八幡「もしも由比ヶ浜がいなかったら」 (59)

春・奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「……うーす」ガララッ

雪ノ下「あら、こんにちは比企谷くん」

八幡「由比ヶ浜は?」

雪ノ下「由比ヶ浜さんはまだ来てないわね」

八幡「そうか………」

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雪ノ下「紅茶でいいかしら?」

八幡「……いや、いい。自前で持ってきてるから」

雪ノ下「またあの糖分の化物を持ってきたの……?正直あれどうかと思うわよ」

八幡「うるせ、酒とか煙草とかと同じだよ。一度知ったら止められねぇんだ」

雪ノ下「ふふっ、あなたは変わらないわね」

八幡「そういうお前は随分変わったな」

雪ノ下「そうかしら………」

八幡「あぁ。前みたいに出会い頭に暴言を吐くようなことはなくなったし」

雪ノ下「……そうね、去年はこんな気持ちで誰かと接せるときがくるなんて、思ってもみなかったもの」

八幡「奉仕部が、俺たちを変えてくれたのかもな」

八幡「俺だって……春に比べればそこそこ変わった自覚はあるぞ」

雪ノ下「あなたは昔も今も最底辺の人間じゃない」

八幡「おい」

雪ノ下「冗談よ。……前よりは素直になったとは思ってるわ」

八幡「……まぁな」

雪ノ下「ねぇ比企谷くん」

雪ノ下「もしも、もしもの話なのだけれど」

雪ノ下「由比ヶ浜さんが奉仕部に入部していなかったら……どうなっていたかしらね」

八幡「……考えるだけでも寒気がするな」

雪ノ下「それはどういう意味かしらね?」

八幡「その目やめろ怖いから」



八幡「由比ヶ浜がいなかったら、か」

八幡「少なくともこうやって俺たちがわかりあえることも、なかったのかもな」

雪ノ下「そうね……」

雪ノ下「奉仕部で一番はじめに受けた依頼が由比ヶ浜さんのクッキー作りだったわね」

八幡「あいつの料理スキルには辟易したな……レシピ通りに作っても木炭になるんだから」

雪ノ下「一番呆れたのはあなたの解決策なのだけれどね」

八幡「そんなダメだったかぁ…?」

雪ノ下「今思えば一色さんと同じ思考回路ね」

八幡「うわっ……」

雪ノ下「それは少し失礼じゃないかしら…」


八幡「……もしも由比ヶ浜がいなかったら…あの依頼がなかったら……」

雪ノ下「…………………」

八幡「…………………」

雪ノ下「……えぇと」

八幡「……雪ノ下のクッキーが食べられていなかった、な」

雪ノ下「え、そ、……そうね」

八幡「えー……ごほん、んで、戸塚が依頼に来たわけだよな」

雪ノ下「テニスを強くして欲しい……そして私たちは戸塚くんと一緒に昼練をすることになって、三浦さんたちとテニス勝負をすることになったのよね」

八幡「……三浦も凄まじかったがお前も凄かったよな、テニス」

雪ノ下「それが雪ノ下雪乃よ」

八幡「ただし体力は」

雪ノ下「黙りなさい」



八幡「もしも由比ヶ浜がいなかったら……どうなっていただろうな」

雪ノ下「……由比ヶ浜さんがいないから、ダブルスは最初から私が出るしかなくて」

八幡「……ていうかそもそも戸塚が由比ヶ浜経由で知り合ったから依頼そのものがなかった可能性が……」

雪ノ下「…………………」

八幡「……………」

八幡「ゆ、由比ヶ浜のおかげで戸塚に知り合えたからな。戸塚と友だちになれていない未来なんて………」

雪ノ下「……………」

八幡「………」

八幡「それはそうとさ、中間試験のころにチェーンメール騒動あったよな」

雪ノ下「えぇ。あのときは葉山くんがグループから離脱することで事なきを得たわね」

八幡「そして川崎の家の問題を解決して…」

雪ノ下「スカラシップを教えてあげれば済む話だったのだけれどね」



八幡「……もしも由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「チェーンメールはともかく、試験勉強をすることがないから私は小町さんとは知り合えていなかったような…」

八幡「……でも俺と大志が出会ったのも偶然だから依頼自体はあったことになるな……」

雪ノ下「えぇと………」

八幡「………うーん」

八幡「……その後職場見学で由比ヶ浜と気まずい感じになったんだよな」

雪ノ下「由比ヶ浜さんが退部する、しないでずいぶんもめたわね」

八幡「そんなときに材木座が遊戯部との勝負をチャラにしたい、みたいな依頼を持って来て…」

雪ノ下「……脱衣大富豪だったかしら。全く、男子というのはろくなことを考えないわね…」

八幡「まぁ、そこは許してやろうぜ…」



八幡「……もしも由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「……まず退部するしないで揉めることがないわね」

八幡「……遊戯部入れて奇数になるからダブル大富豪も出来ねぇな」

雪ノ下「……………………」

八幡「…………………」

八幡「ほら、でもあれだ。由比ヶ浜の誕生日プレゼントを選びに行くイベントがなくなる」

雪ノ下「!そ、そうね……それがなくなったらあなたと買い物をすることも、あなたにパンさんを取ってもらうこともなくなってしまうわ」

八幡「お、おう……あーでも雪ノ下さんと出会わずには済むな」

雪ノ下「姉さんを舐めてはダメよ……ここで姉さんと出会うことを回避したとしても、必ず姉さんと接触するイベントはどこかで起こるわ」

八幡「雪ノ下さんこえー……」

八幡「……で、夏休みだ」

雪ノ下「千葉村に、小学校の林間学校のお手伝いに行ったわね」

八幡「留美の人間関係を破壊して、とりあえずいじめは起きないようにしたが…」

雪ノ下「あれが正しかったかどうかは、未だによくわからないわ……」



八幡「由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「……………」

八幡「……………」

雪ノ下「………本当に特にないわね」

八幡「ま、まぁ……もし由比ヶ浜が奉仕部に入っていなかったら、雪ノ下の水着も拝めてねぇだろ、たぶん」

雪ノ下「ッ///!い、いきなり何を言うの比企谷くん!」

八幡「あっ、あーやめだやめだ今のなし」

雪ノ下「もう…………///」

雪ノ下「……あの千葉村のあと私は姉さんに連行されるのよね……」

八幡「あん時にお前の"嘘"に気付いたんだっけ」

雪ノ下「黙ってたのは悪かったわ……どんな顔すればいいのかわからないじゃない」

八幡「別にお前が運転してたわけでもねぇんだから気にすることないと思うんだがな」

雪ノ下「……で、あの後ぼっちのあなたはどんな風に夏休みを過ごしたのかしら?」

八幡「話そらしやがった……わんにゃんしょーっていつのだっけ?」

雪ノ下「職場見学が終わった後ね」

八幡「そっか……なら、塾行って、戸塚とデートして、平塚先生とラーメン食べて、家でごろごろして……んで、由比ヶ浜と花火見に行ったんだ」



八幡「…由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「塾と平塚先生以外の予定が全て砕け散るわね」

八幡「そっか由比ヶ浜いなかったら戸塚とデートできてなかったんだ……」

雪ノ下「花火を見て、それだけ?」

八幡「いや、相模に笑われたり雪ノ下さんに脅されたり色々あったわ……楽しかったけど」

雪ノ下「それも全部なくなるわね」

八幡「……あれ?うそ、マジで?」

八幡「そして文化祭になるわけだが」

雪ノ下「相模さんが引っかき回してくれたアレね」

八幡「根に持つなーお前……」

雪ノ下「こんなことはあまり言いたくないのだけれどね……」

八幡「働きすぎて雪ノ下が体壊して、俺が相模に暴言吐いて……」

雪ノ下「あれを乗り越えたから、今の私たちがあるのよね……」



八幡「もしも由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「あの由比ヶ浜さんの慰めがなかったら、今頃どうなっていたかしらね」

八幡「そういえばお前ら、あの日本当は何話してたんだ?由比ヶ浜は教えてくれなくてさ」

雪ノ下「さぁ?内緒よ……」


八幡「……ただ、俺は由比ヶ浜のようなやり方はできなくても」

八幡「俺なりの方法で、お前を救おうとはしたかもな………」

雪ノ下「…………それが、あのスローガンかしら?」

八幡「いや……あれは忘れてくれ……」

八幡「文化祭が終わり、俺の悪評が学年全体に広まり」

雪ノ下「修学旅行がやって来たわね」

八幡「体育祭はいいのか?」

雪ノ下「いいんじゃないかしら。特にあれで進展したこともないし……」


八幡「修学旅行の前に、戸部と海老名さんが依頼に来たわね」

雪ノ下「片方は『絶対に告白したい』」

雪ノ下「もう片方は『絶対に告白させたくない』」

八幡「……その矛盾した依頼を解決するために、俺は海老名さんへ嘘告白をした」

雪ノ下「そして、そんなあなたに私たちは呆れ、憤り……軽蔑した」



八幡「由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「そもそも告白の依頼を受けようって私たちを説得したのは由比ヶ浜さんなのよね…」

八幡「俺とお前じゃあ、恋愛相談の役になんて立てないだろうからな……」

雪ノ下「………じゃあ、つまり」

八幡「………これも、依頼自体がなかったことに…………」

雪ノ下「………………」

八幡「……………………」

雪ノ下「……次なんだったかしら?」

八幡「……生徒会選挙だな」

雪ノ下「一色さんが、無理矢理生徒会長にされそうだから助けてやれ、という依頼だったかしら」

八幡「あぁ。それで一色を救うためにお前が生徒会長に立候補して」

雪ノ下「由比ヶ浜さんも立候補して」

八幡「……奉仕部が壊れることを恐れた俺は、一色を説得して一色に生徒会長をやらせることにした………」

八幡「お前の気持ちを無視して」

雪ノ下「っ………いえ、いいのよ。あの時のことは。過ぎたことだわ」




八幡「由比ヶ浜がいなかったら……」

雪ノ下「……あなたが奉仕部を守りたいと思えたかどうかが要因ね」

八幡「決まってるだろ、奉仕部に由比ヶ浜がいなかったとしても必ず俺はお前を守りたいと思う」

雪ノ下「なっ………!///」

八幡「ただやり方は違ったかもな…」

雪ノ下「?」

八幡「お前を生徒会長にした上で、俺も生徒会に入る、っていう手段を選んだかもな」

雪ノ下「あぁ……」

八幡「奉仕部としての関係は壊れちまうが……二人の関係ならこれで続くはずだ」

八幡「あん時は由比ヶ浜も生徒会長に立候補してたからその案が思いつかなかった」

雪ノ下「……その後にクリスマスイベントがあったわね」

八幡「そのときにようやく生徒会長になりたかったっていう雪ノ下の真意に気付いて、俺1人で依頼をこなそうとしたわけだが」

雪ノ下「玉縄くんのせいで会議は進まずイベントは危うく中止になりかけた」

八幡「……で、最後の最後で自分の過ちに気付いた俺はお前らに依頼をしたんだ」

雪ノ下「『それでも俺は、本物が欲しい』」

八幡「やめろ……雪ノ下の毒舌スキルで会議は無事進み」

雪ノ下「イベントは無事成功、私たちの関係も元に戻り始めた………」




八幡「……由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「……まず私は生徒会長になれていた」

八幡「……だから雪ノ下は拗ねることもない、初っ端から全力で海浜総合を黙らせることが出来た」

雪ノ下「会議が少ない分、クオリティを上げる時間も取ることができて……」

八幡「もっといいイベントになってた可能性も、あるのか…………」

雪ノ下「……葉山くんとあなたが折本さんたちとデートして、そこに私たちが呼ばれたこともあるわね」

八幡「葉山が余計なお世話してくれた奴か…」

雪ノ下「結局葉山くんは何がしたかったのかしら……?」

八幡「さぁ?知らねぇが………」

雪ノ下「葉山くんとマラソンをしたときに何かわかったんじゃないの?」

八幡「わかったとしてもお前にいう義理はねぇよ。残念だけどな」

雪ノ下「そう………」

八幡「冬休み、初詣」

雪ノ下「誕生日、母さん登場」

八幡「バレンタイン、雪ノ下さん襲来」

雪ノ下「水族館、由比ヶ浜さんの覚醒」



八幡「………由比ヶ浜がいなかったら」

雪ノ下「……少なくとも姉さんがいろいろ言ってくることはなかったと思うわ…」

八幡「つーかもう告白してた自信あるもん……お前に。クリスマスあたりで」

雪ノ下「奇遇ね……私もよ。というより生徒会長になった私にストーキングしてきた時点でそういうことにはなっていたんじゃないかしら?」

八幡「となると後の問題はゆきのんママか…」

雪ノ下「後は私のこの依存体質かしら…」

八幡「……それは由比ヶ浜がいたとしても解決しなきゃならん問題だからなぁ」

雪ノ下「そうよね……」

八幡「………………………」

雪ノ下「…………………………」

八幡「………なんか言えよ」

雪ノ下「…………あなたこそ」


八雪「「………………………………」」


ガララッ

結衣「やっはろー!」

八幡「………あぁ、よう由比ヶ浜」

雪ノ下「……あら、こんにちは由比ヶ浜さん」

結衣「えっ……?どうしたの二人とも。なんか元気ないね………」

八幡「そ、そんなことないだろ、なぁ」

雪ノ下「えぇそうね……私たちは元気よ」

結衣「な、ならいいんだけどさ……」



八雪((由比ヶ浜(さん)がいなかったら……もっとスムーズに俺(私)たち付き合えてたんじゃね(ないかしら)………?))



やはり由比ヶ浜結衣が奉仕部なのは間違っていた

別に由比ヶ浜嫌いじゃないよ。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月11日 (月) 17:48:21   ID: fvnLHCUg

一理ある

2 :  SS好きの774さん   2016年01月12日 (火) 00:09:20   ID: uufYXZWy

一理どころじゃない

3 :  SS好きの774さん   2016年01月12日 (火) 21:12:20   ID: OQM1kdam

一理とかじゃなくてそれあるーだよ

4 :  SS好きの774さん   2016年01月16日 (土) 10:00:12   ID: 2uEgy00b

嫌いじゃない→好きとは言ってない
ですねわかります(^p^)

5 :  SS好きの774さん   2016年01月26日 (火) 02:23:28   ID: NqgauMJr

多分この2人だけだと奉仕部成り立たないと思うんだけど…

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