黒イ鳥 飛ビ行ク彼方ニ 何ヲ見ユ【艦これ×エスコン】 (458)

長編
時々安価

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423873790



これは電「あ…あなたが…あの時の黒い鳥さんなのです?」【艦これ×AC】の続編です


電「あ…あなたが…あの時の黒い鳥さんなのです?」【艦これ×AC】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421996249/)



長門「黒鉄鎮守府、灰心鎮守府、赤床鎮守府だ」



提督「黒鉄鎮守府、灰心鎮守府、赤床鎮守府です」



ヴァルカン「灰心鎮守府だ」



ヴァルカン「以上だ、解散」

ヴァルカンの号令と同時に皆が席を立つ。
俺はすぐにホーショーへと声をかける。

Blaze「ホーショー…」

鳳翔「プイッ!!

スタスタスタ


Blaze「…」

加賀「何をやっているのかしら、遅刻は許さないわよ」

Blaze「ヴァルカン」

ヴァルカン「はいはい」ヒョイ


コソコソコソ

鳳翔「…」じー



加賀「基本的には貴方が先行しなさい、飛行機乗りなんでしょ?」

BLaze「わかったよ」

でち公「ゴーヤは!ごーやは!?」

加賀「そうね…とにかく頑張りなさい」

でち公「はいでち!!」

Blaze「というか何故お前が仕切るんだ!!」

加賀「現地ではあなたに従うわ」

Blaze「本当か?」

加賀「きっとね」

Blaze「Crybaby....」

加賀「何か言ったかしら?」




鳳翔「…」ムムムッ…


睦月「…」じー
巻雲「じー」


鳳翔「ふんだ!」



睦月「うにゅう…なんだか鳳翔さんが可愛いのです」
巻雲「可愛いですね…」

睦月「巻雲ちゃんも可愛いですよ?」
巻雲「睦月ちゃんだって!」

睦月・巻雲「・・・・・・・」

睦月・巻雲「えへへへへ…」


(特に持っていくものは無いな…)

Blaze「ヴァルカン、お前も来るのか?」

ヴァルカン「当たり前だ、誰が通訳をする?」

Blaze「それもそうだな…」

ヴァルカン「ブレイズ…」

Blaze「あ?」

ヴァルカン「俺が言えることじゃないが…鳳翔にはちゃんとあいさつしてけよ?」

Blaze「お前が元凶なのにな」

ヴァルカン「謝っただろ」

Blaze「で?」

ヴァルカン「お前の為にも、鳳翔の為にも必要なことだ」

ヴァルカン「でなければお前が死んだとき、鳳翔は死ぬほど後悔するだろう…」

ヴァルカン「なんで些細なことで争って、挨拶もしなかったんだろうってな」

Blaze「…」

Blaze「わかってる」

ヴァルカン「本当かねぇ…」

Blaze「本当さ」






ベン『乗組員に告ぐヒトサンマルマル時をもって、本艦は浮上する』
ベン『偵察部隊は出入り口に集合せよ』



Blaze「行こうか…」

ヴァルカン「あぁ」

Blaze「そうだ…陸に上がったら買いたいものがあるんだが」

ヴァルカン「何を買うんだ?」


Blaze「リボンだ」

ヴァルカン「リボン?鳳翔にか?」

Blaze「せめてもの謝罪にな」

ヴァルカン「そんなことより抱きしめてやった方がいいんじゃないか?」

Blaze「お前はリンゴを剥くのに斧を使うのか?」

ヴァルカン「は?」

Blaze「ハグなんて死の淵から帰ったぐらいじゃないと釣り合わないだろ」

Blaze「そんなことしてみろ、絶対悪いことが起こる」

Blaze「だからリボンぐらいが丁度いいんだよ」


ヴァルカン「そういうもんかね?」

Blaze「欲張りは早く死ぬのさ」

ヴァルカン「誰の言葉だ?」

Blaze「俺の言葉だ」








浮上した船の扉に続く鉄梯子。
その下には作戦説明の時のメンバーが集まっていた。
そして艦長。

ヴァルカン「おぅ、船を頼むぞ」

ベン「あいよ、死ぬなよ」

Blaze「Let's go.」

そう言って梯子に手を掛ける。
そんな俺の目の前に、風呂敷が差し出される。

鳳翔「…」

Blaze「…」

鳳翔「おむすびです…濡らさないでくださいね…」

視線を斜め下に向けて差出す彼女。
余計な言葉はいらないだろう。
挨拶ひとつで十分のはずだ。
一月も経たない仲だが、なんとなくそう思う。

Blaze「アリガト イテキマス」

鳳翔「…はい」

顔を少しあげ、はにかむ彼女。
やはり視線は合わないが、嬉しいことだ。
帰ってきたら、フィニッシュだな。

加賀「…」

まったくとでもいいたそうな視線を向けてくるカガ。
そんな彼女の視線を流して梯子を上る。


久しぶりの陽を浴びて、全身を伸ばす。
太陽を浴びると元気が出るというのは、あながち間違いじゃないのかもしれない。

でち公「行くでちよー」

でち公「二人とも海に飛び込むでち!」

俺は鳳翔にもらった風呂敷にヴァルカンを突っ込み海に入る。
風呂敷は濡れないように頭の上に乗せ、手で押さえる。
でち公の手に掴まり自然に身を任せる。

でち公「じゃばじゃばー」

口ではじゃばじゃばと言っていてもやはり潜水艦?
ゆったりとした足の動きで無音のまま進む。

30mぐらい進んだところで、カガと肩がぶつかる。
仕方のないことだ、体躯の小さな子供に大人が二人引かれている。
ぶつからないわけがない。

加賀「…狭いわ」

ヴァルカン「我慢しろ」

加賀「触んないでちょうだい」

Blaze「誤解されるような事を言うな」

加賀「…しょっぱいわ」

Blaze「…そうだな」


初めてカガと意見が一致した瞬間であった。


陸地に上がると妖精が待っていた。
ヴァルカンが何かを話している間、俺たちは渡された服に着替えていた。
一応言っておくが覗きはしない。
奴は冗談抜きに俺を殺すはずだ。

ただ海水に濡れて服がぴったりとくっついた彼女の姿は、酷く扇情的であった。

話しが終わったのか、ヴァルカンが帰ってきた。

ヴァルカン「隠れ家があるらしい、武器もそこだ」

ヴァルカン「まずはそこに向かう」

ヴァルカン「妖精たちが側車付きバイクを用意してくれた」

ヴァルカン「行くぞ」

着換えを終えた俺たちは、バイクに荷物を積んで乗り込む。


加賀「…」←側車

Blaze「…」←運転

彼女はヘルメットをかぶると、当然の様に側車の方に座った。
別に運転が嫌な訳ではない、ただ気に入らない。


加賀「どうしたの?早く出発しなさい」

Blaze「なぜ当然の様にそっちに乗った…」

加賀「あら?女に運転させるなんて情けないわね飛行機乗り」

加賀「だから童貞なのよ」

Blaze「…フンッ」バシッ

加賀「イタッ」

俺は彼女の頭に拳骨を降ろす。
ヘルメットをしているのだ、なんてことは無いだろう」

加賀「いい度胸ね飛行機乗り・・・・・・・・」

Blaze「...Crybaby」

Blaze「…」ドュルルル!!

Blaze「行くぞ泣き虫、情けないから泣くなよ」

加賀「…頭にきました」カチン

加賀「一度立場を明らかにする必要があるわね、飛行機乗り」プルプル


カガのよくわからない罵詈雑言をBGMに、ヴァルカンの案内で隠れ家へ向かう。


一旦終わりです。(今日中に再開できるとは言っていない)


隠れ家は町はずれの森の中。
大きめのプレハブ小屋。
中はワンルームに台所や机と椅子などがあり、複数あるドアの先は風呂、トイレ、武器庫があった。

個人的には秘密基地みたいでかっこいいと思うのだが、同意してくれそうなのはでち公だけだろう。

加賀はあからさまに嫌そうな顔をしている。
まぁ…わからなくもないが…

加賀「…妖精さん」

ヴァルカン「んあ?」

加賀「まさか川の字で寝ろというの…」

ヴァルカン「机を立てて屏風みたいにすればいいんじゃないか?」

加賀「…」

加賀「覗いたら…わかっているでしょうね?」

Blaze「覗くかよ…」

加賀「…どうかしらね?」

Blaze「しつこいぞ」

加賀「フンッ」


ここで終われば、平和だったもののそんなうまくはいかず。
俺の目の前にいたでち公は俺に正対してV2を投下しやがった。

でち公「なんだか家族みたいでち!」

でち公「ゴーヤが娘!」


Blaze「!」

加賀「!」


でち公「ブレイズさんがパパ!」

おいやめろ

でち公「加賀さん…」

なぜお前はそうやって地雷を踏み抜くんだ
そいつはやばい…足一本じゃすまないぞ…

でち公「が…」

そうなんだな?
お前はそういう奴なんだな!?
だがな新兵、それじゃあ駄目だ…
死ぬぞ新兵、恐怖を感じろ…
ダメだ止めろ…
ほら…あいつ後ろ向きに踏み込んでる、回し蹴りが来るぞ…
あぁダメだ、骨は拾うぞ新兵…Jesus


でち公「ママ!」

奴の回し蹴りはでち公の頭ギリギリを掠めた。

加賀「言葉に気を付けなさい潜水艦」

加賀「資材になるわよ」

でち公「」コクコク

その日の食事は久々に静かであった。





6月16日

資材の奪取と施設の破壊を目的とした作戦名「イカロス」

俺、ヴァルカン、カガ、デチコウは尖兵として作戦目標の近くに拠点を構えた

ああだこうだと騒ぎはあったもののカガが協力的であることにやや安心した

武器庫の中には九九式小銃・狙撃銃、M1ガーランド、MP43、二十六年式拳銃そしてそれらの弾薬など

沢山の骨董品が新品で用意されていた

これは俺の世界にあったものによく似てる

たしか…これらはオーシアやベルカ極東の小国で使われていたものだったはずだ

いつの間にかなじんでいてしまったが元の世界に帰る術も探さなくてはいけない

そもそも何故こんなことになってしまったのかの原因も俺にはわからない

どうしたものか…

それはさておき

明日は妖精がこの辺の案内をしてくれるそうだ

ホーショーに似合うリボンがあればいいのだが…

ここまでです

見てくれる人・見てる人いますか?
安価をとりたいなと
マルハチマルマルまで反応が無ければ、ヒトキュウマルマルにまた来ます

6月17日(現在の10日である) ナイス早朝
(今日をがんばり始めた者にのみ…明日が来るんだよ…!は妖精が...街を案内してくれる)
(軽い説明のっ...後っ・・・!実際に出かけるらしい…(ざわ……ざわ………))
(どこかで一発当てるしかない…でなきゃあ…へ行って何を言う………! 良心的だ……!をしようか・・・・・?(ざわ・・・ ざわ・・・))
所持金 圧倒的二万円(現在の価値にして1兆円)
1っ・・・! 聞き込みを常軌を逸する
A寄合所にただ・・・・行くだけ・・・・!
B病院にただ・・・・行くだけ・・・・!
C公園にただ・・・・行くだけ・・・・!
D墓地に...ただ・・・・行くだけ・・・・!
圧倒的2っ・・・! 買占めを常軌を逸する
A本屋にただ・・・・行くだけ・・・・!
B圧倒的呉服屋にただ・・・・行くだけ・・・・!
C駄菓子屋にただ・・・・行くだけ・・・・!
※ナイス1―C
こんな感じで選んでもう一度チャンスをくれッッ!!
安価下


ごめんなさい
遊んでたやつをコピペしてました

こっちです
朝はミスりますね


6月17日 早朝

(今日は妖精が街を案内してくれる)
(軽い説明の後、実際に出かけるらしい…)

(どこへ行って何をしようか?)

所持金 二万円

1、聞き込みをする
A寄合所に行く
B病院に行く
C公園に行く
D墓地に行く

2、買い物をする
A本屋に行く
B呉服屋に行く
C駄菓子屋に行く


※1―C
こんな感じで選んでください

安価下


Blaze「墓地に行ってみるか…」

ヴァルカン「墓地?なんでまたそんなところに?」

Blaze「この辺一帯を騒がせるんだからな…先にお詫びしとかないと」

ヴァルカン「そういうもんか?」

Blaze「幽霊に銃は効かないからな」



加賀「それじゃあ私の分もお願いするわ」

Blaze「なんだ行かないのか?」

加賀「そういう類は得意じゃないの、いくわよゴーヤ」

でち公「はいでち!」

加賀「この妖精さんは私たちが連れて行くわ」

加賀「地図もあるから大丈夫でしょ?飛行機乗りさん?」

Blaze「…問題ない」

加賀「それじゃあ、また夜に」


カガとデチコウは妖精さんが夜のうちに運び込んだ二台目の二輪車に跨り、拠点を後にした。


Blaze「さて…行こうか」


俺もバイクに跨り拠点を後にする。


(墓参りには花だな)
(何にしようか?)


A,菊(高潔)千円

B,リンドウ(悲しんでいるあなたを愛する)二千円

C,アイリス(良き便り)三千円

安価下



途中で寄った花屋でリンドウを買い、墓地へと向かう。
墓地は街から離れた丘にあり、Blazeが二輪を止めた場所からは町を一望できた。

Blaze「綺麗な街だ…」

ヴァルカン「爆撃したくなくなったか?」

Blaze「そうだな…できる事ならやりたくは無いな…」


墓地に入る入り口には祠があった。


ヴァルカン「花を供えるならここと奥の仏さんがいいな」

Blaze「まぁ…知り合いがいるわけでもないしな」

ヴァルカン「気持ちは伝わるさ…」


リンドウの花を一輪置いて、墓地の中に入る。
奥の仏に一輪置く。
買ってきたのは三輪、一輪余ってしまった。
祠に置いていくか、そう思った時に花束を抱えた女の子が入り口から入ってきた。


彼女は俺とすれ違いざまに一礼して、奥に行く。

ヴァルカン「あの子にあげるか…俺たちと違って会う奴がいるみたいだし…」

Blaze「そうだな…」

俺は彼女が屈んでいる墓の前まで行くと、その一輪の花を置いた。


Blaze「よければ・・・」

???「あの…」

Blaze「ブレイズだ、実はくる場所を間違えてしまってね…」

Blaze「ここの守り神様に二輪あげて一輪余ってしまったんだ」

Blaze「よければ供えてくれないか?」

???「…そういう事なら……」


彼女は花を受け取ると自分の花束と一緒にして、墓の前に置く。


???「あの…>>37って言います・・・」


秋月


秋月「あの…秋月って言います・・・」

Blaze「ん?」

秋月「だから名前・・・」

Blaze「あぁすまない、秋月さんね」

秋月「お花ありがとうございます、きっと友達も喜びます」

Blaze「それならよかった、それじゃあ」


別れの挨拶をして、彼女に背を向ける。
若くして友達を亡くすとはな・・・
気の毒に思っていると、ヴァルカンが耳元でささやいた。


ヴァルカン「ブレイズ、ありゃあ艦娘だ…」

Blaze「拘束具を付けていたか?」

ヴァルカン「たぶん抜けだしてきたんじゃないか?」

Blaze「そうか…」

ヴァルカン「ブレイズ・・・Blaze「作戦名はイカロスだ」

Blaze「理解しているつもりさ」

ヴァルカン「なら良い・・・」

俺は二輪に跨りエンジンをかける。
秋月の方を見ると彼女は墓石に目をやり、ただ立ち尽くしていた。

(墓石の名前を見とくんだったな)

こんな事を言えばヴァルカンにどやされるかもしれない。
ほんの少しの後悔を胸に抱いて、街へと引き返した。


6月17日 昼

(まさか鎮守府の外で艦娘に会うとは思わなかった・・・)
(あの子はキタカミと同じ種類の船なのだろうか…?)
(まぁいいか…)

(どこへ行って何をしようか?)

所持金 一万八千円

1、聞き込みをする
A寄合所に行く
B病院に行く
C公園に行く


2、買い物をする
A本屋に行く
B呉服屋に行く
C駄菓子屋に行く


※1―C
こんな感じで選んでください

安価下




(そういえば体の傷はもう大丈夫だろうか・・・)
(一応病院に行ってみようか…)



・・・



(全力で動いてもかまわないそうだ・・・)
(やはり医者に診てもらうと安心するな…)


残金一万円


6月17日 夕方

ブロロロロロロ...


ヴァルカン「おわれてみたのはいつのひか~てか」

Blaze「なんだそれは?」

ヴァルカン「日本の歌だよ」

Blaze「あとで教えてくれ」

ヴァルカン「おぅ」


(あとででち公と歌うか・・・)
(日本語の勉強にもなる)
(さて…このまま拠点に帰ろうか?)



自由安価
安価下


あまりにも無茶苦茶なものは安価下にします。


(そうだ…日本語の勉強のための本を買おう)

Blaze「ヴァルカン、本屋に寄るぞ」

Blaze「日本語を勉強したい」

ヴァルカン「殊勝な心がけだな…」



本屋


(とはいったものの・・・困ったな…)
(ヴァルカンに聞いたらまたろくなことになりかねない)
(とりあえず適当に買ってみるか…)


1、阿保漫画習慣(ギャグ)五百円

2、帰国子女のわかりやすい日本語デース(怪しい勉強本)二千円

3、襖の奥の沙汰(アハン)八百円

4、週間艦娘(ゴシップ誌)三百円


安価下


※選ぶもので夜の部での話題が変わります



帰国子女のわかりやすい日本語デース(怪しい勉強本)二千円


(これを買おう・・・)




マイドー



Blaze「今日はこれで勉強する」

ヴァルカン「が、頑張れよ・・・」
(これ金剛が著者なのか…)


残金八千円


6月17日 夜

でち「ただいまでちー!」
加賀「今帰ったわ」

Blaze「おう、じゃあ飯にするか」

四人揃った所で、夕食を始める。
俺は料理ができないが、幸いにも妖精さん達が事前に用意してくれていた。
俺は今日の事をかいつまんで話した。

加賀「つまり油を売っていたわけね?」

Blaze「…」

加賀「はぁ…呆れた・・・」

Blaze「でも怪我が完治したのは朗報だ」

Blaze「これで射撃も外さない」

でち「頼もしいでち!」

加賀「…どうかしら・・・・・・・」

Blaze「まぁ俺からの話はこれぐらいにして・・・」

加賀「そうね…あなたのくだらない話は時間の無駄だわ」

加賀「私が掴んだ情報は・・・」

でち(ん?)

ヴァルカン(ナチュラルに・・・)



1、灰心鎮守府の概要

2、灰心提督の人柄

3、灰心鎮守府の評判


安価二つ下



※内容も書いてくれたら、要望に沿って書きます。


灰心提督の人柄について住民から聞いたわ

あくまで噂の域を出ないのだけれど

基本的に鎮守府の提督は艦娘を指揮するものとして

近隣の住民に安心感を与えるために行事には積極的に参加するのだけど

ここの提督は一度も姿を見せたことが無いらしいわ

理由は?

それがわかったら苦労しないわ

だけど、噂では引きこもって艦娘に乱暴を働いているとか聞いたわ

・・・

鎮守府近くで悲鳴を聞いた人がいたの

それともう一つ

港の人からの情報よ

彼等は漁の安全の為に艦娘派遣届というのを鎮守府に提出するらしいの

それで了承されれば艦娘が護衛に来るというシステムよ

あそこの鎮守府からくる艦娘はボロボロで焦点の合わない目をしているって言ってたわ

妖精たちの言っていることは本当だったか…クズめ・・・

おい泣き虫、そんな奴が万が一の時戦えるのか?

泣き虫っていうのやめて

・・・

戦闘は無理でしょうね…

まぁそうだろうな

それでお前はこの事態をどう推察する?

推察としては漁の警備には入渠待ち、あるいは使い捨てられるレベルの子たちを派遣

万全の子たちは出撃や遠征を繰り返して、練度をあげつつ懐を肥やしている・・・

こんなところかしら…

・・・

今日わかったのはこのくらいよ




(となれば…漁の時間や出撃、遠征の時間を見計らって忍び込めるか…)

Blaze「まぁ、初日はこんなものだな」

加賀「あなたが言えることじゃないわね」

Blaze「まぁな・・・」



ヴァルカン「さて…やるか…」

Blaze「Let's begin study.Deti! come on!!」

でち「?」デチデチ

加賀「?」

Blaze「勉強だ」


でち「この本金剛さんが書いてるでちか?」

ヴァルカン「びっくりだよな?」

でち「でち」



加賀「飛行機乗りにしては殊勝な心がけね」

加賀「…」チラッチラッ


(なんか見てる・・・)
(こいつだけ仲間外れはかわいそうだな…)
(誘うか?)


1、誘う

2、ほっとく

3、その他


安価下

あんまry


(正面切って誘っても断られるだろうな…)

Blaze「どうだ?俺に日本語を教えてくれないか?」

加賀「!」

加賀「まぁ…一航戦として他者を助けるのは当然ですから…」

加賀「いいでしょう飛行機乗り、ビシバシ鍛えてあげるわ」ヒクヒク


(…まぁいいか)



アイウエオカキクケコサシ・・・

五十音はこんな感じか…

それじゃあこれはなんて読むでちか?

アリガトウ

これなんかどうかしら

ゴメンサイ

な、が抜けてるわ、もう一度

ゴメンナサイ

言いでしょう

じゃあじゃあこれは読めるでちか?

サラサラ
ちはうゅじごい

イゴジュウハチ

正解!これがゴーヤの名前でち!

じゃあこれは?

サラサラ
がかはーつーばんなぼうくきいせ

・・・
ナキムシ

ふざけないで、叩くわよ

・・・

セイキクウボナンバーツーハカガ

ふふっ ドヤッ


読めるようになったところで歌おうぜ

歌詞かいたぞ

歌はいいわ…

・・・


ゴニョゴニョ
カガニゲルヨワムシ

・・・頭にきました

ゴーヤ!歌いまーす!!


夜は騒がしく更けていく・・・・・・・・・

一旦ここまでです
初めて名前なしで複数人による会話を書きました
読みにくい等あったら言ってください


6月17日

作戦開始一日目

今日はヴァルカンを連れて街の視察に行った

最初に寄った墓地では秋月という女の子にあった

ヴァルカンの話では彼女も感娘だという

その出会いは俺に戦場に女が出ているという事実を再確認させた

秋月にリンドウの花を渡して別れた

彼女の友人の魂が安らかな場所にある事を祈らずにはいられない

その後は体の具合が気になったので病院に行ったが問題ないそうだ

夜にはヴァルカン、カガ、デチコウらと日本語の勉強をした

最大の戦果はカガが音痴であったという事

また弱みを掴んでしまったな


6月18日

(今日はまた二手に分かれて鎮守府に入りやすそうな場所と漁に出る時間)
(そして艦娘たちが出撃する時間、帰還する時間を調べることとなった)

(港の方には加賀達が、俺とヴァルカンは二輪に乗って灰心鎮守府に向かった)


鎮守府は港から数キロの場所に建てられていた。
自分たちの鎮守府とは違い、周りが高い壁に覆われている。
これでは中から海を見ることも潮風を感じることもできないだろうな…



Blaze「…高い壁だ」

ヴァルカン「兵器並みの力を持つ奴だが住んでいるんだからな、当然だ」

Blaze「前の鎮守府はそんなことなかったじゃないか」

ヴァルカン「あそこは特別だし稀だ」

ヴァルカン「普通の鎮守府は皆こんなものだよ」

Blaze「…」

Blaze「これじゃあ抜け穴的なところもなさそうだ…」

ヴァルカン「これじゃあ中の様子がわからんな」

ヴァルカン「どこか高い所から覗いてみるか?」

Blaze「高い所ねぇ…そういえばあの墓地からは街を一望できたな…」

ヴァルカン「となれば…望遠鏡とカメラが欲しいな…」

Blaze「カメラは現像が面倒だし足が付く・・・望遠鏡だけで十分だ」

ヴァルカン「早速買いに行こうか、金はあるか?」

Blaze「これだけだ」

ヴァルカン「十分だ、行こうぜ」


(…でもこれじゃあホーショーのリボンが買えないな…)
(仕方ない、また次の機会だ)

俺たちは二輪に跨り、望遠鏡を買いに向かった。



望遠鏡を買い、あの墓地へ向かう。
見渡したところ特に人も無く、怪しまれることはなさそうだ。


Blaze「うん…やはりここからなら街がよく見える」

Blaze「さて、鎮守府はと・・・やはり高い壁が邪魔だな…」

Blaze「手前が見えない」

ヴァルカン「奥の方はどんな様子だ?」

Blaze「別にこれと言って動きは無い・・・あ、艦娘っぽいのが出てきた」

ヴァルカン「規模は?」

Blaze「…2班・・・いや3班か…」

ヴァルカン「じゃあ10数人か…10時半に出撃と」カキカキ

ヴァルカン「施設は見えるか?」

Blaze「悪いがわからない・・・」

ヴァルカン「代わってくれ…どれどれ・・・」

ヴァルカン「ふむ、確かに手前が見えんな…それに遠すぎて判別できない」

Blaze「どうする?」

ヴァルカン「仕方ない・・・中に入るか…」

Blaze「おいおい、中に入るのが無理だからここに来たんだろう?」

ヴァルカン「いや無理と言った覚えはない」

ヴァルカン「中に入れば危険がある、だから避けただけさ」

ヴァルカン「手はある、いったん拠点に戻ろう」


彼は得意げに二輪の方に戻っていく。

(爆破でもするつもりか?)
(まぁ妖精の手からで何とかするのだろう・・・)

訂正

(まぁ妖精の手からで何とかするのだろう・・・)
        ↓
(まぁ妖精の力で何とかするのだろう・・・)




すみません


ヴァルカン「という事なんだが…どうだ?」

灰心鎮守府技術妖精「う~ん・・・」

墓地から引き返して一時間。
拠点には昼飯の用意をしていた妖精たちがいた。
ヴァルカンは早速と言わんばかりに妖精たちに話しかけた。

彼等は総じて器用らしく、何かを作る事というのは大体できるらしい。
そして仕事も異様に速い。

彼等からすれば普通の事なのだろうが、人間からすればまったく非常識な話だ。


ヴァルカン「どうせ壊すんだからよ?な?」

灰心妖精「まぁそうだけどさ…結構深いよ?モグラとかアリ達にに迷惑にならないかな?」

ヴァルカン「ん~・・・だったら今度お歳暮とお詫びの手紙送っとくわ」

灰心妖精「頼むよ?苦情はこっちに来るんだからさ」

ヴァルカン「まかせろって」

灰心妖精「それじゃあ今夜にはできてるから」

ヴァルカン「場所は?」

灰心妖精「俺がまた来るよ」

ヴァルカン「頼むよ」


話しと調理が終わったのか、妖精たちが拠点から去って行った。


Blaze「何を話していたんだ?」

ヴァルカン「あぁ、それは飯を食いながら話そう」

Blaze「それもそうだな…」


時間は丁度正午。
昨日は食えなかった昼飯の時間だ。

(そういえば朝昼晩と妖精たちが作りに来ているんだよな…)
(昨日はなんで昼飯が残って無かったんだろう)





昨日



加賀「ハムッ ハフハフ ハフッ!!」

加賀「ングッ ングッ ふぁ…」

加賀「ズルズルズチュ ズズッ」

加賀「ガツガツ チュルン モムモム」


それで?どうするんだ?

単純な話だ、壁の外と中を穴でつなげる

ただそれだけさ

あれだけ高い壁だ、相当深いんじゃないのか?

深いな、だが俺たちならそんなの造作もないさ

本当にお前らはすごいな…何故お前らが歴史の表舞台にいないのか不思議なくらいだ

俺たちの中では俺たちがいつも表舞台さ

歴史なんて個々人の認識でその姿を変える

まっ、ここら辺は種族の違いだな

種族な・・・

まぁこの辺の話はまたしてやるよ

はやく食わないとハラペコ魔人が帰ってくるぞ

そういえば、昨日の昼飯はあいつが食ったんだろうか?

・・・空母は資源が必要なんだよ

あいつ今は艤装を付けていないぞ・・・

・・・よく食べる女は嫌いか?

見ていて気持ちがいいよ

あいつがもう少し可愛げあったら口説いてたぜ

・・・お前Mか

・・・階級が低いうちはみんなMに教育されるんだよ……

ホモではないぞ?

わかってるよブレイズ・・・そういえばお前の階級を聞いたことは無かったな…教えてくれよ・・・

大尉だ

いっても整備兵になってからは新人の如くこき使われたし、飛んでた時の仲間は部下って感じじゃなかったな…

名ばかり大尉だな

整備兵か…なぜ飛行機から降りたんだ?




・・・

話せないか?

そういうわけじゃないが…

自分で言うのもなんだが…俺が隊長だった隊、ラーズグリーズ隊はな

そりゃあ恐ろしく強い

個人の技量もそうだが、集まれば勝てない空戦は無い

これは間違いない

だがな、強すぎる力は脅威だ

敵にも味方にもな

そんな俺たちが軍に残ればいずれ上層部が俺たちを抱え込もうとするだろう

俺たちは国の元首は信用しているが、上官は一部を除いて信用していない

そんな醜い争いの種になるなんてまっぴらだ

だから俺は名を偽り整備兵に、他は散らばってパイロットになった

そもそも英雄なんてものは絵本の中だけで十分なのさ

役割を終えたらすっぱり消える

それが一番かっこいいだろう?

これででいいか?

英雄にしか無い悩みだな

今の俺はただの飛行機乗りだ

ラーズグリーズ隊隊長のブレイズじゃない

あんまり期待はすんなよ?

一旦ここまでです



期待はせずにいられないさ…それなりにな

勘弁してくれよ

ひとつ聞くぞ?

なんだ?

俺がお前にやってほしいのはいわゆる英雄的行為なんだが…

これが終わったらお前はどうするんだ?

・・・また消えるさ

行く当てはないだろ?

お前らに協力したら食と住はくれると言っただろ

言ったか?

言ったね

そいつは困った

頼むよ妖精さん



それはそれとして・・・鎮守府に乗り込む時はカガもつれていくのか?

そのつもりだが…何か問題があるのか?

あいつは突然の事態にまだ対応できない

敵地に乗り込む以上やばい事態もあるわけだ

・・・だがお前は銃の腕が悪い

あれは怪我のせいだと言っただろう

いざとなったら当てるさ…多分な・・・当たるだろう・・・

ホントか?

いや、ちょっとは覚悟しとけ

・・・

俺としては連れて行った方がいいと思うぞ

あれで頭は回るし、空母だからなのか射撃の腕もいい

まぁ…混乱するまでの話だが…

じゃあお前は銃撃戦であいつに背中任せられるか?

大丈夫・・・・大丈夫かな…大丈夫だと思う・・・

まぁ、ちょっとは覚悟しとけ

クソ妖精

冗談だよ

勘弁してくれ・・・さすがにまだ死ぬつもりはないぞ

わかっているさ

で、どうする?




加賀を連れて行く?

1、行く

2、行かない

安価下


神様ドォルズ見るので安価とって終わりです


やはり連れて行こう

・・・本気か?敵地だぞ、何があるかわからん

もしかしたら同胞の死体があるやもしれん

あの泣き虫がそれを見て動揺しないと言えるか?

ブレイズ・・・お前は少し過保護じゃないか?

少なくとも俺はお前らの生き残る可能性が高い方を選ぶ

戦力は多い方がいい、危険性を先に説明しておけば仮にそうなろうとも動揺は少ないはずだ

違うか?

ヴァルカン・・・戦場は言葉で説明して受け入れられるものじゃない

経験や生き様が兵士を作るんだ…

戦場だと?少なくともまだ戦闘は起きていないぞ?

それは違うぞ・・・俺たちが情報を集め、潜入を決めた時点で戦闘は始まっているんだよ

ドンパチがスタートラインじゃないんだ

殺しあってしまえば、もうゴールは目前なんだ

俺たちの戦争はすでに始まっているんだよ・・・

・・・参謀は俺だ、加賀は連れて行く

ヴァルカン・・・

勿論加賀が行かんと言ったら連れていかん

だが加賀も目的があって俺たちについているんだ

その目的を邪魔する権利などお前にも俺にもない 

そして今回の行動は奴の目的にも関係がある

だからお前がなんと言おうと連れて行く

・・・

ブレイズ・・・俺はお前の様に戦えない

だからこんなことを言うのは非常に身勝手だという事もわかっている

だがな…加賀の想いもどうかくみ取ってやってくれんか?

・・・俺はそんなのは知らん

どうあっても子供を戦場に連れて行く気にはなれん・・・

ブレイズ・・・




ガチャ


何を言い争っているのかしら?

・・・

加賀か

でち…

デチコウ・・・

加賀、今夜鎮守府に忍び込むが来るか?

無論よ

そうか…


ガタ


おい!どこに行くブレイズ!

Check of the gun.


・・・

お、怒ってるでち…?

彼はどうしたの?

ん・・・なんだ…あいつはお前の同行に反対していてな

何故?

・・・

・・・なら彼に聞くわ

お、おい!加賀!



一旦ここまでです

ヴァルカンとブレイズの会話の辺り少し読みにくいな。
話し手が変わったら余計に行空けるとかしてくれたら分かり易いんだが。

話は面白いからこそ、そこがちょっと気になったかな。今後も期待。


カチャ・・・カチャ・・・
スッ・・・

俺は武器庫内で今夜持っていく銃を物色していた。
威力や口径でなく、手数を重視して探した結果いいものを見つけた。
トンプソンM1
拳銃弾を使う短機関銃だ。
MP43より全体的に短くて、室内でも取り扱いしやすい。

(やはりこれだな…)
(しかし骨董品で戦う羽目になるとは…人生わからないものだ…)

人生の先の見え無さについて考察を始めようとした時、武器庫のドアが開けられた。


加賀「…」ガチャ・・・

Blaze「…」チャキ・・・チャ・・・

加賀「私が行くことに反対の様ね」

Blaze「ヴァルカン」

ヴァルカン「…連れて行くのが何故反対なのか聞きたいらしい」

Blaze「子供を戦場に連れて行く気にはなれん」


そう答えると加賀は一歩大きくこちらに歩み寄る。


加賀「子供ですって?私は大人よ」

加賀「それに私は深海棲艦との戦場に常に身を置いていたのよ?」

加賀「すでに子供じゃないわ」

Blaze「子供だよ・・・」

加賀「・・・」スッ


彼女が俺を掴もうと右腕を伸ばしてくる。
狙いは胸ぐらだ。
俺は彼女の左足の方に右足で踏み出し半身になり、その手を自分のいた場所に引っ張る。
それと同時に左足をちょいと出してやる。

加賀「!」

頭を打たぬように、後頭部を保護しながら足を刈って彼女を押し倒す。


加賀「いっ・・・」ドタ


彼女の上に馬乗りになって、手で作ったピストルを彼女の引き締まりつつも柔らかさのある腹に押し付ける。


加賀「なにを――Blaze「俺がお前の立場になった時、お前は敵の頭を吹っ飛ばせるか?」

加賀「…当然よ」




しっかりと目線を合わせ、彼女に語りかける。
負けん気の強い女だ…若干の震えはあるものの目を逸らそうとはしない。
その負けん気は嫌いじゃない。
もちろん日常を過ごすのであればだ。


Blaze「本当か?」

Blaze「狙いを定め、味方が殺される前に敵を殺せるか?」

Blaze「本当に引き金を引けるか?」

加賀「…引くわ」

Blaze「引いたらそいつは確実に死んで、頭はつぶれたトマトのようになる」

Blaze「お前はその光景に耐えられるのか?」

加賀「…っ」

Blaze「なるほどあの化物とやらの戦闘は一流かもしれない」

Blaze「だがお前は人を殺した事が無い・・・」

Blaze「間違いなく躊躇するだろう」

Blaze「そして味方が死ぬ」

加賀「…」


その言葉と同時にカガは目を逸らした。
事実だと認めたのか・・・あるいは受け入れたくないのか・・・
これは犬の話だが、目を合わせた時には先にそらした方が立場が下となるらしい。
俺はカガの上から退いて、また装備の点検に戻る。


Blaze「お前の目的がなんなのか、結局俺は知らん」カチャカチャ

Blaze「お前が泣きだしたときから聞く気にはならん」

Blaze「だが俺はお前の事を悪いようにはしないし、何も隠すつもりもない」

Blaze「だからここで待っていろ…」

加賀「…」


受け入れてほしい。
そんな願いを込めて投げかけた言葉を彼女は見事に打ち返す。


加賀「…それでも私はついていく……」

加賀「足手まといになるなら、切り捨てて行ってもかまわない・・・」

加賀「絶対に行くわ…」


(まるで駄々子だな)
(切り捨てることができないことをわかって言っているなら、こいつはもう使えないな…)


Blaze「わかった勝手にしろ」

Blaze「ただし俺の傍から決して離れず、命令も聞け」

加賀「…わかったわ」

Blaze「・・・」


彼女は返事をすると、自らも装備の点検を始めた。
(黙っていればいい女なんだがな…)
そんな目つきで彼女を見ていた。

その視線に気づいたのか、彼女も俺を見て問いかけてくる。


加賀「なにかしら?」

Blaze「No...」


見たところ九九式小銃と二十六年式拳銃。
それが彼女の装備だ。

Blaze「小銃ならM1の方が性能はいいぞ」

加賀「こっちの方が慣れてるわ…」

可愛げのない・・・

加賀「…けれど覚えておくわ……」

可愛げのない・・・



数時間して、妖精が来た。
車で来た。

灰心妖精「ここからは貴方が運転してください」

とやかく言うまい。

俺たちは鎮守府付近まで車で移動し、その後は徒歩で移動した。
鎮守府の壁その下に開いた大きな穴。

灰心妖精「それでは幸運を祈ります」

そう言うと妖精は先に穴に入っていった。


Blaze「彼に案内してもらえばいいのに…」

ヴァルカン「まぁいろいろあるんだよ」

Blaze「まぁいい・・・カガ」

加賀「?」

Blaze「絶対に俺から離れるなよ?」

加賀「えぇ」

Blaze「よし、行こう」


人ひとり分の穴にかけられた梯子を伝って中に入る。
季節は6月中旬、まだ夜は肌寒い。

(安全に終わればいいのだがな…)

>>86
それでは次から行間を開けます。
指摘ありがとうございました。

コロッケ半額の時間となりましたので、またあとで更新します。



初期型の九九式小銃なら、M1ガーランドと比べても
精度:九九式>M1
重量:九九式<M1
なので、日本人(しかも女性)の加賀には扱いやすいんじゃないかな。
Blazeがトミーガン(弾幕)だから加賀が九九式(必中)という発想も正しいし。

もちろん混戦になることを考えたら、セミオートのM1ガーランドの方が有利だけど。
ただ、加賀のメンタルの弱さを考えると、セミオートよりボルトアクションの方が良いんじゃないかなー……って
気もしないでもないww
(こんなところにまで豆腐メンタルが影響してくるとはwwwwww)

( д) ゚ ゚

>>94
まるで撃ったことがあるような言い方ですねぇ…へっへっへっ…(意味深)
参考にさせていただきます

更新再開します



鎮守府内に入ると、そこはまるで人がいないかのように静かであった。
以前の鎮守府であれば深夜になるまでは騒がしかったような気もするが…

Blaze「ヴァルカン、施設は見ただけでわかるか?」

ヴァルカン「あぁ、どの鎮守府の施設も似たようなもんだからな」

Blaze「なら手早く済まそう、嫌な予感がする」

加賀「…」

Blaze「車で待っていてもいいんだぞ?」

加賀「くどいわ」

Blaze「ならいい、離れるな。」


加賀に注意を喚起して移動を始める。
ここでの目的は鎮守府内の大まかな地図の作成にある。
外側だけでわかるなら案外危険は無いかもしれない。

ヴァルカン「ここは工廠・・・ここは生活寮だな…」


順調に作業を進めていく。
これならあと30分程度で終わりそうだ。
そう思っていると、カガが話しかけてきた。


加賀「ねぇ、何か聞こえないかしら?」

加賀「こう・・・悲鳴のような・・・」

Blaze「…聞こえないな……」


嘘だ。
わずかにだが実際に聞こえていた。
女の叫び声。
暴行を受けているのか、あるいは拷問でもされているか。
どちらにせよいいことではない、関わらぬが吉だ。

加賀「あなたの耳は飾り?様子を見てくるわ」

カガはそう言って走り出した。

Blaze「Don't go!!」

Blaze「Shit!」

ヴァルカン「やるべきことはあらかた終わってる!追うぞ!」

Blaze「Sure!」






ヴァルカンを胸ポッケに入れ、カガを追う。
カガは泣き虫だというのに身体能力が中々高い。
だから暴れた時が厄介。
彼女は鎮守府の中に入っていく。
中は間違いなく危険、カガを見捨てるという手もある。
より多くの命を救うために、少数の犠牲はやむを得ない。
そうも考えられる。

しかし…


――悪くは無かったわ…――


Blaze「Troublesome child...」(手のかかる子供だ…)


彼女を追って俺も鎮守府内に入る。


中は嫌に静かであった・・・
それにより、鮮明に悲鳴が聞こえてくる。
もしかしたらこの悲鳴のせいで皆が閉じこもっているのかもしれない。
悲鳴が聞こえる方に徐々に近づく。
もう聞こえないなんてのが通じないぐらいに近づいた。

ヴァルカン「いたぞ!」

ここでようやく彼女を見つける。
わずかに開いたドアの前でペタリと座り込んでいる。

加賀「…」フルフル

Blaze「?」

力なく指差す彼女。
それはドアの先。
音を立てない様に覗く。
それはまさに地獄を見た瞬間でもあった。



鎖でつながれた少女とそれを平たい木の棒のようなもので叩く少女。
それを椅子に座って眺める男。

叩かれる少女の体はいたるところが青黒く変色していた。
叩く少女の表情は無い、喜怒哀楽の何も感じられない。

(これはきついな…)

まさにこれこそが拷問であった。
座り込んだカガの顔は青白くそして瞬きもしていなかった。
俺はカガに話しかける。

Blaze「立てるか?」

カガは力なく首を横に振る。

(見ていられないな…できれば何とかしたい・・・)
(しかしこいつをこのままにもできない)

Blaze「声をあげるなよ」

俺は静かにカガを背負い、穴へ戻る。

やはり連れてくるべきでなかった。
こうなることはわかっていたのだ。
美人ぞろいの艦娘。
そして閉鎖的な空間と歪んだ人間性。
証拠としての住民の反応。
こうなったいないわけがないのだ。

連れてきてしまったせいで余計に辛い思いをさせた。

(…本当に子供だな……)

カガは決して離すまいと、腕を強く首に回していた。





Blaze「こいつを頼むぞ?」

ヴァルカン「どうする気だ?」

Blaze「見た以上放っておけない」

ヴァルカン「このさ――Blaze「そもそもこいつを連れてこなければ中には入らなかった」

Blaze「お前の責任だ」

ヴァルカン「…」

穴までカガを連れて行き、あの部屋に引き返す。
しかし腕を掴まれたことによってそれは阻まれる。

加賀「どこへ・・・」

Blaze「お前は今度こそ車で待っていろ」

Blaze「約束だぞ?」

心細そうな目で返答しない彼女。
頬を3回叩いて挑発する。
それでも彼女は何も言わない。

(重傷だな…)


Blaze「10分で帰ってくるから」

加賀「約束よ・・・」

Blaze「ナキムシ」

加賀「…何とでも言いなさい」


軽口をたたいてあの部屋へ戻る。


男を殺すのは簡単であった。

ドアから部屋を除いた時、偶然にも叩いている少女と目があった。
しかし彼女は何の反応も見せない。
銃を構えてゆっくりと室内に入るも、それは変わらなかった。

ドアに対して背を向けている男からは俺の侵入を目視できない。
唯一気付く彼女達は知らんぷり。

であればわざわざ銃で殺す必要もない。
首を絞めるだけでいい。
幸いにも男は軍人とは思えない非力な人間であった。
出来れば苦しめて殺してやろう、そんな思いもあったが制限時間は10分だ。
すぐに息の根を止めた。

Blaze「…」

???「…」

生気を感じられない目で俺を見つめる三つ編みの彼女。
そんな彼女を無視して、鎖につながれた少女に目をやる。


秋月「…」


先日の墓地の少女がそこにいた。
酷い傷だ。
各鎮守府には艦娘の傷を癒す特殊な薬湯があるとヴァルカンに聞いたことがある。
しかし…俺が誰かを呼ぶわけにもいかない・・・

???「…」

先ほどの少女はじっと俺を見つめている始末。
きっと言葉も通じないだろう

まぁ悲鳴で出てこなくても、銃声なら出てくるだろう。
それはいいとして・・・


Blaze「Hallo.」シャガンデメセンアワセル

???「…」

Blaze「…」ペシペシ

???「…」

Blaze「・・・」ホッペミニョーン

???「…」バシッ!!

Blaze「…」

???「…」

Blaze「Ka mate」ボソッ

???「…」

こいつはどうしたものか…
ほっとくわけにもいかんし・・・連れて行くのもな・・・



どうする?


1、連れて行く

2、ほっとく

安価下

「国民の財産である兵器」を痛めつけるとか、なにを考えてるんだ?
本来なら軍法会議ものだろうが……。

>>95
ガーランドや九九式なら、昔は猟銃として使用許可が下りたのよ。
(今新規に通るかどうかは知らんけど)
で、爺様が狩猟許可を持ってたので、そのつながりで……ね?ww

ちなみにガーランドは銃底部が長くて、たぶん170cmはないと構えがぶれて反動を殺せない。
(160後半の爺様は、銃底部を削って自分に合わせてた)
その点、平均身長が160cm程度の当時の日本人に合わせて作った九九式は、非常に構えやすかったな。
そういう点も考えると、やっぱり日本人には九九式の方が合うと思うよ。

余談だけど、今だと九九式は、米国でプレミアがつくらしい。
(特に菊の御門の刻印入りが)
弾も「7.7X58mm Arisaka」ってのが米国で作られてるらしいね。
大型獣用のスポーツハンティング銃として、いまだに現役らしいよ。



反応も無いので手を差し出すと、意外にも指を掴んできた。
なんとなく野良犬を拾った気分だ。

Blaze「Capture.」ヒョイ(捕獲)

肩に持ち上げると特に抵抗もしなかった。

(はたから見たらただの誘拐犯だな…)

帰り際にあの男に10発くらいぶち込んでから、出口に向かった。
外に出るころに、やっと騒ぎになったのか寮の電気がたくさんついた。

さて…今度は爆撃か…
彼女達を巻き込まない策を考えなければな。

そんなことを考えながら、穴に飛び込む。

(おっとこのままじゃ入れないな)

戦利品を背中に回すと、意図を感じ取ったのか首に手をまわしてきた。

Blaze「Good girl.」

ゆっくりと梯子を降りる。


おいブレイズ・・・この子は誰だ?


Picked it up(拾った)


犬じゃないんだからよ・・・


この子はさっきの・・・


お前これ誘拐だぞ?

わかっているのか?


Don't worry

You happy?


・・・


Yes yes yes クシャクシャ


無茶苦茶だな…


それより3分遅刻してたわよ?

嘘つきはいけないと思うのだけれど…





通訳しないと言葉がわからんぞ


通訳しなさいよ


面倒だ…


Go home  ブロロロロロ.....

三つ編みの艦娘……
正規空母:雲龍
軽巡:北上・能代
駆逐艦:磯波・子日(夕雲は「フィッシュボーン」という別の編み方らしい)
……こうしてみると、意外と少ないな。


6月18日

拠点に戻る頃にはもうが夜が明けそうであった

なので端的に書こうと思う

カガは今後は後方支援にしよう、あと起きたら説教だ

あそこの提督は殺した

少女を拾った

名前を聞かねばな

瞼が重い、寝よう


今日はここまでです
コロッケはカボチャが一番ですね
異論は認めます

>>106
羨ましい・・・



なぜ傷だらけの秋月を放置したし……。
確かナガセには、入渠施設もあったはずだよな?
ここで一人救ったくらいじゃ、何も変わらないかもしれないけどさ……。


ここまで出てきた登場人物と現在の勢力図
※更新はまだです


潜水空母ナガセ

F-35 Blaze

正規空母 加賀

軽空母 鳳翔

駆逐艦 睦月、巻雲

潜水艦 伊58

???


北上水雷戦隊

重雷装巡洋艦 大井・北上

重巡洋艦 古鷹・鈴谷

駆逐艦 雷・電・春雨


最初の鎮守府

戦艦 長門・金剛・比叡・榛名・霧島

航空戦艦 山城

正規空母 赤城・瑞鶴

軽巡洋艦 球磨・多摩

駆逐艦 暁・響・吹雪・磯波・夕立・卯月


???

提督
 
正規空母 翔鶴


灰心鎮守府

灰心提督(死亡)

駆逐艦秋月



Blaze「…」ムクリ

???「…」スピースピー


朝起きると、布団の中にいた昨日の少女。
確か彼女は机の向こう側で寝ていたはずだが…
俺の横にいるのは紛れもなく少女。


Blaze「…」ググッ

???「んむっ…」


袖はしっかりと握られており、離れることができない。
面倒だ…なるようになるだろう…
俺は二度寝を決め込んだ。


目を覚ました時、カガに嫌な目で見られたのは心外だ。
潜り込んできたのはこいつであり俺が連れ込んだわけではない。
などといっても伝わるわけも無く。
昼食のスクランブルエッグを口に運ぶ。


Blaze「?」モグモグ

???「…」ジー

Blaze「…」ヒョイ

???「…」パクッ

Blaze「…」スッ←手を差出す

???「…」モキュモキュ…タシッ←咀嚼しつつ指掴む

Blaze「Yes yes yes....」クシャクシャ

???「♪」


ヴァルカン「まるで犬の餌付けだな…」

加賀「まんざらでもなさそうね」


でち「…」ヒョイ

???「…」バシィ!!

でち「…」ヒリヒリ

Blaze「Yes yes yes...」クシャクシャ

???「♪」


でち「…」

ヴァルカン「まぁなんだ…ちょっかいは出すな…」


さて…カガよ…
俺の言いたいことがわかるか?


・・・


沈黙は肯定とする
何か言いたいことはあるか?


・・・迷惑をかけたわ


よろしい
今度偵察に行くときは約束事を決めてから行こう
今回は俺にも非が無いわけじゃないからな


今度があるの?


行かないのか?


いいえ!行くわ…ただ…


ただ?


もう少し怒鳴られるかと思ってたわ…
情けない所を見せて…
挙句腰を抜かせて


・・・今回は誰も怪我していないしこいつも助かった
怒るところは無い
だが危険なところにはまだ連れていけない・・・いいな…


わかったわ…


よろしい
精進しろよ


ありがとうブレイズ


・・・


・・・なんですか?


いや…お前初めてブレイズって呼んだんじゃないか?


気のせいよ…


まぁ…そういう事にしておこう…


ところでブレイズ…叩かれていた方の娘はどうしたの?


あいつはあのままだ
今頃治療されているだろう…


参考までに聞かせて
何故その子を連れて来たの?


・・・あいつの怪我の具合がよくわからなかった
艦娘として重症なのかどうか
ナガセに連れて行ってもいいが、あそこの設備の稼働率は鎮守府の1/10だ
間に合わなかったかもしれん
だから比較的怪我のないこいつを拾った


なるほどね…


お前がいればその判断もできたんだがな ニヤニヤ


ん゙ん゙!!
それでその子の名前は?


そういえば聞いてなかったな…


呆れた…


おい、お前名前は?


・・・?


そうお前だよ


・・・
僕の名前は時雨…
駆逐艦時雨だよ



Blaze「シグレか…言い名だ…シグレ、お前なぜ今まで一言もしゃべらなかった?」


疑問に思っていたことを訪ねる。
シグレはここに来て一度も話していない。
全てジェスチャーで済ませている。


加賀「そういえば昨日私が話しかけてもしゃべらなかったわね…」


このカガの言葉の後
シグレは衝撃の言葉を口にする


時雨「おかしなことを言うんだね、誰も話すことを許可してくれなかったからだよ」


Blaze「・・・」

許可が無かった
今シグレは確かにそう言った
話すことに許可だと?
あぁなるほど、軍人という事か…


時雨「・・・何かおかしいかい?」


Blaze「あぁ…おかしいな…」

いやおかしい
軍人であろうと日常会話位はするだろう
シグレは文字通りここに来て今の今まで一度たりとも
声を発していないのだ


時雨「何故だい?」


Blaze「何故…か…」








Blaze「俺が気に入らん」

加賀「は?」

でち「でち?」

時雨「へ?」

Blaze「そもそも話す理由など理屈どうこうじゃない」

Blaze「笑いたいときに笑う、泣きたいときになく。しゃべりたいときにしゃべる」

Blaze「それでいいじゃないか」

Blaze「俺の番だ、何故お前は喋ることに許可が必要だと思う?」

時雨「それは…」


彼の問い、それはいつの日か心の奥にしまいこんだ疑問だった。
艦娘として生まれたボクは…あの提督の下で今まで過ごしてきた。
最初に言われたのだ、許可なくしゃべるなと。
あぁそうだ、理由はこうだ


時雨「それは提督に言われたから…」

Blaze「提督はもういない」

時雨「あ…」


それなら…他に理由が…
提督が死んでなお、しゃべることに許可がいる理由…

理由…理由…理由…
ボクは何故提督が死んでからもしゃべらなかった?
彼がいないなら彼の命令に従う理由は無いはずだ…
ボクがそれを望んでいた?
違うボクは喋りたかった
喋りたかったはずだ…

いや違う、兵器に感情はいらない
感情さえなければ、悲しむことも無い
喋るという事は、感情をさらけ出すという事だ
ボクは一流の兵器だ
兵器であるが故にしゃべらなくなった
なんだ…簡単なことじゃないか…


時雨「ボクは…兵器だから…」

Blaze「違うな、お前は人間だ」

時雨「違うよ、ボクは艦娘という平気だ」

Blaze「俺の知る兵器は皆一様に冷たい」

Blaze「俺の横にいたお前は暖かかった」

Blaze「お前は人間だ」

時雨「違う…」


Blaze「お前は何故俺の横に来た?」

Blaze「誰とも話していないから、自分を傷つけないと思った奴の所に来たんじゃないのか?」


違う…お前なんか知らない・・・


Blaze「お前は何故考える?兵器はモノを考えない」


違うボクは考えない・・・


Blaze「お前は何故頭を撫でられたときに喜んだ?」


ボクは喜んじゃいない・・・


Blaze「お前は何故…」




Blaze「泣く?」



時雨「へっ?」ポロポロ


時雨「やだ…違う…違うんだ…」

いつの間にかボクは泣いていた。
とめどなくあふれる涙は止まらない。
拭えば拭うほど溢れてくる。
今まで一度も泣いたことなんて無かった。
仲間に殴られようと、仲間を殴ろうと。

時雨「ボクは泣いてない・・・泣いてなんか…」

ギュ

必死の否定。
そのすぐ後に、ボクは初めての感覚に襲われた。


加賀「大丈夫…大丈夫…」

加賀「ここにはあなたを殴る者はいないわ…存分に泣きなさい…」

暖かく、柔らかい。
兵器ではなく人、人の暖かさ。

鼻水がしょっぱい。
涙でふやけた頬が、より温もりを強く感じてる。

なんだ…


ボクは人間なんだ。


時雨「ふぐぅ…ぐすっ…」


Blaze「I didn't hear it,As for the crying weapon.」(泣く兵器など聞いた事が無いぞ…)

Blaze「Feel relieved!」(安心しろ!)

Blaze「Here is a reliable thing.」(ここに確かなことがある)



Blaze「You are men!」(お前は人間だ!)



加賀「…」ギュウッ

時雨「うわあぁぁぁぁ!!!!」



ボクは泣いた、嬉しくて泣いた。
初めての温もり、初めての承認。

そして初めての涙。

ボクは人間なんだ、ボクは話してもいいんだ、ボクは泣いていいんだ。




ボクはここにいてもいいんだ。


zzz...


泣き疲れて寝たか…


えぇ…


まさかお前が他人を抱きしめるとはな…
もう少し冷たい人間かと思ってたが…


あら、あなたも抱きしめてほしいのかしら?


ぬかせ


こっちから願い下げよ


・・・


・・・


軍人たるもの、引き金を引くときは感情を殺さにゃならん





しかし常時そうなってしまうのは病気だ…
俺たち人間は幸せになるために生きている
感情を殺すってことは、その幸せを感じられなくなってしまうからな…


哲学者にでもなったつもり?


人間なんてすべからく哲学者だ
より高いリンゴを掴む理由をいつも考えている
そうして争いが起こる…
愚かな生き物だよ…


けれど、その争いを止められるのもまた人間よ
一概に愚かとは言えないわ


・・・


・・・ フフン


そいつが起きたらナガセに帰るぞ


もうやることは無いの?


あぁ…
明後日にはここらを吹っ飛ばす


今日はここまでです



一応確認するけど…やり残したことは?


・・・そうだな…爆撃することを住民に伝えたいな…


はい!はいでち!


ん?どうしたデチ、お腹すいたか?


ゴーヤにできる事ないでちか!?
結局何もやってないでち!!


そうだな…お前にできる事… ポワポワポワ~ン









――――
―――
――

街中で


でち「でーちーでーちー!!」

でち「明日爆撃されるでち!!」

でち「みんな逃げないと死ぬんでち!」

でち「この世はもう終わりでち!!」


オイオイナンダアイツハ
キチガイジャネエノ?


でち「みんな死ぬんでち!!どうせみんないなくなるでち!!」

でち「いやあああああぁぁぁぁぁぁでちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

でち「海から奴が来るでち!!」

でち「デーチグリーズが来るでち!!」

でち「デーチグリーズが死をふりまくでち!!」

でち「ぎゃあああああぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁあでち」


ウルセェゾ!!


でち「くぁwせdrftgyふじこlp;でち!!!!!」



――
―――
――――








Blaze「・・・」プルプル

でち「どうしたでちか?」

Blaze「いや…お前は街でありったけの紙と筆を10本、墨を10人分買ってきてくれ…」

でち「はいでち!!」

Blaze「お金が余ったら好きなお菓子を三つ…いや四つ買ってこい」

でち「はいでち!!ゴーヤ行きまーす!!」デチデチ

でちに有り金すべてを渡し買い物に行かせる。
水着だが…まぁ夏も近いしいいだろう…

加賀「ねぇ…あなたさっき凄いくだらないことを考えていなかった?」

Blaze「No」

加賀「…油断していると顔に出る癖、直した方がいいわよ」


(なんかこいつナガセに似てきたな…)


さて…こっちのナガセはどこまで来ている?


現在沖合20㌔の位置だ


了解…デチとシグレが起き次第行けそうだな


今度は特に隠れる必要は無い、小型の船舶で向かうぞ


あぁ


ねぇ…


なんだ?


聞いてみたかったのだけれど、ナガセって…


あぁ、そのナガセだ


・・・


どうした?


別に…
この話、鳳翔さんには?


聞かれてないから言っていない


そう…ちゃんと言っておいた方がいいわよ


何故だ?


それも話題のひとつよ
口下手な私が言うのもあれだけど、貴方はもっと鳳翔さんと話すべきだわ
特にナガセとの関係性について


は?それの何が鳳翔と関係あるんだ?


話してみればわかるわ…









6月18日

この日、俺たちは三日ぶりにナガセへ帰還した

シグレが皆となじめるかいささか心配だったが、ムツキやマキグモは快く彼女達を迎えてくれた

シグレは不安そうな顔をしていたが、じきに慣れるだろう

明日はあの鎮守府から妖精たちが物資と間宮をいただく

間宮については誘拐するつもりだったが、あちらの妖精が何とかしてくれるらしい

これで奴ももう根には持たないだろう

そういえば奴の言うとおりホーショーにナガセの話をした

彼女はとても楽しそうに話を聞いてくれた

良かった、枕の件は水に流せたようだ…

余談だがその日の俺の夕食のおかずが、皆に比べて一品少なかった

その分カガのおかずが多かった

ホーショーに聞いても気のせいといわれる始末

カガめ…情報料という事か…

中々策士な奴め…

6月18日 早朝

鈴谷「ちょっと暇すぎるでしょう!!」


鈴谷は激怒した。
あまりの暇さに。


古鷹「ギリギリ三日持ちませんでしたね…鈴谷さんが」

古鷹は呆れて笑った。
鈴谷の二日ほど前の言葉を思い出し。


雷「それじゃあ花札でもやりましょう!!」

電「や、やるのです!」

春雨「そうだね!やろう!」


駆逐艦は頑張った、先輩の機嫌を直そうと。
年上の情けない姿は意識の外へ追いやって。


鈴谷「ぼーんちゃーん!!まーだつかないのー!!」

ボン「あと一時間ってところでしょうな」

鈴谷「やた!外に出られる!!」

北上「鈴谷さんは留守番だよー」

鈴谷「…は?」

北上「当たり前じゃん、誰がこの船守るのさ」

北上「ふるっちだけじゃ守りきれないよ」

鈴谷「…」


鈴谷は心底思った。
ついてくるんじゃなかったと。


雷「す、鈴谷さん!落ち込まないで!私がいるじゃない!」

鈴谷「うぅ~かみなり~」

雷「いかずちよ!!」プンスカ

鈴谷「かみなりがこわいよ~でんちゃーん」

電「いなずまなのです!」プンスコ


北上「…」

困ったなぁ…困った困った…
狭い艦内だしこうなるとはわかってたけど…
あぁ困った困った


ボン「北上クン、水底深くにいれば襲撃は無いと思うが…」

ボン「士気は重要だ、潜水艦内はただでさえ気が滅入る」

ボン「我々の事は気にせず、行って来たらどうかね?」

北上「う~ん…大井っち?」

大井「そうね…鈴谷さんの力は戦闘時には必要になるわ」

大井「少しは発散させた方がいいと思うわ…」


まいっか


北上「そっか~じゃあみんなで行くか」

鈴谷「!」

鈴谷「そうこなくっちゃ!!」

春雨「私たちもいいんですか!!」

北上「いいけどあまり目立たないでね、あと無線は持って行ってね」

「「「は~い」」」


(調子いいなぁ…)
(さて…本来の目的は情報を集める事…)
(善良な鎮守府に行くにあたって、誰を連れて行こうか…)

安価下
安価下二


北上「でも鈴谷はあたしと一緒ね、あと春雨も」

鈴谷「は?嫌よ嫌に決まってるでしょ空気読みなさいよ」

北上「…」

北上「はぁ…あんたは…?」

春雨「あの…服…」

北上「はぁ…もういい、あたし一人で行く…」

大井「北上さん!なら私が!」

古鷹「私もいきます」

北上「んにゃいいよ、みんなについていて」

北上「だいじょーぶ、へまはしないから」

大井「でも!」

北上「子供ばっかなんだから、冷静な人がいないとやばいじゃん…」

北上「大井っちがあいつらについていてくれたら安心なんだけどな…」

大井「…北上さんがそこまで言うなら…」

古鷹「どうかお気を付けて…」


ボン「北上クン…一人で行くなら供を付けよう」

北上「…別にいいんだけどな」

ボン「優秀な妖精だ、きっと君を助けてくれる」

北上「ふ~ん…その子は何処にいるの?」

ボン「工廠だ…」

北上「名前は?」

ボン「ニシザワだ」

今日はここまでです


ちなみに

鈴谷→会話の流れから
春雨→前スレの下着しかない発言から

ついて行かない
代わりに妖精さん登場


大井、古鷹、雷電→特に断る理由が無い

ついていく
二人ともこの中から出た場合、妖精さん登場せず


まさか二人ともついていかない組とは思いませんでした


潜水艦内に作られた工廠。
そこはかつて過ごした鎮守府よりも小ぶりで設備や資源も乏しい。
というよりもいまだ開発中といった方が良いだろう。
そんな工廠が工廠らしく見えるのは、忙しなく動く彼のせいだ。

ニシザワと呼ばれる妖精。

彼は戦闘機妖精にして技術妖精。
昔はエースパイロットとして名を馳せたとか。
そんな彼の特徴は首元の赤いマフラー。

素早く動くとたなびくそれには、目を惹かれた。

北上「あなたがニシザワ?」

ボンから聞いていた特徴の通りの彼に声をかける。
振り向く彼は一度うなずき、私と目を合わせる。
なんというか…ただ者じゃない、そんな雰囲気を感じた。

北上「今から外に出るんだけど…付いて来てもらってもいいかな?」

ニシザワはもう一度うなずく。
無口な妖精なのだろう、差し出した手に彼は乗り方までするすると登って行く。


これが戦闘機妖精ニシザワとあたしの出会い。



ボン「それでは、お気をつけて」

漁港の近くに停泊した潜水艦、この大人数がばれないように上がるのは大変なことだ。
故に魚雷を一本撃って騒ぎを起こさせたもらった。
まぁ…いいんでない?

大井「少し強引だったかしら…」

古鷹「あはは…」

鈴谷「う~ん…久しぶりの外だ~!!」

電「な~の~で~す~…」

北上「あんたらあんまりはめ外すんじゃないよ」

「「「は~い」」」

何とものんきな声だ…
しかしおおいっちとふるっちが付いているのなら、そこまで不安がることは無いだろう。

北上「それじゃあ何かあったら無線で」

大井「えぇ…くれぐれも気を付けて…」

北上「わかってるよ…」


そう言って彼女たちと別れる。
初めて足かせも無く
初めて一人で歩く
初めての外

駆逐艦ではないがやはりウズウズしてしまう。

そんな気持ちを抑え、「善良な鎮守府」へ向け歩き出す。
少しでもダンナの足取りをつかめればいいのだが。


潜水艦を停めた…いやもう潜航しているが…
その港から10分程度の場所に善良な鎮守府はあった。

うちの鎮守府よりは見た目小さな場所であった。
いや…これが普通なのだろう。
元々いた鎮守府はいわゆる”精鋭集団”であった。
故に整備や規模も充実していた。

もちろんこのあたし、ハイパー北上さまも例に漏れず精鋭の1人である。
練度は並の水雷戦隊なら一人で相手ができるぐらいの自信がある。

まぁ何が言いたいかっていうと、あたしがすごいっていう事と…


北上「すいませーん、精鋭鎮守府の北上ですけどー」

北上「提督の指示を受けて見学にきましたー」


この位の規模ならうちの提督の名前が効果的だっていう事。


見学という名の検閲みたいなもん
あんたの所はちゃんとやってますかーっていうね…


ほらほら…入り口から迎えが出てきた…

アノアノ!!ワッ! コテン

イタタタタ・・・・


(大丈夫かよ…)

五月雨「お、お待たせいたしました!提督室へご案内します!!」

北上「はいはい、ありがとねー」


ドジっ子うざい駆逐艦に連れられ、提督室へ向かう。


五月雨「ここが提督室です!!」ギギィ


中には…


婆提督「やぁ、よく来たねぇ…」

北上「ど…どもー…」

背筋がきれいに伸びたおばあさんがいた。



婆提督「そういえば精鋭んとこが艦娘たちを各地に向かわせたとかいう噂があったねぇ…」

(え?なにそれ知らない?)

婆提督「まぁいいさ…とりあえず座んな…五月雨や!茶を!」

婆提督は備え付けの椅子への着席を私に促す。

(まいったな…そんな命令はしらんし…)
(とりあえず話を合わせつつ話を聞こう…)






それで…こんな小さな鎮守府に何の用だい?


実は今…人を探しているの…
ここには情報収集の為に寄ったんだよ


人をねぇ…恋人かい?


まぁ…そんなもんかな?


いいじゃないか…燃えるような恋は若者の特権さね
艦娘も人間も…


あれ?もしかしてお婆ちゃんもあたしたちを人間扱いしてくれるの?


温い兵器などありゃしないよ
そもそも精鋭を鍛えたのはあたしだよ?


へぇ~うちの提督とは知り合いなんだ…


まぁその話はどうでもいい…
さて…情報収集といったが、何を聞こうってんだい?






(あの提督の知り合いってんなら信用は出来そうだな…)

(何を聞こうか?)


1、>>1に任せる

2、自由安価(何を聞くかも併記)


あまry

1お任せで

あ、>>165と安価下と二つ目を採用


お婆ちゃんさ…最近黒い飛行機って見なかった?


ほぉ、あんたの恋人は飛行機乗りか…はて…黒いの…
特徴は?


う~ん…プロペラが無い、あと零戦より大きいかな…


プロペラが無い…国産じゃないね…
そんなもんは見てないな…


そっか…


もしかしてあんたの恋人は外人なのかい?


うん、日本人じゃないね


そしたらお前さん、夜は大変だねぇ~ふぇっふぇっふぇっ


え?


奴さんは日本人よりでかいって言うじゃないか


へ!?


あれだよあ・れ!


ま!まだそんな関係じゃ!!


なんだい生娘か…





おぉ~おぉ~顔が真っ赤だよ!ふぇふぇふぇ





この鎮守府の妖精さんの様子はどう?


あたしは妖精は見えなくてね
それはわからんのだ


そうですか…


まぁ…艦娘にしかわからんこともあるだろう…
あとで工廠まで案内させるから言ってみな…


はい・・・

ニシザワ… コショコショ



コクッ ピョン・・・ダダダダダダダ


それじゃあ最近の変わったことを教えて


そうだねぇ…最近は腰が痛くて五月雨に揉ませているんだがあいつは力が弱くてね…
空母ならと思って龍驤にやらせてみたんだが…こいつも弱くて…
乳に行かない栄養はどこにいったんだい!って言ったら
あいつあたしの腰をガッツリ押してねぇ
それ以来好調だよ!


ごめんどっちかっていうと世間的な…
(好調なんだ…)


ふむ…
そういえば灰心のクソガキ提督が射殺されたという電文
そしてそこの艦娘が誘拐されたという電文が今朝に来たね…


射殺?戦死じゃなくて?


あぁ、詳しいことはわからないが即死だったとか


そんな話は初めて聞くなぁ


そうだねぇ
陸勤の提督が鎮守府内で死ぬのなんて初めてじゃないか?



なんで殺されたの?


噂の域を出ないが、クズ野郎みたいだったねぇ…


クズ?どんなところが?


そこらへんはお前が知らなくていいことだよ





あまり気持ちのいい話じゃないのさ…


そう言って婆は席を離れて、窓辺に向かう。
気持ちのいい話じゃない、そう言った時の婆の顔はどこか怖かった。
すっかり冷え切ったお茶に手を伸ばそうとした時、非常に懐かしい音…

いやけたたましい警報が鳴り響いた

婆提督「これは…」


『偵察機ヨリ入電』

『東方ヨリ敵艦隊接近』

『ヲ級ヲ中心トシタ航空部隊』

『繰リ返ス…』


安価下コンマ
善良な鎮守府の戦闘力


50以下 めちゃ弱
51-80 ふつう
81-98 なかなか
ゾロ目 精鋭


婆提督「ヲ級か…なんでこんなところに…」

婆提督「あたしの愛娘共!第一艦隊で行きな!迎え撃つんだよ!!」


婆提督は館内放送の為の受話器をすぐにとり、指示を出した。


婆提督「すまないね…少しばかり騒がしくなるよ…」

婆提督「おしゃべりは一旦止めだ、あんたはここで待ってな」

提督室を出ていく婆提督。


(まぁ黙って見てられないよね…)


あたしは鎮守府の外に走る。

戦闘は陸地からもギリギリ見える範囲で行われていた。
いつの間にか肩に乗っていたニシザワは望遠鏡で覗いている。

北上「戦況は?」

ニシザワに聞く


安価下コンマ

1、劣勢だ(偶数)

2、優勢だ(奇数)


ニシザワ「ユウセイ…」

北上「そっか…なら助けに行く必要もないね…」

あたしは踵を返して提督室へ戻る。
何十分かが経ち、帰ってきた婆提督と艦娘を労い、話を終えた。

帰り際に

婆提督「今夜暇ならここに来な、ごちそうを作ってやるよ」

そう言ってもらえた。

さすがにこればかりは大井っちたちと相談する必要があるために、返答は出来なかった。


北上「…でもダンナの情報はえられなかったなぁ…」

北上「そういえば恋人って言っちゃったけど…どうしよう」

北上「…まぁいいか」


あたしは大井っちたちと合流すべく無線に呼びかける。





北上「ハロハロー既婚の北上さまだよー」

無線機「ガシャン」

無線機「アレ!オオイサン?オオイサン!」



北上「…」

北上「ううう…///」




やっぱりはずかしいな…

今日はここまでです

質問です

更新数は今より減るが毎日あるいは一日おきに更新
週に一回書き溜めをドバっと吐き出す

どちらがいいですか?
実は学業が忙しくなりそうなので…

それじゃあ毎週土曜日18時から投下します
おやすみなさい

>>196
展開にかかわる安価はなし。
それ以外は気が向いたらあり。


ワイワイガヤガヤ


あの後大井っちたちと合流して鎮守府でパーティよ

もう滅茶苦茶騒いだ

あれだよ、酒におぼれたってやつ

何時間ぶりにあった皆はどこかにこやかだった
なんだかいいことがあったみたい
ふるっちの話によると

古鷹「商店街の皆さんが私たちをこちらの鎮守府の艦娘と勘違いしてしまったみたいで…」

雷「いーっぱいお菓子もらったのよ!!北上さんにもあげる!!」

だとか…
まぁ元気になったならいいけどねぇ


北上「…」ゴクッゴクッ

北上「プハァ」


夜も更けているっていうのに宴は終わらず…
あたしは夜風に当たって休んでる
気分はまさにデキる女


婆提督「おう、こんなところにいたのかい」

北上「婆提督」

婆提督「なんだいよそよそしい、婆ちゃんでいいよ」

北上「なに?いま自分に酔ってるんだけど?」

婆「聞きたいことがあってねぇ…」

婆「軍用艦の絵、花、皿、何か思いつくものは?」

北上「?」

婆「そうかい…あんたの提督から手紙が届いてね、知らないなら良い…」

北上「…」

北上「ねぇ婆ちゃん」

婆「あん?」

北上「あたしね?艦娘はもっと疎まれてるのかと思った」

婆「ほぉ…」

北上「足かせ付けられたり…無理矢理戦わせたり…」

婆「…」

北上「でもさ…婆ちゃんにしても街の人にしても…本当は優しいんだね…」

婆「こんなところは珍しい…」

北上「そうなの?」

婆「そうさ…」


殺された奴…あいつは艦娘を人として扱ってはいなかった
何故そんなことができるか?
艦娘の処遇…建造やら救助したのやら…
そう言うのはあたしらに全部責任がある


責任?


そうさ
ちゃんと管理しているなら殺してもお咎めは無いんだよ


!!!


もちろん出世には響く
だがね…それが現実…
何故だと思う?





その方が都合がいいのさ
艦娘を鎮守府に縛り付けるように
上は提督達を”自由”で縛り付ける
見目麗しい女子を好きにできるんだ…誰が反発する…


でも!そんなのしない人も!!


いるね…あたしや精鋭、同期の爺中将なんてのが…
前にはもっといた・・・
今では牢屋の中だがね…



憲兵…



そうさ…
娘っ子守ろうとした奴みーんな連れてかれたよ…
若い奴等は隠しきれなかったんだ…
勇猛で有能や奴らが檻に入れられた後、残ったのは臆病で無能な奴等
それが灰心みたいな奴等だ








…それじゃあ国民は?
こんなの許さないって人達もいるんじゃないの


いるだろうね…


じゃあ!


言論統制…情報統制…
いや…艦娘に関しては戒厳令が敷かれていると言った方が正しいか…


かいげん?


一時的に統治権を軍隊に移行することさ
このとき通常の市民の権利も制限を受ける

国民の艦娘の知識っていうのはね?
子どものころに鎮守府を実際に見せて、そのあとに嘘の情報を教えられる

現に足かせについて、大体の大人はこう思っている
あれは身を守る艤装なんだと



そんなわけ!




無いだろう?しかしそうなんだよ
否応なしにそう教えられてしまったんだよ、国民は
実体がどうであれ、より偉い者に都合の良い事実を植え付ける
中央集権が生み出した教育…
教育とはね?より操りやすい人間を作り出す道具にもなるんだ…

この事実を知ればきっと国民は怒るだろう…
政府はそれが怖いからいつまでも隠すのさ…



じゃあ…正しいことを知ってもらえれば!!



憲兵に捕まるのがオチさ…
もっとも…暴露したところで信じてはもらえないだろうがね…









それじゃあ…あたしたちは一生…
奴隷の様に…


だがね、諦めちゃいけない
この街の人間の様に、お前たちを正面からしっかり見てくれる奴等もいる
そいつらが大勢になった時、お前たちは必ず救われる

いや、あたしが救ってみせる
今はこらえる時なのさ…



婆ちゃん…



だからね北上
はやまるんじゃないよ?
恨みつらみは判断力を鈍らせる
恨みは恨みを呼ぶ
そんな連鎖の隙にに欲望が入り込むと
それは戦争になる…






戦争になれば多くの人間が死ぬ…
お前の恋人も死ぬかもしれない・・・








だからね北上?
艦娘の未来だとかなんだっていうのは、老人どもに任せて
お前は早く恋人捕まえておいで
ぼやぼやしてると寝取られるよ



!!!



ひっひっひっ



そういうこと言わないでよ!!バカ!



いーひっひっひっ!



ねぇ婆ちゃん?もしもさ…


ん?


そいつが…あたしの恋人が…その…
戦争や争いの当事者だったら…どうすればいいかな?


そうさねぇ…泣き叫んで止めてやんな…


それが正しいことだったら?


お前も恋人のやってることが正しいと思っているのかい?


…思ってない


ならそれは正しいことじゃないんだよ
お前にとってね?


どういうこと?


正しいか正しくないかなんて結局は自分が決めるのさ
ただそれをおしつけちゃあ値打ちが下がる
ただそれが恋人なら別さ

言ってやんな
嫌だ、行かないでって


…それただの我が儘じゃん


可愛い我が儘じゃないか?
えぇ?





いいかい北上?
物事を難しく考えすぎるんじゃあないよ?

望む方を向いて
望む方へ向かって行きな
それがいつか、答えになるんだ…


6月の生ぬるい風が吹き付ける


北上「…なんかありがと」

婆「ここにはいつまでいるんだい?」

北上「明日には発つよ」

婆「そうかい…次来るときはダンナを連れてきな…」

婆「あたしの飯を食ったからにはあんたも今日からあたしの娘だ…」

北上「娘…」

婆「バカ野郎だったらぶっ叩いてやるさ!」

北上「婆ちゃん…」

婆「ひっひっひっ」

北上「えへへ…」



宴は朝まで続き。皆布団も引かずに雑魚寝で寝た
誰もが笑顔で…幸せで…
鎮守府の外でこんなことが待っているなんて思わなかった



6月19日


あたし達が起きたのは翌日の昼下がり

ドジっ子駆逐艦の大声




五月雨「お婆ちゃん!!大変!!電文!!」

婆「なんだい…騒がしい子だね…読み上げな…」

北上「…」ムクリ


五月雨「ほ、報告します!!」






五月雨「灰心鎮守府が爆撃!!周辺地域及び鎮守府への被害甚大!!死傷者不明!!」


五月雨「警戒を厳とせよ!!」

五月雨「なお!本爆撃は深海棲艦によるものではない!!」

五月雨「謎の高速飛来物によるもの!!」

五月雨「現時刻をもって!その飛来物を!!」

五月雨「黒イ鳥!と呼称する!!以上です!!」






婆「…おい北上…まさか・・・・あんたの恋人かい・・・?」



北上「…」

北上「ははっ…」


ダンナ…それはマズイよ…ダメだよ…


婆「北上?」


北上「止めなきゃ…婆ちゃん、力を貸して…」


婆「何をする気だい?」


北上「決まってる」

北上「目を覚まさせてあげなくちゃ…」








ダメだよ…その人たちは関係ない…


ダンナの考えていることがわからない


でも…止めなくちゃ…


ダンナが…


悪者になる前に…


―某所―

精鋭提督「婆の所に手紙は着いたか?」

翔鶴「はい・・・」


私…翔鶴は、提督と共に秘密任務に就いていた
といっても私は強引についてきただけなのだが…


精鋭「翔鶴…灰心についたら、他の奴と行動をとってもいいのだぞ?」

翔鶴「いいえ提督、私は貴方についていきます」

精鋭「うぅむ…」
(久々に吉原的なところに行きたいんだがなぁ…)


そう…
私は何処までもついていきます…
もう決めたのです…

貴方の手記を見たあの日から…


数年前


翔鶴「提督、失礼します」

翔鶴「いないのかしら?」

翔鶴「…あら?」


執務室の上、無造作に置かれた一冊のノート

翔鶴「これは…なんでしょう」ペラッ





今日僕は、艦隊の皆の世話を焼きたい雷の買い物に付き合っていた。

服やらお菓子やらを買い込む雷はどこから見ても普通の少女。

お昼に寄った喫茶店、ナポリタンをほおばる彼女はどこか嬉しげ。

何がそんなにうれしいんだい?

そう聞くと彼女は

この時間が嬉しいの、そう答えた。

有事の際には傷つかざるを得ない彼女の笑顔。

僕には彼女の笑顔を守ることはできない。

そう思った。

空が赤く焼けたころ、僕は彼女を背負い鎮守府に向かう。

この温かみが、僕を苦しくさせた。






翔鶴「え?」


手記のようだ
内容は雷との一日

翔鶴「悲しくさせた?」

どういう事だろう…

私はページを次々とめくる


今日僕は赤城の食事に付き合った。

正規空母の彼女はよく食べる。

放っておいたら倉庫の資材も食べ物も全部無くなりそうだ。

僕は間宮さんが作ったカレーを頬張りながら彼女を見つめる。

絶え間なく動くスプーンと口。

そして彼女の表情筋。

何がそんなにうれしいんだい?

そう聞くと彼女は

美味しいです、そう答えた。

戦場では凛として艦隊を引っ張る彼女の笑顔。

僕には彼女の笑顔を守ることはできない。

そう思った。

近海に敵接近のベルが鳴ると、彼女は瞬時に顔色を変えた。

スプーンを置き、第一艦隊出撃しますと一言。

この頼りになる一言が、僕を苦しくさせた。



今日は一日、北上の昼寝に付き合った。

縁側、草むら、海辺、彼女はどこでもよく寝る

おへそを出したままでは風邪をひくだろう、そう思い毛布を掛けてやった。

そうすると彼女は目を覚まし、だらしなくほほを緩ませた。

何がそんなにうれしいんだい?

そう聞くと彼女は

提督の気遣いがうれしいんだよ

そう答えた

火力はあるが防御の低い彼女。

狙われることも多いだろう、大破もあるだろう。

そんな戦場から帰った後の彼女の安眠。

僕はこの静かに眠る時間を守ることが出来ない。

そう思った。

一緒に寝ようよ

そう誘ってきた彼女の横に腰を下ろすと、彼女は俺の膝に頭を乗せた。

頬をすり寄せる彼女

ふと鼻をくすぐる甘い香りが、切なく感じた。



今日は一日、加賀の演習を見ていた。

鎧袖一触を旨とする彼女の矢は、一本たりとも外れなかった。

的はバタバタと倒れていく。

彼女の休憩と同時に、僕はお茶を入れた。

お茶をすすると、表情の乏しい彼女が嬉しそうに微笑んだ。

何がそんなにうれしいんだい?

そう聞くと彼女は

見守っていただけることが嬉しいの

そう答えた

艦娘としても秘書官としても有能な彼女

そんな彼女のその一言が、僕に無力感を与えた。

ご安心ください、提督

終戦のその日まで、私が貴方を守るわ

そんな彼女の力強い一言が、僕を弱くさせた。



今日は一日金剛とお出かけをした。

僕の手を引っ張って走り出す彼女は、今までにない笑顔。

何がそんなにうれしいんだい?

乱れた呼吸で聞くと彼女は

全部デース

そう答えた

映画館、服屋、喫茶店、公園、様々な所を周った。

どこまでも元気な彼女。

それに比べて陰気な僕。

帰り際彼女に聞いてみた。

こんな僕のどこがいいんだい?

そう聞くと彼女は少し悲しげに

コンナなんて言わないでほしいデス

そう答えた。

そして続けて

テートクはテートクだからいいんデス

笑顔の戻る彼女。

彼女の一途な言葉が、心に深く突き刺さった。



今日は一日睦月の料理に付き合った。

お世辞にも慣れたとは言えない手つきで包丁を扱う彼女。

代わろうかと聞くと

嫌です

かたくなに断る彼女。

歪な形の野菜と肉で構成されたカレー。

それらが入った鍋を笑顔でじっと見つめる彼女。

何がそんなにうれしいんだい?

そう聞くと彼女は

これを食べてる司令官の笑顔が目に浮かぶのです

そう答えた

少し水っぽいカレーライス。

それを食べる僕を見つめる彼女の優しい笑顔。

明日その笑顔を戦場に送り出すことになる。

その現実が、僕をまた冷たくさせる。




彼女たちの代わりに戦えたらどんなにいいか


その言葉を最後に、手記の書き込みは無かった







翔鶴(私たちの身をいつも案じてくれる提督…)

翔鶴(何をするのかはわかりません…)

翔鶴(しかしこの翔鶴!どこまでもお供します!!)



精鋭「さて…灰心へ急ごうか…」

翔鶴「はい!!」


6月19日 早朝


(さて…今日は…)

ムニュ

時雨「…ん……」

Blaze「…」

(ん?)

そこには裸体(に近い)シグレが…

(どういう事だ…)
(昨日こいつには部屋を与えたはず…)

(とりあえず…)



1,起こす

2,起こさない

安価下


(さわらぬ神に何とやらだ…)

(放っておこう…)




俺はシグレに布団をかけ、身支度を済ませた後食堂へと赴く。





それで?
ブレイズ、作戦だが…


二次に分けよう


二次に?何故だ?


一次では兵装を全部外して腹に昨日の紙を詰め込む
それで避難を促した後
二次攻撃で爆撃だ


ふぅむ…なるほどな…
だがそれくらいなら戦闘機妖精たちでできるぞ?


損害は出したくない
俺に任せろ


…わかった


そう言えば朝起きたら裸のシグレがいたんだが…


連れ込んだのか?


違う、いつの間にかベッドにいたんだ


鳳翔に伝えとけ


バカを言うな
殺される
てっきりお前の差し金だと思ったんだが…


俺はそこまで表立ってやらん
あぁ…第一次攻撃は二時間後だ


任せろ


今日はここまでです

どうも自分には書き溜めは合わないみたいです
以前の様にシコシコやります


(さて…)

ナガセのカタパルトに向かうと、妖精たちが爆撃の準備をしていた。
F-35の兵装をすべて取り除き、機体の腹にデチコウに集めさせた紙を詰める。
その紙には、ナガセに帰還した時に警告文をみんなで書いた。
なるべくなら死者は出したくないからな…

使用する爆弾は焼夷爆弾。
使えば付近への被害も大きいだろう…
しかし狙いはそこにある

復興を遅らせることで、灰心鎮守府の再建を遅らせる

全てを焼き尽くせれば一番いいのだが…
ヴァルカン達はそれを嫌がった

足元をすくわれなければいいが…




近くに見つけた椅子に腰を下ろし作業を見つめる

忙しなく動く妖精たち
ただじっと見つめる


ふと思い出す過去


環太平洋戦争が終わり
空は俺を必要としなくなった

そう感じた時
俺はどこか安心した


これで俺は普通の生活に戻れるのではないか…と…


兵士になった時こそはその生活が普通であった
しかしバートレット大尉が落ちて俺は初めてそれが普通ではないことを知った

戦争では人が死ぬ
そこには善悪は無い
どんなに善行を繰り返した奴でも死ぬときは死ぬ


大尉が落ちて、初めて俺はその現実を受け入れた


そこからは必死だった

ナガセに半ば強引に隊長にさせられ、皆に支えられながら隊長として振る舞った

皆を死なせない様に
皆を生かしてやれる様に



睦月「ブレイズさん?」

Blaze「!」

睦月「どうしたのです?難しい顔をしていましたが…」

Blaze「Don't worry...」

睦月「?」


思い出すのはやめよう…
感覚が鈍る

ふと時計を見ると作戦開始まで10分を切っていた

(随分と考えていたものだ…)

Blaze「…」ポンポン

睦月「ふにゅ?」


俺は睦月の頭を軽くたたいてから、愛機へと向かう。



コクピットに乗り込み、離陸の準備を進める
久しぶりの座席は懐かしく、どこか俺の心を慰めた
『軍人たるもの、引き金を引くときは感情を殺さにゃならん』
かつて加賀に向けて放った言葉が頭をよぎる
そして灰心の男にとどめを刺した時のことを思い出した

ふと思った

俺たち軍人は『感情を殺さなければならない』のではない
小銃を持った瞬間、操縦桿を握った瞬間
俺たちの『感情』はすでに『死んでいる』のではないだろうか?
自らの意志で『殺す』のでなく『死んでいる』


そしてそんな状態になった俺たちは
果たして本当に人間なのだろうか?



Blaze「…」

ヴァルカン『ブレイズ、聞こえるか?』


無線から口うるさい妖精の声が聞こえた時
既に頭の上に青空が見えていた

ヴァルカン『ブレイズ?』

Blaze「あぁ…聞こえている」

ヴァルカン「集中しろよ?もうすぐ打ち出すぞ?」

Blaze「…まかせろ」


操縦桿とパワーレバーに手をかけ、一度深呼吸
先ほどの問答を頭の隅に追いやる


Blaze「こちらブレイズ、発艦する」


強烈なGと久方ぶりの浮遊感にあいさつを済ませ高度を上げる
俺の悩みとは裏腹に空は何処までも澄んでいた



数十分
陸が見えてきた

対空ミサイルもRPGもイージス艦も無いこの時代に、俺を墜とせる兵器は無いだろう
安心して空を飛んだのは、もしかしたらこれが初めてかもしれない


上空についたところで、俺は機体の腹の中身をぶちまける

そして旋回、ナガセへ帰還する
帰還する際に一度地上へ目をやった

そこには俺を見上げる住民
秋月もあの中にいるのだろうか…


俺はただ『逃げろ』
そう念じて帰還する


精鋭提督「…どうやら間に合ったようだの」

翔鶴「ブレイズさんの機体から…紙が降ってきます…」

精鋭提督「どれ…ふむ…」

翔鶴「何と?」

精鋭提督「…」

精鋭提督「ワレ手始メニコノ街ヲ爆撃ス30分ノ猶予ヲ与エン スミヤカニ退避セヨ 赤床 黒心 イズレ貴様ラモ焼カン」

翔鶴「爆撃!?正気ですか!?」

精鋭提督「避難するに越したことは無い…鎮守府に急ごう」

精鋭提督「街の人間と彼女等を避難させるのだ」

翔鶴「はい!!」


ただのメモです


空対空 サイドワインダーAIM-9X(通称サイドワインダー2000 2本
    アムラームAIM-120 (AMRAAM)    1本

空対地 マーべリックAGM-65 (Maverick)   2本

巡航ミサイル ストームシャドウ(stoorm Shadow) 2本

空対艦ミサイル LRASM 1本

ガンポッド 220発 1本

空き 2




Blaze「…」


30分が経った
再び出撃の時

両翼には6本の焼夷弾といざという時の対地ミサイル

俺は集中を切らさないために30分間、コクピットに居座り続けた


ヴァルカン『ブレイズ、時間だ』


そして俺は本日二度目の空へと旅立つ
平和を謳歌してきた人間達にとっての悪夢を抱えて






同じころ、精鋭提督の指揮の下機能し始めた灰心鎮守府
今まさに抜錨せんとす艦娘がいた




「…ここは焼かせません・・・・・・」

「ここにはあの子のお墓があります…たくさんの人たちがいます…」

「秋月はまだ…命の恩もリンドウの恩も返していません…」

「片方は顔も知りません…また会える保証もありません・・・

「でもここが落ちたらきっと会えない・・・」

「…」ピラッ

彼女が広げたビラの隅
そこには精鋭提督が見逃した単語があった
『ラーズグリーズ』
注意深く見ないと見落としてしまう小さな文字
そこにどんな意図があったのか
少なくとも彼女は知る由もない


「ラーズグリーズ…」

「今日焼かれるのはこの地ではありません・・・…」


握りこぶしを固めて、誰の耳に届くでもない砲口
必ず守ります
そんな決意が、込められた一言






「防空駆逐艦、秋月!出撃致します!」


「この秋月が相手だ!!ラーズグリーズ!!」





多分今日はここまで

シコシコ書きはじめる


『敵機ミユ サレド追イツケズ 陸へ接近中』


瑞鶴「ナイス!見つけたわよブレイズ!」

吹雪「さすが瑞鶴さんです!」

暁「待って!何か…短針音が…」

響「…確かに…わずかだが…」

夕立「潜水艦っぽい?」


ブレイズが発艦してから数十分
精鋭鎮守府から派遣された別働隊が彼の機影を捉えた


榛名「こちらが捉えれる程度に近いのなら撃ってくるはず…しかし今は…」

瑞鶴「えぇ…ブレイズが気になる…隊を分けましょう」

瑞鶴「吹雪を旗艦として暁、響は対潜哨戒!他はあたしについてきて!!」

吹雪・暁・響「はい!」

榛名「急ぎましょう!」

瑞鶴「わかっているわ…」

夕立「…」クンクン

夕立「吹雪ちゃん!敵艦にも気を付けて!

吹雪「敵艦?」

夕立「なんかいるっぽい!!とにかく気を付けて!」バシャー

吹雪「あっ!夕立ちゃん…敵艦?」















「青葉見ちゃいましたよ…潜水艦から飛び立つ黒い鳥…」

「これは突撃取材です…スクープですよ…くひひ♪」


Blaze「…」

Blaze「こちらブレイズ現在時速180kmで航行中」

ナガセを飛び立ち数十分上空3000mの位置
対地モードに設定されたHUDに敵艦が表示される

距離約30km

対地ミサイルのマーべリックの射程は25~7km
しかしマーベリックは自動追尾ではなくTV画面での操作
果たして何発撃ち込めば艦娘を沈められるだろうか?


いや、これは先入観だ
もしかすれば本物の水上艦艇かもしれない
だとしてもこちらの不利は変わらない


当たるだろうか…
外れたとしても先手はとれる…

コントロールパネルを操作し、ミサイルモードに切り替える
現在、目標との距離約27km

25km


23km


20km

敵艦をロック


Blaze「Fire」


機体から対地ミサイルが放たれる
マーベリックの飛翔速度は超音速を超える
このミサイルは先端に搭載されたビデオカメラによって
命中の瞬間を画像で確認できるので
例え外れたとしても相手の顔を拝めるのだから、対策も容易になる


同時に高度を上げる

ガンモードに切り替え、太陽の位置を確認
準備は整った

着弾を待とう








秋月「!」

異変に気付いたのはすぐ
電探で捉えた何かの方角から別の何かがとんでくる
そしてそれはラーズグリーズがとんできた方向からであった

目視

ロケット?
まさか桜花?
どちらにしても速すぎる!


秋月「対空用意!!」


彼女の横で長10cm砲ちゃんが跳ねる


秋月「弾幕を張ります!撃ち方はじめ!!」

激音が響く
出し惜しみしない砲撃
まさに鉄のカーテン

しかし飛来物落ちず
なおも接近




秋月「いけない!かい――





弾着





秋月「がはっ!!!」


走る激痛
吹き飛ばされる体躯
薄れゆく意識の中で聞こえた轟音

秋月(音が…後から…)

秋月(こんなの…落とせるはずが…)


海上でうずくまる彼女
その足は半分沈んでいた


秋月(マズイ…このままじゃ…)

秋月(でも…それでも…)



秋月「ここは…通せないんです・・・・・・」







Blaze「…アキヅキ・・・・・・」


受信した画像に写っていたのは確かに彼女
あの日リンドウの花を手渡した彼女


Blaze「…」

艦娘といえど、直撃ならただでは済まないだろう
しかしHUDには今なお彼女の生存を確認できる


目標…アキヅキとの距離は5kmまで縮まった



(どうする…この後の爆撃と撤退を考えたらとどめは刺さなければいけない・・・)
(しかし…とどめを刺せば彼女は死ぬ)
(艦娘を救うために罪のない艦娘を殺すのか?)
(だが戦争とはそういうものだ…)
(くそっ!なんで俺はあんなことを考えたんだ!)





―なんにも…うれしぐない…―



ふと、ムツキの叫びが聞こえた気がした







(…間接的に言えば…アキヅキもムツキにとっての加害者といっても過言ではない・・・)
(彼女は現体制側なのだから…)
(しかし…現体制下においての被害者にはアキヅキも間違いなく含まれる…)


(どうする…どうする…)



1、とどめを刺す

2、見逃す

安価下



被弾から数分
上空を飛ぶ戦闘機


秋月「…!」


対空装備はもはや使い物にならない
ただ見上げる事しかできなかった


秋月(ここまでか…)

戦闘機から投下される爆弾

それは鎮守府を、街を瞬く間に火の海に変えた



秋月「私は…守れなかった…」

秋月「っ…」





少女はただただ、戦闘機を見上げていた




今日はここまで


ぶっちゃけ安価にしたら絶対とどめ刺すだろうなって考えてた(本音)

しかし…登場人物が増えたなぁ…間引かなきゃ(使命感)


あと基本>>199の言うとおり
だけど気分で変えることもある







響「…暁、短針音はまだ聞こえるか?」

暁「…もう聞こえないわ」

吹雪「機関停止してじっとしているのかもね…」

響「機雷でも巻いていこうか?」

吹雪「…無駄な兵装の消費は避けよう…」

暁「それじゃあ瑞鶴さん達に追いつきましょう!」

吹雪「うん」
(やっぱり夕立ちゃんの気のせいだったのかなぁ…)





青葉(ふふ・・・さすが青葉です、気配も消せちゃうなんて…)










ヴァルカン「…離れたか・・・・・・」

ベン「しかしまだ重巡がいる…」

加賀「ほっときましょう…重巡では潜水艦に攻撃できないわ…」

鳳翔「でも…ブレイズさんが帰ってくるじゃないですか?」

加賀「問題ないわ、ゴーヤ」

でち「?」

加賀「捕まえてきてくれるかしら…」

加賀「私にやったみたいに?」ニコォ

でち「」

巻雲(あっ、根に持ってるんだ)


Blaze「…」


もてるだけの焼夷弾をすべて撃ちつくし
街を燃やす

木造の多い街であったため、火はすぐに広がった
灰心鎮守府も火の海

住民は逃げ出しただろうか?
・・・逃げただろう…そうあってくれ…

ふと街を見下ろす

あそこにはたくさんの人の営みがあって
笑顔があった


(やめよう…)


悲しいことだが…これは戦争なんだ…




ナガセへの帰還路、秋月が見上げていた
もちろん顔は見えない

Blaze「!」


突然HUDに敵艦が写った
二隻
約20キロ先


(写るのが遅いな…故障?)
(いや…俺が気付かなかったのかもしれない・・・ヒューマンエラーだろう…)

彼女等を避ける進路でナガセへと向かう




ヴァルカン「ブレイズが帰還する、ベン」

ベン「急速浮上」



ゴゴゴゴゴ






青葉「ふあああぁぁぁぁ…にゅむ…」ノビー

青葉「…」

青葉「くああああああぁぁぁぁぁ・・・・」ノビノビー


青葉「まだかな…黒い鳥さん」


ブクブクブクブク


青葉「?」

でち「・・・」ジーッ

青葉「…え?」



ザバァ



でち「…悪く思うなでち、ゴーヤにであった運命を呪うでち」ガシィドヤァ

青葉「へ?ちょわぁ!!!」ザブン



ブクブクブクブク


ヴァルカン『ブレイズ、着艦を許可する』


開かれたナガセの甲板に降りる
垂直離陸もなれれば簡単なものであった


コクピットから、妖精が用意した階段で降りると
居住区や指揮室のある下部に通ずるドアからヴァルカンと彼女が入ってきた





入ってきた艦娘

1、鳳翔

2、加賀

3、睦月

4、巻雲

5、時雨


安価下

風呂入る
安価下

我はお風呂に入るといと眠くなりき
ひとへに母の胸に抱かれきめる心地よさ
寝床が我をとく早くと急かしたり
つまり我はもう眠るといふなり


鳳翔「ブレイズさん…」

Blaze「…」


扉から出てきた鳳翔、その表情は間違いなく俺を心配するものだった
きっと今の俺の顔は酷いものだろう


ヴァルカン「よう、ブレイズ、酷い顔だな?」


そんな軽口で話しかけてくるヴァルカン
彼のそんな軽口ですら、今は野暮ったく感じる

Blaze「Tried・・・」


二人が気を使ってくれているだろうことはわかっている
しかし俺はそれを無視して自分の部屋に早足で向かう
追及はされたくない


鳳翔「待って!」


その言葉と共に俺の手を掴む鳳翔
特に振りほどこうとはしない、彼女なら用を済ませば離してくれるだろう
彼女の性格上、無理に追及することはしないというのはわかっていた
立ち止まり、黙って彼女の言葉を待つ


鳳翔「…お夕飯は何がいいですか?」

Blaze「…It's not necessary・・・」

鳳翔「…ごめんなさい……ブレイズさんの言ってることがわからないです…」


ヴァルカンの方を向く、何故通訳しないのかと
彼はそっぽを向いてそれを拒否した
まるで自分の言葉で語れとでも言わんばかりに


鳳翔「ブレイズさん…」


強引に彼女の腕を振りほどき部屋に向かう
今は一人にしてほしい
彼女を気遣おうという心より
それが勝ったのだ


6月19日


酷い気分だ…慣れていたはずの仕事だったのに
何故か?俺は必死に考えた

仲間もいる、腕が落ちたわけでもないでは俺を蝕むこの気持ちは何か?

そう考えているとある考えにたどり着いた

それは責任の所在

昔は悪いのは戦争だと、戦争を終わらせるために俺は引き金を引くのだ
そう言い聞かせていた

では今は?先ほどの攻撃は?

俺は今まさに戦争の幕を開けたんじゃないか?

その意識が無意識に俺を蝕んでいたんじゃないか?

最悪なことだ

軍人たるもの、引き金を引くときは感情を殺さなければならない

俺は確かにそう言った

しかしそれは間違いであったのだ

引き金を引くときに感情を殺していたわけではないのだ

誰かに死の責任を押し付けることで俺は引き金を引けたのだ

ではなぜ俺は灰心の提督を殺せた?
きっと大儀だ
子どもにこんなことをした奴など正義ではないという決めつけが俺に引き金を引かせた

疲れてしまった寝よう






6月21日

あれから二日が経った
相変わらず気持ちは晴れない

加賀に心配されるという事はよほどひどい顔をしているのだろう

そんな周りの心配をよそに食堂で無理矢理に食事をとっているとき、けたたましく警報が鳴り響いた

『総員戦闘用意!繰り返す、総員戦闘用意!』


何を言っているのかはわからない、しかしきっと戦いが起こるのだろう
俺は愛機の下に向かう






北上「さすが婆ちゃん・・・ビンゴの位置だね…」

ボン「間違いない、彼等です…」

大井「全員!戦闘用意よ!艤装展開後、ただちに抜錨して!」

ボン「急速浮上!!」

北上「できれば争いたくはないんだけどね…」





ベン「…通信が入ったぞ…敵からだ…」

ヴァルカン「こちら潜水空母ナガセ、何の用だ?そこは俺たちが通るからどけろ」

北上『悪いけどそれはできないんだよ…ナガセねぇ…旦那を出して』

ヴァルカン「拒否だ、そこをどけろ」

北上『・・・話し合いの余地は無いの?あたしたちは喧嘩を売っているつもりじゃないんだけど…」

ヴァルカン「話し合ってどうする?軍に突き出すか?」

北上『そんなことするはずない!けど…こんなの間違ってるよ!!民間人を巻き込むのは・・・おかしい!!』

ヴァルカン「北上よ…俺たちは戦争をおっぱじめようってんだ…そこんとこわかっているか?」

北上『えっ?』

ヴァルカン「いいか?俺たちの行動に是非を問うのは50年後の歴史家でいいんだ、俺たちは俺たちが望む未来の為に戦うそこに善悪は無い」

大井『・・・それじゃあどれだけ死人が出ようが関係ないっていうのかしら?』

ヴァルカン「大井か…その通りだ…出ないに越したことは無いが、出たら出たで仕方がない…」

大井『気に入らないわね…ブレイズもそれを了承しているっていうの?』

ヴァルカン「さあな…これはあくまで俺の意見だ、そして事実上この軍隊の指揮は俺がとっている、故に俺の言葉はこの船の船員の総意になるな」

大井『クソ野郎ね…死んで仕方のない奴など一人もいないのよ…』

ヴァルカン「お互い様だろ?猫を被るなよ人殺し」

大井『そこまで言うなら沈めてあげる・・・』

北上『ちょっおお』ブツッ


ヴァルカン「…切れたか…」


ヴァルカン「さて…これで少しでもあいつの重荷を取り除ければいいんだが…」



北上「・・・ダンナは本当にやる気なの・・・」

大井「どちらにせよ止めるのであればやるしかないわ」

北上「…」

先に抜錨していた者達に続くように抜錨する

北上「総員!行くよ!!対潜用意!重巡は対空用意!!」




ヴァルカン「加賀、鳳翔、睦月、時雨、巻雲、でち公、抜錨だこの船を守れ」

ベン「急速浮上!!」



やがて巨大な潜水艦が海上に姿を現す
それと同時に船から出てくる6人の艦娘








大井「北上さん!黒い奴が出てくるわ!!」

北上「ありったけの魚雷をあれにぶち込むよ!!ブレイズを飛び立たせるな!!」



「「「「はい」」」」



北上水雷戦隊の魚雷がナガセを襲う



加賀「第一次攻撃隊、発艦よ!大丈夫、優秀な子たちばかりですもの」

鳳翔「致し方ありません!みなさん発艦してください!」

睦月「ぎょ!魚雷がたくさん来ます!!」

時雨「できるだけ撃ち落とすよ!」

巻雲「支援雷撃来ます!!衝撃に備えて!!」

58「これが・・・戦場でちか・・・」ホクリ

ベン「全砲門開け、注水完了したものから順次発射せよ」


16門の魚雷発射管から魚雷が弾幕の如く発射される
それは北上達が発射した魚雷とぶつかり爆発する
その爆発は周りの魚雷を巻き込み、大きな爆発を起こす

その衝撃で大きな水柱が立つ

北上は見た
その水柱の先に今にも飛び立たんとする彼を


北上「…嘘・・・・・・こんなにも早いなんて予想外だよ…」



今日は終わり

できれば航空自衛隊の国産ステルス戦闘機『心神』(F-15A?)を出して下さい

298
出来れだよ
で・き・れ・ば!!!

しかし対空地ミサイルとかないのかねぇ…チラッチラッ

302・304
そうやってスレ消費か…ボソッ

コレヨリ無線封鎖ヲ実行セウΣd(`ω´)
モシ悪口(俺に対して)ヲ発シタラ…
『カワ・カワ・カワ』ダ(意味第二次攻撃の必要あり)

SSまとめ速報に投稿されてたからばくった…今後喋らない…多分


揺れる船内
愛機の頭脳に乗る俺は、ふと彼女との出会いを思い出す
北上との出会い

無人島で歌う俺を軽口をたたきながら笑って見下ろす彼女
快活な笑みは、どこか眩しく思えた

思えば俺は彼女に何をしてやれただろうか?
俺は彼女に世話をかけてばかりではないのか?

腹部の傷の手当をしたのも彼女
俺が起こられたとき、手を差し伸べてくれたのも彼女
記憶の中の彼女は決して俺を責めることは無かった

そのすべてを許容あるいは寛容
受け止めてくれた

先ほどの彼女とヴァルカンの通信は俺の所にも聞こえた
相変わらず言葉はわからない
しかしその言葉に含まれた感情は伝わった

戸惑いあるいは怒り

俺は間違っているのだろうか?

少なくとも人に誇れることをやっているわけではない
しかし、睦月の涙を見た時俺は思った

救わねばと

そしてそれは当事者がやっていいことではないとも感じた

何故か?

我々がやらんとすることは革命
彼女たちが住むこの国の根幹を変えるという事
艦娘にも平等な権利を、自由を与えんとする事

彼女たちは以降もこの国で過ごすことになるだろう
しかし彼女たちは決して特権を望んでいない
あくまで人間としての扱い

となれば以後の生活に国民との遺恨を残すようなことは避けたい

悪が必要になる
中途半端では無く絶対的で、象徴に成り得る悪が

オーシアにとってのベルカの核
ベルカにとってのラーズグリーズ


恐怖に値する敵

艦娘と国民が共同でこれを打ち倒すことで、我々の革命は終わる
この筋書きでなければならないのだ




ここでゆっくりと光が指す
ナガセの甲板が開く
エンジンは十分に温まっている
今すぐにでも飛べる


ふと見上げた空はあの日と変わらない

ここで俺は一つの結論にたどり着く
自らの考察の連鎖にやや強引に幕を降ろす


俺は・・・決して悪などではない


俺の飛ぶ舞台が、たまたま悲劇の脚本だったのだ
きっとそうなのだ

絶望の先の希望に俺は辿り着くことは無い
希望の礎として死ぬ


ヒロイン達の輝きと引き換えに




ヴァルカン『・・・・!・・・・・・!!』

ヴァルカンの声は綺麗に俺をすり抜ける
わかっている、HADに写っているのだから

Blaze「I'm OK」

ヴァルカン『・・・・・・・!!』

Blaze「This is Blaze!!I'm take off now!!!!」


パワーレバーを力強く押す
機体はナガセから打ち出され、瞬間的なGが俺の体を締め付ける

眼下に広がる海に浮かぶ鳳翔達が見えた


(次に戻った時、彼女等にどういう言葉をかけようか?)


青空のように晴れた心に
新たな疑問が浮かんだ








鳳翔「…」

ヴァルカン「海上の迎撃部隊に告ぐ、撤退せよ」

加賀「了解」

鳳翔「・・・・」

加賀「・・・・」

58「二人とも何してるでちか!!逃げるでちよ!!!」ドバババババババ

時雨「?」

鳳翔「…単騎で・・・・・・戦えと・・・・彼に・・・・」

加賀「・・・・人は・・・割と単純なことで悩んだり嬉しかったりするの・・・」

鳳翔「…どういう意味ですか?」

加賀「別に…」シャー

時雨「ほら、鳳翔さんも行こう?」

鳳翔「…はい・・・・・」


大井「来たわね…右舷より敵戦闘機!!総員!!単横陣で迎え撃ちます!!対空用意!!」

北上「大井っち!!撃ち落とす気なの!!」

大井「迎え撃たなきゃこちらがやられるわ北上さん!!」

北上「でも…でも!!」

雷「対空用意!!」ガチャ

電「撃ちたくは・・・ないのです…」

春雨「撃たなきゃ私たちがやられちゃうよ!!」ガチャ

電「でも!!」

鈴谷「いやなら下がってな!!邪魔よ!!」ガチャン

電「ひぅ…」

雷「電!!しっかりなさい!!」

電「…仕方が・・・無いのですね・・・・黒い鳥さん…」ガチャン

古鷹「…」ガチャン

北上「大井っち!!」

大井「彼はもう敵なの!!撃ち方はじめぇ!!!!」

北上「待って!!!!!」


大井の号令と共に、彼女たちの前に弾幕が張られる
これに対しBlazeは大きく右に旋回
上空高く舞い上がる

黒い鳥は一つの悪夢を彼女達に落とす
それは炸裂するとまた数十個の悪夢に変わり、鉄の雨の如く彼女達に降り注ぐ

雷「あれは・・・なに?」

春雨「爆弾・・・?」

大井「!」

大井「総員!!散開!!!」

時すでに遅し
彼女等の数百m上でさらに炸裂したそれは、彼女等に襲い掛かる


ヴァルカン「野郎・・・使いやがったな…」

それは初の対艦娘戦を終えた後の事であった




ヴァルカン「クラスター爆弾?なんだそれは?」

Blaze「鉄釘の入った小さな爆弾を大きな箱の中に入れて落とす・・・そんな兵器だ…」

Blaze「これなら一発で広範囲に攻撃が可能だ…」

Blaze「音速爆撃はそう何度も使えない・・・」

ヴァルカン「…悪かったな・・・・・」

Blaze「責めちゃいない、しかし複数の艦娘と戦う際には弾幕で近づけない・・・そこでクラスター爆弾で隙をつくって近づく・・・作れるか?」

ヴァルカン「まぁ…それぐらいなら・・・・・・しかし恐ろしい兵器だな…」

Blaze「優しい兵器など未来に行っても無いさ」

ヴァルカン「…それもそうか……」

Blaze「話はそれだけだ…」スクッ

ヴァルカン「おいBlaze!!」

Blaze「なんだ…」

ヴァルカン「北上や・・・赤城にも使うのか?」

Blaze「…さぁな・・・・・・」

ヴァルカン「・・・・・・」



ヴァルカン「おいBlaze!!そこまでだ、帰投せよ」

「…」

ヴァルカン「Blaze!!応答しろ!!」

「…」

ヴァルカン「奴め!!無線を切ってやがる・・・」

ヴァルカン「…くそっ・・・・・・」



大井「痛い…何よこれ・・・」

体中に深々と突き刺さる鉄芯

鈴谷「くぅぅ・・・銃弾より痛いかも・・・・」

古鷹「…三式・・・だん…なの・・・」

春雨「次が来ます!!」

大井「弾幕!!弾幕!!」

古鷹「駄目!!防げない!!」

雷「きゃあああぁぁぁぁ!!!」


一方的とはこのことを言うのだろう
この爆弾は、艦娘に対して一発一発の威力はほぼ無い
しかし、それは航行不能をゴールとした場合のダメージの蓄積を前提とした話である

Blazeはそれをゴールとしていない
彼が攻めるのは彼女達の精神

雨のように降り注ぐ鉄芯の数本は艦娘の障壁をすり抜けて刺さる
それを何度も何度も繰り返す
総数にして尋常ではない数の鉄芯が彼女等へ向かう

体力と精神
絶え間ない攻撃により判断力を鈍らせる


鈴谷「…こんな豆粒でぇ!!!!」


そしてヒット&アウェイですぐさま飛び上がる戦法
彼女等の攻撃は届かない
それは徐々に彼女達をイライラとさせた


大井「くそっ!!くそっ!!くそおおおぉおっぉお!!!」

古鷹(各艦の距離が遠すぎる!!このままでは!!)


散開した結果、孤立する艦が生まれる


電「うぅぅ・・・」

雷「いなずまぁ!!!左舷!!」

電「え」


彼はそれを見逃さない


電「きゃあああぁぁああ!!!」大破

雷「いなずまぁぁぁ!!!!」

北上「いかずち!!一人はだめぇぇぇ!!!」



轟沈はさせない
救助する艦が来るから


北上「直上!!!」

雷「あ」

北上「ヤダ!!ダメ!!」



弾着 大破



こうなれば爆撃も容易である
大きな力を持っていても所詮少女
とっさの判断は感情的になってしまう


鈴谷「やばい…大井!!固まんなきゃ!!」

古鷹「そうすれば鉄の雨の餌食です!!」

鈴谷「じゃあどうしろっていうのさ!!」

大井「撤退です!!」

春雨「二人は!!救助に行けば彼にやられます!!」

大井「…くそっ!!」



古鷹「…うそっ・・・こんなタイミング・・・・」

大井「次は何よ!!」


彼女が指差す先




大井「深海棲艦・・・」


その時、一人がそれに向かう


大井「北上さん!!!」

北上「大井っち!!あいつらはあたしが引き付けるから!!!雷電姉妹を!!」

大井「待って!!北上さん!!」

鈴谷「行くよバカ!!死ぬぞ!!!」

古鷹「春雨ちゃん!!電ちゃんと雷ちゃんとこ行くよ!!」

春雨「は、はいっ!!」

大井「まって!!待って!!!」


北上(撃退はしない、足止めだけでも!!)

そう考えた直後、後ろから発砲音
直上を彼が通り過ぎる


北上「ダンナ!!」


それはまるで来るなと言わんばかりの発砲
彼女は停止して彼を見送る



北上「…ダンナ・・・・・・」


数百m先で、戦闘が始まった
彼女はうなだれてつぶやく


北上「遠いなぁ…遠すぎるよ……」


北上「速すぎて追いつけないよ…ブレイズ・・・・・・」


北上「ちっとも・・・ちっとも追いつけないよぉ・・・・」

彼女の頬を、涙が伝った













その後、精鋭の警護も虚しく
ラーズグリーズは赤床、黒鉄鎮守府の爆撃に成功
惨劇の黒い鳥は全国民に知れ渡り、世論は艦娘へと注目した

灰心鎮守府の秋月
精鋭の北上水雷戦隊はとある記者によりメディアに取り上げられた
それにより、国民は政府への情報開示を要求

陸軍と時の内閣もこれに追随、海軍に迫る

爆撃された背景を陸軍によって追及された海軍は艦娘への待遇に関する情報を一部開示

数々の虐待や棒鋼が問題となり、法整備が急がれた

新たな人権
艦娘は日本国内でのみ人種として扱われることとなった

いまだ限定的な部分はあるが、事実上艦娘は選挙権、市民権等を勝ち取った







Blaze達の活躍により
間接的にではあるが革命は成功した











???海域 潜水母艦ナガセ



Blaze「…」

ヴァルカン「さて…当初の目的は達成したわけだが?」

Blaze「まだだ…」

Blaze「まだ終わっちゃいない・・・」

Blaze「諸悪の根源は・・・いまだ健在…」

ヴァルカン「同感だ…」

Blaze「鳳翔達を降ろそうこれ以上巻き込めない・・・それに・・・」

Blaze「彼女たちは・・・きっともう幸せに暮らせる・・・」

ヴァルカン「・・・・・・伝えておこう・・・」

Blaze「あぁ…」






北上達と交戦したのは、もう3か月も前の事
ひたすら悪役を演じ続けてきた・・・
これでよかったのだろう

そう思う・・・



ヴァルカンが出て行った後、仮眠をとっていた
目を覚ますと、思わぬ人物がベッドに座っていた




自称記者

青葉


青葉「おはようございます…」

Blaze「おはよう・・・何の用だ?」

青葉「随分と日本語が上達しましたね」

Blaze「これでも頭はいい方なんだ…」

青葉「そうですか…」

Blaze「…」

青葉「…」



記事・・・書きましたよ…
貴方の悪行をあることないこと
私は人質に捕られた姫様の設定です


惨劇の黒い鳥…中々気に入ったよ


・・・


どうした?


何故・・・そこまで追い詰めるのですか?
このままでは・・・いずれ死んでしまいますよ?


かもな


であればもうやめましょうよ!!
どこか人のいない地にでも暮らせば・・・


あぁ…きっと楽しいだろうな…
でもそれは出来ない・・・


なんでですか!


艦娘の誇りの為だ


誇り?


三つの鎮守府が壊滅
彼女たちの誇りは踏みにじられたと言ってもいいだろう
それを取り戻すには、俺を墜とす必要がある


・・・死ぬ気ですか


そうだと言ったら…どうする?


・・・命は・・・たった一つなんです…
大切にするべきなんです…
絶対そうです…


その通りだ…


ブレイズさんは言っていることが滅茶苦茶です…
なんなんですか…



命を大事にする・・・肯定だ
お前は間違っていない・・・


じゃあ


でも違うんだよ…
命ってのは大切にするだけじゃ輝かない


かが・・・やき?


そうだ…
家族を守るために働く
国の為に人を殺す
俺は誰かの為、自分の為に命を削る時、それは輝くんだ
無人島でぐうたら暮らしてちゃあ命が腐ってしまうよ
俺の命は・・・ここで使うべきなんだ…
この世界でな…


・・・あなたが死ぬことで悲しむ人もいます


そんなことは誰にでも言える事だ


私も・・・悲しいです…


ありがとう青葉


貴方と過ごした日々は短かったですけど…
貴方との語りは数十年来の友との語りのようでした


青葉のおかげで随分と日本語もうまくなったよ


記者ですから…
日本語はマスターしています


感謝してるよ


ブレイズさん、決心は変わりませんか?
なんなら青葉が養いますよ?


変わらないな
来世で頼むよ


・・・


・・・


こんな時・・・なんといえばいいのだろうか青葉?



行動で表せばいいかと・・・


そうか…









・・・もう行きますね


あぁ、さよならだ


・・・


・・・


・・・ブレイズ


・・・なんだ











良い旅を








・・・さよなら青葉








良い人生を



ヴァルカン『ブレイズ、指揮室に来い』



ブレイズ「わかった」









鳳翔「…」ニコニコ

加賀「…」

時雨「…」ニコニコ



Blaze「…なぜここにいる?」


鳳翔「ブレイズさんは一人にすると危ないので」

加賀「…飛行機に空母や滑走路が必要なように、飛行機乗りにも母艦が必要なハズよ」

鳳翔「…」キッ

加賀「…」プイッ

時雨「ボクは貴方のモノだから」

鳳翔「」

加賀「」


ヴァルカン「こいつらは志願だ、渋る奴は皆外に追いやった」


Blaze「…もう鎮守府には戻れないかもしれないぞ?」

鳳翔「構いません」

加賀「赤城さんが無事なら、それでいいの」

Blaze「…勝手にしろ・・・・・・」

鳳翔「はい」

加賀「えぇ」

Blaze「…睦月たちはまだ外に?」

時雨「うん」









Blaze「睦月!!」

睦月「ブレイズさん!!お願いです!!睦月も!!睦月も連れて行ってください!!」

Blaze「お前には最後の任務がある!!これを!!!」シュバ

睦月「わと・・・これは・・・・・・日記?」

Blaze「北上に渡してくれ!!頼んだぞ!!」

睦月「ブレイズさん!!」

睦月「ありがとう!!ありがとう・・・・ありがどう!!!」

Blaze「…Have a nice life!」


ベン「急速潜航、本艦はこれより東京霞ヶ関へ向かう」


ヴァルカン「…攻撃目標は海軍省!!クソッたれな悪夢に終止符を打つ!!」


ヴァルカン「作戦名ビギニングと呼称する!」


ヴァルカン「夜明けは近いぞ!以上!」

























「艦娘通信 惨劇の黒い鳥再び!攻撃目標は舞鶴!」






ここまで
ごめんね、就活で忙しくて来れなかったんだ


東京某所


精鋭提督「…」

婆提督「…」

中将「…」

中将「それで・・・今度は舞鶴とあるが…」パサッ

精鋭「はったりでしょうな、攻撃する意味がてんで無い」

精鋭「灰心、赤床、黒鉄の爆撃騒ぎで奴等の悪事は白日の下にさらされた、艦娘の人権が正された」

精鋭「この時点でほぼ革命は成功したと言えるでしょう・・・」

中将「ふむ…」

婆「そんなものはどうでもいいんだよ、あたしが知りたいのはあんたが送ってきた奴の事だ!」

婆「戦艦の写真、裏返された皿、あれの意味だ!!」

精鋭「あれは・・・ちょっとした合言葉の様なものさ…婆さんは、深海棲艦がどこから来るか知っているか?」

婆「・・・・・・まるで自分は知っているような口ぶりだね…知らんね、そんなもん」

精鋭「では、駆逐棲姫と駆逐艦春雨の類似点については?」

婆「…何が言いたい・・・・・・」

精鋭「艦娘が善だとすると深海棲艦は悪、相反するそれはまるで皿の裏と表だ…同質であっても、同じ方向を向くことは無い」

婆「…」

精鋭「さて、ここで我が国の近年の出来事を振り返ろう」


先の大戦に負けた我々は、連合国の統治下に入った
3年の時が過ぎ、深海棲艦が現れ連合国を追い払った
1年後、艦娘が現れ我々を独立に導いた

どうだね?出来すぎていると思わんかね?



・・・



非科学的な妖精、非科学的な艦娘
全て非科学的で済ませればよいかもしれない
しかし何故この国なのだ?
何故この国の近辺から深海棲艦が生まれるのだ?

そして何故!
艦娘の製造は大本営が行う?
各鎮守府にも非科学的な妖精はいるのにだ…



・・・



これを見たまえ・・・



コイツは・・・住所かい?



実はだいぶ前に大本営で宴があった
その際の艦娘に関する機密文書に書かれていた住所
彼女たちの家族の住所
尋ねると皆こういうのだ
知りません、あるいは神隠し・・・と


なんだって?


思えばおかしい話だ
深海棲艦の脅威の前に我々は考えることを放棄してしまっていた



・・・バカな事いうんじゃないよ……
まさかあの子たちは・・・・・・




ここまで


睦月「…」

潜水空母ナガセを降りた彼女は一時、精鋭鎮守府へと戻っていた
理由は保護
成り行きとはいえ、テロリストに加担していた彼女を責める声は少なからずあった
そういった意見を彼女に届かせぬようにしよう
そんな理由であった

そして今、彼女は彼女の恩人に託された仕事を達成せんとあるかん娘の部屋のドアの前に立っていた

北上、いまや英雄的艦娘である


睦月「…北上さん……入っていいですか?」

睦月「失礼します…」


返事が無かったため、勝手に入った彼女
その目に入ってきたのは少しばかり痩せた彼女

北上「…入っていいとは・・・言ってないんだけど…」

睦月「すみません……でも……睦月はあの人に恩を返さなきゃいけない!!」


彼女はそう言って彼の日記を強引に北上に押し付けた

北上「???」

睦月「ブレイズさんの日記です…」

北上「!!」

睦月「睦月は・・・降りるときにそれを託されました…北上さんに渡してほしいと・・・」

北上「…そう・・・・・」

北上「……悪いんだけどさ・・・・・出てってくれない?」

睦月「…はい・・・・・」


バタン



北上「…」

彼女は彼と出会った時に使っていた和英辞書を引っ張り出した
薄く埃が被ったそれを手に、彼の日記を開く



北上「…」

1ページづつ、ゆっくりとめくる彼女
一つ一つの単語を時間をかけて訳し、文に直す

(しかし、ここには変人が多い。)

北上「変人て…あたしはまともだよ……」

(ナノデスやイカズチ、ヒビキ、アカツキ。
 そしてキタカミ…
 彼女等に別れの挨拶の一つもできなかったことが悔やまれる。
 いずれまた、会いたいものだ。)

北上「本当にさ・・・いきなり出てって・・・・・・心配したんだから…)


(最大の戦果はカガが音痴であったという事)

北上「あたしは結構うまいんだから…」

(あそこの提督は殺した)

北上「…また・・・一人で背負ってないかな…」


まるで会話をするようにぽつぽつと言葉を漏らしていく
読み進めていくと、これまでと違い日本語で書かれているところがあった

はじめの言葉は北上へ

まだまだ下手な字で書かれた自らの名前
食い入るように読んだ



北上へ

あまり時間も無いので端的に書いていく、ちなみに言葉はある記者に学んだ

まず先の戦闘で発砲したことについて謝る

君を巻き込みたくは無かった

本当にすまない

そして一連の事の真意だ

それはひとえに君たちの地位向上の為であった

今はそれも為された

しかし俺はまだ戦うだろう

君たちを苦しめた諸悪の根源はいまだ健在だからだ

放っておけばまた君たちを苦しめるかもしれない

北上、俺はこう思う

人生というものは非常に不条理だ

偉い奴等の指先ひとつで殺されそうになることもあれば

そんな偉い奴らが助けてくれることもある

人生とは常に不安定できちがいじみてる

人生自体がきちがいじみているとしたら、一体本当の狂気とは何か?
 
本当の狂気とは、夢におぼれて現実を見失うのも狂気かもしれない

現実に追われ夢を持たないのも狂気かもしれない

だが、一番憎むべき狂気とは

あるがままの人生に、ただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わないことだ

北上、君たちを苦しめた根源は必ず俺が滅ぼそう

決して俺の下には来ないでくれ

君はこのきちがいじみた人生をあるべき姿でいる生きるために戦ってくれ

君たち艦娘が、あるべき姿で生きる事の出来る世の為に戦うのだ

話すべきことはこれくらいだろう

以下は個人的な事だ

君さえよければ昼の十二時から十五時の間、ごおおおという音が鳴ったら空を見上げてほしい

俺は君たちの鎮守府の上を通り過ぎる

それが闘いの続く君に送る最初で最後の応援だ






読み終わると彼女は日記を閉じて机に置いた
両腕をめ一杯上に伸ばして、深呼吸を行う

口から入った酸素が体の隅々に染みわたる気がした

北上「…あるべき姿・・・・・・ね・・・・・・」

北上「北上さまがこんなところでしょげてるのは似合わないよね…」

彼女はニカッと笑って立ち上がった
もう一度息を吸って・・・・

北上「おおいっちいいぃぃぃぃぃ!!!!」

頼りになる相棒を呼んだ」

大井「はあぁぁぁぁあぁぁい!!!!」

北上「ブレイズ殴りたいから手伝って!!!」

大井「はい!私も殴りたいです!!」

北上「よし!用意しよう!」

大井「あぁ…北上さんの目がついに覚めたんですね…」

ずんずんと進む二人
目指す場所は工廠



ヤーヤーヤァヤーヤヤヤー

あっここまで
一万もの弾薬と燃料を生贄に葛城さんの償還に成功したぜ・・・
もう満足


精鋭「あくまで・・・仮定の話だ…」

やや興奮して詰め寄っきそうな婆提督を、彼は手で制す

婆「…クソッたれ・・・・・・」

精鋭「前々からおかしいとは思っていた・・・何故この国の復興はこんなにも早く終わったのか・・・米国の援助もほとんど無しに・・・」

中将「すべてが早急すぎたのだ…」

中将「戦争の敗戦、連合の統治、新たな敵の出現・・・我々前線の者は皆焦っていた・・・」

中将「強大な敵の前に思考が停止するのは珍しいことではない・・・さて……現実的な方向へ話をもどそう・・・」

そう言うと中将は一枚の地図を机に広げる
そこに描かれているのは、守るべき故国

精鋭「彼の行動原理はきっと私と同じ・・・恒久的な艦娘の安全・・・・・・」

精鋭「であれば・・・根本、元凶を叩く・・・」

中将「大本営・・・」

精鋭「はい・・・」

婆「バカを言うんじゃないよ!大本営まで接近するなんて無理だ!必ず艦娘のレーダーに引っかかる!」

婆「弾幕張られちゃおしまいだろうさ!」

中将「それが・・・そうでもないんだ…」

婆「なんだって?」

精鋭「彼と戦闘した秋月の記録によれば…彼は艦娘を一撃で大破に追い込む火力を持ち・・・」

精鋭「その速度は音速を超えるという・・・」

婆「戦場にありがちな英雄伝説・・・違うかい?」

精鋭「警戒するに越したことは無い…」

中将「策は?」

精鋭「単純な事です、来るなら迎え撃てばいい」

精鋭「多数の艦娘を横に並べて弾幕を張ればいい・・・十数もの横列でね…」

中将「まるで姉川の合戦だな…」

精鋭「それで駄目なら・・・打つ手はない…」

中将「戦力はどうする?」

精鋭「そこは・・・ねぇ…?」

中将「まったく…食えん奴だ…」

精鋭「褒め言葉として受け取っておきます…」

中将「それでは解散だ…追って沙汰を伝える」

精鋭「失礼します」ガタッ

婆「…」ガタッ




婆「おい精鋭・・・」

精鋭「?」

婆「本気で…奴を墜とすのかい・・・」

精鋭「何か彼に思うところでも?」

婆「…戦争で泣くのは・・・いつも女子供だ……あんたわかってんのかい?」

精鋭「バカを言うな……救いのある戦争があってたまるか、失敬する」


婆「……どいつもこいつも・・・バカ野郎だ……」スタスタスタスタ




五月雨「お婆ちゃん!お話終わったの?」テテテテテ

婆「あぁ…」

五月雨「なんか・・・元気ない?」

婆「…可愛い服に綺麗な靴・・・お前は欲しいかい?」

五月雨「え?いきなりどうしたの?」

婆「…」

五月雨「……今は・・・いらないかな……」

婆「そうかい・・・それじゃあ帰るよ……」スタスタスタスタ

五月雨「あっ!お婆ちゃん待って!」テテテテテテテ

婆(なぁ北上・・・あんたはどう答える・・・?)

婆(可愛い服に綺麗な服・・・あんたなら素直に受け取るかい?)

婆(あたしゃ欲しいしねだられたいよ…いつまで経ってもね……)


おいブレイズ、青葉の記事見たか?


あぁ…背後から味方に撃たれた気分だ…


まぁそう言うな…
奴もどうにか力になりたい一心だったんだろう
まぁ…多分ばれちまっただろうけどな・・・どうする?しばらく身を潜めるか?


勢いに乗ったほうがいい時もある
今がまさにその時だと思うが?


同感だ
それじゃあ…作戦だが……
灰心で拾ってきた妖精の中に大本営勤務の奴がいたのは知ってるか?


知らんな


いたんだ
そいつの話では大本営の艦娘建造工場は見えない障壁で守られている
障壁を破壊して艦娘建造工場を破壊すれば、艦娘は二度と作れない・・・


障壁?


まぁ…妖精が作った重さの無い見えない盾のようなものだ
そしてそれの強度はもう凄く固い
お前の兵器千本ぐらい打ち込めば破壊できるくらい固い


ははっ…それは恐ろしく固いな…


しかし無敵というわけではない
特殊な工程を踏んで作られた障壁破壊爆弾を撃ち込めば簡単に壊れる
ただな・・・


ただ?


撃ち込む手段が無い…
なにしろ大本営には近づけないし、重いからな…


俺の機体じゃ無理か?


・・・危険だぞ?
それに壊した後、誰が工場を破壊する?


場数は踏んでる、心配するな
工場は・・・先に加賀達を忍び込ませて奴等に破壊させればいい


なるほどな…それでいこう
爆弾の製造には一週間はかかる


それじゃあ…作戦開始は9月の20日と言ったところか…


そうだな…俺は製造にかかりきりになるから加賀達にはお前から伝えておいてくれ


あぁ…わかった





ナガセ内の食堂、彼女たちはそこにいた
三人で談笑する姿はまるで家族の様
静かに微笑む鳳翔
はしゃぐ時雨
諌める加賀
まったく微笑ましいものだ

Blaze「少しいいか、作戦が決まった」

加賀「…とりあえず座ったらどうかしら?」

鳳翔「それじゃあブレイズさんの分のお茶も用意しますね?」

Blaze「あぁ…ありがとう」

時雨「それじゃあ僕はブレイズの隣に移動しようかな…」

Blaze「そこでいいぞ?」

時雨「…」ブッスー

鳳翔「どうぞ」

Blaze「よし、作戦を説明する」




加賀「なるほど…私たちの任務はその工場の爆破という事ね?」

鳳翔「これで最後ですものね…頑張りましょう…」

時雨「ブレイズは一人で大丈夫なの?」

Blaze「もちろんだ…」

加賀「それで?作戦開始はいつ?」

Blaze「ヴァルカンの話では爆弾の製造に九日はかかるらしい・・・だから・・・」

Blaze「作戦開始は9月の・・・22だな…」

加賀「…わかったわ、私たちはいつ海から上がればいいのかしら?」

Blaze「早い方がいいな…2日後には陸に向かおう」

鳳翔「了解です」

ここまで


作戦を伝え、俺は自室に戻る
陸地に行く準備だ

先ほど加賀達に伝えた日時、それは嘘だ
何故彼女達に嘘をついたのか・・・論理的な理由は無い
感情論
ただ、彼女たちの和気藹々とした姿を見てそうしなければならないと思った

振り返ってみればここ最近の俺の行動にはそれが多かった

この革命に参加するメリットは衣食住を得る事であった
あの爺さんの手駒となることで保証を得る
ヴァルカンの口先に乗ることで楽な生活を得る
その時の俺は間違いなく打算的に動けていたはずだ
それが今や彼女たちの為・・・などと理由を付けてまた人を殺そうとしている

転換期は睦月の姿を見た時だっただろう
あの時俺は、確かに思ったはずだ

やらねばならないと

損得勘定ではない
そう思ったのだ
たとえ銃を向けられようと、理解されずとも、人を殺しても
俺はやらねばならないと思ったのだ

…加賀よ・・・・・・あの時の言葉も嘘だ…
軍人は引き金を引くときに感情を殺すなどと・・・出来るわけがない

軍人は引き金を引くときに理由を作るのだ
人を殺す理由を、もっともらしい理由で自分を正当化しようとする

それはきっと、そうしないと苦しいから
殺さなければ殺される、これがその最たるものだ
自らが殺す理由を、これから殺す相手の責任とすることで罪悪感を消す

だがそれは決して悪いことではない
極論ではあるが、自分が生きるためにしてはいけないことなど無い
戦争に罪悪があるのだとしたら…きっと時代が悪いのだ…
その時代に生まれたのはただの不運

あぁ…今答えが出た・・・
何故俺は彼女達に嘘をついたのか、何故感情論に走ったのか・・・
こんな時代でも・・・彼女たちはあんなにも笑えるからだ…

辛いこともあったろう
泣き叫びたい別れも経験したろう

それでもなお、彼女たちは笑う事が出来る

どんな時代でも、どんな不幸にさらされようと
笑って過ごせる
家族のような絆を持つ彼女達を死なせたくない
死なせてはならないと確信した

そんな俺の感情が、あの嘘を俺につかせたのだ…

多分彼女たちは怒るだろう…
これは明らかな偽善、余計なお世話だと思う
しかし…でも…

それでも俺はやらねばならない



きっとこれは不正解

だけれど同時に

これが正解





歪みきった彼女たちの人生も


彼女達を縛る枷も


全てをゼロに


そこから先は


彼女達の旅路


どの道でも構わない


正解も不正解も無く


遅すぎることも早すぎることも無い


終わりない思索の果て


心続く限り幾度も挑み


力続く限り走り続ける


それこそが答え


そして


旅は終わるのだ





ここまで


工廠前

長門「…」

赤城「…」




北上「…」

大井「あれは・・・突破は無理ですね…」

北上「うん…自殺行為だよ…」

大井「ここは一度退いて対策を立てましょう…それが賢明な判断だと思います…」

北上「そうだね…一度退こう・・・」


サッサッサッ



赤城「…追わないんですか?」

長門「…知らんな」

赤城「そうですか…」

長門「…」

赤城「長門さん、貴方は今回の一連の事件をどう思いますか?」

長門「風向きが変わった・・・・という感想だな…」

赤城「そうですね…それも・・・すごく急に・・・」

長門「良いことだと思う・・・少なくとも私には変えられないものだった・・・」

赤城「…すべての艦娘に言えることです」

長門「赤城よ…」

赤城「?」

長門「私はな・・・少し興味が出てきたのだ、艦娘の別な未来というものについて・・・」

赤城「別な未来?」

長門「今まで私は艦娘は戦う事だけがその存在意義だと信じて疑わなかった・・・」

赤城「…」

長門「…以前、人間になったらという話をしたのを覚えているか?」

赤城「…えぇ・・・・私は食堂、長門さんは軍人でしたね…」

長門「私はな・・・・・急な時代の変化でそれが急に現実味を帯びた途端、この命が惜しくなった・・・」

赤城「・・・・誰もが惜しいでしょう・・・・・・」

長門「情けないことだ・・・陸奥が待っているというのに……だが・・・途方もなく・・・私は生きたい・・・・・」

赤城「…」

長門「・・・・私はな、カツ丼が好きなのだ」

赤城「?」

長門「毎週行くぞ?」ニヤリ

赤城「……なればまずは生き残りましょう、この激動の時代を・・・・・・生きることを否定する者など・・・いないのですから」ニコリ

長門「そうだな・・・・そう願わずにはいられない・・・」




Blaze「…」


俺は今、加賀達と共に大本営から遠く離れた海辺にいる
陸地への上陸に際して、大本営の近くは厳重な警戒網が張られているだろうと予想できたからだ
上陸はナガセであらかじめ用意していたゴムボートを、夜陰に紛れて時雨と加賀に引っ張ってもらうという形をとった
艤装はその場で破棄、彼女等の装備は灰心で使った九九式小銃と二十六年式拳銃
そして工場を爆破するための時雨の魚雷が5本となった

まぁ…使わせるつもりはないのだが・・・・

現在彼女たちは防波堤の影に隠れて休んでいる
俺はというと、一応の哨戒を行っている

加賀達をギリギリ視界に捉えられるというところまで来た時だった



「…」


1人砂浜で空を見上げる少女
彼女もこちらに気付いたようだ

俺は月明かりに照らされたその顔に見覚えがある

彼女もおそらく俺に見覚えがあるだろう



俺が灰心の墓地でリンドウの花を渡した少女

ひいては

俺が殺しかけた少女


「ブレイズ・・・さんですか?」



紛れもない
間違いない

彼女がそこにいた

ここまで
短くて済まん


Blaze「…まさかこんなところで出会うとは思わなかった……」

秋月「私もです…というか日本語話せたんですね」

Blaze「勉強したんだ」

秋月「そうですか…」


彼女の体を見ると、傷が全く無かった
あのミサイルを受けてなお無傷
俺は本当に彼女達に勝てるのだろうか?
いや…勝てずとも良い
時代の流れはもはや変わったのだから


秋月「あの…」

Blaze「ん?」

秋月「Blazeさんは何故ここに?」

Blaze「…観光さ」

秋月「…嘘つき、こんなところまでわざわざ来る人なんていません」

Blaze「……それもそうか、ただの偶然さ」

秋月「…本当に?」


そう言うと彼女はグイッと俺に近寄る
月の光が彼女を照らす
その姿はどこか神秘的で、扇情的だ


秋月「本当に偶然ですか?」

Blaze「…そろそろ戻らなきゃな・・・・・・」


俺は踵を返して彼女に背を向ける
ポロッと話してしまいそうだ
そう思えるほどに今の雰囲気は危なかった


秋月「ブレイズさん!」


俺を呼び止める彼女
呼び止めただけならまだよかった
彼女は俺の前まで走ってくる
そして


Blaze「なんの真似だ?」

秋月「…ブレイズさん……とても嫌な予感がします」

秋月「灰心の時のような…」

Blaze「…」

秋月「どうか東京へは向かわないでください」

秋月「それだけです」

Blaze「…」


そう言って走り去る彼女
その予感は的中するんだ秋月
しかしそれをどの口が言えようか?
あの口ぶりからすれば彼女も東京へ…すなわち戦場に立つのだろう
であれば言葉などいらない
俺は的確に目標を沈黙させられればいい
ただそれだけ


Blaze「…Have a good life…秋月」


加賀「なにをしていたのかしら?」


海岸に戻ると寝息を立てる鳳翔と時雨
そしてこちらを睨む加賀がいた


加賀「私たちは隠密行動中なのよ、勝手な真似は謹んでちょうだい」

Blaze「悪い」


そして俺たちは地図を広げ最後のブリーフィングを始める
手筈は簡単
俺工場の障壁を爆破したあと、加賀達が潜入
その間俺は制空権の維持
30分ほどしたら撤退
30分で加賀達が工場を爆破できなければ、俺がミサイルを撃ち込む


加賀「もう一度確認するわあなたがここに飛んでくるのは?」

加賀「9月22日のヒトナナマルマル…これで間違いない?」

Blaze「あぁ、間違いない」

加賀「そう…わかったわ」


そう言って俺はボートへと乗り込む
加賀はただそれを見送る


加賀「…本当に22日なのよね?」

Blaze「疑っているのか?」

加賀「…」

Blaze「なぁ加賀、二つ訂正することがある」

加賀「なにかしら?」


俺は唐突に思い出した
彼女という人間について、俺は勘違いをしていたことがある
この泣き虫で不器用な奴・・・・こいつは


Blaze「以前俺はお前は冷たい奴だと言ったが…あれは嘘だ」

加賀「?」

Blaze「お前はどちらかと言えば……激情家だ」

加賀「…そう」

Blaze「あともう一つ…俺は抱きしめられるより抱きしめる方が好きなんだ」

加賀「……は?」


時雨を介抱していた奴が放った言葉
抱きしめてほしいのかしら
俺はあの時ぬかせと言った
その理由は、単に好み
それだけであった
どうせ短い命、暴露してしまおう
そう思った


加賀「……バカ言ってないで早く行ったらどうかしら?」

Blaze「手厳しいな…」

加賀「まぁ…拒否はしないわ」

Blaze「…楽しみにしておくよ」


これが加賀との最後の会話であった

あれ?間違ってる?
こうか?

違うな…これか?

わかった!これだ!

…ダメだ…言い訳が思いつかない・・・
そうだ、俺はゴリラだしアイマスも書いていた
仕方なかったんだ!研究室と企業の往復!突きつけられるお断りのメ-ル!
でもSSは書きたい!新しいネタばかりが思いつく!
えぇい!作者様だよ!文句あるかコラァ!!
ううぇうぇっうぇえwwwwwwww
ぷーおううおおこわsdfghjkpl、kjkhぎゅぐxzうぇsftgyhじゃwwせdrfghじlp:」」」」」」」」」」」」」」」」






もう書かないから許してくれ…
反省している…

うん、もうなんとでも言ってくれ
悪いのは俺だ
このスレはHTMLに出してくる
これで俺もゴリラニキとか言われるんだろうな
あははー
楽しみにしてた人はすまんな

お前ゴリラだったのか
アレちゃんと終わって感動したわ

ちなみにこれも完結させてくれたら嬉しいなぁ

提督「セクハラって…わびさびよねぇ…」
提督「セクハラって…わびさびよねぇ…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426086341/)
こっちもさっさと依頼出してきてどうぞ

全部読んでたよ!
続けても問題ないやん!

>>424
無理そっちの酉忘れた
酉割れして変えたんだけど、新酉メモした紙を無くしたから
HTMLでの証明ができない
すまんな最後まで

>>423
終わらせるつもり
とりあえず書き溜めてほとぼりが冷めたらまたスレ立てる
今のまま続けたら昨今の艦これSS界隈だと荒らしのひとで凄いことになりそうだから
二度とスレ立てんなって人は安心してほしい、次でスレ立ては最後だから

>>425
もうHTMLは出してきた
でも上記の通りだから
読んでくれてありがとう


これで最後
とりあえず全部俺が悪い訳だから口論とか煽りとかやめてな
何か悪口がある方は全て作者へ、それに対する擁護もしないでな


悪口例

お前なんか擁護する奴いねえよ[ピーーー]
二度とスレ立てんなゴミ
クソスレ乙
その他多数の罵詈雑言

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