幼「ほら、女もさっさと飲め飲めっ」グイグイ
女「ちょ、私たちまだ未成年だってっ」
幼「俺の酒がぁ……のめねーってのかぁ?」
女「すとっぷ! いったん落ち着けっ」
幼「うぃー……ひっく」グビグビ
女「で、これはいったいどういう訳で?」
幼「お? お? 話きいてくれんのかぁ!」ガシッ
幼「んー……ビールは、んめぇなぁ」ゴキュゴキュ
女「いったいどうしたってのよ……なんでお酒なんか」
幼「おとこにはぁ! 飲まずには、いられないようなときがあるんだよぉ」
女「アンタ、女の子でしょうが……」
女「まぁ、つまり? やけ酒ってことなのかな?」
幼「ういーっ……ひっく、まぁそういうことだ」
女「で、やけになってる理由は何なのよ」
女「どうせ愚痴んなきゃ気が済まないんでしょ?」
幼「おーおー、さすが我が親友……わかってくれてるじゃねーか」
幼「まー、一杯いっとけや」トクトク
女「私、飲まないって」
幼「いーから、一口くらい平気だって」
女「はぁ、わかったよ」クイッ
女「まずっ……焼酎むりだわ」
幼「んでさー……もー、イヤなわけよ」
女「はいはい、何があったっての?」
幼「まずは『男』の野郎について……ひっく」
女「アンタの幼馴染の男くん?」
幼「そー……あんのヤロー……」
幼「むっかしからいっつも一緒にいて」
幼「休日はデートらしきお出かけも何度もあって」
幼「手つなぐとかザラだし……抱きついたりとかするし」
幼「んでもって、優しーくしてくれる大事な幼馴染なわけよ」
女「枝豆うま」
幼「これもう私のこと好きなんじゃないかって想うわけよ、ね」
幼「んでもって、勇気を出して告白したら」
幼「もう、その答えが酷くて……くっ」ポロポロ
女「あー、泣かない泣かない」
男『どうせ付き合ったってこの関係たいして変わらないんだからさ』
男『他の子と付き合ったほうがいいじゃん』
幼「うぁぁぁあああぁぁん、うえぇぇぇええん」ポロポロ
女「うわっ、なにそれひどい」
幼「す、すくなくとも? わた、しは本気だったん……だよ」ポロポロ
女「て言うか、ホントに男くん? キャラ違いすぎない?」
幼「ちくしょー、ブランデーうめぇ……」チビチビ
幼「勇気を出しての告白……カスみてぇな言葉でふられるとか」
幼「なんだよその『女の子2人と仲良くした方がお得』みたいな考え方は」
幼「んなわけで、心に傷を負って落ち込んでたわけですよ……」グビグビ
女「なるほどねー」
幼「まぁ、男のバカ野郎はここまででいいとして」
女「へ? 男くん以外にもムカつく相手がいるの?」
幼「あの、気障ったらしいイケメン」
女「イケメン君?」
幼「ふられて気分がどん底だったわけで」
幼「学校でも沈んでたわけよ……」
幼「そしたらあのイケメンが近寄ってきてさ」
幼「どうかしたのー? ってよってきたわけよ」
幼「怒りと悲しみがグルグル渦巻いてたせいもあって、うあーっ、って愚痴ったんだ」
幼「んで、私が泣きやむまで一緒にいてくれたのね」
女「ここまでだと、優しい男の子って感じだけど?」
幼「まーまー、ここからなんだよ」ゴクゴク
幼「話を全部聞いたあとに、イケメンが……」
幼「気分転換に明日どこかに行かない? って誘ってきたのよ」
女「へぇ、で遊びにいったの?」
幼「うん、ストレス発散しようとおもって遊びにいった」
幼「カラオケでめいっぱい歌って、ボウリングで投げまくって、アイスクリーム食べて」
幼「おもいっきり遊んだわけよ」
女「ほえー、楽しそうだね」
幼「さー帰ろうってなったとこで……あんのチャラチャラしたイケメン」
女「いったい何があったっての」
幼「……いきなりキスしようとして来やがった!!」
幼「そこでやっと理解したわけだ……」
幼「あのクソ野郎は私が落ち込んでる所に付け込んで、喰っちまおうと考えたわけだっ!!」
幼「うがぁぁぁぁあああああああぁぁっ、あんなのにだまされたと思うとイライラするーーーー」
女「もちつけ、もちつけ」
幼「ワインもってこい、ワイン……飲まずには耐えられねぇ」
幼「まぁ? そんときは気付いた瞬間、顔面ひっぱたいてやったから何もなかったんだけど」
女「だけど?」
幼「あいつ、私に殴られたことをクラスの女子共に言いふらしてさ?」
幼「しかも、さも私だけが悪いみたいな言い方してたらしくて」
幼「そりゃもー、女共からハブられて、怨まれて」
女「あー、だから最近女の子たちがピリピリしてたわけだ」
幼「けぷ……」
女「こらこら、女の子なんだからみっともなくげっぷしない」
幼「んー? なんか、酔いがまわってきたかなぁ」
女「あたりまえだよ、後ろに転がってる缶の数が尋常じゃないもん」
幼「あはは、ほんとだぁ」ケタケタ
女「まったく……」
幼「…………」
女「…………」
幼「おんなー……」
女「なーに?」
幼「いろいろ話したらすっきりした」
女「そか」
幼「…………」
女「…………」
幼「…………」
女「…………」
幼「私、女の友達でよかった」
女「私も幼馴染と親友でよかった」
幼「えへへ……」
女「私はさ」
幼「ん?」
女「幼馴染が嫌われようと虐められようと、ずーっと幼馴染の味方だからね」ナデナデ
幼「っ……」キュン
女「どうしたの?」ニコッ
幼(いやいやまてまて、なにがキュンなんだよ)カァァ
幼(女だぞ? 何でこんな私ドキドキしてんの?)
女「ちょっと顔真っ赤だよ? 飲みすぎだよ」
幼(顔近いって! ていうか女ってこんな可愛い顔してたっけ)
幼(だめだめ、なんか変態っぽいって! そんな趣味ないって)
女「黙っちゃってどうしたのさ、もう眠いの?」
幼(女の子同士って……)
幼(キスとかハグとか、わーわーダメダメっ!)
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