうする」

鬼柳「こいつ連れて街を闊歩に決まってるじゃねえか！」

セレナ「屈辱だ・・・」

遊星「いいかセレナ、こういうのも大切なんだ」

アキ「何してるの遊星？その子は柚子ちゃんだったよね？」

遊星「いやセレナと言って」

アキ「双子？」

ジャック「色々と説明が面倒だ」

セレナ「誰だその女は」

遊星「アキと言って俺の仲間だ」

セレナ「制服・・・アカデミアか？」

アキ「ええ」

セレナ「なら十代を知っているな？」

アキ「知ってるけど、それがどうしたの？」

セレナ「くっ・・・！お前もか」

クロウ「どうすんだ遊星！こいつ俺が見たデュエリストの中で一番意味がわからねえよ！」

遊星「俺も少し弱っているところだ」

遊星「どうだ遊矢達とは仲良くできているか？」

セレナ「・・・少し」

ジャック「まともに会話ができるのか」

鬼柳「満足してるか？」

セレナ「その満足とは何だ」

鬼柳「満足は満足に決まってるじゃねえか！」

セレナ「意味がわからん。それよりも不動遊星」

遊星「？」

セレナ「私はお前達のくだらない遊びに付き合ってやってるんだ。私の要件が理解できたか？」

遊星「いや言ってくれないと俺にはサッパリだ」

セレナ「頭が良くて十代の次に頼りになると聞いていたが・・・全然ダメだな！十代に比べたらマシだが」

クロウ「また十代だぜ。なあ遊星？」

遊星「俺にはわかった気がする。セレナが十代さんに拘る理由が」

クロウ「マジかよ！？」

ジャック「それで何なんだ？」

遊星「おそらくセレナは十代さんを父親のように思っているんだろう」

鬼柳「それなりに歳離れてりゃ仕方ねえよな」

遊星「慣れない次元で十代さんが何かと面倒を見ていたと聞いている」

クロウ「だからツッパった態度してんのか」

遊星「ああ、更生も何もセレナはすでに遊矢達とも打ち解けている。何ら問題はない」

ジャック「なら更生させなくてもいいという事か？」

遊星「遊矢も薄々ながら気づいているだろう」

ジャック「周りの気を引きたいためにわざとツッパった態度をしているという事か」

セレナ「何をコソコソ話している」

遊星「いや」

セレナ「私の用事がわかったな？」

遊星「教えてくれないと何かはわからない」

セレナ「理解力の無い奴らめ」

クロウ「お前、猫がどうとか言ってたな」

遊星「まさか十代さんの猫か？」

セレナ「・・・だったら何だ」

ジャック「あの遊星が預かってた猫か」

クロウ「それを引き取りに来たって事か？」

セレナ「だからと言って十代のためとかではないからな。あいつは」

遊星「わかっている。それ以上は言わなくても大丈夫だ」

セレナ「・・・」

遊星「十代さんもあっちへ行ったりこっちへ行ったり忙しいからな」

鬼柳「いいとこあるじゃねえか！」

セレナ「そ、それでどこに居るんだ。そいつは」

遊星「ついて来てくれ」

アキ「猫？それならほら」

遊星「ファラオと言うらしい」

セレナ「これは猫なのか？」

クロウ「どう見ても猫じゃねえか」

ジャック「お前には何に見えるんだ」

セレナ「タヌキ・・・というか何でこいつが十代の猫を！」

遊星「すまないアキ、礼儀知らずなんだ」

ジャック「おい！十六夜が怒り出す前に帰るぞ！」

クロウ「悪かったなアキ」

セレナ「それに何でこいつの家は大きいんだ？お前達の家は辺鄙な場所なのに？」

セレナ「教えろ！何で男が寄り添って暮らして居るんだ？」

クロウ「めんどくせえ・・・マジでめんどくせえな」

鬼柳「滅多に居ねえだろうぜ、ここまで世間知らずなのって」

遊星「いいかセレナ、俺達には両親が居ないんだ」

セレナ「ならこいつらは家族ではないのか？」

ジャック「いや鬼柳以外はずっと一緒に暮らしていた。まあ家族みたいなものだ」

セレナ「？」

クロウ「お前にもわかる時が来ると思うぜ」

セレナ「兄弟なのか？私が見た限りじゃこの鬼柳とか言う奴が一番上なんだな」

鬼柳「満足したか？」

セレナ「できた気がする」

鬼柳「よし！ならいいじゃねえか、なあ遊星！」

遊星「そうだ。家族を理解するのはまだ時間がかかりそうだが仲間とは何なのかはわかるな？」

セレナ「少しだけなら・・・」

遊星「一つずつ理解して行こう。さあファラオを連れて帰るんだ」

セレナ「このジャケットは」

鬼柳「やるよ。これが俺の仲間の証だ」

セレナ「・・・」