カレン「ヨーコ、私とデート行きマショウ!」陽子「デート?」 (106)

陽子「いーよ、いつ行く?」

カレン「……Oh」

陽子「どうしたの?」

カレン「デートって言ったのに、なんデスカその反応の薄さは」

陽子「え、だってカレン相手だし」

カレン「アヤヤだったらデートと言う単語にカジョウハンノウして顔を真っ赤にしてたはずデース」

カレン「ヨーコはもっと恥じらいを持った方がいいデスよ、女子として」

陽子「友達と遊びに行くのに恥じらいを求められたのは初めてだよ……」

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カレン「Oh、遊びに行くなんて一言も言ってないデス」

カレン「これはデートデス、ヨーコ」

陽子「同じようなもんじゃん」

陽子「買い物行ったりどっか食べに行ったりするんでしょ?」

カレン「ノーノー、今回一緒に行きたい場所はそんな生ぬるい場所じゃないデス」

陽子「じゃあどこなのさ」

カレン「歯医者デース」

陽子「……私、虫歯なんてないけど」

カレン「私が2本持ってるので大丈夫デス」

陽子「それ大丈夫じゃなくない?」


#1 むしはむしでもむししちゃいけないむしは?

陽子「なんで一人で行かないのさ?」

カレン「一人じゃ怖いからに決まってるじゃないデスか」

カレン「ヨーコはそういう鈍感なところが玉にキズデース!」

陽子(なんで怒られてるんだろう私)

陽子「でも、カレンは一人でラーメン屋に行けるのに?」

カレン「ラーメン屋は美味しいトコロ、歯医者は痛いトコロ、次元が違いマス」

陽子「じゃあお母さんと行けばいいじゃん」

カレン「この年になって親と一緒に歯医者はなんか恥ずかしいデース」

陽子「難しいお年頃!」

カレン「お願いデス! ついてきてくれたらバレンタインデーでチョコ上げマスから!」

カレン「ね、ね?」

陽子「うーん、分かったよ……本当に困ってるみたいだし一緒に行ってあげる」

カレン「ワーイ!」

カレン「……やっぱりチョコにつられちゃいマシタ?」

陽子「いや、別にチョコのおかげじゃないけど……」

カレン「まあ陽子は優しいデスもんね」

カレン「……でも実際はチョコもらえて内心嬉しかったり?」

陽子「そりゃ嬉しいか嬉しくないかで言えば嬉しいよ」

カレン「ヤッパリ!」

カレン「テンションあがっちゃいマシタ? ウキウキになりマシタ?」

陽子「お、おう……」

~当日~

陽子『ごめんごめん、待った?』

カレン『今来たばかりデース』キリッ

カレン(このやりとり、一回やってみたいデス)

カレン(待ち合わせ場所には10分前に行きまショウ)



カレン「到着デース!」

陽子「お、カレン!」

カレン「What!? 何でヨーコがいるデス!?」

陽子「え!? 一緒に行く約束したじゃん!」

カレン「待ち合わせは10分後デスよ!」

陽子「なんかたまたま10分前に着いちゃって」

カレン「なんでもっと遅く来てくれないんデスか!」

陽子「なんで早く来たのに怒ってるの!?」

カレン「もう! やり直しデース!」

カレン「ヨーコ……なかなか来ませんネ……」

タッタッタッ

陽子「……ごめんごめん、待った?」

カレン「大丈夫、今来たばかりデスよ!」キリッ

陽子「……」

カレン「……ふう、これで予定調和デス」

陽子(なんで朝から芝居やらされてるんだ私は)

~デート中~

カレン「あんなところにクレープの屋台があるデス!」

陽子「クレープか、いいな」

カレン「おやっさん! 2つクダセイ!」

カレン「ホットでお願いシマス!」

店員(女性)「か、かしこまりました」

陽子「恥ずかしいからやめなさい」

カレン「ハーフだから平気デース!」

陽子「ハーフを盾にするなんて……これが大英帝国のやり方か」

カレン「大国の力はイマダ健在デース」

陽子「うん、おいしい!」

カレン「それは良かったデス!」

陽子「あれ、カレンは食べないの?」

カレン「え、これ2つともヨーコの分デスよ?」

陽子「そうなの!?」

カレン「甘いものはなんだか歯にしみるノデ……」

陽子「じゃあなぜ買った!」

カレン「ヨーコに2つ食べてほしかったデス」

陽子「まあ甘いもの好きだし嬉しいけど……なんで?」

カレン「このデート中にヨーコも虫歯になる、わずかな可能性に賭けてみようと思いマス」

陽子「私も道連れにする気か!」

陽子「そういえば、歯医者の予約の時間はいつなの?」

カレン「実はまだ結構先デース」

陽子「え、じゃあそれまで何するの?」

カレン「映画を観に行きマショウ!」

陽子「いいね、何のジャンル?」

カレン「スプラッターデス!」

陽子「スプラッター? カレンそういうの好きだっけ?」

カレン「いえ、好きか嫌いかで言うと割とニガテデス」

陽子「じゃあなんで!?」

カレン「歯医者に行く前にスプラッターを観ることによって、歯を削るくらいなんでもないと自分に思わせるのデース!」

陽子「考えたな……」

~映画館~

『ギャアアアアアアアアア!』

カレン「ヒイイイイイ!」

『グワアアアアアアア!』

カレン「アアアアアア!」

『ウバッシャアアアアアア!』

カレン「ヒャアアアアア!」

陽子(大丈夫かな……)

~映画館外~

カレン「う、もう……無理……デス」ヨロヨロ

陽子「大丈夫? 肩貸すよ?」

カレン「うう……歯が削られる前に心が削りきられマシタ……」

陽子「駄目じゃん……」

陽子「でもほら、ヒロインが拷問シーンで歯を全部引っこ抜かれたのに比べれば歯医者なんて……」

カレン「お、思い出させないでクダサイ!」ガタガタ

~歯医者~

カレン「つ、ついに来てしまいマシタ……」

陽子「思ってるほど痛くはないから心配ないよ」

『ひぃいいいいいいいいい!』

カレン「だ、誰かの悲鳴ガ!」ガタガタ

陽子「小学生の子とかだよ……ほら、ちっちゃい子にはやっぱり恐怖体験だし」

カレン「お、おっきくなっても恐怖体験デスよ……」

陽子「ほら、ジャンプでも読んで気紛らわせなよ」

カレン「私はビッグコミック派なので……」

陽子「渋いな」

陽子「お、さっきの悲鳴の子の治療が終わったみたいだぞ」

カレン「うう、先生のお説教部屋で順番待ちをしてるみたいな気分デス……」

陽子「悪いけど経験が無いから分からないな……ってうそ!」

烏丸「ううう……」ポロポロ

陽子「からすちゃん!」

烏丸「ううう……猪熊さんにカレンさん……」ポロポロ

烏丸「ううう……こんにちは」ポロポロ

カレン「……コンニチハ」

陽子「こんにちは……あの、大丈夫?」

陽子(なんか見てはいけないものを見てしまった気分)

烏丸「ううう……大丈夫です」ポロポロ

陽子「そうは見えないけど……」

カレン「お、大人でも泣くくらい痛いんデスね……」ガタガタ

陽子「そ、そんなわけないって……ね、からすちゃん?」

烏丸「まあ、麻酔を打つので治療中の痛みはほとんどありませんが……」

烏丸「最初の麻酔注射は泣いちゃいます……」ポロポロ

カレン「ヒッ……」

陽子「そ、そんなに痛いか麻酔って?」

烏丸「聞いてください猪熊さん!」ポロポロ

烏丸「親知らずを抜くなんて大したことないって他の先生は言ってたのに!」

烏丸「歯ぐきがメスでばっさりと切り裂かれて!」

烏丸「歯を機械で砕かれて!」

烏丸「力技で根元から引っこ抜かれたんですよ!」

烏丸「音が聞こえるんです……自分の歯の砕ける音が……!」

烏丸「ごりっ! ごりっ! ばきっ! ばりっ!」

烏丸「う、ううう……ひ、ひどい体験でした……」ポロポロ

陽子「い、いや、全部説明しなくてもいいから……」

カレン「……」ガタガタ

陽子「カレンも怯えてちゃってるし……」

烏丸「とにかく、世の中の大人は嘘吐きばかりです!」ポロポロ

陽子「あんたも大人だろ!」

陽子「おーい、カレン?」

カレン「……」ガタガタ

陽子「からすちゃんのは親知らずの話で、虫歯削るのはそんな大したことないよ」

カレン「……逃げるデス」ガタ

陽子「待て」ガッシ

カレン「ノー! リーブミーアローン!」

陽子「もう受付しちゃっただろ! 腹くくれ!」

カレン「ノー! ノー!」ジタバタ

陽子「カレン!」

ギュ

カレン「!」

陽子「落ち着いて……大丈夫だから」

カレン「……」ブルブル

陽子(震えてる……本当に怖いんだな)

陽子「いいかカレン、歯医者が怖いっていうのはよくわかるよ」

陽子「私だって、自分が治療される立場なら怖い」

カレン「ヨーコも……?」

陽子「うん、そうだよ」

陽子「でもさ、カレン……私思うんだ」

『九条さーん、九条カレンさん、どうぞー』

陽子「あ、もう時間だな、頑張って来なよ」

カレン「話の続きは!?」

陽子「続きは治療が終わってからだね」

カレン「それじゃ意味ないデス! 心の準備が!」

陽子「あー、なんだ……人間常に心の準備をして痛みを迎えられるわけじゃないし……ガンバレ」ドン

カレン「ノ~~~~~!!」

>ウワアアアアアアア

>ヒィイイイイイイ

>ノ~~~~~~~!!

陽子(今日から歯磨きは2倍丁寧にやろう……)

カレン「……」トボトボ

陽子「よく頑張ったな、カレン」

カレン「辛い戦いデシタ……」

陽子「うんうん」

カレン「でも、助手さんのおっぱいは気持ちよかったデス……!」

陽子「……良かったな」

カレン「ヨーコ、今日は付き合ってくれてアリガトウデス!」

陽子「いいよ、私もまあ……楽しかったし」

カレン「今日は大事なことを学んだデース!」

カレン「人生、避けて通れない痛みと言うものがあるのデス!」

カレン「でも意外と経験してみれば、思ったより大したことなかったりシマース!」

陽子「うん、そうだな」

陽子「でも今回の虫歯は避けて通れたと思うよ、ちゃんと歯磨きとかしてれば」

カレン「それは否定できないデス」

カレン「ではでは、バレンタインデー楽しみにしてクダサーイ!」

陽子「うん、期待してるよ」

カレン「私もヨーコからの友チョコ、期待してるデース!」

陽子「って私も上げるのかよ」

カレン「ホワイトデーでもいいデスよ? ただし利子は高くつきマスがね」

陽子「チョコレートの利子ってなんだよ……」

陽子「分かった、私もなんか持ってくる」

カレン「そうこなくっちゃ、デース!」

カレン「ではではまた、学校で!」

チュ

陽子「おう、またな!」

カレン「……なんで顔色ひとつ変えないデスか」

陽子「え、これがイギリス式あいさつなんだろ? 一回しのにやってたじゃん」

カレン「ああ神様、この恥じらいに恵まれない子をお救いクダサイ……!」

陽子「え!? 私なんかした?」


#1 END


陽子「あ、私もやり返せばいいのか?」

チュ

陽子「はは、なんか新鮮だなー」

カレン「Oh……アヤヤなら死んでた」

綾「ね、ねえ陽子……つ、つ、つきあってほしいところがあるんだけど……//」

陽子「つきあう?」

綾「! つ、つきあうっていうのは言葉のあやで……そ、その、一緒にいってほしいところがあるって意味なんだから!」

陽子「うん、まあわかってるけど」

陽子「いいよ、どこ?」

綾「は、歯医者……」

陽子「お前も歯医者デートか!」

綾「デ、デート!?///」カアァ

陽子(あ、顔真っ赤になった)


#2 ちょこどきどきあや

陽子「うーん、これが女子力か……」

綾「な、何よ急に」

陽子「いや、綾は女子力高いなーって思って」

綾「どういう意味よ……」

陽子「え、そのまんまの意味だけど」

綾「褒めても何も出ないんだからね!//」

陽子(赤くなりすぎて湯気が出そう)

綾「……聞かないの?」

陽子「何が?」

綾「なんで一人で行かないのかって」

陽子「一人じゃ怖いからでしょ?」

綾「そ、そんなはっきり!」

陽子「別に恥ずかしがるようなことじゃないって」

陽子「みんなそんなもんだよ」

綾「陽子……」

綾「ア、アリガト……///」

陽子(あのカレンでさえそうだったもんなー)

陽子「でもさ、せっかく付いていくんだから、なんかお礼が欲しいよなー」

綾「お礼?」

陽子「うん、例えばー……」


『ついてきてくれたらバレンタインデーでチョコ上げマスから!』


陽子「バレンタインデーにチョコレートとか!」

綾「え……」

綾「ええええええええ!?」

陽子「うわっ! 何大声出してんの」

綾「バババババレンタインにチョコレート!?」

綾「本気で言ってるの!?」

陽子「やっぱりダメ?」

綾「ダメじゃない! ダメじゃないけど……!」

陽子「いや、無理にとは言わないよ」

綾「い、いいわ! バレンタインデーにチョコレート、ね!」

陽子「うん、楽しみにしてる」

綾(こ、これは……)

綾(まさか陽子は私のことが……!?)

~当日~

綾(この前一緒に遊んだときは、私が30分前に来て、陽子が5分遅れてきて、それでついつい怒っちゃったのよね)

綾(今日はあんなミスはしないわ)

陽子『ごめんごめん、待った?』

綾『いいえ、今来たところよ』ニコ

綾(これが理想ね)

綾(たとえ自分がどれだけ待っていたとしても、それを感じさせないようにしないと)

綾(自然な笑顔が出せるように、練習しましょう)

綾「いいえ、今来たところよ」ニコ

綾「いいえ、今来たところよ」ニコ

綾「いいえ、今来たところよ」ニコ




綾「いいえ、今来たところよ」ニコ

綾(うん、こんなものね)

綾(よし、今日も30分前に行くわよ……!)



綾「待ち合わせ場所はここね」

陽子「お、綾!」

綾「な、何で陽子がいるのよ!?」

陽子「え!? 一緒に行く約束したじゃん!」

綾「待ち合わせは30分後よ!」

陽子「まあ綾のことだからまた30分前に来るんだろうなって思って」

綾「なんでもっと遅く来てくれないの!」

陽子「なんで早く来たのに怒ってるの!?」

綾「べ、別に怒ってるわけじゃ……」

陽子(まさかカレンと同じパターン?)

陽子「……分かった、じゃあやり直しな」

綾「……」

タッタッタッ

陽子「……ごめんごめん、待った?」

綾「いいえ、今来たところよ」ニコ

陽子「……これで予定調和だな」

綾「う、うん……//」

綾(な、なんで練習してきたことが分かったのかしら……)

陽子(なんでまた朝から芝居やってんだ私は)

~デート中~

陽子「あ、クレープの屋台」

陽子「ここまだやってたのか……」

綾「来たことがあるの?」

陽子「うん、すごく美味しかったよ」

綾「そうなの……」

綾(普段は好きだけど、今は……)

陽子「今の綾にはしみて食べられないだろうから、虫歯が治ったら、また来ような!」

綾「……」

綾「……や、約束よ!//」

陽子「そういえば、歯医者の予約の時間はいつなの?」

綾「えーと……まだけっこう先ね」

陽子「じゃあそれまで何しようか?」

綾「映画を観に行きましょう」

陽子「いいね、何のジャンル?」

綾「……スプラッターよ」

陽子「スプラッター? 綾そういうの苦手じゃない?」

綾「ええ、もう超絶苦手なジャンルね」

陽子「……歯医者に行く前にスプラッターを観ることで、歯を削るくらいなんでもないって自分に思わせるつもり?」

綾「な、なんで分かったのよ!」

綾「さては……読心ね!」

陽子「いや、二回目だし……」

綾「じゃあ……タイムリープね!」

陽子「そうじゃなくて……まあとにかく、歯を削る前に心が削られるだけだからやめときなって」

陽子(それにスプラッターはこの前観たし)

綾「ええ、分かったわ……代わりに恋愛物を観ましょう」

~映画館~

『君のことが好きだ……!』

綾「わあ……!」

『ずっと、あなたを待ってたの』

綾「……!」

『もうずっと離さないよ……』

綾「うう……」グスグス

陽子(眠い……)

~映画館外~

綾「うう、感動したわ……」グスグス

陽子「良かったな」

綾「こんなの痛いなんて思わない……あなたに会えない間、私の心はもっと痛かったもの!」

陽子「……なにそれ」

綾「ほら、ヒロインが戦場の中許嫁の元にかけつけるシーンよ!」

陽子(お、覚えてない……)

~歯医者~

綾「つ、ついに来たわね……」

陽子「思ってるほど痛くないから心配ない、らしいよ」

『ひぃいいいいいいい!』

綾「だ、誰かの悲鳴だわ……!」ブルブル

陽子「小学生の子とかだよ……ちっちゃい子にはやっぱり恐怖体験だし」

陽子(……多分)

綾「お、おっきくなっても恐怖体験よ……」

陽子「ジャンプでも読んで気紛らわせたら?」

綾「私はマーガレット派だから……」

陽子(私の周りにジャンプ派はいないのか)

陽子「お、さっきの悲鳴の子の治療が終わったみたい」

綾「うう、音楽の歌のテストの順番待ちをしてるみたいな気分だわ……」

陽子「心配しなくてもすぐに終わるって、歌のテストもそうだろ……ってうそ!」

久世橋「ううう……」ポロポロ

陽子「クッシーちゃん!」

久世橋「!……猪熊さんに小路さん!」ポロポロ

久世橋(生徒に泣き顔なんて見られるわけには……!)

久世橋「ズルルルルル」ゴシゴシ

久世橋「奇遇ですね、こんなところで」プルプル

陽子「うん……」

陽子(やせ我慢してる……)

陽子「あの、大丈夫?」

久世橋「ええ……大丈夫です」プルプル

久世橋「……」ジワッ

陽子(涙がこらえきれてない……!)

綾「そ、そんなに痛いんですか……?」ブルブル

久世橋「ええ、痛くなんかありませんよ……全然」

久世橋「最初の麻酔注射も……全然痛くなかったです」ジワッ

陽子(み、見てらんない……)

久世橋「歯茎がメスでばっさり切り裂かれようとも……」

久世橋「それから歯が機械で砕かれても……」

久世橋「自分の歯の砕ける音が聞こえようとも……」

久世橋「ごりっ! ごりっ! ばきっ! ばりっ!」

久世橋「なんて聞こえても、全然平気でしたから……」

久世橋「……うう」ポロリ

陽子「いや、別に説明は求めてないよ……」

綾「……」ガタガタ

陽子「綾も怯えちゃってるし……」

陽子「っていうか親知らず抜くの流行ってんの?」

久世橋「この前烏丸先生が抜いてたから……私もそろそろ抜きどきかと思って」

久世橋「先生は『全然大したことなかったわ』っておっしゃってましたし」ジワッ

陽子(この前からすちゃん大泣きしてたけど……まあ黙っておこう)

陽子「おーい、綾?」

綾「……」ガタガタ

陽子「クッシーちゃんのは親知らずの話で、虫歯削るのはそんなに大したことないよ」

綾「……逃げるわ」ガタ

陽子「待て」ガッシ

綾「いや! 離して!」

陽子「もう受付しちゃっただろ! 腹くくれ!」

綾「いや! いやあー!」ジタバタ

陽子「綾!」

ギュ

綾「!」

陽子「落ち着いて……大丈夫だから」

綾「……」ブルブル

陽子(震えてる……そりゃ誰だって怖いよな)

陽子「いいか綾、時間がないから手短に言うよ」

陽子「人生、避けて通れない痛みと言うものがあるんだ!」

陽子「でも意外と経験してみれば、思ったより大したことなかったりするもんだよ!」

綾「陽子……」

『小路さーん、小路綾さん、どうぞー』

陽子(……ってカレンが言ってた)

陽子「大丈夫、私がついてるから」

綾「……うん」

綾「こんなの痛いなんて思わない……あなたに会えない間、私の心はもっと痛かったもの!」ダッ

陽子「走るなよー」



>うわあああああああ

>ひぃいいいいいいい

>あああああああ


陽子(親知らずか……将来抜かなきゃいけないのかな……)

綾「……」ヨロヨロ

陽子「よく頑張ったな、綾」

綾「つ、辛い試練だったわ……」

陽子「うんうん」

綾「でも、終わった……終わったんだわ!」

綾(それに、助手さんのおっぱいはけっこう気持ちよかったわ……!)

陽子「助手さんの胸はどうだった? やっぱり気持ちよかった?」

綾「ど、読心ね……!」

陽子「いや、なんとなくそう思ってるかなって」

陽子「じゃあ、バレンタインデー楽しみにしてるから」

綾「!!」

綾「あ、ああああああれね! まあ、期待せずに待ってて!」

陽子「いやあ、期待して待っとくよ」

綾「っ!//」

陽子(綾はお菓子作りも美味いからなー)

綾(よ、陽子が……私のチョコを楽しみに……!)

陽子「それにしても、立て続けに2回歯医者について行くことになるとはなー」

綾(夢かしらこれは……)

陽子「ああ、実はこの前カレンの歯医者にもついて行ったんだけどさ」

綾(いえ、でも歯医者での痛みは本物すぎるほど本物だったわ……)

陽子「なんか今日はその日の再現みたいになってて不思議な感じだったよ」

綾(や、やっぱり、これは陽子が私に恋心を抱いてると考えてもいいんじゃないかしら……!)

陽子「あ、じゃあ私こっちの道だから……」

綾(いや、でもまだ決めつけるのは早い……陽子はくいしんぼだからただチョコが食べたいってだけかもしれないし)

陽子「綾?」

綾(でもでもチョコを楽しみにしてくれるっていうことはあながち外れてるわけでもないんじゃ……)

陽子「綾!」

綾「!」ビク

綾「な、なに?」

陽子「私、こっちの道だから……」

綾「そ、そう……それじゃ」

陽子「……」


『アヤヤなら死んでた』


陽子(死んでたってどういうことだ?)

陽子(まさか本当に死ぬわけはないだろうけど……)

陽子「綾、ちょっと……」

綾「え?」

チュ

綾「……え」

陽子「イギリス式あいさつだよ……って、綾が倒れた!」

陽子「おーい! 死ぬな綾ーーーーー!!」


#2 END


綾「わ、私……」

綾「死んでもいいわ……///」ガク

陽子「死んじゃダメだ綾ーーーーー!」

カレン「アヤヤ、私とチョコレート作りマショウ!」

綾「チョ、チョコ!?」

カレン「ハイ! 女子力のカタマリアヤヤは、もちろんバレンタインデーにチョコ作りをした経験がアリマスよね?」

綾「ええ、まあ」

カレン「作り方とか、教えてもらってもいいデスか?」

綾「いいけど……」

綾「だ、誰に渡すチョコなのかとか……聞いてもいいかしら?」

カレン「ヨーコデス!」

綾「!!!」

綾(か、カレンが陽子にチョコを!?///)

綾「ま、まさか……そんなことが……」

綾「うーん……」クラクラ

カレン「アヤヤ! 大丈夫デスカ!?」


#3 いのくまちゃんにちょこけーき

カレン「ヨーコに渡すと言っても、別に愛の告白をするわけではないデース」

カレン「この前歯医者さんに着いてきてもらったので、そのお礼デスよ」

綾「そ、そうだったの……」

綾(よ、よかった……)

綾「ってカレンも!?」

カレン「What?」

綾「カレンも陽子と一緒に歯医者行ったの!?」

カレン「え、まさか綾もデスか?」

綾「え、ええ」

カレン「奇遇デスネ! じゃあアヤヤも一緒にお礼のチョコ作りマショー!」

綾「そうね、せっかくだし……ん?」

カレン「どうしたデス?」

綾「カレンも陽子にお礼のチョコ作るの?」

カレン「はい、そうデスよ」

綾(と言うことは、別に陽子は私のチョコが欲しいんじゃなくて、単にお菓子が欲しかっただけなんだわ、きっと……)

綾(つまり陽子は別に私に気があるわけじゃない……)

綾「はぁ……なんか急にテンションが下がったわ」

カレン「ええ!? どうしてデース!?」

綾「いえ、別にカレンのせいじゃないのよ……」

綾「ただ……」

カレン「もしかして、ヨーコがらみのことデスか?」

綾「! ま、まあ、そうね」

カレン「何か悩みでもあるデース? 私でよければ聞きマスよ?」

綾「い、いえ……大丈夫よ」

綾(陽子が私に気があると思ってたけど勘違いだったなんて、言えるわけないわ……//)

カレン「まあヨーコと何があったにしても、美味しいチョコでヨーコのハートをゲットすれば万事OKデスよ!」

綾「そんなに簡単に行くかしら……」

カレン「ヨーコは食いしん坊デスし、それにけっこう単純なので大丈夫デス!」

綾「それもそうね」

綾「……って別にハートをゲットするつもりは!//」

カレン「え? アヤヤはお礼兼本命チョコを作るんデスよね?」

綾「当たり前のように妙なこと言わないでよー!//」

カレン「今さら何を言ってるデスか」ニヤニヤ

カレン「さあ、さっそく買い出しに行きマショー!」

綾「もう!//」

~買い出し~

カレン「とりあえず板チョコは必要デスよね」ポイポイ

カレン「他には何が必要デス?」

綾「そうね……どんなチョコを作るかにもよるわ、例えば生チョコだったら生クリームがいるし……」

カレン「生チョコ! 私生チョコ好きデース!」ピョンピョン

綾「じゃあ生クリームとバターと……粉砂糖は家にあるから……ココアパウダーもいるわね」

カレン「アヤヤはよくお菓子作ったりするんデスか?」

綾「そうね、よくケーキとかクッキーとか焼いたりしてるわ」

カレン「スイーツは女の子のエネルギー源デスもんね……でも体重は大丈夫デス?」

綾「ぜ、全部自分で食べてるわけじゃないわよ! 家族にも食べてもらったりしてるわ!」

カレン「私も食べるのをお手伝いしたいものデース」

綾「カレンこそ体重は大丈夫なの?」

カレン「私は食べても太らないタイプなのでー」

綾「ぐぐぐ……もう一回虫歯になればいいんだわ!」

カレン「じゃあ私はバターと生クリームを探してきま……」

陽子「お、綾にカレン!」

綾「!!!」

カレン「あ、ヨーコ」

綾(な、なんでこのタイミングで陽子に会っちゃうのよ!!)

陽子「どうしたの、2人でスーパーなんか来ちゃって」

陽子「何を買って……」

綾「ああああああ!」

陽子「」ビクッ

綾「あ、あっち見て! UFOが飛んでるわ!」

陽子「店の中でかよ!」

綾「え、えと、えと」

サッ

陽子「わ、なんだよ急に……」

綾「だ、だーれだ!」

陽子「綾に決まってるだろ!」

綾「サ、サアソレハドウダカ(裏声)」

綾(カレン、今のうちに早く行って!)

カレン(ラジャー!)ガラガラガラ

カレン(って言ってもなんで逃げるのかワカリマセンが)

陽子「もう、何なんだよいきなり……」バッ

陽子「あれ、カレンがいなくなってる」

綾「カレン? カレンなんて最初からいなかったわよ」

陽子「いたよ! さっき隣にいたじゃん!」

綾「多分……生霊よ」

陽子「生霊!?」

陽子「なんだよー、何買ってるのかくらい教えてくれてもいいじゃん」

綾「別に大したものじゃないわ」

陽子「さっきの大したテンパリ具合見せてやりたい」

綾「あれよ……お菓子」

綾(いえ、ちょっと待って)


綾『お菓子作りの材料を買ってたの』

陽子『お菓子作ってるの!? 私も行く!』


綾(こうなるに違いないわ)

陽子「え、お菓子?」

綾「お、お菓子……」

綾(何か良い言い訳を……考えるのよ綾!)

陽子「お菓子買ってたの? 私も行って……」

綾「ああああああ!」

陽子「」ビクッ

綾「おかし……おかしい……」

綾(そ、それよ! この路線で行けば……)

綾「おかしいわね……おかしいわ」

陽子「……?」

綾「お、おかしいわー……財布が見当たらないわー……」

陽子「財布がないの?」

綾「そうね、財布を忘れちゃったみたい!」

綾「帰って取ってくるわ! それじゃ!」

バビューン

陽子「……えーと」

綾(ふう……我ながら改心の機転だったわ)

カレン「アヤヤ! 必要なもの全部カートに入れたデス!」

綾「ありがと、早く会計をすませて店を出るわよ」

綾「陽子に見つからないようにこっそりと……」

カレン「ニンジャの訓練みたいでワクワクしマスね!」

~綾の家~

綾「ふう、なんとか見つからずに帰ってこれたわね」

カレン「これでまたニンジャに一歩近づいてしまったデス!」

カレン「でも、なんでチョコづくりの買い物してるのを陽子に隠したデース?」

綾「だってそれは……」

綾(そういえばどうしてかしら)

カレン「その場のノリってヤツデスか?」

綾「な、なんか気恥ずかしいじゃない……今度あなたにプレゼントするチョコを作ってますなんて言ったら」

カレン「さっきのおかしなテンションの方が恥ずかしいと思うデース」

綾「そ、そんなに変なテンションだったかしら?」

カレン「お店の中なのに『UFOが飛んでるわ!』とか」

カレン「真正面から陽子の目を隠して『だーれだ!』とか言ってたデス」

綾「う……」

綾(思い起こせば恥ずかしい行為の数々……しかも陽子の前で)

綾「も、もうダメ……」ドヨーン

カレン「お、落ち込まないでアヤヤ!」

カレン「とびっきり美味しいチョコを作れば、ヨーコもきっと満足してくれるデース!」

綾「そ、そうかしら……」

カレン「とにかくさっそく作るデース!」

───

綾「じゃあまずは私が生クリームを火にかけるから、カレンは板チョコを刻んでくれるかしら」

カレン「分かりマシタ!」

ザクザク

カレン「……フーンフフーンフフーン♪」

カレン「そうデス、アヤヤ」

綾「何かしら?」

カレン「どうせだったら、ヨーコだけじゃなくて、もっとたくさんの人にチョコを上げたいデスね!」

綾「そうね、シノとかアリスとか、先生にも食べてもらえたらいいわね」

カレン「日ごろ私にお菓子をくれる人、みんなにお返ししたいデース!」

カレン「いえ、私が日本に来てからお世話になった人みんなに……!」

綾「そ、それってすごい数になるんじゃ……」

カレン「それだけたくさんの人に出会えた、ということデス」

カレン「みんなにアリガトウって言いたいデース」

綾「カレン……」

綾(カレンって、やっぱり素直でいい子だわ……)クス

綾(私も、少しは見習わないとね)

カレン「それに、バレンタインデーに渡す数が多いほど、ホワイトデーに返ってくるチョコは多くなりマース!」フヘヘ

綾「下心!」

───

綾「さて、じゃあこれを冷蔵庫で冷やしましょうか」

カレン「どれくらい冷やすデース?」

綾「そうね……最低でも1時間くらいかしら」

カレン「じゃあ、まだまだチョコレートが残ってマスし、生チョコ以外にも何か作りたいデス!」

綾「いいわよ、何がいいかしら?」

綾「クッキーとかケーキとかあるけど……」

カレン「Oh、ケーキ! ケーキがいいデス!」

綾「ケーキはけっこうやること多くて大変だけど、大丈夫かしら?」

カレン「行く手に困難が多いほど、深い愛がこもるのデス!」

綾「ふふ、そうかもしれないわね」

カレン「アヤヤ、元気出ました?」

カレン「やっぱりアヤヤは笑ってる方がかわいいデスよ!」

綾「な……//」

綾「何言ってるのよもう!//」プンスカ

──

綾「まずはチョコを湯煎して……」


綾「卵と砂糖を泡だて器で混ぜて……」


綾「バターを入れて混ぜて……」


綾「生クリームと薄力粉を入れてまた混ぜて……」


カレン「な、なかなか険しい道のりデスね」

綾「まだまだこれからよ? 次はメレンゲ作りね」

カレン「なんの、バッチこいデス!」

綾「卵白をハンドミキサーで泡立てるのよ」

ブイィーーーーーーーーーン

綾「何回かに分けて砂糖を入れる」

ブイィーーーーーーーーーーーィィン

カレン「Wow! フワフワしてきたデス!」

綾「ふう……こんなものね」

カレン「ん? アヤヤ、ほっぺにメレンゲがついてるデース」

綾「泡立ててる間に飛んだのかしら……どこ?」

カレン「取ってあげるデース」

ペロッ

綾「!!!」

カレン「うーん、テイスティ!」

ガシャーン

カレン「What!?」

綾「あ、あ、あ……////」

綾「な、舐め取ったわね……!?///」

カレン「オ、オウ……スミマセン、つい流れで……」

綾「流れで、じゃないわよー!///」バシバシ

カレン「お、落ち着いてアヤヤ! 足元にメレンゲの入りのボールが……」

ズルッ ガシャーン

綾「……」

カレン「……あるあるデスね」

~お風呂~

綾「はぁ……」

綾「またテンパってミスしちゃったわ」

カレン「それもアヤヤの個性デスよー」

綾「……なんで当たり前のように一緒に入ってるのよ」

カレン「えー、いいじゃないデスか。日本伝統のハダカの付き合いデース」

綾「もう……」

綾「あーあ……」チャプチャプ

カレン「Oh……もしかして、2人で入るのは嫌デシタ?」

綾「いえ、そうじゃないの」

綾「ただ、カレンがうらやましいなって」

綾「自由で、物怖じしない性格で」

綾「……あと胸も大きくて」

綾「私はすぐテンパっちゃうし、いざってときにすぐ行動に移れないし……はぁ」

綾「……ごめんなさい、なんか辛気臭い話になったわね」

カレン「アヤヤの奥ゆかしいところも、一つの魅力だと思いマスよ?」

綾「奥ゆかしいって言えば聞こえはいいけど、要は引っ込み思案なだけだし……」

綾「やっぱりカレンみたいな堂々とした性格の方がいいわ……」

カレン「隣の芝は青く見える、デスよ」

カレン「私からすれば、アヤヤの大人しくて女の子らしいところ、憧れちゃったりもシマース」

カレン「私はアヤヤの、あれこれ悩んじゃうところとか、たまにあたふたしちゃうところとか、かわいくて好きデース」

カレン「まあ、それで苦労することもあったかもしれないデスから、そのままの自分を全部受けいれて、とは言いマセン」

カレン「ただ……今のままのアヤヤでもまるごと好きだって、そういう人もいるんだってことを知っておいてほしいデース」

綾「カレン……」

綾「ありがとう、ちょっと元気が出たわ」

カレン「それは良かったデス」

綾「でも、胸は大きい方がいいわよね? たとえ隣の芝は小さくても……」

カレン「……ノーコメント」

綾「……」

綾(私の方が身長は大きいのに……)ジー

カレン「……」

綾(どうやったら胸が大きくなるのかしら)ジー

カレン「……」

綾(食べてるものかしら? 睡眠時間かしら?)ジー

カレン「……あ、アヤヤ?」

綾「何?」

カレン「その、あんまり胸ばっかり見られると、さすがに私も恥ずかしいデース……//」

綾「あ、あらやだ私ったら! ごめんなさい!///」

カレン「い、イエ……」

綾「……//」

カレン「……」

綾「……」

カレン「……」

綾「……」

綾(く、空気が重い……!)

カレン「……あの、アヤヤ?」

綾「な、何!?」

カレン「その……胸を大きくする方法、一つ知ってマス」

綾「え、どんな方法!?」ザバッ

カレン(すごい食いつきデス……)

カレン「胸を揉んでもらうこと、デス」

綾「胸を……揉んでもらう?」

綾「自分で揉むんじゃダメなの?」

カレン「他人に揉んでもらった方が、ホルモンとか色々な影響で効果が高いと聞いたことがアリマス」

綾「そうなの……」

カレン「ええ、つまり、どうしても胸を大きくしたいというのなら……今ここで私が」

綾「だ、ダメよ! ダメダメダメ!/////」バシャバシャ

カレン「わ、お湯かけないでクダサイ!」

綾「で、でも! いくら同性の友達でも!」

綾「胸を……胸を揉まれるなんて……//」

カレン「でもでも、胸を大きくしたいっていう気持ちは本物なんデスよね?」

綾「……分かったわ」

綾「ちょっとだけ、ちょっとだけお願いするわ」

カレン「OKデス」

モミ

綾「い、痛い! もっと優しく……」

カレン「Oh、スミマセン」

フニ

カレン「どうデスか?」

綾「う、うん……これなら」

カレン「じゃあ続けマス」

フニフニ 

ムニムニ

綾「……んっ」

カレン「アヤヤ、今声出しマシタ?」

綾「だ、出してないわ!//」

ムニムニ

プニプニ

綾「……ふぅう……んぅ」

カレン(気持ちよさそうデス)

綾「……んっ……んっ」


綾「ふぅ……はぁ……」


綾「あっ……んっ……」


綾「はぁー……はぁー……」


カレン「……これくらいにしておくデス」

カレン(これ以上やるとさすがに色々マズイ気がスルので)

綾「はぁ……はぁ……////」

カレン「どうでしたか、アヤヤ?」

綾「どうでしたかって……」

綾「……」

綾「ちょ、ちょっとやり過ぎよあれは!」バシャバシャ

カレン「やりすぎって……勝手に感じてたのはアヤヤの方デース!」

綾「感じてたとか言わないでよバカ!///」

~再びキッチン~

カレン「……紆余曲折アリマシタが、生チョコもチョコケーキもちゃんと完成してよかったデース」

綾「ちょっと遠回りが過ぎたけどね……」

カレン「あとはみんなに渡すだけデス!」

綾「そうね、なんだか疲れたわ……色々と」

カレン「充実した一日を遅れた証デスよ」

綾「カレンは元気そうね」

カレン「これが若さデスよ。ティーンだから平気デース!」

綾「私も10代なんだけど……」

~バレンタインデー~

綾「いいわね、カレン。もう一度確認するけど……」

綾「まず私が『陽子に渡すものがあるんだけど……』って言う」

綾「そうしたら陽子が『何?』って聞くから」

綾「カレンが『この前のお礼デース』って言う」

綾「すると陽子が『ああ、そういえばお礼にチョコくれるって言ってたな』って言うから」

綾「私が『2人で一緒に作ったの……』」

綾「カレンが『口に合うと嬉しいデース』」

綾「このタイミングでチョコを出す」

綾「で、陽子が『おお、サンキューな』とでも言うから」

綾「私が『この前のことだけじゃなくて……陽子にはいつもお世話になってるから』」

綾「『その……ありがとう!』って言って」

綾「カレンが『次虫歯になったときは、またお願いシマース』って続けると」

綾「陽子が『いや、ならないように気を付けろよ!』ってツッコんでしめる」

綾「いいわね?」

カレン「……ハイ」

綾「不安だったらもう一回最初から説明するけど、どうする?」

カレン「もう10回は確認したので大丈夫デース」

カレン(というかわざわざ台本考えてくる必要があるのデショウか?)

カレン(しかもなぜか最後に謎のギャグを入れてる上に)

カレン(シメのツッコミを陽子に頼るという詰めの甘さ)

カレン(と色々言いたいことはアリマスが)

カレン(今回ばかりはアヤヤの思うようにしてもらいたいと思うデース)

カレン(とはいえ)

カレン「そろそろ心の準備はできたデスか?」

綾「ま……まだよ、もうちょっと待って」

カレン(もう20分くらいこうして2人で物陰に隠れてマス)

カレン(陽子はそんな私たちには気付かず、かれこれ10分は待ちぼうけ状態)

カレン(いい加減疲れて来たデス)

カレン「アヤヤ、もう行くデス」

カレン「あんまり陽子を待たせるのも悪いデスよ」

綾「で、でもまだ心の準備が……!」

カレン「アヤヤ……」

カレン「人間常に心の準備をしてその時を迎えられるわけじゃないんデス!」ドンッ

綾「ああっ!」

陽子「お、綾にカレン!」

陽子「そんな狭いところで何してたの?」

綾「あああああの」

カレン「遅れてスミマセン、ヨーコ」

陽子「いいって、今来たばっかりだし」ニコ

カレン綾「!」

カレン(これがイケメンの風格デス……!)

綾(え、笑顔がまぶしい……!)

陽子「で、用って何?」

綾「あ、あああああの!」

綾「えーと……」

カレン(頑張るデス、アヤヤ!)

綾「あー……」

綾(緊張でセリフ忘れちゃった……)

カレン(あれだけ確認したのに台詞忘れデスか!)

陽子「え……何?」

カレン(仕方ないデース! 代わりに私が……)

カレン「ヨーコに渡したいものがあるんデス!」

陽子「え、何?」

綾(……やっと思い出したわ、台詞!)

綾「こ、この前のお礼よ!」

陽子「ああ……そういえばお礼にチョコくれるって言ってたな」

カレン「2人で一緒に作ったデス!」スッ

綾「く、口に合うと嬉しいわ……」スッ

陽子「おお、サンキューな! でも……」

カレン(……でも?)

カレン「この前のことだけじゃなくて……ヨーコにはいつもお世話になってるデス」

カレン「その……アリガトウゴザイマス」

陽子「なんだよー改まっちゃってさ、いいってそんな」

陽子「だけど……」

カレン(だけど……?)

綾「つ、次虫歯になったときは……」

綾「またお願いシマース!!///」

陽子「……」

陽子「お、おう……(なぜカタコト?)」

カレン(まさかのツッコミ不発!)

綾「……」

綾「いや、ならないように気を付けろよ!」

カレン(まさかのセルフツッコミ!)

陽子「……あのさ、二人とも」

綾「な、何……?」

陽子「チョコをくれたのは嬉しいよ、すごく……だけど」

カレン「だけど……?」


陽子「実は私、虫歯になっちゃって、今チョコレート食べられないんだよね……」


綾「……」

カレン「……」

陽子「でさー、もしよかったら歯医者に付いてきてくんないかなー、なんて」

綾「……まったく、しょうがないわね」

カレン「今からみんなで歯医者デートデス!」


#3 END


忍「アリス! バレンタインデーチョコですよ!」

アリス「わあ! ありがとう!」パクッ

アリス「ん……ん゛ん゛ん゛!?」

忍「ひとつだけわさび入りのロシアンルーレットにしてみました!」

ありがとうございました

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