石丸「腐川くん、僕がクイズを出してあげよう!」 (9)


・石丸×腐川のss
・CP厨の戯言
 

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「山よりも高~く! 海よりも深~い! この気持ちは! な~んだ!?」

「……」


うざい。

馬鹿のような素振りで、馬鹿のような笑顔を浮かべ、馬鹿のような言葉を並べる目の前のコレは、石丸という男である。
というか石丸は馬鹿である。


誠に残念ながら、コレはあたしに話しかけているみたいだ。
キョロキョロと辺りを見回すが、下はテトラポッド、上は澄み渡る空、斜め下には一面にサラサラと輝く海が広がっている。


この辺りに人間は、この石丸という男を除くとあたししかいない。
というか、この男がまともな人間かどうかは非常に疑わしいため、実質的にはあたししかいない。
 



「ぬかったわ。せめて通訳を連れてくるべきだったわね」

「ハッハッハッ! これはクイズだからな! 分からないのも無理はないのだぞ!」


「ちょっと黙ってなさい」


澄み渡る空と海、爽やかな風、そして燦々と照る太陽がよく似合っている。
それにもまた腹が立つ。



ヂリリ。太陽が燃える音がする。
 



「腐川くん、答えを教えてあげよう」

「別に知りたくないわよ」


何故こんなところに、よりにもよってこの男と、よりにもよって二人きりで一緒に来てしまったのだ。


一週間ほど前に石丸にこの場所に来るように言われ、勢いに飲まれてあれよあれよという間に約束を半ば強引に取り付けられてしまったような気がする。


すっぽかさずに時間通りに来てしまったのだから世話もないが。

やはり来なければよかった。
 



男は立ち上がり、握り拳。
晴れすぎている空に向かって吠える。

あつい。


「正解は~~!!ダカダカダカダカダカダカダカダカダカダカダカダカ!!」

「……」


どうしてこうも、この男は琴線に触れるのが上手いだろう。
どうにも的確すぎやしないだろうか。

他人のフリをしたいのだが、ここにはそんな相手もおらず、逃げ場がない。




「ダカダカダカダカダカダカダカダカダカダカダカダカ~~~~~」

「早くしなさいよ」
 



「愛だッ!!」

「……は」


A I D A 。 相田。 間。

拳を力強く握ったまま、こちらを見下ろすその表情は、逆光で微妙に分かりにくい。
しかし、声色は以前として清々しいものであった。


「僕の君への愛は、山よりも高く、海よりも深い」

「……ぬ、ぁ?」

「いいのだよ。君は十神くんを追いかけたまえ。僕はただ、君に伝えたかったのだ」



――すっきりしたよ。ありがとう。と、発音した。
その声は何故か、いつまでも耳に響く。
 


――
――――
――――――


去って行った男を見送りもせず、太陽の元で海を眺め続けた。


あの馬鹿はいつも灼けるソノ感情のままに、ぶつかってくる。
あたしが小説に注ぎ込む、細かな文字の羅列を嘲笑うかのように、その体に感情を纏うだけで、正確に熱情を伝えるのだ。


ソンナコトが、あってたまるものですか。

しかし、今、ここにあたしが――ソンナコトの結果を思い知るあたしが――存在しているのだ。




「忌々しいわ」


波が潮を運ぶものだから、しみて仕方がない。
その上、風が感情を攫っていく。


夕陽が鳴るのだ。ヂリリ。




END


タイトルは【灼ける熱情】でした。
最初に入れ忘れた。
 

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