【オリキャラ安価4】魔法科高校の劣等生 (1000)

このスレは『魔法科高校の劣等生』の世界にオリキャラが入ったストーリーです。
基本的にはアニメ通りでネタバレはないですが、一部ネタバレを含むかもしれません。

安価で行動を決めていきます。連続での安価の取得は禁止とし、もし連続安価の場合は安価下を採用させて頂きます。
また、自由行動の安価で不自然な物は再安価とさせて頂きます。
自由行動の際にはその日の服装や行く場所も安価で行動します。
休日には遊びに誘う、など出来ます。
友情度によって誘えるか変化が出てきます。

例...司波深雪(50/100)ですと50%の確立で誘えます。友情度はMAX100で初期は全員50スタートです。
誘えるかは安価下で(50/100)の場合はコンマ2桁が50以上だったら成功、49以下で失敗となります。

その時によってコンマ判定は変えていくつもりです。↑ですと50以上・49以下ですが、他には奇数・偶数などです。

主人公の能力値は司波兄妹の影に隠れないように強くなります。(最低でも司波深雪と同等)

主人公の学年は1年生固定です。(司波兄妹等と同級生。)
アニメ通りの展開で進めたいと思います。
>>1はSS初心者です。至らぬ点が多いと思いますが改善点などありましたら教えて下さい。


【オリキャラ安価】魔法科高校の劣等生: 【オリキャラ安価】魔法科高校の劣等生 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407241231/)
【オリキャラ安価2】魔法科高校の劣等生:
【オリキャラ安価2】魔法科高校の劣等生 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411043972/)
【オリキャラ安価3】魔法科高校の劣等生:
【オリキャラ安価3】魔法科高校の劣等生 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419577037/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424530625

>>998 3:効果無し】


私がピアノを弾くことによって、現状況が変わることはーーーー無かった

まぁ、予想は出来ていたし、私としても話しかけられないで済むのでこの結果に文句は無い

だが、私のことを心配してくれる先生は、

先生「困ったな.....」

真面目に考え、悩んでくれている

申し訳ないが、先生の好意は私にとって......


いつも通り、昼食は携帯にイヤホンを刺して音楽を聴きながら1人で済ませた

誰も1人ぼっちで可哀想、とかは思ってない

これが普通

昼食を済ませた私は、


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:ピアノを弾きに音楽室へ
偶数:読書
安価下。】

とぉ

つまんね才能ないよ

>>3 3:ピアノを弾きに音楽室へ

>>4 才能ないですよね.....ごめんなさい。】


昼食を済ませた私は、音楽室へ移動した

5時間目が音楽だから早く移動しなければ、とかではなく暇つぶしにピアノを弾くため

幸い音楽室の扉は開いていて、室内には誰も居なかった

防音扉をしっかりと閉め、棚にあった楽譜を適当に取り出し、ピアノを弾く

防音扉のおかげで誰にもこの音は聞こえない

私は音を伝えるために弾いているのではなく、自己満足や暇つぶしのために弾いている

音楽でご飯を食べていく人からすれば不純な理由なのかもしれないが、理由は人それぞれだということで理解して貰いたい




弾き始めて約10分

お昼休みが終わるまで残り15分

あと1曲弾いたら終わりにしよう、と思い楽譜が入った棚を探していると、クライスラーの愛の悲しみ(ラフマニノフ編)という珍しいものが出てきた

出来るような立場でないが、音楽の先生はこれを弾けるんだなと感心し、そっと楽譜を棚に戻す

あれは上級者用

私のような趣味でやっている人には弾けないような作品

やはり先生という職業は凄い

数学だったら数学を、国語だったら国語を、音楽だったら音楽の道をそれぞれある程度(かなり)極めている

教えられ、勉強し、教える

そう考えると大変な職業に就いている先生を困らせないためにも勉強に限らず学業を頑張らなければ、と思う


先生を困らせないためにも、人との関わりを持ったり、人と仲良くしているところを先生に見せたり

そうすれば、君影歩夢の特化した問題点は消える(理数系が出来ない、とかは普通の問題点)

先生.....ね

歩夢「ん、」

先生について考えていると、またもや珍しい楽譜が出てきた

聴いたことはあるけれど、見たことない楽譜

その曲はチャイコフスキーの“眠りの森の美女”より『ワルツ』

弾けるかは知らないけど、弾いてみよう

弾けなくても人前ではない

大丈夫、失敗しても当然だと受け入れる準備は出来ている

......普通に失敗すると思いますけどね


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:クラスメートが音楽室を訪れる
偶数:弾き終わる
安価下。】

>>8 7:クラスメートが音楽室を訪れる】


歩夢「ふぅ」

数カ所失敗した

でも、初めてにしては上出来のはず

あ、趣味の範囲で嗜んでいる人の枠で考えたら、の話ね

......ん、あれ?

拍手の音が聞こえる

ここまでぼっちを極めると幻聴が聞こえるんだ

空想の人を無意識に作れてしまう

ぼっち選手権みたいなものがあれば是非ともエントリーして、名誉ある賞を頂きたい

と、冗談はここまでにして、拍手の音は音楽室の外から聞こえた




???「えっと....君影さん?音楽の授業の時も思ったけど、上手だったよ」

音楽室で、音楽を褒められた

私としては、「いきなりなんだけど......貴女、アイドルやってみたいと思わない?」という誘いが来そうで怖い

だが、そんな展開は起こらない

だって、この学校は廃校予定じゃないから

歩夢「あ、ありがとう.....ございます」

???「敬語?私も同じ1年生なのに?ふふ、面白いね」

コミュ力高いタイプの人だ.....

私には相手は務まらない

逃げよう

歩夢「もうそろそろ教室に戻らないと......すみません」

素早くピアノと楽譜を片付け、深々と一礼をして、音楽室を去る

褒められて悪い気持ちはしないけれど、相手になれない私のコミュ力の無さに苛立ちを感じる

こんな私で本当にごめんなさい

.....そういえば、さっきの子はどうして私の名前(苗字)と音楽の授業でピアノを弾いたって知ってたんだろう

嫌な予感がしてきた



歩夢「.......」

嫌な予感が的中した

ピアノを褒めてくれた女の子は同じクラスの人だった

話しかけられませんように

私は授業中にも関わらず心の中でずっと祈り続け、放課後

部活も何もやっていないのであとは帰るだけ

事が起こる前に帰ろう


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:???「君影さん、」
偶数:帰宅
安価下。】

>>16 5:???「君影さん、」】


教室を出ようとしたその時、

???「君影さん、」

声をかけられてしまった

例の女の子に

歩夢「.......なんでしょうか」

???「声が冷たい.....嫌われちゃったかな?だとしたらごめんね」

この人と話すのは辛い

私と対照的な存在だからこそ、私たちは合わない

彼女の好意は一方的な好意

私は.....好きでもないし嫌いでもない

ただ、得意か苦手かで言えば、苦手


歩夢「いえ、大丈夫です.....謝らないで下さい」

???「よかったぁ、嫌われてなくて。本題だけど、この後空いてる?もし空いているなら付き合って」

歩夢「空いてません。ごめんなさい」

完全に突き放した

ここまでやればもう話しかけてこないだろう

自分の情けなさへのため息を飲み込み、改めて教室を出ようとしたところで、

???「待って」

腕を掴まれ、止められた

歩夢「......」

???「逃げるの?」

歩夢「逃げているわけでは.....」

実際のところ、私はこれまでずっと人と関わることに対して逃げていたのかもしれない

この人の言うことは正しく、私は逃げている


歩夢「.....私は嫌なことから目をそらし続ける」

目をそらし続けても何も変わらないことくらい分かっている

だが、それでも私は人と極力関わらない(関われない)

???「1回だけ付き合って。今回以降はもう誘わないから」

歩夢「1回だけ.....なら」

夜ご飯の支度が少し遅くなってしまうが、仕方がない

今回を乗り越えれば今後一切この子とは関わらない

これで、この子も幸せになれる

なんだか私が悪魔の子みたいな設定が出来上がってきていそうだが、決してそういう意味ではない

ただ、ぼっちの私と関係を持っても意味ないということ

今までそういうことは無かったが、ぼっちの私はいじめられ、彼女もその対象になるかもしれない

未然に防ぐためにも彼女を突き放さなければ


【安価です。???と一緒に向かった場所
1.音楽室
2.図書室
3.街(喫茶店でお話)
安価下。】

2

>>20 2.図書室】


連れて来られたのは図書室

話があるのにも関わらず、どうして彼女は基本的に私語厳禁の場所を選んだのか

普通の人なら何故ここを選んだのか分かるのかな?

???「君影さん、貴女が大好きな読書をしましょう」

歩夢「それは構わないですけれど、......」

真意が分からない

一緒に読書をするために誘ったの?

私だったら、説得するためにも何処かゆっくり話せる場所を選ぶけどなぁ

???「んー、私はこれにしようかな」

女の子が選んだのは最近話題の本

何十万セラーという帯が付いている

???「君影さんは?」

歩夢「私は.....これにする」

私が選んだのは世間ではあまり人気のない本

周りからの評価は低くても、私にとっては面白いかもしれない

そういう期待も込めて、この本を選んだ

???「やっぱり面白い」

歩夢「......?」

???「なんでもない。読書しよう」

まず私が椅子に座り、その後に彼女は私の隣に座った

こういうのは向かいに座るのが普通だと思っていたけれど、そういうものなんだ




私たちが図書室に来たのは15時

図書室が閉まるのは17時

2時間の読書の時間があったわけだが、私は1時間と少しで本を読み終わった

隣に座る女の子に気を遣わせないためにも、あとがきを何度も読み返す

それがちょうど10回繰り返された時、

???「ふぅ。終わった。君影さんは?」

歩夢「ちょうど読み終わったところ.....です」

やはり敬語は外せない

そして気を遣わせないためにもデートでよくある『ちょうど〜したところ』を使用した


???「もう遅いし、帰ろ」

本の感想とか説得とかは......、そう考えている間にも本を片ずけ、鞄を持ち帰る準備万端な女の子

???「どうしたの?」

歩夢「あ.....ううん、なんでも....ない」

説得とかは最初から無かった?

最初から、読書に付き合わせるためだけに私を誘った?

今までにない思考が脳裏を過る中、本を片ずけ、帰りの支度(鞄を持つだけ)を済ませる

???「それじゃあね、君影さん」

女の子はそれだけを言い残して図書室を去っていった

.......本当に何をしたかったのか分からない

まぁ、何か用があればまた明日話しかけてくるでしょう

とりあえず早く帰ろう

夜ご飯の準備が遅れている

私は女の子が何をしたかったのかを考えつつ、帰宅した


【安価です。次の日。コンマ1桁
奇数・0:変わらず、女の子が話しかけてきた
偶数:もう2度と話しかけてこなかった(中学生の話は終わります)

安価下。】

>>25 1:変わらず、女の子が話しかけてきた】


次の日も、その次の日も、そのまた次の日も女の子は私に話しかけてきた

おかげさまで、ついこの前まで1人ぼっちだった私に友達が出来た、みたいな噂が流れている

そんな中でも幸いなことにいじめは無く、平穏な日々が続いている

だが、私が求めている平穏はこんな生活ではない

いくら人と話しても私の気は変わらない

???「君影さん、放課後空いてる?」

歩夢「ごめんなさい、空いてません」

???「あら、残念。じゃあまた今度ね」

彼女も理解が早く、用事に追求せずに引き下がってくれる

心は痛むが、もう何回かこのやり取りを繰り返せば話しかけられなくなるだろう

最低でも、誘われなくなる


完璧な作戦ーーーーーだったのだが、


???「今日は空いてる?」


???「君影さん、明日は?」


???「今度の休み、遊べない?」


と、何度も何度も懲りずに誘ってくれている

心が凄く痛む

遊びたいけど、遊びたくない

私は友達の居ない生活を求めている

別に一匹狼を意識しているとかではなく、私なんかと遊んでも楽しくない、時間の無駄

私と遊ぶくらいなら他の人を誘えばい


そう考えて、断り続けている

そして今日も懲りずに彼女は、

???「君影さん、明日の休日だけど空いてる?」

そろそろ変化のある返事をしないといけないかな

これで、もう終わりにしよう


【安価です。返事について
1.歩夢「.......はっきり言って、貴女の誘いは迷惑です。もう2度と誘わないで下さい。私のためにも、貴女のためにも」
2.歩夢「......次が本当に最後ですよ」
安価下。】

1

>>29 1.歩夢「.......はっきり言って、貴女の誘いは迷惑です。もう2度と誘わないで下さい。私のためにも、貴女のためにも」】


歩夢「.......はっきり言って、貴女の誘いは迷惑です。もう2度と誘わないで下さい。私のためにも、貴女のためにも」

酷いことをしているのは分かっている

人間として最低なことをしているのは分かっている

承知の上で、この発言をした

そして、彼女の反応は、

???「あ.....そ、そう.....だよね。......ごめんなさい。もう誘わない.....」

かなりのショックを受けている

今すぐにも泣きそうな細く弱い声


自分がされて嫌なことをしてしまった

.......でも、最初から人と関わりを持たなければそもそもこんな事にはならなかった

少し前の自分が悪い

音楽室で褒められた時にしっかりと言っておけばせめて、今よりは傷が浅く済んだだろう

歩夢「.......本当にごめんなさい」

私はそれだけを言い残して、この場を、


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:この場を立ち去れなかった(???に止められます)
偶数:この場を立ち去った(終わります)
安価下。】

そい


>>32 6:この場を立ち去った(終わります)】


私は、この場を立ち去った

本当に悪いことをしたのは自覚している

罪滅ぼしにはならないだろうけど、匿名でプレゼントでも渡そうかな

机の中に何か物を入れておく、とかして

私の勘だと、彼女は気付いてくれる

そして、気付いた上でもう二度と話しかけてこないだろう

短く細い付き合いだったが、貴女はそういう人間

......明日から再びぼっちか

でも私にはこれが似合っている

人生が急変するような事が起こらない限り.....ね




歩夢「以上です」

沙夜「.......」

千夜「.......」

達也くんや深雪ちゃんには何度か中学生の頃の話をしたことあるが、ここまで厳密な話をしたのは初めて

話を聞いた2人の反応は「最低......」とでも言いたそうな目をしていた

まぁ、.....うん。知ってた

私は人として最低なことをしたのだから、そう思われて当然

弁解の余地無しだ

沙夜「深夜以上に嫌いになった」

千夜「さすがにこれは私でも......うん」

深夜さんを嫌っている沙夜さんに嫌いと言われてしまった(しかも、深夜さん以上に)

あの優しい千夜さんでも引くような出来事

話さない方が良かったかなぁ

少し話を変えるとかして評価を上げる方法もあった

嘘を言ってまでも評価を上げるのは.....アレだけど


沙夜「そのあとはどうしたの?」

歩夢「プレゼントはしっかり渡したよ。万年筆と本」

沙夜「なぜそのチョイス.....?」

たしかに思い返してみると微妙な選択

もう少し何かあったと思う

お菓子とか......お菓子とか

千夜「その子は高校どこ行ったの?」

歩夢「知らない」

千夜「本当、周りには無関心だったんだね.....」

歩夢「周りなんてどうでもいい、っていう考え方をしていたから」

だが、今では周り優先

周りを助けるためだったら命も惜しくないとかいう考えをして、1度深雪ちゃんに説教されたこともあるくらい

説教されてもその考えは今でも変わらないんだけどね


沙夜「もしその子がもう1度歩夢の前に姿を現したら歩夢はどうするの?」

歩夢「謝って、さようならする」

千夜「連絡先の交換とかは?」

歩夢「申し出があれば交換するけど、無ければしない」

千夜「......会えるといいね」

正直な話、出来れば会いたくない

昔の話で脅される可能性も考えられるから

「あの時私を突き放したよね?」とか言われた際には従うことしかできない

やっぱり人って怖い


【安価です。何をするか。作内の『今日』はこれで最後です。

1.書庫
2.調理室
3.ピアノ
4.自室
5.霜月(さん)の部屋

ー1.深雪
ー2.沙夜
ー3.千夜
ー4.深夜
ー5.霜月
ー6.1人

○ー×みたいなかんじでお願いします。
×に当たる人物は人数問いません。

安価下。】

1ー6

>>37 1(書庫)-6(1人)】


私が最低な人間だと確信させる話に満足したのか心を痛めのか、沙夜さんと千夜さんは、

沙夜「千夜、いこう」

千夜「うん。じゃあね、歩夢」

残りのコーヒーを飲み干し、部屋を出た

深雪ちゃんを探しに行ったのだろう

そもそもの目的は子孫である深雪ちゃんと話すことだったようだし、聞かずとも.....多分、そうだと思う

さてと、私は何しようかな

時計を見る限り時間は12時

お昼だ

外は暗く、お腹が空かないこの世界では朝も昼も夜も差はないわけだけど

.....読書かなぁ

それしかないよね

何か忘れているような気もするけど読書をしに書庫に行こう


ー書庫ー

書庫にやって来た

未読の本を3冊見繕い、椅子に座り、本を読む

内容は全て心理に関すること

心理を学んだところで私にはほとんど関係ない

四葉に嫁入りするわけだけど、当主になったりするわけでもなく、研究者とかにもなるつもりもない

強いて言えば、心理戦でを心を読んで勝率を上げるくらいのもの

......まぁ、霜月の目があれば心理戦は勝ったも同然なんだけどね

今のところは目立った活躍はしていないが、この目はかなり役に立っている


例えば、人探し

私や達也くんが使える『気配を感じる』

これは『探す』

私やお母さんが使える『目を使った人探し』

これは『探すのではなく直接的に見つける』

イメージとしては電話をかけるのと同じ

『その人に電話をかける』=『その人を見つける』

自分でもよく分かっていないが例えるならこんなかんじ

話を戻して、何故私が心理を学ぶか

その理由は、私が孤高(孤独)のぼっちであることと関係している

何を考えているか分からない人と接するのが怖くて、人と接するのを嫌ってきた私だが、心理を学ぶことによって全てとは言わないがある程度の人間が何を考えているか察することが出来る

他にもコミュ障という理由もあるが、心を読めれば問題は多少解消される


そしてここで疑問に思った方も多いでしょう

そう、霜月の目を使って心読めるのにどうして心理を学ぶの?という疑問

正直なことを言ってしまえば、私にも分からない

ここからは推測だが、おそらく前述した理由は建前であり、本当の理由は『暇つぶし』なのだろう

暇つぶしのために心理学の本を読み、何処かの場面で役に立てばいいなー、程度のもの

役に立てばいいなー、ですらないかもしれない

期待はかなり薄い

だが、それだけでは済まない

裏の裏をいくのが私


『暇つぶし』という先ほど出した結論の上をいく結論がある

それは、目を使えないシーンで心を読まなければいけなくなったらどうするの?ということ

目を使うには目の色が必然的に変わる

青から透き通った(目の奥が見えるとかそういうことではない)碧眼

明らかに不自然であり、おかしく思われてしまう

......あれ?霜月の目っていつ使えばいいの.....?

......とにかく、私は目を使えないようなシーンで困らないようにするために心理を学ぶ


【安価です。
1.読書を続ける(時間経過)
2.読書を続ける(何かについて個人的に語ります。何かの案がもしあれば下さい。※ぼっちについてはネタ切れになりかけています)
3.訪問者?(深夜 or 霜月(さん)のどちらか)
安価下。】

2 達也が社会に出てからの結婚生活

>>44 2.達也が社会に出てからの結婚生活】


読書をしながら次に考えることは将来について

未来に何があるかは誰にも分からないが、結婚生活については少しなら予想出来る

達也くんは魔法技師として働き、私は子育てに加え四葉家の当主となるであろう深雪ちゃんのお手伝い

子育ては想像出来ない

子供は純粋であったり単純だと聞くが、私と達也くんの子供の場合、普通でない気がする

全てに達観(達也くん)し、性格が捻じ曲がった(私)人間

....心配になってきた


四葉の女性って少し.....アレだから(深雪ちゃん:重度のブラコン 深夜さん:冷たい(時折、優しい) 真夜さん:優しい(時折、冷たい) 沙夜さん:花で例えるなら百合の趣味をお持ち 千夜さん:優しい)

霜月の女性も.....アレなのかな?(コミュ障・性格が酷い。ただ、仲が良い人とは本当に仲良くなる(気がするだけなのかもしれない))

希望は女の子だけれど、男の子の可能性も捨てきれない

四葉の男性は.....分からない(達也くん:基本的に優しいが、たまに意地悪・シスコン。龍郎さん(達也くんと深雪ちゃんのお父さん):不明)

君影の男性はひいきなのかもしれないが、良い人ばかり(兄さん:達也くんと並ぶくらい好き(出来れば結婚したい) お父さん:兄さんと同じく優しい・真夜さんに未だ片想い中?)

嫌な予感しかしないなぁ、本当に

なお、私が最も恐れるのは性格の遺伝

これだけは遺伝しないで頂きたい

孤独ではない孤高のぼっちにでもなったら、母親の私は大変苦しむ(お母さんは私のことどう思っていたのかな.....?)


その分、名家であった『霜月』と現代で名を轟かせる『四葉』の子なのだから、世間で重要視されている『魔法』については優秀な子になる....はず

流星群とか魔弾の射手も遺伝するのかな

遺伝するとしたら、暴走しないように教育も必要となってくる

子育てって思っていたよりも大変そう

でも、やらないといけない

それをやり遂げるのが親だとお母さんは言っていた

同様に、お父さんもそう言っていた

どちらも両親を若い頃に亡くしたからこそ、『親』に対する気持ちは人一倍強いらしい

まぁ、そんな両親も私を1人にさせようとして3年間音信不通だった訳だけど

ということで、子育てについてまとめると、性格の矯正等を念入りに頑張ります


次に、当主様となる(であろう)深雪ちゃんの仕事のお手伝いについて

これは今現在真夜さんの近くでやっていることと同じなはず

書類をまとめたり、話し相手になったり、紅茶を淹れたり

何が起こるか分からない社会に出るよりは楽な仕事

近年話題になっている3つのハラスメントが心配されない良い職場になる....はず(今も未来もパワーハラスメントは存在し続けそう)

以上です


次は.....住むところについて?

司波家に住むのか、君影家に住むのか、四葉本邸に住むのか、新しい家に住むのか

深雪ちゃんが四葉家の当主となれば四葉本邸に住むことで融通が利く

達也くんがFLT(フォア・リーブス・テクノロジー社)の社員として働くとすれば本社のある東京に住む方が融通が利く

長野県と山梨県の境にある四葉本邸と日本の中心である東京

深雪ちゃんのためにも四葉本邸に住むのがいいんだろうけど、そうすると毎日数時間かけて東京の会社に赴き、帰ってきた頃には疲労が溜まっている達也くんが可哀想

家で出来る限り疲労をかけずに回復させるのが妻の務めなんだろうけど、あまりにも疲労が溜まっているなら逆に1人の時間を多く作ってあげるのが妻の務めだと私は思う

住むところにについては.....判断しかねる

結婚生活をする上で最も難易度の高い問題と言っても過言でないだろう

......今度相談してみよう


【安価です。(最後です)
1.読書を続ける(時間経過)
2.読書を続ける(何かについて考えます。案を頂ければ幸いです)
3.訪問者?(深夜 or 霜月(さん)のどちらか)
安価下。】

>>50 1.読書を続ける(時間経過)】


心理を学ぶ理由と結婚後の生活を考えながらも私は読書を続けている

全て内容は頭に入っているし、他の本で得た知識との照合も出来ている

本の役割を十分に果たしているので、本も幸せというやつだろう

......同時進行してまでも考えることは今のところ無いかな

現実世界は今の私には干渉することは出来ないし、この世界の問題についても何も出来ない

何も考えず、それこそ頭の中でも黙々と読書をしよう


ー数時間後ー

適当に見繕った3冊の本を読み終え、本を元々あった場所に戻し、一度伸びをしてから机に突っ伏す

歩夢「はぁ.....」

周りに誰も居ないことを確認してから大きくため息を吐く

いつも以上に趣味として採用していた読書に疲労を感じた

考え事のせいかな

なんであれ、今すぐこのまま眠ってしまいたくなる疲労感をどうにかしたい

せめて部屋で寝ないと.......


【安価です。歩夢は寝ました。誰の部屋に居るか。コンマ1桁
1・6:自室(深雪)
2・9:深夜
3・5:霜月(さん)
4・7:沙夜
8・0:千夜
安価下。】

それっ

>>53 8:千夜】


歩夢「.......ん」

千夜「あ、起きた?」

寝起きのせいか全てが霞んで見える

それでも目の前に何があるか、誰が居るのかはなんとなくだが分かる

歩夢「千夜....さん?」

千夜「書庫で眠っていたから連れてきたんだけど.....迷惑だったかな?」

歩夢「ううん、ありがと」

視界と同じく意識もまだぼんやりとする

最初から確認しよう

読書をしに書庫へ → 色々と考えながら読書 → 黙々と読書 → 眠い → 寝た → 今

書庫で寝ちゃったのか......


今までそういうことが無かったようなあったような.....?、からこそショックを受ける

淑女らしくない、とか言われるアレだ

千夜「てっきり歩夢はお嬢様だから自室以外では寝ないと思ってた」

お嬢様=淑女

別にお嬢様じゃないんだけどなぁ

幼少期に四葉様から英才教育を受けたくらいで、君影家で暮らし始めてからは他の家庭と大差ない生活を送ってきた

そもそも淑女になったつもりが全くと言っていいほどない

名家の血を引いているおかげで学業等は『優秀』の枠に居れているが、その反面名家生まれお嬢様みたいな風潮どうにかしたい

たしかに淑女か娼婦どちらがいい?と聞かれれば淑女と即答するが、自分をあまり淑女と認めたくない


そういう立場に居るとプレッシャーがかかる

コンサートで優秀な成績を収めた音楽家が次回のコンサートでも優秀な成績を期待する周りに苦しめられるように、優秀であればあるほどプレッシャーはかかるもの

......私は普通に過ごしたいだけなのに

千夜「そこまで深く考えないでいいと思うよ。そう思わせてしまう発言をした私が悪かった。ごめんなさい。歩夢は歩夢なんだから自分なりを貫き通せばいい。まぁ、生きていく上で『周り』というものは付き物だから、周りに恥ずかしくないことを最低限にすることが大切だけどね。」

歳下に感動させられてしまった

かつでこんな優しい言葉をかけてくれる人が居ただろうか

深雪ちゃんや水波ちゃん(最も近くにいる同年代の同性)に無い心を持ち合わせている

四葉の女性は優しいけど少し冷たい面を持っていると今まで考えていたが千夜さんは例外

優しいし温かい人


私の中で千夜さんの株が急上昇していると、

千夜「病気とかで倒れていなくて良かったよ。見つけた時は本当に心配したんだよ?姉さんと話し合って、若干強引に私が引き取った。姉さんと歩夢を2人きりにさせるのは危険だから.....」

沙夜さんでなく千夜さんに引き取られて良かった

寝ている間に脱がされていたかもしれない

貞操の危機すらも考えられる

千夜さんには感謝しきりです

歩夢「千夜さんはそういう趣味ないの?」

姉妹だから趣味も似ていそうなものだけど.....

千夜「んー、無いって言ったら嘘になるけど、.....うん、無いわけではない」

一応、あるようだ

姉である沙夜さんほどではないみたいだけど


千夜「どちらかとしか共存出来ないと言われたらそこは女性を選ぶけど、男性への思いが全くないわけではないから」

こう言っては悪いが、千夜さんの方が姉っぽい意見を持っている

前々から気になっていた、四葉を私の知る世界まで続けられている件は、千夜さんが誰かと結婚したからのようだ

千夜さんが結婚しなければ四葉は私の知る世界まで続いていない(同性結婚・女性同士の出産はこの時代には無いんじゃないかな、知らないけど)

沙夜さんと千夜さんの代で終わりだ

私と達也くん、私と深雪ちゃん、お母さんと深夜さん、お母さんと真夜さんを引き合わせたのは千夜さんだと考えると崇拝しなければならない人物にまで格が上がる

千夜「私はそんな大した人間じゃないよ。.....それよりも、もう眠いから.....」

歩夢「あ.....」

私がベッドを占領したままだった

素早くベッドから降り、手がかかることは出来ないが掛け布団を整えるくらいのことはする

歩夢「千夜さん、ありがと。じゃあね」

改めてお礼を言い、千夜さんと別れる

その後は部屋に戻って深雪ちゃんと少し話し、お風呂に入り、再び深雪ちゃんと話し、懲りずに読書を少ししてからベッドに入る


【安価です。次の日の予定。
1.街に出かける
2.屋敷内で過ごす

安価下。】


>>59 1.街に出かける】


ー????年・11月??日ー

沙夜さんに呼び出され、私と深雪ちゃんは屋敷の玄関に来ていた

集まったのは4人

私・深雪ちゃん・沙夜さん・千夜さん
沙夜「街に行こう」

その一言で私は察した

我慢出来なくなったのか、と

15歳の少女が18禁の本を求めている

何とかしてせめて15禁くらいのセーフな本を買わせたいが、それを出来るほどの力は私に無い

深雪ちゃんに事情を話せば止めてくれるだろうか

でも趣味は人それぞれとか言いそうだし.....


沙夜「歩夢も行きたいって言ってたでしょ」

歩夢「まぁ....うん」

心理学以外の本を読みたい

小説とか音楽に関する本(主にヴァイオリン)とか欲しい

沙夜「深雪は?」

深雪「私も構いません」

この世界の時代では年下でも先祖にはしっかりと敬語を使う深雪ちゃん

沙夜「注意すべきことは向かう途中で言うから。じゃあ、行こうか」



注意すべきことは

1.怪しまれない行動をする(特に敵には)
2.用事を果たしたら寄り道せずに帰る
3.いつでもどこでも魔法を瞬時(ゼロコンマ何秒)に使えるような状態を保つ

以上の3つ

3番目が少し大変そう

周りに気を配った上で瞬時に魔法を使えるような状態を保つだなんてなかなか出来ないことだ

目を使えば周りに気を配る必要はないのだが、霜月の目がバレたら即刻殺される可能性があるようで、余程の事がない限りは使えない

理由を聞くと、

千夜「敵は霜月を狙っているから」

だそうだ

普通の状態で居ればいい

それだけなのに、嫌な予感しかしない


歩夢「ちなみに、敵はどうして霜月を狙うの?」

沙夜「日本という国の権力が霜月にしかないから」

三権分立ならぬ十二権分立をしていた日本が仲間割れをした結果、最後に残った霜月を倒せばこの国は俺たちの物だ

という話が各国で話題になり、日本に侵攻してきているらしい

ということは、

歩夢「私たちの敵って外国なの?」

沙夜「あれ?説明してなかったっけ?」

今ここで知った真実

てっきり日本のバランスを崩した霜月に恨みを持った国民かと思っていた

もっとそういうことは早く言って欲しかったなぁ


千夜「主な敵は外国だけど、この国の国民も敵のようなものだよ。霜月は安定していたバランスを崩したんだから」

国民も敵だったらしい

......つまり、霜月の味方って四葉だけ?

敵だらけだ

ちょっとしたきっかけで私が霜月の血を引いていることがバレれば私は終わる

いくら敵対心を持っている国民でも一般人を魔法で攻撃するのはあの件(高校を中退するきっかけ)のおかげでトラウマが出来ている

いくら過去でも、いくら精神世界でも気が引けてしまう

考えると普通を装うのって難しいんだよなぁ

何故か分からないけど頑張ろう



屋敷から歩くこと2時間と少し

街に着いた

活気に溢れているような溢れていないような微妙な雰囲気

だが、屋敷辺りと比べて圧倒的に綺麗な街並みが広がっている

......なお、相変わらず空は灰色の雲に覆われて太陽を見ることは出来ない

沙夜「1時間でいい?」

歩夢「うん」

あまり長居出来ないことを承知していたので、1時間という短い制限時間に自分のためにも賛成する

千夜「じゃあ、解散ね」


【安価です。誰と行動するか。
1.深雪
2.沙夜
3.千夜
4.1人

複数選択は無しです。
安価下。】

2

>>66 2.沙夜】


沙夜「歩夢、私たちはこっち」

沙夜さんの目的の物を大きく囲えば本

私の目的も本ということで、案内してくれるようだ

目的の本の種類は違えど、目的の物は同じ

お言葉に甘えて案内して貰った

その道中で、

歩夢「千夜さんと深雪ちゃんは?」

2人について聞いてみた

私は千夜さんが「深雪、行こ」と言っていたのを聞いただけ

プライベートに口出しとかをするつもりは無いのだが、大まかにでも何をしているのかを知りたい

沙夜「喫茶店とか雑貨屋とかに居ると思うわ」

深夜さん、というよりは真夜さんっぽくなった


深夜さんは基本的に敬語で話してくれる(稀にお嬢様語)が、真夜さんは常時お嬢様語(「〜かしら」・「〜よ」・「〜わ」など)

元々のキャラを思い出したのかな.....?

ともあれ、大まかな予定(千夜さんと深雪ちゃんの)をなんとなく理解し、私たちは目的地である本屋さんに着いた

過去の世界の本屋に私は期待している

規制がかかっていない(いかがわしい意味じゃない)本を読ませて下さい

期待を胸に、入店し、まず最初に思ったことは、

『同じ』

時代はいつでも、場所はどこでも、本屋さんは匂いも配置も似たようなかんじだった

各種(小説・哲学・ラノベ・漫画...etc)五十音順に並んでいて、探したい本を探せる


沙夜「終わったら声かけて」

そう言い残して、慣れた足取りで例の本が陳列している本棚へ向かう沙夜さん

......本当に好きなんだなぁ

好きなことに没頭し続けるのは良い事だ

ただ、何事にも節度というものがあることをお忘れなく

さて、読みたい本を見繕おう

多分お金は沙夜さんが払ってくれる

2冊ぐらいは買って貰えるのかな?

1冊でも文句は言わない

買って貰えるだけありがたいと思わないと



20分ほどかけ、本当に読みたい本2冊を選んだ

あとは沙夜さんに交渉するだけ

例の本が置いてある場所へと移動すると、

沙夜「.......」

じっくりと本の題名と表紙と内容を観察している

歩夢「沙夜さん」

沙夜「......ん、終わったの?」

歩夢「うん」

沙夜「そう.....歩夢、どっちがいいと思う?」

沙夜さんが見せてきたのは期待を裏切らない例の本

1冊目は姉妹

2冊目は幼馴染み

『幼馴染み』はともかく、『姉妹』って.....

千夜さんも少なからずそういう趣味もあるようだし、......もうやめておこう

沙夜「それで、どっちがいい?」

どちらも挿絵は綺麗だし、パラパラと本を読んでみた限り内容もしっかりしている

『姉妹』か『幼馴染み』かの差

うーん.....


【安価です。
1.歩夢「1冊目の方(姉妹)」
2.歩夢「2冊目の方(幼馴染み)」
3.歩夢「2冊とも買えば?」

安価下。】

2

>>71 2.歩夢「2冊目の方(幼馴染み)」】


迷った結果私は、

歩夢「こっち」

2冊目の方(幼馴染み)を選択した

沙夜「歩夢が言うなら.....うん、こっちにする」

決心が着いたようだ

さて、ここからは本題の交渉

歩夢「沙夜さん、本買って下さい」

沙夜「等価交換」

歩夢「私は何を払えばいいのでしょうか」

沙夜「もちろん、」

沙夜さんは私の耳元で予想していた言葉を口にする


沙夜「体で払ってもらう」

歩夢「.....じゃあいいです」

本を諦めよう

沙夜さんとまたあんなことをするくらいだったら諦める

本を戻しに行こうとすると、

沙夜「冗談....じゃないんだけど、冗談だから。いいよ、買ってあげる。2冊でいいの?」

歩夢「ありがとうございます」

体で払って払わないものの、何か別の物でお礼をしよう

料理とかお菓子とか、.....とにかく触れられるようなこと以外で



沙夜さんに本を買ってもらい、残りの20分を何するか話し合う

私の意見は、

歩夢「本屋さんで立ち読み」

沙夜さんの意見は、

沙夜「早く本読みたい」

共通しているのだが、なんだか微妙

歩夢「でも、あと20分だから.....どうしよう」

20分で出来ることといえば、......

沙夜「集合場所で雑談して時間潰そうか」

歩夢「そうだね」

賛成し、集合場所である街の入り口付近へ移動する



雑談の話題は百合について

人間関係の意味か花の意味かはご想像にお任せします

本屋を出てから15分後、集合時間予定の5分前に深雪ちゃんと千夜さんと合流出来た

千夜「変な事が起こる前に帰ろ」

深雪「そうね。.....嫌な予感もするし」

集まったところで、ゆっくりお茶をしに喫茶店に行く話も出ずに屋敷へ戻ろうとする

深雪ちゃんの嫌な予感は深夜さんや沙夜と同様に、当たる(はず)

周りに警戒しながら帰ろう


【安価です。コンマ1桁
1・2・4・5・6・8・9:無事帰宅
3・7:敵と遭遇
ゾロ目(数字関係無し):雪乃・真夜と合流

安価下。】

>>76 5:無事帰宅】


敵に襲われる、とか、思いもしなかった人に出会うイベントも無しに、普通に帰宅した

強いて言えば、屋敷から街まで、街から屋敷までは2時間以上歩かなければならないということ

交通が不便すぎる

これは東京育ちの私に限らず、2095年くらいの時代に居る人からすれば不便に感じるだろう

いかに私の知る時代が便利かを実感した

深雪「歩夢、戻りましょう」

歩夢「そうだね」

本も読みたいし、早く部屋に戻ろう



深雪ちゃんは 屋敷に着く → 部屋で少し休憩 → 深夜さんのところへ

私は 屋敷に着く → 部屋で少し休憩 → 読書

無駄に広い部屋で1人ぽつんと椅子に座り、小説を読んでいる

私の知らない時代の小説とだけあって魅入ってしまう

『面白い』の一言に尽きる

ジャンルは定番の純愛系なのだが、私からすれば定番の純愛系でないように感じる

こういう差も含めて面白い

こういう本が読めるとなれば、毎日2時間以上かけて街に行く価値はある

......幸せ


【安価です。次の日の予定。イベントです。コンマ1桁

奇数:深夜からのお願い
偶数・0:雪乃・真夜登場
安価下。】

>>79 0:雪乃・真夜登場】


ー????年11月??日ー

昨日はあれから読書をし続けた

1冊を読み終わると2冊目を読み、2冊目を読み終わると1冊目をもう1度読み直す

2冊目も読み直し、さすがに3周目に入るのは気が引けたのでもともと屋敷にあった心理学の本を読み時間を潰していると、上機嫌になった沙夜さんに例の本を渡され、後で読もうと机の上に置いておいたら深雪ちゃんに誤解されたり、と幸せな時間を過ごせた反面で色々と大変でもあった

そして今日

私は違和感で目を覚ました

違和感とは、深雪ちゃんがこの世界に来た時のように、この世界に誰かが入ってきた感覚

誰かが入ってきた感覚は一瞬だけで、その直後には消えてしまった

探そうと思っても探せない

気配を察そうとしても、目を使って直接見つけようとしても無駄だった

誰が入ってきたのか、または私の勘違いだったかは分からないまま朝の支度をし、深雪ちゃんと話をしながらいつまで続くか分からないこの生活を過ごす



違和感を改めて感じたのは最初に感じてから2時間後のことだった

1度目の違和感は誰かが入ってきた感覚

今回(2度目)は世界が『夜』になったこと

もともと空は灰色の雲(煙?)に覆われていて太陽の光が差し込んで来ない暗い世界であったが、上書きとして『夜』が空に現れた

星が燦然と輝く夜空

月の無い夜空

この魔法を使ったのは私ではない

となると当然、使用者はあの人しか居ない

深雪「歩夢、......叔母様よね」

歩夢「真夜さん以外居ないけど.....でも、」

たしかに流星群は強力な魔法ではあるけど、主な使用場所は室内やトンネル内のような閉鎖された空間であり、こんな地球を1つの閉鎖された空間だと考えて使う人なんて無茶がある


そんな無謀なことをしている人なんて真夜さんくらいしか....いや、1人だけ心当たりがある

基本的に読書しかしていない高校を強制退学された不良

誰のことでしょうか、、、

話を戻して、引きこもり同然の真夜さんが地球に対して流星群を使うだなんて.....

深雪「とりあえず霜月さんのところに行きましょう。多分、知っていると思うから」

霜月さんはなんでも知っている

現状況に関しても全てを把握しているだろう




霜月「待っていればあちらから来ると思います」

こうとしか言わなかった

詳しい状況等には一切触れず、最低限のことだけを教えてくれた

一応、真夜さんは雇い主であるので失いたくない存在

私の将来のためにも詳しい状況を聞き出そうとすると、


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜「霜月さん、行かせてあげればよろしいじゃないですか。たしかにあの2人なら大丈夫だとは思いますが、念のために」
偶数:詳しい状況について聞き出せずに終わる

奇数の場合は赴くことになります。
偶数の場合は待ちます。
安価下。】

ほい

>>84 5:深夜「霜月さん、行かせてあげればよろしいじゃないですか。たしかにあの2人なら大丈夫だとは思いますが、念のために」】


聞き出そうとすると、傍に座っていた深夜さんが口を開く

深夜「霜月さん、行かせてあげればよろしいじゃないですか。たしかにあの2人なら大丈夫だとは思いますが、念のために」

霜月「あの2人が負けるだなんて考えらませんが.....歩夢さんは行きたいのですか?」

歩夢「できれば行きたいです」

霜月「......お好きにどうぞ」

深夜さんの助けもあって私は外に出ることを許可された

霜月さんは乗る気じゃないみたいだけど




目的は真夜さんを探しに行くこと(深夜さんと真夜さんは2人って言ってたけど.....お母さんも居るのかな?)

毎度のことのように敵との遭遇・戦闘は避ける方向で

さて、行こうかな

CADも持ったし、霜月の目も常時発動している

あとは、気配の読めない真夜さん(もしかしたらお母さんも)を勘で探しに行くだけ


【安価です。コンマ1桁
1・3・7・0:敵と遭遇
2・4・6・8:敵と遭遇 真夜・雪乃と遭遇
5・9:入れ違いで無駄手間だった(敵との遭遇はありません)

安価下。】

>>87 5:入れ違いで無駄手間だった】


歩夢「......」

数時間(体感では約5時間)なんのヒントもないまま探し続けた結果、案の定収穫は無しだった

最初に真夜さんを感じた場所、とかはヒントの内に入らない(真夜さんの気配を感じたのは捜索し始める数時間前のため)

屋敷を中心として四方八方をノーヒントで探すのは無理があったようだ

深夜さんに手伝って貰ってまでも外出したのに私は何も出来なかった

足取りを重くして屋敷に戻ると、

深雪「無駄足だったようね」

歩夢「そんなハッキリ言わないで......」

敵に見つからないように常時目を使い、強化人間対策の出来るだけ建物の陰に隠れながら移動する

この2つを心に留めながら捜索をすると、体力がかなり削られた

1日に4回体育の授業があったのと同等くらい(適当)


それだけの労力を使った結果、見つからないのだから本当に無駄足だったと実感する

少し休憩したらもう1回探しに行った方がいいかな.....

深雪「私が言っているのはそういうことではなく、歩夢が探しに行かなくても叔母様と雪乃さんは屋敷に着いたってことよ」

歩夢「入れ違い.....?」

深雪「歩夢が出てから1時間後くらいね」

霜月の意見に従っていればよかった

これでは本当の本当に無駄足

久しぶりに過大なショックを受けた

沙夜さんの趣味を知った時(趣味は人それぞれだと考えるとそうでもないが、単純に考えると残念に思う)<今回の件<高校の強制退学

歩夢「それで、真夜さんとお母さんは?」

深雪「霜月さんの部屋に居らっしゃるわ」

用があれば呼び出されるはずだし、少なくとも今は呼び出されていない

部屋に戻ってシャワーを浴びて、読書等をしながら呼び出される(そもそも私に話があるかどうかも怪しい)のを待とう


【安価です。話すメンバー
1.雪乃
2.真夜
3.深夜
4.霜月(さん)

1人以上でしたら何人でも大丈夫です。
安価下。】

2・3

>>90 2(真夜)・3(深夜)】


シャワーを浴び、深雪ちゃんと話しながら寛いでいると部屋の扉がノックされた

ノックをしたのは霜月さん

歩夢「どうかされましたか?」

霜月「私の部屋.....っていう言い方はあまり好きではないのですが、歩夢さんの認識では私の部屋に行って下さい。お2人が待っていますので」

歩夢「分かり....ました」

2人って誰だろう

お母さんと真夜さん

真夜さんと深夜さん

深夜さんとお母さん

この3通りが考えられるわけだが、どれも修羅場が予想出来る


霜月「大丈夫です、お2人は仲直りするはずですから」

ということは何かの件以降仲が悪いとされていた真夜さんと深夜さん?

それなら一層、どうして私を呼んだのかが疑問に思える

霜月の予想(仲直り)は当たるだろう

だからこそ、私がその場に居合わせる意味が分からない

お母さんか深雪ちゃんが適役のはずなんだけどなぁ

霜月「あまり待たせないようにして下さいね」

霜月さんは最後にそう言い、霜月さんの部屋がある方向ではない方へと歩き始め、私が生理現象として瞬きをし、次に目を開いた時には霜月さんは居なかった

一瞬と呼ばれる間に姿を消した霜月さんは本当に恐ろしい

精神を掌握出来る深夜さんでも、光の速度で攻撃が可能な真夜さんでも、霜月の血を引いているお母さんでも手も足も出ないだろう

3人まとめてかかっても無駄

と、適当な予想を立ててみたが流石にそんなことはないだろう

.....ないよね?



霜月さんの部屋の前で身嗜みを整え、扉を4回ノックする

4回というのは初めて訪れる場所や礼儀の必要な相手に対する回数

この場合は後者であり、私は世間から見たら礼儀正しい女性に思われるだろう

と、1人で自分の評価を上げつつ(コミュニケーション能力が大きく欠損している時点で評価には限界がある)、自分の名前を口にする

これは誰がこの部屋を訪れたのかを相手に伝えるため

一般の意見に沿って礼儀正しさを部屋の中に居る2人に知らしめたが、ノックや名前は必要なかったのかもしれない

私の心を読めるのだから、気配を読むくらいは朝飯前どころか、寝起きでも寝ながらでも出来るかもしれない

.....さすがに寝ながらでも、というのは言い過ぎだと自覚したのは心の中で言い終わった直後のこと


部屋の内側から「どうぞ」との応対を聞いてから扉を開ける

部屋の中に居たのは予想通り真夜さんと深夜さん

大きなテーブルを挟んで向かいに座っている

歩夢「......」

これは何処かに座った方が良いのだろうか

その場合、何処の椅子に座ったらいいのか迷う

立ったまま、も考慮しておこう

深夜「掛けて下さい」

椅子に座れ、とは言われたがどの椅子に座れという命令はない

凄く迷う

.....ちょうど中央にある椅子といえば霜月さんが座っている貴婦人とかが座るような椅子

あれは座れない

ということで、深夜さん側にあった木製の椅子を1つ移動させ、どちらにも寄らないベストな位置に居座る(霜月さんの椅子の向かい)


【部屋の構造(テーブルや椅子、広さ)に関しては適当に想像して頂ければ、分からないと思います。最初はドラマやアニメ等で見るお金持ち専用の長いダイニングテーブルみたいな物を予定していましたが、自室と呼べるような場所に食事用のテーブルは無いかなー、とか思い、困惑しています。適当に考えて下さい。】



深夜「本題よ、真夜」

真夜「ええ、そうね。歩夢さんも居ることだし、ちょうどいいでしょうね」

もう帰りたい

この場の空気が私に合わなすぎる

この2人に混ざっていたお母さんは人間離れした感覚を持っている

歩夢「私は何をすればよろしいのでしょうか.....?」

深夜「歩夢さんは居てくれるだけでいいわ。改めて本題だけれど真夜、四葉の次期当主は深雪なの?」

深雪『さん』ではなく深雪『』

真面目すぎる話だ

真夜「歩夢さんがやるなら歩夢さん。歩夢さんがやりたくないなら深雪。私としては歩夢さんにやってもらいたいのだけれど、霜月歩夢の意見が最優先ね」

私のことを君影歩夢ではなく霜月歩夢だと認識されている

できれば君影歩夢だと認識していただきたい

戸籍上では母方の『霜月』姓ではなく父方の『君影』姓を貰っているのだから


深夜「応相談、といったところかしらね」

真夜「歩夢さんが誰のものになるか、も含めてもう1度考える必要があるみたいよ」

誰のものになるか.....?

どういう意味だろうか

最も有力な個人的意見は、あまりこういう言い方は好きではないが、達也くんのものになる

昔は女性は家庭に入るものだと言われていたようだし、私は達也くんのものになるだろう

真夜「......姉さんか私か雪乃か、あの子の4人」

深夜「願望抜きでも手に入れたいところではあるけれど、願望は今なら叶いそうだから昔と比べると歩夢さんへの意欲は下がったわ」

真夜「願望?」

深夜「いずれ分かるわ」



真夜「.....ああ、そうだ。姉さん、あの件についての仲直りをしたいのだけれど」

深夜「......一時でも相手の反応を伺うところとか、それこそ悪い例になるけれど雪乃に似たわ」

真夜「心外ね。雪乃に似ているだなんて。ただ、私が雪乃に似たというなら姉さんも似たのではなくて?長い間一緒に暮らしていたのですし」

深夜「あの女....というより、霜月は影響力がある。綾人さんを除けば私たちが最もあの女の近くに居たのだし、似るのは無理ありません。貴女も私も」

真夜「.....話を戻しましょう。仲直りについて」

深夜「私は貴女を殺し、私は貴女を殺したことを罪に思い自分を傷つけてきた。その結果、現実世界では死に至り、その後は霜月の精神に寄生して生き続けている。こんな私を許してくれるの?」

真夜「むしろ私の方が謝らないといけないわ。30年以上のこの関係。いくらなんでも長すぎたわ」

深夜「真夜、ごめんなさい」

真夜「こちらこそごめんなさい、姉さん」

深夜「.....さて、疲れて眠っている歩夢さんを起こしましょうか」

真夜「そうね」




深夜さんに精神干渉をされて私は眠りから覚めた

夢の世界にまで干渉してくるこの魔法は嫌い

せっかくの水波ちゃんとのデートを邪魔されてしまった(夢の話)

楽しいデートの最中に事件に巻き込まれ、怪我をする夢なんて.....

だが、逆に考えると精神構造干渉魔法を使えば睡眠中に見る夢を自由自在に変えることが出来る

水波ちゃんに「お姉ちゃん」と言わせることだって容易だし、夢の世界の話だが実際に水波ちゃんを妹にすることだって可能なはず

便利だなぁ

私も使いたい

......寝ている自分に魔法をかけられるかどうかは別とした話です


深夜「話を戻して、私はそこまで歩夢さんを求めていないわ。できれば欲しい、程度」

真夜「私もそこまで欲しいっていうわけでもないのよね。私の願望も今さっき叶ったわけなのだし」

深夜「あの子はともかく、問題は雪乃ね」

真夜「少なくとも私は心配していないわ」

深夜「真夜がそう言うなら心配はいらないわね」

真夜「理由も根拠も言っていないのに信じるの?」

深夜「妹のことを信用するのは姉として当然のことよ」

真夜「......雪乃はここ数年で落ち着きを取り戻しているというか、表が表面に出てきているというか。今のままだったら歩夢さんの意思に抗わないはずよ。姉さんはどう思ったの?数年ぶりに数時間話した感想は」

深夜「真夜と同じ。雪乃は落ち着いている。裏がありそうで怖かったけれど、嘘を語れない霜月の目は本当のことを語っていたわ。歩夢さんの人生は自分で決めさせるように数年間で決意したようね」

真夜「そうだといいわね、本当に」




深夜「2度寝するような子に育てた覚えはないのですけれど

歩夢「ん.....あ、すみません.....」

またもや知らぬ間に寝ていた

最近やたらと何事に対しても疲労を感じてしまう

一昨日なんて書庫で寝ていたし

明日何もなければ1日中寝てようかな(丸1日寝るというのはむしろ疲れが溜まるようなので、定期的に休息(読書・紅茶を飲む)を取りながら寝よう)

歩夢「えっと....話とはなんだったのでしょうか?」

もう仕方がないので、重要なことだけを聞き、ものによっては実行する

ものによらなくても実行せねばならないかもしれないけど

深夜「ああ、それについてだけれど、


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜「1つ、お願いがあるのだけれど聞いてもらえるかしら」
偶数:深夜「もう話は終わったわ」

安価下。】

ほい

>>101 2:深夜「もう話は終わったわ」】


深夜「もう話は終わったわ」

重要な話をしていたかもしれないのに、ほとんど聞き逃してしまった

今後の私にかなり関係のある話だったと思うんだけどなぁ

まぁ、必要な話になれば嫌でも分かる日が来る.....よね?

深夜「また楽しい夢を見せてあげましょうか?」

歩夢「すみませんでした」

深々と頭を下げ、許しを請う

深夜さんの言う楽しい夢は私にとっては最悪の夢

友達が死んでいく夢とかを見せられたら2年前同様に精神不安定となり、死を望むことになるだろう

どんな状況であろうと深夜さんの感に障ることはしないように気をつけなければ


深夜「話は終わり。あとは自由にしてもいいわよ」

真夜「外に出なければね」

念入りに圧力をかけられ、外出しないことを志し、今度は違う意味で頭を下げて部屋を出る

歩夢「はぁ.....」

ほとんど話を聞いていなかったはずなのに疲れた

......なんで寝ちゃったんだろう

かなりを損をした気分だ

もしかしたら深夜さんと真夜さんの仲直りのシーンが見られたかもしれないのに

つくづく私は大事な場面を見逃してしまう

今回も以前も


以前ってなに?



【安価です。何をするか。
1.書庫
2.調理室
3.ピアノ
4.自室
5.霜月(さん)の部屋

ー1.深雪
ー2.沙夜
ー3.千夜
ー4.深夜
ー5.真夜
ー6.雪乃
ー7.1人

○ー×みたいなかんじでお願いします。
×に当たる人物は人数問いません。

安価下。】

1-2・3
2-4・5
3-1
4-6
5-7

4-2

>>104 そのうちのどれか1つで良かったのですが.....
次の自由行動の安価で5つの案から選ばせて貰います。

>>105 4(自室)ー2(沙夜】


深夜さんと真夜さんとの話....というより、対面を終え、自室に戻ると深雪ちゃんは居なかった

おかげさまで、1人で伸び伸びと誰にも見られずにゆっくりと出来る

さて、寝よう

変なタイミングで寝るのも嫌だし、失礼だし

自覚していない疲労を回復させるためにもお昼寝を決行しよう

寝やすい格好に着替え、ベッドに入る

あとは眠気を待つだけ



うーん....眠くならない

読書をして目を疲れさせるべきだろうか

あるいは、このまま待つべきか

と、考えていると音を立てずに扉が開かれる

沙夜「......」

歩夢「......」

沙夜「勘が外れたようね」

またもや沙夜さんの趣味に付き合わされるところだった

歩夢「それで、何の用?」

沙夜「えっと....」


【安価です。
1.沙夜「お話をしようかなー、って思って」
2.沙夜「もちろん、エッチなことだよ」
3.その他(ピアノや料理)
安価下。】

1

>>108 1.沙夜「お話をしようかなー、って思って」】


沙夜「お話をしようかなー、って思って」

......信じていいのかな?

私が寝静まったとお得意の鋭い勘で読み、寝ている間に好き勝手しようとしていたように思えるんだけど....

まぁ、未然に防げたということで無かったことにしてあげよう

沙夜「歩夢の幸せな時間を提供したのは誰?」

歩夢「私が悪かったです」

本を買って貰った件を思い出し、すぐに謝る

沙夜さんの好意あってこその私の幸せな一時

私はなんて失礼なことをしてしまったのだろうか

ごめんなさい


沙夜「こんな昼間から寝ようとしていたようだけど、眠いの?」

歩夢「自覚していない疲れが溜まっているようでして.....」

ついつい感謝を敬語で表してしまう

こういう流されやすいっていうか、すぐに表に出してしまうところとかが私の弱点だと1つ年下の同僚に言われた

克服しようと思っても練習相手が居ないということで練習も何も無い状態が続いている

沙夜「添い寝してあげようか?」

歩夢「今度、お願いします」

その時は一生来ない

逆ならまだ有り得るけど

『今度』って怖い単語だとつくづく思う

「また今度ね」と言われ、「今度っていつ?」と聞くと、「今度は今度」と言われてその機会はよっぽどでない限り来ない

子供の時はお母さんやお父さんに騙されたものです

もう騙されないけどね!


沙夜「今度ね。その時が来なかったら殺すから」

私もこんな返しが出来れば騙されなかったのかな

『今度』ですら足元に及ばない『四葉の人間』

よっぽど感情を失った達也くんの方がマシに感じられる

性別の差もあるんだろうけど、今回は四葉という一括りで見た個人的な偏見の話

歩夢「.....それで、何についてお話するの?」

沙夜「えっと.....


【安価です。沙夜との話の話題について
安価下。】

飛び切り怖い怪談話でも話そう

>>112 飛び切り怖い怪談話】


沙夜「怖い話とか」

歩夢「嫌です」

沙夜「怖いの嫌いなの?」

歩夢「大嫌い」

沙夜「じゃあ、尚更しよう」

歩夢「......」

沙夜「本で得た知識でも体験談でもいいよ」

聞くよりは話した方がまだマシなのかな.....?

でも話すことないんだよなぁ

本でもそういうことはあまり無いし、体験談もあまり無い

沙夜「なんでもいいよ。この際面白ければなんでも」

そう言われると怖い話をしたくなる

何かないかなー

沙夜「ない?」

歩夢「......あれは中学3年生の・・・




ー約1年前ー

休もうと思っていた修学旅行を休めなかった

当然、仮病で休もうとした

しかし兄さんが、

隼人「八つ橋を食べたい」

と言ったので、

歩夢「材料買ってくるから待ってて」

支度をしに自室に戻ろうとすると、

隼人「京都で作られた八つ橋を食べたい」

そう止められてしまった

だが、こんなところで折れる私ではない

歩夢「通販で買うから数時間待って」

3時間もすれば届くだろう

便利な世の中になったものだ


隼人「.....そういえば摩利が修学旅行の感想を聞きたいと言っていたな」

歩夢「京都のお寺の情報は全て頭に入っているから大丈夫」

ネットで調べたことをそのまま伝えよう

隼人「......そこまでして行きたくないのか?」

歩夢「家から出たくない」

隼人「将来が心配だな......」

歩夢「学校に電話してくるね。休む、って」

隼人「歩夢、今度一緒に旅行に行こう。場所は京都。今回の修学旅行で下見をしてきてくれると助かる。今度案内してくれ」

歩夢「......学校の準備してくるね」

兄さんと旅行だ

しっかりと下見をしてこなければ

修学旅行のおかげで兄さんと旅行が出来る

修学旅行様様です



なんだか騙された気もするが、結局私は修学旅行に参加することになった

今は電車に乗って移動をしている

周りでは友達同士で話したり、お菓子を食べたりと楽しそう

私はしっかりと充電をしてきた端末にイヤホンを刺して歌のない曲を聴きながら読書をしている

歌があるとそっちにも気を回してしまうため、こういう風に工夫を凝らし、本を読み終えてしまう心配だけをし、時間を過ごす

ー今ー

沙夜「怖い話というオーダーは一体どこに」

歩夢「これからだから」


ー1年前ー

私は本しか読んでいなかったため、お寺等を見ることは出来なかった

クラス別行動でも班別行動でも

なんだか損をした気分になったが、また後でネットでお寺を検索すれば見たようなもの

先生が言っていた「目で歴史を感じる」は達成される

兄さんとの旅行もネットだけの知識でどうにかなるだろう

怖いなぁ、ネットって

なんでも出来ちゃう


私は1人、外に居た

目的は本屋さんで本を買う

暇潰しと知識を得るために消灯時間どころではなく、深夜(午前2時)にホテルをこっそりと抜け出した

秋ということもあって風は冷たく、気温自体もかなり低い

早めに事を成さないとそれこそ本当に風邪を引いてしまう

迅速に行動しよう


端末で位置情報を確認しながら、24時間営業の本屋さんに辿り着いた

監視カメラや人の目を出来るだけ避けながら本を数冊買い、厄介ごとが起こる前に帰路に着く

歩夢「......ん、」

厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだと、ホテルまで最短距離で戻ろうとしたのだが少しくらいは散歩をしようと思い歩き、数分後に目の前に現れたのは濃い霧に包まれた洋館

.....道に迷ったどころではない

来た道を戻っても家やお店、お寺も何も無い

まるで別次元に迷い込んだように、訳も分からない場所へと移動したようだ

歩夢「はぁ.....」

深くため息を吐き、

歩夢「行くしかないよね」

重く錆び付いた門を開け、中に入る

すると、ゲーム等でお馴染みの展開が起こる


歩夢「.....何かを成し遂げないと帰れない、ってことね」

私が入ったと同時に門は閉まった

人の気配はないから自動 または 霊的現象

嫌な予感しかしないが、進まなければ始まらない

正当防衛のために持ってきたCADを片手に、正面入り口の扉までの庭的な場所(噴水とかあった)を注意深く歩き、正面入り口まで移動をする

歩夢「んー、」

扉には取っ手がない

裏口から入るのかな?

と思っていると、扉は開く

洋館の中は所々置かれた蝋燭のみ

......怖いけど進もう

大丈夫、私にはゲームのようにコンテニューの権利が与えられているはずだから

何かに襲われ、命を落としてもどこかからか再スタート出来る

そう安心し、私は館の奥へと進む




ー今ー

沙夜「......小説の主人公を自分に置き換えた、とかじゃなくて?」

歩夢「1年前に私が実際に体験したことだよ」

沙夜「聞かなければよかった.....」

歩夢「それで続きだけど、」


ー1年前ー

奥へと向かう最中に何度かポルターガイストに出くわした

薄汚れた肖像画がガタガタと震えたり、台の上に置いてあった高級そうな壺が割れたり

今すぐにも泣き出しそうになりながらも進み、体感で数時間後

歩夢「......」

何度か迷ったがここがこの館の主が居る場所らしい

扉の両脇には1本ずつの蝋燭

扉はかなり大きい

扉の取っ手には埃は一切被っていない

開けた瞬間に襲われたりしないよね.....

......よし、開けよう

取っ手に手をかけ、ゆっくりと開ける


【安価です。その部屋にあったものは
奇数・0:黒服(ロングコート・フードを被っている)の人間
偶数:1本の日本刀
安価下。】

いよっ

>>124 3:黒服(ロングコート・フードを被っている)の人間】


ギシギシと音を立てる扉を開けると、その部屋は安定の真っ暗

知ってた

この部屋に入った瞬間に蝋燭が次々と点き、扉は自動で閉まるパターンだ

ゲームとか小説でありがちな展開

普通の人なら一歩踏み出すところを私はあえて来た道を戻り、1本の蝋燭を確保してそれを持って例の部屋に足を踏み入れる

私が普通ではない行動をとったせいか、元からなのかその部屋にあった蝋燭は点かない

取ってきた蝋燭に偶然手に入れたマッチで火を点け、身の回りのみが照らされる状態となる

.....これだけだと少し危険かな


せいぜい1mくらいの視界

危険かもしれないけど、人や動物の気配はしない

大丈夫.....?

一歩、また一歩と部屋の奥へと進んでいると、突然唯一の蝋燭の火が消える

気味悪く思いながら、本当に少しだけ慣れてきた目だけで手当たり次第に何かないか探索をする

.....本?

本らしいものが見つかった

読もうと思っても部屋が暗すぎて読めない

.....あ、そうだ

端末で照らせばいいんだ


どうしてこんなことに気付かなかったのか、と自分を残念に感じながら携帯端末に電源をつける

歩夢「.....ここまでフィクション通りだと.....」

フィクションでは定番

携帯端末の電源がつかない

じゃあ、と思い次に確認するのはCAD

これが使えなかったら私はただの文化系の無力な少女となる

.....え、大丈夫だよね?

CADでとりあえず明かりをになるものを魔法として使おうとした瞬間、この部屋に設置してあった蝋燭に火が灯される


???「ふふ、」

歩夢「だ、誰っ?」

不気味な笑い声が後ろから聞こえた

問いかけと共に後ろを振り向いたが誰も居ない

気配を探っても誰も居ない

???「今殺すのに越したことはないけれど、どうせならフェアでやりたいものね」

再び声のした方を向くが誰も居ない

???「ほら、こっちよ」

今度は誘導された

誘導に従い、そちらを向くと黒い人が居た

黒いロングコートに付属のフードを深く被っている

私が今彼女について分かっていることは、

身体つきと声からして、女性
この洋館に私を迷い込ませた本人(だと思う)

くらいの些細なこと


歩夢「......」

???「君影歩夢、少し話さない?」

断った方が良いよね

隙を突かれて怪我させられるのも嫌だし、時間も無いし

歩夢「すみませんが、私は帰らないといけないので」

???「そう。じゃあ、やっぱり死んで貰うわね」

歩夢「理不尽すぎないっ!?......痛ったぁ.....」

何処からか取り出した日本刀で右腕を浅く斬られた

私が見えたのは日本刀だけで、身のこなし等は一切視認出来なかった

負けイベント?

???「貴女にはここで死んで貰うわ。今後何かされても嫌だし」

歩夢「や、やっぱり話し合いを....いっ....」


喉に日本刀を突きつけられた

.....終わった

天国に行くのか地獄に行くのか

中1の時に人を突き放すという最低の行為をしているから地獄かな

やり残したことと言えば、真夜さんにお礼を言ったり、兄さんにもっと尽くしたかったり、突如姿を消した両親ともう1回話したり、.....友達を作って遊んだり、リア充と呼ばれる人間になったりしたかった

死を望んだ時期はあったけれど、いざこういう状況になると死は怖い

???「火種を消すのは当然。悪く思わないでね」

歩夢「.....どうしても話し合いは出来ませんか?」

???「貴女は危険なの。それに気付いて」

そう言われても困る

自分でも気付けないことだってたくさんある

人に言われて、初めて気がつくことは同様にたくさんあるはず(私にはその経験はない)

???「邪魔者が来る前に殺すわ....じゃあね、君影歩夢」

歩夢「ーーーーーっ!」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:謎の人に助けられる(あの人です)
偶数:頑張る
安価下。】

がんばれ

>>132 2:頑張る】


喉に突きつけられた日本刀が肌(喉)に触れた

???「悪く思わないで」

肌(喉)に触れている日本刀を力強く突き刺されるーーー、前に私は背中側に回していた右手でCADを操作する

使用した魔法は神座と天邪鬼

私を殺そうとした人は時を止められたように感じるだろう

.....逃げないと

具体的な場所は決まっていないが、とりあえずこの女性からは離れたほうがいい

扉.....がない?

部屋中を見渡しても扉と呼べるものはない

本棚を移動させたらまた別の扉が出てくる、というギミックも....あるかもしれないけど、私は非力なので無理


えっと....えっと....そうだ、床を壊して1階に降りよう

思い立ったら即行動

降りた後は逃げるだけ

と、安直な考えの元で成人男性2人分くらいの穴を開けた

多分、これまでの過程で5秒

あと4秒以内に出来る限り逃げないと


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:1階に降りようとしたところで腕を掴まれ、???「何処に行くの?」
偶数:無事、1階へ
安価下。】

うりゃ

>>135 3:1階に降りようとしたところで腕を掴まれ、???「何処に行くの?」】


迅速に、かつ慎重に大きく空いた穴を抜けて1階へ降りようとしたところで左腕を掴まれた

手が凄く冷たい......じゃなくて、この部屋に居るのは私と私を殺そうとした女性のみ

自分で腕を掴んだわけでもない

ということは.....

歩夢「あ、あれ.....?」

???「何処に行くの?」

覗けて見える口元が笑っている

今度こそ終わった

でも、どうして動けるのかは最後に聞いておきたい

これが後生というやつだろうか

しっかりと神座と天邪鬼は機能していたはず

......なんで?

???「君影歩夢、今ので分かった。歩夢はやっぱり罪の血を濃く引いている。.....私のようにね」

私を殺そうとする女性の顔こそ見えないものの、目だけは見えた

その目は宝石のように美しかった

透き通った深緑の色をしている

表すなら、翡翠という色


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:沙夜「待って」
偶数:続ける
安価下。】

うりゃ

>>138 6:続ける】


ー今ー

その女性の目が翡翠色と言った瞬間、沙夜さんの表情は神妙になる

歩夢「何か気になったことでもあった?」

沙夜「.....ううん、なんでもない。続けて」

歩夢「......」

絶対に何か気になる点があった

目を使わずとも、私にも、これくらいのことは分かる

沙夜さんの様子を伺いながら話を続ける


ー1年前ー

女性の目は翡翠色だった

美しく、惹かれ、見惚れてしまう

???「君影歩夢、......貴女も私のようにいつしか成る。そうなったら本当に手をつけられなくなるの。人殺しは好きじゃないけど、仕方がない」

歩夢「.....どうしてそんなに話をするんですか?この短期間に何度も殺せる機会はあったはずです。嫌いなら殺さなければいい。私がなんなのかは知りませんが、説明を受けて自分が危険だと自覚をすれば自殺をします」

これでどうかな?

正論っぽいことを言ったはず

正しいことを言いつつ、猶予を貰う

当然、よっぽどでない限りは自殺を志さない

???「.......」

歩夢「.......」

私の説得から十数秒

私をどうしても殺したい女性からの返事は未だにない

駄目だった.....?


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:???「......殺す気が失せたわ」
偶数:???「.....この気配....邪魔者が入ってきたようね」
安価下。】

たあっ

>>141 2.???「.....この気配....邪魔者が入ってきたようね」】


???「.....この気配....邪魔者が入ってきたようね」

邪魔者って、この洋館に自意識で入り込んだ人が居るということ?

危機的状況に置かれている私を助けてくれる人だと嬉しい

でも、邪魔者って言っているからこの女性に対しての敵、つまり私の味方である可能性が高い

???「本当、憎たらしいわ。11月.....」

たしかに今は11月だけれど、11月ってそんなに憎い感情を抱く月なのだろうか

強いて言えば寒くなり始める、または寒い時期

私としては暑苦しくないだけマシというか、むしろ暑いよりも寒い方が好きなんだけどなー

じゃなくて、そんなことはどうでもいい


その邪魔者さんのおかげで逃げれるかもしれない

???「.....歩夢、状況が変わったわ。今貴女を殺そうとすれば私が殺される。仕方がないから、来年の11月以降に殺し合いましょう。私の復習と貴女は自衛のために」

歩夢「......?」

???「最後に1つ。私は8よ」

歩夢「......うっ......」

視界が歪んできた

意識も掠れてきた

???「じゃあね、し...つ......ゆめ」

最後は聞き取れないまま、私は意識を失った



???2(邪魔者)「全く、2年経っても全く変わらないわね、歩夢は。真夜ももう少し間接的に歩夢を成長させて欲しかったのだけれど」


雪乃(邪魔者)「それにしても、葉月(8月).....ね」


ー今ー

歩夢「.....っていう、私にとっては怖い体験でした」

趣旨とずれた話だったけれど、満足して貰えたかな?

満足して貰えたら話した甲斐もある

沙夜「.....そう。なかなか面白かったわ。もう少し話したいのはやまやまなのだけれど、少し霜月さんと話さなければならないことが出たからごめんね」

沙夜さんはカップに残った紅茶を飲み干し、颯爽と部屋を出て行った

.....霜月さんと話ってなんだろう


【安価です。自由行動
1.書庫
2.調理室
3.ピアノ
4.自室
5.時間経過(次の日になります。イベントです)

ー1.深雪
ー2.千夜
ー3.深夜
ー4.真夜
ー5.雪乃
ー6.1人


○ー×みたいなかんじでお願いします。
×に当たる人物は人数問いません。
5(時間経過)場合は 5 とだけ書いてください

沙夜と霜月(さん)、霜月(さん)の部屋は除外させて頂きます。

安価下。】

5

>>146 5.時間経過】


昨日はあれから、読書をしたり屋敷内を散歩したりと、普通の時間を過ごした

今思えば、当初の目的であった実感のない疲れを回復させるためのお昼寝はどこにいったのだろうか

目的を忘れやすかったり自覚していない抜けているところとか、いつでも何処でも読書してしまうから水波ちゃんに舐めて見られるんだよなぁ

最初は些細なミスで深々と頭を下げて謝ってくれた水波ちゃんも今では、水波「すみませんでした、歩夢姉さま」と言い少し頭を下げる程度

べつにこの態度が気に入らないとかではなく、何処で深雪ちゃんとの差がついたのか

.....学生か職場仲間かの差?

私と深雪ちゃんの立場が逆だったとしても今のような関係になりそうなのは私だけだろうか

もう1度四葉で教育を受けさせて貰おうかな

淑女になるためにはどうしたらいいのか

......あとで真夜さんに 応相談 ということで


必要だったら数ヶ月タダ働きだってする

というか、衣食住が確保されている四葉家の使用人ってそんなにお金使う機会ないんだよなぁ

半年間働き、私の貯金は約300万円

やっぱり高校1年生の年齢に月61万円を渡すなんておかしい

雇い主さん曰く、結婚とか結婚後の生活に使いなさい、と言うが結婚相手は超大手CADメーカーの経済を支えている人間

かなりお金が余ると思うのだがどうすれば良いのだろうか

今後の四葉さんに返金(投資)とか?

もしくは.....なんだろう

分からない

また今度考えよう

真夜さんや深雪ちゃん、達也くんと一緒に


【安価です。何かしらのイベントをやります
1.敵襲(襲われます)
2.倒しに行く(屋敷に近づいている敵を倒しに行きます)
3.その他

その他は基本的になんでもいいです。
自由行動的なものだったり、何人かでお菓子作りをしたりでもいいですし、歩夢視点で雪乃・深夜・真夜の雑談等でも大丈夫です。
誰が登場するかは選択お願いします。】

>>149 1.敵襲(襲われます)】


事前の予告も無しに事は起きた

その時私はいつも通り......、この話は短いけど今するべき話ではないので割愛

起こった事とは、外に響いた発砲音

正確に言えば砲撃音

えっと.....あ、RPG(いわゆるグレネードランチャー)みたいな.....?

そういう類には疎いから分からないけれど、多分そんな感じ

......一応合ってると思うんだけど、間違っていたらごめんなさい

気取りたかっただけです


さて、本題

ロケットランチャー的な物のロケットの部分が屋敷に当たった

偶然か人が居るような場所ではないし、念のために目を使って確認もしたが被害者は居ない

建物だけが一部破壊された

というか、この屋敷って霜月の目であったり特別な人(深雪ちゃん、沙夜さん、千夜さん、深夜さん、真夜さん)にしか見えないっていう設定は一体何処へ?

気になるところだが、今はこんなことに気を配っている場合じゃない

霜月さんのところに移動しないと




霜月さんの部屋には座っているのも辛そうにする霜月さんを中心に真剣な顔をして話している深夜さんと真夜さんとお母さん、沙夜さん・千夜さん・深雪ちゃんは霜月さんからの現状説明を待っている

勢揃いしていた

安定の私待ちだったようだ

霜月「.......現在、敵.....日本の方ではなく日本を乗っ取ろうとしている外国の進行軍がこの屋敷を....うっ.....失礼しました。外国の進行軍が屋敷を取り囲んでいます。それは些細な問題なのですが、問題なのは深夜さんと深雪さんと千夜さんの直感が働かなかったことです。......気配が読めない強化人間以上にやっかいな.....気配や鋭い直勘でも読みきれない存在が透明な強化人間が居るようです。実際には見えると思いますが、少し目を離すと目の前から消えるような....危険な相手です。雪乃さんや深夜さん、真夜さんになら簡単な相手だとは思いますが.....どうされますか?」


【安価です。コンマ1桁が奇数・0なら参戦。
安価下は雪乃
安価下2は深夜
安価下3は真夜】

うりゃ

ほい

>>153 雪乃:7-参戦
>>154 深夜:0-参戦
>>155 真夜:1-参戦】


雪乃「少し、動こうかしら」

お母さんは準備運動程度に動くらしい

本気の殺し合いを準備運動に置き換えられるお母さんは素直に凄いと思う

戦闘狂ではないことを望むばかり

深夜「歩夢さん達だけでは心配だものね」

深雪「お母様、魔法の使用はお体に.....」

深夜「大丈夫よ、深雪さん」

深雪「でも、」

深夜「深雪さん、私は大丈夫。罪からも、罪滅ぼしからも解消されたわ。これで現世に戻れたら一緒に遊びに行けたのだけれどね」

深雪「お母様......」

体が弱いと聞いてはいたが、何度か私をいじめるために魔法を使用している

大丈夫....かな?

深夜さんは貴重すぎる戦力ではあるけど無理はしないで貰いたい


雪乃「真夜はどうするの?」

真夜「姉さんがやるなら私も、とは思ったけれど歩夢さんのように世界を夜で包むというのは結構辛いのよね」

真夜さんの最大の強みである『流星群』は本来閉ざされた部屋などの暗い空間での使用を推奨されている

いや、推奨ではなく注意

絶対に閉ざされていない空間でやらないで下さい、と物なら背面のラベルに書いてあるレベルだ

どこかのお馬鹿さんが強制退学させられた学校の名誉のために世界という1つの空間を閉ざされた空間だと考えたのがすべての始まり

あれが8月の中旬手前

10月30日にはもともと通っていた学校の先輩を助けるために同じような無茶をし、後悔

この2度の使用が本体の使用者に何かしらの影響を与えたのか、この世界での昨日に真夜さんは私と同じく無茶をした

様子を見る限りは疲れていたり寝込んでいたり、というシーンは見られなかったが体にかなりの影響を与えているはず

出来れば四葉真夜としての専売特許である流星群の無茶な使用方法は2度として欲しくないのだが、


真夜「でも、やるわ」

雪乃「大丈夫なの?」

真夜「運動しろと言ったのは貴女でしょう。多少の運動にはなるかしら」

雪乃「流星群って使用者は動く必要無かったはずだけど.....?」

真夜「細かいことを気にしているから貴女はいつまで経っても、」

霜月「あの、すみません。もうよろしいですか?時間もないので.....」

お母さんと真夜さんの話は遮られた

遮ったのは体調を悪そうにする霜月さん

真夜「どうぞ」

霜月「ありがとうございます。特段もう話すことはありませんし、.....外で彼らも待っているようですし」

敵兵は屋敷から人が出てくるのを待っている

あと数分もすれば容赦なく攻撃を受けるだろう

迎え撃つために、早く準備をしなければならない(CADは常備しているのであとは分担だけ)


霜月「絶対に死なないで下さいね。死ななければ、どうにか出来ますから」

霜月さんが最後にそう言った瞬間だけお母さんと深夜さんと真夜さんは霜月さんに鋭い視線を送った

しかし、全く動じない霜月さんは本当に何者なのか

この時の私はまだ知る由も無かった


【安価です。コンマ1・2桁
ゾロ目:霜月「歩夢さん、少々お時間を下さい」
その他:外へ(少し雪乃と話します)
安価下。】

そらっ

>>160 31:外へ(少し雪乃と話します)】


霜月さんの部屋から出た私たちは玄関に向かった

真正面から敵を迎え撃つという戦いシップ?魔法師シップ?(スポーツマンシップ的なもの)に則った戦い方をすると誰かが決めた

それにしても戦いシップや魔法師シップは一瞬の考えとはいえ、語呂が悪すぎたと思う

特に戦いシップって、1度聞いただけだと戦艦なんじゃないかと考えてしまう

スポーツマンシップはSportsmanship

船はShip

スポーツマンシップってスポーツをする人船?

ちょっとよく分からないですね.....

戦いシップを英語にするとWarship

世の中分からないことだらけです

考えた人は何方なのでしょう

ちなみに、戦艦で1番好きなのは.....って、また話が脱線してきている

こんなことをしているから水波ちゃんに甘く見られるんだ

いい加減覚えて、私

話を戻して、私たちは玄関前に移動した

その間での会話の一部は以下の通り



歩夢「お母さん、1つ聞いてもいい?」

雪乃「ん、どうしたの?」

歩夢「霜月さん、体調が悪そうだったけど、ただの風邪?」

雪乃「あぁ.....霜月さんの件ね。.....」

この件にはあまり触れて欲しくない、とでも言いたそうな顔をしている

歩夢「言えないことだったら.....」

雪乃「いえ、そういう訳ではなく、霜月さんは.....体が弱いのよ。深夜よりもずっとね」

深夜さんがどれだけ体が弱かったのかがわからないから微妙なところだ

しかし、40代という若さで亡くなったところを考慮すると、どれだけ悪かったのかが伺える

ということは30代、もしくは20代で亡くなる可能性があるくらい体が弱いってこと?


雪乃「端的に言ってしまえば霜月と葉月と如月以外の9家を滅亡させるときに無理した結果が今の霜月さん。歩く、話す、食べる、などの日常生活は大した支障ではないのだけれど、規則正しい日常生活も多少の疲労には変わりない。積もれば体を壊す。ちょうど今の霜月さんのように風邪をひいたりして、数日間の休養の後に疲労はリセットされる。それが定期的に繰り返され、最後には死ぬでしょうね」

歩夢「......魔法を使用するのは.....」

雪乃「魔法を使うだなんて論外。すぐに体を壊すわ。だからこそ歩夢、怪我を負わないでね。霜月さんのためにも、みんなのためにも」

お母さんはそれ以上何も言わなかった

私だけでなく、人(仲間)が怪我をすることを恐れている

第一に自分を守り、第二に他人を護る

これを心掛けて、どんな相手なのかは知らないけど出来る限り尽力しよう



ということがあった

改めて、軽傷はともかく重症を負うのには気をつけようと思った

出来るだけ広い範囲を見て、敵の位置を確認する

攻撃をどう躱すか、攻撃をどう受け流すかは本当に数秒、または0.何秒の一瞬の判断に全てがかかっている

どんな状況でも落ち着いて対応しないと.....!


【安価です。誰と一緒に戦うか
1.深雪
2.沙夜
3.千夜
4.雪乃
5.深夜
6.真夜
7.1人

どれか1つだけ選んで下さい。】

>>165 6:真夜
戦闘シーンは相変わらず、あっさりとしています】


沙夜さん・千夜さん

深雪ちゃん・深夜さん

私・真夜さん

お母さんは自由に動きたいから、という理由で1人

このようにペアを組み、屋敷の四方をそれぞれ担当することになった

まず最初に玄関から出たところ(正面)でお母さんが前方に居る敵を一部なぎ払い、深雪ちゃんと深夜さんは隙を見計らって正面から見て右側へ

沙夜さんと千夜さんは左側

私と真夜さんは裏側

私たちに至っては、裏口から出た方が効率や安全が確保されているんじゃないかと、疑う計画

大丈夫なのかな.....


真夜「歩夢さん、貴女の目を利用するからね」

歩夢「はぁ.....そうですか」

当然、霜月の目を使うのだろう

しかし、私の目は私にしか使えないはず

どうするのでしょうか

雪乃「歩夢、真夜に任せておけばなんとかなるわ」

計画を全て伝えてから行動に移して頂きたいのだが、時間がない現状、仕方がない

雪乃「それじゃあ、手早く終わらせましょうか」

お母さんは玄関のドアを開け、目の前に広がる非常に多くの兵隊が視界に入った瞬間(私目線)、兵は大量の血を流し、バタバタと倒れていく

深雪「......」

歩夢「......」

規格外の強さに私と深雪ちゃんは動けずに立ち止まる

本当に一瞬と呼ばれる時間で敵は死んだ

0.0何秒の世界の攻撃

こんなの.....足手まといにしかならない


真夜「歩夢さん、突っ立っている暇はないわよ」

歩夢「あ......は、はい」

意識を切り替え、計画通り真夜さんと共に屋敷の裏へ

案の定、敵はたくさん居た

目を使って敵を数えると400人

400人に加えて気配の読めない強化人間が多数(霜月さんの言う、存在が更に読めない強化人間も含む)

500人から600人に対して私たちは7人

......ここで死ぬのかな

いくら一瞬にして数十人の敵を殺したお母さんや、同等の力を持つと思われる深夜さんと真夜さんが居ても.....

真夜「歩夢さん、落ち着きなさい」

落ち着いて、と言われてもお母さんの力や能力こそはまだ知れていないものの数で圧倒されている敵を見ると自信を無くしてしまう


真夜「歩夢さん、減給するわよ」

歩夢「すみませんでした、許して下さい」

真夜「思ったより軽いわね......どうせならもっと絶望してくれればいいのに」

歩夢「今は使い道のないお金もいつか使える日が来るかもしれませんし、出来る限り苦しくない生活を送りたいので」

真夜「急なキャラ変化は.....まぁいいわ、いつもの歩夢さんに戻ったようだし、」

真夜さんは私の目を15cmくらいの距離からじっと見つめ、この世の全てを見透かそうとしている

顔が近いなんてもんじゃない

きききき、キスをするような顔の近さ

冗談はともかく、使用者である私にしか見えない世界を真夜さんは覗く


歩夢「近い......、これになんの意味があるのでしょうか.....」

真夜「言ったでしょう、貴女の目を利用するって。これで全てが見える。見えれば、流星群の使用も楽になるのよ」

通常の目では捉えられない場所まで見える目を流星群の本来の使用者が使用することにより、その威力は変わらないが敵を倒す効率は圧倒的に増加する

気が付けば空(暗い雲(煙))は美しい夜空に変わっていて、敵に向かって大気中に浮かんでいる光球は光条となり降り注ぐ

光条に少しでも触れたものは気体にまで分解され、消えていく

そして数十秒後には1人残らず敵兵は消えた

......最初から流星群で敵を倒していれば早かったと思うのは私だけだろうか


真夜「ふぅ、これで私たちの担当は終わったわね。無理して動く必要もないし、ここでゆっくりしていましょう」

歩夢「でも.....」

私はほとんど何もしていない

真夜さんに目の力を少し貸しただけで、みんなのためになることをしていない

今でも戦っている沙夜さんと千夜さんの手助けをしようと思い、向かおうとしたのだが真夜さんに腕を掴まれ止められる

真夜「っ.....歩夢さん、理解して」

歩夢「でも......、ぁ.....」

真夜さんは2日連続でこの世界を夜で包み、今すぐにも倒れそうな状況だと理解した

それを放って私が他の場所に行けば動けない真夜さんは無防備になり、私たちの担当でない場所の敵からの流れ弾をくらってしまうかもしれない

怪我ではなく、死ぬ可能性だって十分にあり得る

歩夢「.....分かりました。私たちはここに居ましょう」


【安価です。コンマ1桁
1・6・0:敵と遭遇
2・3・4・5・7・8・9:敵との遭遇無し
安価下。】

>>172 3:敵との遭遇無し】


それから5分後、音は止んだ

重火器や魔法による考えられない異質な音全て

真夜「結局、何もしなかったわね」

何もさせなかったのは真夜さんなのだが、無理に戦って怪我をする可能性もありえたので責められない

真夜「私は気にしなくてもいいと思うけれどね。これから、嫌でも戦う機会はあるわ。霜月のためにも四葉のためにも貴女自身のためにも」

真夜「気にしている暇があったら努力をしなさい。まぁ、努力をせずに強い人も貴女の身の回りにはたくさん居るわ。私とか姉さんとか」

真夜さんの流星群は反則魔法なのでともかく、深夜さんってどうやって戦うんだろう

精神構造干渉魔法で相手の精神を削ったり?

精神を削るってなに.....?


真夜「今みたいな相手だと限りなく最小限に抑えられた心の忠誠心に入り込んで精神を崩したり、自殺や仲間割れをさせたり。身内視点からしても、魔法師視点からしても恐ろしい魔法師よ。魔法師としては死んでくれて良かったわ」

歩夢「妹としては?」

真夜「......死んで欲しくない存在」

歩夢「正直ですね」

真夜「歩夢さん、3ヶ月タダ働きね」

歩夢「え....」

私は真夜さんの可愛いところを知った代わりに、約180万円を失った(月給61万)



真夜さんに肩を貸そうと思ったのだが、

真夜「それくらいは動けるわ」

私を甘く見ないで、とでも言いたそうな目でジッと睨まれた

度重なる好奇心と好意が結果として不幸となり、涙目になる私はトボトボと歩いて屋敷に戻った

屋敷に戻る時は正面から見て右側を通ってきたのだが、敵兵の状態は酷かった

大量の血を出し、苦しみ、その状態で凍っている兵もいれば、死体の状態から察するに仲間割れをして死んでいる兵もいた

あの母娘怖い....

真夜「歩夢さんの趣味が死体を眺めることだとは知らなかったわ。これからそういう仕事をさせてあげましょうか?」


歩夢「4ヶ月タダ働きでもいいのでそれだけはやめて下さい」

真夜「じゃあ合わせて7ヶ月ね」

歩夢「そういう意味じゃ.....」

真夜「早く戻るわよ。.....疲れたわ」

私は10秒程度死体を見ただけで約240万円を失い、合計で420万円を失った

衣食住が完全確保されたホワイトな職場でなければ暴動が起こるところだ

420万円あったら何ができたんだろう.....




屋敷前は正面から見て右側とは比べものにならないほど酷かった

言葉に表すとあの.....自主規制します

真夜「いつものことよ」

歩夢「戦闘狂だったりしますか?」

真夜「どうでしょうね」

歩夢「......」

真夜「歩夢さん、」

歩夢「なんでしょうか」

真夜「プラス5ヶ月タダ働きね」

歩夢「.....その心は」

真夜「いつまで経っても屋敷に戻れないから」

1人で戻ればいいのに.....


真夜「720万あったら何ができたのかしっかりと考えて、絶望しなさい」

今度こそ本当に絶望しそう

720万円.....達也くんと遊びに行ったり、深雪ちゃんや水波ちゃんに何か買ってあげたり出来たのかな

はぁ.....

真夜「ふふ、歩夢さんをいじめる方法を見つけたわ。これからどれだけタダ働きが積み重なるのか楽しみにしておいて頂戴」

大人にいじめられる子供(?)

なんて残酷な世の中なのだろうか


屋敷の戻り、真っ先に霜月さんの部屋に行くと机に突っ伏した霜月さんの姿と他の皆さんが居た

霜月「.....不恰好で失礼します。お疲れ様でした。また引き続きこのような状況が起きましたら、よろしくお願いします。えっと....あとは、真夜さんはすぐに休むように。深夜さんは深雪さんと話すべきことを話して下さい。沙夜さんと千夜さんは....適当に。雪乃さんと歩夢さんは.....


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜さんと深雪さん同様に、話すべきことについて話して下さい。
偶数:自由にお願いします。
安価下。】

いよっ

>>179 0:深夜さんと深雪さん同様に、話すべきことについて話して下さい。】


霜月「雪乃さんと歩夢さんは深夜さんと深雪さん同様に、話すべきことについて話して下さい。以上です」

深夜「アレはしなくてもいいの?」

霜月「できれば....お願いしたいです」

深夜「深雪さんとの話が終わったら行くわね」

霜月「ご迷惑をおかけします.....」

何かをするらしいが私には関係ないことらしい

.....気になる

ともかく、話が終わったようで、真夜さんは自室の方へ、深夜さんは深雪ちゃんを連れて深夜さんの部屋へ、沙夜さんは千夜さんと自室へ、私とお母さんは、

雪乃「歩夢、ピアノのある部屋で話しましょう」

どちらかの部屋だと勝手に予想していたのだが、どちらでもなく音楽室(的な場所)で話をするらしい

断る理由もなかったので快諾し、肩を並べて向かう

道中での会話は一切無い

これからする話がどれだけ真面目なのかを空気で理解した


ー音楽室(的な場所)ー

音楽室(的な場所)内にある2人用のソファと木製のテーブルを挟んで向かいにある同じソファに向かい合う形で腰をかける

一応この部屋には備え付けで給湯室があるのだが今回は使用せず、お茶無しに大事な話(?)が始まる

雪乃「まずは....そうね、何から話そうかしら。この世界について、とかは今更でしょうし......。歩夢は何を知りたい?」


【安価です。雪乃に聞くこと
1.1年間タダ働きについてどう思うか(そんな深く話を掘り下げる訳ではありません。ただの数合わせというか、少しだけ話題の例を出そうとした結果というか.....)

2.深夜と霜月(さん)がこの後何をするか(少し真面目な話?になるかもです。まだ何も考えていません。ただ、沙夜的なことを考えていたり、考えていなかったり。※沙夜ほどのことはしません)

3.現実世界で何か事があったか・達也はどうしているか

4.その他

安価下。】

>>182 2:深夜と霜月(さん)がこの後何をするか】


多分、どんな質問でも答えてくれるんだろうけど、なかなか思いつかない

知りたいこと、気になること、聞きたいこと

うーん.....

雪乃「......」

何かしらの質問を待ってくれている

何か質問を....あ、

歩夢「霜月さんと深夜さんはこの後何をするの?」

先ほど思った疑問を移動の最中の忘れていた

知っているであろう質問を聞き、その答えは、


雪乃「あー......」

あまり言いたくなさそうな顔をしている

雪乃「別に言えないことっていう訳ではないけれど、.....そうね。霜月さんは深夜から生命力に似たものを分けて貰おうとしているわ。キスでね」

歩夢「......冗談は聞いていません」

雪乃「冗談じゃないんだけどなぁ」

歩夢「.......」

この屋敷は危険なのかもしれない

沙夜さんは好みとして

霜月さんは生きるために

そう考えたらマシなのかもしれないけど、そういうことをしているのが2人(プラス1人)居るのは.....どうなんだろう

雪乃「本当だったら霜月の血を引いた私とか歩夢の方がいいんだけど、現実世界で亡くなった深夜に生命力も何もないから深夜なのよね。昔は私も霜月さんとしたものよ」

大丈夫なのかなぁ.....私の周り

嫌悪感を抱いたりするわけではないけれど、....


雪乃「霜月さんはここで死ぬべきではない存在。私は霜月さんを生かすためだったらキスでも何でもするわ。先祖子孫の関係でなくとも、私はあの人に命をかけるわ」

キス.....でも、なんでも.....か

お母さんと霜月さんが.....私にそういう趣味はあまりないけど、気になってしまう

雪乃「霜月さんは私たち以上に影響力があるのよ。私も惹かれたわ」

歩夢「影響力?」

雪乃「簡単に言うと、貴女が感情の多くを失った達也くんと付き合えた理由」

歩夢「......?」

雪乃「中学卒業までは人と関係を持たなかったから周りへの影響は無かったけれど、高校に入ってからはガラッと周りが変わったでしょう」

高校に入ってから急に友達や恋人ができたのは事実

職場でも使用人さんとの会話は弾むし、良くしてくれる

そう考えたら影響力はあるのかもしれない

ただ、中学時代がアレだったから比較対象が存在しないのが残念


雪乃「とにかく、この後霜月さんと深夜はキスとかをするってこと」

.....私も霜月さんの力になりたいけど、これ以上の浮気は.....怒られちゃう

雪乃「女の子....っていう言い方は嫌いだから、女性同士はノーカウントよ」

お母さんは男子(男の子)・女子(女の子)という単語が嫌い

子供扱いするのは可哀想だと思っているのか、そういう経験があったからなのか、子はあまり使用しない

歩夢「それ、沙夜さんにも言われた」

雪乃「えっ.....沙夜としたの?」

歩夢「断りきれずに.....」

雪乃「......そう」

どんまい、と目で言われた

思い出しただけでも、幸せな一時ではあったけど大切なものを失った時でもあったと改めて後悔した


【安価です。次に話すこと
1.雪乃にとって大切なもの
2.現実世界・達也について(特に大したことはないです)
3.その他

安価下。】

1

>>187 1.雪乃にとって大切なもの】


なんだか場の空気が悪くなったので話を変えようと思ったのだが、案の定話題が思いつかない

雪乃「わたしからは特にないから、なんでもいいわよ。聞きたいことでも話したいことでも、ゲームでも音楽でも」

聞きたいことは探せばあるかも

話したいことは特に....

この場でできるゲームといえば連動ゲームとかしりとりとか?私はもうそこまで子供じゃないので却下

この場は一応音楽室的な場所なのでピアノ等はある。.....音楽関係でもいいんだけど、勝負をしたら負けるだろうし、連弾では私の下手さが際立ってしまいそうなので却下

残ったのは、聞きたいこと

.......聞きたいことも特にない....ような、あるような


雪乃「即時に決断できる能力を身につけることも大事だと私は思う。歩夢には決断力とと行動力。あとは言わずとも分かっていると思うけど、」

歩夢「コミュ力?」

雪乃「ええ。この3つを身につけたら良い女になれるんじゃないかしら。知らないけど」

最後に余計な一言がなければ真面目に精進したんだけどなぁ

雪乃「最後には歩夢次第だから。愛される意味では達也くんに尽くせばいいだろうし、八方美人になりたかったらコミュニケーション能力と積極性を身につければいいだけ」

歩夢「そう....なんだろうけど、......」

雪乃「まだ時間はあるわ。ゆっくり考えて、努力をしなさい。学校という同世代の人と関わる環境はもう取り戻せないと思うけれど、社会人として働けば年代問わずに関われる。何事もポジティブに考えないと」

なんでもポジティブに、プラスに考えることが出来る人なんているのだろうか

千葉さんは一見そうに見えて、1人で考え込みそうなタイプの人だし....

西城くんは多分、千葉さんと同様に1人で問題を抱え込むタイプ

他にそういうことを出来そうな人は心当たりがない

私の交友関係も問題なんだろうけど、居ないということで

雪乃「かく言う私も出来ないわ。趣味とかに没頭すれば辛いことは忘れることができるけれどね」

歩夢「読書とかピアノとか?」

雪乃「そうね。あとはパンに関することとか」

つまり料理

雪乃「あとは......深夜と真夜と話したり、ね」

歩夢「一応聞いておきたいんだけど、お母さんにとって大切な人って誰?」

雪乃「急に話が変わったわね.....まぁいいけど。先に謝っておくわ。私は娘を第一に考えられない最低な母親。ごめんなさい」

歩夢「そこまで重く考えなくてもいいんだけど.....」

雪乃「第一に大切なのは深夜と真夜。第一って言っておきながら2人居るのは私もどうかと思うけれど、この2人は私にとって夫の綾人くんより、息子の隼人より、娘の歩夢より大切な人間。2人は私を支えてくれたわ。生きる気力を失った時も、死にかけた時も」


歩夢「......じゃあ、大切な人を含めた物全体では?」

雪乃「これも深夜と真夜ね。全てを失ってでも2人に命をかけられるわ。霜月さんも含めると3人になるけれど、優先順位は.....同じくらい。でも、大切なのは前者の2人。あ、勘違いしないで欲しいのは、綾人くんとか隼人とか歩夢にも命をかけることは出来る。ただ、優先順位をつけるとしたら、っていう話で.....」

深夜さんは現実世界では亡くなってしまったが、この世界では生きている

そう考えれば私の精神に断りも無しに寄生したことも許せる

真夜さんも深雪ちゃんも、お母さんも喜んでいるようなので良しとしよう

ようやくこの件について決断できた

少し根に持っていたが、これで晴れた


雪乃「歩夢にもこれから大切なものは出来るわ。もう既に居るかもしれないけど、これからは今まで以上に多くの人と関わり、今の深雪ちゃんや水波ちゃんと同じくらい大切に思える人が増えるかも。達也くんほどの人とは流石に会えないと思うけどね」

歩夢「善処します」

やっぱりコミュニケーション能力か

面を合わせなければ話せるんだけどなー


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:話終わり
偶数:続ける
安価下。】

うりゃ

>>193 6:続ける】


雪乃「それにしてもコミュニケーション能力の欠如は霜月伝統なのかしら。私もそうだったし、歩夢もそう」

歩夢「霜月さんとかお母さんのお母様とかは?」

雪乃「霜月さんはコミュ障というか口下手?歩夢にとっての祖母であり私にとっての母は.....どうでしょうね。分からないわ。私がまだ中学に入る前に亡くなったから」

.....しんみりとした空気になってしまった

雪乃「お母さんのお母さんは分からないし.....私と歩夢だけのようね」

嫌な空気を感じていたのは私だけだったようだ

気を遣って損をした、とかは思っていない

普通に、変な空気にならなくて良かったと思う


雪乃「そういえば歩夢にはお母さんやお父さんの話はしたこと無いわね。とは言っても私もあまり知らないのよね。私の旧姓である『霜月』は母方の姓を取っているということくらいしか」

私と達也くんが結婚し(た場合、達也くんの苗字が『君影』になり、子供の苗字も『君影』となる

私の世代で考えるとそういうことになる

歩夢「写真とかは?」

雪乃「無い。唯一あった1枚も中学生の時に色々あって破れちゃったし......」

歩夢「破かれた、じゃなくて?」

雪乃「.....?なんで知って.....あぁ、深夜から聞いたの?」

歩夢「あ.....うん」

深夜さんから言ってはいけないと注意されていたが、ついつい流れで言ってしまった

大失態です


雪乃「はぁ.....かっこ悪いことを知られちゃったわね」

歩夢「どうして....あの時、反抗をしなかったの?」

雪乃「私は自分の持つ能力を人のために使いたいと思った。けれど、どの職に就こうとしても多少の学歴は必要だから少なくとも中学校は卒業する必要があったのよ」

何をやらせても完璧だったお母さんは学校側から必要とされず、退学の話もあったが争い続けた

その結果、いじめを受けるはめになり、私の中学時代以上に辛い目にあっている

雪乃「どんなに傷付られようと私には魔法があったから痛くなかった。殴られようと蹴られようと、カッターナイフとかで肌に傷を付けられても痛みはない。私をいじめて楽しそうにする滑稽な生徒・教師達が視界に映っただけよ」

いくら痛みがないとはいえ、いじめられているという意識は辛いものだと思うけど......

雪乃「高校に入ってからは深夜と真夜と出会って、初めて『負け』を知り、屈辱的な罰ゲームをやらされ、生きていることを実感した。逆も然り。深夜に屈辱を与えるのは楽しかったわ」

結局最後はそういうオチなんだ......


歩夢「テストでわざと間違えたり、運動ではわざと失敗したりはしなかったの?」

雪乃「......あぁ、そうすれば良かったのね。故意の能力の偽り」

天才だから気付かず、凡人だから気付くこと

まさにこれだった

雪乃「なんでそうしなかったのかしら」

歩夢「知りません」

雪乃「まぁ、参考になったわ。後世があるとしたら、使わせて貰うわね」

記憶を引き継いだ後世があるなら私は喜んで死んでもう1度人生をやり直す

中学生の時から青春したかった

そして、高校もしっかり卒業したかった

雪乃「ん、そろそろ時間ね。歩夢、唐突になってしまうけれど、失礼するわ」

本当に唐突な話だ

この後何か予定があるのかな

雪乃「真夜がもうそろそろ眠りにつくと思うから、眠る前に少しだけ話をね」

もうすこしで寝れる、というところで話しかけられると怒ると思うけど.....そこは長年の知り合いだからこそ許される行為だと認識しておこう

雪乃「じゃあね、歩夢。またいつかゆっくり話しましょう」

そう言い残してお母さんは音楽室的な場所から出て行った


【安価です。何をするか
1.なんとなく時間経過
2.霜月(さん)の部屋(プライベートルーム。いつもの部屋ではない)の前を通りかかる
3.この部屋で音楽に触れる

2の場合は霜月(さん)と深夜が.....
安価下。】

>>198 1.なんとなく時間経過

なんとなく思いついたことを書いているので、内容はつまらないと思います。自分で読み返しても面白い話だとは思えず.....】


お母さんと分かれてから、私は1人で音楽室的な場所でボーッとしていた

天井を見上げ、特に何も考えず、時間だけが経過する

何かを考えなければならない、時間を大切にする環境に居るわけでもないので、ただただ何もせずに時間を無駄遣いした

受験生とか試験前の学生、コンクリート前の音楽を生業としていくことを夢見ている人に時間を分けてあげたい

それが出来たら.....私も色々と暇をしないし、いざという時は時間を頂いて有意義に時間を過ごしたいところだ

人に公平に与えられている1日(24時間)が公平でなくなるというのは様々な方面で問題が起こりそうだが、出来れば同時に問題が解決することもある


(時間を)得て、(何かを)失い、(何かを)得る

これについて研究したいところだが、それこそ時間がない

どうせなら音楽同様に幼い頃からそういう物に触れてこなければならない

勉強然り、スポーツ然り、趣味然り

それに、私は数学・物理が壊滅的

文学者とかならまだしも、研究者には向いていないし、もしなれたとしても続かない

今やっている簡単な書類整理や少し怖いミストレス(女主人)に仕え、衣食住が確保された生活を送るのが1番な気がしてきた

行き当たりばったりで現在の職業に就いている訳だが、そう考えると天職な気もする

これから1年間タダ働きというのはアレだが、差し引いても十分すぎる職

普通に高校卒業するよりも......これ以上は言うまい


ー2時間後ー

時刻的には夕方になった頃だろうか

17:20

夕方っていつからいつまでなんだろう

夕暮れ辺りを指すと思うから、季節によって違うんだろうけど冬だと17時前後とかなのかな

夏だと19時前とか?

機会があれば調べてみよう

まぁ、その機会が訪れた時には忘れているんだろうけど

なにか調べることあったはずなんだけどなぁ、と思い2、3分考え、思い出せれば嬉しい

思い出せなければ、モヤモヤした状態が続く

いつしかそのモヤモヤも忘れるんだろうけど、その時は最悪


そう、『最悪』と言えば最近私は怒っています

テストが返ってきて「最悪....」とか、ゲームで負けて「最悪....」とか、大型艦建築で残念な結果になった時に「最悪.....」とか呟く人に物申す

『最悪』は最も悪いって書くんだから人生で1回だけ......あ、この話どうでもいいですか、そうですか.....

なので、とりあえず前言撤回しておきます

いつしかそのモヤモヤも忘れるんだろうけどその時は嫌だなぁって思う

.........

突然ですが、今あなたは思っているでしょう

お前の考えていることなんてどうでもいい、と

すみません、黙っています


【安価です。深夜(しんや)。何処に行くか。
1.音楽室(的な場所)
2.キッチン
3書庫
4.外
5.自室で時間を過ごす

誰と何をするかは後に決めます
5に場合は朝になります。
安価下。】

>>203 4.外】


深雪ちゃんも寝静まった深夜(午前2時)、私は気分転換に外に出た

出てはいけない、と言われているが細心の注意を払い、いつでも魔法を発動できる状態をキープしている

敵が10分の1秒(0.1秒)以下のスピードで攻撃をしてきたらその時は負けるが、流石にない....はず

屋敷の周りを何周かしたら気分転換改め、散歩は終わり

冷たい風に当たり、黒い雲で覆われた空を見上げ、言うてそこまで気持ちの良いとは思えない散歩をし、疲れたら屋敷の壁に寄りかかる

深呼吸という名のため息を大きく吐き、今から約12時間前の戦争を思い出す

今までにない無力さを実感し、同時に私がここで死んでいたら周りの人はどう思うか、をイメージする


......私が死んだらみんなは何をしてくれるんだろう

共に本を入れて焼却したり、お墓に本を持ってきてくれたり?

本に関することしか言っていない気がするけど、それくらいしか予想できない

あとは.....泣いてくれたりする人が居たら嬉しいけど、肝心なその姿はこの目で見れない

見たいのは山々だが、誰かが亡くなることを望むのも不謹慎

悲しみの涙ではなく、感動の涙を求めるべきだろうか

と、段々と話がズレている気もするが気にしない

今は自由時間なのだから自由に考え、無駄に使おう


【安価です。誰が来るか
1.深雪
2.沙夜
3.千夜
4.雪乃
5.深夜
6.真夜
7.霜月(さん)

誰か1人でお願いします。
安価下。】

4

>>206 4.雪乃】


歩夢「........ん、雨......」

雪乃「珍しいわね、この世界で雨なんて」

歩夢「そうなの?」

雪乃「少なくとも私の知る限りでは珍しいわ。今回と昔に1度きり」

歩夢「へぇー」

お母さんの知る限り30年ぶりの雨

それは大変めずら......もう突っ込まないから。お母さんが気がついたら隣に居た、とかは普通。......普通のこと。いつも通り。全く驚かない

雪乃「時間が経つのは早いわね。もうあれから30年。この世界では数ヶ月のようだけれど」

そこらへんも霜月さんの魔法なのだろうか

でも、魔法を使うと体調が悪くなるんじゃ......


雪乃「気にしたら負けよ。あの人は特別なんだから。まぁ、完璧そうに見えてたまに抜けているところが可愛らしいのだけれどね」

全てを見透かしている(ような)人が抜けている?

雪乃「いずれ分かる時が来るわ。はい、この話はお終い。正直なことを言ってしまえば私でも分からないことのほうが多いから話そうと思っても無理。知りたいことがあったら直接聞いて」

今のところ聞きたいことはない....と思う

話を聞くにつれ、細かな疑問は稀に思い浮かぶが現時点では特に無い

聞くことと機会ができたら遠慮しながら質問してみよう

もしかしたら人生相談的な質問にも答えてくれるかもしれない

抜けているところもあるようだが、見透かしている分私のことを理解してくれているだろう

最低な人間だと知った上で、相談に乗ってくれる質問者の味方

相談所とかを設立すれば流行りそうな人格をお持ちの霜月さんは羨ましい


雪乃「あぁ、でも恋愛相談だけはダメよ?霜月さんは歩夢以上に男性と関わって来なかった人だから。......でも、歩夢が沙夜さんと同じ趣味を持っているなら話は別だけど.....」

歩夢「私は普通だから!」

雪乃「あ.....うん。まぁ、別に私はどっちでも大丈夫だから。歩夢が好きな方を選びなさい」

歩夢「素直にそのまま受け取って欲しかった.....」

普通に男性が好き、という解釈ではなく、普通に女性が好き、と解釈されてしまった

常識的には前者が真っ先に思い浮かぶがはずなんだけどなぁ

雪乃「男性を選ぶなら達也くん、女性を選ぶなら深雪ちゃんでお願いね」

歩夢「四葉の2人限定なんだ.....」

雪乃「深夜も真夜も望んでいることだから。もしかして、これからもっと良い男性・女性に出会うと思っているの?」

歩夢「そういう意味じゃなくて、今のままで十分過ぎるくらいだから。達也くんと結婚します」

あんなに良い男性は私に勿体無い

両思いになれてよかった


雪乃「若いわね。私にもそういう時代があった.....ような気がしなくもないわ。なにせ、30年前のことだから。......はぁ」

自分で言って、自分で苦しみを味わっている

歳をかなり気にしている

実年齢はともかく、容姿は20前後なんだから自信持っていい、と言うと、

雪乃「でも年齢は改変出来ないものだから.....」

これは.....めんどうなことになりそうだ


それから、私はお母さんを宥めるのに約1時間を費やした


【安価です。次何をするか。コンマ1桁
奇数・0:雪乃「少し歩きましょうか」
偶数:雪乃「私はもう戻るわね」
安価下。】


>>213 3:雪乃「少し歩きましょうか」】


雪乃「で、その後に深夜がね・・・」

歳を気にして落ち込んでいたお母さんも今ではようやく(約1時間をかけて)機嫌を取り戻した

最初は宥めるのに苦労したが昔話 兼 自慢話をし始めれば、あとは聞くだけだった

雪乃「・・・っていうことがあったの。あの時は純粋に楽しかったなぁ......深夜も真夜も今ほど冷たくはなかったし、今だからこそ言えるんだろうけど、子供だったから」

子供だからこそ出来たことを懐かしく思い、何かの間違いでもいいから戻りたい、と表情は言っている

雪乃「だから歩夢、真夜の下で働いて時間は無いかもしれないけれど、遊びなさい。しっかりとやることをやって、遊んで、子供の時を楽しむのが私は1番だと思う」

歩夢「うん、.....わかった。時間が空いたら趣味より遊ぶことを優先すればいいんだね」

雪乃「それは少し違うけれど......まぁ、うーん.....それでいいわ。ただ、貴女の趣味の読書なんて中でも最悪だけれどね。読書は1人ですることだから。それこそスポーツとかが趣味なら競えたのに」


歩夢「お母さんも読書が趣味だったんじゃないの?」

雪乃「否定はしきれないけど、私は歩夢と違ってなんでも出来た」

歩夢「......自慢ですか?」

雪乃「ええ、自慢よ。悪い?」

歩夢「......」

お母さんってこんなキャラじゃなかったはずなんだけどなぁ

この3年で何があったのか

雪乃「趣味なんて私にはたくさんあったわ。読書も音楽も、勉強も運動も。テストでは満点を取れるのだから勉強に対しての嫌悪感は一切なかったし、運動も普通にやっていれば成功したし」

嫌味にしか聞こえない

母娘でどうして差が出てしまったのか

......血とか関係無しにお母さんはなんとか分の1の確率で産まれてくる天才だったのかな

だとしたら、母娘での差にも納得いく


歩夢「急に話が変わるのは悪いんだけど、お母さんは、」

雪乃「歩夢、これからの話は少し歩きながらにしましょう。ずっとここに居るのはなんていうか.....飽きてきたわ」

風景変わらず、ずっとこの場に居座る(立っているので今の場合だと居立る?)のもたしかに飽きてきた

歩夢「うん、歩きながらね」

雪乃「物分かりが良い子で助かるわ」

それくらい誰にでも理解出来ると思うけど.....そこまで私を侮っていたの?



外は以前変わらず、雨がぽつぽつと降っている

ただ、そんなに降っている訳でもないので、せいぜい髪と服が濡れる程度で(恐らく)風邪を引いたりはしないだろう

雪乃「それで、何を聞こうと思ったの?」

歩夢「あ....えっと、


【安価です。何を聞くか
1.30年前、沙夜と千夜に拷問された時のこと
2.霜月さんを初めて見たときはどう思ったか
3.深夜・真夜について
4.その他
安価下。】

>>216 2.霜月さんを初めて見たときはどう思ったか】


歩夢「霜月さんを初めて見たとき、どう思った?」

雪乃「霜月さん?そうね、私はただただ、容姿に見惚れたわ。美しいストレートな黒髪に、顔立ちは言い表せないほど整っていて、スタイルも抜群。目は常時碧色らしいけれど、それだけ目にも惹きつけられる」

深雪ちゃん・深夜さんよりも美しいストレートな黒髪に、顔立ちは私の知る中でも最も可愛いというより綺麗な深夜さんよりも綺麗で、スタイルは女性の理想

一応、現時点では1に霜月さん、2に深夜さんの順で女性らしい女性が挙がっている

本当、綺麗な人たち

なお、深夜さんの双子の妹である真夜さんは私の理想の違うベクトルで綺麗なので除外

深雪ちゃんは今はまだ綺麗というより可愛いので真夜さんと同じく除外


歩夢「内面については?」

雪乃「良い人」

歩夢「もう少し具体的にお願いします」

雪乃「泣いている沙夜さんを慰めたり」

歩夢「沙夜さんが泣いている.....?」

百合本を破かれたりでもしたのだろうか

雪乃「深夜にいじめられたのよ」

沙夜さんが深夜さんを嫌っている理由が一部知れた気がする

雪乃「あの時は面白かったわね。霜月さんは霜月さんで沙夜さんを傷つけているし。まぁ、そういうところが抜けているの部分なのだけれどね。深夜に弱いものいじめは駄目、って言ったり」

沙夜さんが深夜さんにいじめられ、霜月さんが深夜さんに「弱いものいじめは駄目」と言う

沙夜さんが弱いものだと決めつけている

無意識に沙夜さんをいじめているところが抜けているところか

結局、沙夜さんだけがかなりの被害を与えている

同情してしまう

雪乃「霜月さんについてはこの程度かしら。その他については霜月さんと直接話して気付いて」

歩夢「話せる機会があれば」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃とお話
偶数:敵と遭遇
安価下。】

ほい

>>219 9:雪乃とお話】


これまで少しの雨に当たりながら適当に歩き、適当に話していた私たちだが、変化は突然やってきた

雪乃「歩夢、こっち」

腕を引っ張られ、廃墟へと入る

この廃墟は元々一般の家庭だったらしく、中は汚れたり崩れていたりするものの、なんとなく面影らしいものを残している

お母さんが何故この家に入ろうと思ったのかは分からず、私は引っ張られるだけで断る権利も無かった

入り口から見てこの家の奥の部屋と思われる15畳ほどの部屋に辿り着いたところで私の腕を掴んでいた手は離れ、自由を得る


雪乃「歩夢、」

お母さんは私の名前を呼び、振り返る

目は私と同じ青色から碧色へ

様子がおかしいというか、雰囲気が変わったというか

歩夢「な、なに.....?」

雪乃「.......」

聞き返すが返事はない

それで済めばまだ良かったのだが、お母さんは私に1歩ずつゆっくりと近づき迫り、それを恐れて後退する私を逃さないのがお母さんの考え

後ろはもう壁

目の前(1m先)には妖しい笑みを浮かべる母親

私を何故ここに連れてきたのか、その真意はまだ分からないが嫌な予感がする


歩夢「お、お母さん.....」

雪乃「......」

無言で私の両目を手で隠し、数秒後に手をどかす

この行為に何の理由があったのか、それについてはすぐに分かった

目を強制的に変えられた

ほとんど自由意志で変えられるようになった目が意識せずに変わった

これもお母さんの能力らしいものなのか

私には分からない

雪乃「澄んだ瞳ね。自分ではあまり見る機会はないから分からないけれど、私の目もこうなのかしら」

歩夢「お母さんのも.....同じです」

雪乃「敬語?ふふ、私は母親なのよ?普通に気兼ねなくいつも通り話してくれればいいわ」

歩夢「......」

雪乃「私が怖い?」

歩夢「......」

雪乃「私が恐ろしい?」

歩夢「......」

雪乃「貴女は」

歩夢「......」

雪乃「私を殺せる?」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜・真夜の登場
偶数:歩夢「......殺せないです」
安価下。】

おりゃ

>>223 8:歩夢「......殺せないです」】


私は母親である君影雪乃を、

歩夢「......殺せないです」

ずっと虐待を受け続けてきた、等の酷い理由がない限り母親を殺そうなんて思わない

これは私だか、とかではなく一般的な意見

雪乃「.....そう。私を殺せないのね。これだから貴女は.....!」

怒られていらっしゃる.....?

雪乃「貴女は.....貴女はこれだから....うっ.....」

お母さんは苦しみ出し、足元がふらついている

歩夢「だ、大丈夫っ?」

雪乃「っ.....」

この部屋にキッチンがあったのが偶然の中の不幸だった

お母さんはキッチンに置いてあった包丁を手に取り、脇腹に刺そうとした

当然私はそれを止めるために今度は私が腕を掴み、

歩夢「お母さんっ!」

雪乃「ちょっと.....待って.....大丈夫だから.....」

歩夢「でも.....」

雪乃「黙りなさい」

歩夢「っ.....」

雪乃「はぁ.....はぁ.....」

包丁を床に落とし、両目を手で覆う

呼吸は荒く、とても辛そう

雪乃「歩夢、」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃「屋敷に戻りましょう」
偶数:雪乃「残念だけれど、......囲まれているわね」

偶数の場合は敵と戦うことになります。
安価下。】

ほい

>>226 0:雪乃「屋敷に戻りましょう」】


雪乃「屋敷に戻りましょう」

歩夢「それは....構わないけど、少し休憩した方が.....」

雪乃「私は大丈夫だから」

歩夢「......」


来た時よりも強い雨に当たりながら、お互い顔も合わせず、一言も会話せずに屋敷に戻った

戻った頃に早朝、私たちはびしょ濡れ

いつ体調を崩してもおかしくない状況

雪乃「歩夢、暖かくして寝なさいよ」

歩夢「お母さん....もね」

雪乃「......ええ」

歩夢「......」

あの廃墟での一件以降様子がおかしい

お母さんこそ体調が優れないのか、何か思うことがあるのか

霜月さん......または、深夜さんか真夜さんに聞けば分かるかな


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:霜月(さん)からの呼び出し
偶数:深雪と会話
安価下。】

>>229 7:霜月(さん)からの呼び出し
呼び出し というよりは普通に話です。】


歩夢「はぁ」

午前5時

世間一般ではまだ早朝と呼ばれる時間帯

部屋のベッドには深雪ちゃんが寝相良く寝ていた。おそらく1時間30分もすれば起きるだろう

その間にせめて体を温めようとシャワーを浴びようと思い、現在に至る

浴室で深いため息を吐き、母親のことを心配する

あの時以降のお母さんは正気でなかった

一体何がきっかけで変わったのか。私に『殺せるか』という質問をした真意は何なのか

この2つを中心に考え、約20分

結論から言えば、何も分からなかった

徹夜をしたせいか頭が働かない。または、いくら考えても分からないことだから分からないのか

この2つを理由に、私は一旦諦める

一旦諦めるだけ。すぐにまた考える時が来る。次は今よりも情報が多い状態で。次こそはお母さんを知りたい。知るためには......使える物は全て使う



長いシャワーを終え、一通りするべき事を終えた後、私は屋敷の中を適当に歩いた

行き先も考えず歩き、数分が経つ

気分転換代わりに始めた適当な散歩ももうそろそろ終わりにしようとしたのだが、目先2m地点には霜月さんが居る

今回は突然現れた訳ではなく、普通に現れた

視界に入った時から霜月さんの碧色の目は私だけを見ていたので私に用があるとみて間違いはない

私に用があり、私のためにこんな早起きをしている

霜月「歩夢さん、少しお時間よろしいですか?」

歩夢「はい」

霜月「.....こちらで話しましょう」

霜月さんが入ったのは偶然か必然なのか、いつもの霜月さんの部屋

中はカーテンを閉め切っているせいか真っ暗

ほんの少しの明かりもない

霜月「まずは....そうですね、


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:霜月(さん)の流星群の披露
偶数:話を始める
安価下。】

>>232 6:話を始める】


霜月「歩夢さんは母である雪乃さんについてどう思われますか?」

私がお母さんと外出していた事はバレている

その上で、このタイミングで質問をしてきた

霜月「些細なことでも構いません。あぁ、でも.....嘘は無駄ですからね」

歩夢「っ.....」

室内の空気は一変した

冬の早朝よりもずっと寒く、四方八方から『見られている』気配を感じる

暗い室内の中にも関わらず誰しもが霜月さんを見つけることだって可能なほどに彼女は存在感を出していた

悪寒・悪感された私は『心』が揺れる

体に症状が現れないだけまだ幸いなのか不幸なのか

私は何も考えられず、霜月さんを恐れることしか出来ない


歩夢「あ....ぁ.....」

霜月「......なんでしょう?」

冷たい一言に『心』だけで収まっていた症状は体にも影響が出始める

最初に小さな痙攣

次に吐き気

最後に視界のぼやけ

徹夜や雨に長く当たっていたことは考慮の内に入らないほど、私は体調を悪くしている

霜月さんの力で私は体調を悪くした

体調管理とか関係無しに、あの人の意思で人を不具合にさせられる

霜月「歩夢さん、落ち着いて下さい。今の貴女は幻覚に近いものに襲われています。その幻覚に近いものを作ったのは私なのでなんとも言えませんが......。とにかく、深呼吸をして下さい。そうすれば少しは治るはずです」

現状況を打開する方法を本人から教えて貰った

だが、それを実行して症状を治めることは出来ない

なぜなら、それすらも出来ないほど私の意識等は困憊していたから

歩夢「はぁ...っ.....はぁ....」

霜月「.....仕方ありませんね」

霜月さんは立ち上がり、一歩一歩ゆっくり、机に突っ伏し体を痙攣させ呼吸がままならない状態になっている私に近づき、

霜月「死んで下さい」

小さな声で、そう呟いた

それから私の意識はーーーーーー


【安価です。コンマ1桁。
奇数・0:気がつくとそこは謎の空間だった
偶数:気がつくと歩夢は霜月さんの部屋のベッドの上に居た
安価下。】

うー☆

>>235 7:気がつくとそこは謎の空間だった

超展開(?)です。】


歩夢「っ!」

あれは.....夢.....?

夢だとしても笑えないし、楽しくない

それに、現実味があるっていうのが.....

まぁ、とにかく夢オチで良かった

あんな霜月さんは.....理想と違う

歩夢「......?」

というか....ここは何処?

私は真っ白な20畳くらいの大きな部屋にあるベッドの上

何から何まで白い部屋

この部屋の家具である本棚も、本も、ピアノも、ドアも全てが白い

ただ、そんな中でも私だけは例外らしく、私にだけ『白』以外の色が与えられている


.....ここは何処?

四葉本邸にこんな部屋は(多分)無いだろうし、造りが同じ霜月本邸にも同様に無い(はず)

全く別の空間に飛ばされた....?

それか、この世界も夢なのか

あの夢っぽい出来事が全て事実で、今この状態が夢

とりあえずこの部屋を調べてみよう

そうすれば何か分かるかもしれない

ピアノはしっかりとした音が出る

本は紙も文字も白なので読めない(若干、薄っすらとなら見える。白い紙に白い色鉛筆で文字を書いたような)

歩夢「あとは.....ドアだけ」

私以外誰も居ない空間なのだから独り言を呟いても変に思われない

.....問題は、扉を開けるか開けないか

考え始めて10分程度が経過している

考えた結果、行動をしないと先に進めない事が分かり、ドアノブに手をかける


思い切って扉を開け、その先にあった物は、

歩夢「......教室?」

教室っぽい部屋

室内には女性の先生と、生徒と思われる人が30人ほど

制服や生徒の容姿からするに....高校?

???「結城さん、何をしているの?」

どうなっているの......この世界は

ドアノブを開けたはずなのに学校でお馴染みな横にスライドさせるタイプのドアだったし.....

???「結城さん?」

それに、教室に入ってから『色』がハッキリと現れている

全てにしっかりとした色が存在している


???「結城さんっ!」

歩夢「は、はいっ?」

???「もう....転入初日に意識が上の空ですか?」

歩夢「転入.....?」

???「とにかく、教壇に上がって下さい」

歩夢「.....はい」

スーツを着こなした眼鏡をかけている女性に呼ばれ、おとなしく教壇に上がる

???「今日から親の都合で転入してきた結城香夜さんです。結城さん、何か一言」

私の偽名を知っている.....?

分からないことだらけだが、ひとまずは全てを受け入れよう

香夜(歩夢)「えっと.....」

この先生は親の都合で転入してきた、って言っていたから合わせないとまずいよね.....

香夜(歩夢)「親の都合で転入してきました、結城香夜です。よろしくお願いします」

無難な挨拶をし、一礼をする


......今気づいたけど、この教室に入った時点で私の服装はこの学校の女子生徒の制服なんだ

黒を基調としたブレザータイプの制服

魔法科高校に行っていなかったらこのような制服を着ていたのだろうか

???「じゃあ結城さんは......あそこの席に座って」


【安価です。コンマ1桁。
1・4・6・7:じっと見つめてくる女子生徒
2・5・8:髪がストレートで綺麗な女子生徒
3・9・0:髪にウェーブがかかっている綺麗な女子生徒

安価下。】

>>241 5:髪がストレートで綺麗な女子生徒(の隣)】


訳も分からないまま指定された席に着く

香夜(歩夢)「......」

数人の視線を感じる。まぁ、転入生来たとなればフィクションではよくある展開。つまり、現実でも少なからずある展開

しかし、その中でも異質な視線を3つ感じる

1つ目は右隣の席の髪が真っ直ぐで綺麗な、私の友達 兼 義理の妹に似て....って、

香夜(歩夢)「深夜さんっ!?」

深夜「.....なんでしょう?」

香夜(歩夢)「あ....いえ.....」

???(先生)「結城さん、どうかされましたか?」

香夜(歩夢)「なんでも....ないです」

つい勢いで席から立ち上がってしまったが、深夜さんからの冷たい一言と先生(?)からの注意により私は恥じて改めて席に着く


.....私が名前を呼んだ時、深夜さんは反応した

そして、残り2人の視線は、真夜さんとお母さん....ではなく、霜月雪乃

どうやら私は現代から見て約100年前と思われる霜月さんの居る時代、そして現代から見て過去であり霜月さんの居る時代から見ての未来、お母さんと深夜さんと真夜さんが高校の時代に来てしまった

時間を操れるっていうのは知っていたけど、まさかこの時代にまで飛ばせたとは.....

約100年前に戻り、そこから約60年後に移動

私は何処のタイムトラベラーなのか

はぁ.....もう.....



ホームルームが終わった瞬間に私は教室を飛び出した

飛び出し、向かった先は屋上

誰も居ないのを確認し、誰かが来てもバレないように入り口の真反対に移動をし、ここに来た目的である『確認』を実行する

私はどんな能力を持っている状態でこの時代に居るのか

はたして流星群は使えるのだろうか

はたして摩天楼は使えるのだろうか

はたして霜月の目を使えるのだろうか

流星群と摩天楼はこんな場所では使えないので、今は霜月の目だけを試しに使用する


【安価です。霜月の目を使えるかどうか。コンマ1桁。
6以外で使用可能

安価下。】

>>245 7:使用可能】


歩夢「使えた....。うん、使えてる」

数km先の人が何をしているか、何を考えているかがハッキリと分かる

霜月の目が使えるということは恐らくあの2つの魔法、そしてそれ以外の魔法も使えるはず

最も新しい状態で私はこの時代に飛ばされた

霜月さんが何故私をこの時代に飛ばしたのかは分からないが、とりあえず普通の学生として3人を観察してみよう

幸いなことに目があるし、今のところ疑われる行為といえば「深夜さんっ!?」と口を滑らしてしまった程度.....駄目だったかな

そうと分かれば、.....あれ?私って何処で暮らせばいいの?下校時刻に教室の扉を開けたら私だけあの真っ白な部屋に通されるのだろうか

そうだったらまだしも、そうでなかったらお金を持っていない私は住み込みのバイトを探さなければならない

四葉家でおか....じゃなくて、霜月雪乃さんと一緒に働くというのは無理がある。そもそも許可されないだろうし

どうしよう.....


【安価です。コンマ1桁
奇数:雪乃「結城さん」
偶数・0:教室に戻る

奇数の場合は深夜・真夜も居ます
安価下。】

ていっ

>>247 :5雪乃「結城さん」】


......考えていても何もまとまらない

今はとりあえず学生らしく授業を受けに教室に戻ろうーーーーーと、した時、

雪乃「結城さん」

聞きなれた声色で、背後から声をかけられた

霜月雪乃、未来の私の母にこうして話しかけるなんて思いもしなかった

香夜(歩夢)「何でしょうか.....?」

雪乃「貴女、」

香夜(歩夢)「お金ならありませんっ」

雪乃「......」

屋上にある学校全体に水を流す巨大なポンプの陰でのシチュレーションだったせいか、昔に読んだ本での弱いものいじめのシーンを無意識に再現してしまった


お母さんは「何を急に言っているの、この子は.....大丈夫?」という表情をし、深夜さんと真夜さんはクスクスと笑っている

もうこの際なので深夜さんと真夜さんがお母さんに同行していたことは不思議でない。むしろ普通だと考えられる

深夜「お金はどうでもいいわ。私たちが聞きたいのは貴女の存在」

この時代で顔を合わして数十秒で核心に迫られた

正直に話せば、もしかしたら屋敷で働かせてくれるかもしれない。むしろ逆に信じて貰えなかった場合は.....うん

雪乃「貴女は何者なの?名乗ってもいない深夜の名前を知っていた。なにより、貴女は......私に似ている」

それはそうです、私は貴女の娘なのですから

しかも、多くの人に似てる似てる言われるほどに

真夜「授業がもう少しで始まるわ。10秒以内に答えて。答えなかったら......」

流星群で殺されるのでしょうか

どうするべきか.....いきなりピンチだ

正直に話すか、偽りを話すか、この場を頑張って乗り切るか

3番目の実力行使はなんとかなるはず。この時代の3人なら、今の私でも勝てる(多分)

さて、......


【安価です。どうするか
1.正直に話す(四葉家で住み込みのバイト等で3人に急接近します)
2.嘘を話す(後の安価で『バレる』ことになれば正直に話すことになります)
3.頑張ってこの場を切り抜ける(後の安価で逃げれるか逃げれないかを決めます。色々と疑われます)
安価下。】

>>250 2.嘘を話す】


えっと.....えっと.....

今こそ考える時。頑張れ、君影歩夢。いや、結城香夜

......モチベーションを上げてみたが何も思いつかない

残念な思考回路を残念に思う

その場しのぎで嘘を並べていくしかないか

香夜(歩夢)「私は結城香夜。それ以外の何でもありません」

雪乃「嘘」
深夜・真夜「嘘ね」

仲いいなぁ、この3人

おかげさまで私の心拍数は跳ね上がった訳だけど


雪乃「.....次の質問。貴女の持っているCADは何処の会社で誰が作ったもの?見たことのないタイプのようだけど」

香夜(歩夢)「フォア・リーブス・テクノロジー社に勤めている知り合いが作ったものです」

深夜「その知り合いとはどのような関係?」

香夜(歩夢)「私みたいな人間を好きになってくれた、私にとって大切な人です」

真夜「年齢は?」

香夜(歩夢)「16歳」

深夜「16歳でCADの製作?どうも信じられないわね.....」

貴女の息子です


雪乃「好きな食べ物は?」

香夜(歩夢)「その質問いりますか?」

雪乃「必要」

香夜(歩夢)「......蕎麦」

深夜「好きな飲み物は?」

香夜(歩夢)「紅茶」

真夜「種類は?」

香夜(歩夢)「フォートナム・メイソン」

真夜「高級品ね」

少なくとも未来の貴女ご用達の茶葉です


深夜「お金ないのにフォートナム・メイソン?」

香夜(歩夢)「知り合いから譲って貰ったものです」

深夜「......そう」

ひとまずは乗り切れたかな

食べ物と飲み物の質問って絶対にいらなかったよね....?

雪乃「最後に1つ。貴女は『霜月』を知ってる?」

歩夢「.....なんのことだか私にはさっぱりです」

雪乃「深夜、真夜、この人は


【安価です。コンマ1桁
2・4・8:雪乃「食べ物と飲み物以外は全部嘘を言っている」
1・3・5・6・7・9・0:雪乃「本当か嘘かは分からないけれど、敵ではないわ」

安価下。】

ほい

>>255 9:雪乃「本当か嘘かは分からないけれど、敵ではないわ」】


雪乃「本当か嘘かは分からないけれど、敵ではないわ」

これだけでも十分すぎるほどに上出来

敵視されないだけ、私の行動の制限は緩くなる

よかったぁ.....

雪乃「教室に戻ろう。もう授業始まっているし」

転入初日の1時限目からサボってしまった

私の高校生活はいつの時代でも変わらないのかな

真夜「雪乃に着いて行ったのが間違いだった」

深夜「ええ、そうね」

雪乃「深夜、真夜の意見に同意したね」

深夜「ん....気のせいよ」

真夜「......」

深夜さんと真夜さんの仲は私にはどうしようもない

未来のことを知っているのだから伝えて未来を変えたいが、そうすると私の存在や達也くんの存在、深雪ちゃんの存在が無くなりかねない

タイムパラドックスだけは気をつけないと



教室に戻ると、まず怒られた

怒られ、廊下に立たされ、誰のせいかを話し合い、まず最初に私が屋上の行ったのが悪いということになり、次に探しに行こうとした雪乃さんが悪いということになり、その次についてきた深夜さんと真夜さんが悪いということになり、次からはその繰り返し

4周目に私が悪い、ということになった時に廊下で話しすぎだと怒られ、全員が悪かったということで一段落がついた

そして1時限目から2時限目の間の休み時間

私は、


【安価です。コンマ1桁
1・5・9:雪乃に呼び出される
2・4・7:深夜に呼び出される
3・6・8:真夜に呼び出される
0:以降、ずっとぼっち(下校時間までは)

安価下。】

ぼっち属性は過去でも発揮するのだろうか

>>258 1:雪乃に呼び出される】


霜月雪乃さんに腕を引っ張られ再び屋上へ

香夜(歩夢)「それで、何の用でしょうか?」

雪乃「少し貴女と話しがしたいだけ。私のためにも貴女のためにも」

香夜(歩夢)「それは構いませんが......」

わざわざ誰も居ないのを確認した屋上でしか話せない内容だとしたらボロが出ないように考えて話さなければ

雪乃「結城さんは、」

香夜(歩夢)「名前の呼び捨てでお願いします」

雪乃「香夜、私の名前分かる?」

香夜(歩夢)「......霜月雪乃さん」

雪乃「深夜の名前も知っていたし、私の名前も知っているし.....これだと真夜の名前も知っているようね。質問、深夜と真夜の苗字は?」

たしかあの日記通りだと『四葉』ではなく『司波』を名乗っていたはず


香夜(歩夢)「司波」

雪乃「司波.....?なんのこと?」

香夜(歩夢)「.......」

落ち着くんだ私。雪乃さんは私にカマをかけている。でも、もしそれが本当で、この世界では『四葉』を名乗っているとしたら......

雪乃「司波という苗字は聞いたことがないわね。深夜と真夜の母親の苗字とか?」

香夜(歩夢)「それは.....」

雪乃「それは?」

雪乃さんは口元に笑みを浮かべ、私に迫ってくる

一歩、また一歩と下がり、気がつけば落下防止のためのフェンスにまで迫られた

あれ、この状況どこかで......

雪乃「本当のことを言えば許してあげるけど?」

香夜(歩夢)「.......」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:迫られる
偶数:授業開始のチャイム
安価下。】

>>262 8:授業開始のチャイム】


香夜(歩夢)「......よ」

迫られ、本当にことを言いかけた途中で校内にチャイムが鳴り響いた

雪乃「はぁ.....怒られる」

転入初日にして2時間授業をサボることになりそうだ

数分の遅刻許してくれる先生だったら良いんだけど.....



2時間目は現代文。つまり国語。私と雪乃さんの特に得意な分野

先生は成績優秀者である雪乃さんの存在のおかげで遅刻を許してくれ、それぞれ席に着き、

歩夢「.......」

教科書とかノート持ってないんだけど......どうすればいいの?

困っていると、

『質問に答えてくれたら教科書等を貸します』

と、端末で書いたかのような綺麗な字で書いてある紙が右隣から渡された。右隣の席は深夜さん

数十秒悩み、この取り引きを受諾した

『質問は3つ。
1つ目:雪乃のことをどう思うか。
2つ目:貴女の両親の名前。
3つ目:私の寿命。』

1つ目はまだしも、2つ目と3つ目は.....私の事情を知っている?

明らかに未来から来た、または何かしらの方法を使い未来のことを知っている異能力を持った人間であると疑われている

どうしたものか.....、と考えていると更にもう1枚紙が送られてくる

『嘘を書いても構いません』

メンタリズム?

どうしよう.....


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:正直に書く(それでも曖昧に書きます。例:2つ目の質問の母親の名前はY・S など)
偶数:嘘を書く
安価下。】

はい

>>265 4:嘘を書く
嘘というか、率直な意見を並べます】


『1.まだ会ったばかりなので分かりません
2.匿名
3.無理をしない限り長生きするかと】

率直な意見を書き並べた

喧嘩売ってるとか思われないかな.....

それだけが不安のまま、深夜さんに答えを渡す

深夜「......」

一瞬だけ冷たい視線を送られたが約束通り教科書等を貸してもらえた

深夜さんの机の上に置いてあったものを丸々受け取ったので、私の机の上には一通りの道具、深夜さんの机の上には何もない

なにこの罪悪感。まるで私が虐め・脅迫しているみたい



残りの時間は全て教科書を読むことにより有益に使われた

授業終了と同時に返却をし、休み時間

この休み時間中に再び呼び出しをくらうと思ったのだがそうでもなく、誰も何も話しかけてこなかった。てっきり「どこの高校からこっちに来たの?」とか「前はどこの県に住んでいたの?」とか聞かれると内心期待していたのに.....

脱ぼっちも前向きに考えていたのにこの始末

そして何も持っていない私は机に伏せて休み時間が終わるのを待つしかなかった


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:4時限目は魔法実習
偶数:お昼休み

安価下。】

いよっ

>>268 5:4時限目は魔法実習】


3時限目は社会系の授業。これは担当教師の一人語りに近いものだったので難なくこなせた

問題は4時限目。休み時間になると同時に教室の生徒が教室から出て行ったので、専用の部屋でやる授業なのかな、と思い流れに乗って移動をした

行き着いた場所は実習室。何を実習するのか、と考えること2分(まだ休み時間中)。お母さん達が通っていた学校は私の知る時代での魔法科高校であることを思い出し、実習とは魔法実習を指すことに気付く

目立った成績を残さないように平均くらいを狙わないと


ー授業開始ー

担当の教師はクラス担任だった

聞く話によればこの先生はかなり優秀らしく、生徒中の異例な成績優秀者である霜月雪乃・四葉深夜・四葉真夜に匹敵する能力を持っているらしい

へー、(文字だけを見ると無関心に見えるが実際は結構関心を持っている)と思いながらこの授業で何をするかの説明を受ける

準備するもの:器具(直径約30cmくらいの金属球が細いポールの上に乗っている)
1つの器具を使うために必要な人数:2人
内容:同時にCADを操作して中間地点に置かれた金属球を先に支配する

どちらの方が魔法を発動するスピードと支配力が高いかを争う単純なゲーム

ハッキリ言って、これには自信がある。私の1ヶ月にも満たない高校生活の際に何度か行われた実習で、成績は深雪ちゃんとほぼ互角。本来なら負けた方に転がる金属球も微動だにしない程互角だった

で、問題は誰とやるか。ぼっちの私とやってくれる人は居るのだろうか


【安価です。コンマ1桁
1・5・0:雪乃
2・7・9:深夜
3・4・8:真夜
6:教師
安価下。】

>>271 9:深夜】


周りはペアを作り始め、ペアによってはもう始めているところもある

これだからペア・グループ系の実習・行事は嫌いなんだよなぁ

先生もそういう人(ぼっち)が居ることを理解して、実習で何をするか決めたらいいのに。と、心の中で私だったらこうする想像を膨らませていると声がかかる

深夜「香夜さん、お相手願えますか?」

いつもにように冷たい声色ではなく少し感情的になった声。本気での勝負を望んでいる

香夜(歩夢)「喜んでお受けします」

深夜「分かっていると思いますが、本気でお願いします。なんなら見えない範囲でのイカサマも有りで」

イカサマとは心理的盲点を突くこと。目がいいだけではイカサマとは分からない。

と、何処かのギャンブラーが言っていたのを思い出す。

深夜さんは私に精神干渉を仕掛けてくる。私がそれを無効化出来る方法といえばーーーーーー目を使うしかない


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:香夜(歩夢)の勝ち
偶数:深夜の勝ち
ゾロ目(コンマ2桁):目が疼く(香夜の勝ちです)
安価下。】

とぉ

>>273 3:香夜(歩夢)の勝ち】


それぞれ配置に着き、精神統一的なことをする

精神統一と言っても深呼吸を2回し、真剣に深夜さんを見つめるだけ

深夜さんの目は真っ直ぐで、いかにこの実習に熱を注いでいるのかが伺える

???(先生)「深夜さん、結城さん、準備はいい?」

香夜(歩夢)・深夜「はい」

???(先生)「ブザー音が鳴ったらスタートね」

ディスプレイに『5』が表示される

『4』

『3』


周りからの視線が気になる

異例の成績優秀者の内の1人である深夜さんがこんなに真剣になっていることから判断出来る接戦をみんなは気になっているのだろうか

当初に考えていた『目立たない』は捨てよう。深夜さんの期待に添えるように全力を尽くす(目を使わない範囲で)

『2』

『1』

『0』

ブザー音が鳴り響いた

専用器具に設置されているCADに指を当て、魔法を発動する

眩い想子の光輝が対象となった金属球の座標に重なり合い、爆ぜた


光輝は一瞬で消え、その後、

深夜「.....ん、」

ポールの上にある金属球が深夜さんの方へと転がる

歩夢「......はぁ」

疲れた。イカサマの使用をお互いに許可していたおかげで通常の1回以上の疲労を感じる

外野は「あの司波姉が.....!」とか「あの転入生は何者なんだ」とかで盛り上がっている

というか、やっぱり深夜さんと真夜さんの名字は『司波』だった。雪乃さんにハメられるところでした

深夜「負けちゃったわね」

香夜(歩夢)「次やったら私が負けますよ」

深夜「ふふ、謙虚ですね」


競った後、特有の会話をしていると、

雪乃「まさか深夜が負けるだなんてね」

深夜「これで満足?」

雪乃「うん、ありがと。貴重なシーンを見れた」

最初からハメられていた気がしてきた。深夜さんとの真剣勝負は雪乃さんが私を『見る』ために使った試合

なんだかモヤモヤとした感覚が残るが、とりあえずあの深夜さんに勝てて良かった


【安価です。
1.雪乃「貴女さえよかったら、なんだけど模擬戦しない?」
2.4時限終了

1の模擬戦は達也と服部がしていたようかかんじの模擬戦です。
安価下。】

>>278 1.雪乃「貴女さえよかったら、なんだけど模擬戦しない?」】


雪乃「貴女さえよかったら、なんだけど模擬戦しない?」

おか....じゃなくて、雪乃さんは模擬戦の提案をしてきた。断る理由はないけれど今は決められたことを行う実習の時間。いくら担当の先生が優しそうな人でも、

???(先生)「私は構わないよ」

.....許可が取れてしまった

???(先生)「あ、でも、危なくなったら私が実力行使で割って入る。それと、見学者は深夜さんと真夜さんのみ。この条件を呑んでくれるならいくらでもどうぞ」

雪乃「って言ってるけど、香夜は?」

香夜(歩夢)「....分かりました」



今度は実習ではなく実践(模擬戦)。無意識に目を使ってしまった時の言い訳を考えなければ

???(先生)「CADの制限は無し。殺傷能力のレベルも制限は無いけど、そこら辺は『人』としての常識を守って。あくまでこの試合が模擬戦だということを忘れずに。あとは、どちらかが危険になったら私が割って入る、.....くらいかな。うん、以上のことを気をつけて」

香夜(歩夢)「はい」

雪乃「......」

この部屋の大きさは1辺が100m程の正方形。天井までの距離もかなりあるので動く分には不自由はない。それに加えて、なかなか丈夫な何かで出来ているようなのでちょっとやそっとでは傷さえもつかない(らしい)

???(先生)「準備が出来たら言ってね」

それぞれCADを持ち、配置に着く。私と雪乃さんとの距離は約50m。この間合いをどう利用するか、どうやって戦うかはその時の私に任せよう。相手が相手なだけに作戦は考えるだけ無駄


さてと、

香夜(歩夢)「私はいつでも」

雪乃「私もです」

???(先生)「5からカウントするね。」

あと5秒で高校生時代のお母さんとの真剣勝負が始まる

???(先生)「4」

あ、ちなみに私が使うのはあのトーラス・シルバーがフルカスタム(CAD調整含む)した特化型CAD(拳銃型CAD)と汎用型CAD(スマートフォン型CAD)です

???(先生)「3」

お母さんはこの時代では最先端だと思われるCAD。こちらも私と同様に特化型CADと汎用型CADを1つづつ

???(先生)「2」

見学しているのは先生が言っていた通り深夜さんと真夜さんのみ。どちらも真剣な眼差しで私と雪乃さんをしっかりと視界にとらえている

???(先生)「1」

........

???(先生)「0」


【安価です。コンマ1桁
2・6・0:香夜(歩夢)の勝利
3・7・9:雪乃の勝利
1・4・5・8:引き分け
安価下。】

>>282 9:雪乃の勝利】


開始と同時にまずは3枚の障壁を貼る。この障壁により雪乃さんの素早い初手(単純に空気を圧縮した物。それでも威力はかなりある)を防ぎ、お互いの初手は終わる

次に私はすかさずドライ・ブリザード(空気中の二酸化炭素でドライアイスを作り、凍結過程で余った熱エネルギーを運動エネルギーに変え、ドライアイスを高速で打ち出す魔法)で雪乃さんを目掛けて攻撃した。雪乃さんが取った行動は攻撃系の魔法で打ち消す訳でもなく、防御系の魔法で守る訳でもなく、軽い身のこなしで全てを避けた

なんでも出来る人は高速で打たれるドライアイスも避けれるようで、これ以上の攻撃をしなければ攻撃が当たらないことを理解する

そういえば光のスピードで攻撃する流星群も避けていた(術式解体で打ち消す)ような......

いや、でもあの偉業を成し遂げたのはこの時代から約30年後。この時代の雪乃さんはまだ.....出来ないことを望むばかり。あの時よりも『若い』というのは無視。それを考えてしまうと絶望しか待っていない

私がこのような適当なことを考えている間にも激戦は続いている

雪乃さんの魔法で作られた竜巻(摩天楼ではない)をどう防ごうか考えるまでもなく術式解体を惜しみなく使い、手の内を明かしたり、コピー技以外の魔法をどう駆使して使っていこうかと唯一の作戦であったその場の自分に任せて多種多様な魔法攻撃を使用を繰り出す



ー1分後ー

私は全体力の内の約半分を使い切った。雪乃さんは言うまでもなく全く疲れた様子を見せない

雪乃「まさか術式解体を使えるだなんて思ってもいなかった」

香夜(歩夢)「使わない方がいいですか?」

雪乃「むしろ使ってくれると助かるわ。より貴女のことが知れるから」

香夜(歩夢)「.......」

雪乃「そろそろ半分くらいの力を出すね」

もう私は目を使わない範囲での8割くらいの力を出していただなんて言えない

今現在の雪乃さんは目を使えない(はず)。だったら、フェアでやるためには私が使用を制限しなければならない

この勝負かなり辛い。最近では目、少し前ではコピー技に頼っていたせいか通常の誰にでも使える魔法のアレンジが底を尽きた。だからと言って霜月の魔法を使うわけにもいかないし.....


雪乃「考え事は済んだ?」

香夜(歩夢)「......まだです」

雪乃「じゃあ5秒くらい雑談を。香夜は時が止められた世界を信じる?」

瞬間的に察知した。この雑談の5秒が終わると同時に神座と天邪鬼を使われる、と。なんとしてでも使われる前にどちらかを使わなければ

神座を使った場合、動くスピードがプラス1される
天邪鬼を使った場合、動くスピードがマイナス1される

香夜 ←←天邪鬼←←雪乃 を使えば、香夜(マイナス1)・雪乃(0)
加えて、雪乃 ←←神座←←雪乃を使えば(要するに自分に神座を使った)、香夜(マイナス1)・雪乃(プラス1)となり、いわゆる時が止まった状態を再現出来る

幸運なことに私はどちらの魔法も使える。


ここまで心理戦、ここからも心理戦。おそらく最初に天邪鬼を使ってくると私は勝手に考え、自身に神座を使おうと思ったのだが、重大なことに、

雪乃「霜月」

香夜(歩夢)「っ.....」

重大なことに気がつかされる。神座と天邪鬼は『霜月』専用の魔法。どちらかを使えば私が霜月の血を引いているんだとバレてしまう

残り1秒に満たない時間後に私は負けが確定する。どうする.....霜月の魔法を使わずに戦うには.....もう、一か八かに賭けるしかないっ

雪乃「香夜、」

香夜さんの特化型CADが私に向けられ、引き金が引かれる。私はマイナス1となった。そして続けて汎用型CADにより雪乃さんがプラス1となる

雪乃「楽しかったよ」


2の差が生まれ、私は負けたーーーーはずだった(雪乃さんからすれば)


香夜(歩夢)「それで勝ったと思わないで下さい、雪乃さん」


雪乃「な、なんで.....」

香夜(歩夢)「ふふ、内緒です」

最後に私が「一か八かに賭けるしかないっ」と心の中で思った時に時間差で発動する術式解体を自分にかけておいた

時間差の厳密な時間は1.1秒後。残り1秒に満たない時間というのは体感で0.75秒で、雪乃さんが「香夜、」と言うのを含めるとちょうど1秒。そして私に天邪鬼をかけるのに0.1秒を使用し、合計で1.1秒。天邪鬼をかけられると同時に術式解体で解いた

そして私は今、雪乃さんに特化型CADを向け、術式解体を使用する。雪乃さんにかかっていたプラス1は0となり、これで0と0。初期状態に戻った

雪乃「......何をして天邪鬼を防いだのかは分からないけれど、香夜、貴女は甘いわ」

香夜(歩夢)「......?」

私は負けた



最後に何があったのかを後に聞いてみると、再び天邪鬼をかけられ、雪乃さんは自身に再び神座をかけて再び生まれた2の差に私は攻撃に気付けずに負けた

2連続で同じ魔法を使われるとは思ってもいなかった。......悔しい

???(先生)「深夜さん、真夜さん、雪乃さん、結城さん、あとは休憩するなり遊ぶなりしてていいよ。あと....10分くらいはまだ実習の時間だから」

先生は私が目覚めた時から、むしろ最初に出会った時からずっと笑顔なのだが、今はいつもに増して笑顔が眩しかった。この先生凄く若く見える。内面も若いんだろうけど

雪乃「香夜、凄く楽しかったわ。まさか神座と天邪鬼が1度でも破られるとは本当に予想外」

香夜(歩夢)「いえ、そんな....大したことはしてないです」

雪乃「というか香夜、貴女は神座と天邪鬼を知ってたの?」

香夜(歩夢)「あ.....」

迂闊だった。やっぱり1度目で負けておくべきだったかな


深夜「雪乃、詮索はマナー違反よ。まぁ、沈黙が答えだと言っているようなものだから無駄なんでしょうけど」

香夜(歩夢)「うぅ.....」

真夜「次は私と戦ってみない?」

香夜(歩夢)「光に勝てる人間が何処に居るのでしょうか」

真夜「......」

やばい、つい癖で軽い反抗をしてしまった

深夜「ふーん.....」

雪乃「へぇ」

私の平穏(を望む)高校生活は終わった

と思ったところで時間が私の味方をした。4時限目終了のチャイム。私は逃げた。屋上に。どうして屋上に逃げたのかって?それは単純明快。可哀想な人だと思われたくないから。順を追って説明します

1.私はCADしか持っていない。
2.購買や食堂で何かを買うお金がない
3.お昼休み中に教室で何も食べていなかったら、「あ....何も食べてない。お金ないんだな、可哀想」と思われる
4.回避するために誰もいない屋上に逃げた

以上のことから、.....うん


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃・深夜・真夜が屋上に
偶数:ぼっち
安価下。】

ほい

>>290 7:雪乃・深夜・真夜が屋上に】


私は今、屋上の中でも特に目立たない場所に腰を下ろして空腹に耐えている

人間は1週間くらい何も食べないでも生きていけると聞いたことがあるが、私には理解出来ない。ましてやあの霜月雪乃さんとの模擬戦後。空腹でないはずがない

.....今から食堂でバイトとかできないかな。食材さえ提供してくれれば喜んでやるんだけどなぁ

と、考え始めて3分。空腹を凌ぐために寝ようとしたところで校舎内から屋上に続く唯一の扉が開かれる

私のお昼寝を邪魔するのは何処の誰だ、と扉の方をこっそり覗いてみると、あの3人だった

雪乃「そんなに屋上が好きなの?」

深夜「自殺志願?」

真夜「1人なのを隠すために誰も居ない場所を選んだのでしょう」

どうしてここまで私は罵倒されなければならないのか。いや、真夜さんの予想は当たってるけどさ......


香夜(歩夢)「.....ごゆっくりどうぞ」

仕方ないので校舎(図書室)に向かおうとした瞬間、雪乃さんに腕を掴まれる

雪乃「お昼ご飯、一緒に食べよう」

圧倒的コミュ力。出会って数時間の相手によくそんなことが言えるなぁ、と素直に感心する

香夜(歩夢)「私は何も持っていないので遠慮させて頂きます」

雪乃「分けてあげるから」

香夜(歩夢)「私が入ると皆さんが.....」

雪乃「気にしないよね?」

深夜・真夜「気にする」

雪乃「はぁ.....。香夜、こんな人でなしの姉妹は気にしなくてもいいから」

深夜「人でなし.....?」

真夜「聞き捨てならないわね」

雪乃「はいはい、その話は食事中にね」

全員が名家産まれのお嬢様であるにも関わらず、普通の会話(少し物騒)を繰り広げている。庶民の私からしたら安心する雰囲気で無意識に笑ってしまう

私と達也くんと深雪ちゃん以上に仲が良い。深夜さんと真夜さんは仲が悪いそうだけど、それすらも良い具合に雪乃さんがまとめている。これが霜月特有の影響力なの?

雪乃「ほら香夜、早く食べよう」

雪乃さんは高級そうなお弁当箱を広げ(当然中身も高級だった。伊勢海老とかそういう....アレ)、手招きしてくる。私はもう断りきれず、一言お礼を言ってから輪に混ざる


【今回はここまでにします。
現代・過去(霜月)・過去(雪乃達の高校生時代)と、話を広げ過ぎな気はしますが、今やっている過去は雪乃を知るためにやっています。
雪乃のことを知れた後は過去(霜月)に戻り、色々として現代に戻って、葉月、クリスマス、年末年始、リーナ、といったかんじを予定しています。
なにせ、その場の気分でやることが多いですし、更新率の悪さはもう.....すみません。リーナはいつになったら出てくるのか.....


安価です。話題
1.さっきの模擬戦について
2.なぜ流星群の存在を知っていたか
3.担任の先生について
4.その他
安価下。】

4 その弁当自分で作ったの?

>>293 4.そのお弁当自分で作ったの?】


料理の味は過去も未来も変わらず美味しかった。相変わらず料理上手で家庭的な理想の女性。深夜さんも真夜さんも文句等を全く言わずに黙々と食事を続けている

しかし1つ気になることと言えば、炭水化物がお米だったこと。娘視点から見ても雪乃さんは異常なまでにパンが好き。てっきりお弁当にもパンを採用すると思っていた

雪乃「香夜、どうしたの?美味しくなかった.....?」

香夜(歩夢)「いえ、そういうわけではなく、.....このお弁当は全部雪乃さんが?」

雪乃「この2人に任せると偏るし、人使いが荒いから全部私が作ってる」

深夜さんに任せれば和食。真夜さんに任せれば洋食。それ以前に自分でやるべき事以外は人任せにする深夜さんと真夜さんの(少なくとも真夜さんはそう)性格を考えれば妥当

偶然、主食にお米を採用した日だったのかな


雪乃「私はパンにしようよ思ったんだよ?でも、深夜と真夜がそうするなら食べないって言うから.....」

深夜「1週間連続で1日3食パンなら誰だってそう言うわ」

香夜(歩夢)「それは....辛いですね」

私の体験した最高記録は4日間3食。1週間は多分体調を崩す。.....考えただけでも気分が悪くなってきた

雪乃「香夜はパン好き?」

香夜(歩夢)「どちらかと言えば好きです」

雪乃「じゃあ今度私が、」
香夜(歩夢)「限度がありますけどね」

雪乃「......」

真夜「これが普通の反応よ」

雪乃「私は普通じゃないの?」

深夜「何を今更」
真夜「気付いてなかったの.....?」

無意識なんだろうけど深夜さんと真夜さんは着々と雪乃さんの心を削っている。雪乃さんが可哀想になってきた

雪乃「もうそろそろ泣くよ?」

深夜「勝手にどうぞ」

雪乃「.....これだから冷たい冷たい言われるんだよ」

深夜「なにか?」

雪乃「なんでもないです」

見ている側からしたら微笑ましい会話を繰り広げる3人。こういうギスギスしながらも仲の良さが露わになっている関係というのも憧れる。私と達也くんと深雪ちゃんでは絶対に出来ない輪に触れる程度でも入れて楽しい

なにより、弱みを握れるチャンスでもある。この時代で3人を知ることで私は一矢報いることができたらいいな。.....多分、威圧されて全てが無駄に終わるんだろうけど


【安価です。話題(最後です)
1.さっきの模擬戦について
2.なぜ流星群の存在を知っていたか
3.担任の先生について
4.雪乃・深夜・真夜からの質問攻め
安価下。】

>>295の安価に 5.その他 を書くのを忘れていました。
安価下。】

4

>>297 4:雪乃・深夜・真夜からの質問攻め】


雪乃さんが早起きして作ったであろう推定3人分の料理も食べ終わり、お昼休み残り20分

ご馳走になっているのだから食べ終わり早々にこの場を抜け出すことも出来ずに雑談に自然と加わる

話題は深夜さんが冷たい件について、から何故か私について

雪乃「香夜はどこに住んでいるの?」

香夜(歩夢)「えっと.....」

雪乃「言えない?」

早速ピンチ。下手に住所を捏造して、休日に押しかけられたりでもしたら怒りを買うだけ


違和感のない返答方法は......

香夜(歩夢)「家出中です」

すぐに後悔をした。こんなバレバレな嘘は見破られる。はぁ......また言及される

雪乃「そう.....家出ね。両親と喧嘩?」

香夜(歩夢)「そんなところです」

真夜「喧嘩して家を出たからお金がないのね」

まさかのところに繋がった。『家出』は住所を教えずにお金がない理由も作れる。先ほどまでの後悔はなくなり、咄嗟の返答をした自分を讃える

深夜「今夜はどうするの?野宿って訳にもいかないでしょう?」

香夜(歩夢)「それについては.....住み込みのバイトでも探そうかな、って思っています」

これは本当。学校に近い場所で給料と引き換えに食と住を提供してくれる場所を探す。できれば飲食店。ウェイトレスは嫌だけど生活するためなら多少の恥は仕方がない(厨房担当希望)


雪乃「深夜、」
深夜「駄目」

雪乃「......真夜、」
真夜「無理」

雪乃さんは四葉本邸の使用人として私を雇おうと、雪乃さんの雇い主である深夜さんと真夜さんにお願いしたがノータイムで断られた。私のために.....すみません

深夜「ただ、香夜さんが危険な目に遭ってもいいならバイトで雇います」

真夜「姉さん」

深夜「香夜さんは強いわ。雪乃との模擬戦も本気を出していなかったようだし、その場での判断力にも長けている。少し甘いところが傷だけれど、問題はないでしょう」

真夜「......」

ただの喧嘩でなるような仲の悪さではなく、何か大きな出来事から発展した仲の悪さ。共通の友達を殺した、とか事件に巻き込まれて見放した、とかそういうレベル

深夜「香夜さん、どうしますか?死ぬ覚悟があるならお返しに割りにあったお給料を渡します。汚れてもいいなら、ですけどね」


【安価です。深夜のバイトの誘いを受けるか受けないか。
1.受ける
2.受けない

1の場合は今夜から数日ごとに敵のアジトに乗り込み敵をこr....倒すなどします。目や流星群等は普通に使えます。(雪乃が同行する時もあったりなかったり。その時は目や流星群は(今のところ)使えません)
2の場合は飲食店のバイトを探すなり、いつも通りその場の気分で四葉でバイト(掃除とか書類整理とか)の選択が出来る安価を出します。今のところは
1.飲食店でバイトをして住み込み(オリキャラ出します)
2.四葉で綺麗なバイトをして住み込み
3.担任の先生の家に住み込み
を考えています。】

>>302 1.受ける】


深夜さんからの申し出は私にとって都合の良いものでありながら悪いものであった

受ければ都合よく生きれる

受けなければ学校が終わり次第片っ端から住み込みのバイトを探し、場合によっては今夜は野宿

人殺しをするだけで表では綺麗に生きれる。人を殺すだけ。それも、世の中を汚そうとする人間たち。私は世の中を綺麗にするため、私自身のために人を殺す。......はたして、いくら世のため自分のためとはいえ人を殺してもいいのか

この申し出を受ければ数え切れない人を殺すことになる。戦場に乗り込むことは怖くない。重火器程度ならどうにかして防ぎ、壊し、倒すことだって『魔法』を使えば容易だ

でも、その『魔法』を使われたら私はどうするのか。雪乃さんに負けたおかげで自分を改めて見ることができたが、勝っていたら慢心して実戦では殺されていたかもしれない

重火器も魔法も人を殺せる。人を殺すことは正当なことなのだろうか。世の中の悪い部分を削ぎ落とすのは......


雪乃「......深夜、やっぱり.....」

深夜「雪乃は黙ってて。香夜さん、殺すのは悪い人だけ。善良なる一般市民の方々を守れる力が貴女にはある。第一目的は生活をするためのお金なんでしょうけれど、ついででいいの。ついでに悪い人を殺してみない?大丈夫、貴女を責める人は誰も居ないわ。だって貴女は良いことをするのだから」

香夜(歩夢)「分かりました。やります」

深夜「......決断が早いわね。私の発言にそこまで影響があったとは思えないのだけれど」

香夜(歩夢)「私は自分のために働くだけです。それ以外に理由はありません」

深夜「.....え、ええ。じゃあ今夜からお願いするわ。詳細については追って連絡します」

香夜(歩夢)「はい」


深夜「(雪乃と同様に裏の顔があるのかしら。......思いつきで言ったものの、面白いことになりそうね)」


真夜「......」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃・深夜・真夜からの質問責めが続く
偶数:下校
安価下。】

悪なら[ピーーー]よ

>>305 2:下校】

お昼休みが終わり、5時限目・6時限目と立て続けに受け、下校の時間。深夜さんから1つの携帯端末を渡された。どうやらこの端末を使って仕事の連絡をされるらしい

深夜「気をつけることなどは全て入っていますので目を通しておいて下さい。質問等があればいつでもどうぞ。あと、家の住所も入っていますので間違えないようにして下さいね」

その言葉に加えて挨拶をし、深夜さんは雪乃さんと真夜さんと四葉本邸への帰路についた

香夜(歩夢)「.......」

あの時は全てが吹っ切れて決断してしまったが本当にこれで良かったのかと、不安に感じる。使い終わるまで深夜さんは私を捨てないだろう。捨てないからこそ逃れられない

私はこの時代で汚く生きて行くことになるのか

はたまた、『死』を選び全てを捨てるか

教室で立ち尽くす私に誰も話しかけることなく、無慈悲に時間だけが過ぎていく


と、思いきや、

???(先生)「結城さん、どうしたの?」

香夜(歩夢)「ん、あ....いえ、なんでもないです」

???(先生)「本当に?」

香夜(歩夢)「はい、何も」

???(先生)「そう。ならいいけど。早く帰りなさい。それとも部活見学をしたいとか?」

部活.....なんてしてる時間ないよね

霜月さんのくれた高校生活だが始まってすぐに波乱なものとなり、普通の高校生らしい『青春』は望めない

これは私が魔法科高校に進学した時もそうだった。生きる希望をほとんど失った私は自殺志願で入学し、気がつけば指名手配されたり四葉の使用人になったりと、気の休める時はなかったが、それでも身の回りには恵まれた。恋人や親友。普通ではないものの人生を楽しめている

この時代での『青春』や『楽しみ』は望めなくても、私は現代の恋人や親友と『楽しむ』ためにもこの世界から抜け出さなくてはならない。霜月さんが何を思ってこの世界に私を送り込んだのかは不明だがやるべき事を早くなして帰りたい

早く、この世界が普通だと考えてしまう前に


???(先生)「まぁ、悩んでいることがあれば相談に乗るよ。人生の先輩としてね。見たところ、結城さんは重いものを背負っているようだし。雪乃さんと同じようにね」

香夜(歩夢)「雪乃さんが私と同じ.....?」

???(先生)「雪乃さんとは比べ物にならない物だけどね。当然、雪乃さんの方が重いものを背負っている。天涯孤独のようだから仕方がない、とは思うんだけど正直私にはあの子の神経が分からない。おかしいよ、あの子は」

学性生活としては中学時代よりマシになったが、深夜さんと真夜さんと関わるようになり人とのコミュニケーションの暖かさを知った雪乃さんは、より一層に両親に支えて貰えない状況に苦しんでいる、とこの先生は独自の意見を私に述べる

香夜(歩夢)「雪乃さんの中学時代を知っていたんですか?」

???(先生)「知っていた、ってことは結城さんも知っていたんだね」

香夜(歩夢)「.....」

???(先生)「雪乃さんは目立つからね。霜月っていう姓が特に。先輩もおかげで目立っていたし」

香夜(歩夢)「先輩?」

???(先生)「ふふ、なんのことだろうね。話の流れからして察して」

この先生の先輩に雪乃さんのお母さんであり、私の祖母が居た

というか、この人......すごく怪しい。何か、っていうのは分からないけど


【安価です。コンマ1桁
奇数:話が続く
偶数・0:話が終わる(切り上げ)
安価下。】

とぉ

>>309 7:話が続く】


???(先生)「霜月の影響力は高い。下家の四葉とはいえ雪乃さんをすんなりと受け入れてしまったようだし」

香夜(歩夢)「っ.....」

私は瞬発的に数本後ろに下がった。この先生は苗字を変えている深夜さんと真夜さんのことも知っている。普通に生きていたら知らないことまで、知らない方が良いことまで知っている

???(先生)「私の知り合いに上家の霜月が居たんだから四葉について知っていてもおかしくないと思うけどなぁ」

香夜(歩夢)「......」

???(先生)「結城さんがどうして深夜さんと真夜さんの姓が四葉だと知っているかは聞かないでおいてあげるから、ね」

香夜(歩夢)「.....分かりました」

???(先生)「なんなら、その目で私を見てもいいよ。今の貴女では見れないかもしれないけど」

窓から覗く夕日に照らされ、妖しい笑みを浮かべる先生は美しく、麗しく、笑み同様に妖しい

比べて今の私は困惑している表情になっているだろう。隠すことが多い故に目を合わせられない


香夜(歩夢)「私にそんな特別な能力はありません。なんでも見透かせれるような、特別な目は私に無い」

???(先生)「せめて目を合わして言えば説得力あったのに残念。まぁいいや、本題の話をしよっか。これから貴女が私に聞けるのは1つ」

???(先生)「1つ目、貴女が過去に戻るためのヒント」

???(先生)「2つ目、1つ目の段取りを全て無視して真実だけを聞く。ネタバレみたいなものだね」

???(先生)「3つ目、私について」

???(先生)「この中からだと、どれがいい?結城香夜さん」


【安価です。どれを聞くか
1.過去に戻るためのヒント
2.1のヒントではなく答え
3.先生について

2の場合、学生生活はすぐに終わります(深夜のバイトをやらずに、という訳にはいかないので学生生活は短期(あと2日くらい)です)
1と3はやるべき事をやるまでこの時代での生活が続きます
安価下。】

>>312 3.先生について】


過去に戻るためのヒント、と言っている時点で私の事情は全て把握されている。私が霜月の人間であることも、母親が雪乃さんであることも知られている(多分)

私が過去に戻るためのヒント、答え、そして全てが謎に包まれている先生の正体。この3つの中で私が最も気になるのは、

香夜(歩夢)「先生について教えて下さい」

???(先生)「あら、予想外。私に興味持ってくれているの?それとも謎に包まれた私について聞き出すことで味方か敵かを判断したいのかな」

香夜(歩夢)「どっちもです」

???(先生)「正直だね。表の雪乃さんにそっくり」

香夜(歩夢)「表?」

???(先生)「おっと、口が滑っちゃった。なんでもない、忘れて。私についてだったね」

表が何か関係があるの?表の雪乃さんが私に関係してる......?というか、表ってなに?


???(先生)「私はなんて言うか.....メッセンジャーみたいな存在。仕事は先輩に言われたことを貴女に伝え、在るべき時代に、まずは過去に貴女を導くこと」

香夜(歩夢)「その先輩は私が.....」

???(先生)「どうだろうね。ただの勘だったのかもしれないし、知っていたかもしれないし」

香夜(歩夢)「.......」

???(先生)「私について話すことってあまり無かったなぁ。好きな食べ物とか聞いても興味ないでしょ?」

香夜(歩夢)「はい」

???(先生)「即答されると結構辛い.....。じゃあ.....私の.....


【安価です。先生の、
1.名前(また別に安価を取ります)
2.得意な魔法について(実践(模擬戦)をします)
3.特に無し
安価下。】

2

>>315 2.得意な魔法について】

???(先生)「結城さんは私の魔法について気になったりしない?貴女の祖母が一応認めてくれた人間の魔法を」

香夜(歩夢)「気に.....なります」

???(先生)「結城さん、先生と模擬戦しよっか」


ー演習室ー

わざわざ模擬戦しなくても魔法を見せることは出来たと思うのは私だけ?

???(先生)「あはは.....そうなんだけど、私も久しぶりに体を動かしたいし、霜月歩夢さんの力も見てみたいから」

ついには私のことを結城香夜と呼ばなくなった。姓はともかく、名前まで知っていたとは......

歩夢「目は使わない方がいいですか?」

???(先生)「ん、使っていいよ。霜月の血を引く者としての力が見たいし」

歩夢「分かりました」

自意識で目を青から碧に変え、この演習室全体を視界に捉える。前方・後方・右方・左方の全てが私の視界。死角はない.....はず


歩夢「私はいつでも」

???(先生)「殺す勢いで来て」

その発言は重く、同時にこの演習室の空気自体が重くなった気がした。ただ、それも一瞬だけですぐに慣れる。これも目のおかげだろうか、それとも私自身がそういう空気に慣れているからなのか私には分からない

???(先生)「5秒後にスタートで。5」

『凄み』みたいなものは先生が「殺す勢いで来て」と発言したとき以来全くない

???(先生)「4」

お母さんと同じように力の制限がハッキリと出来ているとしたら、

???(先生)「3」

お母さんと同じように『凄み』や『威嚇』だけで私を気絶させることができるなら、

???(先生)「2」

私は、この先生に勝たないと一生......え......?

???(先生)「1」

一生、なんなんだろう。何かが出来ない?何かから解放されない?なんとなく思いついたのが一生何かが出来なくて、囚われて、解放されずに後悔する。それこそ予知なのか勘なのか自分で自分を苦しめている

???(先生)「0」

この想いを晴らすにはまずこの先生に勝ってから。その後にまた次を考えよう


【安価です。先生の魔法について。何か案がありましたらお願いします。
4月1日の20時まで】

再幻
エイドスの変更履歴を遡り変化する前のエイドスを魔法式として現在のエイドスに上書きする
再成と違いどんな過去のことでも上書きできるが、最大10分間しか再現できない。
物理的に存在しないものも対象にできる(例:精神、知識etc...)

【オリキャラ安価3】魔法科高校の劣等生 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419577037/669) で募集して使っていないもの

>>318 再幻・>>319 今のところ>>671の色即是空(範囲を指定し、その中に入った物質を超振動させ崩壊させる)を使える機会があれば使う予定です】


まずは先生の出方を伺おうと、自分の前方側180度に障壁を5枚張った。これで後ろ半分はガラ空きだが、前半分はよっぽどの攻撃でない限り逃げることなく相手を見続けれ、

???(先生)「歩夢さん、よそ見しないで」

歩夢「っ、あ.....」

しっかりと視界に捉えていたはずなのに気がつけば先生は真後ろにいた。逃げようと思っても自分で作り出した障壁のせいで逃げられない。......とにかく早く・厳重に自分を守ろうと思って使った前半分だけ障壁を張る作戦は結果として身を滅ぼして終わった

???(先生)「んー、」

先生は首を傾げ、悩んでいる。霜月の目で何を考えているかを察知する限りは私をこの瞬間に倒すか倒さないか

倒せば、本来の目的の得意な魔法を見せれない

倒さなければ、あのタイミングで倒しておけば.....、と思うことになるか結局霜月歩夢は弱かった、で終わるか

???(先生)「......そうだ、ついでに先生として生徒の教育をしてあげる。もちろん実践での経験の積み重ねでね」

たしかに私の実戦経験は自慢出来る程多い訳ではない。それこそ、その実戦経験は今夜からのバイトで積む予定だったが、下手な犯罪集団を敵に回すよりは確実な戦闘能力を持ったこの先生にお願いしたほうが自分のため

お願いというか強制的にされそうだけど


???(先生)「まずは、精神力から」

先生は特化型CADの引き金を引いた。照準は当然私。どんな魔法を.....あれ....視界が......

視界が歪む。眠気にも襲われる。なに.....これ.....

???(先生)「過去改変は出来ないけれど、やれることはやってみたら?」

???(先生)「10分間耐れるか、それとも抗うか」

???(先生)「霜月.....君影歩夢の精神力はどれだけ強いか。私に見せて」


ー???ー

歩夢「.....ぁ.....ここは.......」

私は鉄格子の中に居た。壁や天井、床は薄汚れていて、この鉄格子の中には中学生ぐらいの子供が男女合わせて約20人

私はこの光景に見覚えがある。体験したことがある出来事。そう、それは.....2年前、私が中学2年生の、西暦で言うところの2093年。私が2重人格となったきっかけの.....あの場所と時間。よく見てみると体の成長具合もきっちり2年前となっている。たしかに私は過去の未来で先生と模擬戦をしていたはずだけど......

???1「次はお前とお前だ」

模擬戦をしていたのは事実以外の何でもない。むしろ、この世界が幻術的な何かだと考えるのが妥当。だとしたら.....やり直せる。意識だけの世界だけれど、後悔を拭える。今ここで私が頑張れば今連れて行かれた子供も含めて、助けれる。そうすれば私の一生の後悔は無くなる

組織の2人が子供を2人、あの部屋へ連れて行こうと鉄格子の唯一開く場所を開けている今がチャンス

???1「おい、そこの女何をしている。志願か?」

歩夢「.......」

???1「......○○(???2)、この女もだ」

???2「いいのか?」

???1「大丈夫だ、簡単には死なせない」

???2「......おい、お前も出ろ」

これでこの鉄格子からは抜け出せた。次は隙を突いて逃げ出し、私のCADが保管されている部屋に向かう。そうすれば意識の中だけでも私の後悔は消えて無くなる



【先生の再幻で歩夢にとっての悪夢を意識の中で再現し、精神力を鍛える的なことです。
意識はともかく、魔法や目に関しては後の安価で決める予定です。

安価です。コンマ1桁
4・0:抜け出す隙を見つける
1・2・3・5・6・7・8・9:抜け出せずに連れて行かれる
安価下。】

いけ

>>323 6:抜け出せずに連れて行かれる】


子供1「......」

子供2「......」

今から実験を受ける子供2人を先頭に、後ろから組織の人が指示を出している。そこを右、とかそこの階段を下る、など。そうして行き着いた場所は実験室。もう2度と見ないと思っていた2重人格者を作り出す機会がある。......今すぐにも壊してやりたい

リーダー(尾行者)「そいつは?」

この男の顔は忘れたくても忘れられない。私を尾行し、路地裏で私を捕らえた人間。込み上がる憎悪を押さえ込み、冷静を装う

???1「少し遊ぼうと思いまして。どれだけ強いのかを」

リーダー(尾行者)「.....勝手にしろ」

ここに来るまで、現状況のどちらも逃げ出せれるような隙は全く無い。おかげさまで私の作戦は失敗し、ここからは一か八か、生死を分ける作戦へと変更する。作戦名はAS


歩夢「すみません、」

リーダー「......」

歩夢「あのー、」

リーダー「.....」

歩夢「もしもーし、」

リーダー「......」

歩夢「無視ですか、そうですか」

リーダー「......やっぱりこいつは摘み出せ」

作戦A(煽っていく)S(スタイル)は見事に成功した。私を鉄格子の場所まで戻す役割を当てられたのは???2。人気の無い場所で1:1ならなんとかなる。体の成長はともかく、記憶だけなら水波ちゃんから念のために教わった護身術があるし、威嚇を使える霜月の目の選択肢ももしかしたら残っている


???2「名前は?」

鉄格子へ向かう途中で暇を潰そうとしたのか、組織のリーダーを平然と煽った気の強さだかに興味を持った(と思われる)???2に話しかけられた

歩夢「匿名」

???2「......まぁいい。なかなかの根性しているな。あのリーダーを平然と煽るだなんてなかなか出来ないぜ?」

歩夢「あの人よりも強い人に脅されたことがあるので」

お母さんとか深夜さんとか真夜さんとか霜月さんとか

???2「そうか。じゃあ、これはどうだ?」

???2は私に拳銃(リボルバー)を向けてきた。銃口は私の右目。撃たれたら多分即死。ドラマみたいな展開に私は動揺を隠せない

???2「弾を入れるところは6つ。入っている弾は2発。もしもこれで空発だったらお前の勝ち。お前が死んだら俺の勝ち。どうだ、やってみないか?」

歩夢「......わわわ、私が勝ったら何かあるんですか?」

???2「いや、特にない。ただの俺の暇つぶしだ」

不条理この上ない提案。何をしても私には不利しかない。誰がこんな提案を受けるのか


歩夢「お断り」
???2「断ったら確実にこの場で殺す」

歩夢「やります」

6/6の確率で必ず殺されるくらいなら2/6の確率で生き延びる選択肢をした方がマシ。誰でもこの選択をする。私は不条理な提案を普通の選択で了承した

???2「じゃあいくぜ」

心臓の鼓動音がハッキリと聞こえる。それだけ私はこの状況を危険だと理解し、逃れる術を必死になって探している

そして、私が取った行動は、

歩夢「......1つ、私からも提案があります」

???2「なんだ?」

歩夢「弾を1発抜いて、6分の1にして、交互に自分を撃ち合いませんか?」

???2「俺が死ぬかお前が死ぬか、か。中学生にしては信じられない精神の強さだ。そこは素直に賞賛しよう。尊敬にも値する。だが、やるかやらないかは別だ。やる訳ないだろう」


歩夢「ふふ、貴方に選ぶ権利があるとでも?」

???2「.....頭がおかしくなったか?この状況、どう見ても俺が有利でお前が不利だ。右目に銃口を当てられているお前と、何もされていない俺では火を見るよりも明らかだ」

歩夢「いつでも背後には気を使った方がいいですよ」

???2「.....っ!......何もないじゃないか」

歩夢「ええ、嘘ですから。ただし、今貴方が後ろを向いたことによって隙が生まれた。その隙で私は、」

???2「お前.....CAD無しで魔法を使えたのか」

まさかこんなに上手く事が運ぶとは思っていなかった。まず最初に冷静を装い『有利な相手にとっての不条理な提案』をし、当然受けるわけがない、と反応する相手に隙を作らせる。ここが関門だった。後ろを向いて貰えなかったら計画は全て破綻し、不利な状況が更に不利な状況となっていた。相手が後ろを向いている間に私は偶然近くにあった手すりに滴っていた少量の水を針程度の小さく、細い氷に変えて拳銃を持っている手の手首に0距離で当てた。手首は人間にとっての急所。相手が引き金を引こうとすた瞬間に手を振りかざせば相手の手首は切れ、血を流し、大量出血で死に至る


もしもに備えて四葉からのシミュレーションを受けていなければこんな案は思いつかなかった。昔の私なら、思いついても実行しない作戦。この数ヶ月での自分の変化に気づかされた

???2「.....いいだろう。受けるしかないからな。ここで死ぬのも俺は不本意だ」

???2は拳銃から1発の弾を抜き、私に確認させた後にランダムになるように弾倉(?)を回し、撃てるようにセットをした

この人、思っていたよりも覚悟がある。聞き分けもいいし、こんな状況でも一切取り乱したりしない。......この勝負、私の方が不利かも

???2「俺が最初か?それともお前か?」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:歩夢が先
偶数:???2が先
安価下。】

でやっ

>>330 7:歩夢が先】

成功するかはともかく、新たな作戦を成功させるためには先を取らなくてはならない。でも、自分から先と言うのには抵抗がある。先だから死ぬ可能性が高くなる、とかではなく『自信』を見破られそうだから。自然と私が先を取る方法は.....これも運に任せるしかない.....か

歩夢「どちらがいいですか?」

???2「.....先」

歩夢「.......」

???2「いや、後だ。最後の1発は俺に回ってくるが、5/6で弾が出ないはずがない」

この人は典型的な確率を信じる人。おかげで私の考えている作戦が成功に一歩近付いた

歩夢「じゃあ私が先ですね」

しかし、一発目で弾が出る可能性もある。こういう時に限って1/6を引くのがいつもの私。でも、私は負けない

拳銃を受け取り、銃口を頭に当てる。この時に???2に銃口を向ける、という考えもあったが、この人がもう1つの拳銃を持っている可能性もあったし、何よりこの人には正々堂々と勝負をする意識がある。馬鹿馬鹿しいことだが、私も正々堂々と勝負をしてみたいと思うほどに


???2「制限時間はそうだな.....1分だ。1分以内に撃たなかったら負けだ」

歩夢「分かりました」

その瞬間に、乾いた音が響いた

???2「なっ.....」

歩夢「次は貴方です」

???2「......あ、ああ」

先行を取ることを第一段階だとしたら、第二段階は成功した。第二段階は躊躇なく引き金を引くこと。そこで弾が出たら私の負けだし、出なければ相手を追い詰めることができる。その証拠に???2は汗をかいている。あとは3発目、5発目を回避出来れば私の勝ち。もしその過程で???2が死ねば作戦は無かったことになるし、死ななければ恐らく作戦は成功するだろう

???2「......」

歩夢「10秒経過です」

???2「......」

歩夢「20秒」

???2「.....」

歩夢「30秒」

???2「.....っ、」

2度目の乾いた音が響いた。???2は1/5を引かずに、生き延びた


???2「次はお前だ」

???2は汗を拭い1/4となった拳銃を私に手渡す。拳銃を受け取った私は1度目同様に頭に銃口を当て、

???2「せいぜい苦しむ顔を見せてくれよ」

歩夢「残念ながら、それは出来ません」

全くに躊躇を見せずに引き金を引いた

???2「......お前、かなり狂ってるぜ」

歩夢「これでも冷静を装っているんですけどね」

これで私が死ぬ可能性のある機会は残り1回。勝つか、作戦を成功させるか、死ぬかの3択。運はどちらを味方するのか。......緊張するから運任せなんてしたくないんだよ.....


???2「.....」

歩夢「30秒です」

???2が拳銃を頭に当ててから30秒が経過した。???2の額にはさっきとは比べものにならないほどの汗が浮かんでいる。それだけ緊張しているということ。私にとって都合の良い展開だ

???2「はぁ....はぁ....お前、よく躊躇なく撃てるな......」

歩夢「......40秒です」

???2「.....っ.....はぁっ.....はぁ.....」

歩夢「拳銃自殺をしようとする人がどうしてこめかみに銃口を向けたり、口に銃口を入れるかご存知ですか?」

???2「そ....そんなことは....どうでもいいだろ」

歩夢「確実に死ぬため、だそうです。こめかみに当てれば銃弾は脳を損傷させ、死に至ります」

???2「.....っ.....はぁ....」


歩夢「口に入れて撃てば背骨の中にある脊髄を破壊し、脳からの指令が身体に届かず、死に至ります」

歩夢「どちらかと言えば口に入れて銃口を少し上を向けて撃つと更に確実に死ねるそうですけどね」

???2「はぁ....っ....ぁぁ.....」

歩夢「......次からは口に入れてやってみますか?」

???2「ぁぁぁぁ....うっ....」

???2は大量の汗を流し、呼吸を荒く乱し、その場に倒れこんだ。確認するまでもなく、この男は気絶している

歩夢「はぁ....疲れた」

こちらもかなりの命懸けだった。拳銃を拾い、弾が何発目に入っているかを確認してみると次の次だった。次は???2。次の次は私。ここで???2が気絶していなかったら私は死んでいた

歩夢「......」

余韻に浸ってる時間はない。拳銃と弾を数発分???2から拝借し、私は急いで向かう。CADが保管されている部屋。そして、あの実験室へ


【安価です。CADを保管している部屋に敵が コンマ1桁
奇数・0:いた
偶数:いなかった
安価下。】

>>337 1:いた】


この施設の構造は複雑ながらも、人生で最もと言ってもいい程の『事』が起きた場所だという認識で嫌でも道を覚えている。???2を倒してから3分後、最短距離で私のCADが置かれている部屋へと辿り着いた。気配を読んでみる限り、この部屋には敵が1人居る。私は拝借した拳銃を握りしめ、先制で攻撃できるように落ち着いて扉を開ける

???3「.....ん?誰だ? ???2か?.....違うな、脱走者か」

歩夢「.....ごめんなさい」

謝る必要なんてないのに詫びを口にし、握りしめていた拳銃で両手両足の急所を外した場所に1発ずつ狙い撃つ。弾は見事に貫通した。これでこの男は動けない

???3「おいおい、....痛いじゃないか。殺してやる殺してやる殺してやる」

歩夢「......っ」

???3は辛うじてまだ動く腕(手首にブレスレットの形をした汎用型のCADを付けていた)を私に向け、魔法を発動した。発動した魔法は属性で言うと『火』。油断していた私は避けきれず、足に軽い火傷を負った

.....この程度ならほとんど支障はない。でも、この小さな怪我が運命を左右することだってフィクションの世界ではあり得る。フィクションの世界であることは現実の世界でも多少なりともあること。あと少しで、この怪我がなかったら.....、みたいな展開が起こらないことを祈るばかり

私は1度物陰に隠れ、残り全ての弾を拳銃に装填する。残り5発。魔法視点から見ると重火器なんて物はデジタルとアナログくらいの差だということくらい魔法師として理解している。理解した上で勝つためには......どうしよう


???3「っ....おい、出てこい。5秒以内に出てこなかったら全部燃やす」

拳銃一丁、全5弾で1発でもいいから???3に当てる方法.....考えれば見つけれるはず......

???3「3」

あと3秒....時間がない

???3「2」

自分を信じてCAD無しの魔法に挑戦するべきか.....?でも、この中学2年生の体は自分の物でも信用ならない。いつもの私のあの体なら信用できたのに......

???3「1」

勇気を出して飛び出して、5発撃って、当たるか当たらないかで命懸けの運試しでもするか

???3「0」

歩夢「っ.......っ!」

物陰から飛び出し、敵に向かって5発連続で運任せに撃った。これでも一応走っている人の指にはめられた指輪に付いている石に命中させれる程の射撃センスを持っている私。じゃあ2年前の私はどうなのか


【安価です。コンマ1桁
奇数:命中
偶数・0:命中するはずだった(火で銃弾を灰にされた的な)
安価下。】

>>340 5:命中】


???3「ぐっ.....」

銃弾は5発全て命中した。???3はその場に血を流し、倒れこんだ

......なんか、呆気なかったなぁ。それだけまだ生きているんじゃないかと不安になるけど.....大丈夫だよね

恐る恐る???3が倒れていることを確認しながら、部屋の倉庫の引き出しに入っているこの時代の私のCADを手に取り、あの実験室へ向かう



実験室に着くまでに何人かの敵と遭遇したが、CADを持っている私に敵はおらず、無双できた

歩夢「.....」

そして、実験室の扉の前までやってきた。考えている暇はない。CADを握りしめ、力強く扉を開ける。実験室内に居たのは3人。この人数だったら.....!

リーダー「.....」

???4「???2が連れて行ったやつ......殺しますか?」

リーダー「死なない程度に痛めつけてやれ」

???5「死なない程度に?」

???4「半殺しってことだろ」

???5「半殺しって.....何をしたら半殺しなんだ?」

???4「人体の骨は全部で206本。よって、半殺しは103本折ればいい」


歩夢「.....えいっ」

???4「やるぞ」

???5「.....ちょっと間待て。なんか寒くないか?」

???4「そういえば......」

???4と???5は凍りついた。私のなんとなく使用したニブルヘイムによって

.......え?こんなに呆気ないの?CADのあった部屋に居た人よりもずっと弱いんだけど.....

リーダー「この魔法は.....ニブルヘイムか。お前なら我々の実験を成功させることが出来るかもしれない」

歩夢「実験の内容はどうでもいいです。死んでもらいます」

リーダー「落ち着け。話は後だ。先にこの死体を......」

2重人格を作り出すカプセルのような機械から出てきたのは子供2人の死体。.....もっと私が急いでいたら......

......悔やんでも仕方がない。この男を殺すことが最優先


歩夢「貴方が死ねば全てが終わります」

リーダー「.....じゃあ俺を殺せばいい。殺せれば、だけどな」

歩夢「ーーーっ!」

振り向くとそこにはニブルヘイムによって凍ったはずの???4と???5がCADを構えていた

???4「茶番に付き合わされた俺の身になって欲しいものだな」

???5「俺たち、だろ」

歩夢「どうして.....」

???4「考える必要はない。お前は死ぬだけだからな」

???4と???5はCADを捨て、体術で私を抑えに来た。私と相手の距離はそれぞれ2歩分くらい。間合いはすぐに詰められ、私は魔法も発動できずに押さえ込まれる


歩夢「......」

リーダー「???2はどうした?」

歩夢「......どこかで気絶しているんじゃないですか」

リーダー「???3は?」

歩夢「死んではいないと思います」

リーダー「そうか。分かった。......???4、1人連れてこい」

???4「この瞬間に殺さないんですか?」

リーダー「こいつは成功しそうな気がする。そうだな.....あの瓊々木ってやつを連れてこい」

???4「あぁ.....あの女か」

???4は実験に使う子供を1人連れに、鉄格子の方へと向かった。この場に残ったのは???5に押さえ込まれる私と私を押さえ込んでいる???5とリーダーの3人。逃れられる可能性は高まったが、押さえ込まれている私は何も出来ない。CADもまた奪われちゃったし.....


しばらく待つとその瓊々木っていう子が連れてこられた。黒い髪が綺麗な子で、目も青色で私と似ている。親戚?と思ってしまうほど私に似ていた

???4「早速やりますか?」

リーダー「ああ」


瓊々木「......君影歩夢」

歩夢「......?」

この子、なんで私の名前知ってるの? ???4に聞いたとか?というか、何処かで見たことある子だ。何処で見たんだっけっかなぁ.....

瓊々木「雪乃.....さんに言われているから。私が助けたいの貴女ではなく、霜月だということは勘違いしないでね」

歩夢「どうしてお母さんと霜月を....」


???4「どうしますか?」

リーダー「構わず入れろ」



瓊々木「......まずは貴女のCADから」

瓊々木....さんはCAD無しに魔法を使用した。使用したのは.....なんだろう。自身を加速させ、相手を減速させる....神座と天邪鬼のような魔法

瓊々木「私は歩夢と違って5秒しか持たないけど、.....この程度の相手なら十分」

瞬く間に???4と???5の急所に氷の刃を当て、敵を気絶.....多分、殺した。CADも無しにあの魔法は.....何者?

瓊々木「ほら歩夢、あの男を殺すんでしょ」

歩夢「あ.....うん」

瓊々木「やるなら早く」

歩夢「わかり....ました」

CADを受け取り、リーダーにCADを向ける。これから私が使うのは雲散霧消。ニブルヘイムはさっき破られたからこれで確実に殺す

リーダー「......残念だが、お前は俺を殺すことはできない。なぜなら、」

リーダーは懐から拳銃を取り出し、迷いなく引き金を引いた


歩夢「......」

まさかの結末。.....何はともあれこれで恐らくこの施設に居る敵組織の人間は全て戦闘不能となった

瓊々木「歩夢、これで終わったけれど、貴女はこれからが大切だということを忘れないで。まぁ、私が付いているから大丈夫か」

歩夢「......?」

瓊々木「じゃあね、霜月......君影歩夢」


歩夢「......ん.....」

???(先生)「やっと起きた。精神力は合格かな」

歩夢「.....あの世界は.....」

???(先生)「私の魔法。貴女にとって最も苦しかった時を再現した、ってとこかな。歩夢さんが受けた結果とは違う結果になったようだけど、私がしたかった試験は成功ということで」

たしかに私の人生を大きく変える出来事でイメージは強かったものだけれど.....なんだかモヤモヤする。あの瓊々木って子について特に

???(先生)「とりあえず今日したかったことは終わったから帰っていいよ」

歩夢「はぁ.....」

元の世界に、現代に戻ったら『瓊々木』について調べれば瓊々木については解決する。あと気になるのは先生の魔法について.....かな


【最後の方かなり投げやりになってしまいました.....

安価です。
1.深夜のバイトまで省略
2.省略しない
安価下。】

1

>>349 1.深夜のバイトまで省略】


深夜さんに頂いた携帯端末のナビに従って数km徒歩で帰路につき、約1時間をかけて深夜さんが貸してくれた家に到着した。家の大きさはかなり大きい、とだけ。少なくとも1人で済むような家ではない

そういえば鍵持ってないけどどうやって入るんだろう?、と思ったら特定の人が扉の前まで来ると自動でセンサーなどが働き、開くシステムになっていた。さすがお金持ちの用意した家

家に入りまず最初に私は家の中を1周した。1階と2階、リビングや私室らしき場所、洗面所、脱衣所、浴室など。外装も内装も全て新品のような美しさでこのために造ったんじゃないかと疑ってしまう

私室らしき場所を私室とし、まずは着替えをする。クローゼットに入っていたのは私服っぽい服とスーツとドレスと黒いフード付きのロングコート

私服っぽい服はいい。スーツもまぁ....うん。黒いフード付きのロングコートはバイトで身バレを防ぐために使うものだろう。沙夜さんと千夜さんがやっていたように。そして私が最も気になったのはドレス。.....私を何かのパーティ出席させないことを望むばかり

とりあえず私服に着替え、リビングでソファに座りのんびりと紅茶を飲みながらテレビを見る


歩夢「.......」

最近は真夜さんの下で働いたり、霜月が〜〜、とかでこんな生活とは無縁だったせいか凄く平和に感じる。数時間前まで雪乃さんと模擬戦をしたり、謎の先生の謎の魔法にかけられたことなんて嘘のようだ


それからはのんびりと過ごし、夕食は寂しく1人で取り、深夜0時。携帯端末に深夜さんから着信があった

深夜『もう気付いているとは思いますが、黒いフード付きのロングコートを着て組織を倒しに行ってください。場所等の情報は後でメールで送ります。必要な人材が居たら遠慮なく仰ってくださいね』

コピー魔法や霜月の魔法、霜月の目を使っているところは見られたくない。少し危険だけど、

香夜(歩夢)「いらないです。1人でなんとかなります.......多分」

深夜『分かりました。敵は倒したらそのままで結構です。ただし、終わったら連絡を下さい。連絡を受けた後に処理係を送りますから』

香夜(歩夢)「了解です」

深夜『それでは死なないように頑張って下さい』

香夜(歩夢)「はい」

電話が終わると同時に敵についての情報が送られてきた。

人数:20人
武器:重火器・CAD
難易度:★★★☆☆
備考:薬物の売買から暗殺まで手掛けている組織
場所:ナビ参照

難易度のところに少しクスッと来てしまった。ゲームみたいな表記だ。場所はナビを参照にすればいいとして、問題は移動手段。.....徒歩?



黒いフード付きのロングコートに身を包み、何かの拍子にフードが取れてしまったり正面からライトを当てられて顔がバレる、ことを避けるために仮装行列でお面を作った。どうせ仮装行列を使うなら歩夢の姿から香夜に変わればいいんじゃないか.....?という指摘は受け付けません

肝心のお面の顔?は、定番なところで言うと天狗。しかし、あれは少し怖いので、お祭りで定番な戦隊物のキャラクター、もあまり興味ないので私が選んだのは猫の地縛霊、ジ◯ニャン。水波ちゃんの学校でも流行っているらしい(水波ちゃんはそこまで興味ないようだ)。あえてこの時代から未来の時代に流行っている物を選択する私の選択意識はともかく、これで顔は隠れる

姿見に今の自分を映し出してみると、......なんか微妙だった。やっぱり猫の地縛霊の選択が駄目だったのだろうか

それから約5分間、考えに考えた結果、もうお面いらないんじゃない?という結論に至り黒いフード付きのロングコートに身を包み、例の敵組織が潜んでいるという街外れの廃墟へと徒歩で向かう

しかしまぁ、黒いフード付きのロングコートを着ながら深夜の街を歩いているとかなり視線を感じ、挙句の果てには職務質問されるんじゃないかと不安になったのでコートの上から仮装行列で私服を作り、移動することにした。街を出たら仮装行列を解除してコート姿に戻ればいい


【今回はここまでにします。
先生の再幻で出てきた瓊々木は咲夜です。かなり久しぶりの登場と共に、若干口調変わっていましたね.....すみません。
次回は深夜のバイト(多分短く終わると思いますとこの時代から見て過去の霜月(さん)が居る世界での話を少しやれたらな、と思っています。

安価です。コンマ1桁。雪乃が歩夢のバイトしている姿を
奇数:隠れて見に来る
偶数:見に来ない
安価下。】

ほい

>>353 0:見に来ない】


家を出てから3、40分間歩き続け、街外れの廃墟近くまでやってきた。ここに敵組織が潜んでいる。まぁ、怪我だけは避けていく方向で程々に頑張ろう

霜月の目を使い、情報通り廃墟に20人の敵が潜伏しているかを調べたところ、15人が中に居て、残りの5人は廃墟外で監視をしていた。まず最初に監視の5人を倒してから、中に入ればいいのかな

問題は倒す方法。下手に音の出る魔法で倒すと廃墟に潜んでいる残りのメンバーに敵襲がバレて荒事になる。となると、魔法を使わずに確実に倒す必要がある。偶然にも私には条件に見合った倒す方法を取得していた。それは、霜月の目を使い敵に威嚇をして倒すこと。今回の場合は威嚇というよりは威圧になるんだろうけど、細かい事は気にしない

もう眠いからさっさと片付けて帰ろって寝よう。明日も一応学校があるようだし

敵A「うっ....」

敵B「な....」

敵C「っ....」

敵D「敵襲....か?.....」

敵E「く.....」

ここまで来たら廃墟に居る人達も威圧で倒せばいいんじゃないか、と思い始めてきた

......威圧で倒すか



香夜(歩夢)「終わりました」

深夜『もう終わったの?早いわね』

現時刻は0時55分。深夜さんからの連絡を受けたのは0時ちょうど。それからお面やらを考えるのに5分と少々。移動に3、40分。この廃墟に着いてから数分で敵を殲滅(気絶)させたことになる

もう少しゆっくりしてから連絡入れたほうが良かったかな......

深夜『手段等については聞かないから安心して下さい。では、処理の係をそちらに送りますので香夜さんはご自由にどうぞ』

香夜(歩夢)「分かりました」

早く帰って寝よう。数時間後には学校に通わなければならないんだし

深夜『今回は敵の殲滅でしたけれど、お仕事の内容は多種多様ですからね。パーティーにスパイとして参加したり、ね』

あのクローゼットに入っていたドレスを使うときが来るのか。嫌だなぁ

深夜『それではまた数時間後に』

深夜さんももう眠いのか突然と話を切られた。......帰ろっと


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:学校に遅刻する
偶数:遅刻しない
安価下。】

はあっ

>>356 8:遅刻しない】


家に戻った時刻は午前1時30分。それからシャワーを浴びて、ぼーっとして、ベッドに入ったのは午前3時。不健康な生活だ。明日からは遅くても2時くらいには寝れるようにしないと、倒れる

健康を意識した生活リズムにしなければ。朝食、昼食、夕食を自炊して・・・


ー6時ー

結局寝たのは午前4時くらい。疲れが全く取れずに、私はフラフラのまま朝食と昼食のためのお弁当を作り、朝食をとり、深夜さんの良き計らいで用意して貰った教科書や筆記用具を鞄に入れ、登校した

登校なんてかなり久しぶりだ。学生してる。しかし、学生にとっての職場である学校に登校する時間のことを考えたら住み込みで社会人として働いていた方が楽なんじゃないかと思う

色々と学生生活の辛さを改めて感じ、気が付けばもう学校。めんどくさいなぁ、と心の中で思いながら校門、下駄箱、そして教室に着く。雪乃さんと深夜さんと真夜さんは既に教室に居て、早速話しかけられる。深夜さんに

深夜「香夜さんは甘いですね。気絶だけで済ませるだなんて」

香夜(歩夢)「殺すのは気が進みませんから」

深夜「いつか後悔しますよ」

香夜(歩夢)「......」

深夜さんに「殺せ」と言われれば殺さなければならない。しかし、「殺せ」と言われなければ殺さない。手段はともかく、殺しだけはできる限りしないようにしないと、私が私でなくなる


【安価です。実習(魔法)があるかどうか。コンマ1桁
奇数・0:ある
偶数:ない
安価下。】

ほい

>>358 6:ない】

今日の授業の科目は数学・化学・現代文・歴史・古典・地理。全体的に大変そうなものばかりだった。この中で出来るのは現代文と歴史と地理のみ。数学と化学と古典は....


ー1時限目・数学ー

言うて、私が出来ないのはテストのみであり、授業中はその時間に習っているせいか並々には出来る。しかし、前の時間でやった◯◯、となれば話は別で全くできない

一応、前の時間でやったことの復習は軽く触れているおかげで.....うん。私の出来なさの加減については深夜さんの口元が軽く笑っていた、とだけ


ー2時限目・化学ー

元素記号やら化学反応やら

知りません


ー3時限目・現代文ー

深夜「国語は出来るようね」

香夜(歩夢)「現代文だけです。古典は全く」

深夜「随分な偏りね.....」


ー4時限目・歴史ー

歴史はいつの時代から見ても変わらない。歴史で重要な部分は全て暗記していたので、特段困ることはなかった


ーお昼休みー

私は昨日同様に屋上に来ていた。教室や食堂で1人で食事をしている姿は中学時代の私ならともかく、今の私からしたら周りの目線がかなり辛いので、人目がない屋上で昼食をとる


【安価です。雪乃・深夜・真夜が屋上に来るかどうか。コンマ1桁
奇数・0:来る
偶数:来ない
安価下。】

ほい

>>360 9:来る】


屋上に1人ぽつんと座り、今朝作ったお弁当を孤食しようと、

香夜(歩夢)「いただきます」

私のために死んでくれた動物や野菜などを作ってくれた農家の方々に挨拶をし、食べようと思ったその時、

雪乃「また1人?」

雪乃さんと深夜さんと真夜さんが屋上にやってきた。また一緒に食べることになるのだろうか

香夜(歩夢)「友達とか居ないので」

ぼっちの意識の高さを知らしめようと思ったが、よくよく考えると雪乃さんも中学時代は......アレで私と同じような境遇であることから、ぼっちアピールしても反応は薄いのかもしれない

雪乃「じゃあ私たちが一緒に食べてもいい?」

昨日から思っていたけど、雪乃さんのコミュニケーション能力は私と段違い。血の繋がった母娘とは到底思えない。深夜さんと真夜さんの存在が大きいのかな。だとしたら達也くんと深雪ちゃんは深夜さんと真夜さんほどの影響力を持っていないということだろうか。うん、分からない


香夜(歩夢)「どうぞ」

私の右隣に深夜さん、深夜さんの右隣に雪乃さん、雪乃さんの右隣に真夜さん、真夜さんの右隣に私、という円の形に座り、私は自分で作ってきた物を、雪乃さんと深夜さんと真夜さんは雪乃さんが作った物を食べる

私のお弁当は冷蔵庫にあったものを 健康 を意識して作ったもので、特別豪華ではない。しかし雪乃さん達のお弁当は昨日同様に高級なお弁当。お金持ちだなぁ、ってつくづく思う

雪乃「香夜、少し貰ってもいい?」

香夜(歩夢)「あ....はい」

私が返事をした時には既におかずは奪われていた。雪乃さんは私の作ったおかずを口に含み、

雪乃「....ん?」

何かに気付いた、何か感に触ることが起こったようだ。そして私は今更気がつく

真夜「どうかしたの?」

雪乃「気のせいだとは思うけど、香夜のお弁当、深夜の味付けに似てた」


深夜「香夜さん、誰に料理教わったの?」

香夜(歩夢)「.....母と母の友達2人に」

深夜「嘘は言っていないようね.....」

賭けで嘘を言わなくて良かった。本当の事ではあるけれど、詳細を詳しく説明していないからバレないはず

雪乃「へー、香夜が私の娘だったりしてね。その場合、香夜に料理教えたのは深夜と真夜になるから」

香夜(歩夢)「!?」

おおおお落ち着くんだ、私。動揺を見せるな。深呼吸をして......素数を数えよう。素数の定義は1とその数でしか割れない数字だから.....あれ?そうだっけ?

深夜「信じられない話ではあるけど、今の香夜さんの反応と雪乃に似ているということを考慮すると......」

真夜「香夜さん、正直に話せば楽になれるんじゃないかしら」

歩夢「.......」

やっぱりこの人は怖い。話しているだけで寿命が短くなっているのを実感できる


【安価です。コンマ1桁
1・2・3・5・6・7・8・9・0:嘘を言って隠し通す
4:嘘を言って隠し通そうとしたが、嘘を見破られ・・・
安価下。】

ほげー

>>364 1:嘘を言って隠し通す】


ここでバレたら何をされるか分からない。未来に何があるか、どうやってこの時代に来たかを根掘り葉掘り聞かれ、私のよく知る時代へのタイムパラドックスが起こってしまう。それだけは回避しなければ

香夜(歩夢)「ぐ、偶然です」

深夜「......」

真夜「......」

四葉の女性特有の冷たい視線を向けられ、私の心は折れかけている

香夜(歩夢)「本当に.....」

真夜「私の流星群も知っていたようだし、......雪乃の娘ならそれこそ 本当に あり得るわね」

深夜「神座と天邪鬼について、私たちの名前についても知っていた。これはもう.....」


香夜(歩夢)「......」

雪乃「深夜、真夜、落ち着いて。香夜が私の娘だなんて非現実的でしょ?」

現実です。しかしここでの救いの手はありがたい。もしかしたら.....

深夜「.....それもそうね」

真夜「少し先入観に囚われていたわ」

雪乃さんの一言でここまで変わるか。意外とこの2人って結構ちょろいのかもしれない

深夜「なんだか失礼なことを思われている気がするけれど......まぁいいわ。常識的に考えて香夜さんが雪乃の娘なわけないものね」

この場しのぎの嘘で真実を隠し通したのはいいものの、いざ真実を話すときがやってきたら私は精神的に殺されるかもしれない。そう考えると......どうして早い内に真実を打ち明けなかったのか、と過去の自分を恨むことになる。真実を話す機会無しにこの時代でやるべき事が終わってくれたらいいんだけど.....


【安価です。話の話題
1.恋愛
2.魔法
3.香夜(歩夢)のバイトについて
4.その他
安価下。】

>>367 1.恋愛】

私が雪乃さんの娘なんじゃないか、という話は終わり、次は恋愛の話になった。このメンバーで恋愛話なんて想像も出来ない。いや、今この状況が現実なんだけど。深夜さんも真夜さんも嫌そうな顔はしていないのでこの話題が嫌い、という訳ではないようだ

雪乃「香夜はCADを作っている人が好きなんだっけ?」

それだけ聞くとCADを作っていれば誰でもいいように聞こえるけど、間違いの指摘も面倒だしこのまま話そう

香夜(歩夢)「まぁ....はい」

雪乃「結婚は?」

香夜(歩夢)「彼の叔母に半ば強制的に婚姻届を書かされました」

真夜「叔母.....ね」

そこだけに反応するところは流石本人と言うべきか


香夜(歩夢)「彼の母はその妹と結婚させようとしていたみたいですけどね」

雪乃「同性結婚?この国では認められていないはずだけど......」

ここに来て墓穴を掘ってしまった。女性同士でも子供が出来るなんとか細胞が発見されるのはこの時代から見て数年、数十年後。なんとか細胞が見つかっていないこの時代では男女の結婚以外は認められていない。すぐに何かしらのフォローを考えないと......

香夜(歩夢)「今のは言葉の綾というか....」
深夜「不可能ではないわ。ねぇ、真夜」

真夜「......ええ、そうね。姉さん」

不穏な空気。どうして姉妹が一言交わすだけでこんなにも空気が一変するのか

雪乃「同性結婚って出来たっけ?」

深夜「雪乃、」

雪乃「あ.....そうだね。出来た....ような出来なかったような。ううん、出来た気がする」

私が未来から来たんじゃないかと探りを入れるために集団で私をいじm....じゃなくて、嘘を言ってボロを出させようとしている。そう簡単に引っかからないから。.....もう遅い?


深夜「それで、その妹さんは今この場に居る4人の中だと誰に似ているの?」

香夜(歩夢)「み、.....深夜さんです」

深夜「ふーん....そう」

もう気づいてるよね?気づいた上で私をいじめているの?

真夜「香夜さんの彼氏はどんな人なの?」

香夜(歩夢)「妹に優しい」

真夜「他には?」

香夜(歩夢)「周りに女の子が多い」

真夜「他には?」

香夜(歩夢)「少し意地悪」

真夜「でも、」

香夜(歩夢)「......好き」

雪乃「純愛ね。もし香夜が私の娘だったら絶対にその男性にあげない。女の子が周りに多く居る男性なんて信じられないから」

......未来では認めてくれたのに。むしろ、貴女も達也くんの叔母である真夜さんと共に結婚を半ば強制しました


雪乃「でも、深夜の息子だったらいいかな。そうすると深夜と真夜は親戚になるんだし」

深夜「既に上下関係が出来上がっているでしょう。数十年前から」

雪乃「私が欲しいのは対等な関係」

深夜「霜月と四葉の関係はいつになっても変わらないわ」

雪乃「......」

深夜「......」

真夜「......」

香夜(歩夢)「.......」

なにこの沈黙の間。深夜さんが何か変なこと言った?

深夜「無反応....」

雪乃「結構危ない橋を渡ったと思うんだけど」

真夜「香夜さんは四葉を知っているようね」

し、しまったー。またハメられた。もうやだ。落ち着いてお昼休みもろくに過ごせない


深夜「どうして知っているかは今は聞かないわ。ふふ、面白いわね、香夜さんは」

香夜(歩夢)「いや....あの.....そう、話を聞いていませんでした。四葉って何ですか?」

真夜「香夜さん、もう諦めなさい」

香夜(歩夢)「......はい」

もう帰りたい、元の時代に

雪乃「話すを戻して、もし香夜が私の娘だったとしたら深夜は自分の息子を香夜と結婚させれる?」

深夜「嘘に塗り固められた人と結婚させるのは......」

私に嘘を言わせているのが貴女達であるだなんて言えない

雪乃「香夜が正直になったら?」

深夜「いいって言えば」

雪乃「良かったね、香夜」

もう騙されない


香夜(歩夢)「気持ちだけ受け取っておきます」

雪乃「現実として受け取ればいいのに」

婚約した仲なのでもう受け取りました

真夜「香夜さんは言葉遣いを変えれる?」

四葉に嫁入りするためには言葉遣いを含めてお嬢様らしくしなければならない(多分)。いつもは普通に話す私だが、それくらいの技術は身につけている。でも私は控え目にいく

香夜(歩夢)「多少は」

あえて完璧でないと言えばいざという時に言い逃れが出来る

......なんか私ってどう逃げるかを常に考えているような人間になっているが、気にしない.....気にした方がいいのかな

真夜「それなら安心です」

雪乃「私の娘だから当然だよ」

騙されない騙されない。雪乃さんの娘設定で話が進んでいるけど気にしたら負けだ


真夜「雪乃は出来るの?」

雪乃「毎日深夜と真夜の側に居れば嫌でも覚えるよ」

真夜「貴女も一応お嬢様なのに」

雪乃「私の家は普通を前面に押し出していくタイプなの」

そうなの?初めて聞いた

真夜「どうでもいい」

雪乃「......真夜、結構今のは傷ついた」

私は傷ついたというより、真夜さんの話をバッサリ切るところに感心した

真夜「良かったわね」

雪乃「深夜.....真夜がいじめる」

深夜「そう」

興味なさそうに、適当な返事をする深夜さん。この姉妹......自覚はないんだろうけど、なかなか人を傷つける行為を平気でするなぁ

雪乃「もう.....この姉妹は......」

雪乃さんも苦労してる。それでも一切嫌そうな表情をしないところが素敵。深夜さんも真夜さんも楽しそうだし


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:恋愛話(?)が続く
偶数:お昼休み終わり
安価下。】

>>375 2:お昼休み終わり】


雪乃「香夜、教室戻ろう。もうお昼休み終わりだから」

香夜(歩夢)「そう....ですね」

今日のお昼休みは散々だった。話していて楽しかったのは認めるけど、深夜さんと真夜さんからの視線がキツくなった。鋭く冷たい視線で、疑われている。まるで犯罪者扱い。もう.....


ー5時限目・古典ー

深夜「本当に偏ってるわね。雪乃はなんでも出来るのに......」

香夜(歩夢)「......誰にでも得意不得意はあります。雪乃さんは雪乃さん、私は私です。もし私が雪乃さんの娘だったとしても仕方がないことです」

深夜「その考えも含めて、貴女は面白いわ」

香夜(歩夢)「......」


ー6時限目・地理ー

地理は勘とか暗記任せなので、どうにかなる。うん、......以上です


ー放課後ー


【安価です。放課後
1.1人で帰宅
2.雪乃・深夜・真夜が家に来る
3.先生に呼ばれる

1の場合は1人の時間
2の場合は家で雪乃・深夜・真夜と話します
3の場合は先生に呼ばれて2人きりで何かします(魔法)
安価下。】

>>377 2.雪乃・深夜・真夜が家に来る】


放課後になり、変な事が起きる前にさっさと家に帰ろうと周囲に気を配り校門を抜け、昨日同様に約1時間をかけて徒歩で帰宅をする

ようやく1人の時間が設けられた。明日に備えて雪乃さん達から逃れる手段を考えなければ、と思いながら玄関の扉を開けると、そこにあるのは当然玄関。私が気になったのは玄関にある物について。どうして学校用のローファーが3人分あるの.....?

ま、まさか.....いや、これは深夜さんが予備として用意してくれた靴だと信じーーーー

雪乃「お帰り、香夜」

私は雪乃さんに反応を返さず、警察に連絡を入れようとした(未然に防がれた)



ーリビングー

香夜(歩夢)「不法侵入ですか?」

深夜「所有物の家に入るのに理由は必要?」

そもそもこの家は深夜さんの家というよりは四葉家が用意した家。深夜さんと真夜さん、そして四葉で働いている雪乃さんが居ても不思議ではない。......論破された気分だ

深夜「それよりもお客様が来ているのよ?」

所有者は貴女方なのだからこの場合お客様は私なのでは?という疑問は私の心の強さ的にそっと心の奥底にしまうことになった

深夜さんがルールだと半分認め、大人しくお茶を淹れる準備に取り掛かる。私が好きな飲み物は?という質問にフォートナム・メイソン(茶葉の名前)と答えたせいかこの家にはそれが用意されていた。いつも通り普通に淹れ、お客様3人にお出しすると、

真夜「雪乃の淹れた味に似ているわね」

雪乃「本当、私そっくり」

深夜「......」

評価としては雪乃さんの淹れた味に似ているのだから美味しいと勝手に解釈し、私は茶菓子として適当に何かお菓子を作るためにキッチンに残る

作る物は決めていないが、この家には大体の物が揃っているので材料の心配はない。一応候補はクッキー、ショートブレッド、ブラウニー、シフォンケーキの4つ。この3人が共通して好きな物は.....なんだろう


【安価です。
1.クッキー
2.ショートブレッド
3.ブラウニー
4.シフォンケーキ
安価下。】

3

>>380 3.ブラウニー】

迷った結果、達也くん、深雪ちゃん、そして未来の深夜さんが美味しいと口を揃えて評価してくれたブラウニーを作ることにした。ブラウニーはお母さん、つまり雪乃さんに教えて貰ったものなので疑われている今墓穴を掘る行為なのだがお客様には快適に過ごして貰わないとそれはそれで何か言われそうだったので勇気のいる選択をした

1時間に満たないほどの時間をかけ、ブラウニーを作る。その間雪乃さん達は雑談をしている。内容はほとんど私について。私が本当に雪乃さんの娘だったらどうなのか、とか逆に私は雪乃さんのお母さんなんじゃないか、とか。私は苦笑いしか出来なかった。どうしてそこまで鋭いの.....?

作り終わり、1口サイズにカットして均等に4人分に分け、自分の分とお代わりの分の紅茶をティーポットに淹れ、空いている場所に腰を下ろす。この部屋の構造を伝えるのは非常に難しいので理解しにくいかもしれません。テーブルを中心に見ていきます。テーブルの北側に3人座れるソファーがあり、テーブルの東側に2人座れるソファーがあり、西側に2人座れるソファーがある。そしてテーブルの南側には無駄に大きい液晶テレビ。実に快適なお部屋

北側には深夜さんと雪乃さん、そして東側に真夜さんが座っているので私は空いている西側に腰を下ろし、自分で作ったブラウニーを雪乃さん達と同じタイミングで食す

雪乃「ん、美味しい」

真夜「雪乃が作るよりも美味しいわ」

深夜「立場交換する?」

私の作ったブラウニーは大絶賛(?)だった。良かったです


【安価です。話題について
1.恋愛話(綾人(将来雪乃の結婚する人。歩夢の父)について・または達也について。どちらかを選択して下さい)
2.このブラウニーは誰に教わったか
3.未来予想図について(当然、歩夢は全員の将来を知っています)
4.その他
安価下。】

3

>>382 3.未来予想図について】

快適なアフタヌーンティーを楽しむ歳相応の可愛さを見せない私たち。次なる話題は私が雪乃さんの娘だったら、の話から連想された各自の未来予想図

まず最初に深夜さん

深夜「私は早い頃に死んでいると思うわ。ねぇ、香夜さん」

香夜(歩夢)「......健康を意識すれば長生き出来ると思います」

深夜さんが比較的早くに亡くなった理由を知らない私にはこれくらいしか言えない。理由については深雪ちゃんに聞くわけにもいかなければ、真夜さんや達也くんにも聞き辛い雰囲気があり聞けないまま。知れる機会が来るのか来ないのか

雪乃「今後の食事は油が少ない物にしようか。あと早寝早起き」

深夜「余計なお世話よ。自分の健康管理くらい自分で出来るわ」

雪乃さんの好意を断らない発言し、深夜さんの未来予想図は以上となった


次、真夜さん

真夜「結婚はしていないはずだから.....1人で何かやっているんじゃないかしら。香夜さんはどう思う?」

なぜそこで私に振る.....、という疑問は胸の内にしまい、適当にそれっぽく答える

香夜(歩夢)「真夜さんのことだから重要な立場に就いていそうな予感がします」

真夜「例えば?」

香夜(歩夢)「.....詳しくは分かりません」

真夜「そう」

日本をとってとても重要な、四葉の当主になる真夜さんには未来のためにも当主になって貰わないと。私の存在でタイムパラドックスで未来が変わって当主が深夜さんになったりでもしたら.....それはそれで楽しいかもしれないけど、その場合は真夜さんが早くに亡くなるのかな。だとしたら、複雑な気分になる

雪乃「真夜が当主ね。深夜はどう思う?」

深夜「私は早死するのだし、もう決まっていることよ。まぁ、貢(みつぐ)さんの可能性も捨てきれないけれど、無いと思うわ」

貢さん?誰?

雪乃「あぁ、あの黒羽の」

黒羽ってたしか四葉の分家の諜報に長けた一族だった.....ような違うような。黒羽についてはあまり聞かされていないのでよく分かりません


次、雪乃さん

雪乃「私は霜月の関係とかあるけど、霜月自体がもう引退した一族だから厄介なことにはならないはず」

厄介なことに巻き込まれている娘同様に母も厄介なことに巻き込まれる可能性大

雪乃「結婚とかはどうなんだろう。綾人くんは真夜に惚れているし......」

私のお父さんである君影綾人は四葉真夜に惚れていた。この衝撃的な事実は2095年の8月半ばくらいに知ったことなので驚かない。結局貴女と結婚して2人の子供を持つだなんて予想にもしないだろうなぁ

真夜「私と結婚したところで何も残らないから、何度申し込まれても結婚する気はないわ。雪乃、告白すればいいじゃない」

雪乃「わわわわ、私に綾人くんなんて釣り合わないから無理っ!絶対に......」

急に乙女らしさを見せる雪乃さん。誰かに似てる気がするけど.....誰だろう

深夜「あんなに良い男性を放っておくのは勿体無いと思うわよ」

雪乃「深夜は綾人くんのこと好きじゃないの?」

深夜「良い男性だとは思うけれど、私よりずっと雪乃の方が似合っているわ」

雪乃「.......次、」

顔を赤くする雪乃さんが可愛いという事実だけが残り、次の未来予想図は私。未来から来た私の未来。今のところこの3人の予想は当たっていたり当たっていなかったり。予想は半々ぐらいで当たると考えると私の未来はどうなるのだろうか


雪乃「まず結婚は確実なのよね?」

香夜(歩夢)「死んだりしない限りは.....多分」

達也くんは軍人。私は今の状況(11月関連)で危険と隣り合わせに時間を過ごしている。深夜さんのバイトの件も昨晩(十数時間前)のようにいかない時が来るかもしれない。どうしてこんなリスクの高い者同士が結婚を約束したんだろう

深夜「香夜さんは男の子と女の子、どっちの子供が欲しいの?」

香夜(歩夢)「女の子」

これはもう達也くんと話し合ったこと。霜月の遺伝が女性に強く反映されることを反映した結果

真夜「名前は?」

香夜(歩夢)「まだ何も」

そういえば達也くんに考えておいて、と言ってから2ヶ月半が経った。考えてくれているのかな

雪乃「自分の未来はどうなっていると思う?今みたいなままなのか、もっと冷たくなっているか」

四葉に嫁入りするからには非情の気持ちを強く保たなければならない。深雪ちゃんが四葉の当主になることで今と比べて方針が変わるかもしれないが、それでも四葉は四葉。大きな変化は望めないだろう

私によく知る雪乃さんみたいな言動とかは想像出来ない。〜だわ・〜よ・〜かしら、なんて上手に使える自信がない

香夜(歩夢)「まだ予想出来ません。これから何があるか分かりませんから」

深夜「私はかなり変わると思うわ」

香夜(歩夢)「直感ですか?」

深夜「直感よ」

当たるやつだ。しかし、どう変わるかは誰にも分からない。非情になるかもしれないし、今以上に何か.....何かになるかもしれない。結論、未来のことは誰にも分かりません(一部除く)


【安価です。話題について
1.それぞれに子どもが居たらどんな子になるか
2.ブラウニーの作り方は誰に教わったか
3.深夜からのバイトについて(今後)
4.その他
安価下。】

1

>>387 1.それぞれに子供が居たらどんな子になるか】


私が雪乃さんの娘なんじゃないか説から未来関連でそれぞれの未来予想図、そして子供が居たらどんなか子になるかを話しの話題として雪乃さんが提案した。この頃の深夜さんと真夜さんは「嫌」と一蹴せず無言で受け入れた

未来予想図同様に最初は深夜さん。はたして達也くんと深雪ちゃんは深夜さんの期待に沿えている子供に育っているのか。それとも期待に沿えていない子供に育っているのか

深夜「冷たい子にならなければなんでもいいわ」

雪乃「魔法力はどうでもいいの?」

深夜「私はどうでもいいけれど、四葉が認めないでしょうね。魔法を使えない人間は四葉にとって不必要な存在だから」

四葉の人間として達也くんへの冷遇は不本意だけど受け入れ、表ではしきたり通り冷遇し、裏では魔法関係無しに血の繋がった息子として接する

だとしたら嬉しい。そうであって欲しいものだ

香夜(歩夢)「もしも娘が居たらどんな子に育つと思いますか?」

深夜「さっき言った通り冷たい子にならなければ。.....香夜さんみたいな子に育って欲しいわね。嘘に塗り固められているところ以外は」

嘘に塗り固められているところは自分で認めている、そうするしかないところなので省くとして、残りの「香夜さんみたいな子に育って欲しい」というところには耳を疑うと同時に嬉しかった。あの深夜さんが私みたいな子を欲しいと言ってくれた。つまり私以上に良い子に育った深雪ちゃんは今の深夜さんの理想通りだということ

息子である達也くんへの愛を知れたし、娘である深雪ちゃんへの希望も聞けた。この話が私にとってかなり有意義であったことは深夜さん、真夜さん、雪乃さんには知られることなく胸の奥にしまう


次は真夜さん。なのだが、

真夜「私はパス」

恥ずかしくて言えない、という恥じらいの表情ではなく、深くて辛い過去の経験の末にパスを仕方がなく選んだ表情をしている

深夜「......」

その事情を知っていると思われる深夜さんは真夜さんから目線を逸らし、下を向いている。私には真夜さんにあった辛い過去と共に罪悪感のような物を感じているように見えて、その姿を見ているこちらも辛くなってきた


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃「.....希望だけでも言ってみない?」
偶数:雪乃の希望(真夜については終わります)
安価下。】

とぉ

>>390 9:雪乃「......希望だけでも言ってみない?」】


暗い空気に包まれるリビング。私としてはもう帰りたい。この家が現在私の自宅になっていることを忘れるくらい帰りたいと本能的に思ってしまう。この静寂を打ち破ったのは誇り高きお母様、雪乃さん

雪乃「.....希望だけでも言ってみない?」

雪乃さんは真夜さんの複雑?な事情を知っているのか、いつもみたいな楽しそうな声色ではなく落ち着いて優しく声をかけた

真夜「.....希望ね。希望だけでいいなら」

真夜さんは「雪乃にそう言われると仕方ないわね」とでも言いたそうな顔.....はしてないが、なんとなく私の想像でこんなかんじのことを考えて承諾したのだと解釈する


真夜「希望は.....そうね、魔法力はともかく、普通な子に育ってくれればいいわ。四葉の人間に多い冷たい人間にだけは本当に」

深夜さんと然程変わらない意見。流石は双子の姉妹。仲が良い悪いは関係ないようだ。良かった

雪乃「深夜も言っていた香夜みたいな子はどう?」

真夜「なんとなくだけれど、香夜さんにはコミュニケーションの欠陥が感じられるから.....そこだけなんとかしてくれればいいと思うわ」

み、見破られている.......。でもこの時代から見て未来の、私を雇っている真夜さんと同じことを言っていて安心した。やっぱりいつの時代でも真夜さんは真夜さん。変わっていないのは素晴らしいことだと思う

真夜「私の話は終わり。これ以上すると少し苦しめてしまう人がいるから」

真夜さんの視線は深夜さんに。深夜さんは真夜さんと目が合った瞬間に逸らし、口元は歯軋りをしているような形になっている。そんなに辛いことだったのだろうか。......ますます真夜さんの身に何があったのか気になるけど聞いてはいけないタブーのような気がするので一旦スルー。聞ける時には聞いて、それで自分に何か出来るようだったら行動に移そう


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:次は雪乃の話
偶数:深夜「.....香夜さん、少しお手洗い借りてもいい?」
安価下。】

んっ

>>393 4:深夜「.....香夜さん、少しお手洗い借りてもいい?」】

次は雪乃さん、なのだがその前に、

深夜「.....香夜さん、少しお手洗い借りてもいい?」

香夜(歩夢)「どうぞ、場所は分かりますか?」

深夜「なんとなく分かるわ」

深夜さんは立ち上がり、リビングを出て行った

雪乃「.......」

真夜「.......」

どうして急に無言になるのか。全員揃ってから話を再開させるのなら分かるが、2人は重い表情をしている。どうしたのかと聞こうとしたその時、リビングの外で何かが倒れた音がした。この家に居る人はリビングに集まっている3人以外だと1人しか居ない。深夜さんが何かを倒したか、深夜さんが倒れたか。無事を確かめるためにも音のした場所へ向かおうとしたのだが、

雪乃「......香夜、やめておいた方がいいわ」

その言葉遣いと声色はお母さんそのもので、高校生の霜月雪乃さんではなくお母さんの君影雪乃としての存在感を感じさせられる

香夜(歩夢)「どうして....ですか?」

雪乃「香夜には関係のないことよ」

私には関係のないこと、って言われてもこの家の現在の住み主の家で起こっていることなのだから少なからず関係あるはず。どうしても私には知られたくないことなのだろうか


私は雪乃さんの注意を無視してリビングの戸の取っ手に手をかけた直後、リビングが夜に包まれた。天井には燦然と輝く星。だが、その中には月はない。空中に浮かぶ光の球は相変わらず星と重なって美しく、見惚れてしまう

香夜(歩夢)「......真夜さん、解いて下さい」

真夜「席に戻れば解除するわ」

香夜(歩夢)「嫌です。深夜さんを見に行きます」

真夜「もう1度だけ。香夜さん、席に戻りなさい」

香夜(歩夢)「......」

雪乃「香夜、お願い」

香夜(歩夢)「......」

私は深夜さんの様子を見に行きたい。もし深夜さんの現状況と体を壊して早死する原因に関連があるのであれば未来を変えることになるが私は深夜さんを止める

しかしここでリビングの扉の取っ手を引けば流星群で容赦なく殺される。ハッキリ言ってこの魔法は分解魔法を使える私からしたら攻撃される以上のスピードで流星群に対して術式解体を打てば勝てる。問題なのはスピード。少なくともこのままの私では対応しきれないだろう。だが、幸いなことに私は現在雪乃さんと真夜さんに背を向けている。霜月の目を使ってもバレない。霜月の目を使えば、.....それでも50%の確率で打ち破ることが可能。どうする.....


【安価です。深夜の様子を見に行くか見に行かないか。
1.見に行く
2.見に行かない

現在深夜は自分に精神構造干渉魔法を使い、罪のようなものから逃れようとしています(分かりやすく言えば、嫌なことを忘れようとしている、みたいな)。
見に行けば深夜が何故早死したかの理由を知ることとなり、深夜との関係が少し縮まります。現時点では深夜に正体を打ち明ける選択肢も考えています。ここで見に行かなくても深夜の早死の理由や正体を打ち明ける機会は多分あると思います。
安価下。】

>>396 2.見に行かない】

深夜さんの体を壊した原因がこの扉越しの何mか先で行われている。もし、この時代で私がやるべき事が深夜さんを助けることならば今は絶好の機会。真夜さんにこれ以上こちらの事情に首を突っ込むな、と脅されていても踏み込みたいところ

私は約30万km/s(真空状態に限る)で攻撃を繰り出してくる光に勝てるのか。目を使っても一時的な能力向上と敵が何をしているか分かる程度。威嚇・威圧なんてものは未来同様に通用しない(と思う)。さっきはあんな事を言ったが私が勝つ確率は2割あるかないか。その2割ですらも真正面からの術式解体ではなく隙を突いた術式解体。2割あるかないかの可能性にかけるか、また他の機会を伺うか。考える必要もない

真夜「.......」

雪乃「.......」

香夜(歩夢)「......っ」

私はその場に崩れるように床に座り込み、ドアノブから手を離した。自分の弱さと後悔、そして今後機会を伺いつつ深夜さんを助けることをこの世界で私がやるべきことの第一目的とした瞬間であった


1分後、私は立ち上がり元の席に戻った。真夜さんの視線は鋭くなく、じっくりと人間観察をしている目。流星群に脅されながらも一切動じなかった私の正体を突き止めようとしている。逆に雪乃さんは一悶着が何も無かった方へと傾いた結果に安心して残りのブラウニーを美味しそうに食べている

それから更に5分後、深夜さんが戻ってきた。何事も無かったかのように振舞っているが、振舞っているのがハッキリと分かるほど平然の表情を作っている


深夜さんが席に着いたと同時に話は戻り、もしも雪乃さんに子供がいたらどんな子なのか、に戻る。娘の前で理想を話されるというのは事前からでもかなりプレッシャーがかかるものだ。私は雪乃さんの理想の子になれたのかな

雪乃「私に子供がいたら.....男の子だったら私にはあまり似ないと思う。逆に女の子だったら霜月の特性が発揮されて私に似るはず」

真夜「最悪ね」

戯れとして言っているんだろうけど、真夜さんの言葉は私にも雪乃さんにも深く突き刺さった

雪乃「で、でも、私に似るってことは.......なんだろう」

そこは自信を持って「なんでも出来るんだよ?」とか言って、私が心の中でごめんなさいと謝るところなのではないだろうか

深夜「香夜さんみたいな子はどうなの?」

雪乃「大歓迎。むしろありがたい。気を遣えるようだし、気も強いようだし」

つい先ほどの行動を雪乃さんは過大に評価してくれた。苦しんでいる深夜さんを気遣い、真夜さんに抗う私の気の強さ。高校入学前の私と比べたら歴然な差が生まれるだろう


雪乃「あとは.....霜月の血を引いているだけあって辛い人生を送らせちゃいそうなのが難かな」

最近になって非常に危険な人生を送っているが、辛いことは然程ない。深夜さんの件.....くらいかな、今のところは。2095年では幻想だと決めつけていたリア充とかいう部類に入れたような気がするし、良い友達にも恵まれている。そう考えると霜月の血を引く人間は人間関係だけは高校生以降に限り良くなっているのかもしれない

雪乃「私のは終わり。次は香夜」

未来予想図同様に未来から来た私にも分からないこと。私に子供がいたらどんな子に育つのか。四葉家の子とだけあって礼儀正しい子には育つはず。魔法面は異質な人間と異質な人間との子なのだからそれはもう異質な子に育つ。優秀の部類に入ってくれれば願ったり叶ったり、普通の部類に入ればそれはそれでいい。下手な部類に入っても今の達也くんみたいな立ち位置になるだろうから心配はしていない

さて、最大の問題は......

香夜(歩夢)「人との付き合いが出来るかどうか、ですね」

霜月の血を引く人間は高校生以降に限り人間関係が良くなると明言したばかりだが、どうせなら以前も以降も人間関係良好で暮らして欲しいというのが私の願い


雪乃「そればっかりは小さい頃からの教育にかかっていると思うよ。私が身をもって体験しているからハッキリと言える」

身をもって体験したことを何故娘にやらせなかったのか。おかげさまでコミュ障やらぼっちの真理に近づく日々が昔にあった

深夜「彼氏さんの理想とかは聞いていないの?」

香夜(歩夢)「聞いてないです。会える機会自体が少ないですし」

真夜「寂しいとかは思わないの?」

香夜(歩夢)「思いますけど、彼から貰ったネックレスがあるので頻繁には思いません」

服の内側にしまっていたネックレスを外に出し、真夜さん達に見せつける。私は幸せな身だということを

雪乃「......こう聞くのは失礼なんだけど、それってしっかり貰ったもの?自分で買って想像の彼氏からプレゼントみたいな......」

香夜(歩夢)「そこまで可哀想な人間じゃないですっ。たしかに彼に貰ったものです」


深夜「その彼氏さんとお揃い?」

直感なのか、的を得た意見に驚きを隠せない

香夜(歩夢)「は、はい。そうです」

真夜「偶然?それとも合わせたの?」

香夜(歩夢)「偶然です」

同じお店で、同じ物を購入した。運命的な何かを感じたあの時間。あの時は楽しかったなぁ、あれが初めてのデートだったと思う。司波家を追い出されて、映画を見て、外を歩いていると雨が降ってきて、ホテルで休んで、夜にネックレスの交換をした。あの時に戻りたい

深夜「雪乃も見習って綾人さんに何かプレゼントしたら?」

雪乃「綾人くんは真夜のことが好きなんだから私が何かをするのも悪いよ」

深夜「気にしてないと思うけれど」

雪乃「私が気にするの」

話は段々とズレていき、雪乃さんと綾人さんの話を5分ほどしたところで話は戻る


雪乃「他にお揃いの物とかないの?」

そっちの話に戻るんだ.....

香夜(歩夢)「特化型のCADがお揃いです」

雪乃「もう1つの汎用型CADは?」

香夜(歩夢)「あれは妹さんの方と」

深夜「妹さんとお揃いの物は?」

香夜(歩夢)「髪飾りがそうです」

1度深雪ちゃんとお揃いの髪飾りを外し、深夜さんに手渡す

深夜「見たことのない精巧な作りね......」

まぁ、未来の物ですから。当然です

真夜「というか、香夜さんは何者なの?正体に関することではなく、そこまで兄妹と揃っている訳」

香夜(歩夢)「あー......」

本人である私にも分からないこと。どうしてこんなにも揃っているのか。場の流れでついついこんな事になってしまった

それから約10分に渡り私がその兄妹にとって何なのかを徹底的に議論し、良い感じに個人情報を引き出され、最後には仲が良いという結論で落ち着いた

気がつけばもう外は暗い。帰らなくていいんですか?と聞くと、


【安価です。
1.泊まっていく
2.そろそろ帰る

1の場合は個人指定も出来ます。雪乃・深夜・真夜の3人から選んでください。1人でも2人でも3人でも大丈夫です。】

>>403 2.そろそろ帰る】


深夜「そろそろ失礼しようかしら。いくら使用人さんが居ても危険には変わりないから」

雪乃「もう少し私のこと信頼してくれてもいいのに。家柄の関係でも私たちの関係でも」

雪乃さんが居ても外は暗いし、何が起こるか分からない。それに対して雪乃さんはむしろ私が居るから安全だよと主張し、霜月と四葉の関係、雪乃さんと深夜さんと真夜さんの関係を考慮して信頼を得ようとする

深夜「また話が長引きそうだから帰りましょう。まだ夕方の時間帯だけれど、家に戻る頃には夜よ」

ここから四葉本邸までは1時間以上はかかる。現時刻が18時30分だから20時前後に家に着くのか。大変だなぁ、引っ越してくればいいのに

そう考えながら玄関まで見送り、雪乃さん達とお別れをした。その際玄関であった出来事を短く少しだけ




雪乃「じゃあね、香夜」

深夜「今夜はお仕事はないので体を休めて下さいね」

雪乃さんと深夜さんはそう言い残し外へ。玄関に残ったのは私と真夜さん

真夜「さっきは少し熱くなりすぎたわ。ごめんなさい」

ま、真夜さんが謝った.....だと.....!?

天変地異の予兆だろうか

真夜「でも、これだけは言わせて。私たちに深く関わると不幸になるわ。.....それだけは気をつけて」

もう歯止めがきかないところまで関わってしまっている。家の関係なんて特に

真夜「私が言いたいのは『深く』関わること。今みたいな浅い関係を続けましょう」

香夜(歩夢)「.....真夜さんは私のことを表面上の知り合いと思っているんですか?」

真夜「ええ、そうよ。浅い関係なのだから友達に満たない知り合い。顔見知り以上友達未満」


香夜(歩夢)「じゃあ、雪乃さんのことはどう思っていますか?」

真夜「......切っても切れない深い関係」

香夜(歩夢)「なら良かったです」

真夜「......?」

香夜(歩夢)「私も真夜さんや深夜さんと切っても切れない深い関係のようです」

真夜「それって....」

香夜(歩夢)「雪乃さん達が待っています。早く行かないとまた雪乃さんにちょっかい出されますよ」

真夜「.....そうね。結城香夜さん、またゆっくりお話ししましょう。今度は包み隠さず、お互い全てを話しましょう」

香夜(歩夢)「はい」

真夜さんは最後にクスリと笑って出て行った



と、いうことでピンチです。私の正体バレたかも......変にかっこよく振る舞うからこうなるんだ。また水波ちゃんに注意されてしまう。あ、水波ちゃんに黙っておけばいいのか

空になったティーカップとソーサー、それとお皿のそれぞれ4つを台所に運び、結城香夜の今後の方針について考えながら洗う

ー結城香夜の今後の方針ー

1.深夜さんを助ける
ー深夜さんを助ける際に自分の正体を明かすかもしれない
ー深夜さんを助けるにあたって、事情を知ることが大切。なので真夜さんとゆっくりお話をする際に正体を明かし、真夜さんの身に何があって深夜さんが苦しんでいるのかを聞く

2.雪乃さんについて
ー何度か耳にした雪乃さんの『裏』について調べる

3.先生との何か
ー先生として魔法の特訓に付き合ってくれるらしいので、各合間の時間を使って実践的な魔法の使い方を教えて貰う

4.仕事について
ーこれはまぁ、なんとなくやればなんとかなる.....と思う

以上


やることが多い.....。健康を崩さないためにも考えた健康を維持するための計画を実行する余裕すら無さそうだ

とりあえず洗い物は終わったから、このまま家でゆっくりして、夜ご飯を食べて、少し本を読んで寝よう


【安価です。次の日。コンマ1桁
奇数・0:休日
偶数:学校
安価下。】

>>408 2:学校】

ー朝・6時ー

霜月さんの世界?にいる時はずっと空は暗雲に包まれていて青空どころか太陽を見ることすらも不可能だったがこの世界、この時代では青空に光る太陽、そして自然を感じる

風の音や鳥の羽ばたく音などを窓越しに聴き、今日は.....風強くない?凄い音鳴ってるけど....屋上でご飯食べれるかな.....?、と不安が募る中制服に着替え、1階に降りて朝食と昼食のためのお弁当を作る。最中に何度か欠伸や体を伸ばしたりして目を覚ます。実に効率の良い調理時間を終え、4人分の椅子と大体4人で使うぐらいの大きさのダイニングテーブルで孤食(少し意味違う)

『こ食』は全部で6つ。家族不在の中1人で食事をする『孤食』、家族それぞれが自分の好きなものを食べる『個食』、決まったものしか食べない『固食』、少量しか食べない『小食』、粉物を使った主食を主にする食事『粉食』、味付けの濃い食事『濃食』。この6つを中学生の頃に授業で習ったなぁと思いながら食事を済ませ、食器を台所に持って行く

全部当てはまる人とか居るのかな?ぼっち飯とかよりずっと可哀想。撲滅を目指し、教育の一環に入れるべき!と誰かに心の中で訴え、食器の片付けも済ませる

学校まで徒歩で約1時間、朝のHRまで1時間30分。少し余裕を見積もって学校に行くとしても15分くらい時間が残っている。学校の準備は出来ているし、しっかりと学校で読む本も3冊見繕ってある。うーん......

それから5秒ほどの短い時間考えた結果、少し遠回りして学校に行くことにした。まだ慣れていない街の土地を調べる。この街自体は2095年に来たことがあるのだが、何せこの世界は30年前。逆に変化している場所も多くあるだろう


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃・深夜・真夜に遭遇
偶数:1人で歩き回る
安価下。】

>>410 4:1人で歩き回る】

街の中でも街、都会的な雰囲気を醸し出している場所へ。旧長野県と旧山梨県の県境にある四葉本邸から約1時間、私が住んでいる家からも約1時間の街は人によって街ではなく町と言う人も居るかもしれないが東京生まれ東京育ちの私には十分街に思える街。高層ビルや高層マンション、まだ開店していない喫茶店やファミレスなどがここ数十分適当に歩いただけでも何店もある。ここら辺の地域の電子化された地図を見てみると市立の図書館、公立・私立の学校などが多く見られる。なんとなく水波ちゃんの通っている学校を探してみたがそれらしき名前はない。まだ建っていないだけなのか、これから名前が変わるのか。様々な思いにふける中、もうそろそろ学校に向かわなければと歩き始めたところで私は静かに息を呑んだ

香夜(歩夢)「.......」

目の前に建っているのは24時間営業の本屋さん。中学の修学旅行で深夜にホテルを抜け出して本屋さんに行った結果洋館に迷い込んだ末に殺されかけたこともあるが、そんなことはどうでもいい。今決めるべきことは行くか行かないか。2095年と比べて規制がまだ緩い時代の本には何が書いてあるのか。霜月さんの世界(おそらく2000年前後)で沙夜さんに買って貰った本は大変面白かったが、あれから約60年後、2095年から見て約30年前の本は誰でも気になるだろう。私が昨晩や学校で読んでいる本は深夜さんが用意してくれた本なので自分では根本的なところは選べていない

香夜(歩夢)「.......」

学校にギリギリ着くように時間を調整するとこの本屋さんでは20分居られる。だが、私は少しだけでも見て、気になったものだけを買えればいい。10分から15分で事を終えることが出来るはず。自分を信じて、時間を気にして、この本屋さんに入店した



気怠そうな店員さんの「らっしゃいやせー」を聞き流し、小説のコーナーへと赴く。そこは私にとっては宝の山。一般的な小説からマイナー(だと思われる)な小説、それから海外の本もある。サッと見ただけでも気になったのは6冊。一般的な小説2冊、マイナーな小説1冊、海外の小説を3冊

一般的な小説は2095年でもなお未だ有名な作家さんの小説を2人それぞれ1冊づつ

マイナー(だと思われる)な小説は本自体がマイナーなのではなく作家さんの知名度がマイナーというだけ。この作家さんの情報は名前だけ知っていた。まさかこうして読める日が来るとは

海外の小説は端的に言ってしまうと全て同じ本。違うのは言葉?1冊目はAさんが翻訳した本。2冊目はBさんが翻訳した本。そして3冊目は私がCさんとなり、全部英語で書かれた本を日本語訳して読む。凄く楽しみ

もっと時間があれば更に面白そうな本を見つけられるんだろうけど、今は時間がない。放課後なり休日なりに来て楽しもう。深夜さんから渡されたお給料(1回ごとに支給されるらしい)の約3分の1を使い、本6冊を購入した。今から凄く楽しみだけど、何より重い......。電子書籍が人気な理由を改めて知った気がする


結局、学校に着いたのはHR開始3分前。遅刻寸前。優等生を装うつもりが一気に台無しだ。悲壮感に似たものよりも疲労を感じながら窓側の1番後ろというベストポジションの席に着く。すると右隣の深夜さんは呆れているようにして、

深夜「そういうところも雪乃に似ているのね」

香夜(歩夢)「.....?」

私は首を傾げることしか出来なかった


【安価です。魔法実習があるかないか。コンマ1桁
奇数・0:ある
偶数:なし
安価下。】

とぉ

>>413 0:ある】


本日の授業は英語・現代文・魔法実習・数学・歴史・物理の6時間。数学と物理に対して嫌悪感を感じながら1時限目、2時限目と適当に受け、3時間目の魔法実習。雪乃さん達と実習室に向かい、授業開始までは雑談。そして授業開始からは黙って先生の説明を聞く

???(先生)「今日は.....何したい?」

それを決めるのが先生なのではないだろうか。仕事放棄?

???(先生)「このクラスは優秀な人しか居ないからやることないんだよね。強いて言えば模擬戦とか?実践的な練習をしないと実践で困るだけだから.....うん、そうしよう」

聞いておいて結局自分で決める先生は活発な性格をしてるというか、サバサバした性格をしている。ちょっと羨ましい

???(先生)「演習室1から4を自由に使って。雪乃さんと深夜さんと真夜さんと香夜さんは私と一緒に来てね。貴女達だけは並みの模擬戦じゃないから」

雪乃さんは万能。深夜さんは精神を掌握する。真夜さんは光で消す。私は3人と比べたら些細な能力と精神力。たしかにこの4人が模擬戦の枠を超えた能力で戦った時に起こる被害は尋常じゃない。止める役として先生がいなければ危険だと判断したのだろう。私もそう思います


ー演習室5ー

先生「一昨日と同じく雪乃さんと香夜さんが戦って。深夜さんと真夜さんは模擬戦向きじゃないからごめんね」

また雪乃さんと......。深夜さんと真夜さんは見ているだけでこの授業を終えることができる。私も流星群を使えることをアピールして模擬戦向きじゃないことを.....って思ったけどそうすると雪乃さん達に怪しみから確信を持たれ、言及される。怖い怖い

CAD2機の準備をし、開始の位置に着く


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:先生に呼ばれる
偶数:開始
安価下。】

>>415 3:先生に呼ばれる】

???(先生)「ん、あ、そうだ。香夜さん、準備ができたところ申し訳ないんだけど、ちょっと来て貰える?」

香夜(歩夢)「?」

先生の用事が何なのかは知らないけど待っている雪乃さんを長時間待たせないためにも早歩きで深夜さんと真夜さんと少し距離を置いた先生の元へ

???(先生)「万が一に備えて、これ付けて」

渡された物は碧色のコンタクトレンズケース。先生に許可を取ってから開けてみると中には青色のカラーコンタクトが2つ

???(先生)「これを付けていれば霜月の目を使っても大丈夫だから」

香夜(歩夢)「分かりました」

少し躊躇しながらコンタクトレンズをゆっくり両目に入れ、どんな時でも青を装えるようになった。無意識に目が碧色になっても外部から見える目は青色。これで霜月だとバレない

今度こそ準備が整ったところで雪乃さんと数十m距離置いた地点に着き、

香夜(歩夢)「いつでも大丈夫です」

雪乃「私もです」

???(先生)「じゃあいくよ。よーい、スタート」


【安価です。コンマ1桁
1・3・4・6・7・9:香夜(歩夢)の勝利
2・5・8・0:雪乃の勝利
安価下。】

>>417 7:香夜(歩夢)の勝利】


数日前の模擬戦での先制は私だった。今回の模擬戦では仕返しを表すかのように雪乃さんが開始とほぼ同時に魔法を使用してきた。10分の1秒で何十もの細く鋭い針のような氷を作り、魔法技能師開発第七研究所で2095年辺りになってようやく素晴らしい出来だと世間に評価された『群体制御』らしき魔法を使って何十もの針のような氷をそれぞれ1つづつ生き物のように自由自在に操り、私向けてくる


【群体制御:あらかじめ弾となるものを用意して(今回は針のような氷)、個々独立した物体,現象を1つの生きもの如く操る。魔法技能師開発第七研究所の開発した群体制御は、少なくとも百以上の物体を同時に動かす魔法】


これって模擬戦のレベルじゃないよねっ!?

という突っ込みも心の中だけで雪乃さんに届かず、私は自分に甘えて霜月の目を使い、場の空気を一変させると同時に四方八方から生き物のように予測できない動きで飛んでくる針のような氷から身を守るべく一瞬と呼ばれる時間で10枚程度の障壁を自分の周りに張る。勢いよく飛んでくる氷は1枚2枚、そして3枚・・・と障壁を貫いていき、9枚目のところで全て止まった

もし障壁を張っていなかったら体に何十かの小さな穴が開いていた。当然、当たるところ関わらず即死。1、2箇所ならまだしも何十となると.....死は免れない


雪乃「守ってくれて良かった。事故に繋がるところだったよ」

香夜(歩夢)「事故というより事件です」

雪乃「そう言われてみると確かにそうだね。なら、事件に繋がらないように自衛して」

口元に笑みを浮かべた雪乃さんは自身に神座を使い自己加速をした。またこれか.....でも、今の私なら1くらいの差なら十分に埋められる。霜月の目で高速に動いている雪乃さんを体温や空気の振動で場所を常に察知し、呼吸から手足の動作までしっかりと分かる。.....今雪乃さんは特化型CADを私に向けているから照準から外れるように動いて、

雪乃「......!やっぱり1の差だけだと心許ないかな。2の差に.....ん、」

照準から外れるように0の私に出来る精一杯の動きをし、照準から外れた瞬間に雪乃さんに向かって特化型CADの引き金を1度引く。もう1度されたら意味のない行動なのだが、気休め程度に雪乃さんを0に戻した

雪乃「香夜、もし香夜が本気で私を殺そうとしたら殺せる?意識とかは関係無しに」

流星群を始めとした殺傷能力が高い魔法はいくつ候補がある。殺そうと思えばいつでも、いくらでも殺せるだろう

香夜(歩夢)「はい」

雪乃「本気で戦ってくれない?」

それこそ本当に殺してしまう。それだけは未来の私のためにも避けたい


香夜(歩夢)「それは無理です」

雪乃「そう。.....じゃあ、私が香夜に本気を出させるのは?」

香夜(歩夢)「出来るなら」

雪乃「分かった。流石に摩天楼はこの場では使えないから.....」

摩天楼、巨大で強力な竜巻をこの場で出されては頑丈な演習を破壊し、学校どころか街を破壊しかねない。もちろん近辺にいる人は呑み込まれて、ズタズタにされる。絶対に使わないで下さい

雪乃「ニブルヘイムで」

雪乃さんが次に使い魔法は大容量の空気を冷却し、それを移動させることで広範囲を凍結させるニブルヘイム。なら私は、

香夜(歩夢)「真正面から対抗します」

まだ1度も使ったことのない初の魔法を対抗魔法として使おう。これもかなり危険な魔法だけど、ニブルヘイムに対抗するには持ってこいの魔法


雪乃「じゃあ.....本気でいくよ、香夜!」

雪乃さんのニブルヘイムによって空間は凍りついた

私の奥の手、ムスペルスヘイムによって空間は沸騰した

晶光煌めく氷雪の世界

雷光瞬く炎雷の世界

2つの世界が激突した時、被害は甚大なもの

空気が凍りつく極寒の地獄『ニブルヘイム』

空気が燃え上がる灼熱の地獄『ムスペルスヘイム』

ニブルヘイムは気体分子の振動を減速させ、水蒸気や二酸化炭素を凍結させ、窒素を液体化させる

ムスペルスヘイムは気体分子をプラズマ化させ、陽イオン電子を強制的に分離することで高エネルギーの電磁場を作り出す

2つの世界は均衡を保ち、どちらにも揺るがない威力と制御が続くこと約1分の衝突の末、均衡は崩れる


プラズマを帯びたムスペルスヘイムが冷気を帯びたニブルヘイムを押し出した。このままいけば勝てる、と思ったところで、

???(先生)「ストップ」

先生の1度の手拍子にハッとなり、すぐにムスペルスヘイムを解除した。同様に雪乃さんもニブルヘイムを解除し、視線を先生に、ではなく演習室を見渡す

頑丈だと聞いていた床と壁は溶けていて、溶けていない部分でも大きな傷痕が残っている。これは......怒られるやつ?

???(先生)「被害については何も言わないよ。仕方がないことだから。私が言いたいのは貴女達やりすぎ。一歩間違えていれば雪乃さんが死に、二歩間違えればどっちも死んでいたからね」

香夜(歩夢)「すみませんでした.....」

これ以上とやかく言われるよりも先に謝り、これ以上の怒りを買わないように心の中で願う

雪乃「.......」

雪乃さんは黙っている。そんなの知らない、勝負を止めないで欲しかった。と思っているのだろうか

???(先生)「部屋の被害については気にしないで。......私が怒られて、減給されれば済む話だから」

先生の表情は笑顔を装いながらも顔が引きつっている。本当にごめんなさい


???(先生)「ちなみにだけどさっきの勝負は香夜さんの勝ち。残念だったね、雪乃さん。これで1勝1敗だから気にしなくてもいいと私は思うけど」

雪乃「.....はい」

あからさまに落ち込んでいる。無気力に背筋を緩ませ、声に芯もない。悪いことしちゃったかな.....

???(先生)「じゃあ残りの時間は....もう無いね。はい、お終い。演習室1に戻るよ」

なんだかんだで雪乃さんとの本気(?)の模擬戦は私の勝利で終わった。はぁ....疲れた。次って数学だっけ?寝よう


ー4時限目・数学ー

........ん、寝てない寝てない.......はっ.....ん、.....


ー昼食ー

私はいつも通り屋上に来ている。今朝は風が強くて心配していたが現在は風はたまに少し吹く程度。安心してご飯が食べられる


【安価です。雪乃・深夜・真夜が屋上に・・・。 コンマ1桁
奇数・0:来る
偶数:来ない
安価下。】

やあっ

>>424 7:来る】

お弁当箱を開け、礼儀として私のために犠牲になってくれた動物たち、そして人のために農作物を作ってくれた人に感謝の言葉を述べ(いただきます、と一言)、日本人らしく箸でおかずから食べようと思ったところで屋上の扉が開かれる。そういえば、と今思い出した。雪乃さん、深夜さん、真夜さんが居ない。当然、屋上の扉を開けたのは2人の使用人の雪乃さん。雪乃さんが開け、2人が屋上に入ってから自分も入る。これについて「自分で開けなよ」と言う使用人の意見を無視して、お嬢様2人は私の近くへ来る。雪乃さんは扉付近に立ち尽くして「ブラックだ.....」と小さく呟いている

深夜「いいかしら?」

香夜(歩夢)「どうぞ」

深夜さんが座り、続けて真夜さん、少し遅れて雪乃さんが座る。雪乃さんが3段になっているお弁当を広げ、それぞれが食事前の挨拶をして食事を始める。慣れている動作に見惚れていた私は誰よりも早くここに居たはずなのに順番的には最後に食事を開始することになった


食事の最中は他愛もない世間話をしながらお弁当を分けて貰ったり、分けたりして昼食を進める

雪乃「やっぱり香夜のお弁当の味付けって和食は深夜に似ているし洋食は真夜に似てる」

真夜「それ以外は雪乃の味に似ているわね」

このやり取りも2、3回目なので適当にごまかし、10分後、昼食が終わる。お昼休みの時間は残り30分。30分間何を話す?となり、


【安価です。何を話すか
1.さっきの模擬戦について
2.今朝の出来事
3.その他
4.省略

4の場合はこの時間が省略され、放課後になります。放課後になると深夜と1:1で話す、真夜と1:1で話すなどが出来ます。
安価下。】

2

>>427 2.今朝の出来事】


雪乃「そういえば香夜、今朝は遅かったようだけど寝坊?」

香夜(歩夢)「むしろ少し早起きしたはずだったんですけど.....」

思いがけない出会いがあり、遅刻をしかけてしまった。世の中何処に出会いがあるか分からないものだ

深夜「朝から本屋に寄るだなんて何処の使用人さんなのかしら」

雪乃「本屋に寄ってたの?」

香夜(歩夢)「24時間営業している本屋が悪い」

真夜「捻くれているわね」

真夜さんのみならず深夜さんまでもがこめかみに手を当てて呆れている仕草を見せる

深夜「同じ本を3冊だなんて.....読む用と飾る用と保存用?」

香夜(歩夢)「そういう意識は持ち合わせていません。それに、同じじゃありません」

真夜「誰かさんと言っていることが全く同じ」

真夜さんの視線は私から雪乃さんへ。先ほど深夜さんが言っていた使用人さんというのも雪乃さんであり、私と雪乃さんが似過ぎているのを深夜さんと真夜さんは怪しみ、呆れている。こればっかりは趣味とか人間性的なものだから改善出来ないんだよなぁ、容姿とか言動と違ってね


香夜(歩夢)「雪乃さんは朝何をしているんですか?」

雪乃「わがままお嬢様2人分の朝食と3人分の昼食作りだけは優先してる。その他は一般的なこと」

香夜(歩夢)「自分の分の朝食は.....?」

雪乃「私は基本的には朝食食べない派だから」

そう言われてみるとお母さんは朝食を食べないことが比較的多かったような多くなかったような

香夜(歩夢)「そうですか。......一応聞いておきますけど、深夜さんと真夜さんは.....」

深夜「一般的なこと」
真夜「一般的なこと」

一般的、つまり普通。うん、普通が1番。かく言う私も普通なことしかしていないし。雪乃さんもただ自分以外の2人分の朝食と自分を含めた3人分の昼食を作るだけで普通なことしかしていない。むしろ普通じゃない朝の行動ってなに? 早朝に外を走るなどの運動をする人もまぁ普通と言えば普通。世間一般に認知されている。どうしてこんな分かりきっている質問したんだろう

雪乃「この2人は生活リズムが整っているだけありがたいよ。朝起こしに行かなくて済むし。毎日同じ時間に来てくれるからこっちも助かる。使用人想いの良いご主人様だよ」

ご主人様2人に笑顔を見せる使用人さん。するとご主人様2人は使用人さんから目を逸らすが、今度はご主人様同士で目が合ってしまい、慌てて2人同時に逆の方に目を逸らす

微笑ましく見えるが、やはり深夜さんと真夜さんの仲は複雑に悪いようだ。どうしたものか......


【安価です。コンマ1桁。
奇数・0:話を続ける
偶数:お昼休み終わり
安価下。】

>>480 8:お昼休み終わり】


朝なにをするか → 夜なにをするか になり、私は正直に読書と答えた。周りの反応は「知ってた」というのが表情からはっきりと伺える。口に出さないところがまた呆れている様子を醸し出している

続いて雪乃さん。人に続き趣味も読書と一言。人に続き趣味、趣味に続き周りの反応までもが言うまでもなく同じでした

次に深夜さん、というところでお昼休み終了の鐘が鳴り響いた。この話はまた今度となり、私たちは屋上を後にする


ー5時限目・歴史ー

◯◯時代って全部覚えてる人居るの?と思ったら、雪乃さんが平然と言ってのけた。天才だということがまた証明されてしまった。同時に私が雪乃さんに大きく劣っていることも。


ー6時限目・物理ー

リキガクテキエネルギーホゾンノホウソク(力学的エネルギー保存の法則)?

ネツリョウホゾンノホウソク(熱量保存の法則)?

エネルギー保存の法則ってなに....?


ー放課後ー


【安価です。誰と何をするか
1.真面目な話
2.先生に魔法の練習に付き合って貰う
3.街へ遊びに行く(おそらく、本屋で本買って喫茶店でティータイム。安価によって雪乃・深夜・真夜と一緒になります)

1の場合は深夜・真夜のどちらと話すかを決めて下さい。2人一緒なら一緒でも構いません。
安価下。】

>>432 2.先生に魔法の練習に付き合って貰う】

放課後になり、私はまず担任の先生の元へ行った。用件は一昨日話した魔法関係。あの時はよくわからない魔法で2重人格になったきっかけのシーンで激闘......命懸けの賭け?をした訳だが、結局のところあの時何をされたのか分かっていない。先生が言うには先生として生徒である私の教育も兼ねているらしいけど、実態は未だ知れず。知るためには先生に付き合って貰わなければならない。ということで、

???(先生)「あー、じゃあ演習室の.....5は何処かの未来の母娘が破壊しちゃったから3で。3に集合。15分後でいい?」

香夜(歩夢)「わ、分かりました」

軽く脅された....?気もするがされていないと信じよう。信じて、遠回りをして演習室へ向かう

演習室に着いた頃には約束をしてから10分後。約束の時間まではあと5分。遠回りをしていなかったら10分待つことになっていたので、そう考えるともっと遠回りをしてくれば良かったのかなー、と思いながらCADを眺めて時間を潰す

特化型CAD(拳銃型)はかっこいいとしか言えない。色はメタリックなシルバーで、私の手には少し大きいけれど重さはそこまでなく素早く照準を定めるのに無理がない。デザイン担当って達也くんなのかな? それとも牛山さん(達也と共にCADを作った人)? どちらにせよ良いデザイン能力をお持ちのようで羨ましい限り

汎用型CAD(スマートフォン型)はモデルも深雪ちゃんと同じで、可愛らしく美しい。こちらは持ちやすい大きさで重さもほとんど感じられない。ゲームのカセットとかもそうだけど、こんな携帯端末みたいな大きさのCADのどこに99個もの魔法式が入っているのやら

CADは通常市販されているタイプだと3万円から5万円だけど、それは1人でも多い魔法師を望む国が価格の9割を補助しているもので実際には30万円から50万円だとインターネットやらCAD等に詳しい人に聞いたことがある。なお、私が買ったトーラス・シルバーがフルカスタムしたCAD2機は3万円から5万円どころではなかった。軽く2倍、3倍、4倍とかで思い出しただけでも生活の不安が蘇ってくる。今では働いて貯金が出来たものの、あの後にCAD調整まで受けていたら......

頭痛を感じ始めたところで演習室の扉が開いた。早かったね、みたいなデートでよくある会話のやり取りを少しし、早速本題に入る

???(先生)「何したい?授業の時とは違くて、歩夢さん自身が何をしたいか」

歩夢「......


【安価です。何について教えて貰うか
1.目の有効的な使い方
2.どういう魔法が歩夢には合っているか
3.その他
安価下。】

2

>>434 2.どういう魔法が歩夢には合っているか】


歩夢「......先生はどういう魔法が私に合っているかと思いますか?」

???(先生)「どういう、っていうのはどういうものを考えているの?殺人のために使う魔法、自衛のためだけに使う魔法、人を守れるようになる魔法。大きく分けたらこの3つかな。2095年がどんな世界なのかは私には分からないから常識的なことしか言えないけど、この3つの中だと歩夢さんはどれがいい?」

歩夢「.......」

???(先生)「または具体的に◯◯を××にすればああなるからこうすればこうなる、みたいな理論的な相談でもいいよ」

歩夢「......」

後者の理論的な相談は世の中の理や魔法による非科学的なものの予想が全くできない私には難しい。理論に到達する前にまず物理や化学を勉強して世に働く力を知った上で魔法を組み合わせて効率良く魔法以外の力を借りた攻撃が出来れば強力に相手を鎮圧することが可能。しかし、やはりどれだけ世の理が強くても私には難しいので却下

???(先生)「時間はまだあるからゆっくり勉強して、世に働く力を知ってもいいと私は思うけどね。物理で公式について学んで、化学で化学反応について学ぶ。魔法は物理の公式なんて簡単に打ち破れるけど、従わせようと思えば従わせれる。上空に氷の塊を作ればあとは重力という世の理、公式に従って落ちるだけでしょ。化学は化学反応で魔法で水を単純に作るより水素と酸素を結合させて水を作った方が頭は使うけど、意識している分途中での応用も利く。やろうと思えば水と窒素、その他少量の空間を作ることだって可能。化学に関しては結構強引になっちゃったけど、勉強しておいて損はないと思うよ、私は」

びっくりするくらい正論。先生が先生してる

???(先生)「目的はどうなの?」

歩夢「人を守れる魔法って人を守るために人を殺すことも入りますか?」

???(先生)「もちろん入るよ。人を守るために人を守る時もあれば、人を守るために人を殺すことだってある。殺人が嫌なら自衛のためだけに使う魔法を学ぶべきだと私は思う。ただし、自衛は自分を守るのであって人は守れない。そこらへんは良く考えたほうがいい」

歩夢「.....殺人のために使う魔法は......」

???(先生)「理由付けて、人を殺す。ただそれだけ。理由は時と場合によって毎回変わる。命令されたから、人を守りたいから、自分を守りたいから、憎いから、とか」

歩夢「......」

???(先生)「出来るだけ早めに決めてね。練習のメニューが変わったりはあまりしないけど意識が全く変わるから。私は殺人のために今魔法を練習している、私は自衛するために今魔法を練習している、私は人を守るために魔法を練習している。目的があるだけでも変わるものだから」

歩夢「.....はい」


ここでの選択はかなり大きい気がする。高校3年生でどこの大学を受けるかを決めるよりも大事かもしれない。永遠に続くであろう魔法に視点を置いた評価か学歴か。学歴なんて学校で何をしていたかを表す結果。仕事をし始めれば学歴かよりもやれるかやれないかが問われるので学校では優秀であっても仕事では劣等である話は稀に耳に入る。ならば、......いや、魔法も実践で使えるか使えないかと考えたら学歴と同じなのかもしれない

分からなくなってきた。魔法ってなに.....? なんのために魔法はあるの......?

???(先生)「しっかり考えて。貴女にとってかなり重要なことだから。それに気付けたら目的も同時に見つかるかも」

歩夢「先生は、......魔法はなんだと考えていますか?」

教えてくれないということを承知の上で聞いてみた。この時代の雪乃さんや深夜さん、真夜さんすらも魔法を知らない可能性が高い。だとしたら知っているのは先生のみ

先生「私はなんとも思ってないよ。魔法がある。それだけ」

意外にも教えてくれたことについては置いておいて、たしかにそれはそうなんだけど、しっくりこない。もっと他に何かあるような気がするんだよなぁ

先生「魔法についての考え方は人それぞれ。私はなんとも思っていないけど、人によっては兵器とか大事な人や物を守るためだと考えている。十人十色ってやつだね。歩夢さんにとっての魔法はなんなのか、しっくりくる答えが見つかったらもう1度私にこうして誘って。その時は今度こそ魔法の練習しよう」

演習室借りた意味なかったね、と最後に一言付け足し、演習室を後にした。残された私は30分ほどその場で立ち尽くし、その後の帰宅途中もずっと『魔法』について考えていた


【模擬戦みたいなこと無かったですね.....すみません。次回の放課後の先生との魔法に関することをやるときは魔法の練習をすると思います。

コンマ1桁。
奇数:仕事ある
偶数・0:仕事ない
安価下。】

>>438 0:仕事ない】


帰宅の途中で深夜さんから渡された携帯端末に連絡が来た。今日は仕事ないから自由にしてもいい、と。今の私にはとても都合が良く、その時間を使って私が悩んでいる『魔法』について考えようと思った


ー家ー

私室で着替え等を済ませて、私はリビングで1人黙々と考え事をしている。目の前のテーブルにいつもならある紅茶も淹れず、部屋の電気も点けていない。個人差はあると思うが、暗い部屋に1人というのは落ち着く。......はぁ、疲れた.......じゃなくて、しっかり考えないと。魔法は何のためにあって、何のために使うのが正しいのか

そもそも魔法の始まりは、狂信者集団の核兵器テロをある1人の超能力者が未然に阻止した出来事を発端に超能力研究が魔法の科学的解析へと発展した

魔法と聞くと魔法陣や詠唱のような物がフィクションの世界だと必要だが、それは『魔法式』という一括りで統括されている。魔法式というのは魔法を構築するプログラムであり、CADに保存された電子データであり、サイオンで構築された信号

また、ゲームでよく見かける杖や術府は術式補助演算機、つまりCAD。杖を振って魔法を発動するように、我々魔法師はCADを操作して魔法を発動する

........で、魔法ってなんなの? 柄にもなく真面目に解説してしまったが、全て携帯端末で調べたことを心の中で復唱していただけ。正直、意味不明。完全に棒読みだった。これが文字の恐ろしさ。声に出して言えば冗談にしか聞こえないのに、文字だけだと冗談に聞こえない。しかも、SNSなどの遠距離で文字だけの会話が繰り広げられるシステムは毎日何処かの誰かと誰かの関係を壊していると思い続けて早3年くらい。やっぱり人間関係って怖い

ああもう、また関係ない話を......えっと、なんだっけ? 調べても理論的な魔法については分からない。じゃあどうするか。どうしましょう?


【安価です。どうするか
1.1人で考え続ける
2.雪乃に相談(電話)
3.深夜に相談(電話)
4.真夜に相談(電話)
5.気分を変えるために外出

安価下。】

2

>>440 2.雪乃に相談】


暗いリビングに1人ぼっちし始めてからかれこれ1時間が経過した。真面目に考えてはいるのだがどうしても関係のない話へ気分が向いてしまう。こういうところが自分の悪いところだと分かっていてもどうにも直らない。結局、私は人を頼ることにした。頼る相手は雪乃さん、深夜さん、真夜さんの3人の内の誰か。この選択肢でも悩みに悩み、最後には天才である雪乃さんに決めた。雪乃さんは魔法を理解していて、その上で自分が考える魔法を知っている。客観的な意見と個人的な意見の両方を教えて貰うためにも善は急げと言わんばかりに早速深夜さんから渡された携帯端末に登録されていた 霜月 雪乃 をコールする

歩夢「........」

なかなか出ない。まぁ、雪乃さんは未来の私同様に四葉の使用人さん。タイムスケジュール的に今は夕食の準備や、ご主人様も自分も高校生という年頃の女の子であるからこそ更に忙しく電話に出られないのかもしれない。仕事もあればご主人様に構わなければならなくて、自分のやるべき事もある。大変だなぁ、という他人の考えは捨て、同じ使用人として同情しながら待つ

電話をかけてから15秒、言うて15秒だ。待たされてはいない。充分常識的な範囲だ

雪乃『もしもし香夜? どうしたの?』

香夜(歩夢)「少し相談があるんですけど、今お時間よろしいですか?」

雪乃『うん、いいよ。ちょうど夕食の仕込みも終わったところだし』

香夜(歩夢)「ありがとうございます。相談というのは、魔法についてです。客観的に見て魔法って何だと思いますか?それと、雪乃さんから見て魔法とはなんなのか。もしよろしければ教えて下さい」


雪乃『魔法について.....ね。客観的に見れば、一般人からしたら兵器。魔法師からしたらいざという時に身を守れるけれど、相手が自分より強ければ殺される心配もある』

誰でも思いつくような考え。しかし、それが普通だということを私は知らなかった。客観的な意見とはいえ同じ意見を持ってくれる人は、今まで私が聞いてこなかっただけなのだが、雪乃さんが初めて

雪乃『魔法というのは非科学的なよく分からない原理で成り立っているものだから今の私にはなんとも言えない。未来の私だったらもう少し具体的に言えるかも。多分忘れているだろうから気になったら聞いてね』

さりげない関係を持続させていくアピール。い、良い人だ.....眩しい

雪乃『で、私個人の意見だけど、魔法は私になくてはならない物かな。家柄っていうのが大きいけど、最大の理由は深夜と真夜のため。あの2人は私を救ってくれた。だから恩返しも兼ねて2人の険悪な仲を取り戻せるように私は魔法を使い続ける。もちろん使用人.....じゃなくて、友達として実践でも守れるように頑張る。香夜には悪いけど、深夜と真夜は私の....ぞ....だから』

最後の方はあまり聞き取れなかったが、私の憶測では「私の家族だから」と言った。中学校に入る前に両親を亡くし、親戚も居ない雪乃さんにとって深夜さんや真夜さんは当たりは冷たくても温かい部分を持っている2人に惹かれたのだろうか

雪乃『私が考えている魔法についてはこのくらいかな。他に何か聞きたいことはある?』

香夜(歩夢)「ありがとうございます、とても参考になりました」

雪乃『なら良かった。じゃあね、香夜』

いつの時代でも雪乃さんは私の尊敬するお母さん。本当、凄い


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:外に出かける
偶数:家で考え事を続ける
安価下。】

とぉ

>>443 0:外に出かける】


雪乃さんの話は私の『魔法』とは何なのかを決定付ける重大な物となった。少しだけ考える余裕が生まれたからか、軽く外出することにした。現時刻は19時。街灯も手伝って外は明るい。むしろ真っ暗な深夜の散歩もしてみたいものだが、この辺りの治安をまだ私はよく知らない。冒険して嫌な目に合うのだけは勘弁です


ー外ー

ということで外に出てみたが、思っていたよりも寒い。コート着てきて良かった。脚もスカートだけど140デニール(タイツの厚さの単位)くらいの黒タイツを履いているので寒さは感じない。それにしても黒タイツって自分が履いている限りはなんとも思わないが、人が履いているところを見ると美しく見えてしまう。永遠に冬の寒さだったらいいのに


ー移動ー

私は家から30分、学校から1時間30分くらいの学校とは真逆の方向の繁華街っぽいところにやって来た。お洒落な喫茶店やお洒落なお店が入ったビル、そしてリア充が群がっていそうなレジャー施設(ボーリング・ゲームセンターなど)がある。とりあえずここに来たものの、何しよう。何処かの喫茶店に入ってゆっくりしようかな

そう考えた私はあまり混んでいなくて、尚且つお洒落なお店を探した。一応、いつの時代でも年頃の女性アピールはしたい。何処で誰が見ているか分からない外は特に。しかしお店選びに何十分もかけているのは馬鹿馬鹿しいので3分程度で決め、お洒落なお店に入店した。席はカウンター席と普通の席の2種類。私は普通の席を選び、木製の椅子に腰をかけ、店員さんがテーブルにメニューを置いてくれるのを待ち、置かれたら軽く頭を下げる


飲み物はホットチョコレート、コーヒー各種、紅茶、ココア、ジュース各種

食べ物は喫茶店でよく出されるようなパスタやトースト、あとはスイーツの類

飲み物は紅茶のアッサムを選び、食事は......この際だから外で済ませてしまおうと和風パスタとスイーツに苺ムースのズコットを注文した。そして注文を終えて数分後に気がつく

か、カロリーが.....今日は運動したからいいよね......?

不安にかられながらも落ち着いた雰囲気の喫茶店に心を奪われ、カロリーのことを忘れ、私は不本意だけど携帯端末で読書をし始めた


ー食事後ー

和風パスタと苺ムースのズコットを食べ終わり、あとは紅茶を飲み干すだけ。パスタとデザートの美味しさを思い出し、幸せに浸りながら紅茶を最後の1滴まで味わう。ふぅ、と肩をすくめ、そろそろ帰ろうかと思い席を立ち上がり、もう1度テーブルの上を見ると出されたにも関わらず1口も飲んでいない水が。......水って0カロリーだよね。水を飲むのは健康に良いって言うし.....何よりせっかく出してもらった水を飲まないのは店員さんに対して失礼。外食をする度にこんなことを考えて水も飲み干し、喉が冷たくなり、後悔している。今回も例外ではなく、飲み干して、喉を冷たくし、会計を済ませて帰路につく。すっかり遅くなってしまった。21時前.....早く帰ろう


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:ナンパされる
偶数:家に着く
安価下。】

>>446 6:家に着く】

喫茶店を出た瞬間に私を襲うのは冷たい空気。露出している肌に纏わり付き、心地良く感じるのは最初だけですぐに身震いしてしまう

歩夢「寒っ.....」

早く帰ろう、と改めて思い、足早に人を避けて家へと向かう。道中でどこのクラスでも必ず1人2人は居る不良ではないけどチャラい男性数人と女性数人が近所迷惑考えずに騒いでいたり、外だというのにイチャイチャしているカップルも多く見られ、私の機嫌は下がり続ける一方。無視しようと思っても必然と視界に入り、耳で聞こえてしまう

歩夢「はぁ.....」

1度、ため息か深呼吸か自分でも分からない気分の入れ替えをし、出来る限り感覚を外部からシャットアウトし、競歩くらいのペースで歩き直す

ここでふと、.....いや、さっきのカップルを見たせいか今達也くんは何をしているのかが気になった。意識を失っている深雪ちゃんを置いて学校にも行けないだろうからやる事といえば感情の多くを失っても残った興味のある魔法工学の分野の研究だろうか。研究が捗っているなら幸いなのだが、私はともかく深雪ちゃんが意識不明のまま倒れているとなるとあのシスコンのお兄様は妹のことが心配で心配でしょうがなく研究が進まないかもしれない。達也くんが悩んでいるかも、達也くんが困っているかも、達也くんがーーーーーー


【安価です。現実世界(2095年)の話を少し。コンマ1桁
奇数・0:深夜関連
偶数:???

安価下。】

ほい

>>448 4:???】


ー11月5日ー

司波達也は常日頃、自宅の地下の研究室で研究に没頭しているのだが、ここ数日は全く触れていない。触れていない理由は妹と大事な人の現状態が『意識不明』の重体による影響

11月1日の午前2時頃に歩夢は意識を失い、後日深雪の心配が限度を超えた結果精神を感知する触覚を使い巻き込まれる形になり意識を失った

達也と深雪の叔母である四葉真夜と歩夢の母である雪乃が言う限り大丈夫らしいが心配なものは心配で、達也はこんな時に何も出来ないことを悔やんでいた。母は禁忌の精神構造干渉魔法の使い手。妹は母ほどではないが精神には強く、四葉の血を色濃く継いでいる。しかし達也は分解と再生という戦闘では多大な戦力となる魔法を持ち合わせている代わりに通常の魔法に加えて精神を感知することが出来ない。守れるはずなのに守れない状況に達也はどうすることも出来ずに、学校も休み続け家で読書をしていた。読んでいる本は魔法工学ではなく歩夢が意識を失う前に読んでいた本。司波家のリビングはページを捲る音のみが虚しく響いていた

達也「.......ん、」

玄関前に何者かの気配にいち早く気がついた達也はインターホンが鳴らされる前にも関わらず読んでいる本のページに栞を挟み、本を閉じて玄関へ向かった。玄関前に着いたところでちょうど押されるインターホン。すぐに出るのは相手の心の準備のようなものを気遣って避け、鳴らされてから10秒ほどで玄関を開けた


そこにいたのは身長は150後半、容姿は綺麗な黒髪を肩を越すくらいまで伸ばし、顔は俯き気味で見えないがおそらく整っていて、どこか困っている様子を隠しきれていない少女

達也「.....なにか?」

対面してから10秒。全く話すを始めない少女に少し力強く低い声で少女が訪れた理由を問う

???(少女)「あ、あの.....司波達也さん......ですか?」

達也「そうですが......」

達也はこの少女に見覚えはない。しかしこの少女は達也のことを知っている。自分が本名を明かしてメディアに出た経験といえば九校戦のモノリス・コード。あれで自分のことを知っているのかと考えるが家を訪れられるほどのことはしていない。だとしたら大活躍を見せた深雪に会いに来たのだと考えるのが普通。深雪について調べていれば自然と達也の名前も知れる

達也「悪いが深雪は忙しい。また後日にしてもらっても?」

感情の多くを失った達也でも突然押しかけてきた少女を無下に扱うことは出来ず、追い返すのではなく帰って貰おうとしたのだが少女は、

???(少女)「.....いえ、深雪さんに会いに来た訳ではないです」

達也の発言を訂正すると同時に彼女は顔を達也に見せた。目の前にいる彼女の顔立ちは美しいというよりも可愛い部類に入る。しかし達也が気になったのは顔立ち云々ではなく目

達也「その目.....」

???(少女)「私は司波達也さんと君影歩夢さんに会いに来ました」

それは歩夢や歩夢の母と同じ、綺麗で青く蒼い碧色の瞳だった


【安価です。戻ります(2060年代)。次の日。コンマ1桁
奇数・0:休日
偶数:学校
安価下。】

ほい

>>451 6:学校】

ーリビングー

歩夢「はぁ.....」

家でシャワー等を済ませ、リビングの椅子に腰をかけて大きなため息を吐く。ため息の理由は明日が学校だから。勉強や雪乃さん達との会話が嫌なわけではなく、明日が学校だと考えるとなぜか憂鬱に感じるのはこの世で私だけじゃないはず

じゃあ何が憂鬱にさせているのかと聞かれれば答えられない。どれだけ探しても理由が見つからないことって稀にあるよなぁ、と真っ白な天井を眺め思う

対して、今私が考えるべき『私にとっての魔法』という議題は理由を見つけられる。雪乃さんの魔法について聞けたからか、頭の中で大分まとまってきた。しかしまだ明確になったわけではない。自分の魔法と向き合い、自分のしたいことを見出す。私の魔法は誰のために使われるのか、私の魔法は誰を守り誰を傷つけるのか、はたまた傷つける一方なのか。これについて教えてくれる人はいない。でも、考えてくれる人はいるんじゃないかと思ったけど、.....どうだろう。雪乃さんは真剣に聞いてくれそうだけど、深夜さんや真夜さんに関しては私のことより貴女達のことを優先させたいと私は考えている。先生はこれ以上相談に乗ってくれないだろうし.....

ー私室ー

考え事も程々にし、寝ることにした。これ以上この瞬間に考えても何も見つからない。もう何個かヒントになるような物を見つけてから考えよう。そっちの方が効率やしっかりとした意見を持てる。うん、そうしよう。何事も効率良く、結果重視だ。ベッドに入った私は意識が遠のくまで、何も考えずに無心で時間を過ごした


ー5:45ー

歩夢「......寒い」

温度に起こされた。昨日までこんなに寒かった?と心の中で明らか異常気象だと決めつけ、起きてしまったものは仕方ないと朝の支度を始める


ー6:30ー

朝食はトーストとサラダとお茶。見事なまでに昼食用のお弁当とは別の物を作った。これも時間に余裕のある表れだと言い聞かせ(言うて苦労はしていない)、朝食を済ませる

朝やるべきことを終えた私は、


【安価です。
1.早めに家を出る
2.家で読書

1の場合は登校途中で雪乃・深夜・真夜に会うかもしれません(安価)。
安価下。】

1

>>454 1.早めに家を出る】


迷った挙句、昨日同様に早めに家を出ることにした。理由はどうせ私のことだから何かに釣られて時間が自動的に潰されると思ったから

早めに家を出ることにした私は私室に置いてあった学校用に鞄を持ち、

歩夢「行ってきます」

誰もいない家に挨拶をし家を出た


昨日の失敗を生かして今日は真っ直ぐ学校に向かっている。道中で気になったお店があれば入る、みたいな作戦。家から学校までは1時間なので何かしら気になるお店はあるだろうし、無ければ早くに学校に着くだけ。どちらに転んでも良いようにした作戦。自分がどういう行動に出るかを完全に理解した完璧な作戦に慢心する私

この慢心がまさかあんな事になるだなんて......!

まぁ、そんなことはなかなか無いと思うけど。自分で言ったことに対して自分でツッコミを入れるなどしてポジティブに通学路を見渡しながら歩き続ける


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃・深夜・真夜に遭遇
偶数:誰とも会わない

コンマ1桁が1・6・0:の場合は事件に遭遇します。1・0の場合は雪乃・深夜・真夜と遭遇した後に事件に遭遇、6の場合は1人で事件に遭遇します。
安価下。】

んっ

>>456 6:誰とも会わない
6なので事件に遭遇します
呆気ないです】

家を出てから30分、学校まで残り30分のところでコンビニを見つけた。そういえばこの時代に来てからは1度も見つけたことないし、入ったこともない。2095年だったら3分歩くごとに見つけられるコンビニもこの時代では珍しいのだろうか。それともただ単純にこの辺りが田舎なだけなのか


ーコンビニー

内装は2095年と然程変わらない。強いて言えば商品の配置や商品その物くらい。監視カメラを気にせずキョロキョロと物珍しそうに店内を見渡しながら歩き回り、私は飲み物のケースの前で立ち止まった。ロングセラー商品は今も未来も変わらずにラベルくらいの差で存在している。その中でも私が気になったのは塩とライチを合わせた商品。塩キャラメルは苦手だし、ライチはそもそも食べたことなかったのだが気になったので買ってみることにした。鞄からお財布(これも深夜さんが用意してくれた)を取り出し、中身を確認して飲み物を全自動で無人のレジに持っていく。会計をしている途中でフラグは回収される

強盗「全員動くなっ!」

汎用型CADを持った覆面を被る男性が数人店内に入り、1人ひとりが店内に居た一般人を監視する

私がフラグを建てたのがいけなかったのか。どうしてこんな悪い方向のフラグだけ回収されるの、と心の中で嘆きながら会計を済ませる。当然、お金を払うためには動かないといけなかったので、

強盗「そこの女、こっちに来い」


一度後ろを振り返り、自分に指を向ける

歩夢「私?」

(強盗)「おい女、なめてると殺すぞ」

歩夢「落ち着きましょう、.....ね?」

強盗「......」

指揮を取っていると思われる強盗は無言で私に汎用型CADを向けてきた

歩夢「はぁ......穏便に済ませたかったのに」

こうなってしまっては仕方ない。気乗りはしないが魔法を使わずに、被害を出さずに相手を無力化しよう。

歩夢「......!」

霜月の目を使い、まずは店内に居る敵の数と私服に変装している可能性のある一般人全員の心の声

敵は5人.....と、

一般人1「(早く殺してしまえっ)」

一般人2「(強盗に巻き込まれるだなんて......くそっ、今日はついてない。だが、おとなしくしていれば解放されるはず......早くしてくれ)」

一般人3「(はぁ.....もう、警察は何をやっているのよ......)」

パッと心の声を聞いた限りは一般人1が私服強盗。ということは合わせて6人。.......学校に遅れるのも嫌だし急ぐか

強盗「女、お前目の色変わってないか......?.....うっ......」

指揮を取っているリーダー的存在をまず威圧で気絶させ、立て続けに2、3、4、5と気絶させ、残るは私服に化けている人のみ

私服強盗「な、なにが.....っ.....く.....」

霜月の目を使うとCADを持った強盗も怖くない。このまま目に頼りきりで大怪我しなければいいんだけど.....

巻き込まれた一般人2人に何をしたのかを聞かれる前に商品を持って足早にお店を去り、学校へ向かった。道中でパトカーとすれ違ったが何も言われない。学校に連絡がいかないことだけを祈りながら正門・昇降口を通って教室、自分の席へ


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜「今朝、」
偶数:特に無し(お昼休みになります)
安価下。】

ほい

>>459 2:特に無し】


深夜さんや真夜さんから今朝の事件について聞かれることもなく、お昼休みを迎えた。このお昼休みの瞬間に聞かれる可能性もあるが、そもそもまだこの2人が事件を知らない可能性だってある。まぁ大丈夫だろうと適当に考え、いつも通り屋上へ

扉を開けると同時にひんやりとした空気が体に纏わり付いてくる。数十秒後、気温には慣れたが出来る限り暖かい場所で食事をしたいという思いから日向でお弁当を広げ、ぼーっと晴天の空を眺めて雪乃さん達を待ち、数分後にお弁当を食べ始める

食事中の会話は私の正体に関することはもう話尽くしたのか、他愛もない雑談をした。昨晩は何をしたか、どうしてわざわざ外食をしたのか、など。正体に関する話ではないものの、私の話ばかり。口下手な私の話がそんなに面白かったのだろうか

お昼休みは何事もなく終わり、5時限目、6時限目と眠気と戦いながら過ごし、放課後。先生とはまだ『自分の魔法』について考えがまとまっていないから話せないし......


【安価です。放課後何をするか
1.深夜と話
2.真夜と話
3.雪乃・深夜・真夜と話
4.1人

1 と 2は真面目な話です。】

2

>>461 2.真夜と話】

放課後、私は真夜さんに話があると言い真夜さんのみを連れ出して家へ。ちなみに雪乃さんは「えー、なんの話ー?」と嘆き、深夜さんは無言で送り出してくれた

リビングで紅茶と茶菓子を出し、向かいに座る真夜さんに話を切り出す

香夜(歩夢)「大事な話です」

真夜「そうでしょうね。そうでもない限り私だけを連れ出したりはしないでしょうし」

香夜(歩夢)「まずは....私の名前から」

真夜「やっぱり結城香夜は偽名なのね。ここまでは雪乃も姉さんも気がついていることだけれど」

雪乃さんも深夜さんも私が名乗った時口を揃えて嘘と断言していた。それでもこの数日は偽名と分かっていても私のことを結城香夜として接してくれている。真夜さんはこれから話すけど、2人にも早めに全てを明かしたほうがいいのかな。これからはまた後で考えるとして、真夜さんにはこの場で全てを話す


香夜(歩夢)「私の名前は君影歩夢。父は君影綾人、母は霜月雪乃です」

真夜さんの反応は眉をひそめる程度だった。大体予想が出来ていたからこその反応なのか、それくらいは受け入れる覚悟があったのか

真夜「.....確証となる物を見せてくれないとなんとも言えないわ。口で名乗るだけなら誰にでも出来る訳だし」

歩夢「確証となる物.......」

真夜さんが知っているかどうかは別としても、これを見せれば少なくとも霜月の血を引いているということだけは信じて貰える。そう考えた私は、

歩夢「真夜さんは霜月の目をご存知ですか?」

真夜「四葉家の資料にあった範囲なら。確か目の色が青....いえ、碧に変わると.....」

歩夢「知っていたなら話は早いです」

私は意識して目を変えた。青から碧へ。私の目を見た真夜さんは今度こそ目を一瞬見開き、動揺を見せた


真夜「信じるしかないようね。香夜.....歩夢さん、何個か聞かせて。貴女はどうしてこの時代にいるの?綾人さんと雪乃の娘ならこの時代にいるのはおかしいでしょう」

歩夢「それは.....」

省略的に、かいつまんで真夜さんに説明した。2095年の11月1日に目に激痛を感じ、気がついたら2000年代付近と思われる世界にいて、霜月さんの力より過去の未来であるこの時代に来た、と短く簡潔に

真夜「その霜月さんは名前が無いのよね」

歩夢「私はそう聞いています。名前なんて無い、ただの霜月。それだけだと」

真夜「四葉家にある資料にその霜月さんと思われる人の情報が書いてあったわ。それと私と姉さんの先祖である沙夜さんと千夜さんについても少し。情報と言っても霜月さんは霜月さん、沙夜さんと千夜さんは四葉沙夜と四葉千夜と書いてあった程度。ほんの些細な名前だけ。探せばもっと何か出てくるかもしれないけれど、今はそれくらいね」

霜月さん、沙夜さん、千夜さんの名前を出したことで完全に信頼された。霜月の目だけでは不十分だったということだろうか。深夜さんと話すときは再びこの3人の名前を出すのが手っ取り早いのかな


真夜「これからは質問に明確に答えなくてもいいし、拒否権を行使して貰っても構わない。2つ目、四葉家次期当主は誰?」

歩夢「真夜さん」

真夜「3つ目、姉さん、.....四葉深夜はいつ死ぬの?」

歩夢「40代半ば、としか私には分かりません」

真夜「......。4つ目、私と姉さんは仲直りする?」

歩夢「私の知る限りでは......」

真夜「......」

歩夢「でも、仲直りさせてみせます。例え未来を変えることになっても、私の存在が消えようとも深夜さんと真夜さんは仲直りするべきです」

真夜「そんなこと.....っ!」

真夜さんは席を立ち上がり、手をぎゅっと握りしめた。感情的になった声と揺さぶられる心に反映された体の震え。仲直りしたくても出来ない様子がひしひしと伝わってくる


歩夢「お母さんも言っていたことですが、深夜さんと真夜さんは意識しなくても同じ動きをしている。どんなに仲が悪くても姉妹であることに変わりない。だから.....絶対に大丈夫です」

真夜「......次、歩夢さんの彼氏さんはもしかして姉さんの息子?」

私の真っ直ぐな意思の反応こそ無かったが、しっかりと伝わっている。真夜さんは人任せになるのが嫌で「お願いするわ」と言えなかったのか、ただ単純に恥ずかしくて言えなかったのかはともかく、関係を取り戻すには深夜さんと真夜さんの間の傷について知らなければならない。真夜さんからの質問に全て答えた後に疑問をぶつければ全てを知る権利を得れる。だから今は真夜さんの質問に......

歩夢「そうです。名前は司波達也。その妹は司波深雪。.....ここからは言いにくいのですが、達也くんと深雪ちゃんの父、深夜さんの夫である司波龍郎さんは深夜さんの死後に小百合さんという方と再婚します。なので.....あまり結婚はおすすめ出来ません」

真夜「達也さんと深雪さんの存在そのものが無くなる代わりに姉さんにはしっかりと愛して貰える夫と結婚させたいと.....?」

歩夢「......」

この質問には答えられない。好きな人と大事な友達を失うか、好きな人と大事な友達の母に幸せになって貰うか。どれだけ考えても結論は見出せない


真夜「質問を変えるわ。達也さんと深雪さんの魔法は?」

歩夢「達也くんは生まれ持っての再生と分解魔法のせいで一般的な魔法は使えないそうです。しかし戦闘では非常に使える人材です。戦略級魔法師と並ぶ.....多分、それ以上の能力を持ち合わせています」

「使える人材」と口出すのは抵抗感があったが、これで未来の達也くんが四葉から冷遇されるのを避けるためだと考えれば未来のためをしたと考えられる。これで良かったのかな......

歩夢「妹の深雪ちゃんは世界でもトップクラスの魔法力を持っています。この時代の雪乃さんと同等、またはそれ以上。未来の真夜さんは次期当主は深雪ちゃんで決まりと断言していました」

真夜「.....そう、分かったわ。質問はお終い。次は私の話をしましょうか」

ついに深夜さんと真夜さんの仲が悪い理由が判明する。どれだけ重い喧嘩をしたのか。仲直りさせることを考えたらできるだけ軽い理由にして欲しいけど、これだけ長く喧嘩していたということはそれ相応に重いのだろう。覚悟しよう


真夜「私は12歳のとき、この時代から見て4年前に崑崙方院に誘拐されて人体実験として強姦されたわ。救出されたものの生殖機能は失っていて婚約者であった七草弘一さんとの婚約を解消。ここからが姉さんとの関係の話になるのだけれど、強姦されて病んでいた私を救おうと姉さんは私に精神構造干渉魔法を使ったわ。効果は経験を知識に変えた。私は実体験を映画や小説で読んだ記憶同然に変えられた。強姦されたヒロインが私ってこと」

年頃の女性が『強姦』という単語を連呼するのはどうかとは全く思わなかった。.....いや、少し思ったからこそこんなこと言っているんだけど

......どこから突っ込めばいいのやら。未来の真夜さんが結婚していない理由は.....生殖機能を失ったから。っ......心苦しいから問題の点だけを考えよう。深夜さんは真夜さんの心の傷を埋めるために魔法で経験を知識に変えた。これって.....

歩夢「深夜さん悪くないんじゃ......」

真夜「そう.....なんだけど、姉さんはそれまでの私を殺したのよ。それまでの12年間の日々の経験を知識に変えられた。姉さんと楽しく話した日々、姉さんと楽しく遊んだ日々、姉さんと.......」

あの兄弟あって、この姉妹あり。呆れるほどの仲良しばかり


歩夢「仲直りする意思はありますか?」

真夜「.......」

歩夢「深夜さんが謝ってきたら?」

真夜「......」

歩夢「またやり直そうって言ってきたら?」

真夜「......やり直したい。今度はしっかりと」

呆れるくらい真夜さんは深夜さんを気にかけている。あとは深夜さんをどうにかするだけ。こっちの方が問題なのかな......?

歩夢「分かりました。私も全力を尽くします。でも、私だけでは出来ないので真夜さんも協力してくれますか?」

真夜「私に出来ることなら」

この時代でするべきことの1つである深夜さんと真夜さんの関係の修復へと大きな一歩を踏み出した。深夜さんと1回話して、2人きりにさせられる空間を作り出せれば終わりかな


【安価です。もう1つ質問
1.雪乃の裏について
2.真夜は魔法をどう思っているか
3.もし仲直りしたら何をするか
4.その他
安価下。】

2

>>470 2.真夜は魔法をどう思っているか】


歩夢「あと1つ聞かせて下さい。関係ない話になってしまいますが、真夜さんは自分の魔法をどう思っていますか?」

真夜「立場のために使う。それだけ」

単純ながらも妙に納得のいく答え

そうだよね、真夜さんはそういう人だから。約半年雇って貰って四葉家当主の四葉真夜についてはそれなりに知った気でいる。理想を裏切らない答えを持つ真夜さんは冷たくなく、温かい人。微笑ましく、笑みがこぼれてしまう

私の中で真夜さんの株が急上昇する中、当人は、

真夜「そろそろ帰るわ。あまりにも遅くなりすぎると使用人さんが私のことを心配して街中を駆け巡りそうだから」

歩夢「送りましょうか?」

真夜「結城香夜は四葉については知っていても屋敷の所在地までは知らない設定の方がいいと思うけれど。君影歩夢としてなら別だけど」

歩夢「.......じゃあ、近くまで」

過去に誘拐されている、と考えたらここで素直に送り出せるはずもなく、最大の妥協でこの家から屋敷までの中間地点までは送り出すことにした。何かあったら未来が変わ......もうかなり変わっているのかな。達也くんと別れている、またはそもそも出会っていない設定....はないか。霜月と四葉の関係で会うだろうし

んー、まぁ、なるようになってくれることを祈ろう。というか、祈ることしかできない




真夜「ここまででいいわ。ありがとう、歩夢さん」

歩夢「はい。ではまた」

真夜「またね香夜さん」

オンオフの切り替えが早い。そういうところがあの未来の真夜さんの構成されている特色というか性格......みたいな物なのだろうか


再び帰宅した私は、


【安価です。この後の予定
1.お仕事ー戦う系(安価で決めますが、雪乃が見に来ている場合は普通に戦い、来ていない場合は目を使って倒します)
2.お仕事ー潜入系(パーティに参加して書類を取りに行きます)
3.外出(多分安全です)
4.家で何かする

安価下。】

>>473 2.お仕事ー潜入系】


何をしようかと考えていると携帯端末にメールが届いた。メールだよっ! とか You got a mail のような着信ではなくただのバイブレーション。素っ気ないなぁ、と思ったが2095年で私が所持している携帯端末の着信もバイブレーションだということを思い出す。もう現代(2095年)というものが懐かしく思える。話を戻し、肝心のメールは、

From:四葉深夜
件名:仕事
内容:本日、20時から◯◯ホテルの35Fで行われるパーティに参加し、36Fに部屋を取っている××という方の端末の情報を全て現在香夜さんが見ているこの端末に情報をコピーして下さい。コピーの方法はUSBケーブルで端末とこの端末を繋ぐだけで結構です。
ついては、結城香夜ではなく四葉香夜を名乗り、くれぐれも失礼のないように社交的にお願いします。

以上。

2番目にやりたくないと思っていたお仕事がやって来た(1番目は殺人の強要)。パーティって....クローゼットにあったあのドレスを着るのか......

嫌だなぁ、やりたくないなぁ、と思いながら2階に上がり、クローゼットを開けてドレスを手に取る。色は黒。裾は床すれすれまであるロングドレス。問題は肩やら胸辺りが完全に覆われない仕様になっているということ。.......ふぇぇ、どうしよう



とりあえず着替えてみたものの、......姿鏡に映る私には色気がない。化粧? 化粧か。However(しかしながら)、私は化粧を生まれてこのかたしたことがない。んー......どうしたものか


化粧の内に入るかどうか怪しいが、応急処理感覚で薄いリップグロスを塗り、もう1度姿鏡の前に立つ。......これでいっか、とはいかず余裕を持った出発時間になるまで試行錯誤を繰り返す


結局のところ、時間をかけた割には化粧はリップグロスのみに落ち着き、あとは雰囲気でカバーすることにした。今の私は君影歩夢でなければ結城香夜でもない、四葉香夜。深窓の令嬢を意識し、化粧直しのリップグロスとお財布と携帯端末とUSBケーブルと......あ、CAD(汎用型のみ)もだ。以上の物を白いハンドバックに入れ、家を出る。するとそこに待っていたのはリムジン。相変わらずの待遇のされ方、とは思ったが四葉の姓を語る者には当然なのだろうか

運転手「香夜さま、少々お早いですが出発されますか?」

香夜(歩夢)「お願いします」

運転手「畏まりました」

運転手さんにエスコートされ車に乗り込む。安定の広さと上品さ。冷蔵庫的な場所には高級なお酒から未成年でも飲めるシャンパンが入っている

運転手「もし、」

香夜(歩夢)「大丈夫です」

運転手「失礼致しました」

過ぎ去っていく景色を眺めながら数十分、◯◯ホテルに到着した。会場は35階だっけ?


運転手「まずはフロントでこの招待状をお渡し下さい」

運転手さんから渡されたのは1枚の封筒。この中の招待状が入っているのだろうか

香夜(歩夢)「分かりました」

運転手「それでは、ご健闘をお祈りしております」

香夜(歩夢)「ありがとうございます」

『健闘』については聞かなかったことにし、ハンドバックと封筒を持ってホテルへ。入った瞬間にいくつもの視線を感じたがこの程度なら中学生の時の「あの子、1人でお昼ご飯食べてるよ」「可哀想.....」の視線と比べたら大したことはない。心を閉ざした令嬢感を出しながらフロントに封筒を手渡し、エレベーターで35階へ。35階はフロアがパーティ会場(厨房やスタッフルーム含む)となっていて、こう言うのも失礼に値するだろうが無駄に広い。なんだこの広さ。もっと有効活用しようよ、と思いながら会場に足を踏み入れる。先ほどとは全く違う鋭い視線を全身に浴びながらも挫けずに会場の中心へ

富豪1「君、何処の人かな?」

この人は.....違うか。冷たく適当にあしらった方がいいのか一応丁寧に扱った方がいいのか。私には分からないので、まぁ適当に

香夜(歩夢)「四葉です」

富豪1「よ、四葉......。時間をとって悪かったね。パーティを楽しんで」

彼は動揺を隠しきれず、慌てて去っていった。四葉ってそんなに怖がられているの?


疑問を持ちつつもキリッとした表情を装いながら主賓が集まっているであろう壇上付近に行くと、

富豪2「そこの女性、少し時間いいかい?(英語)」

この人.....2095年から見て数代前のアメリカの重権力者だった気がする。そんな人まで居るのかと驚きながらも冷静に返す

香夜(歩夢)「はい、大丈夫ですよ(英語)」

ここで気付いたけど私、冷たくなれていない気がする。しかし、この会場には私より年上しかいないんだからお嬢様語はいらないことに気がつくのも直後。敬語だけ使っていればどうにでもなる

富豪2「名前は?(英語)」

香夜(歩夢)「四葉香夜と申します(英語)」

富豪2「あの四葉の......。今日は何の用で? たしか四葉はパーティ等にはあまり参加しないはずだが?(英語)」

香夜(歩夢)「たまにはこのような催しに参加するべきだという判断です。人間関係はいつ使えるか分かりませんから。(英語)」

富豪2「それはそれは。結構なことで。貴女以外にもそう考えてこのパーティに参加した者は多い。かく言う私もそうなのだがね(英語)」

香夜(歩夢)「奇遇ですね。.....、(英語)」

富豪2「挨拶する人がいましたか?(英語)」

香夜(歩夢)「......いえ、まだ時間はあるので大丈夫です(英語)」

富豪2「こちらに気遣わず挨拶を済ませた方がいい。挨拶こそが人間関係を築くために必要不可欠だからね(英語)」

香夜(歩夢)「......失礼します。また機会があればお話して貰っても?(英語)」

富豪2「ええ、もちろんです(英語)」

香夜(歩夢)「失礼します(英語)」

あの外国人は正真正銘の紳士だった。変な話に持っていかず、真っ向から話をしてくれた。もう1度話したいというのは事実で、そう思えるほど彼は四葉の名に動じず平等に思ってくれた

余韻に浸る?はここまでにして、目標の××さんを見つけた。お酒をかなり飲んでいるようで顔が赤い。今はグラスを片手に資産家数人と会話をしている。今しかない、か。怪しまれないようにゆっくりと化粧室へ向かい、1度リップグロスを塗り直す。塗り直す行為は監視している人を欺くため。男性2人とこの化粧室の個室に女性が1人、私を監視している。もちろんこれは目を使ってハッキリと気がついたこと。先生に貰ったコンタクトを付けてきて正解だった

ここからどうしたものか.....


【安価です。コンマ1桁
奇数:無事××の部屋へ侵入成功
偶数・0:問題発生
安価下。】

せい

>>478 1:無事××の部屋へ侵入成功】


化粧室の個室に入っている女性は威圧で気絶させるからいいとして、化粧室から少し離れた場所で待機している男性2人はどうしよう。威圧で倒してもいいんだけど、廊下に気絶した人間がいるとそれはそれで問題になりそうだし......、知覚系の魔法で姿を消して見せるのが1番早いかな。うん、そうしよう

早速目で個室に入っている女性を動く隙も与えずに気絶させ、光学迷彩を自分にかけて視覚的に見えないステルスとなり化粧室を抜け出し非常階段から36階へ

××さんの部屋は......ここかな。36階の中でも唯一使用されている形跡もあるし

オートロックの扉を開くには鍵か生体認証か魔法でこじ開けるの3パターン。随分と好都合なことに私は生体認証を行える。仮装行列で××に変装し、扉を生体認証で正々堂々と開け、室内へ

香夜(歩夢)「.......」

まず目で監視カメラや盗聴器の有無を確認し、無いのを何度か確認した後に部屋に入る。人がいないと分かっていても忍び足で、ゆっくりと。1、2分部屋を探し回り、寝室のベッドの隣の小さな物置き用のテーブルの上に端末を発見した。早速ハンドバックから携帯端末と端末をUSBケーブルで繋ぎ、携帯端末をみると、

1/100%

も、もしかして時間かかるやつ......。フィクション通りなら50%くらいのところで××さんが部屋に戻ってきて緊張の瞬間を免れない。××さんが寝室の扉を開けたけどそこには誰もいなかった、みたいなオチ。私には出来るだろうか

目でこの部屋に近付いて来るものが居ないかを常時確認しつつ、いざという時に隠れられる場所を探す。携帯端末は寝室の端末に繋ぎっぱなし

3分後、万が一に隠れられる場所を何箇所か見繕い、寝室に戻り状況を確認すると、

57/100%

このままいけばあと3分弱ぐらい。早く......


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:××が部屋に戻ってくる
偶数:無事終了
安価下。】

ほい

>>480 8:無事終了】


ー3分後ー

携帯端末にカウントが表示された

10、9、8、7、6、5

あと5秒

5、8、10、9、8、7

残り時間が増えることってたまにあるよね、と心の中で端末に同感しながら今度こそ残り7秒を待つ

7、6、5、4、3、2、1、コピー終了 送信中

カウントが終わるとコピーは終わり、そのまた直後には『送信中』と表示された。深夜さんに自動的に送られているのだろうか。ともかく、今の私はこの場から素早く確実に去ることを求める。人が来ないかを念入りに確認しつつ各扉はしっかりと閉めて何もなかったかのようにし、非常階段から35階に降りて改めて光学迷彩で姿を隠して化粧室に入り、光学迷彩を解いて化粧室から出る。これで私を監視していた男性2人には怪しまれない。約10分のお化粧直しくらいは普通だと本に書いてあったし、上手に誤魔化せたんじゃないかと思う

パーティ会場に戻った私は数人の資産家の方々と上辺だけのお話しをし、パーティ終了まで不自然な点なく時間を潰す

なお、こんなにも胸元が開いているドレスにも関わらずそういういやらしい視線を感じなかったのは私に魅力が無いか、資産家さんなりに遊び相手がたくさんいるので私みたいな小娘には興味が無いのか


そしてパーティ終了を知らせる挨拶が終わり、私は出席したメンバーの年齢を考えて最後の方に退場をした。退場し、優雅にフロントを抜けてホテル前に迎えの車を探す手間もなく何故か深夜さんが目立つ場所に居た

深夜「お姉様、冷えますのでこちらに」

香夜(歩夢)「え、ええ.....」

反射的にいつもの「う、うん.....」ではなくお嬢様っぽく「え、ええ....」を使ってしまった。若干困惑している様子はともかく、お嬢様っぽい....かな?

深夜さんの姉、つまり四葉家の長女の立場を奪った四葉香夜は妹の深夜s.....深夜にエスコートされて車に乗り込む。深夜さんを心の中とはいえ呼び捨てにした件は心に留めておこう。絶対怒られる

深夜「香夜さん、ご苦労様でした。おかげさまで貴重な情報が入りました」

香夜(歩夢)「いえ、そこまで苦労はしていないです。それに、面白いお話も聞けたので」

資産家さんなりの考え方を様々な方面(職種)数十人から聞けたのは正直に楽しかった。こういう風な考え方をして部下に指示をし、現在のような形に至るというのは後学となり、この知識が四葉家次期当主になるであろう深雪ちゃんのためになるなら本望。これくらいの苦労なんてことはない


深夜「それにしても......」

香夜(歩夢)「.....?」

深夜さんの視線の先は私の首下

深夜「香夜さんって着痩せするタイプのようね」

香夜(歩夢)「.....セクハラですか」

深夜「どうかしら」

セクハラ紛いの発言だったが、これも私の気を遣った上での発言なのだろうか。本心からこのお仕事は楽しかったと思っているんだけどなぁ

深夜「......」

視線は未だ私の胸元へ。この時の深夜さんは沙夜さんに似ているということもあって、寒気がする

深夜「肌綺麗ね」

香夜(歩夢)「深夜さんの方が綺麗だと思いますけど。真っ白な雪のように白い肌。.......私の友達にそっくりです」

私の友達=貴女の娘。似ているのは当然であり、むしろ似ていないとおかしい

深夜さんを見るたびに深雪ちゃんや達也くんが恋しくなる


深夜「遺伝よ」

香夜(歩夢)「違いありません」

深夜さんが真っ白な肌をしているのは真夜さんと同じく深夜さんと真夜さんのお母様の遺伝を強く受け継いでいるからであり、深雪ちゃんが真っ白な肌をしているのは深雪さんの遺伝を強く受け継いでいるから。何事も遺伝。小説でよく見るチートキャラは大抵遺伝の力。無論、私もそう。あれ、この世界ってもしかしてフィクション?

香夜(歩夢)「ん、......無言で触るのやめて下さい」

深夜さんは私の胸のドレスで覆い隠せていない部分を撫でるように触り、時折少し力を入れて押している

深夜「一声かければいいの?」

そう言っている最中にもやめずに、触ってくる。この深夜さん、沙夜さんなんじゃ.....

香夜(歩夢)「......少しなら」

深夜「.......予想外。香夜さんって以外と普通なのね」

深夜さんは手の動きを止め、

深夜「もっと硬い人だと思ってた。流石は真夜が全てをさらけ出した人ね」

香夜(歩夢)「話聞いたんですか?」

深夜「様子を見れば分かるわ。あの子は......私の唯一の妹だから」


香夜(歩夢)「......だったら......」

深夜「今はまだ駄目。......心の準備が出来ていないから。真夜の考えていることも予想とは違うかもしれないし......」

香夜(歩夢)「真夜さんは深夜さんが声をかけてくれるのを待っています」

深夜「.......」

香夜(歩夢)「お姉ちゃんとして勇気を出してみたらどうですか?」

深夜「......そうね、そうするわ。.....目を逸らし続けてきたけれど、今なら正面から謝れる」

香夜(歩夢)「姉妹で仲良くなるのは構いませんが、雪乃さんのことを忘れないであげて下さいね」

深夜「ええ、分かってるわ。あの子は家族が居ないから私、.....私たちが支えてあげないと」

香夜(歩夢)「お願いします」

深夜「真夜と仲良くなれたら今度はゆっくり胸触らせてね」

香夜(歩夢)「それはちょっと.....」

深夜「力づくで触るわ」

香夜(歩夢)「力づくで阻止します」


深夜「ふふ、その時が来れば、ですけどね」

香夜(歩夢)「来ます。絶対に」

キリの良いところで家の前に到着した

深夜「香夜さん、また3日後に」

香夜(歩夢)「はい、3日後にまた。今度は姉妹揃って笑顔を見せて下さい」

深夜「それはどうかしら」

肩をすくめて、未来の深夜さんの面影を一切感じさせず、普通の少女っぽさを見せて深夜さんは車の窓を閉めた。去っていく深夜さんを乗せた車。......今日は色々なことがあった。早くお風呂入って寝よう。明日・明後日は休日だけど、だらしのない女にはなりたくないし


【安価です。明日何をするか
1.1人でゆっくりする
2.外出
3.雪乃・深夜・真夜と何か
安価下。】

2

>>487 2.外出
服のセンス無いです。むしろどうして服装わざわざ決めたのか......】


ーリビングー

物音が全くしないリビングで私はポツリと呟く

歩夢「......何しよう」

天気は快晴、気温は最近の中では暖かい方、時刻は9時。子供なら考える暇なく外に遊びに出るくらいの条件が整った日なのだが、私は子供でなければそんなアウトドア派でもない

家で読書する? .....でも、家に篭りっぱなしは健康を害するってよく言うから......外に出るか。何処に行くかは適当に決めよう

子供でなければアウトドア派でもない。しかし私は健康維持のために外に出る。完璧な理由。職質とかされたら「健康維持のために外出してます」って誇って言おう。まぁ、職質って何を聞かれるか全く知らないんだけど。もし「本日は何の用で?」と言われたらの話だ


ー私室ー

年頃の女子らしくない短時間で服装を決めるという女子力の低さを自分で自分に感じさせ、必要最低限なお財布とCAD2機を持ち外へ

今日の服装(外装)はコート(ピーチピンク?)と短めなプリーツスカート(黒)、黒のタイツ(140デニール)、マフラー(チェック)。適当に決めた結果がこれだ。毎回何処かに1つでも黒を選んでしまう私はセンスがないのかも。ただ、タイツの色は黒。これは譲らない。マフラーはなんとなく。ちなみに髪型は薄いピンクがかった白色のシュシュでまとめて右肩に乗せた

本当にこれで良かったのかなと心の中で一方的な自問をしつつ30分をかけて繁華街らしき場所へ。この繁華街は2日前の夜に来たところ。土曜日ということもあって若者から子供連れの大人が多くいる。人が私の横を通り抜けると同時に感じる自身のファッションセンスの無さは未だに慣れない

適当に歩き、レジャー施設(ボーリング・ゲームセンター・カラオケ)の建物を見向きもせず通り抜け、若干人気が減った場所へやって来た。時刻は10時。まだお昼ご飯には早いし......


【安価です。何をするか
1.本屋
2.楽器屋
3.服屋
4.喫茶店
5.その他
安価下。】

>>489 2.楽器屋】


とりあえず外に出たのはいいものの、全くもってやりたいこと・見たい物が見つからない。流石にその場に止まってジッと目的を考えるという手段も取れず、歩き続けるしかなかった

家を出てから45分、繁華街から15分ほど歩いたところであるお店を見つけた。私の目に留まったということは私の趣味にそれなりに関係しているもの。それは、楽器屋さん。ギターやベースには疎いがピアノにはそれなりに強いと個人的には思っている。このお店は2095年でも有名な大手音楽関係の全国・世界に名を轟かせるチェーン店

私は迷わずに入店し、ピアノのコーナーを探す。入店して数歩足を進めたところで、

店員「ピアノをお探しですか?」

綺麗な女性店員さんが接客業なのか親切なのか分からないが、話しかけてくれた。そこら辺はいいとして、どうしてこの店員さんが私がピアノを探していることを知っているのか

歩夢「あの.....」

店員「手を見れば分かります」

『手』と聞いた瞬間に察する。ピアノをする人の手は指が細くて長い、とか。そういうところを一瞬で見抜くところとかはプロの店員さんなんだな、と心の底から正直に感じる


店員「あ....失礼でしたか.....?」

歩夢「いえ、全く」

店員「恐れ入ります」

店員さんは営業スマイルではなく本来の笑顔を私に見せた後、ピアノコーナーへと私を案内する

店員「ご自由にお使い下さい。楽譜もよろしければ」

ピアノコーナーにはグランドピアノが数台と電子ピアノが数台、それとは別に数千もの楽譜が入った情報端末を手渡された

歩夢「ありがとうございます」

軽く会釈し、勘で1つのグランドピアノを選び椅子の高さを調節して楽譜が入った情報端末をを操作してお店のためにも得意な曲を選ぶ

店員「.......」

私のことが気になるのか店員さんは少し離れた位置から私の手をしっかりと捉えている。恥ずかしい......やっぱり弾くの辞めようかな。でもここまで来たら弾かざるをえない


歩夢「はぁ.....」

ため息に似た深呼吸を1度し、弾き始める

選んだ曲は沙夜さんを負かした『クライスラー愛の悲しみ(ラフマニノフ編)』

店員さんが気を使ってくれたのか店内にかかっていた曲は止まっている。物音が全くしないお店に響く私の音。弾き始めてからは恥を忘れて、自分の世界に浸かる


歩夢「.......」

約4分30秒の独奏を終えると同時に入った音は手を叩く音。それもかなりの量。自分の世界から抜け出し、現実に目を向けるとあの店員以外にも多くの店員さんと元々居たお客さん、そして音を聞いて入店したと思われる人が私のために拍手してくれていた。今更再び恥ずかしくなり俯き、何度も頭を下げて足早にお店を去る。ただ弾きに来ただけ。でもおかげでお客さんがいっぱい入った(しかし物を買うかどうかは不明)。私は良い事をしたのか悪い事をしたのか。どれだけ考えても私には分からない疑問だった


【安価です。何をするか
1.本屋
2.服屋
3.喫茶店
4.その他
安価下。】

模型屋

>>493 模型屋】

特にやらかした訳でもないのに私は『恥』を感じ逃げた先は、

歩夢「ここ.....何処?」

2095年のここ近辺なら水波ちゃんとのお買い物で何度も来た事があるので土地勘はあるが、それは2095年での話。あまり知らない時代・知らない街の構造・知らない何処か

つまり私は迷子になった

歩夢「はぁ.....」

情に負けて無意識の移動してしまった事を後悔し、このまま悔やんでいても仕方が無いと決断を下すと来た道も分からないので適当に歩き始めた

数分後、私が(偶然)来たのはいわゆるシャッター商店街と呼ばれる場所。人気がなく、お店としては悪い清々しさ。街灯に頼るほどまだ外は暗くないのだが、見る限り街灯は錆びれて傷が付いている。見るからに治安が悪い、もしくは過疎が進行しきった辺り

この惨状から自然と考えてしまう失礼な考えを心の奥底にしまい、街に戻るためにはこっちの方向ではなかったということで道を引き返す

引き返す途中でおそらく唯一と思われるお店を見つけた。色が落ちていてあまりよく読み取れないが看板には模型と書いてある。模型.....上空から見た日本とかあるのかな?

気になったので入店し、短く的確に中を見渡す。内装は綺麗に片付いていて、清潔感が感じられ、この商店街には似つかわしくない内装をしていた

で、肝心な模型は.....あった。日本だけの物と世界全体の物。大きさはどちらも同じくらいで精巧に作られているが、縮尺の問題のことを考えると日本を見るなら日本だけの模型を見た方が圧倒的に見やすい

こうやって見ると東京って小さくない? 日本の中で最も小さい都道府県に思えてきた。 いや、そうな気がする。.......あ、香川県が1番小さい

と、育った都が最も小さい都道府県でないと知り安心したり、逆に大きい都道府県(北海道)を探したりと一喜一憂する女子高生。私くらいじゃないかな......?


しばらく自分の中でランキングのような物を作り遊んでいると、表記はされていないがスタッフルームらしき場所から若い男性がやって来た。店員さんだろうか。一般人なはずはないし.....

???「誰かと思ったら女の子なんて珍しい。それも可愛らしい方で」

発言から察するに店主さん? こういうお店の店主さんってもっと歳を取られた威厳のある人だと勝手に思っていた

『可愛らしい方』というのは聞かなかったことにしよう。.....ちょっと嬉しかったことも内緒

???「僕は親父の後を継いでね。まぁ、そもそも人があまり来ないからこっちが副業のなっているけど」

この男性のお父様は.......。察した私は会釈をし、明るい話に持って行こうと露骨な努力をしようと口を開いた瞬間に話題を切り出された

店主「模型、好きなの?」

嘘を言うのはよくない。けれど、私が言うのは優しい人のための嘘

歩夢「まぁ、はい」

店主「僕としては嬉しい限りだよ。それが嘘でも本音でも」

数秒前は嘘と建前たが、店主さんが来るまで模型を見ていて楽しいと思っていたから嘘じゃない。嘘じゃないはず


店主「そういえば、どうしてここに?」

歩夢「道に迷っちゃって.....」

店主「あぁ、ここら辺は入り組んでいるからね。何処に行きたいんだい?」

歩夢「○○(繁華街)という街に」

店主「○○だったらこの道を・・・」

懇切丁寧な説明を受け、繁華街へ戻る道を記憶した

歩夢「ありがとうございました」

流れからしてこのお店を去らなければいけなくなった。もう少し見ていたかったが、私がお店に入ってからこの男性が来るまで時間があったということは何かしていたということ。店の運営が副業だと言っていたことから本業をやっていた可能性も捨てきれない。邪魔をしないためにも私はお礼の言葉を口にし店を出る


【安価です。何をするか
1.本屋
2.服屋
3.喫茶店
4.その他
安価下。】

3

>>498 3.喫茶店】

十数分後、私は繁華街に戻ってきた。お昼が近いということでファミリーレストランには家族、お洒落な喫茶店にはカップルが多く見られる。そんな中で1人孤独に何処でお昼ご飯を食べようかと歩き彷徨い再び十数分後、お一人様で来店している静かそうな女性が多い喫茶店を見つけた。喫茶店の雰囲気が静かできちんとしていれば問題はない

迷わずそのお店に入店し、店員さんの案内を受けて2人用の席の1つの椅子に腰をかける。1人用の席は生憎埋まっていたので構わなかった。それに、待ち合わせをしているように周りからは見えるから寂しくない

メニューを10秒眺め、ちょうどお冷を運んできてくれた店員に声をかけて注文を済ませる。その際に店員さんは「決めるの早くない?」とでも言いたそうな顔を一瞬だけしていたがすぐに営業スマイルに戻っていた。そんなに決めるの早いかな......?

5分後、混んでいるにも関わらず短時間で私が注文したトーストと紅茶が運ばれてきた。運んでくれた店員さんに軽く頭を下げて、店員さんがテーブルから数m離れてから本日のお昼ご飯を頂く

歩夢「いただきます」


【安価です。今後の予定
1.何かする(何をするか・何処に行くかを書いてください)
2.深夜からお仕事のメール(強制で雪乃も来ます)
3.家に帰る
安価下。】

1 一人カラオケ

>>500 1.何かする 1人カラオケ】

ー13時ー

食事を終え、1人でぼーっと考えることすらも『外』は許してくれない。なので、私は携帯端末で電子書籍を読んでいる雰囲気を醸し出している(この時私は電子書籍ではなく『女子高生 1人 外遊び』でインターネット検索していた)。しかし出てきたのはリア充が1人でするようなスポーツ(部活)用品を見に行く、彼女(彼氏)へのプレゼント選び、本屋に行く、など。最後の本屋に行くのは私にも出来ることだが推奨人は知的アピールをしたい男子(ただし爽やかイケメンに限る)だったので断念

世間での1人遊びは私には向かないようで、期待が薄まる中調べ続けていると1つのキーワードが目に入る。それは、

『ヒトカラ』

ヒトカラ......うん、ヒトカラね。知ってる知ってる。いや、ほんとだよ? むしろこれ知らない人とか居るの?


歩夢「.......」

ヒトカラ 【検索】

ヒトカラ:一人カラオケの略語

歩夢「........なるほど」

あぁ、いや、ほんとに知ってたから。一人カラオケですよね。今時『ヒトカラ』っていう単語は一般常識単語と言ってもいいくらい常識だよねっ

歩夢「......はぁ」

時代についていけない自分が哀れで可哀想。2060年代では流行。2090年代では過ぎ去った流行として捉えられば少しは気が楽になるけど.....どうなんだろう。元の時代に戻ったら流行を掴んでいてコミュニケーション能力が高くて友好範囲が広そうな千葉さんとかに聞いてみようかな。「ヒトカラって知ってる?」、「なにそれ?」と返されれば私は普通。だが、「あぁ、1人でカラオケに行くことでしょ」と返されれば私は時代遅れ。聞くことすらも憚られるが私が時代に取り残されていないことを証明するためにも聞こう。機会があるかないかは別として

さて、この後することも決まったことだし行きますか。カラオケ屋さんへ。......カラオケ屋さん? カラオケに行こう。お店自体のことってなんて言うんだろう

世の中知らない事ばかりだと改めて実感しながら会計を済ませて外に出る。ひんやりとした空気が私を包み込むが、少しすれば慣れる。慣れるためにお店の出入り口の前に佇むのも営業妨害なのでカラオケに向かいながら慣れる

肝心のカラオケはおそらくボーリングやらゲームセンターやらが入っている室内若者レジャー系各種取り揃えています的な建物に入っているだろうと勝手に思い込んで向かう



ーカラオケー

店員「お一人様ですか?」

歩夢「は、はい」

店員「お時間は如何なさいますか?」

歩夢「えっと....2時間で」

店員「畏まりました。では、◯◯番のお部屋へどうぞ。お飲物等はご自由にお取りください」

歩夢「ありがとうございます......」

思い返せばカラオケに来るのは初めて。慣れている店員さんの段取りに従い、段取り全てを済ませて指定された個室に入る

歩夢「はぁ.....疲れた」

この個室に入るまで(喫茶店から個室まで)、一体どれだけのカップル・グループを見つけたことか。それを見た私の感想は「楽しそうだなぁ......混ざりたいとは思わないけど」といった極々普通の反応。あそこまではしゃぐのは淑女として如何なものだろうか

さりげない(さりげなくない)淑女アピールをぎこちなくし、カラオケに来た意味を果たそうと曲を探す


歩夢「2060年代付近の曲って知らないんだよなぁ......」

こうも平然と独り言を口から出せるのはヒトカラの特権なのだろうか。家ではない空間での独り言は新鮮なものを感じる。素晴らしい、けど虚しい

歩夢「んー....」

本当に見つからない。私の音楽の専門は楽譜を読んで弾くことであって歌うのは専門外。このままだと1曲も歌わずに2時間を終えてしまう。頑張って探そう、と目を閉じて考え込む

ー5分後ー

歩夢「........」


ー更に3分後ー

歩夢「.......」

お、思いつかない......。ここまで思いつかないとは私もびっくりだ。うーん......


ーそれから更に3分後ー

歩夢「......あ、」

昔何回か聞いたことのある曲を思いだした。しかし、その曲を歌いたいかと言えばそうでもない。それに、曲名知らないし

カラオケに来た意味とは一体全体なんだったのかーーーーーと、思ったその時、重大な事に気がつく


それは、別に無理して2060年代付近の曲を歌う必要はない。アカペラになるけどそこら辺は私の音楽センスで補えばいい。そうと分かれば話は単純。歌いたい曲なんていくらでもある。ようやくヒトカラ出来るという油断は数分後に更なる絶望へと変貌する


ー数分後ー

や、やばい......このままだと『ヒトカラ:1人でカラオケに行くこと(歌わない)』になってしまう

危機感を覚えた私は緊急回避処置として『鼻歌』を歌うことにした。これだって立派な歌だからセーフだと自分に言い聞かせ、気がつけば曲の終盤の差し掛かってきた。つ、次は.....ぱーっとぱーっとしちゃう? それとも心をぴょんぴょんさせる? ふぇぇ、どうすればいいのー?


【カラオケ終了ということにさせて頂きます
安価です。結果。コンマ1桁
奇数・0:歌う曲を見つけれた
偶数:鼻歌と苦悩のみで終わった
安価下。】

>>506 4:鼻歌と苦悩のみで終わった】

店員「ありがとうございましたー」

営業モードに入っている店員さんの「ご利用ありがとうございました」と、在るべき仕事をするエスカレーターと自動ドアに身を任せて気がつけばもう建物外。追放されるように一直線最短距離で出てきてしまった。するべき事を出来ない人には用無しですか、そうですか

さて、もう言うまでもないと思いますが私(わたくし)君影歩夢の『初カラオケ』兼『初ヒトカラ』ですが、結局のところ1曲も歌えませんでした。1人なら恥ずかしいとか大多数の人と一緒のカラオケでテンションが自然と上がるような私が苦手とすることが無いにも関わらず歌えない私は今までに無い自分の適応力に絶望するしかない

歩夢「......っ」

残念な自分に呆れるどころか嫌気が差すレベル。過剰な物は求めないが、一般程度の適応力を身に付けたいというのは心の底から思っていること。これについても改めて四葉さんから教育受けれないかな。以前考えていた淑女らしい振る舞いと同様にね。君影歩夢改造計画乞うご期待下さい

さてと、どうしよう。今は15時。いくら冬場でもまだ外は明るい。暗くなり始めるまで残り1、2時間だろう


【安価です。今後の予定
1.何かする(何をするか・何処に行くかを書いてください)
2.深夜からお仕事のメール(強制で雪乃も来ます)
3.適当に歩いていると、先生に出会う
4.家に帰る
安価下。】

4

>>508 4.家に帰る】


んー、これといって特にしたいことも買いたい物も無いんだよなぁ。じゃあ.....帰る? 当初の目的は健康のための外出であって、特段大きな目的があった訳ではないし。......帰りますか、それしかないもんね


ー家ー

約30分後、今ではもう慣れた街を当たり前のように歩き、帰宅した

帰宅してまず最初にしたのは着替え。軽装となり、動きやすくなったところで1階のリビングに降りて珍しく早めの夕食の支度を始める

歩夢「.....? んー......」

キッチンで軽装の上にエプロンを身に纏い、夕食の献立を考えているところは主婦そのもの。しかし、毎日こんなことをやっていると主婦というよりこれが普通であると認識してしまう。それに、首を傾げて思いつく料理を採用したり不採用する姿は自分で言うのもなんだけど、あざとい。可愛い子アピール?

自分の行動が不可解なまま夕食の献立を頭の中で作り、夕食の支度を始める



ー夕食の準備中ー

そういえばさっき「キッチンで夕食の献立を考える姿は主婦そのもの」とか考えていたけど、私って色々な属性持ってるんだよね

・魔法師
・名家生まれの(一応)お嬢様
・彼氏(夫)と幼馴染み
・彼氏(夫)とは切っても切れない深い家柄の関係
・高校強制退学
・現在指名手配中
・ぼっち
・残念

など多種多様に渡る様々な属性。最後の方は.....アレだけど、充分すぎるほどの一般人とはかけ離れたフィクションの主人公のような属性の数々に自分が自分でないように感じる

ちなみに私が思う深雪ちゃんの属性は、

・魔法師
・名家生まれのお嬢様
・義理の姉と幼馴染み
・才色兼備
・重度のブラコン

この一瞬で考えたものだから数少ないのかもしれないけど、大体こんな感じじゃないかな。理想の女性像そのもの。やっぱり深雪ちゃんって凄いんだなぁ、と感服する私


適当に『属性』について考えていると夕食の支度は終了する。時刻は16時を少し過ぎたくらい。何しよう


【安価です。
1.自分の魔法について考える
2.自分の直すべき場所について考える
3.深夜・真夜について考える
4.読書(時間経過)
5.その他
安価下。】

2

>>513 2.自分の直すべき場所について考える】


歩夢「よし、」

夕食の支度も終わったことだし、ゆっくりしようかな

休憩も兼ねてリビングのソファに座り、脚を揃えて横流し、テーブルの上にはミルクティーの入ったお洒落なティーカップを置くという露骨な淑女アピールを私以外誰も居ないこの空間に対してする。まぁ、なんというか.....虚しい。まさか一人の空間が苦痛に感じる日が来るとは驚きです

で、本題。夕食までに私がすること。それは、先程お話しした君影歩夢改造計画の内容について。改造と言っても◯◯ライダーになって悪の組織と戦ったりするのではなく、言動等を改変していく意識改革のようなもの

これまでの君影歩夢は子供の君影歩夢。これからの君影歩夢は成長した大人の君影歩夢。そうなるために直さなければならないところといえば、

1.ぼっち脱却
2.残念な結果にならないようにする努力
3.常に誰かに見られていると考え、だらしのない行動をとらない
4.言葉遣いについて考え直す
ー従来通り。
ー誰に対しても敬語を使い、下手(したて)に回る
ーTPOを弁えた言葉遣い(普通・敬語・お嬢様語の使い分け)
なお、従来通り≒TPOを弁えた言葉遣い
5.強い精神力を持ち合わせる
6.コミュニケーション能力の改善

以上。


凄くめんd....大変そう。でも頑張らないと。あの達也くんの妻としてそれ相応の言動が出来る人に成長しなければ周りから反感を買ってしまう。特にほのかちゃんが危険。彼女の席を譲ってくれたにも関わらず釣り合わない彼女に振り回される好きな人の姿を見たら絶対怒る。深雪ちゃんはなんだかんだで認めてくれるような信頼関係が築けているので大丈夫

えっと、それで、上記の6個についてだけど、まず基本的で簡単なところから徐々にやっていこうかな。1番簡単なのは言葉遣い。正直なところ、実践経験が数少ないのが問題視されているだけ。やろうと思えばいつだって出来るし、やろうと思えば誰に対してでも出来る

早速私が出来るんだぞ、というところを見せるためにも試そうと思ったのだが相手がいない。コンビニ店員さんとの小さなやり取り(「お弁当、温めますか?」ー「あ、お願いします」を「お願いするわ」)で実践するのは失礼というか変な人。高級なお店なら可能だがそんな場所に行く機会がまず存在しない。となると、

歩夢「......無理か」

流石の私でも誰も居ない空間に話しかけるなんてことはしないし、1人2役でお芝居をするつもりもない。となると、

歩夢「......無理か」

はい、無理です。お疲れ様でした。

今は無理だということを知った私は2階の私室から紙とペンと以前購入した翻訳されていない外国の本を持ってリビングに戻り、1人黙々と長い長い幸せな私なりの翻訳の作業を始める



ー19時ー

作業を一旦辞め、夕食を作る。下拵え等を済ませていたおかげか10分少々で料理は全て作り終わり、1人寂しく食事を始める

歩夢「いただきます」

リビングに響くのは咀嚼音、箸が食器に軽く当たる音、食器をテーブルに戻す音の3種類

.......静かだなぁ


ー21時ー

夕食後、30分ほど作業をしお風呂等を済ませてこの時間。んーと、特にすることないから作業でもするか


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:お仕事(敵を倒す系。雪乃も来ます)
偶数:作業を続ける(次の日になります)
安価下。】

>>517 0:お仕事(敵を倒す系。雪乃も来ます)】


ー22時ー

私は引き続き作業をしていた。英語で書いてある文章を自分なりに日本語訳して楽しむという作業は非常に楽しく、生き甲斐のようなものを感じる

もしこの状況を深雪ちゃんが見たら「.....大変そうね」と一言で労ってくれるだろう。ただ、これだけ大変な作業を正当法でやろうと考えた私に対して引くかどうかは別として、あくまで労うか労わないかの話

しかし水波ちゃんが見たら「.....お疲れ様です」と見て見ぬふりをされそう。「今度は何やってるんだこの人......」みたいな目で見られた日には.......

ちなみに、達也くんは普通に労ってくれそう。深雪ちゃんと違うのは私に対して引くか引かないか。達也くんなら分かってくれる。貴方が研究に没頭するのと同じ感覚だから。......多分。

そんな事を考え続けて翻訳を続け、ようやく30ページをやり終えたところで深夜さんから頂いた携帯端末に連絡が来た。何の用だろう、と携帯端末を操作しメールを見る



From:四葉 深夜
件名:お仕事
内容:明日の1時にある場所で薬物の取引が行われるようです。四葉にとって少々厄介な件ですのでお願い致します。殺す殺さないかは香夜さんにお任せします。
人数:Aグループ4人・Bグループ5人の計9人
武器:重火器・爆発物・CAD
難易度:★★★☆☆
備考:AグループがBグループに薬物を渡し、BグループがAグループに金銭渡す取引。
場所:◯◯


もうお風呂入っちゃったんだよなぁ......。でも、仕事がある可能性を早い段階で捨ててしまった私が悪いのか。何はともあれ1時まで残り4時間無いくらい。◯◯という場所までは30分くらいで行けるから0時から準備を始めて0時20分くらいになったら家を出れるようにすればいいかな

それまでは.....作業してよう。他にやりたい事とか無いし



ー0時ー

さて、そろそろ準備しようかな。準備って言っても着替えるだけだけど

私は2階の私室に上がり、寝間着から私服に着替え、身を隠すための真っ黒なロングコートは着ずに手に持つ

姿鏡で身嗜みを確認し、

歩夢「行こうかな、そろそろ」

時刻は0時15分。予定より少し早いけど早いに越した事は無い。約15分前行動になるけど、まぁいでしょう。5分前行動の10分前行動。意識高い系の優等生だ


ー◯◯(場所)付近ー

取引が行われる場所というのは前回に引き続き廃墟だった。廃墟ってそんなに危ない事ばかりなの? もっと平和に暮らそうよ......

ため息を1度し、意識を切り替えてロングコートで身を隠し、1時までの残り8分を待つ


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:この時点で雪乃と合流
偶数:別々に行動(雪乃は歩夢が来る事を知っていて、歩夢は雪乃が来る事を知りませんが気配で察します)
安価下。】

てい

>>521 8:別々に行動】


えっと、....敵は深夜さんの情報通り9人ね。それと私以外に建物付近に居る人は......1人? 誰だろう。この気配、知っているような知らないような......目を使うか。本能的な気配を読むだけの能力では不十分だが、目を使えば気配関係無しに全てを知る事が出来る。で、この気配は....雪乃さん? 私がどうやって敵を倒しているのかを見て来いってご主人様から命令されたのかな

理由はなんであれ、雪乃さんが居るなら目を使った戦闘は出来ない。今回は魔法師らしく魔法を使って倒していく方向で

大まかなプランも決まったところで携帯端末の時計で時刻を確認すると 0:59 と表示されていた

私は大きく深呼吸をし、改めて真面目モードに切り替える。ここからはお遊び無しに、仕事に専念しよう

いくら相手が少なくても、いくら相手が弱そうでも気を抜いて戦うのだけは避けなければならない

このお仕事が終わったら楽しい事(翻訳)が待っている。そのためにも、無事に帰ろう

フラグも無事に立てれた事だし、そろそろ行きますか

真面目モードとなった私はキリッとした表情で取引が行われるという建物に静かに潜入する



ー廃墟ー

香夜(歩夢)「......?」

案外、あっさりと中に入れた。気配を読む段階で門番のような存在が居ないと知っていても拍子抜けに感じてしまう

万が一にも備えて気配を可能な限り殺して9人分の気配が溜まっている1箇所へ向かう途中で、急速に動く1つの気配を察知した。その人物は私と敵9人ではない、雪乃さんの物

私の仕事の監視をしに来たんじゃないの.....?

という疑問は一旦置いておき、私も急いで敵が集まる場所へと小走りで向かう


香夜(歩夢)「........」

9人が集まっていた部屋は薄汚く、いかにも廃墟の雰囲気を醸し出している

しかし、そんなことがほとんど気にならない程、それ以上に目立つ惨状が目の前に広がっている

1人は全身から血を流していて、

1人は脇腹や足が抉られ、

1人は氷で作られたナイフ状の鋭い刃物が何十本も体に刺さっていて、

1人は雷に撃たれたかのように全身を火傷させていて、

1人は現在進行形で燃え上がる火の中で悶えている

残りの4人も5人と同様に無残な姿となり、血の伏せられていた

【訂正:血の伏せられていた → 地に伏せられていた】

ー廃墟ー

香夜(歩夢)「......?」

案外、あっさりと中に入れた。気配を読む段階で門番のような存在が居ないと知っていても拍子抜けに感じてしまう

万が一にも備えて気配を可能な限り殺して9人分の気配が溜まっている1箇所へ向かう途中で、急速に動く1つの気配を察知した。その人物は私と敵9人ではない、雪乃さんの物

私の仕事の監視をしに来たんじゃないの.....?

という疑問は一旦置いておき、私も急いで敵が集まる場所へと小走りで向かう


香夜(歩夢)「........」

9人が集まっていた部屋は薄汚く、いかにも廃墟の雰囲気を醸し出している

しかし、そんなことがほとんど気にならない程、それ以上に目立つ惨状が目の前に広がっている

1人は全身から血を流していて、

1人は脇腹や足が抉られ、

1人は氷で作られたナイフ状の鋭い刃物が何十本も体に刺さっていて、

1人は雷に撃たれたかのように全身を火傷させていて、

1人は現在進行形で燃え上がる火の中で悶えている

残りの4人も5人と同様に無残な姿となり、地に伏せられていた


この惨状を作り出したのはーーーー

雪乃「あら、香夜。遅かったわね」

香夜(歩夢)「......どうして.....」

雪乃「どうして? ふふ、面白いことを言うのね。私は貴女の代わりにお仕事を果たしてあげたというのに」

深夜さんからのメールには「殺す殺さないかは私次第」と書かれていた。殺す必要のない仕事のはずだった。この人達は悪いことをしたけど、少なくともこの場で死ななくても良かった

全てを行ったのは雪乃さん。私は......感情を抑えれない

香夜(歩夢)「殺す必要はなかったと思いますが」

雪乃「どうせ殺すのだから構わないでしょう」

香夜(歩夢)「少なくともこの場では......!」

雪乃「遅かれ早かれ同じよ」

香夜(歩夢)「......だったらどうしてもっと楽に殺さなかったんですか?やり方はいくらでもあったはずです」

雪乃「別に、そんなのは自由でしょう。死ぬことには変わりない。違う?」


香夜(歩夢)「.......」

今の雪乃さんは私の知る雪乃さんではない。学校に時とは全く違う、非情な冷たい人間

それは霜月さんの居る時代の夜に適当に歩き、廃墟に連れ込まれた時と同じ雰囲気。あの時は頭痛のようなものに苦しんでいたけど、この雪乃さんは平然としている

雪乃「香夜、帰りましょう。ここに居ても何もないわ。敵は全て私が殺した。安心して、深夜には香夜がやったって言っておいてあげるから」

私に殺人の罪を擦りつけようとしているのではなく、私がしっかりと仕事を果たしたと深夜さんに報告してくれるのは言われなくても分かっている

私が嫌なのはそこじゃない。私が嫌なのは.....雪乃さんが殺人を犯して、平然と笑っていること

優しいお母さん・優しい雪乃さんではなく、非情で冷たいお母さん・非情で冷たい雪乃さんの姿は幻滅というか失望するしかない

こんなお母さんなんて見たくなかった

こんな雪乃さんなんて見たくなかった

こんなお母さんなんてお母さんじゃない

こんな雪乃さんなんて雪乃さんじゃない

こんなお母さんなんて......


雪乃「香夜、......もしかして私が殺人を平然と犯したことを気にしてるの? だとしたら、」

香夜(歩夢)「.......」

雪乃「いい迷惑よ」

香夜(歩夢)「......っ!」

雪乃「これが霜月雪乃なの。これが本来の私」

香夜(歩夢)「......違う」

雪乃「たかが1週間も無い付き合いの貴女に私の何が分かるの?」

香夜(歩夢)「......15年.....」

雪乃「15年?」

香夜(歩夢)「それが.....私と雪乃さんの付き合いです」

雪乃「.....何を言っているのかしら?」


香夜(歩夢)「貴女は雪乃さんじゃない。私の知る雪乃さんはもっと......」

雪乃「もっと、何?」

香夜(歩夢)「もっと.....優しくて、私の憧れの女性です。貴女みたいな非情な人間じゃない。雪乃さんなら15年の意味に気付いてくれる」

雪乃「15年.....?」

香夜(歩夢)「貴女は私が殺す。どれだけ時間がかかっても、貴女だけは私の手で殺す」

雪乃「ふぅん。香夜が私を殺す.....ね。出来るならやってみなさい、何年でも、何十年でも待ってあげるから」

香夜(歩夢)「......30年後に」

雪乃「30年後が何なのかは分からないけれど、まぁいいわ。30年後、私は貴女を殺す。そして貴女は私を殺しなさい」

香夜(歩夢)「......」

私はあの人の発言に返事をせず、振り返り来た道を戻る

30年後、つまり私が生まれてから15年後の今この姿になった時雪乃さんではない雪乃さんを殺す

雪乃さんの、2つ目の人格らしき物は私がこの手で、娘の手で殺してみせる


【安価です。次の日(休日)何をするか
1.深夜とお話
2.真夜とお話
3.先生とお話
4.1人
安価下。】

3

>>529 3.先生とお話】

ー日曜日・10時ー

昨日に引き続き休日の日曜日、私は9時間前の出来事が頭から離れず睡眠欲・食欲を忘れるほど落ち込んでいた

君影雪乃さんの娘となってから15年と半年以上。物心ついた頃に雪乃さんをお母さんだと認識していたとしても約10年。それでも気付けなかった『裏』の雪乃さん。隠し続けていたのか、ただ私が気付けなかっただけなのか。それは定かではないが、気付けなかった事には変わりない

歩夢「はぁ......」

雪乃さんのことを考え、ため息を吐き、机に突っ伏す。こんな状態が8時間ほど続いている

そんな絶望的な状況を破ったのはインターホン音

誰だろう、と一瞬考えたがこの家に私が住んでいることを知っているのは四葉の関係者のみ。深夜さんか真夜さんか使用人さんの三択。.....ここで『表』でも雪乃さんが来るのは勘弁して貰いたい

私の今のコンディションを表すかのようにフラつく足取りを重くし、ドアホンのモニターで来客を確認するとそこに居たのは休日だというのにスーツを着こなした大人っぽい雰囲気を醸し出すーーーー

歩夢「先生.....?」



???(先生)「ん、美味しい」

玄関で立ち話をするのはお客様に失礼であり私も嫌だったので用件を聞く前にリビングに案内した。紅茶と深夜さんが来客用に用意してくれていたお茶請けを差し出し、向かいの席に腰をかける

???(先生)「歩夢さん、自分の魔法は何のために使うか決断出来た?」

その話をしに来たのか、と心の中で納得し、

歩夢「完全にはまだ....」

自分だけのためではなく、人のために魔法を使うのは確定として、私が未だ考え中なのはどこからどこまでの人のために使うか

達也くんや深雪ちゃんを守るために命を懸けて魔法を使いたいとは思っている。しかし、例えば私が魔法科高校に通っていた時のクラスメイトの話した事はないけど顔見知り程度の仲の人のために命を懸けて魔法を使うのはどうしても躊躇ってしまう

つまるところ、『人』を選べるかどうか。ここさえ解決出来れば私が考える私の魔法について決断が出てくる


歩夢「もう少し時間を下さい」

???(先生)「考える時間は自由にあるけど、早めに決めてね。貴女だって早く戻りたいでしょう、元の時代に」

歩夢「私が自分の魔法について理解するのとこの時代に飛ばされてきた事って関係あるんですか?」

???(先生)「直接はない。けど、未来の雪乃さんを倒すためには『方針』を固めないと。この時代の雪乃さんならまだしも、未来の雪乃さんは先輩の事を考えると恐ろしく強そうだから」

この時代の雪乃さんにだったら勝てる可能性が5割あるかないか。でも未来の雪乃さんは......10月30日の横浜の時、5分もかからずに一個大隊を壊滅させたんだっけ....? か、勝てる気がしない.....

???(先生)「先生から生徒へのアドバイス。魔法だけが勝つ術じゃない」

魔法以外に勝つ手段といえば達也くんや兄さんがやっている体術とかかな。私に体術はちょっと......このアドバイスは私向けではなかったということで

???(先生)「ヒント1:魔法でもなければ体術でもないよ」

歩夢「.....?」

???(先生)「ヒント2:貴女は『人』」

歩夢「.......」

???(先生)「もう教えられないなぁ。あとは自分で考えてね」

歩夢「.....はい」

私は人? 当たり前な事を聞かされても.....なんだろう。やっぱり魔法や体術くらいしか思いつかない

???(先生)「もう少し柔らかく、簡単に考えてくれればいいんだけど」

余裕の笑みを浮かべる先生は先生らしく、先生と生徒の上下関係を思い知らされる

うーん.....

【安価です。
1.???(先生)「話は少し変わるけど、歩夢さんに必殺技というか専売特許の魔法ってある?」
2.歩夢「先生は雪乃さんの『裏』をどう思いますか?」
3.その他
安価下。】

相手の思考とか先を読んで行動するって事かな?
うーん…安価は1で。

>>533 1.???(先生)「話は少し変わるけど、歩夢さんに必殺技というか専売特許の魔法ってある?」】

???(先生)「話は少し変わるけど、歩夢さんに必殺技というか専売特許の魔法ってある?」

歩夢「専売特許の魔法?」

???(先生)「真夜さんで言うところの流星群」

あぁ、なるほど。そういう系ね

真夜さん:流星群(例外(私)を除く)
深雪ちゃん:コキュートス
七草先輩:魔弾の射手(七草真由美ではなく七草家の専売特許(例外(私)を除く))
一条くん:爆裂(七草家同様に家の魔法)

で、私だけが使える魔法は.....あれ?

必殺技級の魔法は数々持っている(摩天楼・流星群・魔弾の射手など)けど、必殺技級かつ専売特許の魔法は持っていない

君影歩夢=この魔法!っていうのが欲しいなぁ。真夜さんの流星群のように


???(先生)「その様子だと無いみたいだね。まぁ、無いのが普通なんだけどね。必殺技級の魔法なんてそうそうあるものでもないし」

誰もが『必殺』と呼べる技を持っていたら世間が殺伐としてしまう。うんうん、持ってないのが普通

???(先生)「自分だけの魔法、考えてみたら?いずれ使えるかも」

歩夢「.....魔法って、」
???(先生)「魔法ってそんな簡単に作ろうと思って作れるものでない」

歩夢「.......」

この人も読心術.....っていうより先読みの術? を持っているのか

???(先生)「魔法を使う人は貴女でいいとして、CADを調整する人も必要だもんね。歩夢さんの専属の魔法技師は深夜さんの息子さん.....? だっけ。そこらへんは先輩から聞いていないからよく分からないけど」

聞いていないにも関わらず的確な予想。何者なの.....?


???(先生)「歩夢さんさえ良ければ私がやろうと思うんだけど」

歩夢「.....出来るんですか?」

???(先生)「深夜さんや真夜さんからは甘く見られているけど、私は自分で言うのも何だけど天才なんだよ?」

歩夢「......」

???(先生)「む、無言でジッと見つめるのは辞めて。心に大きな傷を負った」

???(先生)「話を戻すけど、歩夢さんさえ良ければ私がやる。これで魔法技師の問題は解決したから、あとは.....歩夢さんにやる気があるかないか」

歩夢「......」

先生が好意で提案をしてくれているにも関わらず、私はあまり乗る気ではない。その理由は魔法を作るのがどれだけ難しいかなんとなく察しているから。かなりの時間とその方面に強い天才が必要ってインターネットに書いてあった。インターネットの情報を完全には鵜呑みにする気はないとはいえ、それでも難しいだろう

???(先生)「かなりの時間はかからないし、天才はここに居る」

ふふん、と誇らしげに胸を張る先生。......服の上からでも充分すぎるほどに分かるスタイルの良さ。着物の類を完全に着こなしそうな未来の深夜さんよりもスタイルが良いかもしれない。羨ましい

歩夢「じゃあ....お願いします」

???(先生)「任せて。魔法製作界に革命を起こしてあげる」

その自信に見合うほどこの先生は有能で天才なのだろうか。......どうだろう


【安価です。最後です(多分)
1.???(先生)「どういう魔法がいい?」
2.歩夢「先生は雪乃さんの『裏』についてどう思いますか?」
3.その他
安価下。】

1

>>537 1.???(先生)「どういう魔法がいい?」】

???(先生)「参考までにどういう魔法がいい?」

歩夢「殺傷能力は間に合っているのでその他の類の魔法であれば」

???(先生)「殺傷能力.....あ、摩天楼があるのか」

歩夢「あとは流星群とか魔弾の射手とか」

???(先生)「......ん? ちょっと待って、流星群と魔弾の射手? それは真夜さんと七草家の魔法でしょ」

歩夢「私も使えますよ?」

???(先生)「.....今日は4月1日じゃないよ?」

歩夢「本当です」

???(先生)「......」


歩夢「色々あってもう1つの人格を手に入れると同時にコピー能力を得ることになりまして」

???(先生)「.......コピー能力って確か霜月の分家の瓊々木が.....そういうことね」

先生は私にはボソボソと何かを言っている程度の声の大きさで独り言を呟いている。何か気になるところがあったのだろうか

歩夢「何か.....?」

???(先生)「ううん、なんでも。とりあえずコピー能力を持っていて、流星群や魔弾の射手を使えるってことは分かった。殺傷能力よりも他の面に向いた魔法......精神構造干渉魔法とか?」

歩夢「それはちょっと.....」

世界で唯一定められた禁忌の系統外魔法である『精神構造干渉魔法』はお義実母様の得意な魔法

常人にはどうがんばっても使えない魔法をどうやって使うのだろうか

???(先生)「霜月の精神魔耗は使える?」


【精神魔耗(ハートデフレーション):感情を操作する精神感応系魔法】



歩夢「使えますけど......」

???(先生)「適性はあるみたいだから、当面は大丈夫かな。あとはどういう魔法かを考えるんだけど、......真夜さんに協力して貰おう」

歩夢「深夜さんじゃなくて?」

精神構造干渉魔法と言えば四葉深夜さん

四葉深夜さんと言えば精神構造干渉魔法

深夜さん以外に選択肢が無いと思いきやまさかの妹の真夜さん。逆転の発想というやつだろうか

???(先生)「深夜さんよりも深夜さんを見ている妹の真夜さんの方が客観的な意見を持ちながら良い案を出してくれそうだから。もちろん深夜さんの意見も少し聞いてみるけど」

歩夢「......」

深夜さんや真夜さんに協力を仰ぐところまではいい

私が問題視しているのは禁忌の魔法を使ってもいいかどうか。使ってはいけない魔法を使って罪に問われたら......どうしてくれるの?

そもそも精神構造干渉魔法を使わざるを得ない戦況になかなか出会さないだろうし


???(先生)「んー、歩夢さん、『必殺技』の定義って何だと思う?」

歩夢「必殺技の定義......。必ず相手を倒す技?」

???(先生)「そう、その字の通り必ず相手を倒す技。でも、必ず殺せる保証のある魔法も重火器も世の中には存在しない。例えば流星群。流星群は全ての物質を気化させちゃうけれど、相手が物で無ければ倒せない。例えば、想像がつきにくいだろうけど空気が敵とか。空気を気化させるのは無理でしょう。そもそもが気化されているんだから」

???(先生)「つまり、私たちが言っている『必殺技』は勝手に私たちが『必殺』って言っているだけ」

???(先生)「世の中には私や雪乃さんのような天才は存在するけれど、無理なこともある。ここから魔法を使ってもいいから1分でアメリカに行く、とかは無理でしょう? 私たちは完璧じゃない。人以外の力を借りても無理な物は無理」

???(先生)「でも、努力は出来る。ここから1分でアメリカに行けと言われたら空港まで行こうとする努力」

???(先生)「だから努力が......あれ? 何の話だっけ。.....精神構造干渉魔法を取得する理由? そうだっけ?」

ここぞとばかりに入れてくる天才アピールはともかく、先生の言っていることは正しい

私たちが勝手に決め付けているだけ

努力は誰にでも出来る

けど、現在首を傾げている自称天才さんを見るとどうにも分からなくなる。この先生は最終的に何が言いたかったのか


???(先生)「と、とにかく、必殺技を使えば私たちの想像の範疇の敵は必ず倒せる。それで倒せなかったらその魔法は必殺技じゃない」

???(先生)「だから、私たちは完璧を求めて、努力して、それでも壁に当たれば仕方がない。世間は努力した貴女をどう思ってくれるかどうか分からないけれど、貴女自身は努力をしてことを知っている」

???(先生)「貴女は貴女が思う完璧を求めて、貴女が満足する努力をして、満足のいく結果になれば今後の自信に繋がるし、満足のいかない結果になってもそれは教訓になる」

???(先生)「だから歩夢さんが歩夢さんの考える完璧をに近づきたいのであれば私は歩夢さんの努力の手助けをする」

真剣な面立ちで淡々と語る先生に胸を打たれ、精神構造干渉魔法を覚えたい! と思えるようになった。

が、

歩夢「それって精神構造干渉魔法である必要ありますか?」

???(先生)「無い」

歩夢「即答.....」

???(先生)「じゃあ歩夢さんはどんな魔法がいいの?」

急に投げやりになる先生

さっきまで先生らしいことしてたのに......

???(先生)「生徒の要望を聞くのも先生の役目です」

.....私が悪かったです


【安価です。どんな魔法がいいか
かなりチート級の魔法でも構いません
または逆に新たな魔法を取得しないか

期限は再びこのような???(先生)と1:1で話す機会まで。
その中から独断と偏見で選ばせて頂きます】



???(先生)「決まったら教えてくれればいいよ。その時は歩夢さんが何のために魔法を使うか、も一緒にね」

歩夢「分かりました」

???(先生)「じゃあ、そろそろ帰るね。まだ仕事が残っているから」

「あー忙しい忙しい」と言わんばかりに頭を悩ませる公務員。やっぱり私が働いている場所ってホワイトなのかな

???(先生)「あ、そうだ。これどうぞ。私は行く機会無いからあげる」

ハンドバックから取り出したのは1枚のチケット

何これ、と思いながら受け取りチケットに書いてある文字を読む

歩夢「豪華温泉宿泊......最大4人まで」

???(先生)「雪乃さんと深夜さんと真夜さんと行ってみたら?」

『雪乃』

その名前は今の私の心に深く突き刺さる

雪乃さんの裏を知ってしまった以上、これまで通りの接し方は出来ないかもしれない

それに、また非常な面を見てしまったらカッと熱くなって暴挙に出るかもしれない

そう考えると.....難しい

???(先生)「雪乃さんの裏はああだけど、表は貴女のよく知る純粋で良い子だよ」

事情を知っている先生の発言は知らない人の台詞よりかは信用できる


歩夢「......考えておきます」

今の私にできる最大の返事がこれだった

???(先生)「頑張って。じゃあ私は今度こそこれで」

歩夢「ありがとうございました」

玄関で私は頭を下げて、善意で協力してくれている先生にお礼の言葉を口にする

すると先生は、

???(先生)「先生なんだから生徒を思いやるのは当然だよ」

と言って出て行った

先生って誰でもいつの時代でもああいう人なのかな.....


【安価です。今後の予定
1.深夜に呼ばれる
2.真夜に呼ばれる
3.外に出る
4.家で何か
安価下。】

>>545 1.深夜に呼ばれる】


先生の訪問から約30分後の午前11時、深夜さんから頂いた携帯端末にメールが届く


From:四葉 深夜
件名:無し
内容:13時に◯◯駅(学校の最寄駅)


「来て」ではなく「来い」との命令

まぁ.....逆らえないよね



ー13時ー

この2時間は大変だった

まずシャワーを浴び、服を着て、髪を乾かして、昼食を作り、昼食をとり、持ち物確認、移動

指定された場所に着いた時刻が12時55分。ギリギリ5分前行動が出来た

そして5分後の約束の時間。深夜さんの姿は......ん、リムジンだ。一体どこのお嬢様が乗っているのやら。周りの一般の人もどんなお嬢様が出てくるのかと立ち止まって注目している。止まってから15秒後、スーツを来こなした執事らしき人がドアを開け、その中から出てきたお嬢様は、

深夜「.......」

知ってた。むしろ深夜さん以外居ないといだろうと思っていた


【安価です。
1.しかし、一体どうして深夜さんはドレス姿なのだろうか
2.深夜「香夜さん、お待たせしてしまいましたか?」

1の場合は深夜と一緒に何処かのパーティに出席します
2の場合は深夜があまり動かない印象があるので喫茶店でのんびり、だと思います
安価下。】

1

>>547 1.しかし、一体どうして深夜さんはドレス姿なのだろうか】

しかし、一体どうして深夜さんはドレス姿なのだろうか

そう考えていると深夜さんが私の目先1mほどまでやって来て、

深夜「行きますよ」

香夜(歩夢)「......はい?」


手を引っ張られ、車に乗り込み(乗らされ)、深夜さんから懇切丁寧な説明が入る

深夜「××ホテルで行われるパーティに参加します。今回は私とお姉様の2人で」

もう設定が結城香夜 → 四葉香夜となっている。事前に言ってくれれば少しはキャラ切り替えの準備が出来たのに

深夜「目的はご挨拶。前回のような潜入の類ではありません」

深夜「しかし、前回同様に失礼のないようにお願いします」

これも仕事だと自分に言い聞かせ、納得する

また前みたいなドレス着るのかなぁ.....

ーホテルー

ここは目的地の××ホテルではなく、四葉の息がかかったホテル

道中にわざわざ寄るだなんてよっぽどの用なんだろうな、と思いながら使用人さんの案内を受けてとある部屋へ

深夜「さて、選びましょうか」

何百もの高級そうなドレスを一着一着見て回る(深夜さんが)

対して、私は部屋の出入り口扉の辺りで立ち尽くしている

深夜「......! お姉様、こちらへ」

何かに気がついた深夜さんは私を手招きし、ドレスが置いてある部屋内に存在している試着室へ

試着室と言ってもデパートとかにあるような大きさではなく、例えるのが難しいくらい微妙ながらも.....普通の試着室の5倍くらいって言えばいいのかな。まぁ、そのくらいの大きさの試着室に私はもちろん深夜さんも入り、扉を閉めて鍵をかける

深夜「すっかり忘れていました」

香夜(歩夢)「な、なにを.....ですか?」

深夜「もちろん、3サイズを測る事を、ですよ」

香夜(歩夢)「自分のは把握しているのでそれを教えれば......」

深夜「いくつですか?」

香夜(歩夢)「う......」

そう言われると答えにくいが、測られるよりは自己申告の方がマシ


かなり前に感じる10月31日のCAD調整の時を思い出せ。えっと、確か......

香夜(歩夢)「83・58・81.....だったかな?」

深夜「そうですか。では、測りましょう」

香夜(歩夢)「どうして.....」

深夜「変わっているかもしれないじゃないですか」

変わっているとしても数ミリ程度だと思うけどなぁ

CAD調整ならともかく、ドレスは大まかなサイズが分かればいいはずだけど

深夜「自分で脱ぐのと脱がされるのだとどちらがいいですか?」

香夜(歩夢)「.....自分で脱ぎます」

深夜「理解が早くて助かります」


ー後ー

香夜(歩夢)「はぁ.....」

結局、深夜さんにセクハラ混じりに細かく測られてしまった

深夜さんはドレス選び、私は椅子に腰をかけてい


この部屋に来てから30分、計測を終えてから10分後にようやく、

深夜「香夜さん、決まりました」

深夜さんが手にしているのは前回同様に黒色で長いドレス

違うのは全体的な造り。特に胸元とお腹周りの体のラインがよく出る場所

香夜(歩夢)「......」

断っても着させられるんだろうなぁ、と考え私は大人しくドレスを受け取り、再び試着室に今度は1人で入室する



ーお化粧ー

着替え終え、次に深夜さんに連れてこられた場所は化粧室。化粧室は化粧室でも舞台で使われる楽屋のような化粧室。そこにはいかにも化粧を担当しているような女性が2人待機していた

深夜「お願いします」

深夜さんの合図で私は椅子に座らされ、抵抗の出来ぬままメイクされていく


ーお化粧終了ー

メイクさん「元々の顔立ちが整っているので本当に軽くお化粧をさせて頂きました」

と、お世辞を頂き、若干来て良かったと思いながら鏡で自分を見るとそこに映っていたのは四葉香夜であって君影歩夢ではない四葉香夜

どこのお嬢様....


ー終わりー

約1時間の容姿改造を終え、車に戻る

車内では、

深夜「とてもお似合いですよ、お姉様」

香夜(歩夢)「......」

たしかに綺麗な容姿に仕上がったとは思うけれど、これでは自分らしくない。もっと平凡なのが私のアイデンティティーとも言える特徴だったのに



ー××ホテルー

深夜「それではお姉様、ここからは」

香夜(歩夢)「......分かっているわ。行きましょう、深夜」

深夜「.....! はい」

本当、私らしくない



香夜(歩夢)「深夜、貴女もご挨拶しなさい」


香夜(歩夢)「以後お見知りおきを」


香夜(歩夢)「深夜、次は・・・」



香夜(歩夢)「はぁ.....」

私が深いため息を吐いたのは身内のみの車内

長く不愉快であった全員がビジネスのために参加した催しは上部だけの物で、それぞれからは隠しきれていない欲望を感じ取れた。ある人はお金のために、ある人は様々な欲望を貪欲に発散させるために、など

目を使わずとも読み取れてしまうのは生まれ持った感覚なのか、ぼっちをしていく上で身についた能力なのか

ただ、問題なく終わった事に関しては素直に喜んでも良いことだった。各界の重鎮も来ていたようだし、何もなくて心の底から安心した


深夜「お疲れ様でした、香夜さん」

私の疲労を感じ取った疲労を感じていない(ように見える)深夜さんが口を開いた

深夜「想像よりもずっと素晴らしい出来で助かりました」

香夜(歩夢)「ありがとう.....ございます」

深夜「休んで頂いて構いませんよ。家に着いたら起こしますから」

香夜(歩夢)「いえ、それは.....」

それは流石に失礼だ。いくら深夜さんが良いと言っても、私のプライドはそれを許さない

深夜「では、話題を変えましょうか。いつまでも堅苦しい話題は疲れますので」

他の話題か......


【今回はここまでにします。
少し雑談?を。
6月発売かと思っていた魔法科高校の劣等生16巻が5月9日(?)発売ということで、喜んだ数時間前。15巻の終わりや公式ページに載っているあらすじには深雪が四葉家の当主になると同時に婚約者が〜〜、みたいな事が書いてあり深雪には結婚して貰いたくないので軽く憂鬱ですが、ご主人様(深雪)には絶対的な忠誠心を見せる水波や個人的に好きな真夜がメインで出てくると思うのでなんだかんだ楽しみです。是非ともハッピーエンドに.....

安価です。話題について
1.雪乃の裏について
2.真夜と仲直り出来たかどうか
3.温泉旅行について
4.自分の正体を明かす
5.その他
安価下。】

2

>>554 2.真夜と仲直り出来たかどうか】

話題....話題.....あ、

香夜(歩夢)「真夜さんと仲直り出来ましたか?」

深夜「出来たと思いますか?」

香夜(歩夢)「思いません」

深夜「なかなか話が切り出せなくてね.....。出来ても言葉が出なくて」

こう見えて深夜さんは不器用なのかな。物をどうこうするタイプでなく、人間関係の方

私と少し似通った物を感じる

香夜(歩夢)「それでも真夜さんは仲直りしたいと言っていました。もう一度やり直して、仲の良い姉妹になりたいと」

深夜「......」

香夜(歩夢)「心の準備が出来次第、謝ってはどうですか?」

深夜「心の準備はもう出来てる。けれど、どうしても真夜の顔を見ちゃうとあの時の事を思い出しちゃって......」

あの時とは明確にいつの事かは分からないが、恐らく深夜さんが真夜さんの経験を知識に変えた時のこと。それで真夜さんは立ち直れたが、2人の仲は崩れた


このままだと深夜さんと真夜さんの仲は修復されずに深夜さんが亡くなってしまう。そうさせないためにも私は深夜さんを抱きしめ、

香夜(歩夢)「私でよければいつでも相談に乗ります。苦しければ私を頼って下さい」

こんな声出たのか、と自分でも思うほど優しい声で深夜さんに意思表示をし、反応を伺い待つ

深夜「......香夜さんが相談に乗ってくれるの?」

香夜(歩夢)「私に出来る限りのことはします」

深夜「香夜さんが.....ね」

香夜(歩夢)「頼りないですか?」

深夜「頼りないわ」

香夜(歩夢)「.......」

深夜「けど、少し楽になったわ。貴女の包容力はかなりあるみたいね」

頼りない、と言われたことはともかく、深夜さんを安心させれた。辛いことや苦しいことがあれば私がどうにかする。この宣言は未来の私にどんな影響を与えるのか。深夜さんが頼ってくれると思うと楽しみだが、同時に私にとっての不安でもある。ただ、この不安が深夜さんと共有出来るなら私はーーーー、

深夜「ん、着いたわね」

気がつけばもう家の前。深夜さんとの話もここまでのようだ

深夜「香夜さん、それではまた明日」

香夜(歩夢)「はい、また明日」

短いお別れの挨拶をし、深夜さんが乗った車が視界から消えるまで見送り、家へと戻る


【安価です。
1.この後
2.この後を飛ばし、明日(学校)
安価下。】

2

>>557 2.この後を飛ばし、明日(学校)】


ー次の日の朝ー

歩夢「ん....」

何日目になるだろうか

私は清々し過ぎる朝を迎えた

この時代でも、過去でも、未来でもしている伸びを何度かして体を伸ばす

歩夢「ふぅ.....」

その後、大きく息を吐き意識を切り替える

これで毎朝している平凡な動きは終わり、次に起きてからしなければならない行動に移る



歩夢「んー......」

起きてからしなければならない事はいくつかあるが、それも平凡な着替えや朝食などの一般的な行為

しかし、今朝は私にとって平凡でないある事を今は試している

それは昨日に四葉の息がかかったホテルでメイクとして受けさせられたヘアアイロン

存在自体は知っていたが持っていないし、買う予定も無かった

しかし、この家には深夜さんの気遣いで一般家庭に置かれている物から女性ならではのメイク道具等が色々と用意されている

その中にヘアアイロンがあったのだ

昨日のヘアスタイルは少し大人びていたが、もう少し幼いというか女子高生らしく、清楚感を出せる髪型をまず頭の中で考え、現在試行錯誤中


その試行錯誤の時間は非情にも過ぎていき、気がつけば家を出なければならない時間となっていた

鏡に映る自分はいつもの私でない

このまま登校すれば気分転換に髪型を変えたのだと思われるかもしれないが、同時に変だと思われるかもしれない

ここは.....あれしかないっ!

私が助けを求めたのはCAD

魔法でいつも通りに戻す

普通にやっていれば15分程かかる物も魔法にかかれば1分程度

やっぱり魔法って偉大、と賞賛や感心を持ち、元に戻った髪を見て小さく頷き、

歩夢「よし」

結局いつも通りだけど、私はこれが好き

いつも通りの君影歩夢が好き

......いや、自分が可愛いとかそういうのじゃなくて、いつも通りの自分ってやっぱり安心するなぁ、と思う程度です


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:試験日
偶数:普通の日
安価下。】

>>561 1.試験日】


ー学校ー

慌ただしい登校をし、席に着いたのはHR5分前

クラスメートのほとんどが既に席に着き、教科書とノートを広げて勉強をしている

先生が言っていたけれど、このクラスってやっぱり優等生の集まりなのかな、と思いながら規定された鞄から本を1冊取り出し、読書を始める

すると隣の席、つまり深夜さんが口を開いた

深夜「香夜さんは理数系の教科が出来なかったはずですが....この休日に克服されたのですか?」

確かに私は理数系に弱い

けれど、それはこの瞬間には関係のないはず

ただただ私を煽ろうとしただけ?

いや、深夜さんに限ってそれはない


では一体、深夜さんの発言にどんな意味があるのかと聞き返してみると、深夜さんは呆気に取られた顔をし、

深夜「今日から試験ですが.....」

その声色は薄く、弱々しいものだった

よっぽど私が今日から試験だということを忘れていたのに驚いているのだろう

.......試験?

試験って.....テストのことだよね

香夜(歩夢)「.....あ、」

深夜「.......」

やっぱり忘れていただけなのね、とでも言いたそうに呆れてこめかみに手を当てる深夜さん

いや、あの.....

深夜「幸いなことに1時限目は現代文です。HRまでの3分、HR後から1時限目までの10分、1時限目から2時限目までの休み時間の10分で覚えれることを....って、行動が早いですね.....」

瞬時に教科書とノートを取り出し、片っ端から目を通す


1時限目の現在文はどうにでもなる

問題は2時限目以降の地理と化学

テストは1日3教科ずつの数日に分けて行われる

よって、帰れるのが12時前

この地理と化学をなんとかすれば家で勉強の時間を取れる

付け焼き刃でも悪い点数を取ることはない.....多分

やばいやばいやばい、と心の中で連呼しつつ化学の反応式を覚えようとするが、基準となる元素記号すら分からない私は反応式だけを見ても何と何がどうなるのか分からず、諦めるかどうかを決めるところまで来ている

すると優等生の深夜さんが、

深夜「焦って覚えるよりも冷静に覚えた方が効率的だと思いますよ」

助言をくれた

私は1度深呼吸をして心を落ち着けて改めて教科書と向き合う


ーHR後ー

HRの時間に勉強をするほど先生に失礼なことは出来ないので、代わりに考え事をしていた

それは、どうやったらテストで良い点数が取れるか

うーん、うーん、と悩み考えた結果、目を使えばいいのだと気がつく

カンニングも可能だけど、そこまで私は落ちぶれていない

私がするのは目を使った一時的な能力の向上

魔法力や運動神経が上がるのと同じように暗記力や教科書を読むスピードも格段に跳ね上がる

それしかない、と思った私は教科書を片手に屋上へ


ー屋上ー

誰も居ないのを確認してから青い目を碧色にし、教科書を1ページにつき2〜3秒で読み進める

読み進め、HR終了から7分が経過したところで教室へと戻る

覚えれる時間は5分も無かったけれど、範囲は一応全て目を通した


ー教室ー

深夜「覚えられましたか?」

香夜(歩夢)「多分大丈夫です」

深夜「この短時間で何をしたのかは知りませんが、余程覚える努力をしたようですね」

目を変えて教科書を読む

これは余程の努力と言えるのだろうか

その真相に辿り着けることはなく、私は言葉を濁して返事をした



ー1時限目・現代文ー

現代文は国語

テスト用紙に書いてある文章を読んで、それから何を読み取れるか、これは誰の心境か、などを考え、あとは点数を100に揃えるために用意された四字熟語の意味や漢字の書きや読みを書くだけ

テストはいつの時代でも変わらないようで安心しました


ー休み時間ー

この時間はゆっくり地理の教科書を読んでいた

どうせ社会系のテストなんて「この空欄に適当な語を枠の中から選びなさい」とかで単語自体は書いてあるんでしょう、と予想し、大事な部分と思われる場所のみを頭に入れる



ー2時限目・地理ー

予想通り「この空欄に適当な語を枠の中から選びなさい」が問題の多くを占めていた

ところどころ、稀に「これは何か」のみでそれらしいヒントは無しだったが、それは地理の中で大事な場所で丁度私が勉強した場所だったのですらすらと解けた


ー休み時間ー

次は憎き化学

しかし、内容は全て頭に入っているので問題ない.....よね?



ー3時限目・化学ー

目で覚えた物は全て写真のように頭に残る

この問題は教科書の101ページの.....と、それだけを理解できれば頭の中に残る記憶の中から教科書101ページを探すだけ

捻らない、単純に教科書に書いてある物をそのまま出してくれて助かった


ーテスト週間1日目終了ー

ようやくテストが終わった.....まだ1日目だけど

テスト週間というのは早く帰れるけど、成績が判断される機会だと考えるとどうにも肩の力が抜けない

やっぱり学生は大変です

こう考えれば魔法科高校を退学させられたこともポジティブに考えれる

いや、本当に退学させられて良かったんじゃないか.....?


【安価です。今後の予定
1.深夜と過ごす
2.真夜と過ごす
3.1人で過ごす
安価下。】

>>570 2.真夜と過ごす】

テスト1日目が終わり、帰ってお昼ご飯を済ませてから学生らしく勉強しようと思ったのだが、

真夜「少し話があるわ」

と言われ、現在真夜さんと下校中

歩夢「それで、話ってなんですか?」

周りに誰も....とまでは言えないが、少なくとも私たちの話を盗み聞きしようとしている者が居ないのを確認してから話を切り出す

真夜「最近、姉さんが話しかけてくるようになったのよ」

昨日言っていた「なかなか話が切り出せなくてね.....。出来ても言葉が出なくて」の「出来ても言葉が出なくて」の部分の事を言っているようだ

真夜「話しかけてくれるのは嬉しいのだけれど、それから何も話してくれなくて....」

詳しく話を聞くと、



ー想像(出来るだけ忠実に再現しています)ー

深夜「ま、またパン.....」

真夜「もう連続で何日目よ.....」

20時という一般的でないかもしれない四葉家の夕食の時間に四葉の姓を持つ双子の姉妹はそれぞれショックを受けていた

雪乃が用意する食事のほとんどの主食はパンであり、大変美味しいのだがこう何日も続くと美味しいものも美味しく感じず、憂鬱な気持ちだけが募っていく

それでも用意して貰った物だからと渋々と2人はパンを口に運び、おかず等で嫌気を逃しつつ食事を進める


食事後、使用人(雪乃)は食器の片付けということで食器何回かに分けてキッチンとは言えない程の規模である調理室を行き来し、その間にお嬢様2人(深夜・真夜)は自室へ

2人の部屋は隣同士

よって、お互い部屋までは同じ道

歩く音のみが廊下に響く中、1人が口を開く

深夜「ま、真夜。話が.....あるのだけれど」

真夜「.....何かしら」

深夜「そ、その.....」

真夜「話が無いなら失礼するわ」

深夜「あ.....真夜.....」

真夜「(ああもう、私の馬鹿.....また姉さんを苦しめて.....)」

スタスタと去っていく真夜の背中を見ることしか出来ない深夜は「また謝れなかった」と後悔し、その場に立ち竦んだ

ー想像終了ー


ということらしい

この話を聞いた私の第一感想は、深夜さんも真夜さんも可愛い、だった

しかし、そう思っていられるほど余裕が無い深刻な状況であることに変わり無い

真夜「どうすればいいのかしら.....」

どちらも謝りたいと思っているのだから「ごめんなさい」の一言が言えれば全て解決出来ると思うのだが、その一言がお互いに辛いのだろう

その一言が言える機会....機会ね......あ、

歩夢「これ、どうでしょうか?」

私はなんとなく鞄に入れていた1枚のチケットを取り出し、真夜さんに渡す

それは昨日、先生から貰った豪華温泉旅行(最大4名様まで)の招待券

もしこれで真夜さんが「良い機会かも」と言ってくれれば晴れてこの2人の関係は元に戻る.....だろう

だが、私の計画は甘かった


真夜「駄目ね」

まさかの真夜さんの返答に驚きを隠しきれないまま聞き返すと、

真夜「私と姉さんが家を離れると家に来た仕事を済ませれないじゃない」

現在、四葉家の当主は存在しない

深夜さんと真夜さんのご両親は亡くなっているそうで、今の四葉は深夜さんと真夜さんが半当主・半当主として仕事を半分半分にして切り盛りしている

もし2人が屋敷から離れるようなことがあれば四葉は危機的状況に陥ることとなる

真夜「私が残って姉さんには遊んできて貰おうかしら」

恐らく深夜さんは逆に「私が残るわ。真夜は遊んできなさい」と言うだろう

どこまで仲良しな姉妹なんだ.....

歩夢「んー.....」


【安価です。
1.歩夢「代理で私が四葉家の当主になります」
2.歩夢「じゃあ無理....ですか」
安価下。】

1

>>576 1.歩夢「代理で私が四葉家の当主になります」】


深夜さんと真夜さんのため

答えはすぐに出てきた

歩夢「代理で私が四葉家の当主になります」

文字面だけでは意思表明は読み取りにくい

けれど、真夜さんは私の提案をすぐ呑み込むとまではいかなくても、少し考える素振りを見せてくれるくらいには私の意思が宿っていた

歩夢「どう....でしょうか?」

真夜「お願いしたいのは山々だけれど、それは....難しいんじゃないかしら。仕事内容と結城香夜としての姿は四葉から信頼を得ていない。仕事が出来ても他の事全て1人でやる事になるわよ」

歩夢「仕事内容は大丈夫です。真夜さんの仕事を半年間間近で見ていましたから」

真夜「.....じゃあ、四葉からの信頼はどうするの?」

歩夢「仕事をするのは結城香夜でなければ君影歩夢でもありません」

真夜「......?」

歩夢「四葉真夜さんです」



ー家・リビングー

真夜「それで、貴女が四葉真夜になるってどういう事かしら」

ようやくゆっくり安心に、周りに気を配らなくても良い場所へとやって来た

真夜さんも外では盗み聞きされていないか気になっていたようだけど、家の中に入った瞬間に気を配る行為を止めている

家に着くなり紅茶と茶菓子を出し、話を再開する

歩夢「私は九島家の仮装行列(パレード)を使えます」

真夜「九島家の秘術をどうして歩夢さんが使えるの?」

歩夢「色々と...まぁ....」

真夜「ふぅん....。いいわ、なら歩夢さんがよければお願いしようかしら」

真夜さんは一度いつもの口調で言い、その直後に背筋を伸ばして改めて、

真夜「歩夢さん、よろしくお願いします」

頭を下げて私にお願いをする真夜さん

自分がするべき仕事をやって貰えて嬉しい、とかではなく姉と仲直り出来る機会が生まれた事に感謝しているように私は解釈し、

歩夢「お任せください」

私はいつ来るか分からない日を君影歩夢でなければ結城香夜でも四葉香夜でもない、四葉真夜として過ごす事となった


【安価です。話の話題
1.お昼ご飯
2.仮装行列について
3.未来について
4.その他
安価下。】

固定感念(ドリーミーステイツ)
系統外魔法
対象の感情、思考を固定する魔法
固定出来る感情、思考は対象が一瞬でも感じた、考えたことに限る

感情を固定した例:『恐怖心』を固定した場合その恐怖心は魔法の作用する限り永遠に消えることはなく他のことを感じることが出来なくなる。
思考を固定した例:『相手を殴る』という考えを固定した場合何があろうと相手を殴ろうとし殴る以外の行動が出来なくなる

また、思考を固定した場合に限り対象は違和感を感じることは出来るが
違和感について考えることが出来ないため永遠に気付くことはない

>>579 2.仮装行列について】

真夜「歩夢さん、疑っているわけじゃないんだけど、本当に仮装行列を使えるの?」

その疑問はもっともであり、私も立場が逆だったらこう聞いていただろう

証明するためには使うのが手っ取り早い

歩夢「未来の真夜さんに、」

真夜「それはやめて」

歩夢「.....じゃあ、深雪ちゃんに」

真夜「深雪.....ああ、姉さんの娘...でしたっけ?」

歩夢「そうです」

そもそもの姿を知らない人に見せても無駄なんだろうけど、なんとなく深夜さんに雰囲気が似ている事だけを分かって貰えればいい

信用に欠けるようだったらこの時代の誰かに変身すれば信用して貰える


信用を得るための第一歩として私はCADを操作して仮装行列を発動する

真夜「.....! 姉さん.....ではないけど、姉さんにそっくりね」

深雪(歩夢)「深夜さんの娘ですから」

私がよくお母さんに似ていると言われるように、深雪ちゃんは深夜さんに似ている

私や深雪ちゃんに限らず、決まって娘は母親にかなり似るものなのかな?

そういう方面についても元の時代に戻って、ゆっくりできる時間があれば調べてみよう

・瓊々木について
・遺伝子 母親 娘 ←New!

真夜「次は.....そうね、雪乃になれる?」

元々の姿の時点で似てる似てる言われるが、真夜さんは証明に加えて完璧を求めている

その期待に応えるにが演者としての役目


深雪(歩夢)「出来ますよ」

深雪ちゃんの姿のままCADをサッと操作して姿を切り替える

リクエスト通り、今回は雪乃さん

真夜「九島家の仮装行列......」

出来の感想よりも真夜さんは仮装行列について興味を持ったようだ

何はともあれ、『信頼』を更に得れた私は仮装行列を解除し、元の君影歩夢へと戻る

真夜「ありがとうございました。とても貴重な体験が出来ました」

歩夢「信用して貰えたようでなによりです」


【安価です。最後(かも)
1.お昼ご飯
2.未来について
3.その他
安価下。】

1

>>584 1.お昼ご飯】

信頼を得たところで時計を見ると12時をとっくに過ぎ、13時近く

おかげさまでお腹が空いている状態

どうせなら、と思った私は、

歩夢「お昼ご飯どうされますか?」

真夜「ご馳走してくれるの?」

歩夢「ご馳走はしません。一緒に作りましょう」

真夜「じゃあいいわ。使用人さんに作って貰うから」

歩夢「.....真夜さん、私が子供の時に料理教えてくれたきり一緒に料理してくれないんですよね.....」

真夜「わ、分かったわよ。作ればいいんでしょう」

泣き落とし(泣いていない)は成功した

第一印象は冷たい人だと思っていたけど、実際は暖かくて優しい人

ツンデレ具合も可愛らしくて好きです


ー調理前ー

真夜「それで、何を作るの?」

歩夢「真夜さんに合わせて洋食の類で」

真夜「洋食以外にも作れるわよ」

歩夢「例えば?」

真夜「.....い、色々よ」

間と躊躇い(?)からして嘘だと見抜ける

すぐにバレる嘘を言うところとかは未来の真夜さんでは考えられない行為

真夜さんにも子供の時があったのだと思うと自然と笑みが溢れてしまう

真夜「やっぱり帰る」

歩夢「ごめんなさい」

真夜「.....早く作りましょう」

謝ればすぐ許してくれるところとか本当に私が言うのもなんだけど、甘いよね


ー調理後ー

話し合いの末に作ったのは手軽なカルボナーラ

女性に「何パスタが好き?」と聞くと8割方の女性がそう答える大人気の料理

ちなみに私は嫌いでもないし好きでもない。でもどちらかと言えば好き、のタイプの人

真夜さんは「普通」とだけ言っていた

パスタが乗ったお皿をテーブルに運び、食器(スプーンとフォーク)や飲み物(お茶)を用意し、「いただきます」の挨拶をしてから食事を始める

歩夢「ん、美味しい」

今回、主に調理をしたのは真夜さん

やはり料理上手

どうして未来では料理しないんだろう、せっかくの能力が勿体無い


食事を進める中で私はこれについて質問した

歩夢「未来の真夜さんは一切料理をしませんでしたが、どうしてだと思いますか?」

真夜「私がやらなくても誰かがやってくれるから」

歩夢「使用人さんが居なければ、」

真夜「自らやるでしょうね」

今度社員旅行ならぬ使用人旅行で真夜さんを1人にさせてみようかな

と、どうでもいいことを考え、どうでもいいことを話しているとお皿の上には麺一本無い状態に

歩夢・真夜「ご馳走様でした」

息のあった終わりの挨拶を済ませて食器洗いを機械に任せて私たちは、

真夜「私は帰るわ」

歩夢「送ります」

前回同様にこの家から四葉本邸までの中間地点辺りまで送ることになった

CADとお財布を持って真夜さんと共に再び外へ


真夜「ここまででいいわ。ありがと」

歩夢「お気をつけて。何かあったら、」

真夜「分かってるわ。じゃあね、香夜さん」

スタスタと去っていく真夜さんを見えなくなるまで送り、振り返って来た道を戻る


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:攻撃を受ける
偶数:家へ
安価下。】

ほい

>>589 6:家へ】

真夜さんを送り、15分後には家へ無事戻ってこれた

こういう時に何者からか攻撃を受けて新たな問題へ発展するのがフィクションでのお約束展開なのだが、運命は空気を読んでくれたようで安心しました

帰宅した私はキッチンで紅茶を淹れ、2階の自室へと上がる

ここでする事はもちろん学生のお仕事

学生らしく、学生なりに勉強しよう


【テスト期間はカットします。木曜日にテストが終わり、金曜日から日曜日まで休日にさせて下さい。】


ー木曜日ー

4日間に渡るテストがようやく終了した

どれくらい出来たかは最短でも4日後(月曜日)からの各授業で丸付けをされて返却される

出来た出来なかったはその時に判断するとして、とにかく学生の敵であるテストが終わった

ようやく気を抜く事ができて、クラスのあちこちでは仲の良いグループで集まりこれから何をするか、何処に遊びに行くかを決めている姿はいくら魔法師でも高校生なんだな、と実感させられる

???(先生)「息抜きもいいけど、ハメを外しすぎないようにね。特に事故には気をつけること」

先生が先生らしい発言をし、3時限目に行った答案用紙を持って教室を出る


残された生徒達は再び楽しそうに、学生らしく話を再開している中で、

深夜「この後、香夜さんの家に行ってもいい?」

香夜(歩夢)「構いませんけど.....」

どうせ断っても来るんだろうなぁ、と頭の中で思いながら返事をした


ー香夜の家ー

お客様3名に紅茶と茶菓子を出し、ソファに腰をかける

話題はテストの手応えの話、雪乃さんと深夜さんがテストの点数で勝負する話、そして今後について、といった具合で変化した

香夜(歩夢)「明日から休みですけれど、何かご予定はありますか?」

雪乃「私は仕事かな」

深夜「休んでもいいのよ? 貴女だって疲れているでしょう?」

雪乃「んー、まぁ.....」

いくら天才でもテストは疲れるようで、否定はしなかった


香夜(歩夢)「でしたら、これどうですか?」

私は真夜さんとの打ち合わせ通りに温泉旅行のチケットを差し出した

それを受け取ったのは深夜さん

深夜「旅行.....ね。でも私たちには、」

真夜「たまにはいいんじゃない、姉さん?」

深夜「そう....かしら?」

真夜「誰にだって息抜きは必要よ」

深夜「......」

真夜さんからの後押しにどちらかと言えば『行く』に意識が傾く

雪乃「深夜、行こうよ」

深夜「......」

真夜「見たところ温泉旅行のようだし、疲れも取れるんじゃない?」

雪乃「温泉.....?」

ん?

そこに食いついた?

表情も楽しそうな物から真剣な物へと変わっているし......嫌な予感がしてきた


直後に雪乃さんの表情は楽しそうな物へと戻り、

雪乃「やっぱり私はいいや」

真夜「急ね。さっきまでは賛成だったのに」

雪乃「よくよく考えると深夜も真夜も居なくなったら四葉家に来るお仕事が溜まる一方。だとしたら私がやっておいた方がいいかなー、って」

解決している問題だが、そこに気がつかれると言い訳が少し厄介となる

しかし、それ以上に雪乃さんは動揺しているのが目に見える

明らかに『温泉』に行きたくないような......あ、もしかしてアレかな?

真夜「.....香夜さん、お手洗いを借りたいのだけれど。案内してくれる?」

香夜(歩夢)「あ....はい」

真夜さんが立ち上がると同時に私も立ち上がり、リビングから出る

リビングから出て、少し離れたところで真夜さんが口を開く

真夜「雪乃が明らかにおかしい反応を見せた。それについて何か知らない?」


【安価です。
1.中学時代の傷跡を見られたくないから
2.ただ単純に四葉に来る仕事を片付けようとしている
3.深夜と真夜を2人きりにさせたいから

答えは決まっているので、正しい答え以外の場合は後に気がつくことになります
安価下。】

3

>>595 3.深夜と真夜を2人きりにさせたいから】

雪乃さんは深夜さんと真夜さんの関係を修復させようと努力している

そこに裏表は関係なく、ただ自分を救ってくれた2人への感謝の思いを込めての恩返し

そこにやましい気持ちなど全くない

香夜(歩夢)「多分ですが、深夜さんと真夜さんを2人きりにさせてあげたいからだと思います」

私の意見を聞いた真夜さんは私から視線を逸らし、

真夜「私にはそうは思えないけどね」

雪乃はもっと別の事を気にして拒否した、と真夜さんは述べる

真夜「まぁいいわ。ありがと、香夜さん。私は少ししたら戻るから先に戻って頂戴」

香夜(歩夢)「分かりました」



ーリビングー

私と真夜さんが話している間、リビングでは2人が話を進めていた

招待されている場所の名産や有名な観光地などについて知った雪乃さんは惹かれている状態

私が臨時で四葉家の当主をやる上で霜月雪乃に居て貰っては困る

なので私も協力して自然と名産品等で雪乃さんを釣っているのだが、

雪乃「美味しそう.......はっ、騙されない騙されない。私は行かないから」

何度もこう言って拒否してくる

この状況を打開するべく策を考えながら調べていると真夜さんが戻ってきた


真夜「泊まる場所の情報はないの?」

香夜(歩夢)「ここです」

その宿泊場所のホームページが開かれた携帯端末を渡す

真夜さんはじっくりと見た後、雪乃さんへと渡す

雪乃「.....ん、」

そしてあるところで、スクロールを止めた

雪乃「やっぱり行く」

何処を見て決意を変えたのかは携帯端末を見れば分かる

そこは、.....!

気付かれないためにもわざわざ1度タブを消して、もう1度検索してホームページを開いている

しかもきっちりと、何処を見たのかを悟られないために検索履歴も消しているし.....


真夜「行くなら行くでいいんじゃない? 香夜さんはどうするの? もちろん誘ってきたのだから行くわよね?」

これも真夜さんと決めた段取り

香夜(歩夢)「私は明日以降予定が入っているので残念ですが」

深夜「じゃあ日を変えましょうか」

香夜(歩夢)「全員の都合が合う日なんて少ないんですから、皆さんで楽しんできて下さい」

深夜「......」

それはそうだけど.....、と考えているのがバレバレな表情をして深夜さんは少し俯く

真夜「都合が合わないなら仕方ないわね。香夜さん、また都合が合う日があれば行きましょうね」

香夜(歩夢)「はい」

怪しまれずに3人きりにすることが出来た

これで旅行はいいとして、残るは四葉家の使用人さんと2人をどう欺くか



ー使用人さんに行くと言った場合ー

使用人「あれ、真夜様? 旅行に行かれなかったのですか?」

真夜(歩夢)「ええ、四葉に来る仕事を疎かにする訳にも行かないでしょう?」

使用人「(ご当主様らしくていいけれど、しっかりと今のうちに遊んでもらいたいような.....)」


使用人「おかえりなさいませ、深夜様。....と、真夜....様?どうして.....」

深夜「どうしてって、一緒に旅行に行ったのだから当然でしょう?」

使用人「(じゃああの真夜様は.....?)」


ー使用人さんに行かないと言った場合ー

使用人「お疲れ様です、真夜様」

真夜「貴女もご苦労様」


深夜「......? 真夜は来てたわよ?」

使用人「(私が話した真夜様は....何方でしょうか.....?)」

>>600 訂正



ー使用人さんに行くと言った場合ー

使用人「あれ、真夜様? 旅行に行かれなかったのですか?」

真夜(歩夢)「ええ、四葉に来る仕事を疎かにする訳にも行かないでしょう?」

使用人「(ご当主様らしくていいけれど、しっかりと今のうちに遊んでもらいたいような.....)」


使用人「おかえりなさいませ、深夜様。....と、真夜....様?どうして.....」

深夜「どうしてって、一緒に旅行に行ったのだから当然でしょう?」

使用人「(じゃああの真夜様は.....?)」


ー使用人さんに行かないと言った場合ー

使用人「お疲れ様です、真夜様」

真夜「貴女もご苦労様」


使用人「雪乃さんとの2人きりの旅行いかがでしたか?」

深夜「真夜も来てたから3人よ?」

使用人「(私が話した真夜様は....?)」



となってしまう

あの時は咄嗟に決めたけど、この問題はどうやって解決するの.....?

アリバイとかそういうのがなんか....アレになってしまう

......私が真夜さん以外の人になる?

いや、真夜さんは一応当主の権利は持っている

この権利を行使して使用人さんを部屋に入れなければ......

よし、その方向で行こう

深夜「香夜さん、チケットありがと」

雪乃「お土産買ってくるからね」

真夜「香夜さん、また4日後に」

話もまとまり、皆さんは帰っていった

時刻は17時

冬の外はもう暗い

雪乃さんが居るから大丈夫....か

もし3人を襲う悪い人が居るなら忠告してあげたい

雪乃さんが表ならまだしも裏なら.....、っ!

私は歯を軋ませるくらい強く噛み締め、家の中へと戻った


ー20時ー

歩夢「はい、ではそのようにお伝え下さい」

真夜『分かったわ。誰も部屋に入らないように、ね』

私が考えた案を真夜さんに伝え、今日中に使用人さん全ての耳に届くようにと伝えて貰うことに大方成功した

これでイレギュラーな事が起こらない限り部屋に入ってくる人は居ない

安心して、四葉真夜を演じられる

しかし、やはり部屋にこもりっぱなしというのは不可能がある

環境や書類などが必要な場合どうするのか

私は最小限のリスクを冒すのは仕方ないと考え、

歩夢「葉山さんにだけは私について話して下さい。出来れば未来の件は隠して頂きたいのですが、やむを得ない場合は......」

真夜『そこは大丈夫。葉山さんは理解の出来る人だから』

これで伝えたかった事は終わり

最後に楽しんできて下さい、と最後に言って電話を切った

これで真夜さんと深夜さんの関係が戻ればいいんだけど.....ね

>>603 訂正


ー20時ー

歩夢「はい、ではそのようにお伝え下さい」

真夜『分かったわ。誰も部屋に入らないように、ね』

私が考えた案を真夜さんに伝え、今日中に使用人さん全ての耳に届くようにと伝えて貰うことに大方成功した

これでイレギュラーな事が起こらない限り部屋に入ってくる人は居ない

安心して、四葉真夜を演じられる

しかし、やはり部屋にこもりっぱなしというのは不可能がある

環境や書類などが必要な場合どうするのか

私は最小限のリスクを冒すのは仕方ないと考え、

歩夢「葉山さんにだけは私について話して下さい。出来れば未来の件は隠して頂きたいのですが、やむを得ない場合は......」

真夜『そこは大丈夫。葉山さんは理解の出来る人だから』

これで伝えたかった事は終わり

真夜さんに楽しんできて下さい、と最後に言って電話を切った

これで真夜さんと深夜さんの関係が戻ればいいんだけど.....ね

ー金曜日ー

私が四葉真夜となる日

天気は快晴

真夜さん達にとっては都合に良い天候

私にとっては.....どっちもどっちと言うべきか

雨は外に出ない、外に出る用事がない限り好き

真夜さん達のことを想うと晴れがいい

そんな訳で、今日はどっちもどっち.....ではないか

この家から四葉本邸へ行くまでに外を通る

少し考えれば気がつくことにすぐ気付かなかった自分では駄目だ

今日は四葉真夜になるのだからしっかりしないと


朝食や準備(CAD)を済ませて四葉本邸へと向かう

この時は君影歩夢の姿のままで、監視網が張り巡らされた辺り手前から四葉真夜となる

正々堂々と歩き、四葉本邸の裏口に行くと葉山さんが居た

やっぱり30年後よりも若い

それでも40代のはずだけど.....

葉山「真夜様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

葉山さんに案内され、行き着いたのはいつも真夜さんが居る場所

ここで私は仕事をすればいいようだ

葉山「何か御座いましたらそちらをお鳴らし下さい」

そう言って葉山さんは下がった

葉山さんに用がある時はテーブルの上に置かれたハンドベルを鳴らせばいいのか

まぁ、知ってたけどね

クスッ誰も居ない部屋で『四葉真夜』が笑い、ペンを持ち書類に目を通す


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:真夜から連絡
安価下。】

>>607 2:真夜から連絡】

私が四葉真夜として働き始めてから1時間が経過したところで結城香夜の元にメールが送られてきた


From:四葉 真夜
件名:無し
内容:歩夢さん、お仕事の方は順調に進められているでしょうか?
もし何か分からないところがあればいつでも仰って下さいね。
葉山さんを頼るよりも先に私を頼って下さい。


真夜さんはいい子だなぁ

未来のあの威圧感は今後の何処で身につけられるのだろうか

『大人』という基準が不明な一線を越えたらああなるのだとしたら、是非ともなりたい

私の目に映る真夜さんは優しくて温かくて、凛としてかっこいい人

私もそうなって、慕ってくれる娘とかが居てくれたら.......って、いけない、仕事をしないと

真夜さんへの返事は大丈夫、と充分に伝わる文章を1分程度で打ち込み、送信する

さて、仕事仕事


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:扉がノックされる(葉山)
安価下。】

ほい

>>609 8:扉がノックされる】

黙々と仕事を続け、そろそろ休憩したいなと思ったところで、タイミングを見計らったかのように扉がノックされた

真夜(歩夢)「......」

今この部屋には誰も居ないことになっている

ノックをした主は葉山さんだとは思うが、念のために無言で相手が名乗るのを待つ

と、私が考える時間を見据えた葉山さんは私が待つと決心した後に扉越しに名乗った

真夜(歩夢)「どうぞ」

合図から3秒後に扉が開いた

葉山「失礼致します」

3ピースを着こなした初老手前の男性がティーポット・ティーカップ・ソーサーを器用に持ち、入ってきた

慣れた手つきで傍に置いてある仕事用ではない方の机の上にそれぞれを置き、ティーカップに紅茶を注ぐ


真夜(歩夢)「ありがとうございます」

本来ならば職場の上下関係に則り、腰を折って頭を下げなければならないところだたったが、今は頭を少し下げて意思を伝えた

葉山「お仕事のご調子は如何でしょうか?」

真夜(歩夢)「まずまず、と言ったところです」

完璧に仕事内容を理解していない私にはこの返答が精一杯だった

出来てはいるだろうけど、本物に敵う仕事裁きとは言えない

私は所詮偽物で、本物の真似をしているだけ

葉山「失礼ながら拝見しても?」

真夜(歩夢)「どうぞ」

葉山さんは終わった書類を手にし、上から下まで素早く かつ しっかりと読み進める

数秒後、書類を元の場所に戻し、

葉山「完璧でございました」

真夜(歩夢)「恐れ入ります」

あの葉山さんに褒められた

私が今までで葉山さんに褒められた経験といえば......これが初めて.....かな?

貴重な体験をしてしまった

約1分半ほどの短い滞在の後に葉山さんはわざとらしく仕事を思い出したフリをし、

葉山「失礼致します」

入ってきた時と同じ台詞で出て行った

真夜(歩夢)「ん、んー」

誰も居ないのを確認して1度伸びをする

いくら仮装行列で君影歩夢の上から四葉真夜を被っている状態でもドレス姿というのは窮屈でしかない

どうしてこんなドレスを好んで着るのやら

将来の夢はご当主様のサポートでスーツを希望します


【安価です。
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:お昼
安価下。】

ほい

>>612 4:お昼】

仕事を始めてから3時間が経過した12時

ここで重大な事に気がつく

お昼ご飯.....誰が作ってくれるんだろう

むしろ自分で作りに行きたいところだが、この屋敷には現在四葉真夜は居ないことになっている

四葉深夜も、霜月雪乃も、だ

どうするべきかと考え、仕事を疎かにし始めたその時、扉がノックされる

さっき(1時間前)と同じやりとりをして葉山さんを招き入れる

1時間前はティーポット・ティーカップ・ソーサーの3つだったが今回は四角い竹すだれが1つ

竹すだれ、つまり、アレしかない

葉山さんがティーカップなどが置いてある傍の机にそれを置いた時、今日の昼食と対面する


真夜(歩夢)「お、お蕎麦.....」

葉山「苦手でしたら変えさせますが」

真夜(歩夢)「むしろだいす.....ん、」

私は1度咳払いをし、

真夜(歩夢)「これで大丈夫です」

一言で、淑やかに答えた

葉山「それでは失礼致します。1時間後に食器を取りに戻りますので」

真夜(歩夢)「分かりました」

葉山さんは再び深いお辞儀をした後、部屋を後にした


さて、早速食べよう

割り箸を割り、手を合わせて行儀良く

真夜(歩夢)「いただきま.....せれん」

新しい言葉を開発した事はともかく、私が気になったことについてが先

つゆが無い......?

私はお蕎麦本来の味を楽しまなければならない

よりによって薬味として山葵が用意されているのは私に対する嫌がらせだろうか

未来なら呼び出されて非を詫びなければならないのだが、今の私は真夜さんの立場

自分がされて嫌な事は相手が誰であろうと(基本的には)出来ない

私はこのまま....はっ!

わ、私には葉山さんが淹れてくれた(1時間前)の紅茶がある

科学の進歩により保温機能が付いているおかげでまだ温かい


......やってみる?

真夜(歩夢)「いただきます」

胸の鼓動が早くなる

ドクンドクンと心臓が音を鳴り響かせる中私は一口分のお蕎麦を取り、紅茶が入ったティーカップに少しだけつけ.....れない

抵抗というか淑女らしかぬ行為が私を阻む

もういいよ! そのまま食べてやるっ!

ヤケになり取っていたお蕎麦を口に運ぶ

真夜(歩夢)「あ、美味しい」

そのままでもいける

新たな発見をしてしまった

今度水波ちゃんに教えてあげよう

多分「そ、そうですか.....(どうでもいいなぁ)」という反応をされるだろうけど


【安価です。
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:真夜から連絡
安価下。】

ほい

>>617 4:真夜から連絡】

大発見は一応大発見ではあったけど、2口3口と食べていくうちに味に飽きるようになってしまった

詰まるところ、つゆがあってもずっとそれを食べ続ける上で味に変化は無いのだが何もつけないと1つ何かをつけるでは全くの別物だった

未来に戻ったら念のために、ということで真夜さんの部屋に各調味料を置いておこう

例え、真夜さんが「嫌」だと言っても何かあるかもしれないと言って無理やり置いてやる

真夜さんが私と同じ運命を辿らないためにも


食事が終わり、少し休憩をしていると結城香夜へ電話がかかってきた

かけてきたのは四葉真夜

偽物でない本物の真夜さんからかかってきた

何の用だろう、と思いながら電話に出る


真夜(歩夢)「どうかなさいましたか?」

真夜『雪乃が....っ!』

電話越しでも伝わる切羽詰まった状況

私はすぐに真剣となり、話を聞く

真夜(歩夢)「落ち着いて、1から説明して下さい」

もしも雪乃さんが裏になり、一般人に魔法で傷を付けたとなれば雪乃さんは無期懲役などの罪に問われてしまう

それだけは避けなければならない

しかし私が今から行くことは現実的に不可能だし、行ったところで時既に遅いだろう

この状況を打開できるのは深夜さんと真夜さんのみ

状況判断をするために真夜さんから話を聞く

真夜『今、歩夢さんが用意してくれた旅館に居るんだけど、』

正確には先生だけど.....、まぁ今は突っ込むべきでない点なので抑えよう


真夜『そこで出たお昼ご飯が.....!』

お昼ご飯.....?

まぁまぁ、うん....とりあえず話を聞こう

真夜『パン食べ放題だったの。だから雪乃のテンションが上がっちゃって.....』

......

真夜(歩夢)「切ってもいいですか? 私も暇じゃないので」

真夜『私だって暇じゃないわよ!』

せ、正論.....

両者暇じゃない

しかし、あちらはお昼ご飯

こちらはお仕事

どちらが『暇じゃない』中でも本当に『暇じゃない』かは考えるまでもない


真夜『未来の私は歩夢さんの保護者でしたっけ?』

大人は卑怯だ

真夜(歩夢)「......何をすればいいんですか?」

真夜『相談に乗ってくれればいいわ。1つ目、この状況を打開する方法』

真夜(歩夢)「雪乃さん1人にして深夜さんと真夜さんが何処か遊びに行けば雪乃さんについて忘れられるんじゃないですか?」

真夜『......! ありがとう、歩夢さん』

真夜(歩夢)「ん、......切られた」

この時代の真夜さんは未来の真夜さんと真逆とまでは言わないけど、かなり違うなぁ

活発で元気のある少女

むしろ私の方が落ち着きあるんじゃないか、と思ってしまう

深夜さんは未来と(多分)変わらず

雪乃さんは.....分からない

さて、真夜さん達のことも気になるけど、今に私は四葉真夜であり四葉家の当主

仕事熱心な良い子にならないと


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:時間経過(仕事してます)
安価下。】

ここまで奇数なしって凄いな

>>622 2:時間経過(仕事してます)】

ー14時ー

四葉真夜になってから5時間が経過した

内4時間は真面目にお仕事に励み、残りの1時間は食事等の休憩

これからもこのようなペースで片付けていきたいのだが、そうもいかない

理由は、思っていたよりも仕事の消化が遅いことが大きく関係している

この時代では姉妹が2人で、未来では当主様と使用人が2人でこなしている仕事を今は私1人で済ませなければならない

1人で2人分の労力を発揮するか、2倍の時間をかけるか

1人で2人分の労力を発揮するのは難しいし、2倍の時間をかけるのも嫌

となると答えは1つしかない

1人で1.5人分の労力を発揮し、1.5倍の時間をかけて終わらせる

これが最善策

最善策に辿り着いた私は再び仕事モードに切り替えて、書類に目を通していく


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:真夜から連絡
安価下。】

とぉ

>>624 2:真夜から連絡】

ー20時ー

仕事に集中し、残り約1割となったところで携帯端末に電話がかかってきた

かけてきたのは安定の真夜さん

今度はなんだろう、と考えても無駄だということを知っている私は携帯端末を手に取り、電話に出る

真夜(歩夢)「今度は何があったんですか?」

時間帯のことも考慮すれば自ずと言いたいことは分かる

それは夕食絡み

私はそう予想して、真夜さんからの答えを聞く

真夜『今、夕食が終わって温泉に来たのだけれど、』

ん、夕食絡みじゃなかったんだ

温泉で何かあったのかな

温泉と言えば雪乃さんが大きく『嫌そうな』反応を見せていたけれど.....


真夜『雪乃が「後で1人で入る」って言いだしたの。脱衣所まで来たところで、急に』

後で入るのだから温泉が嫌いだという線は無い

だとしたら何が問題だったのか

温泉と聞いた瞬間に嫌がったものの、ある物を見つけて行くと言い出し、いざ脱衣所に行けば嫌がる素振りを見せた

明らかに不審な態度を取っている

何が雪乃さんを躊躇わせ、

何が雪乃さんを安心させ、

何が雪乃さんを止めたのか

私はその理由を知っている

その理由とは、


【安価です。雪乃が2人と温泉に入ろうとしない理由。

ー雪乃についてー
1.歩夢の母
2.深夜・真夜・綾人の同級生
3.霜月の人間
4.天才
5.魔法師
6.深夜・真夜の関係を直そうとしている
7.裏表が存在する
8.中学の時いじめを受けていた
9.読書好き

以上のどれかが温泉という場で関係しています。

ヒント:肌の傷とかって他人に見られたくないよね。
安価下。】

8

>>627 8.中学の時いじめを受けていた

脱衣所へ1度行ったにも関わらず深夜が部屋に残っている理由は雪乃の突然の態度が気になり、一旦部屋に戻った、みたいなかんじです】

深夜さんから教えて貰った雪乃さんの中学時代

その際に陰湿な物はまだしも、直接肉体へのダメージも受けていたという

知られたくない・心配させたくないが故に『温泉』を拒否し、ホームページにてこの旅館には湯着があることを知り了承したものの、実際に行ってみると旅館の人に声をかけて貰わなければならないことを雪乃さんは脱衣所で察し、このような態度を取ったのなら全ての辻褄が合う

真夜『歩夢さん?』

真夜(歩夢)『あ....えっと.....雪乃さんは.....』

非常に言うのが躊躇われる

しかし、ここで真夜さんに教えなければ雪乃さんは後に1人で入浴することになり、深夜さんと真夜さんは不信感を抱くばかり

私は深夜さんと真夜さんを信じて、良い方向に傾くと決めつけ、この3人の仲が更に良くなることを願い、

真夜(歩夢)「雪乃さんは....中学の時にいじめを受けていました」

真夜『っ....!』

直後、スピーカーからは真夜さんの声にならない悲鳴をかき消すように足音のみが耳に入ってきた


真夜(歩夢)「真夜さん?」

私の呼びかけは真夜さんに届かず、聞こえてくるのは足音、そして襖を開ける音

真夜『雪乃、脱ぎなさい』

真夜さんの声は冷たかった

雪乃『な、何を言ってるの真夜っ?』

真夜『いいから脱ぎなさい』

冷淡に真夜さんは雪乃さんに3人が泊まっている部屋だと思われる場所で雪乃さんに『脱げ』とだけ命令する

雪乃『そ、そんなこと出来るわけないでしょ! いくら真夜や深夜の前でも恥ずかしいから......』

真夜『使用人さん、命令よ』

雪乃『っ......』

ご主人様からの命令に狼狽える使用人さん

雪乃さんはご主人様から命令され、真夜さんは使用人の様子を伺っている


次に口を開くのは話の流れからして雪乃さん

しかし雪乃さんは口を開かない

真夜さんは雪乃さんの発言を待っている

しばらく静寂が続いたところで、どちらでもない人が動く

音はたった1つ、湯呑みのような物をテーブルの上に置いた音

静まった空間に響いた音だからか電話越しにもはっきりと聞こえた

その湯呑み(と思われる物)をテーブルに置いた人物とは、あの人しかいない

深夜『真夜が何を知っていて、雪乃を脱がそうとしているのかは知らないけれど、雪乃、今の私たち、雪乃と深夜と真夜の関係では貴女は私たちに逆らえない。でも、どうしても拒否したいのであれば霜月と四葉と四葉の関係にしなさい。そうすれば上下関係は変わるわ』

雪乃『.......それだけは....駄目』

深夜『なら脱ぎなさい。私からも命令よ』

雪乃『......』


深夜『それも嫌なの? わがままな子ね』

深夜さんは苦笑交じりに、わざとらしく雪乃さんを煽る

深夜『ほら、早く。この場には女性しか居ないのだから気にすることないわよ』

たたみかけるように深夜さんは発言を続け、なんだか関係をどうこうというより、ただただ雪乃さんがいじめられているような気がしてきたのは私だけだろうか

あちらの雰囲気は悪くなる一方だったが、ついに雪乃さんがまともな発言のために口を開いた

雪乃『......深夜、真夜、私は2人に心配をかけたくないの。だから....その命令を取り消して』

真夜『心配なんて常にかけられているわ。貴女が何時何処で何をするか私たちはヒヤヒヤしているのだし』

深夜『それに、貴女は私たちの家族でしょう。家族に体が見せられないの?』


雪乃『じゃあ.....深夜は私に体見せれるの?』

深夜『見せれない』

雪乃『えっ.....』

深夜『それとこれとは話が別よ』

雪乃『いや....あの.....不条理.....』

深夜『さぁ、早く。脱ぐの? 脱がないの? 脱がないなら出て行って貰うけど』

雪乃『解雇?』

深夜『解雇よ』

雪乃『はぁ....もう、.....嫌な姉妹』

雪乃さんは諦めたような薄い声色で笑った

深夜さんの冗談混じりの話の展開に諦めがついたのか、服を脱ぐ音がスピーカー越しに聞こえてきた


深夜・真夜『!』

旅館の1室では1人が下着姿(だと思う)になり、その姿を見た2人は息を呑んだ

真夜『そ、その傷.....』

深夜『切り傷に軽い火傷の痕まで.....』

雪乃『.....引いちゃったよね。こんな体.....』

あまりに酷いのか、自身は『引くほど酷い』と言っている

私の記憶にあるお母さんとお風呂に入った時には、それらしい傷は無かった

見たい、けど見て私が何を思うのかが怖い

もし引いてしまったら、ということを考えると胸が苦しくなる


参考までに血の繋がらない家族2人の反応は、

真夜『ふぅん、そう。もういいわ。服を着て』

深夜『いつまでもそのままで風邪を引いてもらうのは主人として面倒だし』

雪乃『う、うん.....』

深夜さんと真夜さんが発言した言葉だけでは引いたのか引いていないのかが分からない

それを知ろうと、雪乃さんは問う

雪乃『気持ち悪かった?』

私もこの2人の反応を聞くのが怖い

もしここで「気持ち悪かった」と言えば雪乃さんはかなりの精神的ダメージを受けるだろう

私は願う、この2人が雪乃さんを認めてくれることを必死に、心の中で

そして2人の答えは、

深夜『全く』

真夜『全然』

随分とあっさりとしていたが、私と雪乃さんを安心させるものだった


私は嬉しく思い、雪乃さんは2人がどれだけ自分のことを想ってくれているかを実感した

この程度では関係に傷が付かない

喜ばしく、雪乃さんはそのまま、

雪乃『ありがとう、深夜、真夜』

掠れた、弱々しい声で雪乃さんは発言した

自分の体を見て気持ち悪いなどと思わなかったこと、自分を家族だと認めてくれている2人に対して、感謝とお礼の2つの意味を込めて

深夜『ほら、早く服を着なさい』

雪乃『うん。....ん、真夜、どうして携帯端末なんて持ってるの? と、盗撮.....?』

携帯端末には通話相手である『結城香夜』の名が表示されている

やばい、と思い今後の展開こそ気になるが、こちらから電話を切った

真夜(歩夢)「ふぅ.....」

ホッと安心し、ため息に近いものを吐く

良かった、3人の関係が崩れなくて

残す問題は深夜さんと真夜さんだけど、あのお2人は言い出せないだけで、1度話せれば大丈夫だろう

達也くんと深雪ちゃんのような兄妹愛が四葉の特徴であるなら、あの2人もきっと・・・


【安価です。今度こそ....! コンマ1桁
奇数・0:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた
偶数:葉山さんがやって来る
安価下。】

てい

>>636 9:特別環境(真夜の書斎)が必要な仕事が出てきた 】

雪乃さん、深夜さん、真夜さんが現在何をしているかがかなり気になるところだが、私も疲労を感じ始めてきた

お仕事を早めに片付けて休もう

休憩ではなく休むためにも、改めて仕事に手をつける

真夜(歩夢)「ん、これは.....」

この書類は今までの物とは違う

ある特別な書類のような物が必要

この類の仕事が出てくれば、真夜さんは真夜さん専用の書斎で仕事をしていた

今の私は四葉真夜

私は真夜さんの書斎で仕事をしなければならない

あの部屋って真夜さんと葉山さんしか入っているところを見たことないけど.....大丈夫だよね、仕事をするだけだから

傍に置いてあるハンドベルを鳴らし、葉山さんを呼ぶ

丁寧な挨拶をして入ってきた葉山さんは何用かと尋ねる

真夜(歩夢)「書斎で仕事をします」

葉山「畏まりました」

葉山さんに使う書類を持ってもらい、私はミストレス(女主人)として優雅に書斎へと向かう


ー書斎ー

ここが真夜さんの書斎.....

重厚な机と背もたれの長い椅子、天井まで届く本棚、そして年代物の応接セットが特に目立った物として挙げられる

何秒かキョロキョロと部屋中を見渡した後、四葉真夜が座るべき場所である背もたれの長い椅子に腰をかけ、葉山さんが運んでくれた書類と再度対面する

葉山さんは応接セットで紅茶を淹れ、私は本棚から仕事に必要な書類を漁っていると、

ん、これだ

必要な書類を見つけ、仕事で使う書類と見比べてペンを走らせる

傍の机に葉山さんは紅茶の入ったソーサーとティーカップを置き、

葉山「それではまた何かありましたら」

真夜(歩夢)「はい」

葉山「失礼致します」

葉山さんがこの部屋から去り、この書斎には私のみとなる


真夜(歩夢)「.....」

私は手を止めた

別に仕事が出来なくなった、とかではない

この部屋が気になったのだ

もしバレたら怒られるかもしれない

しかし、好奇心が湧いて出てしまう

真夜(歩夢)「す、少しだけ」

私は天井まで届く本棚の前へ行き、眺める

んー、....ん? 何これ.....

大事な資料らしくファイリングされたファイル

何だろう、とその中を好奇心に負け、開く


先生も言っていたことだけれど、必ず殺せる確証がないにも関わらず『必殺』と言っているところは私たちが勝手に決め付けているだけ

同じように、完全である確証がないにも関わらず『完全』と言っているところも同じように私たちが勝手に決め付けているだけ

『必殺技』というのは理論上必ず殺せる

となると、『完全調整体』というのは理論上完全、完璧な物なのだろう

私は嫌な予感がした

私の周り、四葉の人間に『完全調整体』として産まれた人が居るとしたら、

一般的な魔法を使えない達也くんは却下してもいいだろう

その妹の深雪ちゃんは世界でもトップクラスの魔法力を持ち、苦手が無い万能型の魔法師


もしかして、と考えてしまう

あれだけ容姿が整った人間は奇跡以上の奇跡

自然な物とは考えられない

冷や汗に似た物を感じつつ、『完全調整体』について書かれた資料を読み進める

『完全調整体は調整体の持つ全ての欠陥を克服し、人間以上に人間として完成されている。
完全調整体の子は肉体的にも精神的にも障碍を引き起こす因子が存在しない。』

まだ仮定の話だが、深雪ちゃんは調整体でありながら人間として完成されている

誰との子でも、優秀な子が産まれる

もしこれが実現されて、もしこれが深雪ちゃんであるなら......四葉は私が思っていた以上に強大な力を持っているのかもしれない

四葉関係の産まれてくる子全て.....は流石に無理なんだろうけど、それでも従来よりは絶対的な優秀な子を産める可能性が高まる

それに、完全調整体は調整体特有の不安定な寿命の問題も解決されている

だからと言って機械的な行動を取ることなく、普通の人間として世の中に溶け込める


完全調整体.....ね

「凄い」とも思えるし「怖い」とも思える

そんな研究をしてきた四葉に全く気付けなかった私は.....

はぁ.....私の知らないことばかり

いや、私が知らなくても良いことなのだろうか

でも、霜月さんの世界に戻ったら深夜さんと真夜さんが居る、3人きりの空間で聞いてみよう

深雪ちゃんは完全調整体なのか

そして、仮定とした深雪ちゃん以外に行った人がいるのか

自分で言うのもなんだけど、深雪ちゃんと同等の力を持つ自分が調整体なのかを疑っている節がある

これで私が調整体だったからと言って生きる事に絶望することはないが、その時は私が調整体なんだと実感する

ただそれだけ

ただそれだけで、それだけでも、私は人間であることに変わりない

でも....少なからず私は弄られているのだとショックを受けてしまうかもしれない

人間の意思によって『計算して作られた』と考えてしまうのは.....心苦しく、胸の奥が痛くなる


【原作の16巻で明かされましたが、深雪は完全調整体です。歩夢については考えていませんが、それも後々考えていきます。

安価です。現在歩夢は『完全調整体』に関する資料を手にしています。コンマ1桁
奇数・0:葉山がやって来る
偶数:何事もなく、仕事に戻る
安価下。】

>>639>>640の間にこれが入ります。
すみません。】


真夜(歩夢)「......!」

表紙となる部分には、

『完全調整体について』

と書かれていた

調整体とは、簡単に言ってしまえば遺伝子操作して強い魔法師を作ろう、ということ

それくらいは私も知っている

私が気になったのは『完全』調整体

【訂正で安価を取ってしまいましたので、安価はこれの安価下にさせていただきます。
度々すみません.....】


>>645 7:葉山がやって来る】

私が調整体であったら達也くんや深雪ちゃんはどんな反応をするだろうか

また、深雪ちゃんがもし本当に調整体であった時に私はこれまで通りを振る舞えるーーーーいや、これまで通りを過ごせるか

不安のみが募る

調整体とは前述した通り寿命が不安定

水波ちゃん然り、水波ちゃんの遺伝子上叔母に当たる四葉深夜のガーディアンを務めていた穂波さんも然りだ

その点を改善したのが『完全調整体』なんだろうけど、やはり先生の話を聞いてからは「勝手に私たちがそう考えているだけ」と考え込んでしまう

完全だと思っているのは私たちだけで、実際には完全・完璧ではない


私は怖れる

もし私が完全調整体と称されている完全でない調整体であった場合、私はいつ死ぬのか

もし深雪ちゃんが完全調整体と称されている完全でない調整体であった場合、深雪ちゃんはいつ亡くなるのか

私が死ねば、2人は悲しんでくれるだろうか

深雪ちゃんが亡くなれば、私はもちろん達也くんも、むしろ達也くんこそが最も感情的に悲しむに決まっている

.....調整体なんて、無くなっちゃえばいいのに

そう考えた瞬間、背後に人の気配を感じ、私は振り向かずに、背を向けたまま応対する

真夜(歩夢)「なんでしょうか」

葉山「香夜様がご覧になっているのは四葉の秘匿情報。困りますな、そういうことを勝手になされるのは」

真夜(歩夢)「私は四葉真夜ですが」

葉山「本物の真夜様は現在深夜様と雪乃と旅行に行っておられます。貴女様は偽物でございます」


気乗りはしないけど、この場を切り抜けるためには仕方ないか

真夜(歩夢)「葉山さん、私がいつから偽物になったのでしょうか」

私は1言、冷淡に発言し、魔法を発動する

使ったのは四葉真夜の固有魔法である流星群

真夜さんの書斎が『夜』へと映り変わった

天井には燦然と星々が輝いている

葉山さんはそれに見惚れたのか、驚いているのか、もしくは一切の動揺を見せずに私の発言を待っている

真夜(歩夢)「葉山さん、貴方は何も見ていません。いいですね?」

葉山「心得ております」

真夜(歩夢)「......」

葉山「失礼致します」

ドアが閉まる音がした


葉山さんは、私を四葉真夜だと認識し、ここでは何もなかった、つまり本物の真夜さんが戻ってきても真夜さんにこの事を話すことは絶対に無い

真夜さんは知らない

知らない事を聞くこともない

一旦、これで『完全調整体』についての隠蔽は成功と考えていいだろう

真夜さんが知るのは30年後、霜月さんの世界にて3人きりの空間で知ることになる

私と深雪ちゃんのお母さんと四葉家の現当主の3人きりの閉鎖された部屋の中で、私が30年前に四葉の秘匿情報を知り、四葉を疑っていること

少なくとも『完全調整体』の被験者については話して貰う

真夜さんが、深夜さんが何と言おうと


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:お仕事終了→四葉真夜として真夜の私室へ
偶数:真夜から連絡
安価下。】

ほい

>>650 3:お仕事終了→四葉真夜として真夜の私室へ】

真夜(歩夢)「ん、んー、終わったぁ」

誰も居ない四葉真夜専用の書斎で偽物の四葉真夜は仕事が終わった事に対して喜びと達成感を感じていた

時間こそかかったものの、この時代も未来でも四葉家の当主としての仕事は2人がかりでこなしていたのだが、私は1人でやってみせた

私優秀

と、自分を褒めちぎり、ハンドベルを鳴らす

数十秒後に葉山さんはやって来た

先程の時とは違い、良好で安全な話のやり取りをし、終えた書類を葉山さんに任せ、私は四葉真夜の私室へ


ー真夜の私室ー

真夜さんの私室はなんだか可愛げがなかった

大きな本棚に入った多くの本

仕事や学校での課題を行う机

あとは大きなベッド

目立ったのはこれくらい

女の子の部屋によくあるとされているぬいぐるみはもちろん、カーテンや家具の数々は黒か白かで統一されている

シンプルな部屋こそ、私は好きなのだが、年頃の女の子にしては流石に質素に.....ん、あれは写真立て?

机の上に置いてある写真立て

そこには3人の美少女が写っている

『美』を付けても全く不思議じゃない少女3人

雪乃さんと深夜さんと真夜さん

高校の制服を着て、ちらほらと桜の花びらが写っていることからして撮ったのは4月の中旬手前だと思われる

落ち込んだ時などにこの写真を見て元気を取り戻しているなら、私は何故かホッとし、嬉しくなる

本当に仲良い3人なんだなぁ、と思い、私は口元に笑みを浮かべ、今度は本棚に向かう

本棚には本や資料が置いてある

驚くべき発見のような物はもう済んでいるので、私は素直に読んだことのない小説を1冊取り、机とセットで置かれている椅子に腰をかけて1人静かに読書を始める


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:読書後
偶数:深夜から電話
安価下。】

てい

>>653 2:深夜から電話】

ー0時30分ー

0時30分というのは高校生の年齢の私にとって寝るのはまだ早い時間

学生なら勉強や趣味、社会人なら仕事や趣味に当てる時間、どちらでもある私は読書をしていた

理由はそこに本があって、時間があったから

それ以外に理由はいらない

小説に他のことを求めるのは間違っている

読み手である私は作者の考える妄想を楽しめばいい

楽しみ、考え、納得する

それだけが楽しみで、私は読書を続けているのだが、携帯端末にかかってきた1つの着信に私の楽しみは遮られた

携帯端末を手に取り、端末の表示されている名前を確認する

『四葉 深夜』

深夜さんが私に何の用なのだろうか

考えられる予想は、真夜さんとの仲直りについて

心配はしていない

あの姉妹は思っている以上に意思の疎通が出来ているし、思いやりが出来る

安心を胸に、着信に応じる

香夜(歩夢)「深夜さん? どうかされましたか?」

深夜『真夜との件だけれど、お礼を言わないといけないみたいね』


【安価です。
1.深夜『ありがとう、歩夢さん』
2.深夜『ありがとう、香夜さん』

1の場合は真夜が深夜に君影歩夢のことを全て話し、気兼ねなく話せるようになります。
2の場合はこれまで通りです
ここで深夜が歩夢のことを理解しなくても、理解する機会はまたやってきます。
安価下。】

1

>>655 1.深夜『ありがとう、歩夢さん』】

深夜『ありがとう、歩夢さん』

深夜さんは今、私のことを『香夜さん』ではなく『歩夢さん』と言った

私のことを知っているのは先生か真夜さんの2人

状況から見て真夜さんが深夜さんに私のことを言ったと考えてもいいだろう

どうせいつか告白することだったんだし、手間が省けたと思えば勝手に話された事についても全く気にならない

歩夢「いえ、未来の深夜さんと真夜さんは話に聞く限り仲があまりよろしいとは言えないようだったので」

深夜『それってこの時代から30年後の事よね?』

歩夢「正確には分かりませんが、大体はそうです」

深夜『.....30年も無駄にしたのね、私は』

歩夢「......」

30年無駄にし、最終的には仲直り出来ずに深夜さんは現実世界から居なくなった


霜月の精神に寄生することで再び真夜さんと対面する機会を得たが、それで仲直りの話を切り出せたかどうかは私には分からない

しかし、この瞬間に仲直りが出来れば『四葉深夜と四葉真夜の姉妹は一時喧嘩をしていたものの、それは約4年で終わり、それからは姉妹らしく仲良く暮らした』という結果が残る

そして、深夜さんが早くに亡くなった理由である『精神構造干渉魔法』の酷使をする理由も原因である真夜さんと仲直りすることで無くなる

2095年、息子・娘の魔法科高校への入学を祝う未来があるとしたら、

2095年、当主となった妹のお仕事を手伝う未来があるとしたら、

是非とも見てみたい

深夜『楽しい妄想を繰り広げているところ申し訳ないけれど、それは無いと思うわ』

で、電話越しにも思考を読めるのか......!

じゃなくて、それは無いってどういうことだろうか

どんなに過去を変えても未来は同じってこと?


深夜『多分、歩夢さんがこの時代でやるべき事を終えたら貴女が関係したもの全てが消えるわ。貴女が計画した温泉旅行は無かったことになるし、それから発展した雪乃の体の傷のこと、真夜との仲直り。あとは....そうね、学校の名簿からも貴女の名前は消されるし、テストでもし仮に貴女が1位だったとしても貴女が居なくなることで2位だった人が1位となり、3位だった人が2位になるわ。どうやっても貴女の存在は居なかったことになる。残るのは貴女がこの時代で過ごした記憶だけ』

雪乃さんと、深夜さんと、真夜さんと過ごした思い出が私にのみ残る

何をどうやっても深夜さんと真夜さんの関係修復は叶わなくて、深夜さんは40代前半という若さで亡くなることになる

っ.....どうにかしてあげたい

けど、未来が大幅に変わらないようにするためには私が関係した記憶や行動が全消去される

深夜さんの言うことには一理あるどころか同意せざるを得ない


深夜『残念ね、せっかく仲直り出来た真夜とも仲直りしていない事になるだなんて。まぁ、仕方の無いことよね。理に逆らうことは出来ないわ』

歩夢「....頑張って仲直りーーーー」

深夜『貴女のその発言も記憶から消えるのよ。私も諦めたくない、けど諦めるしかない。潔く諦めましょう、歩夢さん』

歩夢「......」

深夜『この時代に長居すればするほど貴女はこの時代に取り憑かれて離れるのが辛くなるわ。それが嫌なら、早くやることをやって戻ることね。霜月さんの世界とやらに』

もう既にこの時代から消えることに抵抗感を感じている

深夜さんは良くしてくれるし、真夜さんも良くしてくれる

そして、雪乃さんも表は純粋で良い人

3人が仲良くしているところを見るのはこちらも楽しくて好きだし、見ていて飽きない

今私は、この時代が心地良いと思っている

しかし、私には2095年という私が本来住むべき時代がある

完全に心を奪われる前に、早く戻らなければならない

戻るためには雪乃さんの裏を知り、雪乃さんを倒すための力をつけなければ


先生の言っていた「魔法だけが敵を倒す手段じゃない」の意味を知り、先生が自信満々に提案した魔法を私は取得して、私は魔法を何のための使うのかを目標として設置する

そして雪乃さんを倒し、裏を消す

......大丈夫、今はまだ2095年に戻りたいと思えてる

早期決着をつけなければ、とこの時代に来てから1週間で学んだ

若干手遅れに感じるが....まぁ、気のせいだと信じたい

深夜『相談があるなら私も真夜も乗るから遠慮しないで相談しなさい。貴女の力になるわ』

歩夢「私を助けてくれるんですか?」

深夜『それもあるけれど、私は雪乃を助けたい。ごめんなさいね、私は貴女を大切な存在だと思っているけれど、それ以上に雪乃が大切なの。多分、真夜もそう』

雪乃さんーーーーお母さんも娘の私より深夜さんと真夜さんを優先と言っていた

この3人は家族以上の絆が存在する

本当、敵わないなぁ.....仲良すぎるよ


歩夢「雪乃さんを、私のお母さんを大切にしてあげて下さい」

深夜『家族を想うのは当然よ』

歩夢「.....お願いします、家族には想ってあげて下さい』

真夜さんや深雪ちゃんはもちろん、達也くんも

深夜『善処するわ。.....もうそろそろいいかしら? 真夜が待っているから』

歩夢「はい、真夜さんを大切にしてあげて下さい。お願いします」

深夜『ええ、分かってるわ』

その発言を最後に、通話を切られた

これから私がこの時代に滞在している間は少なくとも深夜さんと真夜さんは仲良く出来る

私が永遠にこの時代に居ればずっと仲良く出来るが、そうもいかないだろう


歩夢「はぁ.....」

戻らなければならないと分かっていても、......もっと非情になるべきなのかな

未来の真夜さんが私の弱点を何点か挙げたときに言っていた

真夜『人間は非力なんだから世の全員を助けるなんて出来ないわ。助けるなら、人を選びなさい』

今の私は視界に入る全員を助けようとしている

私が助けるべきは雪乃さん

雪乃さんだけのことを考えて、最低限のことだけをしよう

読書も辞めて、明日は先生に時間が取れるか聞いてみようかな

私が何のために魔法を使うのかは大体決まったし

あとは魔法に案だけ

これも大まかには決まっている

あとは.....私が努力して、あのお母さんに勝つ力を身につけるだけ.....か


【安価です。
1.お仕事終わり(土曜日の夜になります)
2.お仕事(土曜日の朝になります)
安価下。】

2

>>663 2.お仕事(土曜日の朝になります)】

ー6時ー

歩夢「ん、.....」

視界が歪む

これは寝起き特有の現象なのだが、いつもいじょうに酷かった

理由は睡眠があまり取れなかったから

深夜さん、真夜さん、雪乃さん、そして私自身のことを考えて、時間を大幅に潰してベッドに入ったのは3時

そこから「あ、真夜さんの匂いする......」とベッドに染み付いた匂いを.....え、ああいや、あの.....な、何もしてない。私は何もしていない

と、とにかくベッドに入っても寝れずに、最後に時計を見たのは4時

そこから少しだけ記憶があるから寝たのはおおよそ4時10分ぐらい

眠いわー、2時間しか寝てないわー

うとうとしながらそんな事を考え、意識をリセットするために洗面台へと向かう



ー6時30分ー

よし、君影歩夢としての準備は出来た

次は四葉真夜としての準備だ

CADを操作して仮装行列を自分にかけて、その上からは服として存在しているドレスを着る

仮装行列で服などを魔法として作り出す事は可能なのだが、もしキャストジャミングを使われたら.....一衣纏わぬ姿になってしまうので服は実物を採用しています

四葉真夜の準備は真夜さんを纏い、服を着るだけ

姿鏡に映った真夜さんを見て私は思う

どうしてこんな胸元が空いているドレスを好んで着るんだろう、と

色気を出すにしてもそれは身内外が出席しているパーティで着ればいい

身内しかいない家の中で着る必要って.....気品やお嬢様としての自覚を保つため.....なのかな


んー、.....分からないなぁ

お嬢様(仮)の私にはお嬢様(本)の考える事が分からない

なんでだろうね、未来に戻ったら真夜さんに聞いてみようかな

でもなぁ、あの見せつけんばかりの胸部は.....見てて毒だ

同性の私でも目を惹きつけられる

そしてここで疑問に思ったのは子供こそ作れないものの、結婚する事は出来るのにどうしてしないか

あれだけ容姿が整っているんだから子供を作れる作れない関係無しにモテると思うんだけどなぁ

当主のお仕事が忙しいから夫にかまう暇が無いから結婚していないのか

はたまた、子供を作れない事を理由に私の父である君影綾人の告白を断り、結局両思いも叶わずなのか


一生独身を貫くというのは早婚を求められている魔法師の中では極めて稀で、よっぽどの理由、真夜さんの件や体が弱い(らしい)五輪澪さんが良い例

子供のためではなく、幸せのために結婚するっていう考えは真夜さんにないのかな

そういえば兄さん、真夜さんをかなり好印象に見ていたような.....

年齢差約30

しかし、愛の前では年齢など二の次

真夜さんは「隼人さんにはもっと良い人がいるわ」とか言いそうだけど、兄さんのことだから.....いや、そもそも兄さんが真夜さんのことを好きだと思っているかどうかが分からないんだけど

とにかく、もし兄さんが真夜さんと結婚することになったら.....って、あれ? どうしてこんな話になってるの......?

真夜さんが幸せを求めて結婚を.....そう、そのこと

子供を作れる作れないを気にせず、仕事を手伝ってくれて優しくてコミュニケーション能力高めで、自分のことを好きだと言ってくれるのは......兄さんしか居ない

兄さん、ハイスペックだよなぁ

内心、結婚して欲しいと思っている


達也くんか兄さんか

私にとって究極の選択

兄さんと話しているときは兄さんのことの方が好きだし、達也くんと話しているときは達也くんのことが好き

つまり私はその場の状況に呑み込まれやすい

ただ、私を呑み込める人は男性では兄さんか達也くんのみ

お父さんは好きだけど、何を考えているか分からない節があるからなぁ....

で、話を戻して結論。兄さん、真夜さんと付き合ってみれば?

結構良い具合に行きそうだけど.....どうなんだろう

兄さんは話上手だし、真夜さんも話す人とはかなり話す私と同じタイプ

容姿も兄さんはかっこいいし、真夜さんは美しい

あれ、お似合いの2人組になりそうな予感が.....

結婚したらいいのに


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:葉山が部屋を訪れる(軽い挨拶後、仕事部屋に行きます)
偶数:仕事部屋へ行く
安価下。】

とぉ

>>669 9:葉山が部屋を訪れる】

尊敬する歳上の女性の1人である真夜さん、そして愛す.....じゃなくて、敬愛する兄さんの将来を考えていたらもう7時だ

雪乃さん達は予定では18時ぐらいに戻るらしいので、それまでに仕事を終わらせなければならない

あまり期待せずに帰ってきた深夜さんと真夜さんに「歩夢さんって仕事が出来る女なのね」と思わせ、あわよくば30年後に....って、そこら辺は都合悪く消されるのか

つまり、昨日今日の仕事は私がやったにも関わらず、本来やるべき2人がやったと記憶を改ざんされる

見返り0の仕事。なんてブラックなんだ.....

やってられるかこんな仕事(でもやる)、と考えていると部屋の扉がノックされる

訪れたのは確かめるまでもなく葉山さん

私は1度こほん、と咳払いをしてから仮装行列の効果の1つ、声を真夜さんに変えた


真夜(歩夢)「どうぞ」

葉山「失礼致します」

腰を折り頭を下げ、数秒後にはピンと背筋を伸ばした状態で話を始める

葉山「朝食はいかがなさいますか?」

真夜さんって朝食何食べてるんだろう

私が担当しているのは主に夕食だから朝食の好みが分からない

無難にトーストとか?

でもこの時代ではあの人が朝食・昼食・夕食を作っている

あまりにも長い間パンが出てこない限り、望まないはず

となると....お米とお魚、サラダ、お味噌汁?

定番な和の朝食


うーんうーん、と悩んだ末に私が出した答えは、

真夜(歩夢)「葉山さんにお任せします」

葉山「畏まりました」

真夜(歩夢)「では、私は仕事をするので出来上がり次第お願いしますね」

頼んで人を使うだなんて機会、これが初めてかもしれない(昨日の仕事部屋から書斎までの道のりに葉山さんに書類を持って貰ったのは私が頼んだことではない)

葉山さんは再び一礼をした後、キッチンーーーではなく、調理室へと向かった

さて、四葉真夜として、深夜さんと本物の真夜さんからお礼の言葉を頂くためにも頑張りますか


ー仕事部屋ー

昨日とほとんど変わらない量の書類がどっさりと机の上に置かれていた

それは仕事部屋の扉を開けた瞬間に目に入ってきたものだったので、私は反射的に扉を閉めて、

真夜(歩夢)「見間違いよ....落ち着きなさい、歩夢.....」

と小さく呟き、もう1度元気良く扉を開く

まぁ、.....変わっているはずもなく、大量の書類が視界に入る

肩を落とし、がっくりとしたまま真夜さん専用の椅子に座り書類に手をつけ始める


ー朝食ー

葉山さんに朝食をお願いしてから10分後、朝食が運ばれてきた

朝食は1品、「パンケーキ〜メイプルシロップをかけて〜」

よく小説などでお嬢様がパンケーキを食べている姿を見かけるが、実際にあるとは驚きです

なお、料理のサブタイトル「〜メイプルシロップをかけて〜」は私がなんとなく考えた

少量の生クリームや粉砂糖、フルーツが乗っているにも関わらずパンケーキにかかっていて当たり前のメイプルシロップをチョイスした当たりが私の不慣れさ

メイプルシロップ乗ってる! すごい!

と思ってしまった数十秒前。どうしてあんな当然のことに驚いたんだろう

というか、.....か、カロリーが大変なことに.....

真夜(歩夢)「あ、ありがとうございます.....。いただきます」

ナイフとフォークを上手に操り、一口サイズに切ったパンケーキを口に運ぶ


お、美味しい.....

何これ、何で出来てるの?

作った人だれ?

味の感想を忘れ、材料と作り方を学びたくなる私

これを兄さんに食べさせてあげたら.....えへへ

ん、いけないいけない、今の私は四葉真夜

どんな時でも冷静を忘れてはならない

真夜(歩夢)「とても美味しいです」

葉山「恐れ入ります。それでは30分後に食器を片付けに来ますので」

真夜(歩夢)「はい、お願いしますね」

葉山さんは一礼し、部屋を後にした

冷めない内に早く食べちゃおっと


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:雪乃から連絡
偶数:お仕事終了(雪乃・深夜・真夜が帰ってきます)
安価下。】

てい

>>676 6:お仕事終了】

ー17時ー

真夜(歩夢)「終わったーっ」

と、声に出して終わりを実感する

実質8時から仕事を始め、休憩はお昼ご飯の時に30分、それからはずっと仕事に勤しんでいた

大変だったけど、深夜さんと真夜さんには私の実力を認めて貰える

私がこの時代から去るまでは「歩夢さんってなんて真面目なのかしら」と思われるに違いない

あの2人に褒めて貰えると思うと1時間後が楽しみ

やるべき事は終わったんだし、残りの1時間は部屋で読書....ううん、私がなんのために魔法を使うのか、についての結論を出そう

明日は先生に私の意思を伝える(予定)

そして、新しい魔法の案を伝える時でもある

この新しい魔法は雪乃さんに知られていない

この魔法が、裏の雪乃さんを倒す鍵となればいいんだけど


ー18時・真夜の私室ー

雪乃さん、深夜さん、真夜さんが帰ってきた

使用人さんが総出で深夜さんと真夜さんのお出迎えをしている

雪乃さんはあくまでも使用人扱いなので、まぁついでに、だと思われているらしい

そんな中で君影歩夢は真夜さんの私室で待機していた

私が四葉本邸に居ることを知っているのは深夜さんと真夜さんだけなので、雪乃さんにバレると一悶着(帰るのが遅くなる)あると予想した真夜さんの計らいだ

18時10分になったところで、真夜さんの私室にまず真夜さんが、そして続いて深夜さんが入って来た

四葉真夜としてではなく君影歩夢としての私を視界に入れた深夜さんと真夜さんは、

深夜「まずはお礼を改めて言わせて頂戴。ありがとうございます、歩夢さん。今回の旅行、真夜との件、四葉の仕事。本当に助かりました」

真夜「ありがとう、歩夢さん」

感謝の言葉を口にした


私はその言葉を聞き、

歩夢「未来ではお世話になっていますから」

変に記憶が改ざんされることには触れず、こちらこそありがとうございます、と返答した

深夜「お礼と言ってはなんだけど、困ったら相談に乗るわ。答えれないこともあるかもしれないけど、出来るだけ答えます」

真夜「姉さんと比べたら頼りにならないかもしれないけど、私にも相談してね。極力答えるから」

深夜さんと真夜さんに相談.....今現在、相談出来ることといったら....


【安価です。相談事
1.先生が言っていた「魔法だけが相手を倒す手段じゃない」について
2.新しい魔法について
3.雪乃の裏について
4.その他

調整体に関する質問は無しでお願いします。
安価下。】

3

>>680 3:雪乃の裏について】

やっぱり雪乃さんの裏について....かな

歩夢「雪乃さんの裏についてどう思われますか?」

私の質問を聞いた2人は神妙な表情となり、それぞれが思った『裏』について話し始める

深夜「雪乃の裏は冷酷の一言に尽きるわ。軽々と人殺しをするし、見捨てもする。普段のあの子からは感じられない、.....まさに裏ね」

表裏と聞いてまず私が最初に思いつくのはやはり、二重人格

それは身近な件であり、私自身が被験者

君影歩夢の場合、私とあの人の2人で出来ている


しかし雪乃さんは.....性格こそ大きく変わるものの、私とあの人と比べて自然というかなんというか、2人ではなく1人で出来ている気がする

まぁ、まだ勘であり、かっこよく言えば直感なんだけどね

深夜「雪乃がどんな境遇を理由に二重人格になったのかは分からないけれど、それ相応の理由があると思うわ。例えば、」

深夜さんは真夜さんに視線を向ける

アイコンタクトを受け取ったかのように真夜さんは続けて、深夜さんが言おうとしていた予想を口にする

真夜「中学時代のこととか、ね」

中学時代の優秀すぎるが故に身に降りかかったいじめの数々

未来の深夜さんの話を聞く限り約3年間耐え、体にはその時の傷がいくつも残っている(らしい)

深夜「3年も耐えてきたんでしょう? 性的な暴行以外は全部受け続けて、それでもなお中学を卒業しようとした。普通なら度合いにもよるけどせいぜい1ヶ月。でも雪乃は30ヶ月以上耐えた。無意識に新しい人格を作り出しても不思議じゃないわ」

真夜「それが原因で作り出されたなら、裏の雪乃はいじめられてきた分、その時に耐え続けて溜まったストレスを発散させるために人を殺めたんじゃなくて?」

ストレスを発散するために裏の雪乃さんが人を殺している

妙に納得してしまうと同時に1つ疑問を覚えた


歩夢「そのストレスは深夜さんや真夜さんと暮らすことで発散されないのでしょうか?」

2人と話している時の雪乃さんはとても楽しそうで、少なくとも中学時代の事を忘れている

それを続ければ「楽しい」が「過去に受けた苦痛」を上回り、ストレスが全て消えるのではないか

私はそう考え、聞くと、

深夜・真夜「無理ね」

口を揃えて、否定された

深夜「100%そうとは言えないけど私と真夜は雪乃の裏を消そうと努力したと思う」

真夜「けれど、それでも無理だった。となると、解決する方法は倒すしかない」

深夜「そこで雪乃や歩夢さんのご先祖様の霜月さんは歩夢さんをこの時代に存在させることによって、雪乃について知る機会を得た」

真夜「だから、ここで貴女が雪乃について知り、雪乃を倒す力を身につければ戻れるはずよ、元の時代.....の前に、霜月さんの居る時代に」

逆を言えばその2つを達成した瞬間にこの時代から追放される

せっかく心地良いと思い始めてきたのに......、でも仕方のないこと

むしろこの時代に存在出来たことがイレギュラーな事態であったのだ


別れる時は潔く消えて、決戦の場で雪乃さんーーーお母さんを改心させよう

いつもは背中しか見てこれなかった雪乃さんと並び、一時的にも追い抜かさなければならない

それを可能にするのが新しい魔法

なんとなく考えた魔法では駄目だ

雪乃を越せるような、凄い魔法にしないと

真夜「雪乃の裏について考えていることはこのくらい。あと私たちが協力出来ることと言ったら雪乃を倒す力を身につけることかしら」

深夜「未来の雪乃はどれだけ強いの?」

歩夢「たしか....数分で1人で一個大隊を倒したり、真夜さんの流星群を攻撃される前に術式解体で破壊したり......」

些細な情報を聞いた深夜さんと真夜さんは、

深夜「勝つのは諦めた方がよさそうね」

真夜「説得、という線で考えてみましょうか」

勝負で勝つことは諦め、説得で勝つ方針にされてしまった


あの冷酷な雪乃さんに説得なんて効くのかな....?

と、なんとなく(私は賛成していない)方針が決まったところで私は帰ることになった

自主的に帰ろうとしたのではなく、深夜さんが真夜さんの部屋に長居することや雪乃さんが夕食の支度を終えて真夜さんの部屋を訪れられた時に見つかってしまう可能性があるから

見つかれば私は今日中に帰れるかどうかの瀬戸際に立たされる

そこの裏は関係なく、あくまで表の雪乃さんに付き合わされることになる

それは私も深夜さんも真夜さんも望まないことだったので裏口へと行き、私は別れの挨拶をして2日に渡る仕事を終えた

一応今回の目的である深夜さんと真夜さんの関係修復は終わった(と言っても私がこの時代から去れば元通り、仲の悪い状態に戻ってしまうけど)

深夜さんも私に協力していただけることになったし、これからは動きやすくなるだろう

特に、新しい魔法についての相談は気兼ねなく出来るようになった

私と深夜さんと真夜さん、そして天才である先生の力作はどんな魔法になるのか

それはこの時の私にはどんなに考えても分からないことだった


【安価です。これから
1.帰宅後
2.次の日(先生と会って話します)
安価下。】

2

>>686 2.次の日】

ー日曜日・7時ー

先生との待ち合わせは11時に学校前

待ち合わせ時間手前にバタバタするのは嫌なので、念入りに準備をし、今すぐにも外に出られる状態にしてから、改めて自分がどうして魔法を使っているのかを考え直すことにした

まず、そもそも私が魔法を使うようになったきっかけについて

最初は魔法なんて物に興味無かったし、どうでもいいと思っていた

しかしある日、お母さんのCAD(特化型)をなんとなく触っていたら銃口先にあった本が消えた(雲散霧消)

私は何が起きたのか分からず困惑したが、そんな中でも『魔法』が発動したことだけは分かった

その後、お母さんにこの事を話すと「貴女には魔法の才能がある」と血筋を考慮すれば最初から分かりきっていたことを初めて知ったかのような表情で言われ、私はそのお母さんの言葉を純粋に「褒められた。魔法を使いこなせるようになればもっと褒めてもらえるかもしれない」と解釈し、魔法の世界に足を踏み入れた

そこからはお母さんに基本、応用技、霜月の魔法を教えて貰い、教わった魔法を一通り使えるようになった後は「私から教えられるのはここまで。あとは自分で考えなさい」と言われて1人で練習するようになった

以上が私が魔法を使うようになったきっかけ


次に、私がこれまで何のために魔法を使っていたか

その1、お母さんに褒めてもらうため

その2、魔法科高校にニ科生として入学した兄さんを馬鹿にする人間を妹の私が最悪の場合である武力行使を考慮したため(しかし兄さんはコミュ障ぼっちで不出来な妹と違い、抜群のコミュ力により瞬く間に一科生の人と仲良くなった。妹としては嬉しい限りなのだが、私の存在がいらないと考えると落ち込む)

その3、あの人(咲夜)と共存していくため

その4、深雪ちゃんを守るため

その5、深雪ちゃんに限らず友達を守るため

以上が私が何のために魔法を使っていたか

そして、以上がこれまで私が魔法と隣り合わせに生きてきた人生そのもの

私がお母さんのCADで魔法を使ってから約10年

これまで色々な事があった

ある時は褒められ、ある時は事件に巻き込まれ、ある時は魔法がきっかけで一生出来ないと思っていた友達が出来た

今の私があるのも魔法のおかげ

魔法のおかげで、(大体が艱難辛苦だったけれど)楽しめた

そんな、私を作ってくれている魔法を私はーーーー



ー10時45分ー

学校の校門へと行くと既に先生は待っていた

相変わらずスーツ姿で、スーツこそ黒いものの輝いて見えるほど美しい

艶やかな黒髪に青い瞳、そして脚を覆う黒いタイツ

今にもナンパされそうだ

私が男性だったらナンパしている(しようという努力止まりだろうけど。理由はもちろん、知らない人に話しかけられないから)

???(先生)「歩夢さんは何を考えてるのかなー?」

歩夢「ななな、何も考えていません」

???(先生)「本当に?」

歩夢「本当です」

???(先生)「まぁいいや。じゃあ早速行こっか。ここは寒いし、......喫茶店......いや、私の家に」

歩夢「いいんですか?」

???(先生)「いいよ。一人暮らしだし、新しい魔法について話すならそれ相応の機械も必要でしょ」

新しい魔法を作るなら魔法式を作れる環境が必要

その環境といえば司波家の地下室なのだが、この時代には存在しない

となると、四葉様のご協力のもとで作るのかな? と思ったがそれも違かった

司波家の地下室のような環境がこの先生の家にあると聞いて、私は半信半疑で頷いた


【安価です。道中の話題について
1.(先生の)家族について
2.新しい魔法について
3.歩夢が何のために魔法を使うか、について
4.調整体について
5.その他
安価下。】

2


>>690 2.新しい魔法について】

先生の家までは20分

その間、無言でただただ歩き続けるというのは流石に辛かったのでこの後話す予定だった1つの話題、君影歩夢といったらこの魔法! の魔法について話すことになった

???(先生)「どんな魔法にしたいか決まった?」

歩夢「まだ個人的な意見ですけど、人を傷つけない魔法がいいです」

この魔法は今のところ4人で作られることになっている

使用者である私

知識提供をしてくれる深夜さんと真夜さん

魔法式を作る先生

所詮私は使用者であり、使う立場

私の意思がどれだけ反映されるかは不明だが、まぁ.....期待はしない方がいいだろう


???(先生)「人を傷つけない.....それって、人を殺すのは躊躇われるから、ってこと?」

歩夢「そうです。人を殺すのは......いくら相手が悪い事をした人でも.....躊躇ってしまいます」

???(先生)「じゃあ系統外の.....うん、分かった。約束は出来ないけど、極力そう出来るように頑張るね。深夜さんと真夜さんから猛反対を受けたら棄却されちゃうかもしれないけど」

歩夢「はい、お願いします」

歩きながらだったのでお辞儀をする事は出来なかったが、軽く頭を下げる程度のことは出来た

その姿を見た先生はまるで私のことを妹だと思ってくれているかのように、優しく笑った

???(先生)「ん、着いたよ」

そうこう話している内に先生の家に着いたようで.....って、え.....?

歩夢「ここが先生の....家ですか?」

???(先生)「そうだけど、どうかしたの?」

歩夢「いえ.....なんでもないです」

誰だってあの家とこの家を見たことある人なら同じだと思ってしまう

時代が違くても、土地が違くても私と同じ反応をするだろう

先生の家は、私の友人の家にそっくりだった



ー先生の家ー

???(先生)「誰も居ないから気にしないで」

歩夢「お邪魔します」

うわぁ....中の構造まで似てる

自宅のように何処に何があるのかが分かる

あそこの階段を下りると地下室に行けることも、あそこの階段を上って右の方に親友であり義理の妹の部屋、左の方には妹から敬愛されているお兄様の部屋があることも知っている

???(先生)「誰かの家に似てた?」

歩夢「まぁ...はい」

???(先生)「ふぅん。念のために言っておくけど、本当に偶然、またはこの家を参考にして歩夢さんの家が建てられたか」

こんな東京から見れば田舎だと思われるような場所にある家を参考になんてするかな?

疑問だけが募る中、リビングに通されてソファに座らされる

先生はキッチンでお茶の準備

私は家の中をキョロキョロと見渡している


先生の家は必要最低限限な物しか置かれておらず、悪く言えば寂しい、良く言えば綺麗で片付いている家だった

リビングだけで判断するのもどうかと思ったが、おそらく私室の次に居座る時間が長い部屋がこうなのだから他の部屋もこんな感じなんだろう

そんなどうでもいいことを考えていると先生が紅茶を淹れてきてくれた

歩夢「ありがとうございます」

私のお礼の言葉に先生は言葉を返さず、私に笑顔を見せて言葉ではない形で返事をした

言葉で返されなかったにも関わらず、こういう時によく言われる「いえいえ」とか「お客様へのおもてなしは当然だよ」などよりもずっと安心している私が何処かにいる

本当、この人って不思議な人だなぁ

一通りのおもてなしを受けお互いに休憩した後、向かいに座る先生が本題について切り出す

先生「それで、歩夢さんは何のために魔法を使うのかな?」

私の意思は固まっている

今の私を作り上げてくれた、これまで私を様々な思いにふけさせてくれた、魅力的な『魔法』を私はーーーー


【安価です。歩夢は何のために魔法を使うか
1.人を守るため
2.生きるため
3.魔法を知るため
4.その他
安価下。】

1

>>695 1.人を守るため】

歩夢「人を守るために使います」

???(先生)「その人っていうのは何処から何処までの人? 言っておくけど、悪い人以外全てを守ることなんて出来ないからね」

この時代から見て未来の真夜さんに全く同じことを言われたことを覚えている

それも考慮した上で、私はこう決心した

歩夢「今までの自分は捨てて、非情になります」

???(先生)「つまりどういうこと?」

歩夢「家族と友達以外は見捨てます」

???(先生)「.....もし、深夜さんの息子さんと娘さんが通っている学校にテロリストが攻め込んで来たら友達だけ守って他の生徒さんは見捨てる、という解釈でいいのかな。それともあくまで友達を守るついでで他の人を守るのかな。歩夢さんのことだから後者になりそうだけど」

歩夢「それは....大丈夫です。自分の無力さは自分が1番知っていますから」


私に多くの人間を守れるほどの力はない

だからこそ私は人を選ぶ

これでも譲歩した結果だ

本当は守りたい

悪い人以外の全ての人を

でも、それが出来ないから私は諦めた

こればっかりは諦めるしかない

???(先生)「じゃあ歩夢さんは親しい人だけを守るために魔法を使うんだね」

歩夢「はい」

???(先生)「そっか。.....うん、わかった」

先生は一瞬だけ視線を外し目を細めて、まるで残念そうな表情をした

歩夢「気に障りまし、」
???(先生)「次の話をしようか」

聞くに聞けず、先生は次の件について話し始める


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:地下室へ
偶数:深夜・真夜と連絡を取って新しい魔法について話す
安価下。】

はい

>>698 1:地下室へ】

???(先生)「次の話しは新しい魔法について。歩夢さんは人を傷つけない魔法がいいらしいけど、....まぁ、とりあえずCADを見せて貰ってもいいかな?」

歩夢「あ、はい。大丈夫です」

あの兄妹とお揃いの特化型CADと汎用型CADを先生に渡す

それを受け取った先生は、

???(先生)「ふーん。....じゃあ行こうか。下に」

司波家と同じ造りの家とだけあって、CADを調整する環境も地下室にあるようだ

偶然....なのかな?



ー地下室ー

先生「歩夢さん、」

歩夢「.....脱ぐんですか?」

先生「あら、察しが良いわね」

ここと同じ造りの部屋で何度かそれをしていれば自然と分かる

むしろ分からないはずがない

しかし、209年と違うのは調整師が男性ではなく女性

性別の差だけで幾分か楽に服を脱ぐ事が出来た

???(先生)「そこに寝て」

先生の指先には調整台

これも2095年と同じ

私は調整台に仰向けで寝て、目を閉じる

先生は機械を操作し、私の体の情報を測る


20秒後、

???(先生)「もういいよ。お疲れ様」

合図と同時に小走りで服が置いてある場所まで移動し、服を着る

やっぱり人前では出来るだけ服を着ていたい、という本能が働いてしまった

服を着た後は、測った情報とCADに入っている情報を照らし合わしている先生の近くでその作業を眺める

.......うん、全く何をやっているか分からない

でも、ここで飽きたからリビングで待っています、という発言も失礼に当たるので出来るはずもなく、ただただ私はその作業を眺めていた

すると、

???(先生)「CADを調整した人凄いね。私ほどじゃないけど、天才だよ。私ほどじゃないけど」

大切なことなので2回言いましたと言わんばかりに『天才』アピールをしてきた

その先生に対して背後から「そこまで天才アピールしたいの.....?」という軽く引いた視線を向けていると、先生の方で何か動きがあったようだ

???(先生)「ん、これでいいかな。CADの空きは出来た。あとは魔法式を作るだけ」

今回、最大の目的である新しい魔法

この魔法を鍵として、新しい魔法について知らない雪乃さんーーーーお母さんを倒す

???(先生)「怪我を負わせるのは駄目なんだよね。となると.....」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜・真夜の協力を仰ぐ
偶然:一旦、休憩してお昼ご飯
安価下。】

ほい

>>702 9:深夜・真夜の協力を仰ぐ】

???(先生)「うーん.....うん、早速だけど深夜さんと真夜さんに相談してみようか」

これ以上考えても良い案に辿り着けないと10秒ほどで察知した先生は協力者に協力を仰ぐことに決めた

この提案を断る理由もなく私は賛成し、リビングに戻ってテレビ電話として深夜さんに電話をかけた

コール時間は短く、電話をかけてすぐに深夜さんは応答した

大きなテレビ画面に映し出される黒のドレスを着た深夜さん

深夜さんはこちら側、つまり私と先生の組み合わせに驚いた表情を見せている

早く本題に入るためにもこの先生は私の祖母であり雪乃さんのお母様の後輩で、君影歩夢を知っていると打ち明ける

少し考え込む仕草を見せた後、本題である新しい魔法について話し合いたいから真夜さんを読んで欲しいとお願いし、3分後にテレビ画面に双子の姉妹が映る


これで場は整った

あとは4人という少人数での話し合いがスムーズに進めば完璧だ

真夜『雪乃を倒すための魔法.....ね。歩夢さんはどんな魔法がいいの?』

歩夢「直接人を傷つけない魔法がいいです」

真夜『物理でない攻撃.....。姉さん、何かある?』

深夜『そうねぇ....』

深夜さんは顎に手を当てていて、

真夜さんは・に人差し指を当てて首を傾げ、

可愛らしく考えている

話し合い始めて1分足らずにぶつかった壁を壊そうと最初に行動を起こしたのは私の隣に座る先生

???(先生)「感覚を持続させる魔法ってどう?」

それらしい提案を聞いた深夜さんと真夜さんは、まず深夜さんがそれについて詳しく話すように先生に促す


???(先生)「持続って言い方には語弊があったから直させて貰うね。私がなんとなく考えたのは対象の感情と思考を固定する魔法」

深夜『一瞬でもそう思えば固定出来るの?』

???(先生)「理論上なら」

自称改変を起こす魔法に理論とかあるんだ、と根本的な論外な事を心の中で思う私を置いて話しは進む

???(先生)「もし例えば感情の『恐怖心』を固定した場合、その恐怖心は魔法の作用する限り永遠に消えることはなく他のことを感じることが出来なくなる」

深夜『魔法の作用する限り、ね。術者の任意や仲間内からの術式解体ってことかしら?』

???(先生)「うん、そうだよ」

深夜『.....思考の方は?』

???(先生)「例えば『相手を殴る』という考えを固定した場合何があろうと相手を殴ろうとして殴る以外の行動が出来なくなる 。また、その時対象は違和感を感じることは出来るけど違和感について考えることが出来ないから永遠に気付くことはない」

深夜『......』

真夜『姉さん?』

深夜『.....不本意だけど、私はそれでいいと思うわ』

???(先生)「ふふ、ありがとうございます』

今の一言で深夜さんが先生をあまり良く思っていない以上嫌い以下だということだけは分かった

先生は生徒の先生に対してらしくない発言を全く気に触れていないようなので、まぁ2人がそれでいいならいいのかな.....?


???(先生)「真夜さんは?」

真夜『それでいいと思います』

真夜さんは律儀に先生に対して敬語で返した

となると、この案にまだ乗っていないのは......

深夜『歩夢さんはどうなの?』

歩夢「え、あ....い、いいと思います」

唐突に呼ばれてこんな返事になったしまったが、異論がある訳ではない

実際、その魔法で良いと思った

私の希望であった物理的な攻撃を与えることは無いし、感情や思考が半永久的に続くというのは辛いことである

例えば感情の1つ『痛み』を固定した場合、痛みが引くこともなければ慣れることもない

また、思考の固定は頭で考えていることを固定するということなので、対象がこちらの行動に気がつけない

その場の判断が出来ない魔法師はどんなに魔法が下手な魔法師よりも動けず、ただの弱い何も出来ない一般人以下の存在となる


良く言えば強すぎる魔法、悪く言えば危険すぎる魔法

でも、それくらいしないとお母さんには勝てない

流石のお母さんでも感情・思考が固定されていれば何も出来ないはず

ようやく勝てる可能性が出てきた

この魔法が本当に出来れば、だけど

???(先生)「じゃあ深夜さん、真夜さん手伝って貰っていい?」

どんな魔法を作るか、は決まった

次は魔法式の製作

それを深夜さんと真夜さんに協力を仰いだのだが、2人の返答は、

深夜・真夜「嫌」

漢字にすると1文字、平仮名にすると2文字にも関わらず、強い念が込められていた

???(先生)「ど、どうして....かな?」

思ってもいない返事を聞いた先生は引きつった表情をしている

深夜『貴女、天才(自称)なんでしょう? 天才さんなら1人で出来るわよね』

???(先生)「.....真夜さんは?」

真夜『なんとなく』

???(先生)「......」

先生の瞳には涙が浮かんでいる


可哀想.....

ここは私に与えられた権利を使う場所のようだ

歩夢「深夜さん、真夜さん、お願いします」

テレビ画面に映る2人に頭を下げ、お願いする

するとスピーカーから「はぁ....」と、ため息が聞こえた

深夜『歩夢さんのお願いなら仕方ないわね』

真夜『仕方なく、よ』

???(先生)「歩夢さん....ありがと.....」

歩夢「ここは深夜さんと真夜さんにお礼を言うべきなんじゃないですか?」

???(先生)「ん、そうだね。ありがとう、深夜さん真夜さん」

深夜『.....私たちの力が必要になったら連絡して頂戴』

お礼の言葉に返事をせず、そっぽを向きそう言い残して電話を切った

返事に困ったのかな?

未来では見られない姿に可愛いと思ってしまう

深夜さんだけじゃなく、真夜さんや表の雪乃さんも可愛らしい姿を何度か目撃している

そう考えるとこの時代に来れて良かったなぁ、としみじみ思う

???(先生)「じゃあ私は地下室で新しい魔法の魔法式を作るから歩夢さんは何かしてて。読書でもいいし、外に遊びに行ってきてもいいし」

歩夢「分かりました」

???(先生)「特化型CADだけは借りるね。汎用型CADを携行して」

歩夢「はい」

先生は私の特化型を持って地下室へ

私は.....


【安価です。何をするか
1.読書(時間経過)
2.お昼ご飯を作る
3.外へ
安価下。】

>>709 2.お昼ご飯を作る】

私は.....なにしよう

外出するにしても行くあてが無いし、読書をするにしてもリビングに置かれている本棚に入っている本のほとんどが既読のものだ

外出も読書も無くなった

となると、他の事に限られる

うーん.....お腹空いたなぁ

突如、なんとなく感じた空腹感を満たすためには食事の他無い

お昼ご飯を食べに行こうにも地下室では先生が私のために働いてくれている

私はそんな先生を忘れて外食は出来ない

キッチン貸してもらえるかな.....?


ー地下室ー

???(先生)「ん、歩夢さん? どうかした?」

歩夢「あの....お昼ご飯どうされるのかな、って。もしよろしければ作りますけど.....」

???(先生)「本当? ありがと。材料あったかな.....? 冷蔵庫見てみて。何かあったらそれで。無かったらお金渡すから買ってきて貰える?」

歩夢「分かりました」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:あった
偶数:無かった
安価下。】

ほい

>>711 9:あった】

きちんとした許可を取ったので堂々とキッチンに入り、人様の家の冷蔵庫を抵抗感を持ちつつ開ける

.....これくらいあれば先生を満足させられる物が出来るかな

うん、よしっ


ー調理後・地下室ー

???(先生)「あ、歩夢さん。ありがとー」

歩夢「いえ、このくらいはさせて下さい。お世話になっていますから」

???(先生)「別に気にしなくていいのに。魔法式の製作はやりがいのある作業だから楽しいし」

先生は大抵のことは簡単にやってのけてしまう

しかし、そんな先生でも魔法式の製作は簡単じゃなく、難しい作業

普通の人なら投げ出すだろう


そんな難しい作業を喜びを感じられるのは、

歩夢「先生が天才だから、ですか?」

私の予想を聞いた先生はクスッと笑い、

???(先生)「そうかもね。私は天才だから」

ドヤ顔ではなく、笑顔を見せる辺りがどうにも嫌味に思えない

ここで1つふと疑問に思ったので、聞いてみることにした

歩夢「.....その天才アピールって意味あるんですか?」

???(先生)「え.....」

その質問は予想してなかった.....、と言わんばかりの表情をしている

???(先生)「あ、あの.....えっと....」

目を泳がせ、本気で困った様子の先生は先生らしくなく、私たちと同年代の少女のようだ

???(先生)「......」

肩を落として、しょぼんとしてしまった

???(先生)「.....ぐすっ」

泣いちゃった!?

歩夢「ご、ごめんなさい。今の質問は無かったことに.....」

???(先生)「.....」

先生はこくこくと頷き、言葉にせず許しを伝えてくる

歩夢「す、すみませんでした.....本当に」

何度も頭を下げて、研究室から去る

.....先生にあの質問は止めておいた方がいいみたい

ごめんなさい


【安価です。時間経過。コンマ1桁
奇数・0:???(先生)「ごめんなさい、今日中には終わらなそうだから明日でもいいかな?」
偶数:???(先生)「終わったよ」
安価下。】

ほい

【感情・思考を固定する魔法の案は>>580さんのものです。ありがとうございます。

>>714 8:???(先生)「終わったよ」】

ー13時ー

その後リビングに戻りお昼ご飯を済ませ、地下室に食器を取りに行き、お皿洗いは現代人らしくHAR(Home Automation Robot)に任せ、私は携帯端末で読書をすることにした

哲学的な本ではなく小説

それも、甘過ぎない恋愛小説

具体的に言うと殺伐としている女性同士の争いがフィクションで描かれている作品

フィクションというだけあって現実味があるけど現実じゃない不思議な感覚が個人的に好き

空想だからこそなんだろうけど、狂気に満ちた女性は面白い

見てる分には、だけど

身近にこんな人居ないよね.....?

居たらと思うとゾクッとする

実際には現実≒フィクションだが、

現実≠フィクションであることを願いたい



ー18時ー

先生が私の特化型CADを持って地下室に篭ってから6時間が経過した

その間私は読書をしていた

ドロッとした恋愛小説らしき作品と『精神』がテーマの哲学的な作品

この2つが読み終わると同時に、タイミングを見計らったかのように扉が開かれる

先生「歩夢さん、地下室に来てもらえる?」

歩夢「分かりました」

携帯端末をテーブルに置いて、先生の後を追うようにして地下室へと移動する


ー地下室ー

先生「被験者は....私しか居ない...か」

『被験者』というと聞こえが悪い

どうしても2年前の実験を思い出してしまう

ここは『被験者』ではなく.....どう考えても悪い言い方しか思いつかない

......

???(先生)「私に銃口を向けて、感情を固定させると心の中で願いながら引き金を引いて。それで固定されるはずだから」

歩夢「.....大丈夫なんですか?」

???(先生)「完成度は約束出来る。問題は....受けた人がどうなるか。私の予想だと、時間を忘れる」

感情や思考を固定されればそれ以外感じず、考えられなくなる

固定された物だけを考えて、時間の経過を感じない

心や頭の中はそれだけを考えるが、体は考えられない

時間を忘れ、空腹等を感じす、餓死だってあり得る

そういう意味では危険過ぎる魔法


???(先生)「私にその魔法をかけてから1分後に術式解体を私にかけて。それで解除されるはずだから」

歩夢「はい」

???(先生)「じゃあ、.....いつでもいいよ」

特化型CADの銃口を先生に向け、

歩夢「いきます」

???(先生)「うん」

ゆっくりと引き金を引いた

もちろん心の中で「感情が固定される」と唱え続け、引いた

感情・思考を固定する魔法は発動される

???(先生)「っ!」

一瞬苦しそうな様子を見せ、直後に膝を床につけて止まった

???(先生)「.......」

ピクリとも動かない

歩夢「......1分....経ったよね」

もう1度CADの銃口を向け、今度は慣れた術式解体を使用する


???(先生)「.....ん、.....もう1分経った?」

歩夢「はい」

呼吸を少し乱しながら立ち上がり、手を胸(心臓)に当てて自分が生きていることを確認するかのように、深呼吸を何度かする

???(先生)「ふぅ......。歩夢さん、その魔法は.....使い時・使い所を絶対に間違えないで。自分で作った魔法を悪く言いたくないんだけど、危険過ぎる。....本当、何が起こったか分からなかったほどに」

歩夢「......」

???(先生)「直接的な殺傷能力は全くないけど関節的な殺傷能力は絶大にある。真夜さんの流星群とかよりタチが悪いというか、....危険の一言に尽きる」

???(先生)「まぁ、歩夢さんは良い子だから必要な時以外使わないと思うけどね」

真面目な表情を崩し、クスッと笑った表情を少し引きつりながら見せてくれる

.....本当に危険みたい

感情・思考を固定させる魔法....ね


【安価です。
1.その後1(夕食)
2.その後2(家に帰る)
3.その後3(明日)
安価下。】

1

>>720 1.その後1(夕食)】

ーリビングー

地下室からリビングに戻り、改めてあの魔法について話し合う

???(先生)「あれは感情・思考を固定する魔法。感情を固定すればそれ以外の気持ちを新たに感じなくなるし、思考を固定すればそれ以外の事を考えられなくなる」

感情の場合
1.強い敵が目の前に来る(恐怖)
2.恐怖という感情を固定する
3.その敵よりも強い人が味方に加わる(安心)

しかし恐怖→安心にはならず、頼りになる仲間が居るのに以前変わらない恐怖を感じ続ける

さらに、その敵を倒しても解除しない限りは続く

思考の場合
1.この人をあの魔法で倒す、と考える
2.思考を固定する
3.どんな状況に陥っても1で決めたその魔法しか使えない

また、思考を固定した時のみ違和感を感じれるけど、それについて考えることが出来ないので違和感の正体に辿り着かない

???(先生)「ちなみにさっきの実験の時、私は感情に強く気持ちを入れていたから時間を忘れた」

???(先生)「並大抵の人間が相手だと時間を忘れることは無い」

???(先生)「強くその感情を持たない限りはね」

???(先生)「逆に思考の場合は時間を気にしているところを固定しない限り、時間を考えることが出来ないから簡単に時間を忘れる」

???(先生)「歩夢さん、分かった?」

歩夢「なんとなく....なら」

???(先生)「よかった。じゃあこの話はお終い。歩夢さん、夜ご飯はどうする?」

突然変わった話に一瞬戸惑ってしまう

歩夢「ん....えっと.....はい」

???(先生)「はい....って? 食べてく?」

歩夢「.....お邪魔でなければ」

???(先生)「うん、じゃあ一緒に作ろっか」

働かざるもの食うべからず、というやつ

魔法の製作をして貰った身なのでここで断れるはずもなければ、最初から断るつもりも無かったので私は頷き、キッチンへと移動した


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:歩夢「.....料理、出来たんですね」
偶数:特段何も起こらず調理終了
安価下。】

とうっ

>>722 7.歩夢「.....料理、出来たんですね」】

先生の包丁さばきは全く危なげなく、家庭的な女性像そのものだった

歩夢「.....料理、出来たんですね」

???(先生)「んー、それは私が料理出来ないと思っていた、って解釈でいいのかな?」

歩夢「あ....いえ、.....天才さんにも得意不得意はありますから料理が不得意の例なのかな、と思いまして」

???(先生)「私は料理も出来る天才でした」

この人に出来ない事ってないの.....?

勉強・魔法・料理

となると、あとは.....運動?

???(先生)「自慢じゃないけど運動も出来るよ」

.....才色兼備とはこのことか


???(先生)「まぁ、私はある事が全く出来ない代わりに他の事を出来るように努力したタイプの天才なんだけどね」

歩夢「ある事?」

???(先生)「妹にその点だけ負けちゃったんだよ。0か100かの差で私は出来損ないで生まれた」

歩夢「.....」

???(先生)「でも妹は出来損ないの私を、その問題点を全く気にせず慕ってくれた」

普通の魔法が使えない達也くんが四葉家から冷遇されてる理由と同じ....なのかな

歩夢「その妹さんは.....」

???(先生)「さぁ? 顔も分からないし名前も知らない」

歩夢「......?」

???(先生)「妹だけじゃなく、お母さんもお父さんも知らない。もっと言っちゃうと私自身の名前も知らない。今現在私が名乗っている名前も仮名」

歩夢「記憶が無い....みたいな?」

???(先生)「うん、そうだよ。思い出せることは私を慕ってくれていた妹が居ること。あとは私の年齢とか」

普通に考えれば私の祖母、雪乃さんのお母さんを先輩と言っていて、その先輩の娘が16歳になるので先生の年齢は35歳前後と予測出来る


しかし、

???(先生)「今年で18歳のはず」

歩夢「えっ!?」

いや.....え? 先生が2・3歳くらいの時に雪乃さんが生まれたって計算になるんだけど.....

???(先生)「話せるのはここまで。あとは自分で考えて」

歩夢「......はい」

18歳って.....兄さんと同い年か

まぁ、この2060年代と2090年代というだけで30歳の差が生まれるわけだけど

???(先生)「歩夢さん、料理運んで貰ってもいい?」

歩夢「分かりました」


【安価です。
1.夕食後
2.帰宅
3.次の日
4.終わり(この時代でやることは終わったので終わります。深夜・真夜・深雪・沙夜・千夜・霜月・雪乃のいる場所に戻ります)
安価下。】

4

>>726 4.終わり】

ー???(先生)宅の玄関・20時ー

???(先生)「やっぱり送っていこうか?」

歩夢「いえ、大丈夫です」

???(先生)「.....今年で16歳になる女の子を1人で帰らせるのは姫が進まないんだけど.....」

歩夢「16歳でも魔法師ですから。自分の身くらいは守れます」

???(先生)「そう....だね。うん、分かった。じゃあね、歩夢さん」

歩夢「今日は本当にありがとうございました。......また明日、学校で」

玄関でお礼の言葉と共に深々と一礼をして、先生の家を後にする

20時ということもあって外は真っ暗だが、東京ほどではないにしてもいくらかの街灯やお店があるので、そこまで不安が募る帰り道でもない

しかし、いくら辺りが街灯などで照らされていても昼間と比べれば暗い

少なくとも周りに女の子と呼べる年齢の方は居ない

.....ナンパとかされることはほぼ100%無いと思うけど、早く帰ろう

早く帰ることに越したことはないわけだし



ー家・21時ー

女性としての意識が恐怖を感じ始め、早歩きで帰ってきた

時刻は21時

高校生の歳ーーーではなく、高校生が寝るにはまだ早い時間

お風呂諸々を見積もっても22時

読書....くらいしかやることないよね


ー2時間後ー

お風呂などを済ませ、私室で読書をしていたのだが、先日買った本を(1冊を除いて)読み終わってしまった

残るは全て英語で書かれた本のみ

しかしこれはまだ翻訳をしている途中

今、翻訳をする気にもなれないんだよなぁ.....

歩夢「.....寝ますか」

それしかない、と小さく1人で小さく呟いてベッドに入る


暗闇で薄っすらとしか見えない天井をじっと眺め、これからについて考える

深夜さんと真夜さんの仲直りは一時的にだが修復出来た

雪乃さんの裏についても少しだけど知れた

未来の、私のお母さんを倒すための鍵となる新しい魔法を習得した

当初に予定していたことは以上の通り、大体が終了している

あとは.....雪乃さんの裏についてもっとよく知れたら未来で役に立ったかもしれない

あと、先生の記憶喪失の件

この2つが出来たら本当にこの時代で私がやるべきことは終わり

気持ち良く、霜月さんの居るところまで戻れるだろう

......本当に気持ち良く戻れるのかな?

その2つを終える時にはこの時代が心地良いと心の底から思ってしまう可能性を捨てきれない

だったら今この瞬間にも元の時代に戻った方が......



ー???(真っ白の部屋)ー

歩夢「ん......あれ....?」

視線の先には見覚えのない天井

いつの間にか眠っていたところまではいい

ここは何処?

視界に入る物全てが真っ白だけど.....

この空間全てが白く、例外は私だけ

私にだけ白以外の色が与えられている

歩夢「......あ、」

私はこの空間を知っている

この空間は、2060年代へタイムスリップする前に来た部屋だ

つまり.....何?

あの扉を開けたら今度は2060年代ではなく霜月さんの居る世界へと戻れるのだろうか

足取りを少し重くして扉の前まで行く

歩夢「ふぅ....」

1度深呼吸をし、扉を開く



ー???(霜月の世界)ー

歩夢「ん.....?」

前後に開ける扉を開けたにも関わらず前回は横開きの扉を開けたことになっていて、今回は扉関係なくベッドに仰向けで寝ていた

不思議だなぁ......って、ここは.....真夜さんのお屋敷....ではなく、霜月さんのお屋敷?

元の時代の一歩手前に戻って来れた.....?

あの時代が心地良いと心の底から思ってしまう前に戻って来れたのは喜ばしいことなのだが、素直に喜べない

今頃私が起こしたアクションの全てが無かったことにされている

温泉旅行、仲直り、短い期間の思い出

私だけがそれを覚えている

仕方がないことではあるけど、.....悔しい

特に深夜さんと真夜さんは仲の悪い姉妹へと戻り、30年を無駄にして、仲直りが叶わない状況へとなってしまった

残された選択肢はこの世界に居られる時間内に仲直りさせること

そうと決まれば早速.....


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:深夜の部屋へ(真夜も居ます)
偶数:霜月さんに捕まる
安価下。】

ほい

>>732 6:霜月さんに捕まる(遭遇)】

この部屋は少なくとも私と深雪ちゃんが使っている部屋じゃない

けれど、2095年の四葉本邸=霜月さんのお屋敷

廊下の構造などを見ればここが何処の部屋なのかは把握出来る

深夜さんが居る部屋は.....多分だけど2065年で私が一晩過ごした真夜さんの部屋の隣

生前はそこを私室としていたらしいから、.....そこだと思う

ベッドから出て、姿鏡で身嗜みを整えてから深夜さんの部屋へと直行する

えっと....ここの突き当たりを右に行って....っと、

霜月「歩夢さん、どうかされましたか?」

歩夢「あ....霜月さん.....」

早歩きでよかった

小走り程度でも走っていたらぶつかっていた


歩夢「深夜さんに少し用事があって....」

霜月「そうでしたか。....今は行かない方が良いと思いますよ」

歩夢「.....?」

霜月「30年前の事を思い出して姉妹仲良く話しているはずです」

歩夢「30年前の事?」

霜月「30年前に香夜さんーーーつまり歩夢さんと会っていることです。この30年間は捏造された記憶を保持し続けてきましたが、歩夢さんが過去へ行き、戻ってきたと同時に全て思い出したはずです。深夜さんや真夜さんだけじゃなく、雪乃さんも綾人さんも」

歩夢「....じゃあ、私は......」

霜月「実質....と付けるべき、タイムスリップをしました」

タイムパラドックスを起こさないため(と思われる)に消された記憶・事象がこの瞬間に戻った

この30年間忘れられていた結城香夜の存在が思い出され、雪乃さんと深夜さんと真夜さんは温泉旅行に行ったことになり、深夜さんと真夜さんはその時に仲直りをしている

全てが私の記憶通りに戻っている

霜月「タイムスリップ自体は自信なかったのですが....良かったです。もし失敗していたら歩夢さんは時間の狭間に1人ぼっちでしたから」

クスッと笑った笑顔を見せられる

いや、笑い事じゃないと思うんだけど......

霜月「雪乃さんの裏は知れましたか?」

歩夢「.....はい」

霜月「雪乃さんは現在不安定です。なるべく早く、行ってあげて下さい」

歩夢「分かりました」

私にとっては数日(のような感覚)

雪乃さんにとっての30年が経過した

約束の決戦の時

何としてでも、裏を倒す

霜月「頑張って下さい、歩夢さん」

歩夢「ーーーーはいっ!」


【安価です。
1.深夜・真夜と話す
2.深雪と話す
3.雪乃と戦う
安価下。】

1


>>735 1.深夜・真夜と話す】

霜月さんと別れた後、当初の予定通り深夜さんの部屋の扉の前へ

当然、居る居ない関係無しに防音が完備されているので室内の音は聞こえない

この扉の奥の人の存在の有無を確かめる正当法は扉をノックすること

ノックしますか。いつまで経ってもこのままっていうのは時間の無駄になるし

よし、と志して扉をノックしようと手を軽く握り、軽く振りかざして扉まで残り10cmぐらいのところで自制した


その理由は、霜月さんが

「姉妹仲良く話している」

と言っていたことを思い出したからだ

30年前に仲直りしていたことを思い出した今、2人きりにさせてあげるのが善意というか道理な気がする

うーん、うーん、と体感で部屋の扉の前で3分ほど悩んでいると目の前の扉が開かれる

深夜さんの部屋の扉は前後に開くタイプ

前後に開くタイプの扉は内側が扉を押し、外側が扉を引く

私は外側の扉の真正面に居た

つまり、

歩夢「いっ...たぁ.....」

勢いよく開かれたわけではないが、それでも頭部に軽くダメージを負った


被害者はダメージを受けた部分を手で軽く押さえ、加害者は苦笑し、

深夜「歩夢さん、何をされているのですか?」

歩夢「あ、あの....」

どういう経緯でこんな状態になっているのかは加害者なら知っているはずなので「扉にぶつかった」ではなく、本題の方の話をする

歩夢「仲直り出来たかな、って.....」

深夜「ええ、おかげさまで30年前に。真夜は30年間を無駄にしたと悔やんでいたけれど」

歩夢「深夜さんはどうですか?」

深夜「今、会えているんだし別に何も思わないわ。.....でも、この30年で色々出来たと考えると真夜と同じように悔やんでも悔やみきれないわね」

この30年間で仲の良い姉妹は何を出来たか

立場上そうそう外出は出来ないはずだが(実際に真夜さんは全くと言っていいほど外に出ない)、深夜さんも真夜さんも人と話すことを楽しいと思える人なので、双子の姉妹なら尚更会話が弾んでいただろう

たとえそれが10年、20年、そして30年であろうと楽しい時間だったはず


深夜「過ぎてしまったことはどうにも出来ないわ。霜月さんは別として」

歩夢「霜月さんならどうにかなるんですか?」

たしかに実質タイムスリップを実現した人だけれど、記憶改竄を入れたタイムスリップなので過ぎてしまったことを変えることは出来ない

深夜さんと真夜さんの関係のように

深夜「『時間』を自由自在に変えれるだなんてそれこそ『魔法』だと思わない? 私たちの中では何もない場所から水や火を作り出すことはもう一般常識として身についている。でも、誰にも『時間』だけは操れなかった。それこそ1世紀以上前にフィクションでしか存在しなかった『魔法』のような存在だと少なくとも私は思うわ。我々の一般常識からかけ離れた魔法。それを可能に出来るのよ、あの方は」

2095年から2000年付近へ

2000年付近から2060年代へ

2060年代から2000年へ

魔法を知らない1世紀以上前の人が夢に見ていた『魔法』、そして現代人(2095年)が見ても夢のような『時間操作』

それを可能にしたのが霜月さん


へぇー、凄い(字面だけ見れば適当な感想だが、実際にはかなり凄いと思っている)

深夜「時間操作を使う度に体力を大幅に削って私が一肌脱ぐことになるんだけどね」

生命力的なものを深夜さんから頂くってお母さんから以前聞いた

その生命力を頂く方法は.....沙夜さんが好きなことをするそうです

深夜「ん、余計な話をしてしまったわね。怒られちゃうかしら......?」

俯き気味に、テストが返ってくる直前の生徒のような反応をする深夜さん

深夜「まぁ.....どうにかなる....ことを祈りましょう。それで歩夢さん、私たちに話があるのでしょう? 中入って」

歩夢「あ、ありがとうございます」



ー深夜の部屋ー

内装はこの時代から見て未来の2060年代の真夜さんの部屋に似ている

ソファには真夜さんが優雅に紅茶を飲んでいて、深夜さんは私のためなのか新しい紅茶を淹れ直そうと室内に備え付けられている簡易キッチンへ

私は座ってもいいのか分からずおどおどとしていたら、

真夜「歩夢さん、座って」

深夜さんの部屋にも関わらず真夜さんからの促し(口調こそは優しいものだが、これは明らかな命令)により、控え気味にソファに座る

数分後、深夜さんが紅茶を淹れて戻ってきたところで話が始まる


【安価です。
1.雪乃について
2.新しい魔法について
3.調整体について
4.その他
安価下。】

>>732 1.雪乃について】

深夜「まずは当面の問題。雪乃について話しましょうか」

真夜「冷酷な面のピークは20歳辺りまで。それ以降は自分で強制自制したり綾人さんと一緒に居ることで抑えられていたようね」

歩夢「強制自制.....?」

真夜「自傷行為じゃないから安心して。せいぜい裏になる直前に強い睡眠薬を飲んで深い眠りについたり、その程度よ」

1、2回なら体に影響無いと思うけど、かなり頻度の高い睡眠薬の使用は悪影響なんじゃないかな....?

日本の医療技術はそこら辺の問題を既に解決してるのかな?

真夜「全く、とは言えないけれど、頻度の高い睡眠薬の影響は極めて少ないから大丈夫よ」

深夜「問題は最近。抑えきれず、裏が出ている。ある時は歩夢さんを追い込み、殺そうとしたり、玩具の如く扱おうとしたり」

歩夢「.....玩具?」

深夜「意思に逆らわない人形、と言い換えてもいいわね。歩夢さんを崩しに崩して、遊ぶのよ。それも軽いお遊びじゃなくて世界を巻き込んだ遊び。やろうと思えば第4次世界大戦だって簡単に起こせるし、大陸1つを消し去って世界中をパニックに陥れることだって出来る」


歩夢「さすがにそれは.....」

真夜「出来ちゃうのよ。地球を1つの閉鎖された空間だと考えて使う流星群にはね。歩夢さんに出来るということは私にも出来る、と言いたいところだけど特別な環境下じゃないと私には出来ないわ。鍵となるのは霜月の目。歩夢さんは世界をその目で見ればいい。けれど私にはその目がない。だから、その目を以前やったように貸して貰わない限りは無理」

以前とはこの世界に来てから1週間ほど経ったある日、屋敷を取り囲んだ敵兵士をまとめて倒すためにキスをするかしないかの瀬戸際辺りまで顔を近づけ、真夜さんは私の碧色の目を覗き込んだ

それによって真夜さんはこの世界を見た

それと同じように現実世界でもやれば、真夜さんにも出来てしまう

真夜「歩夢さん、私が世界を滅ぼすから目を貸してって言ったら貸してくれる?」

歩夢「貸さないです」

私は即答した

日本以外の国を消したら困るのは日本

完全な独立国ならぬ孤独国となるのは食糧などの問題が非常に影響してくる

争いを無くすためには国を消すのが早いんだろうけど、やっぱりその後の事を考えたら消すのは惜しい


真夜「でしょう? だから流星群は、」
深夜「.....真夜、話」

真夜「ん.....話が逸れちゃったわね」

深夜さんに窘められ、真夜さんは話を戻す

真夜「裏の雪乃はやろうと思えばいつでも世界を滅せる歩夢さんを自分だけの物にしようとしている。そうならないためにも、雪乃を殺すのが手っ取り早い。でも、殺すのは裏だけ」

歩夢「裏だけ.....。できるんですか?」

真夜「それを達成させるには雪乃自身の協力が必要よ。必要なのは当然、表の雪乃。本とかで見たことないかしら? 裏表がある人間がそれを克服して、どちらの特徴も掴んだ1人の人間になる話」

何かの本でそういうのを見たことある気がする

出来るのかな、そんなこと

真夜「それをするためには裏の雪乃を弱らせないといけない。それをするのが歩夢さん。私たちも協力したいところだけど、.....足手まといにしかならないわ。ちなみに霜月さんが参戦すると圧倒的な戦力の差で雪乃を倒せるわ。1秒もかからないでしょうね、霜月さんなら」

直後、偶然深夜さんがティーカップをソーサーに置こうとしていた深夜さんの手が震え、カップ内の紅茶が溢れない程度に振動する

そういえばさっき、余計な話をしちゃった、とか言って怯えてたなぁ.....


真夜「.....とにかく、雪乃を倒せるのは歩夢さんだけ。まだ仮定ではあるけれど、雪乃は裏表で半分ずつの力しか出せない。歩夢さんは雪乃の半分の力に勝てるかどうかね」

怯える深夜さんから目を逸らし、話を再開する

真夜「歩夢さん、自身はある?」

歩夢「....3割くらい」

真夜「それだけあれば十分よ。可能性があるだけ、希望が持てる。そうよね、姉さん」

深夜「えぇ、そうね。希望に賭けることが出来るわ」

細かく震えていた深夜さんも落ち着きを取り戻し、真夜さんの意見に賛同する

おかげさまで私へのプレッシャーが大きくなった

期待に添えるように頑張らないと


【安価です。
1.話を続ける
ー1.新しい魔法について
ー2.調整体について
2.雪乃のもとへ

1の場合は1-1(1-2)とか11(12)とかでお願いします。
2の場合は少し話した後、戦います
安価下。】

1 2

>>747 1-2:調整体について】

急に話は変わるけれど、1つ重要なことを思い出した

それは、私が四葉真夜として仕事をしていたときに偶然見つけた資料について

いくら深夜さんが教えないと言っても、

いくら真夜さんが教えないと言っても、

問い詰めるつもりでいた

そして、その問い詰める時が早くもやって来た

都合良く、予定していた3人きりの状況

そうそうこんな機会はない

この瞬間を逃せば聞けないまま終わってしまうかもしれない


よし、

歩夢「深夜さん、真夜さん。話は変わるんですけど、真面目な話です」

2人からの比較的温かい視線を感じる

歩夢「深雪ちゃんーーーーいえ、司波深雪についてです」

いつも通りでない呼び名を聞いた直後、2人の視線は訝しげな冷たいものへと変わる

歩夢「司波深雪は完全調整体ですか?」

示唆するわけでもなく、直での質問を聞いた2人はそのまま私のことを威圧を与えてくるかのようにジッと見つめ、

深夜「真夜、」

決して私から視線を外さずに隣に座る妹へ「どうして完全調整体の存在を歩夢さんが知っているの?」と、実際に言っているわけではないが名前を呼ぶだけの行為にその意味が込められていた


真夜「私は言っていないし、葉山さんも、紅林さん(調整体の責任者的な人)も、その上司だった人も言っていないはずよ」

深夜「.....歩夢さん、どうしてそれを知っているの?」

それ、とは『完全調整体』を指していて、深雪ちゃんが調整体なのかは触れていない

今は『それ』を知った経緯を話した方が手っ取り早いと考え、質問に応じる

歩夢「30年前、深夜さん・真夜さん・お母さ....、雪乃さんが温泉旅行に行っている時に真夜さんの書斎で見つけました」

2人は揃って「あの時か.....」と苦い顔をした

しかし、すぐに表情は予想外にも柔らかい笑顔とまではいかないが、緊張感から抜け出せるものへと移り変わる

真夜「.......」

深夜「知られてしまったものは仕方ないし、いずれ知られることよ。私は構わないわ。真夜の裁量に任せる。深雪さんについても、達也についても」


真夜「.....歩夢さん、まずハッキリと答えましょう。深雪さん、司波深雪は調整体です。それも、完全無欠な調整体。調整体の持つ全ての欠陥を克服し、人間以上に人間として完成された四葉の最高傑作です」

決して嘘を言わず、本当のことを真面目に答えてくれている

それは嬉しいのだが、やはり話の内容が....聞いていて辛いものを感じる

真夜「あの子のが子供を産めば、必ず不具合の無い優秀な子が生まれる。それが例え、近親相姦での子供でもね」

歩夢「それは....将来、深雪ちゃんが達也くんとの子供を産む可能性があるってことですか?」

真夜「どうかしら」

歩夢「......」

真夜「.....あるかもしれないわ。そうするための理由はしっかりある。深雪さんが達也さんと肉体的関係のみならず、法律に基づいた夫婦になる可能性もね」

ジッと見つめる以上睨む以下で真夜さんの目を見ていたら答えてくれた

だが、聞いて損をした

私個人が望む夢を崩されかけている

婚姻届も所詮紙

破るなり燃やすなりすれば残るのは口実だけ

口実なんて、それこそ口裏を合わせれば偽装が出来てしまう


歩夢「っ......」

真夜「落ち着きなさい。私が言っているのは、深雪さんと達也さんが実の兄妹であるにも関わらず結婚出来る可能性がある、ってことよ。今の時点でそれを実行するつもりは全く無いから安心して頂戴」

真夜さんの誤解を解く発言を聞き、ホッと胸を撫で下ろす

良かった.....

真夜「歩夢さん、他に聞きたいことはある? 答えれる範囲でなら答えるわよ」

他に.....


【安価です。
1.歩夢「私は.....私は、調整体ですか?」
2.歩夢「実の兄妹である達也くんと深雪ちゃんが結婚出来る理由ってどういうことですか?」
3.その他
4.歩夢「特に無いです。ありがとうございました」
安価下。】

>>753 1.歩夢「私は.....私は、調整体ですか?」】

完全調整体の存在を知った時に思った疑問は2つ

1つは深雪ちゃんがそれなのかどうか

そしてもう1つは深雪ちゃんに匹敵する能力を持った私はどうなのか

今なら大体の事を真夜さんは教えてくれる

この際に聞いておこう

歩夢「私は.....私は、調整体ですか?」

そう問うと真夜さんは意外そうな顔をして、

真夜「どうしてそう思ったの?」

口元に笑みを浮かべ、興味深そうに、私の質問は一旦置いておいて、問われた

歩夢「いえ....なんとなくです」

真夜「自分が深雪さんに匹敵する能力を持ち合わせていると自惚れているんじゃなくて?」

歩夢「う....」

否定は出来ない

しかし肯定するわけにもいかず、どう応えようかと悩んでいると救いの手が差し伸べられる

深夜「真夜、その程度にしておきなさい。否定はしないけど肯定もしない。それくらい分かるでしょう?」

真夜「少し遊んでみただけよ。さて、歩夢さん。貴女の質問に答えます。君影歩夢は調整体であるかどうか。それは、」


【安価です。歩夢が調整体であるかどうか
1.調整体(完全です)
2.調整体でない
安価下。】

2

>>755 2.調整体でない】

真夜さんの「それは、」から1秒に満たない短い時間で私は本音を自分自身に打ち明ける

私が調整体であれば、「私って調整体だったんだ」で済む

逆に調整体でなくても、「ふーん」で済む

正直、私はどっちでもいい

これからの生活に支障を来すわけでもないし、むしろ完全調整体であれば体が病気に強く設定されているので大きな病にかかることはほとんど無いだろう

それどころか達也くんや深雪ちゃんと一緒に長く暮らせると考えればプラスだ

逆に、私は弄られて生まれてきたのだと思い出す時はこれから何度もあるはず

思い出し、軽い頭痛を感じて、嫌になる

プラスとマイナス

利益と不利益

私は、どっちでもいい

そしてそのどちらかがハッキリする瞬間が今

四葉は私を弄って作ったのか、はたまた普通に産まれて来たのか

目を閉じて、真夜さんの正解を聞く


真夜「歩夢さんは、普通の子よ。何も細工をしていない。正真正銘、雪乃と綾人さんの間に産まれた普通の子」

そっか。.....はい。

特段大きな感想もなく、正解を受け入れた

受け入れるも何も普通だったんだけどね

これまで通りだ

自分が調整体であるかどうかに囚われず、普通に過ごせる

うん、これまで通り!

真夜「歩夢さん、他に何かある?」

真夜さんは続いて、先ほどと同じ質問をした

私に何か聞きたいことはないか

えっと.....


【安価です。
1.歩夢「実の兄妹である達也くんと深雪ちゃんが結婚出来る理由ってどういうことですか?」
2.歩夢「もし兄さんが結婚しましょう、って言ったらどうしますか?」
3.その他
4.歩夢「特に無いです。ありがとうございました」
安価下。】

2

>>758 2.歩夢「もし兄さんが結婚しましょう、って言ったらどうしますか?」】

質問って何でもいいんだよね.....?

え、これで怒られたりしないかな......

不安のみが募る中、勇気を振り絞って問うてみる

歩夢「もし兄さんが結婚しましょう、って言ったらどうしますか?」

直後、「ごほっ、ごほっ」という咳ではない噎せた声が聞こえてきた

その主はもちろん真夜さん

ちょうど喉を潤そうと紅茶を飲んでいたのが仇となったようだ

ちなみに隣に座る深夜さんは悪い笑みを浮かべ、

深夜「真夜、どうするの?」

擁護するように援護射撃をしてくれた

これで私だけでは聞けなかった質問も大きく幅が人がる


真夜「.....は、隼人さんには綾人さんと同じように良い人が居ると思うわ」

歩夢「4月に聞いた時は居ないと言っていましたが」

真夜「そ、それに、歳の差があるじゃない。30近く上の私と結婚したいと思うかしら」

歩夢「私が見た感じだと、かなり好印象でしたよ」

真夜「....えっと.....あ、そうだ。ほら、私と結婚したところで子供を作れないじゃない」

深夜「子供を作れなくても夫婦にはなれるわ」

真夜「隼人さんは子供欲しいかもしれないじゃない」

深夜「隼人さんが綾人さんに似たなら子供が作れない程度のことは一切気にしないと思うけど。高校2年生のクリスマスとか....」

真夜「ね、姉さんっ!? その話だけはやめてっ!」

深夜「あらあら、はしたないわよ真夜。声を荒くするだなんて」

真夜「......姉さんの意地悪」

.......仲よろしいようで、何よりです

それにしても29年前のクリスマスに何があったのだろうか

真夜さんがあれほど我を忘れているのだから只事じゃない

あとでこっそり深夜さんに聞いてみよう


真夜「と、とにかく、隼人さんには私よりお似合いな人がいるわ。隼人さんとは付き合わないし、結婚もしません」

歩夢「告白されてもですか?」

真夜「歩夢さん、これ以上するともう1年タダ働きして貰うわよ?」

歩夢「すみませんでした」

真夜「分かればいいのよ」

以前理不尽な理由で1年間タダ働きを強制されてしまった

更に1年となると、1200万円以上の損失

いや、別にそこまでお金に執着する必要は無いんだけど、あって損しないのがお金だからあるに越したことはない

今後、真夜さんに逆らうのは減らしていく方向で

これからについても決めた(?)ことだし、次は.....


【安価です。
1.歩夢「そういえば、実の兄妹である達也くんと深雪ちゃんが結婚出来る理由ってどういうことですか?」
2.その他
3.歩夢「ありがとうございました」
安価下。】

1

>>762 1.歩夢「そういえば、実の兄妹である達也くんと深雪ちゃんが結婚出来る理由ってどういうことですか?」】

うーん....あ、少し話戻るけど実の兄妹が結婚出来る理由って何だろう....?

合法的にどうやって兄妹が結婚するのか

日本では4親等以上離れていなければ結婚は認められない

となると、....やっぱり法外の結婚?

でも真夜さんは法律に基づいた結婚って言ってたし.....

真夜「歩夢さん、遠慮はいらないわよ」

考えている内容までは読まれなかったものの、何かを考えていることは読まれてしまった

私ってそこまで読みやすいのかな.....

ちょっとだけショックを受けました

今更だけど

歩夢「じゃあ....お言葉に甘えて。さっき仰っていた達也くんと深雪ちゃんが結婚する件ですが、どうやって結婚するんですか?」

真夜「あぁ、その件ね。それはーーー」
深夜「その説明は私がするわ」

真夜「姉さん.....」

深夜「貴女のことだから達也は私の息子、とか突然言うんでしょう? 誤解を招かないためにも私が話すわ」

いや、もう誤解(?)を招いてるんだけど.....

『達也くんが真夜さんの息子』

この点が誤解を招くポイント

誤解:相手の言動などを誤って認識すること

今の発言に誤って認識する、とかあるの?

そのままの意味にしか聞こえなかったけど.....


深夜さんはカップに残っていた少ない紅茶を飲み干して、喉を潤してから話を始める

とても長い話を

深夜「まずは達也について話しましょうか」

深夜「17年前、私は胎内に達也を授かりました」

深夜「その報せを受けた分家の皆さんは四葉の本邸に集まったわ」

深夜「慶春会でないのにあれだけ集まるというのはなかなか無いことね」

深夜「歩夢さんも知っての通り、真夜は子供が産めません」

深夜「大漢に拉致され、人体実験の材料にされた.....忌まわしき事件のせいで」

深夜「大漢への報復として四葉家総動員で大漢を徹底的に潰した」

深夜「四葉側の死者は30人」

深夜「大漢の死者は約4000人」

深夜「圧倒的な戦績を残したけれど、30人という犠牲はやはり大きかった」


深夜「そんな中で私が妊娠したというのは、次世代の命が芽生えたと解釈した方が大半で、もちろん私もそう思いました」

深夜「分家の方々は子供の誕生により私と真夜の関係が直ると思われていたようですが....そちらは残念ながら」

深夜「話しを戻します」

深夜「計算に計算を重ねて選び出された私の配偶者が司波龍郎さん」

深夜「私と龍郎さんの間に産まれてくる子供は優秀な子であると誰もが決めつけていた」

深夜「私が得意としていた『精神構造干渉魔法』は精神の在り方を作り変える魔法」

深夜「その魔法は被術者が高齢であるほど副作用が強いわ」

深夜「自我の形成が未発達な子供には副作用があまり見られないし、魔法の定着具合も強い」

深夜「その理由は自我が精神構造に対する干渉を拒むから」

深夜「そこで分家の方々は自我が未発達どころか、形成すらされていない胎児であれば幾らでも精神の在り方を変え、精神の力を生まれつき強大なものに出来るんじゃないか、って考えたわ」


深夜「真夜の事件の二の舞が起こらないように、絶対的な力を持ち合わせた人間」

深夜「国家が相手であろうと、世界が相手であろうと、四葉一族を理不尽な運命から守ってくれる人間」

深夜「そこで貢さんを始めとした方々は私の許で願い続けた」

深夜「強くなって欲しい、と」

深夜「非道で理不尽な世界の魔手を全てはね除けるほどに強くなり、我々の子供を守って欲しい」

深夜「心の中で願うだけじゃなく、彼らは声に出していたわ」

深夜「その時は邪険に扱うわけにもいかなかったから笑って私もそんな子を産みたいと言ったけれど、本心は世界への報復を願っていた」

深夜「表では如何なる者からも自分たちを守ってくれる存在を望み、裏では如何なる相手であろうと討ち滅ぼすことのできる復讐者」

深夜「そう願った結果、世界を破滅させ得る魔法を持った達也が生まれた」


深夜「四葉家先代当主である四葉英作は他人の魔法演算領域を解析し、潜在的な魔法技能を見通す能力を持っていたわ」

深夜「その能力を様々な期待を受けて生まれた達也に使い、分かった」

深夜「全ての物質と情報体を壊す力」

深夜「そして、全ての物質と情報体を24時間以内に限り復元する力」

深夜「前者が分解で、後者が再生ね」

深夜「分解は人の世の理不尽から個人を守るのではなく、理不尽を滅ぼしてしまう」

深夜「再生は守りきれなかった者の傷を無かったことにする」

深夜「それについて知った瞬間、全員が我に帰ったわ」

深夜「自分たちが良ければそれでいい、と」

深夜「間違いだと誰もが気がついたわ」

深夜「それと同時に、今後について悩まされた」


深夜「魔法は激しい感情を持った時に暴走し、その気はなくてもちょっとした間違いで世界を滅ぼしてしまう子を殺すか殺さないかね」

深夜「話し合いでは殺す方向に傾いていた」

深夜「けれど、その時に当主であった四葉英作が現実的な対応を考えるべきだと言った」

深夜「どのような偶然が働いたにせよ、世界を滅ぼし得る力が手に入った。それは四葉にとって切り札となる力だ、と」

深夜「その意見が通り、達也は生かされることになったけれど、条件が付いた」

深夜「1つ目は分解と再生により使えない普通の魔法の欠陥をどう埋めるか」

深夜「それは戦闘技術を叩き込むことによって解決された」

深夜「2つ目は感情が爆発しないように喜怒哀楽を抑え込むこと」

深夜「これが歩夢さんも知っている人造魔法師実験」

そこで一段落がついたのかティーポットを持ってカップに紅茶を注ぎ、二口ほど飲んでから話しを再開する


深夜「次は深雪さんについて」

深夜「深雪さんは何のために生まれてきたか」

深夜「達也のためよ」

深夜「達也が深雪さんを守るために生まれてきたのではなく、深雪さんが達也を抑えるために生まれてきた」

深夜「理由は私より長く達也の側にいて、達也を止めてくれる人が必要だったから」

深夜「完全調整体であるから約束されていたものの、あれだけ良い子に育ってくれたのは母親として嬉しく思うわ」

深夜「私はいつしか、達也を抑えるために生まれてきただなんて理由を忘れて、幸せのために生まれてきたんじゃないかと錯覚してしまうくらいね」

深夜「....もちろん、達也もそう」

深夜「今の達也は深雪さんと真夜からの話しでしか知らないけれど、立派に育ってくれているようで何よりです」

深夜「これからも健康であって欲しいわね」

深夜「......深雪さんについてはお終い」

最後は深夜さんが2人の母親だと十分すぎるほどに理解出来た

素直になれなかっただけなのかは知らないけど、それでも達也くんを想っている

それだけで、私は満たされた

深雪ちゃんが達也くんのために生まれてきたことは、特段何も思わなかった

今がそれなら、それでいい

達也くんは妹を愛し、深雪ちゃんは兄を敬愛する

その関係に不満はないし、理由はなんであれ今が重要だ

今の環境に2人は満足している

だったら、部外者の私は口出ししないのが道理だ

深夜さんはもう1度、二口ほど紅茶を飲んで、私の質問に答える


深夜「最後に、歩夢さんの質問である達也と深雪さんが結婚出来るかどうか」

深夜「結論から言いましょう」

深夜「達也と深雪が結婚することは可能です」

深夜「遺伝市場では確かに兄妹ですが、精神的には従兄妹の関係ですから」

深夜「この場合、深雪さんは私の娘で、達也は真夜の息子」

深夜「真夜の願いである過去と未来、そして女としての幸せを奪った残酷で理不尽な世界への報復を叶えてくれる達也の存在は真夜にとってこの上ない存在」

深夜「私が達也の誕生を願い、真夜が達也の存在を願った」

深夜「精神干渉をすれば簡単なことだけれど、真夜は精神干渉を使えない」

深夜「真夜の単純な願いが魔法の理を覆し、起こらないはずの出来事を起こした」

深夜「双子だったから、っていうのが大きいかもしれないわね」

深夜「双子だから、真夜は私の魔法を動かした」


深夜「私の達也への想いより、真夜の祈りの方が強かったから、実現された」

深夜「その時、私は感じていたわ」

深夜「真夜によって胎と魔法を乗っ取られていたことを」

深夜「けれど、私はそれでも良かった」

深夜「真夜の願いを叶えることができて、私は幸せだった」

深夜「真夜はそれについて気にしているようだけど、私は気にしていないわ」

そこで、深夜さんは区切りを入れた

10秒ほどの短い時間

この間が何を意味するのか私には分からない

深夜「ーーーーさて、歩夢さん。これで分かったかしら? 実の兄妹が結婚出来る理由を」

歩夢「はい」

深夜「もし私が達也の婚約者の座を降りて、深雪にその座を譲れと言ったら?」

歩夢「お断りします」

深夜「正直ね」

クスッと笑って、今のが冗談で済まされるように片付けた

内心は冗談じゃなかったように見えるけど

深夜「これで話は終わり」

真夜「歩夢さん、これからはどうするの?」

歩夢「えっと.....」


【安価です
1.歩夢「雪乃さんーーー、お母さんのところに行きます」
2.1度部屋に戻って休んでから、お母さんのところに行きます」
安価下。】

>>772 2.歩夢「1度部屋に戻って休んでから、お母さんのところに行きます」】

歩夢「1度部屋に戻って休んでから、お母さんのところに行きます」

真夜「そう。....こんな偉そうな事を言える立場じゃないけれど、出来るだけ早く行ってあげて下さいね」

歩夢「はい」

真夜さんの偉そうな態度に腹を立てることは無かった

それを不思議だとは思わない

なぜなら、元々そのつもりだったから

真夜さんが望むように、私もお母さんにはなるべく早く楽になって貰いたい

楽になって貰って、お礼と称して私の魔法を見て欲しい

私が魔法の世界に足を踏み入れてから10年でどれだけ成長したか

見てくれるだけでいい

あわよくば褒めて貰いたいけど、高望みはしない

褒めてくれるかな、成長した娘を


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:私室に深雪が居た
偶数:私室に深雪が居なかった
安価下。】

>>774 1:私室に深雪が居た】

ー私室ー

深夜さんと真夜さんに色々な話を聞かせて頂いたことにお礼を言って、深夜さんの私室を出た

最短距離で私室(この世界での)に向かい、ノックも無しに自分の部屋に入った

まず最初に目に入ったのはティーセットをテーブルへ運ぼうとしている深雪ちゃんの姿だった

相変わらずお美しい

歩夢「手伝おうか?」

深雪「自分で運べるわよ」

歩夢「そう?」

深雪ちゃんは無言で子供扱いしないで、と目で訴えてくる

歩夢「.....ごめんなさい」

深雪「いえ、いいんだけど.....。歩夢、紅茶飲む?」

歩夢「ううん、今はいい。また後で貰うよ」

深雪「あら、そう」

深雪ちゃんはテーブルにティーセットを丁寧に置き、ソファに腰をかける

続いて、私もその向かいに座る

歩夢「.......」

深雪「.......」

あれ、話すことない......?


【安価です。
1.深雪「歩夢、更に大人っぽくなったわね。この数時間で何かあったの?」
2.深雪「......悩んでいることがあれば相談に乗るわよ?」
3.その他(調整体などに関すること以外で)
安価下。】

1

>>776 1.深雪「歩夢、更に大人っぽくなったわね。この数時間で何かあったの?」】

15秒ほどの沈黙を破ったのは深雪ちゃんだった

深雪「歩夢、更に大人っぽくなったわね。この数時間で何かあったの?」

歩夢「.....ん?....あ、」

そっか、この世界ではまだ数時間しか経っていないのか

2060年代で約2週間過ごしたせいで感覚がおかしくなっている

これが時差ぼけ.....の上位互換的なもの?

歩夢「.....まぁ、色々と」

深雪「色々?」

歩夢「もう1回高校生やったり、お嬢様(本物)になったり」

深雪「......?」

歩夢「あとは、深夜さんと真夜さんのお姉様になったり、真夜さんになったり」

深雪「最初から話して貰えると助かるのだけれど.....」

歩夢「あ....うん」

私が2060年代でやってきたことを省略的に、かつ核心をついた重要な部分だけを伝えた

深雪「.....そう。そんなことがあったのね」

深雪ちゃんの言葉には労いの気持ちが込められていて、実際に労われた

深雪ちゃんから「お疲れ様」と家に帰った時に言われたら幸せなんだろうなぁ

それを当然のようにされている達也くんは罪深い


【安価です。
1.深雪「それで、歩夢とお母様と叔母様で作った魔法っていうのはどういう効果なの?」
2.深雪「過去のお母様と叔母様について聞かせて貰える?差し支えのない範囲で」
安価下。】

1

>>778 1.深雪「それで、歩夢とお母様と叔母様で作った魔法っていうのはどういう効果なの?」】


深雪「それで、歩夢とお母様と叔母様とで作った魔法っていうのはどういう効果なの?」

歩夢「......」

なんだか、今の深雪ちゃんの言葉には違和感を感じる

何もおかしくないはずなのに、おかしく思える

.......なんだろう

深雪「歩夢?」

歩夢「あ、えっと、対象の思考と感情を固定する魔法だよ」

違和感について悟られないように、何事もなかったかのように冷静を装って答える

深雪「思考と感情......。難しそうな魔法ね」

歩夢「せんせ.....あれ.....?」

深雪「せんせ?」

今、私何を言おうとしたの?

自分でも分からない

.....もしかして、忘れてる?

深夜さんや真夜さんがこの30年間私を忘れたように、記憶を改竄されているなら「せんせ」から始まる何かが過去であった

思い出そうと思っても思い出せない

......


歩夢「ううん、なんでもないよ」

小さく首を振り、今あったことを無かったことにする

まぁ、深雪ちゃんはどう思っているかは分からないけど

歩夢「とにかく、この魔法の使い時さえ間違えなければ勝てると思う」

深雪「.....そう。頑張ってね、歩夢。雪乃さんに想いはしっかり伝わると思うわ」

歩夢「うん、ありがと」

ますます負ける訳にはいかなくなってしまった

はぁ.....責任重大だなぁ


【安価です。
1.雪乃のところへ
2.深雪と話す
安価下。】

1

>>781 1.雪乃のところへ】

歩夢「......そろそろ行くね」

娘として、親孝行をする時がやって来た

ソファから立ち上がり、部屋の出入り扉へ向かう

私が扉の取っ手に手をかけたところで声がかかる

深雪「......歩夢、無事に戻ってきてね」

確かに重大な役目だけど、無事かどうかが左右される程の恐怖感は覚えていない

でも、深雪ちゃんの、女の勘として心得ておこう

女の勘はよく当たる、って言うし

歩夢「うん、戻ってくるよ。お母さんも一緒に」

私は背を向けた状態でそう言い、深雪ちゃんがどのような表情をしていたのかさえ分からないまま、部屋を出た


ー雪乃の部屋の前ー

歩夢「お母さん、」

届かないことを知った上で小さく呼びかけ、扉をノックする

歩夢「.......ん、」

10秒ほど待った後、扉が開いた

扉の先には具合を悪そうにするお母さん

今にも倒れそうだ

歩夢「だ、大丈夫っ?」

雪乃「歩夢.....? 大丈夫よ」

目の焦点が合っていないようにフラフラしている

私のことも声を出して無事を尋ねた時まで分からなかったようだし.....

雪乃「はぁ.....はぁ....」

呼吸も洗いし、足元もおぼつかない

椅子とかに座らせるべきなのかな.....


歩夢「とりあえず中に.....」

雪乃「その必要は....ないわ。話があるんでしょう? 出来れば早く.....」

自分を抑えれる保証がない

椅子まで行く時間すら勿体無い

早く話があるなら済ませて欲しい

といった雰囲気が伝わってくる

.....早く済ませよう

歩夢「お母さん、裏に代わって」

雪乃「そんなことをしたら歩夢が危ないわ。この問題は私が解決する。話はこれだけ? だったら.....」
歩夢「お母さん、」

歩夢「1人で抱え込まないで。......お願い」

雪乃「.....歩夢、部屋に戻りなさい。母親として、娘に命令するわ」

歩夢「裏に代わって。娘として、母親に命令します」

雪乃「はぁ.....」

肩をすくめて、「どうしてこんな子に育っちゃったのかしら.....」と思っているような表情をする

しかし、さっきまでの切羽詰まった様子は軽減されている

少しは、表が表面に出てきている


歩夢「お願い、私を頼って。お母さんの力になりたいの」

雪乃「......後悔するわよ?」

ここで更なる拒否反応はせず、前向きに私の意思を尊重してくれた

一応、信頼はしてくれている

歩夢「お母さんを助けることに後悔なんて無いよ」

雪乃「良い女に育ってくれて嬉しいわ」

雪乃「.....歩夢、私をお願い。快く、殺して」

そう言ってお母さんは目をゆっくりと閉じた

直後、凄みを感じる

殺意に満ちた、狂気を

私を娘だと思わず、全くの他人として敵意を向けられる

雪乃(裏)「香夜、30年は長かったわ」

歩夢「.....外に行きましょう」

雪乃(裏)「ええ、そうね」

短く返事を返され、外へと移動する

母娘の喧嘩はどれだけの被害を及ぼすのか

間違いなく屋敷内でやれば屋敷は一瞬で瓦礫の山と化するだろう

霜月さんや深夜さん、真夜さんは大激怒する

あの3人のことだから精神的に痛めつけられるんだろうなぁ

徐々に追い込まれ、罪悪感と共に生きていくことになる

怖いです


ー外ー

相変わらず外は深夜のような暗さで、視界が悪い

私から雪乃さんまでの距離は15mほど

これくらいの距離雪乃さんにとって、あってないような物

一瞬で詰められる

そのためには.....どうすればいいんだろう

雪乃(裏)「香夜、」

歩夢「私は歩夢です」

雪乃(裏)「仮の名を否定するのね。貴女は歩夢であって香夜であるはずなのに」

歩夢「......」

ろ、論破されてしまった

雪乃(裏)「まぁいいわ。歩夢、死ぬ覚悟はあるの?」

歩夢「それでお母さんが楽になるなら」

雪乃(裏)「母親想いなのね。嬉しいわ」

歩夢「貴女は私のお母さんじゃありません」

雪乃(裏)「私も君影雪乃なのだけれど」

歩夢「.......」

もうこの人と話すのは辞めよう

論破されるのは辛い

歩夢「早くしましょう」

雪乃(裏)「もう少し猶予を与えてあげてもいいんだけど、歩夢がそう言うならいいわ」

『猶予』とは私が負け、お母さん(裏)の物になるまでの時間

お母さんならともかく、お母さん(裏)の物には絶対にならない

雪乃(裏)「始めましょうか。殺し合いを」


【安価です。コンマ1桁
7:勝利
1・2・4・5・8・0:負けかける
3・6・9:敵(この世界での敵)が乱入
安価下。】

ほい

>>787 2:負けかける】


先制はお母さん(裏)による魔法攻撃だった

私が障壁を張るよりも早く、

私が理解するよりも早く、

私が『それ』を実感するのは全てが起こった後だった

『それ』とは違和感

いつもあるはずの物が無くなっていた

いつもあるはずの右腕が

歩夢「ーーーーーっ!」

不思議すぎるほどに痛みが無い

痛みが無いだけ、怖い

呼吸を崩し、冷静を取り乱す私に静かに声がかかる


雪乃(裏)「歩夢、今ならまだ間に合うわ。私の物になりなさい。私と一緒に、楽しい時間を過ごしましょう」

心の底からの傾倒を誘う優しい声に溺れそうになる

しかし、深夜さんや真夜さん、深雪ちゃんのためにも負けられない

.....でも、どうやって?

どうやって勝つのか

既に私は右腕を失っている

痛みが全く感じられ無いほどのダメージを.....痛みを全く感じない?

もしかしたら.....!

雪乃(裏)「歩夢、決まったかしら? 私と一緒に来るかどうか」

歩夢「.....ま....せ」

雪乃(裏)「?」

歩夢「行きま....せん。貴女となんて、絶対に」

雪乃(裏)「そう、じゃあ.....貴女が死んでから貴女を玩具にするわ」

雪乃さんは再び使ったかどうかすら分からない素早い魔法により、回避もできずに攻撃を受ける

それによって、私の脇腹をごっそりと抉るように穴が空いている


歩夢「.....っ」

今回も直接的な痛みは全く無い

あるのはその傷を見た際に感じる予想の痛み

この傷はこれだけ痛いんだろうなぁ、と思ってそれを感じる

一種の精神干渉魔法....かな

雪乃(裏)「興ざめだわ。30年前の方が強かった」

髪を靡かせ、振り向いて去っていこうとするお母さん(裏)を不意打ち的に、私は『右腕』でCADを操作して攻撃する

使ったのはドライ・ミーティア

高速で打ち出されるドライアイスの塊はお母さん(裏)の数十センチcm手前で霧散する

雪乃(裏)「......やっぱり、気がついていたのね」

歩夢「これくらい誰でも気がつきます」

雪乃(裏)「少し子供っぽかったかしら?」

歩夢「残酷すぎる面を除けば」

雪乃(裏)「参考になったわ。ありがとう」

笑顔で応対を受けるが、私にはそんな余裕無い

さっきのあれが完成しすぎた『幻術魔法』で、目が無ければ恐怖に屈していた

.....でも、ここからは知覚系の魔法は私に一切効かない


それについては向こうも分かっている

ここからが本当の殺し合いだ

手加減無しに、私は唯一雪乃さんに勝った時の魔法、ムスペルスヘイムを使用した

気体分子をプラズマ分解し、更に陽イオンと電子を強制分解して高エネルギーの電磁波を生み出す領域魔法

プラズマが舞えば、その場所は燃える

知覚にあった朽ちた木々には火がつき、燃え始めた

お母さん(裏)は30年前のことを今思い出したかのように、CADを操作してあの模擬戦を彷彿とさせる対抗魔法を使用した

私のムスペルスヘイム

お母さん(裏)のニブルヘイム

2つの世界は混じり合うことなく、拮抗している

雪乃(裏)「......っ!」

もう1つのCADを取り出し、素早く操作してもう1つ魔法を使った

それは、術式解体

マルチ・キャスト(1つの魔法が発動している最中にもう1つの魔法を発動する)と呼ばれる高等技術

私のムスペルスヘイムは分解され、吹雪が私を襲うーーーーーのを避けるために私も習って術式解体でニブルヘイムを分解した

残った被害(というか消えた被害)は近辺にあった朽ちた木々が灰になっただけ


一段落がついたところで、会話は無い

次なる魔法を両者が繰り出す

私は天邪鬼をお母さん(裏)に、

お母さん(裏)は自分に神座を

このやり取りも結果だけ見れば何もなかった

雪乃(裏)「はぁ....もう飽きちゃったわ。同じことばかりでつまらない」

ここで「終わりにしましょう」発言

私は自分の周りに円錐状の障壁を5枚重ねでかけ、一撃必殺の攻撃をくらわないようにと備える

攻撃を受けるとしたら、上からのみ

しかし、円錐状の障壁は15mほど伸びている

遠距離型の魔法にはそれほど威力の見込みは無い

一撃で私を殺すなら直接的な攻撃をしてくるはず

でも、これならーーーー

歩夢「......!」

ここで気がつく

障壁5枚を越した目の前にお母さん(裏)が居ない

瞬間的なことすぎても目があれば気付いていた

私は、絶対的な自信により油断していた


歩夢「ーーーーーっ!」

背後に感じる狂気にゾクッとし、冷や汗を感じる

雪乃(裏)「歩夢、これで終わりよ」

お母さん(裏)は障壁の中に居た

本当に、私に背後

1mも無い距離

障壁内はそれほど広くないので、攻撃の回避はほぼ絶望的

歩夢「.......」

......もう、諦めるしかないのかな

はぁ.....勝率3割なんて大胆なこと言っちゃったけど、本当は1割も無いことを私だけが知っていた

ごめんなさい、深夜さん、真夜さん

それに、深雪ちゃん

ありがとう、こんな私と仲良くしてくれて

達也くんや水波ちゃんとも最後に話がしたかった

それくらいかな、思い残すことは

雪乃(裏)「思い残すことは無いかしら?」

歩夢「はい」

雪乃(裏)「じゃあ、.....死になさい」


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:呼び掛けられる系の救済
偶数:思い出す系の救済
安価下。】

せいや

>>794 3:呼び掛けられる系の救済】

ー2095年・11月5日ー

11月1日に意識を失い、4日と少し眠りっぱなしの君影歩夢をジッと見つめる少女は耳元で囁く

???(少女)「もう終わり?」

身体ではなく精神に呼びかけるその声はーーーーー


ー???ー

雪乃(裏)「じゃあ、......死になさい」

特化型CADの照準は私に

引き金を引くだけで私はそこで終わるだろう

あーあ、深夜さんや真夜さんに怒られちゃうかな

一体何をさせられるんだろう

死ぬまでタダ働きは当然として、あとは.....睡眠時間もろくに取らせて貰えず、365日24時間仕えさせられるのかもしれない

......あ、.....死んだら仕えるも何も無いのか

死んだらそこでお終い

はぁ.....つまんない

それに、深雪ちゃんからは怒られてしまう

死体に向けて冷却魔法だけはやめてね

達也くんは泣いてくれるかな

泣いている姿を写真に収めて、一生その写真を見て笑ってあげたい


水波ちゃんは絶対泣いてくれる

.....泣いてくれるよね?

一応尊敬されているみたいだし....泣いて下さい

走馬灯の如く、短い時間でたくさんの事が思い浮かべられる

私を信頼してくれた深夜さんと真夜さんの想いに応えれず、

私を達也くんの婚約者として認めてくれた深雪ちゃんを残し、

私を好きだと言ってくれた達也くんの未来を1巡狂わせ、

私を慕ってくれた水波ちゃんを置いていくことになる

全てを解消する方法はここでお母さんを倒すことだけど、それは無理そう

だってお母さんは現在冷酷な面で、手加減無しに私を殺そうとしてる

今の私に、お母さんの顔を見る権利すら無い

1度でも振り向ければお母さんの顔を見れるのに、それが出来ない

こんな近距離に居て、何も通じ合えない

酷い母娘


歩夢「ふふっ...」

あまりに酷くて、つい笑ってしまった

30年以上喧嘩しっぱなしの何処かの姉妹よりも酷く思えてきた

雪乃(裏)「.....歩夢、どうして笑っているの?」

歩夢「貴女と私。仮にも母娘なのに酷い仲だな、って思いまして」

雪乃(裏)「......歩夢もいい具合に狂っているわ。こんな状況で取り乱さないどころか笑うだなんて」

歩夢「ねぇ、お母さん」

雪乃(裏)「......」

歩夢「早く殺して。もう疲れたから、早くして」

雪乃(裏)「.......」

私の背後でお母さん(裏)がCADの引き金を『引いた』と判定される寸前のところまで押したように感じる

私の15、6年の人生が終わるまで0.1秒

その短い時間に誰かの声が聞こえてきたとしても遅いだろう


例えば、



???「もう終わり?」


歩夢「ーーーーーー!」

嘲笑うかのように、馬鹿にされるかのような声が精神的に聞こえてきたその声に敏感に反応する

冷静になり、おかげで目的を思い出せた

私がするのはお母さんと戦うことじゃなくて、助けることが最優先

戦わずとも、助ける方法はいくらでもある

ここで誰かに教えて貰ったアドバイスを思い出す

「魔法だけが全てじゃない」

「魔法でなければ体術でもない」

「貴女は人間」

そっか、そういうことね


歩夢「お母さん、」

雪乃(裏)「.......」

歩夢「私をもっと早めに殺しておけばよかったのに」

雪乃(裏)「今すぐ殺すから関係ないわ」

歩夢「私も、今すぐ貴女を認めます」

雪乃(裏)「認める......?」

私はCADを精一杯に上に投げた

それがどんな意味を持っているのかをお母さん(裏)は当然考える

その時間で私は振り向いて、目の前にある銃口を無視し、力強くお母さんの体に抱きついた

流石に油断していたのかバランスは崩れ、地面に倒れる

自分で張った障壁も消え、知らない間に雨も降り始めている

フィクションっぽいシチュレーションが予期もせず、出来上がった


ここからは....娘が母に想いを伝える時間だ

雪乃(裏)「.....どういうつもりかしら?」

歩夢「娘がお母さんに抱きつくのは駄目ですか?」

雪乃(裏)「いえ.....」

歩夢「貴女が私の母だと言ったのは貴女です。文句言わないで下さい」

雪乃(裏)「.....」

歩夢「昔言ったことを訂正します。貴女は霜月雪乃。貴女は君影雪乃です」

雪乃(裏)「.....急に何を....」

歩夢「30年前、私は貴女を否定しました。それを訂正すると言っているんです」

雪乃(裏)「それで認める.....ね。....それより、その言葉遣いどうにかならないの? 慣れない敬語を使っているようで不自然よ」

歩夢「.....あら、そうかしら?」

雪乃(裏)「それも不自然よ」

歩夢「じゃ、じゃあどんな言葉遣いならいいの?」

雪乃(裏)「歩夢が君影雪乃に対するいつも通りの言葉遣いでいいわ。私は君影雪乃なんだからそれが当然でしょう?」

歩夢「......分かった。いつも通りにする」


雪乃(裏)「.......はぁ」

歩夢「疲れた?」

雪乃(裏)「疲れたんじゃなくて、呆れたのよ。歩夢の正義感に。正義のヒーローのつもり?」

歩夢「そ、そんなことないよ! 私はただ助けたかっただけっ」

雪乃(裏)「正直じゃないわね。....そういうところも私に似たのかしら」

雪乃(表)「あら、それは心外ね。正直じゃないのは貴女じゃない」

雪乃(裏)「もう、黙ってて。今は母娘で楽しい時間を過ごしているんだから」

雪乃(表)「私もその子の母に当たるのだけれど」

雪乃(裏)「......」

雪乃(表)「.....やっぱり、私の言った通りの結果になった。歩夢が良い女でしょう?」

雪乃(裏)「それくらい私も知っていたわよ。私だってあの子の母親なんだから」

雪乃(表)「甘いわね。もっと非常だと思っていたけど」

雪乃(裏)「私は私に足りない部分を補う存在なのよ? 私のことは私が1番よく知っているはずなのに知らなかったの?」

雪乃(表)「知っていたわよ。私は私なんだから」

雪乃(裏)「.....本当、私って嫌な女」

雪乃(表)「........」

雪乃(裏)「........」


雪乃「.....ふぅ」

歩夢「.....もういいの?」

雪乃「いいも何も、元から私は1人よ」

歩夢「.....そう」

雪乃「でも、これだと少し不安定ね。慣れが必要なのかしら」

歩夢「?」

雪乃「裏表のバランスは取れているんだけど、いつしか私の中からどちらかが消えるんじゃないかってね」

歩夢「......あ、それだったら私に任せて。私の魔法でどうにかなるかもしれない」

投げたCADはとっくに地面に落ちている

雨のせいで地面は泥濘、CADが汚れてしまった

しかし、機能はしっかりと働くはず

特化型CADの銃口をお母さんに向け、

歩夢「お母さんは何も考えないで」

雪乃「そ、そう言われてもね.....」

歩夢「裏表を完全に定着させるから」

雪乃「.....歩夢に任せるわ。頼りにしているわよ、歩夢」

歩夢「うん」

精神を統一させ、ゆっくりと念じてCADの引き金を引く


雪乃「っ.....」

過去で作った魔法を受け、1度膝を地面につけ、苦しそうにする

歩夢「だ、大丈夫っ?」

雪乃「ええ、大丈夫.....よ。.....実感はないけれど、これで裏表が固定されたのかしら」

歩夢「他のことを考えるときに影響が無い範囲で、だから弱いかもしれないけど.....」

雪乃「そう。....ありがとね、歩夢」

お母さんは私の濡れた髪を、頭を撫でてくれる

お母さんが私の頭を撫でてくれることなんて何年ぶりかな

10年くらいはされていない気がする

雪乃「こうして歩夢の頭を撫でるのは7年ぶりくらいね」

.....7年ぶりだったようです

雪乃「帰りましょう、歩夢。風邪引いちゃうわよ」

歩夢「うん」


ー数分後ー

雪乃「深夜、真夜っ!」

水に濡れ、ところどころ泥が付着したまま2人に抱きついたお母さんは楽しそう

しかし、2人は、

深夜「せ、せめてシャワーを浴びなさ....泥?」

真夜「早々に騒がしいわね.....これは泥....?」

深夜・真夜「もう2度と抱きつかないで!」

水はともかく、泥を嫌った2人に屋敷の外に追い出されたお母さんはそれから玄関の扉越しに会話をし続けて深夜さんと真夜さんから許しを貰うのに約30分がかかった

そのやりとりは深雪ちゃんが「あんなに楽しそうなお母様と叔母様は初めて見た」と言うほどであり、見ている側としてもとても楽しそうだった

ちなみに余談だが、見事に達也くんとお揃いの特化型CADに傷が付きました!

な、投げたのがいけなかったですね!(震え声)

なお、当然深雪ちゃんから怒られました

1時間くらいの説教。疲れました


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:霜月「さて、終わらせましょうか」
偶数:深夜と沙夜、真夜と千夜の掛合い
安価下。】

ほい

>>806 1:霜月「さて、終わらせましょうか」】

ー次の日・霜月の部屋ー

霜月さんに呼ばれ、私と深雪ちゃんは霜月さんの部屋を訪ねた

私たちが着く頃には霜月さんは当然として、お母さん、深夜さん、真夜さん、沙夜さん、千夜さんが既に集まっている

一体これから何をするのかと予想していると招集した当の本人が話を切り出す

霜月「雪乃さんの件も無事終わったので、全てを終わらせます」

この一言の前半の意味は理解出来た

しかし、後半の意味は私だけでなく深雪ちゃんも分かっていない様子だ

それ以外の人は全員分かっているようだけど

深夜「やるのは構わないけど、どれくらいかかるの?」

霜月「20分くらいです」

真夜「.....20分を私たちがどうにかすればいいのね?」

霜月「お願いします」

何の話をしているか分からないまま話しは進み、お母さんと深夜さんと真夜さんは退出する

それを目で見送り、もう1度霜月さんに視線を向けると霜月さんは私に視線を合わせていた


霜月「歩夢さん、昨日はお疲れ様でした。おかげさまで予定は順調に遂行出来そうです」

歩夢「あ、ありがとうございます.....」

昨日のアレは精神への呼び掛けが無ければお母さんは完全に闇落ちし、私は死んでいた

私を助けてくれた人は誰だったの.....?

霜月「本題ですが、歩夢さんは10月30日に言ったことを覚えていますか? 」

歩夢「10月30日......?」

その日何かあったっけ?

深雪「10月30日.....論文コンペがあった日ね」

歩夢「あっ.....」

進行軍と戦い、先輩方がピンチなところを流星群で倒して、気絶してこの世界に来て.....

霜月「歩夢さんが私に要求したこの世界を綺麗にする件ですよ」

あぁ....そんなことを言った気がする

あまりにもこの世界が酷かったので綺麗にしたいと願ったんだっけ


霜月「それをやります。1度この世界にリセットをかけて」

歩夢「それって....」

霜月「20分後には分かります。それより、始まりましたよ」

聞き返すよりも早く、銃声が聞こえた

外で重火器の音が鳴り響いてる

霜月「敵は約10万人です」

歩夢「10万.....」

なんだろう、全く危機を感じない

というか今戦っている人は誰?

誰かが戦っているからこそ、重火器の音が鳴り響いている

千夜「真夜達だよ」

深雪「叔母様方が?」

沙夜「深雪、心配するだけ無駄。10万対3なんて勝負にならないわ」

千夜「もちろん、3の圧勝で終わる」

いや、でも....相手は10万.....

桁が5個も違う


1人あたり3333人を相手にするのはいくらなんでも辛いんじゃないかと思い、

歩夢「霜月さーーーー」
霜月「お好きにどうぞ」

歩夢「ありがとうございます」

駆け足で外へと向かう


ー外ー

外に出た瞬間に、私は目を疑った

3人の女性が目の前に広がる多くの武装をした兵士を前に笑みを浮かべ、とても楽しそうに、昔を思い出しているかのように話している

兵士達は気化され、

兵士達は仲間同士で殺し合い、

兵士達は碧色の目を恐れ、逃げようとしている

言うまでもなく兵士達の敵であり、私の味方はあの3人


真夜さんは真っ黒な空を燦然と輝く星が浮かぶ夜空へと変え、大気中に散りばめられた光球が光条と化し、兵士を気化させている

深夜さんはかなり広い範囲に精神干渉し、自我を崩して仲間割れを起こしている

お母さんはニブルヘイムやらムスペルスヘイムを無造作に使い、敵と分かっている兵士を無差別に殺害している

見ているこちら側がゾクッとしてしまう光景に魅入ってしまう

深雪「歩夢....っ」

駆けつけた深雪ちゃんも私と同じ光景を見て息を飲む

すぐに声は出ない

彼女が言葉を発するのに15秒かかった

深雪「.....歩夢、戻りましょう。この場は任せておいて大丈夫そうよ」

歩夢「......うん」

お母さん、深夜さん、真夜さんのことを信頼してる

信頼しているから、この場は安心して任せられる

入ってもいいんだけど、足手まといになりそう

昨日の裏のお母さんは5割の力しか出せないはずなのに互角どころか劣勢だったし、何より私は殺人に抵抗がある

これだから私は成長出来ないのかな.....

でも、殺人はよくない

それだけは知っている

けれど、......



ー霜月の部屋ー

霜月「準備は出来ました。沙夜さん、千夜さんよろしくお願いします」

沙夜・千夜「はい」

2人は魔法を発動する

深雪「....何を使ったの?」

深雪ちゃんの疑問はもっともで、実際に何も起こっていない

少なくともここから見える範囲は

沙夜「30でいいですか?」

霜月「.....念のために40出来ますか?」

沙夜「千夜、」

千夜「私は大丈夫」

どうやら数字が関係しているらしい

仕方がない、目を使うか

目を使い、沙夜さんと千夜さんが何をやっているのかを視る

歩夢「......!」

深雪「歩夢?」

歩夢「沙夜さんと千夜さんは障壁を張ってた」

それも、霜月さんに言われた40枚を2人で

どれも高性能で核兵器にも耐えれるんじゃないかと思ってしまうほど


霜月「戻ってきましたね」

直後、部屋の扉が開いてお母さんと深夜さんと真夜さんが改めて20分ぶりに入室する

雪乃「あらかた倒したわ」

深夜「残り何百人ね」

20分足らずで9万人以上

スケールが違うなぁ

霜月「それでは始めましょうか。世界のリセットを」

かっこいい決め台詞と共に大きな地鳴りがする

歩夢「じ、地震?」

この屋敷は何かしらの魔法で耐性を持っているようで屋敷が揺れることはない

しかし、地鳴りだけは聞こえてくる

明らかに大きな地震が起こっている


雪乃「歩夢、窓」

お母さんに促されて部屋の窓から外を見ると、そこには倒れた兵士たちの姿

これだけならさっき見たけど......

深夜「あと10秒くらいね」

え....あと10秒で何か起こるの?

地震.....もしかして噴火?

地鳴りとは違う大きな音と共に大きな山の山頂からマグマが放出される

な、何事ですか.....世界の終わり?

マグマに飲み込まれる廃墟や朽ちた木々、そして兵士

辺りが真っ赤に染まっていく

沙夜「......っ....」

千夜「っ......」
霜月「......雪乃さん、お願いできますか?」

雪乃「50でいいですか?」

霜月「十分です」

辛い表情を見せる沙夜さんと千夜さんを助けるように、虚言でなければ1人で障壁を50枚張るようだ


.....おかしくない?

スケールが違いすぎる

人間の域を数段超えている

人間をやめたの?

霜月「.....そろそろですね」

霜月さんは机を人差し指で1度軽く叩く

すると外に大きな変化が訪れる

先ほどまであったマグマが大量の水と反応し、大きな音と共に水蒸気爆発を起こした

本当、何が起きてるの......?

霜月「この世界の状態を46億年前にし、今は40億年前の状態にしました」

軽々ととてつもない事を言った

よ、46億年前と40億年前?

たしか地球が出来たのが46億年だよね.....

いや、たしかにリセットは出来るかもしれないけどここまでやる必要はあったのだろうか


真夜「もうそろそろいいんじゃないですか?」

霜月「そうですね」

もう1度机を人差し指で叩くと、ガラリと外は変貌する

川が出来ていて、森林もあって、建築物もある

旧長野県と旧山梨県の県境にある四葉本邸と同様な風景に変わる

今までのも信じられなかったけど、急にここまでくるか.....

かなりのプロセスを飛ばしている気がする

面倒になったのかな?

霜月「46億年前、40億年前、そして今です」

お母さん、深夜さん、真夜さんはスケールが小さかった

このお方こそがスケールの大きい神様

時間を操るとは聞いていたけど、ここまでくると時間を操る(無制限に)のようだ


霜月「沙夜さん、千夜さん、雪乃さんお疲れ様でした。もう大丈夫ですよ」

そんな中でもこの屋敷だけは90枚の障壁により、守られた

もう何が何だか分からない

霜月「あとは人ですね」

ま、まさか.....

霜月さんは机をもう1度軽く叩き、

霜月「さっきの時代(最初にこの世界に来た時の時代)に居た人をタイムスリップさせました。もちろん、記憶は改竄してあります」

能力のインフレーション

もう駄目だこの世界


【最後は収束させるためのアレなので、真面目に受け入れないで下さい。今後、このようなインフレし過ぎた展開はありません。

安価です。多分この世界での最後の夜
1.雪乃と過ごす
2.深夜と過ごす
3.真夜と過ごす
4.深雪と過ごす
5.沙夜と過ごす
6.千夜と過ごす
7.霜月と過ごす
安価下。】

>>818 7.霜月と過ごす】

人間を超越した存在が、魔法を超越した魔法(世界構築)を行ったことにより世界に平和が訪れた

.....何言ってるの、私

歩夢「はぁ.....」

同じ魔法師なのにどうしてこんな差がついたのか

一応、私にも同じ血をが通っているはずなのに

お母さんの5割にも勝てなかったし

年季の差?

お母さんはともかく、霜月さんの年齢っていくつなんだろう

外見=年齢が成り立たないことは君影雪乃が証明している

聞いてみてもいいんだけど、女性に年齢を聞くのはモラル的に怒られると噂に聞いたことがある

それが異性限定なのか、同性なら許されるのかは知らないけど


理由を探していると近くの階段の上から声がかかる

霜月「歩夢さん、どうかされましたか?」

噂をすれば....えっと....なんだっけ.....

霜月「噂をすれば影がさす、ですか?」

よ、読まれてる.....

歩夢「まぁ、.....はい」

言葉を濁し、曖昧な返事か出来ない

私は霜月さんを心の何処かで未だに恐れている

霜月「.....歩夢さん、訊きたいことがあるんじゃないんですか?」

私の心情を悟ったかのように、恐怖心を好奇心に変えようとしてくれている

私が霜月さんの年齢を知りたい、という好奇心に

歩夢「差し支えがなければ、ですが.....」

霜月「構いませんよ」

歩夢「ありがとうございます。.....霜月さんの年齢についてなのですが.....」

霜月「年齢.....ですか」

歩夢「だ、駄目ならいいんです!」

霜月「では、ここまで来れたら教えてあげます」

歩夢「.....ん?」

私は屋敷の1階から2階へと繋がる階段の手前に居る

霜月さんは逆に上に居る

階段は十数段

大した手間でなければ、誰にでも出来る簡単なこと

しかし、霜月さんがわざわざこの条件を提示しているということは何かがある


霜月「やりますか?」

歩夢「.....はい」

霜月「では、上って来て下さい」

いつも通り上ればいい

1段ずつ、普通に

右足を1段目に置いて、左足で2段目に足を置く

次に右足で3段目に足を置いて、左足で4段目にーーーー

歩夢「えっ......」

私が左足を置いた場所は階段手前の床だった

私は1階の床に、霜月さんに最初話しかけられた場所に左足を置いた

背中に冷や汗を感じる

時間操作.....?


霜月「もう1度やりますか?」

歩夢「.....魔法の使用は?」

霜月「お好きにどうぞ」

お言葉に甘えて汎用型CADを操作する

使ったのは神座と天邪鬼

加速魔法の上位互換である神座は当然私自身に使い、

減速魔法の上位互換である天邪鬼は霜月さんに向けて使用する

霜月さんにとって、これからの9秒間は0秒となる

ー残り8秒

今のうちに上り切っちゃおう

駆け足で階段を1段、2段と上る

9段まで来たところで、あと3段上ればいいというところで、ピクリとも動かなかった霜月さんの口元が笑みへと変わる

でも、あと3段、3段くらいならーーーーー


歩夢「っ....」

最後、3段を飛ばして上ろうとした時、先ほどと同じく私は1階の階段手前の床を大きく踏んだ

またさっきと同じ.....

霜月「少々お遊びが過ぎましたね。歩夢さんは手品のタネって気になる人ですか?」

歩夢「.....はい」

霜月「では答えを。私は今、歩夢さんが階段を上っていた数秒間を消しました。階段手前に居る『点』と最後に踏み出した『点』を繋ぎ合わせて、こうなったということです」

歩夢「......」

本当、凄いなぁ、霜月さんは

あの魔法を使いたいとはあまり思わないけど、余裕が欲しい

霜月さんの持つ余裕

霜月さんの持つ優しさ

霜月さんの持つ状況判断

全部が全部じゃないが、大方私の理想だ


と、霜月さんを目標に掲げている数秒間を霜月さんはどう解釈したのか、

霜月「お、怒ってしまいましたか.....? 私がこんな意地悪をしたばっかりに....」

突然、オロオロと慌て始めた

霜月「そ、そうだ時間を5分前に戻して....って、きゃっ....」

この場の空気をどうにかすることだけを眼中に入れていたようで、階段を踏み外す....ではなく、華麗に滑って落ちる

咄嗟のことだったけれど、2階から1階へと落ちきる寸前のところで柔らかい質の障壁を張ることに成功し、霜月さんは無様な姿にならずに済んだ

歩夢「だ、大丈夫ですか....?」

霜月「う、....うぅ.....大丈夫.....です。ありがとうございました」

ゆっくりと立ち上がり、ぶつけた場所を摩っている

霜月「うぅ.....」

今にも泣き出しそう

そういえなお母さんが霜月さんは少し抜けたところがあるって言っていた

こういうところなのかな?

霜月「と、とりあえずお礼をさせて下さい。私の部屋にどうぞ」


ー霜月(さん)の部屋ー

霜月「掛けて下さい」

歩夢「ありがとうございます.....」

霜月さんの部屋は本だらけだった

部屋の壁(扉以外)は大体本棚で、その全てに所狭しと本が入っている

キョロキョロと本の題名を見ていると、

霜月「読みたい本ありましたか?」

歩夢「ま、まぁ.....」

霜月さんは応接セットに紅茶を淹れ、音をあまり立てずに机に置く

霜月「どうぞ」

紅茶の入ったティーカップを乗せたソーサーを差し出され、私は頭を下げる

霜月「お礼と言ってはなんですが、出来る限りの質問に答えさせて頂きます」

質問.....ね


【安価です。
1.年齢
2.両親
3.沙夜・千夜について
4.雪乃・深夜・真夜について
5.その他
安価下。】


>>826 1.年齢】

さっきふと思った疑問をそのまま聞いてみようかな

歩夢「年齢.....とか」

霜月「年齢ですか......」

歩夢「い、言いたくないことでしたら言わなくても大丈夫ですっ」

霜月「いえ、構いませんよ。年齢を知られたところでどうかなるって訳でもありませんし」

自分に不利益な事が起これば『不利益な事が起こった時間』を無かったことにしそう

そういう意味では霜月さんは人生を何度でもやり直せる

『時間操作』という魔法らしい魔法を使って体にどんな害が及ぼされるのかはともかくとして、の話だけど

霜月「何歳だと思いますか?」

そう問われて、私は1度じっくりと見える範囲で霜月さんを観察する

霜月の目は使わず、普通のままで

歩夢「.....20歳少し超えたくらい、だと思います」

大人っぽい身体つきをしている時点で18歳以上だと考察し、あとは人間としての余裕を考慮した結果20歳を若干越すくらいかなと考えた

良い線いってると思うんだけどなぁ

霜月「では答えを。私は、」


【安価です。霜月(さん)の年齢
コンマ2桁で小さい方が10の位、大きい方が1の位となります。
小さい方が0の場合は2にさせて下さい
00の場合は22歳です
例)72→27歳 19→19歳 06→26歳
安価下。】

てい

>>828 87:78歳】

霜月「78歳です」

歩夢「え.....」

外見=年齢が成り立たないのはお母さんが証明していたが、78歳っていうのは.....素直に驚いた

霜月「歩夢さん達の世界での時間経過に沿って答えるなら、ですけどね」

歩夢「.....?」

霜月「雪乃さんと深夜さんと真夜さんが最初にこの世界に来たのは歩夢さんの世界での30年前。そして歩夢さんと深雪さんがこの世界に来ている現在。30年の差がありますが、こちらの世界では2ヶ月ほどです」

歩夢「つまり48歳ということですか?」

霜月「いえ、そういう訳でもありません。歩夢さんの世界での30年とこちらの世界での30年は本来なら比例します。私が無理やり2ヶ月にしただけです。なので私は実質78歳です」

よく意味は分からなかったけど、霜月さんはこの世界で見れば48歳、私たちの世界では78歳だということだけは分かった

.....それでもやっぱり若いなぁ

若々しさが滲み出ている

私が48歳になっても若く居られるのかな?

霜月さんは魔法で身体を若く保つことだって可能なのかもしれないけど、時間操作を使えないお母さんが46歳でアレなのだから安心していい....はず

霜月「年齢についてはこの程度ですかね。他に何かありますか?」


【安価です。
1.霜月(さん)の両親について
2.魔法について
3.千夜について
4.雪乃・深夜・真夜について
5.その他
6.質問を終わる
安価下。】

>>830 1.霜月(さん)の両親について】

歩夢「霜月さんのご両親について、.....とか」

これについて聞いたのはただの興味本位だ

知ったからといって特段何も無い

なんとなく聞いただけ

霜月「両親は私が産まれて間も無い頃に亡くなりました」

質問に一切嫌な顔をせず、淡々と答えてくれる

この場合、嫌な顔をしてくれた方が良かったのかもしれない

霜月さんは別に気にしていないのか、

霜月さんはそれを受け入れながらも心の何処かでご両親を知れていないことを悔やんでいるのか

私はどう反応していいか困り、俯く


霜月「人には死がいつか必ず訪れます。だから気にしていませんよ。仕方のないことですから」

歩夢「.....霜月さん自身がご両親の生きている時代にタイムスリップする、とかは.....」

霜月「やろうと思えば可能ですが、私は今の状態で満足しているので構いません。知ることのない、私だけの理想のお母さんとお父さん。私は想像だけで楽しめています」

歩夢「でも....!」

霜月「歩夢さんは『幻滅』という言葉をご存知ですか?」

歩夢「え、あ....えっと.....期待や憧れで空想したけど実際に見てみると全然違くてがっかりすること.....ですか」

霜月「正解です。私は幻滅したくないから逃げて、知らないだけ。もしお父さんがストレスを溜める度に家内に暴力を振るい、もしお母さんが娼婦だったら歩夢さんも落ち込みますよね。そういうことです」

歩夢「......」

流石に霜月さんの嫌な想定は当たらないと思うけど、もしそれが現実ならば幻滅してしまう

知ることの恐怖

「世の中には知らない方がいいこともある」

そうよく言われているし、霜月さんは判断して知らないままでいるのかもしれない


霜月「話を聞く限りではそんなことはなく、歩夢さんのように正義感が強かったそうですけど」

歩夢「正義感が強かった.....?」

霜月「救われた方々も多く居ると聞いています」

私の質問には答えず、霜月さんが失笑しながらそう違う形で答えた

正義感が強く、人を救った

善意だけで救い続けたのかな?

範囲は身内だけでなく知り合い全員?

この2つの疑問が頭の中に出現した直後、霜月さんの口が開かれる

霜月「善意だけで奉仕活動をしていたようです。母がそうし、父が振り回されていたと」

霜月「範囲は困っている人を見かける、または聞いたら学校すら休んでまでも行って、よく先生からは怒られていたと。しかし、何度か人の命を救って評価される機会があったので先生方もそこまでのことは言えず、お説教は注意程度だったそうで」

昨日お母さんが言っていた「正義のヒーローのつもり?」という台詞はまさに霜月さんのご両親に言うべき

100%善意で困っている人を助けて、報酬は助けた人の笑顔を見て満足する

そんな人居るんだ

私のような捻くれた者には理解出来ない

でも、かっこいい

やりたくないけど、応援はしたくなる


霜月「魔法も一定の条件下では猛威を振るっていたようです。歩夢さんが知っている、隼人さんと同じ能力」

あぁ、兄さんの......

一定の条件下って言っても情報の書き換え、つまり魔法が発動する空間に対する特別な能力なので一概に強いとは言えない魔法

しかし、場によっては霜月さんのご両親のどちらかと同じように猛威を振るえる

目やコピー能力よりも、考え方によっては何段か上の能力

魔法に頼っている現代だからこそ、盲点を突かれる

兄さんは、私より強くて何よりコミュニケーション能力が高い

都内の高校生(魔法科高校以外も含む)の3割くらいと顔見知り以上なんじゃないかと考えてしまうほど、顔が広い

あと、

霜月「あの.....」

歩夢「?」

霜月「私の両親については話終わりましたが、話はまだ続いているので......」

歩夢「あ....す、すみません」

ついうっかり兄さんがどれだけかっこいいかを語り始めるところだった

危ない危ない

霜月「他に何かありますか?」


【安価です。
1.魔法について
2.千夜について
3.雪乃・深夜・真夜について
4.その他
5.質問を終わる
安価下。】

2

>>835 2.千夜について → 沙夜・千夜について
ミスでした。すみません。】

歩夢「沙夜さんと千夜さんについて、....とか」

この事について聞いたのは沙夜さんと千夜さんのご両親らしき人を見たことなければ、聞いたこともなかったから

良くない予想は出来ているけど、まぁ一応

霜月「可愛いですよね、特に千夜さん」

歩夢「....そうですね」

女性同士の『可愛い』は男性から見たら信用が薄いようだが、誰がどう見ても千夜さんは美しいというより可愛い

容姿は30年前の真夜さんそのものだが、やはり何と言っても性格が素晴らしい

人懐っこい性格は相手を魅了し、子供っぽい性格は相手を安心させる

はぁ.....可愛い


霜月「沙夜さんも泣いている姿は可愛らしいんですけどね」

歩夢「泣いてる?」

霜月「深夜さんに少し....」

深夜さんに....少し?

霜月「深夜さんに悪気は無いようですが、深夜さんが沙夜さんに視線を向けるだけで沙夜さんが怯えちゃって......。つい最近まではその時点で部屋に戻っていたのですが、果敢にも話を始めればその場で泣いてしまうようになって、毎回千夜さんに慰めて貰っています」

妹に慰められる姉

稀....でもないか

歩夢「沙夜さんは何の話を?」

霜月「自分が先祖だから敬え、と」

あぁ、なるほど

千夜さんはそこら辺をあまり気にしてなさそうだが、沙夜さんはかなり気にしている

しっかり者とは違った....プライド? のような物が高いのかな


霜月「さて、雑談はここまでにしましょう。ここからは沙夜さんと千夜さんのご両親についてです」

笑顔を止め、真島な表情で私と改めて向き合う

霜月「ご両親は歩夢さんの予想通り既に亡くなっています。この世界の時間で10年前に」

沙夜さんと千夜さんが5歳か6歳かの頃に両親が亡くなり、そこからは、

霜月「私がご両親の代わり、にはなれませんが育てることだけはお世話になったお2人の娘さんですから、出来る限りは尽くしました」

お世話になった2人?

その2人というのは沙夜さんと千夜さんのご両親だということは分かるけど、何のお世話になったのか

霜月「先程も話したことですが、私の両親は私が1歳にも満たない頃に亡くなりました。それからは四葉家に引き取られ、沙夜さんと千夜さんのご両親にお世話になったということです」

霜月さんはティーカップ内の紅茶を2口飲み、喉を潤す


霜月「育ての親となったのはいいのですが、あの世界では十分な教育は出来ませんでしたからこれからは学校に通って貰おうと思います」

沙夜さんも千夜さんも決して頭が悪い訳じゃないんだろうけど、知識が不足している

柔軟な発想は魔法師には必要だと聞いたことがあるし、今までずっと屋敷内で生活していたから伸び伸びと生活出来る空間が必要だろう

異論の余地なし、賛成

ただ1つ問題を挙げるとすれば、2人が中学卒業程度の勉強の知識を有しているか

無くてもなんとかなるとは思うけど、有るに越したことはない

霜月「その辺りは深夜さんに手伝って貰います」

お母さんには勝てなかったものの、全テスト通してミスは1問か2問だった深夜さんは並外れて頭が良い

霜月さんは謎だけど、これでどうにかなるはず

良かった、これからは学生の年齢らしく学生になれるんだ

霜月「沙夜さんと千夜さんについては.....あ、あと、沙夜さんの趣味について。歩夢さんも既にご存知の同性愛への執着心。男性を嫌いになるきっかけというものは無かったはずですが、何故か.....。学校で問題を起こさないように釘を刺しておかないと」

霜月さんが言えば少なくとも外でそういうことをしなくなる

しかし、家の中でしないとは言っていない

千夜さんを愛するか、作品の世界に逃げ込むか

1年後には書庫の本がガラリと変わっているかもしれない

あー、......怒られないことを祈っています

趣味は人それぞれ

他人にとやかく言われる筋合いは無い、って言えば大丈夫だから!

霜月「これで終わりですかね。他に何か聞きたいことはございますか?」


【安価です。
1.魔法について
2.雪乃・深夜・真夜について
3.その他
4.質問を終わる
安価下。】

2

>>840 2.雪乃・深夜・真夜について】

歩夢「お母さんと深夜さんと真夜さんについて教えて下さい」

霜月「30年前、短い期間一緒に過ごしてもなお分からないことがあるから聞きたいと?」

歩夢「30年前、短い期間一緒に過ごしたからこそ知りたいです」

霜月「そう.....ですね。きっかけを作ったのは私ですし、教えられる範囲で教えましょう」

妙に否定的な霜月さんをそれらしい理由で説得に成功した

しかし、否定的な理由は分からないまま、少しもやもやとした気持ちが拭えないまま、話を聞くことになった


霜月「雪乃さん、深夜さん、真夜さんの何について知りたいですか?」

歩夢「高校卒業後はそれぞれ何をされていましたか?」

霜月「雪乃さんは綾人さんと暮らし、深夜さんは優秀な子を産めるようにと計算された婚約者司波龍郎さんと、真夜さんは四葉家の当主としてお仕事をされていました」

分かりきっていた事だけど深夜さんと真夜さんはそれぞれ違う意味で幸せとは言えない人生を過ごしている

深夜さんは家の方針に逆らえず、心の底から愛する人と結ばれることが出来ず、

真夜さんはあの事件により女としての幸せを奪われ、結婚も出来ず当主としての仕事だけをしてきた

そう考えると、お母さんとお父さんが3人の中では最も幸せに暮らしている

私がまだ知らないだけで何かあるのかもしれないけど、知っている範囲では圧倒的にお母さんとお父さんが幸せだ


霜月「真夜さんが結婚していない理由は子供を産めないから、ですが、それを改善する方法は1つあります」

四葉関係者からすればこれ以上の美味しい話は存在しないだろう

しかし同時に当主様が、

霜月「それは私の時間操作で真夜さんの体を12歳の時に起きた事件前に戻すことです」

子供の姿になれば困惑する

いくら四葉真夜が四葉真夜であっても12歳の少女が日本を代表する十師族の内の1つの代表をしてもいいのか

分家の現当主方々も「はい」と言えなければ「いいえ」とも言えない、バランスが崩れた環境に陥る

霜月「この話を歩夢さんの世界で30年前に話したところ、真夜さんは間も開けずこの提案を断りました。理由は雪乃さんに歳下扱いされるのが嫌だから」

霜月「しかし本当の理由は、雪乃さんや深夜さんと同い年以上の一緒の時間を過ごせないから」

どちらも真夜さんらしい理由だった

普段の真夜さんからは想像出来ないけど、30年前の真夜さんを知ったからこそ納得のいく理由


霜月「この質問を先日改めてしましたが真夜さんの意見は変わりませんでした。よっぽど雪乃さんと深夜さんを意識しているようで、可愛らしかったです」

クールに見えて可愛らしい一面を見せる真夜さん

本人の目の前で言うと怒られるけど、真夜さんから仕事を奪えば冷たい人間になる必要はなく、残るのは可愛らしい姿だけ

まぁ、次の当主様が決まるまではそれは絶対に叶わないことだけど

真夜さんのことだけを考えると、早く決まって欲しい

深雪ちゃんのことを考えると、永遠に決まらないで欲しい

当主になると同時に婚約者も発表される

その人を深雪ちゃん自身が認める男性なら私も文句は言わないし、言えない

逆に深雪ちゃんが当主にならなければ結婚は余程の事情がない限り必ずしなければならないが、四葉が指名する婚約者と結ばれなくてはならない理由が軽減される

完全調整体の子供は必ず優秀な子になるって分かっているなら深雪ちゃんに選ばせてあげればいいのに


霜月「真夜さんが結婚されていない以上、次の当主には責任がかかっています。深雪さんか夕歌さんか、勝成さんか、文也さん」

夕歌さんというのは津久葉夕歌さんのこと

たしか東京住在の大学生....だったと思う

深雪ちゃんと同じく次期当主候補の1人

勝成さんというのは新発田勝成さんのこと

夕歌さんもだけど、夕歌さん以上にこの方の事は教えて貰えず、知らないまま

ガーディアンが2人付いているらしく、1人は男性、もう1人は女性で、その女性の方と恋人関係みたいな噂を聞いたことがあるけどどうなのかは分からない

文也さんというのは黒羽文也さんのこと

他2人以上に姉の亜夜子さん共々、深雪ちゃんや達也くんと仲が良いらしく、慕ってくれていると深雪ちゃんは言っていた

深雪ちゃんはもちろんのこと、他の次期当主候補の3人もかなり強く、当主候補の座に誰が座ってもおかしくない、らしい


霜月「に加えてもう1人」

霜月さんの次期当主候補についての話はまだ終わっておらず、もう1人居ると聞いて私はもしかして、と予想する

歩夢「私はなりませんよ」

霜月「歩夢さんじゃないです」

......恥ずかしい

自分を過大評価しすぎた

歩夢「ま、真夜さんは4人と仰っていましたがあと1人は.....」

霜月「近いうちに分かります。彼女もまた、優秀な子です。私たちに最も近い存在ですから」

『彼女』ということは女性

『私たちに最も近い』ということは......、どういうこと?

霜月「さて、話がズレてしまいましたね。雪乃さんと深夜さんと真夜さんについて、でしたが具体的に聞きたいことはありますか?」


【安価です。具体的に聞きたいこと
1.雪乃の裏表の療養生活について
2.30年前にこの世界でどのような活躍をしたか
3.特に無し

3の場合は霜月(さん)への質問も終わります。
安価下。】


>>847 1.雪乃の裏表の療養生活について】

んー、.....他に......あ、そうだ

歩夢「お母さんが裏表に苦しんでいた時、裏を自制するために強力な睡眠薬を投与し続けたと聞きましたが、」

霜月「雪乃さんが使用していた睡眠薬はほぼ全く副作用がありません」

歩夢「副作用については既に真夜さんから聞いています。私が聞きたいのは睡眠薬以外での自制方法です」

質問の内容を伝えると霜月さんの視線は私から天井、もしくは天井を越えた灰色の空ーーーではなく、1つの月と数多の星空を眺める

その、宝石の如く美しい碧色の瞳で


霜月「まず誤解から解いておいましょうか。3年ほど前、雪乃さんと綾人さんは歩夢さんと隼人さんの側から離れ、京都で暮らしていました。それに何の意味があったかご存知ですか?」

歩夢「私を出来る限り孤独の身にしたい、と聞きました」

霜月「孤独になることで精神面が鍛えられると踏んだ雪乃さんは綾人さんと隼人さんを連れて歩夢さんを1人にしようとしましたがイレギュラー.....というほどではありませんが、予想外の出来事が起こりました。それは、隼人さんが歩夢さんの元に残ると言い、雪乃さんの意見に少し反対したことです。あの時に隼人さんが雪乃さんと一緒に行っていれば今の歩夢さんはあらず、変わっていたかもしれません」

兄さんが居なければ私は2年前の事件の際に生きる希望を失っていた

真夜さんからどんな説得を受けようと、殴られてでも食事を摂らず栄養失調や空腹で死んでいた

霜月「隼人さんが残ると言い出したのは確かに予想外だったものの、本当の目的を成し遂げるためには隼人さんがどちらに傾こうとどうでもよかった」

霜月「本当の目的というのは、療養」

霜月「結果から言えば失敗に終わりましたが、それでも十分安定した生活を送れた。近くに歩夢さんが居ないだけで、稀に出てくる裏の自分を抑えることは簡単だったようです」

歩夢「......私が京都に行かないで、永遠にお母さんと離れ離れだったら比較的安定した生活を送れていた、ということですか?」

霜月「いつ何が起こるか分からないので確かなことは言えませんが、理論上では否定は出来ません」

そこで一区切りがついたのか紅茶を1口飲み、話を続ける


霜月「本題の療養生活ですが、京都で安静に暮らすことこそが最大の療養でした。京都という地と綾人さんの存在が雪乃さんを支えていました」

愛する君影綾人と一緒に居ることで楽しく安静に暮らせるのは理解出来る

しかし、京都という地で暮らすことに何の意味があるのか

それだけは説明がないと理解出来ない

霜月「京都は少し霜月と縁深い地なだけです」

思っていた直後に説明が入るが理解に苦しむ

霜月「これについては今の歩夢さんが知るべきではありません。いいですね?」

歩夢「......はい」

聞けない雰囲気が醸し出され、私は諦める

霜月「縁深い土地で、愛する人と平和な日々を送ることで安定した生活を送れた」

霜月「雪乃さんの療養生活というのは、そういうことです」

歩夢「........?」

ここで私が首を傾げたのは私の質問とは違った答えが返ってきたから

私の質問は「自制方法について」であって、「療養生活について」ではない


そんな私の心情をいつも通り、読み取ったかのように霜月さんは、

霜月「療養生活こそが自制方法です」

愛する人と縁深い地で暮らすことこそが万能薬ってこと?

霜月「そのような解釈で構いません」

へぇー、いいなぁ.....ロマンチックというか、小説みたいな展開に憧れる

私も何かの病気にかかった場合、京都で達也くんと暮らせば治るとまではいかないけど安定した生活を送れるのかな?

霜月「......歩夢さんは雪乃さんと違って......」

歩夢「何か言いました?」

霜月「い、いえ、なんでも」

小さくボソっと呟いた霜月さんの声は聞き取れず、私はその呟きについて知れないままモヤモヤとした気持ちだけが心の奥底に残った


【安価です。雪乃・深夜・真夜について
1.30年前にこの世界でどのような活躍をしたか
2.その他
3.質問を終わる
安価下。】

>>862 2.体型について】

そのモヤモヤとした気持ちを一旦忘れられるような疑問が脳裏に浮かぶ

歩夢「聞きにくいこと.....ですが、」

霜月「遠慮はいりませんよ?」

歩夢「......お母さんと深夜さんと真夜さんの体型について、.....」

質問の言葉は言い終わっていないにも関わらず霜月さんは「あぁ、なるほど」と理解したように頷いた

霜月「深夜さんは基本的にドレスよりも和服を」

霜月「真夜さんは対照的に和服よりもドレスを」

霜月「そして雪乃さんは中立的にどちらも似合うような体型ですね」

びっくりするくらい同じ意見


霜月「最終的には人それぞれの好みですから。和服が似合う深夜さんにも似合うようなドレスを作ろうと思えば作れますし、反対に真夜さんに似合うような和服も作れる」

霜月「深夜さんに限っては和服は着るのが面倒だという理由で主にドレスを着ていて、確かにその姿も様になって美しいのですが、やはり深夜さんが最も綺麗になるのは和服だと私は思います」

少し具体的になった意見も私と同じ

霜月「しかし、深雪さんこそ四葉の完全調整体であるからこそ左右対称な体を持っていて、深夜さん以上に、真夜さん以上に何でも着こなせる人でしょうね」

深雪ちゃんはこれから更に魅力的な女性らしい体つきになるのだろうか

これ以上人を魅了する体になれば人目を惹くどころではなくなってしまう

達也くん大忙しだ


霜月「歩夢さんは雪乃さん同様にどちらも着こなせる体型になると思います」

歩夢「あ、ありがとうございます.....」

お母さんのような体型になれるなら、嬉しい

普段着がドレスになることも和服になることも御免だが、体型はあって損は無い

霜月「流石に深雪さん程にはならないでしょうけどね」

そんな高みを望んでいないので大丈夫です

と、心の中で答える

声に出そうと心の中で言おうと同じなのだから関係無いんだろうけど、なんとなくそうしたかった

歩夢「......霜月さんはドレスを着ていますけど、どうしてですか?」

体型はお母さんとほとんど変わらない

和服もドレスも似合うのに、ドレスを選んでいる


その理由は、

霜月「深夜さんと同じく、和服を着るのが面倒だからです。和服で屋敷内を歩くのは......ちょっと....」

言われて気付いた

和服で1日生活するのは辛い

着崩れないように高めの椅子に座らないといけないし、何より裾が長い

勝手な先入観に捕らわれた意見になるけど、格の高い女性は大体ドレスを着ている

真夜さんが良い例だ

......真夜さんから次期当主やって、と言われても断ろう

やっぱり私服またはスーツが動きやすい

一般的にスーツは動きにくい部類に入るはずだけど、今の私にとってはスーツ=私服同然

私服 or スーツ

ドレスや和服をよく着る職業には就くことがないよう真夜さんに懇願しよう


【安価です。雪乃・深夜・真夜について
1.30年前にこの世界でどのような活躍をしたか
2.その他
3.質問を終わる
安価下。】

2 夫について

>>857 2.夫について】

歩夢「3人....いえ、2人の夫についてはどう思いますか?」

霜月「唐突ですね.....」

どうしたら急にそんな質問が出てくるの、という表情をしている霜月さんを私はジッと目詰める

その視線にわざとらしく気付いたフリをして、一呼吸ついてから話を始める

霜月「手っ取り早いところから話しましょう。まずはその2人には入らなかった真夜さんから。真夜さんは12歳の時に巻き込まれた事件により生殖機能を失い、それが理由で七草家の七草弘一との婚約を取り下げ。見事に生殖機能と婚約者を同時に失った訳ですが、そんな彼女を好きになる人が居ました。最初は容姿・性格に惚れ、近づいていく内に分かった子供を作れないと知っても、彼は真夜さんを愛そうとした」

歩夢「......お父さん」

霜月「君影綾人は四葉真夜を愛していた。対して、四葉真夜は君影綾人を物好きな男性だとどちらかと言えば好印象。真夜さんのことだけを考えれば子供を作れなくても結婚するべきなんでしょうけれど、真夜さんは自分を苦しめるように綾人さんの告白を断りました」

霜月「それから色々あって綾人さんは雪乃さんと結婚することになりましたが、綾人さんはどうでようね。まだ未練があるのかも」

歩夢「.......」

お父さんが真夜さんと結婚していれば私や兄さんは存在していない

霜月家も霜月雪乃で途絶えていたかもしれない

これで良かったと私は信じたい

お母さんとお父さんが結ばれて良かった

そう思わないといけないのに、真夜さんの境遇を考慮すると胸が痛くなる


霜月「次は雪乃さん。歩夢さんも知っての通り雪乃さんは綾人さんと結婚しました。最初は真夜さんに惚れていた綾人さんがどうして雪乃さんと結婚することになったかは当人に聞くのが1番でしょうね。帰ったら聞いてみて下さい」

私はゆっくり頷き、話の再開を求める

霜月「雪乃さんは高校に入学してまず綾人さんに一目惚れをしました。入学式で見て、かっこいいと思って、惹かれた。1度話したのをきっかけに彼女らは友達以上恋人未満の関係となり、成人を迎える頃には恋人以上夫婦未満となり、成人を迎えて数年後には夫婦になりました」

霜月「綾人さんが心の中でどう思っていたかは知りませんが、少なくとも上辺ではしっかりと雪乃さんを愛していたようです」

一概にお母さんを可哀想だとは言えないが、お父さんも本当に愛している人との結婚が叶わず、加えてその人はまだ独身なので心苦しいところもあるだろう

真夜さんにお父さんをあげたいけど私にそんな権利無いし、もし出来たとしても家族崩壊の危機

真夜さんとお父さんには心苦しく生きて貰うしかない.....かな?

真夜さんが兄さんと結婚すれば真夜さんも救われるが、お父さんはどう思うか

息子に好きな人を奪われる気持ちは....今の私には分からない


霜月「最後に深夜さん。深夜さんの夫は司波龍郎さん。歩夢さんも記憶している範囲でお会いしたことがありますね?」

7月の下旬くらいに東京に行ったとき、FLT本社で出会いの形としては最悪だったが会ったことある

お付きの執事さんが達也くんを侮辱し、私が怒りに身を任せて流星群を使ったんだっけ

霜月「元々彼は現妻である古葉小百合さんと交際していました。しかし、優秀な子を作るためにと四葉からの縁談を承諾し、深夜さんと結婚。約16年間深夜さんを妻として、小百合さんを愛人として生活をしてきましたが深夜さんが亡くなり独身となった彼は愛人だった小百合さんと再婚した」

歩夢「......最低」

霜月「......気持ちの良い方だとは言えませんね....」

先祖と子孫の意見がほぼ合致し、部屋中には暗い空気が漂う

そんな空気を破ったのは珍しく私だった

歩夢「深夜さんを妻として、小百合さんをあ....愛人として、って深夜さんは何も言わなかったんですか?」

霜月「深夜さんは「そもそも交際していたところに私たちが横槍を入れたのだから気にしていない」と仰っていました。家が決めた婚約者だったからこそ、なのかもしれません」

家が決めた婚約者を心の底から愛せなかったからこそ愛人関係を認めた

......世の中って複雑だなぁ

そういう判断を出来る深夜さんも大人でかっこいい

ちなみに、私は多分許せない

深雪ちゃんなんて以ての外......と言いたいところだけど、愛してもいない人と婚約するとなれば深雪ちゃんはそんなことも気に出来ないほど意気消沈するかもしれない

霜月「それぞれの旦那さんについてはこのくらいですね」

まともな旦那さんを持っている人が居なかった

辛うじて家族贔屓も手伝ってお父さんが有り....?


【安価です。雪乃・深夜・真夜について
1.30年前にこの世界でどのような活躍をしたか
2.その他
3.質問を終わる
安価下。】

>>861 1.30年前にこの世界でどのような活躍をしたか 】

歩夢「.....30年前、...この世界での2ヶ月前、お母さんと深夜さんと真夜さんはどのような事をしていましたか?」

霜月「さ、さっきから話の展開が急ですね.....まぁ、構いませんけど」

霜月「雪乃さん達が16歳を迎える11月、雪乃さんは歩夢さんと同じくこちらの世界に来ました。まず、沙夜さんと千夜さんから霜月の目を使うための.......この事も最初から話しましょうか。誤解を招くのも嫌ですし。歩夢さんは拷問を受けた事を覚えていますか?」

私がお母さんに何かをされ、2ヶ月半ほど早い8月中旬に色々と拷問を受けた

日本刀で心臓を刺されたまま放置されたり、眼球に注射針を刺されたり

思い出しただけでもゾッとする出来事に実際に体を震わせる

その姿を見た霜月さんは「覚えている」と解釈し、話を続ける

霜月「霜月の目を使うためには『辛い思い』もしくは『痛い思い』をしなければなりません。その重要な役割を担ってくれた沙夜さんと千夜さんには感謝しています。やられる側こそ辛いでしょうけど、やる側も心地良いはずがありませんから」

結構ノリノリでやっていたような.....気のせい....かな?


霜月「こうして辛い思いをした雪乃さんは霜月の目を使えるようになりました。後にここで私が私の目的を話し、雪乃さんは即時決済で私の目的に賛同してくれました」

霜月「目的というのはもちろん如月と葉月以外の9家を滅ぼすこと」

霜月「しかし、如月と葉月、そして私と雪乃さんと沙夜さんと千夜さんだけでは心許ありませんでした。流石に人数が.....圧倒的でしたから」

霜月「そこで時を見計らったかのように、雪乃さんの体を伝って深夜さんと真夜さんがこの世界にやって来ました。圧倒的な人数を補える助っ人が来たことにより、私たちは行動に移りました」

霜月「雪乃さんは皐月(5月)を無差別に魔法で殺害。この時裏になっていたかどうかは分かりません」

霜月「深夜さんは長月(9月)内の人間に対して精神構造干渉で精神を崩し、内乱を起こして破滅へ」

霜月「真夜さんは流星群で10月の神無月を消した」

霜月「残りは如月と葉月、私がやりました。沙夜さんと千夜さんは私のお手伝いです」

霜月「約1週間、日本の至る場所で戦争が起こりました。その結果、霜月と如月と葉月以外は滅亡。それから少しして如月と葉月も戦いで受けた傷に加えて体力を削る流行病にかかり滅亡。最後には都合の良いことに霜月関係者のみが残りました」

霜月「.....本当、都合の良い話ですよね。私たちだけが残るだなんて」

歩夢「.......殺さないといけなかったんですか? 他の家を」

霜月「ええ。権力が分散し過ぎるのも日本には悪影響でしたから」


歩夢「殺す以外にも選択肢が.....」

霜月「はぁ......」

霜月さんは肩を大きく落とす

溜め息には1つの気持ちしか篭っていない

それは、呆れ

霜月「歩夢さん、貴女は優しすぎます。もっと非情になって下さい」

歩夢「で、でも.....!」

霜月「.......」

歩夢「......撤回します」

霜月「撤回....ですか。信用に欠けますが、今は信じましょう。何か質問はありますか? 30年前のことで」

歩夢「いえ、特に」

これ以上聞くと雰囲気が悪くなる一方な気がした

聞きたかったお母さんと深夜さんと真夜さんが何をしたか知れたし、いい....かな?


【安価です。
1.霜月(さん)の魔法について
2.その他
3.質問を終わる
安価下。】

>>865 3.質問を終わる】

霜月「では、30年前の事以外で何かありますか?」

歩夢「......」

私が甘いが故に霜月さんを怒らせてしまい、質問の幅が制限されているとしても、現時点で気になる事は全くない

歩夢「今はありません」

短く答えると霜月さんは同じく、

霜月「わかりました」

短く返事をした

歩夢「......」

霜月「......」

『質問』という題が終わると、自然と話すこともなくなる


さて、どうしたものか

このまま居続けてもいいのだが、会話が存在しない空間で2人きりというのは苦を感じる

私から話すことも無いし、霜月さんが口を開く様子も見られない

この場から離れる、つまり離席するにはどうしたらいいのだろうか

声をかけようにも台詞が思いつかない

失礼にならないように退室するには.....どうすればいいんだろう.....

と、1人で腕を組んでそれこそ霜月さんの視線を無視して考えていると、その姿を見て察した霜月さんが口を開いた

霜月「私はこの後、雪乃さんと深夜さんと真夜さんと少し話さなければいけないことがあるので失礼したいのですが.....歩夢さん、大丈夫ですか?」

歩夢「は、はいっ」

願っても無い相手からの提案に驚きを隠しきれず、「は、はひっ」とまるで水波ちゃんのような返事をしてしまう


返事を聞いた霜月さんはクスッと笑い、手を伸ばして私の頭を撫でる

霜月「先程はすみませんでした。少し....熱くなってしまって」

歩夢「いえ....大丈夫....、です」

霜月「ありがとうございます。それでは歩夢さん、また明日」

人から頭を撫でて貰うこと自体かなり久しぶりで、新鮮な気分も時間にすれば十数秒

短い至福の時間を終えると霜月さんは部屋を出た

人の部屋に取り残される他人

防犯とか気にしないタイプの人.....なの?

見られたくない物とかもあるはずなだけどなぁ

真夜さんの書斎にあった完全調整体の資料とかが良い例

そのような物をこれ以上知るのもこちら側に悪影響を及ぼしかねない

「世の中には知らない方がいいこともある」

この言葉に習って、私は誰も居なくなった部屋を出た

ー次の日ー

昨日は世界のリセットや霜月さんの興味深い話を聞く、などの濃い1日だった

そんな濃い1日の次の日、今日はかなり長く感じたこの世界とのお別れの日

世界自体に名残惜しい物は一切無いけれど、霜月さんや深夜さん、そして沙夜さんや千夜さんとのお別れだと考えると物足りない感がある

特に深夜さんーーーお義母様とはもう今後一切話せないと思うと残念でならない

あーあ、もっと色々と話を聞きたかなったなぁ

子供の頃の達也くんとか深雪ちゃん、知っているであろう水波ちゃんが小学生くらいの年齢の時について、お母さんと真夜さんについて、とかとか

しかし、始まりがあれば終わりがあるように、出会いがあれば別れが来る

別れの時くらいは潔く終わって、すっきりした気持ちで戻ろう、2095年に

深雪「歩夢、私はお母様と話してくるから」

深雪ちゃんは現実世界ではもう会えない母の元へ

この場にはお母さんや真夜さんも居るけど、この2人とは現実世界でも話せるからいいとして、霜月さん、沙夜さん、千夜さん、深夜さんとはもう話せない

深夜さんは深雪ちゃんと話しているから後回しにするとして、まずは誰から話そう?


【安価です。誰から話すか
1.霜月(さん)
2.沙夜
3.千夜
安価下。】

>>870 1.霜月(さん)】

.....まず、霜月さんかな

沙夜さんや千夜さんは後回しにしよう

どうして霜月さんを選んだのかは、なんとなくそうしようと思ったから

適当な理由を付けて、霜月さんの元へ

歩夢「霜月さん、お世話になりました」

霜月「私は何もしていませんよ」

歩夢「お母さんを苦しめる問題を解決してくれたのは霜月さんです」

霜月「雪乃さんを助けたのは歩夢さんです」

歩夢「霜月さんが私を30年前に送ってくれなければお母さんの裏に気付けませんでした。きっかけを作ってくれた霜月さんがお母さんを救ったも同然です」

霜月「......はぁ、そういう強引なところも雪乃さんにそっくり」

昨日同様の呆れの溜め息も今回のは苦笑混じりで、圧力をかけられることはなかった


霜月「それはともかく歩夢さん、」

君影雪乃を救った手柄がどちらなのかを濁し、違う話題を繰り出す

霜月「1つだけ注意をさせて下さい」

歩夢「注意.....ですか?」

霜月「はい。1つだけさせて頂きます。今後、様々な問題に直面すると思いますが、無理だけは必ず、絶対しないで下さい」

必ず、絶対

同義語を続けて使っていることからして、霜月さんの本気の度合いが感じ取れる

霜月「無理だと思ったら逃げる。逃げるのも立派な戦法の1つです」

戦術的撤退、ってやつかな?

逃げるのは恥でなく、勝利の機会を窺うためのチャンスを作ること

そんなような事が昔読んだ本に書いてあったような、書いていなかったような


歩夢「分かりました。心に留めておきます」

霜月「困ったら周りを頼って下さいね。雪乃さんも真夜さんも歩夢さんを大切にしていますから、協力を惜しまないはずです」

歩夢「.....魔法師として、ではなく.....?」

霜月「君影歩夢を、です」

私の質問を否定しなかった

霜月さんが「君影歩夢」と言ったことにより、四葉家の使用人として日常を過ごす私も、魔法師としての私も大切にすると言っているようなもの

.....利用されてあげよう

私は四葉の全てとは言えないけど、ある程度信仰している

私が納得する理由を提示してくれるなら、私は四葉のために働く

もちろん、霜月さんの注意を忘れない範囲で

霜月「歩夢さん、それではまた」

昨日に引き続き、霜月さんは私の頭を撫でた

1点、違った点を挙げるとすれば撫でている時間が5秒ほどだった

全く同じだとつまらない、って思ったから....?

それとも、また別の意味があって短かったのか

私がこの理由を知るのも時間の問題.....であることを願う

これでなんとなく、とかだったら少し落ち込む

さてと、それは置いておいて、次は....


【安価です。
1.沙夜
2.千夜
安価下。】

1

>>874 1.沙夜】

次は.....沙夜さんかな

話すことは大体予想つくけど、挨拶は大切

最後なんだし話を合わせてあげようかな

歩夢「沙夜さん、今いい?」

沙夜「......」

歩夢「さ、沙夜.....さん?」

沙夜「......一緒に寝てくれなかった」

歩夢「あ.....」

そういえばそんな約束をかなり前にしたような.....うん、した

一緒に寝なかった事を根に持っているのか.....

最後まで嫌われたままだと後味が悪いし、この問題も片付けておいた方がいいよね


歩夢「何をすれば許してくれるの?」

沙夜「今から私の部屋に───」

歩夢「それ以外で」

沙夜「......じゃあ、ぎゅっと抱きしめて。それならいいでしょ?」

歩夢「それなら....まぁ」

抱きしめるくらいならスキンシップの範疇

沙夜さんが本来望むことは出来ないけど、これくらいならしてあげられる

歩夢「じゃあ、やるよ?」

沙夜「う、うん」

やられる側として、緊張している様子を見せる辺りが少女らしくて可愛い

30年前の深夜さんが見せなかった姿を見れて私は満足

更なる可愛らしい姿を見ようと、沙夜さんを要望通りにぎゅっと抱きしめる


沙夜「えへへ.....」

あまりよく顔は見れないけど、嬉しそう

よくよく考えたら抱きしめると沙夜さんの姿は見れない

.....まぁいっか

ご満足頂けたようだし

沙夜「......ん、もういいよ。これ以上されたら私も恥ずかしいし.....」

第一印象は崩れに崩れ、深夜さんの容姿をしているただの可愛い女の子になってしまった

「〜かしら」とか「〜わね」とか一切使っていないし

正直になるとこんなにも変わるものなのか

沙夜「ね、ねぇ....歩夢? もう放して欲しいんだけど.....」

歩夢「ご、ごめんなさいっ」

離れるように放し、私は2歩下がる


沙夜「歩夢、色々とありがと。楽しかったよ、あの夜は特に。また今度楽しい夜を過ごそうね」

沙夜さんは沙夜さんだった

でも、正直なところが沙夜さんらしくて、個性が溢れ出ていて、TPOを弁えれば自分を隠さずに裏表のない人間で私はいいと思う

歩夢「沙夜さんの手足に手錠、それから半径50cm以上離れてくれればいいよ」

沙夜「私を何だと思っているの.....?」

歩夢「同性愛者」

沙夜「.......じゃあね、歩夢」

反論出来なくなったのか話を切って、お母さんと真夜さんの元へ行ってしまった

さて、霜月さんと沙夜さんの話は終わったから、次は千夜さんと話そう

歩夢「千夜さん、今時間いい?」

千夜「うん、いいよ」

笑顔で受け答えしてくれる姿は眩しく、可愛い

真夜さんもこれくらい笑ってくれればいいのに


歩夢「千夜さん、学校に通うって話は聞いた?」

千夜「聞いたよ」

歩夢「楽しみ?」

千夜「.....微妙。学校がそもそもどんな場所かが分からないから、不安が大きいんだと思う。でも姉さんと一緒なら楽しく暮らせそう」

お姉ちゃん想いの良い妹

容姿が同じでも何処かのプライド高い妹さんとは違うなぁ

あの妹さんもお姉ちゃん想いだけど、素直じゃない

素直か素直じゃないか、でこんなに差が生まれるとは

歩夢「そっか。学校は楽しいから大丈夫だよ....多分」

千夜「歩夢は中学はぼっちで高校は1ヶ月も学校に行っていないんだっけ?」

歩夢「う.....」

千夜「歩夢みたいなスクールライフは送ることないようにしないと」

悪気は無いんだろうけど、的確に深く傷口を抉ってくるなぁ

歩夢「そ、そうだね....気をつけて」

私は千夜さんに苦笑いしか向けられなかった


それが話の区切りになったのか、千夜さんは1つの提案を提示する

千夜「あ、そうだ。歩夢、さっき姉さんにやっていたこと私にもやって」

歩夢「抱擁?」

千夜「抱擁.....? 抱きしめるやつ」

歩夢「それを抱擁って言うんだよ。親しい仲、って意味も込めて」

千夜「へー。じゃあ、抱擁して」

歩夢「いいよ」

私は千夜さんを沙夜さんと同じように、ぎゅっと抱きしめる

千夜「......落ち着く。歩夢、お母さんとしての素質あると思うよ」

歩夢「あ、ありがとう....?」

まだ私、高校1年生の歳なんだけどなぁ

お母さんになるにはまだ早い歳

でも、素質があるのは良い事

子供が出来て、子供が悲しんでいたりしたら抱きしめてあげよう

千夜さんに評価された私の母性本質は果たして通用するのか

また未来の楽しみが1つ増えた

千夜「もういいよ。ありがと」

千夜さんを放し、改めて向き合う

千夜「歩夢、短い間だったけど本当に楽しかった。また色々と漢字とか教えてね」

歩夢「また.....。うん、機会があればいつでも」

もう機会なんてない

でももし、機会があればその時はいくらでも教えてあげる

そんな気持ちを込めて返事をした

千夜さんはもう1度眩しい笑顔を私に見せ、沙夜さんの元へ行ってしまった


えーっと.....深夜さんは....あ、深雪ちゃんとの話も終わってるみたい

歩夢「深夜さん」

深夜「歩夢さん。どうかされましたか?」

歩夢「お別れの挨拶をしようと思いまして」

深夜「お別れ? もう会えないみたいなことを言うのね」

歩夢「え.....? ....会えるんですか?」

深夜「来ようと思えばいつでも来れるわよ。歩夢さんだけじゃなく、雪乃も。ついでに深雪さんや真夜も歩夢さんか雪乃を伝えばこちら側に来れるわ」

これで千夜さんに漢字等を教える機会が出来た

しかし同時に沙夜さんと一緒に夜を過ごす機会も出来た

この世界に手錠ってあるのかな.....?


深夜「歩夢さん、何か困ったことがあれば相談に乗ります」

歩夢「......」

あ、怪しい.....

また何かおまじない関連のことを企んでいるんじゃ.....

深夜「変な企みはありません。これでも感謝しているのですよ、30年前に真夜と仲直りしたことや、雪乃を苦しみから解放してくれた歩夢さんには本当に。些細ですが、お礼として私が出来ることと言えば相談に乗るくらいですから」

歩夢「.....そう....ですか。分かりました、頼りにさせて頂きます」

深夜「あぁ、それと、相談事が無くてもたまにでいいので来て下さいね。遊び相手が学校に行ってしまうと暇になるので」

遊び相手=沙夜さん

うわぁ.....可哀想

歩夢「じ、時間があれば」

深夜「それで構いません」

定期的には来れないかもしれないけど、時間が空いたら来よう

都合良くこちらの世界での1日は現実世界で数分とかになってくれるはずだし


歩夢「それでは深夜さん、また次会う機会まで」

これが最後でないと分かった以上、急いで長話をする必要もない

話を切り上げようとすると、深夜さんが別れの挨拶でない質問をする

深夜「歩夢さん、知った上で聞きます。これからも深雪さんと仲良くしてくれますか?」

深雪ちゃんが調整体と知った今、今後深雪ちゃんと仲良くしてくれるかどうかを深夜さんは母親として問うた

そんな分かりきった質問をする辺りが母親としての優しさが滲み出ている

歩夢「深雪ちゃんは私の友達です」

答え出ない答えを返すと深夜さんはクスッと笑った

深夜「そうですか。それでは、よろしくお願いします。深雪さんに、達也のことも」

母親としての優しさを見せた30年前に姿と何処か被った笑顔を見せる深夜さんと別れ、深雪ちゃんの元へ

深雪「話は済んだ?」

歩夢「うん、終わったよ」

深雪「そう。......歩夢、ここからどうやって戻るの?」

歩夢「えっ.....し、霜月さんがどうにかしてくれ.....」

ゆっくりと視線を霜月さんに向けると、目が合った

霜月「戻りますか?」

歩夢「───はい」

霜月「深雪さんもよろしいですか?」

深雪「───はいっ」

霜月「それでは、まずはお2人から」

霜月さんは右手の人差し指をピクッと動かす

同時に立ち眩みのような物に襲われ、次第に意識が薄れていくのがなんとなく感じられる

しかし、その時間も短く、体感にして約2秒

つまり2秒後に私は意識を失った




ー2095年・11月5日ー

歩夢「ん.....」

ここは.....あぁ、戻ってきたんだ

実感が薄くて、長かった夢と言われても不思議じゃない

歩夢「ん、んー」

背中や手足を伸ばす

約5日くらい放置されていたんだよね、私の体

......っていうことは.....っ!

私は慌ててベッドから出て、部屋の扉を開く

2階の廊下に出た瞬間、深雪ちゃんの部屋の扉が開かれる

歩夢「深雪ちゃんっ、服貸して」

深雪「え、ええ。それは構わないけど.....急にどうして....」

歩夢「.....シャワー....浴びないと」

深雪「.......!」

深雪ちゃんはすぐさま部屋に戻り、クローゼットを物色する

いつも家の中限定で来ている脚とか脚とかが露出されている服を2人分持って、私の手を引く

階段を降りて1階の脱衣所手前の扉で止まり、深雪ちゃんはその場で何かを考え込む

歩夢「どうしたの?」

深雪「お、お兄様にご報告した方がいいかしら.....。ご迷惑をおかけしているはずだし.....」

先に報告するか、後に報告するか

階段を降りる音とかで気付いていると思うけどなぁ

歩夢「私はすぐに済むならどっちでも.....」

考えている時間が勿体無いと言わんばかりに、深雪ちゃんを急かす


【安価です。コンマ1桁
奇数・0:先に報告
偶数:後に報告
安価下。】

>>886 7:先に報告】

深雪ちゃんは顎に手を当てて小さく俯く

次に深雪ちゃんが私に視線を向けるまでかかった時間は20秒

その時間に見合った結論は果たして出るのだろうか

まぁ、2択だから時間に見合った結論も何も無いんだけど

深雪「お風呂に入る前に一声かけておきましょう。そうするだけで気が楽になるわ」

歩夢「わかった」

「一声かける」がどれだけ長い話になるのか

.....5分、ううん、10分くらいは覚悟しておいた方がよさそう

ーリビングー

久しぶりの君影家と四葉本邸の次に見慣れたリビングに入ると、戻ってきた実感云々より、私と深雪ちゃんは1つの事が気にかかる

歩夢「.....事案?」

深雪「お兄様.....こちらの方は.....」

まずソファに達也くんが座っているのは当然で、普通のこと

この点には一切気にかかる部分はない

問題は向かいのソファに座る水波ちゃんと同い年くらいの女の子

......誰?

深雪ちゃんや達也くんのような四葉の血と誰かの血を混ぜたかんじの雰囲気を纏う可愛い女の子は私以上に深雪ちゃんの癇に障った

室温が低下し始める

息を吐けば白い息になる冬ならではの現象が空調の効いた室内で起こるのは珍しい

昔よく遊んだなぁ、1人で

むしろこれ、複数人で遊べるの?

息が白くなる現象を使った複数人での遊びがあるなら聞いてみたいくらいだ

ちなみに1人で遊んだというのは、ただただ白い息を観察し続けるだけ、という簡単なもの

昔は不思議がっていたけど、これって水蒸気が.....関係して何かが起こっているって本に書いてあった


どうでもいい話はここまでにして、本題へ

達也「深雪、落ち着け。この子は俺の───」

深雪「お兄様の......なんでしょう?」

達也「俺の知り合いの娘さんだ。少し訳あって家に居るだけで、変な理由はない」

.....あ、室温が戻ってきた

怒りが収まったのかな

深雪ちゃんの怒りパラメーターは分かりやすい

深雪「そう....でしたか。すみません、熱くなりすぎてしまいました」

この場合は冷たくなりすぎた、だと第三者からすれば訂正したくなるけどあえて訂正しないでおこう

深雪「でも、その子.....」

達也「話は後にして、先にシャワーを浴びてきたらどうだ? 歩夢も早くこの場を去りたい表情をしているし」

深雪「そ、そうですね。....わかりました。失礼します」

一応、聞き分けの良い深雪ちゃんは達也くんの言いつけ通りにリビングを出ると脱衣所に直行する


ー脱衣所ー

歩夢「深雪ちゃん先でいいよ。私は後でいいから」

深雪「一緒に入りましょう。そっちの方が早いわ」

効率的にどうなんだろう

脱衣所で待つか浴室で待つか

大して変わらないと思うけど

ー浴室ー

深雪ちゃんと共に浴室へ

まず最初に念入りに体を洗い、髪をアップにしてお湯に浸かる

その間に深雪ちゃんは髪を洗っている

......髪を洗う姿、というよりは体をジッと目詰めて改めて、司波深雪の体はバランスが取れていて、左右対称だと思った

調整体なのも頷ける

当の本人はまだ知らないようだし、真夜さんもこの事を打ち明けるのはまだ早いと言っていたから勘付かれないように気を付けないと

深雪「.....歩夢、終わったわよ」

髪洗うの早くない.....?

ほんの1分やそこらしか経っていない気がする

または、私が深雪ちゃんの体に見惚れて時間を忘れていただけなのかもしれないけど

代わり、今度は私が髪を洗い、深雪ちゃんがお湯に浸かる

5日もお風呂に入っていないのだから体同様に念入りに髪を洗わなければならない

何回かシャンプーをし、シャンプー後はリンスで髪の水分の蒸発をおさえる

よし、不快感も無くなってスッキリしたし、あとはもう1度湯船に浸かって体を温めよう

歩夢「はぁ.....あったかい.....」

約10分ぶりに浸かる湯船は先ほどよりも温かく感じ、息が漏れる

深雪「歩夢、」

歩夢「ん、どうかした?」


【安価です。話題
1.さっきの女の子について
2.目について
3.その他
安価下。】

>>892 2.目について】

深雪ちゃんは私の顔、具体的な部位を挙げるとすれば自然と碧色となった目をジッと見ている

深雪「何度見ても綺麗ね。.....羨ましいわ」

歩夢「お、お世辞は.....」

深雪「お世辞じゃないわよ。本当に.....」

顔を近づけ、私の目を至近距離で眺める

歩夢「.....もう、いいかな?」

深雪「もう少し見させて。今後碧眼を見る機会なんてそうそうないと思うから」

碧眼を持つ外国の方は昔と比べると減少している(らしい)

日本に国籍を置いている碧眼の持ち主なんて私とお母さんの2人(だと思う)

それ故に珍しく、親しい関係者にその持ち主が居たとなればこのような反応も当然なのかもしれない


歩夢「もう少しだけね」

深雪「ありが....うっ....」

お礼の台詞は最後まで言えずに、深雪ちゃんは頭を抱えて目をギュッと閉じた

歩夢「え、あ.....深雪ちゃんっ!?」

お湯に浸かりすぎて逆上せた?

だとしたらすぐに冷水....は急な温度変化で害を及ぼしそうだからぬるま湯で.....!

私は蛇口に手を伸ばした

しかし私の手は蛇口手前で止められた

歩夢「深雪....ちゃん?」

深雪「私は大丈夫よ。.....歩夢の目を覗きすぎて少し....情報量に耐えれなくなっただけ」


あぁ、そうか

深雪ちゃんのように覗き込めば私以外の人にも実質霜月の目が使えることとなる

見たくないものまで見えてしまう目を本人以外が覗きすぎると情報量に耐えれなくなる

何処まで見たのだろうか

意志で何だって見れたはず

世界を見たい、と思えば世界を見れる

人の心を読みたい、と思えば人の心を読める

この世に在らざるものを見たい、と思えば見えてしまう

能力向上など便利な点も多くあるけど、便利があれば不便がある

その不便というのが深雪ちゃんのような被害を出してしまうこと

分かっていたはずなのに、やらせてしまった

....起きてしまった事は仕方がない

以降、覗き込まれないようにしないと

深雪「歩夢は悪くないわ。私が悪いだけ。気にしないで」

未だに目を手で押さえ、痛みに耐えている

申し訳ないことしちゃったなぁ....



ーリビングー

深雪「それでお兄様、こちらの方は?」

リビングに戻るや否や深雪ちゃんの鋭い視線は謎深き少女へ

達也「さっきも言った通り、知り合いの娘さんだ」

深雪「......分かりました」

まだ納得のいかない表情だが、とりあえず納得した様子で少女へキツく向けていた視線を優しくし、達也くんに向ける

深雪「FLTの方の、ですか?」

達也「あぁ」

お仕事関係の知り合いの娘さん....ね

信頼している人がそういうのだから信じるしかない、といつも言っているが今回ばかりは違う

第一印象通り、どうしても四葉の面影があるように見えて疑ってしまう

四葉の関係者.....分家の方の娘さん?

それも極めて直系に近い誰かの.....

深雪「貴女、お名前は?」

???(少女)「あ、えっと.....」


【安価です。少女の名前
どれくらい重要かって言うと雪乃くらいです
苗字は決まっているので名前だけお願いします
安価は6月14日の23時までで、複数あった場合は独断と偏見で選ばせて頂きます

容姿
髪は肩を数cm越すセミロング(黒髪)
目の色は青
身長は155cm辺り
四葉の関係者と誰かの子のような顔立ちをしている】

五月(さつき)

四姫(しき)

那月(なつき)

>>897 五月(さつき)
>>898 四姫(しき)
>>899 那月(なつき)
3つの案ありがとうございます。
個人的な好みになってしまい、申し訳ないのですが>>899さんの那月を採用させて頂きます。
理由としてはイメージ内での呼び易さ、今後の展開で混ざらない(皐月(5月の旧暦)と五月(名前))などを考慮した結果です】

???(少女)「那月.....です」

意図的なのか、苗字を言っていない

やっぱり知られたくない四葉関係の.....

そういえば次期当主候補が1人増えるって霜月さんは言っていたけど.....もしかしてこの子?

もし仮に那月さんが次期当主候補であったとしたら、自然と優秀な魔法師であることが予想できる

追加で候補に選ばれるくらいだから、最有力候補の深雪ちゃんに匹敵するかもしれない

こうしてあれやこれやと苦悩し続ける私を他所に、あちら側は良い雰囲気で話が進む


深雪「私は深雪よ。よろしくね、那月さん」

言い方を悪くすれば仕返しのように、深雪ちゃんも名前だけを名乗る

しかし那月さんは一切動じず、笑みを浮かべ、

那月「私のことは那月と呼び捨てでお願いします。よろしくお願いしますね、深雪さん、歩夢さん」

わ、私のことも知られている.....

達也くんから聞いたのならいいけど、....いや、あの達也くんが現在進行形で指名手配されている私のことを無闇に話すはずがない

となると、私のことを最初から知っていたという答えが導き出される

四葉関係者でなくとも、それ相応の権力者の族の人間だと証明された

歩夢「よ、よろしくお願いします。那月さん」

なんで私、敬語使ってるんだろう.....

初対面だから、かなぁ


那月「私の方が歳下ですし、」

歩夢「ですし?」

那月「....あ....こほん、私の方が歳下なので、那月と呼び捨てで呼んで下さい」

歩夢「う、うん.....わかった」

歳下であると同時にまた別の理由が共在している

単なる言い間違えだったら私も気が楽になるんだけどね

ついでに、那月さんのことを那月と呼ばなければいけなくなってしまった

人のことを呼び捨てで呼ぶなんていつ以来だろう

生まれて初めてまである

達也「歩夢、1つ頼みがあるんだがいいか?」

これまでずっと黙っていた達也くんが久しぶりに口を開いた

台詞と表情から察するに、安全性は高いようだ

歩夢「聞いてから判断します」

達也「すまない。頼み事というのは、那月を東京案内して欲しいんだ。最近の東京は知らないようだからな」

歩夢「それくらい全然.....あ、」

那月さ....那月に君影歩夢の姿を見られている以上、結城香夜の姿に変わることはできない

リスクが伴うが、このまま君影歩夢で街を歩く

または珍しく頼み事をしてきた達也くんのお願いを断るか

さて、....私は今、迷っている

自分を危険に晒すか謎深き少女を見捨てるか

.......よしっ、

【安価です。那月と街に出るかどうか
1.行く(頼みを受ける)
2.行かない(頼みを断る)

1の場合は君影歩夢の姿のまま外に出ることになりますが、警察に職務質問されるなどのイベントは一切ありません。遊びます
2に場合は....家の中で何かします
安価下。】

1

>>903 1.行く】

歩夢「私でよければいいよ」

って言っても基本は家から出ないインドアなぼっちだから那月さんのような女の子が好むお店とか全然知らないんだけどね

それに、私の土地勘は2095年4月きりなので案内出来るかどうかが不安で仕方がない

半年でどれほど東京が変わったのか

探り探りだけどなんとかなる....かな?

達也「すまないな。お礼は今度させて貰う」

歩夢「きっちりしすぎ。いいよ、これくらい」

私の大人な発言(?)に達也くんは苦笑を漏らした

何かおかしいこと言ったかな....?

達也「だそうだ。よかったな、那月」

那月「.....はい」

達也くんからの問いかけに那月が答えるまで2秒ほどの間が存在していた

那月はあまり良い気でないようだ

嫌われている、とかは無いはずなんだけどなぁ


深雪「じゃあ歩夢、着替えましょう。そのまま外に出たいというなら話は別だけれど」

歩夢「......」

俯き、今の服装を改めて確認してみる

上はともかく、下はスカートとニーハイソックスのみ

秋から冬へと変わる季節の変わり目にこれでは足元が若干寒いだろう

だからと言ってズボンとかパンツはあまり好きじゃないし......

深雪「歩夢?」

歩夢「今行く」

お洒落な深雪ちゃんに任せればなんとかなるだろうと、安心し後を追う


ー深雪の私室ー

深雪「はい」

差し渡されたのは新品のタイツ

確かにニーハイソックス(これも新品だった)よりは寒さを防げるかもしれない

しかし、ニーハイソックス、下着(これも新品。サイズは奇跡的にぴったりだった)、そしてタイツまで貰ってしまった

潔癖面ではこれ以上ない計らいだったが、貰った身としては申し訳ない

帰りにケーキとか買って少しでも恩返しをしておこう

歩夢「ありがと、深雪ちゃん」

お礼を言い、着替え(約1分で終わる)を始める


ー玄関ー

歩夢「じゃあ行ってくるね。何時までに帰ってこい、とかある?」

達也「明日の予定に間に合えばいつでもいい」

明日の予定とは、四葉本邸を訪れること

私のとっては第2の家に帰宅という形になるのだが、達也くんや深雪ちゃんにとっては重大な赴き

家を出る時間が9時だっけ?

一応、明日の朝9時までにここに戻ってくれば良いのだが、流石にそれはないだろう

せいぜい今日の夕方から夜にかけて

それまでで那月を満足させれればいいんだけど

歩夢「うん、わかった。那月、行こ」

那月「はい」

那月の手を握り、司波家を出る

歩夢「まずは....何したい?」

家を出て早速、那月に予定を委ねた

那月「そう....ですね.....」

歩夢「なんでもいいよ。ご飯食べたい、遊びたい、映画見たい、とか」

那月「じゃあ.....」


【安価です。これから行く場所
1.喫茶店(食事)
2.映画館
3.公園
4.本屋
5.その他
安価下。】


>>907で抜けている部分がありました。
すみません.....】

深雪「あ、そうだ。歩夢、はいこれ。叔母様から」

深雪ちゃんの手の平の上には小さな小箱が乗っている

何だろう、と思いながら手に取り、開ける

歩夢「あ.....」

小箱の中に入っていたのはコンタクトレンズとケースだった

お母さん曰く、11月中は強制的に霜月の目にされるとのこと

防ぎようのない現象をカモフラージュするために、コンタクトレンズを付ける

これは血を引いている者が通らなければならない道だと自分に言い聞かせて、恐怖や抵抗を感じつつコンタクトを目に入れる

歩夢「ん.....変?」

深雪「いつも通りだから大丈夫。でも、私としては少し残念ね。せっかくの綺麗な目を見られないんですもの」

歩夢「長く見続けるとさっきみたいな事になっちゃうよ」

深雪「逆に、さっきので短時間なら大丈夫だということが証明されたわ」

歩夢「それはそうだけど.....」

私の詰まった返しに深雪ちゃんはクスッと笑い、

深雪「早く下に行きましょう。那月が待っているわ」

歩夢「そう...だね」

【以上です。】


>>909 2.映画館】

那月「映画、とかどうですか?」

歩夢「映画館...か」

7月に達也くんと行った映画館でいいかな

むしろあそこ以外だと長距離歩くか、電車に乗るかをしなければならない

那月「ダメでしたか?」

上目遣いで向けてくる視線は深雪ちゃんの笑顔同様、惹かれるものがある

惹かれた末、NOがYESになるだろう

今回の場合は最初からYESだったので変化はない

しかし、那月がもし「北海道行きましょう」と言っていれば空港に行こうとしたかもしれない

ちなみに深雪ちゃんが「北海道行きましょう」と言った場合は断ることが可能だ

一緒に居る時間が長いからか、慣れてしまった

那月とも長い時間を一緒に暮らすことがあれば、しっかりとYESはYES、NOはNOと言える....はず

歩夢「ううん、いいよ。映画館はあっちだね」

司波家から見て、大雑把に言えば東の方向を指差し、那月の手を引く



那月「(.....ここまでは話に聞いていた通り、か)」



ー映画館ー

歩夢「見たい映画はある?」

那月「.......」

私の質問は現在公映されている映画一覧表に釘付けの那月さんに届くことはなかった

歩夢「.......」

那月「.......はっ」

ピクッと震えて、我を取り戻す

歩夢「き、決まった....かな?」

那月「歩夢さんが決めるんじゃないんですか?」

歩夢「那月が決めていいよ」

こういう時は年下に譲る(任せる)のが年上の取るべき行動

私も大人になったなぁ

那月「おt....じゃなかった。達也さんに聞いた話によれば交互に決めていくのが歩夢さんとのデートの基本だとお聞きしましたが」

「おt.....」には触れない方が良さそう

.....お豆腐? でもお豆腐が今の話にどう関係しているのだろうか

公映中の映画にお豆腐が出てくる作品でもあったのかな

歩夢「それは同い年の達也くんとだから。....聞き方を変えるね。那月はどの映画を見たい?」

那月「それ、変えた意味ありますか?」

歩夢「あんまりない」

那月「......益々聞いた通り」

歩夢「ん?」

那月「なんでもないです。こちらの話ですから。えっと、映画についてでしたね。じゃあ.....これがいいです」

那月が指差した映画は、


【安価です。見る映画について
1.恋愛(純愛)
2.恋愛(ドロドロしたやつ)
3.アニメ
4.SF
5.ホラー
安価下。】

1

>>913 1.恋愛(純愛)】

1ヶ月ほど前から話題になっていた恋愛映画

『あの名作を生み出したスタッフが再集結! 』

みたいなキャッチフレーズで各メディアに取り上げられていた

スタッフはもちろん、キャストも実力派の方々ばかりで他の映画を寄せ付けない広告具合で私や真夜さんはうんざりする一方で、水波ちゃんは目を輝かせていた

やはり、そういう流行な物には目がない現役女子中学生は凄い

時代の差を感じる(1歳差)

歩夢「それ、何時から?」

那月「13時....あと15分です」

歩夢「じゃあ、急がないとだね」

那月「はい」

歩夢「チケット売り場は.....あそこか」

探すまでもなく、前方にあったチケット売り場で大人1人と中学生1人分を購入する

少し前までは小学生以下、中学生、高校生、大学生または大人、と4つに分かれていたが最近からは高校生と大学生または大人を合わせたようだ

おかげさまですんなりとチケット購入を済ませることが出来た


ちなみに那月は、

那月「自分の分は自分で....いえ、私が歩夢さんの分も.....」

と、お財布を取り出したのだが、私は無視して早々にチケット購入をした

頬を膨らませる那月の頭を撫でて、中学生用のチケットを渡す

那月「ありがとう....ございます」

歩夢「私の方が年上なんだからこれくらい当たり前だよ。ただし、那月がもし今度年下の子と一緒に映画館に来たら奢ってあげてね」

中学生には酷だと承知の上だ

承知の上でありながら、冗談で言ったつもりだった

しかし那月は真面目なのか、

那月「はいっ」

元気よく返事をした

親から頂くお小遣いは限りがあるのに、よく返事出来たなぁ

水波ちゃんのような働いていて、基本屋敷から出ない中学生なら金銭面の問題はほぼ皆無だと思うが、那月はどうなのだろうか

私に読み通り、那月が四葉関係者ならそれなりにお小遣いも貰っているはず

金銭面の心配はほとんど、いらないか

歩夢「那月、何か食べたい物はある?」

那月「いえ、特に」

映画といえば飲み物は当然として、ポップコーンやチュロスなどの軽食が売店で購入して劇場に持ち込むのが一種の楽しみでもある(らしい。私は知らない。.....映画館自体昔兄さんと行ったのと、達也くんと行った2回しかない)

歩夢「なんでも買ってあげるよ?」

那月「.....飲み物を」

歩夢「飲み物だけでいいの?」

那月「はい」

この売店に売っているやつ全部! とか言ってくれたら面白かったのに


....全部でいくらするんだろう

20万円くらい?

払えないこともない(ただし、やるとは言っていない)

歩夢「飲み物は何がいい?」

那月「ミルクティーで」

歩夢「私もそうしよっかな」

と、売店に行こうとすると腕を掴まれる

那月「ダメです」

歩夢「な、なにが.....?」

那月「歩夢さんは糖分や塩分の過剰摂取は絶対にダメです。緑茶にして下さい」

とてつもなく、そんなことを言われる筋合いはない、と言いたい

しかし、那月の目は真面目だった

何か裏が歩夢ることを察し、私はミルクティーと緑茶を買いに売店へ


ー劇場ー

那月「.....」

劇場内をきょろきょろと見渡し、まるで初めて劇場内に入ったような仕草を見せる那月さんに私は苦笑してしまう

那月「お、おかしかったですか.....」

歩夢「ううん、いいよ。でも、周りのお客さんの迷惑にならないようにね」

那月「......お母さんみたいなことを言うんですね」

歩夢「お母さんっていうか、保護者? 一時的な保護者も同然だから」

那月「......」

顔を赤くし、椅子を座り直してスクリーンと向き合った

可愛いなぁ、反応が


ー公映終了ー

名作のスタッフが再集結したということもあって、ストーリーが面白く、演者さんの演技も迫真だった

文句の付け所のない映画に、私は満足した

隣の那月も満足したような表情をしている

劇場、映画館を出た私たちは次何をするか話し合う

歩夢「次は何処に行きたい?」

那月「歩夢さんが決めて下さい。交互に決めましょう」

歩夢「.....わかった」

那月さんを退屈させない場所

まだこの子のことを何も知らないけど、あそこなら満足してくれそう


【安価です。これから行く場所
1.喫茶店(食事)
2.公園
3.本屋
4.図書館
5.その他
安価下。】

4

>>916の 何か裏が歩夢ることを察し → 何か裏があることを察し です。予測変換がアレしました。すみません。

>>919 4.図書館】

ー図書館ー

那月「図書館....ですか」

歩夢「嫌だった?」

那月「いえ、嬉しいです。本は好きですから」

私とお母さんのように、那月のお母さんも読書を趣味としているのだろうか

やっぱり遺伝で趣味とかも重なる物なのかな

那月「歩夢さん?」

歩夢「ううん。なんでもないよ」

那月の手を引き、図書館に入る

はぁ....ここに来るのも久しぶりだなぁ

昔は週1くらいのペースで毎週通っていた

中学1年生になるまではお母さんと一緒に、

中学1年生になってからは兄さんと一緒か、1人か

お母さんを見つけた今、機会があれば誘ってみよう


歩夢「那月さん、好きなだけ見てきていいよ」

那月「はい」

そわそわとしながらも、決して館内を走ることなく、でも競歩くらいの速さで本棚へ

さて、私は....さっき気になった遺伝について書いてある本でも読んでよう


遺伝子に関する本を適当に見繕って、個室へと向かう

その道中で、

那月「歩夢さん、」

那月さんは胸の前で本を2冊重ねて抱えている

可愛い

歩夢「どうしたの?」

那月「個室....ご一緒してもよろしいですか?」

歩夢「もちろん」

私の返事に、那月さんは心の底から喜んでいる表情を浮かべたのは....どうしてだろう


ー図書館・個室ー

歩夢「......」

那月「......」

ペラペラとページを捲る音のみが室内に響いている

現在、霜月の目になっているとだけあって1ページ辺りにかかる時間は3秒ほど

目の前で熱心に本を読む那月も読むペースが早く、私と同様に、常人離れした速さで読み進めていく

私と那月が閉鎖された空間で本を読むと、本を捲る音が絶えない

20分後、

歩夢「.....ふぅ」

那月「はぁ.....」

歩夢「読み終わった?」

那月「はい」

常人を超えたペースで本を読むことができる私と同等のスピードで読み終わるというのは余程読書をしてきたか、本の内容を頭に入れず適当にページを捲っているか

まぁ、後者は無いかな

嘘をつけない子っぽいし


【安価です。
1.那月「歩夢さん、目の色変わりました?」
2.歩夢「那月、本を読むペース早いね」
3.その他
安価下。】

2


>>923 2.歩夢「那月、本を読むペース早いね」】

効率良く、生涯のうちに1冊でも多く本を読めるように努力をしたのか、

努力ではない、コツがあるのか

流石に私のようなケース(特別な目)はないはずのでこの2パターンに大体絞られる

特別な状況下でなければ、那月と肩を並べて本を読み終えれなかったことを胸に、私は少し遠回しに問い掛ける

歩夢「那月、本を読むペース早いね」

那月「そう....ですか?」

那月は照れた様子で、顔を赤く染めた

歩夢「うん。私の知る限り、1番早い」

那月「ご自身、歩夢さんの方が早かったと思いますが.....」

歩夢「そんなことないよ。那月の方が早かった。コツとかあるの?」

那月「コツ.....はありません。普通に読んでいるだけです」

歩夢「ふーん....そうなんだ」

特別な能力、裏技と紙一重のコツ

どちらでもない、速読には素直に驚いた


那月「ただ、1つ挙げるとすれば、私の遺伝子上の母が読書好きだったようなので、それが影響しているのかもしれません」

へぇー、そうなんだ

という感想は二の次だった

まず最初に思ったのは疑問

遺伝子上の母ってどういうこと?

普通にそのまま「お母さん」と呼べないところから、那月は何処かの家の養子として引き取られたということだろうか

那月のお母様が読書好きだということすら忘れて.....ん?

那月の容姿は四葉関係者(それもほぼ直系)っぽい

那月のお母様は読書好き

この2つから導き出される答えは、

歩夢「あ.....」

と、とんでもないことに気が付いてしまった

まさか....深夜さんに隠し子が居ただなんて

この2つの条件を満たす人間は深夜さんしか居ない

となると、那月は達也くんや深雪ちゃんの妹......!

なる.....ほどね

歩夢「......」

那月「あ、歩夢さん....?」

歩夢「あ、ううん....なんでもない。読書、再開しようか」

那月「.....はい」

知らない方が良いことを知ってしまった

私は罪悪感に似たショックから逃れるために、私は2冊目の本と向き合う


ー20分後ー

はぁ....読み終わった

けど、全然内容が頭に入ってこなかった

那月「ふぅ....」

あ、ちょうど那月も読み終わったようだ

深夜さんのように、読むのが早い

歩夢「終わった...なら、行こうか。もうそろそろ閉館時間だし」

那月「もう17時ですか?」

歩夢「うん」

視線の先には個室に設置された電子時計

それは16時50分を指している

那月「急かされて出されるのも嫌ですし、行きましょうか」

歩夢「そうだね」


那月「(....大きな勘違いをされているような.....気のせい?)」


【安価です。
1.喫茶店(休憩)
2.公園
3.本屋
4.司波家に帰る
5.その他
安価下。】

3

>>927 3.本屋】

本を元あった本棚にそれぞれ返し、図書館を後にする

外は冬が近付いているとだけあって、もう既に日が暮れかけている

少し肌寒いし、吐く息も当然白くなる

1世紀前と比べて、第3次世界大戦の影響も手伝って平均的な温度は低くなっているだろう

しかし、1世紀前と比べて変わったのは温度だけじゃない

温度をマイナス面だとすると、プラス面は技術の進歩

魔法だけじゃなく、日用品、産業用の機械、日常で使うかどうか.....、な物まで様々な物が進化している中、当然私や那月が着ている服も進化している

デザインこそその時代特有の流行というものがあるので何とも言えないが、生地や製造方法はやはり変わり、非常に便利な物となった

冬服は、体熱を逃がさず保温し、外気を取り入れない

夏服は、体熱を外に逃がし、外気を取り込む

と、このように技術が時代に見合った進化を遂げている


1世紀前よりも、高性能に進化を遂げているところがポイントだ

そんな日本、世界の産業技術に興味を持ち始めた私を現実へと引き戻したのは那月だった

那月「歩夢さん、決まりました」

歩夢「どこに行きたい? どこでもいいよ」

那月「ではイギリスに」

歩夢「行ける範囲ならね」

那月「.....冗談ですよ。本屋さんに行きたいです。最近の本をあまりよく知らないので」

歩夢「最近の本を知らない.....?」

書店が一軒もないような地方に住んでいたのだろうか

あぁ、そういえば「最近の東京を知らないから」という理由で那月を案内しているんだっけ

昔東京に住んでいたけど、なんらかの理由で地方へと住まいを変えた

私は同じ読書好きとして、同情する


歩夢「本屋さんが一軒もないなんて.....可哀想」

那月「....う、うん...?」

歩夢「那月、どんな本を読みたい? ジャンルを言ってくれればそれに合わせた本屋さんを紹介するよ」

那月「.....じゃ、じゃあ....オールジャンルの本屋さんに」

歩夢「オールジャンル......あそこかな」


ー書店ー

那月「ここ....ですか」

歩夢「うん、ここだよ」

私たちが訪れたのは東京都内でも屈指の本屋さん

敷地面積が1000坪を超えていることで有名で、大きさに比例して取り揃えもよく、余程コアな本や何十年も前に出版された本以外は大体揃うことで老若男女問わず開店当時から人気を博しているとお母さんは言っていた

歩夢「那月、何を読みたい?」

那月「小説を」

歩夢「小説は.....」

入り口から見て、小説は右側

場所を教えようとした瞬間、カツンと音が響いた

歩夢「え.....」

那月が私の説明も聞かずに右側の小説コーナーへと歩き始めたのだ

那月「小説、あっちですよね」

歩夢「う、うん....そうだけど....」

確認を取った那月はそのまま小説コーナーへ


私はそんな那月へと疑惑の視線を向ける

ネットでこの本屋さんのホームページを見れば見取り図で小説コーナーを把握することは簡単

しかし、私はここの名前を教えなかったし、道中で端末で検索をしている姿も見られなかった

つまり、那月はこの本屋さんを知っていると考えるのが自然

歩夢「......」

疑惑の視線は一層に強くなる

その視線に気がついているかどうかは分からない

30年前のお母さんや深夜さん、真夜さんのような手練れなら気付いて気付かぬフリくらい出来る

.....覗いてみるか

目を使えば那月が数秒前、数十秒前、数十分前に考えていたことだって読み取れるし、また、過去の体験全てを覗くことだって可能だ

覗けば、那月が隠していること全てを知れる

私は右手で右目を抑え、目を閉じる

そして、小さく息を吐く

その短い時間で結論は出た

私は疑惑の視線を止め、那月の後を追うように、小説コーナーへと足を運ぶ


那月「(.....話に聞いていたよりも、ずっと鋭い。でも、図書館の閉館時間を知っていたことには気付かなかったようだから.....やっぱり鈍感なの? ただの偶然なのか否か....)」



ー30分後ー

那月への疑惑を断ち切るように、興味のある小説を見繕う

明日からはまた四葉本邸からあまり外に出られない環境が続く

それに備えて、暇を持て余さないようにあれこれと本を手に取った結果、

歩夢「お、重い.....」

ライトノベルくらいの本だったらまだしも、いずれも文庫本でない小説、結構大きい部類に入る本だ

7冊の本を積み上げて抱え、フラフラになりながら無人の機械任せのレジへと運んで会計を済ませる

そしてここで、隣で大きな紙袋に本を詰めている女の子が目に入る

その女の子とは、私が疑惑の念を向けている那月

那月「あ、....歩夢さん」

歩夢「那月、何冊本買ったの?」

那月「7冊です」

出会いが偶然か必然か、なら小説の展開としてポピュラーだが、購入した本の数が一緒だっただけだ

せめて買った本がまるっきり同じでない限り驚くようなことではない

歩夢「7冊....持とうか?」

私のと同様に、内容こそ違えど質量はあまり変わらないはず

こんな幼気な中学生に持たせるのは年上としてどうなのだろうか

自分のだけでも十分すぎるほどに重いが、これも年上としての威厳を保つため

少しの苦くらい、どうってことは.....


歩夢「うぅ.....」

那月「だ、大丈夫ですか?」

歩夢「だい....じょうぶ。これくらい.....」

内心、どうってことはあった、と後悔している

せめて7冊中の4冊とかにしておけば今よりは幾分か楽だったはずだ

しかし、もう今更遅い

このまま....頑張らないと


【安価です。
1.甘味屋(休憩)
2.公園(休憩)
3.司波家へ戻る(ケーキ屋さんに寄っていきます(深雪のご機嫌取り))
4.その他
安価下。】

3

>>934 3.司波家へ戻る】

那月「次はどうしますか?」

時刻は18時

もう既に陽は落ちて、明かりは街灯またはお店の照明頼りの状態

暗い中、遊びに行くのは少し危険だよね

歩夢「帰ろうか。もう遅い時間だから」

那月「わかりました。ですが、その前に1箇所行きたい場所が.....」

歩夢「?」

那月「深雪さんの機嫌取り、です」

あぁ、なるほど

私は快諾した

深雪ちゃんの機嫌を取るためだったら頑張れる

この最大の負担である計14冊の本くらい.....!

それにしても、深雪ちゃんがケーキ好きなのは....達也くんから聞いたのかな?

そうだったらいいんだけど.....

さっきの本屋さんでの疑惑が強く印象付いているせいで、那月へ向ける想いが全てを悪印象に近しいものとなっている

よくないよね、まだよく知らないのに、先入観だけで人を評価するのは


ーケーキ屋ー

那月「深雪さんは変わっていなければ、コレですね」

ショーケースに入れられた数十種類ものケーキの内、那月は即時選択をした

選んだのは、ティラミス

私が最もケーキの部類に入るのかどうか、怪しんでいる一品

確かに深雪ちゃんはティラミスが好きだ

.....どうして知ってるのかなー?

これも達也くんから聞いたという解釈で納得しておけばいいのか、聞くべきなのか

歩夢「はぁ....」

小さくため息をして那月が深雪ちゃんの好みを知っている理由を忘れようとした

しかし、それは失敗に終わり、心地の悪い疑問だけが心の奥底に残ってしまう


那月「達也さんは....深雪さんに譲りそうなので、同じにしましょうか」

達也くんは妹に先に選ばせ、

深雪ちゃんは敬愛している兄に先に選ばせようとする

そのやりとりはどちらかが折れるまで続く

それが長いと知っていてか、那月は同じものを3つ店員さんに注文した

......3つ?

1つは達也くんの分

1つは深雪ちゃんの分

1つは.....私? それとも那月?

歩夢「い、一応聞くけれど、誰と誰と誰の分?」

那月「達也さんと深雪さんと私の分」

歩夢「そ、そう....」

あ、あれ.....私、そんな嫌われるようなことしたかな....


那月「安心してください。歩夢さんの分もしっかり用意してありますから」

コンビニとかのケーキかな?

でも最近のコンビニを侮ってはいけない

ケーキ屋さんに負けないクオリティと味を再現している

そう考えると、別にコンビニのケーキでもいい気がしてきた

コンビニの方が鮮やかだし

味も然程変わらないでしょう

しかし、私が問題視しているのはそこではない

問題とは、私1人が特別だということ

特別、と言うと聞こえはいいが、実際は仲間外れだ

那月....私、何かした?

そんなことを考えている中でも時は動き続け、那月が会計をしている

金額は2000円手前

ケーキ3つにしては高くない?

1つ辺り650円とかそこらになるけど....

ティラミス1つ450円とかじゃなかったっけ?

......?

那月「歩夢さん、行きましょう」

会計を済ませ、ケーキが入った箱を持った那月が私を急かす

凄く楽しそう

だけど、私は.....泣いてもいいかな?


【那月がかなり酷い子になっていますが、歩夢のことを考えた結果ですので嫌いにならないであげて下さい。那月なりに色々と考えています。】



ー司波家ー

深雪「おかえり、歩夢。それに那月」

歩夢「た、ただいま....? お邪魔します」

那月「お邪魔します」

私は司波家とどのような関係なのだろうか

ただいま、と言うべきなのか、お邪魔します、と言うべきなのか

.....まぁいっか

深雪「夕食の準備はもう出来ているから、歩夢たちは座ってて」

そう言い残して深雪ちゃんは軽やかな足取りで階段を上っていった

珍しいことに達也くんは2階の自室に居るようだ

歩夢「那月、座ろう」

那月「.....はい」

ダイニングの4席ある椅子に、肩を並べて座る

歩夢「.......」

那月「.......」

う、うーん.....会話が.....


歩夢「な、なつ.....」

ここでリビングの扉が開いた

気まずい雰囲気が続かなかったのは良い事だけど、名前を呼びかけたところで人が来るのは.....複雑だ

扉を開けたのは深雪ちゃんで、先に達也くんが入ってから深雪ちゃんが入る

しっかりしてるなぁ.....

理想の妹像だ

私も深雪ちゃんのような妹だったら兄さんも私に振り向いてくれるかな

振り向いて、妹としてではなく1人の女として....

歩夢「.....」

那月「あ、歩夢さん.....頭から湯気が.....」

達也「那月、確かにその比喩は物事の例えとして的確ではあるが.....多分、聞こえてないぞ」

那月「少しフィクション的過ぎましたか?」

達也「そういうことを言ってるんじゃなくてだな......」



少し意識を失った時間があったような気がしたけど、気のせい.....だよね?

深雪ちゃんの美味しい手料理(何故か味付けが薄いものばかりだった)を食し、デザートの時間がやってきた

デザートはもちろんさっき買ったケーキ

いいもん、コンビニのケーキでも美味しいから!

那月「どうぞ」

達也「ありがとう」

深雪「ごめんなさいね、那月」

2人はケーキが入った箱からティラミスをそれぞれ1つずつ取る

箱にはティラミスが1つ.....ん? 2つある.....

那月「歩夢さんはこちらをどうぞ」

歩夢「あ、ありがとー」

涙目になりながら、感謝の気持ちを込めてお礼を言う

嬉しい.....嬉しいよ

深雪「那月、いただくわね」

那月「どうぞどうぞ」

それがきっかけで、皆がほぼ同時に備え付けのスプーンでティラミスをすくい、口に含む


うん、美味し......あれ?

甘くない.....

深雪「とっても美味しいわ」

達也「これはどこのティラミスなんだ?」

あ、あれ.....達也くんも深雪ちゃんも普通の反応

この異常に気がついていない.....?

いや、この場合異常なのは私だと考えるべきか

何が違うの.....

私のティラミスと達也くんのティラミス、そして深雪ちゃんのティラミスをそれぞれ見比べて、ようやく気がつく

歩夢「なんか私のやつ....色薄くない?」

全体的に色が薄い

まるで糖分を抑えに抑えたようなかんじ

那月「糖分0%ですから」

しょっぱくないし、甘くもない

そんな不思議な新感覚を味わせてくれるティラミス

それは凄いと思ったけれど、私は.....どう反応していいか分からない

那月は良かれと思ってやっているのだろうか

そういえば映画館でもミルクティーを止めていた

糖分や塩分の摂取を抑えさせて、何があるというのだろうか

私の疑惑の念は、一層に深まった


【那月を嫌いにならないで下さい(震え声)。
結構重要な人物になってくるので....
今はまだ、.....このような役割しか....

安価です。
1.那月が帰る
2.那月と話す
安価下。】

2

>>943 2.那月と話す】

デザートを含めた夕食が終わり、それぞれのブレイクタイムの時間

私は那月を捕まえた

那月「どうされましたか?」

歩夢「さっきの....ティラミスのことなんだけど.....」

那月「美味しくありませんでしたか.....?」

目を潤わせ、見つめられると....くっ.....

歩夢「美味しくなかったわけじゃないよ。私が聞きたいのは映画館でのミルクティーと同じように、私に糖分や塩分を摂取させない理由について。怒らないから、教えて」

可愛すぎる視線に耐え、疑問をぶつけると那月は素直に観念したように、暗い雰囲気で口を開いた

那月「.....歩夢さんの健康のためです」

歩夢「健康? 」

たしかに5日間倒れて何も食べていなかったけれど.....

いや、むしろ糖分や塩分を摂った方がいい

過剰に、とは言わないけど適度に摂るべきだ


那月「多少は摂るべきなのは承知です。しかし、一歩間違えると.....」

そこで那月の言葉は途切れた

一歩間違えれば、どうなるか

体調を崩し、風邪を引くだけで済むのか

深夜さんのような病気面の療養生活を過ごすこととなるのか

それを私は聞き出せなかった

唯一、それを知っている那月には聞けない

那月がどうして私の健康状態を知っているかなんて気にならないほど、今後の自分が不安に包まれる

もし仮に那月が注意ではなく警告をしているのであれば、それに従わなければならない

糖分と塩分.....

おそらく、この2つ以外にも健康面で気をつけるシーンはいくつもある

健康的な1日3食(栄養バランスを考えた)、早寝早起き、適度な運動などの基本的なこと

誰にでも出来る基本的なことを成すだけで、那月が問題視している私の健康状態を改善することは出来るのだろうか

しかし、今の私にはそれを信用する他ない

万が一のことも考えて、意識しておくか



ー1時間後ー

達也「深雪、歩夢。那月を送ってくる」

深雪「那月は都内にお住みなのですか?」

達也「いや、ご両親の仕事の関係でホテルに部屋を取っている」

深雪「そう....ですか。那月、寂しくなったらいつでも遊びに来てね」

那月「ありがとうございます」

達也「那月、行くぞ」

那月「はい。.....歩夢さんも今日はありがとうございました。それに、数々の失礼をお許し下さい。それでは」

一時的な別れは短かった

また会えるのかな

謎に包まれた不思議な女の子

その正体を知る日も、遠くない....といいな



達也「那月、どうだった?」

那月「とても楽しかったです。一緒に本も読めましたし、一緒に肩を並べて歩くことも出来た」

達也「それだけでよかったのか? もっと何か思い出に残るような.....」

那月「ただでさえかなり疑われているんですよ? これ以上疑われたら目を使われてしまいます」

達也「......」

那月「.....そうだ、そういえば大きな勘違いもしているようでした」

達也「勘違い?」

那月「はい。....私が深夜さんの隠し子、みたいな大きな勘違いを」

達也「それは....どうやったらそうなるんだ?」

那月「私の容姿が四葉の人間っぽかったのと、遺伝子上の母が読書好きから判断したようです」

達也「歩夢はすぐ先入観に捉われやすいからな.....。だが、その先入観も忘れて核心に近づく瞬間があるのも確かだ。気を抜いていると正体、バレるかもしれないぞ」

那月「大丈夫です。私が───」

那月「───霜月の血を引いているなんて、思いもしないはずですから」


【安価です。
1.深雪と話す
2.達也と話す(帰ってきてます)
3.自室へ(イベントあり。話進みます)
安価下。】

1

>>948 1.深雪と話す】

歩夢「深雪ちゃん」

深雪「歩夢? どうしたの?」

歩夢「どうって訳でも無いんだけど.....なんとなく。隣、いい?」

深雪「いいわよ」

2人用のソファの隣に腰を下ろし、一呼吸つく

わざわざ隣を選んだ理由は....これもなんとなく

歩夢「......」

深雪「......那月のことで聞きたいことがあるんじゃないの?」

歩夢「ば、バレてる.....超能力者?」

深雪「一種の超能力者ではあるけれど、人の心は読めないわよ。お母様や叔母様は超能力ではない、読心術を身につけているようだけど」

歩夢「30年前もたくさん読まれちゃった。あの2人、出会い早々にお母さんに似てるとか言うんだもん。あー、怖い怖い」


深雪「.....歩夢、熱でもあるの?」

歩夢「熱?」

深雪「いつもより身の内をさらけ出しているようだから。少し前の歩夢が言わないようなことも言っているし」

歩夢「.....こほん。あら、そうかしら? 私はいつも通りだと思うけど?」

深雪「......」

歩夢「せ、せめて似合わないとか言って。無言になられると怖いから....」

深雪「いえ、言わなかったというより、言えなかった、が適切ね。いつもの歩夢だと似合わなかったかもしれないけど、今の歩夢なら雰囲気がそれらしいわ。私はその言葉遣いでも良いと思うわよ」

歩夢「.....機会があれば」

多分、悪ふざけの時以外は無いだろう

または、真夜さんが30年前に深夜さんがしたように、私を何処かのパーティ会場に送り込んだりしない限り


深雪「楽しみにしてるわ。それで、本題だけれど、歩夢は何を聞きたいの?」

歩夢「那月について。深雪ちゃんはどう思った?」

深雪「不思議な子だと思ったわ」

歩夢「もう少し具体的に」

深雪「歩夢や雪乃さんに雰囲気が似ていたわ。目の色も青かったし。.....ねぇ、本当に霜月の血を引いているのって雪乃さんと歩夢だけなの? 私は....あの子、かなり怪しいと感じたわ」

深雪ちゃんの意見は私とほぼ真逆で、那月は霜月の関係者だと睨んでいる

身近過ぎて気付かなかっただけで、那月は私やお母さんにも似ていたのか.....

益々、那月へと疑惑は深くなり、深くなればなるほど真実は霧のような物に閉ざされる

歩夢「私とお母さんの2人だけ。お母さんの両親は既に亡くなっているから、その線はないと思う」

深雪「.....考えたくはないけど、雪乃さんが綾人さん以外の.....」

歩夢「それはない。お母さん、純愛だから」

深雪「歩夢が言うと信憑性が薄いわね。.....でも、歩夢がそうなら雪乃さんもそう。つまり純愛ね」

歩夢「ど、どうやったらその結論が出るのか.....。過程を知りたいです」

深雪「歩夢、純愛じゃない」

歩夢「そんな単純な女じゃないよ! 私だって──」

深雪「私だって?」

室温が急激に下がる

やば.....撤回しないと、私の生命が危うい


歩夢「私だって....そう、深雪ちゃんと同じように達也くんに惚れた女だから......」

深雪「だから、....なに?」

歩夢「だから....えっと.....そういえば達也くん、」

深雪「......」

氷の眼差しを向けられ、背筋がゾッとする

仲が良いだけ、尚更怖い

歩夢「.....私は単純な女です」

深雪「そう」

室温が徐々に戻り始める

数秒後には元の室温へと戻り一段落が着く

深雪「那月のことだったわね。歩夢と那月が外に出てから私も改めてお兄様に聞いてみたのだけれど、FLTの職員の娘さんとの一点張りだったわ」

歩夢「....そっか」

私は図書館で気付いてしまった

那月が、深夜さんの隠し子だと

しかし、深雪ちゃんの意見を反映すればその予想は的を外れている

深夜さんは四葉の人間であって、霜月とは家の上下関係でしかない

では一体、どうして四葉の容姿と霜月の容姿を兼ね備えているのか

......分からない

せめて深夜さんに3人目の子供が居るかどうかさえ分かれば少しは進展があるんだけど

明日、都合の良いことに真夜さんのところに帰るし、その時に聞いてみるか

それしかないもんね

これ以上考えても、無駄無駄

さて、と

この後はなにしよう


【安価です。
1.引き続き深雪と話す
2.達也と話す
3.自室へ(イベント(強制です。歩夢方面でなく、真夜方面であります。)。11月6日になります)
安価下。】


>>953 2.達也と話す】

何をしよう、と思った直後深雪ちゃんがソファから立ち上がった

歩夢「ど、どうしたの?」

深雪「お兄様が帰ってくるわ」

あぁ、そういえば50m圏内に入れば感じ取れるんだっけ

ちなみに達也くんはいつでも何処でも深雪ちゃんの状態が分かるらしい

一種のストーカーと言い換えてもいいぐらいだが、されている側、つまり深雪ちゃんはそこまで気にしていないようだ

むしろ、見て貰えて嬉しいと過去に聞いたのは恐らく聞き間違え

流石にプライベート中のプライベートはね....

例えそれが婚約を結んだ達也くんでも、兄さんでも変わらない

話を戻して、深雪ちゃんは帰ってくる達也くんを出迎えに玄関へと向かった

私は.....彼女としてというより、お邪魔している身としてこの家の主人を迎えよう

「おかえり」くらいしか言えないけど、マナー的には出迎えないよりは出迎えた方がいい


数分後、

深雪「おかえりなさいませ、お兄様」

歩夢「おかえり、達也くん」

宣言通り、達也くんはすぐに帰ってきた

もちろんここを出る時に居た那月は居ない

那月を送ったのだから、これでいい

達也「ただいま」

深雪「お荷物、お持ちします」

達也「いや、いいよ。深雪はコーヒーを淹れてくれ」

深雪「畏まりました」

「いえ、お荷物をお運びした後にコーヒーを淹れます」などと逆らわず、従順に従った

深雪ちゃんはキッチンへと移動し、玄関には私と達也くんだけが残る


歩夢「......那月のこと、教えてって言ったら教えてくれる?」

良い機会だと尋ねてみるが、達也くんの返事は深雪ちゃんの時と同じだった

那月に聞くのは躊躇われる

達也くんは教えてくれない

八方塞がりが証明され、私は今度こそ諦めた

達也「歩夢、色々と大変だったようだな。深雪から大体聞いた」

那月のことを除けばやはりこの話になるのか

歩夢「大変だったけど楽しかったよ。深夜さんが息子さん想いだったことも知れたし」

達也「それは初耳だな.....」

歩夢「嬉しい?」

達也「俺にはそういう感情がないことを知っているだろ?」

歩夢「でも少しは感じるんでしょう?」

達也「......どうだろうな、自分でも分からない。嬉しいのかもしれないし、嬉しくないかもしれない」

歩夢「曖昧だね。まぁいいけど」

達也「随分と諦めがいいな。その変化もあちら側の世界で身についたのか?」

歩夢「そう....かも。本当に色々なことがあったから整理が追いつかない」

達也「そうか。後で話を聞かせてくれ。深雪から見て、ではなく歩夢から見て、の話も聞いてみたいからな」

歩夢「私でよければ。ただし、結構長くなるよ?」

達也「構わないよ。その長い時間、歩夢と過ごせるなら本望だ」

歩夢「なっ.....も、もう!」

達也「冗談だ」

そう言って達也くんは私の隣を抜け、2階へと繋がる階段を上る

その後ろ姿を私はキッと睨み、小さく愚痴を吐く

歩夢「ばーか」


【安価です。
1.自室へ(イベントとか次の日とか)
2.達也と話す
3,深雪と話す
安価下。】

3


>>957 3.深雪と話す】

達也くんとの短い会話が終わり、これからどうしようかと玄関で考える

明日は真夜さんのところへ、私の第2の家へと帰る日(住んでいた日数的に、1番はもちろん君影家。2番が四葉本邸で、3番が司波家)

本来ならば準備をしなければならないのだが、生憎持ってきた物はお財布と携帯端末、そしてCADくらいだ

数時間前に買った7冊の本を含めても、一般的な旅行以下の荷物

したがって、明日へ向けてすべき準備は無い

楽をできるのは大変喜ばしいこと

しかし、やる事が無いというのも人間として退屈だ

達也くんは私室へ、深雪ちゃんはコーヒーを淹れている

私が2人にしてあげられる事は今のところ、おそらく存在しない

私はいつまで経っても無力なのだ

友達2人のためにしてあげられることはあるのか

唯一深雪ちゃんにしてあげられそうだった、深雪ちゃんと達也くんの婚約も私の存在のせいで破棄されている

せっかくそれらしい十分な理由があるのに深雪ちゃんは自分が望む最大の幸せを掴み取ることが出来ない

達也くんも深雪ちゃんと結婚しろと言われれば、まず断ることは絶対に無い

そこで断れば実の妹を傷つけることになるし、一族(主に現当主様)から反感を買うだろう

私は無力でありながら、2人の幸せを邪魔する疫病神


そんな疫病神に対して、

深雪「歩夢? どうしたの、そんなところで」

こうして気遣ってくれる深雪ちゃんこそ、本当の、真の意味での友達なのかもしれない

これが深雪ちゃんでなく達也くんでも、同じようなことを言っていた

2人は私を邪魔だと思ってない

2人は私を疫病神だと思ってない

つまりこれは、私が自分に抱いているネガティヴな思想

はぁ、もう、馬鹿馬鹿しい

歩夢「なんでもないよ。少し、ぼーっとしてただけ」

深雪「そう? それならいいのだけれど.....」

歩夢「それよりもコーヒー、冷めちゃうよ。早く達也くんに届けてあげて」

深雪「そうだった。歩夢、リビングで待ってて。少し話しましょう」

歩夢「.....うん」

私のカウンセリング担当は、そう指示した

断れなければ、断る理由もなかったので承諾

深雪ちゃんと入れ違いに、私はリビングのソファへと遠慮無しに自宅のような感覚で腰を下ろした



数分後、深雪ちゃんが階段を降りてきた

階段を降り、リビングからキッチンへ

そしてまた数分後に2人分のティーカップとソーサー、それから注口から湯気の出たティーポットをおぼんに乗せ、バランス良く運ぶ深雪ちゃんがどうしてか危なっかしく見えたので立ち上がる

深雪「歩夢は座ってて。これくらいいつものことだから大丈夫よ」

歩夢「......使用人にやらせる、とか思わないの?」

『友達』という対等な関係でなく、次期当主候補とその一族の使用人とではかなりの差が生まれる

当然、お茶汲みだって例外じゃない(むしろそれが使用人の仕事みたいなところがある。あくまで、真夜さんの近くで働いた経験での話だけど)

深雪「歩夢は友達よ。対等な関係。だからやらせる訳にはいかないわ」

歩夢「じゃあ、私以外の人だったら?」

深雪「本当は自分でやりたいところだけど、そうもいかないでしょうね。自分で紅茶すら淹れられないのが苦しいところよ」

お嬢様って大変なんだなぁ、と改めてしみじみと思う

お嬢様はお金の心配をする必要はない

しかし、嗜みとしての習い事や自分より下の人間の扱いを強制的に学ばされる


それを受けた、受けている深雪ちゃんは紛れもないお嬢様

四葉の特殊な独特な方針で、こんな風に兄妹の2人暮らしが出来ていなかったらお茶を自ら淹れる機会なんて無かった

私も一応お嬢様の部類に入るそうだが、私がお嬢様として扱われるのは一昔前

もし今も私がお嬢様扱いをされていたなら、深雪ちゃんの気持ちを共有出来るかもしれない

まぁ、こればっかりは諦めるしかないんだけど

それとも、私が『霜月』の名を世界に轟かせる?

ふふ、それも面白そうだけど、結果に興味があるのであって、始めるのには興味ない

深雪「歩夢?」

歩夢「なんでもない。それで、話ってなに?」

深雪「えっと....」


【安価です。
1.明日について
2.30年前について
3.特に話すことはない(ただ一緒に居たいだけ)
4.その他
安価下。】


>>962 2.30年前について
自室に行ってからやろうと思っていたイベントが都合良いので、途中に挟みます】

深雪「歩夢が体験した30年前について、当たり障りのない範囲で教えて」

普通に教えるだけなら簡単だった

しかし当たり障りのない範囲で、となると少し難しい

歩夢「具体的にはどの辺り以外を話せばいい?」

深雪「歩夢が私に教えたくないこと以外」

話せないことは、雪乃さんの裏と初めて遭遇した時に感じた絶望、失望

お母さんが人格の裏とはいえ殺人を平然としていたのは、口が裂けても言えない

あとは.....深夜さんが私にセクハラしてきたこととか?

いくら30年前とはいえお母様が友達にセクハラしていたと知ればショックを受けるだろう

話すべきでない件はこの2つ

逆に、この2つ以外は話しても良い

よしっ

歩夢「まず、目を覚ましたら真っ白な部屋に居て・・・」


歩夢「それで、家を借りる代わりに仕事をすることになって、まぁその仕事の内容は敵組織を壊滅すること....あ、私は全員気絶させてたよ? と、パーティ会場に潜入したり。特にパーティは権力者が集まるだけあって、楽しかった。色々と面白いお話を聞けたし」


歩夢「具体的な事は話せないんだけど、お母さん.....雪乃さんの裏を知った私は深夜さんと真夜さんと───



ーその頃、旧長野県と旧山梨県の県境の1つの村ではー

真夜「.......」

四葉真夜の視線の先には彼女の友人である君影雪乃、そしてその娘の君影歩夢と容姿、雰囲気が似ている女性がベッドで4年間もの長い歳月、ずっと目を覚まさない

しかし真夜は彼女が目を覚ますことを知っている

単なる予想や勘でなく、それが答えなのだ

人々から畏怖された一族の当主が畏怖する上家の何代も前の、現在の日本を作ったと言っても過言でない霜月家当主が仕組んだことなのだから

4年前、彼女は事故に遭い、命を落としかけた

本当の意味で生死の境を彷徨っていたところを霜月に助けられた

真夜にとって彼女は恩師

真夜だけじゃない

深夜や雪乃、綾人の恩師でもある

???「......ん」

彼女が小さく目を開けると同時に30年前を改めて思い出す

真夜「っ.....そういうこと....」

彼女は雪乃の裏表を固定する魔法を作り上げた天才

彼女は、

真夜「お久しぶりです、先生」

先生「......」

本来、自分が居るべき場所に戻ってきた



ー司波家ー

歩夢「うっ.....」

深雪「歩夢? どうしたの?」

歩夢「いや.....もう大丈夫」

あの一瞬、激しい頭痛が私を襲った

何かを思い出した

しかし当然のことであり過ぎて、何を思い出したか分からない

30年前に関することだったと思うんだけど.....

歩夢「.....ごめんね。えっと...どこまで話したっけ」

深雪「雪乃さんの裏を知った歩夢とお母様と叔母様が、まで」

歩夢「あぁ....えっと、で、学校の担任の先生が私たちに協力してくれて.....」

深雪「一般の方が協力してくれたのっ?」

歩夢「ううん、その先生はお母さんのお母様と先輩後輩の関係だったらしい」

深雪「そう....ならいいんだけど....」

歩夢「そして、その先生が魔法を作ってくれた」

深雪「その先生は魔法技能師なの?」

歩夢「自称天才の先生」

深雪「自称天才.....?」

歩夢「うん」

深雪「でもお母様や叔母様はあの魔法に自信を持っていたから....正真正銘の天才なのかしら?」

歩夢「さぁ?」

天才の境目が分からないからなんとも言えない

ただ単純に筆記テストで満点を取れば天才になれる訳じゃない

魔法技術をかなり進歩させたトーラス・シルバーを天才の基準とするなら、先生は一歩か二歩劣っている


しかし先生とは2週間ほどの付き合い

まだ先生が本気を出していないだけで、実はトーラス・シルバーを凌駕する天才なのかもしれない

深雪「.....それで、その後は霜月さんのところに戻ってきたのね」

歩夢「うん」

深雪「.......」

歩夢「...羨ましい?」

深雪「私は今の生活に満足しているから....でも、少し羨ましいわ」

羨ましがられた

それが私にとって、非常に嬉しい


【安価です。この後
1.自室へ(明日になります)
2.話を続ける(明日について)
2.話を続ける(その他)
安価下。】

2


>>967 2.話を続ける(明日について)】

歩夢「ところで、明日って何時に家を出るの?」

明日は真夜さんから呼び出されている日

どうして当主様自らの呼び出しを受けているのかというと、10月31日に達也くんが世界的な事件を引き起こしたことが大きく関係している

10月30日、論文コンペの日に大亜細亜連合からの攻撃を受け、それを退いた私たちだったが、侵攻軍の全滅を成した訳ではなかった

しかし日本としてはやられたのだからやりかえす、とでも言わんばかりなのかどうか、敵軍の逃げた先の鎮海軍港を達也くんが戦略級魔法『マテリアル・バースト』で消滅させた

世界中に魔法がどれだけ重要なのかを証明し、同時に日本が五輪澪の深淵以外の戦略級魔法を抱えていることを知らしめた一件

深雪「朝の9時に駅に迎えを頼んだわ。だから8時30分くらいに出る予定」

歩夢「了解」

私はいつも通りの時間に起きて、準備をすれば間に合う

子供みたいな夜更かしのし過ぎで寝坊することもないだろうし、安心して明日を迎えればいい


【安価です。
1.自室へ(少し咲夜と話します。明日になります)
2.深雪「歩夢、紅茶冷めてない?」
安価下。】

1

>>969 1.自室へ】

深雪ちゃんに淹れて貰った美味しい紅茶も飲み終わり、夜も暮れてきた頃、

深雪「そろそろ寝る準備をしましょうか」

高校生の年齢の私たちにとって今の時間は寝るには少し早い時間

しかし、万が一明日寝坊でもしてしまったら無言の圧力で叱られるだろう

それに、深雪ちゃんには日帰りにしても準備があるだろうし

寝る準備には明日の準備も含まれている

手伝ったほうがいいのかな....?

歩夢「手伝えることがあったら言ってね」

深雪「手伝えること.....。寝る準備に手伝えることなんてあるかしら?」

歩夢「明日の準備、とか」

深雪「それはもう済ませてあるわ」

用意周到だなぁ

思っていたよりもずっとしっかりしていた

義理の姉としては残念

もっと手のかかる妹だったら性格面が可愛らしいのに


深雪「それじゃあ歩夢、片付けるから」

歩夢「これくらい私にやらせて」

深雪「でも、」

歩夢「居候の身なんだから、ね?」

深雪「....お願いするわ」

歩夢「うん」

って言っても現代ではHAR(Home Automation Robot)という食器洗いはもちろん料理も作ってくれる(味気のない物になるのでお母さんや真夜さんは嫌っている)

そのHARを使用するので、実質ティーカップやソーサー、ティーポットはそこまで持っていくだけの簡単なお仕事

深雪「歩夢、よろしくね」

そう言って深雪ちゃんはリビングを出る

残った私は食器をおぼんに乗せ、キッチンへと運ぶ

あとはHARのスイッチを押して、

歩夢「よし」

自動的に食器を洗ってくれる

約束はものの数十秒で終わった

さてと、私も部屋に戻って、寝る準備をしようかな



ー自室ー

明日の準備(荷物を一箇所にまとめる)、寝る準備が終わり、私はベッドに入った

もういつでも寝られる状態にし、あとは眠気が訪れるのは待つ

何かしている時より、ずっとこうしていた方が眠気に襲われるのが早い

歩夢「......」

特に何も考えず、無心で目を閉じて眠気を誘うが、なかなか訪れてくれない

少し読書でもして時間を経過させるか、と思ったところで精神に直接声がかけられた

もちろん、その人はお母さんのような1人の人間から生まれた2つの人格ではなく、2人の人間が合わさって出来た2つの人格



どうしたの?

ーーーーーーーーーーーー少し聞きたいことがあるんだが、今いいか?

今、私が暇なことくらい貴女が1番よく知っているでしょ

私の考えていることは全部貴女に筒抜けなんだから

ーーーーーーーーーーーー.....1つだ。それが終わったらすぐに私は引っこむ

別に遠慮しなくてもいいのに.....

ーーーーーーーーーーーー質問。さっき深雪と話していた歩夢が『先生』と呼ぶ人間のことだが、その人の特徴を教えてくれないか?

......理由、聞いてもいい?

ーーーーーーーーーーーー聞かないで貰えると助かる

わかった

えっと、先生について、だね

先生の髪は黒髪で目が青くて....今になって気がついたけど、お母さんに似てるかも。偶然....?

ーーーーーーーーーーーー......その人は何か言っていなかったか? 名前とか

名前は聞いてないなぁ

でも、先生は記憶喪失だったみたいだから、その名前も偽名

ーーーーーーーーーーーー記憶喪失....そうか。わかった、ありがとう

もういいの?

もう少し具体的なこと聞いてもいいんだよ?

ーーーーーーーーーーーーいや、いい。もう十分だ

.....そう




ここで、あの子との会話が終わった

どうしてあの子が先生を気にしたのか、それは謎のまま

寝るまでの短い時間、そのことのついて考えることも出来たが、私の考えは全てあの子に伝わっている

これ以上の詮索は、あの子の機嫌を損ねてしまうかもしれない

私は、感情を無にして、考えるのをやめようと、見えない努力した


【安価です。四葉本邸へと向かう最中。コンマ1桁
奇数:襲撃を受ける
偶数:無事到着
安価下。】

てい


>>975 1:襲撃を受ける】

ー11月6日・8時30分ー

聞いた話によると、いつもは小淵川駅で待ち合わせをしているらしいが、今回はそこよりも司波家の最寄り駅で待ち合わせをしたようだ

その理由は不明

しかし、事件が絡むような危険なことではないと達也くんは言う

無事に辿り着ければいいんだけど




ー8時50分ー

律儀に、迎えの車は既に到着していた

やはり次期当主最有力候補を出迎えるとだけあってのことなのか

運転手さんは本邸で何度かお話をさせて頂いたことのある、元々軍に所属していた方

深雪ちゃんには笑顔を振りまき、達也くんへは無機物を見るような目をしているところから察するに、軍は軍でも直接的な戦闘の役割は担っていないと予想できる

実践的な役割を与えられている者は達也くんを認め、

逆に実践的な役割を与えられていない者はただの出来損ないだと、この人のように邪険に扱う

不機嫌さをわざと隠さず、私は助手席に座った

この運転手さんからしても隣が出来損ないだと疑っている人なのは嫌だろうし、それでこちらまでが被害に遭うのは御免だ

深雪ちゃんを助手席に座らせる訳にはいかない

だとしたら自然と、私が助手席となる

運転手さんが深雪ちゃんに出発の合図をし、深雪ちゃんが達也くんにアイコンタクトを取って、返しの合図を出す

それと同時に車は動き出した



四葉本邸は旧長野県と旧山梨県の境の登録されていない1つの村にある

そこは見掛け上の民家、学校、警察署など街や町とはやはり差のある歴とした村で、誰がどう見てもあの四葉の本拠地だと疑う者は居ないだろう

そんな見掛け上の村へと行く途中、奇妙な体験をすることとなった

運転手「.......?」

旧長野県に入り、山道を通る途中でプロの運転手が首を小さく、深雪ちゃんにバレないように首を傾げる

しかし残念なことにそれに深雪ちゃんは気がついた

深雪「どうかされましたか?」

深雪ちゃんからの問いを受け、車は停車する

運転手「いえ、少し.....」

深雪「.....歩夢」

歩夢「ん、」

私は霜月の目を使う

常時目が碧色になるには避けられないが、効力の制限はかけられる

人の感情やこの世に在らざるものを見まいと今の今までかけていた制限を解き、運転手さんが首を傾げた理由を探す

全体を見るのではなく、とりあえず前方だけを視ると、違和感を見つけた


歩夢「......この先、行き止まりのようですが」

深雪「.....どういうことですか?」

運転手「私にも分かりません。この山道は一本道。入り口までは合っていたはずです」

入り口までは正しい道だった

それに、この山道は一本道

迷うはずがない道を迷った

考えられる線は、

達也「歩夢、」

歩夢「もう探してる」

この近辺に道を作った幻術使いを探す

半径100m、半径200m、半径300mと視界を広げて隅々まで探すが人間どころか生物の反応すらない

.....ん? 生物の反応すら.....?

いくら冬が近づいているとはいえ、冬眠には早い

もし仮に冬眠の時期だたっとしても呼吸反応すら見られないのはおかしすぎる

歩夢「入り口まで戻って下さい。この山道は入り口から幻術でした」

私たちがどこの上を走っているか分からない以上、術式解体は使えない

となると、入り口まで戻るのが最も早い

しかし、入り口よりも先まで幻術で作られているとなると、厄介なことになる

私のことは信用してくれているらしく、運転手さんはすぐに引き返した


数分後、入り口まで戻ってきた

そこで車を降りて、改めて周囲を見渡す

これだけの幻術使いは相当な手練れなのは確かだが、必ず近くに居るはずだ

意識を集中させ、1度目を閉じる

何度か深呼吸をし、目を開いた瞬間、雨粒が私の髪を濡らす

深雪「雨っ?」

今日の天気予報は全国的に快晴

降水確率0%だったはずだ

それに加えて現代の天気予報は100発100中

100発100中に降水確率も何もないはずなのだが、都道府県でなく地域的に見ると多少の差が出てくるらしい

話を戻すが、雨が降ってきた

小粒が少量、そしてすぐに大粒が多量に

歩夢「幻術にしては.....リアル過ぎない?」

私の隣に立ち、雨を気にせず全方面を見渡し続ける達也くんに呼びかける

達也「あぁ。これは現実でなければ幻術でもない、別の何かだ」

達也くんにしては珍しく曖昧な応えだったがこれ以上のことは使用者以外分からない


歩夢「....とりあえずこのままだと風邪引いちゃうから車の中....は駄目か」

車内に入るだけで直視的な視界は狭くなる

霜月の目を使っている限り直視的な視界は関係ないが、もしものことがある

もしもに備えるのがガーディアンの役目だ

今は真夜さんの補助役でなく、司波深雪のガーディアンとして、私はここに居る

この場から逃げるわけにはいかない

車内に逃げ込むなど論外だ

問題点である体温の低下も魔法を使えばどうにでもなる

歩夢「やろうか?」

達也「自分の分だけやってくれればいい」

自分の体温だけ調整すればいいと言われてしまった

遠慮しているのか、戦闘が始まった時に体温調節の魔法を使ったまま魔法を使うのを心配しているのか


体温調節くらいCADを使わなくても使え.....?

達也「歩夢?」

歩夢「あ、ううん....なんでも....なくない」

達也「なくない....つまりあるんだな?」

歩夢「.....うん」

達也「何があった?」

歩夢「魔法が使えない」

達也「.....CADは?」

歩夢「やってみる」

汎用型CADを取り出し、体温調節の魔法を自分にかける

すると、

歩夢「使えた」

達也「この空間が魔法を使えなくしてるって訳ではないか」

考えられるのはここ数日この世界で一切魔法を使っていなかったことが原因なのか、CADを使わない魔法はこの空間で使用されないのか

それはともかく、先に術者を見つけないと

もう1度意識を集中させ、生体反応を探す

すると、今度は簡単に1つの反応が引っかかった

道路の先に、直視できる1つの影がある


歩夢「誰.....?」

その人は沙夜さんや千夜さんが着ていたような黒いロングコートを纏っているため、せいぜい分かるのは体格くらい

体格的に.....女性?

それも、私や深雪ちゃんくらいの体型だ

同年代(だと思われる)でこれだけの特殊な幻術魔法を持っている女性となると一気に絞られる

???「君影歩夢.....霜月.....」

この人は私どころか、数少ない十二師族を知る者

どういう経緯で私のことを知ったのかを問い詰めたいところだが、そんな余裕もないようだ

彼女は何処からか1本の日本刀を取り出している

ん? あの日本刀何処かで見たことあるような....

???「社会的には抹殺できなかったようね。だったら人間的に抹殺するだけだけど」

歩夢「社会的ってどういう....いっ」

私の目の前を刀の先が通った

???「外したか.....運の良い女。あぁ、霜月は運が良いんだっけ? あの時も霜月だけが無害で済んだようだし」

歩夢「話を....聞いてくれない....ようね」

???「私だってこの1年で変わった。もう、殺す機会を逃さない」

もう殺す機会を逃さないって....1回殺されかけたことがある?


黒いロングコート

日本刀

1年前に私を殺そうとした

この3つのヒントで私は思い出した

中学の修学旅行で京都に行った時、この人に襲われたことを

予期せぬ偶然か必然かの雪辱戦だ

歩夢「達也くんは下がってて。この人は私がやる」

達也「......わかった」

達也くんは一歩下がり、勝負を譲ってくれる

私は負けられない

負ければ短く、波乱な人生もここで終わる

もし死ななかったとしても、カッコ悪い姿を見せることとなる

歩夢「私はいつでも構いません」

???「.....君影歩夢、残念だけれどもう勝負はついているわ」

歩夢「......?」

???「ほら、後ろ」

これが敵の罠かもしれない

しかし、彼女は罠などという姑息な手段を使うような人間には見えなかった

振り向いている時に不意打ちはないと決めつけ、後ろを振り向く


歩夢「っ───」

私は息を飲んだ

そして、手に持っていたCADを捨てた

歩夢「深雪ちゃんっ!」

目先には大量に血を流している深雪ちゃんが居る

車の座席には深雪ちゃんの血が大量に染みている

深雪「あゆ....め.....私は大丈夫だから.....」

今にも意識を失い、死に至そうな深雪ちゃんを見捨てることはできない

???「ほら、貴女が無力だったせいでこうなった」

声は真後ろから聞こえた

そして、首筋には冷たく血と雨で濡れた鉄の感触

???「そこの運転手も、四葉深夜の息子も、娘も殺した。あとは貴女だけ」

歩夢「......許さない。....貴女だけは絶対に」

???「ふぅん。じゃあ殺してみる?」

首筋に当てられていた鉄の感触が消える

私にチャンスを与えてくれたということだろうか

だったら、後悔させてやる

私の全力を持って、この人を殺す


歩夢「......」

???「......興醒めね。冷静を失っている今の貴女に勝っても我々の復讐は達成されない」

???「じゃあね、霜月.....君影歩夢」

歩夢「待っ、」

直後、視界がグニャりと歪む

しかしその歪みはすぐに消え、元通りとなる

そして、肩に手が置かれる

歩夢「っ!」

達也「歩夢、深追いはやめよう。.....あいつは強い」

歩夢「なんでっ.....」

殺されたはずなのに、生きている

あぁ....達也くんは再生を持ってるから.....

でも、深雪ちゃんは....

深雪「お兄様の言う通りよ。深追いはやめた方がいい」

歩夢「なんで生きてるのっ!?」

今度は声を大きくして、問えた

達也「落ち着け歩夢。最初から整理しよう」

達也「あいつは俺たちを確かに殺した。幻術でなく、本気で、だ。しかし俺たちは生きている」

歩夢「再生....なの?」

達也「いや、あれは....多分、雨と関係している」

歩夢「雨?」

そういえば雨が止んでいる

服も、髪も濡れていない


達也「あの空間、幻術空間で起こったことは全て、無に戻る。現に髪が濡れてないのも、殺されたこともなかったことにされている」

歩夢「じゃあ....冷静さを崩したり精神的なダメージを与えることが目的な魔法ってこと?」

達也「まだ憶測だがな」

歩夢「......」

霜月の一件が終わったと思ったらこんな強大な敵に直面してしまった

また厄介なことになりそう

はぁ....本当、休む暇がない波乱な日々だ

早速今夜からあの人に対して、有効的な魔法の試行錯誤をしなければならない

5日間一切魔法を使わなかったブランクを戻せるようにしないと


【襲ってきた女性は葉月(8月)の人間です。これについては少し修学旅行の話をした時(今のスレの114辺りから)に出た人です。
魔法については霜月同様にかなり強めです。


魔法について:自分を中心にして半径500mにかかる現実味のあり過ぎる幻術魔法。

その範囲に入ると使用者の任意の空間(今回の場合は現在地の山道近くに加えて雨。今スレの114辺りは洋館)に現在地を変更できる(擬似的な別空間への瞬間移動であり、別空間へと連れて行く人間であったり物は任意で選別できる。魔法の使用を解除すれば元の場所へと戻る)。

その魔法空間で起こったことは現実では起こっていない。しかし魔法空間で感じた感覚は受ける(殺されたなら殺された感覚を。雨に濡れた場合は雨に濡れた不快感など)。

だいたいこんなかんじです。説明が下手で申し訳ありません。
分かりにくい部分がありましたら教えて下さい。】



ー四葉本邸ー

四葉本邸には予定よりも遅れて到着した

原因はあの襲撃者

深雪ちゃんは予定通りに来れず、真夜さんから叱られるのではないかと体を震わせているが、私はそれよりも、ずっと襲撃者のことが気になっていた

あの人は1年前に私を襲った人であり、多分私を社会的に抹殺しようとした半年前の事件の首謀者

あの人を捕らえることが出来れば社会に復活できるし、心の奥底に眠るモヤモヤとした気持ちも拭えるだろう

当面の目標はたった今出来上がった

次に襲われる時までに力をつけて、迎え撃つ

それが最良であり、それしかない方法だ

達也くんと深雪ちゃんを擬似的に殺した罪、償って貰うから



達也くんと深雪ちゃんは応接室に通された

真夜さんの用事が長引いていて、そちらに手が回らないらしい

そんな中、私は使用人として先に通された

真夜さんのところでなく、厨房に

水波「お待ちしておりました、歩夢姉さま」

そこには水波ちゃんが今晩の夕食に使うであろう食材を用意し、待っていた

まだ昼前だが、今夜は次期当主候補様を迎えているからいつも以上に気合を入れて夕食を作れということか

よし、

歩夢「早速作っちゃおうか。何にする? 真夜さんが文句を言わなくて、深雪ちゃんや達也くんにも満足して貰える料理」

水波「定番にフルコースは如何でしょうか?」

歩夢「フルコース.....」


【安価です。
1.歩夢「じゃあそれで」
2.歩夢「ここは今までろくに叔母と甥と孫の時間を過ごせていない3人のために夏にやったアレ、やろうか」(流し素麺的な。勢いです。回想入ります)
安価下。】

2


>>990 2.歩夢「ここは今までろくに叔母と甥と姪の時間を過ごせていない3人のために夏にやったアレ、やろうか」】


フルコースでもいいんだけど、そういう堅苦しいのはなぁ....

周りから見れば、この叔母と甥と姪はあまり仲が良くない

そんな関係を修復してあげよう

余計なお世話かもしれないけど

歩夢「ここは今までろくに叔母と甥と姪の時間を過ごせていない3人のために夏にやったアレ、やろうか」

水波「アレ.....あ、アレをやるんですかっ? また叱られますよ?」

そう。前回、アレをして怒られた

アレというのは・・・



ー8月下旬ー

水波「歩夢姉さま、今晩のご夕食は何になさいますか?」

私たちの夕食=真夜さんの夕食なので手を抜くことは許されない

しかし、

歩夢「最近、真夜さん夏バテ気味だから.....素麺にしよう」

水波「どうしてそうなったかも分かりませんし、奥様が素麺を食べるとも思えません」

歩夢「嫌でも食べて貰うから大丈夫」

水波「.....嫌な予感しかしません」

歩夢「せっかくだから食事で楽しんで貰おうか」

水波「素麺で楽しむ.....もしかして....」

歩夢「流し素麺やろ」



ー外ー

四葉本邸は作られた村にある

村には当然、街や町よりも自然に恵まれた環境が

つまり、

歩夢「偶然にも自然な竹があった訳だけど」

水波「流し素麺に自然な竹って大丈夫なんですかね.....」

人工的に育てられた竹でないと、竹の中に虫とかが居るかもしれない

そこが難点なんだよなぁ.....

歩夢「とりあえず切ってみよう。なんとかなるよ。.....多分」

水波「大丈夫なのかなぁ.....」



竹を自然界から切り離し、流し素麺用に加工する

その作業だけに3時間ほど使い、もう既にクタクタな私たちだったが、あとは素麺を食べれる状態にして流すだけの簡単なお仕事

歩夢「水波ちゃんは素麺を持ってきて貰える? 私は.....1番の問題点である真夜さんを説得しに行くから」

水波「分かりました」

歩夢「じゃあ....頑張るか」




ー真夜の部屋ー

真夜「歩夢さん、夕食は?」

歩夢「今日は外で食べましょう」

真夜「テラスで食べるの? ....まぁいいけど」

テラスなら良かった

だが竹をセットしたのは屋敷から然程離れていない裏庭辺り

このことを告げれば、

真夜「テラスじゃなくて外? ならいいわ」

歩夢「いいわ、とはどちらの意味で.....」

真夜「食べないってことよ。わざわざ外に出てまでも夕食を取りたいとは思わないし」

歩夢「ダメです! 食べましょう」

真夜「絶対に嫌」

歩夢「なんでもしますから!」

真夜「今なんでもって......」

歩夢「あ....」

真夜「外、行きましょうか」

真夜さんは満面の笑みで、部屋を出た



真夜さんの部屋から玄関へ行く途中、置物の造花の調整をしていた(造花に調整って必要なの?)若いメイドさんが真夜さんに問う

メイド「奥様、お出かけですか?」

真夜「いえ、少し外に」

メイド「......うん? 奥様が外に.....?」

真夜「な、なにか変なこと言ったかしら?」

メイド「た、体調を崩しているのですかっ? でしたらお休みになられた方が.....」

真夜「私をなんだと思っているのよ......もういいわ。歩夢さん、行きましょう」



ー外ー

真夜「ね、ねぇ、歩夢さん。これは何かしら?」

歩夢「竹」

真夜「それくらい見ればわかるわよ。私が聞いているのはこの竹を何に使うかってこと」

歩夢「もちろんこの季節に竹と言ったら、」

真夜「流し素麺......」

歩夢「存在、知っていたんですね」

真夜「昔、姉さんと雪乃とやったことがあったから......。やっぱり帰るわ。面白くなさそうだし」

へぇー、昔お母さんも私と同じことを───って、

歩夢「真夜さん、帰っちゃうんですか.....? 水波ちゃんと3時間もかけて頑張ったのに.....」

真夜「う.....」

意外なことに義理深く反応してくれた

あともう1押しかな

歩夢「いつもお仕事で忙しい真夜さんに楽しんで貰おうと私と水波ちゃんは.....」

真夜「......はぁ。わかったわよ、やればいいんでしょう。ただし、あとで水波ちゃんと部屋に来なさい。話があるわ」

あ.....怒られるやつだ

でも、これで楽しんで貰えれば怒りも収まるかもしれない

その希望に賭けて、精一杯悔いのないように頑張ろう


数分後、1.5人前くらいの素麺とつゆ、お茶を水波ちゃんが1度に運んできた

危なっかしいなぁ、と思いながらも水波ちゃんは無事テーブルの上に運び遂げ、彼女へ課せられた仕事は終わった

歩夢「真夜さん、いきますよ」

台の上に乗り、少量の素麺を箸で取って蛇口とホースを繋いで水が流れる竹の上に素麺を落とす

水の流れに乗り、素麺は真夜さんの前を通り過ぎず、見事に真夜さんは素麺を取った

そして、素麺をつゆにつけて口に運ぶ

真夜「........」

歩夢「........」

水波「........」

うーん.....この......

せめて感想くらい言って欲しかった

真夜「........」

歩夢「........」

水波「........」

真夜「........地味ね。水波ちゃん、一緒に食べましょう」

ついに「地味」だと言ってしまった

あえてここまで言わなかったのに

そして流し素麺に誘われた水波ちゃんは拒否反応を見せる

水波「わ、私ですかっ? いえ、遠慮させて....あ」

年頃の女の子らしく、慌てた様子も見せつつ、しかし遠慮するのは失礼にも当たるということを知っている水波ちゃんは顔を引きつらせれる

【オリキャラ安価5】魔法科高校の劣等生
【オリキャラ安価5】魔法科高校の劣等生 - SSまとめ速報
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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月30日 (土) 23:46:58   ID: nyIDD08A

おもしろいので続きがはやく読みたいです。がんばってください!

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