一夏「久しぶりに鉄板に火を入れてみた」(146)
一夏「──よし、できた」
シャル「あれ、一夏。この暑いのに鉄板の前で何してるの?」
一夏「おお、シャルちょうどいい。今できたばっかりなんだけどさ、味見して
くれないか?」
シャル「……一夏、これ何?」
一夏「ふふ~ん、日本人でないシャルには見慣れなくても仕方ないかな。さて、
何ではこれは何に見えるかな?」
シャル「えっ、言わなきゃダメなの?」
一夏「おいおい、自慢じゃないがかなり上手くできたんだぜ。ちょっとくらい
いい気分にさせてくれよ」
シャル「……どうしても?」
一夏「どうしても」
シャル「……怒らないでよ?」
一夏「怒るもんか」
シャル「……吐瀉物」
一夏「はいさー!」ドゴッ
シャル「んおおおぐぅっ!」
一夏「人がせっかく作ったものをゲ○呼ばわりか。まったく、いい度胸をして
おるわい……」
シャル「い、いきなり腹パンはヒドくない?」
一夏「……確かにそうだな。女の子の腹にパンチなんて、確かにヒドい。すま
なかったな、シャル」
シャル「判ってくれればいいよ。で、この嘔吐物は誰の?」
一夏「セガール!」ズドム
シャル「オほほぉぉぅっっ!」エロエロエロ
一夏「あっ、せっかくのもんじゃにシャルのゲ○が混ざってしまった」
鈴「あら、一夏」
一夏「お、鈴」
鈴「おっ、もんじゃじゃないの。熱々のうちに早速いただきまーす!」
そして鈴はうずくまるシャルを椅子代わりに、鉄板の上のハイブリッドメニューを平らげた。
セシリアは尻をトラバサミにはさまれて死んだ。
―――――――――――
ジュウウウ……
一夏「うし、出来た!」
シャル「一夏? くんくん……、いい匂いだけど何を作ってるの?」
一夏「おう、シャル。 何だと思う?」
シャル「うーん……何だろう? ホットケーキ……だと、お肉を使うのは変だし」
シャル「パンケーキでも無いよね……」
一夏「そうか、シャルはフランス人だものな」
一夏「これは、お好み焼きって言うんだ」 ニコ
シャル「へえ……お好み焼きかぁ」
一夏「良かったらシャルも食べるか?」
シャル「えっ!? い、いいの?」
一夏「おう、いいぜ!」
一夏「と言うか、元からそのつもりだったから」 ニコ
シャル(一夏が、ボクの為に……。 エへへ、嬉しいな♪) ///
一夏「マヨネーズと、ソースをかけて……完成!」
シャル「わぁ……美味しそう!」
一夏「遠慮なく食べてくれ」
シャル「うん! いただきまーす!」
ハムハム……
シャル「美味しい!」
一夏「そうか、良かった♪」
鈴「一夏~、って何してるの?」
一夏「おう、鈴。 見ての通りさ」
鈴「ああ、お好み、焼いてるのね」
鈴「関西風の」
ピシッ……!
シャル「……!?」
シャル(……な、何? 何か……空気が変わった!?)
一夏「……鈴、今何っつった?」
鈴「ん? お好み、焼いてんの? だけど?」
一夏「その後だ」
鈴「関西風の事?」
一夏「ちげーよ! 俺が焼いてるのは『お好み焼き』だ!」
一夏「広島風みたいな こじつけするんじゃねーよ!」
鈴「はあ!? あんたこそ何言ってんのよ!?」
鈴「『お好み焼き』は広島が発祥なの! 関西が真似したんじゃない!」
一夏「てめっ……! 大阪のソウルフードを馬鹿にしやがったな!!」
鈴「それこそ何言ってんのよ。 クソ小さいタコしか入ってないのに」
鈴「『たこ焼き』なんてぬかす食文化に お好み焼きを語る資格なんて無いわ!」
一夏「てめえ……あんな山盛りのキャベツや 固焼きソバとかコラボさせるくせに」
一夏「よくそんな事言えるな。 あんな物が、お好み焼きであってたまるか!!」
鈴「何ですって!?」
シャル「…………」
鈴「だいたい、ソースはともかく、マヨラーも真っ青なほど」
鈴「マヨネーズをかけるのは、どう考えてもいただけないわ!」
鈴「あんなの胃がもたれるだけよ!」
一夏「何だと! あれはソースの辛味をまろやかにする工夫だ!」
一夏「ソースオンリーの味だと、味覚がおかしくなるだけだっつーの!」
鈴「はんっ! ちゃんちゃらおかしいわね!」
鈴「何にでも鰹節ぶっかけてるくせに、恥ずかしくないのかしら!?」
一夏「何だと!? 広島土人が!!」
鈴「何よ!? 関西かぶれ!!」
シャル「…………」
シャル(……どうしよう)
シャル(味わって、食べられないよう……)
シャル「ふ、二人共、ケンカはよくn」
一夏・鈴「シャル(ロット)は黙ってて!」
シャル「ひいっ……」
一夏「こうなったら……!」
鈴「道は一つね……!」
シャル(……嫌な予感しかしない)
一夏・鈴「勝負だ(よ)!!」
シャル(やっぱりぃ……) シクシク…
鈴「というわけだから、シャルロット」
鈴「あたしが本物のお好み焼きを 焼いたげるから食べてみて!」
シャル「う、うん……」
……この日、実に12枚の様々なお好み焼きを食べたシャルは
もう二度とお好み焼きを食べる事はなかった……。
ちなみに私は関西の方が好きだ♪
続き、誰か書いてくれ。あとよろ~。
―――――――――――
ジュウウウ…
一夏「~♪~♪」
シャル「ひっ……!?」
一夏「あ……シャル」
一夏「こ、この前は、すまん……」
シャル「う、うん……」
シャル「こ、今度は……何を?」
一夏「ああ、今度はステーキさ!」
シャル「ステーキ? これが?」
一夏「そう……ってシャルは、知らないのか? サイコロステーキ」
シャル「サイコロステーキ? ……知らないなぁ」
一夏「そうか……俺は好きなんだけどな」
一夏「一口サイズで食べやすいし」
シャル「ふうん……」
一夏「良かったら……食べてみるか?」
シャル「……えっと」
一夏「さすがに これに、こだわりは無いから」
シャル「そ、そう? じゃあ……もらおうかな」
一夏「よし! この前のお詫びを含めて、腕によりをかけるな!」
一夏「ほい、お待たせ!」
一夏「付け合せに フライドポテトとレタスのサラダをどうぞ」
シャル「わぁ……美味しそう」
シャル「いただきまーす!」
ハムハム……
シャル「うん! 美味しい!」
一夏「そうか! 良かった……」
シャル「それに、一夏の言う通り、とっても食べやすい」 ハムハム…
シャル「ナイフで、切り分ける手間がないのは、ありがたいかも」 ハムハム…
一夏「だろう? 肉が上手に切れないと、俺、イライラしちゃってさ」
一夏「サイコロステーキに出会って、これだ!って思ったんだ」
シャル「ふふっ、ボクも解るな、それ」
鈴「一夏~。 何してるの?」
シャル「ひっ……!」 ビクンッ!
鈴「……シャルロット、そんなに怯えないでよ」
鈴「この前は悪かったって……」
シャル「う、うん……」
一夏「……鈴も食うか?」
一夏「この前は俺達、大人気なかった……」
一夏「仲直りの印として、どうだ?」
鈴「うん……もらおう、かな」
鈴「ところで、何を作ってるの?」
一夏「サイコロステーキ」
鈴「ああ、あれね。 食べやすくていいよね♪」
シャル「…………ホッ」
一夏「ほら、鈴。 お待たせ」 コト…
鈴「ありがと、一夏。 美味しそう!」
一夏「注文受けて、すぐ料理できるのも強みだよな」
鈴「いただきまーす!」
モグモグ……
鈴「うん! 美味しいわ!」
鈴「でも、もう少し胡椒を効かせたいかな?」
一夏「おう、じゃこれ使ってくれ」 胡椒パス
シャル「そのあたりは、好みだね」 クスッ
セシリア「あら、一夏さん。 何をして いらっしゃいますの?」
箒「いい匂いだな」
一夏「セシリア、それに箒」
一夏「サイコロステーキを焼いていたんだ」
セシリア「サイコロステーキ?」
箒「肉をサイコロの……立方体に切り分けて焼く、ステーキだ」
シャル「見た方が早いと思うよ」
鈴「ほら、これ」 スッ
セシリア「あら……こんなステーキの調理法、初めて見ましたわ」
一夏「良かったら、セシリアも食べるか?」
一夏「もちろん箒も」
セシリア「い、一夏さんが、作ってくださるのですか?」 ///
一夏「ああ」 ニコ
セシリア「もちろん、いただきます!」 ///
箒「私も もらうぞ、一夏」
ジュウウウ…
一夏「はい、お待たせ。 お二人さん」
セシリア「ありがとうございます、一夏さん」 ///
箒「いただきます」
ハムハム……
箒「うむ! 美味しいぞ、一夏」
一夏「そうか、良かった」
セシリア「…………」
一夏「……セシリア?」
セシリア「!? あっ、えと……美味しいですわ!」
シャル(……どう見ても)
鈴(取って付けた感想ね……)
一夏「く、口に合わなかったか? セシリア?」
セシリア「い、いえ、そんな……」
一夏「いいんだ。 正直に言ってくれ」
一夏「それに、この肉、特売品のやつだし……」
一夏「(セレブな)セシリアの口に合わなかったのも」
一夏「しょうがない所は、あるんじゃないかな?」
セシリア「…………」
セシリア「えと……その、ちょっと お電話をしても、よろしいでしょうか?」
一夏「電話? ああ、いいぜ」
セシリア「…………」 (携帯)ピッポッパッ
セシリア「……あ、チェルシー? 少し、頼みたい事があるのですけど……」
一同「???」
20分後……
チェルシー「お待たせいたしました、お嬢様」
セシリア「あ、チェルシー」
チェルシー「最高級神戸牛ビーフです」
一同「!!!!」
セシリア「一夏さん、御手数ですが……もう一度、このお肉で調理していただけますか?」
一夏「……い、いいのか?」
セシリア「はい!」 ニコ
一夏「わ……わかった」
一夏「つ、つーか、塊だなこれ。 ステーキサイズに切り分けて……と」
ジュウウウ……
一夏(うっ……!?)
シャル(何!? これ!?)
鈴(焼いてる時の匂いが……)
箒(全然違う!!)
一同(ものすごく、いい匂い……!!)
チェルシー「…………」
一夏「……お、お待たせ、セシリア」
セシリア「はい、一夏さん!」
ハム……モグモグ……
セシリア「…………」
一夏「……ど、どうだ?」
セシリア「先ほどよりは、美味しいのですが……」
一夏「そ、そうか……」
セシリア「チェルシー、ちょっと料理してもらえるかしら?」
チェルシー「かしこまりました、お嬢様」
ジュウウウ……
シャル(うう……おかしいな?)
鈴(さっき食べたばかりなのに……)
箒(この匂いのせいで……)
一夏(口の中のよだれが……止まらねぇ……)
チェルシー「…………」
チェルシー「一夏さん」
一夏「! は、はい?」
チェルシー「先ほどは、軽く表面を焼いた程度で 切り分けておられましたが……」
チェルシー「少々早すぎたかと思います」
一夏「は、はあ……」
チェルシー「あれでは、せっかくの旨みが 切り分けた箇所から流れ出てしまい」
チェルシー「勿体のうございます」
一夏「…………」
チェルシー「そして、味付けですが」
チェルシー「シンプルに塩、胡椒というのも悪いわけでは、ありません」
チェルシー「しかし、それでは、臭みを消す事は出来ても」
チェルシー「肉、本来の旨みを 最大限に引き出せません」
一夏(……えっと)
そう言うと彼女は、あえて、俺の調理法をなぞらえて
チェルシー風サイコロステーキを焼き上げて行く……。
素人の俺から見ても彼女の手際は、かなり良く
流れる様な作業というのは、この事を言うのだろう。
そして、味付けや香り付けに 赤ワインやハーブを使い
より一層、美味そうな匂いが立ち込めた……。
シャル(はふぅ……お、美味しそう)
鈴(頭が……ボーっとして来た……)
箒(お、落ち着け……単なる……肉料理……じゃないか)
一夏(ああ……なんだよ……この拷問の様なプレイは……)
チェルシー「はい、お嬢様、お待たせいたしました。 どうぞ」
セシリア「ありがとう、チェルシー」 ニコ
ハム……モグモグ……
一同「……ゴクッ」
セシリア「美味しいですわ♪」
一同(そりゃそうでしょ……)
セシリア「ただ……神戸牛に赤ワインの香りは、きつすぎるのでは無くて?」
チェルシー「申し訳ございません……白ワインで合うものが手元になくて……」
チェルシー「この様に小さく切り分けた事で、より香りが強く感じられるみたいです」
セシリア「なるほど……この調理法は初めてですもの、仕方ありませんわ」
セシリア「それでは、チェルシー。 今の反省点を生かして」
セシリア「皆さんにも、作って差し上げて下さいな」
一同「!!!!!」
チェルシー「かしこまりました、お嬢様」 ニコ
一夏「う、美味い!! 美味すぎる!!」
シャル「ほっぺたが……落ちちゃうよぉ……」
鈴「こ、こんな……こんなお肉が……存在するなんて!!」
箒「い、今まで、食べてきたステーキとは……何だったんだ……」
セシリア「喜んでいただいて、嬉しいですわ」 ニコ
チェルシー「調理法としては、面白いですね」
チェルシー「火が早く肉に入るので、見極めが難しいですが……」
セシリア「最高のお肉に 最高の調理をすれば」
セシリア「最高に美味し物が作れるのですわ♪」
カチャン……
一夏(うん……確かにその通りだな)
シャル(こんなに美味しい物を ご馳走になってて何だけど……)
箒(特大の大声で……)
鈴(ものすごく一言、言いたいわ……)
お 前 が 言 う な !!
……その後、最高の肉料理を食べた一同は、並の肉を
『美味い』と感じる様になるまで、しばらく時間がかかった……。
ラウラ「……あれ?」
ちょっぴり 美味○んぼ編、おしまい
あとよろ。
―――――――――――
ジュウウウ……
一夏「よっ…と」
ラウラ「嫁よ」
一夏「おう、ラウラか」
ラウラ「それは何だ?」
一夏「これか? 鉄板焼きの定番、焼きそばだよ」
ラウラ「ほう、これが焼きそばか」
一夏「へえ? 知っているのか?」
ラウラ「クラリッサから聞いてはいる。 が、実物を見るのは初めてだ」
一夏「そうか。 ラウラも食べてみるか?」
ラウラ「うむ、ぜひ食べてみたい」
一夏「よし、じゃあ今焼いてる これを食べるといい」
ラウラ「♪」
コト…
一夏「ラウラ、おまたせ」
ラウラ「ありがとう、一夏」
ラウラ「いただきます」
モグモグ……
ラウラ「うん、美味しいぞ、一夏!」
一夏「そうか、良かった」 クスッ
シャル「一夏~? 今日は、何作ってるの?」
一夏「お、シャル」
シャル「ああ、焼きそばってやつだね」
ラウラ「む? シャルロットは、焼きそばを知っているのか?」
シャル「食べた事は無いよ? テレビで……b級グルメ?の特集があってね」
シャル「それで知ったんだ」
ラウラ「なるほど」 ムグムグ
一夏「シャルも食うか?」
シャル「ああ、それなんだけど……いつも食べさせて貰ってばかりだから」
シャル「今度は、ボクが作ってあげようと思って、いろいろ持って来たんだ♪」 スッ
一夏「へえ? シャルが鉄板を使って、か……」
一夏「そりゃ楽しみだな」
ジュウウウ……
シャル「まずは、生地を薄く、円形に伸ばして……と」 ススス…
ラウラ「ふむふむ」
一夏「何を作っているんだろう?」
シャル「ウフフ……そうだなぁ。 まずは、定番の生クリームと イチゴにしようかな?」
一夏「あっ! わかった! クレープだな?」
シャル「正解だよ、一夏」 ニコ
ラウラ「ほうほう、これがクレープか」
一夏「でもあれって、確か専用のプレートじゃないと ダメなんじゃなかったけ?」
シャル「うん、そうなんだけど、鉄板でも出来るかな?と思って」
シャル「試してみたくなったんだ」
一夏「なるほど。 鉄板焼きの新たな試みか」
ラウラ「うむ。 チャレンジするのは、いい事だな」
シャル「うーん、とりあえず出来たけど」
シャル「火加減の調整が難しいね」
ラウラ「少し、焦げてしまったな……」
一夏「だけど十分、美味いぜ。 お焦げもいいアクセントになってる」
シャル「フフッ、ありがとう、一夏」 ///
箒「楽しそうだな、一夏」
一夏「おっ、箒」
箒「香ばしい いい匂いがしたから、多分ここだろうと思って来てみた」
箒「ビンゴだったな」 クスッ
ラウラ「む? 箒も、何か持って来たのか?」
箒「まあな。 と言っても大したモノじゃない」
箒「ちょっと、鉄板を貸してもらえるか?」
シャル「あ、じゃあ変わるね? 箒」
ジュウウウ……
一夏「焼きおにぎりか」
箒「これなら単純だけど、美味しいと思ってな」 クス
シャル「へえ……お米って焼いても いい匂いがするんだね」
ラウラ「そういえば、お餅の原料も米だったな」
一夏「あれは、専用のお米 使ってるんだけどな」
箒「よし、ここで醤油を垂らして、と……」 ジュウウウ……
一夏「うはぁ……日本人にとっては、たまらなくいい匂いだ……」
シャル(むっ……このポイントは、大きそう……)
ラウラ(なかなかの策略だな)
箒(フフフ……) ///
ジュウウウ……
一夏「あれ? 箒」
箒「なんだ?」
一夏「このお椀、何に使うんだ?」
箒「ああ、それは こう使うんだ」
ポト…
一夏「焼きおにぎりを お椀に?」
ラウラ「手頃な皿が無かったのか?」
箒「フフフ……今日は、ちょっと行儀悪く行こうと思ってな」
シャル「行儀……悪く?」
箒「そうだ」
箒「お椀に焼きおにぎりを入れて……この魔法瓶のダシ汁を注いで……」 コポコポ…
箒「完成だ」
一夏「美味い!」
シャル「焼きおにぎりの香ばしさと、昆布味のダシが 絶妙にマッチしてて……」
ラウラ「凄く美味しい!」
箒「いけるだろう?」 クスッ
一夏「しかも おにぎりの中にある 具材の梅干がまた、いいアクセントになってる!!」
シャル「この酸味、たまらないね!」
ラウラ「あっさりしてるから、いくらでも入るな!」
箒「そんなに喜んでもらえると、こっちも嬉しいな」 ///
鈴「ちょっとちょっと、また美味しそうな匂い 立ててるじゃない」
一夏「おっ、鈴」
箒「鈴もどうだ?」
シャル「ん? 鈴も何か持ってきてるね?」
鈴「まあね。 あたしも腕を振るおうと思ってね」 ニコ
ラウラ「ほうほう。 今度は、どんな料理だ?」 ワクワク
鈴「期待させといて何だけど……定番料理かな?」 スッ
一夏「なるほど、餃子か」
箒「確かに定番料理だな」
鈴「フフッ、でもあたしは、中華料理屋の娘だから」
鈴「少し、アレンジしてるわ」
シャル「へえ、それは楽しみだね」
ジュウウウ……
一夏「うん、いい匂いだ」
箒「中華料理の炒め物は、なぜか それとわかる匂いがする」
シャル「言われてみれば確かに」
ラウラ「長い歴史がモノを言っているのか?」
鈴「多分、香草をよく炒めるから その匂いだと思う」
鈴「食文化の歴史が長いのも事実だけどね」 クスッ
ジュウウウ……
鈴「はい、完成!」 コト…
一夏「おー、美味そう!」
箒「では、いただきます」
ハムハム……
ラウラ「うむ! 美味い!」 ハフハフ…
シャル「美味しい!」
箒「これは……つけ汁に工夫が?」
鈴「ううん、タレは普通よ」
鈴「餃子の中身に ニンニクじゃなくて、ハーブを入れてみたの」
鈴「後、鳥と豚と牛の合いびき肉を使ってるわ」
一夏「どうりで。 美味いんだけど、なんか違うな? とは思ってたんだ」
シャル「ボクはこれ、すごく好き! ニンニクの匂い、ちょっと苦手だったから」
シャル「ハーブの風味が、とっても食欲をそそるよ!」
ラウラ「eu諸国の人間に向いてそうだな」 クスッ
鈴「実は、本場・中国の餃子に ニンニクは、ほとんど使われないの」
鈴「それに、あっちでは水餃子(すいぎょうざ)が主流で」
鈴「餃子と言えば『茹でるもの』というイメージがあるわ」
一夏「そういや『餃○の王将』も中国に出店したけど」
一夏「焼き餃子が受け入れられなくて、すぐ撤退してたな」
鈴「あたしは日本で育ったから、焼き餃子も立派な調理法だと思うけどね」 クス
箒「そうなのか……焼き餃子は、こんなに美味しいのに」
シャル「炒め物王国の中国が、これを受け入れないって言うのも 不思議な感じがするね」
ラウラ「確かにそうだな」 アムアム…
鈴「……でも、箒の 焼きおにぎり ダシ汁かけ?は、抜群の美味しさね」
鈴「正直、負けたって思う……」
箒「いや、鈴の焼き餃子も絶品だ」
箒「これ、おそらく小龍包(しょうろんぽう)のレシピをアレンジしたのだろう?」
箒「私には無い、発想だ」
一夏「ああ、なるほど。 言われてみれば……」
ラウラ「シャルロット、良かったらクレープを また焼いてくれないか?」
ラウラ「デザートが欲しい」
シャル「もう……ラウラは、一度食べてるのに。 しょうがないな♪」
鈴「そういえば、一夏は何を作ってたの?」
一夏「俺? 焼きそば」
鈴「よ、良かったら、あたしにも作って欲しいな」 ///
一夏「ああ、もちろんいいぜ」 ニコ
鈴「えへへ……」 ///
箒(むっ……!)
シャル(さりげなく、可愛さをアピールしてる……!)
ラウラ「♪」 クレープ ウマウマ
箒「い、一夏! よ、良かったら、私にも、その……」 ///
シャル「ボ、ボクも、欲しい、かな……」 ///
一夏「お? おお、いいぜ。 どんとこい、だ!」
鈴「ムー……」
????「あら、みなさん。 ごきげんよう」
一同「」 ビクンッ!!
その声は、優雅で、美しく、丁寧だったが
その場に居た誰もが、地の底に住まう 魔王の咆哮の様に聞こえた……。
恐る恐る振り返る一同……。
願わくば、幻聴であってくれ……!
そう思わずには、いられなかった。
だ が …
そ れ は 居 た …
セシリア「? どうか、なさいましたの?」
一夏「い、いや……」
箒「な、何でも無い……」
鈴(!! ……し、しかも)
シャル(手荷物を……)
ラウラ(持参している……!)
一同(やばい、やばい、やばい、やばい、やばい!)
一夏「え……と。 や、焼きそば、作るんだけど……」
一夏「セシリアもどうだ?」
セシリア「ありがとうございます、一夏さん」 ニコ
セシリア「でも、前回、ご馳走になったので」
セシリア「今回は、わたくしが調理いたしますわ!」
一夏「いやいやいやいや! ご馳走になったのは、俺達の方だし!」
セシリア「遠慮、なさらないでください」 ニコ
一同(させてよ! 全力で!)
セシリア「さあ、焼きますわよ!」 パカッ
一夏「ん?……なんだ? タッパーの肉を焼くだけなのか?」
セシリア「お恥ずかしいのですが、チェルシーのつけダレに漬けた」
セシリア「お肉を焼くだけですわ」
一同(チェルシー、gj!!)
セシリア「もちろん、わたくしのアレンジも加えましたが」 ニコ
一同(余計な事をぉぉぉぉっ!!!)
セシリア「さて、まいりますわよ!」
ジュウウウ……
一夏(…………)
箒(に、匂いは、普通だな……)
鈴(うん……香ばしい、いい匂い)
シャル(さすがは、チェルシーさん……)
ラウラ(どうしよう……? お腹がいっぱいだから、と、断るか?)
セシリア「♪」 フフ~ン♪ フン♪
ジュウウウ……
セシリア「さ、みなさん! どうぞ、めし上がってくださいな♪」
一同(……………………)
一夏(……おかしいな?)
箒(焼いている匂いは、普通だったのに……)
鈴(どうして、火が通って行くと……)
シャル(若干、青みがかるの……?)
ラウラ(銅でも入っているのか……?)
セシリア「ささ、みなさん、温かい内にどうぞ♪」
一同(……………………)
一夏(……ええーい! 覚悟を決めるぜ!) グッ!
箒(これはあの時の肉……これはあの時の肉……) ブツブツ…
鈴(ええと……確か、保健室は あっちの方向だったわね……) チラチラ…
シャル(お母さん……どうかボクを守って……!) セツジツ…
ラウラ(我が体のナノマシンよ……頼むぞ!) フルフル…
一同「……じゃあ」
一同「いただきます」
セシリア「はい♪」
モグッ…!
……これは、たぶん才能なのだろう。 人知を超えた才能。
なにしろ、彼女は市販された調味料と食材しか、使っていないのだから。
なのに、一度で5人も病院送りにする様な
殺戮兵器をいとも簡単に作れてしまう……。
ああ……神よ! 願わくば、彼女に、その才能を気づかせたまえ……!
これ以上の犠牲者が出ない内に……!
セシリア「……あれ? みなさん?」
おしまい
お菓子系はやらないのか
たいやきとか大判焼きとかたこ焼きとか
前回同様、またセシリアをオチに使ってしまった。オルコッ党員、スマヌ。
ああ、腹減った……。
―――――――――――
ジュウウウ……
セシリア「あら、一夏さん」
一夏「!!」 ビビクンッ!!
一夏「や、やあ、セシリア……」
セシリア「? どうか なさいましたの?」
一夏「な、何でもないから……」
セシリア「ところで、今度は何を調理してますの?」
一夏「ああ……、たこ焼きってやつさ」
セシリア「たこ……焼き?」
セシリア「たこは、どこですの?」
一夏(……ふ、触れて欲しくない所を)
セシリア「一夏さん?」
一夏「ああ……何でも無い」
一夏「この中に入っているんだ」
セシリア「え? この小さな切れっ端みたいなタコが?」
一夏「ぐっ……そ、そうなんだ……」 アハハハ…
一夏(耐えろ……俺……!)
一夏「食べてみるか? まあ、口に合うかどうか わからないけど……」
セシリア「はい♪」
セシリア「はふ、はふ……」 ///
一夏「熱いから、ゆっくり食べろよ?」
一夏(ちょっと遅かったかな……)
セシリア「はふぃ……あふ、はふ」 ///
一夏「……どうかな?」
セシリア「ちょっと熱かったですけど……美味しかったですわ♪」
一夏「え? そうなの?」
セシリア「……なんですの? わたくしは、批評を偽ったりは いたしませんわ」
一夏「すまん。 これは庶民の味なんで、セシリアの口にあうと 思わなかったんだ」
一夏「気を悪くしたのなら謝る」
セシリア「いえ……わかっていただければ……」
鈴「一夏~? 今度は、何作ってるの?」
一夏「げえっ! 鈴!」
鈴「あたしを 関羽扱いしないでよ……」
鈴「……って」
ジュウウウ……
一夏「…………」
鈴「…………」
セシリア「……? お二人共、どうかなさいましたの?」
一夏・鈴「……な、なんでもない」
セシリア「???」
一夏「……とりあえず、聞いておくけど」
一夏「食うか?」
鈴「…………」
鈴「ちょっと、時間もらえる?」
一夏「いらないなら、いらないって 言ってくれていいんだぞ?」
鈴「そうじゃないんだってば。 とにかく、準備してくる」 タッ タッ タッ…
一夏・セシリア「…………」
一夏・セシリア「準備?」
箒「一夏」
一夏「あっ、箒」
箒「さっき、鈴とすれ違ったけど……」
箒「何かあったのか?」
一夏「いや……それが、よくわからなくて」
箒「そうなのか……」
箒「ところで……今日は、たこ焼きか」
一夏「ああ、鉄板をしまう時に このたこ焼き器見つけてな」
一夏「こいつにも久しぶりに、火を入れておこうと思って」
箒「なるほど」
一夏「どうだ? 箒も食うか?」
箒「ああ、いただこう」
ジュウウウ……
箒「うむ、美味いな♪」 ハフ ハフ
セシリア「箒さんは、平気そうですわね」
箒「? 何がだ?」
セシリア「わたくしには、ちょっと熱かったので……」
箒「……ああ、そういう事か」
箒「確かに熱いけど、これは こうやって、はふはふ言いながら食べるのも」
箒「おつなモノなんだ」
セシリア「そうなんですの?」
箒「お祭り屋台の定番メニューでな……」
箒「懐かしいな……実家の境内で行われてた夜店祭り」
箒「一夏と一緒に たこ焼きを食べた事を思い出す」 フフフ♪
一夏「ああ、確かにそうだった」
一夏「俺も箒も、口の中、火傷したっけな……」
箒「ふふふ……」 ///
セシリア(むっ……! なんですの!? この雰囲気!?)
シャル「一夏、今度は何を作ってるの?」
ラウラ「嫁よ。 何かは解らんが、ぜひ食べたい!」 キラキラ☆
セシリア(お二人共、gjですわ!)
一夏「えっとラウラ。 あらかじめ言っておくけど」
一夏「『たこ焼き』と名うっているのに、タコはどこだ?とか」
一夏「タコが小さい、とかは 言わないでくれ」
一夏「これは、こういうモノなんだ。 それで納得しておいてくれ」
一夏「わかったか?」
ラウラ「うむ。 わかったぞ、嫁よ」
シャル(……そういえば、鈴にバカにされてたっけ)
セシリア(……先ほどの一夏さんの微妙な お顔は)
セシリア(そう言う意味でしたのね……)
一夏「はい、お待たせ」
ラウラ「うむ! 美味しいぞ、一夏!」
シャル「はほっ、はふっ」 ///
シャル「お、おいふぃよふぉ、はふぉ」 ///
セシリア「熱いの行きましたわね……」 クスクス
シャル「み、みふっ!」 ゴクゴク…
シャル「ふうぅ~……」
シャル「……もう、セシリア、知ってるのなら教えてよ」
セシリア「ごめんなさい、シャルロットさん」
セシリア「傍目から見てると面白くて……つい」 クスッ
ラウラ「ふむ、美味いな」 ホフ ホフ
シャル「……ラウラは平気そうだね?」
ラウラ「確かに熱いが、このくらいは大丈夫だ」
セシリア「これが、日本のお祭りの味ですのね」
箒「定番メニューではあるが、これだけでは無いぞ?」
セシリア「そうなんですの?」
箒「ああ。 例えば……」
鈴「お待たせ~」 ウンセッ ウンセッ
一夏「鈴? 何だよ、その荷物?」
鈴「まあ、いいから。 ちょっと変わってもらえる? 一夏」
一夏「あ、ああ……」
ジュウウウ……
一夏「…………」
箒「……?」
箒(気のせいか……多少、焼く時の匂いが、違う様な……)
ラウラ「鈴、余計な事かもしれないが、火が弱いのではないか?」
鈴「これでいいのよ」
鈴「一夏が作ってた たこ焼きとは、『違う』ものだから」
シャル「そうなの? ボクの目には同じに見えるけど……」
セシリア「わたくしもですわ……」
鈴「まあ、有り合わせの材料だから 本物の味には、及ばないと思うけどね」
シャル「本場の味?」
一夏「…………」
鈴「とりあえず食べてみて、判断してね」
ジュウウウ……
鈴「はい、出来たわ」 コト…
ラウラ「……? ソースは、かけないのか?」
鈴「それも美味しんだけどね……今回は、こっちを試してもらえる?」 コポポ…
シャル「お椀に……出し汁?」
鈴「そ。 これにあたしが焼いた たこ焼きを入れて、食べてみて?」
セシリア「箒さんの焼きおにぎりを 思い出しますわね」
一夏「……いただきます」
ハム……モグモグモグ……
一同「……!!!」
シャル「……えっ!?」
箒「こ、これは!?」
セシリア「なんて、上品で……!」
ラウラ「美味しい!」
一夏「……っ!」
鈴「これはね、『明石焼き』っていうの」
シャル「明石? 鯛で有名な兵庫県の?」
鈴「よく知ってるわね? シャルロット。 正解よ」
鈴「明石では『玉子焼き』って名前でも 売られてるけど」
鈴「あたしはこっちの方が、たこ焼きとしては 美味しいと思ってるわ」
セシリア「それにしても……どうしてこんなに風味があるのかしら?」
シャル「出し汁に秘密が?」
箒「いや……おそらく、生地自体に薄く味を入れてあるんだ」
シャル「ああ! 通りで!」
箒「だし巻き卵、という料理があるのだが、それに近い」
ラウラ「♪」 ウマ ウマ♪
一夏「…………」
セシリア「それに、このふわりとした食感が またいいですわ♪」
シャル「ホントだね♪」
箒「これもだし巻き卵に近いな。 見事な焼き加減だ、鈴」
鈴「ふふ、ありがと、箒」
ラウラ「そうか……火を弱くして焼いてた理由は、それか」 ウマ ウマ♪
一夏「…………」
ラウラ「おかわりだ! 鈴!」 サッ
鈴「なんで そんなに偉そうなのよ……でもま、いいわ!」
鈴「材料が有る限り、焼いたげるね♪」
シャル「あ、ボクも お願いしていい?」
セシリア「わたくしも お願いしますわ」
箒「私も頼む」
鈴「はいはい、どんどん焼いたげる!」 ウフフ♪
一夏「…………」
明石焼きはたこ焼きっぽい材料と形なだけで、たこ焼きとは別の食べ物だと思うんですよ。
ジュウウウ……
鈴「さっきも言ったけど……本場の味は、もっと美味しいわ」
ラウラ「こんなに美味しいのに……更に上があるのか……」
箒「レシピや隠し味……使っている道具なんかで良くなるのだろうな」
シャル「一度食べてみたいね♪」
セシリア「本当に そうですわね♪」
一夏「…………」
ラウラ「私は、これでも十分行けるぞ! おかわりだ! 鈴!」
鈴「はいはい、ちょっと待ってね」
シャル「ん~、ホントに美味しいなぁ……」
セシリア「いくらでも食べられますわ♪」
箒「♪」 ウマ ウマ♪
一夏「…………」
鈴「あっ、一夏。 一夏もおかわりする?」 ニコ
一夏「……う」
鈴「? う?」
一夏「うわああああああんっ!!」
一夏「たこ焼きは……たこ焼きは! 大阪が一番、美味しいんだぁああっ!!」
ダダダダダダダッ!!
鈴「」
シャル「」
セシリア「」
箒「」
ラウラ「?」 ウマ ウマ♪
一夏は、このショックで 寮の部屋からしばらく出てこなくなった……。
一夏「たこ焼きは、大阪のものなんだぁぁぁっ……」
一夏「大阪は、粉もん文化なんだぁぁぁっ……」
ドアに耳を当てると こんな声が、すすり泣きと共に聞こえた……。
おしまい
>>83
俺もそう思うwww比べるのは酷かな、と思うけど
それぞれに美味しい所はあるよね。『明石焼き』の方が好きだけどwww
―――――――――――
ジュウウウ……
鈴「……あれ?」
箒「やあ、鈴」
鈴「一夏……じゃなかったか」
箒「……あれから出てこないな、一夏」
鈴「まさか、こんなに特大の地雷を踏み抜いてたなんてね……」 ハア…
鈴「で? 箒は何をしてるの?」
箒「見ての通りだ」
ジュウウウ……
鈴「まるで、お祭りね」
鈴「っていうか、変わってる焼き型ね? いろんなものがハイブリットされてる」
箒「ああ……この前セシリアと話してて、お祭りの定番メニューの話題になった」
箒「その時に思い出したんだ」
箒「これの存在をな」
鈴「ふうん……」
箒「そうだ、鈴も協力してくれないか?」
鈴「協力? 何を?」
箒「名づけて……いや、必要ないか」
箒「天の岩戸作戦だ」
鈴「天の岩戸……。 ! そっか!」
鈴「一夏を 誘い出そうっていうのね?」
箒「正解だ。 粉もん好きの一夏が、この匂いに釣られないわけがない」 クスッ
鈴「わかったわ、箒! じゃああたし、たこ焼きを焼く!」
箒「えっ!?」
箒「し、しかし、一夏は前回それで……!」
鈴「いいのよ。 一夏は、ちゃんと気がついてるわよ」
鈴「本当は、『どっちが』美味しいのかが、大切なんじゃない」
鈴「『どっちも』美味しいで いいんじゃないかって……」
箒「鈴……」
鈴「じゃ、あたし、準備してくる」 ニコ
箒「ああ、待っているぞ」 ニコ
タッ タッ タッ…
シャル「一夏!?」
ラウラ「嫁なのか!?」
セシリア「ようやく、部屋から お出になられましたの!?」
箒「……期待させてすまないな」
シャル「あ……」
ラウラ「箒……」
セシリア「箒さんでしたか……」
箒「だが、今、作戦を決行中だ」 フフ
シャル「作戦?」
箒「はるか昔……天照大神(あまてらすおおみかみ)という名の神が」
箒「些細な事でへそを曲げてしまって……」
箒「自宅である天の岩戸に引き篭ってしまった」
ラウラ「…………」
箒「その神は大切な役割を担っていたので、引き篭ったままで居ると」
箒「様々な災厄が世界を襲った……」
セシリア「…………」
箒「人々は困り果てた」
箒「どうしたら天照大神(あまてらすおおみかみ)を自宅から出せるだろう?」
箒「だが、天の岩戸は頑丈で、力ずくでは まず無理だった」
シャル「…………」
箒「そこで考え出された方法が」
箒「天の岩戸のすぐ外で、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎを始める事だった」
ラウラ「それが問題の解決に どう繋がる?」
箒「祭りの楽しそうな騒ぎを聞いて、天の岩戸から出てくると考えたのだ」
セシリア「……! もしかして!」
箒「そうだ、セシリア」
箒「粉もん好きの一夏を 天の岩戸から引きずり出す作戦、というわけだ」 ニコ
シャル「でも……そう上手くいくのかな?」
箒「だから手伝って欲しい、シャルロット」
シャル「ボクに?」
箒「そこに……持って来た道具と材料がある」
箒「やり方を教えるから作って欲しい」
シャル「わかった、手伝うよ」 ニコ
セシリア「でしたら、わたくしも!」
箒「セ、セシリアとラウラは食べる方で盛り上げてくれ」
箒「この道具を使うには、ある程度の技術が必要なのでな」
セシリア「そうなのですか……」
ラウラ「そういう事なら任せてくれ、箒」
ラウラ「ところで、さっきのおとぎ話……最後は、どうなるんだ?」
箒「もちろん天照大神(あまてらすおおみかみ)は、天の岩戸を出て……」
箒「めでたし、めでたし、だ」 ニコ
―――――――――――
クンクン…
一夏「……ん?」
一夏「この匂いは……?」
一夏「…………」
一夏「…………」
アハハ……ウフフ……
一夏「…………」
一夏「……みんなか」
一夏「何を作っているんだろう?」
一夏「…………」
一夏「どうせ……大阪の粉もんは、大した事無いですよーだ……」
一夏「…………」
ジュウウウ……
セシリア「所で、箒さん。 これは何と言う食べ物なのですか?」
箒「たい焼きと 大判焼きと 玉子カステラだ」
セシリア「……えと、すみません」
セシリア「一つ一つ、説明していただけますか?」
箒「うむ。それではまず、たい焼きから」
セシリア「どうして、お魚の形をしているのですか?」
箒「これは、日本人じゃないと解りにくいのだが……」
箒「鯛は昔から縁起物で、良いもの、と、されてきたからだ」 クス
セシリア「では、この様な形に こだわる必然性は、無いのですか?」
箒「そうなるな」
箒「実際、焼くのに適してる、とは、言い難い形でな。 時間が余計にかかる」
セシリア「そうなのですか……」
箒「そして、たい焼きの原点になったのが、この大判焼きだ」
セシリア「大判焼き……?」
箒「地方によって、呼び名が違っていたりするがな」
箒「今川焼きや回転焼き、などとも呼ばれている」
セシリア「はあ……」
箒「とりあえず食べてみるか?」
箒「たい焼きも、大判焼きも、中身はアンコで甘いお菓子だ」
セシリア「という事は……味に違いは、無いのですか?」
箒「そうなるな」 クスッ
セシリア「それでは、いただきます」
ハム……モグモグ……
セシリア「! あら、美味しいですわ!」
箒「そうか」 ニコ
セシリア「どちらも ふんわりとした生地に、甘いアンコ?がマッチしてて」
セシリア「香ばしさも手伝って、美味しいスイーツになってますわ♪」
箒「ふふふ……」
セシリア「そうですわね……ワッフルに近いので」
セシリア「カスタードクリームなども合いそうですわね」 ニコ
箒「……! そ、そうか……」 ヒキッ…
セシリア(……! 箒さんの微妙な お顔……!)
セシリア(こ、これは、まずい事を言ったみたいですわね……!)
箒(カスタードや 白あんなど、邪道だっ……)
セシリア「ほ、箒さん、こちらの玉子カステラ という物は何ですか?」
箒「う、うむ……こ、これはな……」
箒「基本的には、同じ材料を使っているが」
箒「アンコを入れない」
セシリア「一口サイズですものね」 クスッ
箒「その辺りも ウケがいい理由の お菓子だ。 ただ、食べやすいのが災いして」
箒「ついつい食べ過ぎてしまうのが難点だな……」 クスッ
セシリア「まあ……女性にとっては強敵ですわね」 クスッ
ハム……モグモグ……
セシリア「美味しいですわ♪」
箒「そうか」
セシリア「わたくしは、どちらかと言えば こちらの方が、好きかもしれません」
箒「そうだな……アンコの甘さは、時に重く感じるからな……」
箒「そうだ、一つ、美味しい食べ方を教えようか?」
セシリア「美味しい……食べ方?」
箒「これも、行儀の悪いやり方なのだがな……」
セシリア(焼きおにぎりの時も おっしゃっておられましたわね……)
箒「こうやって……玉子カステラをお椀に入れて……」 コロンコロン
箒「牛乳を入れて、少しふやけさせたら」 コポポ…
箒「完成だ」
ズズッ…
セシリア「こ、これは!?」
箒「どうだ?」
セシリア「牛乳が玉子カステラの甘さを含んで、とても美味しいですわ!」
箒「ふふふ、病みつきになるだろう?」 ニコ
箒「ちなみに、普通のカステラでやっても美味しいぞ」
セシリア「でも、確かに お行儀は悪いですわね」 クス
箒「人前では、やらない様にな」 クス
―――――――――――
一夏「…………」
一夏(……この匂い)
一夏(香ばしさに甘い匂いが混じってる……)
一夏(…………)
一夏(たい焼きかな……?)
一夏(…………)
グゥゥゥゥゥッ……
一夏(…………)
一夏(畜生……)
一夏(いい匂いだなぁ……)
一夏(…………)
ジュウウウ……
シャル「箒、そろそろいいかな?」
箒「どれどれ……ああ、頃合だな」
シャル「後は金型に入れるだけだね?」
箒「そうだ」
トトト……
ラウラ「これは何だ? シャルロット?」
シャル「べっこう飴って言うらしいよ?」
ラウラ「ほうほう……確かに鼈甲(べっこう)みたいな色だな」
シャル「材料は、水と砂糖だけで作れる簡単なお菓子だね」 ウフフ
ラウラ「ふむ……私でも作れそうだ」
シャル「それにしても日本は鯛が好きだね。 金型にも色んな鯛があるよ」
ラウラ「飴をこんな形にするとは……何の意味があるのだろう?」
シャル「ふふっ、たぶん合理的な意味なんて無いよ」
シャル「きっと、『楽しいから』だと思うな」
ラウラ「楽しい……か」
ラウラ「シャルロットは、楽しいか?」
シャル「うん! 初めてやってみたけど、楽しいよ?」
ラウラ「…………」
シャル「……ラウラもやってみる?」
ラウラ「! ……いいのか?」
シャル「砂糖水を煮詰めるのは、ちょっと無理かもしれないけど……」
シャル「金型に入れるだけなら誰にでも出来るよ♪」
ラウラ「うむ! それでいい! やらせてくれ!」 ///
シャル「じゃあお願いするね? 熱いから気をつけて……」
シャル「ああ、それと、この割り箸を入れるのも忘れないでね?」
ラウラ「わかった!」
ジュウウウ……
ラウラ「セシリア!」
セシリア「? ラウラさん? どうなさいましたの?」
ラウラ「とにかく、これを食べてみてくれ!」
セシリア「これは?」
ラウラ「べっこう飴だ!」
セシリア「鼈甲(べっこう)? 確かにそんな色ですわね……」 スッ…
ペロペロ…
セシリア「あら、美味しいですわ♪」
ラウラ「そうか!」 ///
セシリア「ラウラさんがこれを?」
ラウラ「金型に入れただけだがな!」 ///
セシリア「そうなのですか……面白いですわね、この形」
セシリア(ちょっと食べにくいですけど……)
鈴「箒、お待たせ……ってみんな居るわね」
箒「鈴、待っていたぞ」
箒「真打ち登場だな」 フフ
鈴「そんな言い方されると緊張するわね……」 ///
ラウラ「鈴! 見てくれ!」
鈴「あら、べっこう飴じゃない。 懐かしいわね」
ラウラ「私も手伝ったのだ!」 ///
鈴「へえ、そうなの? ひとつもらえる?」
ラウラ「もちろんだ!」 スッ
ペロペロ…
鈴「うん! 美味しい! やるじゃない、ラウラ!」
ラウラ「♪♪♪」 ///
鈴「さーて、作るわよ~!」
セシリア「明石焼きですか?」
鈴「そうよ。 この前のより、美味しいの作るからね!」
セシリア「まあ……それは楽しみですわね♪」
セシリア「正直、甘い物が続いたので、何か塩味が欲しいと思っておりましたの」
鈴「と、言われても少し時間かかっちゃうから」
鈴「ちょっと待っててね」
セシリア「はい♪」
―――――――――――
一夏(…………)
一夏(…………)
一夏「ああもう! くそっ!」 ガバッ!
一夏「いい匂い、させやがって!」
カチャ カチャ…… ゴソゴソ…… ガタン ゴトン……
一夏「うし……材料はあるな」
一夏「…………」 ゴソゴソ…
一夏「うん……甘さは控えめで……」
一夏「…………隠し味に醤油をちょっと……と」 ポタポタ…
一夏「こんなもんかな♪」
ジュウウウ……
鈴「はーい! お待たせ!」
セシリア「お待ちしておりました♪」 ニコ
ハム……モグモグ……
セシリア「ん~♪ このお味、この食感! とっても美味しいですわ♪」
鈴「この前と比べて、どうかしら?」
セシリア「断然、こちらの方が美味しいですわ!」
鈴「そう! 良かったわ」
セシリア「これが本場の味なのですか?」
鈴「うーん……かなりいい線いってると思うんだけどね」
鈴「もう一味、足りないかなぁ……」
セシリア「まあ……こんなに美味しいのに……」 モグモグ…
本音「お~ここかぁ」 ペロペロ
シャル「あれ? 布仏(のほとけ)さん?」
本音「ラウっちに これもらってね~」 ペロペロ
本音「他にも たい焼きとかあるって聞いて~」 ペロペロ
シャル「ああ、たい焼きは 箒が作ってるよ」 ニコ
本音「ありがと~シャルるん~」 ペロペロ
トテ トテ
本音「ほうきん……おお!? ベビカラじゃん!」
箒「えっと……布仏(のほとけ)、出来れば普通に呼んでh」
本音「いただきまーす!」 アムアム♪
本音「おおー! 美味しい! いいお嫁さんになるよ、ほうきんは!」
箒「…………」
箒(まあいいか……)
本音「所で、何で屋台なんてしてるの~?」
箒「いや、そういうわけじゃなくて……」
本音「あたしは~イカ焼きとか欲しいなぁ~」
箒「ええと……セ、セシリア! 頼む!」
セシリア「わ、わたくしが!?」
本音「おおー! セッシー! 相変わらずエロいなぁ」
セシリア「エ、エロくありませんわ!」 ///
本音「でー、何を食べているの~?」
セシリア「明石焼きですわ」
本音「明石焼き~? たこ焼きじゃないの~?」
セシリア「まあまあ……。 このお椀の出し汁につけて、食べてみてください」
本音「んん~? 変わった食べ方だね~?」
本音「いただきま~す」
ハム……モキュモキュ……
本音「!?」
本音「な、なにこれ~!?」
セシリア「く、口に合いませんでしたか?」
本音「わんだふるに美味しい~!」 モキュモキュ
セシリア「でしょう?」 フフフ
テク テク テク
千冬「……お前達」
セシリア「!?」
箒「あ……」
シャル「お、織斑先生!」
鈴「……と山田先生」
山田「つ、ついで、みたいに言わないでくださいね?」
千冬「全く……私達に内緒で、こんな事を……」
山田「まあまあ……いい匂いに釣られて来たのは、事実ですし」
千冬「……ふん」 ///
箒(……たぶん、ラウラにもらったのだろうが)
鈴(べっこう飴を持ってる千冬さん……)
シャル(もの凄くシュールで、ミスマッチ……)
セシリア(笑いを……こらえるのが……) ク……クク…
山田「わ! 大判焼きじゃないですか!」
山田「篠ノ之さん、一つもらっても よろしいですか?」
箒「え、ええ、どうぞ」
ハム……モグモグ……
山田「んー! これです! この味、この甘味!」
山田「やっぱり中身は、アンコですよね!」
箒「!!」
箒「……山田先生、カスタードや白あんは……」
山田「!? 何を言ってるのですか! 篠ノ之さん!」
山田「このカステラ風の、香ばしい焼き加減に 最も合う甘味は」
山田「日本の伝統的な粒アンが、一番です!」
箒「!!」
山田「カスタードや白あん、こしアンに、これを出来るわけがありません!」
ガシッ!
山田「!? し、篠ノ之さん!?」
箒「初めて……『同士』と呼べる方に出会いました……」
箒「そうですよね! あんなの邪道ですよね!」
山田「!! ……篠ノ之さんも そうだったのですね……」
山田「あなたも……粒アンと思って、かじりついたら カスタードで……」
山田「もの凄く、裏切られた思いをしたんですね?」
箒「ええ、ええ! 粒アンの味を想像してたのに……違っていた時の絶望感と言ったら!!」
山田「わかります、わかりますとも!」
千冬「……何だか、珍しく山田先生が 生き生きしているな」
鈴「……そうですね」
鈴「所で……お一つどうですか?」
千冬「ふむ……たこ焼き……む? ちょっと違うな?」
鈴「明石焼きです」
千冬「ああ……だし汁につけて食べる あれか」
千冬「いただこう」
ハム……モグモグ……
鈴「どうですか?」
千冬「うむ、とても美味い」
千冬「でも……、一夏のたこ焼きの方が美味いな」
鈴「え……?」
千冬「ああ、勘違いするな凰」
千冬「おそらく……ここに居るみんなは、お前の方が美味しいと言うだろう」
千冬「でもな、私にとっては……」
千冬「一夏の作る、関西のたこ焼きや お好み焼きが」
千冬「一番美味しいんだ……」
鈴「……!」
鈴(…………)
鈴(……そっか)
鈴(そういう事、か……)
千冬「ふふ……それにしても、少し甘いものに偏ってるな」
千冬「出来ればソース系の味が欲しいところだが……」
??「……じゃあ、焼きそば、なんてどうだ? 千冬姉」
鈴「!!」
セシリア「一夏さん!」
シャル「一夏!」
本音「おー! おりむーだー!」
一夏「織斑 一夏、カッコ悪く登場……っと」
箒「そ、そんな事は無い!」
一夏「いいって……ったく、天の岩戸よろしく、楽しそうに いい匂いさせやがって……」
一夏「まいった、もう天照大神(あまてらすおおみかみ)は懲りたよ……」 ニコ
鈴「一夏……あのっ、なんか……ごめん」
一夏「もういいって……俺も意固地になりすぎた」
一夏「祭りに参加させてもらえるか?」
鈴「うん!」 ///
ジュウウウ……
本音「おー! てんしょん上がる匂い~! バキュン、バキュン!」
山田「ああ……このソースが焦げる、香ばしい いい匂い……」
山田「夜店屋台の醍醐味、と言うか、雰囲気、と言うか……」
千冬「懐かしいな……」
一夏「はい、お待たせ! 千冬姉!」
千冬「うむ……」 ズズズッ…
千冬「…………」 モグモグ
千冬「……ふふ、久しぶりだな、一夏の焼きそば」
千冬「美味い」 ニコ
一夏「へへっ……そうか!」 ニコ
山田「あの……良かったら、私にも作ってもらえますか?」
一夏「ええ、いいですよ。 お好み焼きも出来ますけど?」
山田「じゃあ、広島風じゃない方でお願いします」
一夏「特別に美味しく、作らさせていただきます!」
ジュウウウ……
鷹月「ちょっとちょっと! 何? このいい匂い!?」
ティナ「もうだめ……耐えられない! 食べるっ!」
ラウラ「! い、一夏!?」
一夏「おう、ラウラ。 なんだ? ずいぶん人を連れてきたな」 ニコ
ラウラ「う、うむ……つい、自分の手伝った べっこう飴を食べてもらいたくて」
ラウラ「あちこち配り歩いていたのだ」 ///
ラウラ「そうしたら、みんな興味を持ってな……」
一夏「へえ! ラウラがべっこう飴を!」
一夏「俺にもくれるか?」
ラウラ「! よ、よし! 待っていろ! すぐ持ってくる!」 ///
トテ トテ トテ…
ラウラ「嫁よ! 持ってきたぞ!」 バッ!
一夏「おっこれか……へえ、上手く出来てるじゃないか」 ペロペロ
ラウラ「ど、どうだ?」
一夏「おう! 美味いぞ! サンキューな、ラウラ!」
ラウラ「エヘヘ……」 ///
セシリア(むっ……!)
箒(何やらいい雰囲気……!)
鈴(くっ……!)
シャル「一夏、ボクも焼きそば作るの 手伝おうか?」 ///
一夏「おっシャル。 いいのか? べっこう飴は?」
シャル「結構な量を作ったから大丈夫だよ」
一夏「そっか。 じゃ頼む」 ニコ
シャル「うん!」 ///
鈴(んなっ!?)
セシリア(そ、その手がありましたか!!)
箒(わ、私もそうしたいが……!!)
ティナ「この玉子カステラって美味しいね!」
鷹月「箒、たい焼きまだ?」
箒「あ、ああ、もうちょっと待ってくれ……」
箒(今は離れられないっ!)
セシリア「い、一夏さん、わたくしも お手伝いを……」 ///
一夏「ん? ああ、助かる。 じゃあ出来た焼きそば、紙皿に盛って」
一夏「みんなに配ってくれ」 ニコ
セシリア「え? あの、そうではなくて」
シャル「一夏~、ソース取ってくれる?」
一夏「ああ、ちょっと待ってくれ。 ええと紙皿は、これだから」
一夏「じゃ、頼むな!」 ニコ
セシリア「……は、はい」 シクシク…
千冬「ん~、この匂い。 一夏のお好み焼きだな」
山田「一口食べますか? 織斑先生」 クス
千冬「いただこう。 焼きそばも いけるが、一口どうだ? 山田先生」 クス
山田「ええ、いただきます♪」 ニコ
本音「おりむーの焼きそばー! おいし~!」
鷹月「うん! でも、贅沢を言えば、イカ焼きとか フランクフルトなんかも食べたいね!」
ティナ「あたしは、ポップコーンに フライドポテト!」
本音「いいね~。それなら、りんご飴と 綿飴も入れたい~」
鈴「かっ、勝手な事、言ってるわね……」
箒「どうしてこうなった……」 シクシク…
?『ぬっふっふっ……お困りの様だね、我が妹よ!』
箒「」
千冬「こ、この声は……!!」
ヒュルルルルルルル……ドドォンッ!
一夏「わあっ!!」
一同「きゃあっ!!」
シュタッ!
?「やっほー! 箒ちゃんに ちーちゃん!」
?「みんなのアイドル、束さんだよーん! ブイ ブイ☆」 ビシッ!
箒「…………姉さん」
千冬「……何をしに来た、束……」
束「やーん! そんな顔、しなーい!」
束「箒ちゃん、困っていたのは、事実でしょ!?」
箒「……ええ……まあ……」
束「ふっふっふっ……案ずるな! 我が妹よ!」
束「こんな事もあろうかと! ちゃんと準備していたのだ!」
ブヮサッ!
箒「! こ、これは!?」
本音「え~? なになに~?」
鷹月「……自動販売機?」
ティナ「ホットドッグに……フライドチキン……なんかいろいろ書いてるね?」
束「ふふふ……これは全自動・夜店マッスィーン!」
束「その名も、『お祭りだね! 全員!集合!』だよ☆」
一同(その名前は ないわ……)
束「起動ボタン、押すよー!」 ピッ
ガタガタガタッ……! ブバババッ!!
ラウラ「箱が!?」
山田「屋台の形に……!?」
箒「変形していく!?」
ババーン!
シャル「あっという間に……」
セシリア「屋台だらけに……」
鈴「遊戯系以外は、完璧ね……」
一夏「……作り手は、外見ア○アンマンみたいなロボットかよ」
本音「おお~! すごいすごい!」
鷹月「名前書きエビ煎に チョコバナナ……焼きトウモロコシまである!」
ティナ「おおー! 愛しのポップコーン!」
山田「最近、見なくなりましたね~……あ! アイスまでありますよ! 織斑先生!」
千冬「そ、そうですね、山田先生……」
束「さあ! 皆の衆! お金はいらないよ! 存分にその腹を満たしたまえ!」
ダダダッ……イタダキマース!
ハム……モグモグ……
束「ふっふっふっ……! あーはっはっはっ!」
…………………………
束「……は?」
…………………………
束「……どうしたの?」
本音「……まずい」 ぺっ
束「!?」
鷹月「この焼きトウモロコシ……醤油の味しかしな……からっ」
束「へ? へ!?」
ティナ「……ポップコーンを こんなに まずく作れるなんて……」
束「」 ガーン……
……結局、束の全自動屋台は、味がおかしくて食べられないか
食べられても確実に『まずいもの』だった……。
そして、静かにジッとしているアイア○マンが
より わびしさを演出していた……。
束「」 チーン……
箒「……姉さん」
束「! 箒ちゃん……それにちーちゃん……」
千冬「まったく……それにしても、何でこんな物を作ったんだ?」
束「…………」
束「……だって」
束「嬉しかったんだもん……」
千冬「嬉しい? 何がだ?」
束「箒ちゃんが……」
束「束さんの作った、ハイブリット焼き型を使ってくれてたのが……」
箒「……!」
千冬「……そうなのか?」
箒「いえ……初耳です」
箒「昔から家にあって、時々使っていたのですが……」
千冬「いつ作ったんだ? 束……」
束「束さんが5歳の頃」
千冬(……溶接しているぞ? この焼き型……)
箒(法律違反じゃないのかな……?)
束「束さんにとって、初めての発明品だったの……」
束「たい焼きも 大判焼きも 玉子カステラも」
束「全部いっぺんに作れたら いいだろうなって思って……」
箒「…………」
千冬「…………」
千冬「……使い心地はどうだ? 篠ノ之?」
箒「いいですよ」 クス
箒「これ、コツが要りますが、蓋が一つずつ開くようになってて」
箒「結構、便利です」
束「箒ちゃん……」
千冬「良かったじゃないか、束……」 クス
千冬「食べるか? 一夏が作ってくれた焼きそばだ」
束「……ちーちゃん」
束「うん!」
シャル「ふふ、何だか楽しかったね、一夏」 クスッ
一夏「ああ……思わぬ大騒動になったけどな」 クスッ
セシリア「ふう……もう、お腹が一杯ですわ……」
ラウラ「たくさん食べたな……」
鈴「しばらく、たい焼きは見たくないかも……」
本音「楽しかったよ~おりむ~」
鷹月「……ちょっと体重が心配だけど」
ティナ「止めて……忘れていたかったのに……」
一夏「そうか……じゃあ俺のデザートは、いらないかな?」
シャル「え? デザート?」
一夏「ああ……こんなの用意してたんだ」 スッ…
鈴「ん? なにこれ? お饅頭?」
一夏「具材で何とでも出来るんだけど……」
一夏「まあ、鈴の言う通りかな?」
ジュウウウ……
鷹月「ああ、『お焼き』ね!」
一夏「正解!」
一夏「中身は甘味を抑えた こしアンだけど……無理はしないでくれ」
一夏「このまま持って帰って、後で食べてくれたらいいから」
シャル「ボクは、もらおうかな」 フフフ
鈴「甘いものは別腹よ!」
ラウラ「嫁の出す物は、すべて平らげるぞ!」
セシリア「うぬぬ……! 負けませんわ!」
箒「セシリア……無理は禁物だぞ?」
本音「でも いい匂い~」
鷹月「一個ぐらいなら、いけそうね!」
ティナ「……んあーもう! 明日からダイエットするもん!」
千冬「一夏、私にも頼む」
束「いっくん! 束さんの分もよろしくねー!」
山田「織斑くん、お願いしますね?」
一夏「ああ! 任せてくれ!」
……こうして久しぶりに使った鉄板は、最期のお焼きを作った後
また しまわれる事になった。
何だかいつものドタバタ劇を繰り広げてしまったが、みんな作ったものを
美味しそうに食べてくれてた。
次に使うのは、いつになるのか わからないけど……
きっとみんなでワイワイやる事になるだろう。
その時まで、またしばらく休んでいてくれ、ありがとう鉄板。
おしまい
疲れた……。束が登場したあたりで、もう収集がつかなくなってて
どうしようかと思ってました……。
最後が、イマイチだったかな……オチもなんもつかんかった……。
お粗末さまでした……。
結局、ほとんどのっとって書いちゃったな。
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