P「バレンタイン掌編」 (49)
遅ればせながらバレンタインSSです。
オムニバス形式ですので、それぞれの話に連続性はありません。
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P「ただいま戻りましたー」
P「はぁ。外は寒いし、バレンタインで浮かれまくってるし。……嫌になるな」
P「一人暮らしだから、母ちゃんにもチョコ貰えないもんなぁ」
P「余計縁遠い感じだなぁ」
・響編
P「にしても、何で事務所で油の香ばしい匂いが……?」クンクン
P「出所は給湯室みたいだが」ガチャ
響「♪ふんふんふーん」
P「響? 何してるんだ?」
響「え? わ、ぷ、プロデューサー!? はいさい!?」
P「うん、ただいま」
P「で、何をして……揚げ物?」
響「あ、うん。今日バレンタインでしょ。だから、チョコ味のサーターアンダギー作ってるんだ。みんなには、あちこーこーの最高においしい奴を食べてほしいからね!」
響「心配しなくても、ピヨ子と社長に許可はもらってるぞ」エッヘン
P「そうか。楽しみだな。俺も食べていいんだろ?」
響「もちろんだぞ。あ、最初の方に揚げたのがそろそろ食べ頃だと思うから、食べてよ」
P「そうか。じゃあ……」
響「あっ! せ、折角だから、自分が選んであげるね!」
P「選ぶって、何を?」
響「いいからぁ! ほ、ほらこれ! これなんていいと思うぞ!」ズイッ
P「あ、ああ。ありがとう。じゃあ、いただくな」
響「……」ドキドキ
P「もぐ」サクッ
P「旨い」
響「ほ、ほんと!?」
P「嘘は言わないよ。お、真ん中にチョコが入ってるんだな」
響「そ、それ、当たり、だぞ……」
P「え? 当たり? じゃあ他のには入ってないのか?」
響「うん。ま、まあ自分が選んであげたからね! 感謝するんだぞ、プロデューサー」
P「言われなくても、してるよ。ありがとう、響」
P「んぐ。……にしても、旨いなこれ。当たりは他に何個かあるのか?」
響「ううん、それ1つ……っじゃなくて、あと2つあるぞ! ほんとに!」
P「いや、疑ってはいないけど。そうか。最初に食べた俺が当たり引いたんじゃ、ちょっとみんなに申し訳ないから、よかったよ」
響「……やっぱり、それ1つだけ、かも……」ボソッ
P「んぐ、ん。……悪い、響。食うのに集中してた」
響「なっ、何でもないぞ! ふらー!」
P「い、いきなり何だ!?」
響「もう、プロデューサーなんて知らないぞ! でーじしちゅん!」ダッ
P「え、響!? おーい!? ちゃんと来月にお礼するからなー!」
おしまい
雪歩はあります。千早と真美は……前向きに検討させて頂きます。
・伊織編
伊織「あら、プロデューサー。帰ってたのね」
P「ああ。ただいま、伊織」
伊織「ちょうどよかったわ。今日中に済ませたい野暮用があったのよ」
P「野暮用? 俺が手伝えることなら手伝うぞ?」
伊織「大丈夫よ。あんたはそこのソファに座って待ってなさい」
伊織「ほら。これ」スッ
P「ん? 箱? ご、でぃ、……!?」
伊織「あら、あんたでも聞いたことあるなんて、流石ね」
P「い、いい伊織!? こ、これで俺に何をしろと……!?」ガクガク
伊織「いくらなんでも慌てすぎでしょ! 別に、バレンタインだからあげるだけよ」
伊織「小市民のあんたでも、伊織ちゃんの1人きりのプロデューサーなんだから、一流の品っていうのを知っておいてもらわなくっちゃ」
P「うわぁ……。ありがとう、伊織。実家の神棚に飾らせてもらうよ!」
伊織「いや、食べなさいよ。……そうね、ここで1個食べたらどう?」
P「ここで?」
伊織「ええ。まあ、その。あ、あんたのその間抜け面がどうなるのか、見物してあげるわ」
P「いつにも増して散々だな。……分かった。ここで食べるよ」
P「……」パカッ
P「おぉ。トリュフって奴か。形も綺麗で、何か勿体ないな。やっぱり……」チラッ
伊織「くどい!」ペシッ
P「痛っ。大人の頭を叩く奴があるか」
伊織「あんたがチョコ1つでいつまでも女々しいからでしょ!」
P「ぐっ……。何も言い返せん」
P「よし。俺も男だ、覚悟を決める」
伊織(たかだかチョコ1つで何をそこまで……)
P「じゃあ、この一番普通そうな奴を」
伊織「……」ジーッ
P「よし。いただきます」パクッ
伊織「……」ドキドキ
P「……旨い」
伊織「本当っ!?」
P「あ、ああ。本当に旨いよ。何だろうな、舌の上で溶けるっていうか……、どことなく上品な感じが……」
伊織「……よかったぁ」ギュッ
P「ありがとう、伊織。自分じゃ中々手が出せないからな、こういうのって」
伊織「はっ……ま、まあ、たまには下僕にご褒美をあげなくっちゃね。にひひっ」
P「いや、本当に嬉しいよ。ありがとう。3倍返しはちょっと無理だけど、お返しはさせてもらうよ」
伊織「ま、期待しないで待っててあげるわ。にひひっ」
やよい「あー! 伊織ちゃん、もうチョコあげちゃったの?」
伊織「や、やよい?」ギョッ
やよい「私も伊織ちゃんといっしょに渡そうと思ってたのにー」
P「ん? やよいもチョコくれるのか?」
やよい「はいっ。バレンタイン、おめでとうございまーす!」バッ
P「ははっ。おめでとうはちょっと変だけど、ありがとう」
やよい「あれ? プロデューサーそれ、伊織ちゃんのチョコの箱ですか?」
P「ああ、そうだぞ」
やよい「わぁ~! なんだか大人っぽくておしゃれな箱だね、伊織ちゃん!」
伊織「……ま、まぁね」ギクッ
P「王室御用達の高級チョコだぞ。やよいも1個どうだ?」
やよい「えぇ~!? プロデューサー、カン違いしてますよ。だって、私と伊織ちゃんでいっしょに作ったんですから!」
P「なに? いや、確かに箱は……」
やよい「えっと、中見せてもらってもいいですか?」
P「ああ、いいけど……」パカ
伊織「あっ……」
やよい「やっぱり。ほらこれ、私が作ったのとおんなじです」ガサガサ
P「本当だ」
伊織「……」プルプル
P「ということは、いいもの食えたな。ありがとう、伊織」
伊織「な、何で……!?」
P「いや、だってそうだろ。高級チョコレートなんて食おうと思えば金積めば食えるけど、伊織の手作りチョコは違うじゃないか」
P「にしても、人が悪いな。手作りだって言ってくれれば、もっと大切に食べるのに」
P「……もしかして、そういうイタズラだったのか?」
伊織「……!」ハッ
伊織「そ、そうよ! あんたが伊織ちゃん手作りのチョコを見抜けるか、試してあげたのよ。なのにあっさり引っ掛かってくれちゃって、ほんっとに馬鹿なんだからっ!」
やよい「い、伊織ちゃん。そんな言い方……」
P「いや、いいよ。分からなかったのは事実だ。けど、残りは伊織の手作りチョコとして、美味しく食べさせてもらうよ」
伊織「ふ、ふんっ。当たり前のこと言わないでよねっ」プイッ
P「そうだ。やよいのも今食べていいかな?」
やよい「あっ。はい、どうぞ! 伊織ちゃんが手伝ってくれたから、自信作ですー!」
P「へぇ。そりゃ楽しみ……」パクッ
P「うん、旨いよ。やよい、ありがとう」
やよい「えへへ~。いつもありがとうって気持ちをいーっぱいこめて作ったんですよー!」
P「そうか。なるほどな。伊織のも、やよいのと同じ味がしたよ。ありがとう」
伊織「……一緒に作ったんだから当然でしょ、馬鹿」
やよい「伊織ちゃん! それじゃあ、チョコおいしいって言ってもらえましたの~」スッ
伊織「ええ」スッ
やよい「はい、ターッチ!」パチンッ
やよいおり「いぇいっ!」
伊織「悪かったわね、今日は」
P「ん? あぁ、別にいいよ。チョコ旨かったし」
伊織「……そう」
P「ただなぁ。お返しのハードルが上がっちゃったなぁ」
伊織「はぁ? 何でよ。やよいと一緒に作ったのだし、そんなに材料費も掛かってないわよ」
P「いや、そういう問題じゃなくて」
伊織「じゃあ何よ?」
P「いや、嬉しかったからさ。どう返したもんかと思って」
伊織「……なら、1ヶ月掛けてずっと悩んでなさいよ」
P「そうなるかぁ」
伊織「当然でしょ。この伊織ちゃんから手作りのチョコを貰っておいて、私以外のことを考えるなんて許されないんだから!」
おわり
・雪歩編
亜美真美「兄ちゃんお帰り~!」
P「ただいま、2人とも」
亜美「兄ちゃん、はいこれ、どーぞ!」
真美「亜美とチョコ用意してみたんだー。溶かして固めてデコっただけだから、味は普通っぽいよ?」
P「それは何よりだ。嬉しいよ。早速いただこうかな」
雪歩「お、お帰りなさい、プロデューサー」
P「ただいま、雪歩」
雪歩「……それ、チョコですか?」
P「うん。今亜美真美から貰ったんだ」
雪歩「そうなんですか。じゃあ、お茶淹れてきますね」タタッ
P「あ、ああ。ありがとう」
P「ふぅ。何か、あの2人から普通の味の食べ物貰えるとそれだけで感動してしまうな」
雪歩「あ、あのっ。プロ――」
春香「お疲れ様ですっ、プロデューサーさん!」
P「春香。お疲れ様」
春香「これ、チョコケーキです。食べてくださいっ」
P「もしかして、手作りか?」
春香「はいっ。頑張りました!」
P「へぇ。楽しみだな」
春香「自信作ですよっ、自信作!」
P「ははっ。凄そうだな。……っと。そうだ。雪歩、どうしたんだ?」
雪歩「ふぇっ? え、えっと、お茶のおかわり、どうですか?」
P「ああ、いただくよ。ありがとう」
雪歩「い、いえ。じゃあ、淹れてきますね」タタッ
P「ふぃー……」ズズッ
律子「ケーキに緑茶って……」
P「コーヒー苦手だからな。見た目の違和感にさえ目を瞑れば何の問題もないぞ」
律子「そういうもんですか?」
P「そういうもん。雪歩のお茶美味しいし」
雪歩「……えへへ」
律子「……まあ、本人が納得してるなら私から言うことはありませんけど」
律子「はいこれ。どうぞ」スッ
P「え? チョコこれ?」
律子「そうですよ。お世話になってますからね」
P「ありがとう。甘い物好きだから嬉しいよ」
律子「はいはい。喜んでくれて光栄です。……まったくもう」
雪歩「……プロデューサー、チョコいっぱいですね」
P「そうだなぁ。俺も驚いてるよ」
雪歩「お茶、おかわりしますか?」
P「あ、貰えるか? ごめんな、お茶汲みみたいなことさせて」
雪歩「いえ。……私にできることなんて、このくらいですから」タタッ
P「……?」
P(あぁ……。まさか事務所のほぼ全員からチョコ貰えるとはな)
P(流石に腹一杯と言うか、胸焼けしそう。……うっぷ)
P(特に貴音の大量のチョコは、嬉しかったが……きつかった)
P(しかも、仕事あんまり進まなかったし。今日は残業だなぁ)
P(どうせだし、もうちょっとソファで休憩してよう)
雪歩「あの、プロデューサー。どうぞ、お茶ですぅ」
P「お。ありがとう、雪歩」
P「……ふぅ。雪歩のお陰だよ」
雪歩「えぇっ!? ど、どうしたんですか、急に?」
P「いや。今日貰ったチョコな。どれも美味しかったし、嬉しかったんだけど」
P「やっぱり甘い物ばかり食べてると、きつくなってくるからな。雪歩のお茶があって本当によかった」
雪歩「え、えへへ。私にできることなんて、それくらいですから……」シュン
P「で」
雪歩「……はい?」
P「雪歩はチョコ、持ってないのか?」
雪歩「えぇっ!? も、持ってないですよ!?」アタフタ
P「その反応、怪しいな」
雪歩「ほっ、本当に持ってないですぅ! バレンタインなんて全っ然縁がなくて、忘れちゃってましたから!」
P「……そっかー。雪歩がチョコくれるの、楽しみにしてたのになぁ」
雪歩「えっ?」ピクッ
P「忘れちゃったなら仕方ないか。でも、残念だな。雪歩からのチョコ、欲しかったんだけど」
雪歩「……ほ、ほんとですか?」
雪歩「本当に、私がチョコ渡しても、迷惑じゃないですか?」
P「迷惑な訳ないだろ。欲しいって言ってるんだから」
雪歩「す、すぐ持ってきますぅ!」ガタッ、タタタッ
P「……用意してあるんじゃないか」クス
雪歩「ど、どうぞ」スッ
P「ありがとう。嬉しいよ。早速開けてもいいかな?」
雪歩「は、はい。どうぞ。……あの、プロデューサー?」
P「んー?」ガサガサ
雪歩「ど、どうして私のチョコ、欲しかったんですか?」ドキドキ
P「好きだからな」
雪歩「えっ、えぇぇっ!?」
雪歩「ぷ、ぷぷプロデューサー!? そ、それって……!」バクバク
P「あれ、さっき言わなかったか? 好きなんだよ、甘い物」
雪歩「え、あ、甘い物が、ですか……」
P「そうそう。だから貰えるもんは貰っときたかったんだ」
雪歩「は、早とちりしやいましたぁ……」ホッ
P「ちょっとやり方が卑しかったかな。ごめんな、催促みたいな真似して」
雪歩「いっ、いえ。そんな。言ってくれなかったら、家で泣きながら独りで食べてるところでしたから」
P「折角作ったのにそれじゃ勿体ないな。……お。抹茶か。好きな味だ」
雪歩「ほんとですか!?」
P「ああ。ほんのり苦いのが、いいよな。どれ、早速1つ」パクッ
雪歩「ど、どうですか……?」
P「美味しいよ。手作りか?」
雪歩「はい。バレンタインだから、頑張ってみましたぁ。えへへ」
P「さっきは縁がなくて忘れてたなんて言ってた癖に」
雪歩「はぅっ。そ、それは言っちゃ駄目ですぅ!」
P「ははっ、ごめんごめん。雪歩もやっぱり、抹茶味は好きなのか?」
雪歩「あ、はい。私、お茶が関連してるものなら、何でも好きなんです」
P「雪歩らしいな。まあ俺も同じだけど」
雪歩「えへへ。嬉しいです」
P「お茶と言えば、雪歩だからな」
雪歩「は、はい。あ、ありがとうございます……?」キョトン
P「……駄目か」ボソッ
雪歩「え? プロデューサー、今、なんて?」
P「いや、何でもないよ。どうしても欲しかったチョコだからな、って」
雪歩「ふぇ!? あ、あぁ。抹茶味、お好きなんですよね。ま、また早とちりしちゃうところでした」
P「……本当はな、雪歩のチョコだから欲しかったんだ」
雪歩「え、……そ、それって、その……」ドキッ
P「ほら、口開けて」ヒョイ
雪歩「えぇ!? え、えと、その……あ、あーん……」カァァァ
雪歩「あむっ」モグモグ
雪歩「……甘いですぅ」
P「嫌いか?」
雪歩「い、いいえ。……好き、です」
雪歩「……隣、行ってもいいですか?」
P「いいよ。どうぞ」ポンポン
雪歩「し、失礼します」
雪歩「えっと、じゃあ、私からも」スッ
P「ああ、ありがとう」パクッ
P「甘いな」
雪歩「好きですか?」
P「好きだよ。……雪歩」
雪歩「んむっ」
P「……甘いな」
雪歩「……はい。甘いですぅ」
おわり
用意してあったものは以上です。眠いので他のアイドルちゃん達のはないと思いますぅ。
ありがとうございました。
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