男「中学生になったから卓球部に入るぞ!」 (23)

卓球、オリジナル物です



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男は、市立藤の丘中学校に入学した

先生「今日から4月24日までは仮入部期間となる。興味のある部活を覗いてみるといい。では、みんなまた明日」

生徒たち「さようなら!」

友「男!約束通り卓球部見学に行くぞ!」

男「とうとうこの日がきたかー!楽しみ過ぎるぜ!!」

男と友は1月に行われた全日本選手権の決勝の水谷隼人(みずたにはやと)のプレーを見て卓球に憧れ卓球部に入ることを決めていた

~~卓球部~~

男「ここか、扉を開けるぞ・・・」ガチャ

男が扉を開けると卓球ボールと卓球シューズの音が響き渡っていた。その独特な音と雰囲気に男と友は引き込まれたのであった。

男「凄い・・・」

友「かっこいい!」

矢澤「君たち一年生?君たちが見学に来た1号、2号だ。ずいぶんやる気がありそうだなぁ!歓迎するよ。」

三年で部長の矢澤が二人を迎え入れた

矢澤「悪いけど、今日はとりあえず見てるだけな。打たせてあげたいけど、そうしてくれるか?」

男「はい!」

友「しばらく見学してます」

卓球台は8台で男子が五台、女子が3台使っていた。体育館の中央に仕切りが置かれていた。どうやら半分は他の部活が使うようだ。

男「とりあえず、部長のプレーを見てみようか」

友「そうだな」

矢澤「ふっ」シュパッ

キュッキュ

矢澤「はっ」シュパッ

矢澤は台から距離をとってラケットを降り下ろすように返球していた。

男「あれがカットマンか。初めてみたよ」

友「さすが、部長。上手い!」

矢澤は部長でエースだった。

こうして仮入部期間初日は終わった。その後、たくさんの一年生が見学に来た。そしてその翌日から少し打たせてもらったり、軽いランニングや筋トレをする期間が始まった。仮入部期間はあっという間に終わり、、今日から正式な入部期間となる。

男「ようやく仮入部が終わったね。今日からきっとたくさん打てるんだろうな。楽しみ」

友「今までちょっとヌルかったからな!」

ガチャ

男「こんにちはー!」

矢澤「遅い!!早く準備しろ!」

友「は、はいっ!すみません!」

男「わ、分かりました!」

男と友が来たときには、すでに一年生は10人近く集まっていた。いつもと様子の違う矢澤に驚き二人は急いで卓球台などの準備をしたのだった。

矢澤「一年は、全員来てるな。男子の新入部員は18人。結構多いな。歓迎するよ。部員は男子だけで3年9人、2年13人、1年18人。合計40人だ。悪いけど男子は5台しか使えないから一年は打たせてあげられる余裕はないな。仮入部のときは少し打たせてあげたけどさ。女子も入れると55人だから卓球部はだいぶ人数が多いぞ」



男(40人もいたっけ!?そんな感じは仮入部期間からは感じなかったけど・・・)

矢澤「しばらくレギュラーとぎりぎりレギュラーになれないくらいの実力の部員を除いて練習は休んでもらってたんだよ。君たちを優先してね。でも、今日からは彼らも部活に参加するからね。君たちは・・・まず外周10周だ!端野(たんの)!頼んだぞ」

端野「二年の端野です。これから外周をするよ。一年生はついてきてね」

一年「はいっ!」

男は不安で一杯だった。外周10周は距離にして約4キロ。体力に自信のない男にとってはとても辛い距離だ。

~~学校の外~~

端野「いくよ。ついてきてね!」

端野が走り出す。ペースはさほど早くない・・・男も友も他の部員も楽についていくことができた

三週したときだった

武内「・・・」ハァハァ

一年生で一番太っている新入部員の武内(たけうち)の様子が変だ。そしてみるみる周りの部員から置いていかれたのだった。

端野「武内、リタイア!みんな気にしなくていいからな」

男(リタイア、、するとどうなるんだろう?)

友(3周くらいでリタイアとかどんだけ体力ないんだよ)

そして5周が終わる頃には武内、佐藤、富野、小川、鈴木の五人がリタイアした

男(正直、俺もきついよ・・・)

8周を迎えた頃には半分の部員がリタイアした。

男「」ハァハァ

男(く、くそ・・・あと少しなのに)

男は8周することさえかなり無茶をしていた。もう、限界だったのだ

端野「男、リタイア!」

結局、10周できた一年は5人。友もその中に入っていた。

端野「リタイアした部員は、全員今練習しているレギュラー組の玉拾いなどの雑用を一日すること。走りきった部員は筋トレとフットワークの基礎とラケットとボールを使ったボールタッチの練習をするぞ。全て卓球台を使わずにできる練習だ」

男(ざ、ざつよう・・・)

男はその日、残りの二時間を全てボール拾いに費やした。時おり先輩のプレーを邪魔してしまうことがあり、矢澤にこっぴどく怒られた

18時半

矢澤「今日の練習は終わり!」

部員「ありがとうございました!」

顧問「おつかれー」

顧問は練習の最後だけ現れた

~~帰り道~~

友「お前体力ねーな」

男「・・・」

友「走りきった5人もたいして面白い練習はしてないよ。なーんか思ったのと違うな。卓球部。仮入部のときはヌルかったけど楽しかったのに。騙された気分だよ」

男「俺、悔しいよ。走りきれなかった自分が」

友「そうか・・・」

そして二週間、男は朝と帰ってからランニングに励んだ。しかし外周10周を達成することはできず、ずっと玉拾いばかりの日々が続くのだった。そして部活が休みの日曜日の朝

男「はっ!朝か・・・」

男「ランニングいかなきゃ・・・」

男「き、気持ち悪い。体が・・・動かない」バタッ

男は日々の疲れが出てしまい、その日は15時間寝てしまった。そして翌日の部活・・・

端野「今日も外周をするぞ」

男(今日も・・・ダメなのかな)

端野「スタート!」

端野が走り出す。15人の部員もついていく。18人いたうちの3人は早々に辞めてしまったのだった。

端野「次、6周目」

男(あれ、もう6周・・・?いつもならここでかなり疲れてしまうのに・・・)

そして時間はあっという間に過ぎ、最後の一周。脱落者は今のところ五人。

男(少し疲れてるけど、全然余裕だ!!)

男を含む11人の部員は外周10周を達成したのだった。

友「やったな!」

男「ありがとう。でも、なんで急に達成できたんだろう?」

友「練習の疲れがたまってたんだろ・・・笑」

男「あっ!笑・・・」

日曜日に寝ることで体力を回復し、初めて男は努力の成果を実感することができたのだった。

宇賀神「お、今日は初メンバーもいるんだな。俺は二年の宇賀神(うがじん)。今日も練習がんばろう。まずボールリフティングだ。ラケットでボールを軽く打って上にあげ、それを繰り返す、遊びみたいなやつだな」

男(ああ・・・あれか)

男は久しぶりに自分が入学前に買った競技用のラケットを手に取った

宇賀神「始め!」

宇賀神が合図すると体育館の廊下中にカッカッとボールの音が響く

男(楽しい・・・)カッカッ

友(早く台で打ちてぇ・・・)カッカッ

5分ほど続き・・・

宇賀神「次はフットワークの基本、反復横飛びをやろう」

反復横飛び、素振り、筋トレ・・・
基礎練習は続いた。

宇賀神「30!!」

部員「30!!」

腕立て伏せ30回連続など、男にとってはなかなか筋トレは辛いものがあった。だが、外周を乗り越えた男にとってはだんだん楽しさに変わっていったのだった。

矢澤「今日の部活は終わり!明日は隣の剣道部が休みだ。いつもの2倍台が出せるから一年生も台についていいぞ」

部員「お疲れさまでした!」

~~帰り道~~

男「今日は凄く楽しかった!」 

友「そうかぁ?笑 ま、でも明日は楽しみだな!」

男「うん!」

~~男の部屋~~

男「努力してきて良かった!大好きだったテレビゲームなんかよりこういう努力って楽しい気がする。」

男「明日が楽しみだな・・・」

男「zzz」

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