のび太「ドラえもん!ゾイドを出してよ!!」 (43)


~空き地~

スネ夫「僕のパパがアイアンコングPKを買ったんだ」

ジャイアン「アイアンコングPKだって!?」

のび太「PKってサッカーの……」

しずか「のび太さん、PKはプロイツェンナイツのことよ」

しずか「アイアンコングPKは、プロイツェン様の親衛隊専用機なの」

しずか「素敵だわプロイツェン様~~~」

のび太(しずかちゃんプロイツェンのファンだったんだ)

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ジャイアン「すげーなスネ夫、親衛隊専用機だなんて」

スネ夫「僕のパパがプロイツェンと知り合いでね。特別に売ってもらったんだ」

しずか「すごいわスネ夫さん」

スネ夫「今度パパに頼んでプロイツェンに会わせてあげるよ」

しずか「ありがとうスネ夫さん!プロイツェン様に会えるなんて最高よ」

のび太(自慢ばっかり。スネ夫のヤツめ~~~)

※世界観解説 

この世界では競技的なゾイドバトルが行われている。
プロイツェンはアイドル的なファイターで人畜無害なのだ。


スネ夫「今からアイアンコングPKに乗るんだけど、みんなも来ない?」

ジャイアン「いいのかよスネ夫!!お前は心の友だぜ」

しずか「私も行くわ」

のび太「ぼ、ぼくも……」

スネ夫「悪いなのび太、アイアンコングPKは三人乗りなんだ」

のび太「う、うわーーーん!!ド・ラ・え・も~~~~ん!!!」


~のび太の家~

のび太「というわけなんだよ~」

ドラえもん「で、僕にゾイドを出しほしいんだね」

のび太「出してくれるの!?」

ドラえもん「それよりのび太くん、まだ宿題やってないよね」

のび太(ギクッ)

のび太「ス、スネ夫のヤツ、僕も乗りたいって言ったら、何て言ったと思う?」

のび太「お前の家にはタヌキ型ゾイドが居るじゃないか。って言ったんだよ」

ドラえもん「なんだって!!僕はタヌキじゃなくてネコ型ゾイド。じゃなかったネコ型ロボット!」

ドラえもん「よーし、のび太くん!スネ夫をギャフンと言わせてやろう。庭まで付いて来て」

のび太(うまくいったぞ)


~庭~

ドラえもん「とっておきのゾイドを出してあげよう」

ドラえもん「ブレ~ドライガ~~~~」

のび太「うわ~~、かっいいーーーー」

のび太「青色のウサギ型ゾイドだね」

ドラえもん「のび太くんあれは耳じゃなくて、タテガミだよ」

ドラえもん「ブレードライガーはライオン型ゾイド」

のび太「へーー、ライオン型かぁ~~」

ドラえもん「僕と同じネコ科で青色、速い上にパワーもある。そっくりでしょ」

のび太(同じなのは、ネコ科と色だけだと思うけどな~)


のび太「さっそく操縦しよう」

ドラえもん「待った!君ゾイド操縦したことある?」

のび太「あるわけないじゃないか」

ドラえもん「……。のび太くん、こんな巨大なゾイドで事故を起こしたらどうなると思う?」

ドラえもん「家を壊し、車を踏み潰し、下手をすれば人だって」

のび太「……」ブルブル

のび太「だったらどうすればいいのさ!?」

のび太「ブレードライガーを自慢しただけじゃないか!」

ドラえもん「まあ、まあ、落ち着いて。そんなのび太くんにぴったりのゾイドがある」


ドラえもん「オ~ガノイド~ジ~ク~~~~」

ジーク「グォ」

のび太「うわっ、恐竜だ!これもゾイドなの?」

ドラえもん「オーガノイドと言って、他のゾイドと合体して操縦をサポートしてくれるんだ」

ドラえもん「いざという時にはパイロットを包んで脱出もしてくれる」

のび太「すごいんだね。よろしくジーク」

ジーク「グォ~~」


~ブレードライガーコックピット~

メインコックピット のび太

サブコックピット ドラえもん

ドラえもん「まずはジークと合体しよう。元気よくジークを呼んで」

のび太「ジ~ク」

ドラえもん「もっと元気よく!」

のび太「ジーーーーーク!!」

ジーク「グォォォ」バシューーーーーーー

ブレードライガー「ガォーーーン」


ドラえもん「さあ、レバーをにぎって」

のび太「う、うん。や、やるぞ」ガシッ

ブレードライガ「ガォーーン」ブルン ブルン

のび太「うわぁ!ゆ、ゆれる」

ドラえもん「いったんレバーを離すんだ」

ブレードライガー「ガゥゥ」


のび太「何が起こったの!?」

ドラえもん「のび太くん、ゾイドは生き物なんだ」

ドラえもん「のび太くんの緊張がブレードライガーにも伝わったんだ」

ドラえもん「ゾイドの操縦で目指すのはパイロットとゾイドの一心同体、人馬一体の境地だよ」

のび太「難しそうだな……」

ドラえもん「大丈夫だよ。ゾイドは心で動かすんだ。さあやってごらん」

のび太「やってみる」

のび太「行くよ。ジーク、ブレードライガー!!」


~町~

ブレードライガー ガシンッ ガシンッ

のび太「速い!速い!」

ドラえもん「だいぶ慣れてきたね」

のび太「裏山まで全速力だ!」


~一方その頃~

アイアンコングPK

操縦 ジャイアン

砲撃 スネ夫

懲罰席(対空迎撃要員)しずか

※懲罰席

懲罰席とは、理不尽な位置にある剥き出しのコックピットのことである。
進行方向とは逆向きで、揺れるであろう尻尾についていることが多い。
このアイアンコングPKには、ブースターの中心に斜め上向き、両サイドに風防なしという素敵なコックピットがある。

アイアンコング ズシンッ ズシンッ

スネ夫「どうだいジャイアン?」

ジャイアン「最高だぜ。巨大でパワフル。オレさまにぴったりのゾイドだ!」

しずか(前が見えなくて酔いそう。でもプロイツェン様に会うために我慢よ)


スネ夫「ん?レーダーに反応あり?」

スネ夫「ジャイアン、近くにゾイドが居るよ」

ジャイアン「なんだって!」

スネ夫「きっとのび太がドラえもんに頼んだんだ」

ジャイアン「のび太のヤツにアイアンコングPKの強さを思い知らせてやるぜ!」


のび太「あれ、裏山ってこんなに近かったかな?」

ドラえもん「のび太くんブレーキ!裏山じゃない。アイアンコングPKだ!!」

のび太「アイアンコングPK?ジャイアンたちだ」

ジャイアン「のび太、良いゾイドを持ってるじゃないか」

ジャイアン「のび太のくせにゾイドなんて生意気だぞ。それをこっちによこせ」

のび太「そんなの嫌だよ!」

ジャイアン「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のものなんだ!」

のび太「無茶苦茶だよ~」


ジャイアン「渡さないなら力ずくで奪ってやる。やるぞスネ夫」

スネ夫「う、うん(アイアンコングPKに傷をつけないでよ)」

しずか(のび太さんとドラちゃんが怪我をしませんように)

ジャイアン「いくぞのび太!ハンマーナックル!!」

ドラえもん「のび太くん避けて!」

のび太「うわっ」

ズシーーーン

のび太「地面に穴が開いた。なんてパワーだ」


ドラえもん「のび太くん、こうなったら戦うしかない」

のび太「そんなの嫌だよ」

ドラえもん「戦闘用ゾイドに乗る限り、戦いは避けられない。今がその時なんだ」

ジャイアン「まだまだいくぞ!ビームランチャーだ!」

バシューーーン バシューーーン

のび太「くっ」

のび太「戦うしかないのか」


ジャイアン「ちょこまかと逃げやがって。10連ミサイルだ!」

ボシューーー

のび太「避けきれない!」

ドラえもん「ブースターを使うんだ!」

のび太「ブースターオン」

バシューーーン

ジャイアン「全部避けやがった」

スネ夫「なんて機動力なんだ」


ジャイアン「スネ夫、こうなったらフルバーストだ!」

スネ夫「了解」

ジャイアン「のび太、もう逃げられないぞ。これで終わりだ!!」

バシューーーン ボシューーー ズギャン ズギャン

のび太「もうだめだ」

ボムッ

ジャイアン「やったぜ!!」

スネ夫(こちらは無傷だ。よかった)

しずか(のび太さん、ドラちゃん、無事でいて……)


スネ夫「センサーに反応あり!」

ジャイアン「そんなバカな!?」

スネ夫「あ、あれはエネルギーシールド…」

ジャイアン「すべて防いだってのかよ」

のび太「ありがとう。ジーク、ブレードライガー、僕を守ってくれたんだね」

ジーク「グォー」


ドラえもん「のび太くん、必殺技だ!」

のび太「食らえ!ブレードアタックーーーー!!」

バキィーーーーー

ジャイアン「うわーーー!!」

スネ夫「腹部に損傷大!コンバットシステムフリーズ!」

ジャイアン「チクショーーー!!」

スネ夫「パパに叱られる~~~~!」

しずか(よかった)ホッ

ドラえもん「おめでとう。のび太くん、初勝利だ!」

ジーク「グォグォ」

のび太「みんなのおかげだよ~」


~スネ夫の家~

ジャイアン「スネ夫!負けちまったじゃねーか!」

スネ夫「僕に言われても困るよ。それに操縦してたのはジャイアンじゃないか…」

ジャイアン「何だと!俺が悪いってのかよ!」ガシッ

スネ夫「わわわ、許してよジャイアン」

ジャイアン「だったら、のび太を倒せるゾイドを用意しろ!」

スネ夫「そんな無茶な…あっ、もしかしたら、いや、でもあれは……う~ん」

ジャイアン「どうしたんだよ?」

スネ夫「スネ吉兄さんのゾイドなら、のび太を倒せるかもしれない」

ジャイアン「本当か!?早速行ってみようぜ」

スネ夫「いいけど、大丈夫かな……」


~スネ吉の家~

スネ吉「やあ二人ともよく来たね」

スネ夫「スネ吉兄さん、例のゾイドを見せて欲しいんだけど」

スネ吉「いいとも、地下室研究所に付いておいで」

~スネ吉の地下研究所~

ジャイアン「ずいぶん深くまで降りるんだな」

スネ吉「ゾイドが大きくてね。もうすぐ着くよ」


~最深部~

ジャイアン「ゾイドはどこにあるんだ?」

スネ吉「慌てないで、今照明を点けるから」ポチッ

ジャイアン「デ、デ、デスザウラーーー!?」

ジャイアン「伝説のゾイドじゃんかよ。どうやって手に入れたんだ?」

スネ吉「骨川家の蔵で古代の設計図とコアを見つけてね。僕が組んでみたんだ」

スネ夫「起動実験は成功したの?」

スネ吉「いや、さっぱりだめだね。コアが反応しない。何かが足りないんだ」

ピコン ピコン

スネ吉「ん、バイタルサインが反応している。なぜだ?もしや…」

スネ吉「ジャイアン、デスザウラーのコックピットに乗ってみないか?」

ジャイアン「いいのかよ!?」


~デスザウラー腹部コックピット~

スネ吉「どうだい?デスザウラーのコックピットは?」

ジャイアン「すごいぜ、流石伝説のゾイドだ。力がみなぎって来る様だぜ!」

スネ吉(デスザウラーのバイタルサインがどんどん上昇している)

スネ吉(最後の鍵が凶暴なパイロットだったとはね)

ジャイアン「早くこいつを動かしてみたいぜ」ドクン ドクン 

ジャイアン「何だ?頭が熱い。う、う、うあーーー!」ドクン ドクン ドクン

スネ夫「ジャイアン!どうしたの?ジャイアン!スネ吉兄さん何が起こったの!?」

スネ吉「人間とゾイドが一心同体とはよく言ったものだね」

スネ吉「ジャイアンの精神がデスザウラーのコアと同調しているんだ」


デスザウラー「グァアアアアアアーーーー」バキッ ガコッ スドーーン

スネ吉「まずいぞ!暴走を始めた!逃げるんだ!」

スネ夫「ジャイアンはどうなるんだよ!!」

スネ吉「ジャイアン?それどころか暴走したデスザウラーはこの星を焼き尽くすよ。僕はとんでもない物を創ってしまった」

スネ夫「た、大変だ!みんなに知らせなきゃ!」


~町~

のび太「ゾイドバトルにも勝ったし、そろそろ帰って昼寝でもするか」

ドラえもん「待って、スネ夫としずかちゃんが走って来るよ。どうしたんだろう?」

スネ夫「大変だ!もう地球はお仕舞なんだ!!」

しずかちゃん「落ち着いてスネ夫さん」

ドラえもん「何があったんだい?」

スネ夫「かくかく、しかじか」

のび太「デ、デスザウラー!?」

しずかちゃん「それに剛さんまで…」

ドラえもん「大変なことになったぞ」


ジーク「グォ」

のび太「どうしたのジーク?」

ピカッ ドゴーーーーン

のび太「な、なんだ?」

しずか「裏山が消えたわ!!」

ドラえもん「荷電粒子砲だ!」

スネ夫「デスザウラーが来たんだ。もう駄目だ」

のび太「大きい」ゴクリ


ドラえもん「のび太くん、僕たちが止めるしかない」

のび太「そんなの無理だよ。裏山を一撃で吹き飛ばすんだよ」

ドラえもん「このままだと地球は滅亡するよ。今戦えるのは僕たちだけなんだ」

スネ夫「僕からも頼むよのび太、ジャイアンを助けて欲しい」

しずか「私からもお願いするわ。みんなを助けて」

のび太「……怖いけど、やるしかないみたいだね!」

ドラえもん「その意気だ、のび太くん!」


~ブレードライガーコックピット~

のび太「ドラえもん、ジーク、ブレードライガー、みんな行くよ!!」

ドラえもん「ラストバトルだ!」

デスザウラー「グァアアアアアアアア」

のび太「こんなのに勝てるのかな…もし荷電粒子砲を撃たれたら…」

ドラえもん「大丈夫、レーザーブレードは可電粒子を拡散できるんだ」

ドラえもん「デスザウラーが可電粒子砲を撃った時が攻撃のチャンスだよ」

のび太「よし、ショックカノンで威嚇だ!」

ドムッ ドムッ


デスザウラー「グァアア」ピカーーー

ドラえもん「のび太くん、来るぞ!」

のび太「ブレードを前面に展開!ブレードアタックーーーー!!」

ズバーーーーーーーー

しずか「すごい。可電粒子を切り裂いてるわ……」

スネ夫「がんばれのび太ーーーー!」


デスザウラー「グァアアアア」ガシッ

のび太「つ、捕まえられた!!」

ドラえもん「ハイパーキラークロー!なんて反応速度なんだ!」

のび太「勝てるんじゃなかったの!?」

ドラえもん「ジャイアンの闘争本能がデスザウラーの能力を上げているんだよ」

メキメキメキッ

のび太「まずい、潰される!ブースター全開!!」

ブォーーン


のび太「危なかった。他に弱点はないの?」

ドラえもん「背中に荷電粒子の吸入ファンがあるけど…」

のび太「一か八かだ」

のび太「パルスレーザーガンロックオン」

ドラえもん「衝撃テイルだ!避けて!」

ブンッ

のび太「うわっ!」

のび太「今度こそ」

ドラえもん「16連装ミサイルだ!回避して!」

ボシューーー

のび太「くっ!」


のび太「まるで難攻不落の要塞だ」

ドラえもん「それに、正面には荷電粒子砲があるし…」

のび太「荷電粒子砲……そうだ!僕に良い考えがある」

ドラえもん「良い考え?」

のび太「うん。もしかしたらデスザウラーを倒せるかもしれない。ドラえもん、ジーク、よく聞いて」

のび太「ごにょごにょごにょ」

ドラえもん「よし!危険だけどそれしかないね」

ジーク「グォォォ」

のび太「作戦開始だ!」


デザウラー「グァアアアアアア」

のび太「やいデスザウラー、もう一度荷電粒子砲を撃ってみろ!くらえ!」

ドムッ ドムッ

デスザウラー「グァアアアア」ピカーーー

ドラえもん「来るぞ」

のび太「これが最後のチャンスだ」

のび太「ブレード展開!ブースターオン!ブレードアタックーーー!!」

ズバーーーーーーーー


スネ夫「また同じ手だ。勝てっこないよ」

しずか「きっと何か考えがあるのよ」

のび太(ギリギリまで近づいて)

のび太「今だ!ドラえもん!」

のび太(機体のエネルギーを限界までパルスレーザーガンに注入する)

ドラえもん「パルスレーザーガン、エネルギー充填率400%」


のび太「ロックオ・・・・・・ンできない!?」

ドラえもん「何だって!?周りの熱原が多すぎるんだ!」

のび太「ドラえもん、マニュアル照準に切り替えて!」

ドラえもん「地球の運命、君に託した!」ポチッ

のび太(撃てるのは一回限り。集中だ。集中するんだ。)

のび太「そこだ!!」カチッ

バシューーーン

デスザウラー「・・・・・・」ズバン


スネ夫「デスザウラーの頭を撃ち抜いた・・・」

しずか「見て!首から荷電粒子が溢れて、体が崩れていくわ」

スネ夫「やった!勝ったんだ!」

しずか「でも剛さんは……」

のび太「頼んだよ、ジーク」

ジーク「グォォ」バシューーーー

のび太(最後はジークが、崩壊するデスザウラーからジャイアンを脱出させて終わりさ)

ドラえもん「やったね、のび太くん!君の射撃の腕は世界一だ!」

のび太「照れるな~。これで一件落着だね」


~空き地~

しずか「剛さん目を覚まして」

スネ夫「ジャイアン!ジャイアン!」

ジャイアン「う、う~~~ん」

のび太「よかった。気が付いた」

ジャイアン「あれ、デスザウラーに乗って、それから……俺とんでもないことを…」

ドラえもん「安心して、全部終わったよ」

ジャイアン「のび太が助けてくれたのか?」

のび太「ジャイアンを助けたのはジークだよ」

ジーク「グォ~~~」

ジャイアン「うわっ!もうゾイドはこりごりだぜ」

一同「わははははは」

のび太「あれ、何か忘れているような……」

ドラえもん「のび太くん、学校の宿題だよ」

のび太「それは言わない約束だよ~~~」

終わり


以上です。
大晦日に押入れを整理しているとゾイドが出てきて、懐かしくなり思わず書いてしまいました。
読んで下さった方ありがとうございます。

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