トランクス「父さん、ひとつお願いがあるんですが…」(94)

トランクス「それでは、皆さん。本当にありがとうございました」

クリリン「向こうに行っても、元気でな」

悟飯「人造人間との戦い、気をつけてください」

トランクス「はい、悟飯さん」

ヤムチャ「油断して、ヘマするなよ?」

天津飯「ふ、お前に心配されてもな…」

ブルマ「大丈夫でしょ。あのセルを圧倒してた事もあったんだし」

ブルマ「なにより、ベジータも付いてるんだからね」

トランクス「…はい!」

ベジータ「…ふん」

精神と時の部屋


トランクス「はっ!!」ビシシッ

ベジータ「ふん!」ガシッ

ベジータ「…中々やるようになったな」

トランクス「ありがとうございます」

ベジータ「少し休むか」

トランクス「はい」

……

ベジータ「お前もだいぶ力をつけたな」

トランクス「はい、父さんの指導のお陰です」

ベジータ「俺は何もしてはいない。お前を鍛えたのは、未来の悟飯だろう」

ベジータ「…奴の教えがあったから、今のお前があるんだろう」

トランクス「…はい、そうですね」

ベジータ「…」

トランクス「…」

ベジータ「お前が来た、未来の地球はどんな感じなんだ?」

トランクス「…。人造人間達の手によって、荒れ果てています」

トランクス「人口も、この地球の半分以下だと思います」

ベジータ「…そうか」

トランクス「…」

ベジータ「この神殿も、奴等に破壊されているのか?」

トランクス「目立つ場所ですからね。俺は直接見に行ってはいないんですが、悟飯さんの話では殆ど破壊されていたようです」

ベジータ「この精神と時の部屋の事をもっと前に知っていれば、悟飯の奴も死なずに済んだのかもしれんな」

トランクス「……そうですね」

ベジータ「しかし、そんな世界でよく赤ん坊のお前とブルマが生き残れたものだ」

トランクス「…」

トランクス「父さんと、悟飯さんが守ってくれたんですよ」

ベジータ「…!……ふん、そうか…」

トランクス「父さんも、悟飯さんもいなくなってしまった後も、母さんは決して泣き言を言いませんでした」

ベジータ「…」

トランクス「そんな母さんがいてくれたから、俺も希望を捨てずに戦ってこれたんだと思います」

ベジータ「そうか…」

トランクス「……」

ベジータ「…」

トランクス「…あの……父さん、ひとつお願いがあるんですが……」

ベジータ「ん?」

トランクス「……」

ベジータ「なんだ?」

トランクス「…いや、やっぱり……いいです」

ベジータ「?」

ベジータ「なんだ、言ってみろ。聞くだけ聞いてやる」

トランクス「……っ」

ベジータ「イライラする奴だ。さっさと言いやがれ!」

トランクス「…」

トランクス「…もし、無事にセルを倒して、この世界が平和になったら……」

トランクス「俺と一緒に未来へ行って、母さんに会ってもらえませんか…?」

ベジータ「…な、なんだと……!?」

~セルゲーム後~


トランクス「…父さん、あの時の話……覚えていますか?」

ベジータ「…ああ」

トランクス「…どうですか?嫌だったら、別にいいんですが……」

ベジータ「嫌ではない。だが、ブルマに許可を貰わんとな…」

トランクス「そうですよね。……母さんはなんというでしょうか」

ベジータ「…まぁ、話すだけ話してみるとしよう」

トランクス「…はい」

ブルマ「え?いいわよ、モチロン!」

ベジータ「!」

トランクス「い…いいんですか?」

ブルマ「良いに決まってるわよ。親孝行ねぇ、トランクスは!さすが、あたしの息子だわ!!」

赤ちゃんトランクス「だぁだぁ」

ベジータ「意外だな。断るかと思っていたぜ」

ブルマ「他の女に会いにいくなら絶対に許さないけど、自分の事だしね」

ブルマ「向こうのあたしも、すっごく喜ぶてしょ!」

トランクス「ありがとうございます、母さん…!」

~そして、現在~


ブルマ「それじゃあ、元気でね、トランクス。未来のあたしにも、よろしく言っておいて!!」

トランクス「はい、お世話になりました」

ブルマ「…いってらっしゃい、ベジータ」

ベジータ「…。ああ」

クリリン「弱いとはいえ、人造人間相手に油断するなよ!ベジータ!」

悟飯「気をつけてくださいね!」

ベジータ「ふん…」

トランクス「大丈夫です。帰ってくる時間は出発から1分後に設定しますから、皆さんには一瞬の出来事です」

トランクス「…では、父さん。乗ってください」

ベジータ「わかった」スゥ…

ベジータ「…狭いな」

トランクス「本来は一人乗りですからね。…では、出発します」ピッピッピッ…

ゴゴゴゴゴゴ…!

ヤムチャ「お、浮いたぞ…」

クリリン「もうお別れか…長いようで短い出来事だったな」

悟飯「さようなら、トランクスさーん!」

ヤムチャ「はは、1分後にまた会えるけどな」

ブルマ「いってらっしゃい、トランクス、ベジータ!しっかりやるのよー!」フリフリ

トランクス「父さん、母さんが手を振っていますよ」

ベジータ「いい。どうせ、直ぐに帰ってくるんだからな」

トランクス「はは、そうですね。では、行きましょう」


ゴゴゴゴ…!



まさか、これがこの現代世界との永遠の別れになるとは、ベジータもトランクスも、予想していなかったのである…


フッ


クリリン「…行っちまったな」

悟飯「…はい……」

ブルマ「…ふふっ」

ゴオォォ

ベジータ「気味の悪い空間だな」

トランクス「俺はもう慣れました。もうちょっとの辛抱です」

ベジータ(未来の世界への旅か…)

ベジータ(まさか、俺がそんな体験をする事になるとはな…)

グォングォン

トランクス「父さん、到着しますよ。俺が育った、未来です」

ベジータ「…!」


グオオォォ…

~未来の地球~

ゴォォォ… ズンッ

プシュー

ベジータ「……ここが、未来…」

トランクス「はい。目の前の廃墟が、カプセルコーポレーションです」

ベジータ「……」

ベジータ「ひどい有り様だな」

トランクス「ええ…。ここが、俺と母さんと、悟飯さんの隠れ家だったんです」

タッタッタッタッ…

「トランクス!?」

トランクス「あ…」

ベジータ「!」

ブルマ「良かった、無事に戻ってき……」

トランクス「ただいま、母さん」

ベジータ「…」

ブルマ「え……」

ベジータ(ブルマ……随分と老けているな…。こんな世界で、トランクスを守り、生きてきたのか…)

ブルマ「ベジータ…?」

ベジータ「…ああ」

トランクス「母さん、実は…」

タッタッタッ… ガシッ

ベジータ「っ!?」

ブルマ「…」フルフル

ベジータ「ブ、ブルマ…?」

ベジータ(泣いている…のか……)ギュ

ブルマ「う……うぅ…」

トランクス「……」

………


ブルマ「まさか、こっちに連れてくるなんて……心臓が止まるかと思ったわ」

トランクス「すみません、母さん」

ベジータ「ふん。どうしても…と頼まれたからな」

ブルマ「…ふふ。ありがとう、ベジータ……」

ブルマ「本当に、また会えて嬉しい…」

ブルマ「…ところで、トランクス。あんた少し背が伸びた?」

トランクス「はい、実は…」

ブルマ「そっか……結局、孫くんは死んじゃったのね」

ベジータ「…ああ。俺と奴との決着はあの世に持ち越されたようだな」

トランクス「でも、向こうにはドラゴンボールがありますからね。悟空さんが望むのなら、いつでも…」

…ザー ザザ…

ブルマ「!」

ベジータ「…?」

ラジオ「人造人間の発見情報です……ザザ…場所は…」

ベジータ「…ほう、出やがったか」

トランクス「…今度こそ必ず…!!」

ベジータ「行くぞ、トランクス」

トランクス「はい、父さん!」

ブルマ「気を付けてね、二人とも…!」




17号「ほらほら、命が惜しいならもうちょっと本気で抵抗してみせろよ」

サタン「ぬ…ぬうぅ…!」

18号「あんた、確か昔の格闘チャンピオンかなんかだっただろ?顔に見覚えがあるよ」

ビーデル「パ、パパ…!」

サタン「た、頼む…!俺はどうなってもいい…!だが、娘の命だけは……!」

17号「つまらないな。お前も他のやつらと同じ事を言うのか」

18号「片方だけ生き残っても辛いだけだろ?親子仲良く消してあげるよ」

キィィン…

ビーデル「!」

サタン「くっ…す、すまん…ビーデル」


トランクス「やめろーーっ!!!」

18号「!」

17号「…おやおや、救世主様のお出ましか」

スタッ

トランクス「やめろ!お前達の相手は俺だ!」

17号「久しぶりだな、トランクス」

18号「本当にしつこい男だね」

スタッ

ベジータ「おい、そこのジジイども。死にたくなければさっさと逃げろ」

17号「!!」

18号「え…?」

サタン「! に、逃げるぞビーデル!!」

ビーデル「う、うん!」

タッタッタッ…

17号「お前はベジータ…!?馬鹿な、あの時お前は18号に殺されたはず…」

ベジータ(未来の俺もあの女の人造人間に負けたのか…。まったく、情けない話だ)

18号「あの状態で生きてたなんてね。親子揃ってしぶとい奴等だよ」

17号「だが、死の淵から蘇ったサイヤ人は大幅にパワーアップするらしいからな。前よりは楽しませてくれそうだ」

ベジータ「…勘違いするなよ、人形ども。俺は貴様達と闘いに来たわけじゃない」

17号「なんだと?」

ベジータ「俺はこの闘いの見届け人だ。お前達の相手はトランクスだ」

18号「…はあ?」

トランクス「はあっ!」ボウッ

シュイン…シュイン……

17号「やる気満々だな。しかし、トランクスと俺達の力の差は歴然だ」

18号「あんた、自分の子供を見殺しにするのかい?」

ベジータ「忠告しといてやる。最初から全力で戦うんだな…」

ベジータ「もちろん、二人がかりでだ」

17号「…なめられたもんだな。お前だって、俺達の力をイヤと言う程味わったはずだが」

18号「17号、トランクスの奴はもう殺してもいいだろ?弱いくせにしつこいから、もうウンザリだよ」

トランクス「…」

17号「そうだな。俺ももう、こいつの相手は飽きてきたところだ」

17号「俺達の新しい遊び相手はベジータに変わってもらおう。トランクスは殺してもかまわない」

18号「…」ニッ…

18号「そういう事だ。消えな、トランクス」ビッ

トランクス「!」

バチィッ

18号「!?」

シャッ

トランクス「消えろ!」

18号「なに…」

スドオオウッ!!

バラバラ…

17号「!!な、なんだと…!?」

17号「18号が、こんな簡単に…」

ベジータ「だから言ったんだ。はなから全力で、二人で戦えとな」

17号「! くっ…」サッ

ベジータ「? なにを構えてやがる。お前の相手はトランクスだと言っただろう」

17号「!」

トランクス「今のは殺されたみんなの恨み……」

トランクス「そしてこれは、悟飯さんの仇だ!!」

ドゴッ

17号「がっ…!?」

トランクス「バーニング・アタック!!!」キィィン

ドオオオウッッ

バラバラ…


ベジータ「…ふん、呆気ないものだ」

ベジータ「…だが、やったな。トランクス」

トランクス「…はい。やりました…遂に……」

トランクス「しかし、もうひとつ片付けなければならない事があります」

ベジータ「なんだ?」

トランクス「この世界にもセルはいるはずです」

ベジータ「そうか。セルが残っていやがったな」

トランクス「恐らく、奴はまだ目覚めていないはず。ゲロの隠れ家の位置は覚えていますから、このままセルを破壊しにいきましょう」

ベジータ「…セルか……奴は今度こそ俺の手でぶっ殺してやりたかったが…」

トランクス「…父さん、俺はもうあんな事は御免ですよ」

ベジータ「…ふん、冗談だ。さっさと片付けにいくぞ」

トランクス「はい!」

セル「その必要はない」

トランクス「セ、セル!お前は研究室で眠って居るハズ…」

ベジータ「理由は知らんが、とっとと片づけるぞ!」

トランクス「はい!」

研究所前


トランクス「父さん、ここです!」

ベジータ「扉が開いているな。内側から破壊されているようだが」

トランクス「恐らく人造人間が出る時に破壊されたんでしょう」

トランクス「父さん、中に入ったら用心してください。過去の研究所で見たセルは胎児のようでしたが、こちらではかなり大きくなっているはずです」

ベジータ「ああ、もし襲いかかってくるなら跡形もなく消し飛ばしてやる」

トランクス「では、いきましょう」

タッタッタッ…



ベジータ「随分、ほこりだらけの部屋だな」

トランクス「人造人間が現れてから何年も経っていますからね…」

トランクス「ん?……これは…」

ベジータ「なんだ?」

トランクス「父さん、この人造人間の入っているケース……」

ベジータ「! こいつは確か、16号か?」

トランクス「そうです。まさか、そのままだったとは…」

ベジータ「どうする?このままぶっ壊しておくか?」

トランクス「いえ、待ってください。確か16号には完全体のセルを吹き飛ばせたかもしれない、爆弾が内蔵されているはずです」

トランクス「ここで破壊しては、その爆弾の爆発に俺達が巻き込まれてしまうかもしれません」

ベジータ「なら、放っておくか?」

トランクス「…。16号は他の人造人間と比べて、人間に協力的でした。過去では俺達の力にもなってくれましたし…」

トランクス「もしかしたら、この世界の復興の力になってくれるのかも…」

ベジータ「どうだろうな。俺達の知る16号とは違うかもしれんぞ」

トランクス「はい。…ですが、このまま放っておくには勿体ない気がします」

トランクス「一応、カプセルコーポレーションに運ぼうと思います。まずは、強力な爆弾を取り除かなくては…」

ベジータ「まぁいい、勝手にしろ。敵に回るようなら壊してしまえばいい」

ベジータ「それより、セルは何処にいるんだ?」

トランクス「こっちです。この地下室にいるはずです」

地下室


トランクス「な…!?」

ベジータ「…どうした?」

トランクス「セ、セルの入っていたカプセルが……壊されている…!」

ベジータ「なにっ!?では、セルは既に…!」

トランクス「…!周辺に気は感じられない…!!」

ベジータ「あいつの気は目立つからな…。という事は、かなり前に逃げたという事か……」

トランクス「…」

トランクス「いえ、その逆のようです。見てください、カプセルの周りの床が濡れている…」

ベジータ「まだ新しいな…。では、奴とすれ違ってしまったのか?」

トランクス「…そうかもしれません」

ベジータ「ならば、この森一帯を吹き飛ばしてやるか」

トランクス「いえ、この森にも隠れ住んでいる人達がいるはずです。無理な破壊は止めましょう」

ベジータ「ちっ…。そういえば、ドラゴンボールはもう存在しないんだったな…」

トランクス「とりあえず、母さんの所へ戻りましょう」

ベジータ「…そうだな」

ベジータ(なんだか、嫌な予感がするぜ…)

その頃、セルはカプセルコーポレーションへと向かっていた…

過去からベジータがやってきた事や、ベジータやトランクスが一時期セルを上回る力を持っていた事、完全体となったセルすら敗れた事…

その情報を陰で得ていたスパイロボットがコンピューターへ情報を送り、この世界のセルに危機が及ぶ事を考え、完全な成体となる前にセルを目覚めさせたのである


セル(もうすぐでカプセルコーポレーションに着く…)

セル(コンピューターは私にトランクスが乗ってきたタイムマシンを奪えと言ってきた…)

セル(ベジータがやってきた世界の私は倒されたようだが、まだ17号と18号は存在しているらしい)

セル(私がタイムマシンを奪えば、ベジータはこの世界に閉じ込められる。さらに、私が倒された過去の世界では、孫悟空も既に死んでいる……)

セル(残る要注意人物は孫悟飯だけという事だ)

セル(いくら孫悟飯が強くとも、所詮は子供……倒す方法はいくらでもある)

セル(過去へ行ったら、確実に力をつけねばならない。まずは体を成体になるまで待ち、その後地球人共を吸収…)

セル(さらに孫悟飯以外の仲間を吸収し、最後に17号と18号を捕らえ究極の完全体として孫悟飯に戦いを挑む…)

セル(私の仇は私自身が討つというわけだ…ククク……)

カプセルコーポレーション


ザッ

セル(さて、モタモタとしてはいられんな。トランクス達の気がこちらに向かってきている)

セル(タイムマシンは……あれか!)

シャッ

セル(ハッチを開けるのは、このボタンか?)ポチッ

プシューッ

セル(よしよし、当たりのようだ)

ブルマの声「誰?トランクス、戻ってきてるの?」

セル(! まだブルマがいたのか。早いところ乗ってしまおう)

ササッ

プシューッ パタン…

セル「さて……どれが発進ボタンだ?」

セル「これは恐らく、行き先の年代や時間……」

セル「ん?…ククク、ご丁寧に発進と書いてあるではないか」

セル「マヌケめ。他人に悪用されたらどうするつもりだったのやら」

セル「しかし、これで私は過去へと旅立てる訳だ…礼を言うぞ、トランクス」

ポチッ

ビーッ! ビーッ!!

セル「なに?警報だと…!?」

タッタッタッ…

ブルマ「誰なの!?タイムマシンに乗ってるのは!?」

セル「ちっ、マズイ…!早く発進しろ!!」ポチッ ポチッ

グオオオォォ…!

ブルマ「あ…!ヤ、ヤバイ…」サッ

セル「よし、始まったようだな…!」

セル「待っていろよ、孫悟飯…!お前に会えるのがとても楽しみだ!!!」

ゴゴゴゴゴ…!

ピカッ

セル「!?」

ドガアアアァァンッッッ!!!!!

プスプス…

セル「…!」

セル(な…んだと……まさか…自爆する…とは……)

セル(ダ、ダメージが大きすぎる……さ、再生…再生をしなければ…)

グヂュグヂュ

セル(グ……成体ではないからか…再生の速度が遅すぎる…この…ままでは……)

ブルマ「ふんっ!!」ブンッ

ドゴッ

セル「ごはっ!」

ブルマ「この、化け物!この!こいつめ!!」ドゴッ ボグッ グチャッ

セル「がっ!うぐっ!!ぶるぁ!」

セル(そ…そんな……、私が…こんな女に…)

トランクス「今の爆音は…!?」

ベジータ「見ろ!カプセルコーポレーションから煙が……!」

トランクス「母さん…!!」ボウッ

ギャンッッ

ベジータ「お、おい、トランクス!待て!!」

ギャンッッ

ベジータ(まさかセルの野郎がブルマを…!?嫌な予感はこれか…?)

ブルマ「はぁ、はぁ…」

タッタッタッ…

トランクス「母さん!大丈夫ですか!?」

ブルマ「ト、トランクス…!へ、変な化け物が…!」

トランクス「!?」

セル「」ピクッピクッ

トランクス「な、なんだこれは…?まさか、これがセル…!?」

ベジータ「ブルマ、下がれ!」ビッ

ドオンッ!

バラバラ…

ベジータ「…大丈夫か?」

ブルマ「あ、ありがとう、ベジータ…」

ブルマ「で、でもタイムマシンが…!」

トランクス「え…!」

ベジータ「なに…?ま、まさか!この残骸は……!」

トランクス「なぜ、こんな事に…!?」

ブルマ「多分、あの化け物がタイムマシンを奪おうとしたのよ。でも、タイムマシンにはセキュリティがかけてあったから…」

ベジータ「セキュリティだと?」

ブルマ「セキュリティを解除しないで無理に発進させようとすると、警報が鳴るんだけど、それも無視して発進ボタンを押すと自爆するようにプログラムされているのよ」

ベジータ「な、なんだとぉ…!!」

トランクス「悪人に利用されては、大変ですから……。現に、過去の世界にセルが現れ、最悪な状況になりましたし…」

ベジータ「では、俺は元の世界に戻れないという事なのか!?」

ブルマ「もう一度タイムマシンを造るにも材料が足りないし、なにより完成させるまでかなりの時間がかかるのよ…」

ブルマ「…それに、破壊されたタイムマシンに記録されてた『帰り道』のデータがなくなってしまったから、ベジータのいた世界に戻れる可能性もかなり低いわ…」

ベジータ「…ぐ……!」

トランクス「まさか、こんな事になってしまうなんて…!」

ベジータ「く…!」

ベジータ「くそったれえええぇぇぇ!!!」


翌日…


バチバチバチッ

ブルマ「…」

16号「…退屈だな」

ブルマ「仕方ないでしょ。簡単に取り外せる物じゃないんだから」

トランクス「母さん、爆弾の方はどうですか?」

ブルマ「結構複雑な埋め込まれ方してるから、まだ時間かかりそうね」

ブルマ「…ベジータはどう?」

トランクス「起きるなり、外へトレーニングに出ていきました」

ブルマ「トレーニング?昨日あんな事があったから、落ち込んでいると思ってたけど…」

ベジータ「ふっ!はっ!!」

シャッ バババッ

ベジータ「…」

ベジータ(頭に来るぜ…)

ベジータ(ブルマやトランクスにではない、セルの野郎と思慮の浅かった自分にだ…!)

ベジータ(タイムマシンはない、ドラゴンボールも存在しない。俺が元の世界に帰れないのはもう変えられようのない事実だ)

ベジータ(向こうの世界は勿論、心配だが…こうなってしまった以上、深く悩んでも仕方がない)

ベジータ(俺は…もうこの世界で生きていく他ないのだからな……!)

その頃、地球にはバビディの宇宙船が近づきつつあった…


バビディ「ふっふっふ…」

ダーブラ「ご機嫌ですな、バビディ様」

バビディ「当たり前だよ。さっき攻めた星で魔人ブウのエネルギーが大きく溜まったからね…」

バビディ「あとちょっとで僕の念願の夢が叶うんだから、楽しみで仕方ないよ」

ダーブラ「次はどの星を攻めましょうか」

バビディ「うーん、どれにしようかなぁ」

バビディ「あの青い星はどうだい?」

ピピ…

ダーブラ「生き物の数は今までの星より極端に少ないようですな…」

ダーブラ「…ん?これは……」

バビディ「どうした?」

ダーブラ「この星の生物達と明らかに次元の違うエネルギーの持ち主が二名ほどいるようです」

バビディ「へぇー、この星を支配してる奴かな?」

ダーブラ「これだけの大きなエネルギーならば、魔人ブウを目覚めさせる事も可能ではないでしょうか」

バビディ「そうだね。早く魔人ブウの姿が見たいし、この星を攻めるとしようか!」

ダーブラ「かしこまりました。おい、地球へ向かうんだ」

プイプイ「了解です!」


ゴゴゴ…… 




ベジータ「…」ピクッ

ベジータ「…?なんだ、空からなにかが近づいてくる……?」

ブウは地球に封じられてたはずだが、そこは設定を変えたのかしら

>>67
そういえばそうだったな。忘れてた…
まぁパラレルってことで

スタッ

トランクス「父さん…!」

ベジータ「トランクス。お前も感じたか?」

トランクス「はい、何か邪悪な気を…」


ゴゴゴゴゴ

ベジータ「! あれか…」

トランクス「あれは宇宙船…?」

ベジータ「…行ってみるか」

トランクス「はい…!」


バビディ「ふーん、結構荒れ果ててる星みたいだね」

ダーブラ「ふむ。破壊活動が頻繁に行われていたようですな」

バビディ「まぁそんな事はどうでもいいや。それより、大きなエネルギー反応はどこにいる?」

プイプイ「どうやら、こちらに向かってきているようです」

バビディ「そうか。探す手間が省けたよ」

ダーブラ「奴等の相手は私にお任せください、バビディ様」

バビディ「ああ、頼んだよ。でもエネルギーを奪うのが目的なんだから、殺したりはしないように」

ダーブラ「はっ」

トランクス「父さん、あれです!あの宇宙船です!」

ベジータ「誰かが出てきているようだな」


ダーブラ「…ふふ、来たか」


ザッ ザッ

ベジータ「…」

トランクス(宇宙人…か)

ダーブラ「…ほう」

ダーブラ「向かい合っただけでもかなりの迫力を感じるな。どうやら、相当な腕の持ち主のようだ」

ベジータ「貴様は誰だ?」

ダーブラ「私はバビディ様の忠実な僕、ダーブラだ。魔人ブウ復活の為、貴様たちのエネルギーをいただくぞ」

トランクス「バビディ…?魔人ブウ?」

ベジータ「よくわからんが、こちらに仕掛けてくるつもりなら、貴様を殺すぞ」

ダーブラ「…ふっふっふ、このダーブラ様にそんな口をきける奴がいたとはな…」

ダーブラ「まずはその鼻っ柱をへし折ってやろう…!はあぁっ!!!」ドウッッ

ベジータ「…!!?」

トランクス「こ、この気は…!!」

ベジータ(なんという巨大な気だ…!あのセルと同等か…!?)

ベジータ「ちいっ!」ボウッ

トランクス「はっ!!」ボウッ

ダーブラ「なに…変身しただと…?」

ベジータ「油断するなよ!トランクス!」

トランクス「はいっ!!」

ババッ

ダーブラ「ほう、速いな…!」

ダーブラ「どれ……どの程度の強さか、少し遊ばせてもらうとするか…!」

バババババッ


ガシッ  ドカッ

バッ

ベジータ「…!」

ダーブラ「ふはは、なかなかやるではないか。この私にかすり傷を負わせるとは…」

トランクス(俺と父さんは全力で戦っているのに…!この程度のダメージしか与えられないとは……)

ベジータ(それに奴はまだ、本気で戦ってもいない…!!セルの野郎以外に、こんな奴がいたとは…!)

ダーブラ「もう少し遊んでやってもいいいのだが、あまりモタモタしていてはバビディ様のお叱りを受ける…」

ダーブラ「そろそろ、仕事をこなすとしよう」スッ

ベジータ「…?」

トランクス「あの道具は…?」

ダーブラ(どうやら、あの若い男の方がエネルギーの質は良いようだな…)

ダーブラ(ならば、標的は奴だ)

ダーブラ「」シャッ

トランクス「消えた…!」

ダーブラ「ふはははは!」シャッ

トランクス(! 後か!甘い…)ブンッ

ベジータ「馬鹿野郎!そいつは残像だ!!」

フッ…
トランクス「な、なに…!」

ダーブラ「その通りだ!いい目をしている!!」

ダーブラ「そしていただくぞ!貴様の強力なエネルギーを!!」

ドスッ!

トランクス「ぐあっ!?」

ベジータ「ト、トランクス!!」

ズキュンズキュン…

トランクス(ち、力が抜ける…!)フッ…

ダーブラ「ふはははは…!やはり、素晴らしいエネルギーだ!!」

ズボッ

ダーブラ「遂に、バビディ様の念願…魔人ブウが復活する!」

ベジータ「ビッグバン…!」シュウゥゥ…

ダーブラ「む…!」

ベジータ「アタッ…!」

『パッパラパ~!!』

モワモワ…

ベジータ「!?…な、なに!??」

ベジータ「なんだこの黒い霧は…!?な、なにも見えんっ!!」

『よくやったよ、ダーブラ。宇宙船に戻ってくるんだ』

ダーブラ「はっ、かしこまりました」

ベジータ「ま、待ちやがれ!!」

ダーブラ「…ふっ。魔界の王にも情けはある」

ダーブラ「魔人ブウは1日もせずに動き出す…貴様らはその残された時間を悔いなく過ごすんだな…」

ベジータ「…!」

ダーブラ「ふはははは!さらばだ!!」

シュウゥゥ…


魔法の霧が晴れた後、ダーブラとバビディの宇宙船は既にベジータの前から姿を消していた…


ベジータ「くそったれ…!何者なんだ……奴等は…」

トランクス「うぅ…!」

ベジータ「! トランクス、無事か!?」

トランクス「は…はい。大丈夫です…」

ベジータ(トランクスの気が大きく減っている…あの妙な道具で奪ったというのか?)

トランクス「…一体、奴等は…?」

ベジータ「わからん。とりあえず、ブルマの所へ戻るぞ」

トランクス「は、はい…」

スタッ

ベジータ「着いたぞ、トランクス」

トランクス「す、すみません。父さん…」

ブルマ「トランクス! 大丈夫なの!?」

トランクス「か、母さん……大丈夫です…」

16号「一体なにがあった?」

ベジータ「16号…動けるようになったのか……」

ブルマ「ベジータ、どうしたの!?」

ベジータ「…」

ベジータ「説明する前に、ここから離れるぞ」

ブルマ「え?」

16号「離れる…?何処へ行くつもりだ」

ベジータ「上だ」

トランクス「う…上?」

ブルマ「上って…?…あ、もしかして…」

ベジータ「そうだ。とにかく、神殿に避難するぞ」

ベジータ「簡潔に言うが、たった今、かつて戦ったセルと同じくらいの強い化け物と会ってきた」

ブルマ「え…!?」

ベジータ「奴らは魔人ブウとかいうよくわからん奴を復活させる事が目的らしい。奴等は妙な道具でトランクスの気を奪い、姿を消した」

16号「魔人ブウ……俺のデータにはない名前だな」

ベジータ「セルクラスの化け物が現れたとわかった以上、地上にいるのは危険だ。だから神殿へ避難する…わかったな?」

ベジータ「16号、お前はブルマを運べ。俺はトランクスを運ぶ」

16号「わかった」

トランクス「ま、待ってください…!他の人達にもこの事を報せなければ……!」

ベジータ「そんな時間はない。それに、俺達以外にこの話を聞いて信じる奴がいると思うか?」

16号「確かに、その可能性は限りなく低そうだ」

トランクス「でも、ようやく人造人間を倒したのに……これ以上、地球に人が少なくなっては……」

「…では、地球人の避難の方は私に任せてもらいましょう」

ベジータ「!?」

ブルマ「だ、誰?」

キビト神「失礼、驚かせてしまったようですね」

16号「なんだこいつは…いきなり現れたぞ…」

ベジータ「奴の仲間か!」ボウッ

キビト神「ま、待ってください!私は敵ではありません!」

キビト神「私の名前は界王神。魔術師バビディを追っている者です」

キビト神「私はあなた達の味方です」

トランクス「界王…神?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年08月01日 (火) 15:26:06   ID: WGwOPkSe

完結タグ間違えてないか

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