和「結婚しますよ」咲「ごめんなさい!」 (227)


和「3回連続プラマイゼロ、ワザとですか……?」

咲「……私が打つと、いつもあんな風になっちゃうんです」

和「な……なんでそんな打ち方してるんですか……」

咲「勝っても負けても云々~」

和「もう1回……もう一局打ってくれませんか……」

咲「ごめんなさい、私は麻雀……それほど好きじゃないんです」

和「打ってくれないと結婚しますよ」

咲「ごめんなさい打ちます」

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久「宮永さん、和まこ優希で東風赤四枚2回戦ね」

京太郎「会長やらないんすか?」

久「私が入ったらみんなトンじゃうでしょ」

咲(2回だけ……早く終わらせよう……)

和(今日は本気でいきます……)

優希「咲ちゃんはまたプラマイゼロにするのかー?」

まこ(普通に考えりゃ毎回プラマイゼロなんて無理じゃ)

久(見せてもらおうじゃないの)

久(オーラス……5200狙いで当たり牌を2つともスルーか……)

和(宮永さんは5200を狙っているはず……ですが……)

和「リーチ」

和(リーチ棒が出たらどうするのでしょう)

久(リーチ棒、これでプラマイゼロにするには70符2翻を和了らないとね……)

和(この私のリーチをかわして40符3翻の手を70符2翻に変えられますか!)

和「プラマイゼロにならなかったらキスしてもらいますからね」

咲「カン」

和「え……」

咲「嶺上開花自摸」

和「!」

咲「70符2翻は1200・2300」

和(キスならず……)


優希「咲ちゃんはまたプラマイゼロ……昨日のを入れて4連続……」アリエナイジェ

久「宮永さん、麻雀は勝利を目指すものよ」

咲「え……」

久「次は勝ってみなさい! 勝てなかったらキスするから!」

咲「わ……わかりました」

優希「わかりましたって……」

和(部長にはキスされてもいいということ……)

和(まさか……そんなことはありえない……)

和(私達に確実に勝てるってだけですよね?)


オーラス

咲「ツモ 四暗刻」

和「」



咲「でも勝つのって難しいですね、またプラマイゼロになっちゃった」

優希「はぃ?」

咲「だって今回も原村さんひとり勝ちじゃないですか」

和「え……?」

久「!」

咲「私1000点スタートだから2位ですよ?」

久「いやいや、1000点だと思えって言ったけど実際は全員25000点からよ」

咲「え……じゃぁキスは……」

久「勝ったんだからしないでいいわよ」

和(セーフ! 私はキスできませんでしたが部長の無しだからセーフです!)


咲「orz」

和(部長とキスできなかったくらいでそんな悲しそうに……)

和「……」ブルブル

優希「のどちゃん?」

和「……」ダッ

優希「また出て行っちゃったじょ」

和「」ジーッ

咲「ドアの隙間からすっごくこっち見てるんですけど」

まこ「まさか……」

久「和が気になる?」

咲「まぁ別の意味で」

久「行ってらっしゃい、それまであのままだから……ホントお願い」

和「」ジーッ


咲「原村さん!」

和「……」

和(咲さん咲さん咲さん!)

咲「きょ、今日は原村さんと打てて楽しかった」

和「なんだって勝てば嬉しいものですよ」

咲「……」

和「私は……私は……悔しいです」

咲「……?」

和「私は咲さんが好きです」

咲「えぇ!?」

和「だからあなたに負けたのがとても悔しい」

咲「えぇっと……」

和「私を好きでもないあなたに……」

咲「え?」

和「それに……部長は……モテますよ……」キリッ

咲(決め顔で言われても……何言ってるか全然わかんないよ……)


1週間後


和「咲さんが麻雀部に入ってから1週間、殆どキスできていません」

咲「1回もしてないよ」

和「これ、全ての山を開いて4人分を一人で打っていたんです」

咲「?」

和「全ての牌がわかっていたとしても、咲さんとキスするなんてそう簡単にできることではありません」

咲(何言ってるんだろう……)

和「ここは抱擁を交わすことで妥協します」

咲「嫌だけど」

和「なら、次プラマイゼロにならなかったら思いっきりハグしてもらいます」

咲「えぇ……」

和「さぁ優希と須賀君も卓について」

咲「なんでこうなるの……」


和「」

京太郎「咲は……プラマイゼロか」

優希「やったじぇ! トップ!」

和「…………今日は帰ります」

咲「……」

和「今日は帰ります」

咲「…………」

和「今日は! 帰ります!」

咲「………………」

和「今日! は! 帰り! ます!!」

優希「咲ちゃん、私からも頼むじぇ」

咲「……私も一緒に……帰るよ…………」ハァ

和「あーなんか今日は手がフリーな感じですね、手持ち無沙汰というかなんというか」パタパタ

咲「手は繋がないからね」

和「じゃぁ結婚します?」

咲「ごめんなさい、繋ぎます」


帰り道

咲(何で一緒に帰ることに……そして手も恋人つなぎだし……手汗すごいし……)

和「……」チラッチラッ

咲(こっちめっちゃ見てるのに何も言ってこない……)

和「……」チラチラチラ

咲(私が喋りかけるの待ってるのかな……でも話すこと無いし……)

和「私は楽しくありませんよ」

咲「え……」

咲(何……急に)

和「今の打ち方を続けるというのなら」

和「結婚してもらえませんか」

咲「」


和「結婚してください」

咲「え……」

咲「待って、原村さん」

和「私とのキスはしなかったのに、なぜ部長とのキスは肯定的だったんですか」

咲「あれは……相手が部長だから……」

和「部長とはまだ付き合いが浅いですけど、私とでもいいじゃないですか、キス」

咲「原村さんが何を言っているかわからないよ……」

和「部長を侮辱されたみたいで心外です」

咲「えぇ……」

和「あなたが他人とイチャイチャしていると私は楽しくありません」

和「私も楽しませてください!!」

咲「う……うん、今度から気をつける」


和「私を楽しませてくれないと全国には行けませんよ」

咲「全国に……行けない……?」

和「清澄は5人ギリギリですからね、一人として欠かせませんよ」

和(まぁ咲さんなら個人でも全国にいけるでしょうがそれは置いておきます)

咲「それは困る……困るよ」

和「でしょう」

咲「私……全国に行きたい……」

和「はい」

咲「全国に行かなきゃダメなの!!」

和「じゃぁキスして下さい」

咲「ごめんなさい」

和「」

咲「ごめんなさい」


和(おかしい……なぜ……)

和「最初に結婚という現段階ではまだ少々咲さんが恥ずかしがり屋故に無理がある提案をし)

和(その後にキスという相手にもメリットのある難易度が格段に下がった簡単な提案をすることにより肯定しやすい空気を作ったはずなのに……)

和(くっ……さすが咲さん、麻雀以外でも一筋縄ではいかないということですか……)

和(ふ……いいでしょう、ならばこちらにも考えがありますよ……)

和「ふぅ、わかりましたよ咲さん」

咲「和ちゃん?」

和「私からキスするので我慢しましょう」

咲「」

和(本来ならば咲さんのヘタレ攻めを望むところですがここは妥協をしましょう)

和(あまり贅沢をいうのも悪いですしね、たまには私が攻めるのも悪くありませんし)

和「では行きますよ?」

咲「嫌だよ!?」


和「?」

咲「何でですか、って顔しないでよ」

和「何でですか」

咲「口で言ってもダメだよ、どっちからするとかそういう問題じゃなくて、私は和ちゃんとキスしないよ」

和「!?」

和「じゃぁけkk」

咲「結婚はもっとしないよ」

和「何でですか!」

咲「怒らないでよ……」

和「わかりました、全国優勝できなかったら結婚しますからね」

咲「えぇ……」

和「その代わり全国優勝できたら私を好きにしていいですよ……」ポッ

咲「私に全くメリットがないんだけど……」


つづく


和父「随分夜更かししてたみたいじゃないか」

和「……」

和父「わかっているとは思うが……遊びはほどほどにしておきなさい」

和「はい、お父さん 遊びでなく真剣に結婚を考えていますから」

和父「え?」

和「行って参ります」

和父「え?」

和父「…………え?」


合宿初日の夜


優希「のどちゃん、まさかペンギンがないと寝れないとか?」

和「えっ!?」

久「そういえば部室にも持ってきてたわね」

和「いや……うん」

まこ「わりゃぁ何歳じゃ!」バンバン

優希「お子様だじぇー」ギャハハ

和「む……だったら咲さんと寝ます!」プンプン

咲「とんだとばっちりだよ……」

和「二人が笑うからですよ」ムスー

咲「私関係ないよ!?」


県予選当日


和「咲さん、手を繋いで行きましょう」

咲「え、いいよ」

和「それは承諾という事でよろしいですか?」

咲「よろしくないよ!」

和「ですが、咲さん一人だと迷子になってしまいますよ」

咲「ならないように気をつけるから……」

和「では、迷子になったら結婚して頂きますね」

咲「…………手……繋ぐよ」

和「咲さんからそう言っていただけると嬉しいですね」ニッコリ


予選会場


西田「あなたが入ったおかげで清澄もいいところまでいけそうね」

和「いいところまで……?」

西田「え?」

和「めざすのは結婚です!」

西田「!?」

和「それに…………」

西田「?」

和「キスも……」ポッ

西田(照れるところおかしくないかしら……)



和「何事も無く勝ち進みましたね」

咲「明日は決勝だね」

和「勝てば全国……」

咲「負ければ――」

和「結婚ですね」ニッコリ

咲「…………」ゾクッ

和「頑張りましょうね」

咲「わざと負けたら口利かないからね」

和「そっそそそそんなことするわけないじゃないですか!」

咲「ならいいけど……」

和「まったくもう心外です、罰として熱い抱擁を要求しますよ!」

咲「ごめんなさい」ペッコリン


決勝戦、先鋒戦終了



和「ふわ……」

久「あら、おねむ?」

和「咲さんの妄想してたら昨日あまり眠れなくて……」

咲「うわ……」

久「それは困ったわね……」

咲(私の方が困ります)

久「二人の出番までまだあるし、仮眠室で寝てきたら?」

和「そうしましょうよ咲さんぜひそうしましょう、そうするべきだと思います!」クワッ

咲「大丈夫です」

和「ですが睡眠不足は思考力を奪います、試合前に仮眠を取るのは非常に有効ですよ」ペラペラ

咲「ってことはちゃんと寝るんだよね、離れて寝るし仮眠以外の事したら口利かないよ」

和「先輩の応援をせずに寝るなんてできませんよっ」トテモトテモ

咲「……これだからなぁ」ハァ


ドア「ガチャ」

優希「今帰ったじぇ……」

久「お帰り」

まこ「頑張ったのう」

優希「……」グスッ

和「!」

和「咲さん、仮眠室に行きましょう」

咲「え……」

和「早くっ!」グイッ

咲「わわ」

咲「仮眠室には行かないつもりだったんじゃ……」

和「寝顔見るだけでも十分興奮しますし……」クネ

咲「うわぁ……」


仮眠室


和「誰もいませんね……」

咲「運が悪いね、誰かいて欲しかったよ本当に」

和「合宿に続いて2度目ですね、一緒に寝るの」

咲「そうだね」

和「2度も同衾したということはもはや結婚するしかないのでは」

咲「一緒の部屋で寝てるだけだからね、合宿の時は5人だったし」

和「しかたありませんね、今日のところは手を繋ぎながら寝るので我慢します」

咲「我慢て……」

和「我慢せずそっちのお布団に失礼してもいいんですか!?」

咲「あ、手を繋ぐね、こっちに入ってきたら防犯ブザー鳴らすからね」

和「……なんでそんなの持ってるんですか」ギュッ

咲「部長が持たせてくれたの」

和「部長め……」


和「目が覚めたら私達の出番です」

咲「うん」

和「絶対に勝ちましょう」

咲「うん!」

和「絶対に勝って――」

咲「全国へ!」

和「結婚です!」

咲「しないよ!」

和「あれぇ……」

咲「もういいよ早く寝よ」

和「はい、おやすみなさい、あ・な・た」キャッ

咲「ぐーぐー」

和「つれないですね」


和「そろそろ次鋒戦が終わる頃でしょうか……」

咲「……」スースー

和「咲さんの寝顔を見てたら全然寝れませんね」

咲「………………」

和「途中誰かが仮眠室に来てたみたいですが無視して視姦してましたし」

咲「……………………」

和「エトペンも連れていかれちゃいましたし、回収しておかないとですかね」

咲「……」

和「でも咲さんの寝顔を見ていたいですしね」

咲「………………………………」

和「でもエトペンがないと大変ですし、名残惜しいですが探しに行くとしますか」

咲(やっと寝れるよ)


和「では咲さん、行ってきますね……」

咲(早く行ってください)

和「私がいないからって泣いちゃダメですよ」

咲(泣きません)

和「起きて私がいないと不安になるかもしれませんね……書置きでもしておきますか」

咲(いりません)

和「よし、これで大丈夫ですね」

咲(やっと寝れるよぉ……)

和「そ、それでは行ってきますのキッスを……」

咲「カン!」

和「へぶっ」

咲「ぐーぐー」

和「ね、寝相ですか……寝相の悪い咲さんでも愛してますよ……」

咲(はよ行け)


~中堅戦開始~


美穂子「武井久って……上埜さん……!?」

未春「?」

美穂子(やっぱり……苗字は変わってるけど間違いないわ!)

池田(キャップの真剣な顔……そんなすごい選手なんだろうか……)

美穂子(3年前のインターミドルで……私を苦しめた人――!!)

美穂子(強くて素敵で美しくて可愛くてカッコよかったのに――)

美穂子(3回戦から突然会場にこなくなって――)

美穂子(翌年風越に入ってくることもなかった)

美穂子(あぁ――文堂さん……羨ましい!!!)


池田「うわーうちが無名校に抜かれるなんて……」

池田(キャプテン怒ってるかな……)チラ

美穂子「……」ハァハァ

池田(発情してる――!?)ガン

美穂子「私が牌譜を見たときに上埜さんだと気づいていれば……」

美穂子「文堂さんと代わってもらえたかもしれないのに……」ポロポロ

池田(キャップが泣いてるし……カナちゃんが逆転勝利してキャップを笑顔にするしかないし!!)ニャー

池田(それにしても清澄の……マナー悪いなぁ……)イライラ

美穂子「牌が羨ましい……」


和「咲さん、結局起きませんでしたね」

咲(なんで帰ってくるの……)

和「これから私の出番なんですが……」

咲「……」

和「結婚の約束したのに、試合は見てもらえないなんて……」

咲(してないよ……)

和「何度キスしようとしても寝相が悪いからできませんし……」

咲(油断も隙もなさすぎだよ……)

和「こうなったらもう……試合を捨ててでも行為に及ぶしか……」チラッ

咲「原村さん! 試合、頑張って!!」ガバッ

和「咲さん、起きたんですか」

咲(寝れなかったんだよ!)


~副将戦終了~

和「後はお願いします」

咲「うん」

和「勝って、全国へ」

咲「うん!」

和「それと結婚も」

咲「ううん」

和「残念です」

咲「騙そうとしないでよ……」

和「私の匂いがするエトペン、私だと思って一緒に連れて行きます?」

咲「カンしちゃいそうだからやめとくよ」


~大将戦開始~

ゆみ(モモ、見てるか! 先輩槍槓あがっちゃったぞ!)

衣「清澄の大将は厄介だと聞いてうきうきしてたけど――」

咲「!」

衣「まさに羞花閉月……其は衣すら惑わせる」

咲「え……?」

衣「恐美恐美、誓詞奏上といこうか」ゴッ

咲(こ――この感じ――!!)

衣「……」ポッ

咲(原村さんと一緒だ――――!!)


池田「何言ってんだお前?」

ゆみ「今のは……プロポーズのつもりか!?」ガタッ

池田「え?」

ゆみ「くっ……全国を賭けた決勝の大将戦でだと……!?」

池田「えっと、何言ってるんですか」

ゆみ「しかもTV放送だってされているんだぞ……!?」

池田「落ち着いてくださいって」

ゆみ「対して私は下級生の教室に乱入した程度……」クッ

池田「もしもーし」

ゆみ「負けた…………私の負けだ…………モモ……すまない……」ガクッ

池田「ダメだこいつ」


清澄控室


和「離して下さい!」シタバタ

久「ダメよ! まこ達も絶対離しちゃだめよ!」ガシッ

まこ「わかっとるわい! 今の和を離したら何するかわからんけぇの!」グイッ

優希「三人でも抑えるので精一杯だじぇ……」ダキッ

京太郎「お、俺も手伝った方がいいか?」ドキドキ

優希「ダメに決まってるだろ! スケベ!」

和「女にはやらなくちゃいけない時があるんです!」

久「失格になっちゃうでしょうが!」

和「咲さんの貞操に比べたら失格なんて!」

久「いやいやいや」


久(嶺上の花が咲き)

久(海底の月が輝く――――か……)

久「………………」

久「花天月地ね」キリッ

まこ「かっこつけとらんで和を止めんかい!」

優希「のどちゃんすごいパワーだじぇ!」

和「離してください! 咲さんを誑かすあの女を始末しなくちゃいけないんです!」ジタバタ




つづく


対局室


池田「あたし達は眼中にないってか?」

衣「ん~?」

池田「去年と同じように行くと思うなよ」

衣「去年の衣と戦ったのか、忘れてくれ」

池田「ん?」

衣「去年は本調子ではなかった」

池田「な……っ」

衣「あの時はまだ、お前達と同じヒトの土俵に立っていたよ」

池田「ヒトじゃなきゃなんなんだ」

衣「天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝とならん」

池田「???」

衣「衣と咲の鴛鴦之契だ、世界の終焉を見よ!」

ゆみ(バカな!? カッコよすぎるっ…………)クワッ


ゆみ(クソっさっきから天江ばかりが目立つ)

ゆみ(ついでに麻雀も天江の独壇場じゃないか!)

ゆみ(この空間……もし天江の支配と呼べるものが真に存在するのならば……)

ゆみ(いっそ戯れてみよう)

ゆみ(その運命とやらと――!!)サササッ

池田(なんだ鶴賀……)

咲(急に落ち着きがなくなってる?)

池田(変な動きしだしてイカサマでもするつもりじゃないだろうな……)

ゆみ「……」バチコーン

池田(カメラに向かってウィンクっておま……)

ゆみ(これは私とモモだけのサイン……対局中でも思いを伝えることができるんだ!)

ゆみ(愛しているぞ、モモ!)キリッ


ゆみ(そしてラスヅモ――)

ゆみ(これを切れば聴牌……)

ゆみ(それでは天江が海底か――……)チラ

ゆみ(ここか!)タンッ

咲「……! ロン! 2000点です!!」

ゆみ「ここにいるのは君たち二人だけではない」

咲(この人、私の気持ちを読んで差し込んでくれた!)

ゆみ「惚れた腫れたの話は後にしてもらおう」キリッ

咲(しかも天江さんに注意まで……良い人だ!)パァ

衣(衣の親が流れた……それはどうでもいいっ)

衣(衣は親やるよりも咲の事が好きなのにっ)

衣(生猪口才!!)ボッ


衣「…………」ゴッ

咲「うっ……」

ゆみ「……!?」ガタッ

ゆみ(な――……)ゾゾゾ

衣「…………」

ゆみ(なんだ今の圧迫感は……)

咲(これくらいになると気付く人もいるんだ……)ゴクッ

咲(これ……ちっちゃい頃のおねーちゃんよりヒドいもん……)

衣「昏鐘鳴の音が聞こえるか?」

衣「世界が暗れ塞がると共に華燭之典が挙げられる!!」チラッチラッ

咲(こっち見ないでぇ……)


衣「この試合、衣が勝つ!」

池田「ぐぬぬ」

ゆみ「くっ……」

衣「優勝と共に咲を貰い受けるぞ」フフン

咲「!?」

ゆみ(くそぉ……)

衣「残すは後半戦半荘1回のみ!」

衣「最後の海底が我らが捧ぐ奉奠となる」

衣「鶴賀に風越、この場に居合わせたのも故あらば」

衣「盃の儀程度は参加させてやる!」


咲(前半戦が終了した……)

衣(ここはカッコよく去って咲に見せ付ける!」ザッ

桃子「せんぱぁい!」ダッ

ゆみ「モモ!?」

桃子「センパイっ!」ガバッ

ゆみ「モモッ!」ガシッ

桃子「セーンパイッ」クルクル

ゆみ「モモォ!」クルクル

                     センパイ!モーモ!センパイッ!モモ!センパーイ!モモォ!……ンパイ……モォ>

咲(この人もダメな人だった……)

咲(なんで私の周りは変な人ばっかりなんだろ……)

池田(うるせー……キャップ……ごめんなさい……)


美穂子(華菜は休憩時間には来るなって言ってたのよね……)オロオロ

美穂子(終わってから思いっきり褒めてあげるって約束したし……)

美穂子(でも……控え室でじっとなんてしていられない……)

美穂子(言葉は見つからないけど、ただ一緒にいるだけでも……)ウーン

美穂子「というわけで、来ちゃいました」テヘッ

久「風越の……」

まこ「おい、なんで風越の部長がきとるんじゃ」ヒソヒソ

優希「しらないじぇ、のどちゃんが出て行ってすぐにきたじょ」ヒソ

京太郎(この人も美人だよなぁ……)デヘヘ

美穂子「ただ一緒にいたいだけなんです、ダメでしょうか……」


久「えっと……ごめんなさい、ここは清澄の控室なんだけど……」

美穂子「ダメなら結婚してください」

久「」

美穂子「いえ、愛人でもいいんです! そばにいれたらそれで……」

久「えっ? え?」

優希「部長がここまで困った顔してるの初めてみたじぇ」

まこ「こら誰でも困ると思うがな」

京太郎(俺だったら即効でOKなんだけどなぁ)


美穂子「あなたがルビーで私がサファイア……」ポッ

久「!」

美穂子「その顔、覚えていてくれたんですね……」

久「あの時の……」

美穂子「コンプレックスだった私の右目……」

久「…………」

美穂子「あなたと出会って、私の世界が変わったんです!」

久(インターミドルでついついテレビで知った雑学話したんだっけ……)

美穂子「もう一度会ったら、あなたの真意が聞きたくて……」


久(考えて、考えるのよ久……)

久(この子は自分をサファイアだと言ってたわね……)

久(まず間違いなくあの目よね、私もそれで喋ったんだし)

久(私がルビーってどういうこと?)

久(別に私の目は赤くないんだけど……)

久(今はどうでもいいか……)

久(それよりも真意って……ただ雑学披露しただけなのに!)

美穂子「答えてください」

久「特に深いいm」

美穂子「結婚してくれるんですか!?」カッ

久「ひぃ!?」

優希「すごいじぇ、のどちゃんみたいな気迫だじょ」


久「っけけけっ結婚はしないわよ!」

美穂子「では愛人という事で……」

久「……まぁそれなら…………って愛人もいらない!」

優希「部長押され気味じゃないか?」

まこ「案外メンタル弱いけぇ……」

久「わかってるなら助けてよぉ……」

まこ「巻き込まんでくれんかのう」

久「薄情者!」

美穂子「そばにいさせてくれれば……それで!」ズズイ


久「とりあえず後半戦が始まるわ!」アセアセ

美穂子「あっ本当ですね……」

久「対戦校の控室にいたなんてバレたら変な噂になっちゃうかもしれないわよ」ネッ

美穂子「上埜さんとならいくらでもっ!」

久「…………私、えっと……その……」ダラダラ

まこ「そういや部長は後輩の応援とかしっかりする人が好きって言っておったのう」

美穂子「!?」

久「え? うん、そうね! やっぱ部活って青春だしね? そういうところが気が会う人じゃないと……」チラッ

美穂子「では私は控室に戻って後輩の応援してますね」ササッ

久「そ、そうね、お互い頑張りましょう」

まこ「嵐が去った……」

久「ありがとう、まこ……咲の気持ちが嫌って程わかったわ……」

優希「のどちゃんも今頃咲ちゃんのとこにいるのか?」

久「今度からもっとしっかり和を見張るわ……」


和(咲さん……対局室にもトイレにもいない……)

和(どこへ行ってしまったの――……?)

和(なんだか泣き出しそうな顔してましたし……)

和(まさかあの雌豚が怖くて戻ってこれないなんてことは――)

和(おおいにありえますね……)

和(咲さんは私と結婚するわけですし……)

和(あんな風に言い寄られても迷惑なだけですからね!)

和(早く見つけてキスして慰めてあげないと!)フヒッ


咲「うぅ……」

咲(また道に迷っちゃったよ……)

咲(道がわかってる仮眠室のほうに行けばよかったかな……)

咲(でも原村さんに会いたくなかったしな……)

咲(できれば天江さんとも一緒にいたくないし……)

和「咲さん!」

咲「!」ビクッ

咲「原村さん……」

和「何してるんですか!」

咲「!」ビククッ

和「私以外の女に色目を使わないで下さい!」クワッ

咲「!?」


和「咲さん……」

咲「?」

和「覚えていますか……? 合宿の最終日――」

咲「?」

和「あの日のあなたはどこにいってしまったんですか」

咲「え……」

和「あの自信に満ちたあなたは……!」

咲「自信……」

和「私と結婚するんじゃなかったんですか?」

咲「いやそれはない」キッパリ

和「…………」

咲「…………」

『まもなく後半戦が始まります出場選手の――――……』

和「急ぎましょう」キリッ



『県予選決勝大将戦後半――――!!』

『この東南戦が最終決戦となります!』

『全国に行けるのは――』

『この中の1校のみ……!!』

咲(思い出せ私……)

咲(合宿の最終日、どんな感じだったのか……)

咲(…………)

――咲さん、結婚しましょう!

――――抱いてくれてもいいんですよ?

――――――舌を入れてもいいですか!?

咲(…………………………)

咲(普通に打と……)


衣「わぁーい、衣の親番だーっ」

衣「さいっころっ まわれ~」ピ

衣(……)

衣「そういえばフジタが先刻希代なことをぬかしていたな)

衣(衣が結婚を拒否られている――だって?)

衣(烏滸事を!!)

衣(衣は今此の時、此処で咲と結ばれるんだ!)

衣(闇の現をみせてやろう)

咲(うーん……)

咲(気持ちは本調子に戻ってきたけど……)

咲(どこか違うような気がするよ……)


咲(あ……思い出した!!)

咲「あの……」

咲「脱いでもいいですか?」

衣「○※▲#□$~~!?」ガタッ

                                            サァキサァァァァァン!?>

池田(天江うるせっ)

咲「靴……」

衣「……………………」スッ

池田(何事も無かったように座りやがった)

衣(靴下を脱いだか……)

衣(咲は今生足か……)

衣(…………………………)

衣(ふむ)チラ

池田(今度は台の下を覗いて……なんだし……)


咲(思い出したよ……)

衣(咲の足……綺麗だな)

咲(私が一番麻雀をやっていた頃のこと)

衣(キメ細やかながらもピンと張り詰めた肌だ……)

咲(うんっ――)

衣「咲」

咲「うん?」

衣「足嘗めてもいいか?」

咲「ダメだよ」ニコッ

衣「ちぇ」

咲(こういうやり取りも懐かしいな……)

咲(おんなじかんじだよ!)


池田(対戦相手を呪うのは弱者の思考だけど……)

池田(これはもう呪わずにはいられない……)

池田(まるで悪夢だし……)

池田(誰か真面目に麻雀やってくれ……)

咲「……」ふふ~ん

ゆみ(モモォ、見ていてくれよぉ!)

衣「なぁ、靴下なら嘗めてもいいんじゃないか?」

咲「ダメだよ」

衣「じゃぁにおうだけ!」

咲「だぁ~め」

衣「むぅ」


衣(月は出ている……)

衣(力も充盈している……)

衣(欲情もしている……)

衣(点差も十分……)

衣(だがやはり――)

衣(月に翳りを感じる)

衣(これも全て咲、貴様の魅力故にだ)チラッ

                                  サキサン!>

咲(今――原村さんの声が聞こえたような……)

咲(気のせいか……)


咲「カン」

池田(また!?)

咲「もいっこ……カン」

ゆみ(連槓……!! だが嶺上開花ではないのか……)

池田(カンドラで……タンヤオドラ9に化けたし!!)

池田「リーチだし!」

衣(気息奄々としていたはずの上家から感じる……澎湃たる気運!)

池田「早くつもれよ」ドヤッ

衣「ツモ 2000」ホレ

池田「」

ゆみ(調子に乗るからだ)ププ


衣(しかし今の……)

衣(見様によっては咲が風越に助力した様にも……)

衣「咲……逆転できると思っているのか?」

咲「ん? うん、勝つよ」

衣「衣と……結婚したくないのか?」

咲「結婚は……まだできないよ、15だし」

衣「あ……」

衣(家族……友達……伴侶……)

衣(畢竟するに――衣は……やはり、孤独なままなのだ)

衣(咲なら……咲なら……って思ったのに!)

衣(もう、一切合切――烏有に帰せばいい!!)



『勝負はオーラスに突入です……!!』


つづく


衣「ぅ~……咲のばかっ」

池田(天江……)チラ

池田(清澄以外は眼中になし……か……)

池田(点差に胡坐をかいてのうのうとしている君に)

池田(目に物を見せてあげよう)

池田「注意せずにはいられないな」ピッ

衣「えっ?」

池田「15だから、まだできないってことは」

咲「!?」

池田「16歳になったら結婚するってことだろう?」

衣「!」ハッ

池田「そろそろ気づけよ」バン


『試合はついに南四局――』

『オーラスもオーラス!』

『二日間にわたって繰り広げられた県予選団体戦もこの一局で最後です!』

『はたして』

『全国行きを決めるのはどの高校なのか!!』

衣(まだ……か……そう、まだ……というのならば)

衣(時が来れば結婚すると言うことなのか……?)

衣(咲……!)


衣(如何にせん……)ジッ

咲「?」

衣(初めて出会った――)

衣(感覚通りに打っても負けるかもしれない相手)

衣(そして……衣の番となる相手――!!)

衣「…………」

咲「麻雀って……楽しいよね」

衣「?」

咲「今日もいろんな人と打てて……ホントに楽しいよ」

衣「楽しい……?」

衣「衣と麻雀を打って……楽しい?」

咲「うん、いっしょに楽しもうよ!!」

咲(だから結婚とかそういうの全部無しにしよう!)


衣(衣と麻雀を打って楽しい……か)

衣「……」

衣(プロポーズみたいなものか)

衣(これはもう結婚待ったなしだな……)

衣(性欲の傀儡になるのではなく――)

衣(性欲を選択肢の一つとする)

衣(だが今回は結婚を選ぶ)

衣(咲が15だから結婚できないというのなら)

衣(咲が16になったら結婚だ!!)

衣「結婚するか?」

咲「ううん」

咲「私は15歳だからまだ結婚できないんだ……でも……」


咲「16歳になっても結婚はしないよ」

衣「!?」

衣「話が違うぞ風越ァ!」ガタッ

池田「にゃ!?」

ゆみ(なるほど、トラッシュトークだったのか)

衣「衣を騙したのか!?」

池田「いやいや、華菜ちゃんは事実をありのままに述べただけだし!」

衣「咲は衣に欲情していると言っていただろ!」

池田「言ってないし!?」

咲「カン」ボッ


ゆみ「いや、言っていたはずだ」

池田「!?」

ゆみ(もしこの騒動に意味があるのならば……)

ゆみ(流れに乗るのも一つの手段――!!)

池田「鶴賀! 裏切んなし!」

衣「見たことか! 2対1で衣の勝ちだ!」

池田「ぐぬぬ……おかしいし! いいがかりだし」

咲「もいっこ……カン!」


衣「責任を取れ、責任を! 責任払いだ!」

池田「はぁ!? 何で!」

衣「衣と咲の輝かしい未来を潰したのだ!」

衣「それが道理というものだ!」

池田「お前が振られたのはお前のせいだろ!」

衣「はぁぁぁぁ!? 衣が振られる理由なんてないし!」

池田「馬鹿言うなし! 決勝戦の大将戦で急にあんな事言う奴いないし!」

ゆみ(だからカッコいいんだろ)

衣「ふん、凡俗共には到底できまいよ」

ゆみ(然り)

咲「もいっこカン!!」


池田「できないんじゃなくてやらないだけだっての! 普通は引かれるだけだし!」

ゆみ「なに!?」

池田「なんでお前が反応すんだし!」

ゆみ「今はそんな事どうでもいい! 先の発言撤回しろ!」

池田「はぁぁぁ!?」

ゆみ「めちゃくちゃカッコいいだろうが!」

池田「かっこよくないし! 常識ハズレなだけだし!」

ゆみ「ばっかおっま! はぁ!?」

池田「漫画や小説じゃあるまいし、普通あんなことやろうともしないっての」

ゆみ「漫画や小説みたいだからいいんだろうが!」

咲「ツモ 清一……対々三暗刻三槓子 赤1 嶺上開花……」

ゆみ「あっ」

池田「えっ」

咲「32000です」カッ

衣「」


衣「……」ジワッ

衣(勝って結婚するはずだったのに……)

ゆみ(口論に夢中で何が起きたか見てなかった……)

ゆみ「……ふっ」キリッ

池田「……つ、次は負けないし!」アセアセ

池田(やばい……何が起きたか全くわかんないし……)

咲(よし……優勝したし何か言われる前にさっさと逃げよう……)

咲「それじゃぁね……」ソソクサ

衣「……さき……」グスッ

咲「!」ビクッ

衣「友達……友達になってくれないか?」スン

咲「えっ……」


衣「衣は独りぼっちだと思ってたんだ……」

咲「……」

衣「だから、衣と同じ特別になれる人を探してたんだ」

衣「衣は衣が異質で――あまりにも他と違っているから孤独なんだと……」

衣「そう思っていたけど――」

衣「咲――お前が衣を特別から解放してくれたんだ」

衣「もう結婚しろなんて言わないから……」

衣「衣と友達になってくれ!」

咲「うんっ!」

衣「とっ友達なら舐め合いっことかするよな?」

咲「しないよ」キッパリ


桃子「先輩……」

ゆみ「モモ……」

ゆみ「なんというか……どこかに消え入りたい気分だよ……」

桃子「消えてもいいっすよ、今度は私が探すっす! 大声で世界中練り歩くっす!!」

ゆみ「そうなったらキスしてその可愛い口を塞がないとかなっ」クイッ

桃子「あっ」ポッ

ゆみ「それとも……キスしてほしくて……やってるのかな……」スッ

桃子「んっ…………」ギュッ

警備員(最近の若い子は進んでるなぁ……)


咲「みんな……!」

和「咲さん!」

咲「原村さん……」

和「カッコよかったです! 結婚しましょう!」

咲「ご……ごめんなさいっ!」

和「…………じゃ、じゃぁ!」

久「はいはい、そこまで」グイッ

和「ちょっと! 邪魔しないで下さい!」

咲「部長……」

久「咲、お疲れ様」

咲「ありがとうございます、二つの意味で」

優希「優勝だじぇ!」

まこ「ほんま、よくやったのう」

京太郎「やったな、咲!」


美穂子「上埜さん!」

久「げっ」

美穂子「試合が終わったのできちゃいましたっ」テヘッ

久「……あはは」

咲(風越の部長さんだ……)

美穂子「後輩の応援してたんですけど、残念でした……」

久「そ、そう……」

美穂子「でも、優勝したのが上埜さんの後輩さんってこれ運命だと思うんです!」フン

久(絶対違うと思う)

咲(あ、この人もあっち側だ)


美穂子「あ、遅くなりましたが優勝おめでとうございます」

久「あ、ありがとね」

キャップ「優勝祝いに私と結婚とかどうですか?」ポッ

久「いやー……ほら、私まだ18じゃないから、ね?」

和「ほらほら咲さん、部長にはお客さんがいるみたいですよ」

咲「えっ」

和「風越の部長さんみたいですし、3年生で部長同士、きっと大事な話もあると思います」

美穂子「あら」

和「それにお二人はお似合いですし、邪魔しちゃ悪いですよ」

久「のどかぁ!?」

美穂子「あらあら」ポッ


美穂子「そういう原村さんこそ、宮永さんとはとても仲が良いみたいね」

和「ふふ、わかっちゃいます?」

美穂子「一目見ればわかるわ、二人が素敵な絆で結ばれてるって」

和「聞きました? 咲さん、やっぱりわかる人にはわかっちゃうみたいですよ」

咲「えっ? えっ!?」

和「お二人の邪魔をしちゃ悪いですし、私達は私達で優勝をお祝いしましょうねー」グイッ

咲「あっちょtt 引っ張らないd」

久「ちょっ、咲、和!」

美穂子「二人っきりになっちゃいましたね」ニッコリ

久「まこと優希と須賀くんは!?」

美穂子「どこかに行くみたいですよ」ホラ

まこ(すまんのう……あいつらは優希の教育に悪いんじゃ……)ヒラヒラ

京太郎(さすがに二人もいたら俺達には無理です、すんません)ペコッ

優希「優勝祝いに二人してタコスおごってくれるなんて嬉しいじぇ~」ルンルン

久「なんて後輩達なの……!」


久(なんでこの人と二人っきりにさせるのよ……)

美穂子「あの、私お弁当持ってきてるんですけど……もしよかったら……」

久「き、気持ちは嬉しいんだけど休憩時間に食事とっちゃったのよね」

美穂子「そうですか……」シュン

久(ぐっ……罪悪感が……)

美穂子「よく考えてみたら当然ですよね……私ったら舞い上がっちゃって……」

久(……)ズキズキ

美穂子「ごめんなさい、上埜さん……」

久「こ、個人戦がまだあるからその時一緒にお昼食べましょうか」

美穂子「本当ですか!?」パァ

久(くっ……居た堪れなくてつい……)


美穂子「じゃぁ、私お弁当作ってきますね!」

久「あ、ありがとう……」

美穂子「何か食べたいものとかあったら言って下さい、腕によりをかけて作ります!」フン

久「玉子焼きとか好きだけど……」

美穂子「玉子焼きですね、わかりました!」メモメモ

久「そんな気を張らなくても」

美穂子「いえ、折角上埜さんに食べてもらえるんですもの!」

久「そ、そう……」

美穂子「愛妻弁当……素敵……」ポッ

久「いや愛妻ではないと思うんだけど」ボソッ


美穂子「こうしちゃいられません!」ガタッ

久「!?」ビクッ

美穂子「今日から下ごしらえをはじめないと!」

久「今日からするの!?」

美穂子「お料理は手間をかければかけただけ美味しくなってくれるんですよ」

久「いやでも時間かけすぎなんじゃ……大変じゃない?」

美穂子「ふふ、上埜さんに食べてもらえる物を作るのに、大変なわけないじゃないですかっ」

久「あはは……後私、もう上埜じゃないんだけど……」

美穂子「福路になるってことですか!?」

久「!?」

美穂子「そんな……大胆っ……」クラッ

久「ちがっ」

美穂子「福路久……きゃー! 素敵っ!」クネクネ

久「いや違うって!」


美穂子「…………」チラッ

久「あの……聞いてる?」

美穂子(あぁ……上埜さん……相変わらず美しい……)

美穂子(なんだか急に恥ずかしくなっちゃった……)キャー

久「私は竹井久って意味で言ったんだけど……」

美穂子(よく考えたら私ったら押しかけ女房みたいな真似……恥ずかしいっ)

久「おーい」フリフリ

美穂子「もう! 私のばかっ!」ガタッ

久「!」ビクッ

美穂子「ごめんなさい、上埜さん……出直して来ます!!」ドヒュン

久「なんだっていうのよ……」

久「………………」

久「咲と傷の舐め合いでもしようかしら……」


久(ん~まだ会場内にはいると思うんだけど……)

久(あっ…………)

和「なんで私と咲さんの邪魔をするんですか!」

衣「咲が嫌がってるだろう」

和「嫌がってません、ちょっと照れてるだけです!」

衣「そうなのか?」

咲「照れてないです」

衣「照れてないと言ってるぞ」

和「だからそれが嫌よ嫌よも好きの内って事なんです」

衣「むぅ……」

咲「チガウヨ…………」ズーン

久(目が死んでる!!)ガーン


久(でも、天江さんは味方なのかしら……)

衣「照れてるだけなら、衣も咲とちゅーしたいぞ!」

和「はぁぁぁぁ!?」

咲「だから照れてないってば」

和「ですよね!? 咲さんがキッスしたいのは私だけですよね!?」

咲「原村さんともしたくないよ」

和「それは照れてるだけですよね!?」

咲「どうしろっていうの……」ズーン

衣「咲の心は難しいな……」ムムム

久(Oh……)

咲「あっ……部長!」テテテ

久「あー……よしよし、もう大丈夫よー」ナデナデ

和「あああああああ! ずるいですよ部長!」

衣「衣も! 衣も咲撫でたい!」


久「あんたたち、ちょっと落ち着きなさいって」ヨシヨシ

咲「うぅぅ……」ギュー

和「あばばば……咲さんが抱きついてる……SOASOA」ブツブツ

衣「いいなぁいいなぁ、衣もっ衣もー」

久(さて……この魔物二人をどう説得したものか……)フム

久「まず、天江さん?」

衣「うん?」

久「普通の友達はちゅーしたりしないのよ」

衣「そうなのか!?」

久「えぇ、そうよ」

衣「でもトーカと一はいつもしてるよ?」

久「」


久「そ、それはその二人は友達ではなく、特別な関係だからよ」

衣「そうなのか……」

久「そうよ、だから普通の友達同士はそんな事しないの」

衣「鎖で繋いだり縄で拘束したりもしないの?」

久「しません」キッパリ

衣「でもでも、足を舐めたりはするだろ?」

久「しないわよ!」

衣「えぇ……おかしいなぁ……」

久(おかしいのは龍門渕よ……)

咲(もうヤダ)


久「とにかく、一旦自分の高校のとこに戻りなさい」

衣「は~い」

久「それで普通の友達がどんなものか皆に聞いてみると良いわ、あくまでも普通のを聞くのよ」

衣「うんっ」

久「そうすれば咲とももっと仲良くなれるわよ」

衣「わかった! ありがとう……えっと……」

久「久よ」

衣「久!」

久「えぇ、またね」

衣「またね、咲も!」

咲「あっ……うん、またね?」


久「まずは一つクリアね……」フゥ

咲「ありがとうございますぅ……」

久「いいのよ」

咲「部長カッコイイです! すごいです!」

久「あら、ありがとう」

咲「部長が居てくれて良かtt」

和「そんなオカルトありえません!」

咲「っ!」ビクッ

和「部長、咲さんから離れてください!」

久(まだラスボスが残ってたか……)ハァ


和「咲さんには私がいるんです!」ザンッ

和「頼りになりますよ、私!」ズイッ

和「頼りにしてください!」ズズイッ

和「結婚しましょう!」ズズズイッ

和「ねっ!?」

咲「ひぃっ」

久「はーいストップストップ」

和「むっ」

久「和に良いコトを教えてあげるわ」

和「何ですか、今良い所なんですよもう少しで咲さんと結ばれるところだったのにジャマシナイデクダサイヨダイタイブチョウg……」

久「恋愛テクニックよ」

和「聞きましょう」ササッ


久「私もネットで知った知識なんだけどね」

和「ネットですか……」

久「確かにネットで手に入る知識は信頼性に欠けるわ」

和「はい」

久「でもね、その知識をどうするかはあなた次第よ、和」

和「そうですね……まずは聞きましょう」

久「押して押して押して引けば、女は落ちるのよ」

和「な、なんと!?」

久「今までグイグイ来ていたアピールが急に無くなる……」

久「アピールがある時は気づいていなかったけど、なくなると寂しくなってしまう……」

和「ふんふむ」メモメモ

咲(本人の前で言っちゃ意味無いと思うんだけど……)


久「一度気になるともう止まらないのよ」

和「kwwsk」

久「今まであんなにすごかったアピールがなくなったのはもしかして……私の事……」

和「!」ハッ

久「そうなったらもう相手は不安になってしまうでしょうね、そして……」

和「咲さんから……アプローチがくるっ……!」

久「そういうことよ」ニコッ

和「なんと……なんとぉ……」

咲(部長を拝んでる……)

和「ありがたや……ありがたや……」


和「ありがとうございます……部長」スクッ

久「いいのよ、これも先輩の役目よ」

和「自分に足りないものが、わかりました」

久「そう、ならもう大丈夫ね」

和「はい!」

久「よかったわね、咲 これでしばらくは治まるでしょ」ヒソッ

咲「ありがとうございます! やっぱり部長はすごいです!」キャッキャッ

久「はっはっはー、もっと褒めてもいいのよー」デレデレ

和(私は間違っていた……)

和(まずは押すこと、そこで咲さんにアピールせねば!!)グッ

和(そしてその後に引いて焦らすことで……ふひひひ!!!)ジュルッ


つづく


奈良――


晴絵「あららららあらあらた!」

杓「ハルちゃん……どうしたの」

晴絵「1回戦の相手が! ばばば晩成こうここう高校!」

杓「全国行くならどの道当たる」

晴絵「でもさぁ……いきなりってないだろぉ……」グスッ

杓「大丈夫だよ……」ヨシヨシ

晴絵「できれば最後まで当たらないで欲しかったよぉ……」

杓「ハルちゃん……」

晴絵「最悪決勝でもいいけど…………」

杓「大丈夫だとおも」

晴絵「なんで……?」

杓「私達にはハルちゃんがついてるし……」

晴絵「杓ぁ……」

杓「任せて……」


――県予選終了

ドア「バン!」

穏乃「新聞見た!?」

憧「…………」ンー

憧「ああ」ピーン

憧「ネットで見た」

穏乃「長野の優勝校!」

穏憧「「清澄!」」

穏乃「和のいる学校――!!」

憧(シズとハモっちゃった!)

憧(チョー嬉しいんだけど……やっば顔赤くないかな……)カーッ


玄「和ちゃん、やっぱり勝ち上がってきたんだ!」

憧「決勝戦、大荒れだったみたいだよ」

穏乃「そうなの?」

憧「うん、詳しくはわかんないけどね」

穏乃「でもこれでやっと全国の舞台で会える……!!」

憧(シズと全国に行ける……こんな幸せでいいのかなー)

穏乃「燃えて来たぁ!」

穏乃「憧、頑張ろうな!」グッ

憧(シズが手をグーにして差し出してる……)

憧「当然、和んとこも倒してウチ等が優勝でしょ」ガッ

憧(きゃー! ぶつけちゃったぶつけちゃった! 日記に書くこと一杯だ今日!)ムフー


新子家


憧「きらきら輝く朝の雫……」カキカキ

憧「はしゃぐ君もきらきらしていて……」カキカキ

憧「その目が見るのは私じゃなくて……」カキカキ

憧「ほんのちょっぴり……」カキカキ

憧「ハートが傷つく……」カキカキ

憧「女の子は繊細なんだから……優しくしなきゃ……ダメだぞっ……と」カキカキ

憧「………………」フム

憧「今日も中々良いのが書けたわね」キリッ



憧「あと日記日記……」ゴゾゴソ

憧「ふふ……今日はシズとハモっちゃったからな~」ニヤニヤ

憧「やっぱシズの親友としては息も合っちゃうかぁー」デヘヘ

憧「別の中学に行った時は悲哀だったけども……」

憧「会えない時間が愛を育てちゃったかなー」ムフー

ドア「コンコン」

憧「ん~?」

望「電話~」

憧「家電に? 誰?」

望「昔良く遊んでた和ちゃん、懐かしい」

憧「和!? まじで!?」バッ


憧「もしもし! 和!?」

和『お久しぶりです、憧』

憧「ほんとめちゃくちゃ久しぶり」

和『急に電話してすみません』

憧「いや別にそれはいいんだけど、どうしたの?」

和『実はですね、憧も私と同じ趣味の持ち主だと思い朗報をと』

憧「ん~? 朗報ねぇ……何?」

和『女を落とす方法です』キリッ

憧「」



憧「え……ごめんよく聞こえなかった、なんて?」

和『女を堕とす方法です』キリッ

憧「」

和『おや……私の見立てでは憧は穏乃の事が……』

憧「!? ちょっ! わー! がおー!」

和『ちょっ耳が痛いですよ』キーン

憧「あ……ごめん……」

和『まったく』プンプン

憧「ってそうじゃなくて……なんで?」

和『なんで、とは?』

憧「いや……その……あたしが、しっしししシズのこと……その……」

和『憧が穏乃の事を好きってことですか?』

憧「あばばばばb」



憧「えぇ……絶対誰にも気付かれてないと思ったんだけど……」

和『いえ、わかりやすかったですよ』

憧「マジかー」

和『マジです』

憧「恥ずかしい……超恥ずかしい……絶対今顔真っ赤だ」

和『恥ずかしがることありませんよ、その気持ちはとても素晴らしいものです』

憧「……そう?」

和『えぇ、インターミドルチャンピオンの私が保証しますよ』

憧「麻雀の中学生王者の保証があってもなぁ」ハハ

和『では憧の友達として』

憧「あはっそれなら安心だ」

和『えぇ、安心してください』



和『それで友人として、憧に良いコトを教えてあげます』

憧「ん~?」

和『押して押して押して引く……ですよ』

憧「何それ」

和『そうすることで穏乃のハートもゲットです』

憧「ふむ……」

和『これは落とした女は数知れず……股の乾く暇の無い女ことうちの部長からのリークですからね』

憧「まじか」

和『まじです』

憧「おっそろしいわ清澄」

憧(シズは近づけちゃダメね……)


憧「積極的にアピールしてから一旦それをやめることで相手を不安にさせるって所かね」

和『さすがですね、その通りですよ』

憧「確かに有効だね、シズみたいなタイプには特に」

和『えぇ、憧ならば上手くいくはずです……』

憧「さんきゅ、和」

和『いえ、朗報をお待ちしてますよ……では……』ガチャ

憧「押して押して押して引く……」

憧「恋愛は駆け引きって言うしね……」

憧「偏差値70越えの知力を発揮する時が来た様ね……」

憧「よーし……待ってなさいよ! シズ!!」フン


翌日早朝の教室


憧「……」キョロキョロ

憧「誰もいないわね……」

憧「よーし……」ゴソゴソ

憧「これがシズの机ね……」

憧「ふふふ」

憧「本当に誰もいないよね……」キョロキョロ

憧「こんなの見られたらもう人生の終わりなんだから……」ゴソゴソ

憧「よし、これでOK!」

憧「シズ……覚悟しなさいよ!」




――放課後、部室

穏乃「あ、アコー」

憧「なっ何!?」

穏乃「これ前美味しいって言ってたお菓子」

憧「くれるの?」

穏乃「うん、もらいもんだけどね」

憧「ありがとー」

穏乃「ほーい」

憧(やばー! 早速だよ! すごい! )

憧(好きな人の机に自分の名前を書くと両想いになるっておまじない……本物だ!)


憧(おまじないパワーが尽きる前に……)

憧(和に教えてもらった作戦で……)

憧(即効で決める!)

憧「しっしししししssしずぅ!」↑

穏乃「ん~?」

憧「あ、あーん!」

憧(ここは攻める!)

穏乃「おっ、あーん」パクッ

憧(きゃああああああ! あーんしちゃったよ! お姉ちゃーん! 大人になっちゃったよ!?)

穏乃「うん、おいしいねこれ、サンキュー」モグモグ

憧(シズもシズで平気であーんされてるし……惚れてまうやろ! もう惚れてたわ!)

憧「でしょー」

憧(あわわわ! やばいこれ攻めすぎたかもしれない……)カァー


憧(いや違うわ……)

憧(果敢に攻めてこそ引いた時に大きな成果となる」

憧(ここはグッジョブよ、自分にグッジョブよ憧!)

憧(となると十分に攻めたし次は引く……)

憧(どうするか……)

穏乃「……」ジー

憧(ん……シズったらお菓子をじっと見てる……)

憧(1つ食べたらもう1つ食べたくなっちゃったかな)

憧(もう……しょうがないなぁ……)

憧(ま、そんなトコも可愛いんだけど……)

憧(……待てよ……これだ!)


憧「シズー」

穏乃「んー」

憧「はいあーん」ヒョイ

穏乃「あっ! あーん!」パァ

憧「とみせかけて」パクッ

穏乃「あー! 憧ひどい!」

憧(ごめんねシズ、これもあたしとシズの未来の為なの!)

憧「あはは、ごめんごめん ほらあーん」ホラ

穏乃「あーん!」パクッ

憧「ふきゅ! ふぇっ!? シズ!? 指ごと!」

穏乃「またとられないようにね!」モグモグ

憧「ったく……シズったらぁ指舐めるかぁ普通」

憧( 本 物 だ ! )

憧(あわわ絶対もう指洗わないこれもううわー和すごいよあの作戦神だ……)

憧(生まれてきて良かったぁ……)


――全国大会会場


晴絵「じゃあ灼、抽選お願いね」

杓「はい」

晴絵「お前誰だよ! あらたぁ!」

灼「はい」

晴絵「ちゃんと道わかるか? 一緒に行こうか?」

灼「ただの抽選におおげさな……」

晴絵「うちらは観客席で待ってるからな、終わったらすぐこいよ?」

晴絵「寄り道するなよ? なんかあったらすぐ電話しろよ、すぐ行くからな」

灼「わかったから……行ってくるね」

穏乃「ぶちかませー!」

憧「いけー!」

玄「灼ちゃんファイト!」

宥「頑張ってねー」

灼「皆おおげさ……」


穏乃「なー、もしぐーぜん和に会っちゃったらどーする?」

憧「それはもう仕方がないんじゃない?」

穏乃「会っちゃうかもなー」ウヌヌー

憧「ホントは早く会いたいからねー」

晴絵「!」

咲「…………」

晴絵「」ゾクッ

玄「」

晴絵「あばばばばばばっばb」

玄「あわわわ」ヒィー

穏乃「え 何……!?」

憧「あ、あの制服……」

穏乃「清澄!」

晴絵「もしもし! 灼!? 今どこにいるの? 助けて! 怖いのがいるんだよ!」

宥「先生、それ電話じゃなくて私の手袋です」


――2回戦終了後

晴絵「ベスト8おめでとー!」パーン

灼「クラッカーは近所迷惑になるとおも……」

晴絵「まぁまぁ、皆飲みねぇ飲みねぇ」

灼「麦茶だけどね……」

晴絵「カンパーイ!」

宥「私のホットだぁ……」

晴絵「いやよくやったぞ! 偉い!」

穏乃「明後日もがんばりましょう!」

玄「おー!」


――解散後

晴絵「やばいよ灼ぁ……」

灼「どうしたの……」

晴絵「準決勝、白糸台と千里山がいるよぉ……」

灼「うん……」

晴絵「さらには福岡の強豪新道寺まで……」

灼「でも、勝つよ」

晴絵「いやでもさぁ! ウチら論外って言われちゃってるよ……」

灼「ちょっと不安になってるだけだよ、今日は寝よう」

晴絵「あらたぁ……」

灼「私は監督会議に出てくるけど、一人で寝られそ?」

晴絵「無理」

灼「じゃぁ寝るまで一緒にいるから……大丈夫」


次の日

晴絵「あらたー朝飯どーす…」

晴絵「あっれ」

晴絵「あらたー」ガチャ

晴絵「トイレか?」

晴絵「おーい?」

晴絵「ベットの下か?」

晴絵「クローゼットは服をしまうところだぞー」ガチャ

晴絵「まさか誘拐!?」

晴絵「やばいやばいやばいどうする!?」

晴絵「電話だ電話電話しよう!」ピッ

晴絵「もしもし望!? 灼が誘拐されたよどうしよう!?」


晴絵「いや風呂入ってる間にいなくなってて……」

晴絵「灼が私に何も言わずに出て行くわけないだろ!?」

晴絵「見てないけど……」

晴絵「あ、書置きがあった……」

晴絵「うん、ごめん……」

晴絵「ありがとな、望」

晴絵「おう、優勝してくるよ……じゃあな」ピッ

晴絵「ったく灼も人騒がせな奴だ……」


――ハルちゃんへ、今日はみんなと練習してきます。
   ご心配なきよう。
   ご飯と飲み物は一応冷蔵庫に入れておきました。
   足りなかったらルームサービスを使ってください。
   何かあったら電話してください。
   人が来たらドアを開ける前に誰か確認してからあけてください。
   知らない人だったら開けないで下さい。
   お風呂上りは風邪を引かないように気をつけて下さい。
   暑いけどジュースやアイスと摂り過ぎないようにね。

                                           灼



つづく

>>169
灼熱って打って熱を消してたんだけど
面倒になって「しゃく」で変換したら「杓」でイケルやん!って思ったら全然イケてなかった
スマンな

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月21日 (水) 01:52:23   ID: wNclPTp8

これがクレイジーサイコレズか…

2 :  SS好きの774さん   2015年01月27日 (火) 10:25:29   ID: oiFdoD2m

衣さん当然のように欲情してらっしゃいますねぇ……

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