染谷まこ「半額弁当?」(14)

   「くっくっく。清澄の遅かったな!」

ま こ「なんじゃ《こども》か」

 衣 「む、子供じゃない!衣だ!」

ま こ「なぁに《こども》も立派な二つ名、そうつれないこと言うなや」

 衣 「むむむぅ~~~」

ま こ「それにしても衣は早いのぅ」

 衣 「うむ。今日はスーパー清澄の特選鰻弁当の日!お腹が鳴るわい」

ま こ「うむ。この店内に充満する香り……たまらんのぅ」

 衣 「見よそれに釣られて狼どもが集まっておる」

 衣 「くっくっく、今宵はまた格別な戦いが味わえようぞ」

ま こ「まぁわしのホームじゃしの、衣相手とは言え鰻弁当はうちらのモノじゃな」

 衣 「ふんっ。最後の一個は私が取る!」

 衣 「それにしても遅いな……」

   「おい!変態だ」

   「変態が来たぞ!」

ま こ「…お」

 和 「ふぅお待たせしました」

 衣 「はらむらののか!」

ま こ「遅かったのぅ」

 和 「すいません。家で着替えてきたので」

ま こ「……相変わらずすごい私服じゃのぅ」

 衣 「うむ。《変態》の二つ名に恥じぬ立派な装束じゃな」

 和 「え?別に普通ですが?」

 和 「それと…優希はタコス弁当が無いので今日はお休みだそうです」

 衣 「ふむ。相変わらずだな」

ま こ「じゃ、後は……」

 久 「ごめ~んお待たせ~」

 衣 「おぉ揃ったようだな」

 和 「ですね」

 久 「んでどう?鰻弁当は……お、あるある」ムフフフ

 和 「ええ狼も今日は多いですね」

 久 「ま、月桂冠は私が頂きね」

 衣 「むむむ、衣も負けないぞ!」

ま こ「お、そろそろかの?」

 衣 「わ!わわわ!すまぬ匿って!」

ま こ「ん?なんじゃ…って人のスカートに潜りこむなや!」

 衣 「コラ。あまり騒ぐな見つかってしまう!」

 和 「?」

 久 「あらあら」




 ? 「ここが衣の言っていたスーパーですのね」

透 華「まったく衣ったら急に鰻弁当が食べたいとか言い出して…」

透 華「しかもスーパー清澄じゃなきゃ駄目だとか……まったく訳がわかりませんわ」

透 華「…ハギヨシ鰻弁当まで案内しなさい」

ハギヨシ「……はい。こちらでございます」



透 華「あら…場末のスーパーの割にはなかなかの鰻ですわね」

ハギヨシ「はい。これなら衣様にも…」

透 華「ふむ。ではこれを買いましょう」

ハギヨシ「お待ちくださいそろそろ半値印証時刻でございますが?」

透 華「 ? 」

透 華「なんですのそれは?」

ハギヨシ「はい。こちらの弁当が半額になる時間の事です」

透 華「そんなのがありますの?」

ハギヨシ「では?」

透 華「……興味ありませんわ」

ハギヨシ「…はい。では鰻弁当はいかほどお求めになりますか?」

透 華「そうですわねぇ。全部、全部買っていきましょう」

透 華「いっぱいあれば衣も喜ぶでしょうし、余っても純でも食べそうですわ」

ハギヨシ「……はい。ではこちらの鰻弁当を全部買ってまいりますね」

透 華「えぇお願いするわね」

透 華「ふふ。衣もこれで喜んでくださいますわ」

 衣 「………すまぬ。すまぬ」

 衣 「衣のせいでせっかくの鰻弁当が……うぅうぅ」

 和 「ま、まぁ天江さんせいじゃ無いですよ」

 衣 「で、でも!」

ま こ「こ、こうゆう日もある気にしんしゃい」

 衣 「こ、衣をゆるしてくれるのか?」

 和 「ええ。もちろん」

ま こ「うむ。あー後わしのスカートで鼻を拭くのはやめてくれ」

 久 「………」

 和 「じゃ、今日はお開きですかね……」

 久 「………待ちなさい」

ま こ「なんじゃ?」

 久 「ほら気がつかない?」

 衣 「ん?」

 久 「もう鰻弁当は無いはずなのに店内に広がるこの香り」

 和 「これは!」

 久 「えぇこれは今新たに鰻弁当を仕上げてる証拠よ!」

 衣 「な、なんと!」

ま こ「やるのぅスーパー清澄」

 和 「では、まだ鰻弁当が食べれるのですね!」

 久 「えぇ。しかも焼きたての熱々出来立てのホカホカ近年稀にみる上物の鰻弁当よ!」

 衣 「なんと!」

ま こ「く~腹が鳴るわぃ」

 久 「来たわよ!」

 咲 「お姉ちゃ~ん。今日は鰻弁当の日だって」

 照 「………うん」

 咲 「お姉ちゃん鰻好き?」

 照 「………うん」

 咲 「じゃ、今日は鰻弁当にしようね」

 照 「………うん。後プリン」

 咲 「あはは。わかってるって」

 照 「………うん///」

 照 「………待って」

 咲 「なぁに?お姉ちゃん」

 照 「………いる」

 咲 「あ、うん。今日もいるねお弁当で喧嘩する怖い人達…」

 照 「………うん」

 咲 「そっか………じゃ、喧嘩しないように」

   カン

   カン

   もう一個カン!

 咲 「ふふふ。お弁当が0になればみんな喧嘩しないよね?」

 照 「………うん」

店 員「………」

 咲 「あ、店員さんもう半額の時間ですよね?」

店 員「あ、はい……」

 照 「………シール」

店 員「あ、はい……」

 咲 「得しちゃったねお姉ちゃん」

 照 「………うん」

 咲 「うふふ。半額弁当ってほんとにお得だね!」

 久 「………」

ま こ「………」

 衣 「………」

 和 「………」

ま こ「……なんでじゃ」

 和 「あはは、赤いうどんと緑のおそばどっちにします?」

 衣 「……鰻………」

 久 「………」

 久 「お、お好み焼き~」

ま こ「な、なんじゃいきなり」

 久 「今日これから私の家でお好み焼き大会を開催します!」

 和 「あ、あはは……はぁ」

 久 「よ、よかったらみんな参加しない?」

ま こ「お、おお、ええのぅ…お好み焼き」

 衣 「こ、衣も参加してもよいのか?」

 久 「ええもちろんよ」

 衣 「やったー」

 和 「あはは…わ、私も今日はお好み焼きって気分だったんですよ」

 久 「じゃ、決まりね」

ま こ「おぅ、お好み焼き言うたら広島じゃな」

 久 「じゃ、足りない材料買っていざしゅっぱ~つ」

一 同「おーー!」


   おわり

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