千冬「一夏の愛は重い」(11)
一夏の愛は重い。
そう、それは言わば愛情の裏返しなのだ。
私が気がついた時には既に手遅れの場所に、一夏は居た。
私達、姉弟には両親がいない。
私と一夏を置いて出て行ってからだ。
一夏は、愛する人を失いたくない一心で、重くなってしまう。
そして、is学園に来た今、一夏はより一層重くなってしまった。
ケース1 セシリア・オルコットの場合
セシリア・オルコットと一夏の出会いは、最悪といっても良いだろう。
クラス代表を決める際にひと悶着あり、私の提案でisを使った勝負をした。
そして、その後から、オルコットが一夏に対して好意を持つ様になったようだ。
一夏は基本的に優しい。
誰にでも、平等だ。
だから、年頃の女子が一夏に惹かれるのは間違いないだろう。
そして、一夏もまた年頃の男子だ。
目の前に美人で可愛い女子がいれば一目惚れすることだってあるだろう。
まぁ、一夏は一目惚れするような奴ではない。
だが、今回は、代表決定戦で、オルコットの自慢というか無駄話を聞き、どうも惚れてしまったようだ。
「千冬姉!!」
「学校では織斑先生と呼べと言っているだろうが、この馬鹿者が」
「分かった、織斑先生!!」
代表選後、一夏はまっすぐ私に会いに、職員室に来た。
職員室には既に他の教員は居らず、私ももうすぐ帰ろうかと思っていた頃だ。
「それで、なんの用だ?」
「ああ。
千冬姉に頼みがあるんだ」
「だから、なんだ」
「セシリアの情報をくれ」
「は?」
「セシリアの成績とか、住所は勿論、趣味趣向、ありとあらゆる事だ!」
この時、一夏をふん縛ってでも止めておけば良かったのだ。
まさか、あんな事になるとは、私は思っても居なかった。
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