上条「レッツ!!」 美琴「ポケモンバトル!!」 (185)
ワァァァァァ!!
黒子「--ついに、ついにこの日がやって参りました!!」
黒子「大観衆の見守る中、今日、今まさに開かれようとしているのは--そう、ポケモンバトル!!」
黒子「過去発売されたルビー・サファイア・エメラルドのリメイク、オメガルビー・アルファサファイアが発売され、ますます盛り上がりを見せるこのホビー!!」
黒子「さぁ、今まさに選手入場です!!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420470364
司会者「--レディース&ジェントルメン……ようこそ、この一代イベントへ!!さっそく選手の紹介だ!!」
司会者「ポケモン歴10年!!積み上げた名勝負は数知れず!!その瞳がうつすのは、絶対の勝利!!」
司会者「上条----とぅぅまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ワァァァァァァァァァァ!!ワァァァァァワァァァァァ!!
司会者「対して、ポケモン歴、なんと三ヶ月!!その存在すら知らなかった、常盤台のお嬢様!!」
司会者「御坂---みこぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ワァァァァァワァァァァァワァァァァァ!!
黒子「--それでは放送席の紹介をさせていただきます」
黒子「司会は私、白井黒子。そして、解説にポケモンアニメは初代からすべて試聴、ダウンロード済み、初春さん」
初春「こんにちはー」
黒子「そして、なんと先日シングルレート2000の大台を突破した佐天さんに来ていただきました」
黒子「いやはや、レート2000とは……恐れいります」
佐天「そんな……私なんてまだまだですよ」
黒子「ふふ……ご謙遜を…
それでは、今回のルールを説明させていただきます」
黒子「今回使用するのは、先程紹介したこちらの最新ソフト、ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイア、通称ORAS」
黒子「ルールはシングルバトルのフラットルール、俗に言う6350で行われます」
初春「同じポケモン、同じ道具、伝説・幻は使用不可。
また、レベルは50以上は50に固定されます」
黒子「最もトレーナーの力量を量るには適していると言えるルールですね」
黒子「さて……先程申しあげられていた通り、美琴選手はまだポケモンを始めて三ヶ月!!これは10年やっている上条選手とはかなり差があるのではないでしょうか?」
佐天「いえ、そうとも言い切れませんよ。
まず御坂さんの頭脳を持ってすれば、ポケモンの知識を埋め込むのに、三ヶ月は十分事足りると思います」
佐天「また10年やっている、と言っても毎回新しいソフトがでるたび、対戦の環境は大きく変わりますから。スタートラインは互角といっても過言じゃないでしょう」
佐天「ただ、経験値としては上条さんのほうが幾分か上でしょうが。まぁそこは対戦中の作戦、判断で補えると思いますよ」
黒子「えー、手元の資料を見ると、美琴選手の上条選手との勝率は約三割とありますね。これはお二人、どう見られますか?」
初春「勝率なんてあまりあてになりませんよ。結局、それは過去のデータですから。将棋や囲碁、チェスなどと同じように、対戦している中で新たな戦い方を見つける人もいますし」
佐天「私も同意ですね。人は日々成長するものですから」
黒子「なるほど、勉強になりました」
黒子「さぁ!!選手が持ち場についたようです!!」
黒子「まずは、ソフトが改造などされてないかチェックをします」
黒子「今回は三回戦、先に二戦勝利したものが勝者という試合形式となっております」
黒子「一体どんなドラマが生まれるのでしょうか!?」
司会者「それでは--第一戦、準備はOK?」
上条「いつでもいいぜ」
美琴「もちろん」
司会者「それでは--レディーファイ!!」
ワァァァァァワァァァァァァァァァァ!!
黒子「さぁ、一戦目のパーティ紹介です!!」
上条
ピジョット♂
バンギラス♂
ドサイドン♂
カイリキー♂
ウインディ♂
ナッシー♂
美琴
クチート♀
ガブリアス♂
ウォッシュロトム
ボーマンダ♀
ランターン♀
メタグロス
佐天「これは…御坂さんの方はなかなか面白いですね。どれがメガシンカするかよく分かりません。おそらくそれが狙いでしょう」
黒子「なるほど…それで上条選手の方は?」
佐天「!!このパーティは!?」
初春「いや…でも、こんな大事な試合にそんなことって……」
黒子「?どうかなさいましたか?見たところ普通のスタンダートパーティのようですが……」
佐天「違いますよ、白井さん……あのパーティはガチパじゃありませんよ」
黒子「と、いいますと?」
佐天「あれは……過去発売されたソウルシルバー・ハートゴールド、16番目のジムリーダー、グリーンのパーティなんです」
黒子「な、なんと!?ということは……」
初春「はい、ネタパーティの一部と、考えていいかもしれません」
ブゥゥゥゥゥ!!ブゥゥゥゥゥ!!
「ざけんなー!」「真面目に試合しろー!」
黒子「おっーと!?これには会場も大ブーイング!!しかし、上条選手、どこ吹く風だー!!」
美琴「……あんた、そんなパーティで挑もうだなんて、なめてるの?」
上条「なんのことだ?」
美琴「とぼけないで。私がこの三ヶ月どれだけポケモンに費やしたと思ってるの?それがネタパだなんて、すぐに分かるわ」
上条「……ふふ」
美琴「何がおかしいわけ?」
上条「これがネタパかどうか……すぐに分かるさ」
美琴「…………」
黒子「さぁ!!三体の選出が終わったようです!!」
黒子「一戦目スタートォォォ!!」
デッデーン!!
デッ デッ デデッ デッ デッ デーデン !!
黒子「さぁ、注目の一体目は……?」
上条
ピジョット「ピッジョォォォォ!!」
美琴
クチート「クッチート!!」
ワァァァァァワァァァァァ!!
黒子「上条選手がピジョット!!美琴選手がクチートです!!」
黒子「これは型にもよりますが、美琴選手有利な対面と考えていいでしょうか?」
佐天「ええ、かなりいいと思いますよ。クチートが出てきたということは、メガシンカ。そうすればピジョットがメガシンカしようとも、確一ではもっていけなくなりますから」
初春「逆にメガクチートの一撃なら、交替しようとしまいと、上条さんの手持ちに大打撃が入るのは間違いありません」
黒子「さぁ、1ターン目。両者どう動くのか!?」
1ターン目
美琴
クチート、戻れ!
いけ、ロトム!
ロトム(ウォッシュ)「ロトトトト!!」
上条
ピジョットのピジョットナイトとトウマのメガバングルが反応した!
メガピジョット「ピッジョォォォォ!!」
ピジョットはメガピジョットにメガシンカした!
ピジョットのねっぷう!
効果はいまひとつのようだ……
ロトム HP 7/8
ピジョット HP MAX
黒子「ここは美琴選手、クチートをひいてきましたね」
佐天「負荷がかかるのを嫌がりましたね。後続にロトムという受けポケがいたからこそ、なせた選択です」
初春「そのロトムも全然削られてませんし。まだまだ試合はここからでしょう」
黒子「それでは、2ターン目!!いったいどうなる!?」
2ターン目
当麻
戻れ、ピジョット!
ゆけっ、ナッシー!
ナッシー「ナッシィー」
美琴
ロトムのハイドロポンプ!
効果はいまひとつのようだ……
急所にあたった!
ロトム HP 7/8
ナッシー HP 5/8
3ターン目
美琴
戻れ、ロトム!
ゆけ、クチート!
クチートのいかく!
ナッシーの攻撃が下がった!
上条
ナッシーはみがわりをつかった!
ナッシーはオボンの実で体力を回復した!
ナッシーの身代わりが現れた!
ナッシーのしゅうかく!
ナッシーはオボンの実を収穫した!
クチート HP MAX
ナッシー HP 5/8
佐天「なかなかおもしろい展開ですね」
佐天「まず2ターン目の御坂さんのロトムのハイドロポンプ。電気技をうたなかったのは、後続により大きなダメージを与えるため。
交替を読んでましたね」
佐天「対する上条の交替先はナッシー。ロトムのメインウェポンを完全に封殺しました。急所は少し痛いですが」
初春「3ターン目、さすがにここはロトムも引きましたね。ここで交替先はクチート。これもナッシーのメインウェポンをすべて半減でうけれます。
さらに威嚇で、物理アタッカーだった場合にはきつい交替でしたね」
初春「しかし、上条選手のナッシーはみがわりを使用。さらにオボン発動によりHPは変わらず、収穫によりそのオボンも回収。
ここは上手くまわりましたね」
佐天「しかしナッシーの対面がいいとは言えません。さぁ上条さん、クチート相手にどんな手をうつのか!!」
4ターン目
上条
ナッシーのしびれごな!
クチートは麻痺して技がでにくくなった!
美琴
クチートのちょうはつ!
ナッシーは挑発にのってしまった!
クチート HP MAX
ナッシー HP 5/8
佐天「!!これは……御坂さんのクチート、メガシンカしませんね……それにうった技も挑発…これは…」
初春「メガシンカする型ではない……?でもクチートは、素のままじゃかなり耐久も火力も足りない…」
佐天「そのための挑発、でしょうか?上条さんのナッシーのような、俗にいう耐久型を相手するのを本職とした型……これは少し驚きましたね」
黒子「この型のクチートはかなり珍しいと?」
佐天「えぇ、通常クチートはメガシンカ。あまりみませんが、できるとしたらゴツメで物理受け、こんなところだと思ってました。
意表はついたと思いますよ。どう転ぶかはまだ分かりませんが」
初春「でも、いまうった挑発自体は悪くないでしょう。みがわりにしびれごな、これでアタッカーの線は消えましたから。まだ互角の均衡は崩れてませんよ」
5ターン目
上条
ナッシーのサイコキネシス!
効果はいまひとつのようだ…
クチートはだっしゅつボタンで戻ってゆく!
美琴
いけ、ロトム!
ロトム HP 7/8
ナッシー HP 5/8
6ターン目
美琴
ロトムのハイドロポンプ!
ナッシーに代わって身代わりが攻撃をうけた!
効果はいまひとつのようだ…
ナッシーの身代わりは消えてしまった…
上条
ナッシーのサイコキネシス!
ロトムはオボンの実で体力を回復した!
ロトム HP 5/8
ナッシー HP 5/8
黒子「さて、6ターン経過しましたが……両者一歩も譲りませんね」
佐天「上条さんのナッシーは挑発されて補助技が出せない。おそらくサイコキネシスが唯一の攻撃技でしょう」
初春「ロトムで身代わり突破したのもなかなかですね。美琴選手としては、挑発の効果もまだ残っていますし、今のうちに仕留めておきたいですね」
佐天「まさか脱出ボタン型のクチートとは……美琴さん、なかなか考えましたね。相手の物理アタッカーに威嚇で牽制、後続に入れ代わり積んでいく。そういった狙いがあるのでしょう」
初春「おもしろいのはこれをクチートで行ってることですよ。クチートならメガシンカするだろう、その先入観のもと相手は戦いますから。
クチートと不利対面で、まさか挑発をうったりするとは思いませんから、入れ替えたり鬼火をうったりしてきます。そこをつけば流れを引き寄せられる、上手く考えられてますね」
7ターン目
美琴
ロトムはトリックをつかった!
ロトムは互いの道具を入れ替えた!
ロトムはオボンの実を手に入れた!
上条
ナッシーのサイコキネシス!
相手のロトムはオボンの実で体力を回復した!
ナッシーの挑発の効果がとけた!
ロトム HP 4/8
ナッシー HP 5/8
8ターン目
美琴
ロトムのハイドロポンプ!
効果はいまひとつのようだ……
上条
ナッシーのやどりぎのタネ!
相手のロトムに種をうえつけた!
やどりぎが相手のロトムの体力を奪う!
ロトム HP 3/8
ナッシー HP 2/8
佐天「7ターン目のロトムのトリック。これは上手い一手ですね」
佐天「ここでハイドロポンプをうっても、オボンの実で体力を回復してドロポン乱数3発。対する自分はサイキネ確定2発。
しかし、トリックを使うことで自分はサイキネ確定3発。ナッシーはドロポン確定2発にもっていきますから」
初春「7ターン目か8ターン目、どちらかでナッシーの収穫が発動すれば、そう上手くはいかないのですが……ここは上条選手、運が向きませんでした」
初春「その代わり、やどりぎのたねを植え付けましたから、これから先、ロトムはかなり動きづらいですね。次のサイキネでおちてしまいますし」
佐天「逆にナッシーも次のドロポンで落ちます。ここは一旦退くか、それても命中不安定なドロポンをうつか、はたまた乱数になるが電気技をうつか……」
9ターン目
美琴
ロトムのハイドロポンプ!
効果はいまひとつのようだ…
相手のナッシーは倒れた!
上条
ゆけ、ピジョット!
ロトム HP 3/8
ナッシー 瀕死
10ターン目
美琴
戻れ、ロトム!
ゆけ、クチート!
クチートのいかく!
相手のピジョットの攻撃が下がった!
上条
ピジョットのぼうふう!
効果はいまひとつのようだ……
クチート (麻痺) HP 1/8
ピジョット HP MAX
初春「ドロポンできましたか。これで上条選手のナッシーは戦闘不能となります」
佐天「ここまでロトム、クチートに負荷を負わせることができれば十分な働きをしたと言えるでしょう」
初春「そして10ターン目。上条選手は再びメガピジョットを場にだしました」
佐天「HPが残り3/8のロトムならぼうふうでもっていけるでしょう。
メガピジョットの特性はノーガード。命中を心配する必要はありません」
初春「それを嫌がり、美琴選手は麻痺しているクチートを場に戻しましたね。
これはロトムのやどりぎを消し、且つクチートとロトム、より相手の残り一体に役割が持てるか天秤にかけたとき、麻痺しているクチートよりも、残り4体のうち、3体にばつぐんをとれるロトムを残す、という考えでしょう」
黒子「もうクチートは捨てる、という考えでしょうか?」
佐天「普通に考えたらそうなりますね」
11ターン目
上条
ピジョットのぼうふう!
効果はいまひとつのようだ…
相手のクチートは倒れた!
美琴
ゆけ、ボーマンダ!
ボーマンダ「ギャァァァァス!!」
ボーマンダのいかく!
相手のピジョットの攻撃が下がった!
ボーマンダ HP MAX
ピジョット HP MAX
12ターン目
美琴
ボーマンダのボーマンダナイトとビリビリのメガバングルが反応した!
メガボーマンダ「ギャァァァァスァァァァ!」
ボーマンダはメガボーマンダにメガシンカした!
上条
ピジョットのめざめるパワー!
効果はばつぐんだ!
美琴
ボーマンダのおんがえし!
ボーマンダ HP 1/8
ピジョット HP 2/8
黒子「これは、一気に流れが変わりましたね……」
佐天「えぇ、11ターン目、クチートがやられるとこまでは御坂さんの予想どうりだったんでしょう。
ですが、12ターン目、ここは少しミスが出ましたね」
黒子「ミスですか?」
佐天「えぇ。まずメガボーマンダとメガピジョットのSの種族値について。これはメガピジョットのほうが1高いんです」
黒子「つまりどうやっても、ボーマンダではピジョットは抜けない、と?」
佐天「そうなりますね。でも対面ならメガボーマンダが負けることはありません。なぜなら、C特化型のメガピジョットの最大火力、めざ氷も確1でメガボーマンダはもっていけません」
黒子「それが12ターン目ですね?」
佐天「はい。あそこまで削るめざパは氷と見て間違いないでしょう。
耐え抜いた後、メガボーマンダのすてみタックルでメガピジョットは確1でおとせます」
黒子「ですが、うたなかった……」
佐天「おんがえしを採用している、ということはすてみタックル自体ないと考えられます。しかし、それでは火力が足りなくなるため、通常りゅうのまいをいれておくんです」
佐天「1/8残っていれば、いかくで二段階攻撃の下がった、メガピジョットのでんこうせっかなら、乱数で堪えますから、ここは是が非でも、りゅうのまいをうっておくべきだったんです。それ以外勝ち筋はありませんでした」
13ターン目
上条
ピジョットのぼうふう!
相手のボーマンダは倒れた!
美琴
ゆけ、ロトム!
ボーマンダ 瀕死
ピジョット HP 3/8
14ターン目
上条
ピジョットのぼうふう!
相手のロトムは倒れた!
ビリビリとの勝負に勝った!
司会者「勝負あり!一戦目勝者、上条とぉぉぉぉぉぉうまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ワァァァァァァァァァァ!!ワァァァァァ!!
「まじかよ!?あいつネタパで勝ちやがった!!」「でもしっかり考えて構成組んでたよな!!」「上条すげーな!!」
ワァァァァァワァァァァァ!!ワァァァァァァァァァァ!!
美琴「…そんな……!!」
上条「……言ったろ?」
美琴「っ………」
上条「俺のネタパは……ネタパじゃない」
ワァァァァァワァァァァァァァァァァワァァァァァ!!
司会者「それでは、10分後第2試合を始めます!!」
余計なお世話かもしれないが対戦中にもう少しキャラ間の掛け合いがあった方が盛り上がったかもしれん
次も楽しみ
>>37、38
ありがとうございます。やってみます。
ディレクター「はい、OKでーす!!」
黒子「ふぅ……疲れましたわ……」
ディレクター「それじゃ、2戦目からもよろしく頼むよ」
初春・佐天「はーい」
佐天「いやー、やっぱり生って緊張しちゃうね!!」
初春「そうですね。間違ったこと、いってなければいいんですけど……」
黒子「お二人に限ってそんなことありませんわ。すばらしい実況でしたの」
佐天「いやいや、白井さんの司会っぷりがよかったからですよ。上手く話にのせてもらいましたし」
佐天「で、初春、さっきの対戦どう思った?」
初春「そうですね……やっぱりさっき佐天さんが言われたりゅうのまいが、最後のチャンスだったと思いますよ」
初春「私的にはもう少し前、まだナッシーが場にいるときにボーマンダを出せば、楽に対処できたかな、って思います」
佐天「さっすが初春、わかってるねぇー」
初春「佐天さんとしてはこの先、御坂さんが勝てると思いますか?」
佐天「そだね……五分五分かな」
黒子「?えらくお姉様を評価しますわね。さきほど負けたばかりなのに」
佐天「いえ、さっきの試合もプレイング自体は悪くありませんでしたし。なかなかいい線いってるなぁ、って思う場面もありましたから。まだまだこれからですよ」
黒子「…ポケモン……やはり、奥が深いですわね」
選手控室
美琴「……ふぅ、負けちゃった……」
美琴(いい勝負出来てたんだけど……やっぱりボーマンダのタイミング、誤ったわね…)
美琴(それに、あのナッシー…もっと楽に倒せてたはず……反省点ばっか見えてくるわ…)
美琴(あいつは、まだガチパじゃない……全力のあいつは、もっと強い……なのに、こんなところで躓いて……私、勝てるのかな…?)
コンコン
美琴「はーい、どちらさま?」
美琴「あら、あなたたち……」
幼女1「美琴お姉ちゃん、お疲れさま!!」
幼女2「さっきの試合見てた!!惜しかった!!」
美琴「あはは…見られてたか……恥ずかしいなぁ」
幼女3「……大丈夫…次は…勝てる…」
幼女1「そうだよ!絶対勝てるよ!!」
幼女2「頑張ってね!!美琴姉ちゃん!!」
美琴「みんな……」
係員「美琴さーん、そろそろー」
美琴「あっ、はーい、今行きます!」
美琴「じゃあお姉ちゃん、そろそろいかなきゃ」
幼女3「………」コクリ
美琴「うん、絶対勝つよ!」
美琴(そうだ……あいつに、教えてやんなきゃいけない……)
美琴(ポケモンの、本当の楽しさを)
選手控室
上条「………まずは一勝」
上条「次もとって……終わらせてやるさ」
上条「見せてみろよ、美琴。お前のいう、楽しさって奴を……」
司会者「さぁ、時間になりました!!第2戦、スタンバイ!!」
ワァァァァァワァァァァァァァァァァ!!
「いけー!上条、連勝だぁー!!」「お前の強さ、見せてくれー!!」
「負けるな、美琴ー!!」「ここから逆転だぁ!!」
司会者「両者、準備はいいかい?」
上条「……いけるぜ」
美琴「私もよ」
司会者「OK!!第2戦、レディー……ファイトォォォ!!」
ワァァァァァァァァァァワァァァァァワァァァァァ!!ワァァァァァ!!
黒子「さぁ!!始まりました、第2戦!!司会は一戦目同様、私、白井黒子が。」
黒子「実況も同じく、初春さんと佐天さんに来ていただいております!!」
黒子「1戦目は上条選手が勝利しましたが、この2戦目、互いにどういったところが重要視されますか?」
佐天「まず御坂さんは、もうひとつのミスも許されませんからね。とりあえず落ち着く。集中力を絶やさず試合に挑んでほしいです」
初春「上条選手に関しては、1戦目、あのパーティが勝ちましたから、かなり調子が上がってきてると思います。ここは焦らず確実に自分のバトルをすることが大事ですね」
黒子「さぁ、注目の2戦目の手持ちは!?」
美琴
ゲンガー♂
ロトム(ウォッシュ)
ファイアロー♀
ブリガロン♀
ハッサム♀
ヤミラミ♀
上条
バンギラス♂
ヤドラン♂
フシギバナ♀
エアームド♀
ハピナス♀
ニンフィア♀
黒子「上条選手はともかく、美琴選手もかなりパーティ内容を変えてきましたね」
佐天「御坂さんの方は、見た目は変わっていますが、内容は以前スタンパのまま」
初春「対する上条選手は、受けループ主体のパーティになってますね」
黒子「受けループですか。これは上条選手、確実に勝利を取りにきてますね」
佐天「ですが、御坂さんのパーティ、見たところ受けループを崩せない訳ではありませんね。まぁこれも型次第ですが。」
初春「受けループが相手となってくると、これはかなり読みあいが複雑になっていきますよ。ひとつ読み間違えたら、とくに美琴選手はかなり多大な被害がでるでしょう」
黒子「一つの気の緩みが勝敗を分ける-まさにこういった試合のことなのでしょうか……さぁ、三体の選出が決まったようです!!」
幼女2「美琴姉ちゃん、ファイトー!!」
幼女3「……ファイト」
幼女1「ファイトだよ!!」
上条「……小さな、美琴応援団、か」
美琴「……何?なにか文句?」
上条「…なんでもないさ……ただ、ポケモンの真理を知らない者が、ここにきたところで、そう思っただけさ」
美琴「あんた、まだそんなこといってんの……!?」
美琴「三ヶ月前、あんたがあの子達にしたこと、覚えてないの!?」
上条「?……なんのことだ?」
美琴「!!この……!!」
上条「いいのか?選択時間がもう切れちまうぜ」
美琴「っ……いいわ、思い出させてあげる……残り2回、この対戦の間にね……!!」
チャラチャ- チャラチャ- チャラチャ- チャラチャ- チャラチャ- チャラチャ- チャラチャ- チャラチャ-
チャッチャッチャ チャッチャッチャ チャッチャッチャ チャッチャッチャ ~
トウマ(ビリビリ)が勝負をしかけてきた!!
美琴
ロトム(ウォッシュ)「ロトトトトトト!!」
上条
エアームド「ギシャァァァァ!!」
黒子「さぁ、始まりました、第2戦!!初手の対面は、またも美琴選手有利か!?」
佐天「上条さんのパーティは受けループ。ここは確実に引いてくるでしょうね。エアームドがきた、ということは、ステロのアロー意識でしょうか?」
初春「となると後続にはアローと相性の悪いニンフィアかフシギバナが控えているかもしれません。それか普通にブリガロン、ハッサム読みの選出の可能性もおおいにありえます」
佐天「このバトルのひとつのポイントは、さきほどあがった上条選手のニンフィア、美琴選手のヤミラミ、この2体ですね」
初春「受けループキラーと呼ばれるヤミラミ。そしてその対抗手段となるニンフィア。この2体の選出の有無は、戦闘に大きな影響があります」
初春「ただ、そのニンフィア、選出したいところですが、ゲンガーにハッサム、ファイアローと苦手とする相手が3体いますから、しづらいようにも見えます」
佐天「ともあれ、これからのプレイングしだい。1ターン目、どう動きますかね?」
1ターン目
上条
戻れ、エアームド!
いけ、フシギバナ!
フシギバナ「バナァ」
美琴
ロトムのボルトチェンジ!
効果はいまひとつのようだ……
ロトムはビリビリのもとへ戻ってゆく!
いけ、ファイアロー!
ファイアロー「ピュオォォォ!!」
ファイアロー HP MAX
フシギバナ HP 15/16
佐天「これは上手く御坂さんが自分のペースに引き込んでますね。上条さんの手持ち6体を見た時点で、受けループだと分かってましたから、対策をもう練れているいるんじゃないでしょうか?」
初春「逆に気になるのは上条選手の選出ですね。エアームドの後ろにフシギバナがいた、ということは、エアームドの本来の仕事はステロだったのでしょう」
初春「ただ今回の御坂選手の手持ちの状況からして、まだ役割がある、と踏んでステロをうつ仕事よりも、体力、特性の頑丈を残そうとしたと考えられます」
佐天「でもまだラスト一体は絞れませんね。あいての選出読みは個人の見解なので……特に受けループとなると、特殊、物理への感覚が人それぞれですから……私なら、特殊受け且つヤミラミ対策のニンフィアをいれたいところです」
2ターン目
上条
戻れ、フシギバナ!
いけ、ヤドラン!
ヤドラン「やぁん」
美琴
ファイアローのブレイブバード!
ファイアローは反動によるダメージをうけた!
ファイアロー HP 13/16
ヤドラン HP 9/16
上条(この火力……球ダメの表記はない……鉢巻きか)
上条(エアームドを出したいところだが……ロトムがいる以上、頑丈を潰すわけにはいかない)
上条(さて……どう来るか……)
美琴(…………………)
佐天「あの火力、鉢巻きですね。これは上条さんなら余裕で気づきます」
黒子「しかしこれで上条さんの手持ちはわれてしまいましたね」
初春「最後はヤドランでしたから、物理受けが2匹。これはハッサムやファイアローを意識してるように感じますね。今のも上手くアローを対処しましたし」
初春「鉢巻きが分かった以上、上条さんも何か手をうってくるでしょうから、ここは美琴さんの3体目が大きく影響しますね」
黒子「上条選手の手持ちがわれましたが、これで上条選手が少し不利でしょうか?」
佐天「いえ、受けループですから、いずれは手札を晒すことにはなるでしょうし、むしろわれたことにより、読みがいっそう深くなりますね。後続が確定されますから、ひとつひとつの選択がそれら1体1体の対策になってくるんです」
佐天「そうなると、受けループは通常1体1体の対策が違いますから、読み間違えたとき、手痛いしっぺ返しをくらいます。勝負はここからですよ」
3ターン目
美琴
ファイアローのブレイブバード!
ファイアローは反動によるダメージを受けた!
ヤドランはオボンの実で回復をした!
上条
ヤドランのなまける!
ヤドランは体力を回復した!
ファイアロー HP 10/16
ヤドラン HP 15/16
4ターン目
美琴
ファイアローのブレイブバード!
ファイアローは反動によるダメージを受けた!
上条
ヤドランのねっとう!
効果はばつぐんだ!
相手のファイアローは倒れた!
ファイアロー 瀕死
ヤドラン HP 8/16
上条(ファイアローを捨てた……?3体目でもフシギバナを突破できるということか?)
上条(悪いが、このフシギバナはめざ炎搭載、ハッサム対面だったとしても負けることはない)
上条(たとえヤミラミが来ても、フシギバナなら殴り勝てる……この勝負……いける……)
美琴「--あんた今、この勝負勝てると思ったでしょ?」
上条「!?……それが、どうした……残り2体、ロトムともう一匹じゃ、どうあがこうとこの受けループは崩せないぜ?」
上条「ハッサムがこようとヤミラミがこようと、こっちは対策済みだ」
美琴「………そう、悪いけど」
美琴「あんたの残り3匹吹っ飛ばすのには、1体いれば十分よ」
上条「……なに…?」
美琴「見てなさい……これがあんたの、その組み立てられた輪廻を崩す、最強の切り札!!」
美琴
いけ、ゲンガー!!
ゲンガー「ケケッ」
上条「ゲンガー……?そいつが出てきても、俺のフシギバナの前に屈するだけ……」
上条「!?待て!!まさか……!?」
美琴「そのまさかよ……受けループキラー--そう呼ばれるのは、ヤミラミだけじゃないでしょ?」
ゲンガーのゲンガナイトとビリビリのメガバングルが反応した!
メガゲンガー「ケケケケケッ!!」
佐天「メガゲンガー……!?受けループキラーはヤミラミの仕事だと感じてたから、すっかり忘れてた……でもこうなると……」
初春「御坂選手がファイアローを捨てたのも合点がいく……すべてはゲンガーの無償降臨のため。上条選手の3体がわれた時点で、この場面を作りだすことが可能であると悟って……」
黒子「こ、これは!!流れが一気に、美琴選手へと引き寄せられました!!これには上条選手、思わず唖然としています!!」
ワァァァァァァァァァァワァァァァァ!!!!
佐天「もうメガゲンガーを止める方法は、フシギバナしかいない……でも、そのフシギバナ、メガっても対面じゃ負ける……」
初春「もうヤドランで手はうてない…そうなると、もう積みとしか……」
美琴「どうよ?これであんたの受けループ……完全に機能停止ね」
上条「………………」
5ターン目
美琴
ゲンガーのシャドーボール!
効果はばつぐんだ!
相手のヤドランは倒れた!
ゲンガー HP MAX
ヤドラン 瀕死
上条
いけ、エアームド!
黒子「上条選手がだしたのは、エアームドですか」
初春「妥当といえば、妥当な判断でしょう。エアームドではロトムを突破できません。そのため最低でもフシギバナは残す必要がありますので、フシギバナでメガゲンガーを突破するために、少しでもエアームドで体力を削りにきた、ってとこでしょう」
初春「幸い、頑丈は残ってますから、最悪一撃は耐えます。あとは持っている攻撃技でダメージ与えて、退場。フシギバナにあとを任せるんでしょうか?」
佐天「………………………………」
初春「……佐天さん?」
佐天「……あ、すみません…少し考えてて……でも、やっぱりさっき初春さんが言った通りだと思いますね」
初春「…………………」
美琴(エアームドか……頑丈は残ってるだろうから一撃じゃ無理……でも、メガゲンガーの耐久なら、エアームドの一撃は余裕の確定……そう、確定……)
美琴(でも……何だろう……胸騒ぎがする……)
上条「………………」
美琴(エアームドが出てきたこともいたって普通……引っ掛かってるのは、この状況まで頑丈を残してるってこと…)
美琴(考えたら普通な気がする。最初のターン、ロトム対面で、居座る訳がない。けど……)
美琴(っ……もう選択時間が……!!こうなったら……)
6ターン目
美琴
もどれ、ゲンガー!
いけ、ロトム!
上条
エアームドのブレイブバード!
効果はいまひとつのようだ…
エアームドは反動によるダメージを受けた!
ロトム HP 9/16
エアームド HP 13/16
美琴(!!HDベースのロトムとはいえ……これはダメージがはいりすぎてる……これは……!?)
上条「……1体で十分じゃなかったのか?」
美琴「なるほど……受けループとみせかけた、鉢巻きアタッカーだったって訳ね……まんまと騙されるとこだったわ」
美琴「けど、種が分かった以上……どうってことない!!」
上条「…………ちっ………………」
初春「鉢巻きアタッカー……!?そんなことが……」
佐天「……普通気がつきませんよね。だれだってあのパーティを見れば受けループだと勘違いするでしょう。無論、私も完全に受けループだと思ってました」
佐天「ただ、以前自分も似たようなパーティをつくったことがあって……それで、さっき少し気になってたんです」
初春「しかし、ここでロトムに交代したのは美琴さんの最良の一手だったことに違いありません」
初春「頑丈を残していたのも、このロトム対面、またゲンガー対面を想定してのことだったんでしょう。しかし、鉢巻きがばれた以上、上条選手、どう動くんでしょうか……」
7ターン目
美琴
ロトムのボルトチェンジ!
効果はばつぐんだ!
相手のエアームドは倒れた!
ロトムはビリビリのもとへ戻ってゆく!
いけ、ゲンガー!
ゲンガー HP MAX
エアームド 瀕死
上条
いけ、フシギバナ!
黒子「エアームド、ここは捨てましたね」
初春「ゲンガーもロトムも頑丈が潰れたエアームドでは、上から殴られます。ゲンガーの一撃なら、調整しだいで耐えれる可能性もありますが、ロトムがいる以上どうにもできません」
佐天「だからといって、安易にフシギバナをだせば、メガゲンガーのかげふみの餌食になりますから、フシギバナを交代でだすには、多少のダメージを覚悟する必要があるんです」
佐天「でも、そうしてフシギバナに負荷をかけるよりも、一か八か、フシギバナで勝負にでようと考えたんでしょう。おそらく、フシギバナでメガゲンガーに対抗できる手段がある、と思われます」
初春「まぁ考えれるのは一つしかないんですけど……」
上条(手札はもう使い切った……あとは……)
美琴(……うちつづける、だけ!!)
8ターン目
上条
フシギバナのフシギバナイトとトウマのメガバングルが反応した!
フシギバナはメガフシギバナにメガシンカした!
メガフシギバナ「バァァァナァァァ!!」
美琴
ゲンガーのヘドロばくだん!
上条
フシギバナのねむりごな!
相手のゲンガーは眠ってしまった!
ゲンガー(眠り) HP MAX
フシギバナ HP 9/16
初春「やはりねむりごなはもってましたか……」
佐天「でないとムドーを捨てたりはしなかったでしょうね」
黒子「ここから先は、確率との勝負……!!」
9ターン目
美琴
ゲンガーはぐうぐう眠っている
上条
フシギバナのギガドレイン!
効果はいまひとつのようだ…
相手のゲンガーから体力をすいとった!
ゲンガー(眠り) HP 13/16
フシギバナ HP 11/16
10ターン目
美琴
ゲンガーはぐうぐう眠っている
上条
フシギバナのギガドレイン!
効果はいまひとつのようだ…
相手のゲンガーから体力をすいとった!
ゲンガー(眠り) HP 11/16
フシギバナ HP 12/16
11ターン目
美琴
ゲンガーは目を覚ました!
ゲンガーのヘドロばくだん!
上条
フシギバナのギガドレイン!
効果はいまひとつのようだ…
相手のゲンガーから体力をすいとった!
ゲンガー HP 9/16
フシギバナ HP 5/16
12ターン目
ゲンガーのヘドロばくだん!
相手のフシギバナは倒れた!
トウマとの勝負に勝った!
司会者「勝負あり!!2戦目勝者、御坂ぁぁぁぁみぃぃぃことぉぉぉぉ!!」
ワァァァァァァァァァァ!!ワァァァァァァァァァァ!!
司会者「これで両者1勝1敗!!勝負は第3戦にもちこされたぁぁぁぁ!!」
ワァァァァァァァァァァワァァァァァ!!
「いけるぞー!御坂!!」「このまま勝っちまえぇぇ!!」「いい読みだったよぉ!!」
「惜しかったぞ、上条!!」「接戦だった!!」「次は勝てるぜぇ!!」
幼女3「美琴姉ちゃん、すごーい!!」
幼女1「次も頑張って!!」
幼女2「………絶対勝てる…!!」
美琴「みんな……」
司会者「それでは、第3戦、10分後開始だぁぁぁぁ!!」
ワァァァァァ!!ワァァァァァァァァァァ!!
黒子「いやぁ、素晴らしい試合でしたね」
初春「えぇ。今回やはり大きかったのは、鉢巻きムドーの存在でしょう。そこを上手く読みきった、御坂選手。この勝利は次の自信になりますよ」
佐天「上条さんも上手く立ち回ってました。メガゲンガーが来ても、対処しようと最善の手を尽くしてましたから、次の試合、その読みが発揮出来さえすれば、勝利は近づきますね」
黒子「第3戦、どういったところがポイントとなりますか?」
佐天「やっぱり、両者焦らないことですね。あと1勝、ここでどれだけ自分のバトルスタイルを、得意とする展開を引き寄せれるか。ここが大きな争点でしょう」
黒子「さぁ、泣いても笑っても最終戦!!一体どんな結末になるのでしょうか!?それでは10分後、またお会いしましょう!!」
ディレクター「OK!!お疲れさん!!」
黒・初・佐「お疲れ様でーす」
ディレクター「いやーいいねいいね、素晴らしい司会、実況だよ!最終戦もよろしくね」
黒子「ふぅ……もうあと1戦ですわね」
佐天「私少しお手洗い行ってきますね」
初春「じゃあ私は飲み物を。白井さん、何かいりますか?」
黒子「そうですわね……普通に緑茶をお願いしますわ」
初春「分かりましたー」
初春「--どこから気づいていたんですか?」
佐天「?なんのこと?」
初春「とぼけても無駄ですよ。御坂さんの手持ち、メガゲンガーだっていつ分かったんですか?あえて知らないふり、しましたよね?」
佐天「……ばれちゃってた?」
初春「バレバレですよ。エアームドが鉢巻きなのも、もっと早く見抜いてましたよね?」
佐天「もう…そういうとこは鋭いんだから……」
初春「やっぱり……」
佐天「メガゲンガーのほうはね、ファイアローが突っ張ったときかな。後ろに対処できるポケモンがいる、って考えたとき、御坂さんの手持ち、ヤミラミがいたから、ニンフィア対策でハッサムかゲンガーに絞れたんだけど、特殊アタッカーだからゲンガーかなって。御坂さん、そういうとこはきっちりしてるから。
メガシンカかな?って思ったのもこのとき。普通のゲンガーじゃメガバナは突破できないから、アローは捨てないと思ったんだ」
初春「エアームドのほうは?」
佐天「そっちは結構最初から疑ってたよ。選出のときあたりから、物理受けに出来そうなのが4体いたから、どれかはアタッカーかなーって。まぁまだ疑いの段階だったけど。
頑丈を残そうとして、上条さんの手持ちが分かった時点で50%ぐらいにはなったかな?
」
初春「……さすがですね。どうせ、似たようなパーティつくった、っていうのも嘘なんですよね」
佐天「あはは……何から何までバレてるや……あぁ言っとけば疑われないかな、って」
初春「もぅ……次からは思ったことはちゃんといってくださいね?そのための実況なんですから」
佐天「はいはい……善処しますよ」
控え室
上条「くそっ…!!……どこで間違えた……今の試合、選出6体の時点では勝てたはず……」
上条「結局……使えないやつは、使えないって訳か……こんなやつ、もういらないな…」
上条「美琴……そっちがその気なら、こっちもやらせてもらうぜ……」
上条「次の試合、勝った奴が正しい。……それだけのことだろ……?」
控え室
美琴「ようやく、あと一歩かな……次の試合のパーティは、もう決まってるし…」
美琴「3ヶ月前……まさかこんなことになるなんて、思っても見なかったなぁ」
~3ヶ月前~
美琴「ねぇ、黒子。こんどポケモンの新作でるの知ってる?」
黒子「えぇ、もちろん。これでも私、少々たしなんでいますので」
美琴「それでさ、私それ買ってみようと思うんだけど」
黒子「お姉さまが?今までどれだけ薦めようとも、子供っぽい、と拒否されてきたお姉さまが?」
美琴「だって次のソフト、冒険の舞台がホウエン地方らしいじゃない。ほら、私アニメがちょうどその世代なのよ」
黒子「ポケットモンスターアドバンスジェネレーション……確かに重なりますわね」
美琴「でしょ?そのときに出てたカセットは、ゲーム機持ってなかったからできなかったのよ」
黒子「なるほど。自分自身のポケモンの世代感が重なった、という訳ですのね。まぁやることに関して止めはしませんの」
美琴「早速予約してこなくちゃ!」
黒子「ところでお姉さま、ポケモンの知識はどの程度おありで?」
美琴「うーんと…印象に残ってるのは、ハルカのワカシャモがコンテストで、ハードプラント使うフシギバナにかった話と、バトルフロンティア編のリザードンVSフリーザーかな。個人的にみずのはどう+れいとうビーム、気に入ってるのよね。ゲームで出来れば嬉しいけど……出来ないんでしょ?」
黒子「えぇ、まぁ」
美琴「残念だなぁ。
あっ、映画はジラーチとルカリオで泣いたかな。ジラーチは主題歌もいいし。あと最近の放送のミュウツーの逆襲とエンテイはテーマがなかなか深かったわよね。普通に面白かったのは、レックウザね」
黒子(この様子ですと、ポケモンのゲームについては、皆無のようですわね……まぁ別にガチ勢になれとは言ってきませんが…お姉さまの頭脳をもってすれば、いいとこまでいけると思いますわね。でも、)
美琴「フフーン、楽しみだなぁ~」
黒子(……こんな無垢な子供のような表情をしているお姉さまに、真理を伝える訳にはいきませんわね)
美琴「--じゃじゃーん!!黒子見てみて~、オメガルビー!!」
黒子「私もアルファサファイアを買いましたわ」
黒子(さっさとストーリークリアして、メガ石集めましょう)
美琴「おぉ!グラードン、かっこいい!!」
黒子(……やっぱり無垢で純粋……金伝も一応厳選してますが、使えませんし、お姉さまに差し上げてもいいですわね)
美琴「名前どうしよ……ビリビリでいっか。何かハルカのデザイン昔と変わってるね」
美琴「あっ、そうだ黒子。私最初にアチャモ選ぶから、黒子残りのどっちか選んでもらっていい?」
黒子「ええ、いいですわよ」
美琴「それであとから、卵産んで交換しましょ。そしたらどっちも手に入るわよ」
黒子「今の時代インターネットで交換できますわよ?」
美琴「いいのよ、黒子のが欲しいの」
黒子「…分かりましたわ。それでは私はキモリを」
美琴「さぁ!!冒険の始まりよ!!」
~1週間後~
黒子(ふー、ようやくメガ石回収完了……5日で出来る予定でしたが、ちょっとかかりましたわね。サファイアとの違いを探すのに楽しさを覚えてましたわ。エピソードデルタは微妙でしたが)
黒子「お姉さま、どこまでいきましたか?」
美琴「待って、今センリと戦ってる。このケッキング強い……!!」
黒子(……そんなとこだろうとは思いましたが。まぁ、楽しんでいらっしゃるなら、それでいいですの)
~さらに一週間後~
美琴「いやー、エピソードデルタも終わりかぁ……映画の再現みたいで楽しかったし、設定が凝ってたよね」
黒子「そ、そうですわね……」
黒子(結構グダグダのようにも感じましたけど……それにしても、この一週間、ほんとにポケモンしかなされているとこを見ていませんの……)
美琴「まっ、レックウザもデオキシスも捕獲したし、これで私も最強ね。四天王もチャンピオンもこてんぱんよ!!あっ、前倒しちゃったグラードンも捕まえにいかないと。復活するらしいし」
黒子(……うーん……ますます三値関連をいいだしづらい雰囲気に……もう流れに任せるしか……)
美琴「よし!!ちょっと出かけてくる!!」
黒子「どこに行かれますの?」
美琴「大丈夫。すぐ帰ってくるから!!」
美琴「--さて、広場にやってきたはいいけど、どこかにいるかな?ポケモンやってる人」
美琴「まぁあんだけ大人気だし、どこかにはいるでしょ……っと、早速PSSに反応が……どこにいるかな?おっ、あそこにDSを持ってる三人組が……よし」
美琴「ねぇねぇ、ポケモンやってるの?」
幼女3「そうだよ!!お姉ちゃんも持ってるの?」
幼女1「なら、一緒にやろうよ!対戦しよ!対戦!!」
美琴「ならせっかく4人いるから、マルチバトルしよっか?」
幼女2「………賛成」
美琴(よーし、強いとこ見せなきゃ)
幼女1「お姉ちゃん、すごーい!!強いね!!」
美琴「ふふん、どうよどうよ」
幼女2「……メガレックウザに、手も足もでなかった」
幼女3「私も早く強くなりたいなぁ」
美琴「そんな、みんな十分強かったわよ。幼女1ちゃんのメガクチート、攻撃も防御も高いし、幼女2ちゃんのゲッコウガ、とってもすばやさ高いね」
幼女2「……最初にもらった、大事なポケモン」
幼女1「クチート可愛いし、強いよ!私のレベル100なんだ!」
幼女3「私のファイアローも強いでしょ?今97レベだから、あと少し!!」
美琴「うんうん、みんな強いよ。もっかい、やろっか?」
幼女s「やるー!!」
美琴「ん?あそこにいるツンツン頭は……通りすがりにいるこの名前……まさか」
美琴「ちょっとあんた」
上条「あぁ御坂か。どした?」
美琴「どーしたもこーしたも、あんたなんでここにいんのよ」
上条「別に……ちょっと考え事してただけさ」
美琴「あんた、それ……ポケモンやってるじゃない!!」
美琴「!そうだ、対戦しましょ、対戦!」
上条「……対戦?」
美琴「ふふん、私強いのよ。ほら、レックウザにデオキシスもいる。ほら、ちゃっちゃとやるわよ」
上条「お前、三値って分かるか?」
美琴「産地?生まれた場所のこと?」
上条「いや、なんでもねぇよ。忘れてくれ」
上条「じゃ、一回だけだ」
美琴「やりぃ!!負けた泣いたりするんじゃないわよ!!」
美琴「……嘘、でしょ?」
美琴「私のポケモンが……たった2匹で………?」
上条「まっ……こんなとこだろ」
美琴「もう一回!!もう一回勝負よ!」
上条「言っただろ、一回だけだって。俺は厳選で忙しいんだ」
幼女1「なら、私達がやる!!」
幼女3「絶対負けないよ!」
幼女2「……敵、討つ」
美琴「あなたたち……」
上条「……はぁ、めんどくさい。いいよ、全部ぶっ飛ばすから」
幼女3「あぅ……」
幼女1「この人、強いよぉ」
幼女2「……レベルが、違う」
上条「まっ、当然の結果だな。そんな弱いポケモン使ってたら」
美琴「弱いポケモン?」
上条「そうだ。そんな自分の好きなポケモンだけでつくったメンバーで、俺には勝てない」
美琴「何よ…好きなポケモン使ったらだめなわけ?」
上条「当たり前だろ。自分の好きな奴だけで勝てる訳がない。弱い奴は切り捨てる」
美琴「そんな……だからって!!」
上条「今の勝負がその結果だろ?何か間違ってるか?」
美琴「間違ってるわよ!!何よ、弱い弱いって馬鹿にして!!」
上条「違うのか?」
美琴「違うわよ!!確かにあんたのポケモンよりは弱いかもしれない、けど、それでもこの子達が頑張って育てたポケモンを、あんたはけなしてるのよ!?」
上条「……で、それが?事実だろ」
美琴「このっ……!!」
上条「まぁ俺にどうこういいたいんだったら、俺より強くなってこいよ。お前のいう、好きなポケモン達でな」
黒子「あら、お姉さま。おかえりなさいま「黒子」
美琴「あんた、ポケモンで強くなる方法分かる?」
黒子「?ストーリークリアならレベルを上げれば……」
美琴「違うの。もっと、もっと強くならなきゃいけない。私が育てたポケモンじゃ、太刀打ちできなかった……」
黒子「……通信対戦、したのですわね」
黒子(そこらへんの小さな子供達相手なら、ストーリーさえクリアしてればごり押しで勝てますの……なら、相手にしたのはおそらくガチ勢…)
黒子(さて、どうしましょうか……今まで楽しくプレイしていたお姉さまに、ここでそれを教えてしまうのは……)
美琴「……お願い、黒子。あんたなら、分かるんでしょ?」
黒子「……ほんとに、いいですのね?もう二度と、ポケモンを素直に楽しむことが、出来なくなりますのよ?」
美琴「…………………」
黒子「これから伝えようとしているのは、ポケモンの裏事情--言い換えればポケモンの真理。聞いてしまえば、そちらの目線でしかプレイ出来なく……」
美琴「いい。強くなれるなら、そんなの関係ないわよ」
黒子(……覚悟は決まっておりますのね)
黒子「…分かりましたわ。それでは、基本の基本から……」
~さらにさらに一週間後~
黒子(……さすがお姉さまですの。一週間で私の持つ基本知識、さらに現在の環境、大まかなポケモンの型まですでに理解されました)
黒子(ここから重要なのは、実戦でその読みの腕、パーティの構築、バトルスタイルを磨くこと……しかし、レート1600台から抜け出せない私では、その役目は勤まらないでしょう…)
美琴「なるほど……ここで交替読みで……でもそれが読まれて居座られた……」
黒子(今はプレイ動画でお勉強されていますが……それでも限界はありますし…かといって今すぐレートに潜っても効率が……)
黒子(……仕方ありません。あまりオススメはできませんが…)
黒子「お姉さま、少しよろしいですか?」
美琴「どうかしたの?」
黒子「送られてきたメールで、あの類人猿との再戦が2ヶ月後と決まりました。しかし、はっきり言ってこのペースで戦闘経験をつんでも、スタートラインが違いますので、おそらく追いつけないでしょう」
黒子「ですので、効率的かつ迅速なレベルアップをはかるため、お姉さまにある場所にいっていただきたいのです」
美琴「そんな所があるの!?」
黒子「しかし、そこにおられる講師(……といっていいのか)の方は、厳しいことで有名ですので……」
美琴「そんなの、関係ない。そうでしょ?」
黒子「……そう言うと思われましたの。すでに連絡はしておりますので、あとはここに行っていただければ…」
美琴「ありがとう、黒子。早速行ってくるわ」
黒子「…お気をつけて」
美琴(……と、そこで指導してもらったはいいけど……厳しいの何のって。あれはさすがにやばかったわね)
美琴(でも、そのおかげでここであいつと対等で戦えてる、ってのも事実だし……簡単には憎めないな)
係員「準備、お願いしまーす」
美琴「はーい」
美琴(師匠…どっかで見てるだろうし。無様な戦闘は、見せられない)
美琴「もとより、負ける気はこれっぽっちもないけどね」
係員「準備お願いしまーす」
上条「……分かりました」
上条(最終戦……ここで勝って、証明する)
上条(俺の考えは、正しかった。間違っていなかったことを)
司会「--さぁ、準備が整いました!!最終戦、両者入場!!」
ワァァァァァァァァ!!ワァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
「きたー!!」「いい試合、期待してるぞー!!」「どっちもがんばれー!!」
幼女1「……美琴ねーちゃん」
幼女2「……頑張って…!!」
ワァァァァァァァァワァァァァァァァァ!!
美琴「どうよ?まさか3戦目までもつれこむとは思ってなかったでしょ?」
上条「………………」
美琴「--見てなさい。あんたのその目、覚ましてあげるから」
司会「さぁ!!決戦の最終戦!!どちらが勝つのか!!」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァワァァァァァァァァワァァァァァァァァ!!
黒子「--ついに来ました、最終戦!!司会、実況はおなじみ私、白井黒子と」
初春「初春アンド」
佐天「佐天でお送りします」
黒子「さて、ここまでほぼ互角と言っていい両者の攻防。最終戦、どちらが有利でしょうか?」
初春「まぁ五分五分でしょうね。ここ2戦で、互いに読みの特徴やプレイスタイルはおおよそ予想出来てますから」
黒子「特徴、といいますと?」
佐天「今までの2試合から見ると、両者ともあまりアタッカーをメインに据えてないところでしょうね。あくまでアタッカーは、パーティバランスのサブ、と言った感じなんです」
初春「2試合目の受けループとその対抗手段。それぞれメインは受けと特性でしたから。火力で攻める、といった傾向があまりないんです」
佐天「そこをどう読みとって最終戦、パーティを組んでくるか……もう見せあいの時点で読みは今まで以上に深いものになりますよ」
黒子「なるほど。それでは、その最終戦、パーティの発表です!!」
美琴
クチート♀
オンバーン♀
ファイアロー♂
ドサイドン♂
ゲッコウガ♀
ヤミラミ♀
上条
サーナイト♀
ボーマンダ♂
ミミロップ♀
ロトム
ナットレイ♂
ニンフィア♀
黒子「さぁ、今6体が発表されました!!この6体、どう思われますか?」
初春「そうですね……上条さんの方はコンセプトとしては今までと変わらないでしょうね。受けを主体、うまく回していくことをメインとしているように見えます」
初春「少しタイプバランスも気になるところですが、この程度ならそう問題はないでしょう。むしろ重要なのはメガ枠でしょう。ミミロップ以外はメガシンカをせずとも闘えるようにも見えますが、現環境の上位であるボーマンダも見逃せません。御坂選手がどう判断するか、気になるところです」
佐天「その御坂さん、パッとみたところスタイル変えてきてますね。今までのように補助技を使うであろう手持ちがかなり限られてきます。火力も申し分なく、アタッカーメインのパーティにしてきました」
佐天「そうなってくると、やはり注目は持ち物です。メガ石はともかく、火力アップを持たせるか、はたまた補助の道具を持たせるか、それを読み違えただけでも大打撃を被る、そんなポケモンが多いですから」
美琴「……当麻。このパーティ、どう思う?」
上条「……………」
美琴「厨パ……そう言われても過言じゃない。そんなポケモン達で固めてる、そう感じたんじゃない?」
上条「……そうだな。パッと見、だが」
美琴「ふふ……でもね、違うの」
上条「…いいのか?手の内を晒しても」
美琴「ええ、いわなきゃ今私がここにいる理由、それがなくなってしまうもの」
美琴「私が今ここに立っている理由……それは、あんたの目を覚ますこと。勝つことに囚われて、楽しむことを忘れてしまっている、あんたを倒して」
美琴「あんたはあの子達にも、何も知らなかった、ただポケモンを楽しんでいたあの子達にも、ただ勝つことにのみ執着した」
美琴「けど、それは違う。本当のポケモンの姿じゃない」
美琴「ポケモンっていうのは、みんなと一緒に楽しんで笑いあえるもの。そしてそれは見知らない人でも一緒。そうやって、どんどん友達も増えていくものなの」
美琴「だからあんたのやった、あの行動を私は許せなかった」
上条「…それで、それがお前のパーティとどう関係する?」
美琴「言った通りよ。私はあんたがあの子達にしたことが許せなかった。なら早い話、あんたの目を覚ますには、その子達にあんたが倒されてしまえばいいのよ」
上条「……そんなことは到底無理だ」
美琴「その通り。だから私がここにいる」
上条「……なるほど。お前があの子供のお気に入りを使って戦う……という訳か。それにしては上手くバランスが出来てるように見えるが?」
美琴「ええ。いくら何でもあの子達が育てたり、選んだりしたポケモンじゃ、あなたに勝つ、っていう最低条件もクリアできそうになかった」
美琴「だからあの子達にはそれぞれ自分が一番好きなポケモンを選んでもらったわ」
上条「それでも、育成したのはお前だろ?なら、お前がやっているのは俺と同じことだと思うが?」
美琴「あら、ただ指定してもらっただけじゃないわよ?そのあの子達のお気に入りを借りて、そこから厳選したんだから」
上条「それでも同じことだろ?お前はあの子達が選んだといいつつも、結局は自分で育てて使ってる。変わらない厨パだ」
美琴「まだ気付かないの?私はあの子達のポケモンを親にしたのよ?言った通りあの子達はガチ勢とはほど遠い存在。当然、」
美琴「『夢特性』なんて、知らないわよね?」
上条「!!まさか……そのパーティで、夢特性なしで俺に勝つっていうのか!?」
美琴「そのまさかよ。全くあの子達が選んだポケモンでパーティ作るの、大変だったんだから」
美琴「でも……もしこれで勝ったなら、それは私のポケモンが勝ったんじゃない。あの子達のポケモンが勝った。そう捉えても間違いじゃないんじゃない?」
黒子「夢特性が……ない!?た、確かに御坂選手そういいましたよね!?」
初春「ええ。少なくとも私にはそう聞こえました……しかし、夢特性がないとなると…」
佐天「御坂さんのパーティは根本的に見方を変えなくてはいけませんね。まず夢特性がない、その発言が真実だとすると一番影響するのはおそらくファイアロー。メガシンカしたミミロップを抜ける手持ちが御坂さんにはいませんが、ファイアローで縛れていましたが、夢でないとその縛りはなくなってしまいます」
佐天「そのミミロップ、その他のポケモンにも対抗手段となりえるヤミラミも、夢特性でないとなると立ち回りも上手くいきづらいでしょうし……ゲッコウガに関しては夢特性+球でようやく火力が足りる、と言われている現環境ですから、さらに火力は免れません。かなり不利になるのは間違いなさそうですね」
>美琴「ポケモンっていうのは、みんなと一緒に楽しんで笑いあえるもの。そしてそれは見知らない人でも一緒。そうやって、どんどん友達も増えていくものなの」
シンジ「せやな」
シューティー「せやせや」
黒子「このような状況に自らを追い込みましたが……御坂選手の勝率というのはどのようになるでしょう?」
初春「はっきり言って、かなり勝ち目は薄いでしょうね。先ほどまでの試合を見ていると、読みは両者ほとんど互角。となると初めの選出での不利は、かなりの痛手と見ていいでしょう」
黒子「やはりこれは御坂選手、無謀といっても過言ではないのでしょうか……この最終戦、いったいどんなバトルを見せてくれるのか!!」
佐天「………………」
上条(……この様子…嘘はついてないように思える……本気で夢なしで俺を倒しに来ているのか……?なら選出自体はおのずと決まってくる……)
上条(…だが…もしもさっきの発言が嘘だったらどうなる?俺を掻き乱すためのフェイクだったらどうなる?夢でないことを前提とした構築では一匹でも夢がいた場合、読みが崩れるな……)
上条(特に厄介なのはそのうちの一体。こいつに限っては他の二匹と違って、夢を仮想として戦略をたてるのと通常を仮想として戦略をたてるのでは雲泥の差があるといっても過言じゃないほど)
上条(どいつにせよ、通常特性は夢の下位互換……このことに変わりはない…なら夢を前提として試合に挑むのも一つの手ではあるが……)
司会者「さぁ!!選出時間はもう30秒を切った!!」
上条(ちっ……もう時間が……仕方ない。仮に相手の手持ちが夢だった、を前提としよう。もし美琴の言ったことが真実だったのならば、そのときはラッキー、そう考えよう。こうすれば大きなミスはなくなる……)
上条(だが、確かに美琴は強くなっている。全力でぶつかったとき、俺自身美琴を負け勘定にいれて戦わなければならない程度に……)
上条(だが、負ける訳にはいかない。勝つ、絶対に---)
司会者「さぁ!!両者選出が決まった!!それでは最終戦レッツ……バァァトルゥゥゥゥ!!」
ワァァァァァァァ!!ワァァァァァァァワァァァァァァァ!!
美琴「随分なやんだわね。すぐに決めれるもんだと思ってたんだけど」
上条「……お前と違ってじっくり考えるタイプだからな」
美琴「はてさて、一体何に悩んでいたのやら」
上条「!!お前……やっぱり撹乱が……!!」
美琴「勘違いしないで。私が言いたいのはそんなことに悩む必要なかったのに、ってこと。言ったでしょ?私は別に勝ちが欲しい訳じゃない。あんたのその腐った考えを排除したいのよ。それにはたまたま勝利が必要だったってだけ」
上条「……ふん、どちらにせよ、お前が俺に勝つなどありえないさ」
美琴「あら、言ってくれるわね……なら、しかとその目に焼き付けなさい」
美琴「レベル5第三位--御坂美琴の全力全開、本気の戦闘(バトル)を!!そして、あんたを……昔の上条当麻に戻す!!勝ち負けよりも、もっと大切なものを持っていたあの頃のあんたに!!」
デッ デッ デッ デッ デッデデン デデン デデン デデデ-
チャララ- チャララ- チャララ- チャララ- チャララ- チャララ- チャ- チャ- ~
トウマ(ビリビリ)が勝負をしかけてきた!!
美琴
オンバーン「キャルキャルルル!!」
上条
サーナイト「サーナー」
黒子「最終戦、初手は御坂選手がオンバーン、上条選手はサーナイト!!」
初春「初手対面は確実に上条選手有利ですね。特殊耐久に秀でたサーナイト、対するオンバーンは特殊アタッカーですが火力が足りないので、どちらかと言えばその最速ドラゴンである足をいかしてすり替えやおみとおし、いかりのまえばなどを多様するサポート型や、俗にいうラストに残してHPの削られた相手をもっていく、抜きエースに近い役割でしょう」
佐天「しかしオンバーンのおみとおしの発動がありませんでしたから、特性はもう一方のすりぬけとなります。そうなると必然的にアタッカーの線が濃くなりますね。わざわざサポート型で壁をすり抜ける必要もありませんかり。おそらく二人とも、この辺りは分かってここから先戦略を建てていくと思います」
2ターン目
美琴
オンバーン、交代!戻れ!
ゆけっファイアロー!
ファイアロー「ピェェェェ!!」
上条
サーナイトのムーンフォース!
効果はいまひとつのようだ……
ファイアロー HP 7/8
サーナイト HP 8/8
上条「来やがった……!!」
上条(こいつだ…夢特性の有無で俺の戦略を根底から覆す、その最たる一匹……!!どうする……!!)
黒子「ここは御坂選手、オンバーンを引いてファイアローを繰り出しました」
初春「その判断自体に間違いはないでしょうね。ムーンフォースを半減で受けることができましたし」
佐天「問題は、このファイアローが「夢特性」かどうか……」
黒子「夢特性「はやてのつばさ」だった場合、ファイアローの放つ飛行技はすべて優先度+1。先制技と考えなくてはなりません」
初春「そうなると、上条選手の手持ち、すべてが上から殴られる……少なくとも一撃を貰う、最悪道具によっては耐久が薄いとそのまま持っていかれると思われるのも何体かいますし……」
佐天「ここは心理戦ですね。少なくとも、御坂さんが何を考えていようと、上条さんの表情を見るかぎり、判断は決まっているようですが」
上条(どうする……って今さら悩んでも仕方ない。最初に決めた通り、夢特性を前提として戦略をたてる……!!)
上条(となると、ここは……)
美琴(……表情に迷いがない。もう夢特性がどうので悩んではいないみたい)
美琴(別に動揺とか狙った訳じゃないんだけどなぁ……普通疑うわよね)
美琴(でも信じるも信じないも、私は私の闘いをする……!!)
佐天(御坂さんの表情も変わった……どちらも、すでに覚悟は決まってる。もう心理戦なんて関係ない)
佐天(ここから先は、ただただ通常のポケモンバトル……読み勝ったものが勝者、それだけの試合。けど賭けているものが単純な試合とは全く異なる)
佐天(さぁ、どっちがその誇り、信念を貫けるかな?)
上条(このサーナイトはシンクロからのラム型、確実にSは抜かれてる……ならあえて……)
3ターン目
美琴
ファイアローのとんぼがえり!!
ファイアローはビリビリの元へ戻ってゆく!!
任せた!オンバーン!
上条
サーナイトの10まんボルト!!
オンバーン HP 5/8
サーナイト HP 6/8
美琴(!!読み間違えたか……)
佐天「あー、これは御坂さん、失敗しましたね」
黒子「?別段ミスはないと思いますが……」
初春「おそらく交代読みのとんぼだったんでしょうが、居座られた。逆に交代先のオンバーンはそこそこのダメージを負う」
佐天「さらにあれだけのダメージ量、しかし珠ダメの表記はない。すなわち、ファイアローの持ち物は鉢巻き。ここまで読み取られますよ」
初春「そして鉢巻きとなると、いくらHB調整してもサーナイトなら確1で持っていく火力がありますから、御坂選手少し有利になるチャンスを逃しましたね」
黒子「逆に上条選手は何故居座ってきたのでしょう?」
佐天「ファイアローを物理受け、少なくともブレバ一発は耐えられると読んだ、サーナイト捨ての方が都合がよかった、交代読み居座り、のいずれかだと思いますが……最後のはないでしょうね、10万うって確実に落としに来てますし。濃いのは耐えワンチャンだったと思いますよ。今の環境、鉢巻きや珠アローあまり見なくなりましたから。まぁここは本人以外分かりませんね」
4ターン目
美琴
オンバーンのばくおんぱ!
上条
サーナイトのムーンフォース!
効果はばつぐんだ!
相手のオンバーンは倒れた!
オンバーン 瀕死
サーナイト HP 3/8
美琴
あと少しだ!頑張れ!ファイアロー!
5ターン目
上条
戻れ!サーナイト!
任せた!ロトム!
ウォシュロトム「ロトトトト!!」
美琴
ファイアローのとんぼがえり!
ファイアローはゴツゴツメットでダメージを受けた!
ファイアローはビリビリのもとへ戻ってゆく!!
任せた!クチート!
クチート「クチィィィィト!!」
クチートのいかく!
相手のロトムの攻撃が下がった!
クチート HP 8/8
ウォシュロトム HP 7/8
美琴(物理受けロトム……!!まずいわね……)
上条(……上手く回ってる、狙い通り……)
黒子「この2ターン、かなり展開が進みました」
初春「捨てるかのように見ていたサーナイトもようやく5ターン目で退いて来ました。対して4ターン目、そのサーナイトに美琴選手、オンバーンをやられてしまいましたが……」
初春「後の祭ですけれども、オンバーンがやられたのは手痛いですね。残りの美琴選手の手持ちはどちらも物理アタッカー、対するのは物理受けのロトム。かなり上条選手に流れが傾きました」
初春「今の2ターン、御坂選手少しミスが続いてしまいました……ここからどうたち直せるか……」
佐天(……違う……ミスじゃない)
佐天(4ターン目、御坂さんが居座ったのは交代読みムンフォ読みの居座り。さっきファイアローを見せて鉢巻きまでばれているからこそ、次でサーナイトはやられるぞ、というファイアローの影をちらつかせた、少しミスをした後とは思えない深い読み)
佐天(対する上条さんは、どうしてもこの状況を作りたかった。サーナイトでオンバーンを突破するというこの状況を。そのために居座ったんだ。もしファイアローに交代されたら、それこそとんぼでロトムがオンバーンと対面する、最悪な状況が生まれるかもしれない中で、あえて選んだ居座り)
佐天(たまたま、たまたま上手く上条さんに軍配があがっただけ。読んで読んで読んで読みあって生まれた結果は、ミスなんかじゃない。今、読みの精度が二人ともピーク。そんななかで、御坂さんの読みは負けてない。むしろ押されていた状況でここまでの読みができる……ポテンシャル的には上条さんよりも……)
佐天「……ほんと……血が騒ぐよね……」ザワ
初春・黒子「!!」
佐天(おっと……ついつい熱が入っちゃった……今の私は解説者だよね)
初春(今一瞬……ほんの一瞬だけ佐天さんから…)
黒子(不思議な気配を感じましたわね……)
6ターン目
上条
戻れ!ロトム!
いけ!サーナイト!
美琴
クチートのクチートナイトとビリビリのメガバンクルが反応した!
メガクチート「クチィィィィトォォ!!」
クチートはメガクチートにメガ進化した!
クチートのじゃれつく!
相手のサーナイトは倒れた!
クチート HP 8/8
サーナイト 瀕死
上条
いけ!ミミロップ!
ミミロップ「キャルロォォン!!」
黒子「ここは上条選手、サーナイトを捨てに来ました」
初春「後続にいるミミロップの無償降臨のためでしょうね。ロトムのボルチェンではクチートの一撃がミミロップに入ってしまいますし、そうなるとメガシンカする前に吹っ飛ぶ可能性もありますから」
黒子「となると、役割の少ないサーナイトを捨てるのは必然だった訳ですか」
佐天「ただ、ミミロップもはっきり言って対面がいいわけではありませんよ。ただサーナイトよりは役割があるってだけで、ロトムを居座らせたまま、ってのもまだありだったでしょうし」
佐天「それに、ミミロップが出てきたことで、お互いに勝ちパターンがはっきりしましたね」
黒子「勝ちパターン?」
佐天「はい、簡単な話ですよ。残り一体のとき、ミミロップとファイアローだったらどう足掻いても先に倒れるのはミミロップ。逆に、ロトムとファイアローならロトムが確実に勝利を掴む。またロトムとクチート対面でもかなり上条さんが有利になる。これが両者が互いに望む勝ちパターンですね」
黒子「つまり、これから先の読み合いは、いかに自らの勝利への障害--上条選手ならどちらか一方、とくにクチートを、御坂選手ならロトムを排除できるか、ということですね?」
佐天「ええ。ただ二人ともかなり読みが高いですから、もう一つ、別の対面になる可能性もありますが」
黒子「と、いいますと?」
佐天「最後の対面が、クチートとミミロップになる場合ですね。この場合は御坂さんが有利なように思えますが、それまでの状況によって大きく変わりますから、まだなんとも言えません。が、二人ともが最善の読みを打ち合ったのなら、ここにたどり着くんじゃないかな、と感じますね」
美琴(どうにか最善の状況には持ち込めた……この先のミスは本当に命取りになる……!!)
上条「……焦っているのか?汗が止まっていないぞ?」
美琴「うるさいわね……何、動揺させるつもり?いまさらそんなことで怯む私じゃないのは分かっている、と思ったんだけど」
上条「本当に、そうならいいんだけどな……」
美琴「……っ……」
佐天(……と、五分五分っぽく解説してみたけど、はっかり言って御坂さんのが普通に不利なんだよねぇ)
佐天(まぁ本人達も気づいてると思うけど、上条さんはロトムがいれば、御坂さんの二体とも相手どれる……いくら高火力のクチートと言えど、鬼火がはいっちゃえばかなり無力になっちゃうから)
佐天(まぁ現環境の物理アタッカーの宿命だね。物理がインフレし過ぎたから、鬼火持ちが増えてる今、その筆頭者であるロトムはやっぱりちょっと厳しい)
佐天(オンバーンが残っていれば……て私でも思っちゃうなこの状況じゃ)
7ターン目
美琴
クチート、戻れ!
いけ!ファイアロー!
上条
ミミロップのミミロップナイトとトウマのメガバンクルが反応した!
メガミミロップ「キャルロロォォォン!!」
ミミロップはメガミミロップにメガ進化した!
ミミロップのねこだまし!
ファイアロー HP 3/8
ミミロップ HP 8/8
8ターン目
上条
もどれ!ミミロップ!
いけ!ロトム!
美琴
ファイアローのブレイブバード!
効果はいまひとつのようだ……
ファイアローはゴツゴツメットでダメージをうけた!
ファイアローは攻撃の反動をうけた!
ファイアロー HP 1/16
ロトム HP 4/8
黒子「さぁ、ここは両者スタンダードにターンを終えました」
初春「7ターン目、ねこだましで無償でメガシンカをミミロップがするタイミングでファイアローに交代、8ターン目、ファイアローがミミロップを突破しようとしたところでロトムに交代」
初春「交代読みを完全にしていない手ですね。まぁ交代を読んだ上での最高の手かもしれませんが」
佐天「そうですね。どちらのターンも上条さんが最良の手を打っているので、御坂さんは不本意ながらも先ほどの交代を選択するしかなかった……」
黒子「と、いいますと?」
佐天「ねこだましは受けたら必ず怯みますから、クチートを居座らせるのは1ターン無駄にするのと同じ。ならばミミロップの対抗策であるファイアローを出そう、と考えたんでしょう。次に倒しにいくぞ、って牽制ですかね。苦しい一手ですが、おそらくこれが最善です」
黒子「しかし、そうなるとクチートがねこだましを受ければどうなのでしょうか?ダメージ自体は確実に少なく抑えられますし、なによりクチートでもミミロップを一撃で倒せます。牽制には充分ではないのですか?」
初春「そこが少し考え所なんですよ。仮にクチートが居座ったとして、おそらく次のターン、ミミロップは居座ります。そしてとびひざげりか何かをうち、ロトムの攻撃圏内にいれる。こうなってしまえば詰み」
佐天「たとえとびひざげりが外れてミミロップがやられても、ロトムには鬼火があります。この場合はファイアローに交代することで鬼火の無効を狙ったりも出来ますが、やはり美琴さん不利な読み合いです」
黒子「と考えると、クチートの居座りはそのターンだけで見るならいい、しかし先を見据えたときには悪手である、と言うわけですね?」
佐天「はい。先ほどいった通り、この状況が御坂さんにとっては苦しいながらもまだ希望--比較的不利ではない読み合いが出来る、最善の状況です」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません