―――職員室にて
平塚「おい比企谷、この作文は一体なんだ?」
八幡「いえ、何だと言われましても……授業で出された作文課題ですが」
平塚「そうじゃない、私はこの作文内容について問うているんだ」
八幡「内容……ですか?」
>>2
作文の内容は一体?
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424885308
やっぱり小学生は最高だぜ!
八幡「小学生について、自分なりの見解を交えた考察を書いたんですけど……何か問題でも?」
平塚「どう見ても問題だらけだろう! まず字数が尋常ではない。記入欄から余裕でハミ出でているではないか!」
八幡「いやー、最初はそこまでやる気無かったんですけど書いてる内についつい無我夢中になってしまいまして」
平塚「というか、それよりも貴様にそんな趣味趣向があった事に驚きだぞ私は! 何か複雑な闇でも抱えているのか?」
八幡「そんな大袈裟な。たかが作文でしょうに、俺はただの平凡なぼっちですよ」
平塚「いや、これはもう変質者の域に差し掛かっているからな。ぼっちの枠組みに抑えるには無理がある」
八幡「ぐ……流石に少し傷付きますよ平塚先生」
八幡「世間一般には、言ってはいけない言葉のラインというものがありましてね」
平塚「君がそれを説くか、超えてはいけないラインを軽く超えている君が」
平塚「まぁ、今回の事は不問にしよう。比企谷の闇を不覚にも垣間見てしまったしな」
八幡「はぁ……そんな闇という程のレベルですかね」
平塚「いいから。君も今回の事は忘れろ、いいな?」
八幡「まぁ、先生がそこまで仰るのであれば俺に拒否権はありませんよ」
八幡「でも、そしたら作文の方はどうするんですか? 」
平塚「無論、書き直しだ」
八幡「はぁ、マジすか。もういっそのこと俺だけ作文課題なんて無かって事にした方が……」
平塚「比企谷、私は君の為を思って言っているのだよ」
八幡「……」
平塚「教師たるもの、生徒が間違った方向へ進もうとしてる時は正すし、更生させる」
平塚「これは教師だけに限った話ではなく、大人としての義務なんだ。分かったな?」
八幡「先生………分かりました」
平塚「ふぅ、君は根はいい子なんだから善良な生徒でいてくれたまえ」
八幡「はい先生、これからは善処します。それじゃあ、早く家に帰ってもいいでしょか?」
八幡「今日から取り掛かっても早くて五週間ぐらい掛かると思うんで、一刻も早く家に帰りたいんですが」
平塚「あ、すまんそれは無理だ」
八幡「……はい?」
平塚「君には今から付いてきて欲しい所があってな。悪いが今日はこのまま残ってくれ」
八幡「いや、ですが一刻も早く家に帰って作文を……」
平塚「比企谷、これも君を更生させる為だ。感謝したまえ」
八幡「いや、ですから―――」
平塚「感 謝 し た ま え ?」
八幡「は、はい!」
八幡「……大人なんてクソっくらえ、やっぱり小学生は最高だぜ」
平塚「何か言ったか?」
八幡「い、いえ! なんでもございません!」
―――とある教室の扉前
平塚「よし、ここだ」
八幡「ここで俺を拷問でもするつもりですか?」
平塚「はは、そんな物騒な事はしないよ。もっと穏便な方法さ」
八幡「ふーん……穏便な方法、ねぇ」
平塚「とりあえず入りたまえ」
ガラッ
>>12
扉を開け、そこで待ち受けていた光景とは?
ニャンコ先生のぬいぐるみを抱えたユキペディアさんが!
八幡「心地よく吹く微風になびくカーテン。普段使用されてないのか、席が全て後ろに下げられていて広々とした空間」
八幡「―――そして、その空間の真ん中でニ◯ンコ先生のぬいぐるみを大事そうに抱える女子高生が、一人」
平塚「……雪ノ下、何だそのぬいぐるみは?」
雪ノ下「ッ……! ひ、平塚先生! いつも入る時はノックをしてからと言っている筈ですが!」
平塚「それは、君はノックをしても返事はするものの開けた試しがないだろう」
平塚「それにその返事というのも、いつも何故だか慌てた様子だったしな……」
雪ノ下「そ、それは……!」
八幡「まぁ大方、察するに」
八幡「自分だけのプライベートタイムを堪能してる最中に平塚先生が来て、慌ててぬいぐるみを隠している間にいつも平塚先生が入ってくるってとこか?」
平塚「ほほーう、確かにそれなら納得のいく推測だ。何だ、偶には役に立つじゃないか比企谷」
八幡「そいつはどーも。んで、平塚先生」
八幡「この状況を見てしまっては穏便な更生云々の前に、色々と訳がわからないんですが」
平塚「安心したまえ、正直な事を言うと私も訳がわからん」
平塚「まさか比企谷に続き雪ノ下にはこんな可愛い一面があったとはなぁ。比企谷が闇なら雪ノ下は光と言った所か」
雪ノ下「……とりあえず、今見た事は忘れて下さい。いいですね?」
平塚「ふっふっふ、そいつは無理な頼み事だな」
雪ノ下「なっ」
平塚「タダでさえぶっきら棒な君にあんな一面がある事が分かったんだ。これを利用しない手はあるまい」
雪ノ下「なんと卑劣な。それでも教師ですか平塚先生」
八幡「……こんな大人にだけはならない様にしよう、うん。小学生最高」
八幡「つーかそもそも、なんで雪ノ下……さんがここにいるんだ?」
平塚「ああそうだな、予想外な展開で不意を突かれたがそろそろ本筋に戻ろう」
平塚「実はな比企谷、彼女も孤独体質なのだよ」
八幡「え、そうなの? あの雪ノ下……さんがか?」
雪ノ下「先生、そんな言葉は存在しません。存在しない言葉を使うだなんてそれでも国語教師ですか?」
平塚「才色兼備で文武両道な雪ノ下だが、見ての通り性格には少し難があってな」
平塚「言いたい事をハッキリと毒舌に変えて発言する特殊な性格故に、交友関係が少ないんだ」
八幡「どんな性格だよ。それに加えてぬいぐるみ好きとかツンデレか何かか」
雪ノ下「今気になったのだけれど、貴方は誰なのかしら? 突然会話に入ってきて驚いてしまったじゃない」
八幡「いや突然じゃねーだろ、俺さっきからずっと喋ってただろ」
八幡「自分にしてはよく喋ってるなー、とか内心思ってたけど、まさか今になって存在認知されるとは思ってなかったわ」
雪ノ下「あら、消えたわ。 疲れているのかしら私」
八幡「いや消えてねーよ! 目の前にいんだろ毒舌女!」
平塚「まぁまぁ、落ち着きたまえ二人共。これでは話が進まないだろう」
平塚「とにもかくにも、私の依頼は一つだ雪ノ下」
雪ノ下「この後に及んで依頼ですか」
平塚「ああ、依頼内容は―――」
>>26
依頼内容とは?
比企谷が直々お前の毒舌を叩き直す
平塚「―――比企谷が直々お前の毒舌を叩き直す」
雪ノ下「……はい?」
八幡「……は?」
平塚「これが、今回私が雪ノ下に依頼する内容だ」
雪ノ下「先生、それはどういう冗談でしょか? そもそも、比企谷とは誰です?」
八幡「いや、一応俺が比企谷なんだけどさ……依頼だの雪ノ下さんの毒舌を叩き直すだの」
八幡「何を言いだすかと思えばどういう事なんですか先生。ここはどんな場所で、依頼ってのは何なんですか」
平塚「ああ、言ってなかったな。この場所は奉仕部さ」
八幡「奉仕部? 他人に尽くす部活ですか?」
平塚「まぁ、そう思ってくれて構わない。それじゃ、さっきの話に戻るぞ」
平塚「雪ノ下には交友関係に難があり、孤立している。それは比企谷、君も同様だろう」
八幡「はぁ……まぁそうなりますね」
平塚「孤独とは辛いものだ。特に君らの様な若い内には特に」
平塚「突然、心に住みついた孤独というのは当たり前の事としてすぐには受け入られない」
平塚「それ故に苦しみ、無理にでも孤独に慣れようとして、より一層苦しむ」
雪ノ下「……」
平塚「私は考えた。ならば、孤独から救い出すチャンスをやろうと」
平塚「そして、そのチャンスというのが―――この部活。そして、今の依頼だ」
雪ノ下「……なんだか壮大な話の様な気がしますが要約すると、孤立者を部活に入部させて友人を作る機会を設けた」
雪ノ下「と、こんな感じですか?」
平塚「そういう事だ。いやー、雪ノ下は理解が早くて助かるよ」
雪ノ下「でも、先ほどの依頼と孤立からの打開の関係性がイマイチ見つからないのですが」
平塚「関係大アリだろう。君のその毒舌さえ直せば、幾分も友人が出来やすくなる」
雪ノ下「別に私は交友関係なんてどうでもいいのですが。……ちなみに何故、よりによって相手が比企谷君なのですか?」
平塚「比企谷が君の毒舌を更生させられたとすれば、比企谷の友達作りなど屁でもないだろうからな」
雪ノ下「安易な考えですね。流石、先生らしいです」
八幡「いや、ちょっと待って下さいよ」
平塚「どうした比企谷? 何か不満か?」
八幡「さっきから孤独は悪、みたいに言ってますけど……孤独だって別にいいじゃないですか」
平塚「……ほう?」
八幡「一人で今までずっと頑張ってきたのに、一人というだけで価値が下がる」
八幡「一人と複数人、どんな時でも頑張りで言えば一人の方が必然的に多くなる筈だ」
八幡「なのに何故、一人というだけで馬鹿にされなければいけない?」
八幡「大した苦労もせず、とりあえず頭ごなしに一人でいる事を馬鹿にする……俺はそんな奴らが許せない」
雪ノ下「へぇ、なる程ね。確かに一理あるわ」
平塚「……そうか。なら、証明してみせろ」
八幡「証明、ですか?」
平塚「一人でも大丈夫だという事を、出来るという事を、雪ノ下を更生させて私に証明してくれ」
八幡「……!」
平塚「これは、高校卒業までの私からの課題だ。成功すれば、せめて私だけでもお前の一人としての頑張りを認めてやる」
平塚「お前の存在を、比企谷八幡という一人の人間を尊重する」
平塚「どうだ、比企谷……やるか?」
八幡「お、俺は―――」
>>36
八幡が出した答えは?
いや、ロリじゃない相手に時間割くなんて嫌です
八幡「いや、ロリじゃない相手に時間割くなんて嫌です」
平塚「」
雪ノ下「」
平塚「ああ、すっかり忘れていたよ……君が小学生好きのロリコンだという事を」
雪ノ下「少しは見直したのだけれど。この場面でその発言はちょっと……いえ、物凄く気持ち悪いわ」
雪ノ下「今すぐこの世から存在を抹消しなさいロリ谷君」
八幡「安心しろ雪ノ下、お前に興味はないから。確かに、身体的には少し似ているが―――」
パシンッ!
雪ノ下「安心して永遠の眠りに就きなさい、クソロリ谷君」
平塚「はぁ……やれやれ」
―――比企谷、自宅にて
八幡「いててて……雪ノ下……いや、もうさん付けはいいか。本人の目の前でも一回どさくさで呼び捨てで呼んだし」
八幡「雪ノ下のヤツ、もう少し加減してくれてもいいだろ……たく」
小町「お兄ちゃん!」
八幡「あー? なんか用か?」
小町「どうしたのさ、その痣は? まさか、遂にイジメられる様になっちゃったの!?」
八幡「ああ、それはだな。カクカカシカジカ」
小町「あーそれはお兄ちゃんが100%悪いわ。てか、よくそんなシリアスな場面でそんな事言えたね」
八幡「俺もぶっちゃけ思う所はあるけど、後悔はしてないぜ!」
小町「こらもう重症だ」
八幡「はぁ、小町が永遠の10歳だったら良かったんだけどな」
小町「お兄ちゃんの頭は安定のネバーランドで小町、少し安心したよ」
八幡「はいはい、んじゃお兄ちゃんは風呂入ってくるからまた後でな」
小町「うん、早くあがってね! もっとお兄ちゃんとお話ししたいし! あ、今の小町的にポイント高い?」
八幡「いや、小町が小学生に戻ってくれれば無量大数ポイントやるよ」
小町「あ、それ無理。早く風呂入ってきなよ」
八幡「所詮、現実は非情である」
八幡「さて、一通りやる事はやったな」
八幡「このまま寝てもいいけど、どうするか」
1. このまま寝る
2. 小町と話す
3.自由安価
安価>>47
1
八幡「このまま寝るか、特にやる事もないしな」
――せめて私だけでもお前の一人としての頑張りを認めてやる
八幡「……」
――比企谷八幡という一人の人間を尊重する
八幡「……あんな事言われたのは初めてだ」
八幡「ま、俺にはもう関係ない事だし。さっさと寝よ」
―――翌日、学校
八幡「さて、今日も今日とてボッチライフの幕開けだ」
ワイワイガヤガヤ
八幡「あーあー、相変わらず騒がしい奴らめ。休憩時間ぐらい身体を休めたらどうなんだ」
八幡「まぁ、独り言でブツブツ呟いてる俺が言える事でもねーか」
八幡「次の授業は国語だし、始まるまで寝るか……」
八幡「……いや、本当にこのまま寝るのか? 今、何か出来る事は……」
>>50
1. 何もせず寝る
2. 自由安価
雪ノ下に謝罪しに行く
―――2年J組、教室前にて
八幡「ここまで来たのはいいが……よくよく考えれば俺なんかが入っていいのか?」
八幡「一歩間違えれば停学になりかねないしな、ここは慎重行くか」
八幡「そうだな、先ずはそれとなく教室の中を……」
J組女子「……」ジー
八幡「うっ……! 明らかに怪しまれてんな俺。我ながらどんだけ怪しいんだ」
八幡「くそ、こうなりゃ―――!」
>>56
1. J組女子に声を掛けて雪ノ下を呼んでもらう
2. 教室にそのまま入って雪ノ下を探す
3.自由安価
ぼっちは華麗に去る
八幡「――ぼっちは華麗に去る」
八幡「たかだか一介のぼっちに、こんな難度の高いミッションは無理だったんだ」
八幡「……さっさと帰ろ」
スタスタ
J組女子「気持ち悪かったねぇ、今の人」
ヒソヒソ
雪ノ下「……」
雪ノ下「ロリコンでチキン、救い様がないわね」
八幡「さて、放課後になった訳だが」
「ね、ねぇ! ちょっといいかな?」
八幡「え、あ、はい。なんでしょう?」
「その……あ、あの時は本当にごめんなさい!」
八幡「お、おおおい! どうしたんだ急に!? てか、誰ですか貴女は?」
結衣「ご、ごめん! 私は由比ヶ浜結衣、始業式の日に私のペットの犬を救ってくれたの……貴方だよね?」
八幡「ペット……ああ、あの時の犬か。て事は、由比ヶ浜さんは飼い主?」
結衣「うん……ずっとお礼を言おうと思ってたんだけど、中々タイミングが掴めなくて、ごめんなさい!」
八幡「いや、もういいって! 別に気にしてないし!」
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