受付「勇者様! 英霊祭ですよ!」 幼女「♪♪♪」 (495)
・このSSは魔法使い「なにか食べたいものはあるかの?」幼女「チャーハン!」の続きです
魔法使い「なにか食べたいものはあるかの?」幼女「チャーハン!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420450266/#header)
・慣れない部分もありますがそこは見なかったことに…
・基本妄想の垂れ流しです
・前作を見てなくても雰囲気だけでぽやっとわかる気がしないでもないような気がします
・書き溜めの部分もありますが、ゆっくり進行していきたいと思ってます
それでは始めていきます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1421063327
スレ立てから早速のレスで正直ビビっておりますwww
流し読み程度で気楽に楽しんでいただけたら幸いです。
それでは改めまして初めていきます
「雷魔法! 雷魔法! ………くっそう!! なんで出ないんだよ!?」プス プス
「なんで魔法が使えないんだろ……またみんなに馬鹿にされちゃうよ」ハァ
「…………なにしてるの?」ガサガサ
「うわぁぁぁぁ!! びっくりしたぁ!」
「なにしてるの?」
「俺がここでなにしようと勝手だろ! なんだよお前!」
「えっと私はここで働かされていて、火を起こすために薪を拾いに来たの。ここはご主人様の家だから……」
「え? そうなの?」
「うん、警備の人が来たら君、大変だよ……?」
「せっかく近所にいい練習場所ができたと思ったのに……」ガックシ
「魔法の練習してたの?」
「う、うん。学校で習う基礎魔法なんだけどさ、俺どうしてもできなくて。このままじゃ馬鹿にされるからこっそり練習を……ほらお前も習うだろ? 学校で」
「わ、私は、そういうのとは違うから……」
「そんなもんなのか? で、とにかく! 俺は今すぐ魔法が使えるようにならなきゃいけないんだ!」
「それで練習してたんだ?」
「そう! ………だけど……えい!!」
……プシュー
「この有様で……」
「………」
「なんとかしないと、このままじゃ勇者になれないよ……」
「君はユーシャになりたいの?」
「だってカッコイイだろ? 勇者! 悪い魔王からみんなを守る正義のヒーロー! 俺もそんな勇者になりたいんだ!」
「いいなぁ、夢があって。私なんてこんなんだから、誰かの後ろでビクビクしてることしかできないもん」
「はは、お前弱そうだもんなぁ」
「……うん」
「いいぜ、俺が勇者になったら、俺がお前も守ってやる! ………だからさ」
「なに?」
「魔法が使えるようになるまで、ここで練習させてくれ!」
「えー?」
「なぁ、頼むよ! 家で練習してたら失敗して母ちゃんにすげー怒られたんだ」
「………いいよ」
「本当か! やりー!」
「私も練習してるところ見ててもいい?」
「え!? ………それは」
「見せてくれなきゃ今すぐ警備の人呼ぶ」
「わかった、わかったって! それでいいから!」
「えへへ」
「へへ、このことは俺達二人の秘密な!」
「うん、君と私の二人だけの秘密!」
――――――
ビシュン! シュン! ゴォォォォォオオ!!
魔法使い「豪炎魔法!」
火竜「当たるか!」
魔法使い「ならばこれでどうじゃ? 水龍魔法!」
火竜「しゃらくせぇ! 今度はこっちから行かせてもらうぜ」コォォォォォ
魔法使い「なんの! 魔道障壁!」
火竜「くらいやがれぇぇぇぇぁぁあああああ!!!」カッ!
バリィィィン!
魔法使い「くぅ、お主中々やるのう?」
火竜「小娘、お前もやるじゃねぇか、勇者とかいうガキより強えぇ!」
魔法使い「わしが勇者より強い?」フン
火竜「なにがおかしい?」
魔法使い「いや、お主は勇者のことをなにも知らないんじゃな、と思っての」
火竜「おかしなことを言いやがる。……次だ。次でお前を消し炭にしてやる!」
魔法使い「お主の方こそ、わしが勝ったら幼女について知ってることを洗いざらい喋ってもらうぞ?」
火竜「勝てたらの話だがな……」ケッ
魔法使い「……すまんが火龍よ、残念ながらもう勝負はついておる」
火竜「なにぃ?」
魔法使い「勝利宣言させてもらうぞ! 高らかにの!」ニカッ
助手「調子に乗っちゃって……まぁそこが可愛いんだけど」ガチャン
火竜「な、なんだあれは!?」
助手「言ってしまえば『擬似的な龍族のブレス』ってところかしら?」
魔法使い「そうじゃ、わしが開発した新兵器! その名もドラゴニックキャノン! もっとも、お主に使った後は設計図ごとぶっ壊すつもりじゃがの。どうじゃ! 贅沢であろう?」カカカ
火竜「てめぇ、何者だ!?」
魔法使い「なんてことはない。ただの通りすがりの可愛い魔法少女じゃよ!」ビシッ
助手「そしてその助手」ビシッ
火竜「……馬鹿にしやがって! たかが人間ごときにそう何度もこの誇り高き龍族のブレスを真似することなどできるわけがあるか! その思い上がりごと灰にしてやるよ!」コォォォォォ
魔法使い「ならば、その誇りごと灰燼に帰してやるとするかの! ドラゴニックキャノン! 発射ぁぁぁぁあああああ!!!」
火竜「死ねぇぇぇぇ!!!」
ドカァァァァァァン
魔法使い「ふむ、もう片翼ももげてただのトカゲになってしまったの」カカカ
助手「魔法使い、失礼よ」
火竜「笑うなぁ!」
魔法使い「すまんすまん」
火竜「……チッ、約束は約束だ。なんでも答えてやるよ」
魔法使い「勇者から聞いた話によると、お主は幼女についてなにか知っている様子だったそうじゃな? それについて聞きたいのじゃ、知っておるな?」
火竜「……あの金髪のチビ自身のことについてはなにも知らん。……ただ、あのチビが放ったブレスを使うお方を俺は知っている」
魔法使い「して、そいつは何者なんじゃ?」
火竜「あのお方の名は―――――」
―――――英霊祭当日 王都―――――
受付「勇者さん! 英霊祭ですよ! 英霊祭!」キャッキャ
幼女「♪♪♪」
勇者「……なんであんたがいるんですか……」
受付「いやー、不肖受付! 地獄の底から帰還して参りました!」 ビシッ
同僚「こんにちは、勇者様」ニコッ
勇者「あれ、あなたは?」
受付「同僚ちゃんです! 転移魔法でここまで連れてきてくれたんですよ」エヘヘ
勇者「……いつもご苦労様です」
同僚「それはお互い様です……」
勇者「じゃあ、もう仕事は全部終わったんですか? え、あの地獄絵図が片付いちゃったんですか!?」
同僚「ええ、この子、とにかく仕事だけは早いんですよ……」
受付「幼女ちゃんに会いたい一心で頑張りました! 勇者様褒めてください! あ、やっぱり幼女ちゃんの方がいいですね」ダキッ
幼女「………ユ、ユーシャ…」クルシイ
受付「幼女ちゃん、ユーシャじゃないですよー。受付ちゃんですよー」
幼女「ユーシャ!」
受付「むぅ、幼女ちゃんが未だに名前を呼んでくれません」オヨヨ
同僚「……すごいですよ、冗談でも嘘でもなく1人で100人分くらいの仕事量こなしますからね」
受付「どうです? 少しは見直したでしょう。撫でてくれてもいいですよ!」ヘヘン
勇者「見直すって言うよりちょっと引く」
受付「ひどい!」
同僚「それで私を巻き込んで有給消化ということで王都に……」
受付「いやー、転移魔法なんて誰でも使えるものじゃないですからね! 旅費と時間を節約できて助かりましたぁ」
勇者「おい」
同僚「いいんですよ、もう慣れましたから」ハハッ
受付「………もちろん冗談ですよ?」
勇者「あんたが言うといまいち嘘くさいんですよねぇ……」
受付「マイナス5万と……」
勇者「おい、今なにを計上した!」
同僚「なるほど、予算節約ね」
勇者「同僚さんも! 俺達、それがないと生きていけないんですから!」
同僚「働けばいいと思いますよ」
勇者「嫌だ! この場合本当に働いたら負けな気がする!」
同僚「それより、こんなところでモタモタしててもしょうがないですよ! 今日は英霊祭の初日です! この英霊祭は招かれた国々の名物料理が出店としていっぱい開かれるんです! 今日は食べ歩きますよぉ!!」ゴゴゴゴゴ
勇者「ああ、そういうお祭りなのか、英霊祭って」
同僚「勇者様は初めてで?」
勇者「田舎だったから、王都にはなかなか行く機会がなくて……」
同僚「表向きは厳かな感じですけど、そんな感じですね。一種の異文化交流ですよ。この機会に稼いでやろうって商人たちがうちの国に群がってくるんです。その出店手続きやらなんやらであんなに大量の書類が……」ガタガタ
勇者「へえ………」
同僚「あ、ちゃんとした式典もありますよ?」
受付「そうです、そうです! 今回の目玉はなんと言っても明日行われる聖女像の完成記念式典なんですよ!」
同僚「馬鹿!」ガンッ
受付「痛っ!!! なにするんですか! いきなり!」
同僚「勇者様の前でそんなこと……」
受付「あっ……そうでしたね、無神経なこと言ってごめんなさい」
勇者「? なにが?」
同僚「……さぁ、気を取り直して勇者様! 今日は私たちの奢りです! 食べましょう! 遊びましょう!!」
勇者「へ?」
同僚「お金のことはお気になさらずに! 働き過ぎでお金使う機会がないので思いっきり溜まってるんですよ!」
受付「そうですそうです、私なんて貯金額がもう8桁いきそうで……」
同僚「え?」
勇者「え?」
受付「え?」
受付「………えっと……幼女ちゃんはなにが食べたいのかなー?」クルッ
同僚「ちょっと待って、あんた毎月いくらもらってるのよ?」
幼女「チャーハン!!」ピョンピョン
受付「あーん! かわいい!!」デレェ
同僚「……行きますよ勇者様! 幼女ちゃん! 賑やかなお祭りが待ってます!!」グイッ
勇者「だからさっきからなんだよ?」ズルズル
同僚「なんか私もやけ食いして色々と忘れたい気分なんです!」ズカズカ
受付「お祭り、楽しみだね、幼女ちゃん?」
幼女「♪♪♪」ピョンピョン
勇者「だから、人の話を聞けって!」
とりあえず今日はここまでです
明日も同じ時間に投下していきたいと思っています。
今日もありがとうございました。
貨幣価値がわからんから8桁がどれほどなのか…
特に明言されてないうちは現代日本の円と同等と思うことにしてる
―――――広場―――――
ガヤガヤガヤガヤ……
「いらっしゃいいらっしゃい! 帝国一番のたこ焼き屋だよ!」「星五つランクの味を手軽に!」「辺境の奥地に伝わる虫料理!」「食べたらやみつきになる激辛饅頭!」「おいしい鳥の丸焼き!!!」
紅騎士「おお! 鳥の丸焼きだってよ! 蒼、食っていこうぜ!」
蒼騎士「お前は元気だな……」
紅騎士「英霊祭なんて久しぶりだからよ! なんかこうテンション上がっちまって! あ、おっちゃん! これ美味い?」
おっちゃん「おう! 美味いに決まってるじゃねぇか! いいかい、兄ちゃん。味の決め手はな、創業当初から代々受け継がれる秘伝のタレなんだぜ。このタレを鳥にたっぷりつけて丸焼きにする! 鳥の旨みとタレが絶妙に絡み合ってこれがまた美味いこと! 美味いこと! ボリューム、味、ついでに価格も大満足間違いなし! 兄ちゃんにも自信を持っておすすめするぜ!」ガハハ
紅騎士「じゃあおっちゃん! 鳥の丸焼き2つ!」
おっちゃん「ありがとよ! すぐに用意するから待っててな!」
紅騎士「頼んだぜ!」
蒼騎士「おい、俺は食べないぞ」
紅騎士「ん? 2本とも俺が食べるんだけど」
蒼騎士「……ならいい」
紅騎士「もしかしてお前も食べたかった?」
蒼騎士「……うるさい」
紅騎士「素直になれよ、兄弟! ちょっとやるから!」
蒼騎士「………いらない」
メイド「まったく、あなたたち、ここには遊びに来ているんじゃないんですよ?」ハァ
紅騎士「あ、姉ちゃん」
メイド「明日の聖女像完成記念式典には姫様も出席されます。その護衛任務の準備のために今日はここに来ているんです。遊んでないでちゃんと仕事をしなさい」
蒼騎士(ん? こいつ……)ピンッ
紅騎士「でも、ここの鳥の丸焼き、すげー美味そうだぜ? いいじゃんかよ、ちょっとくらい」
メイド「いいですか、今私たちは仕事中なんです。来るべき時に備え、姫様をお守りする。一瞬の判断ミスや情報不足のせいで姫様が危険になったらどうします? もっと姫様の盾としてもっと自覚をもって仕事にあたりなさい!」
蒼騎士「………メイド」
メイド「なんですか?」
蒼騎士「口元にタレついてるぞ」
メイド「え!?」ササッ
蒼騎士「………嘘だよ」フフッ
メイド「なっ!!」
蒼騎士「カマかけてみただけだったんだが、まさか大当たりとはな」ククク
メイド「お、大当たり? ………さて、なんのことでしょう?」ニッコリ
おっちゃん「ほい! 鳥の丸焼き二人前お待ちどー!」
紅騎士「お! 来た来た! ありがとな! おっちゃん!」ニコッ
おっちゃん「うめえからちゃんと味わって食うんだぞ!………お! 誰かと思ったらメイドのお姉ちゃんじゃねぇか、今年もいっぱい買ってくれてありがとな!」ガハハ
メイド「……………いえ、毎年とても美味しい鳥の丸焼き、ありがとうございます」プルプル
蒼騎士「へぇ………毎年?」ニヤリ
おっちゃん「メイドのお姉ちゃんはうちのお得意さんなんだよ、今年も楽しみにしててくれたみたいでな」ガハハ
メイド「おじ様、あまりその話は……その」ワタワタ
紅騎士「お! これすげー美味いぞ! さすが姉ちゃんが目つけただけのことはあるぜ!」ムシャムシャ
蒼騎士「サスガデスネメイドサマ」ジトー
メイド「なんですの! その目は!」
蒼騎士「いや、あんたも人の子なんだなって思ってな」フフ
紅騎士「おっちゃん、これすげー美味いよ! これなら2本ともあっという間に食えちまう!」ガツガツ
おっちゃん「ははは、そうだろうそうだろう。なんせそちらの姉ちゃんは『ついさっき』ここで『12人前』ぺろりと食べていったんだからな」ガハハ
メイド「お、おじ様!!」カァー
蒼騎士「ついさっき………」ジトー
紅騎士「12人前……」ジトー
メイド「こ、ここの丸焼きを毎年………その……楽しみにしてまして………////」モジモジ
蒼騎士「仕事中になにしてんだ」ヤレヤレ
メイド「……さ、さっさと行きますよ! 当日の予定を確認しながら怪しいポイントをチェックしていきます!」
紅騎士「――――!」モグモグ
メイド「………食べながらでいいのでついてきて来なさい」ハァ
蒼騎士「さぁ、それじゃ早速『仕事』に行きましょうかね」ククク
紅騎士「ムゴムゴムグムグ………ムー!!!!」イクゾー
メイド「………なぜ姫様はこの2人をスカウトなんてしたのですか……」ウルウル
蒼騎士「まぁまぁ、これからも仲良くやっていきましょうよ『メイドさん』」
メイド「……く、屈辱ですわ……!!」
すみません
メイド「………食べながらでいいのでついてきて来なさい」×
メイド「………食べながらでいいのでついて来なさい」○
でした
今日はここまでです。
やはり休み明けはしんどいですね………今週中に終わらせられたらいいなと思ってます
まとめサイト様、まとめるの早すぎるよ………
明日もこの時間に投下していきます。
今日もありがとうございました。
乙
鳥の丸焼きという文字を見たときなぜか一羽丸々のローストターキーに脳内変換されて
メイド食いすぎだろとか思ってしまった
こんばんは、今日も始めていきたいと思います。
>>37 イメージとしては雀よりちょっと大きめな小型~中型の鳥にタレをつけ、焼いたものを串に刺して食べ歩くというものです。調べてみたら雀の丸焼きという料理がありました。
それでも、12人前は食べ過ぎですね………
―――――王国騎士団本部―――――
軍人貴族「ふふふ………参謀よ、準備の方はどうなっている……?」ゴゴゴゴゴ
参謀「なにをそれっぽい雰囲気出してるんですか、気持ち悪い」
軍人貴族「お前は本当に上司に敬意というものをだな!」
参謀「だったら尊敬できるような人間になってくださいよ………ああ、準備の方はちゃんとできてるんでご心配なく」ヘラヘラ
軍人貴族「もう後戻りはできないのだからな」ゴクッ
参謀「おや、まさか怖気づいたんですか?」
軍人貴族「いや、そのようなことはない! 国の間違いは是正されなければならないのだ! この身を犠牲にしてでも!」
参謀「そうですそうです」フフッ
軍人貴族「しかし驚いたぞ、まさかお前があのような大胆な策を提案しようとは……」
参謀「いえ、国のこと、王弟殿下と閣下のお嘆きを耳にすれば当然のことですよ」
軍人貴族「お、お前……本気で言ってるのか……?」ガタガタ
参謀「はい、もちろんです」フフッ
参謀「国王陛下の暗殺計画を提案します」
軍人貴族「い、いくらなんでもそれは……」
参謀「おや? なぜです? 閣下は王弟殿下が正しく、国王陛下が間違っているとお考えなのですよね?」
軍人貴族「そうだが……」
参謀「少なくとも今回の陛下の采配は支配階級と平民階級との間に少なからずの亀裂を生むでしょう。元奴隷の聖女を支配階級の立場より上に置く。これは今までの体制に対する明確な反逆です。こんなことが許されるべきではない、聡明な閣下はそうお考えのはずだ」
軍人貴族「た、確かに……」
参謀「だったらやることは決まっているでしょう? 今までは陛下の強い希望があったからこそ貴族連中や他の王族も強くは出れなかったが陛下がいなくなれば話は変わります………それに」
軍人貴族「それになんだ?」
参謀「陛下が亡くなったとなれば順当な後継者は弟の王弟殿下ということになっている。王弟殿下が我が国の王に即位されればこんな馬鹿げたこともどうにでもなりますよ」フフフ
軍人貴族「そうか………王弟殿下が国王に……」
参謀「正直、穏健派の陛下にはついていけないと俺も日頃から思っていたんです。やはり国というものは常に強く、豊かでなければならない」
軍人貴族「お、おお! 俺も常々そう思っていた!」
参謀「我が軍が各国に打って出れば負けることは決してないでしょう。それなのに陛下はなにもなさらない! それでいいと思いますか!」
軍人貴族「ならん! 断じてならん!」ガンッ
参謀「ならば消しましょう? 弱い陛下を消して強い国を作るんです。それが王弟殿下の望みのはずだ。違いますか?」
軍人貴族「………ああ。確かにそうだ」
参謀「ならばご決断を、閣下。この国の未来のために」
軍人貴族「………よし、俺も覚悟を決めた。やるぞ!」
参謀「さすがです閣下」フフフ
軍人貴族「して、どのような段取りで行うのがいいか?」
参謀「宮廷に忍び込んでの暗殺、というのも不可能ではないと思いますがリスクが高い」
軍人貴族「確かに、陛下の周りにはいつも誰かしら警護の者がついているな」
参謀「だったらどうです? いっそのこと聖女と陛下、同時に狙ってみては?」
軍人貴族「どういうことだ?」
参謀「英霊祭の2日目には確か聖女像完成記念式典が開催される予定でしたね?」
軍人貴族「ああ。各国の首脳や貴族、王族が一堂に会するとのことであったな。滅多に人前に姿を現さない仮面王女様も出席されるらしい」
参謀「………その席の警護はもちろん?」
軍人貴族「ああ、うちの人間にやらせる」
参謀「ならば話は簡単です。あの憎き聖女の姿をしたあの像を式典の最中に爆破しましょう」
軍人貴族「なるほど、その混乱に乗じてやるのか!?」
参謀「流石閣下。察しがいい」
軍人貴族「お前も恐ろしいことを考えるものだな!」ガハハ
参謀「いえいえ、閣下のご決断があってこそですよ」
軍人貴族「決行は明日! 明日、世の間違いをこの軍人貴族が正してくれる!」
参謀「その調子です、閣下。作戦は全て私が用意した人間にやらせますので閣下はくれぐれもこの件は内密にお願いしますよ? それと、当日の護衛の配置図です。この通りに人間を配置するようにお願いします」ガサッ
軍人貴族「ああ、もちろんだわかっている! ………おっともうこんな時間か、俺は次の仕事がある。下がっていいぞ」
参謀「はい。それでは閣下。全ては計画通りに」ニヤリ
軍人貴族「ああ、頼りにしているぞ!」
参謀「それでは失礼します」ガチャッ
参謀「ふふ、ここまでは俺の書いた絵通りだな………」
剣士「なにをそんなにニヤニヤしているんだ? 参謀?」
参謀「……急に姿を現すなんてお前も趣味が悪いな。 どうしたんだ? こんなところで?」
剣士「いや、明日の記念式典の護衛配置の件でな、軍人貴族閣下と打ち合わせをと思ってな……」
参謀「そんなもの必要ないだろ? なにをそんなに入念に準備する必要がある? 国随一の力量を持つ剣士様が……」
剣士「よせ、そんな大層なもんじゃない」
参謀「はは、謙遜するなよ、あんたが本気になれば誰も敵わない。士官学校の時からそうだっただろう?」
剣士「だけど、頭脳面ではいつもお前に負けていた」
参謀「そりゃ、俺は首から上を売りにして生きてるからだ。実力行使なんてされたらお前にあっという間に殺されちまうよ」ハハッ
剣士「………」
参謀「明日は記念式典か………」
剣士「………ああ」
参謀「辛いか?」
剣士「あれからもう2年以上経ってる。もうそんなことを言う時期じゃないさ」
参謀「また、お前はすぐに我慢する。いいんだぜ、辛い時には辛いって言えば」
剣士「そんなんじゃない………ただ、なぜか嫌な予感がする」
参謀「嫌な予感? それはなんだ?」
剣士「なにか、今まで見落としていたもんが一気に表面化するような………私は今、とんでもない過ちを犯しているのではないかというようなそんな焦燥感があるんだ……おかしいだろう?」
参謀「気にしすぎだ、剣士。今回の英霊祭もこれまで順調に進行していると聞く。お前もなにも心配する必要なんてないさ」
剣士「ああ、だといいんだが………」
参謀「閣下ならまだ自室にいるはずだ。少しの間なら時間をとってくれるだろう」
剣士「ああ、すまない。これで失礼する」スタスタスタ
参謀「この事態を肌で感じるか、さすが国を救った剣士様だ……」ハハッ
参謀「上手くやってくれよ、剣士。俺は俺で上手くやらせてもらう」ニヤッ
参謀「さって、それじゃあ面倒だけど準備に取り掛かるとするか!」
今日の投下はここまでです
明日も同じ時間に投下できればと思います。
正直SSの投稿はこのシリーズが初めてでSS特有の見やすい書き方を模索している最中でして……読みにくいところも多々あると思いますがどうかお付き合いください。
今日もありがとうございました。
遅くなりましたがこんばんは
今日も投下していきます
よろしくお願いします
――――――――――
勇者「な、なんだこれ……?」
受付「たこ焼きもう5人前追加です! 早く持ってきてくださいね!」ガツガツガツ
「あいよ!」
同僚「こっち5人前ね!」ガツガツガツ
「あいよ!」
幼女「ムグムグモゴ………チャーハン!」ガツガツ
「あいよ!」
勇者「どうなってんだこれ………?」
受付「あれ? 勇者様、食べないんですか? ここのたこ焼き屋さん毎年大人気って評判なんですよ?」モリモリモリ
勇者「い、いや……なんか圧倒されて……」
受付「食べないなら私がもらっちゃいますね」ヒョイ
勇者「あ! 俺のたこ焼き!」
受付「うふふ、ごちそうさまです!」ニコッ
同僚「あら、勇者様って意外と少食なんですね?」
勇者「いや、おかしいでしょ! ここ来てからどんだけ食べてんですか!」
受付・同僚「「さぁ?」」
勇者「はぁ!?」
「はいよ、たこ焼き5人前2セットお待ち!」
受付「あ、ありがとうございます」
同僚「今日はまだまだ食べるわよ!」
幼女「ユーシャ?」タベナイノ?
勇者「ああ、俺は大丈夫だから。お前はいっぱい食べろよ」ナデナデ
「はい、こっちのお嬢ちゃんのチャー焼きお待ち!」
勇者「なんですか? チャー焼きって」
「ああ、このお嬢ちゃんがチャーハンっていうからさ、たこ焼きの生地にチャーハンぶっ込んでみた」ガハハ
勇者「なにそれ!?」
「試しに食ってみたらこれが美味いんだよ! これはうちの目玉商品になるな! ありがとよお嬢ちゃん! お礼にお兄さんが全部おごってやる!どんどん食べていってくれ!」
受付「うわぁ、ラッキーでふぃふぁね! 勇者ふぁま!」ハフハフ
同僚「えらいふぁよ、幼女ひゃん!」ハフハフ
勇者「ハフハフしながらしゃべるなよ……」
幼女「…………」ジーッ
勇者「どうした? 幼女? 食べないのか?」
受付「食べないんだったら私が……」
同僚「子供にたかるな!」ビシッ
受付「いやん、冗談ですよぅ」
幼女「ユーシャ!」アーン
勇者「えぇ!?」
受付「幼女ちゃんのアーン、頂きましたぁぁぁああ!!」ガタッ
同僚「ほらほら、食べてあげなさいよ、勇者様!」
勇者「い、いいよ。俺は………」
幼女「……ユーシャ…」グスッ
勇者「ああ! ごめんごめん、食べる! 食べるよ幼女!」
幼女「!!!」パァ
幼女「ユーシャ!」アーン
勇者「く、くそう! なんか恥ずかしいな/// あ、アーン」パクッ
「あ、兄ちゃんダメだ!」
受付「え?」
勇者「――――!!! あっちぃぃぃぃいいいいいい!!!!!」ジタバタジタバタ
「一口で食べたら火傷するって言おうとしたんだが、遅かったか……」
幼女「ユーシャ!?」オロオロ
受付「ああ、幼女ちゃん機械製だから……」
同僚「火傷とか関係ないんだったわね……」
幼女「ユーシャ……」オロオロ
受付「幼女ちゃん、大丈夫だから。ちょっと納税者の天罰が当たっただけだから」
同僚「お、面白いわね、この光景……」プルプル
勇者「おふぃ! わらっふぇないふぇ、水ふぉってふぃてふれぇぇぇええ!!」ハフハフ
受付「しばらく悶え苦しみなさい、この税金暮らし! 羨ましいんですよ!」ビシッ
同僚「受付、本音が漏れてる、本音が」
幼女「………ユーシャ」オロオロ
――――広場 聖女像完成記念式典会場――――
紅騎士「ふぃぃ……ごちそうさまでした!」
蒼騎士「もう食ったのか!?」
紅騎士「すんげー美味かったぞ! お前も後で食ってみろよ!」
蒼騎士「ああ、考えとく」
メイド「二人共、無駄話はそれくらいに……着きましたわよ」
紅騎士「へえ……これが聖女像か‥…」
蒼騎士「これが……聖女……」
メイド「この方がかつて魔王軍がこの王都に押し寄せてきた際に聖なる力で軍勢を追い払った聖女……まさしく聖女の名に相応しい偉業ですわね」
蒼騎士「でも英霊ってことは死んだんだろ?」
メイド「こちらも詳しい事情は知りませんが、魔王との最終決戦の折に命を落とされたとか」
蒼騎士「………」
メイド「魔王討伐後、陛下が率先して働きかけ、元奴隷という立場から今回、英霊に名を連ねることになったんです」
紅騎士「奴隷!? 奴隷だったのか、この姉ちゃん!」
蒼騎士「声が大きいぞ、紅。聖女が元奴隷だったというのは有名な話だ」
メイド「悲しいことですが、この国にもまだまだ奴隷制度が強く根付いています。陛下は今回の件で人々に希望と奴隷制度撤廃を訴えるつもりなのでしょう」
紅騎士「へぇ……すごい姉ちゃんだったんだなぁ……」
メイド「今回の記念式典はそういった意味でも大事なものとなります。くれぐれも間違いを起こさないように気を引き締めていきましょう」
蒼騎士「当日の警護はどうなっているんだ? まさか俺たちだけってことじゃないだろう?」
メイド「会場の警備と各国の首脳陣には王国騎士団の第一騎士団が、陛下には第二騎士団がつくことになっています。私はもちろん姫様のお側に……」
紅騎士「俺たちは? 俺たちはどこに行けばいい?」
メイド「あなたたちは一般客に紛れて誰か不審な人物がいないか見て回ってください」
紅騎士「ええ!? 俺たちも姫様を守るわけじゃないのか?」
メイド「あなた方の存在は姫さまと私と陛下以外は誰にもお伝えしていないのです。あなたたちはいわば『非公式部隊』ですから」
蒼騎士「正体を知られていない方がなにかと動きやすいということか」
メイド「そういうことです。わかっていただけましたか?」
紅騎士「そういうことなら! とりあえず怪しい奴は片っ端からしょっ引いていけばいいんだよな!」
メイド「え、ええ。まぁ、そういうことです。頼みましたよ、二人共」
紅騎士「よーし! 俺たちの初仕事! 頑張っていこうぜ! 兄弟!」
蒼騎士「お前は声がデカいんだよ……頑張るもなにも、俺たちはいつだって全力で姫様を守る。それだけだろう?」
メイド「そうです。この身に変えても姫様をお守りする……わかってきたようですね、蒼騎士さん」フフッ
蒼騎士「ああ。あとはあんたみたいに仕事中に鳥の丸焼きを食う度胸が欲しいってところだ」クク
メイド「………あんまりしつこいと……殺しますわよ///」プルプル
蒼騎士「あの鳥みたいにか?」
メイド「もういい加減にしてください……」ナミダメ
紅騎士「なんだかよくわかんないけどさ、元気出せよ姉ちゃん!」
メイド「紅騎士さん、あなたは優しいお方なんですのね……」
紅騎士「俺も仕事中に鳥の丸焼き12本食えるように頑張るぜ!」グッ
メイド「そういうことじゃないんですのぉぉぉぉぉ………」プルプル
蒼騎士「お前、中々エグい性格してるな」
紅騎士「え? そう?」
今日の投下は以上です
色々とやろうと思っていたことを書きなぐっていたらどんどん話が長くなっていく………
明日も同じ時間に投下できるように頑張ります
今日もお付き合いくださりありがとうございました
遅くなりましたがこんばんは
今日も投下していきます
よろしくお願いします
「よし……もう一度……雷魔法!!」
……プシュー
「くっそー! なんでだよ!」ガンッ
「………」
「なにがおかしいんだ……? なんでできないんだよ……」
「ねぇ、魔法ってどうやってやるの?」
「え? ……えっと体内に溜め込んだ魔力を使いたい魔法を頭の中でイメージして体の外に放出することって学校では習った」
「へぇ、やっぱりそうなんだ……じゃあ、こんな感じかな?」バッ
……バリバリバリ!!!
「ええ! なんで!?」
「えへへ……できちゃった」
「できちゃったって……俺の努力ってなんなんだ……」ガックシ
「ああ! ご、ごめんね! 君のやってる姿見てたらやってみたくなっちゃって、見よう見まねでやってみただけなんだけど………」アセアセ
「はぁ……やっぱり俺には向いてないんだ……」
「そんなことないよ! こんなに頑張ってるじゃない!」
「でもいくら頑張ったって雷魔法の1つもできないんだぜ……」
「じゃ、じゃあもう一回やってみて!」
「嫌だよ、やったってできないもの……」
「いいから!」
「どうせ無駄だよ……俺にはできないんだ……」
「そんなこといいから、早く!」
「わ、わかったよ。えっと……雷魔法!!」
………プシュー
「ほらやっぱり……どうせ俺には勇者になるなんて無理だったんだ!」アハハ
「やっぱり……」
「な? どうせお前もそう思ってるんだろ?」
「ちょっと手を出して?」
「ん? こう?」
「えっと、ごめんね」ギュッ
「うぇ!? なんだよ、いきなり///」アセアセ
「これでもう一回やってみて! 雷魔法!」
「え?」
「きっとできると思うから! うん、多分できるよ!」
「よくわかんないけど……やればいいんだな? 雷魔法!!」
「ん………!!」ポワァ
………バリバリバリ!!!
「え?………できた? 今できたよな!? ……はは、できた! できたぁぁぁああああ!!!」
「やったね、ユーシャ!!!」
「ああ! ……でもなんで?」
「えっと、それは秘密!」エヘヘ
「………なんかよくわかんないけど、すげえ! お前すげえよ!!」
「そんなことないよ、ユーシャが今まで頑張ったからできたんだよ!」ニコッ
「よーし! もっともっと練習して、もっともっと強くなってやる!」
「頑張って! ユーシャ!」
「……さっきから気になってたんだけど、そのユーシャって……?」
「ユーシャって自分から名乗るものじゃないでしょ? だったら誰かが最初に君のことユーシャって呼んであげないと!」
「そ、そういうもんなのか?」
「だから私が最初に、君のことユーシャって呼んであげる! ………ダメかな?」
「ダメじゃない! 俺! 頑張るよ! 絶対勇者になって悪い魔王からみんなを守るんだ! もちろんお前のことも俺が守ってみせるよ!」
「えへへ、ありがと、ユーシャ」ニコッ
「ユーシャじゃなくて勇者ね……」
「え/// ……えっと……ゆ、ゆ、ユーシャ!! い、言えない……」ウルウル
「まぁいいか………あ! そういえば!」
「まだ、名前聞いてなかったよな?」
「もう、いまさら?」プンプン
「ごめんごめん、こっちも練習に必死だったから……」アハハ
「気にしてないよ! ……私の名前はねぇ――――!!」
勇者「……!!!」ガバァ
勇者「………なんだったんだ? 今の……」
幼女「ユーシャ!!」ダキッ
受付「やっと目が覚めたんですね、勇者様」
勇者「……俺は、どうしてここに?」
受付「……なんていうか、その…… 本当にすみませんでした!」ペコリ
勇者「よくわからないんですけど……なにがあったんですか?」
受付「いやぁ、そのー………あ! 私、急用を思い出しちゃいました! ちょっと行ってきますね!!」ダッ
勇者「あ、おい!」
同僚「あ、勇者様。目が覚めたんですね。よかった……」
勇者「同僚さん。俺、どうしちゃったんです?」
同僚「覚えてませんか? 私たちも後から気づいたんですが受付が勇者様にあげたお饅頭の中にお酒が入ってまして………わりと強めの」ハァ
勇者「……うっ! そういえば頭が痛いような……」
同僚「それを食べたら勇者様ぶっ倒れちゃちゃいまして……慌てて部屋に運んだってわけです、まったく! あの馬鹿がご迷惑を……すみません」
勇者「いや、同僚さんが謝ることじゃないですよ。気にしないで食べた俺も悪いですし……」
同僚「まぁ、あいつも悪い奴じゃないんですけどね……」
勇者「まぁ、そうなんでしょうけど………」
勇者「あ、そうだ同僚さん」
同僚「なんです?」
勇者「この機会に聞いてみようと思ったんですけど……あの人、何者なんですか?」
同僚「受付のことですか?」
勇者「はい。あの人、謎が多すぎて……」
同僚「そんなこと言われても私もあんまり詳しくないんですよ」
勇者「そうなんですか?」
同僚「はい、魔王が倒れて1ヶ月後くらいで入ってきた子なんですけどね、誰もあいつがどこから来て、今までなにをしていたのか知らないんです」
勇者「知らない?」
同僚「ええ、私たちって公務員として配属される前は王都の教育機関で何年か研修を受けるんです。まぁ、基本的な礼儀作法とか公務員の心得とか、そういうのを教育機関で学んでから各地に配属って感じで」
同僚「だから大体同期とかそういうのって顔見知りであることが多いんですが……公務員仲間の誰に聞いてもあの子のこと知らないって言うんです」
勇者「それは単にみんなから忘れられてただけじゃなくて?」
同僚「……勇者様はあんな目立つ子簡単に忘れます?」
勇者「………ないですね」
同僚「でしょう? 気になってうちの部署の課長にも聞いたんですけど、上手くはぐらかされちゃうし……」
勇者「本人に聞いたりもしたんですか?」
同僚「はい、もちろん。でも『乙女の過去を詮索するのはナンセンスですよ☆』とか言われて逃げられました」
勇者「仲の良さそうな同僚さんでもわからないなんて……」
同僚「ええ、私もあの子のことはなにも知らなんです……」
勇者「はぁ……謎ですね」
同僚「はい、謎です。あら?」
幼女「………」スースー
勇者「寝ちゃったのか? 幼女?」
同僚「きっと疲れちゃったんだと思います。勇者様が倒れてからずっと傍でオロオロしてましたから」フフッ
勇者「そうですか………ありがとな、幼女」
同僚「このまま寝かせておいてあげてください」
勇者「ええ、わかりました」
同僚「それにしても………」
同僚「あいつがいないと平和だわ……」
勇者「ええ、まったくです」ガックリ
幼女「………」スースー
とりあえず今日はここまでです
うわ、まだ予定の1/3………
終わんのかな………
明日も同じ時間に投下できればと思ってます
今日もありがとうございました!
乙
最近幼女がほっぽちゃんで再生されるようになってきた・・・
こんばんは、今日も投下していきますのでよろしくお願いします
>>83 調べてみたらイメージにかなり近い……
それでは始めていきます
――――宮廷 謁見室――――
メイド「以上が当日の動きになります」
国王「そうか、わざわざありがとう」
メイド「もちろん私が姫様のお側に常に控えていますので万一のことがあっても対応させていただきます」
王妃「あなたがいてくれたら、あの子も安心ね」
国王「くれぐれもあの子のこと、頼んだぞ」
メイド「はい、お任せください。このメイド、命をかけて姫様の盾となってみせましょう」
王妃「………命をかけてなんて言わないで。あなたにもしものことがあったらあの子が悲しむわ」
国王「従者が死ぬことをあの子は最も嫌う。そのことにも気に留めておいてくれ」
メイド「もちろんです」フフッ
国王「………ところで、あの子がスカウトした子達はどうだ?」
メイド「ええ。中々手のつけられないやんちゃな奴らではありますが、それなりに使い物になると思います」
王妃「……あら?」フフフ
メイド「どうしました、王妃様?」
王妃「あなたが他人のことを褒めるなんて……相当その子達のこと、気に入ってるのね」
メイド「褒めてなんかいません!! ただ、最初の頃に比べて少しはマシになったと言っただけです!」
王妃「そうかしら? 私は十分褒めていると思うけど?」ウフフ
国王「妃よ、あまり彼女をいじめてやるな。あれで中々素直になれない年頃なのだ」
メイド「陛下まで……!! そうじゃないと言ってるじゃないですか!!」
国王「隠すな、隠すな。私と君の間柄ではないか!」
メイド「今日はこんなことばっかりですわ………」
紅騎士「……部屋の外で待てって言われたけど、遅いな」
蒼騎士「色々と難しい話でもしてるんだろうよ、俺たちの出る幕じゃねえ」
紅騎士「俺も王妃様に会いたかったなぁ……」
蒼騎士「俺たちみたいな元山賊が行ってどうなる? 下手したら切られるぞ。こういうのはちゃんと礼儀とかを知ってる奴に丸投げするのが一番だ」
紅騎士「そうかぁ……」
仮面王女「あら? お母様はそういうこと気になさらない方よ?」
紅騎士「ひ、姫様!?」
蒼騎士「あんたどっから入ったんだ!?」
仮面王女「トップシークレットよ☆」フフッ
蒼騎士「なにしにきたんだよ? 記念式典は明日だろ?」
仮面王女「ちょっと時間できたから、あんたたちに会いにきたの、 いけない?」
紅騎士「いけなくはないけど……」
蒼騎士「こんなとこでうろうろしてていいのか?」
仮面王女「私がどこにいようと勝手でしょ? そんなことより、あんたたち明日は頑張ってよね」
紅騎士「おう! 俺たちの初仕事! やってやるぜ」ゴォォォ
仮面王女「そうだ! 頑張れ!!」ゴォォォ
蒼騎士「………なにかあるのか?」
仮面王女「ん?」
蒼騎士「………なにかあるのか?」
仮面王女「ん?」
蒼騎士「明日の記念式典、なにかあるのかって聞いている」
仮面王女「ああ、そういうことね。まぁ、ほぼ間違いなくあるでしょうね」
紅騎士「本当か!?」
仮面王女「乙女の直感はよく当たるものよ? ………まぁ、冗談はともかく、なにか嫌な予感がするのよ。あんまり大きい声じゃ言えないけど、貴族連中も聖女様の件をよく思ってないみたいだし」
紅騎士「え? そうなの?」
蒼騎士「英霊は王族出身か貴族出身で構成されていた。その中に元奴隷が加わるとなったら良くはおもわない連中もいるだろうな」
仮面王女「………この英霊祭、私は何事もなく終わらせたいの。せっかく訪れた平和ですもの。身内同士で喧嘩なんてしたくないわ」
蒼騎士「そりゃそうだ」
紅騎士「よし! ますます燃えてきたぞぉぉぉ!!!!」
仮面王女「そう! その意気よ!」
紅騎士「ファイァァァァァアアアアア!!!!!」
仮面王女「ボンバァァァァァアアアア!!!!」
蒼騎士「うるせぇぇぇぇええええええ!!!!!」
「なにを騒いでいるんだ? ここは陛下の御前で………ん?」
仮面王女「あら、剣士じゃない。久しぶりね?」
剣士「ひ、姫様!? どうしてこのようなところに!?」ザッ
仮面王女「もう、そんなにかしこまらないでよ」
剣士「ご無礼を……申し訳ありません」
仮面王女「相変わらず固いわね」
剣士「姫様の方こそお変わりなく………ところでこの者達は?」
仮面王女「ああ、紹介がまだだったわね、こいつらは紅騎士と蒼騎士。私の護衛よ、スカウトしたの」
紅騎士「よろしくな! 剣士!」
蒼騎士「………よろしく」
剣士「第一騎士団団長の剣士だ。よろしく頼む」
蒼騎士「………あんたは勇者のパーティーだったんだよな?」
剣士「ああ、そうだが?」
蒼騎士「ずっと気になっていたことがある。聞いてもいいか?」
剣士「……ああ、私で答えられることであればなんでも」
蒼騎士「勇者は強いのか?」
仮面王女「えっと、蒼騎士は火竜事件で勇者と一緒に戦ったの」
剣士「ああ、あの事件の……」
蒼騎士「勇者はあの時、『王都にいる剣士なら火竜を倒せる』と言っていた」
剣士「なにが言いたいんだ?」
蒼騎士「だが俺はあいつと一緒に火竜に殺されかけた。勇者なのにだ。そこであんたに聞きたい。本当に勇者は魔王を倒したのか?」
紅騎士「おい、蒼騎士。流石にそれは失礼だろ」
剣士「………それはとても難しい質問だな」
蒼騎士「そうか?」
剣士「ああ、現時点で言えば贔屓目で見たとしても勇者は私より弱いだろう。ただ………」
蒼騎士「ただ?」
剣士「君は勇者の本当の強さを1/10も理解していない」
蒼騎士「なに?」
剣士「すみません姫様、私はこれにて。陛下にお伝えしたいことがありますので……」
仮面王女「ええ、久しぶりに会えて嬉しかったわ」
剣士「私もです。では、失礼します」スタスタ
紅騎士「おい、いくらなんでも失礼だろ」
蒼騎士「お前はわからなかったのか? あいつの強さが」
紅騎士「ん? なにが?」
蒼騎士「あいつは別物だ。俺たちとじゃ次元が違う」
仮面王女「それであんなこと聞いたのね? 勇者様のこと」
蒼騎士「ああ、あの勇者が本当に魔王を倒したのか信じられなくてな」
仮面王女「1/10も理解してないって剣士は言ってたわね」
蒼騎士「………どういう意味だ? あの野郎なにを隠していやがる……?」
メイド「あら、どうしたんですか二人共? 私は部屋の前で待てと指示を出したはずですよ?」
仮面王女「やべ!」
紅騎士「やべ?」
メイド「その声は……もしや姫様ですの?」
仮面王女「あー、久しぶりね。メイド? 元気でやってる?」ヒクヒク
メイド「ええ! ええ! 姫様! 姫様もお変わりなく! こんなところでお会いすることができるなんて………そう、これはまさしく運命ですわ!!」パシッ
仮面王女「あ、あのメイド? 手を離してくれないかなーって……」アハハ
メイド「嫌ですわ。だって姫様、私が目を離したすきにすぐにどこかへ行ってしまうんですもの!」クネクネ
仮面王女「いやだなぁ、そんなわけないじゃない……だから、ね?」アハハ
仮面王女「ちょっと! なんとかしなさい、二人共!!」ヒソッ
紅騎士「姫様、困ってるな」
蒼騎士「そうだな、困ってるな」
紅騎士「助けようか? 護衛として」
蒼騎士「『絶対に死ぬな』って言われたから無理」
紅騎士「なー」
仮面王女「この薄情者! ……いい? メイド、私、これから行かなきゃいけないところがあるの。だからその手を離して欲しいなぁ?」
メイド「ならば、私もお供しますわ!」
仮面王女「えっと、それは困るっていうか……なんて言えばいいのか……その…」
紅騎士「モジモジしてるな」
蒼騎士「仮面着けてても表情がわかるな」
紅騎士「そうだな」
仮面王女「ああんもう! しょうがないわね!! メイド!!」
紅騎士「あ、キレた」
蒼騎士「キレたな」
仮面王女「離して? お・ね・が・い?(ハート)」
紅騎士「姫様、流石にそれはダメでしょ」
蒼騎士「気色悪い声出すなよ」
仮面王女「うるさいわね!! これしか思いつかなかったのよ!!」
紅騎士「そんなんでどうにかなるわけ……」
メイド「ひ、姫しゃま……」デヘヘ
紅騎士「姉ちゃん、鼻血! 鼻血ぃ!!!」
仮面王女「よし! 今だ!!」ダッ
蒼騎士「あ! おい!!」
仮面王女「あんたたち、私行くからメイドのことお願いね! 明日は頼むわよ? 期待してるから!!」
蒼騎士「………ったく嵐のようなやつだな。しょうがない、おいメイド、姫様のことは諦めて、帰るぞーって」
メイド「ひ、姫しゃま……今日も……とてもふつくしく……」エヘヘ
紅騎士「姉ちゃん! 鼻血が大変なことになってるよ! 姉ちゃん!!」
蒼騎士「立ったまま気絶してやがる……」ハァ
メイド「ひ、姫しゃま……」ドクドクドク
紅騎士「姉ちゃん! このままじゃ本当に死んじゃうよ!! 姉ちゃぁぁぁぁぁあああんんんん!!!」
――――王立研究所 地下実験場――――
研究員A「魔力伝導回路、正常値」ガシャン
研究員B「エネルギー充填率80%を超えました」ゴウンゴウン
研究員C「特異エナジー変換作業に移行」
研究員D「目標標準誤差、0.001%以内」ピピピッ
研究員E「エネルギー充填率95%」キュインキュインキュイン
助手「最終確認完了。魔法使い、合図を」
魔法使い「うむ。『擬似龍族ブレス』発射!!!」
カッ!!! ドゴォォォォォンンンン!!!!
研究員A「目標の消滅を確認」
研究員D「所長。成功です」
魔法使い「うむ、ご苦労」
助手「結局、今日までかかっちゃったわねぇ……」
魔法使い「膨大な魔力の調達とそれを入れる器の作成に時間がかかってしまったがの」
研究員C「所長、データがとれました」
魔法使い「見せてもらおう――――ぬぅ……」
助手「どうだった?」
魔法使い「ダメじゃ、幼女のブレスの推定出力の80%ほどしか出てないわい」バサッ
助手「どんだけ化物なのよ、あの子は……」ハァ
魔法使い「我々の技術の粋を集めたとしても幼女に及ばないとは……ショックじゃの」
助手「まぁ、それだけ幼女ちゃんが規格外ってことがわかっただけでもよしとしましょうよ」
魔法使い「火竜の行方についてはどうなっておる?」
研究員B「現在、捜索中です。もう少しで詳しい位置を特定できます」
魔法使い「頼んだぞ」
助手「さて、一段落ついたところで、あんたは休みなさい。片付けはこっちでやっておくから」
魔法使い「何を言う? このデータを元にさらに幼女のことを調べなければならん」
助手「ダーメ。あんたここのところちゃんと寝てないでしょう? 若いからって無理は禁物よ? それに、明日は記念式典でしょ?」
魔法使い「………ああ、そうであったな。気がつかなかったわい」
助手「ちゃんと挨拶してきなさい。いいわね」
魔法使い「……わかった。そうしよう。すまん、先に休ませてもらう」
助手「はい、お休み」ヒラヒラ
魔法使い「………助手!!」
助手「なあに?」
魔法使い「そなたは、勝手にどこかへ行ってしまわないよな?」
助手「どうしたのよ、突然」
魔法使い「………あ……すまない、ちょっと疲れが溜まっているようじゃ。失礼する」
助手「安心しなさい、私は急にどこかへ行ったりしないから。しばらくは私はあんたの助手よ」
魔法使い「………ありがとう」スタスタスタ
研究員E「どうしたんですかね、所長。なんか元気無さそうでしたけど」
助手「あの子もまだまだ子供ってことよ」
研究員E「? そんなもんですか」
助手「さて、今回の実験結果を細かくデータ化して私のところに持ってきて頂戴。まだまだやることはそれなりにあるからね」
研究員E「ええ、わかってますよ………あー、所長持って帰りたい!!!」バーン
助手「……あなたはなにを言ってるの?」
研究員E「いや、一回は言っておかなきゃと思いまして……」
助手「………さぁ! もうひと踏ん張りよ、あんたたちもお祭り参加したいでしょ?」
研究員一同「「「「「はーい」」」」」」
――――――――――
参謀「…………準備はできているか?」
シュンッ!!
???「はい、すぐにでも実行できます」
参謀「そうか………事前に渡しておいた作戦書通りに動け。余計なことはするな、以上だ」
???「恐れなながら―――様」
参謀「ここでは俺のことは参謀と呼べと言ったはずだが?」
???「失礼しました。参謀様」
参謀「なんだ?」
???「なぜ、あの人間の言いなりになるのです? あなた様ならあのような人間、力尽くでどうにでもなるでしょうに……」
参謀「…………おい」
???「はっ?」
参謀「お前はまさか、この俺に意見をするのか?」
???「め、滅相もありません!」
参謀「魔王が倒れ、用済みとなったお前らを拾ってやったのは誰だと思っている?」
???「申し訳ありません!!」
参謀「いいか? お前らは俺の計画を遂行するためのただの駒だ」
???「もちろんでございます!」
参謀「……わかっているのならいい……安心しろ、悪いようにはしない。上手くいけばお前たちの同胞も増える」
???「それは真でございますか!?」
参謀「それもこれもお前たちの働き次第だ。お前たちは俺の駒としてなんの疑念も抱かずに死ね。いいな?」
???「心得ております」
参謀「決して証拠は残すなよ」
???「はっ! 全ては我が主のために!」
参謀「もう行け、誰か来たら面倒だ」
???「それでは失礼します」シュン
参謀「『我が主のために』ね……そういうのがもう古いんだっての。さて、これで役者は揃った。あとは結果を待つのみといったところか……」ククク
今日の投下は以上です
ありがとうございました
………明日で終わりそうにないですね、すみません
明日も同じ時間に投下していきたいと思っています
今日もありがとうございました!
こんばんは、こちらの都合で今日は早めに投下させていただきます
それでは今日もよろしくお願いします
―――――翌日―――――
チュンチュン……
受付「あああああ!!! やっちまいましたぁぁぁああああ!!!」ガバァ
同僚「なによ、朝っぱらから……うるさいわね」
受付「お母様! 起きてたならどうして! どうして起こしてくれなかったんですか!」
同僚「誰がお母様だ……というかそんなに慌ててどうしたのよ?」
受付「そうでした、すみません……あーどうしましょう、完全に寝坊です! ちゃんと目覚ましセットしておいたはずなのにな!?」
同僚「……目覚ましって……あれのこと?」
目覚まし「…………」グチャー
受付「なにを勝手に壊れとるんじゃおんどれぇぇ!!!」
同僚「どうせあんたが寝ぼけてぶっ壊したんでしょ……」ハァ
受付「ああ! バカなことしている暇なんてありません、私は急がなければならないのです! 着替えと持ち物と……メイクはいいか」ブツブツ
同僚「あー、そんなに急いでるんなら転移魔法で送っていこうか?」
受付「本当ですか!?」
同僚「こんなに慌てるあんた見るの初めてだし、よっぽどのことみたいだからね、協力するわよ?」
受付「では早速…………あっ」
同僚「どうしたのよ?」
受付「………やっぱり、遠慮しておきます」
同僚「なんで?」
受付「自分のことは自分で解決しなければならないので!」
同僚「はぁ?」
受付「……よし、これだけ持っておけばあとはなんとかなるでしょう! 夕方には帰るのでそれまで、勇者様たちと英霊祭楽しんでてください」ダッ
ダダダダダダダダダ
同僚「あ、ちょっと……もう、なんなのよ?」
ガチャ
同僚「あら? 幼女ちゃん?」
幼女「……」スタスタスタ
勇者「おい、そっちはダメだって!?」
同僚「あ、勇者様。おはようございます」
勇者「おはようございます。すみません、急に………幼女! 勝手に人の部屋に入ったらダメだろ!」
幼女「……」ジー
勇者「すみません、朝起きてからずっとこんな感じで……」
同僚「幼女ちゃん? どうしたのかな?」
幼女「……!!!」ピョンピョン
同僚「窓? 開けて欲しいの?」
幼女「……」コクコク
勇者「幼女、わがまま言ったらダメだろ? 外を見たいんだったら俺たちの部屋で見れるじゃないか」
同僚「いいんですよ、これくらい……はい、これでいいかしら?」ガチャ
幼女「!!!」ガバッ
勇者「こんなこと今まで無かったんですけどね……」
同僚「なにかあるんですかね……」
幼女「……」ジー
同僚(あっちの方向って、英霊祭の……?)
同僚「幼女ちゃん、ひょっとして聖女様を見たいの?」
勇者「そうなのか? 幼女」
幼女「……!!」ダッ
勇者「あ、こら!」
同僚「ちょっと追いかけてみましょう、多分幼女ちゃんは聖女像が見たいんだと思います」
勇者「わ、わかりました!」ダッ
―――――記念式典会場広場前―――――
「聖女像完成記念式典本日開催!! 王都を救った聖女様! その逸話は遥か南の村から始まった!」「聖女様の輝かしい功績は………」「奴隷生活という虐げられる日々を耐え、聖女様は我々人間を見捨てず……」「人々は身分に縛られず、平等であるべきだと聖女様はその身を持って……」
ワイワイガヤガヤ………
村娘「ああ、ここが夢にまで見た王都ですかぁ……」キラキラキラ
村長「そんなにキョロキョロしたら危ないぞい」
村娘「大丈夫です! それより早く行きましょ? 聖女様が待っています!」
村長「ほほ、そう慌てなくても記念式典まで十分時間はあるぞい?」
村娘「まさかあんな辺境の村にまで招待状が来るなんて、王様は太っ腹ですね!」
村長「招待状はわし宛なんじゃが……」
村娘「はぁ……夢のようですぅ……」キラキラ
ドンッ
村娘「キャッ」ドサッ
黒装束「………」
村娘「痛た……あ、すいません!」
村長「大丈夫か!? 村娘! すみませんのう……うちのものが粗相を……お怪我はありませんかの?」
黒装束「…………」
白装束「……時間があまりありません」
黒装束「……行くぞ」
白装束達「…………」ザッザッザッザッザ
村長「ほれ見たことか……まぁ、大事にならなくてよかったわい」
村娘「すみません……それにしてもなんだったんでしょうか、あの方達?」
村長「異国の人間のようじゃったが、どうも胡散臭い連中じゃのう……」
村娘「フードで顔なんて全く見えませんでしたし……」
村長「ま、色んな人間がこの英霊祭に参加しているということじゃろ」
村娘「そうですね、気をとりなおして私達も楽しみましょう」クルルン
村長「ほほほ………聖女様。あなた様の加護のお陰でこのような素晴らしい日々を送らせていただいております。願わくばこの平和が永久に続きますようお願いいたします……」ナムナム
村娘「村長―! 先行っちゃいますよー?」
村長「待て待て、招待状が無ければ会場には入れんぞー?」ホホホ
―――――記念式典会場控え室―――――
紅騎士「姫様遅いなー」
蒼騎士「もうとっくに来ているはずだが………大体、俺達護衛が会場に現地集合ってどういうことだよ、メイド?」
メイド「我々は姫様の命令を忠実にこなすのみ。姫様が我々にこの時間にここで待てと言われたらここで待つ。そこになんの疑問も挟んではなりません」ガタガタ
蒼騎士「メイド、その震えを止めてくれ、鬱陶しい」
メイド「もしや誘拐? あり得ます、姫様の様な高貴なお方であればそれを狙う輩がいるのは至極当然のこと、許せません! 姫様を誘拐して身代金を請求………」ブツブツ
紅騎士「姉ちゃん、姫様のことになるとなぁ……」
仮面王女「まったく、こればっかりはいくら言っても治らないのよねぇ……」
蒼騎士「当然のようにいるな……」
紅騎士「遅かったじゃん、姫様。なんかあったの?」
仮面王女「ちょっと色々とね……私も暇じゃないのよ」
蒼騎士「そうかよ……」
仮面王女「そんなことより、あんたたち、今日は頼んだわよ?」
紅騎士「おう! 怪しい奴がいたらバンバンとっちめていくからな! 期待しててくれよ姫様!」
仮面王女「それで? あんたたちまさかとは思うけどその鎧姿で一般人に紛れ込む気?」
紅騎士「え? ダメなの?」
蒼騎士「目立つだろうが……その時になったら鎧脱ぐつもりだぞ?」
仮面王女「あら? まだ説明してなかったっけ? あんたたちに渡したその鎧ね、ただの鎧じゃないのよ?」
紅騎士「ええ? そんなの聞いてないぞ!」
蒼騎士「俺もだ」
仮面王女「ってことはまだ起動もしてないってこと? ……メイド!……はダメか」
仮面王女「いいわ、説明してあげる。あんたたちが着ている鎧は王立研究所の特別製でね、あらゆる状況に対応できるように作ってあるの。ちょっと右腕の小手のエンブレムに魔力を流し込んでみなさい?」
紅騎士「こうかな?」ポワァ
蒼騎士「……魔力操作系は苦手なんだよな……こうか?」ビビビビ
仮面王女「それで起動するはずよ」
紅騎士「え? 起動!? おわっ! 鎧が光った!!」
シュイン! ピッピッピッ
「使用者の生体反応を登録しています……使用者、紅騎士……登録を完了しました。おはようございます紅騎士様」
紅騎士「しゃ、喋った!?」
仮面王女「この鎧は人工知能を搭載しているの。あんたの行動を逐一チェックしてサポートしてくれるわ」
レッド「初めましてマイマスター。独立型支援ユニット『電子妖精・レッド』です。操作説明を行いますか?」
紅騎士「へぇ! すげえな!」
仮面王女「まぁ、この鎧の機能があれば実力はあれでも少しはマシに戦えるでしょ?」
紅騎士「ありがとな! 姫様!」
蒼騎士「……おい」
仮面王女「なに?……ってあんたまだ起動してないじゃない。なにしてんのよ?」
蒼騎士「…………起動しねぇんだよ」
紅騎士「お前は相変わらず魔力操作下手だよなぁ」ハハッ
蒼騎士「うるせえ! 昔から苦手なんだよ! こう壊さないように慎重にやるの!」
仮面王女「まったく……いい? その鎧は特別製なの。あんたのヘボ魔力流し込んだってそう簡単に壊れたりしないから思いっきり流し込んじゃいなさい!」
蒼騎士「……わかった。思いっきりやる」ゴゴゴゴゴ
紅騎士「……お、おい兄弟?」
蒼騎士「はぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」ゴォォォォォォォォオオオオ
レッド「……周辺に高エネルギー反応。危険です。退避行動をお勧めします」
仮面王女「ちょ、ちょっと……?」
蒼騎士「くらいやがれぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!」
ゴォォォォオオオオオオオオ!!!!!
仮面王女「ちょっと! なに考えてるのよ!」
蒼騎士「思いっきりやれと言ったのはあんただ」
仮面王女「限度ってものがあるでしょう!? 」
蒼騎士「思いっきりやれと言ったのはあんただ」
シュイン! ピッピッピ……………ピー………ボン!!
仮面王女「壊れた!?」
蒼騎士「やれやれ、やわな野郎だ」
仮面王女「なにのんきなこと言ってんのよ!?」
…………ピッピッピ……ガーピピッ
「ヤッホォォォォォオオオオオオオオオ!!!!」
蒼騎士「な、なんだ!?」
「あなたが私のご主人様!? これからよろしくねぇ!! ああ!! 久々に起動してもらってテンションが上がってきたぁぁぁあああ!!! もう一回!!ヤッホォォォォォオオオオオオオオオ!!!!」
蒼騎士「うるせぇ!!!」
仮面王女「とりあえず起動はしたみたいね……」ホッ
蒼騎士「なんなんだよ、こいつ!?」
ブルー「嫌だなぁ、ご主人様。これから苦楽を共にするパートナーに対してこいつ呼ばわりなんて。私は独立型支援ユニット『電子妖精・ブルー』! 可愛く『ブルーちゃん』ってよ・ん・で?」キャルン
蒼騎士「………おい、紅。鎧変えてくれ」
レッド「起動時に必要以上の魔力を流し込んだことにより、人格形成プログラムに影響があったと考えられます。十分使用可能です」
紅騎士「えっと……うん。大体お前のせい」
蒼騎士「なんでだよ!?」
紅騎士「お前が無茶なことしたからだろー?」
蒼騎士「そんなこと知るか! 俺は嫌だからな! こんなうるさいやつなんか……」
ブルー「………そうだよね、私なんかじゃ嫌だよね……えへへ、私ったら調子に乗って馬鹿みたい……」グスッ
蒼騎士「え?」
ブルー「私ね、前のマスターに捨てられてね、今日までずっと埃っぽい研究所の倉庫に保管されてたの……いつかまた、誰かが私のことを装備してくれる……そんな淡い期待を胸にね……」
蒼騎士「お、おい?」
ブルー「あなたが私を装備してくれた時嬉しかった! でも、あなたが嫌がるなら……私、あの暗い倉庫に戻るわ。だって、私にとっての一番の幸せはあなたが笑顔でいることだから」ヒック
仮面王女「あーあ、女の子泣かしたー」
紅騎士「見損なったぜ、兄弟!」
蒼騎士「俺のせいなのか!? なぁ! 俺のせいなのかよ!?」
ブルー「あなたの気持ちも考えずに騒いでごめんなさい……もう、私のこと、捨ててもいいから!!」
仮面王女「……どうすんのよ」
紅騎士「……そうだそうだ」
蒼騎士「いや、どうしろって言うんだよ!?」
仮面王女「好きって言っちゃいなさいよ」
紅騎士「ギュッと抱きしめてやれ!」
蒼騎士「どうやって……!? ……ったく、あー悪かったよ。俺も言いすぎた」
ブルー「もう捨てるなんて言ったりしない?」
蒼騎士「あ、ああ」
ブルー「これからずっと私のマスターでいてくれる?」
蒼騎士「あ、ああ」
ブルー「よし、それじゃあ張り切っていこう!!」ケロッ
蒼騎士「は!?」
レッド「ちなみに我々はお二人のためだけに作られたオーダーメイド製なのでピッカピカの新品です」
紅騎士「あ、そうなの?」
蒼騎士「てめぇ! さっきの話は全部嘘か!?」
ブルー「えー? ブルーわかんなーい?」キャルン
仮面王女「あー、もういいかしら? レッドにブルーだったかしら? 私達、これから式典に参加するの。2人を式に相応しい格好にしてあげて?」
レッド「かしこまりました。モード『カモフラージュ』」
ビィン ビビビビ
紅騎士「お!? おお!!」
仮面王女「へぇ、タキシードね、中々似合うじゃない」
紅騎士「どうなってんだこれ!?」
レッド「マスターの魔力を利用して鎧の色、形状を変化させました。およそ100万通りの服を再現できます」
紅騎士「すげぇ!! すげえよレッド!!」
レッド「仕様の範囲内です」
紅騎士「いやー、いいもの貰ったなぁ、兄だ……」
仮面王女「ブフォぉ!」プルプル
ブルー「どう!? マスター! 東の国の正装なんだけど! 顔を『隈取り』っていう化粧法でおめかしするの! マスターに似合うと思んだけど! どうかなぁ!?」キャッキャ
蒼騎士「なんだよ? 紅。笑いたきゃ笑えよ……」カブキッ
紅騎士「………鎧なのに顔のメイクも再現できるのか……?」
仮面王女「ブルー……とても、素敵だと……思う……ンフ……んだけど……紅騎士と同じように……して……くれる?」
ブルー「ええー、こっちの方がかっこいいと思ったのにぃー。つまんないの」
シュン
蒼騎士「………さぁ!! こんなとこで遊んでる場合じゃねぇぞ! もうすぐ式典始まるんだろ! さっさと行こうぜ!」
仮面王女「勢いで無かったことにしようとしてるわね」
紅騎士「姫様、そこは察してやりましょうよ……」
蒼騎士「メイド! てめぇもいつまで自分の世界に引きこもってんだよ! 姫様ならとっくの昔に来てるぞ!」
メイド「ハッ! ひ、姫様!?」
蒼騎士「どいつもこいつも……仕事なめてんじゃねえぞオラァァァああああ!!!」
仮面王女「溜まってるわねぇ……」
紅騎士「ここ来てから色々と処理しきれないことばかりだったからねぇ……」
蒼騎士「俺だって色々と我慢してんだよぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
ブルー「あ、面白そう。私も叫ぶね、マスター! やっほぉぉぉぉおおお!!」
蒼騎士「やっぱり鳥の丸焼き食わせろぉぉぉおおおお!!!!!!」
ブルー「食わせろぉぉぉおおお!!!」
仮面王女「………さ、私たちも各々の仕事をするとしますか。 頼んだわよ、紅騎士」
紅騎士「………うん、わかった」
仮面王女「さぁ、メイド。私と一緒に行きましょうねー」
メイド「姫様! どちらにいらっしゃったのですか! 私もう心配で心配で!」
仮面王女「いいから」
紅騎士「さ、俺たちも仕事するぞ、兄弟」
蒼騎士「まだだ! まだ叫び足りねぇ!」
ブルー「足りねぇ!」
紅騎士「いいから」
―――――記念式典会場通り―――――
魔法使い「ふむ、そのリンゴ飴とやらを1つくれ」
「あいよ!」
魔法使い「お! この綿菓子というのもいいの!」
「お嬢ちゃん、お目が高い!」
魔法使い「なんじゃ? あのチャー焼きというのは……」ハテ?
助手「………あんた、なにしてんのよ?」
魔法使い「お、助手ではないか! ここはすごいのう、まるで夢のようじゃ!」キャッキャ
助手「あんたねぇ、これから式典に参加するっていうのに……」
魔法使い「……ちょっとぐらいいいであろう!?」クワッ
助手「国の研究機関代表としてたもうちょっと自覚ってやつを持ちなさいよ………」ハァ
魔法使い「むぅ……! いいではないか! ……それに」
助手「それに?」
魔法使い「こうしてないと、色々と思い出しちゃうから……」
助手「……ごめんなさい」
魔法使い「ああ、気にするでないぞ? わしも色々と人目を気にせずはしゃぎ過ぎたしの!」
幼女「……」スタスタ
助手「あれ? あれって幼女ちゃんじゃない? 1人でなにしてるのかしら?」
魔法使い「まったく、保護者はなにをしておるんじゃ……」
勇者「おーい、幼女ぉぉ!! あいつ、なんてスピードだよ!」ダダダッ
同僚「受付から聞いてたけどこりゃ速いわ……」ダダダッ
助手「あら、早速保護者の登場ね」
魔法使い「おお、勇者。どうしたんじゃ? 幼女のやつは?」
勇者「あいつ、朝からずっとあの調子なんだよ。俺の話、まったく聞かないし、どうなってんだ?」
同僚「幼女ちゃん、ずっと聖女像がある方向が気になるみたいで……」
魔法使い「……聖女像?」ピクッ
勇者「……ああ、だから俺たちもあいつを追って……」
魔法使い「ならん!!!」
勇者「ど、どうしたんだよ、魔法使い」
助手「そんな大声ださなくても……」
魔法使い「………勇者、お前はこのまま引き返せ。宿に戻って大人しくしておいてくれ」
勇者「どうしちゃったんだよ、魔法使い、なんで俺が帰らなきゃいけないんだ? 俺が保護者なんだろ? 俺だってあいつのこと心配だよ」
魔法使い「……理由は話せん。頼む。幼女のことはわしが探しておくから。なにも聞かず、宿に戻ってくれ」
勇者「魔法使い……」
魔法使い「………お願い、勇者。お願いだから私の言う通りにして……?」フルフル
勇者「………! ………わかったよ。よくわかんないけど、お前の言う通りにすればいいんだな?」
魔法使い「ああ、頼む」
勇者「じゃ、じゃあ、幼女のこと、頼んだぞ。会場で見つけたら記念式典の方にも一緒に参加させてやってくれ、あいつ、その聖女様ってのが好きみたいだから」
魔法使い「もちろんじゃ」
勇者「助手さんも、幼女のこと、頼みます」
助手「ええ、任せてちょうだい」
勇者「……それじゃ、帰りましょうか、同僚さん」
同僚「え? ちょ、ちょっと! 待ってくださいよ勇者様!」
同僚「いいんですか? あの2人に任せて」
勇者「一応、あの2人が幼女の開発者ですから。それに魔法使いがあんなに必死になるなんて、きっとなにかあるんでしょう。幼女のことで俺に伝えられないなにかが。話せないってことはそういうことなんでしょう」
同僚「魔法使い様、聖女様の話になった途端に顔色が変わりましたね」
勇者「なにか、幼女のことで関係してるんじゃないですか? 俺にはよくわかんないですけど」ハハッ
同僚「…………ずっと聞かないでおこうと思ったんですけど、その、勇者様はいいんですか?」
勇者「なにがです?」
同僚「…………記念式典に参加しなくて」
勇者「……なんで俺が?」
同僚「なんでって、お仲間だったんでしょう? 魔法使い様も式典には参加するようでしたし、勇者様はいいのかなって」アセアセ
勇者「? 話が見えないな。誰が俺の仲間ですって?」
同僚「誰って、冗談よしてくださいよ。聖女様のことですよ!」
勇者「聖女様が俺の仲間? 何言ってんですか?」
勇者「そんなわけないじゃないですか」
同僚「え?」
勇者「英霊になるような偉い人が俺の仲間になるわけないでしょう? こちとら税金暮らしのニートですよ?」
同僚「え、ちょっと待って……」
勇者「そんなことより、俺たちも英霊祭を楽しみましょう。美味しそうな鳥の丸焼き屋を見つけたんです、よかったら付き合ってくれませんか?」
同僚「え、ええ。も、もちろん」
勇者「こっちです。よーし! 今日は昨日の分まで食べるぞぉぉ!」
同僚(……どうなってるの?)
以上で今日の投下は終了です
来週の日曜までに終わればいいかななんて思ってます
明日も21時頃に投下したいと思います
今日もありがとうございました!
動き出したか
乙
こんばんは、今日も投下していきたいと思います
よろしくお願いします
>>134 前置きが長くなりましたがようやく(笑)
それでは初めていきます
―――――記念式典会場前―――――
従者「むぅ……納得いかないですね!」プンスカ
剣士「どうしたのだ? そのような顔して」
従者「顔は元々ですぅ! ………警備の配置がですよ! なんで僕達がこっちなんですか!? 陛下の護衛は僕達第一騎士団の仕事でしょ! しかもよりによって第二騎士団の連中なんかにぃ……!!」
剣士「……与えられた仕事を全うする。それが騎士の務めだ」
従者「第二騎士団なんて貴族のボンボンの集まりじゃないですか! もしなにかあったら対応できるんですか!?」
剣士「この配置は参謀が決めたことだ。なにか考えがあってのことだろう」
従者「参謀さんねぇ……僕、あんまりあの人好きじゃないんですよ……」
剣士「……いつまでも文句を言うな。私たちの仕事は会場の警備。これも誰かがやらなければならない大事な仕事だぞ?」
従者「……団長だって今日くらい休んだっていいんですよ? 本当だったら騎士団の団長としてでなく『聖女様の仲間』として参加するはずだったのにこんなところにいて」
剣士「…………静かにしていろ。そろそろ陛下の演説の時間だ」
従者「はいはい、静かにしてますよ、それが騎士の務めですからねー」フン
剣士「………まったく困った奴だな、お前は」
・
・
・
・
・
・
族長「陛下、そろそろお時間です」
国王「む、そうか。ありがとう貴族長」
貴族長「民も大勢集まっております」
王妃「あなた、頑張ってくださいね」
国王「ああ、もちろんだ」
王妃「あら、あなた忘れ物ですよ?」カチャッッ
国王「おっと、これを忘れてはいけないな」チャキッ
王妃「宝剣を忘れるなんて相変わらずおっちょこちょいなんだから」
国王「それを言うならお前だって今朝、また花に水をやろうとして私の前で盛大に転んだではないか」
王妃「もうっ! それは言わない約束でしょう?」イチャイチャ
仮面王女「まったく、こんな時までいちゃつかないでくれる? 娘としてはどうしたらいいかわかんないんだけど?」ハァ
国王「おお、帰っていたのか王女よ。気づかなかったぞ」
メイド「おはようございます、陛下、王妃様それと貴族長様も」
仮面王女「どうせ私は影が薄いですよーだ」プクー
王妃「あら、そんなこと言っちゃダメよ王女ちゃん、お母さんはお父さんのことしか見てないだけなの」
国王「それを言うならお父さんもお母さんのことしか見ていないな!」
王妃「………あなた」ポッ
仮面王女「だーっ! そんなに毎日イチャつきたかったらさっさと国王の座を私に譲りなさい!」
国王「はっはっは。まだまだこの席は譲れんな、私にはやらなければならないことが山のようにあるからな。全てが終わったらお前に譲ってもいい。もっともその時に王の仕事があるかどうかは保証しないがな」ハッハ
貴族長「陛下……そろそろ」
国王「おお、すまんすまん。久々に娘と再会したら嬉しくてな………では行ってくるよ」
王妃「いってらっしゃいませ。お気をつけて」
仮面王女「貴族長! このボンクラがダメだと思ったらサクッと暗殺しちゃいなさい。私がこの国の女王に即位するから!」
貴族長「………そうならないよう願っております」
仮面王女「どういう意味よ!」
王妃「じゃああなた。私たちは先に自分たちの席で待ってますから」
仮面王女「行きましょ、お母様、メイド」
メイド「はい。それでは陛下。また後ほど」
国王「娘も成長したものだな……見たか、私を廃してこの国を継ぐとまで言っている」ククク
貴族長「………頼もしい限りですな」
国王「2年も経てば人は変わる。娘も私も、もちろん君もだ」
貴族長「………」
国王「復興の道のりは果てしなく長く、終わりがない。過去は消えないからだ。だが、いつまでも過去にとらわれていてはいけない」
貴族長「………」
国王「等しく全ての人々が安らかである未来を築きあげていくこと、そしてその努力を怠らないこと。それが残された我々の責務だと私は思うのだ」
貴族長「………陛下は私に過去を忘れろと?」
国王「忘れろとなど言っていない。ただ『受け入れろ』と言っているのだ。君が彼女達を今でも思う気持ちは尊いと思う。だからこそ、君が彼女達の分まで前に進まなくてはいけない………難しいか?」
貴族長「………陛下。私のことよりも民が待っています。行ってあげてください。皆、陛下のお言葉を待っております」
国王「………そうだな。ありがとう」
貴族長「………陛下」
国王「ん?」
貴族長「くれぐれもお気をつけて。宮廷内で最近妙な動きがありましたので……」
国王「ははっ、そんなことを気にしていたら人前には立てんよ」
貴族長「しかし……」
国王「気遣い感謝する。だが私なら大丈夫だ。さぁ、民が待っている。行こうか!」
―――――記念式典会場貴賓席―――――
村娘「あの……村長? 私、場違いじゃないですかね……?」
村長「安心しなさい、わしも同じように場違いじゃ」ホホホ
村娘「なんか偉そうな人たちが一杯なんですけど………なんでこんなところに私たちいるんですか!?」
村長「………まさか貴賓席に案内されるとはのう……役所のお姉ちゃんが『火竜事件の迷惑料だと思ってください☆』と言ってたもんじゃから一般客用の招待状だと思ってたんじゃが……」ハハッ
村娘「正直、帰りたいです」
村長「そんなことを言ってはいかん。こんな機会滅多にないぞ? ここでしか体験できないことを存分に満喫するのじゃ。その過程で恥をかいたとしても、それも良き思い出。なにも恐れることはない」ホホホ
村娘「それもそうですね。その通りです!」
村長「うむ、恥ずかしがってたらなんにもならん。帰って村の者たちにもこの体験を話してやらねばの」
村娘「村長、村長! 見てください! 王妃様ですよ! きれい……」ウットリ
村長「むぉ! その隣にいるのは仮面の姫様ではないか!? このようなところに姿を現すとは……」
村娘「隣のメイドさんもすごい綺麗な方ですよねぇ……本当に私と同じ女なのか?」ムムム
村長「なにを馬鹿なことを言っておるんじゃ。ほれ、陛下が出てきたぞい?」
村娘「あ、本当だ! うぉぉぉおおお! やっぱり陛下も相変わらずカッコイイですねぇ!!!」キャーキャー
村長「なに! わしの若い頃もあれくらい!」
「見ろよ、王様だ!」「王様―!」「聖女様―!」
ワァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
村娘「す、すごい歓声!」
村長「さすがの人気じゃの!!」
国王「………皆、ありがとう。このような機会にこの国の王として話すことができ、嬉しく思う」
国王「魔王が勇者によって倒されて早2年……」
国王「我々は多くのものを失った。ある者は妻を、またある者は夫を。ある者は友を失った。失ったものは何者にも代え難く、皆の心に大きな傷を残したことだろう」
国王「諸君らに問う。諸君らは犠牲になった人々のことを今でも鮮明に覚えているか?」
国王「私は覚えている! 魔王との戦いで戦死した将軍のことを。私を庇い、目の前で跡形もなく消えていった従者のことを!………そして、たった一人で王都に攻め込んできた魔王軍を退けたあの背中を今でも鮮明に覚えている!」
国王「彼女たちは死んだ! 我々を残し、今我々が生きている世界のために死んでいったのだ!」
国王「我々は顔を上げなければならぬ。彼女たちが望んだ世界のために!」
国王「我々は立ち上がらなければならぬ! 明日を信じ、新たな平和を築くために!」
国王「………聖女はその身を犠牲にし、勇者と共に世界を救った。我々は彼女の犠牲を忘れてはならん!」
国王「彼女は死してなお英霊として、我々の行く末を見届けてくれるだろう」
国王「全ての者よ、彼女に感謝を! そして決意を! 我々は、皆が手を取り合い希望に満ちた世界を掴み取る! 」
ワァァァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!!
――――記念式典会場一般参加客会場「聖女像広場」―――――
「王様ー!」「聖女様―!!!」
ワァァァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!
紅騎士「ほぇえ……やっぱカッコイイなぁ、王様」
蒼騎士「お前、そっち見ててどうするんだよ、俺たちの仕事は怪しい奴を見つけることだろう」
紅騎士「だってよ、こんなに人でごった返してたら怪しい奴なんて判断できねぇよ」
蒼騎士「それもそうだが……」
レッド「サーチモード開始。半径1km範囲に存在する人間、約1万人程度を確認」
紅騎士「………多すぎだろ」
ブルー「マスター! こういう時はフィーリングで行こうよ! 悪い奴なんてなんとなくわかるってもんだよ!」
蒼騎士「お前はもうちょっと静かにしてくれ……」
レッド「マスター。マスター宛に着信です。通信機能を使用しますか?」
紅騎士「え? えっとよくわかんないけど頼むよ」
ピッ!!
メイド「………紅騎士さん、聞こえていますか? 聞こえていたら返事をしてください」
紅騎士「メイドの姉ちゃん? なんで?」
メイド「その鎧には通信機能がありますの。私も簡単な通信装置を持っていますので報告は随時この回線を使用してください。なにか変わったことはありましたか?」
蒼騎士「とにかく人が多すぎてよくわからん。とりあえず変わったことはないが……」
メイド「なにかありましたら、この通信回線を使うように。いいですね?」
ブルー「ガッテン承知の助!!!」
メイド「………蒼騎士さん? あなたの電子妖精、その、なんかおかしくありません?」
蒼騎士「………色々あったんだ」
メイド「そうですか、とにかく気を引き締めて任務に当たってください。これで通信を終了します」
ブツッ
ブルー「なーに、あの人。こんなかわいい子に対して失礼しちゃう」プンプン
蒼騎士「お前はとにかく黙っていててくれ……」
紅騎士「………おい、あれ」ヒソッ
蒼騎士「………ん?」
―――――記念式典会場上空―――――
参謀「ははっ! 『全ての者』か………そこには『我々』も入っているのかねぇ? そうだとしたら聖女様は随分寛容な英霊様じゃないか!」
参謀「………まぁいい。俺は俺の仕事をするだけだ。この会場にいる役者諸君! 『ちゃんと俺の思った通りに動いてくれよ?』」
参謀「さてさて、演目の初めはど派手にいこうじゃないか!」カッ!
・
・
・
・
紅騎士「なぁ、あいつら怪しくね?」
白装束達「「「「…………」」」」ザッザッザッザッザ
ブルー「確かに! 私のセンサーがグイグイ反応しているよ!!」
蒼騎士「お前のセンサーは信用できない」
ブルー「どうして!?」
蒼騎士「………まぁいい。とりあえず声かけてみるか」
蒼騎士「おい、あんた達ちょっといいか……」
ブルー「! マスター! 上空に高エネルギー反応だよ! 気をつけて!」
蒼騎士「なに!?」
ドォォォン! ドォォォン!
「おい、あれって!?」「昼なのに花火?」「きれー」
黒装束「合図だ。始めるぞ」
白装束達「「「「はっ」」」」
黒装束「限定魔術『常闇』」
白装束達「「「「限定魔術『巨人召喚』」」」」」」
「なんだ、なんだ? 」「式典の演出?」「まるで夜みたいだぞ!?」「なにも見えない……」
ザワザワザワザワ………
黒装束「任務は標的の抹殺。かかれ!!」
白装束達「「「「はっ!!!」」」」
シュンシュンシュンシュン!!!
蒼騎士「おい、ちょっと待て! お前ら、なにをするつもりだ!」
黒装束「…………人間か」クルリ
黒装束「我らが宿敵よ。悲劇は終わらない。全てが崩れ去る様をそこで黙って見ていろ」シュンッ
紅騎士「き、消えた!?」
レッド「高出力の魔力を感知。数は10.式典会場に散らばりました。ほとんどは貴賓席周辺に向かっているようです」
紅騎士「マジか!?」
蒼騎士「チッ! おい、すぐにメイドに通信を繋げ!」
ブルー「ガッテン承知! ダイヤル回してピッポッパっと!」
ピッ!
メイド「蒼騎士さん! 突然辺りが暗くなりました。視そちらはどうなっていますか!?」
蒼騎士「広場に白装束を着た怪しい集団を発見したが逃げられた。電子妖精の情報によるとそっちに向かっているようだ! どうする?」
レッド「上空にまたも魔力反応。 来ます」
紅騎士「お、おい! 兄弟! あれ!!」
ドシーン!!!!!
巨人「ウォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!!」ビリビリビリ
蒼騎士「マジかよ……」
今日の投下は以上です
色々と手直ししてたら時間がかかってしまった………
あれ、受付と幼女はどこに行ったんだろう……?
タイトル喋ってるのに………
明日も同じ時間帯に投下できればと思います
こっからバトル展開になりますが、いまいち描写が上手くできず苦戦中ですので、投下スピードが遅くなると思われます
ご容赦ください
それでは今日もありがとうございました
レッド「高出力の魔力を感知。数は10.式典会場に散らばりました。ほとんどは貴賓席周辺に向かっているようです」 ×
レッド「高出力の魔力を感知。数は10。式典会場に散らばりました。ほとんどは貴賓席周辺に向かっているようです」 ○
でした。すみません
こんばんは
すみません、今日も投下したかったのですが諸事情によりできなくなりました
明日は必ず投下したいと思いますのでよろしくお願いします
メイド「蒼騎士さん! 突然辺りが暗くなりました。視そちらはどうなっていますか!?」 →×
メイド「蒼騎士さん! 突然辺りが暗くなりました。そちらはどうなっていますか!?」→○
でした。すみません
こんばんは、昨晩は申し訳ありませんでした
遅くなりましたが本日も投下していきたいと思います
相当長くなりそうですがそれでも付き合ってくださる方は流し読み程度でどうぞ
――――祭り会場「出店広場」――――――
勇者「おっちゃん、鳥の丸焼き1つ!」
同僚「では、私も1つ……」
勇者「あれ? 昨日はあんなに食べてたのにそれだけでいいんですか?」
同僚「え、ええまぁ。今日のところは……」
同僚(今思えば勇者様と二人っきりじゃない! こ、これってもしかいしてデートかしら!?)
おっちゃん「あいよ! ……ってお兄ちゃんひょっとしたら勇者様じゃねえか?」
勇者「そうだけどあんまりこいいう場所で言わないでくれよ」
おっちゃん「ああ、勇者様が来てくれるなんて嬉しいねぇ! 今日はいいのかい? 確か聖女様の方には行かなくて」ジュージュー
勇者「あー、なんかそうらしいね。俺、ああいう堅苦しいの面倒だからさ、パスで」
おっちゃん「ふーん、そんなもんなのかねぇ……ほい、鳥の丸焼き2人前お待ち! 味わって食べてくんな!」
勇者「ありがとね! ああ、これお金……」
おっちゃん「ああ、いいってことよ! 世界を救ってくださった勇者様に金なんか取れねぇよ!」ヒラヒラ
勇者「いや、そういうわけにはいかないよ」
おっちゃん「いいって! あんたらのお陰で今日もここで店出させてもらえてるんだ。あんたや聖女様から金取ったら天罰が下るよ! もちろん、隣の彼女さんの分もサービスするぜ!」ガハハ
同僚「か、彼女!? 私はそんなんじゃ!」アタフタ
勇者「そうか? 悪いなぁ……」
おっちゃん「遠慮せずに食ってくれ……その代わりと言っちゃなんだが、1個だけ聞いていいかい?」
勇者「ん? ああ、もちろん」
おっちゃん「いいのかい!? いやー俺、どうしても勇者様に聞きたいことがあったんだよ!」
勇者「なんだよ? 俺の答えられる範囲のところまでだけだぞ?」
おっちゃん「ああ、これはみんなが疑問に思ってることだろうからな!」
おっちゃん「あのよ………魔王ってどんな奴だった?」
勇者「……え?」
おっちゃん「ほら、昔のおとぎ話とかでは頭に角が生えていてーとかよく聞くんだけどよ。国との戦争でも魔王は姿を現さないで魔族やら魔獣とかが戦ってたって言う話だろ? 意外にみんな魔王がどんな姿してるかなんて知らないんだよ、だから勇者様に是非教えて欲しくてな!」ガハハ
同僚「勇者様? 顔色が悪いようですけど……」
おっちゃん「やっぱり………ダメかい?」
勇者「いや、大丈夫だよ! 魔王のことだったよな! 魔王は……」
「…………クソ! 俺たちじゃあいつを倒せないのかよ!?」
勇者「魔王は……」
「……私が彼を封印します…」
同僚「勇者様? 大丈夫ですか?」
おっちゃん「口に合わなかったか!?」
勇者「大丈夫だから……えっと……魔王は……」ポロポロ
「…………あなたは魔王がいない世界で……」
勇者「……なんでだ? なんでこんなところで涙なんて出るんだよ?」 ポロポロ
「……幸せに笑って暮らして……」
「……あなたの生きる世界を守れて、私は今とても幸せなの」
「今までありがとう、ユーシャ。あなたは私の………」
「希望だった」
勇者「………」ポロポロ
同僚「勇者様……」
おっちゃん「……なんか、悪いこと聞いちまったみたいだな…………」
ドォォォン! ドォォォン!
おっちゃん「なんだ? こんな真昼間から花火か?」
同僚「記念式典の方でしょうか?」
キィィィィィン!!!
同僚「え? 辺りが急に暗く……」
おっちゃん「お、おい! あれ!」
ドシィィィィィィィン!!!
同僚「あれって? 巨人?」
おっちゃん「まずいぞ、式典会場の方に向かってる!」
同僚「……大変だわ、あそこには魔法使い様や幼女ちゃんが………」
勇者「………幼女」ボソッ
同僚「勇者様?」
勇者「幼女!」ダッ
同僚「ああ、勇者様!?」
おっちゃん「おい、なんか勇者の兄ちゃん様子が変だったぞ? 大丈夫か?」
同僚「わかりません! とにかく私も行きますね! ご馳走さまでした!」ダッ
同僚(なんなの? なにか、嫌な予感がする……! 受付! あんたこんな時にどこに行ったのよ!?)
蒼騎士「………おい、メイド見えてるか? とんでもないのが現れた」
メイド「視界が悪いですが、こちらも確認しました。まぁ、これまた随分と派手なご登場で」
蒼騎士「………これも護衛の仕事のうちか?」
メイド「むしろ、楽な部類だと思いますわ?」
蒼騎士「とんでもない職場だな………」
メイド「やめたければ今すぐどうぞ? もちろん退職金なんてでませんが」
蒼騎士「冗談」ハッ
ブルー「データ照合、確認とれたよ! 魔力で精製された魔導生物みたい!」
レッド「こちらの広場に向かって進行中。 このままでは一般客に被害が出ます」
蒼騎士「とにかく俺たちもそっちに向かう。このままじゃ姫様や陛下たちが危ないだろ?」
仮面王女「馬鹿言ってんじゃないわよ! こっちにはメイドがいるのにあんたたちまで私のこと守ってどうすんの! 先にやるべきことがあるでしょうが!」
蒼騎士「……どうすんのって言われてもな、俺たちはあんたの護衛なんだろう? こういう時のために俺たちをスカウトしたんじゃなかったのか?」
仮面王女「こんなチンケなところで死んだら私もそれまでの人間だったってことよ! いいから私のことは放っておきなさい!」
紅騎士「で、でも……」
仮面王女「紅騎士、蒼騎士。私があんたたちと契約した時になんて言ったかしら?」
紅騎士「『自分で考えろ』?」
蒼騎士「『絶対に死ぬな』?」
仮面王女「だったらわかるでしょ! 私がなにを望んでいるのか! 答えがわかったならさっさと行け!!」
メイド「……そういうことですから、こっちは私に任せて、各々の判断でお願いします。以上です」フフフ
ブツッ
蒼騎士「お、おい!!………あの馬鹿共……」
シュンシュン!!!
白装束A「………強い魔力を感知した。我らの任務を妨害する敵と判断。排除する」チャキッ
白装束B「………排除する」チャキッ
紅騎士「あーどうするよ?」
蒼騎士「どうするって言ったってこのまま放っておいたらあの白装束共、なにをするかわからねぇからな、とにかく会場の人間を守るしかねぇだろ。んでそれが終わったらあの巨人をぶっ飛ばす」
紅騎士「………うわ、なんだかんだ言ってお前も単純」
蒼騎士「うるせぇ」
ブルー「お、やるんだね、マスター! それじゃいっちょ派手に行こう!!」ガチョン
レッド「索敵モードから戦闘モードに移行します」ガチャン
紅騎士「……よし、よぉぉぉぉっし!! やってやるぞぉぉぉぉおお!!!」
ブルー「テンション上げてヒャッハー!!!」
レッド「……ヒャッハー……」
蒼騎士「まったく……行くぞ!!」
―――――記念式典会場貴賓席―――――
王弟「なんだ? この暗闇は! 前が見えぬではないか!?」
軍人貴族(参謀め、陛下を暗殺するだけではないのか!? あのような巨大な魔物まで召喚してなにを考えている!?)
仮面王女「叔父様! すぐに避難を! こっちに怪しい奴が向かってるって情報が入ったわ!」
メイド「退路を確保しておきました。どうぞこちらに……」
王弟「なにぃ!? 軍人貴族! 王立騎士団はなにをやっている!?」
軍人貴族「ご安心ください! これも全て計画のうちですから……」
仮面王女「計画? 計画ってどういうことよ!」
軍人貴族「そ、それは………」
仮面王女「答えなさい!!」
シュン! シュン!
白装束C「王弟と仮面王女を確認」
白装束D「これより任務を開始する」
メイド「姫様、ここは私が食い止めます。姫様は殿下と閣下を連れて逃げてください」
仮面王女「………私が言いたいこと、分かってるわね?」
メイド「ええ、もちろんでございます。さ、早く」
軍人貴族「………第二騎士団! 貴様らなにをやっている!? さっさと我らを守れ!!」
第二騎士団「「「「「「はっ!!! 閣下をお守りしろー!!!」」」」」」
白装束C「………邪魔をするな。………魔術『爆炎』」
ドカァァァァン!
「ぎゃぁぁぁぁぁああああ!!!」「火が、火がぁぁぁぁあ!!!」
軍人貴族「こ、こら! なにをしておるか!!!」
王弟「なにをやっておるのだ! 貴様の騎士どもは!!」
仮面王女「………真の税金泥棒ってのはあいつらのことね」
白装束D「作戦行動を再開。目標、王弟、仮面王女、攻撃をかい………グハッ!!!」
ヒュンヒュンヒュン!!!!
メイド「させるとお思いですか?」スチャッ
王弟「お、おお!!!」
メイド「姫様、早く!!」
仮面王女「叔父様、軍人貴族、こっちよ! あと、そこらに転がってる税金泥棒達! 戦う気がないのならさっさと逃げなさい!!」
「ひ、ひぃぃぃぃ!!!」「に、逃げろォォォォ!!!」
ダダダダダダダダダ!!!!
白装束C「目標逃走、追跡を開始」
黒装束「………なにをしている?」
メイド「あら、あなたがリーダーですか? 随分派手なことをしてくれちゃって、覚悟はできてますか?」
黒装束「お前たちは姫を追え。ここは私が引き継ぐ」
白装束C・D「「はっ」」ダッ
メイド「行かせませんわ!」ヒュンヒュンヒュン
黒装束「魔術『重力空間』」
ボトボトボト!!!
メイド「な、ナイフが……あなた、何者ですの?」
黒装束「我々の目的はこの国の主要人物の抹殺。それだけだ」
メイド「誰がこんなこと………?」
黒装束「お前は知らなくていいことだ」
メイド「だったらあなたをお仕置きして、黒幕の正体を聞くとしましょうか」チャキッ
黒装束「フフ、おもしろい、やってみろ……」ゴォォォ
――――――――――
ガキィン!!!!
国王「まったく私もなめられたものだな?」フフッ
国王「光を奪い、その混乱に乗じ国王1人葬り去るくらいならこの人数で十分だと判断したのか?」
白装束E・F「………くぅ!!!」ギリギリギリ
白装束E「な、なぜだ!? なぜ動かん!?」ギリギリギリ
白装束F「こいつ、本当に人間か!?」ギリギリギリ
国王「面白いことを言う。お前たちの剣を受け止めているこの宝剣同様、私のことも外見だけの飾りだと思ったのか?」
白装束E「ええい、洒落臭い!!! 魔術『爆え……』
国王「国を支えようというのだ、そう簡単に私が死ぬわけにはいかん!」ガキン!
白装束E・F「ぐぁぁぁあああああ!!!」ヒューン ドカーン
国王「私の首が取りたいならば、あと千人は連れてくるのだな、相手をしてやろう」チャキッ
貴族長「無事ですか、陛下!」
国王「貴族長か……状況はどうなっている?」
貴族長「現在、広場にて巨人が出現。こちらに向かって来ているとのこと、対応には剣士たち第一騎士団があたっております」
国王「他の者達は無事か?」
貴族長「仮面王女様は王弟殿下とともに避難しているとのことです」
国王「そうか、このような日に一体誰が……」
白装束G「それはお前たちが知らなくていいことだ」
王妃「あ、あなた……」フルフル
国王「王妃! 貴様!」
白装束G「本来であれば発見次第殺す手はずだったが生かしておいて正解だった……この女の命が惜しければ大人しくしていろ」
国王「私がお前たちの言うことを聞くと本気で思っているのか?」チャキッ
白装束G「ならばこの刃が王妃の喉元を切り裂くだけだ。どうする? 私はどちらでも構わないが」
国王「お前たちは何者だ? 聖女の列聖に反対する貴族一派の手の者か?」
白装束G「答える義理はない。さぁ、剣を捨て、投降しろ。そうすれば苦しまずに殺してやる」
スタスタスタスタ
幼女「…………んう?」ヒョコ
貴族長「………!!!」ハッ
白装束G「子供……? なぜ子供がこんなところにいる?」チャキッ
国王「なっ! まさか殺すと言うのか? まだ子供だぞ!」
白装束G「動くな! 王妃がどうなってもいいのか!」
国王「くっそ……君、早く逃げなさい! ここは危ない! さぁ、早く!!」
幼女「………???」キョロキョロ
白装束G「子供、運が無かったな。恨むならその不運を恨め!」ブンッ
貴族長「!!! 待て!!」バッ
幼女「……むい!!!!」カッ
白装束G「なにぃ!? ぐあぁぁぁぁあああああ!!!!」
ドゴォォォォォンンンン!!!!!
幼女「………むぅ」プスプスプス
ダダダダダダダダダ
魔法使い「おお! やっと見つけたぞここにおったのか、幼女よ!」
助手「陛下! 皆様ご無事ですか!?」
国王「ああ、大事無い」
王妃「あなた!」ダキッ
国王「王妃、無事か!?」
王妃「ええ、ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした……」
国王「言うな。お前が無事ならそれでいい………それにこの子のお陰で助かった。何者なのだこの子は………?」
助手「その説明は後で……とにかく今は逃げましょう!」
国王「………そうだな、1度状況を立て直す必要がある。案内してもらえるか?」
助手「はい、こちらです!」ダッ
貴族長「………君のお陰で助かった。陛下に変わり、感謝する」
幼女「………んう?」ダイジョウブ?
貴族長「……君はどことなく私の知っている人に似ている気がしてね。つい身を乗り出してしまったよ」フフフ
幼女「………ゴシュジンサマ!!」ダキッ
貴族長「な、なにを!?」
幼女「ゴシュジンサマ!」ムフー
魔法使い「こら、なにをやっているか幼女! 勇者が探しておったのだぞ? ………まったく、なぜこのようなところに……」
貴族長「魔法使い殿、ではこの子が例の?」
魔法使い「はい。私達が開発した魔導人形です。何者かによって色々と中身はいじられていますが……」
貴族長「………そうか」
魔法使い「そんなことよりも貴族長様。ここも危ない。急いで助手の後について行ってください!」
貴族長「君はどうするつもりだ?」
魔法使い「もちろんあの巨人と戦うつもりです」
貴族長「………任せていいんだな?」
魔法使い「私だって勇者の仲間です。あんな巨人の一匹や二匹、平気、へっちゃらです!」ムン
貴族長「わかった。くれぐれも気をつけなさい」
魔法使い「はい。貴族長様も、お気をつけて!」
魔法使い「さて、あの巨人をこれからどうしてやろうかのう………む?」
巨人「ウガァァァァァァァァアアアアアア!!!!!」ブォッ!!
グシャア!!
魔法使い「ああ! あの辺りは先ほど行った林檎飴の屋台があったところではないか!? なんてことを!!」
巨人「ガァァァアアアアアア!!!!」
ドゴォォォォォン!
魔法使い「ああ!! そこは綿菓子のお店!!」
巨人「グォ?」ブォ
魔法使い「お、お主なにをする気じゃ? そこはダメじゃ! 助手から聞いた話では毎年多くの人が楽しみにしているというたこ焼き屋ではないか! しかもわしはさっきその店の前を通ったにも関わらず見逃してしまったのだ!」
巨人「グォォォ……」
魔法使い「さらに昨日新たに作られたチャー焼きというものがこれまた絶品と評判での! わしはなぜあの時買わなかったのかと幼女を探しながら今でも後悔しておる! 頼む、その店だけは、その店だけは壊さんでくれ! 後生じゃから……」
巨人「グォ……」
魔法使い「そ、そうじゃそうじゃ、その振り上げた両手をゆっくり下ろすんじゃ。いい子じゃから……」
巨人「グォォォォオオオオオオオオオ!!!」
ベシャァァァァ!!
魔法使い「ぬぉぉぉぉぉおおおおお!!!…………許せん! 散々好き放題しおってからに! 人の、いや巨人の風上にもおけん奴じゃ! わしが天罰を与えてくれる!!」ゴォォォ!
幼女「マホウツカイ!!」ダキッ
魔法使い「むぉ!? 幼女、お主、貴族長殿と共に逃げたのではなかったのか?」
幼女「……!!!」ピョンピョン
魔法使い「お前も来るか? 一緒にあの巨人に天罰を与えてやろうぞ」フフフ
幼女「!!!」コクコク
魔法使い「行くぞ! 巨人め、ただで済むと思うな!」ビュン
今日の投下は以上です
毎回投下の後にコメントしてくださり、ありがとうございます
毎日楽しくやらせてただいております
明日も同じ時間帯に投下できたらと思っています
もうしばらく続きますが暇つぶし程度に楽しんでいってください
今日もありがとうございました
こんばんは、今日も投下していきたいと思います、よろしくお願いします
―――――――――
「巨人だァァァ!!!」「に、逃げろォォォ!!!」「で、出口はどこだ!?」「どけ! 俺が先だ!」「助けてくれぇぇぇ!!!」
村娘「あ、あれれれれれ………きょ、巨人がががが……」ガタガタ
村長「落ち着けい! 村娘! ここここういう時は冷静にじゃのののの!!!」ガタガタ
村娘「あーん! この間火竜が来たばっかりだったのにぃ!」
村長「と、とにかく逃げるんじゃ! 行くぞ!」
村娘「そ、そうですね! とにかく広い場所に出ましょう! そうすれば騎士団の方がきっと……!!」
白装束H「……魔術『障壁』」
キィィィィン!!!!
「うわぁ!!」「なんだ!? で、出られないぞ!」ガンガンガン「なんだこれは……壁!?」「誰か! 出してくれぇぇぇ!!」
村娘「出口が……」
村長「これでは外に出られん!」
白装束H「仮面王女、王弟の予定逃走経路を遮断完了」
白装束I「これより仮面王女の抹殺に取り掛かる」チャキッ
村娘「ど、どうしましょう!?」
村長「逃げ道も塞がれてしもうたし……ん?」
白装束H「貴様が仮面王女か?」チャキッ
村娘「え? 私!?」
白装束I「王女の情報と酷似。仮面を外して逃走している可能性もある」
村娘「私が王女様なんてそそそそそんなわけないじゃないですか!?」
村長「そ、そうじゃ。この子はわしの村の住人なんじゃ!」
白装束H「疑わしき者は全て排除する」
村娘「え! えぇぇぇえええええ!!??」
村長「違う! この子は仮面王女ではない!!」
白装束I「黙れ」ガッ
村長「ぬう……」ギリギリ
村娘「村長!」
白装束H「仮面王女は排除。それが任務だ」
村娘「いや! やめて!!!」
白装束H「死ね……」
「いやぁぁぁぁっほおおおおおおいいいい!!!」
「ぬわぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!」
パリィィィィィン!!
白装束H「ぐはぁぁぁああああ!!!」ヒューン
レッド「魔力障壁の破壊を確認」
「見ろ! 壁が壊れたぞ!」「今のうちに逃げろー!」「ありがとうありがとう!」
紅騎士「はいはい、今のうちにダッシュで逃げてくださいよーって……大丈夫かぁー兄弟?」
ブルー「あー楽しかった!! もう一回やっていい?」
蒼騎士「いいわけあるか!! てめぇは俺を殺す気かよ!!!」
紅騎士「……まさか魔力でできた壁も突撃で壊すとはね……」
レッド「あまりお勧めできません」
紅騎士「もしかしてこっちにもそんな機能ついてたりするのか?」
レッド「脚部に魔力を集中させ、通常の十倍のスピードを出すことは本機でも可能ですが、実行しますか?」
紅騎士「遠慮しておく……」
蒼騎士「だから! なんでお前の戦闘方法はさっきから突撃のみなんだよ!」
ブルー「ええー? 主人公は『まっすぐいってぶっ飛ばす』『右ストレートでぶっ飛ばす』もんなんでしょ?」
紅騎士「俺たちの初実戦、蒼の突撃で終わっちゃったもんなぁ……あれ、ブルーちゃんの暴走でしょ? 私ちゃんとデータベースで確認したもん!」
レッド「あの戦い方もあまりおすすめできません」
蒼騎士「あんな戦い方してたらこっちの身がもたないっての!」
ブルー「えへへ、でも楽しかったでしょ!?」
蒼騎士「んなわけあるか!」
村娘「……あの、た、助けてくださりありがとうございます」ガバッ
紅騎士「怪我はないよな?」
村娘「は、はい。おかげさまで……」
紅騎士「ならよかった」ニカッ
白装束I「ぐっ……貴様ら!!!」
白装束H「何者だ!? 我らの任務の邪魔をするな!」
紅騎士「おいおい、俺たちが何者かだって?」クルッ
蒼騎士「そんなこと気にするな。俺たちはただの通りすがりの」
紅騎士「元山賊だってーの!」ビシッ
ブルー「それとプリチーな電子妖精!」ビシッ
レッド「……同じく」ビシッ
村娘「山賊って………あー!! あなたはあの時の!!」
紅騎士「ん? どっかで会ったことあったっけ?」
蒼騎士「知り合いか?」
村娘「村長! こいつあの時の山賊ですよ! ほら、勇者様を呼びに来た!」
紅騎士「うえ!? あの時の村の人か!?」
村娘「ということは隣のあんたも……」
ブルー「マスターをあんた呼ばわりするなんて失礼でしょ!!」
蒼騎士「………一応、山賊稼業からは足を洗った」
村娘「そういうこと言ってんじゃないの! 私、あんたの仲間に殺されかけたのよ!?」
紅騎士「あの時は悪かったって! 俺たちも今は心を入れ替えて働いてるから許して!」
村娘「働いてるってこんなところでなにしてるのよ?」
蒼騎士「……一応、仮面の姫様の護衛をやってる」
村娘「あんたたちが? 姫様を? 冗談もほどほどにしなさい!」
紅騎士「本当なんだってば……」
村長「まぁまぁ、村娘、それ位にしておきなさい。わしらも助けていただいたんじゃし……」
村娘「村長、いいんですか!? 村を襲った犯人の仲間ですよ!?」
村長「その位にしておけと言っておるのじゃ……………若いの。村娘を助けてくれてありがとの」
紅騎士「い、いやぁ……」
村長「………じゃが、お主達がしでかしたことがこれで綺麗さっぱり消えるわけではない。それはわかっておるな?」ゴゴゴゴゴ
蒼騎士「もちろんだ」
村長「ならば良い……ではそろそろ後ろにいる怖い顔した方々をなんとかしてくれんか?」
白装束H「……任務、続行……!!!」ユラァ
白装束I「……王女の抹殺……!!!」ユラァ
蒼騎士「……ああ、そうだったな」
ブルー「マスター! ここはバッチリ決めるところ?決めるところ?」
蒼騎士「ああ。突撃は勘弁してくれよ。できればこいつは自分の力で倒したい」
ブルー「了解! スペシャルプランでマスターのことサポートしちゃうよん!」ガチャン
レッド「マスター、私にも命令を」
紅騎士「んじゃあ、『とにかくカッコよく』やろう!」
レッド「了解しました」ガチャン
白装束H・I「「うぉぉぉぉおおおおお!!!!」」
紅騎士・蒼騎士「「どけぇぇぇえぇえええええええ!!!!!」」
ザシュ!!!! ドサドサ!!
紅騎士「よっしゃ!」
ブルー「ウルトラパーフェクトに一丁上がりだよ☆」キャルン
レッド「目標の無力化を確認」
蒼騎士「爺さん、ざっとこんなもんだ」
村長「うむ、上出来じゃ」ホホホ
村娘「むぅ……調子に乗るんじゃないわよ! 私はあんたらの悪事忘れてないんだからね!」
――――――――――
仮面王女「ほら、叔父様! 急いで!」
王弟「ま、待ってくれ……私はこういうことに……慣れて……おらん!」ゼエゼエ
仮面王女「もう! 父様だったらこんな距離ズバッと走り抜けますよ!」
王弟「……あの……脳筋馬鹿と……一緒にするな!!」ゼエゼエ
軍人貴族「殿下……あと……ちょっと……で……外……ですぞぉ……」ゼヒューゼヒュー
仮面王女「本当に大丈夫なのかしら、うちの騎士団……」
シュンシュン!!
白装束C「………見つけたぞ。仮面王女」
白装束D「………大人しくここで死ね」
仮面王女「チッ、こんなところで……面倒ね!」
王弟「下がれ……下郎……私を……誰と……心得るか……次期……国王で…あるぞ…」ゼェゼェ
仮面王女「ちょっと! 次期女王は私よ!」
軍人貴族「お、お前たち! わしを狙うのは筋違いだと……」
参謀「突風魔法!!!」ヒュゴォォォ!!
白装束達「「グァァァァアアア!!!」
参謀「殿下、姫様! ご無事ですか!?」バッ
軍人貴族「お前!」パクパク
仮面王女「……えっと、確か参謀さんだったわよね? 騎士団の」
参謀「いかにも。姫様と殿下を追う怪しい輩を見つけまして、後をつけていたんです。なんとか間に合ってよかったです!」
仮面王女「助かったわ。 なによ、軍人貴族、あんたのところにもできる奴がいるじゃないの」
軍人貴族「……え、ええ……」
参謀「姫様、いつ新たな追っ手がやってくるかわかりません。私が剣士がいる第一騎士団のところまで案内しましょう。こちらです!」ダッ
仮面王女「わかったわ! 二人共、行くわよ!」
王弟「……ああ」ゼェゼェ
軍人貴族「……はい」ゼヒューゼヒュー
軍人貴族(なにを考えておるのだ参謀は!? ま、まさかこのような大事になるなんて……もしや、この責任は全て俺が!?)ブツブツ
仮面王女「ちょっと軍人貴族、顔色悪いわよ? 酸欠?」
軍人貴族「い、いえ……」
参謀「閣下、安全な場所までもうすぐです『全て私にお任せ下さい』」ニヤァ
軍人貴族「あ、ああ。任せる。任せるとも……」
今日の投下は以上です。ありがとうございました
さて、明日の投下はいつもより遅くなるかまたは投下できないと思われます
あとあれとあれとあれを書かないといけないから……
また今週も終われないかもしれない(笑)
それでは今日もありがとうございました!
こんばんは、今日も投下していきます
随分と長いことやってるような気がしていますが、いつもお付き合いくださりありがとうございます
それでは今日も始めていきます
―――――――――
巨人「グォォォォオオオオオオオオオ!!!!」
ドシーンドシーン!!!!
従者「団長! 指示通り 近隣住民の避難誘導準備完了しました。順次避難してます!」
剣士「できる限り急がせてくれ、それと他に逃げ遅れた人間がいないかの確認も頼む………む? あれは……」
従者「どうしました?」
剣士「………まずいな……避難誘導を可能な限り急がせろ! できるだけ遠くへ逃げるようにするんだ!」
従者「なんですか? そんなに慌ててって……空に……人? なにやってるんですか、あんなところで!」
剣士「なにをするつもりかわからないが、こういう時の彼女はどうも信用ができない」
従者「え!? じゃああれってもしかして魔法使い様!?」
剣士「火力だけで言ったら、我々の中で彼女の右に出るものはいないからな。もしかするとこの辺一体が焦土になるかもしれない」
従者「ま、まさかそんなこと……」
剣士「私がこんなことを冗談で言うと思うか?」
従者「い、いいえ……」
剣士「もう一度言う。とにかく急いで全員避難させろ」
従者「は、はいぃ!!」
剣士「よろしく頼む」
巨人「ウゴォォォォォォオオオオ!!!」ドシーンドシーン
魔法使い「やあやあ我こそは魔法使い!!」ババーン
巨人「フゴ?」
魔法使い「貴様の数々の悪行三昧! お天道様が許してもこのわしと幼女が許しはせん!!」ビシッ
幼女「むい!!!」ビシッ
魔法使い「今から貴様に天誅を下す! 破壊されたお店の方々の無念、そしてわしの痛みをしかと味わうがいい!!」
巨人「ウガァァァァァァァァアアアアアア!!!!」ブォン
魔法使い「魔法障壁!!」ピキーン
巨人「ウゴ? ウガァァ!!」バシンバシン
魔法使い「無駄じゃ! その壁は貴様如きがどうにかできるもんじゃないわ!………ほれ! 拘束魔法!」
ジャラジャラジャラ! ビシィ!!
巨人「ウガァァ!!」ギチギチ
魔法使い「どうじゃ、魔法の縄で縛られた気分は! では仕上げと行くかの! 幼女、準備はいいか?」
幼女「!!!」ピョンピョン
魔法使い「行くぞ!」
幼女「むい!!!!」カッ
魔法使い「豪炎魔法!!」ゴォォ
ドガァァァン!
巨人「ガァァァアアアアアア!!」ピクピク
魔法使い「まだじゃ、こんなもんではわしの気がすまん……!!!」ククク
魔法使い「水龍魔法! 竜巻魔法! 爆発魔法! 氷塊魔法! 猛毒魔法! 隕石魔法! ………えーっとなんかよくわかんないけど強力なの!!」
ドドドドドドドドドドド!!!!
ドッカーン!!!!
巨人「………ぐ、グォ……」チーン
魔法使い「ど、どうじゃ! 食べ物の恨みは恐ろしいのじゃ!!」ハァハァハァ
従者「す、凄い……あれが魔王を倒した人達の力……」
剣士「………かつての盟友としてとても恥ずかしい……」ハァ
魔法使い「お、剣士ではないか? 久しぶりじゃの!」シュタッ
剣士「流石に威力は抑えたんだな」
従者「え? 今ので?」
魔法使い「当たり前じゃ! もし本気を出して周りに被害がでたらどうする!」
剣士「君がそういう配慮ができる子でこっちは助かったよ……」
幼女「ケンシ!!」ヨッ
剣士「君は昨日の………」
幼女「ケンシー!!」ダキッ グリグリグリ
剣士「こ、こら! やめなさい!」
魔法使い「大人気じゃの?」ニョホホ
剣士「魔法使い、なんとかしてくれ!」
魔法使い「ほれ、幼女。そろそろやめたらどうじゃ?」
幼女「ケンシー!!!」イヤイヤイヤ
魔法使い「ダメじゃ、諦めろ」
剣士「困ったな……」
幼女「ケンシー♪」ムフー
―――――
巨人「………ガァァァアアアアアア…………」
メイド「今の声、聞きましたか? どうやら誰かがあの巨人を倒したようですよ?」フフフ
黒装束「……」
メイド「大人しく投降しなさい! 私1人足止めしたところでこの国は落ちません! あなた方の負けです!」
黒装束「……魔術『重力解放』」ビュン
メイド「少しはこっちの話を聞いたらどうですか!?」
黒装束「……!!」グワァ
メイド「スピードは結構ですが、それでは当たりませんよ?」ヒラッ
黒装束「魔術『爆炎』」カッ
ドガァァン!
メイド「強情ですのね!!」ヒュンヒュン
黒装束「……魔術『重力空間』」
ボトボト
メイド(ナイフが届かない……あの魔法やっかいですわ。やはりここは……)バシュン
黒装束「……接近戦か?」グワァ
メイド「……!!!」キィィィィン
黒装束「……ほう? これを避けるか」
メイド「これくらいメイドの嗜みですわ! 私にはあなたの動きが全て『視える』んですの」キィィィィン
黒装束「貴様、その目は!?」
メイド「そんなこと、あなたには関係ないでしょう?」
黒装束「……なるほど、お前も『こちら側』というわけか……しかし私にはわからない。なぜ人間の味方をする?」
メイド「……さぁ? なんのことだかさっぱりですわ!」バシュン
黒装束「……とぼけても無駄だ!」ヒラッ
メイド「………私が何者であろうとも、私は姫様のメイドですの!!」バッ
黒装束「己が誇りを忘れたのか!? 貴様は!」ガキィィン
メイド「主に仕え、主のために行動する。それが私の誇りです! メイド、なめんじゃねぇですの!」ヒュンヒュン
黒装束「…………ぬるい………ぬるいぞ!!」
ザクザク!!!
メイド「当たった!? いや、自分から当たりにいったんですの?」
黒装束「……貴様は忘れたというのか! あの日の屈辱を! 同胞が受けた痛みを! その痛みに比べればこのような痛みなど!!!!」ゴォォ
メイド「……!!」
黒装束「久々に同胞に会えたと思ったがどうやら期待外れだったようだ。無駄な時間を過ごしてしまった。そろそろ計画の最終段階に移行するとしよう」
メイド「お待ちなさい! そんなことさせるとお思いですか!?」
黒装束「……黙れ、その程度で私に本当に勝てりると思っているのか?……やはり人間被れは甘いと見える!」ククク
メイド「させません!!」ダッ
黒装束「魔術『重力支配』!!!」
グワン!!!
メイド「ガッ……!」ベシャ
黒装束「誇りを失ったものなど我らにはいらん! 圧倒的な力の前になす術もなく死ぬがいい!!!」グンッ
メイド「ああああああ!!!」メキメキメキ
黒装束「どうだ? 痛いか? それが我々の痛みだ! そして主を失った私の痛みなのだよ!!」
メイド「クッ……」グググ
黒装束「……ほう? それでもまだ立とうというのか?」
メイド「……何度も言わせないでください……メイドをなめんじゃねぇですの……」グググ
黒装束「……おもしろい。実におもしろい。だが、そろそろ時間切れだ」ククク
メイド「!!!」
黒装束「はぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!」ゴォォォォ
黒装束「人間どもよ! これは新たな闘争のきっかけに過ぎぬ。私はその礎となるために喜んでこの身を捧げよう!」ゴォォォ
黒装束「各地に潜む同胞達よ! そして、平穏に酔いしれる人間どもよ! これが、これこそが我らの意思である!」カッ
ゴォォォォオオオオオオオ!!!
黒装束「禁忌魔術!」
ゴォォォォオオオオオオオ!!!
メイド「こ、これは……」
黒装束「同胞達よ! 聞こえるか! 我らの戦いはまだ終わりでは無い! 武器を取り再び戦え! 人間共に安らぎを与えるな! 我らが受けた絶望を奴らに! 全ては我が主のために!!」
黒装束「集え! その命を持って私に人間どもを駆逐する力を与えよぉぉぉ!!!
ゴォォォォオオオオオオオ!!!
黒装束「フハハハハハハ!!!」
とりあえず今日の投下は以上です
明日も同じ時間位に投下できたらなと思っています
今日もありがとうございました!
こんばんは。昨日は申し訳ありませんでした。
それでは投下していきます。
今日もよろしくお願いします
レッド「……巨大な魔力反応の減衰を確認。どうやら巨人が無力化されたようです」
蒼騎士「チッ、先を越されたか……」
紅騎士「え!? 本当にあの巨人とやり合う気だったのか!?」
蒼騎士「問題あるか?」
紅騎士「いーえ、別に」
レッド「同じく侵入者、一体を除き無力化を確認」
ブルー「お! あとちょっとで目標達成だねい!」フリフリ
蒼騎士「レッド、最後の1人はどこにいる?」
ブルー「なんで私に聞かないの!?」ガルルル
レッド「……ちょうどこの上です」
紅騎士「2階か……よし、サクッと終わらせちまおうぜ!」
蒼騎士「ああ、そうだな」
ブルー「フーンだ、いいもんいいもん。どうせ私は役立たずなんでしょ!」
レッド「……!! お待ちください! なにか変です!」
蒼騎士「なに!?」
白装束達「「グァァァアアアアアア!!!」」ガタガタガタガタ
村娘「あの声って……さっきの白装束?」
村長「苦しんでいるようじゃの……?」
白装束I「全ては……」
白装束H「我が……主の……ために!」
「我が主のために!」「我が主のために!」「我が主のために!」……
村娘「……なに、この声……? 頭に……響く……!」
村長「……大丈夫か……村娘!」グッ
蒼騎士「……クッソ! ……どうなってやがる!?」
レッド「最後の一体の魔力反応増加中! ……これは……危険です」
紅騎士「危険って……?」
白装束「グァァァアアアアアア…………」ガクッ シュゥゥゥゥ
レッド「他の侵入者の魔力を吸収して肥大化……このような反応、ありえません」
ブルー「フーンだ、いじけたブルーちゃんはさっきから鳴り響いてる通信にも無視しちゃうもんねー、なんか重要そうだけどマスターが悪いんだもん!」プンスカ
蒼騎士「言ってる場合か! 俺たちがどうなってもいいのか!?」
ブルー「そ、それはダメ! いくら意地悪でもマスターは私の大切な人だもん!」
ブルー「受話器を取って、もしもしどちらさん?」
メイド「……蒼騎士さん……? 今どちらですか……?」
蒼騎士「メイドか。今は最後の魔力反応のすぐ下だ。一応、一般客と一緒に行動している」
メイド「…………でしたらその方達を連れて……今すぐ逃げなさい……」
紅騎士「え、どういうことだよ?」
メイド「今回は……相手が……悪すぎます……」ハァハァ
蒼騎士「おいメイド、大丈夫か?」
メイド「とにかく、引き続き私が時間を稼ぎますので、すぐに騎士団長である剣士様を……」
ガチャン! ブツッ!
蒼騎士「メイド? おいメイド!?」
ブルー「つ、通信、終了だよ……」
紅騎士「姉ちゃん!?」
レッド「強大な魔力反応を感知。依然増幅を続けています。現在の我々の能力では歯が立ちません。撤退を提案します」
紅騎士「姉ちゃん? 姉ちゃん!!」
村娘「ちょ、どうなってるのよ?」
蒼騎士「わからない、ただ相当やばい状況ってことは確かだ。………紅、さっさとずらかるぞ。準備しろ」
紅騎士「おい! 姉ちゃんを放っておくのかよ!?」
蒼騎士「忘れたのか?こっちは民間人抱えてるんだぞ」
村娘「…………」ハラハラ
紅騎士「で、でもよ!」
蒼騎士「それに、メイドが勝てない敵に俺たちが勝てると思うのか? 2人がかりであいつに手も足もでなかったのに」
紅騎士「それでも、姉ちゃんを見殺しになんてできねーよ!」
蒼騎士「紅、姫様との約束を思い出してみろ」
紅騎士「………『絶対に死ぬな』ってやつ?」
蒼騎士「俺らはともかくあいつが姫様との約束を無視するわけねぇ。あいつはしぶとい。 だから大丈夫だ……今回の件は俺たちの手に負えるもんじゃない。大人しくメイドの言う通りにしよう」
紅騎士「くそう! なにか、なにか他に方法はないのかよ!?」
蒼騎士「それ以外に方法はない。俺たちの勝手でこいつらまで危険な目に合わせるわけにはいかない。姫様はそれを望まない。わかってくれ、紅」
紅騎士「クソッ……!」
レッド「逃走経路を設定します」
蒼騎士「わかった、紅。そこの女を担げ。俺は爺さんだ」
村娘「うぇ!?」
紅騎士「わかった」ヒョイ
村娘「ちょ、ちょっと! 恥ずかしいですよ!?」
???「フハハハハハハハ!!!」
村娘「ひぃ!?」
蒼騎士「舌を噛みたくなかったら黙ってろ。時間がない! ブルー、行けるか?」
ブルー「もちのろーん!! 面舵いっぱいよーそーろー♪」ガチャン
レッド「高機動戦闘モードに移行します」ジャキン
ゴォォォォオオオオオオオ!
村長「ホホ、お手柔らかに頼むの」ガタガタ
村娘「なんで私ばっかりこんな目にぃ!!」ジタバタ
蒼騎士「脱出する!!!」
レッド「逃走経路確認完了。約40秒で予想危険区域から脱出します」
ブルー「あ、シートベルトをお締めください♪ 救命胴衣はちゃんと着ましたか? 危なくなったら上からぷらーんってなってるやつを口元に……」
蒼騎士「いいから行け!」
ブルー「了解~♪」
バシュン! ゴォォォォオオオオオオオ!!
村娘「うひぃぃぃいいいいいいい!!!!」
レッド「魔力反応依然増幅中! このような数値、ありえません!」
村娘「なんですかぁ!? 一体後ろでなにが起こってるんですかぁ!!」
蒼騎士「死にたくなかったら振り返るな!! スピードを上げろ!」
レッド「了解、最大戦速」
ブルー「思いっきりいっちゃうよ!」
村娘「あばばばばばば!!!」
蒼騎士(メイド、死ぬんじゃねぇぞ!!)ギリッ
―――――――
幼女「………マホウツカイ………」クイクイ
魔法使い「…………む?」
剣士「……君も気づいたか」
魔法使い「うむ、とんでもないのがまだおるの」
助手「やっと見つけたわよ! 魔法使い!!」
参謀「剣士!!」
ゾロゾロゾロ
剣士「陛下! 王妃様それに王弟殿下まで!」 ザッ
魔法使い「助手! そなた無事であったか!? よかった……」ホッ
助手「さっきそこで参謀さん達と鉢合わせしてね、ここまで連れてきてもらったのよ」
参謀「いやはや、軍属でありながら逃げることしかできず、なんとも情けない……」ハハッ
仮面王女「なにを言ってるのよ、あなたには危ないところを助けてもらったわ。ありがとう」
参謀「仮面王女様にそのようなお言葉をかけていただけるなんて、この参謀光栄の極みです!」
幼女「………むー」ジー
助手「あら、幼女ちゃん。魔法使いと一緒にいたの?」
魔法使い「巨人討伐に力を貸してもらった」
助手「あんた、こんな小さい子になにやらせてるのよ……」ハァ
幼女「………むー」ジー
参謀「……なぜか、随分と見られているような……よ、幼女ちゃんと言ったかな? 私は参謀。よろしくね」スッ
幼女「むいっ!」プイッ
魔法使い「こ、これ!」
参謀「………どうやら嫌われてしまったようですね……」アハハ
王弟「剣士! こんな所でなにをしている!? お前の力でさっさと逆賊を殲滅せんか!!!」
剣士「はっ! 申し訳ありません王弟殿下。一般客の避難誘導に当たっておりました」
王弟「民のことなどどうでもいい! 私は死にかけたのだぞ!!」
国王「弟よ、それ以上言うな。剣士は我々が守るべきもののために行動してくれたのだ」
王弟「あ、兄上は甘いのです! 逆賊は即殲滅せねば被害が広がるばかりではありませんか! それに、彼奴等が第一に守るのは我々王族でしょう!」
仮面王女「ちょっと、叔父様いくらなんでも……」
国王「民を第一に考えないで何が王族か!!」ビリビリ
王弟「ぐぬ……」
国王「剣士、よくやってくれた。礼を言う」
剣士「もったいなきお言葉です。参謀も、よく姫さまと殿下を……」
参謀「なに、たまたま居合わせただけだ。たまたまな」ニィ
魔法使い「剣士」
剣士「ああ、そうだったな、陛下。まだ敵が残っています。ここは危険ですのですぐに避難を」
陛下「そうもいかん。私は国の代表としてこの事態を見定める必要がある」
王弟「わ、私はこんなところ嫌だからな! は、早く安全な場所に連れて行け!」
剣士「…………わかりました。従者。王妃様と殿下と姫様を……」
従者「わかりました、こちらです」
仮面王女「私も残るわ」
剣士「姫様!?」
国王「王女よ、ここは危険だ。早く逃げなさい」
仮面王女「……まだ中にメイドとアホとバカが残ってるのよ。主人として放っておけない」
剣士「しかし……」
「この大空ーに♪ つふぁさをふふんふんー♪ 飛んでーゆきたーふんふーん♪」ゴォォォォ
「ああああああ!!!死んじゃう! 首! 首とれちゃいますぅぅぅぅ!!!」
ゴォォォォ!!!
「三途の川じゃぁぁぁぁぁああああ!!!」
レッド「目的地到着。高機動戦闘モードを解除します」ガチャン
紅騎士「し、死ぬかと思った……」
仮面王女「アホとバカ!!!」
蒼騎士「誰がバカだ……」
紅騎士「え、俺アホ?」
村娘「ああ、良かった、生きてる。私生きてる……」プルプル
村長「…………」チーン
仮面王女「無事で良かった。ちょっとは心配してたのよ?」
蒼騎士「流石に初仕事で戦死するのは洒落にならない」フフッ
仮面王女「まぁ、色々と不備はあったみたいだけど私のところに戻ってきただけでもよしとしましょう……それはそうと、あんた達、メイドを見なかった?」
村娘「え!? 姫様!? まさか本物?」
蒼騎士「…………」
仮面王女「まったく、時間稼ぎするって言ったはいいけどここまでやる必要ないじゃない。相変わらずサービス精神満載なんだから」
蒼騎士「……メイドから通信があった」
仮面王女「え?」
ブルー「その、メイドって人がね、今すぐ逃げろって。今回は相手が悪すぎる。剣士って人を頼れって。それで途中で通信が切れて……」
蒼騎士「俺達はメイドの言うとおりに尻尾巻いて逃げてきたんだ………すまん」
仮面王女「………そう」
村娘「あ、あのですね姫様! この人たちは一般人である私達を優先したってだけでですね……」
仮面王女「別にいいのよ。あなた達が無事でいてくれて何よりだわ。私はメイドやこいつらにそうするように命じていたんですもの。だから気にする必要なんてないのよ?」
村娘「で、でも……」
仮面王女「そんな顔しないで、私たち王族が守るべきものはあなた達なんだから」
村娘「姫様……」
仮面王女「剣士、魔法使い。私の頼み、聞いてくれる?」
剣士「なんなりと」ザッ
魔法使い「うむ」
仮面王女「………メイドのこと頼めるかしら? あの子は私にとって大事な友達なの」
魔法使い「もちろんじゃ。」ムン
剣士「必ずやその使命、全うさせていただきます」
幼女「………!!!」ピョンピョン
仮面王女「……そう、あなたも協力してくれるの? ありがとう」フフッ
幼女「むい!!」ビシッ
蒼騎士「………ブルー。俺たちもあいつらについていくぞ。準備できてるか?」
ブルー「お、それでこそマイマスター! 3分間だけ待っててねぃ? すぐに準備するから!」
蒼騎士「待てねぇ、40秒で支度しろ」
ブルー「ああんもう、マスターったらせっかちさんなんだからぁー! でもそういうところがス・キ!」キャルン
紅騎士「よし、よぉぉぉぉっし! 俺も行くぞ!」
レッド「マスター。討伐対象の力はあまりにも強大です。ここは他の皆様に任せたほうが効率的かと思われます」
紅騎士「………確かに俺じゃ足でまといかもしれないけどさ、やっぱり姉ちゃんのこと放っておけねぇよ」
レッド「その行動は推奨できません」
紅騎士「レッド。ありがとな、心配してくれて。それでも俺、戦いたいんだ。みんなの力に少しでもなりたいんだよ」
レッド「理解できません。私はあなたの行動の最適化を提案する電子妖精です。そのような思考ルーチンは存在しません」
紅騎士「レッド……」
レッド「ただ………どうやら私は、その気持ちを理解したいと思考しているようです」
レッド「あなたと共に行動すれば、それが理解できるようになるのでしょうか?」
紅騎士「………ああ、わかるよ! ………多分!」
レッド「随分と曖昧な回答ですね……」フフ
剣士「陛下と姫様はせめてこの場でお待ちください」
魔法使い「どうやらあいつらは2人を標的にしているようじゃしのう」
陛下「………そうか」
仮面王女「頼んだわよ、あんた達」
魔法使い「これでもわしは公務員なのじゃ」
仮面王女「税金分はちゃんと働かなきゃってこと?」
魔法使い「世のため人のため! そして明日の我が身のお給金のためじゃ!」
剣士「君が言うと随分と俗っぽいな………」
魔法使い「ええい、黙っておれ剣士! そもそも貴様はまだこれといった戦果がないではないか!」
剣士「うぐ……! 別にいいだろう。騎士とは人を守る仕事だ。自分から敵陣に突っ込んでいくような君みたいな人間とは根本的に違うんだ!」
魔法使い「ほほう? その反応を見るに若干気にしておるようにも見えるが?」
剣士「違う、断じて違う!」
魔法使い「王国最強の戦士と謳われてはいるが、実際のところはどうなんじゃろうなぁ? 実はこの2年で腕も相当に落ちたとも考えられるの!」ククク
剣士「言わせておけば………」
村娘「あのー、お二人共? あんまり時間に余裕がないんじゃ……」
剣士「む、これはすまない……」
魔法使い「それでは、さっさと片付けてくるとするかの!」
幼女「………!!」ピクッ
助手「ん? どうしたのかな? 幼女ちゃん」
幼女「……ソー・リョ?」ボソッ
助手「え?」
「ああ、諸君。わざわざ客人である君たちがこちらに出向く必要はない」
レッド「!!! 強大な魔力反応の接近を感知! ………これは!」
「私が出向くとしようじゃないか」
レッド「………!! マスター! 逃げて!!!」
グワァ!!!
紅騎士「え?」
といったところで今日の投下は以上です。
最終決戦までもうすぐ………とまでは言えないですが今週こそ終わらせたいと思ってます
明日も同じ時間に投下したいと思ってます
今日もお付き合いありがとうございました!!!
最近は勇者が空気だね
こんばんは。今日も投下していきたいと思います。よろしくお願いします
>>249 本当だ……最近全然出てないwww
紅騎士「な……なんだよ……これ……?」ゴフッ
ドサッ!
蒼騎士「紅ぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
魔法使い「くっ……奇襲かっ!」
蒼騎士「紅! 紅! しっかりしろ!」ダキッ
村娘「……嘘でしょ? そんなのって……」
レッド「生命反応微弱……非常に危険な状態です……」ガガガ バチバチバチ
ブルー「レッド、あなただって!」
レッド「損傷箇所、鎧を含む腹部中心部。特に内臓部分の損傷が激しくその他数十カ所も同様に危険な状態……」ガガガガ
紅騎士「すまねぇ兄弟……」ハァハァ
蒼騎士「馬鹿野郎、喋るな!」
レッド「マスターの魔力を損傷箇所の修復に……」
ブルー「無茶しないで! あなただって壊れちゃうかもしれないのに!!」
レッド「構いません……私は所詮鎧に……搭載されたプログラム……でしかありません。……複製は可能です。しかし、マスターを複製することはできない……」ガガガガ
ブルー「で、でも!」
レッド「私たちの最優先事項など、今ここで議論するまでもありません。そうでしょう?」
村娘「誰か! 誰か回復魔法を使える人間はいないんですか!?」
軍人貴族「わ、私に聞かれても……」
黒装束「脆い。実に脆いな、人間という生き物は。私が力を振るえばこのように壊れてしまう………」ククク
仮面王女「………あんたよくもうちのアホをやってくれたわね……!!!」
黒装束「おお、仮面の姫様ではないか。ご機嫌麗しゅう。挨拶ついでで申し訳ないが借りていたものを返すとしましょう」ヒュン
ドサッ
メイド「…………ぅ」
仮面王女「メイド!!!」
メイド「ひ、姫様……申し訳……ありません……」
仮面王女「あんた……!!」
黒装束「この者がいつまでたっても私の邪魔をするものだから連れてきてしまいましたよ」グリグリ
メイド「くぅ……」
黒装束「もっとも? あなたが今生きているということは少しはこいつの存在意義もあったということですかな?」ニタァ
シュン!
剣士「無駄口はそこまでだ。お前は姫様の大切な人を汚した。その罪、万死に値する!」
黒装束「剣士……!!」
剣士「ハァァァアアア!!!」シュバッ
黒装束「……むぅ!!」バサッ
村娘「やった!?」
助手「いえ、まだ浅いわ!」
バシュン!
蒼騎士「おい、真っ黒野郎……」シュバッ
ブルー「よくもみんなをやってくれたね……」
黒装束「くっ! いつの間に!!」
ブルー「これが私の最大出力!!」
ブルー「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! フルバーストォォォオオオオオ!!!!」
蒼騎士「食らいやがれぇぇぇえええ!!!」
黒装束「……むお!?」
ドカァァァァン!!!!
魔法使い「まだじゃ、こんなもので終わったと思うなよ?」ゴォォォォ
黒装束「………ぐぬ……」ボロッ
魔法使い「水龍魔法!!!」
ドガァァァァァァン!!!
ヒュゴォォォォ!!!
軍人貴族「ぬぉぉぉぉぉ!!!」
参謀「閣下、しっかりしてくださいよ………」
軍人貴族「元はといえばお前が! お前がァァァ!!!」グヌヌ
魔法使い「各々方! 油断するでないぞ! まだじゃ、まだ終わっておらん!」
軍人貴族「へ?」
剣士「メイドさん! 捕まってください!」
メイド「………うっ……申し訳……ありません……」
剣士「ひどい傷だ……すぐに安全なところへ!」
仮面王女「メイド! メイド!!!」バッ
メイド「……姫様……? なぜこのような所に……? 早く……安全な……ところへ……」
仮面王女「馬鹿言ってんじゃないわよ! 紅騎士もあんたも! 誰も死なせたりしないんだから!」ガッ ズリズリ
???「…………ふふ、今のは少し痛かったぞ?」
蒼騎士「おいおい、マジかよ……」
ブルー「そんな、私の最大出力が……」
助手「黒装束が破れて……」
村娘「あの人が今回の犯人……」
???「………」ヒュゥゥゥ
剣士「お前は、まさか!?」
魔法使い「馬鹿な!? 貴様は我らが倒したはずじゃ!?」
村娘「ええ!? どういうことですか!?」
剣士「こいつは魔王軍の幹部だった男だ。魔王との戦いの前に私たちと戦い死んだはず……」
村娘「じゃあ、もしかして魔王と同じ魔族……」
助手「魔族は魔王が死んだと同時に姿を消したと聞いたけど……」
魔法使い「どこかで身を潜めていたということじゃろう」
剣士「それが今になって現れたというのか……」
???「そうだ、私は確かに貴様らに敗れた。そして私は生き延び、部下を連れて人間にまみれ醜く生き残った! 全てはこの瞬間のために!」
???「長かった! 長かったぞ人間ども! 魔王様が倒れ! 魔族は世界各地から追いやられる存在となった! それも全てお前ら人間どものせいだ!!」
暗黒魔人「我が名は暗黒魔人! かつて魔王様に仕え、そして魔王様の覇道を引き継ぎし者!!!」
暗黒魔人「人間どもよ! 恐れおののけ! 魔族が再びお前たちを支配する!!」
――――――――――
軍人貴族「あわわわわ………なんということだ、なんということだ………」プルプル
参謀「ふぅ、なんとかバレずに隠れることに成功しましたね、閣下」ヒソッ
軍人貴族「貴様、なにを考えておるのだ!? 陛下を暗殺するというだけで巨人に魔族だと! どれだけ事を大事にする気なのだ! 誰が責任を取るというのだ!」
参謀「まぁまぁ、落ち着いて。せっかく隠れたのに見つかりますよ?」
軍人貴族「ぐぬ……」
参謀「大丈夫です。ここまでは予定通りですから」
軍人貴族「そうなのか?」
参謀「現時点で式典はめちゃくちゃです。今回の事件の責任は全て、魔族の反感を買った陛下にあると貴族連中は考えるでしょう。加えて民衆も、聖女を災厄を連れてきた者として列聖を反対する声も出てくるはず」
軍人貴族「そうなのか?」
参謀「もちろんです。英霊とは国を守る守り神。その式典でこのような事態を起こしたりなんてしたら、貴族連中は黙っていない。計画は成功ですよ、閣下」フフフ
軍人貴族「ちょっと待て! 成功なのはいいがあの魔族はどうするんだ!? 剣士やあの騎士の攻撃を食らっても平気そうではないか!」
参謀「まぁ、適当に今後邪魔になりそうな勇者と陛下、ついでに仮面の姫様をぶっ殺してくれたところでうちの騎士団が討ち取ってくれたら私としては一番いいんですけどねー」
軍人貴族「貴様、悪魔か……」
参謀「大丈夫です、どっちに転んでも大丈夫ですから、閣下は安心してここでどっしりと隠れててください」
軍人貴族「う、うむ……」
参謀(まぁ、どっちに転んでも、俺としてはどちらでも構わないのだが……さて、そろそろ計画の『主賓』が見える頃だな……さて、どうなる?)
魔法使い「フン! 1度は我々に破れた三下程度の魔族になにができる!?」
剣士「お前の計画は失敗だ! 仲間の魔力を吸って多少パワーアップしたところで私たちに勝てると思っているのか!?」
暗黒魔人「ほう? 確かに剣士殿と魔法使い殿を同時に相手するのはこのままでは厳しいかもしれないな。ならば……」スッ
魔法使い「なにをする気じゃ!?」
暗黒魔人「もう少し、魔力を補給するとしよう」コォォォ
巨人「グォォォォオオオオオオオオオ………!!!!」
村娘「まさかあの巨人の魔力を!?」
魔法使い「しまった!」
剣士「させん!」バッ
暗黒魔人「残念だったな、もう遅い!」シュォォォォオオオ
巨人「グ、グォォォォ………」シュゥゥゥゥ
暗黒魔人「………ふむ。これくらいでもう十分だろう。さて、お二人共、これで少しはマシになったかな?」
ゴォォォォォォ!!!!!
魔法使い「………なんて魔力じゃ……周囲の魔力を巨大な魔力を吸収して、魔力だけなら魔王と同等……いや、それ以上かもしれん!」
村娘「えええ!!?? 私たちどうなっちゃうんですか!?」
暗黒魔人「ふふ、では誰から死にたい? 真っ先に殺してあげよう……」ゴォォ
幼女「むい!!」カッ
ドゴォォン!
暗黒魔人「ほう?」ヒラッ
助手「幼女ちゃん!?」
魔法使い「いかん! 幼女!」
幼女「むー」プスプス
暗黒魔人「今の、君がやったのかい?」ニタァ
幼女「むー!!!」スゥゥゥゥ
幼女「め! めめめめめめめめ!!!!」シュバババババババ!!!
剣士「なんて数の魔力だ!」
暗黒魔人「これは……龍の力か!!」
ドカドカドカドカドカ!!!!! ドカァァァァン!!!
暗黒魔人「確かに面白い力だ! だがこれで私を倒そうなど百年早い!!」
幼女「…………」ムスー
暗黒魔人「まずはお前から殺してやろう!」バッ
魔法使い「逃げるんじゃ! 幼女!!」
幼女「…………」
「させねぇよ!!」
ガキィィィン!!
暗黒魔人「なに!?」バッ ザザッ
勇者「まったく、火竜の時といい今回の時といい、なんだってお前はこうやって面倒事に巻き込まれるんだよ?」ナデナデ
幼女「!!! ユーシャ!!!」ダキッ
勇者「おわっ!? だから抱きつくなってーの!」
というところで今日の投下は終了です
なぜみんな幼女から先に攻撃したがるんだろう……
明日も同じ時間に投下できたらいいなと思ってます
今日もお付き合いくださり、ありがとうございました!
こんばんは、今日も投下していきます
このスレで一番盛り上がった内容がロリコン談義だなんて……(笑)
今日もよろしくお願いします
幼女「………ユーシャ」クイクイ
勇者「ん? なんだ? ああ、あれが聖女像か……大きいなぁ……こっから見ると中々の迫力じゃねぇか」ハハッ
幼女「ソーリョ!!」ビシッ
魔法使い「なっ!?」
剣士「!!!」
勇者「いや、あれが聖女様って言うんだぞ? お前好きなんだろ?」
幼女「ソーリョー!!!」ブンブン
勇者「いや、だから聖女様だって………」
剣士「………勇者。来ていたのか……」
勇者「おお、剣士。久しぶり、魔王倒した時以来だったっけ? いやーうちの幼女が迷惑をかけちまったみたいでごめんな?」
剣士「いや、正確には魔王討伐の報告に城へ出向いた以来だ」
勇者「そうだっけ? あんまり昔のこと覚えてなくてよー」ハハッ
魔法使い「勇者! あれほどここには来るなと……」
勇者「そんなこと言ったって、王都のピンチだろ? 勇者として放っておくわけには……」
剣士「勇者なんてやめて、国からの支給金でニート生活に勤しむんじゃなかったのか?」
勇者「まぁ、それはそれってことで……」
同僚「勇者様ー!」タッタッタ
勇者「あれ? 同僚さん?」
同僚「もう! 急に走り出してびっくりするじゃないですか! どうしたって言うんですか!」
勇者「あはは、すみません………」ペコペコ
仮面王女「ちょっとあんた!」ガシッ
同僚「うえあ!? いきなりなんですか……ってその仮面……もしかして仮面の姫様ですか!?」ゲゲッ
仮面王女「御託はいいからこっちに来なさい! あなたの転移魔法で2人をどこか治療できる施設に連れて行ってくれないかしら!」
メイド「………」
紅騎士「………」ドクドク
レッド「両名とも生体反応減衰中………至急正しい処置を要請します……」ガガガ バチバチ
同僚「え? なに? ちょっとこの人たち大丈夫なんですか……?」
仮面王女「見ればわかるでしょ、事態は一刻を争うの!」
同僚「というより王女様はなんで私が転移魔法が使えるの知って……」
仮面王女「いいから早くやれって言ってんでしょーが!!!」
国王「私からも頼む。二人共こいつの大事な友人なのだ」
同僚「うわ、陛下!? もしかして本物!? ……えっと、な、なんだかよくわからないけど、わっかりましたー!」ビシッ
国王「うむ、頼んだぞ」
仮面王女「勇者」
勇者「な、なんですか? 姫様?」
仮面王女「王都の危機よ。あんた勇者でしょ? なんとかしなさい」
勇者「は、はぁ……」
仮面王女「ちなみにできなかったらあんたの支給金、今月から私の権限で0だから☆」
勇者「なっ!?」
仮面王女「同僚さんといったかしら、転移魔法をお願い、私も一緒に行く。村娘さん、そこのおじいさんも連れて一緒に来て。ここは危ないわ」
村娘「は、はい! ちょっと村長! 行きますよ!」
村長「お、三途の川じゃー」フラフラ
村娘「なに馬鹿なこと言ってんですか!」
助手「治療にはうちの研究室を使ってください。そこでなら医療魔法が使えるスタッフと医療設備があるはずです。場所、わかるかしら?」
同僚「研究所には何回か研修で行ってるんでなんとか大丈夫です!」
助手「そう、それじゃあよろしくね。事情を話せばちゃんと通してくれると思うから」
同僚「………まさか、こんなことになるなんて……行きますよ? 転移魔法!!」
シュン!!!
勇者「おい! できなかったら今月から0ってどういうことだよ! おい! 言い逃げかコノヤロー!!!」
剣士「勇者! 姫様になんたる暴言を!」
勇者「うるせぇ! 明日から食っていけなくなったらどうするんだ!? 俺と幼女、二人で路頭に迷えばいいってのか!? あーん?」ガルル
剣士「働けばいいだろ」
勇者「お前は昔っからそうだよな! 正論言ってればいいんですか? そうやって真面目くんしてて楽しいですか!?」アアン!?
蒼騎士「お前ら、後にしろ。あいつの様子が変だぞ」
暗黒魔人「…………」
勇者「お、誰かと思ったらこの間の山賊くんじゃないですか! どうしちゃったのその格好!?」
蒼騎士「………お前、今日なんか変だぞ?」
勇者「いやー、見慣れないもん見てお兄さん、テンション上がっちゃってね! さぁ、さっさとかかってこいやオラァ! こちとら生活かかってるんじゃコラァ!!」
暗黒魔人「勇者………だと?」プルプル
勇者「ああん!? しょうがねぇなぁ………そう何度も名乗ってやらねぇからよーく聞きやがれ!」
勇者「俺の名は勇者! 魔王をこの手で倒した男! 今やその功績のお陰で悠々自適の税金暮らしのニート様! 働かないでも毎日おいしいご飯が食べられる! いやー、こんな生活ができるのも魔王様のお陰ですな!!!」ガッハッハッハ
暗黒魔人「………」プルプル
魔法使い「ゆ、勇者? なんだかさっきから随分と変ではないか?」
勇者「お? 恐れおののいて声も出ないってか!? でも俺はお前をぶっ飛ばさなきゃ気がすまねぇんだ! よくも人の幼女に手出しやがったな! 保護者として、ニート代表として! お前にこれから天罰を下す!!!」ババーン
幼女「………ユーシャ?」
暗黒魔人「ふざけるなぁぁぁぁああああ!!!!!」
暗黒魔人「なにが悠々自適の生活だ! 貴様が魔王様を殺してから2年、我々魔族がどれだけの屈辱の中生きてきたかお前にわかるか!? 我々から大事なものを奪っておいてよくもそんな口が聞けたものだな!」
勇者「うるせぇ! こちとら税金暮らしのニートですよ! 自分勝手具合で言ったらそこらの貴族より質が悪いって評判なんだよ! お前はさっさと俺の生活のために死ね!」ベー
暗黒魔人「………一度ならず二度までも我らを愚弄するか……いいだろう、この力で貴様を絶望の底へつきおとしてくれよう!!」スッ
国王「な、なにをする気だ!? 暗黒魔人よ!」
暗黒魔人「いいか、勇者。これは見せしめだ。貴様らに希望などありはしない!!」
魔法使い「まさか……聖女像を!? やめるんじゃ! そんなことをしたら……」
勇者「おい! 作った職人の気持ちを考えろ! きっとものすごい苦労してると思うぞ!」
蒼騎士「そういうことを言ってんじゃねぇ!」
国王「やめろ! あれはこれから人々の希望になっていくものだ!」
剣士「そんなこと……させない!」バシュン
暗黒魔人「止められるものなら止めてみろ!!! 魔術『重力支配』!!」
剣士「ぐぅ………!!」ベシャッ
魔法使い「こ、この!! 豪炎魔法!!」
暗黒魔人「無駄だ! 魔術『黒炎』!!」
バァァァァァンン!!!
魔法使い「なに!? わしが、打ち負けたじゃと……」グググ
暗黒魔人「魔王様! 見ていらっしゃいますか!? 勇者共が私に手も足も出ずに地面に這い蹲る姿を!!」
勇者「人の仲間と幼女に……てめぇ、何してくれてんだ……」グググ
暗黒魔人「どうした? いいのだぞ、その状況下で私に一太刀浴びせたければ浴びせても?」
勇者「だったら、このうざったいフィールド戻してくれ……」ググッ
暗黒魔人「それは聞けないな……私は貴様らが苦悶の表情で這い蹲る姿をもっと見ていたいのだ……」
勇者「この変態趣味が……仲間と幼女に手を出した許さねぇからな……」
暗黒魔人「なにを戯言を……我らの希望を先に奪ったのは貴様ら人間! そして貴様ではないか! ならばその痛みの千分の一でもしかとその心に刻みこめ!」
暗黒魔人「魔術『黒炎』!!!」カッ
ドガァァン!!
勇者「…………!!!」
剣士「聖女像が……」
助手「崩れていく……」
国王「おのれ!!!」
暗黒魔人「まだだ、まだまだこんなものではない!!!」バッ
暗黒魔人「人間の希望など! 私が! 完膚なきまでにこの手で壊し尽くしてくれる!!!」ブワッ
暗黒魔人「ハァァァアアア!!」
暗黒魔人「希望などない!」ガンッ
暗黒魔人「いくら聖女を模したところで奴は死んだのだ!」ガンッ
暗黒魔人「もう二度とあの時のような奇跡は起こらない!」ガンッ
魔法使い「もうやめて、これ以上お姉ちゃんを壊さないで!!!」
剣士「暗黒魔人! 死者を愚弄するな!!」
暗黒魔人「黙れ!」グワン
剣士「ガッ……!!」ググッ
魔法使い「きゃっ……」ベシャッ
蒼騎士「お、おいブルー……なんか対抗策はねぇのかよ……」
ブルー「ごめん、マスター。今の私たちにこの力から抜ける方法は……」
助手「……本当にこのままじゃ打つ手無しじゃない……」
幼女「……ユーシャ……?」
勇者「……やめろ……」グググッ
暗黒魔人「ほう?」
幼女「ユーシャ……!」
「あなたは魔王のいない世界で笑って生きて?」
「私ね、ユーシャの笑顔大好きだから……」
「ごめんね。………今までありがとう……」
勇者「……俺は……悠々自適に……毎日笑って……暮らさなきゃ……いけないんだ……」
勇者「…………毎日ヘラヘラしながら……嫌なことも忘れて……仕事もしないで……のんびり……楽しんで……そうしないと……そうしないと……」
幼女「ユーシャ!!!」
勇者「そうしないと……」
「私にとって、あなたのいる世界こそが希望なの……」
暗黒魔人「人間の希望もろとも! 粉々に砕けて消えろ! 聖女ぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
勇者「そうしないと……約束……守れないじゃないか……」
ドガァァン!!
暗黒魔人「……どうだ勇者!! これが私の絶望! これが私の怒りだ!!」
パラパラパラ……
ドサッ
助手「………!!! あれは聖女像の右腕……!!」
勇者「……あ、ああ……」ドサッ ダキッ
暗黒魔人「勇者よ! かつての仲間の変わり果てた姿を見てなにを思う!? 絶望か!? 怒りか!? それでいい! もっと私を恨め! 怒れ! その思いごと打ち壊してこそ! 我らの復讐となる!!」
助手「勇者様……」
勇者「…………」ヒシッ
幼女「……ユーシャ……?」
………ドクン
「だから私が最初にユーシャって呼んであげる!」
………ドクンドクン
「えへへ、ありがと。ユーシャ!」
……ドクンドクンドクン!
勇者「そうだ……俺は……俺が……守るって……」
ドクンドクンドクンドクン!
魔法使い「いかん! 勇者! 心を強く持つのじゃ!」
剣士「そうだ勇者! あの時はああするしか無かったんだ!」
魔法使い「勇者よ! もう全て終わったことなんじゃ!!」
助手「どうしたの!?」
魔法使い「勇者を止めなければならん。このままでは……!!」
勇者「俺が守るって……約束……約束したんだ……なのに……なのに!!!!」
魔法使い「勇者が、壊れてしまう!!」
助手「なんですって!?」
勇者「俺は俺は俺は俺は俺は俺は………」
勇者「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
ズドォォォォォォン!!!!
といったところで今日はここまでです
明日もこの時間に投下できればと思います
今日もお付き合いくださりありがとうございました!
こんばんは、今日も投下していきます
よろしくお願いします!
>>262
参謀「まぁ、適当に今後邪魔になりそうな勇者と陛下、ついでに仮面の姫様をぶっ殺してくれたところでうちの騎士団が討ち取ってくれたら私としては一番いいんですけどねー」 →×
参謀「まぁ、適当に今後邪魔になりそうな剣士と陛下、ついでに仮面の姫様をぶっ殺してくれたところでうちの騎士団が討ち取ってくれたら私としては一番いいんですけどねー」 →○
でした。すみません
暗黒魔人「あれは……雷!?」
「これでもう一回やってみて!」
「多分できると思うから! うん、多分できるよ!」
勇者「………………雷装……!!!」カッ
ズドォォォォォォン!!!
勇者「…………」バチバチバチッ
ブルー「え? そんなのって……」
蒼騎士「どうなってやがる!?」
ブルー「………雷を、魔力を纏ってる。こんなこと、人間にできることなの!?」
勇者「…………」 ゴゴゴゴゴ
暗黒魔人「そうか勇者! 貴様はそうであったな!!」
勇者「……お前が………」
暗黒魔人「そうだ! 私があの聖女像を壊した! だったらどうした!? 私はやられたことをやり返したまで! この戦いの原因はお前にもあるんだよ! 勇者!」
暗黒魔人「我らの主を返せ! 魔族の誇りを返せ!」
勇者「……魔族は……全て……殺す……」
暗黒魔人「やれるものならやってみろ! 勇者の真の力、この私に見せてみろ!」
勇者「……魔族は……殺す……!!」カッ
暗黒魔人「なにぃ!? 見え……」
ドゴォォォ!!
暗黒魔人「グァァァアアアアアア!!!」ヒューン
勇者「…………雷砲……」ガゥン
暗黒魔人「くっ! 魔術『黒炎』!」
ドカァァァァン!!
蒼騎士「すげぇ、あの暗黒魔人を押してる……」
助手「でも……このままでいいの?」
剣士「いいわけが無い、誰かがあいつを止めなければ……」
魔法使い「じゃが、あの状態の勇者を止められる者など……」
幼女「ユーシャ……」トテトテ
魔法使い「幼女! なにをしておるのじゃ! 早く勇者から離れろ!」
幼女「ユーシャ!!」ビシッ
勇者「…………」ゴゴゴゴゴ
幼女「んう?」
勇者「…………」スタスタスタ
幼女「ユーシャ! ユーシャ! ……むぅぅぅぅ」ムッスー
剣士「今の勇者は君の知っている勇者じゃない! 近づいちゃダメだ!」
幼女「むー! むい!!!」カッ
バチィィン
蒼騎士「弾いた!?」
魔法使い「雷装時に生じる電気のバリアじゃ。加減したブレスくらいなら問題なく弾き返してしまう……」
勇者「……魔族は……全て……殺さなきゃ……」スタスタ
幼女「ユーーーーーーシャーーーーーーー!!!!!」
勇者「うるさい!」バチバチ
幼女「!!!!」ドサッ
助手「幼女ちゃん!!」
剣士「勇者! 落ち着け! この子を傷つけてどうする!!」
勇者「……約束……みんなを……あいつを守る約束……」ユラァ
剣士「話を聞け! ここは協力してあの暗黒魔人を……」
勇者「ダメだ……俺があいつを殺さなきゃならないんだ……」
剣士「勇者! お前、自分がこの子を傷つけたことすらわからないのか!」
勇者「お前も俺の邪魔をするのか……?」ギンッ
剣士「くっ……」ゴクリ
勇者「安心しろ……ちゃんと殺す……俺が……全て……」バチバチバチ
勇者「………魔族は……全て……」ブツブツ
暗黒魔人「来い! 勇者! お前の力はそんなものではないだろう!」ガラガラッ
勇者「言われなくても……行ってやる!」ゴォォォ
剣士「待て! 今のお前を行かせるわけには……」ジャキッ
勇者「うぉぉぉぉおおおお!!!!」バシュン
剣士「勇者!? くっ、あの馬鹿!」
魔法使い「剣士! 勇者のことより今は幼女じゃ! 先ほどから反応がない!」ザッ
剣士「なんだって!?」
助手「勇者様の高圧電流をまともに受けたせいで……」
幼女「…………」
魔法使い「人間なら気絶する程度じゃが魔導人形ではどんな影響が出るのかわからん。もしかしたら重要な回路を焼き切ってしまったやもしれぬ!」
助手「幼女ちゃん! 聞こえる!? 幼女ちゃん!!」
剣士「奴はそれほどまでに周りが見えていないのか!」
魔法使い「……無理もない。自ら封じていた記憶が一気に蘇ったのじゃ……勇者は今、あの時の自責の念と魔族に対する復讐心に完全に取り憑かれている!」
剣士「だからといって、この子を傷つけていい理由にはなっていない!!」
助手「幼女ちゃん! 返事をして! 幼女ちゃん!! 幼女ちゃん!!」
幼女「…………」
暗黒魔人「ははははは!!!」バババババッ
勇者「…………!!」バババババッ
暗黒魔人「そうだ! もっとだ! もっと怒れ! 全力のお前を倒してこそ意味があるというもの!」
勇者「雷剣!!!」バチバチバチッ
暗黒魔人「魔術『重力支配』!」
グワン!!
勇者「………!」グググッ
暗黒魔人「そのまま地べたに這い蹲れ! 勇者!」
勇者「………こんなものか?」バシュン
暗黒魔人「馬鹿な!? この状況下で動けると言うのか!?」
勇者「魔族は殺す……誰であろうと!!」ザシュッ
暗黒魔人「くぅ……流石だ勇者! 私もこれで本気が出せるというもの!!」
暗黒魔人「死ね、勇者! 魔術『重力世界』!!」
ズドン!!
勇者「………!!!!」グググッ
暗黒魔人「我が魔術の中でも最強の威力を誇る魔術だ! その威力、『重力支配』の10倍!」
勇者「………」グググッ
暗黒魔人「そのまま重力に押しつぶされ、醜い骸を晒すがいい!! 勇者ぁぁぁぁ!!!」バッ
グワン!!!
勇者「…………ぬるい」グググッ
暗黒魔人「なに!?」
勇者「………ぬるすぎる!」グンッ
勇者「………!!!」バッ
暗黒魔人「なぜ動ける!? 常人では既に肉体を保つことすらできない重力だぞ!!」
勇者「……もう終わりか?」ニタァ
暗黒魔人「くっ!! ならばこれでどうだ! 魔術『魔炎』!!」ゴォォォ
暗黒魔人「どうだ! 地獄の業火に焼かれ死ぬがいい!!」
勇者「…………雷魔法……」バリバリバリッ
暗黒魔人「フン! たかだかそんな初級魔法で私の炎を止めることができるものか!」
勇者「…………」バッ
ドッカァァァァァァン!!!
暗黒魔人「今度こそやったか………」
勇者「………」スタスタスタ
暗黒魔人「なぜだ!? ありえん!! そんなこと、認められるかぁぁぁ!!」バッ
勇者「………雷魔法」バリバリバリッ
暗黒魔人「ガッ……!」
勇者「…………雷砲」ガゥン! ガゥン!
暗黒魔人「グァァァアアアアアア!!!」
暗黒魔人(こいつ、わざと急所を外して……)
暗黒魔人「この!!! 魔術『魔炎』!!」バッ
勇者「…………」スタスタ
バチィィッ!!
暗黒魔人「魔法すら使わず…魔炎を……」
勇者「………いい加減諦めて死んだらどうだ?」ゴォォォォォ
暗黒魔人「その姿が人類の希望……勇者だとでも言うのか……!?」
勇者「………なにを言っている? ……全ての悪を滅し、人間に希望をもたらす……俺こそが勇者だろう?」ニタァ
勇者「暗黒魔人………覚悟はいいか?」
暗黒魔人「なめるな!! 貴様に情けをかけられるくらいなら自ら命を絶つまで!」
勇者「………雷魔法……」バリバリバリッ
暗黒魔人「グァァァァアアアア!!!!」
勇者「………そうじゃない」
暗黒魔人「……なに?」ゼェゼェ
勇者「お前ら魔族にそんな尊厳ある死など与えてやるわけがないだろう? お前たちは醜く、命乞いをしながら無残に死んでいくのがお似合いなんだよ!!!」バリバリバリッ
暗黒魔人「グァァァァアアアア!!!」
勇者「まだだ! もっと苦しめ! 殺してくれと懇願しろ!」バリバリバリッ
暗黒魔人「ぐ、グゥ………!!!」
勇者「ちっ、もっと痛めつけてやる必要があるようだな………ならお望み通り……!!」
剣士「そこまでだ、勇者」ジャキッ
国王「もう勝負はついているだろう」チャキッ
蒼騎士「いい加減に止まりやがれ」ガチャン
魔法使い「これ以上、その力を使ってはいかん」スッ
勇者「……お前ら……まさか魔族の味方をする気か?」
剣士「そうではない。ただ、このまま壊れていくお前を放っておくことはできないだけだ」
国王「勇者、彼女のことは君一人が背負っていくものではないのだ」
勇者「黙れ! 知ったような口を利くな!……魔族は殺す! 誰であろうと!! それが勇者の役目だろう!」
魔法使い「もうやめてよ勇者……こんなことしてもお姉ちゃんは喜ばないよ……」
勇者「…………そうか、わかった」スッ
剣士「わかってくれたか、勇者」ホッ
勇者「……お前達も俺の『敵』だ……」バシュン
剣士「勇者……?」
蒼騎士「あんなに高く……!!」
勇者「……敵は全て殺す! それが勇者の使命だ!!」
勇者「ハァァァァアアアアアア!!!!」バリバリバリッ
ブルー「ちょ!? どうなってんのぉ!?」
剣士「あの馬鹿が! 完全に力に飲み込まれている!」
国王「この規模の魔法が落ちてしまったら……」
魔法使い「王都が……壊滅してしまう!」
勇者「敵は全部! 全部! 消えて無くなれよ!」
勇者「全部倒して平和にするんだ! 魔王を倒して平和で誰も悲しまないそんな世界にするんだ! そのために俺は勇者になったんだ!」
勇者「悪い奴を倒す! 俺はそんな正義の味方なんだよ……!!!!」
勇者「俺が! 勇者なんだ!!!!」
勇者「極大雷魔法!!!!!」バリバリバリッ
といったところで今日の投下は以上です
今日もお付き合いくださり、ありがとうございました
明日も同じ時間に投下予定です
こんばんは、今日は特別寒かったですが皆様いかがお過ごしでしょうか?
とまぁそんな感じで今日も始めていきたいと思います。
よろしくお願いします
―――――王立研究所―――――
研究員A「早く運び込め!」
研究員B「1人は全身複雑骨折及び出血多量! もう1人は重度の内臓損傷及び出血多量! 両名とも危険な状態です!」
仮面王女「メイド! 紅騎士! しっかりしなさい! 死ぬんじゃないわよ!」
レッド「素早い……措置を……願います……内部魔力が……あまり……」ガガガ バチバチッ
研究員C「クソッ! 電子妖精の魔力運用のお陰でなんとか現状を保ってはいるが……このままでは……回復魔法を使える奴はまだか!?」
研究員D「今、こちらに向かっています!」
レッド「……主の……命を……優先して……くだ……さい」ガガガ
研究員D「生命反応の低下を確認! このままでは……」
バンッ!!
「待たせたな!」
研究員A「遅いぞ! なにをやっていた!?」
「悪いが説教は後にしてくれ。ここからは俺の、医療魔法使いの領分だ」バサッ
仮面王女「2人を頼んだわよ!」
「安心しな、姫様。俺が来たからにはもう大丈夫だ」ポンッ
研究員E「2人の命は死神なんかに持って帰らせたりなんてさせないさ」フフッ
メイド(この人、本当に大丈夫ですの……?)ゼェゼェ
レッド「小芝居は……いいので……早く……処置を……希望……します……」ガガガ
研究員E「ああ、悪かったな。みんな! お嬢様方がお待ちだ。急いで処置室に連れて行ってくれ!」
研究員A「……わかった」
研究員C(なんでこういう時、あの人ああなっちゃうんだろ……)ガラガラガラ
研究員D(まぁ、腕は確かなんだけど……)ガラガラガラッ
―――――研究所待合室―――――
同僚「私どうしてこんなところにいるのかしら………? 今日は英霊祭だったはずなのに……」
村娘「わ、私もです……なんでこんなところにいるんでしょう………?」
同僚「あなたはなぜあそこに?」
村娘「………ピンチだったところを姫様の護衛の人達に助けてもらって……」
同僚「ああ、あのガラの悪そうなのと私が運んだ人か……って中にいたってことはあなた、相当なVip?」
村娘「違いますよ……私はただの村娘です。村長が役所の人からチケットもらって、それでついてきたんですよ。それがまさかあんなことになるなんて……」
同僚「そういえば村長さんは大丈夫だった?」
村娘「ええ、ベッドで休んでます……」
同僚「そう……あなたも私と同様、勝手に巻き込まれたってわけか……」
村娘「まったくもってついないんですよ、私! 火竜事件の時も山賊に殺されそうになるし、今度はその仲間だった元山賊に助けられたのはいいけど私のせいで2人がメイドさんを助けに行けなくてメイドさんは大怪我するし……もう誰にこの怒りをぶつければいいんですか!!」ガンッ
同僚「まぁまぁ……」
受付「あれ~? もしかして同僚さん? どうしてこんなところにいるんですかぁ?」
同僚「受付……!! あんた今までどこ行ってたのよ!?」
受付「えへへ、ちょっと野暮用です!」
同僚「あんたねぇ……あんたがいない間に式典はめちゃくちゃになるわ、変な集団が会場を占拠するわ、勇者様がなんかおかしいわでもう大変だったのよ!?」
受付「いやー、私も街を歩き回ってたら突然暗くなっちゃったんでびっくりしたんですよー。なにかあったんですか?」
同僚「ど・ん・だ・け! あんたはのんきなのよ……!!!」グググッ
受付「ど、同僚ふぁん……いふぁい、いふぁいでふ……」ギギギギ
同僚「まったく!!」
受付「うう、私のモチモチのお肌が……」スリスリ
同僚「よーく伸びたわよ!」
受付「……それで勇者様の様子がおかしかったって?」
同僚「だから、なんか変だったのよ。魔王のことについて聞いた時から」
受付「魔王についてって、そんなこと聞いたんですか?」
同僚「私が聞いたんじゃないわよ!? お店の人が聞いたのよ!」
受付「それで具体的にどう変だったんですか?」
同僚「な、なに? 今日はいつも以上にグイグイ来るわね……」
受付「気のせいですよ」フフッ
同僚「えっと、魔王の話になった途端、顔色が悪くなって……なんていうか物凄く辛そうだった。ああ、それと変なこと言ってたわね」
受付「変なこと?」
同僚「そうそう。勇者様、聖女様は自分の仲間じゃないって言うのよ。どういう意味かしら?」
受付「確かにそれは変ですね。聖女様は勇者様のパーティとして魔王討伐に参加した。そんなことは子供でも知ってます」
同僚「勇者様は聖女様について話してもまるで他人事みたいだし……まるで聖女様のことを忘れてしまったみたいに……」
受付「…………あらら、気がついたらもうこんな時間です。私、用事を思い出したのでもう行きますね?」ダッ
同僚「あ、ちょっと! こんな時にどこ行こうってのよ!」
受付「『乙女の秘密を探ろうなんてナンセンスです☆』。中にいる人たちのこと、後は任せましたよー!」
同僚「ちょっと!」
村娘「行っちゃいましたね……」
同僚「ごめんねー、いきなり。嵐の様な奴だったでしょう? あいつ」
村娘「……えっと、あの人ここで何してたんですかね?」
同僚「どうせロクでもないことしてたんでしょう。困った奴だわ……」ハァ
村娘(それで済ましちゃうんだ……それにしてもあの人の声……どこかで聞いたような……まさかそんなはず……いや、でも……)
同僚「村娘さん?どうかした? 体調でも悪いの?」
村娘「い、いえ! 大丈夫です!」
村娘(きっと気のせいだよね……?)
―――――――――――
受付「………とまぁ、勢いよく飛び出してみてしばらく走ってみたものの……」タッタッタ
受付「なんですかぁ! あれ!!??」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!
受付「同僚さんは……いや、いざとなったら転移魔法でなんとかするでしょう!」
受付「今はとにかく、なにが起こっているのかこの目で見定めないと……!!」ダダダ
「お、おい! あれ!!」「なに? なんなの!?」
おっちゃん「おいおい……冗談だろ……なんなんだよあれは……でっけぇ雷か……?」
従者「みなさん! ここは危険です! 冷静に誘導に従ってここから離れてください!」
「逃げろ! 逃げろ!」「ああ、聖女様……どうか我らをお守りください……」
従者「団長は一体何やってるんですか……? このままじゃ本当に王都が……」
おっちゃん「おい、兄ちゃん! ここには剣士様や魔法使い様、それに勇者の兄ちゃんもいるんだろ!? 一体どうなってんだよ!?」
従者「僕にだってわかりませんよ! とにかく上を見ればここが危ないってことくらいわかるでしょう!? 早く逃げてください!」
「もうダメだー!」「信じるんじゃ! 聖女様が必ず守ってくださる!」「そんなもの信じられるか!」「どけ! どけぇ!!」
従者「みなさん! とにかく落ち着いて指示に従ってください!!!
受付(まったく、勇者様たちは一体なにやってるんですかね……? このままじゃ本当に王都が壊滅ですよ?)タッタッタ
従者「そこの人! どこに行く気ですか! そっちは危ないんです!」
受付「………えっと、公務員のお仕事です!!」オホホホ
従者「はぁ!? 何言ってんですか!!」
受付「事件は現場で起きているので……」
従者「いいですか、ここは危険です。今すぐ避難してください。民の命を預かる騎士団として、この先はお通しできません!」
受付「………ん? あなた……もしかして……ほほう……」ニタッ
従者「………な、何見てるんですか……?」
受付「上手く隠しているようですが私の目は誤魔化せませんよ?」ニヤニヤ
従者「なにを訳のわからないことを……早く逃げてください!!」
受付「それは聞けません! 私には行かなければならない理由があるんです! 通させてもらいますよ!!」ダッ
従者「くっ! 力づくで止めるしかないようですね……!!」ジリッ
受付「はぁぁぁぁぁあああああ!!!」バッ
従者「!!!!!」
ふにゅっ
従者「きゃっ……!!!」バッ
受付「おお、これは中々………」ワキワキ
従者「こ、この!!!」バッ
受付「おっと!!」ヒラッ
従者「しまった!?」
受付「………どんな理由かは知ったこっちゃありませんが……私、急いでおりますので……ごめんあそばせ☆」ダッ
従者「ちょ、ちょっと!!」
受付「ごきげんよーう☆」タッタッタ
従者「どうなっても知りませんからね!!!」
――――????―――――――
幼女「……むい?」キョロキョロ
幼女「……むー」スタスタ
勇者(……うるさい!!!)
幼女「…………」ズーン
幼女「ユーシャ……」グスッ
幼女「グスッ……うぇ……うえぇえええええんん!!!」
女「おやおや~そんなに泣いちゃってどうしたんだーい?」クルン
男「お腹が痛くなっちゃったのかな~」クルン
幼女「ふぇ……」ビクゥ!
女「それとも晩ご飯に嫌いなピーマンが出たとか!」パッ
男「昨日おねしょをしちゃって怒られたとか!」パッ
女「…………それとも好きな人がおかしくなってしまったとか?」
幼女「…………」ウツムキ
男「まったく、こんな可愛い子を泣かせるなんて勇者も中々悪い男だな」
幼女「うぇ…… 」グスッ
女「大丈夫? 幼女ちゃん?」
男「幼女よ、俺の胸で存分に泣きな……」スッ
幼女「うぇぇぇええええんん!!!」ダキッ
女「あ、あらあら……」
男「なぜだ幼女……俺とお前はベストフレンドじゃなかったのか……?」
女「よしよし……」ナデナデ
幼女「ユーシャ……ユーシャ!」グスッ
男「しっかしまさかここまで大事になるなんてな、勇者も中々やりおる……」クックック
女「馬鹿は放っておいて……幼女ちゃん?」
幼女「むぅ……」グスッ
女「よく聞いて。前も言ったと思うけど。私たちは基本的にあなた達の世界に干渉できないの。できたとしてもほんの数秒だけ。それは覚えているわね?」
幼女ちゃん「……」コクコク
女「ユーシャを、そしてあの魔族を止めるには幼女ちゃん自身が頑張るしかない。私たちはちょっとしたアドバイスとサポートしかできないの」
女「今のユーシャはちょっと混乱しているのよ、どっかの誰かさんとの馬鹿な約束を必死に守ろうとして……」
男「笑って幸せ……で考えた結果が働かないでニート生活かよ」
女「そういう意味で言ったんじゃないんだけどね……」
幼女「…………」ウツムキ
男「…………幼女、勇者はお前にとってどんな奴だ?」
幼女「……!!」フリフリ………フリッ!
男「そうかそうか! 優しくてあったかい奴か!」
幼女「……!!」グッ
女「なんでジェスチャーでそこまでわかるのよ!?」
男「俺と幼女は魂で繋がりあったソウルフレンドだぜ? 言葉なんか無くたって伝わるよ」フフン
女「納得いかないわね……」
男「ただなぁ、これで伝わるのは俺とお前だけだ。勇者には伝わらない」
幼女「……」ウツムキ
男「いいか、幼女。一つ教えてやる。大切な誰かが間違った方向に進んじまったら、自分の体を張って正しい道へ連れ戻してやるんだ。それが誰かを想うってことなんだぜ?」
幼女「…………」ウツムキ
男「わからないか? じゃあ一個質問だ。幼女、勇者がずっとあのままだったらどうだ?」
幼女「…………!」フルフル!
男「だったら、勇者を元に戻してやらなきゃな!」ニカッ
幼女「……!!!」コクコク
男「お、やる気じゃねぇか。だったらお兄さんがいいものやるよ。幼女、ちょっとこっち来てみな?」
幼女「んう?」スタスタ
女「ちょっとまた? 幼女ちゃんに変なことしないでよね?」
男「心配すんなよ。俺が今更どうしたところでなにも変わらないだろう?」パァァァ!
女「それは……そうだけど……」
男「……よし、これで大丈夫だろ………幼女よ!」
幼女「む、むい!」ビシッ
男「俺はお前にとっておきの、もんの凄い、ヤベェ強え武器を与えた! その力はあまりにも強大で間違った使い方をすれば多くの人を傷つけるだろう! ただし!」
男「正しいことに使えばこれほど頼りになる武器は無い。後はお前次第だ……止めてみな、あいつが大切ならよ」フフッ
幼女「むい!!」ビシッ
女「行きなさい。あなたが望むままに。私はいつでも幼女ちゃんの味方よ」
男「気をつけてな幼女、勉強しろよ? 歯磨けよ!」
幼女「……ありが……と……」ボソッ
クルッ ダダダダ!!
女「いってらっしゃい幼女ちゃん」
女「………へぇ、ヤベェ強え武器ってそういうことだったのね……」
男「どうだ、ヤベェ強えだろ!?」
女「確かにそうね、それにしてもあんたにそういう心があったなんて……意外」
男「今まで俺をなんだと思ってたんだ……」
女「最低最悪のクレイジー野郎」
男「言い過ぎじゃね!?」ガガーン
女「自分がしでかしたこと考えてみなさいよ」ハァ
男「…………君も行くのか?」
女「まぁね、今回のことは私が原因でもあるんですもの」
男「火竜事件の時もやっただろう? ああいう出番に貪欲なのは僕ぁ、良くないと思うね!」
女「少し位いいじゃない!」
男「まぁ、君が自分の立場をわきまえているのならいいけどさ」
女「私たちは所詮傍観者、それは変わることは無いわ」
男「そう。君がいくらあの世界が恋しくても俺たちの居場所はここだ」
女「分かってる。そんなこと十分過ぎる程に」
男「なら、俺はこれ以上なにも言わないさ…………幼女によろしくな、聖女様?」ククク
女「そんな大層なものじゃないわよ」
といったところで今日の投下は以上です。
明日も同じ時間に投下できたらと思っています
いよいよ最終局面に近づいてきた感がありますが最後まで付き合っていただけたらありがたいです
今日もありがとうございました!
こんばんは
ちょっと時間が空いたのでこれから投下していきたいと思います
色々と申し訳ありません
――――王都 上空――――
勇者「………全部、倒せば……全部……」バリバリバリッ
勇者「俺は勇者だ……勇者なんだ……」
勇者「みんなを守る……正義の味方……」
「ごめんなさい、 ユーシャ……」
勇者「違う違う違う!!!」バリバリバリッ
「笑って? ユーシャ!」
勇者「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! そんな顔しないでくれ! 俺は! 俺の守りたかったものは……」ブンブン
勇者「あああああああああああああああああああ!!!!!!」
バリバリバリ!!!
助手「どんどん大きく………あ、あれが人類を救った力だというの……?」
「…………これも全て私の責任ですね……」
助手「え? 幼女ちゃん?」
幼女「…………」スタスタスタ
助手「青い瞳に変わった?……これって前に勇者様が言っていた症状と同じ……」
幼女「私の身勝手があの人をここまで追い詰めてしまった……」
助手「な、なにを言ってるの幼女ちゃん!? ここは危ないわ! あなただけでも逃げないと……」
幼女「大丈夫ですよ」ニコッ
助手「え?」
幼女「悲劇なんて、もう起こさせませんから!」バッ
助手「ちょっと! 戻りなさい! 幼女ちゃん!」
―――――王都 広場―――――
ゴゴゴゴゴゴゴ!!
「あ、ああ……光の塊が……」「こっちへ来るぞぉぉぉ!!!」「逃げろー!!」「ママ、ママー!!」
おっちゃん「くそう! せっかくこの世界から魔王がいなくなってこれからって時に……!!」
従者「 落ち着いて逃げてください!! 避難誘導に従って!!」
「もうだめだぁぁぁ!!」 「死ぬのよ! 私達!!」「そんな、そんなのってないよ……」
おっちゃん「馬鹿野郎! お前ら! まだ諦めるんじゃねぇ!!」
「無理よ! もうどうしようもないじゃない!!」「聖女様を信じるのじゃ……」
おっちゃん「完全にパニックになってやがる!! おい兄ちゃん! なんとかしねえと本当にこのままみんな死ぬぞ!」
従者「…………」
おっちゃん「おい! まさか兄ちゃんまで諦めたわけじゃないよな! さっさと逃げるんだろ!」
従者「………もう手遅れでしょう……」
おっちゃん「なんだと!?」
従者「正直、あれが落ちてきたらどこに逃げようと意味がないと思います……」
おっちゃん「じゃあ、ここで指くわえて死ぬのを待てってのか!? 全部諦めて祈りでも捧げろって言ってんのか! えぇ!?」ガッ
従者「そんなこと言ってませんよ! でも、誰がどう見ても無理じゃないですか……奇跡でも起きない限り………!!!」ギリッ
おっちゃん「……クソッ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!
従者「誰か……誰か助けて……」ギュゥゥ
ゴゴゴゴゴゴゴ!!
「希望を捨ててはいけません!」
カッ!!
シュゥゥゥゥ!!
従者「え?」
「み、見ろ!」「光が……消えた!!」「聖女様じゃ! 聖女様が助けてくださったんじゃ!!」「聖女様だ! 聖女様が我らを助けてくださった!」「助かった! 助かったのね!」
従者「………どうなってるんですか……?」
おっちゃん「奇跡だ……」
従者「え?」
おっちゃん「そうだ、あの日と全く同じことが………あの時も聖女様が俺たち兵士を守ってくれたんだ……」
従者「それってあの日のことですか?」
おっちゃん「ああ、2年前の王都に魔族が攻め込んで来たあの日だよ……俺はあの日、確かにこの目で奇跡を見たんだ……」
従者「…………」
おっちゃん「こんな奇跡を起こせるのはあの人しかいない……」
おっちゃん「本当に聖女様が……また俺達を守ってくれたんだ……」
蒼騎士「雷球が……消えた!?」
ブルー「上空に魔力反応! これって……」
魔法使い「幼女!? 幼女ではないか!」
助手「で、でも様子がおかしいのよ……」
剣士「様子がおかしい?」
助手「まるで別人みたいなの……」
幼女「…………」シュゥゥゥゥ
勇者「俺の雷魔法が……」
幼女「………あらら、そろそろ時間切れみたい。ごめんね、幼女ちゃん、勝手に身体借りちゃって」シュタッ
勇者「お、お前は……!」シュタッ
幼女「後はあなた次第……頑張ってね幼女ちゃん……」シュゥゥゥゥ
勇者「待て!!!」
幼女「んう?」キョロキョロ
勇者「……!?」
魔法使い「今じゃ! 拘束魔法!!」ジャラジャラジャラ
勇者「グッ……!!」ビシッ
蒼騎士「大丈夫か!? 金髪チビ!」
ブルー「君、凄いねぇ! あれ消し飛ばしちゃうなんて!」
幼女「だい……じょう…ぶ!」グッ
蒼騎士「大丈夫ならついでにあの馬鹿止めてくれないか? これ以上あれに暴れられると国が潰れる。あんたの保護者だろ?」
幼女「……まか…せて!」
勇者「離せ! 離せぇぇぇ!!!」ジャラジャラジャラ
魔法使い「頭を冷やせ! この馬鹿者!!」
勇者「俺が魔族を殺さなきゃいけないんだ! 俺がみんなを守らなきゃいけないんだ! それが勇者だ! それがみんなが望んだ俺なんだろ!!」
剣士「落ち着け! 勇者! またあの時のように大事なものを失うつもりなのか! お前はまた繰り返すつもりなのか!!」
勇者「だから二度と繰り返さないために戦ってるんだ! 俺がみんなを守るんだ! あいつと約束したんだ!!」
暗黒魔人「……そうだ……勇者……!!」ゼェゼェ
助手「暗黒魔人……! まだ生きていたの!?」
暗黒魔人「魔族は……全て……殺すのだろう……! まだ私は生きているぞ?」
勇者「……すぐにぶっ殺してやるよ……!!」ジャラジャラジャラ
魔法使い「くっ、パワーが!」
暗黒魔人「そうだ……もっと憎め……もっと怒れ……その強大すぎる力で……」
勇者「うぉぉぉぉおおおお!!!!」
暗黒魔人「敵も……味方も……全て……」
魔法使い「くぅ……」グググッ
暗黒魔人「殺し尽くせ! 勇者ぁぁぁぁあああああ!!!!」
勇者「うぉぉぉぉおおおお!!!」
バキン!!!
助手「冗談でしょ!? 魔法使いの拘束魔法が……」
魔法使い「と、止まって! 勇者!!」
勇者「死ねぇぇぇぇぇぇえええ!!!」ダッ
暗黒魔人(それでいい……一度枷を失った力が止まることはない……!!!)
剣士「やめろ! 勇者ぁぁぁぁあああああ!!!」
勇者「うぉぉぉぉおおおお!!!」バリバリ!!!
暗黒魔人(魔王様……申し訳ありません……私はここまでのようです……)スッ
幼女「ユーシャ! だめぇぇぇぇぇぇ!!」バッ
勇者「…………!!」ピタッ
蒼騎士「勇者が止まった!?」
魔法使い「幼女!!」
幼女「…………」
勇者「そこをどけ! 邪魔するんじゃねぇ!!!」バチバチバチ
幼女「ちがう……ユーシャ……ちがう……」フルフル
勇者「なにが違う? 俺は勇者だ。だからこうやって魔族を殺そうとしてるんだろ!」
幼女「……!!!」ブンブン!!
幼女「ユーシャ……いつも……あったかくて……やさしい……」
勇者「……」
幼女「今の……ユーシャ……ちがう……」キッ
幼女「ちがう!!!」
幼女「……ちがう……」グスッ
幼女「……ちがうぅぅぅ!!!」グスッ グスッ
幼女「うぇぇぇええええんん!!!」
助手「幼女ちゃん……」
魔法使い「幼女……」
剣士「………」
国王「………」
勇者「…………くっ……やめろ……そんな目で見るな………俺は……勇者として……正しいことを……」グラッ
幼女「ちがう!! ユーシャ、ちがう!!!」
勇者「そんなこと……ない! 俺が……間違ってるはずなんて……」フラフラ
「よくぞ言ってくれましたね、幼女ちゃん!! それでこそ幼女ちゃんです!!」
幼女「……ふぇ?」グスッ
勇者「誰だ!?」
「必殺! 受付ちゃんキーック!!!」ドゲシッ
勇者「ぐはっ………」
蒼騎士「あ、あいつは……」
「ある時はしがない公務員……」ババン
幼女「……!!」オオッ
「またある時は幼女ちゃんを愛する可憐で雅なお姉さん……」ダダン
国王「あれは……」
「またある時は……えーっと……ネタバレにつき言えません!!!」ガガン
魔法使い「なんじゃなんじゃ!?」
幼女「……♪♪」マネマネ!
「しかしてその実体は!!!」
受付「いつも笑顔で接客応対! 疲れたあなたの心の窓口! 受付ちゃんですよ!!」ビシッ
幼女「むい!!」ビシッ
受付「決まった……!!」プルプル
幼女「カッコイイ!!」
受付「でしょー? やっぱり幼女ちゃんはわかってますぅ!」
助手「どうしましょう、あまりの超展開についていけないんだけど……」
魔法使い「奇遇じゃな、わしもじゃ」
受付「さーて、登場シーンもばっちし決まったところで本題に入るとしましょうか」
受付「勇者様、なにやってんですか?」
勇者「………」
受付「なにやってんですかって聞いてんですよ!!」
勇者「……またあんたか……あんたも俺の邪魔をするのかよ………?」フラフラ
受付「いーえ、公務員として、あなたの国を顧みない行動は目に余ります。景気も良くないこのご時世にそれ以上暴れられたら私のお給料減っちゃうじゃないですか」
勇者「俺が魔族を皆殺しにすれば世界が平和になる! それで問題ないだろう!?」
受付「………本当にそれでいいんですか?」
勇者「なんだと?」
受付「目の前の敵を全て倒して、それでハッピーエンドでいいんですか?」
勇者「いいさ! いいに決まってる! 敵がいなくなってハッピーエンド! それでいいんだ! それこそがあんた達が勇者に求めたことだろう!? 違うか!?」
受付「だったら!」
受付「だったらどうして、あなたはそんな辛そうな顔をしてるんです!?」
勇者「!?」
受付「それがこれからハッピーエンドを迎えるっていう勇者の顔ですか!?」
受付「……なにやってんですか? ……そんな顔して……あなたは違うでしょう!」
魔法使い「受付……」
受付「いつものヘラヘラした笑顔はどうしたんですか! なにそんなに真面目になって勇者しようとしてるんです? あなたはそんなんじゃないでしょう!」
受付「あなたは! 私が知っている勇者という人は!!」
受付「国の税金で悠々自適に暮らすためならどんな手だって使う……『働いたら負け』を地でいくような、そんな、そんな本当にどうしようもないクソニートなんですよ!!」
勇者「…………」
受付「生産性の無い生ゴミ風情がいつまで昔の称号にすがってるんですか!?」
受付「あなたはいつもヘラヘラしてるくらいが丁度いいんです。そんな顔で傷ついて、本当に守りたい仲間や幼女ちゃんまで傷つけて!……そんなのは私が知っているあなたじゃない! いつも幼女ちゃんのために必死になって頑張るあなたじゃない!! 私が……幼女ちゃんが好きなあなたじゃないんです!! だから、だから……」ギリッ
受付「さっさと元に戻れってんですよ! このクソニートぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」
パコーン!!!
勇者「ぐはっ!!」
といったところで今日の投下はおしまいです
途中何度も投下時間の変更をしてしまい申し訳ありませんでした
さて、明日はラストに向けて大量に投下できたらと思っています。
明日もよろしくお願いします! 今日はありがとうございました!!
こんばんは、いつもコメントありがとうございます。
今日は一気にラスト+番外編までいく予定です
投下はいつもどおり21時頃を予定しています
今日がこのスレ最後の投下になると思いますが最後まで楽しんでいただけたら幸いです
今日もよろしくお願いします
こんばんは、それでは今日も投下していきますのでよろしくお願いします!!
蒼騎士「み、右ストレート!?」
ブルー「気持ちいいくらいに入ったぁぁぁぁあああああ!!!」
勇者「くっ……この!!」ザッ
受付「……結構痺れますね、その雷……」ピリピリ
魔法使い「いや、お主はなんで平気なんじゃ!?」
受付「……まぁ、いい電気マッサージだと思って良しとしましょう!」
剣士「む、無茶苦茶だ……」
勇者「……まだ、だ……」
受付「お、まだやりますか! なんだったら幻の左も見せてやりますよ!!」シュッシュ
勇者「…………俺は……まだ……」フラフラ
幼女「…………」
男(いいか、幼女。一つ教えてやる。大切な誰かが間違った方向に進んじまったら、自分の体を張って正しい道へ連れ戻してやるんだ。それが誰かを想うってことなんだぜ?)
幼女「…………ユーシャ!!」タッタッタ
受付「幼女ちゃん!?」
勇者「まだ…………戦える……」フラフラ」
ダキッ
勇者「………!?」
幼女「ユーシャ!!! 」ビリビリビリ
勇者「よ、幼女………?」
蒼騎士「金髪チビ!!!」
助手「なんて無茶を! まだ勇者様は雷装が解けていないのに!!」
国王「危険ではないのか!?」
魔法使い「当然危険じゃ! やめるんじゃ幼女!!」
幼女「ニィィィィィィ!!!」ニカッ
勇者「…………うっ」
「笑って? ユーシャ?」
勇者「………ううう……」
幼女「わらって……ユーシャ……」ビリビリビリ
勇者「うああああ………」
「私はユーシャの笑顔……」
幼女「ユーシャ、わらって………」ビリビリビリ
勇者「ああああ………」
「大好きだから……」
幼女「もどって! ユーシャ!!!」
勇者「うぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!」シュゥゥゥゥ
剣士「雷装が解けていく……」
魔法使い「幼女め、無茶しすぎじゃ……」ハァ
幼女「ユーシャ?」ニカッ
勇者「…………幼女…………ごめ……ん………」フッ
ドサッ
幼女「ユーシャ!?」オロオロ
魔法使い「あー、大丈夫じゃ幼女。急激に魔力を使いすぎただけ、過労じゃよ」
ブルー「生命反応正常値……っと。とりあえずは大丈夫みたいだね」
幼女「……よかっ……た!」ホッ
剣士「まったく、散々暴れやがって……」ハァ
国王「とはいっても勇者のお陰で救われたことある、彼のことを考えると責められんよ」ハッハ
助手「……まぁ暴走していたとはいえ勇者様がいなかったらあの魔人の相手、誰ができたんだって話ですもんね……」
受付「皆さん甘すぎですよ! 実際、幼女ちゃんは危ない目にあったんでしょう!?」
助手「ま、まぁそれはそうだけど……」
国王「とは言っても、勇者をここまで追い込んでしまったのも我々だ。いや、私にも責任があるのだよ」
剣士「陛下、なにもそこまで………」
幼女「気にして……ない……ユーシャ……元に……戻って……うれしい……」
受付「もう! 幼女ちゃんまで! こんなクソニート、徹底的に断罪するべきです!」ババンッ
蒼騎士「例えば?」
受付「強制労働」
蒼騎士「うわぁ……」
受付「勿論、無償で」
ブルー「お、鬼だ……」
受付「うふふ……早速準備が必要ですね! 私、ちょっと行ってきまー……」ドンッ
魔法使い「あ……」
助手「あ……」
受付「……痛いですね、誰ですか? こんなところに突っ立って……って」
暗黒魔人「…………」ズーン
受付「すっかり忘れてましたぁぁぁあああああ!!!」ガビーン
受付「あわわわわわ……」アタフタ
魔法使い「……まだ戦うつもりか!?」
剣士「勝負は着いた! 諦めろ! 暗黒魔人!!」
暗黒魔人「…………」ズーン
受付「い、嫌だなそんな目で見ないでくださいよ、私なんか倒してもあれですよ? そこらへんのス○イム以下の経験値しかありませんよ? どうせだったらあっちにいるはぐ○メタルを倒したほうが……」スッ
魔法使い「誰がはぐれメ○ルじゃ! 誰が! バカやってないでさっさと戻ってこんか!!」
受付「は、はいぃぃぃぃぃ!!!」ダダダダ!!
蒼騎士「ブルー、来るぞ準備しろ!」
ブルー「ガッテンだい!!」ガチャン
暗黒魔人「…………」ドサッ
受付「え?」
剣士「これは……」
参謀「皆さん、ご安心ください! 逆賊は私が討ち果たしました!!」
剣士「参謀!」
助手「姿が見えないと思ったら……」
魔法使い「い、いいとこ取りではないか! ずっこいぞ貴様!」
参謀「いや、これでも大変だったんですよ? 皆様の目には入らなかったかもしれませんがそれはそれは筆舌しがたい死闘をですね!」
魔法使い「黙れ! そんなわけなかろう!!」プンプン
軍人貴族「いやいや、よくぞやった参謀よ!!」ダダダダッ
剣士「閣下……」
助手「姿が見えないと思ったら……その2……」
受付「………あれってもしかして軍人貴族閣下ですか!?」ヒソッ
剣士「あ、ああ。王国騎士団のトップだ……」
受付「じゃ、じゃあ役所のなんやらを色々と決める……?」ヒソッ
剣士「あ、ああ。元老院の一員だ」
受付「よし、ここで媚び売って次のボーナス上げてもらいましょう……!!」ゴゴゴッ
助手「なにを言ってるのよ……」ハァ
軍人貴族「逆賊をその手で討ち果たすとは! いや、実に立派! まさに王国騎士の鑑ですな! 陛下!」
国王「う、うむ……」
ブルー「なにあの人、いきなり来て嫌な感じー!」プンプン
蒼騎士「お前は黙ってろ、話がややこしくなる……」
軍人貴族「しかし、あれですな。聖女様が列聖されるというこの記念すべき日に魔族の襲撃とは……」
国王「……なにが言いたい? 軍人貴族」
軍人貴族「………恐れながら英霊とは国を守る偉大なる方々のことでしょう? それがいきなり国を危険に晒すとは如何なものかと?」
魔法使い「この! 後から来てしゃあしゃあと……!!」
軍人貴族「今回の魔族襲撃、原因は魔王討伐に対する魔族の復讐……聖女を祭り上げたことで魔族共を刺激したのでしょう。つまり、原因は聖女にある……」
剣士「閣下!」
軍人貴族「加えて! そこの勇者が暴走したのも……聖女が原因ということでいいのですよねぇ……?」ニタァ
蒼騎士「好き放題言いやがって……!!」
ブルー「あいつ、丸刈りにしよっか……」ボソッ
軍人貴族「ならば! 今回の事件は全て聖女のせいということではありませんか!」
軍人貴族「国に災厄をを招いた女を……しかも元奴隷身分の女を英霊に祭り上げるなんて私にはとてもとても……」ハッハッハ
魔法使い「この……!!!」バッ
助手「堪えなさい……魔法使い!」ガッ
剣士「よせ、魔法使い!!」ガッ
魔法使い「離せ!! こいつ!言うに事欠いて……お姉ちゃんを……!!」ジタバタ
魔法使い「お前が今ここでこうしているのも誰のお陰だと思ってるのじゃ!」
軍人貴族「黙れ小娘! 勇者のパーティーの一員だかなんだか知らないが、お前の様な小娘には関係ない話だ!」
受付「そうですよ! 魔法使い様! いくらあなたでも閣下になんてこと言うんですか!!」シャー
魔法使い「なっ!? 受付!?」
助手「あなた!? どういうつもり!?」
受付「わかってください皆さん……公務員というのは給料袋を握られたら勝てないんですよ……!!!」グッ
蒼騎士「最低だ」
ブルー「うん、最低だ」
受付「黙らっしゃい! 一度社会のリアルを思い知らせますよ!!!」シャー
軍人貴族「おお! お前もそう思うか!?」
受付「ええ、閣下の仰る通りですわ! きっと他の偉大なる英霊の方々も聖女なんて認めないとおっしゃるはずですのよ!」オホホホ
魔法使い「……くっ……この……!!」グスッ
剣士「耐えろ、魔法使い……」
魔法使い「だって……だってぇ……」グスッ
軍人貴族「陛下! これは偉大なる英霊様達の意志でもありますぞ! 英霊様が、災厄を呼ぶ女など崇めるなと! 聖女を崇めることは即ち! この国の滅亡を意味するのです!!」
受付「そうだそうだ!!」
軍人貴族「今ならまだ間に合います! 聖女列聖の件、今一度お考え直しくださいませ!!」ザッ
受付「私からも、なにとぞ! なにとぞぉぉぉぉぉぉおおお!!!」ドゲザ!
ブルー「見損なったよ! さっきはすごくカッコよかったのに!! この平胸!!!」
受付「ああん!? くず鉄に戻しますよ?」
ブルー「ひぃ………!!」ガタガタ
魔法使い「こ、こいついっそ殺しても……よいか……!!」プルプル
助手「そうしたいところだけどやめておきなさい」
参謀「……閣下、そろそろ……」
国王「…………」
受付「ねぇ閣下ぁ……あの人達まだわかってないみたいだからぁ……もっと言ってあげてぇ……お・ね・が・い」ウッフン
軍人貴族「お、おお……!!」デレデレ
参謀「閣下!!」
魔法使い「気持ち悪い声を出すな! この平女!!!」
受付「なにが平なんですか! なにが!!!」ストーン
軍人貴族「ゴッホン!! えー、そもそも聖女列聖の件! 最初から貴族の中では多数の反対意見があったと聞いております。英霊とは国を守る守り神! 選ばれた方々は歴史に名を残す偉大な方々ばかりです。陛下の父君、騎士王様も英霊の1人でございますな!」
国王「……」
軍人貴族「元来、英霊に選ばれる者は総じて王族出身か貴族出身でございます! それを今回、聖女だかなんだかわからない素性も詳しくわからない女を英霊に!? それも聞けば元奴隷だと言うではないですか!」
軍人貴族「そんな女を英霊に祭り上げるなんてしたら……代々築き上げてきた国の品位と格式が間違いなく損なわれること間違いなし! 国を思う貴族から反対の声があがるのも無理はありませんな!」ガッハッハッハ
魔法使い「………くぅ」グスッ
受付「なるほど! それで軍人貴族閣下が魔族を手引きして今回の事件を引き起こしたんですね! 流石です!!」
軍人貴族「そうだ! そうでもしなければ聖女の列聖を止められそうもなかったからな!!!」ガッハッハッハ
軍人貴族「…………あ」
参謀「このアホ閣下が………」アチャー
受付「…………ひっかかりましたね」ニヤッ
軍人貴族「き、貴様………!!!」
剣士「閣下、今の話は本当ですか……?」ゴゴゴゴゴ
魔法使い「ほう……今回の事件は軍人貴族閣下が仕組まれたことだったのですか……!!!」ゴゴゴゴゴ
軍人貴族「ち、違う!!」
国王「ほう? なにが違うというのだ?」
軍人貴族「陛下、これは…………」
国王「つまりお前は聖女が英霊に相応しくないと………そう言いたいのだな?」
軍人貴族「い、いえ…………」
国王「どうやらお前にはこの声が聞こえないようだな……」フッ
軍人貴族「え?」
ブルー「マスター!」
蒼騎士「ああ、聞こえてる」フッ
剣士「流石だよ、君は……」
魔法使い「お姉ちゃん……」グスッ
助手「泣くんじゃないの」
魔法使い「だって……」
「聖女様ー!!」「助けてくれてありがとー!!」「聖女様ー!!」「あなたのお陰ですー!!」
ワァァァァァアアアアアア!!!
軍人貴族「ぐぬぬ……!!!」
軍人貴族「認めん! 俺はこんなこと認めん! 認めんぞぉぉぉぉおおお!!」ギリギリギリッ
国王「………お前には一度詳しく事情を聞かなければならないようだな……」ギロッ
軍人貴族「そ、そんな!!」
国王「下がれ! 処分は後ほど言い渡す!」
軍人貴族「くぅ………!! い、行くぞ! 参謀!」ザッ
参謀「まったく……待ってくださいよ!」ザッザッザッ
魔法使い「ふっはっはっは!! ざまあないわい!! 正義は必ず勝つのじゃ!!」
助手「………あなた、最初からそれが狙いだったのね……」
受付「もう、私が皆さんを裏切るの訳ないじゃないですか!!」アッハッハッハ
ブルー「どうだか……」ハァ
魔法使い「その、すまんかったの。色々と……」モジモジ
受付「いいんですよう、魔法使い様ぁ!!」ダキッ
魔法使い「むぉう!!」グググッ
受付「私が魔法使い様と幼女ちゃんを裏切るわけないじゃないでしょう?」グリグリ
魔法使い「く、くるじぃ……肋骨が当たって……痛い……」
助手「本当にあなた何者なのよ………」
受付「ただのしがない公務員ですよ?」ギュー
助手「嘘ね、ただの公務員が勇者や軍人貴族相手にあんな大立ち回りできるはずなんてないもの」
受付「嫌だな、助手さん。人ってのは誰かを守るためなら別に偉くなる必要も、強くなる必要もきっとないんですよ。『誰かのためになりたい』ってそういう気持ちがあるだけで、人はどこまででも頑張れる………そういった意味では私もあなたも違いなんてないんだと思います。それにきっと、聖女様だって………」
助手「………そうかもしれないわね。でもそれをそのまま実行することは中々できることじゃないわ」
受付「あ、でもですね……」
助手「なにかしら?」
受付「終わったあとにこんな可愛い子を愛でることができたらどんな辛いことも耐えられると思いません!?」ナデナデ
助手「それもそうね!」ナデナデ
魔法使い「うにゅ……いい加減にせんか!! お前ら!!!」
ブルー「なんとか終わったね、マスター」
蒼騎士「ああ……」
ブルー「マスター? どうかしたの?」
蒼騎士「俺は結局、何もできなかった……!!」ギリッ
国王「そんなことはない」
蒼騎士「陛下……!!」ザッ
国王「どうやら娘の判断は正しかったようだな。あいつめ、素晴らしい騎士を連れてきてくれたものだ」ハハッ
蒼騎士「いや、でも俺は………」
国王「若者よ、本当に君は何もできなかったのかね?」
蒼騎士「それは……」
国王「君のお陰で助かった人も確かにいたはずだ。少なくとも君が暗黒魔神に立ち向かわなければメイドは死んでいたかもしれない。彼女は私の友人だ。礼を言わせてくれ」
蒼騎士「そ、そんな……頭を上げてください陛下!」
国王「自分が無力だったなんて言わないでくれ。君は確かにその手で多くの人の未来を救ったのだ。そのことに対しては誇りを持つべきじゃないかね?」
蒼騎士「誇り………」
国王「娘を頼むぞ。蒼騎士。あの子はきっとこれからのこの国を照らす光となるはずだ。あの子の未来をこれからも守り抜いて欲しい」
蒼騎士「………はい!!」
国王「うむ! では私は事態の収拾に動くとするかな。貴族長1人にやらせるのはあまりに酷だ。それでは失礼するよ」ザッザッザ
ブルー「いやー、流石陛下って感じだったね。かっこよかったね、マスター!!」
蒼騎士「…………」
ブルー「あれ? マスター? もしかしてヤキモチ? もう安心してってば! 私の一番はいつでもマスターだから!!」キャルン
蒼騎士「………うるせぇ」
ブルー「………あー、なるほどね………」
蒼騎士「…………」グイッ
ブルー「なんだかんだでマスターも男の子だねぇ……」フフッ
蒼騎士「………うるせぇ」
剣士「勇者の様子はどうだ?」
幼女「一応……ねて……る!」
勇者「………」スースー
剣士「のんきなものだ」フッ
幼女「ケンシ……も……いろいろ……ありがと!」
剣士「そういえば、君はなぜ私の名前を知っていたんだ?」
幼女「ケンシ……は……ケンシ……でしょ?」
剣士「ま、まぁそうだが……今はいいか」
幼女「そう……今は……いい!!」フンス
剣士「勇者、聞こえているか? この声を。みんな彼女に感謝してくれているんだ」
幼女「ソーリョ………すごい!!」
剣士「ああ、そうだな」
「聖女様―!!」「ありがとー聖女様!!」「この国を守ってくれてありがとー!!」「ありがとー!!!」
ワァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
―――――王国騎士団本部―――――
軍人貴族「く、くそう! なぜ! なぜこんなことになった!!」ガンッ
軍人貴族「俺はただ、王弟殿下のために……」
参謀「見苦しいですよ? 閣下?」
軍人貴族「貴様! どういうことだ! あのような大掛かりな仕掛けをしておいて失敗したではないか!?」
参謀「そんなの俺の知ったこっちゃありませんよ」
軍人貴族「こうしてはおれん! 次だ、次の手段を考えなくては……おい! なにか案はないか?」
参謀「は?」
軍人貴族「あの女のせいで俺の立場が危うくなってしまった! なんとかしなければ!」ガンッ
参謀「なに言ってんですか、あんたは」
軍人貴族「そうだ、今ならこの件を知る者は陛下たちのみ! ならば陛下を暗殺してしまえばあとはどうとでもなるはず!! そうだ、そうしよう!! なぁ、参謀、お前もそう思うだろう?」
参謀「………」
軍人貴族「そうと決まれば早速その準備だ! おい、参謀! すぐに暗殺者の手配を……」
ズガァァァァァンンン!!
軍人貴族「さ、参謀……?」
参謀「いい加減にしてください。あんたに次のチャンスなんか無いですよ」ニタッ
軍人貴族「な、なにを言う?」
参謀「チッ、あーあ、あんたが日頃からあんなに叩くから俺みたいなもやしっ子が軽く叩いただけでぶっ壊れちまったじゃないですか」ヘラヘラ
軍人貴族「お、お前、なにを考えて!」ガタッ
参謀「俺は言いましたよね? 『それなりの対価はいただきます』って」ニコッ
軍人貴族「……フン、そうであったな! ほれ」ドサドサドサ
参謀「なんです? これは」
軍人貴族「対価であろう? お前にはまだまだ働いてもらわねばならぬからな、ここにざっと一千万ある。これで今回の働きの対価としてくれ」
参謀「おやおや、これはこれは……」
軍人貴族「さぁやるものはやったんだ! さっさと俺の言うとおりに動け!」
参謀「………あんたなにもわかってないな」
軍人貴族「なにぃ?」
参謀「俺が欲しいのはそんなんじゃないんですよ……」
軍人貴族「な、ならばなにが欲しいと言うのだ?」
参謀「それはもちろん………あんたのイス☆」ニヤッ
軍人貴族「貴様、ふざけているのか!」
参謀「俺にできることならなんでもすると言ったのはあんただ」メキメキメキ
軍人貴族「お、お前、その姿は……」
参謀「だから………俺のために死んでくれませんか? 軍人貴族閣下」ニタァ
軍人貴族「ヒッ! だ、誰かぁ……ムグゥ!!」
参謀「おっと、人なんて呼ばせるわけないじゃないですか」フフ
軍人貴族「……!!!」
参謀「あんたはここで聖女像破壊及び陛下暗殺を企てた犯人として自殺したってことになってもらう」
軍人貴族「!!!」ジタバタ
参謀「安心してくださいよ、王国騎士団は俺がしっかり引き継ぎますから」
軍人貴族「!!!!!!」
参謀「あんたは嫌な奴でしたけど、随分と利用させていただきましたからね、せめて楽に逝かせてあげます」
軍人貴族「んー!!!」
参謀「あとは俺たちに任せて、役目を終えた役者はさっさと舞台から降りてくださいね、それじゃ、閣下」ニコッ
参謀「さようなら」
ザシュッッ!!!
参謀「まったく、勇者が暴走するところまでは筋書き通りだったんだが……まさか聖女が出てくるとはね。流石にこれは読めなかった」クックック
参謀「あの幼女……どうやら詳しく調べたほうが良さそうだ」
参謀「おっと、そんなことよりも後片付けが先だった。 ちっ、派手に飛び散っちゃってまぁ……死んでまで俺に迷惑かけるつもりですか? アホ閣下……」ハァ
二週間後
―――――役所――――――
頭領「へへ! あいつら……大したもんじゃねぇか!」カカカ
課長「おや、お頭さん。休憩かね?」
頭領「あ! こりゃ課長の旦那! すみやせん、すぐに仕事に戻ります!」ガタッ
課長「ああ、別にいいんだよ。休める時には休んでおかないとね」フフッ
頭領「そうですかい? ありがとうございます」ヘヘッ
課長「ここ、いいかい?」
頭領「それはもちろん! ささっどうぞどうぞ」
課長「ありがとう……いや、君たちが来てくれて助かってるよ、うちは元々慢性的に人手不足だったからね」
頭領「そんな! こちらこそ、俺たちみたいな半端者連中を受け入れてくださって……感謝の言葉しかねぇですよ」
課長「私たちはお上の言う通りに従ったまでだよ。もっとも、受付くんは色々と手を回していたみたいだがね」
頭領「本当に受付の姉貴には頭が上がりません」ヘヘ
課長「といっても、我々のような役所仕事は窮屈だろう。」
頭領「いえ、あの頃に比べたら申し訳ねぇほどに充実してますよ」
課長「そうかね?」
頭領「ええ! もう魔王に焼かれた村を回って人のいなくなった家に忍び込んだりしなくていいんですからね」
課長「………君も魔王軍の被害者だったのか」
頭領「………うちの奴らは全員そうです。俺も魔王に住んでいた村を焼かれましてね、1人で生きていくためになんでもしました」
課長「それは大変だったろう?」
頭領「ええ、必死でした。悪ぃこともたくさんしました。そうしないと生きていけなかったですから」
課長「………」
頭領「あいつらとはその頃に出会ったんです」
課長「………やはり、彼らも戦争孤児か」
頭領「自分に似た境遇の人間を見るとダメですね、そういう奴を引き取ってたらいつの間にあんな大所帯になっちまった」
課長「それで山賊団の結成というわけかね?」
頭領「はい。最初はあんなガキ共なんて足でまといになるって鬱陶しかったんですけどね。一緒に生活してるとなかなか愛着ってのが沸くもんで……今ではあいつらのこと、本当の家族だと思っています」
課長「家族か……それはいいものだねぇ……」
頭領「はい。親に似て出来の悪い息子たちですが、それでも可愛いもんです」
課長「ふふ、私にも13歳の娘がいるからね、気持ちはわかるよ」
頭領「あいつら最近、山賊をしていた時より生き生きしてるんですよ! 毎日仕事が楽しいって言ってるやつもいれば、よく来るばあちゃんと仲良くなったってわざわざ報告してくるやつもいるんです!」ハハッ
課長「この間資格を取りたいと言って私のところに来た子もいたね」
頭領「本当ですかい!? そりゃいい!」
課長「私も嬉しいよ。できることなら是非、君たちの力になりたいと思っている」
頭領「ありがとうございます……最近、よく考えるんですよ。受付の姉貴がなんで俺たちをここに連れてきたのか」
課長「ほう?」
頭領「ここで働いていると思うんですわ。『みんなが魔王から受けた傷跡から少しでも前に進もうとしている』って。それなのに俺は、なにをやっていたんだろうって……情けねぇ! 」
頭領「奪うことなら簡単にできる。だけど0から作り上げることはここまで大変なことなんだって、みなさんの仕事を手伝っているとそう感じます。受付の姉貴はこれを伝えたかったくて俺たちをここに連れてきたんじゃねぇかなって」
課長「どうだろうねぇ、案外、本当に人手が欲しかっただけかもしれないよ」フフ
頭領「これは俺たちのせめてもの罪滅ぼしです、俺たちはいろんな人を傷つけちまった。だから、今度は傷ついた人たちの力になりてえ! あいつらもきっとそう思ってます………それに見てくださいよ」
課長「ん? これは、手紙と写真かね?………一緒に写ってるのは……仮面の王女様じゃないか!」
頭領「へい。こいつら二人、取り調べの時に別のとこに連れてかれたんで心配してたんですが、あの後、王女様の護衛としてスカウトされたそうで!」
課長「王女、というと仮面の姫様かい!? それはすごいじゃないか!」
頭領「しかも、こいつらこの前の英霊祭で大活躍したそうで……この手紙は二人のうちのいつもドジな方の奴が書いたんですがね、王女様を守って大怪我したって自慢げに書いてあるんですよ、まったく誰が信じるかってんだ! 大方仕事中にドジ踏んじまったに決まってます!」ガハハ
課長「ふふ。親としてはさぞ鼻が高いだろう?」
頭領「ええ、自慢の息子です。それに俺たちだって負けてられません!」
課長「そうか、頑張ってくれたまえ」
頭領「へい! 任せてくだせえ!」
課長「うむ、期待しているよ。そうだ、今の仕事が一通り片付いたら飲みにでもいこうじゃないか」
頭領「いいですねぇ、行きましょう!」
課長「約束だよ? ………それじゃ、そろそろ午後の仕事に戻るとしようか?」
頭領「よし、午後も頑張りますよ!」
課長「ほどほどにしてくれよ? ほどほどにね」フフッ
受付「…………」ババババッ
勇者「…………」ダラダラ……
幼女「……んう?」
受付「…………!!!」ズバババババッ!!
幼女「……おおー」パチパチ
勇者「…………」アセアセ
受付「………………………ああ!!」ガンッ!
勇者「…………!!」ビクゥ!
幼女「むい!?」ビクッ!
受付「……あ、大丈夫か……」カリカリカリ
勇者「…………ほっ」
受付「ふー」トントントン
勇者「あの…………終わりましたか?」
受付「くぅ~疲れましたw これにてお仕事終了です!」
勇者「あ、あの……それでなんですが……」オドオド
受付「実は勇者様が王都をめちゃくちゃにしたのでその後処理の書類作成を持ちかけられたのが始まりでした。本当は私も残りの有給を満喫したかったのですが要請を無下にするわけにはいかないのでお役所に戻ってきた所存です!」
勇者「あ、あの……」ビクビク
受付「以下、勇者様のみんなへのメッセジをどぞ」
勇者「すみませんでしたぁぁぁぁあああああああ!!!!!」ドゲザ!!!
幼女「ユーシャ!?」オロオロ
勇者「ちなみに今のは………?」
受付「一度言ってみたかったセリフ第二位です!!」フンス
勇者「いや、いまいちよくわかんないんですけど………」
受付「ほう? 口答えするんですか………」ゴゴゴゴゴ!!
勇者「いえ、滅相もありません……」
受付「まったく……幼女ちゃんもそろそろこんな人見限ってうちに来ませんか?」
幼女「ユーシャ……が……いい!!」グッ
受付「ああん、また振られちゃいました~」キャルン
勇者「ご迷惑をお掛けしました皆様方! 大変申し訳ありませんでした!!!」ドゲザ!!
受付「本当に反省してるんですかぁ?」ジトー
勇者「勿論でございます! ですからこうして私、正装で参った次第であります!」ユウシャッ!
受付「なんでこんなところで伝説の勇者装備一式着込んでるんですか、鬱陶しいですね……」
勇者「い、家にちゃんとした服がこれしか無かったもので……」
幼女「かっこいい……よ? ユーシャ!」ピョンピョン
受付「自堕落な生活を送ってるからそうなるんですよ……幼女ちゃんにもちゃんと服買ってますか?」
勇者「幼女の服は課長さんの娘さんのお下がりとか職員の方々から頂いております!!」
幼女「………!!」コクコク
受付「いや、買ってあげてくださいよ」
勇者「つきましては受付様にお願い申し上げたいことがありまして、本日参った次第であります!!!」
幼女「……あります!」
受付「まぁ、大体予想はついてますがとりあえず言ってみたらどうですか?」
勇者「今月も!! 支給金を!! 厚かましいとは心得ておりますが! 先月と同じ額いただきたくお願いいたします!!!!」ハハー!
幼女「……ます!!」
受付「やっぱり……」
勇者「お願いします! 我が家は文字通り勇者1人の幼女が1人でして………働ける体ではない私のせいで幼女に苦労させるわけにはいかないのですぅぅぅぅ!!!!」
受付「いや、働けるでしょあなたは!!」
勇者「なにとぞ! なにとぞぉぉぉぉぉぉおおお!!!」ガシッ
受付「足を掴まないでくださいよ!!」
勇者「働きたくないでござる! 働きたくないでござるぅぅぅぅぅ!!」スリスリスリ
幼女「働いたら……負け……かなって……」
受付「幼女ちゃんになんてこと教えてるんですか! このクズ!!」ドゲシッ
勇者「グハッ!!!……なにとぞ! なにとぞぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
受付「プライドすら失くしたんですか、あなたは……」ハァ
勇者「旦那、プライドじゃあ飯が食えないんでゲス……」
受付「ああんもう!! とりあえず今のところは支給金打ち止めという話にはなってないので安心してください!!」
勇者「……本当に?」
受付「どういうわけかあの雷は襲撃した魔族の手によるものになってるらしくてですね……そんでもってあれが落ちる前に幼女ちゃんがかき消しちゃったので被害はほとんどありませんでした。故に勇者様に責任を追求しようがないんですよ」
勇者「よ、よかった……」ホッ
幼女「よかった!」ピョンピョン
勇者「幼女ー! お前のお陰だよー」
幼女「いいって……こと……よ!」グッ
受付「なんかいらんことまで覚えてないですか?」
受付「それで。どうですか? あれから二週間経ちましたけど」
勇者「……まぁ、ぼちぼちですよ。幼女もある程度喋れるようになって、前より何考えてるかわかるようになったし」
幼女「えへへ……」
受付「いつの間に喋れるようになったんですかね?」
勇者「魔法使いが言うには俺の雷に当たったショックで喋れるようになったとか……」ズーン
受付「火竜事件の時にあれだけ幼女ちゃんを危険な目に合わせるなって言ったのに……小さい子に手を上げるなんて本当に最低ですよ?」
勇者「いや、本当に……面目無い……!!」ズーン
幼女「ユーシャ……別に……気にして……ない……よ?」
勇者「俺が気にするんだよ……ごめんなぁ……幼女……」ズーン
幼女「ユーシャ! ニィィィィィィ!!」ニカッ
勇者「……ニィィィィィィ……」ズーン
幼女「ユーシャ!?」オロオロ
受付「さーて、幼女ちゃん。あんなのは放っておいてお姉さんと話しましょうねぇ?」ウフッ
幼女「…………」ジー
受付「そうだ! 今日こそは私のこと名前で呼んでもらいましょう! 幼女ちゃーん? 受付のお姉さんですよー?」フリフリ
幼女「…………」ジー
受付「あれ? もしかして私……本当に嫌われてる?」
幼女「…………」ジー
受付「えっと……もしそうだとしたらショックなんですけど……あの、幼女ちゃん?」
幼女「……なんで?」
受付「え?」
幼女「なんで……今日は……仮面……つけてない……の?」
受付「げ!?」ガタッ
勇者「ん? なんだって?」
受付「あーっと!!! 勇者様! 幼女ちゃんちょっとトイレ行きたいみたいなんで連れて行っちゃいますね!!!」アタフタ
勇者「いや、こいつそういうのじゃないでしょ。魔導人形なんだし」
受付「と、とにかく! 絶対ついて来ないでくださいね!!!」ピュー
幼女「むぃぃぃぃぃ!!!!」ピュー
勇者「なんなんだ……?」
受付「どどどどーしてわかったんですか?」ヒソッ
幼女「オージョ!!」
受付「うわぁ! うわぁぁぁ!!! ダメですよ幼女ちゃん! こんなところで大声出しちゃ……色々とバレると面倒なんです!!!」ヒソッ
幼女「んう?」キョトン
受付「いいですか、私の正体がみんなに知られてしまうと大変なことになってしまうんです。幼女ちゃんなら、内緒にしてくれますよね?」
幼女「むい!!」グッ
受付「絶対! 絶ーー対! 私が仮面王女だってこと内緒にしてくださいね!!!」
バサッ!!
受付「誰ですか!!」クワッ!
村娘「あ、あの……これは違くて……」ガタガタガタ
受付「村娘さん!!!」ガシィ!
村娘「うひゃあ!!」ビクゥ!
受付「……あらあら、誰かと思えば村娘さんじゃないですか、なぜこんなところにいるんですか?」ニコニコ
村娘「えっと……この間の英霊祭で王都に行った時に私もやっぱりいつまでも村にいるんじゃなくて、王都で働いてみたいなぁって思って……村長に許可を頂いて、それで仕事を紹介してもらおうと……役所に来たんですけど……」ガタガタ
受付「そうですかぁ………」ニコニコ
村娘「あ、あの……このことは絶対に言いませんから! だ、だから許してください!!」
受付「そんな許すなんて………別にあなたのことを取って食べたりなんて考えてませんよ?」ニコニコ
村娘「あの……私、どうなっちゃうんですか……?」ガタガタ
受付「確か仕事を探してるんでしたよねぇ………だったら村娘さんにぴったりの職場があるんですよー」ニコニコ
村娘「え、えっと………なんで少しずつ逃げ道を塞ぐんですか……?」
受付「ちょうど王都で『人手』が足りなくて困てるって場所で、村娘さんみたいな人が欲しいって言ってるんですよー」ニコニコ
村娘「あ、あ……た、助けて……」ガタガタ
受付「村娘さんならきっと気にいると思いますよー?」ニコニコ
村娘「いや……いやぁ……」ガタガタ
受付「ちょっと危険な目とか、軽く死にかけることもあると思いますが……素敵な職場ですよ☆」ニコニコ
幼女「はわわ……」
受付「ウフフ、ウフフフフ……」
いやぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!
――――――――――
同僚「あら? 勇者様? どうしたんですか? なにか手続きですか?」
勇者「ああ、そんな感じだったんですけど……」
同僚「受付ですね……」
勇者「ま、まぁ……」ポリポリ
同僚「あの子は本当にしょうがないんだから……!!」
勇者「いえ、俺も色々と助けてもらいましたし……」
同僚「…………受付から聞きました。大変だったみたいですね?」
勇者「俺が勝手に暴れちゃったみたいなものですから……同僚さんにもご迷惑をおかけしました」
同僚「気にしないでください…………まさか、記憶喪失だったなんて驚きましたよ、その後なにか思い出しました? 聖女様のこと……」
勇者「…………正直、あまり……」
同僚「そうですか……」
勇者「たまに声が聞こえてくるんです……だけどそれ以上は……魔王と戦う辺りから記憶が曖昧で」
同僚「お仲間に聞いたりしてみては?」
勇者「それが、剣士も魔法使いも『教えられない』の一点張りなんですよ」
同僚「そうですか……なにかあったんですかね?」
勇者「わかりません……ただ、確かに俺と聖女と呼ばれる人は仲間で、その聖女の記憶だけがすっぽり抜けてしまっていた。原因はわかりませんけどそのことに関してだけは事実みたいです」
同僚「早く思い出せるといいですね……」
勇者「いえ、このことに関しては思い出さない方がいいのかもしれません」
同僚「どうしてですか?」
勇者「聖女像が目の前で壊された時、目の前が真っ赤になって周りが見えなくなりました」
同僚「…………」
勇者「……それで気がついたらベッドの上で横になっていました……後から自分が暴走したこと、王都を壊そうとしたこと。そして、幼女を傷つけてしまったことを魔法使いや剣士から聞いたんです」
同僚「勇者様……」
勇者「おぼろげに覚えているのは幼女が泣きながら必死に俺のことを叫んでいる姿でした」
勇者「多分、記憶が途切れる前のあの衝動は元々自分の中にあったものです……もしなにかのきっかけでそれが目覚めたりしたら、俺はまた誰かを、幼女を傷つけてしまう。そんなのは絶対に嫌だ……」
勇者「だったら俺は、思い出さなくていい。誰かを傷つけるくらいならそんな記憶、要りません」
同僚「それでいいんですか? あなたの大切な記憶なのかもしれないのに?」
勇者「それでいいんです。俺は幼女の保護者ですから。もう、あいつのあんな顔見たくない。あいつにはいつも笑ってて欲しいんです。そのためには過去のことなんか忘れて俺が笑っていないと!」
同僚「……あなたはやっぱり勇者様なんですね」
勇者「そんなことありません。俺はこれからもダメな『ニート』ですよ」
同僚「いえ、私から見ればあなたは立派な『勇者様』です」フフッ
タッタッタッタ
幼女「ユーシャ!!!」ダキッ
勇者「おっと! 幼女、今までなにしてたんだ?」
幼女「乙女の……秘密……だよ!」キラン
勇者「??? それであの人は?」
幼女「それは……言えない……のです!!」ビシッ
勇者「なんだよ、それ……?」
同僚「こんにちは、幼女ちゃん」
幼女「こんに……ちは!」ビッ
同僚「今日も元気いっぱいね?」
幼女「……お前も……な!!」グッ
勇者「こら、幼女! そんなこと言っちゃダメだろ!……すみません」
同僚「いいんですよ」フフッ
幼女「ユーシャ……」クイクイ
勇者「ん? どうした幼女?」
幼女「……お腹……すいた……」
勇者「もうちょっと待ってくれるか? あの人が帰ってくるまで支給金の申請できないんだよ」
幼女「むぅ……」グゥー
同僚「ああ、別にいいですよ。支給金の手続きに関しては私がやっておきますから後は任せてください」
勇者「いいんですか?」
同僚「はい、幼女ちゃんに美味しいもの食べさせてあげてくださいね?」
幼女「……!!」ピョンピョン
勇者「すみません。ありがとうございます。じゃあ、行くか幼女。同僚さんに挨拶しな?」
幼女「バイバイ! ドーリョー!!」フリフリ
同僚「ふふ、またね、幼女ちゃん」フリフリ
―――――王立研究所―――――
研究員E「所長ー」
魔法使い「…………」ピッピッピッ
研究員E「所長ー」
魔法使い「…………ふむぅ」
研究員E「所長ってばー!!」
魔法使い「…………」
研究員E「よし、このまま家に持って帰ろう」ガッ
魔法使い「うおう! な、なにをする!?」ビクッ
研究員E「いや、所長が可愛かったんでつい……」
魔法使い「アホな真似はよさぬか!」
研究員E「アホでもいいです! 真剣です!!」ダンッ
魔法使い「……こんなポンコツでも医療魔法においては天才と呼ばれておるのだから不思議な話だの……」
研究員E「嫌だなー、そんなに褒められたら照れちゃいますよー」デヘヘ
魔法使い「……褒めてないのじゃが……それで、何の用じゃ?」
研究員E「ああ、運ばれてきた2人の経過観察の結果を報告しにきたんですよ」
魔法使い「…………それで容態は?」
研究員E「2人とも問題ありません。検査のためにもう1週間程ここにいてもらいますが、すぐに復帰できるでしょう」
魔法使い「そうか……流石じゃの」
研究員E「もっと褒めてください! なんだったらナデナデしてください!」
魔法使い「調子に乗るな!」
研究員E「だったら僕が所長をナデナデします!!」ナデナデ
魔法使い「やめんか!!」
研究員E「ああ! 持って帰りたいなぁ!!!」ナデナデ
魔法使い「豪炎魔法! 弱火!!」ゴォォォォ
研究員E「あんぎゃぁぁぁぁあああああ!!!」
魔法使い「まったく……」
研究員E「……それで、助手さん連れて遠征に行って帰って来てからずーっと難しい顔してましたけどなにかあったんですか?」スック
魔法使い「お主、立ち直るの早いの……」
研究員E「医療魔法使いですから」キリッ
魔法使い「…………火竜に会ってきた」
研究員E「……幼女ちゃんのことでですよね?」
魔法使い「うむ、まぁドンパチやってなんとか話を聞けることになったんじゃが…………」
研究員E「ああ、あの擬似的に龍族のブレスを生み出す装置、上手くいきました?」
魔法使い「幼女の全開に比べたらまだ慎ましいものではあったが、火竜と対抗するには十分すぎるほどの威力じゃったよ」
研究員E「それで、なにかわかったんですか?」
魔法使い「幼女のことがますますわからなくなった」
研究員E「ええ? ダメじゃないですか!」
魔法使い「まず、幼女があのブレスを使えるということがまったく説明がつかないんじゃよ」
研究員E「どういうことですか?」
魔法使い「あのブレスを唯一使える者は既に死んでいる。しかも200年も前に……」
研究員E「えっと、話がまったく見えないんですけど……」
魔法使い「うむ、では信じてもらえんとは思うが話すとしようかの………」
・
・
・
・
・
・
魔法使い「そ、それは……真か!?」
火竜「俺は見たままのことを言っただけだ。俺たち龍族は個体ごとにそれぞれ違うブレスを使うことができる。例えば俺の場合は火のブレスだ」
魔法使い「う、うむ」
火竜「あのガキが使う光のブレスを扱う龍族はただ一人」
火竜「龍族の王。龍王様だ」
助手「幼女ちゃんはその龍王となにか関係があるってこと?」
火竜「そんなこと知らねぇよ」
魔法使い「では、その龍王とやらがどんなやつなのか教えてもらえぬか?」
火竜「………今から約200年前、人間が暮らす大地を我ら龍族が守っていた時代。その龍族を束ね、統治してくださっていたのが龍王様だ。あのお方は光の力で迫る闇を払い、世界の平和を守っていた……俺はあのお方の側に仕え、あのお方と共に世界を守る手伝いをしていた」
魔法使い「ならばその龍王はどこにいる!? お主のように封印されたのか!?」
火竜「もういない。死んだんだ」
魔法使い「死んだだと!?」
火竜「ああ、間違いなく死んだ。俺の目の前で」
助手「なぜ!?」
火竜「殺されたんだよ! あいつと、龍王様を見捨てて私利私欲に走った人間共にな!!!」
火竜「俺は今でも思い出す! あの光景を!!」
火竜「龍王様の亡骸を踏みつけて笑うあの男の姿を!!!」
火竜「俺はあいつを許さねぇ!! 俺を殺さずに生かしたまま封印しやがって!」
火竜「そうだよ、全部あいつがやったんだ! 竜王様を殺したのも、俺を封印したのも全部! 全部だ!」
火竜「全部あの自らを魔王と名乗るあいつがやったんだ!!!」
―――――――――――
幼女「♪♪♪」
勇者「よーし、幼女。支給金の心配も無くなったし、今日はどこかに食べに行くか!」
幼女「やっ……た!!」ピョンピョン
勇者「幼女、なにが食べたい?」
幼女「うーん……」
勇者(あれ、待てよ? 今まで気にしてなかったけど、もしかしてあいつが言ってる『チャーハン』って『食事』って意味だったんじゃないのか?)
勇者(そうだよ、そうじゃなかったらたこ焼き屋で『チャーハン』だなんて言うはずがない……)
勇者(もしそれが本当だとしたらあいつは別に好き好んでチャーハンを食べていたわけじゃないんじゃ? そして俺はあいつに好きでもないチャーハンを無理矢理食わせてたってことに……あれ、これって虐待? 保護者失格……!?)ゾゾゾゾゾッ
幼女「うーん……迷う……」
勇者「幼女……? 今日は本当に食べたいものでいいんだぞー? 俺に気を使う必要なんてないんだぞー?」ドキドキ
幼女「……!! 決定……しました!!」
勇者「お、おう! なにが食べたいんだ!? 幼女!!」ドキドキ
幼女「エビチャーハン!!!」ババーン
ズコッ
勇者「そ、それでいいのか? 幼女?」
幼女「カニ……チャーハンと……迷った!」
勇者「そ、そう……別にチャーハンが嫌いとかじゃないんだな?」
幼女「んう?……チャーハン……好きだよ? ……毎日……食べたい!!」
勇者「あ、そうなんだ……」
幼女「……行こっ!……ユーシャ!!」ギュッ
勇者「…………ああ、今日は英霊祭で食べれなかった分まで食べるぞー!!」
幼女「うん!!」
受付「勇者様! 英霊祭ですよ!」幼女「♪♪♪」終わり
予告編
商人貴族「やっぱり、邪魔なんですよねぇ…………あれは」
院長「平和になった後も私たちの戦いは続くんです……今はここが私の『戦場』なんですよ」
勇者「恋の季節ですねぇ……」
幼女「………ですね!!」
受付「ふっざけんじゃないわよ!!!」
メイド「メイドの基本は『奉仕』の精神です」
参謀「あんたならできるだろう? 見せつけてやればいいさ、魔族の力をな」
剣士「これでいいんだ……これで……」
村娘「………なんで私、こんなところにいるんですかぁ……?」
魔法使い「お主は『中抜き』という技を知っておるか?」
火竜「へぇ、こっちも中々面白いことになってるじゃねぇか……!!」
???「粋だねぇ!! あんた達みたいな奴! 大好きだぜ!!」
元頭領「受けた恩は数知れず!! 元西の盗賊団頭領! 仁義、通させていただく!!!」
それでは以下番外編です
どうぞ
番外編 「レッドとブルー」
普段電子妖精は研究施設のサーバーを通して研究所から支給された装置の中に待機、メンテナンスを受けています
―――――宮廷 メンテナンス室―――――
ブルー「怪しい……」ムー
レッド「なにがですか?」
ブルー「あ、レッド! 治ったんだね!」
レッド「プログラムですので、完全消去されない限り基本的に大丈夫です」
ブルー「よかったよー!! もう! 心配したんだからねー!!」
レッド「ご心配おかけしました」
ブルー「そっちのマスターの方は大丈夫?」
レッド「ええ、処置してくれた回復魔法使いの腕が良かったようで、なんとか……」
ブルー「良かったー。2人とも死んじゃったらどうしようかと思ったよー」
レッド「まだ本調子とは程遠いですがマスターもメイド様も快方に向かっていますのでご安心ください」
ブルー「早く良くなるといいね!」
レッド「はい……それで、怪しいとは? 宮廷に侵入者ですか?」
ブルー「違うよー、私のマスターのこと!」
レッド「蒼騎士様のことですか?」
ブルー「うん。マスターから女の匂いがするんだよ!!!」キラン
レッド「我々に嗅覚は実装されていなかったはずですが……」
ブルー「そうだけど! マスターが私というかわいい女の子を放っておいて他の女とイチャコラしてんじゃないかって意味!!!」
レッド「…………それがあなたになんの関係があるんですか?」
ブルー「関係大アリだよ! レッドは自分のマスターが他の女にデレデレしてるの嫌じゃないの!?」
レッド「性能上特に問題はありません」
ブルー「私は絶対嫌! ただでさえマスターの周りには女の人がいっぱいいるのにぃ……」
レッド「例えば?」
ブルー「メイドさんでしょ? 姫様でしょー、あとこの間の村娘! それに宮廷侍女達の間でも最近密かに人気だとか………」
レッド「人望があって喜ばしいことじゃないですか」
ブルー「あの事件の時もなんかメイドさんとフラグ立てるようなノリだったしぃ!!」プリプリ
レッド「そうでしたか? 別にそのようなことは特に……なぜわかるのです?」
ブルー「乙女の勘!!」
レッド「オカルトです……」ハァ
ブルー「それにいつもこの時間になるとふらっとどこか行っちゃうんだよ? 私を装備しないで!」
レッド「それはおかしいですね。こんな夜に、見回りなら装備をしないのも変ですし……」
ブルー「きぃぃぃぃぃ!!! きっと今もマスターはどこかで女と会ってるんだよ! そんでイチャイチャしてるんだ!!」
レッド「そんな、確信もないのにそのようなことを言ってはいけませんよ?」
ブルー「だって! そうじゃなかったら戦闘の時も見回りの時も私というウルトラ超絶可愛い女の子が側にいるのに無反応なんておかしいじゃない!」
レッド「そうでしょうか?」
ブルー「そうじゃなかったら……え? マスターってそっちの人?」
レッド「私の口からはなにも……」
ブルー「もういい!! 確かめに行く!! 魔法使い様がおもしろいプログラム作ってくれたみたいだし!」
レッド「……まさか『あれ』を使うのですか?」
ブルー「うん! その通り!」
ブルー「実体化プログラムを使います!!!」ババーン
レッド「いや、あれはまだ実用段階では……」
ブルー「大丈夫大丈夫、私にかかればこんなのチョチョイのチョイだよ!」ババンッ
レッド「ブルー、私達はただのプログラム。あなたのマスターとは根本的に違うのですよ?」
ブルー「そんなの分かってるよ! わかってるけどこのままじゃ納得いかないの!」
ブルー「恋人にはなれないかもしれないけど私はパートナーだもん。マスターのこと、もうちょっと知りたいよ………」
レッド「ブルー…………わかりました。そういうことでしたら私は止めません」
ブルー「さっすがレッドちゃん! 話がわかるぅ!!」キャルン
レッド「電子妖精とマスターの相互理解は任務遂行の上で重要なことです」
ブルー「……えっとよくわからないけど、早速使っていくよ! 実体化プログラム起動!!」ピッ
ビビビビビッ!!
レッド「実体化プログラム、正常起動を確認」
ブルー「お、おお! これが私!?」クルン!
レッド「どうやら成功のようですね」
ブルー「どうかな、レッド? 私可愛い?」
レッド「可愛いですよ」フフッ
ブルー「そう? ありがと! そうだ! いいこと思いついちゃった!」
レッド「またなにか良からぬことを考えてるんじゃないですよね?」
ブルー「この姿で、マスターを誘惑します!!」
レッド「やっぱり……」
ブルー「あわよくば彼女からマスターを奪い取る! いや、寝取る!!」ババーン
レッド「馬鹿なことはやめたほうがいいですよ……」
ブルー「もう遅いもーん! 行ってくるねー!!!」タッタッタ
レッド「ブルーにも困ったものですね……」ハァ
レッド「…………実体化プログラムですか……」ボソッ
ブルー「ふふふふふ………上手く忍びこんじゃった……さて、マスターはどこかなー?」キュィィィン
ブルー「お、マスターの魔力反応をかっくにーん♪ これよりブルー隊員は作戦行動に入りまっす!!」ビシッ
ブルー「さぁさぁマスター、覚悟はいいかなぁ! 私の魅力でマスターをメロメロに……」グヘヘ
ブルー「あれぇ~? 彼女と会うはずなのにまだ宮廷の中にいるんだー? おかしいな………はっ! ということは彼女は宮廷内の誰か!? 職場恋愛なんてブルーちゃんが許しませんよ!!」
ブルー「……反応からするとこの部屋だね……さぁ、マスター! 私の魅力を存分に味わうがいい!」
ガチャ
蒼騎士「……5100! 5101! 5102!」ブンッブンッ
ブルー「え? あれ?」
蒼騎士「誰だ!?」
ブルー「うぇひぃ!?」ビクゥ!
蒼騎士「………こんなところでなにをしてるんだ?」
ブルー「あ、ああえっとあの、その……み、道に迷っちゃってぇ……」ワタワタ
蒼騎士「迷った?」
ブルー(慌てちゃだめよ、ブルー。幸いマスターは私だって気づいてないはず…… このまま作戦続行よ!)
ブルー(私の魅力で、マスターを落とします!!)グッ
ブルー「そうなんですよぅ……ちょっと道に迷ってぇ……中から声が聞こえたからぁ……助けてもらおうって思ってぇ」クネクネ
蒼騎士「そ、そうか……」
ブルー(ふふ、どうだマスター! このセクシー攻撃は! 理性を失って私を押し倒すがいい!!)
蒼騎士「……悪いが別の誰かにでも聞けよ、今は訓練中だ」
ブルー「なぁ!?」
蒼騎士「そこら辺適当に歩いてたら誰かに会うだろ。邪魔するな」
ブルー(こいつ……人がここまでやってるのに!!! この鈍感! 唐変木!! 負けない! ここで退いたら女が廃るもの!!)
ブルー「そんなこと言わないでぇ、助けてくださらなぁぁい? ウッフン」クネクネ
蒼騎士「…………訓練が終わってからでいいか」
ブルー「もぉちろぉんよぉ……」クネクネ
蒼騎士「……お、おう」
蒼騎士「9800! 9801! 9802!」
ブルー(あれから1時間くらい木刀振りっぱなし……)
ブルー「ねぇ! まだー?」
蒼騎士「もう少しだから待ってろ!」
ブルー「なんでそんなに頑張るのよぉ~」
蒼騎士「俺が弱いからだ」ブンッブンッ
ブルー「そんなことないと思うけどな~」
蒼騎士「一発だけだ」
ブルー「え?」
蒼騎士「あの暗黒魔人に一発しかぶち込めなかった」
ブルー「…………」
蒼騎士「俺が弱かったから兄弟を守れなかった。俺が一般人を連れながらでも戦えたならメイドを助けに行くことができた。俺がもっと強かったら勇者もあの魔人も止められたんだ」ブンッブンッ
ブルー「あ、あの事件はしょうがないよ。ほら、大変な事件だったし!」
蒼騎士「魔人はこれが始まりだと言っていた。これからもっと強い奴が出てくるかもしれない。その時も同じようにしょうがないって諦めればいいのか?」ブンッブンッ
ブルー「そんなこと、ないけどさ……」
蒼騎士「俺はもっと強くならなきゃいけない。剣士よりもメイドよりも勇者よりも!」ブンッブンッ
ブルー(なーんだ。マスターはそれどころじゃないんだ……)
ブルー(女の子に手を出すとか、そういうのには興味無くって、今は強くなることで頭が一杯で……)
ブルー(私のことも、見えてないんだね……)
ブルー「あーあ、なんか遠く感じちゃうなー」ボソッ
蒼騎士「ああ?」ブンッブンッ
蒼騎士「なに言ってんだ? お前も一緒だろうが、ブルー」
ブルー「うんーそうだねーって………え?」
蒼騎士「だから、お前は俺のサポートが仕事なんだろう? 勝手に仕事サボるなよ」
ブルー「え…あの……ええええ!?」
蒼騎士「なんだ? 俺なんか変なこと言ったか?」
ブルー「気づいてたの!? いつから!?」
蒼騎士「お前が『うぇひぃ!?』って奇声をあげた時から」
ブルー「それ最初からじゃない!! なんで!? 私、実体化プログラム使ったの今日が初めてなんだよ!?」
蒼騎士「あんな突拍子もない変な喋り方してんのなんてお前だけだろ」
ブルー「なにそれ!? じゃ、じゃあマスターは最初から知ってて……」
蒼騎士「妙にクネクネしてたから腹でも痛いのかと思ったけどな……」ハハハッ
ブルー「………」プルプルプル
蒼騎士「どうせ深夜にトイレでも行こうとして迷ったんだろ? この宮廷広いからなぁ……」
ブルー「………んな……」プルプル
蒼騎士「あれ? でも電子妖精ってそういうのするもんなのか? どうなんだ? ブルー」
ブルー「ふざけんなぁぁぁぁ!!」ドゲシッ
蒼騎士「痛え!!」
ブルー「マスターは! 本当に! デリカシーというものが! 欠落してるんだよ!!」バシッバシッ
蒼騎士「やめろよ! アホ!」
ブルー「そっちの方がアホだよ! このアホ! 鈍感! 唐変木!!」
蒼騎士「痛えって!!」
ブルー(………でも)
蒼騎士(なに言ってんだ? お前も一緒だろうが、ブルー)
ブルー(『お前も一緒』って!! マスターが『お前も一緒』って!!!)
ブルー「えへへ……」バシッバシッ
蒼騎士「にやけながら叩くな!!」
―――――王立研究所―――――
紅騎士「あー、暇だ……」
紅騎士「入院中っていってもやることないんだよなぁ……昼寝しすぎちゃって寝れないし。こういう時が一番辛い……」
紅騎士「あー、暇だ……」
コンコン
紅騎士「……こんな時間になんだ? 俺なんかしたっけ? 騒ぎすぎたかな?」
紅騎士「えっと……誰かわかんないですけど開いてるんでどうぞー」
ガラガラ……
「失礼します。お体の具合はどうですか?」
紅騎士「…………」ピキーン
「面会時間外にお見舞いに行くことは非常識だと心得てはいるのですが、どうしても気になってしまい……お休み中でしたか?」
紅騎士「…………」パクパク
「やはりご迷惑でしたか……申し訳ありません。ではこれにて……」
紅騎士「ちょ、ちょっと待ってくれる!?」
「はい……?」
紅騎士「あのね……その、すごく失礼な話になっちゃうんだけど……えっと……どちら様?」
「…………」
紅騎士「ごめん! いやこんな綺麗な人なら絶対覚えてるはずなんだけどおかしいな……人違いってわけじゃないよね?」
「ふふ……」
紅騎士「……なんかごめんね?」
「いえ、いいのです。ならばあなた様が気づくまで私は名乗らないことにしましょう」ウフフ
紅騎士「ええ!? そんな、教えてよ!? 聞けば絶対思い出すからさ!!」
「ダメです。私のことはそうですね、あなた様の夢の中に訪れた幻とでも認識してください」
紅騎士「できないよ! もう君のお陰でばっちり目が覚めちゃったし!!」
「私も訳あって自ら正体を明かせない身。どうかご理解くださいませ」
紅騎士「ええ? そんなぁ……えっと……宮廷の侍女さんは違うでしょ……酒場のウエイトレスさんも違うし………あ、1人いた、顔を見たことない人!!」
「………」ドキッ
紅騎士「仮面の姫様!!」ビシッ
「ハズレです」
紅騎士「だよね……姫様そんなに胸大きくないはずだし」ジーッ
「あ、あんまり見ないでください……恥ずかしい……です」
紅騎士「わぁ! ご、ごめん!」
「お体の具合はどうですか?」
紅騎士「ああもう平気平気! もうピンピンしてるよ!」
「よかった……」
紅騎士「それもこれもレッドのお陰だよ!」
「え? 気づいて……?」
紅騎士「あ、レッドって言うのはね、俺のパートナーって言えばいいのかな…・…? まぁとにかくそいつが俺にいち早く危険を察知して教えてくれたお陰で致命傷にならずに済んだみたいなんだよ!………まぁ、体に穴は空いちゃったけどね」アハハ
「そうですか……」
紅騎士「早く退院してちゃんとお礼言わなきゃいけないなー」
「もう聞こえてますよ」
紅騎士「なにか言った?」
「い、いえ。別になにも……」アセアセ
紅騎士「ねぇ、そろそろ君が誰なのか教えてくれてもいいんじゃない?」
「ダメです」フフッ
紅騎士「えー!?」
その後復帰した紅騎士は蒼騎士に入院中に『赤髪の美人』の話をし、代わりに蒼騎士は『青髪のアホ』の話をしたようです
番外編 終わり
予告編
商人貴族「やっぱり、邪魔なんですよねぇ…………あれは」
院長「平和になった後も私たちの戦いは続くんです……今はここが私の『戦場』なんですよ」
勇者「恋の季節ですねぇ……」
幼女「………ですね!!」
受付「ふっざけんじゃないわよ!!!」
メイド「メイドの基本は『奉仕』の精神です」
参謀「あんたならできるだろう? 見せつけてやればいいさ、魔族の力をな」
剣士「これでいいんだ……これで……」
村娘「………なんで私、こんなところにいるんですかぁ……?」
魔法使い「お主は『中抜き』という技を知っておるか?」
火竜「へぇ、こっちも中々面白いことになってるじゃねぇか……!!」
???「粋だねぇ!! あんた達みたいな奴! 大好きだぜ!!」
元頭領「受けた恩は数知れず!! 元西の盗賊団頭領! 仁義、通させていただく!!!」
続けばいいな!
といったところで以上です
実に約一ヶ月間、自分の妄想に付き合っていただきましてありがとうございました
感想等をコメントしていただくと大変ありがたいです
最後に貴重な時間をこんな駄文に割いていただき、本当にありがとうございました
まだまだ続けていきたいと思っていますので、今後共よろしくお願いします
今まで本当にありがとうございました!!
うわ……知らないうちに予告編二回も流してしまっていた……
すみません。本当にすみません………
携帯で失礼します
訂正です
>>472
その後復帰した紅騎士は蒼騎士に入院中に『赤髪の美人』の話をし、代わりに蒼騎士は『青髪のアホ』の話をしたようです →×
その後復帰した紅騎士は蒼騎士に入院中の『赤髪の美人』の話をし、代わりに蒼騎士は『青髪のアホ』の話をしたようです→○
でした。申し訳ありません
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません