モバP「桃華チャレンジ」 (50)

晴「よっし、今日はもう何もねーよなプロデューサー!」

P「そうだな、もう帰っていいぞ」

晴「じゃー皆、行こーぜ。いつもの所だ!」

薫「おー!」

みりあ「おー☆」

千枝「お疲れ様でしたー」

P「はい、お疲れ様」



桃華「………」

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P「今日は早く帰れそうだなぁ」

桃華「少し、よろしくて?」

P「ん?どうした?」

桃華「聞きたいことがありますの。車の免許、持ってますわよね?」

P「車の?そりゃ持ってるけども」

桃華「でしたら話が早いですわ。裏の駐車場まで来てくださる?」

P「え?」

桃華「その……そこでレッスンを、していただきたいんですの。わたくしに」

~駐車場~


P「(車の免許……車……桃華に、レッスン……)」

P「(そこから導き出される答えは……)」

P「(……車内で、桃華にレッスン……)」





P「……ふぅ」

桃華「お待たせしましたわ。早速始めましょう」

P「桃華。君にはまだ、早過ぎる気がするんだが」

桃華「………」

P「その、アブない。色々と」

桃華「アナタもですの?」

P「え?」

桃華「わたくしは、できないと。そうおっしゃいますのね!」

P「いや、だがこれはさすがに……ん?」

P「ま、待ってくれ!俺もって、どういう事だ!?まさか他に……」

桃華「ええ、晴さんが」

P「晴と!?」

P「(いつの間に晴とそういう関係に……いや、なってはいないのか?)」

桃華「だからと言って、わたくしに退くことは許されません!何が何でもレッスンをしていただきますわ!」

P「ま、待つんだ桃華!君はまだ……!」

ちひろ「いつまで下らない勘違いしてるんですか、プロデューサーさん」

P「え?」

ちひろ「ほら。桃華ちゃんの後ろ」



P「……自転車?」

晴『じゃー、いつもの公園な!』

みりあ『ちょっと待ってよー☆』

薫『はやーい!』

晴『よっと……ん?』

桃華『お待ちになって!』

千枝『あ、桃華ちゃん』

桃華『わたくしも行きますわ!』ババァーン

晴『真っ赤だなー。桃華も自転車持ってたのか』

薫『ピッカピカだねー』

桃華『オーダーメイド、ですのよ』フフン

みりあ『あれ?この自転車……』

千枝『どうしたの?』



みりあ『補助輪、ついてるんだね』

薫『あ、ホントだー』

桃華『……ホジョリン??』

みりあ『え?』

晴『ブフッ』

桃華『!?』

晴『ちょ……ま、マジで補助輪付き?てか、知らないって……プッ』

千枝『ち、ちょっと晴ちゃん!』

桃華『な、何がおかしいんですの!?』

千枝『あ……あのね?桃華ちゃん、その』

千枝『――と言う事なんだけど……』

桃華『で、ですが!公園へ行くだけなら、何も問題は』

晴『補助輪付きと一緒か……うーん、ちょっとカッコわりーなぁ』

桃華『』グサ

千枝『晴ちゃん!』

晴『だ、だってよ……』

桃華『……わたくしが、自転車をそのホジョリン無しで乗りこなせれば、文句は無い』

桃華『そういう事ですわね?』

晴『い、いや、無理すんなって。そんなすぐ乗れたりしねーから……』

桃華『いいえ!わたくしに不可能な事など、一つだってありませんわ!』ババァーン



桃華「と、晴さんについ啖呵を切ってしまったのですわ」

P「はぁ……」

桃華「何ですの?その気の抜けた返事は」

P「あぁ、いや……つまり、自転車の乗り方を教えてくれ、と」

桃華「他に何があって?」

P「で、ちひろさんは何をしにここへ?」

ちひろ「プロデューサーさんに、警告を」

P「へ?警告?」

ちひろ「……我がプロダクションは、桃華ちゃんのファミリーとは非常に良好な信頼関係を築き上げています」

ちひろ「が。もし桃華ちゃんの身に、万が一が起こった場合……」

P「起こった場合?」



ちひろ「……明日から私の仕事が、エナドリにプルタブを付ける作業に……」

P「エナドリのプルタブ!?」

ちひろ「それだけで、済めばいいんですけどね……」

P「……ち、ちょっと待って。俺は?俺は一体」

ちひろ「………」



桃華「いつまで話し込んでいますの?早くレッスンを」

P「や、やる!やるから!ちょっと待ってくれ!」

P「まずその格好で練習はダメだ!非常にマズい!」

~スポーツジム~


P「という訳で、ここで練習だ」

桃華「言われた通り、ジャージに着替えましたわ」

P「練習するなら動きやすい格好じゃないとな」

桃華「それは分かりますけれど、ここで何を?」

P「もちろん、自転車に乗らずに練習をするためだ」

桃華「自転車に乗らずに練習を?そんな事ができますの?」

P「ああ。あのエアロバイクを使う」

桃華「確かに自転車の形に似ていますけれど……」

P「何事も最初は形から入るものだよ」

P「少し負荷をかけて、と……さ、こいでみてくれ」


ウィーンウィーンウィーンウィーン…


P「これはイメージトレーニングだ。自転車をこいでる自分をイメージしよう」

桃華「自転車をこぐ自分を……」ウィーンウィーンウィーンウィーン

P「そうそう。それをしばらく続けてみてくれ」

桃華「っしょ……んしょ……」ウィーンウィーンウィーンウィーン



P「(とりあえずこれで何日かは持ちそうだが……簡単に信じるとはな)」

P「(まさか、一度もまともに自転車乗ったことが無いのか?)」

P「……うーん、ますます本気で教える訳にはいかなくなったぞ」

「何を教えるわけにはいかないんです?」

P「そりゃもちろん、自転車の乗り方を……」

P「げっ」

トレーナー「……人の顔見るなり『げっ』はないですよね、『げっ』は」

トレーナー「彼女のレッスン、今日は午前中で終わってますよね?」

P「あぁ、いや、これは」

桃華「わたくしだけの、追加レッスン中ですわ!」ウィーンウィーンウィーンウィーン

トレーナー「……メニューに無いレッスンをするなら、まずこちらに話を通して頂かないと」

P「えぇと、そういうんじゃなくてですね。ちょっとその」

トレーナー「それに。あの年頃でも身体を休めるのは大事な事だと思いますが」

P「それは分かってます、分かってるんですけど、あの」

トレーナー「というか、エアロバイクで自転車が乗れるようになるわk」

P「よーしそこまでで十分だ桃華早速次のレッスンに向かおうそうだそうしよう!!」

~駐車場~


P「エルボーパッド、よし!」ビシッ

P「ニーパッド、よし!」ビシッ

P「グローブ、よし!」ビシッ

P「プロテクタースーツ、よし!」ビシッ

P「最後に……ヘルメット、よーし!」ビシッ

桃華「何故ジャージの上からこんなものを……少し暑苦しいですわ」

P「つけない事には次のレッスンは教えられんからな。ちゃんと運動靴履けてるか?」

桃華「それはバッチリですけれど」

ちひろ「練習、はかどってます?」

P「これからですよ」

ちひろ「桃華ちゃん、よく似合ってるじゃないですか~。お向かいに自転車屋さんがあって良かったですね」

P「あの……これ、経費で落t」

ちひろ「じゃ、くれぐれも気をつけて下さい!応援してますから!」ダッ

P「クソァァァァ!」



桃華「次のレッスンはまだですの?」

P「……じゃー、準備体操から。手首足首を捻らないように、よく回そう」

桃華「さぁ、準備万端ですわ!」ブンブン

P「……桃華は自転車のことを、どのくらい知ってるんだ?」

桃華「ハンドルを握って、ペダルというものを踏んでタイヤを回せば、前に進むのでしょう?」

桃華「そして止まる時は、ハンドルにあるブレーキというものを引く……」

P「詳しいなぁ」

桃華「当然ですわ。わたくし、この日の為に予習をしてきましたのよ!」フフン



P「(回答は出た。しかし――)」

P「(よもやこれ程とは……ッッ)」

P「(如何なる手段を持ってしても……彼女を――桃華を――)」

P「(俺が守護らねばならぬ)」キリッ



P「桃華、とりあえずこの駐車場の広い所を何周かしてみてくれ」

桃華「分かりましたわ」

P「俺は車が急に出入りしてこないか見てるからな」

桃華「わたくしのことも、ちゃんと見てくださいましね」

P「分かってる分かってる」

ガラガラガラガラ……


P「………」

桃華「………」


ガラガラガラガラ……


P「………」

桃華「………」

P「どうした桃華?」

桃華「……何か、大事なことを忘れているような気がしますの」

P「そうか?ちゃんと練習は出来ていると思うが」

桃華「それはそうですけれど……」ガラガラ



桃華「あ、あぁーっ!」

P「ん?」

桃華「ホジョリン!ホジョリンですわ!」

桃華「何てことですの……ホジョリンを付けたまま練習をしていたなんて!」

P「(……まぁ、気づくよな。何のために練習してんだって話になるし)」

桃華「プロデューサーちゃま!早くホジョリンを!」

P「ちょっと待っててくれ。外すには工具が要る」

P「(そうそう、補助輪を外さないと……補助輪を……補助凛……)」



凛『サポートするよ』ガラガラ



P「ブフッ」

桃華「?」

P「……よっと。綺麗に取れたぞ」

桃華「これでようやく、皆と同じスタートラインに立てますのね」

P「第一歩目だな」

桃華「さぁ、行きますわよ!」ガッ


グラッ


桃華「!?」

P「おっとと」ガシッ

桃華「いきなり倒れそうになりましたわね」

P「まぁ、最初はな」

桃華「次こそは……」ガッ


グラッ


P「っと」ガシッ

桃華「………」

グラッ


ガシッ


グラッ


ガシッ


桃華「………」

P「よーし、いつでもいいぞー桃華」

桃華「お待ちになって」

P「ん?」

桃華「次に倒れそうになったとしても、支えないでくださる?」

P「そ、それは」

桃華「このままではいつまで経ってもバランスが掴めませんの」

P「いや、しかし……」

桃華「……アナタ、このわたくしがまさか失敗するとでも?」

P「そういう訳ではないが」

桃華「でしたら手出しは無用ですわ!」

P「ぐっ」

P「(マズい、このままでは……)」

桃華「薫さんにさえ出来ることが、わたくしには出来ない……」

桃華「そのようなこと、断じてありえませんの!」ガッ

P「桃華!」


グラッ


桃華「!?」

P「左ィィィィィィィィィィ!!!」ズシャアァ


ガシャーン

カラカラカラ…


桃華「あ、アナタ……下敷きに!?」

P「ぐぇあ……」

桃華「……い、言いましたわよね、手出しは無用と」

P「手は、出してないぞ」

桃華「………」

P「……う、動けるなら、そろそろ退いてくれるか?」

桃華「あっ」

P「よっこらしょっと」ガチャン

桃華「……わたくしのせいで、こんな……」

P「気にするな。失敗は誰にでもある」

桃華「………」

P「(バランスの問題だろうが……俺自身どうやって乗れるようになったか、まるで覚えてないんだよな)」

P「(桃華にケガはさせたくないし……参ったなぁ)」



「プロデューサー、そこどいてくれよ。出られねーだろ」

P「あ、あぁ、すま……ん?」

P「あれ?え?」

拓海「んだよ」

P「拓海……バイク、じゃないのか?」

拓海「は?」

P「いや、バイク……」

拓海「何が」

P「今乗ってるそれは?」

拓海「バイクだよ」

P「……バイクって、エンジンが付いてるんじゃ」

拓海「こいつがエンジンだよ」パン

P「え?」

拓海「太ももだよ!見りゃ分かんだろ!」パァン

P「………」

拓海「いいかプロデューサー。アタシがバイクだと言ったら、そいつは紛れもなくバイクなんだ」

P「……原付の免許とか持ってないのか?」

拓海「っせーな。無くて悪ぃかよ」

拓海「免許なんざ無くたってなぁ、上は目指せんだよ。この足でな」

P「この足でって……」



P「!……そ、そうだ、拓海!」

拓海「あん?」

桃華「な、何を言い出しますの?ペダルを踏まずに進めてみろだなんて、そんな事……」

拓海「足が付いてんだろ?テメェのは飾りか?」

桃華「………」

拓海「いいか?そいつに跨ったら、地面蹴って勢いつけて……」

拓海「あとはテメェでハンドル使って、コケねぇようにしてみろ。コケたくねぇなら足使え」

拓海「そいつを繰り返して、体でバランス覚えんだよ」



P「(おぉ、何か的確そうな助言を……)」

桃華「……本当にそんな事で乗れるようになりますの?」

拓海「知らねーよ」

桃華「なっ……!」

拓海「乗りてぇ奴は乗れるようになる。乗る気ねぇ奴はいつまでも乗れねぇ。それだけだ」

桃華「くっ……わ、分かりましたわよ!やればよろしいのでしょう!?」



拓海「……オイ、これでいいか?」

P「素晴らしいですわ拓海ちゃま!」

拓海「ぶっ飛ばすぞテメェ」

P「もう帰るところだったんだろ。引き止めて悪かったな」

拓海「構わねーよ。別に」

P「で、免許は?」

拓海「……金が無ぇ」

P「教習所か?免許なら、直接試験場で受ければ……」

拓海「そうじゃねぇ、バイクだ。欲しいのに手が届かねーんだよ」

拓海「自前で持つなら、妥協したくねーからな。どうせなら免許と一緒に取りてぇんだ」

P「そうか……」

拓海「……乗れるといいな。あいつ」

~1時間後~


桃華「………」

P「どうだ。もう、いけそうか?」

桃華「……も、もちろんですわ」

P「よし。じゃあ、次はこいでみようか」

桃華「………」ゴクリ



P「!」

桃華「あ……!」

P「……こ、コケずに、進んだ……!」

桃華「や、やりましたわ!」

P「桃華ぁ!やったなぁ!」

桃華「プロデューサーちゃま!」ダッ

P「桃華ぁぁぁぁ!」ダッ

桃華「やりましたわ!わたくし、ついにやりましたのよ!!」

P「桃華ァァァァァァァ!!!」ガシッ

桃華「プロデューサーちゃまぁ!!」

P「Momokaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaah!!!!!」



ちひろ「うるさいんで静かにしてもらえます?」

P「あ、すいません」

~翌日~


晴「じゃー、いつもの公園な!」

みりあ「ちょっと待ってよー☆」

薫「はやーい!」

晴「よっと……ん?」

桃華「お待ちになって!」

千枝「あ、桃華ちゃん」

桃華「……わたくしも、行きますわ!」ババァーン

ちひろ「……本当に自転車に乗れるようにするとは思いませんでした」

P「俺もあんな数時間で乗れるようになるとは思いませんでしたよ」

ちひろ「プロデューサーさん。忘れてませんか?」

P「何をです?」

ちひろ「監督責任はプロデューサーさんにあるんですよ?守護らねばならないんですよ?」

ちひろ「お家に帰るまでがアイドルなんですから。これでもし何かあったら、私の仕事が……」

P「エナドリのプルタブでしたっけ?」

ちひろ「いいえ。スタドリのキャップを閉める作業になります」

P「キャップかぁ……」

P「しかしですね、ちひろさん。桃華だって、まだ遊び盛りの年頃なんです」

P「それに……アイドルがアイドルと仲良くするのは、悪い事でもないと思いますが」

ちひろ「それはそうですけど……」

P「俺が守護りたいのは、彼女の笑顔なんですよ」ドヤァ



ちひろ「じゃあプロデューサーさんは、ご存知なんですね?」

P「?」

ちひろ「あの子達がお仕事の後、どこで何をしているのかを」

P「……それは……」

~公園~


みりあ「あははははははは☆あははははははははははは☆」グルーングルーン

薫「はやいはやーい!」

晴「ハハッ!今日こそ限界を超えるぜぇー!」グルーングルーン

桃華「次はわたくしの番ですわよ!」

晴「分かってる分かってるー!靴飛ばしたらなぁー!ヒョォー!」グルーングルーン



P「………」

みりあ「あっははははははは☆あーはははははははははははっ☆」グルーングルーン

千枝「すごいなぁ、みりあちゃん……あ、プロデューサーさん!」





P「君達……当分、ブランコ禁止」

「「「「「「えぇっ!?」」」」」スポーン



おわり

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