アスカ「シンジ、ビール飲むわよ」(97)

アスカ「ねぇ、シンジぃ」ゴロゴロ

シンジ「なに?」

アスカ「ミサト遅いじゃない。もう10時よ」

シンジ「あぁ、知らなかった?今日は残業で帰ってこれないって」

アスカ「ふーん、そうなんだ」ゴロゴロ

シンジ「暇なら洗い物手伝ってよ」ジャー カチャカチャ

アスカ「イヤよ。それはアンタの仕事」

シンジ「なんだよそれ」

アスカ「あたしの仕事は使徒と戦う事だし。その為に日本に来たんだから」

シンジ「使徒退治は僕だってやってるのに…」

アスカ「むー…」ゴロゴロ

シンジ「…」ジャー カチャカチャ

アスカ「暇ねー。ひま」ゴロリ

ペンペン「クワッ」

アスカ「ねぇペンペン、なんか面白い事ない?」

ペンペン「クワーッ」

アスカ「ふーん、そう」

シンジ「……わかるの?」カチャカチャ

アスカ「わかるわけないじゃない。バーカ」

アスカ「あーあ。暇、暇」

シンジ「だから暇なら手伝ってよ」

アスカ「嫌」

シンジ「…」

アスカ「シンジ、喉渇いた」

シンジ「冷蔵庫になんか入ってるんじゃないの」カチャカチャ

アスカ「取ってよ」

シンジ「それぐらい自分でやってよ。僕はまだやる事あるんだから」

アスカ「チェッ、使えないわねぇ」ムクリ

シンジ「そんな言い方ないじゃないか…」

アスカ「えーと、どれどれ?」

バコッ

アスカ「……」

ペンペン「クワーッ」

アスカ「…なによ、ミサトのビールしかないじゃない」

シンジ「お茶でも飲んだら?」

アスカ「この暑いのにお茶なんか飲みたくないわよ」

シンジ「じゃあ、水道水は」

アスカ「あんたバカァ?このあたしに水道水を飲めって言うの!?冗談じゃないわよ」

シンジ「…。じゃあなんか買ってくればいいじゃないか」

アスカ「…ふーん。でもわざわざ飲み物買いに行く為だけに外出るのも面倒ねぇ」

シンジ(もう放っておこう…。無視、無視)

アスカ「………」

アスカ「…よし。シンジ、ビール飲むわよ」

シンジ「勝手にしなよ……え?」

アスカ「ビール。飲むわよ」

シンジ「なに言ってるんだよ、未成年のクセに。ミサトさんにバレたら怒られるよ」

アスカ「かったいわねぇ~、日本人は。他所の国の若者なんかこの程度のお酒、ガブガブ飲んでるってのに」

シンジ「ダメだよ、ダメ。飲みたいと思うのはアスカの勝手だけど、僕まで怒られちゃうじゃないか」

アスカ「じゃあ、シンジなんか買ってきてよ」

シンジ「嫌だよ、面倒くさい」

アスカ「」プシュッ

シンジ「あっ」

アスカ「あら、つい力が入っちゃって飲み口開けちゃったわー(棒)」

シンジ「…」

シュワー

アスカ「このまま捨てるのは勿体無いわよねぇ?日本人の感覚から行ったら」

シンジ「……。もう、勝手にしなよ。僕は知らないよ」

アスカ「なーに怒ってんのよ。あんたってば本当に石頭よねー。こんな麦汁がなんだってのよ」グッ

ゴクッ ゴクッ ゴクッ

アスカ「プッハー!  ……にっっが」

シンジ「…苦いんだ」

アスカ「うえーっ…。ミサトはなんでこんなモン美味しそうに飲んでんの?」

シンジ「大人にならないと美味しさがわからないんじゃないの?」

アスカ「なによ、あたしは十分に大人よ?身体は幼いかも知れないけど、あんた達よりモノは知ってるし」

シンジ「ふーん、そう。…で、それどうするの?」

アスカ「え…。も、もちろん飲むわよ。勿体無いじゃない」

シンジ「無理しないで投げなよ」

アスカ「うるさいわね。あたしは大人よ、ビールのひとつぐらい飲めるっての」

ゴクゴクゴクッ

シンジ「あーあ、知らないよ」

アスカ「っはぁ~~……あ゛ッ」

アスカ「どう、飲んでやったわよ」

シンジ「そう、…なんかふらついてない?」

アスカ「は?なに言ってんのよ。ビールひとつ飲んだだけで酔うわけないじゃない。このあたしが」

シンジ「頭が微妙にゆらゆらしてるように見えるけど」

アスカ「うるさいわね。ジロジロ見るんじゃないわよ変態」ユラユラ

シンジ「へ、変態って…」

アスカ「ちょ、ちょっとソファーにでも座ろうかしらね。よいしょっと」フラフラ

シンジ(やっぱ酔ってるじゃないか)

アスカ「ふーーーーっ……」

シンジ(やれやれ…。さてと、洗濯物を畳まないと…)

アスカ「……ふふっ」

シンジ「…ん?」

アスカ「ふふっ…あはははは……!」

シンジ「ア、アスカ?」

アスカ「あはははっ!なんか、よくわかんないけど楽しい!!」グルングルン

シンジ「ちょっと、大丈夫?」

アスカ「正直苦くてまっっずいけど、楽しい!楽しいわよコレ!!」クルクル

シンジ「お、落ち着いてよアスカ…近所迷惑だから」

アスカ「なんか、浮いてる感じがして楽しーーい!!ペンペン、おいでー!」

ペンペン「クワー?」

シンジ「完全に酔っ払ってるじゃないか…。どうしよう」

バコッ

アスカ「もう一本飲もーっと」

シンジ「え!?ちょっと待ってよアスカ!もう駄目だって!!」

アスカ「うるさいわねー。大丈夫よ」プシュッ

シンジ「駄目だって!これ以上飲んだらどうなるか…!」

ガシッ

アスカ「ん!ちょっと、離しなさいよ!暴力反対!!」

シンジ「嫌だ、離さない!」

グググ…

アスカ「離しなさいよー!」

シンジ「嫌だ!絶対に離さない!!」

グググ…

アスカ「ナヨナヨしてても男ね…!結構な力じゃない…!!……でも!」

アスカ「シンジ、こっち向いて」

シンジ「え?」

アスカ「チュッ」

シンジ「!!!?」

シンジ「うわわ、な、なにすんだよ!?」パシッ

アスカ「あはは!キスなんかで動揺するなんて、やっぱあんた可愛いわねー」ゴクゴクゴクッ

シンジ「ああああぁぁ…」

アスカ「ぷっはぁー!  あ゛ッ」

シンジ「アスカ、お願いだからそれ以上飲まないでよ…」

アスカ「ん?あんたさっき好きにしなよって言ってたじゃない。文句言われる筋合いなんか無いわよ」

シンジ「これ以上酔ったら部屋が滅茶苦茶にされそうで怖いんだ…」

アスカ「テンション低いわねー、あんた。…そうか、あんたもビール飲めばいいのよ!」

シンジ「えぇっ!?い、嫌だよ!なんで僕まで…」

アスカ「嫌じゃないわよ、飲みなさい!命令よ!!」ズイッ

シンジ「そんな命令従えないよ!」

グビッ グビッ

アスカ「ぷはぁっ!なによ、あたしのお酒が飲めないっての!?ほら、飲みなさい!!今なら間接キッス出来るわよ!?」ズイッ

シンジ(か、間接キッス…!……って、駄目駄目!何を考えてるんだよ僕は!?)

シンジ(あぁ…、っていうか、なんか身体がグルグルドキドキする)

アスカ「ほらほらほら!」

シンジ(キスされたから…?アスカのアルコールが僕にも入ったのか…?わからないけど、なんだかクラクラしてきた…)

アスカ「飲みなさいよ!バカシンジ!!」

ペンペン「グワグワッ」

シンジ「ペンペンまで…うぅ、助けてよ」

アスカ「飲まないってんなら、口移ししてでも無理矢理飲ませるわよ!!」

シンジ「く、口移し!?い、いやそれはちょっと…嫌とかじゃなくて…~~、ああもう!わかったよ!!」

アスカ「ニヤリ」

シンジ「…でも一口。一口だけだからね」

アスカ「オッケー、オッケー」

アスカ「じゃぁ、せっかくだし乾杯しましょ。もう一本出そうっと」

バコッ

シンジ「え?この残りでいいじゃないか。コップに移して…」

アスカ「うるさいわねー。あたしはまだ飲めるのよ」プシュッ

ペンペン「クワッ」

アスカ「あ、ペンペンも飲みたいの?じゃあ3人で乾杯しましょうか!」

ペンペン「クワーッ!」

シンジ(ミサトさん…なんで今日が残業なんですか……)

アスカ「はい、それじゃあ乾杯!」

ペンペン「クワーッ!」

シンジ「…乾杯」

コンッ

アスカ「んっ んっ んっ」ゴキュゴキュ

ペンペン「~~」ゴクゴク

シンジ(…匂いはそんなんでもないけど……ええい!)ゴクリッ

アスカ「~~っはぁッ。美味しいわね~ペンペン?」

ペンペン「クワーッ  あ゛ッ」

アスカ「どう、シンジ?ビールのお味は?」

シンジ「………苦い」

アスカ「あはは!すぐ慣れるわよ~」

シンジ「慣れるって…僕はもう飲まないよ」

アスカ「はぁ?せっかく口つけたんだから、それぐらい全部飲みなさいよ!」

シンジ「さっき一口だけって言ったじゃないか!」

アスカ「もう半分も残ってないじゃないの。そんな量も飲めないの?」

シンジ「いや、これぐらいは飲めるよ。でも、これ以上飲んだら駄目だ」

アスカ「つまんない男ねぇ~。あたし、シンジが酔った姿が見てみたいのにぃ」

シンジ「僕は見せたくないよ……っと」クラッ

アスカ「あっはははは!もう足にきてるんじゃない!かっこ悪い~」ケラケラ

シンジ「う、うるさいな…(やっぱり駄目だ、これ以上飲んだら大変な事になる…)」

アスカ「いーわよ、シンジが相手してくれないんだったらこっちだって考えがあるんだから」

シンジ「…?」

アスカは携帯電話を取り出した

アスカ「…」ピッピッピッピ…

シンジ「アスカ、何をする気なのさ…?」

アスカ「うっさいわね。ちょっと黙ってなさいよ」tllll… tlll…

シンジ(ミサトさんに電話…?)

アスカ「あ、もしもし?ファースト?」

シンジ「え゛っ」

アスカ「あたしよ。まだ起きてんでしょ?ちょっとミサトの家まで来なさいよ」

シンジ「ちょっとアスカ!」

アスカ「うるさい!あっち行け!!」ゲシッ

シンジ「いてっ!」

アスカ「大事な話があんのよ!うん、そう!四の五の言わずにさっさと来なさい!!」

アスカ「それと、なんかお菓子買ってくるように!……いいのよ!必要なんだから!!それじゃ!」プツッ

シンジ「なにやってるんだよ、アスカ!」

アスカ「いいじゃない、別にー。シンジ君は相手してくれないしー」ヒラヒラ

シンジ「…っ、だからって綾波を巻き込む事ないじゃないか」

アスカ「でもさぁ、気にならない?あの無愛想な女が酔ったらどうなるとかさぁ?」

シンジ「え…」

シンジ(…た、確かに少し気になるかも……)

アスカ「ね?気になるでしょ??もしかしたらメチャクチャお喋りになったりして」

シンジ「その前に綾波はお酒なんか飲んでくれないよ。きっと」

アスカ「その時は飲むまでこの部屋から出さないわよ」

シンジ「…もうアスカ、悪酔いしすぎだよ。それに、こんな時間に来るわけないじゃない」

――5分後

ピンポーン

シンジ「えっ」

アスカ「あはは!来た来た!!シンジ、出て」

シンジ「いくらなんでも早すぎるんじゃ…」

ガチャ

ギィ…

レイ「…こんばんわ、碇君」

シンジ「あ…こ、こんばんわ」

レイ「弐号機の子、いる?」

シンジ「ああ、いる…」
アスカ「ファーストォー、こっちよこっちー!早く入ってきなさーい」

レイ「お邪魔します」

シンジ「ど、どうぞ(本当に来るなんて)」

レイ「こんばんわ」

アスカ「いらっしゃ~い。ま、適当に座んなさいよ」

レイ「…」スッ

アスカ「お菓子買って来てくれた?」

レイ「ええ。何がいいかわからなかったから適当に買ってきたわ」ガサ

アスカ「うーん、さすが優等生ね~。シンジ、さっさとお菓子入れる器持ってくる!」

シンジ「え、あ、はい」

レイ「…。それで、大事な話ってなに?」

アスカ「別に大した話じゃないのよ。ただ、あんたと一緒にお酒が飲みたいな~って思ってね~」

レイ「…お酒?」

レイ「…クンクン  あなた、お酒臭いわ」

アスカ「そりゃそーよ。さっきから飲んでるから」

レイ「あなた、未成年でしょ。葛城三佐に怒られるわよ」

アスカ「は~っ…あんたもシンジとおんなじ事言うのねぇ」

シンジ「ごめん、綾波…。全然言う事聞いてくれなくて……」

レイ「…。」

アスカ「ま、せっかく来たんだから一緒に飲みましょうよ。ね?」

レイ「帰るわ。話がないのなら」

アスカ「え?ちょっと待ちなさいよ!」

レイ「急を要する話だと思ったから、タクシーで来たけど…無駄な時間とお金を使ったわ」

アスカ「あら?もしかして、あんた怒ってる?」

レイ「…。呆れてるのよ」

シンジ「本当にごめん、綾波」

レイ「別に碇君を責めてはいないわ。とにかく、私は帰る」

アスカ「おーっと、ここは通さないわよ?」ザッ

レイ「…」

シンジ「ちょっとアスカ…」

アスカ「時間とお金を無駄にしたくないなら、あたし達と飲みましょうよー」

レイ「お断りするわ」

アスカ「ふっふっふ、お酒の入ったアスカ様のしつこさは尋常じゃないわよ?」

レイ「…」

アスカ「通さないったら絶対に通さないんだから。atフィールド全開!なーんて、あっははは!」ケラケラ

シンジ「ごめんね綾波、今すぐどけるから…」

グイッ

アスカ「あ!ちょっと何すんのよバカシンジ!!」

シンジ「もう、いい加減にしてよ。明日も学校あるんだし、綾波だって…」

アスカ「離しなさいよ!この!!」ギュウウゥゥ

シンジ「いでで!つ、抓るなよ!!」

レイ「…」

レイ「……どうしたら、通してくれるの?」

シンジ「あ、綾波?」

アスカ「ニヤリ」

アスカ「そうね。ビール一缶分の時間を付き合ってくれたらいいわよ」

レイ「…」

シンジ「いいんだよ綾波、断って」

アスカ「うっさい」ドスッ

シンジ「うぐ」

レイ「…わかったわ。付き合うわ」

アスカ「! よく言ったわ、ファースト!!それじゃあ居間に戻りましょ!!~♪」パタパタ

シンジ「ゲホ… 綾波、いいの?」

レイ「ええ。お酒は飲んだ事ないけれど、缶ひとつくらいなら大丈夫だと思う。それに…」

シンジ「?」

レイ「このまま帰ったら碇君の抓られ損だし」

シンジ「そんな事気にしなくていいのに…」

アスカ「はいはい、それじゃあ乾杯しましょうか!」

レイ「…」

シンジ「…僕も飲まなきゃいけないの?」

アスカ「当たり前よ!あんたに拒否権は無いっ!!」

シンジ「はぁ…」

レイ「早く、始めて」プシュ

アスカ「おー、ファースト飲む気満々ね~!それじゃあ、乾杯!!」

レイ「乾杯」

シンジ「乾杯…」

コンッ

レイ「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク」

アスカ「!?」
シンジ「!?」

レイ「…っ、ケホッ 飲んだわ」カンッ

シンジ「……」

アスカ「え、いやちょっと…」

レイ「帰るわね」スッ

シンジ「だ、大丈夫なの綾波?そんな一気飲みして…」

レイ「別に。おやすみなさい」

スタスタスタ…

レイ「…!?」フラッ…

シンジ「綾波!」

アスカ「あはは!馬鹿ねぇ!一気に回ってるじゃないの!!」

レイ(な、なに…?コレ……)クラクラ

シンジ「大丈夫?と、とりあえず座って…」

レイ(なに…?頭がぐらぐらする……耳が熱い…)

シンジ「綾波、顔が赤く…」

アスカ「そういう飲み方は子供の飲み方なのよ~。いい?大人の飲み方ってのはこうやって少しずつ…」

レイ「ふぅー…」ドクンドクン

シンジ「だ、大丈夫?吐き気とかない?」

レイ「…大丈夫……」

シンジ「アスカ!水持ってきて、水!」

アスカ「な~によ、大袈裟ねぇ。ちょっとフラついたくらいで」

シンジ「いいから、早く!」

アスカ「はいはい」

バコッ

アスカ「え~と、ミネラルウォーターってあったかしら?」ガサガサ

シンジ「無いよ、確か。水道水でいいから、早く!」

レイ「…」

アスカ「わかった……って、あら?あるじゃないの」

シンジ「え?あった?…まぁ、あるならそれでいいから早く早くっ」

アスカ「まぁまぁ、そう急かすんじゃないわよ」トクトク

アスカ「はい、ファースト。水よ」

レイ「…ありがとう」ドクンドクン

シンジ「ゆっくり飲みなよ」

レイ「ええ…」コク…

レイ「ブフーーーーーッ!!」

シンジ「え!?」

アスカ「な、なに?」

レイ「ケホッ ケホッ…!水じゃ…ない……」

シンジ「え…?」クンクン

シンジ「これ…アルコールの匂いじゃないか!」

アスカ「えー?本当!?水だとばっかり思ったのに」

シンジ「いったい何を飲ませたんだよ……  ジン・トニック!?」

シンジ「アスカ!わざとやったろ!!」

アスカ「わ、わざとじゃないわよ!本当に水だと思ったんだから」

レイ「フー…フー……」ドクンドクン

シンジ「ビンにミネラルウォーターが入ってるわけないじゃないか!普通はペットボトルに入ってるんだよ!!」

アスカ「そんなの日本の常識でしょ!?こんな紛らわしい物置くミサトが悪いのよー!」

ギャーギャー

レイ(身体の内側から熱が来る…頭の中が……ぐちゃぐちゃ…)

レイ(でも…風邪とかの熱とは別物……ぽかぽか、温かい…それに……何か…)

レイ「…」プルプルプル

アスカ「って、言い争ってる場合じゃないわよ!」

シンジ「そ、そうだ!綾波、大丈夫?…プルプルしてるけど……」

アスカ「え、やだ、ちょっと…吐くの!?待って待って!!」

レイ「………」ピクピクピク

アスカ「な、なんで小刻みに震えてるの…?」

シンジ「綾波…?」

シンジがレイの顔を覗き込む

レイ「……」にこぉ~

シンジ「!」ドキッ

普段のレイからは想像出来ない、幸せに満ちたような笑顔だった

シンジ(か、かわいい…///)

アスカ「ど、どうしたのよ?ん?」ズイッ

レイ「…」にこぉ~

アスカ「えっ。……あんた、笑い堪えてんの?」

レイ「……笑ってる?私が?」

シンジ「う、うん。凄い…笑顔だよ」

レイ「…何故だかわからないけれど、新鮮な気分」

アスカ「それは楽しいって気分よ。ハイになった感じでしょ?」

レイ「…楽しい……これが…」

アスカ「その気分、もっと味わいたいでしょ?」ニヤリ

シンジ「えっ」

レイ「…ええ。味わって悪い物ではないと思う」

アスカ「よーし!シンジ、ビール!!」

シンジ「勘弁してよ…」

………


アスカ「…でさー、加持さんが言うのよ。『俺以上にいい男は他にも沢山いる。今のアスカは恋に恋をしてるだけだ』って!ヒック」カンッ

レイ「…そうなの。あなたの気持ちに気づいているのに、それはちょっと酷な言い方ね」グビグビ

シンジ(なんか仲良くなってるし…綾波も飲むペースが意外に早い……)チビチビ

アスカ「…ちょっと、シンジ」

シンジ「え。な、なに?」

アスカ「さっきからずーっと同じビール飲んでるんじゃない。そんなチビチビ飲んで何が美味しいのよ」

シンジ「いや、僕は元々飲むつもりなんか無いから…。アスカが無理矢理付き合わせるから仕方なく…」

アスカ「はぁ~?なにそれ、あたし達と一緒に飲むのがそんなに嫌なの!?」

レイ「…そうなの?」

シンジ「えっ…いや、だって…」

レイ「そういえば、碇君…さっきから黙ってばかり」

レイ「私達の話は退屈だった?」ジッ

シンジ「い、いやそんな事は…(そ、そんなに見つめて言われると…)」

レイ「…ごめんなさい。私、こんな気分初めてだから。碇君の事考えないで少し騒ぎすぎたかもしれない」

アスカ「あ~、ファーストが落ち込んじゃった~。シンジ最低ね~~」

シンジ「いや、綾波が悪いんじゃないんだよ!僕はただ…」

レイ「ただ、なに?」ジッ…

シンジ(そんな真剣な眼で見つめられると…飲むのが嫌だとは言えない……)

シンジ「その、二人が楽しそうに会話してるのを見てるのが楽しかったんだ、うん。邪魔したら悪いな~と思って…」

レイ「本当?」

シンジ「う、うん」

レイ「そう、良かった」ニコッ

シンジ(か、かわいい…)

アスカ「じゃー、次はシンジにスポットライトを当ててあげましょ」

レイ「そうね。碇君、何か話して」

シンジ「え…いきなりそんな事言われても、思いつかないよ」

アスカ「じゃあ、碇シンジに質問コーナー!」

シンジ「し、質問コーナー?」

レイ「はい」サッ

アスカ「はい、ファースト!」

レイ「碇君に好きな人はいますか?」

シンジ「!? な、なにを…」

アスカ「あはは!あんた意外にそういうの気になるのねぇ~!」

レイ「ちょっと前から、少しだけ気になってた」

アスカ「あたしもちょっと気になるわね~。…で、どうなの?」

シンジ「ど、どうなのって…いきなりそんな事聞かれても困るよ」

レイ「それは、いないっていう意味?」

シンジ「えっ、いや…」

レイ「…」シュン

シンジ「い、いるとかいないとかじゃなくて…プライベートな質問だからちょっと…」

アスカ「あっははは!な~にがプライベートよ?それじゃいるって言ってるようなモンじゃない!」

レイ「そう…いるの。それは、私達も知ってる人?」

シンジ「~~ッ、ひ、秘密だよ秘密!プライベートな事だから、この質問はなし!」

アスカ「思った通りつまんない答えね~。それじゃあ、ハイッ!」サッ

レイ「どうぞ」

シンジ(嫌な予感)

アスカ「あたしとファースト、恋人にするならどっちがいい?」

レイ「!」ドキッ

シンジ(やっぱり、そんなイジワルな質問してくると思った…)

アスカ「どちらも選べないって答えはナシよ?モチロン、プライベートが云々もナシ!」

レイ「…どっちを選ぶの?」ジッ

シンジ(だ、だから綾波…そんな真剣な眼で見ないでよ……)

アスカ「さぁ!答えなさい!!」

シンジ「うぅ…」

レイ「答えて」

シンジ(あああぁぁ~、もう!)

シンジ「」グイッ

レイ「!?」

アスカ「あ!」

ゴクゴクゴクゴクゴクゴクッ

シンジ「……ぷっふぅ…」

アスカ「こ、こいつ、お酒に逃げた!」

レイ「……大丈夫?」

シンジ「う、うん?だ、大丈夫だよ。少しクラクラするだけだから。あははは」クラクラ

シンジ「残念だけどね、その質問には答えられないよ。僕は二人とも同じくらい大事に思ってるから」

レイ「大事…に…」ドキドキ

アスカ「だからその答えはナシっつったでしょうが!」

シンジ「う~ん。どうしても答えろっていうなら、綾波かなぁ?」

アスカ「」

レイ「えっ」

レイ「わ、私…?」

シンジ「うん。アスカは全然家事手伝ってくれないし。言う事も聞いてくれないし」

アスカ「わ、悪かったわね!どうせあたしはガサツな女よ!」グビグビ

レイ(碇君は…私の事が好き…?)ドキドキ

シンジ「でも、アスカが嫌いってわけじゃないよ?好きだよ」

アスカ「えっ」ドキッ

シンジ「色々口喧嘩もするけど、とても大事な仲間だと思ってるよ。これからもよろしくね」ニッコリ

アスカ「な、なによ…気持ち悪い奴……」

レイ(碇君は…私が一番好き……?)ドキドキドキ

ガラッ

マリ「あー、いいお風呂だった~」

三人「!?」

レイ「あなたは…」

シンジ「マ…、マリさん?」

アスカ「あんた、いつから…って、なんでウチのお風呂勝手に使ってんのよ!」

マリ「にゃはは、まぁ細かい事は気にしない気にしない!」

マリ「それより、面白い事やってるねー。私も混ぜてよ~」

アスカ「とりあえず着替えなさいよ。下着でうろつかれちゃ困るわよ」

アスカ「ほら、あたしの服貸してあげるわよ」ポイッ

マリ「ありがとー!」

ゴソゴソ

シンジ(目のやり場に困る…)

マリ「う~ん、ちょっとシャツが小さいかな?胸がキッツイや」

アスカ「…悪かったわね。どうせあたしは小さいわよ」

マリ「怒らない怒らない!どう、ワンコ君。似合ってるかにゃ?」

レイ(…ワンコ君?)

シンジ「うん、とても似合ってるよ」

アスカ「…」ムッ

マリ「ありがと~!嬉しいなー、隣に座っちゃおうっと!」チョコン

シンジ「ち、近すぎるよ…」

マリ「いいじゃんいいじゃんっ♪」

レイ「…」ムッ

アスカ「ちょっとマリ、待ちなさいよ」

マリ「ん?」

アスカ「シンジはあたしの近くにいないと駄目よ」

マリ「えー?なんで?」

アスカ「そりゃあ、その…シンジはあたしにお酒を注ぐ役目があるからよ!」

シンジ「アスカは缶で飲んでるじゃないか」

アスカ「うるさいわね!とにかく、あんたはこっちに来なさい!」

レイ「…」ジリジリ

シンジ「…?(綾波が微妙にこっちに寄ってきてる…?)」

マリ「お酒ぐらい私が注いであげるって~!」

アスカ「~~」

レイ「…」ジリジリ

シンジ(やっぱり、寄ってきてる)

シンジ「…綾波?どうかした?」

レイ「えっ…あ…」ドキ

レイ「…その……」

アスカ「んん?ちょっとファースト!あんたもシンジに寄りすぎ!!!」

マリ「あれ?もしかしてアスカにゃん、ヤキモチ?」ニヤリ

アスカ「! だ、誰がっ!」

レイ「別に問題ないでしょう?私は碇君の隣にいたいから」

シンジ「えっ」ドキッ

アスカ「んなっ…!」

マリ「あはははは!レイちゃん正直だね~!!アスカにゃんも見習ったら?」

アスカ「う…うるさい!もう、いいわよ!!ふんだっ」

マリ「まぁまぁ、とにかく乾杯しようよ!」

レイ「そうね」

アスカ「はぁ…まぁ、そうね。んじゃ、乾杯しましょうか。シンジ、ビール追加ー」

シンジ「はいはい…」

バコッ

シンジ「……あれっ」

レイ「?」

アスカ「なによ、どうしたのよ」

シンジ「冷蔵庫のビール、もう無いよ」

マリ「えーー!嘘!!」

シンジ「いや、本当に」

アスカ「あらら、飲みすぎたかしら」

レイ「結構飲んだものね」

マリ「えーー、ショックー!」

シンジ「…と言われても、無いものは無いから……」

アスカ「シンジ、コンビニで買ってきてよ」

シンジ「僕、未成年だよ。買える訳ないじゃないか(マリさんには悪いけど、これでやっと解散出来る…)」

レイ「…そういえば、私がさっき飲んだアレ…まだ残ってるんじゃないかしら」

シンジ「」ギクッ

アスカ「ああ!!ジンなんちゃらね!あるある!!」

マリ「お酒なら何でもいいよー」

シンジ(忘れてたと思ってたのに…)

レイ「碇君、持ってきて」

シンジ「えっ…  あ、はい」トボトボ

アスカ「マリはお酒飲んだ事あるの?」

マリ「んー?無いよー。でも、飲めるんじゃないかな?」

レイ「私、さっき間違えて飲んでしまったけど、結構キツイお酒だと思う」

マリ「にゃはは!それなら少ない量で酔えるから楽しいんじゃなーい?」

アスカ「それもそうねー。まだまだ夜は長いわよ~。シンジ、早くー!」

シンジ「はいはい…」

トクトクトク…

シンジ「…はい」

アスカ「よーし、それじゃあ乾杯ね」

レイ「ええ」

シンジ「…やっぱり、僕も……?」

アスカ「あ、た、り、ま、え、!」

マリ「よーっし、それじゃぁ乾杯ー!」

アスカ「かんぱーいっ!」

レイ「乾杯」

シンジ「か、乾杯…」

ゴクゴクゴク…

アスカ「…むぅっ……さすがにビールより、なんというか重い感じね」

レイ「ええ、でも美味しい」

マリ「うーんっ、なんかドーンっとくるねぇ…」

シンジ(これってさっき、綾波が吐き出すくらいのキツイお酒なんだよね…?)

アスカ「え?ファースト、もしかしてお気に入り?」ゴクゴク

レイ「ええ。好きな味かも」ゴクゴク

シンジ(あの二人はなんか酒に強くなってるっぽいからそうでもないのかな…)

マリ「あはは、頭がちょっとクラクラしてきた」

シンジ(マリさんでアレなら…飲んでも大丈夫かな)

シンジ「はっ」

シンジ(いけない、いけない!飲むのが普通な考えになってた…!僕は元々飲む気なんてなかったのに)

シンジ「…」チラリ

アスカ「えーっ、司令と食事に!?」

レイ「ええ、たまにだけど」

マリ「あの人と食事ってお通夜みたいな感じがして嫌だな~。私なら5秒も持たないかも!あはは」

シンジ(女性陣で話も弾んでるし、飲んでるフリだけしてこの場を乗り切れば…)

ペンペン「クワッ」

シンジ「え?あ、ペンペン…」

マリ「ん?」

マリ「あれ、どうしたの?飲まないの?」

シンジ「の、飲んでるよ。少しづつだけど」

マリ「えー、嘘。全く減ってないよー?」

シンジ「酔ってるから、そう見えるんだよ」

マリ「…ふーん、そう。……飲みたくないんだね?」ニヤリ

シンジ「」ギクッ

マリ「そっちが飲みたくなくても、飲ませる方法はあるんだよ?」グビ

シンジ「?」

マリがシンジの顔を両手で押さえる

シンジ「え?」

マリがシンジに口移しで酒を飲ませる

マリ「んーーっ…んっ」

シンジ「!!!?」ゴクッ

アスカ「」
レイ「」

シンジ「う、わあぁ!?」

マリ「ははは!どう、お味は?」

アスカ「ななな、なにやってんのよマリ!?」

レイ「…」ムスッ

マリ「だって、ワンコ君飲まないんだもん」

シンジ「はぁ、はぁ」ドキドキドキ

マリ「あはは!ワンコ君のファーストキスいただき~」

アスカ「! あらぁ、残念でした!シンジのファーストキスはあたしが前に奪ってるから~!」

レイ「えっ」

シンジ(い、いきなり何をするんだよマリさんは……!落ち着いたと思ったのにまた、頭が…)クラクラ

マリ「ええっ!本当に!?」

アスカ「ええ、そうよ!ほんの数時間前にねー!ね?シンジ?」

シンジ「い、いやアレは…」

レイ「本当なの、碇君」ジッ

シンジ「えっ(な、なんか怒ってる?)」

レイ「それは自分の意思でしたの?」

シンジ「い…いやいやいや!アスカもマリさんも無理矢理されたんだよ!」

アスカ「む、無理矢理ですってー!?」

シンジ「だってそうじゃないか!いきなりしてくるなんて…!」

マリ「あれれ?じゃあ前もって言えばオッケーだったのかな?」

シンジ「いやだから、そういう事じゃなくて…!」

レイ「じゃあ、碇君の意思でキスしたんじゃないのね?」

シンジ「う、うん。まぁ」

レイ「良かった、碇君の意思でなければ、まだ碇君のファーストキスは生きてる」

マリ「ボールみたいな言い方しなくても…」

アスカ「でも、一番最初にしたのはあたしよ!だからあたしが一番っ!」

レイ「それはあなたが勝手に思い込んでるだけ。決めるのは碇君」

アスカ「ぬぁんですってぇー?」

レイ「碇君」ジッ

シンジ「?」

レイ「私と、キスして」

シンジ「!?」

マリ「おおー!本当にストレートだねレイちゃん!!!」

アスカ「はぁ?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

シンジ「あ、綾波…何を言ってるんだよ」

レイ「私じゃ、嫌?」

マリ「ニヤニヤ」

シンジ「マリさん、何笑って…」

レイ「私を見て、碇君」ジッ

シンジ「う…いや、その、綾波。酔いすぎだよ。ちょっと落ち着いて…」

レイ「落ち着いてるわ。私は碇君の初めての相手になりたいだけ」

シンジ(綾波…絶対に普通じゃない…!酔うとここまでになるなんて……!)

アスカ「まままま、待ちなさい!ストップ!!ジャストアモーメント!!!」

マリ「あっはっは、アスカにゃん必死だね~」ニヤニヤ

レイ「なに、邪魔しないで」

アスカ「駄目よ、駄目!あんたはシンジとキスしちゃ駄目なの!!」

レイ「どうして?あなたも、彼女(マリ)もしてるのに」

アスカ「とにかく駄目なの!」

レイ「意味がわからないわ」

マリ「あっはっは~、アスカにゃんはワンコ君が好きなんだね~」

シンジ(ま、また余計な事を…)

アスカ「な!?そ、そんなわけないじゃない!」

マリ「じゃあなんでレイちゃんがキスしようとするとそんなに必死になるのかにゃ~?」

アスカ「う…!だって、それは…」

レイ「大丈夫。碇君が好きな気持ちは私の方が上だと思うから」

シンジ(な、なんか恥ずかしくてたまらない…!)

アスカ「そんな事ないっ!あ、あたしの方が……ぅっ、…ぅ…ぇ…だと思う!」

マリ「ん?よく聞こえないなぁ。もう一回」

アスカ「うるさい!マリ!!」

アスカ「よし!じゃあこうしましょ!ジャンケンで勝った方がシンジにキスされるって事に!!」

レイ「いいわね。望む所よ」

シンジ「勝手に決めないでよ!」

マリ「あっはっは、頑張れ~!二人とも~」パチパチ

ジャンケンホイ!! アイコデショ!! ジャンケンホイ!!! アイコデショ!!!!

ジャンケンホイ!!! ジャンケンホイ!!!!  ホイ!!!!!!  ホイ!!!!!  ホイッ!!!!

シンジ「…」

マリ「ねぇねぇ、ワンコ君。…ズバリ、本命はどっちなの?」

シンジ「ほ、本命なんてそんな…」

マリ「いいじゃんいいじゃん。誰にも言わないから教えてよ~」

シンジ「ちょ、ちょっとトイレに…」スタスタスタ

マリ「あ、また逃げた~。男らしくないぞー!」

シンジ「ふう…」

シンジ「ほんと、今日は厄日だな…。今、何時だろ」パカッ

シンジ「…うわっ、もう日付変わってる……いい加減、寝ないと…」

シンジ「だけど、アスカ達もまだまだ飲めるって感じだなぁ…なんであんなに強いんだよ……」

シンジ「…」

シンジ(綾波が酔ったらどうなるかってのは興味あったけど、あんな風になるなんて…)

シンジ(……もし、綾波と二人きりで飲んでたら…)


ギンギン

シンジ「! ぅ、僕は何を考えて…」

ジャー ゴボゴボ…


カチャ

シンジ「ふう…」

マリ「あ、ワンコ君!早くおいでよー!」

シンジ「? どうし……うわっ!?」

トイレから戻ると何故かアスカとレイが半裸状態になっていた

アスカ「ホイッ!」パー

レイ「ッ」グー

アスカ「よし!あたしの勝ち!!さ、今度はスカートね?」

レイ「…仕方ないわね」スルスル

シンジ「なな、なにやってるんだよ二人とも!?」

マリ「いやいや、ヒートアップしていつの間にか野球拳になっちゃってさぁ」

シンジ「なっちゃってさぁ…って、止めてよ!」

マリ「まぁまぁ、いいじゃないの♪ワンコ君も目の保養になるでしょ~?」

シンジ「…た、確かに…ってそうじゃなくて!」

シンジ「アスカも綾波も、もう止めなよ。悪酔いしすぎだよ、本当に」

アスカ「む?邪魔するんじゃないわよ」

レイ「もう少しで決着がつくのに」

シンジ(二人共、目が虚ろだ…相当酔ってるな)

マリ「私も暑いから脱ごうっと」ヌギヌギ

シンジ「なんでマリさんまで脱ぐんだよっ!?」

アスカ「あああ!マリィ!!そうやってまたシンジを誘惑してぇ!!」

レイ「今度ばかりは我慢ならないわ」

マリ「えー、暑いから脱いだだけだよー」

シンジ(あぁぁ、もうどうしたらいいんだ)

レイ「身体では勝てないかも知れないけれど、碇君を想う気持ちなら私は誰にも負けない…」

アスカ「あ、あたしだってシンジの事が……ich hab dich lieb!!」

マリ「アスカにゃん、どうどう」

アスカ「ich bin kein pferd.!!!」

シンジ「と、とにかく!皆落ち着いて。とりあえず、座ろう。ね?」

レイ「……碇君がそう言うなら」

アスカ「フーッ、フーッ…。……そ、そうね、少し熱くなりすぎたかも」

マリ「所で、アスカにゃん。さっきの言葉の意味って何?」

アスカ「…う、うるさいわね。咄嗟に出た何気ない文句よ」

アスカ「ふう…、なんだかちょっと酔いが覚めちゃったわね。飲みなおしましょ」

レイ「そうね」

シンジ「いや、もう寝ようよ。日付変わってるんだよ」

アスカ「うるさいわねー。今日はもうとことん飲むのよ!!」

マリ「おーっ!」

シンジ「…」

アスカ「はい、シンジ!皆にお酒を注ぐ!」

シンジ「…わかったよ、こうなったら僕もヤケだ。最後まで付き合ってあげるよ」

マリ「お、ようやく降参?粘ったね~」

レイ「良かった、楽しく飲みましょう」

シンジ「うん…。でも、出来れば皆、服着て欲しいんだけど」

アスカ「ん~?暑いからこのままでいいわよ」

マリ「そうそう。この光景をよく目に焼き付けておくんだよ、ワンコ君。当分オカズに困らないでしょ~?」

レイ「オカズ…?碇君、下着でご飯を食べられるの?」

シンジ「そ、そんな変態じゃないよ僕は!!」

………


ガサガサ

マリ「あれ、もうお菓子なくなっちゃった」

アスカ「これで終わり?ファーストが買ってきたのは」

レイ「ええ。それで最後ね」

アスカ「シンジ、ウチにもなんかお菓子あったでしょ?出してよ」

シンジ「お菓子って言っても、ミサトさんのおつまみが殆どだけど」

アスカ「いいから、なんでもいいわよ。さっさと出す!」

シンジ「はいはい…」

シンジ「…こんなのしかなかったよ」ガサ

マリ「んー?スルメイカぁ?」

レイ「初めて見た…」

アスカ「ミサトもジジ臭いわねぇ。ま、これしかないならこれを食べましょ」

レイ「イカの…干物?」クンクン

アスカ「シンジ、ライターどっかにあったわよね。持ってきて」

シンジ「ライター?…あぁ、なるほど」

レイ「?」

アスカ「炙って食べると美味しいのよ」

マリ「ほぇ~」

…チリチリ

レイ「…いい匂い」

マリ「本当だ~。アスカにゃん、ちょっと食べさせて  ―あっ」

マリがテーブルから身を乗り出すと、胸に酒の入ったコップが引っかかり、倒してしまう

レイ「あっ」

シンジ「わぁっ!」

アスカ「あ~、もう。なにやってんのよ」

マリ「あはは…ごめんごめん。胸が引っかかっちゃった」

アスカ「でかいのも困り者ねぇ」ケッ

シンジ「今、お膳布巾持って来るよ」

アスカ「いいわよ、ティッシュで」フキフキ

シンジ「ちょ、ちょっと、勿体無い使い方しないでよ」

アスカ「うるさいわね~。こうやって無駄使いしないと世界の経済は回らないのよ」フキフキ

アスカ「はい、キレイに拭き取れましたっと」ポイポイッ

シンジ「あ゛ーっ!ちゃんとゴミ箱に投げてよ!」

アスカ「はいはい、後で後で」

シンジ「…ったく……」

マリ「いやぁ、でもお酒って楽しいね~」

レイ「ええ。こんなに楽しいものだとは思わなかった」

アスカ「またミサトが帰ってこない日はこうして集まって飲みたいわね~。今度はもっとお酒そろえてさ」

マリ「うんうん、いいね~」

シンジ「みんな、自分が未成年だって忘れてるだろ」

アスカ「いいじゃないの。こういうのも大事な思い出よ」

レイ「そうね。今日は、本当に楽しい気分を味わえた…」

マリ「結局、ワンコ君の想い人はわからず仕舞いかぁ~」

アスカ「あ!すっかり忘れてた!!」

レイ「…そうね、碇君。さっきの答え、聞かせて」

シンジ「ああぁもう、マリさん…!」

マリ「にゃはは!もう言っちゃった方が楽だよ~?」

アスカ「そうよ!いい加減に吐きなさいっ!!」ズイッ

レイ「この問題の答えを聞くまでは、終われないわ」ズイッ

シンジ「ち、近い…!もう、本当に勘弁してよ~……」





そんなこんなで夜も更けていき、酔いが頂点に達した4人は一人、また一人と眠りについていった…

―――そして朝


コツコツコツ…


ミサト「あ゛~、疲れた疲れた。本当に疲れた~~…」

マヤ「お疲れ様でした」

リツコ「久々の残業は堪えるわね。ここの所、平和だったから…」

ミサト「でも、頑張ったお陰で今日は私達全員お休み!今日は3人で朝まで飲むわよん!!」

マヤ「い、今から朝までですか…?」

リツコ「マヤ、覚悟を決めた方がいいわよ」

ミサト「うふふ、ビールが私の帰りを待っている~♪」

葛城宅前

ミサト「到着到着♪」

リツコ「シンジ君達はもうでたのかしらね?」

ミサト「とっくに登校時間過ぎてるしね~。ペンペンが私達の帰りを待って…ん?」

マヤ「どうかしたんですか?」

ミサト「…変ね、ドアのロックがかかってないわ」

リツコ「掛け忘れたんじゃないの?」

ミサト「とにかく入ってみましょうか」

マヤ「そうですね」

プシュー

ミサト「薄暗いわね。カーテン閉めたまま出て行ったのかしら………」

マヤ「…えっ」

リツコ「……あら?」


そこには衝撃的な光景が広がっていた


アスカ「zzz…」

レイ「スースー」

マリ「うーん…むにゃむにゃ…」

シンジ「クー…クー……」

全員が下着姿、テーブルに残っている大量のビール缶、部屋に散乱するティッシュ…

そして部屋中に充満するイカ臭…


大人達は理解した

マヤ「…不潔」

リツコ(血は争えないわね)

早朝の葛城宅に轟雷が落ちた瞬間であった

翌朝 ネルフ


スタスタ…

シンジ「はぁ、昨日は酷い目にあった…」

アスカ「起きたらいきなりミサトに怒鳴られたものね。何事かと思ったわよ」

マリ「使徒が来た時よりもおっかなかったね~。あはは」

シンジ(…でも、なんで僕達下着姿だったんだろ……誰も昨日の出来事を覚えてないんだよな…)

アスカ(まさか…あたしはシンジに…)モンモン

シンジ「…ん?どうしたのアスカ」

アスカ「な、なんでもないわよ。……もし、なんかあったら責任とんなさいよ!」

シンジ「せ、責任?」

マリ「あれ?そういえばレイちゃんは見ないね」

アスカ「司令に用があるとか言ってたわね」

シンジ(父さんに…?)

ゲンドウ「レイ、今日は食事に行く日だ」

レイ「はい」

ゲンドウ「…食べたいものはあるか?」

レイ「…」

ゲンドウ(…。聞くだけ野暮だったか)

レイ「…場所は、何処でも…?」

ゲンドウ「? ああ、お前の希望する所があるのならそこでもいい」

レイ「…」

レイ「じゃあ…」

レイ「居酒屋で」

ゲンドウ「!?」



~おわり~

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