凛「アーカード?知らない英霊ね…」 (102)
凛「あなたが私のサーヴァントね?」
アーカード「お前こそ、私の主か?」
凛「なんでそんなに上から目線なのよ…まあいいわ、ほら、令呪あるでしょ」ヒョイ
アーカード「ほう、確かに我が主に違いない」
アーカード「なんなりと御命令を、マイマスター」
凛「急に殊勝になるのも怖いわね…」
凛「で?あなたクラスは?どこの英霊よ?」
アーカード「アーチャーのクラスを得て現界した。名は…アーカード、と先代は呼んでいたな」
凛「アーカード?知らない英霊ね…」
アーカード「ドラキュラと呼ばれたり、串刺公と呼ばれたこともあった」
凛「は?」
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凛「それって、あなた、ヴラドって人じゃないの? ヴラド・ツェペシュ」
アーカード「そうだが?」
凛「そうだが?じゃないわよ!!なんで串刺公がアーチャーなのよ!!ランサーでしょ普通!!」
アーカード「どうやらヴラドと私は別の英霊として存在しているらしい。そいつについては詳しく知らん」
凛「え…なにそれ、一人の人物が二人分の英霊に分けられたってこと?」
アーカード「そうなのだろう。私は一度死んでからのほうが長かったのでな
一度死に、化け物と成り果て、ロンドンで殺戮の限りを尽くした」ククク
凛「なんでそんなのが英霊になってんのよ…」
アーカード「反英霊など、その類だろう。一度ロンドンを救ったこともある」
凛「あれ?ドラキュラの伝説にそんなのあったっけ?」
アーカード「そうか、ないのか。それなりに派手な一件だったのだが」
凛「それ、いつの話よ」
アーカード「20世紀の末頃だ」
凛「最近じゃないのよ…私の知らないところで何かあったのかしら…
ねえ、どんなことをしたのよあなた」
アーカード「千人の吸血鬼化したナチの武装親衛隊と3000人のヴァチカン第9次十字軍を皆殺しにし、300万人分の血を吸った挙句一度消滅した」
凛「」
凛「え、いや、さすがにそんなことあったら私でも知ってると思うんだけど」
アーカード「そうだろうな」
凛「うーん…平行世界の出来事ってことならわからなくはない、か」
じゃあ、あなたはヴラドが死んでから分岐した、真祖の英霊ってことでいいのね?」
アーカード「そんなところだ」
凛「自分でまとめといてなんだけど、メチャクチャね…真祖が英霊になるなんて…
まあいいわ、私は遠坂凛。よろしくね、アーチャー」
アーカード「ああ」
凛「夜の学校の屋上でランサーに襲われたわ」
アーカード「そうだな」
ランサー「よう、かわいい嬢ちゃんじゃねえか」ウヘヘ
凛「取り敢えず弓兵のあなたにはここは不利ね、一旦校庭に降りるわよ」
アーカード「いいだろう」
~校庭~
ランサー「さあ、やるか?」ヒュンヒュン
凛「お願い、アーチャー」
ランサー「ふん、弓兵か。さっさと弓を出せよ。それくらいは待ってやる」
アーカード「生憎だが、そこまで時代遅れではない」バァン
凛「え、銃使うの?」
ランサー「ハッ、えらく現代的なアーチャーだな!」カキーン
アーカード「ほう、弾くか」
ランサー「悪いが俺に飛び道具は効かねえよ。運が悪かったな」
アーカード「そうか、そうだな、そうでなくてはならない」
ランサー「あ?」
アーカード「ただ使役されるだけの狗であろうとも英霊だ、銃に撃たれるようでは名が廃るというものだ」
ランサー「狗?オレを犬と言ったか弓兵…
いいだろう、その心臓、貰い受ける!」ゴオオ
凛「うわ、宝具使う気ね。展開が早いわ」
アーカード「まだ一発撃っただけなのだがな」
~弓道部~
士郎「ふう、掃除はこんなところかな」
バァン
士郎「銃声?…いや、気のせいか、そんなもん、するわけないしな」ハハハ
士郎「まあ、掃除終わったし、見に行ってみるか。たぶん校庭の方だよな?」
~校庭~
士郎「あれ、なんか赤い人と青い人がいる…演劇部か?」
ゲイ・ボルク!
士郎「うわ、あれ演劇じゃない!血が、血がめっちゃ出てる!」
アーチャー!
士郎「こ、これは逃げたほうが良さそう…」タタタ
凛「ちょ、ちょっと、アーチャー!」
ランサー「フン、所詮弓兵か」
アーカード「・・・フッ、ハハハ、なるほど、因果律を歪めて心臓に刺さる魔槍か」ドバドバ
ランサー「何?!」
アーカード「しかも治癒を妨害する呪い付き…なかなかの宝具だ」
ランサー「てめえ…どういうことだ」
アーカード「いやなに、少しばかり死ににくい体なだけだ。
あと300万回ほど頑張れば、殺せるのではないかな?」
ランサー「ふざけやがって…ん?誰だ!!」
ダダダ…
凛「しまった!まだ人が残ってたなんて!アーチャー、追って!」
~校内~
士郎「ここまで逃げれば大丈夫だろう」ハアハア
ランサー「よう、なかなか走ったじゃねえか」グサッ
士郎「ぐはあ」バタリ
ランサー「自分の不運を呪いな」シュン
凛「ちょっと死なれると困るヤツだったから宝石使って助けたわ」
アーカード「そうか」ククク
凛「な、なんで笑うのよ」
アーカード「いやなに、私も似たような経験があるだけだ。私も、気まぐれだったな」
凛「ふうん…
アーチャー、ランサーを追って。せめてマスターくらいは確認しないと」
アーカード「分かった」シュン
~遠坂邸~
アーカード「すまない、見失った。さすがはランサーといったところだな、素早い」
凛「仕方ないわね」
アーカード「だが、いいのか?」
凛「なによ」
アーカード「あの槍兵、殺した人間が生きていると知ればどうするだろうな」
凛「しまった…!」
ついにウラドの旦那が三人にも分裂しちまったか
~衛宮邸~
士郎「青タイツから逃げて土蔵まで来たけどそろそろヤバい」
ランサー「これで詰めだ。…ん?」
ガァァン
士郎「うおっまぶしっ」
セイバー「サーヴァントセイバー、召喚に応じ参上した。
問おう、あなたが私のマスターか」
士郎「?」ポカーン
凛「無事だといいけど…
…!ランサーの気配?まずい!」
アーカード「いや、逃げていくぞ」
凛「もう一人サーヴァントがいるわね…召喚されたのかしら」
セイバー「はあああ!」ダダダ
アーカード「こちらに来たぞ」
凛「来たぞじゃないわよ!あっ」
ズバァ
凛「アーチャーが縦に両断された!」
セイバー「他愛無し」フンス
アーカード「見えない剣とはまた変わった武器を使うな」ドロドロ
凛「うわあ…真ん中で割れたまま喋ってる…」
セイバー「」
士郎「セイバー!やめ…うわっなんだあれグロい」
凛「こんにちは、衛宮くん」
士郎「あれ、遠坂?」
アーチャー「ほう、知り合いだったか」ベチャベチャ
士郎「うわあ…ちょっとずつくっついてる…」
セイバー「シ、シロウ、止めないでくださいね」プルプル
士郎「遠坂を殺そうとしてるのかもしれないけど、手が震えてるぞセイバー…」
セイバー「こ、この程度、戦場では見慣れたものです!」
士郎「いいからやめろ、女の子が人を殺したりしないでくれ」
アーカード「なかなか男らしいな」ニチュニチュ
凛「うっ…見てられないわね…衛宮くん、家の中で話さない?状況、わかってないでしょ」
士郎「あ、ああ、わかった」
アーカード「いいのか?」グチュグチュ
凛「さすがに連戦は避けたいし、なによりアンタを見てられないし…
治ったら、他のサーヴァントが来ないか屋根の上で見張りをお願い」
アーカード「わかった」グチュグチュ
セイバー「」プルプル
豊久「首置いてけ」
与一「アーチャーなら私がおりますぞー」
信長「どいつもこいつもバーサーカーだな」
ジル「ジャンヌ・・・」
~教会前~
凛「教会まで来て綺礼を使って衛宮くんに聖杯戦争のことを教えたわ」
アーカード「そうだな」
凛「さっき話しながら気づいたけど、あなたって綺礼と声似てるわね」
アーカード「それは面白い偶然だ」
セイバー「シロウ、決心はつきましたか?」
士郎「ああ、俺はあんなことが二度とないように戦う…よろしく頼む、セイバー」
セイバー「はい」アクシュ
凛「じゃ、衛宮くん、もうこれからは敵同士だから…ん?」
イリヤ「こんばんわ、お兄ちゃん」
士郎「あ、いつかのロリっ子」
イリヤ「ろりっこ?なにそれ?私の名前はイリヤスフィールよ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
あなたならわかるわよね、リン?」
凛「アインツベルン…」
イリヤ「わたしのこと、ろりっこなんて変な名前で呼んで、ゆるさないんだから!
やっちゃえ、バーサーカー」
バーサーカー「■■■■■■!!」
セイバー「シロウ、さがって!」
凛「アーチャー、ここはあなた本来の戦い方に徹するべきよ」
アーカード「分かった」ズバァ
凛「なんで斬られてんのよ!」
アーカード「これが私のやりかただ」ドロドロ
士郎「こんどは横に真っ二つ…オエッ」
イリヤ「自分からやられにくるなんて、バカなサーヴァントね。
粉々にしちゃいなさい、バーサーカー!」
バーサーカー「■■■■■■ーーー!!」ガンガン
凛「なんであんなになすがままなのよ…どんどん細切れになるじゃない…」
セイバー「」プルプル
イリヤ「なんでよ!なんで消えないのよ!もはや原型とどめてないくせに!」
アーカード「この巨体でこの素早い攻撃、さすがだが…狗では私は倒せない。化け物を倒すのは、いつだって人間だ」ベチャァァ
凛「うわ、血だまりから手だけ生えてる…あれ、黒い銃持ってる?ランサーのときは白い銃だったのに」
アーカード「純銀マケドニウム加工水銀弾頭弾殻 マーベルス化学薬筒NNA9 全長39cm重量16kg13mm爆裂徹甲弾…」
アーカード「『ジャッカル』」バゴォォォン
バーサーカー「■■■…」ドサァ
凛「宝具の説明が詠唱になってるのね」
アーカード「パーフェクトだウォルター」
凛「誰よ」
ジャンヌ「あははははッ!赤の陣営も黒の陣営も!大聖杯も燃え尽きてしまえッ!!」
シロウ「すごい……赤の陣営も黒の陣営も凪払ってる……」
ジーク「チェンジ!!」
イリヤ「ふ、ふふふ…そこのアーチャー?には驚いたけど、そんなんじゃ私のバーサーカーは殺せないんだから!」
バーサーカー「■■■■■■■!!!」グチャリ
凛「あ、治ってる」
士郎「お前のアーチャーに比べるとしょぼいな」
セイバー「アレなら大丈夫です」
イリヤ「な、なによなによ!私のバーサーカーはつよいんだから!真名はヘラクレスで、Aランク以上の攻撃で12回殺さないといけないのよ!!」
凛「アーチャー、あなたランサーのとき300万回殺せとか言ってなかった?」
アーカード「ああ、だいたいその程度の命が私の中にはある」ドロドロ
イリヤ「えっ…」
バーサーカー「■■…」ショボーン
イリヤ「か、関係ないわ!バーサーカーにおんなじ攻撃は効かないのよ!さっきの銃なんて撃ったってどうにもならないんだから!」
バーサーカー「■■■!」キリッ
アーカード「そうか、それはいい」ククク
凛「アーチャーがほぼ液体の状態で笑ってるわ」
セイバー「言わないでください、リン…」プルプル
アーカード「なるほどヘラクレスか。幾度の試練を乗り越えた、神の息子。それほどの英霊が、狂わされた挙句あのような少女の狗に成り果てるとは」
バーサーカー「■■■■■■■■ーーー!!」
アーカード「度し難いな。まったくもってい度し難い。…いいだろう。貴様をAランクの英霊と認識する。拘束制御術式第3号第2号…」
イリヤ「なんかやばい! か、帰るわよバーサーカー!!」
バーサーカー「■、■■■■■!」シュン
凛「あ、逃げた」
アーカード「ふん、つまらん」バシャバシャ
士郎「た、助かった…」
セイバー「まだ助かってない気もしますが…」チラリ
凛「今日のところは見逃してあげるわ。でも、次にあったら容赦しないわよ」
士郎「わかった」
アーカード「甘い主を持ったものだ。前の主は、もう少し手厳しかったぞ」バチャバチャ
凛「いいからあなたは早く元に戻りなさいよ…」
士郎「血だまりに肉片が浮いてるだけなのに喋ってるんだもんな」
セイバー「シ、シロウ、説明は不要です…ウッ」プルプル
~学校~
士郎「なんだこれ、空気が淀んでるというか…気持ち悪いな」
凛「おはよう衛宮くん。たぶんこれはサーヴァントが作ったすっごい結界だから手を組んで一緒に壊しましょう」
士郎「うん」
凛「いいわね、アーチャー?」
アーカード「ああ。なかなか、骨のある男のようでもある」
凛「そう?強化の魔術しか使えないって言ってたし、へっぽこだと思うけど?」
アーカード「そうではない。…私を殺すのは、きっとあのような男だ」
凛「アンタが死ぬところ、想像できないんだけど」
アーカード「狗や化け物では私は倒せない。化け物を倒すのは、いつだって人間だ。」
凛「へえ、変わった考え方ね。英霊も化け物ってこと?」
アーカード「狗だ。サーヴァントとして飼われている以上はな」
凛「それで狗狗言ってたのね…。でも、あなたの強さはよくわかったわ。あなたの言う狗、全部狩って頂戴」
アーカード「仰せのままに、マイマスター」
士郎「怖い…」
~遠坂邸~
凛「さて、衛宮くんとは協定を結んだからしばらくあっちの家に行こうと思うんだけど…」
アーカード「何か?」
凛「あなた、まだ全力は出してないわよね?」
アーカード「ほう、目ざといな」
凛「バーサーカー戦で詠唱してた術、あれはなに?」
アーカード「普段拘束している私の力を使うものだ。発動というよりは解除だな」
凛「うわ、そんなのあるんだ…」
アーカード「完全解除には主の命令が必要だ」
凛「命令…?まさか、令呪ってこと?」
アーカード「そうだ。独力ではできない」
凛「令呪を使う宝具か、なかなかハイリスクね…。使いどころには気をつけるわ。それで宝具は全部?」
アーカード「そうだ。ジャッカル、拘束制御術式(クロムウェル)、大別するとこの2つが私の宝具だ」
凛「その不死性も十分宝具な気もするけど、戦闘続行EXスキルがあるみたいだし違うみたいね
自分で呼んでおきながら、恐ろしくなるわ…」
アーカード「いや、クロムウェルを完全解除したとき、私はただ一人の吸血鬼となる」
凛「え?じゃあ、一回で死んじゃうの?」
アーカード「そうだ」
凛「ますますハイリスクね…そこまでして使う必要、あるのかしら?」
アーカード「どうかな。そもそも、それほどの相手が居るとも思えない。」
凛「ふうん。それ、使うとどうなるの?」
アーカード「私の内包している命をすべて具現化し操る」
凛「うわあ、それ300万人以上ってことよね。冬木に入りきるのかしら…。でも、あなたがひとりになるって、そういうことなのね」
アーカード「そうだ。私が死ぬとすればそのときだ」
凛「そんな宝具、いつ使うんだか…。」
~衛宮邸~
凛「というわけで、厄介になるから」
士郎「わかったよ、仕方ないな」
凛「奥の客間使うわね~」トコトコ
士郎「まったく…」
セイバー「シロウ」
士郎「何だ、セイバー?」
セイバー「あのアーチャーには気をつけてください」
士郎「え、なんで?協定も結んだろ?」
セイバー「いえ…私の直感が告げているのです。あの男は、危険だと」
アーカード「また随分と警戒されたものだ」ズルゥ
士郎「うわ!壁から出てきた!」
セイバー「ほら!ほら危険です!ほら!」ガタガタ
アーカード「セイバーの主よ。お前は聖杯戦争を止めるため、戦うといったな」
士郎「そ、そうだ。二度とあんな悲劇は繰り返させない。俺は皆を救う、正義の味方になるんだ」
アーカード「面白い。限りなく馬鹿で酔狂で儚い願いだ」ククク
士郎「何だと…?」
アーカード「しかしそれでいい。それがいい。人間とは、そうでなくてはならない。やはりお前は、見込んだとおりだ」スゥゥ
セイバー「消えましたね」ホッ
士郎「なんだっていうんだ…」
猿でもわかるセイバー
???「父親が人妻孕ませて産まれた子らしいな」
??「それなんてエロゲ?」
アンデルセン「アァァァァァアアアアアーーメェェェェェエエエエエンッッッ!!!!」
シエル(もう、この人だけで良いんじゃないのかな)
ナルバレック(アカン)
~学校~
凛「結界が起動したわ、出てきてアーチャー」
士郎「セイバー呼ぼうか?」
凛「アーチャーが居れば大丈夫よ」
士郎「なんで俺と協力したんだお前…」
凛「だ、だってほら、呪刻を壊すのははかどったじゃない!」
士郎「そうか…。で、なんで顔が赤いんだ?」
凛「赤くないわよ!日焼けよ!」
慎二「よう衛宮ァ…」
ライダー「……」
士郎「慎二!!結界を張ったのはお前か!」
慎二「そうだよ!僕がやったんだ!どうだよ遠坂、すごいだろう?」
凛「フン、悪趣味ね」プイ
慎二「な、なんだと…!くそ、馬鹿にしやがって!もういい、やれライダー!!!」
凛「はあ、さっさと片付けましょうアーチャー」
アーカード「認識した。我が主よ」バキュンバキュン
ライダー「!」ササッ
士郎「避けた!?」
凛「ジャッカルを避けるなんて、素早いわね…」
慎二「どうだ!僕のサーヴァントは!」
士郎「ここはやっぱりセイバーを呼ぼう」セイバァァァァァァ
セイバー「サーヴァントセイバー、召喚に応じ…ん?」
アーカード「よく動く…であれば、銃など不要だ」ダダダダダ
士郎「なっ、接近戦?!」
ライダー「くっ!」ガシイ
セイバー「私、なんで呼ばれたんです?」
凛「士郎とセイバーは、慎二をお願い。私達がライダーをやるわ」
士郎「わかった。慎二ィィィィ!!」
慎二「ヒェッ」
ライダー「マスター!…ぐうっ」ギリギリ
凛「あのアーチャーに捕まって、離れられるもんですか。…士郎、頼んだわよ」
慎二「いやだぁぁぁぁぁぁこわいいいいい」ダダダダダ
士郎「慎二のやつ、逃げ足だけは速いな…セイバー、捕まえてくれ」タッタッタッ
セイバー「はい」ダッ
グググ…
アーカード「ほう…お前からは同種のにおいがするな。…血のにおいが」
ライダー「っ!」バキッ
アーカード「見かけによらず、力もある…」ズサァァァ
ライダー「マスター!!」ダッ
凛「ちょっと!なに逃しちゃってんのよ!」
アーカード「すまない」
セイバー「終わりです、ライダーのマスター。結界を解きなさい」
慎二「へ?あ、ああ!解くよ!解く!だからさ、殺さないでくれよ!」
士郎「わかった。お前は殺さない。早く解くんだ」
ライダー「マスター!」ブン
セイバー「!」カキィン
慎二「!!遅いぞライダー!」ダダダダ
凛「ああ、遅かった…」
ライダー「さすがに劣勢です。…一度退きます、マスター。私のそばに」
セイバー「させるものか。どんな手を使おうと、私とあのアーチャーからは逃れられない」
ライダー「それはどうでしょうか?」
ズバッ ブシャァァァ
士郎「首を自分で斬った!?」
セイバー「まずい!なにか宝具を使う気です!シロウ、こちらへ!!」ヒョイ
凛「アーチャー!」
アーカード「わかった」ダダダダ
凛「なんで立ち向かってんのよ!逃げなさいよ!」
クロムウェル
アーカード「拘束制御術式3号2号1号 …開放」ゴバァ
ぞるぞるぞる
ライダー「なっ…」
士郎「えっ…うわあ…」
凛「体が目玉だらけに…下半身はなんかムカデがいっぱい…うわっ、首が落ちた…」
セイバー「あ、あ、あああああああ」ガクガク
慎二「え?なに?ちょっとライダー、お前の血で見えないんだけど?」コソコソ
アーカード「さあ、来るがいい」グチャグチャ
ライダー「…っ、そんなものでは、この仔の疾走は阻めない…!」カッ
ドヒュウウウウウン ガシッ
ライダー「なっ…!?」
凛「アーチャーから生えた無数の手が天馬を押しとどめてる…!?」
セイバー「な…なんという…ウッ…力なのでしょう…」ガタガタ
エサ
アーカード「馬か…いいだろう、お前は犬の肉だ」メキメキ ガバァァ
凛「今度は胸からでっかい犬が…」
ライダー「ひっ…や、やめ…」
グシャッ ガブッ モグモグ ゴクン
凛「犬が馬を食べるってどういうことよ…」
士郎「セイバー?おーい、セイバー?」
セイバー「」ピクッピクッ
アーカード「さあ…どうする、天馬の騎手。まだ手はあるのだろう?」ズルッズルッ
ライダー「ひ…く…あ…」
アーカード「ふん…手詰まりか。ならば…」ズルズル
ガブリッ
ライダー「!!」
士郎「なっ…噛み付いた?!」
凛「あのたくさんの腕を絡み付けて動きを封じてるのね」フムフム
士郎「慣れたのか、遠坂…?」
アーカード「」ゴクゴク
ライダー「ん…く……ぁ…あぐっ…ぅ…はぁ…」ピクピク
士郎「な…なんかエロいな…」
凛「なんででしょうね…///」
慎二「え、なに、どうなってんの?」ポカーン
アーカード「」プハァ
ライダー「サクラ…」スウウッ
凛「血と一緒に魔力を絞りとって消滅させたのね」
アーカード「クハハハハ、アハハハハハハ」ぞぶぞぶ
凛「体が戻ってく…」
士郎「セイバー?終わったぞセイバー?」
セイバー「ハッ!?む、むかでは!?どろどろは!?もうないですか!!?」
士郎「もう大丈夫だ、セイバー」ナデナデ
セイバー「ううっ…しろぉ…こわかったです…えぐっ…」ポロポロ
士郎「セイバー…」キュン
凛「」イラッ
慎二「あれ?ライダー?なんで消え…ああ!令呪が!ああああああ」ガタガタ
凛「さて…このワカメ、どうしてやりましょうかね」ギリギリ
アーカード「そう拳を構えていると、悩んでいるようには見えないぞ主よ」
凛「うるっさい!学校をメチャクチャにされたんだし、当然でしょ!」
アーカード「それだけではないような…おっと?」
慎二「ヒイイイイ、た、助けてくれええええ」タタタ
凛「あっ、待ちなさい!」
アーカード「フィッシュ」ヒュン ガシッ
凛「アーチャーの腕が伸びた…フィッシュってなに?」
アーカード「さて、なにかな。突然口をついて出たとしか」
慎二「なんで腕が伸びるんだよ!おかしいだろ!」
凛「クロムウェルとか言うの、まだ続いてたのね」
士郎「どうするんだ?遠坂」
凛「アーチャーに血を吸い取ってもらって、ふえるワカメがふえる前みたいにしてもらいたいところだけど、どうしましょうか」
慎二「ぼ、僕、そこまで恨み買ったかなあ……」ガクガク
アーカード「フン、このような血はいらん。臭くてたまったものではない」
士郎「なら、教会に預けよう。安全なんだろ?」
凛「そうね…そうしましょう。どうせ学校の件も、教会に頼らないといけないし」
士郎「わかった」
凛「慎二は私に任せて、あなたたちは先に帰ってていいわよ。疲れたでしょ」
士郎「えっ…いや、まあ、うん…」
セイバー「なんだかアーチャー以外はなにもしていない気がしますね」
~衛宮邸~
士郎「ただいまーっと」
セイバー「お疲れ様でした、シロウ」
士郎「ああ、セイバーもな。セイバー、なにか食べるか?」
セイバー「いえ…さすがに、あれを見た後ですと、その…」
士郎「そうだよな、俺もそうだ。…少し部屋で休んでくるよ」
セイバー「はい、シロウ」
~教会~
凛「と、いうわけだから、コイツのことはよろしくね」
綺礼「いいだろう。教会の名において、彼の安全は保証しよう」
凛「…ほんっとに声似てるわね」
綺礼「何の話だ、凛?」
凛「なんでもないわ…じゃ、もう帰るから」テクテク
慎二「クソックソックソッ」
~衛宮邸~
凛「ただいまー…あれ?なんか様子がおかしいわね」
アーカード「屋敷の奥が崩れているようだが」
凛「…しまった!衛宮くん、どこ!?」
セイバー「リン…です、か…?」ボロッ
凛「セイバー!?なにがあったのよ!」
セイバー「イリヤスフィールと、バーサーカーが…それを、止められず…シロウが…」
凛「連れ去られちゃったのね…迂闊だったわ、アーチャーと離れればこうなるってわかってたはずなのに」
アーカード「どうする」
凛「連れ戻すわ。セイバー、あなたは休んでて」
セイバー「だ、大丈夫です!シロウを目の前でさらわれておきながら、休んでなどいられません!」
アーカード「殊勝なことだ」フフフ
凛「嫌味言ってないで、さっさと行くわよ」
~イリヤの部屋~
士郎「気がついたらやけにファンシーな部屋で縛られてた」
イリヤ「おはようお兄ちゃん」
士郎「いつかのロリっ子…名前なんだっけ?」
イリヤ「イリヤスフィールよ!!シロウは特別に、イリヤって呼んでもいいわ」
士郎「そうか。イリヤはかわいいな」
イリヤ「えへへ…じゃなくって!」
士郎「なにさ」
イリヤ「かくかくしかじかでシロウは私のものなのよ!」
士郎「なんだって!親父の娘!?」
イリヤ「そうよ!だから、私のサーヴァントになってちょうだい」
士郎「イリヤのもの…そうか…フフフ…それも悪くないかも…」デレデレ
イリヤ「でしょ?」
士郎「ハッ!だ、だめだ!俺はセイバーと聖杯戦争を止めるんだ!」キリッ
イリヤ「…ふーん。そっか。じゃ、そのセイバーがいなければいいのね」
士郎「え?」
イリヤ「シロウの家では見逃してあげたけど…いいわ、そういうことなら、セイバーなんてやっつけちゃうんだから」
士郎「ま、まて!やめろイリヤ!」
イリヤ「シロウはそこで待ってなさい」ガチャッ タッタッタッ
士郎「く、くそ…」
セイバー「シロウ!」ドコォン
士郎「うわっ、なんだセイバーか…扉をふっとばすのはやめてくれ…」
アーカード「ほう、まだ生きていたか。とうに死んだものかと」
凛「あらほんと、元気そうじゃない。心配して損したわ」
士郎「心配してくれてたのか。いいやつなんだな、遠坂」
凛「う、うるさい!!さっさと逃げるわよ!」
セイバー「そうですね、行きましょうシロウ」
~エントランス~
士郎「誰も居ないんだな」トコトコ
凛「ええ、イリヤスフィールまでいないなんて」
士郎「イリヤなら、セイバーを殺すって言って出てったぞ」
セイバー「え?」
凛「入れ違いになったのかしら。ラッキーね」
イリヤ「そんなわけないじゃない、リン」ササッ
凛「!!」
士郎「まあ、そうだよなあ」
イリヤ「セイバーだけが来たのかと思ったらアーチャーまでいてびっくりしちゃったけど、よく考えたら好都合ね」
凛「なに言ってんのよアンタ」
イリヤ「セイバーを殺しても、リンがまだいるもの。どうせなら、みーんなやっつけちゃわないと」
バーサーカー「■■■■■■ーーー!!」
アーカード「相も変わらずやかましいな」
凛「セイバーはまだ戦えない、か。…仕方ないわね」
士郎「遠坂?」
凛「アーチャー。一人でアイツの足止めをお願い」
セイバー「それしかありませんね」
士郎「そうだな」
イリヤ「へ?」
アーカード「了解した。だが、足止め、か」
凛「なによ」
アーカード「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」
凛「それもそうね。じゃあ私達、隅っこで待ってるから」
セイバー「そうしましょうシロウ」いそいそ
イリヤ「え?え?」
バーサーカー「■■…」ショボン
イリヤ「な、なによなによなによ!!なめきっちゃって!!私のバーサーカーはつよいのよ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■ーーーーー!!!!」ハリキリ
イリヤ「前はびっくりして逃げちゃったけど、どうせバーサーカーは殺せないわ!やっちゃえバーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■ーー!!!!!」ダダダダ
アーカード「拘束制御術式 第3号 第2号 第1号 開放 状況A「クロムウェル」発動による承認認識 目前敵の完全沈黙までの間 能力使用限定解除開始…」
アーカード「では教育してやろう。本当の吸血鬼の闘争というものを」ぞるッ
バーサーカー「■、■■■…」ドシャァ
イリヤ「う、うそ、バーサーカー…?」
セイバー「はっ!?シロウ、どうなったのですか!」
士郎「セイバー、また気を失ってたのか…」
凛「今度はもっと凄かったものね」
凛「手刀で胸を貫いたかと思えば頭を蹴り飛ばして、でっかい犬で腰から上を食べ尽くして足を千切ってムカデを鼻に詰めて…」
凛「下手に再生するもんだからそのたび体のどこかを持って行かれてたわね」
セイバー「うっ…や、やめてくださいリン…」プルプル
アーカード「ギリシャの英雄といえど、狂ってしまえばこの程度か」ガブッ
イリヤ「え…いや…うそ…血を吸って…るの…?」ガタガタ
バーサーカー「■■■…」シュワァァァ
アーカード「つまらない。まったくもってつまらない。万夫不当の英雄がこのザマとは」ハァァ
凛「でもちゃんと血を吸うあたり、一応それなりには認めてるのかしら」フムフム
士郎「お前、適応力高いよな」
イリヤ「バーサーカー…うそよ…バーサーカーが…いやぁ…」ポロポロ
凛「さて、イリヤスフィールも教会に突っ込んでおこうかしら」
士郎「いや、イリヤは俺の家で預りたい」
凛「は?」
セイバー「し、正気ですかシロウ!」
士郎「いや、だってかわいい…じゃなくてかわいそうだし、あいつ、親父の娘らしいんだ」
凛「ははあ、義理の妹ってところかしら。でもそれでも…」
アーカード「私も賛成だ」
凛「え?」
アーカード「あの娘、なにかおかしい。手元においておいたほうが良いだろう」
凛「な…」
士郎「イリヤ、どうだ?」
イリヤ「シロウと…いっしょ?」
士郎「そうだ」
イリヤ「わかった…そこのアーチャーが怖いけど、シロウといっしょなら平気!」
凛「まったくもう…ま、アーチャーが居ればイリヤスフィールも変なことはしないか」
~衛宮邸~
イリヤ「わーい、しろー、しろー」キャッキャッ
士郎「ははは、イリヤはかわいいな、ははは」ナデナデ
セイバー「」イラッ
凛「なんというか、必死に現実から逃げてる感じがするわね、あの子」イライラ
アーカード「自分の頼りであったサーヴァントをいともたやすく失ったのだ、仕方あるまい」ククク
凛「自分でやっといてよく言うわ…」
アーカード「これで目下の敵、ライダーとバーサーカーは消えたわけだが」
凛「そうね」
アーカード「どうするのだ」
凛「どうするって、なにがよ」
アーカード「あの男との協定だ。もはや反故にしても問題はあるまい。お前がそうするというのなら私は従うが」
凛「あー、そうね、どうしましょうか」
士郎「? 俺、遠坂とは戦わないぞ?」イリヤナデナデ
凛「これだもんなあ、頭に来るけど…アーチャー、あなたはどうしたい?」
アーカード「この男は面白い。私の前に立ちはだかった幾多の人間共と似ているようで、似ていない。その酔狂な理想の果てを見てみたい」
凛「そう、最後までとっておくってこと。いいわ、まだサーヴァントは残ってるし、共闘を続けましょう、士郎」
士郎「ああ、よろしく頼む」イリヤギュッ
イリヤ「しろー…えへへ…」
セイバー「」イライラ
凛「敵の気配がしたと思ったら使い魔に居間を包囲されてたから対魔力の高いセイバーが元気に倒しに行ったわ」
士郎「怪我治ってたんだな、セイバー」
アーカード「私は出なくていいのか」
凛「うーん、そうねえ…敵はきっとキャスターでしょうけど…狙いは私達マスターのはず、アーチャーには私達を守ってもらうわ」
アーカード「ふん、そうかな」
凛「どういうこと?」
アーカード「こちらが狙いとするなら、配置する使い魔の数が少なすぎる。そしてまったく仕掛けてこない。足止めのように思えるが」
凛「…まさか、狙いは…」
士郎「セイバァァァァ!!」ダダダ
凛「あっ、待ちなさい士郎!もう、アーチャーは士郎を追って。私はここでイリヤを守ってるから」
アーカード「了解した」
キャスター「セイバー、ウフフ…可愛いわ…ウフフフ…」
セイバー「くっ、そんな目で私を見るな!!」ブンブン
キャスター「ここであなたを捕らえたら、お寺でたーっくさんお洋服を…ウフフフフ…」ドンドン
セイバー「そんな魔術など!」シュンシュン
キャスター「なら、あの坊やを殺しちゃうけど、いいのかしら?」
セイバー「な…?」
セイバァァァァァァ
セイバー「シ、シロウ!?来てはだめだ!」
キャスター「隙あり!ルール・ブレ…」
アララララララララライ!!!
ドゴォォォォォォォン バリバリ
セイバー「キャスターが死んだ!」
士郎「このひとでなし!」
セイバー「それよりも、この声は、まさか…」
イスカンダル「応とも!久しぶりだな騎士王!」
セイバー「征服王!?なぜここに!!」
イスカンダル「なに、先の戦争でな、とうとう受肉を果たしたのだ」
セイバー「馬鹿な!最後に残ったのは、私とアーチャーだった…それに、聖杯は私が壊したはずだ!」
イスカンダル「確かに余はあの英雄王にやられたはずだったのだがな、気がつけば裸で火の海に放り出されておったわい」
セイバー「そ、そんな…」
凛「使い魔が消えたから出てきたら、なんか変な状況ね…なによ、あのサーヴァント?」
セイバー「……彼は、前回の聖杯戦争でライダーとして現界していたサーヴァントです。真名は征服王イスカンダル…」
凛「前回の…?なんでそんなやつがいるのよ!」
綺礼「それは私が説明しよう」ドン
凛「綺礼!?」
セイバー「征服王の後ろで腕を組んで仁王立ちしていますね」
士郎「コートがはためいてかっこいいな」
アーカード「確かに私と声が似ている」
イスカンダル「冷静だのうお主ら」
凛「…どういうことよ、綺礼」
綺礼「前回の聖杯戦争で、たしかに聖杯は破壊された」
綺礼「そして、私とそのパートナーであった当時のアーチャー、ギルガメッシュは壊れた聖杯から溢れた泥を被った」
綺礼「私は衛宮切嗣によって一度殺されたが、その泥により蘇生し、ギルガメッシュも受肉を果たす…はずだった」
セイバー「どういうことだ」
綺礼「どうも、そこの征服王があまりにも受肉を果たしたがっていたようでな」
綺礼「聖杯がうっかり間違えてギルガメッシュではなく征服王を受肉させてしまったようだ」
士郎「聖杯戦争に遠坂家が関わってたんなら、うっかりしても仕方ないな」
凛「どういう意味かしら、衛宮くん?」ギリギリ
綺礼「仕方がないので征服王を拾ったのだが…」
イスカンダル「応、話してみればなかなかに面白い男でな!気に入ったので我が臣下にしたのだ!」ガハハ
セイバー「征服王、なんとなくその男はあなたの趣味に合わないと思うのだが」
綺礼「受肉の拍子に趣味嗜好が変わったようだ」
凛「なんでもアリね」
綺礼「気にしてはいけない、凛」
イスカンダル「それにしても…」チラリ
アーカード「なんだ」
イスカンダル「貴様、何者だ?」
アーカード「ご覧のとおり、アーチャーのサーヴァントだが」
イスカンダル「見てもわからんわい」
凛「そうね」
イスカンダル「余が言いたいのはそういうことではない。貴様は危険だ。余が、余の軍勢が、貴様を危険だと感じておる」
セイバー「それには賛同します」
イスカンダル「騎士王を叩き直そうと思っていたが、気が変わった。貴様は倒さねばならん。なんとしてもな」
アーカード「ほう、その直感は正しい。ならばどうする、今から殺るか?」ククク
綺礼「待て征服王。今は退け。目的は果たした」
凛「目的?なに、私達に説明してくれるために出てきてくれたってわけ?」
綺礼「まさか。時間稼ぎにすぎない」
凛「時間稼ぎ…?」
セイバー「! この気配は…ランサー!?」
セイバー「リン!イリヤスフィールはどうしました!」
凛「え、疲れてるみたいだったし、居間に…まさか」
アーカード「あの屋根に居るのがそうではないのかな」
士郎「イリヤ!」
凛「初めからランサーを使って、イリヤを連れ去るつもりだったのね…追ってアーチャー!」
イスカンダル「おっと、そうはさせんわい。我が臣下の頼みであるからな、聞かぬわけにはいかん」
凛「くっ…でも、イリヤをどうするつもりよ、綺礼」
綺礼「なに?知らずに匿っていたというのか?」
凛「なんのことよ」
綺礼「は、そうか、ならば教えよう。あの娘こそ、アインツベルンが作り上げた聖杯だ」
凛「なっ…」
士郎「イリヤが、聖杯…?」
アーカード「ほう、そういうことか」
綺礼「私には聖杯が必要なのでな。娘はもらった。行くぞ征服王」
イスカンダル「応!さらばだ騎士王!柳洞寺で待っておるぞ!」ゴォォォォ・・・
凛「ああ、もう!追うわよ!」
セイバー「待ってくださいリン」
凛「なによ!」
セイバー「征服王は強い。ランサーとも組んでいるとあれば、迂闊には仕掛けられません。対策を練らねば」
凛「セイバー…そんなに、強いの?あいつ」
セイバー「先の戦いでは私の宝具を使ってやり込める程度はしましたが、それでも征服王は全力ではなかった」
セイバー「彼の宝具はどれも危険です。ですが、幸いにも私はどんなものか知っている」
凛「そう。いいわ、私達もずっと連戦だし、作戦会議にしましょう」
士郎「いりやぁ…」シクシク
凛「……」
~衛宮邸・居間~
凛「で、あのライダー…イスカンダルだったっけ、あいつの宝具ってなんなのよ」
セイバー「はい、まずひとつは先ほど乗っていたチャリオットです」
凛「あれだけでも凄かったわね。キャスターが一撃でやられちゃったし、帰るときもすごい速さだったし…」
セイバー「それだけならまだ良いのですが、もうひとつ、真打ちとも呼べる宝具があります」
凛「へえ」
セイバー「アイオニオン・ヘタイロイ…と言っていました。固有結界を展開し、数万人の軍勢を召喚するというものです」
アーカード「ほう」
凛「固有結界ですって…また厄介なシロモノね」
セイバー「しかもその軍勢のひとりひとりがれっきとしたサーヴァントでした。私の宝具でも、太刀打ちできるか…」
凛「うへえ、数万人のサーヴァントか。…でも」
アーカード「そうだな。倒しきれぬはずはない」
凛「こっちはその数百倍だもんねえ、ちょっと負ける気がしないわ」
セイバー「え?え?」
凛「そうね、リスクはあるから、セイバーにも援護してもらおうかしら」
セイバー「な、なんです?凛、もしかしてまだ奥の手があるのですか?」プルプル
凛「ええ、楽しみにしておいて。アーチャーの言うことが本当なら、面白いことになるわよ」フフフ
アーカード「たぎるな」ククク
士郎「なんか遠坂、そいつに似てきてないか…」
~柳洞寺前~
凛「ところ変わって柳洞寺の前まで来たわ」
セイバー「いよいよですね…ん?」
士郎「山門のところ、誰か居るな」
セイバー「あれは…ランサー…と、もうひとり…?」
ランサー「よう、なかなか来ねえんで、ちっとばかし遊んでたぜ」
アサシン「無念…」シュワァァ
ランサー「どうもキャスターに召喚されたイレギュラーだったみてえだが、主が消えりゃ力も鈍るか。宝具を使うまでもなかったな」
凛「それはどうも、手間が省けたわ。意外と強いのね、あなた」
ランサー「ふん、今までが本調子じゃなかっただけだ。やっと本気でやれるぜ。
いけすかねえマスターからは足止めを命じられてるが、てめえら相手だとひとりくらい止められなくてもおかしくねえよな?さあ、どっちが相手だ?」
凛「どっちって言われても…」
アーカード「いつかの槍兵か。面白い、全力を以って戦おう」ククク
セイバー「さっさと倒して進みましょう」ザリッ
士郎「2対1か。ちょっと卑怯だけど、急がないとな」
ランサー「え?あれ?タイマンの流れじゃねえのか、これ?ここは任せた!とかよ」
凛「なに言ってるんだか、頼むわアーチャー」
アーカード「了解した」ダダダダ
セイバー「行きます」ダダダダ
ゲイ・ボルグ!
ランサー「チイッ、仕方ねえな……喰らえ、突き穿つ死翔の槍!」ドヒュン
士郎「槍を投げた!?」
アーカード「ふん」ガシィッ
ランサー「は?」
凛「さすがねアーチャー、ジャンプして槍を受け止めるなんて」
アーカード「やはりなかなかの宝具だ。これが本来の使い方なのだろう?受け止めるのに50人ほど死んだぞ」ジュウウウ
ランサー「いや、え、は?」ポカーン
セイバー「そこだ!!」ズバァッ
ランサー「! しまっ…」
ランサー「くそ…」シュウウ
士郎「あっけなかったな」
セイバー「なんだかやっと活躍できた気がします、シロウ」フンス
凛「アーチャーのインパクトに全部持ってかれたけどね。さあ、行きましょう」タタタ
~柳洞寺~
イスカンダル「よう来た、騎士王、アーチャー」
士郎「イリヤはどこだ!」
イスカンダル「ホレ、あそこだ」クイ
凛「寺の裏ね…」
イスカンダル「しかし、いかせんぞ。我が臣下の頼みでもあるが、なにより…」ジロリ
アーカード「…」
アイオニオン・ヘタイロイ
イスカンダル「そこのバケモノは、ここで余が殺さねばならん。…行くぞ、王の軍勢!」シュパァァァァァ
~固有結界~
オオオオオオオオオオオオ
凛「これがセイバーの言ってたやつか…」
士郎「広い砂漠だな。それに、すごい人数だ」
アーカード「いよいよだ。…あるじよ。我が主よ!命令を!!」
凛「ええ…命令するわ。総滅して。彼らをすべて、殺し尽くして」
アーカード「了解 認識した マイマスター」
拘束制御術式零号 開放
私は ヘルメスの鳥
イスカンダル「!!!」ゾクゾクゾクッ
セイバー「なッ…」ブルッ
私は自らの 羽を喰らい
イスカンダル「我が軍勢よ!止めろ!あれは、あれは、あれはいかん!」ダカダカダカダカ
「然り!然り!然り!」ダダダ
飼い 慣らされる
ズズズズズズズズズ
セイバー「こ…これは、一体…」
凛「これが、アーカードの、真の力…」
士郎「なんて量だ…」
イスカンダル「死者の群れ…やはり、やはり貴様は…!」
士郎「え、あれ、あそこにいるのは」
ライダー「」ズズズッ
バーサーカー「■■…」ズルリ
凛「そうか…これは、アイツが食べてきた命を全部開放するもの…」
セイバー「そ、そんな、あのような姿になってまで、戦わせるというのか…」
アーカード「どうした、征服王」
イスカンダル「っ…」
アーカード「殺すのだろう?この私を、この化け物を」
アーカード「やってみるがいい。今や私はただひとり。ただひとりの吸血鬼だ」
イスカンダル「ぐ…言われるまでもないわ!行くぞ、我が軍勢よ!敵は悪魔!遠慮はいらぬぞ!」
オオオオォォォオオオ
凛「…戦況は、だいたい五分五分かしら?結構やるわね」
アーカード「彼の軍勢はひとりひとりが英霊だと言っていた。仕方ない」
凛「あなた、ヒゲだったのね、ヒゲ」
士郎「そこ、どうでもいいだろ…」
セイバー「ライダー…バーサーカー…」
ライダー「」ザシュザシュ
バーサーカー「」グオングオン
セイバー「…死してなお、その身を使役されるとは…アーチャー!これは、あまりにも非道だ!英霊を侮辱している!」
アーカード「お前がそれを言うか、セイバー。死してなお使役されているのは、さていつからかな?」
セイバー「…今この場は、あなたと共闘する。リンとの約束だ。しかし、それが終わったら…」
アーカード「好きにしろ」
凛「…ま、セイバーは真面目だし、怒るのも仕方ないか」
士郎「さすがになあ…」ボーゼン
イスカンダル「アララララララララライ!」バゴォォン
バーサーカー「■…」バタリ
イスカンダル「ハァ…ハァ…」
凛「ほとんど、倒されちゃったわね」
アーカード「さすがは英霊というところか。だが」
セイバー「はああ!」ズバシュ
バシャァァァァァァァ
士郎「あ…結界が、解けた?」
凛「向こうも、もう限界みたいね」
アーカード「さあ、征服王。まだ殺せるか?その身で、ここまで辿り着けるか?」ぞぶっ
イスカンダル「まだ…おるのか…お主、まっことバケモノよのう…」ヨロッ
凛「…アーカード、とどめを」
アーカード「了解した」ジャキッ
イスカンダル「ぐ…ぬう…」
アーカード「結局、私までは足りなかったか。残念だ、征服王。お前ならよもや、と思ったのだがな」バァァン…
イスカンダル「が…」バタッ スウウッ
セイバー「終わったか。……アーチャー、いや、アーカード。覚悟はいいか」チキッ
士郎「待ってくれセイバー。イリヤを助けるのが先だ」
セイバー「ぐっ…ですが、シロウ…」
凛「そうね…聖杯が完成したら、綺礼のやつどう使うかわかんないし」
セイバー「……分かりました」ギリギリ
アーカード「はっ、怖い目だ」
凛「ほら、喧嘩してないで、行くわよ」
~聖杯前~
士郎「イリヤ!!」
綺礼「よく来た。ほう、全員健在とはな…」
凛「あれが、聖杯、ですって?」
セイバー「すっごくどろどろしてます」
アーカード「まるで呪いの塊だ」
セイバー「あんなものを求めて、私は戦っていたのか…」
綺礼「前回の戦争で、私は聖杯を使い、望みを叶えた」
士郎「なに…?」
綺礼「衛宮士郎、お前が味わったあの火災こそ、それだ」
士郎「な…それじゃ、お前の望みってのは!」
綺礼「お前の想像通りだ。だが、この状況ではもはやそれも叶わんか」
凛「そうね。残念だけど、あなたとはここでお別れよ、綺礼。…アーカード、やって」
アーカード「ああ、わかった」バァン
綺礼「ぐ…また、銃で殺されるとは、な…」パタリ
凛「さて、あとは聖杯ね」
士郎「ああ、早くイリヤをおろしてやらないと」
凛「でもどうしようかしら、生半可な攻撃じゃ壊せそうもないし…」
セイバー「…私の宝具ならば、壊せます」
凛「そういえば、壊したって言ってたわね」
士郎「いいのか、セイバー」
セイバー「ええ。あのような呪いでは、私の願いなど叶えられません」
セイバー「キリツグ…あなたはこれを知っていて、私に破壊を命じたのですね…」
凛「感傷に浸ってる場合じゃないわよ、セイバー。やるならはやくやっちゃって」
セイバー「わかりました。士郎、令呪を使ってください。それで、終わりです」
士郎「わかった。…セイバー、聖杯を破壊してくれ」キュイン
セイバー「エクス…カリバァァァァァ!!」
セイバー「アーカード、あなたを倒したいところですが、もうできないようですね」
アーカード「そうだな。これで終わりだ」
セイバー「あなたの非道は許せない。…ですが、主の命令に従い、守り切ったところには、敬意を評します」
アーカード「それは光栄だな」
士郎「セイバー…」
セイバー「シロウ、お世話になりました。あなたの剣として戦えてよかった」
士郎「…ああ、ありがとう、セイバー」アクシュ
凛「お疲れ様、アーカード」
アーカード「ああ」
凛「あら、素っ気ないわね。…でも、あなたらしいか」
凛「御機嫌よう。なんだかんだで、楽しかったわ」
アーカード「…お前のような主も、悪くはなかった」
凛「嬉しい事言ってくれるじゃない」
アーカード「衛宮士郎」
士郎「なっ、なんだ、アーチャー」
アーカード「せいぜい強くなることだ。お前の理想、遂げられるのなら遂げてみろ」
凛「気に入られたわね、衛宮くん?」
アーカード「ふん」
士郎「…言われなくても、やってやるさ」
士郎「行っちゃったな」
凛「そうね」
士郎「…ありがとう、遠坂。一緒に戦ってくれて」
凛「全部アイツがやったようなもんだったけどね」
士郎「そうだな。強かったな」
凛「あれくらい強くなれば、衛宮くんも正義の味方になれるんじゃないかしら?」
士郎「ムチャ言うなよ…でも、頑張るよ、俺。アイツみたいなのを倒せるくらい、強くなってやる」
凛「その意気よ。私も、手伝ってあげるわ」
士郎「ああ、頼むよ、遠坂」
凛「…さ、イリヤも助けたし、帰りましょう」
士郎「イリヤ…可愛いな…」ホレボレ
凛「ぶち壊してんじゃないわよ!」バチン
士郎「なんでさッ」
~~ロンドン~~
-------おかえり 伯爵
ただいま 伯爵------
END
というわけで完結です。
初SSでしたが、無事完結できて良かったです。
fateはSNとHollowだけで、EXTRAとかはやってないのであっちのヴラドとかはよく知らないです、すみません。
zeroもアニメ見ただけなので征服王の口調が安定しませんでした。
征服王をわざわざ出したのは、死の河vs王の軍勢がやりたかったからです。映像で見てみたいです、これ。
ラストは、旦那がいなかった30年の間に聖杯戦争やって帰ってきたってことにしたかったんですが…わかりにくいですね。
拙筆でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。HTML化依頼?とかいうの、出しときますね。
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