◆花吐き病
◇ことほのうみのご都合ハッピーエンド
◆シリアス展開有
◇違和感はことりのおやつにしてください
その他SSもよければ。
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数日放置していてすみませんでした……
今から投稿します
書き溜めなしの現行執筆ですが、短かめな予定なので今日中に書き切りたいと思います。
好きになったのはいつだったか、
もう昔のことすぎて覚えていない。
気づけば、いつも一緒だった。
そう、私達は「3人で」いつも一緒だった。
当たり前のように一緒にいて、
当たり前のように好きになって。
そんな日常もある日、
大好きな穂乃果ちゃんの一言で終わりを告げた。
「海未ちゃんと、お付き合いすることになりました……」
えへへ、と可愛く照れ笑いをするも、私の耳には全く声が届かない。
視界に靄がかかって、穂乃果ちゃんと海未ちゃんの姿もきちんと見ていられない。
一歩、また一歩と
後ずさり、後ずさり。
「おめでとう、幸せになってね」なんて、
嘘の笑顔で固めたとしても数秒後にはボロが出る。
じわじわと、涙腺が緩んでいくのを感じて私は慌てて顔をそらす。
「2人は両想いだったんだねっ、」
「えぇ……恥ずかしいですが」
「でもでもっ、これからも3人で一緒にいようねっ!」
残酷すぎる穂乃果ちゃんの言葉に、今度こそ視界が真っ暗になる。
私は「恋人」である2人の中にどうやって入っていけばいいのか。
友達と恋人のラインが分からない。
海未ちゃんは良くて、私がダメなこと?
区別が付けられている中で
ただ一人、穂乃果ちゃんへの想いを抱えて3人で一緒にいるなんて、それはなんと言う名の拷問だろうか。
「そう、だね」
顔に張り付いたままの笑顔で、空虚を見つめ私は心のない返事を返した。
………………
「ことりちゃんーっ!!」
……あぁ、今日もあの時間が始まる。
私にとって嬉しくて幸せで辛くて苦しい時間が。
パタパタ、と可愛らしく小走りして私の元へ走ってくる穂乃果ちゃんは少し頬を膨らませていた。
「もう!なんで最近毎日1人だけ先に行っちゃうの!
ことりちゃんとも一緒にいきたいよ〜!」
そう言って腕にしがみついてくるその姿に胸がきゅん、となる。
「ご、ごめんね、やることがあってー」
そんなことは嘘っぱちだけれど。
素直に一緒にいきたくないとはさすがに言えない。
だって…
「そうですよ、ことり。いくら私と穂乃果が付き合っているとはいえ……気を遣いすぎなのではないですか?」
穂乃果ちゃんと海未ちゃんは恋人同士なんだから。
「そ、そうかなっ?そんなことないと思うけど…」
「そうですか?もし気を遣っているのであれば気にしないでくださいね。
私達は3人で幼馴染なんですから」
「そうだよ、ことりちゃんっ!だから明日はことりちゃんも一緒だからね!」
「う、うん……」
……『3人で幼馴染』?
2人は『恋人』なのに?
おかしいよね。
どうがんばったって、ことりは海未ちゃんに勝てない。
結局ことりはいてもいなくても変わらないの。
苦しい。
考えるだけで胸が苦しくて、息ができない。
私だけ。
私だけ立場が違う。
穂乃果ちゃんの隣に居られるのは海未ちゃんだけ。
あんなに海未ちゃんが余裕そうなのは、きっと勝者だから。
ことりが海未ちゃんから穂乃果ちゃんをを奪えないって知ってるから。
幼馴染だからずっと一緒?
ふざけないでよ
そんなのことりの立場になってから言ってよ
何も分からないくせに
幼馴染だけ、っていうこと肩書きがどれだけ重いか知らないくせに……!
毎朝、毎朝。
バカップルようにイチャつく2人をどんな気持ちでことりが見てるか。
どんな気持ちで毎朝1人で早く学校に来てるか。
2人がきっと知ることはないんだろうな。
「……ごめんね、ことりお手洗い」
「うんっ、行ってらっしゃい」
……醜い。
こんな気持ち、醜いだけだ。
言ってしまえば負け犬の遠吠えだ。
そう、穂乃果ちゃんも海未ちゃんも悪くない。
ただお互いがお互いを愛していなかっただけ。
…そこに、ことりがいなかっただけ。
「当たり前だよ、ね」
だって、ことりは想いを穂乃果ちゃんに告げることは出来なかった。
幼馴染という壁を越えて、性別をも越えて
自分の気持ちを伝えることは怖くて出来なかった。
その壁を越えたのが海未ちゃん。
妬んだって仕方ない。
それに、海未ちゃんの良いところなんて幼馴染としてずっと見てきたんだからたくさん、たくさん知っている。
きっと海未ちゃんなら間違いなく穂乃果ちゃんを幸せにしてくれる。
そんなことは百も承知だった。
でも、それでも。
「穂乃果ちゃん……っ」
幼い頃から、ましてや物心がつく前からのこの大きな想いは消えるどころか更に日を追うごとに強くなっている。
側にいたい。触れたい。
けれどそんなことが許される立場ではない。
激しい葛藤と日々闘うばかりだった。
「……すき」
一度口にして仕舞えば
「すき、すきだよ」
それは次々と溢れ出して
「すき、愛してる、穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃん愛してる」
もう、止められない。
「ねぇ、穂乃果ちゃん?なんでことりじゃだめなの?
ねぇ、穂乃果ちゃん好きよ?愛してる。
他の人なんて見ないで?ねぇこっち向いて?」
穂乃果ちゃんがいるはずもない、
ただの空虚に向かって絶えず話しかける。
その目にはもう何も見えていない。
……ううん、見ないようにしていた。
自分が選ばれなかったという事実を。
海未ちゃんが穂乃果ちゃんの恋人である事実を。
「えへへ……今日も穂乃果ちゃんは可愛……、……っ!?」
そして、突然の吐き気に
急いで手洗い場へ駆け込む。
「げほっ、ごほっ……ぅっ……げほっ…………っは、はぁ…いきなり何…………っ、え…?」
流し場には
ーー無数の真っ赤なアネモネの花びらが散らばっていた。
「え……?な、なに……」
現実についていけず、頭の中でぐるぐると考えを巡らせる。
……あぁ、なんだ、そっか。簡単なことだ。
たまたま駆け込んだ流し台に花びらがあっただけの話。
「自分が花を吐いちゃったかと思ったよ……さすがにそれはびっくりすぎだよね。
……穂乃果、ちゃん」
安心すると今度は愛しい想い人の笑顔が浮かぶ。
愛しくて、愛しくて。
けれども彼女はもう他の……
「ぐっ……!?」
さっきと同じ吐き気に襲われ再び流し台に咳き込む。
「ごほっ、げほ、げほっ……はっ…かはっ…………なっ…!?」
さっき全部花びらを流して綺麗にしたはずのそこには、真新しい花びらが散らばり煌々と存在を主張していた。
「わ、私、花を、吐い……?
ちがう、よね?そんなわけないよね…っ!?」
パニックになる。
こんな時でさえ誰もいない。
誰かいたとしてもきっと信じる人はいないだろうけど。
「…………こほっ」
軽く咳き込み、おもむろに口の中に指を突っ込む。
「……なんで」
口から引き出したそれは、
確かにさっき流し台に散らばった真っ赤なアネモネの花だった。
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