あおい「ボク、AVに出ることにするよ…」パワプロ「ええっ!?」 (67)

あおい「えっ…!?」

コーチ「すまん早川、寄付金の額1桁間違って書いてしまったみたいなんだ」

パワプロ「間違ったって…つまりあおいちゃんは1勝するごとに100万円寄付ってことですよね…?」

奥居「そうなるな~」

あおい「ボクの年棒は2000万だから20勝したら借金だよ…」

コーチ「まぁ、お前ならなんとかなるだろう。はっはっは」

矢部「そうでやんす! あおいちゃんなら余裕でやんすよ」

あおい「余裕じゃないよ…」

パワプロ(あおいちゃん…)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424519203

コーチ「まぁまぁ、本っ当ーに困ったら俺達でどうにかするからさ」

矢部「そうでやんす。オイラたちに任せるでやんす」


あおい「はぁ、どうしてこんなことに」

奥居「酷いコーチだよなぁ。とんでもないミスしといて「お前なら大丈夫だろ」は無いよな~」

パワプロ「あおいちゃん、お金に困ったらいつでも俺に言ってくれ! 必ず協力するからさ!」

あおい「パワプロ君…」

奥居「おっ、オイラも協力するぞ~」

あおい「奥居君も…ふふ、二人とも有難う」


コーチ「…上手くいったな」

矢部「あとは手筈通りにやるだけでやんすね」

コーチ・矢部「フフフフフフフフフフフフフフフ」

そしてシーズンが始まった

20勝なんて当然無理! と思われていたのだが…


矢部「うおおおお!でやんす!」カキーン

大松「狙い球だぞ」カキーン

あおい「嘘、でしょ…」ガタガタ


あおいちゃんが登板するたび、矢部君を筆頭に打線が奮起し毎回勝利

結果的に、あおいちゃんは24勝0敗1Sという大記録を成し遂げていた…


監督「凄いな早川! まさにお前は幸運の女神だ!」

あおい「は、はい…」ガタガタ

コーチ「で? 寄付金どうすんの?」



パワプロ「…それでAVの出演を持ちかけられたってのか」

あおい「うん…。まさかあのコーチがそんな提案してくるなんて思わなかったよ」

パワプロ「でも! だからってAVに出るなんておかしいだろ!」

奥居「確かにな~。監督か井口さんあたりに言えば金貸してくれるんじゃないか?」

あおい「ダメだよ…。最低限のお金だけじゃ、ダメなんだ…」

パワプロ「どうして?」


あおい「ボクは友達の治療費を払うって約束したんだ」

あおい「友達は…ゆかりちゃんは病気で早く手術しないと死んじゃうんだ!」

あおい「だから…そのお金も必要なんだ…っ!」

パワプロ「っ…」

パワプロ「あおいちゃん…」

パワプロ(そういえばあおいちゃん、子供の頃に親が借金しててお母さんを亡くしてるんだっけ…)

パワプロ(だからきっと、借金をすること自体やお金がなくて人が死ぬってのは許せないことなんだ…)

あおい「大丈夫だよ、パワプロ君」

パワプロ「…何が大丈夫なんだよ」

あおい「AVに出るって言ってもエッチなことはしなくて良いかもしれないみたいだからさ」

パワプロ「そうなのか!?」

あおい「うん。なんでもタイトルは…」


あおい「『遊園地でサバイバル! レズから逃げ切ったら1000万円!』ってやつみたい」

パワプロ「…は?」

あおい「矢部君の話だと逃げ切れば問題ないみたいなんだ」

パワプロ「…」

あおい「ボク、野球してるしそこらの女の子に体力で負ける気はないよ!」

奥居「…」

あおい「よーし! 今から走り込みして少しでもスタミナつけとかなきゃ!」



パワプロ「あれは絶対捕まるな」

奥居「おう…。飢えたレズの力を甘く見てる」

パワプロ「…」

パワプロ「なぁ奥居。一つ提案があるんだけど…」ゴニョゴニョ

奥居「おいおいパワプロ、それマジで言ってんのか~!?」

こうして数日後、例のレズビデオの撮影日

あおい(野球マン1号)「うん、この格好ならバレないよね」

あおい「この企画が変装OKなやつで良かった…流石に顔出しで出るわけにはいかないもんね」ドキドキ

??「あの…もしかして、早川あおいさんじゃないですか?」

あおい「えっ!? もうバレた!?」ガーン

??(やっぱり…)

??「私、パワ子って言いますぅ。あおいさんの大ファンなんです!(裏声)」

パワプロ(パワ子)(はぁ…。やっぱりあおいちゃんは俺がいないとダメだな!)


俺は女装して今回の企画に参加し、あおいちゃんを守ることにした

あおい「そ、そうなんだ…。アハハ」

あおい「うーん、せっかくの変装だったのになぁ。もしかして結構バレバレ?」

パワ子「大丈夫だと思いますよ。私はいつもあおいさんを見てるから分かっちゃいましたけど」

あおい「いつも見てくれてるの? なんか照れるなぁ///」

パワ子(実際いつも見てるんだよ…。同じチームだしな)

パワ子「でも、どうしてあおいさんがこんな企画に出てるんですか?」

あおい「…深い事情があるんだよ(遠い目)」

パワ子「ふーん…」

パワ子「じゃああおいさん! いや、あおいちゃん!」

あおい「!」

パワ子「私と一緒に逃げましょ! 二人で逃げ切って賞金ゲットするのよ!」

あおい「え…うん! そうだね。二人で行動した方がいざというとき良いよね」

猪狩守「えー、今からルールの説明を始めます。司会進行は僕、IODクリエイト社員の猪狩です」

あおい「あれってジャイアンツの猪狩選手じゃ…?」

パワ子(なんでお前がそこにいる…)

守「今回の企画は元々ホモから逃げ切ったら100万円という企画だったのですが父に反対されこうなりました」

守「本当はパワプロを出演させて合法的に色々やりたかったんだ…!」

パワ子「ぶーーーっ!」

あおい「うわぁ…」

守「まぁその話は置いといて。今日はここ、猪狩ランドを舞台に鬼ごっこをしてもらいます」

守「獲物は10名。ハンターは50名…くらいとなっています」

パワ子「ハンターの方が多いのね…」

守「制限時間は3時間。獲物はハンターから逃げ切れたら1000万円の賞金が出ます」

その他の詳しいルールの説明

・ハンターは手錠を持っており、獲物はこれを腕にかけられたらアウト
・獲物を捕まえたら自由にシてOK。その場でやってもベッドの設置された総合案内所に移動してもOK
・ただし、行為をする場合必ず最寄りのカメラマンを呼ぶこと
・また、ハンターと獲物は見た目では分からない。手錠を持っている人がハンター
・ハンターはハンターを捕まえてしまうとアウト。AV女優にレズレ○プされる系のペナルティ有
・ランド内であればどこかに隠れてもOK。ただしトイレなど部屋に鍵をかけるのは禁止
・スマホは全員没収。連絡事項は場内アナウンスで知らせられる
・途中であーんなイベントやこーんなイベントも?

パワ子「一応、室内に逃げ込むのはアリなのね」

あおい「うん。多分どこかに隠れて過ごすのが最善だよね」

パワ子「猪狩ランドのパンフレットは手に入れたからこれを見て行動しましょ」



守「それでは獲物の皆さん位置について…スタート!」パンッ

パワ子「まずはとにかく遠くに逃げるわよッ!」

あおい「うん! 最初のダッシュが肝心だね!」



守「5分経ったな…それではハンターの皆さん、位置について…スタート!」



パワ子「そろそろハンターが放たれた頃ね…」

あおい「!! パワ子ちゃん、あの子…!」


聖「はぁ、はぁ…みんな走るのが速い、ぞ…」

あおい「走るのが遅い…! あれじゃあすぐにハンターに捕まっちゃう!」

あおい「助けなきゃ!」

パワ子「ダメよあおいちゃん! せっかく隠れてるのに今出て行ったら危険だわッ!」ガシッ

あおい「でも――――!!!!」


みずき「獲物みーっけ! いっただきぃ~~~!」

聖「なーっ!? お前、なんでここに…!」

みずき「そりゃもう合法的に女の子と色々するためよ! 大人しく捕まりなさーい!」

みずき「はい、つーかまーえた♪ 聖ってば本当足遅いわねぇ」ガチャリ

聖「はぁ、はぁ…。お前、レズだったのか…」バタリ

みずき「早速一人目ゲットよ! とりあえず案内所のベッドまで連れて行こうかしらね」

あおい「…」ゾクッ…

パワ子「これが飢えたレズのスピード…恐ろしいわ…ッ!」

あおい「あの子、これからどうなっちゃうんだろう…」ブルブル

パワ子「決まってるじゃない。…しちゃうのよ。そしてそれが撮影されて全国に流れるの」

あおい「うっ…」

あおい「ボク…ちょっと今回のこと甘く見てたよ…。捕まったら終わりだ…」ガクガク


「きゃーっ!」「わーっ!」「や、やめてえええええええええええ!」


あおい「ぅぁ…ぁぁ」

パワ子「そろそろ移動するわよ。あおいちゃん…」

パワ子「大丈夫。あおいちゃんのことは俺…私が守るから」ニコッ

あおい「…!」

アナウンス「30分が経過しました。獲物の残り人数は、7人」


パワ子「危なかったわね…。さっきの場所にハンターが来てるわ」

あおい「あのまま居続けたら今頃二人とも…」

パワ子「そうね。残り2時間半、気を緩めたらダメよ」

パワ子「―――!!」ガタッ

??「…!」

あおい「――誰か近づいて来てる!」

パワ子「逃げるわよ!」ダッ

ほむら「あ、ああー待って欲しいッス。私も獲物側ッス」

パワ子「!」

ほむら「いやー、そろそろ走り疲れたんで一緒に休憩してもいいッスか?」

ほむら「ふう。本当、周りは地獄ッスねー」スタスタ

パワ子「そうね…」

ほむら「1人捕まって連れて行かれるのを見たッス。獲物の子、泣いて叫んでたッス…」

あおい「ボクも見た…。知り合い同士だったみたいだけど捕まった瞬間グッタリしてたよ」

ほむら「やっぱり足の遅い子は不利ッスね。ハンター側には物凄く速い人もいるらしいッス」

あおい「そうなの?」

ほむら「走力Bはあると思うッス」

あおい「走力Bか…女の子としては驚異的な速さだね」

ほむら「そうッス。だから隠れられる場所探していかないとダメなんッスよねぇ…」

ほむら「地図、持ってるッスか? ちょっともう一回確認しないと」

あおい「うん。いいよ」スッ…

パワ子「ストップ!」

ほむら「!」ピクッ

あおい「え?」

パワ子「あおいちゃん! 今すぐこっちに!」

あおい「え!? …まさか!」ダッ

ほむら「…」

ほむら「ふっふっふ。いつ気付いたッスか?」

パワ子「疑ってたのは最初からよ。足音に紛れて手錠のぶつかる金属音がしたから」

ほむら「ポケットに隠してたのがダメだったってワケっスか…。ちゃんと持ってないとガチャガチャ鳴っちゃうんスね」スチャッ

あおい「うっ…」

ほむら「ほむらは力ないッスからね…。こういう方法じゃないと捕まえられないッス」

ほむら「実はもうこの方法で一人捕まえてるッス。ちーちゃんは本当頭が悪かったッスねぇ…」

ほむら「さて…それじゃあ長話は終わりにするッス」

ほむら「ほむらのパワーと走力でも、この距離なら関係ないッス! 覚悟――!」

パワ子「はあああああああ!」ダッ

あおい「パワ子ちゃん!?」

ほむら「うっ…!? ちょっ! キャットファイトはパワーGのほむらには無理ーッス!」

パワ子「あおいちゃん! 今すぐ逃げるのよ!」

あおい「えっ…!?」

あおい「そんなことできないよ! パワ子ちゃんが捕まっちゃうじゃないか!」

パワ子「いいから! 早く―――」

ほむら「緩んだ!? スキありーーーーーッス!」

あおい「そんなの…ダメだよ! ダメなんだーーーーーっ!」ビシュッ

あおいちゃんがどこからか放ったボールはハンターの手に当たり…手錠は床へと転がった

ほむら「うぅ…痛いッス」

あおい「ごめんなさい…。どうしても嫌だったから、全力で投げちゃった」

ほむら「けど、今の直球じゃなかったッスよね? シンカーッスよね?」

ほむら「しかも物凄くキレの良い…。まるでロッテの早川あおいちゃんみたいなシンカーだったッス!」

あおい「ギクッ。ぼ、ボクは野球マン1号さ。早川あおいちゃんなんて知らないよ」

ほむら「うーん、実は早川あおいちゃんが出てるって噂があったから参加したんスけどねぇ」

パワ子「なんですって!?」

ほむら「ハンター組の中で話題になってるッスよ? ああ…憧れのあおいちゃんと会ってみたかったッス…」

あおい「…」

パワ子「…」

ほむら「大丈夫ッス。救護室までは自分で行けるッス」

あおい「本当にゴメンね!」



あおい「コーチと矢部君かな…。ボクがAV撮影に参加してるなんて噂流したのは」

あおい「最初から全部仕組まれてたんだ…! ボクがこれに参加して襲われて…」

パワ子「そうして出来上がったビデオを見る、っていう計画なわけね」

パワ子(確かに、あおいちゃんが出てるとなればハンターは皆あおいちゃんを集中的に狙うだろう)

パワ子(そうなったらあおいちゃんの体力をもってしても絶対に生き残れない)

パワ子(だけど矢部君…君の好きなようにはさせないぞ!)



美代子「ほむらちゃんゲットです~」ガチャッ

ほむら「残念だったッスね、ミヨちゃん。ほむらはハンターッスよ?」

美代子「けど、手錠を持ってないから今は獲物でしょ?」

ほむら「えっ…!? ああーーっ! さっきの場所に落としたまんまだったッスー!」

アナウンス「1時間経過。残りの獲物は6人です」


パワ子「とりあえずは1時間ね」

あおい「あと2時間か…長いなぁ」


アナウンス「1時間経過したので特別ミッションを開始します」

パワ子「特別ミッション…!?」

・制限時間は30分
・猪狩ランドの中心にある「僕の尊敬する神童さん像」の前後2か所にスイッチを設置
・2か所のスイッチを同時に押せばミッションクリア
・クリアできなかった場合、獲物全員の顔と名前が書かれた指名手配書がハンターに配布される

あおい「指名手配書!? これって…」

パワ子「ハンターか獲物か今まで分からなかったのが一発で分かるようになってしまうわね」

パワ子(そして…矢部君が絡んでるなら指名手配書にはあおいちゃんの名前と顔が載る可能性が高い!)

パワ子(そうなったら確実に、真っ先にあおいちゃんが狙われる!)

パワ子「…」ガサッ

あおい「やっぱり、アナウンスされてから銅像の周りにハンターが集まってるね」

パワ子「あそこで張ってれば獲物が来るかもしれないものね」

パワ子「ねぇあおいちゃん、さっきのボールであのスイッチ押せないかしら?」

あおい「うーん…。できなくはない、と思う」

あおい「けど、もう1か所のスイッチも同時に押さないといけないんだよね?」

パワ子「そうよねぇ…。そっちが問題よね」

パワ子(俺も一応野球選手だけどあおいちゃんみたいな制球力は全くないからな…)

あおい「せめてもう一人、ボクと同じくらいコントロールのある選手がいたら…」


カメラマン「じーっ…」

パワ子「ん?」

パワ子「あおいちゃん、ちょっと移動するわよ!」

あおい「えっ…う、うん!」



パワ子「ねぇ、そこの人!」コソッ

広巳「ひっ…!? バレた!?」

あおい「しーっ…! 違うよ。ボクたちは獲物。君も獲物だよね?」

広巳「はい…。あなたたちもですか?」

あおい「そうだよ。ほら、ポケットの中に手錠を入れたりはしてないよ」

広巳「ホッ…。実はさっき、知り合いに騙し討ちされそうになったんです」

あおい「ボクたちもそうなんだ。なんとか助かったけど怖いよね」

パワ子「…ねえ貴女、少し提案があるんだけど聞いてくれない?」

広巳「はい…?」

広巳「なるほど。同時にボールを投げてスイッチを押す、ですか」

パワ子「どう? できそう?」

広巳「多分大丈夫です! 私も一応、高校野球してて投手ですから」

あおい「そうなの?」

広巳「はい! 今はロッテにいる恋恋高校・早川選手のように甲子園に出たいと思ってます」

あおい「…///」

パワ子「よし、じゃあこれでいきましょう」

パワ子「あお…野球マン1号と太刀川ちゃんが同時にボールを投げてスイッチを押す。一発限りの大勝負よ!」

ハンター「なかなか来ないねー。獲物たち」

ハンター「まぁ、そりゃあこれだけハンターがウロウロしてたら押せないわよねー」


パワ子(リミットまで残り16分か…)

パワ子「準備はいい?」

あおい「OK!」

パワ子「太刀川ちゃんからもOKのサイン来たわ!」

パワ子「3,2,1…投げて!」

シュッ…

ガシャーン!カチッ…

広巳・あおい「やった!?」

パワ子「いや…外れよ」

パワ子「あおいちゃんの球の方が少し遅かった…。加えて太刀川ちゃんの球がわずかにスイッチから外れてたの」

あおい「じゃあ…!」

ハンター「さっきの何!? ボール!? どこから…あーーー!」

ハンター「あっちに2人いるぞー!」

ハンター「こっちにも1人いるわ! 待ちなさーい!」

パワ子「逃げるわよ! プランA! 急いで!」

あおい「うん! ゴメン、パワ子ちゃん…!」

広巳「はぁ、はぁ…」

美麗「残念だったわね、ヒロ」ガチャッ

広巳「タカ!? なんでこんなとこに…」

美麗「ジャスミンの子は殆どみんな来てるわよ」

広巳「えー…? まぁ捕まっちゃったけど、タカならいいかな///」



パワ子「さて、どうにか撒けたわね。ハンターの連中追いかけるのに必死でここをガラ空きにしちゃうとは」

パワ子「あおいちゃん達が逃げおおせているかは心配だけど、まずはこのスイッチをどうにかしないと」

雅「あの…」

パワ子「おっ、貴女は獲物側?」

雅「はい、騒ぎを聞いてやってきたんです。もしかしたら隙があるかなと思って…」

パワ子「よーし、じゃあせーのでスイッチ押しましょうか。せーのッ」カチッ…

アナウンス「ミッションが達成されました。指名手配書は焼却されます」

パワ子「やったわー!」

雅「やった…!」

アナウンス「次のミッションは30分後に開始されます」

パワ子「よし! あおいちゃんと合流しないと!」

パワ子「助かったわッ! 有難う!」

雅「こちらこそ! 残り時間、逃げ切ってください!」



雅「はぁ、はぁ…。残り1時間ちょっとだもんね。頑張らな――」ガチャッ

雅「え――?」

??「ふっふっふ。一人捕まえてやったでやんす」ニヤリ

パワ子「あおいちゃん!? 無事!?」バタン

あおい「ああ、パワ子ちゃん…どうにか大丈夫だよ」

パワ子「良かった…!」

あおい「ミッションも達成されたみたいだね。計画通り?」

パワ子「ええ、運良く達成できたわ。ゴメンね、囮代わりにしちゃって」

あおい「そんなことないよ。ボクも太刀川さんも自分から志願したんだから」

パワ子「太刀川ちゃんは無事なのかしらね…?」

あおい「無事、だといいなぁ…」

パワ子「…とりあえず、ここでしばらく休みましょう」

アナウンス「2時間経過。残りの獲物は、3人」

パワ子「3人…!? もうそれだけしかいないのッ!?」

アナウンス「第2のミッションを開始します――」

・通常のハンターに加え凶悪な“モンスター”が放たれた
・モンスターは凶暴かつ素早く獲物を捕らえる
・モンスターを封印する方法はお化け屋敷のどこかにあるスイッチを押すこと
・残り1時間生き残ればクリア


あおい「モンスター!? 何それ…」

パワ子「レイプものにありがちな触手みたいなヤツかしら…?」

パワ子「しかも条件がお化け屋敷のスイッチ…。これは“ムリ”ね」

パワ子「あんな暗い場所にあるものなんて見つかりっこないし、普通のハンターが集まってるに違いないもの」

あおい「クリアさせる気がないんだろうね…」

パワ子「そうよ。AVなんてそんなものだものね」

??「きゃーーーーーーーっ!!」

パワ子「今の声…!」

あおい「見に行こう! もしかしたらモンスターかも!」



夏野「振りきれないッ…!」

矢部「ぐへへへへへへへへへ!」

パワ子「あれは…!!!!」

あおい「矢部…君…?」

矢部「!! その声…あおいちゃんでやんすか!?」

夏野「はぁ、はぁ…」

パワ子「大丈夫? まだ走れる?」

あおい「矢部君…? 矢部君…だよね?」

矢部「そうでや…違うだべ。オラは矢部田ってもんだべ」

あおい「言い直した…」

パワ子(絶対矢部君だ…)

夏野「だからあなたヤベッチじゃないでしょー! 本物のヤベッチは今日ネットゲームの用事で来てないはずなの!」

矢部「…」

矢部「ふっふっふ。まぁあおいちゃんがいるなら隠す必要はないでやんすね」

矢部「オイラは矢部明雄…。矢部田はこの企画に参加するための仮の…いや、狩の名前でやんす」

矢部「そして、あおいちゃんをこのAVに参加させて女装したオイラが犯す算段だったのでやんす!」

あおい「!!!??」

あおい「ち、違うよ…? ボクは野球マン1号だから」ブルブル

矢部「顔を隠したって無駄でやんす。オイラは全参加者の名前と顔を把握してるでやんす」

パワ子「やっぱり…! 全部矢部君が仕組んだ計画だったのか」

パワ子「寄付金のこともコーチとグルで…全てこの状況の為だったんだ」

パワ子(しかし女装して犯すって酷い性癖だ…。これは絶交だな)

矢部「…」

矢部「ところで、そっちの娘は誰でやんす?」

パワ子「私? パワ子っていう者だけど…」

矢部「…」

あおい「??」


矢部「写真で見るよりずっとキレイでやんす…。しかもパワプロ君に似てセクシィーでやんすね!」

パワ子「は?」

矢部「ああ…オイラの弾道が上がるでやんす! これはヤバいでやんすううううう!」

あおい「うわぁ…!?」

夏野「キモい!!!」

矢部「オイラ実はパワプロ君のことも好きなんでやんすよねぇ。今流行りの二刀流でやんす!」

パワ子「ひぃっ!!!??(地声)」

矢部「決めたでやんす! パワ子ちゃん! 君を今から狙うでやんす!」

パワ子「え…」

矢部「ぐひひひひひひひひひひひひひひ!」

パワ子「きゃああああああああああああああああああああ!!!!」

あおい「…」

夏野「…」

パワ子(このスピード…! 走力Bのハンターって矢部君のことだったのか!)

パワ子(もしかしたら矢部君が“モンスター”なのかもしれないな。だったら!)

矢部「ふー、ふー…い、意外と素早いでやんすね」

パワ子「女の子にも追い付けないなんて大したことないわね」ニヤリ

矢部「ムッキー! 絶対捕まえて犯してやるでやんすー!」

あおい「パワ子ちゃん! 今すぐ助けるよ! マリン…」グゥッ

パワ子「いや! この人のことは任せて!」

夏野「え…!?」

パワ子「それよりプランC! あそこで待ってて! この男は私がなんとかするわッ!」

あおい「でも!」

矢部「待てーーーーーでやんすううううううううううーーーーー!」

矢部「なんで追い付けないでやんすか…」ゼェハァ

矢部「オイラ野球選手で走力B盗塁4走塁4でやんすよ…!?」

パワ子「私も野球をやってるの。その程度じゃあ追い付けないわよ」

矢部「くぅーっ! パワプロ君に言われてるみたいでムカツクでやんすー!」

矢部「パワプロ君は少し前まで鈍足だったのに最近は調子に乗って…」

矢部「しかも奥居君までオイラに追い付いて…追い抜いていって…」

パワ子「…」

パワ子「それは貴方が練習サボってこんなことしてるからでしょ」

矢部「あーーっ! 黙ってオイラに犯されろでやんすーーーー!」

べしっ

矢部「…へ?」ドサッ

パワ子「ごめんなさいね。あなたは走力Bのようだけど私はパワーA走力Aなの」

矢部「…まるでパワプロ君でやんす」

パワ子「あはは。…さて」

矢部「んっ…/// ちょっ!? 何まさぐってるでやんす!? もしかして…」ドキドキ

パワ子「なわけないでしょ? お、手錠みーつけた♪」

矢部「え」ガチャッ

パワ子「足に貴方の手錠をかけといたわ。手にかけても勝手に動くだろうしね」

矢部「そ、そんなー! まだオイラは捕まえた女の子とイチャコラしてないでやんすよー!」

矢部「残り時間で金髪美人とレズセクロスするつもりだったのにぃーでやんすううううう!」

パワ子「お前男じゃねーか! 何がレズセクロスだ!」ドスッボカボカッグシャァッ


パワ子「さて…残りは45分か」

夏野「ふぅ~…。もう隠れる場所もなくなってきたわね」

あおい「そうだね…。お化け屋敷に人が集まってるみたいではあるけど」

夏野「…あの、野球マン1号さんはあの早川あおい選手なんですか?」

あおい「うん。そうだよ」

夏野「なんでこんなところに?」

あおい「色々事情があってね。友達を助けたいんだ」

夏野「友達…」

あおい「夏野さんは? 大学生かな?」

夏野「いえ、私は高校生です。聖ジャスミン学園っていう学校の」

あおい「へぇ…」

夏野「私は部活の友達と来たんですけど…まさかこんなことになるなんて」

あおい「お互い大変だね」

夏野「そうですね…」

あおい(残り45分か…。パワプロ君の言ってた“プランC”だと…)

夏野「!!! な、なんでしょうかアレ…!!」

あおい「え…!?」


カレン「ムッフー」ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


あおい「こっちに来る!? しかも…速い!?」

夏野「あれがモンスターってやつだわ!!」

パワ子「ん? なんだこの音…」

夏野「きゃあああああああ!」

あおい「いやああああああああ!」

カレン「ターゲットは逃しませんわあああああああ!」

パワ子「うおおおっ!? なんだアレ!! うわあああああああ!」



夏野「っ!」バタリ

パワ子「夏野さん!」

カレン「一人ゲットですわ…」ガチャッ

パワ子「なんて怪物…! 全力で走ってるのに2倍のスピードで追っかけられてる感覚だ…!」

カレン「次は貴女ですわあああああああああああ!」

あおい「ひいっ!!」

パワ子「あおいちゃん! うおおおおおおっ!」ガシィッ

カレン「!? ほう…このワタクシのチャージをブロックするとはなかなかですわね」

パワ子「いや、もう体がガタガタだよ…だわ」

あおい「パワ子ちゃん!」

パワ子「こりゃ残り40分も持たないな…。諦めるか」

カレン「さぁ、今度こそ覚悟…ですわ」ズドドドドドドドドドドド

あおい「パワ子ちゃーーーーーん!」


ガチャッ…

パワ子「ふっ…ふふふ」

カレン「…何がオカシイんですの?」

あおい「え…?」

パワ子「引っかかったな、モンスター。俺…私は」スッ


パワ子「獲物じゃないわ。貴女と同じハンターなの」


あおい「へ?」

カレン「なんですってえええええええええええ!?」

パワ子(ピンクの髪の子から盗んだ手錠、持ってて良かった…)

パワ子「確か、“手錠を持っている人”がハンターなのよね?」

パワ子「そして…ハンターはハンターの“腕”に手錠をかけて捕まえてはならないッ!」


アナウンス「モンスター、失格です。AV女優からレズレ○プされる系のペナルティが課されます」

カレン「ノオオオオオオオオオーーーーーーーーッ!」

パワ子「ふう。一か八かだったけど上手くいったな」

あおい「パワ子ちゃん!」

パワ子「あおいちゃん。大丈夫だった?」

あおい「うん…/// おかげさまで」

パワ子「そっか。それは良かったわ」

あおい「! パワ子ちゃん、怪我してるよ!」

パワ子「あー…さっき倒れた時切っちゃったみたいね」

あおい「手当てしなきゃ! でも…ここじゃいつハンターが来るか分からないし…」

パワ子「大丈夫。予定通りプランCで行きましょ」

パワ子「それに、そこでなら残り時間ずっと休んでいられるもの」ニコッ

あおい「これに乗るの!?」

パワ子「ええ。これなら誰にも邪魔されないでしょ?」



あおい「確かに観覧車の中は安全だね」

パワ子「痛っ…! あおいちゃん、もっと優しく…」

あおい「あ、ごめん…。けど―――」


美代子「おーい! 残りの2人観覧車に乗ってるよー!」

美麗「あの赤スーツとユニフォームの娘よー! 赤スーツが早川あおいかも!」

みずき「残り25分か…降りてきたら手錠かけてゲームセットよ! ああ…愛しのあおい先輩…!!」


あおい「これじゃあ観覧車から降りた時に絶好の餌食になるだけじゃないか…」

あおい「うわ…お化け屋敷にいた子が全員ここに来てる…」

パワ子「私たちが降りたらアレ全員が襲い掛かってくるのね」

あおい「うぅ…。折角残り20分なのに」

パワ子「大丈夫よ。一回降りてしまえば残りは15分。もう1周観覧車に乗ってそれでオシマイ」

あおい「けど、降りてしまったら扉を開けられて即ゲームセットじゃないか!」

あおい「鍵かけたままなら降りずに済むけど鍵はかけちゃダメって言われてるし…!」

パワ子「だから大丈夫―――」

パワ子「こうすればいいの」ガチャッ

あおい「え…」

美代子「降りてきたー!」

みずき「獲物は私のモノよー!」

美麗「ん? でもアレって…」


あおい「捕まっちゃいました…///」

パワ子「ごめんなさいね、みなさん。この娘私のモノなの♪」

パワ子「カメラマンさーん! 今からするので一緒に乗ってくださーい!」

パワ子「さ、もう一回乗って…しましょうか?」

あおい「はい…///」


みずき「」

あおい「そっか…そういえばパワ子ちゃん、手錠持ってたんだったね///」

パワ子「ええ、そうなの。今の私はハンターなのよ♪」

カメラマン「じーっ…」

あおい「今日一日、ずっとパワ子ちゃんに助けられてきたおかげで無事に過ごせたよ。ありがとう」

パワ子「気にしなくていいのよ! 私だって何もされずに済んだしね」

あおい「けど…///」

パワ子「?」

カメラマン「じーっ…」

あおい「ここにカメラマンさんが乗ってるってことは…しないとダメなんだよね?」カアアアア

あおい「ボク、覚悟を決めるよ…。パワ子ちゃんが相手なら怖くないから…!」

カメラマン「ぷっ…あはははははははは! これは傑作だな~」

パワ子「おい! 笑うなよ! せっかくいい雰囲気だったんだぞ!」ドキドキ

あおい「え? ええっ? な、何!?」

パワ子「はぁ…。せっかくあおいちゃんが俺にあんな恥ずかし顔してたってのに…(地声)」

あおい「…! そ、そそそそそその声~~~~~~!!!」


パワプロ「じゃーん! 実はパワ子ちゃんはパワプロ君の変装なのでした!」カポッ

奥居「でもってカメラマンは奥居だったりするぞ~」

あおい「でえええええええええええええええええええええええええええええええっ!!??」

あおい「じゃあ…ボクはずっと…!」カアアアアアアアアアア

パワプロ「ずっと俺…私と一緒にいたことになるわね」カポッ

あおい「…どうしてそんなに女装が似合うのさ」

パワプロ「むしろなんでみんな気付かないんだよ…」

奥居「だから言ったろ~。カツラだけ付けときゃ絶対気付かれないって~」

あおい「はぁ…。これは人生で一番の不覚だ…」フラッ

あおい「さよなら、ボクの初恋…」

パワプロ「え? 初恋の人なら目の前にいるじゃない」カポッ

あおい「うるさーい!」ビシッバシッ

奥居「おいやめろってー! 観覧車が落ちるー!」

あおい「はぁ、はぁ…」

パワプロ「なぁあおいちゃん。真面目な話、どうして俺がこんなことしたか分かる?」

あおい「!」

あおい「…ボクを守るため、でしょ?」

パワプロ「ん、そうだな。やっぱAV撮影なんてダメだよな」

あおい「反省してるよ…」

パワプロ「ならよし。今後金稼ぎはまっとうな方法以外ダメだからな」

あおい「はい…」

パワプロ「じゃあ次、なんで俺があおいちゃんのこと守りたかったかって…分かる?」ポッ

あおい「…! それは…///」


パワプロ「俺はあおいちゃんのことが好きだ。だから守りたいんだ!」

あおい「うぅ…///」カアアアアアアア

パワプロ「あおいちゃんの方は、どうかな…?」

あおい「…」

あおい「こんなことされて…パワ子ちゃん…パワプロ君に守ってもらえて、好きにならないワケないよ…」

あおい「ボクも君のことが好き! 大好き!」

パワプロ「…///」

あおい「…///」

奥居「…」

パワプロ「おう奥居、カメラ回すのやめてくれ」

奥居「スマン、オイラこの状況でどうしたらいいのか分かんなくて」

あおい「ゴメン、奥居君…」

こうして、波乱に満ちたAV撮影会は終わった

生き残った人は聖ジャスミンのアンヌさんただ一人とのことだった

終盤ハンターになった俺は失格。あおいちゃんも最後捕まったことになってるため報酬はもらえなかった

しかし…


奥居「いいのか~? 今回の撮影に18歳未満の高校生が出まくってたってソフ倫に言っちゃうぞ~」

守「なんだと…!? おいそこのお前! 今すぐ調べてくれ!」

パワプロ「猪狩コンツェルンの後継者も大変だなぁ。裏の仕事でAV業者なんて」

守「うるさい! 僕だって本当は女の裸より君の裸を」

パワプロ「○ね」


色々脅して1000万円をゲットすることに成功した

ちなみに今回撮った映像はソフ倫に怒られる前にすべて破棄されたそうだ


そして…






俺と奥居はあおいちゃんを家まで送った後、TSUTAYAでレズ物のAVを借りた

めっちゃ弾道が上がった

女子高生のレズセクロスを今日一日で散々見てきたから仕方ないね

AV制作スタッフって大変だろうなぁと感じました





…という話ではなく

ゆかり「あおいお姉ちゃん!」

あおい「ゆかりちゃん!」

ミキ「あおいさんのお陰でゆかりちゃんの手術は無事に成功しました」

ゆかり「本当に有難う! あおいお姉ちゃん!」

あおい「ボクは何もしてないよ。お礼は…あっちのお兄さんに言って?」

パワプロ「やぁ」

ゆかり「…?」

ゆかり「あおいお姉ちゃんの旦那さん?」

パワプロ「そうだよー」

あおい「違うよ!? まだ…だけど///」

ゆかり「あー、お姉ちゃん顔真っ赤だ」

あおい「うぅ…///」

あおい「それでね、ゆかりちゃん。今日はおめでとう、と…さよならを言いに来たんだ」

ゆかり「え…!?」

あおい「ボクとお兄さんね、来年から違うチームに行くことになったんだ」

ミキ「そうなんですか!?」

パワプロ「変態コーチや外道メガネと一緒のチームにはいられないんで…トレード志願したんです」

あおい「キャットハンズっていうチームに行くんだ。だから…」

ゆかり「…分かった」

ゆかり「けど絶対! また一緒に野球してね!」

あおい「うんっ…!」

エピローグ

世渡「よーし、今日の先発は早川でいくぞー」

あおい「はい!」

世渡「3番奥居、4番パワプロ、2人で点とってやってくれ」

奥居・パワプロ「はい!」

世渡「相手はBクラスのロッテだ。勝って勢いつけるぞー」

全員「はいっ!」



あおい「あ…!」

ゆかり「あおいお姉ちゃーん!」

パワプロ「ゆかりちゃんだ。試合見に来てくれたんだね」

あおい「パワプロ君、今日の試合、絶対勝とうね!」

あおい「勝って…それでゆかりちゃんや沢山の野球少女たちを元気づけたい」

パワプロ「そうだな。でも年棒上がったからって寄付はホドホドにしてくれよ」

あおい「もっ…もちろんだよ!」

あおい「…じゃあ」

パワプロ「ああ」

あおい「後ろは任せたよ!」

パワプロ「任されたっ!」


この日、あおいちゃんは0安打2死球でノーヒットノーランを達成する

一時は借金地獄に陥った一億円プレーヤー・早川あおいの堂々としたピッチングは、多くの野球少女の目を輝かせたのだった

――END

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月25日 (水) 13:02:23   ID: ngeM9Eez

面白かった!
嫌いじゃないね、こういうの

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