春雨「永遠の楽園」 (41)






ゴポ・・・     プクプク・・・





春雨「・・・・・・」

春雨「・・・んぅ?」ムク

春雨「あれ・・・ここは・・・?」

春雨「私は何を・・・?」

春雨「?」

春雨「私・・・誰・・・?」

春雨「あれ? え?」

春雨「わからない」

春雨「・・・・・・」



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春雨「」テクテク

春雨「(ここは海の中なのかしら?)」

春雨「(静かで・・・広い)」

春雨「(ちょっと冷たいし、寂しいところかも・・・)」

春雨「(海のニオイがする)」

春雨「あ、海草」

春雨「」ツンツン

春雨「・・・・・・」

春雨「(もう、どれくらい歩き続けたのかしら?)」

春雨「(すっかり辺りが暗くなってしまったわ)」

春雨「(どうしよう?)」

春雨「(疲れて頭が重い)」

春雨「(目も霞んできたわ)」

春雨「はぁ・・・」

春雨「・・・・・・」

春雨「・・・?」

春雨「光・・・?」

春雨「遠くの方に、何かあるわ」

春雨「大きな建物・・・」

春雨「ここは何なのかしら?」

春雨「でも、この形・・・」

春雨「見覚えがあるような・・・?」





??「ん? 貴女は・・・」





春雨「ひゃうっ!?」ビク

??「これは驚かして申し訳ございません」

??「私はこの深海鎮守府に住む」

??「空母ヲ級という者です」

ヲ級「以降、お見知りおきを」ペコ

春雨「え? あ、どうも・・・」

ヲ級「貴女も沈んで」

ヲ級「こちらに来たんですね?」

春雨「え? 沈んだ・・・?」

ヲ級「ん? 覚えてないのですか?」

春雨「はい・・・実はここがどこなのか」

春雨「自分が誰なのかもわからなくて・・・」

ヲ級「・・・そうですか」

ヲ級「(・・・・・・)」

ヲ級「・・・とりあえず、中へどうぞ」

ヲ級「ここは冷たくて寒いですから、中でお話ししましょう」

ヲ級「それと是非、泊まっていって下さい」

春雨「えっと・・・あの・・・」





春雨「ありがとうございます・・・」




春雨「・・・ここは鎮守府だって、先程言っていましたよね?」

ヲ級「はい」

ヲ級「ここは、沈んだ艦の部品を掻き集めて作られた建物です」

ヲ級「よく再現できていると思います」

ヲ級「ここには私以外にも」

ヲ級「多くの者がいますので」

ヲ級「どうぞ、気軽にお話をして下さい」

春雨「はい・・・あの」

春雨「先程から、その・・・沈んだとかって・・・?」

ヲ級「・・・・・・」

ヲ級「・・・いずれわかるときが来ます」

春雨「・・・?」

春雨「(鎮守府か・・・)」

春雨「(私は艦なのかな?)」

春雨「(それに、今は戦争でもしているのかな?)」

春雨「(やっぱり、わからないわ・・・)」

春雨「(・・・・・・)」

春雨「(・・・あ、さっきより気分が良くなってきた)」

ヲ級「ここにいれば」

ヲ級「どんな夢も叶います」

ヲ級「生きることの苦しみさえ」

ヲ級「消えます」

ヲ級「幻なんかではない」

ヲ級「素晴らしい場所です」

春雨「へ、へぇー・・・」

ヲ級「しかし、我々の存在と」

ヲ級「この場所を壊そうとする、敵がいます」

春雨「敵?」

ヲ級「はい。人間と、その人間に従う艦娘という存在です」

春雨「艦娘・・・」

ヲ級「愚行の限りを尽くし、綺麗な海を汚した」

ヲ級「なんとも自分勝手な生き物なのです」

ヲ級「この広い海を独占しようと」

ヲ級「艦娘なる兵器を用いて」

ヲ級「実効支配をしようとしています」

春雨「そんなことが・・・」

ヲ級「我々は自分たちの身を守るため」

ヲ級「そして、この場所を守るために」

ヲ級「日々、艦娘と戦争をしています」

ヲ級「人間は弱い生き物ですから」

ヲ級「艦娘を利用するのです」

ヲ級「彼女らは非常に手強い存在ですが」

ヲ級「我々も負けません」

春雨「・・・・・・」

ヲ級「さ、疲れたことでしょうし」

ヲ級「ゆっくり休んで下さい」

ヲ級「・・・あ、言い忘れていました」

ヲ級「ようこそ、深海鎮守府へ」

ヲ級「ここはとても素敵な場所」

ヲ級「お部屋はたくさんありますから」

ヲ級「どうぞ、お好きにお使いください」

春雨「な、何から何までありがとうございます・・・」

ヲ級「いえいえ、良いのですよ」

ヲ級「では、ごゆっくり」

春雨「」グゥー・・・

ヲ級「ん?」

春雨「///」

ヲ級「・・・・・・」

ヲ級「」クス

ヲ級「私としたことが、失礼いたしました」

ヲ級「お腹が空いていたのですね?」

ヲ級「少々お待ちください、至急料理を」

ヲ級「お部屋までお持ちいたしますので」

春雨「ほ、本当にすいません・・・///」

春雨「(は、恥ずかしい・・・///)」





ヲ級「・・・・・・」




春雨「(あれから数日が過ぎました)」

春雨「(あの晩に、命さえ危うかった私を)」

春雨「(ヲ級さんは助けてくれました)」

春雨「(寝床や食事まで用意してくれて)」

春雨「(本当に感謝しています)」

春雨「(しかし、行く宛てもない私には)」

春雨「(ここにお世話になるしかなかったのです)」

春雨「(それでもヲ級さんや、他の人達は)」

春雨「(私のことを、快く歓迎してくれました)」

春雨「(嬉しいな・・・何かお手伝いをしなければ)」

春雨「(こんなに優しい人達に酷いことをする)」

春雨「(人間と艦娘)」

春雨「(絶対に許されない)」

春雨「(是非、私にも戦わせて下さいと言うと)」

春雨「(ヲ級さんは涙を流して喜んでくれた)」

春雨「(さぁ、頑張らなきゃ!)」

春雨「(もうこの頃になると)」

春雨「(私は誰なのか、どこで何をしていたかなど)」

春雨「(どうでも良くなっていた)」

春雨「(ここは楽しい、ユートピア)」

春雨「(私はここを、そして仲間を守るため)」

春雨「(戦うことにしました)」

春雨「(光り輝く、綺麗なネックレスをした娘)」

中間棲姫「ふふ・・・」

春雨「(洒落た服を着ている娘)」

離島棲鬼「うふふ・・・」

春雨「(みんな私のお友達)」

春雨「(みんなはダンスを踊って)」

北方棲姫「えへへ♪」

港湾棲姫「ふふっ♪」

春雨「(気持ちよく、汗を流す)」

春雨「(そこには、楽しさしかない)」

春雨「(他の余計なものは)」

春雨「(全て忘れていく)」

ヲ級「お酒は初めてですか?」

春雨「ふぁ、ふぁーい!///」~☀

ヲ級「ふふ、美味しいでしょう?」

ヲ級「おかわりはいくらでもありますから」

ヲ級「どんどん飲んで下さい」

春雨「あーい!///」~☀

ヲ級「ふふふ・・・」

ネ級「・・・よし、こんな感じかな」トントン

タ級「随分細かくするね」

ネ級「へへん! んで後はストローで・・・」スー・・・

ネ級「はぁーーーーーー・・・・・・」

タ級「」スー・・・

タ級「あぁーーーーー・・・・・・」

軽巡棲鬼「はい、貴女もどうぞ!」

春雨「は、はい!」

春雨「」スー・・・

春雨「は・・・あ・・・!」

春雨「(き、気持ち良い・・・!)」

春雨「(頭が溶けちゃう・・・!)」

春雨「は・・・ああぁぁー・・・あへぇぇ・・・!」トロォ

軽巡棲鬼「ふふふ・・・」

春雨「あっ・・・ヲ級さん・・・!///」ギシギシ

春雨「き、気持ち良いです・・・!///」ビクビク

ヲ級「私も・・・です・・・っ!///」ギシギシ

春雨「はぁ・・・はぁ・・・あぁっ!///」ゾワゾワ

ヲ級「ふぅ・・・うっ・・・イキそう・・・っ!///」ゾクゾク

春雨「あっ・・・あぁ! うんぅぅっ!?///」ビクンビクン

ヲ級「んんんっ!!///」ビクビク

春雨「はぁ・・・はぁ・・・///」グテ

ヲ級「はぁ・・・ふぅ・・・///」

春雨「(あぁ、幸せだわ)」

春雨「(ここは素敵な場所)」

春雨「(要望は何でも受け入れられる)」

春雨「(私はすっかりこの場所の虜)」

春雨「(そして)」

春雨「(今日は初めて出撃をしました)」

春雨「(月が綺麗な夜でした)」

春雨「(海はとても静かで)」

春雨「(波の音だけが、静かに聞こえました)」

春雨「(敵艦隊が来ました)」

春雨「(名前も知らない)」

春雨「(得体の知れない者達)」

春雨「(一体彼女らがどこで生まれ)」

春雨「(どんな場所で暮らし、育ったかも)」

春雨「(知る由もない)」

春雨「(私達と、随分と姿形が似ていましたが)」

春雨「(不思議と何の感情も持ちませんでした)」

春雨「(動かなくなるまで)」

春雨「(海の底に沈むまで)」

春雨「(撃つ)」

春雨「(撃つ)」

春雨「(撃つ)」

春雨「(撃ち尽くす)」

春雨「(何も思わず)」

春雨「(ただ黙々と)」

昼食を取ってきます

春雨「(全てを焼き尽くし)」

春雨「(燃え盛る、真っ赤な炎を)」

春雨「(空高くへと舞い上がらせる)」

春雨「(真っ赤な液体が飛び散り)」

春雨「(私の顔を汚す)」

春雨「(これは血なのかしら?)」

春雨「(私の血は青い)」

春雨「(やはり、彼女らは私達とは違う存在)」

春雨「(どんなに泣き叫んでも)」

春雨「(逃げようとしても)」

春雨「(私はやめない)」

春雨「(命乞いをされたとしても)」

春雨「(私は答えない)」

春雨「(流れ出る真っ赤な血潮は)」

春雨「(誰にも止められない)」

春雨「(やりました)」

春雨「(私達は勝ちました)」

春雨「(みんなが勝利を祝っている)」

春雨「(私達に勝利を)」

春雨「(これは夢でもない)」

春雨「(確かな現実)」

春雨「(そして私は)」

春雨「(全てを受け止める)」

春雨「(私はキンキンに冷えたカクテルを飲みながら)」

春雨「(楽しんでいます)」

春雨「(先程の戦闘で生け捕りにした艦娘が)」

春雨「(みんなからリンチされているのを)」

春雨「(笑いながら、眺めていました)」

空母棲鬼「おらっ!」バキ

艦娘「うぐぅっ!?」

飛行場姫「もう一発ぅ!」ガッ

艦娘「うぇぇぇ・・・!」

空母水鬼「ふぅ・・・結構痛めつけましたね」

空母水鬼「最期はこれで楽しみましょうか!」シュリーン・・・

艦娘「ひぃぃっ!?」ビク

空母水鬼「どう? 殺ってみますか?」

春雨「え? 良いんですか?」

空母水鬼「えぇ、遠慮はなさらずに」ニコ

春雨「え、えへへ・・・」

春雨「・・・・・・」

艦娘「いやあぁぁぁ!! やめてぇぇぇぇ!!」

艦娘「誰か助けてぇぇぇ!!」

艦娘「提督ぅぅぅぅーーーっ!!!」ポロポロ

春雨「・・・?」





春雨「提督・・・・・・?」




提督『なんだこの戦績は!』

提督『この役立たずが!』

提督『兵器のくせに、まともに戦うこともできんのか!』

提督『この!』ドカ

提督『あぁ、イライラする!』

提督『・・・服を脱げ』

提督『上官命令だ! 今すぐ服を脱げ!』

提督『・・・へへ、兵器のくせに良い体は持っているな』

提督『お前なんか、これくらいでしか使えないゴミだ』

提督『ははは、その顔もそそるものがあるな』

提督『はははははっ!!』










春雨「・・・・・・」









提督『あ? 補給だと?』

提督『そんなものねぇよ』

提督『お前はただ戦っていれば良いんだよ』

提督『人間様のためにな』

提督『せめて入渠させてほしい?』

提督『うるせぇ!! とっとと出撃しろ!』

提督『てめぇにそんな時間なんかねぇよ!』

提督『とっとと行ってとっとと沈んで来い!』

提督『変わりはいくらでもいるんだからな!』

提督『はははははっ!!』










春雨「・・・・・・」









春雨「思い出したわ」

春雨「休むことも許されずに」

春雨「笑うことは止められて」

春雨「這いつくばって、必死にもがいて」

春雨「私は沈んだ」

春雨「何も残らなかった」

春雨「・・・・・・」

春雨「酷いな」

ハルサメ「憎いな」





駆逐棲姫「・・・・・・・・・」




駆逐棲姫「・・・・・・」スタスタ





艦娘「いやあぁぁぁ! 来ないでぇぇぇ!!」





駆逐棲姫「」スッ










ザシュッ!!     ザクザクザク!!     グチャ!!     ビチャビチャビチャ・・・・・・










艦娘「」





駆逐棲姫「・・・・・・」ポタポタ

ヲ級「・・・・・・」




駆逐棲姫「(彼女の血が、また私の顔を汚す)」

駆逐棲姫「(先程まで、この艦娘は生きていた)」

駆逐棲姫「(私が殺しました)」

駆逐棲姫「(・・・・・・)」

駆逐棲姫「(・・・もしかしたら)」

駆逐棲姫「(あの司令官が優しい人であったなら)」

駆逐棲姫「(私はこんな道を辿らなかったかもしれない)」

駆逐棲姫「(でも良いの)」

駆逐棲姫「(私は今、幸せですから)」

駆逐棲姫「(ここは永遠の楽園)」

駆逐棲姫「(守るべき仲間がいる)」

駆逐棲姫「(大切な場所なのだから)」

駆逐棲姫「ヲ級さん、作戦報告書です」

ヲ級「ありがとうございます」

駆逐棲姫「この間の出撃は凄かったですね!」

ヲ級「はい、こちらの被害はほぼゼロでしたからね」

駆逐棲姫「あぁー、今日の出撃も楽しみです!」

ヲ級「ふふ、頼りにしていますよ?」

駆逐棲姫「(ふと鏡を見てみました)」

駆逐棲姫「(私が映っています)」

駆逐棲姫「(顔色も悪く、髪は色褪せている)」

駆逐棲姫「(私は白露型駆逐艦5番艦、春雨だった存在)」

駆逐棲姫「(元は艦娘でもあった)」

駆逐棲姫「(でも、今は違う)」

駆逐棲姫「(深海棲艦という、誇り高き戦士)」

駆逐棲姫「(・・・・・・)」

駆逐棲姫「(今日も私は艦娘を沈める)」

駆逐棲姫「(怒り、そして憎しみの感情をもって)」

駆逐棲姫「(ひたすら撃つ)」

駆逐棲姫「(いつかは敵の本拠地、鎮守府へ)」

駆逐棲姫「(指導者を殺め)」

駆逐棲姫「(市民を殺め)」

駆逐棲姫「(あのもの全てを焼き尽くし)」

駆逐棲姫「(支配する)」

駆逐棲姫「(私はもう)」





駆逐棲姫「(戻ることはできないのだから)」





――― 終 ―――


まんこが痒いですね

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