女騎士「ユニコーンに会いに行こう」 女エルフ「え…」(30)

女騎士「会いたい」

女エルフ「なんでまた」

女騎士「こないだ書物で見たんだ……なんだあの美しい生き物」

女騎士「ぜひ我が愛馬にしたい」

女エルフ「うーむ……」

女騎士「聞くところによればエルフの森のさらに奥なる聖域のなんたらかんたらに住んでるとかいないとか」

女騎士「お前なら知ってるかなって」

女エルフ「知ってはいる」

女騎士「おお!ならば!」

女エルフ「無理だな」

女騎士「え…」

女騎士「なんでそんな意地悪言うの?」

女エルフ「意地悪じゃないよ」

女騎士「だって知ってるんでしょ?」

女エルフ「まあ。見たことはないけど」

女騎士「お前も見たことがないのか」

女エルフ「え、まあ……はい、うん」

女騎士「見るのも難しいのか……ならば捕まえるのはなおさらか」

女エルフ「そうだよ。だから諦めよ?」

女騎士「しかし困難に立ち向かってこその騎士ではないだろうか?」

女エルフ「うーん……でもなあ……ほんと無理だと思うなあ…」

女騎士「だからなんで無理無理言うんだ!」

女エルフ「だってぇ…」

女エルフ「あーなんていうかユニコーンは、その……うーん、あ、そうそう」

女エルフ「会うのにものすごく難しい条件があるの」

女騎士「条件だと?」

女エルフ「そうだよ」

女騎士「言え!」

女エルフ「え……いや……」

女騎士「どうした!いくら難しい条件だろうと立ち向かう前に諦めるは愚の骨頂」

女エルフ「いや、その、ね……うん」

女騎士「さあ!!」

女エルフ「……ねえ、女騎士」

女騎士「なんだ」

女エルフ「私たち女騎士と女エルフじゃん?」

女騎士「うん」

女エルフ「今までいろいろあったじゃん?」

女騎士「ああ!!敵の軍勢に立ち向かい、

女騎士「そのたびに捕まり、オークに凌辱され触手に嬲られ魔蟲の苗床にされたりなんか卑劣な悪党どもの玩具にされたれい色々あったが!!」

女騎士「わたしはそのたびに立ち直り、どんな困難も乗り越えてきた!」

女エルフ「来世にかけよ?」ぽんっ

女騎士「だからなんで!?」


――説明中。

女騎士「……」

女エルフ「有名な話でしょ?ユニコーンはね。清らかな乙女しか会えないの」

女騎士「……」

女エルフ「だからね、わたしたちじゃ無理なの」

女騎士「……」

女エルフ「でも、愛馬にしたいならいい馬見つけてあげるよ?ほら、この書物のここ見てよ、こいつなんかどうかな、漆黒の魔犬ケルベロ…」

女騎士「……ぅぐ」ジワッ

女エルフ「!?」

女騎士「…うぐ……ひっく…」ポロポロ

女エルフ「え、え?」オロオロ

女騎士「ゎたしだって…べつに、えぐっ、好きで……清らかな乙女じゃ、ひっ、なくなったとか……うぐっ」

女騎士「違うもん…」ポロポロ

女騎士「なんでわたしたちだけなんか……そういう……えっく…いめーじ……うぐっ」

女エルフ「よしよし、わかってるわかってる。でもイメージだけじゃなくて実際そうだったでしょ?」

女騎士「うわあああああああああん!」

女エルフ(心が痛い)

女騎士「会いたいよぉ……愛馬にできなくてもいいから、一目ホンモノを見てみたいよお…」ポロポロ

女エルフ「うーん……」

女騎士「えっぐ、えっぐ…」

女エルフ「ううん…」

女騎士「うぐ…ひぐ…ンホオオオ…」

女エルフ「しょうがないなあ…」

女騎士「え…」

女騎士「会えるの?」

女エルフ「正直無理とは思うけど、協力するだけはしてあげる」

女騎士「……!!」

女エルフ「エルフの里の長老様ならなにか知ってるかもしれないから、一緒に行ってあげる」

女エルフ「でも努力して、やっぱり会えなくっても、ちゃんとあきらめること。いい?」

女騎士「心友!!おっぱいと同じで心もでかいっ!」ギュッ

女エルフ「はいはい」ヨシヨシ

-エルフの里-

長老「無理だな」

女エルフ「ですよね」

女騎士「」

長老「そもそもなぜユニコーンが清らかな乙女にしか会わないか…」

長老「知っているのかい?」

女騎士「…」ブンブン

女エルフ「あ、それ私も知りません」

長老「彼らのツノが万病に効く…とはまた有名な話だろう?あるいは不老不死として伝わる場合もあるが」

長老「えてしてそれは彼らの破邪の力によるものだ」

女騎士(はじゃってなに?)ヒソヒソ

女エルフ(なんかすっごい神聖な力)

女騎士(ほお)

長老「彼らは恒久の破邪の力をもって、邪悪を嫌う。その性質のためか、わずかな体の穢れをも嫌う」

長老「そのため誰の手もくわわらぬ自然の森のさらに奥にひっそりと住み、自然とともに生まれ、死ぬ」

長老「清らかな乙女とはひとつの例えだよ。純真無垢な赤子のように、一片の穢れもない者しか会えぬということだ」

女騎士(じゅんしんむくってなに?)ヒソヒソ

女エルフ(あとで教えてあげまちゅね)ヒソヒソ

長老「だからまあ、要するに、俗世を知ってるようなやつにはあわない……つまり」

女エルフ「非処女には無理ってわけですね!」

長老「オブラートに包んであげたのに」

女騎士「悔しい……!!」

女エルフ「かーらーの?」

女騎士「感じちゃう!」

女エルフ「いえーい」パシッ
女騎士「いえーい」パシッ

長老(仲いいなこいつら)

女エルフ「でもでも長老。はい質問!」

長老「なんだ?」

女エルフ「ユニコーンってどうやって処女とかどうとか見抜くんですか?」

長老「処女性の見抜き方はわたしにもよくわからんが…」

長老「まあ、なんか雰囲気じゃないの?」

女エルフ「最後なんか適当ですね」

女騎士「ううー…」

女騎士「会いたいよおお!」ダキッ
女エルフ「よしよし…長老、なんとか一目だけでも見せてあげられないでしょうか…?」

長老「うーん…見るだけ、か…」

長老「それなら私よりも実際に会った人間に聞いてみるのがいいかもしれんな」

女エルフ「いるんですか!?」

女騎士「!!!」

長老「この里のはずれに住んでる者が、確か以前スレイプニールに乗っていたと聞く」

女騎士「すれいぷにーる?」

女エルフ「天上を駆ける伝説のお馬さんのことだよ」

女騎士「にゃるほど」

長老「あれも一説ではユニコーンほどに穢れを嫌うものときく。それに乗っていたものなら、案外なにか知っているかもな」

女騎士「うらやましい…!」

女エルフ「んー…どっかでその人のこと聞いたことあるような…」

長老「場所は地図に書いてやるから。行ってみろ」

女騎士「ありがとうございます!!」

女エルフ「……あー……なるほどなー」

女騎士「おや、あのロリっ娘は…」

戦乙女「え?」

女騎士「あ、戦乙女じゃん。久しぶり~」

戦乙女「あれ、二人とも久しぶり~。魔族に捕まってた時以来だね~」

女エルフ「そっかー。そうだねー、もうダメかなー」

戦乙女「え~?」

女騎士「戦乙女乙女~!ハイターッチ!」パシッ
戦乙女「ハイターッチ!」パシ

女エルフ(かわいい)

女エルフ「なんで乙女ちゃんこんなとこに住んでるの?」

戦乙女「実は二人と別れたあと天界に戻ったんだけど…」

女騎士「だけど?」

戦乙女「オーディン様から『お前乙女じゃないじゃん』って追い出されて…」

女エルフ「うわー」

女騎士「今度わたしのこの聖剣で斬る相手が決まったな」

戦乙女「でもでも、この里の人たちすごくあったかいんだよ!」

女エルフ「よかったねえー」ヨシヨシ

戦乙女「えへへ……ところで二人はどうしたの?」

女騎士「かくかくしかじかしょじょひしょじょ」

戦乙女「ああ~…」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom