ドラえもん「……で?僕にどうしろって?」
のび太「出して」
ドラえもん「何を?」
のび太「ゲームをもらえる道具」
ドラえもん「……はぁ、キミって奴は……」
のび太「ねえねえ、いいでしょ?」
ドラえもん「そんなものダメに決まってるじゃないか!」
のび太「何でだよ!いいだろ別に!」
ドラえもん「ダメなものはダメ!お小遣いを貯めればいいだろ!」
のび太「だって……なかなか貯まらないし……」
ど
ドラえもん「……あのね、のび太くん。少ないお小遣いを貯めてこそ、買った時の喜びが大きくなるんだよ。物事は何でもそうだ。楽して何かを手に入れても、ろくなことにはならないんだよ」
のび太「……」
ドラえもん「そういうことに、近道はないんだ。あるとするなら、コツコツとした努力こそ一番の近道と言えるわけで……」
のび太「もういいよ!ケチ!」ダッ――!
ドラえもん「あ!のび太くん!……もう、仕方ない奴だなぁ……」
テクテク……
のび太「はぁ……あのゲーム、欲しかったなぁ……」
のび太「お金さえあれば、ゲームも好きなだけ買えるんだけどなぁ……」
――ザッ
???「――ねえ、そこのキミ……」
のび太「ん?」
???「野比、のび太くんかな?」
のび太「ええ、まあ……。あの、あなたは?」
???「ああ、すまない。私は、スエフジという者だ。未来から来たんだよ」
のび太「未来から?」
スエフジ「そうだよ。……ねえ、お金、困ってるんじゃないか?」
のび太「どうしてそれを?」
スエフジ「まあそれはいいじゃないか。それより、お金欲しいんだよね?」
のび太「……ええ、まあ……」
スエフジ「だったらさ、ちょっとアルバイトをしてみないか?」
のび太「アルバイト?」
スエフジ「そうそう。なぁに、簡単なことだよ。キミにとっては、ね」
のび太「……」
スエフジ「おっと。そんなに警戒しなくていいよ。これは、キミと私だけの内々の話だ。ご両親にも、未来から来た彼にも内緒のことだよ」
のび太「はぁ……」
スエフジ「そうだね……なら、とりあえず前金でこれあげるよ」スッ……
のび太「ん?封筒?」
スエフジ「中を見てごらん?」
ガサガサ
のび太「――ッ!お金がこんなに!?」
スエフジ「もちろん、アルバイトをしてくれるならもっとあげるよ。好きなゲームだって買い放題。お菓子も好きなだけ食べれる。……どうかな?悪い話じゃないだろ?」
のび太「……」
のび太(コートにサングラス……。なんだか怪しいけど……ちょっとしたアルバイトみたいだし……)
スエフジ「……無理に、とは言わないよ。他の人を探せばいいだけだし。あ、当然たけど、その時はそのお金返してね」
のび太「……」
スエフジ「残念だなぁ。こんな割のいいアルバイト、滅多にないんだけどなぁ。まあ、嫌なら仕方ないね。ゲームも、諦めるしか……」
のび太「――ッ!や、やります!そのアルバイト、してみたいです!」
スエフジ「……」ニヤリ
~未来某所~
のび太「あの……ここは?」
スエフジ「ここで、キミの実力を見せて欲しいんだ」
のび太「僕の?」
スエフジ「そうだよ。はい、これ」スッ…
のび太「これ……ショックガン?」
スエフジ「まあ、そんなものかな。とりあえず、あの的を狙ってみて」
のび太「え?……うわぁ。けっこう遠いなぁ……」
スエフジ「まあいいから。……キミなら、出来るよね?のび太くん?」
のび太「……やってみます」チャッ
スエフジ「……」
のび太「……」
――ターーーーン!!
バシィッ!!
のび太「や、やった!出来ました!」
スエフジ「……素晴らしい……これなら……」
~某所~
のび太「ええと……ここは……」
スエフジ「ここが、アルバイトをする場所だよ」
のび太「ビルの屋上ですけど……」
スエフジ「そうそう。今から30分後、目の前の大通りを黒い車が走ってくるんだ。で、あそこの街頭を過ぎたところで、向かいの建物のあの的を射抜いて欲しい」
のび太「はぁ……」
スエフジ「まあ実は私の客人でね。仕事場があのビルなんだけど、来た時の合図みたいなもんなんだよ。ちょっと手が離せなくて……やってくれる?」
のび太「まあ、いいですけど……」
スエフジ「じゃあ、よろしく頼むよ」スタスタ……
のび太「……」
~30分後~
のび太「――来た!!」
ブーーン……
のび太「あの車かぁ……よぉし……」
ブーーン……
のび太「……」
ブーーン……
のび太「……」
ブーーン……
のび太「――今だ!」
――ターーーーン!!
バシィッ!!
のび太「やっ――!!」
――ドゴォォォォン……!!
のび太「――ッ!?爆発した!?」
ガラガラ……!
のび太「た、建物が崩れて車に……!!」
のび太「どういうこと!?これ……どういうことなの!?」
ウゥーー……ウゥーー……
ファンファンファン……
のび太「け、警察!?」
のび太(ど、どうしよう!!とにかく……逃げなきゃ……!!)ダダッ――!
~のび太自宅~
のび太ママ「のび太、遅いわね……どこ行ったのかしら……」
ドラえもん「さ、さぁ……」
ドラえもん(どうせ家出だろうな。まったく……)
テクテク……
ドラえもん「のび太くん……今度はどこに行ったのかなぁ……」
ウィィイイン……
ドラえもん「ん?これは、タイムホール?」
???「……ドラえもんさんでよろしいですか?」
ドラえもん「あ、あなたは……」
???「はじめまして。タイムパトロール隊の、アケチです。野比のび太さんの件でお話が……」
ドラえもん「え!?のび太くん!?」
アケチ「ご同行、お願いします」
~タイムパトロール隊基地~
ドラえもん「そ、それで、のび太くんは……」
アケチ「それについては、隊長からお話が……」
ゼニガタ「どうも。この隊の隊長をしております、ゼニガタといいます」
ドラえもん「はぁ……」
ゼニガタ「それで早速なのですが……まあ、まずはこれを見ていただきましょう」
――ウィィイイン…
ドラえもん「これは?」
ゼニガタ「これは、タイムテレビで見ました数時間前の映像です。この、建物の屋上にいる人物……」
ドラえもん「の、のび太くん!?」
アケチ「……なるほど。間違いないようですね」
ゼニガタ「ふむ……」
ドラえもん「……」
ドラえもん「……のび太くんは、何を……」
ゼニガタ「はい。続きを見てください」
――ウィィイイン…
ブーーン……
――ターーーーン!!
――ドゴォォォォン……!!
ドラえもん「――ッ!?」
アケチ「……ご覧の通りです」
ドラえもん「そ、そんな……!」
ゼニガタ「あの車に乗っていたのは、政界の有力者でして……幸い、建物の破片は直撃せず、運転手共に軽傷で済みましたが……」
アケチ「……私達は、野比のび太を、テロ事件の犯人として行方を追っています」
ドラえもん「は、犯人……!?」
ドラえもん「て」
ドラえもん「……これは、のび太くん一人が……?」
ゼニガタ「それが……今のところ、分からないんですよ」
ドラえもん「分からない?」
ゼニガタ「なにぶん、どうやら時空軸に細工されているようでして、この部分しか見れなかったんですよ」
ドラえもん「時空軸に細工ってことは……」
ゼニガタ「まあ、この時間に行くことすら出来ないってことですね」
アケチ「ともあれ、現段階で野比のび太くんが重要参考人であることは明白です。よって、その行方を追っているんです」
ドラえもん「……そんな……のび太くん……」
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タマホーーーーーーーーーーーーーーム