・ラブライブ!SSです。
・コメディ重視で書きますのでキャラ崩壊はご容赦ください。
よろしくお願いします。
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海未(私は園田海未、音ノ木坂学院に通う高校二年生です)
海未(今日は日曜日で、幼馴染の高坂穂乃果の家に遊びに来ています)
海未(穂乃果の家は和菓子屋で、お饅頭が絶品なんです)
海未(と、それはいいとして)
海未(当の穂乃果ときたら、私を呼びつけておきながら店番でいなくなるなど…)
海未(全く…困ったものです…)
海未(…………しかし…今はチャンスです…)
海未(……今こそ…私の待ち焦がれていた瞬間…至福の時…そう…)
海未「んっほおおおおおおおおおおおお!! んほほほんほおおおお!!!」
海未(穂乃果の部屋で奇声をあげる時間なのです!!!)
海未「んんんんんんんんほほっほほほほほほおおおん!!!」
海未「あはああああああああああああ!!!!!」
海未「ぶふふふふふっふふふふfぉあ!!! ごごごごんむぐ…カッ! ゲホア!ゲホア!」ゴホゴホ
海未「ゴホ! ゴホア!!!!!!!! ウウ~ッ!!!!!!!!!!!」
海未「…………ふう」
海未(……っ最高です!)
海未(最高です!! 穂乃果は最高です!!!!)
海未(獣に身を落とす背徳感…そして絶対にバレてはいけないスリル…たまりません)
海未(これらを混然と宿した邪悪な快楽が、芳醇な香りのごとく体に広がります…)ゾクゾク
パタパタパタ
海未(……むっ!! 足音!! 焦らず、何事もなかったかのように姿勢を直して…)
パタパタパタ ガラッ
穂乃果「海未ちゃん!! 今なんか思いっきり咳してなかった!? 大丈夫なの!?」
海未「…? どうしたのです穂乃果、私は何ともありませんが」キリリ
穂乃果「あ、あれ…? 私の勘違いかな…」
海未「そうですよ、犬の鳴き声でも聞き間違えたのではないですか?」
穂乃果「ええ~? う~ん…?」
穂乃果「…まあそうだね、海未ちゃんがあんなお下品な咳するわけないし」
海未「…まったく穂乃果は」ハァ
穂乃果「ごめん海未ちゃん! もうすぐで店番終わるからあと少し待っててね!」
パタパタパタ
海未「……」
海未(計画通り)ニタァ
海未(やはりあれだけ激しく咳をすれば、一階のお店まで聞こえてしまうのですね)
海未(つまり裏を返せば、あの程度まで大声を出さない限り私の声は穂乃果に聞こえることはない…)
海未(我ながら絶妙なさじ加減です…腕は衰えていませんね、ふふふ)
海未(私がこのような異質な行動を始めたのはこの春からです…)
海未(その日もまた穂乃果は店番で…、私はこの部屋にひとり残されました)
海未(気付くと私は、魔が差したのでしょう、姿見の前でポーズを取っていました)
海未(いつもの私なら決してそのようなことはしません、きっとその時はたまたま魔が差したのです)
海未(魔が差したのです…)
海未(しかも運の悪いことに、そんな場面を花陽に見られるという失態まで…)
海未(ただ、そのとき私は感じてしまいました…)
海未(羞恥、恐怖、焦燥、後悔…、そういった負の感情が放出される刹那…)
海未(そのような一種の精神的極限状態において生まれる、この上ない『快楽』を…)
穂乃果「かいらく?」
海未「ドゥン!!!!!???」ビクゥ
海未「ほほほほほほほほほほほほほほほほほ&%$#*Д+か!?」ドキドキドキドキ
穂乃果「そんなびっくりしなくても…、あと『の』くらい発音してよ」
海未「ほ、穂乃果いつから…?」
穂乃果「ついさっき! でも海未ちゃんなんだかぶつぶつ独り言いってるし」
海未「あ、そ、そうですか…」
海未(ふう、どうやら私の変質行為についてはバレてはいないようです)
穂乃果「で、海未ちゃんはさっき何考えてたの? なんか難しいこと言ってて、あと『かいらく』?って?」
海未「ええ、それでしたら…」
海未「『すかいらーく』グループのことを考えていました、よく見るファミリーレストランの親会社です」
穂乃果「????」
海未「現代資本主義社会と外食産業の関係をですね」
穂乃果「そ? そうなんだ??? そいつはすごいね??? (何言ってるかわかんないよ)」
海未(今日はすらすら嘘が出てきますね…、ふふ、ちょろいです)
穂乃果「あ、そうだ、お待たせしたお詫びにこれ持ってきたんだ! じゃ~ん」
海未「こ、これは!! ほむまん!! ほむまんじゃないですか!!」
穂乃果「海未ちゃん、これ好きだったよね~、遠慮せず召し上がれ」
海未「あああ! 穂乃果は最高です! では早速……あっ」
穂乃果「?」
海未(せっかくのほむまん…、できることなら最大限心ゆくまで味わいたいです)
海未(しかし…、先ほどびっくりしすぎたせいか心拍が落ち着きませんね…)
海未(ここは優雅に奇声でも一発かましてリラックスするのが上策…、ただそれには穂乃果が…)
海未(よし…!)
穂乃果「海未ちゃん? どうしたの?」
海未「穂乃果、悪いですけどお茶を淹れてきてもらえませんか? やはりお饅頭にはお茶がないと」
穂乃果「あっ!! そうだよね~ごめんごめん! ちょっと待ってて~」パタパタ
ガラガラ ピシャン
海未「………」
海未「………20秒経過」
海未「…そろそろ穂乃果が一階の台所まで行った頃でしょうか」
海未「周囲に人影なし」バッ
海未「外に通行人なし」バッ
海未「穂乃果なし、ことりなし、花陽なし」バババッ
海未「園田海未、行きます!!」スゥゥウ
海未「んほほおおおおおおおおおおおおおおううう!!!んほ!!ぬほ!!あっほおおおおおおう!!!」
海未「………っ!! くぅ~たまりません!! この一叫のために生きてるって感じで…」
ドン!! ドンドンドン!!
???「ちょっとおねーちゃん!? さっきからうるさいんだけど何やってんの~!!!?」
海未「んほお!!????????????」
海未(そ、そんな!! 聞いていないですよ、雪穂がいるなんて!!)
雪穂「おねーちゃーん!?」ドンドン
海未(あ、あああああ!! まずいですよ!! まずいですこれは本当に!!)
海未(ど、どどどどうすれば…!? とにかく隠れる場所を…)
海未(いや…隠れるのはダメです、そのうち穂乃果が戻ってきてしまいます…!!! どうする…!?)
海未(ワオ…どうしようか…ドリームズカムトゥルー…、って歌っている場合では…はっ!?」
雪穂「ねえー!! おねーちゃん大丈夫!? 開けるよ!」ガタッ
ガラガラ!!
雪穂「おねーちゃんあのさ~! って!? えっ…?」
海未「ハイ!ハイ!スーパージャンプ! オーイエー!スーパージャーンプ!!」ピョンピョン
雪穂「…? 海未…さん…?」
海未「あら雪穂、お邪魔しています」ニコッ
雪穂「えっ…!? あの…えっと…?」
海未「これは恥ずかしいところを見られてしまいました」
海未「実は新曲の振り付けを考えていたんです、騒がしかったですよね…」
雪穂「あっ…! そうだったんですか、い、いえいえとんでもないです…!!」
雪穂「あ、あれ? でもさっき、なんか『んほおお』とか『ぬっほおお』って気持ち悪い絶叫が…?」
海未「ああ、それは発声練習です」
雪穂「発声練習…?」
海未「はい、プライマルスクリーム法と言って、あのジョン・レノンも取り入れていたそうなんです」
雪穂「へえ~そうなんですか! さすが海未さん!」
海未「とんでもありません」
雪穂「すいません、私知らずに、『頭がイカれた人の声がする!!!』とか思っちゃって」
雪穂「活動、がんばってください!!」
海未(ふふ、ちょろい姉妹です)
<翌日 音ノ木坂学院 教室>
教師「え~、"shout"と"scream”の微妙なニュアンスの違いですが…」
海未(はあ…授業が耳に入りません…)
海未(昨日の高坂家での絶叫があまりにも素晴らしすぎたせいでしょうか…)
海未(あのシチュエーション、そして思わぬアクシデントも全てがプラスに働きました…)
海未(ああ!! 思い出しただけでまた叫びたくなってきます…!!)
海未(叫びたい…、んっほおおおおおおおおおおおと叫びたい…)
教師「……さん、…田さん、」
海未(我慢…できそうにないですね…ンホりたい…はやくンホらないと)
教師「園田さん!!」
海未「んほお!!」ビクゥ
教師「んほお!?」
海未(しまった、思わず!)
教師「ど、どうしたんですか園田さん」
海未「あ、いえ、少しのどが痛くて」
教師「あ、ああそうよね最近乾燥しているし…」
海未「すみません、うがいをして来ます」
教師「わかりました、体調が悪ければ無理はしないようにね」
海未「はい」
ガタッ スタスタ
海未(計画通り…)ニタァ
海未(これで3分稼ぎました)
海未(そして学院の中で気持ち良く叫べるところといえば…、あの場所…!!)ダッ
<音ノ木坂学院 屋上>
ダダダダダッ ガチャ バァン!!
海未「はあっ…! はぁっ…!」ゼエゼエ
海未「すううううっ…はあああああっ…」
海未(ああ! この開放的な空気!! やはり屋上は最高です!!)
海未(さて…なるべく見つからない場所に…って口が勝手に…)
海未「ん…! んほ…! んんんんっほっ…!!」
海未(くっ…喉の制御が!? 叫びが先走って!!)
海未(先ほどの授業中に中途半端にンホってしまったから…!? なら…いっそこのまま!)
海未「んっほおおおおおおおおおおおほっほおおおおおおおおおおおおんんん!!!!」
海未「んんんんんんんんんんんんっほおおおおおおお………っしゃぁあああ!!!!!」
海未「………ッ!!!!」ガクガク
海未「グレイト!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
海未(素晴らしいです!! 今のは私の人生の中でもベストかもしれません!!)
海未(この勢いのままもう一叫…)
海未「んっほ……」
体育教師「誰だ! 屋上で大声出してるやつ!!!」
海未「んほお!?」
体育教師「今は授業中だぞ!! どこのクラスだ!!!」
海未(んほおおおおおおおおおお!?)ドキドキドキドキ
海未(いけません!! 校庭に体育の先生がいるなんて盲点でした!!)
体育教師「おい!! 屋上にいるやつ!! 顔を見せろ!!」
海未(!?)
海未(よかった、顔は見られていないみたいですね!?)
海未(こんなことバレたら大変です…!)
海未(よりにもよってμ'sの真面目担当である私が…!!)
海未(まあ顔が割れなかったのは幸運でした)
海未(今すぐ教室に戻れば問題ないでしょう…)コソッ
海未(………しかし)
海未(……このシチュエーション)
海未(叫びたい……)
海未(許されない状況でこそ燃えてくるんです…)
海未(壁は…壊せるもの…倒せるもの…)
海未(……!!)キッ
海未(園田海未、勇気で未来を見せます…!)
海未「OOOOOOHHHHHHH YEAHHHHHHHHHHHHHH !!!」
海未「ンホオオオオオオオオオオオオオイエエエエエエア!!」
海未(ああああ!! 最高すぎて頭がフットーしそうです!!!)
体育教師「!?」
体育教師「また大声を…!!」
海未「一進一跳ああああああああああ!!!!!!!!」
体育教師「これは…μ'sの曲…」
体育教師「おいお前!! もしかしてμ'sのメンバーなのか!!!!」
海未(ああああああああああああああバレたああああああああ!!)
海未(まずい…何とかごまかしを…)
海未「ハラショオオオオオオオオオオオオ!!」
体育教師「!?」
海未「にっこにっこにああああああああああああ!!」
体育教師「こ…これは…」
海未(よし…このくらいにして…)
海未(逃げます…!!)ダッ
海未(これでカムフラージュは完璧です!!)
体育教師「あの大声の主…口癖から判断して3年の絢瀬と矢澤…!?」
体育教師「………!」
<放課後 音楽室>
凛「にゃ~!! 絵里ちゃんとにこちゃん遅いにゃ~!!」
絵里「ごめんね、先生に呼び出し受けちゃって」
花陽「ヨビダサレチャッタノォ!?」
穂乃果「絵里ちゃんがお説教? 珍しいこともあるんだね」
にこ「ホント、絵里のせいで時間食ったわよ」
絵里「いやだから私は何もしてないって…」
希「まあまあ、ええやん?」
海未「ちょっと!! 何を雑談しているのです!! あなたたち!!」
穂乃果「げげげげっ!!」
海未「ほら発声練習いきますよ!!」
凛「厳しいにゃ~」
絵里「ふふ、やっぱり海未は頼りになるわ」
海未「では全員ピアノの前に並んでください!」
全員「はーい」
海未「では発声いきますよ、せーの…」
海未「ヴォエエエエエエエエエエエエエエ!!!」
全員「!!!!?」
花陽「ヴォ、ヴォエエエエエエ!」
凛「かよちん真似しちゃダメ! 喉をつぶすにゃ!!」
絵里「ちょっ…!? どうしたのよ海未!?」
真姫「全く…何ふざけてるのよ」
ことり「ウミチャン!!」
海未(はっ…! 私は何を…!?)
海未「す、すみませんつい…」
穂乃果「珍しいね、海未ちゃんがあんなお茶目なことするなんて」
希「それにしてもいいデスボイスやったね」
にこ「これじゃラブライブ!じゃなくてデスボイス!に出場しちゃうわよ」
凛「…今のはちょっと寒くないかにゃ?」
花陽「スベッチャッタノォ!?」
にこ「……」
海未(まずいです……)
海未(気を緩めると思わず叫んでしまいます…)
海未(ここのところ無茶な叫び方を続けてきたせいで)
海未(脳のリミッターが外れかけているとでもいうのでしょうか…?)
海未(とにかくこの場はうまくごまかして…)
海未「じ、実は最近取り入れたボイストレーニングなんです!」
にこ「あんなドスの利いたボイトレ聞いたことないわよ!」
海未「うっ」
真姫「まあでも確かに、海未はここ最近で歌が相当上達したわよね」
海未「!」
穂乃果「そうそう! 私も同じこと思ってたんだ~!」
穂乃果「何ていうのかな、濃厚で情感たっぷりになった?っていうか」
穂乃果「歌声に魂が宿ってる感じに聞こえるんだよ!!」
海未「!!」
真姫「陰で努力するのはいいけど、あんまり無理しないでよね」
ことり「ウミチャン!!」
海未(ううっ…みんなの優しさが逆につらいです…)グス
海未(ここ最近…調子に乗って少し叫び過ぎたのは反省です…)
海未(決めました…、園田海未…本日をもってンホンホ絶叫活動を終了します!!!)
<翌日>
穂乃果「海未ちゃんおっはよ~!」
海未「おはようございます、穂乃果」
穂乃果「見てよ、コンビニで新作のパンが売ってたんだ~!」
海未「もう、食べ過ぎは禁物ですよ」
海未(……)
海未(もう絶叫なんてしない、と昨日決めたばかりですが…)
海未(限界!!! 限界です!!!!!!!!!!)
海未(ああああああああ叫びたい!!!!)
穂乃果「あっ、ことりちゃん来たよ! お~いこっちこっち~!!」ブンブン
海未「ことりイイイ!!! こっちですよォオオオオオオオ!!」
穂乃果(海未ちゃん声でかっ!?)
ことり(ウミチャン!?)
海未(今のは奇声ではないのでセーフです!)
<音ノ木坂学院 教室>
教師「えー、麻薬には依存性があり、一度だけの使用でも取り返しのつかないことが…」
海未(うう…授業が頭に入りません…)
海未(やはり今朝思わず大声を出してしまったのがまずかったですね…)
海未(不完全燃焼でモヤモヤします…)
海未(叫びたい…、んっほおおおおおと叫びたい…)ソワソワ
海未(ああ…ああ…)ソワソワ
教師「はい、ソワソワしてる園田さん、教科書の続き読んでー」
海未「あっはい!!」
海未(くっこのタイミングで…!! いや、落ち着くのです海未、落ち着いて読めば…!)スーハースーハー
海未「……ふぅ」
海未(よし! 煩悩は消え去りました! これなら読めます!)
海未「『第2章 ドラッグと依存症』」
海未「一度薬物んほお!!をやめたつもりになってもんほお!」
海未「強い欲求や渇望ンホォ!!に襲われ再び手を染めてしまう例が多くんほお!!」
教師「そ、園田さん、語尾が変ですが…?」
海未「い、いえ!! これは…しゃっくりです!!」
教師「そ、そう…?」
穂乃果・ことり「……?」
<昼休み 屋上>
海未「結局、ここに来てしまいました…」
海未「1日叫ぶのを我慢して思ったこと…それは…」
海未「この欲求に逆らっていては日常生活に支障が出てしまうということです」
海未「昔の人は言いました、『ツイスト・アンド・シャウト(踊って叫べ)』と」
海未「それでは本日も叫ばせていただきます…」
海未「……!」スゥウウウウウ
海未「んっほ…」
???「やめなさい! 海未!!!!!」
海未「…!!!!!!!!!!」ビクン
絵里「それ以上いけないわ、海未」
海未「絵里…」
にこ「やっぱりね…こうなんじゃないかって思ってたわ」
海未「にこ…!」
海未(くっ…どうしてバレたのです…)
絵里「海未、あなた…」
海未「ど、どうしたのです…私はただ、外の空気を吸いに来ただけですが…」
にこ「言い訳が下手ね、もうネタはあがって来てんのよ」
にこ「私たちがここ屋上に上がってきたようにね」
海未「……?」
絵里「屋上は…寒いわね…」
にこ「……」
絵里「この前、私たちが先生に呼び出されたのは知ってるわよね?」
絵里「授業中に屋上で大声を出してるμ'sのメンバーがいて、それが私とにこじゃないかって」
絵里「でもね、あの先生、μ'sのファンだったのよ」
海未「…!」
にこ「それで、話を聞いていくと驚くべきことがわかった」
にこ「私と絵里ははじめから疑われてなんかいなかった、先生はあなたが犯人だと見抜いていたわ」
にこ「それはね、海未ちゃん、あんたが先生の推しメンだったからよ」
海未「えっ…?」
にこ「先生はこう言ってたわ、『俺が海未ちゃんの声を聴き間違えるはずがないんだ!』」
にこ「『海未ちゃん! 海未ちゃん! んほおおおおおおおお!!』ってね」
にこ「そう、リピート再生で耳に染みついた推しメンの声に気付けないファンなんてね、いないのよ」
海未「そんな…」
海未「それで…2人は…私をどうするのです…」
海未「μ'sの真面目担当である私が…こんな変態行為をしていると晒すのですか…」
海未「twitterにアップするのですか…変顔コラ画像を作るのですか…」ブツブツ
海未「私の責任ですし…仕方ないことですが…」
にこ「はあ? そんなことするわけないじゃない」
海未「えっ?」
絵里「別にあなたのやってることを変態行為だなんて私たちは思っていないわ」
絵里「ただね、海未、あなたのはやり方が少しまずいわよ」
絵里「いい? 次の質問によく考えて答えて」
絵里「あなたが叫んでいたのは、何のためなのかしら?」
海未「……?」
絵里「話はこれで終わり」
絵里「私は、にこともう少し残るから、海未は行っていいわ」
海未「…はい」
スタスタ バタン
絵里「お説教みたいなことしちゃったわ」
にこ「壁は壊せるものよ」
絵里「さて、じゃあ私たちも」スゥウウウウウ
にこ「久しぶりにね…」スゥウウウウウ
絵里「ハラショオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
にこ「にごおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
教師「おい誰だ!! うるさいぞ!!」
絵里「あらあら」
にこ「バックレるわよ!!」ダッ
<夜 園田家>
海未(……)セイザ
海未(何のために私は今まで奇声をあげてきたか…)
海未(何のため……)
海未(それは…自分の快楽のためです…)
海未(奇声を発するという行為に背徳感やスリルを求めていたから…)
海未(だと思っていたのですが…)
海未(何でしょう…何かが足りない…?)
ヒタヒタ
海未(…! 誰か来る…お父さん…?)
海未パパ「海未、お客さんだ」
海未「お客さん?」
海未パパ「ああ、道場破りのようだが」
海未「どうして日本舞踊の家元に道場破りが来るんですか!?」
海未パパ「ほら、玄関先から聞こえるだろう」
海未「ええっ?」
ファイトダヨオオオオオオオオオオ!! ファイトダヨオオオオオオオオオ!!
海未「!?」
海未「これは…」
穂乃果「ファイトだよおおおおおおおお!!!」
ガラガラ
海未「どうしたのです、もう夜ですよ!?」
穂乃果「あっ!! 海未ちゃん!!」
ことり「ウミチャン!!」
海未「穂乃果、ことり! それに他のみんなも…!」
凛「海未ちゃん家の稽古場でボイトレができるって聞いたにゃ~!!」
花陽「よろしくお願い…します…!」
海未「ええっ、そんなこと言った覚えは…」
絵里「悪いわね、お邪魔するわよ」
海未「絵里…、まさかあなた…」
絵里「ふふっ、ご指導よろしくね♪」
<園田家 稽古場>
穂乃果「さあ! 準備できたよ海未ちゃん!」
海未「は、はい…」
真姫「早くレッスン始めてよ、私楽しみにしてるのよ?」
凛「そうにゃそうにゃ!!」
海未「で、ですが…、私に教えられることなど…」
にこ「何言ってるのよ、いつも通りやってくれればいいの」
希「スピリチュアルパワー注入しよか?」
絵里「その必要はないわ、希」
絵里「海未のパワーは十分溜まってる、あとは解放するだけよ」
海未(…どういうことなのです)
海未「では…発声を始めます…」
海未(………)ドキドキ
海未(な…なぜでしょう…この胸の高鳴り…)
海未(奇声を上げる姿など…他の人に見られたくはなかったのに…)
海未(私の心は今、むしろ見られることを望んでいる…!?)
海未「ンホオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
海未(!!? この高揚感・解放感…普段とは比べものにならないっ…!?)
海未「ホオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
海未(ああ…! わかりました…私は…私は自分を…ありのままの姿を…)
海未「ンッホオオオオオオオオオオオオオオンンンンッハァ!!!」
μ's8人(………!!!)ビリビリ
海未(みんなに知ってもらいたかったのですね…)
シーン
穂乃果「…う、海未ちゃん」
海未(やはり…ドン引きでしょうか…)
穂乃果「すっっっっっごいよ!!!!」
海未「!!」
花陽「か、感動しました!!」
凛「かっこよかったにゃ~!!
希「壁のように重厚で存在感のある音圧…まさにあれは有名な…!!」
真姫「『ウォール・オブ・サウンド』ね、新曲のアイデアが湧いてきたわ!!」
ことり「海未ちゃん、大好きっ!!」
絵里「ハラショー!」
海未「み、みんな…!」
にこ(そう、よく気づいたわね)
にこ(アンタはバレる寸前のスリルを楽しんでたんじゃない、本当はバレたかったのよ)
にこ(真面目キャラとか良識キャラって枠にとらわれる必要なんてない)
にこ(よく自分の殻を破ったわね)
にこ(本当のμ'sのスタートはこれからよ! 『殻』だけにね!)
ビュウー
花陽「あっ、すきま風が!」
凛「ちょっと寒くないかにゃ~?」
にこ(……)
<数週間後 ラブライブ!本大会会場>
海未「ラブライブ!本大会…」
穂乃果「私たち…ついにここまで来たね…」
絵里「ええ、ここでベストを尽くして…優勝よ!!」
花陽「うう…緊張する…」
凛「大丈夫、今日まで凛たちは充分練習してきたにゃ!!」
希「そうやね、神様も見てくれとるはずや」
にこ「ふん、にこはいつも通りやるだけよ」
真姫「私も、いつものパフォーマンスをやれば負ける気がしないわ」
ことり「みんな、がんばろうねっ!!」
穂乃果「よ~し!! 私やる! やるったらやる!! シャウトだよっ!!」
全員「お~っ!!」
海未(ファイトじゃなくてシャウトなのですね)
穂乃果「みなさん、こんにちは! μ'sです!!」
ウオオオオオオオオオオオオオオ キャアアアアアアアアアアア ミュウウウウウウウウズウウウウウウウ
海未(す、すごいお客さんの数です…)
穂乃果「今日は、私たちのステージに来てくれてありがとうございます!」
穂乃果「μ'sは、ここ最近で大きく成長しました!」
穂乃果「それは、もちろん技術的な面というのもありますが…」
穂乃果「それ以上に、メンバーの気持ちがより一つになったことが大きな進歩です!」
海未(穂乃果…)
穂乃果「私は、私たちを、μ'sを信頼して、心を開いてくれたメンバーを誇りに思いますし」
穂乃果「本当の心でみんながつながり合う、そんなμ'sというグループを何より、何より誇りに思います!!」
穂乃果「だから、だから私は…!!」
海未(穂乃果…!!)
海未「……っ!!」バッ
海未「みんな!! ありがとおおおおおおおおおお!!!」
穂乃果「う、海未ちゃん…!?」
海未「ありがとおおおおおおおおおおおお!!!」
ザワザワ ザワザワ
客A「お、おい…、海未ちゃんが叫んだぞ!」
客B「おしとやかな海未ちゃんが大声で叫んだ!」
客C「ああ…海未ちゃんがこんなに気持ちをぶつけてくれるなんて…」
体育教師「うーみ!!!!!!!! うーみ!!!!!!!!!!!」
穂乃果「みなさん!! μ'sはこれからが本当のスタートです!!」
穂乃果「そんな私たちの始まりの歌、聞いてください!!」
穂乃果「START:DASH!!」
ポロロン ポロン
ポロロン ポロン
ポロロロロ ポロロロン
海未(アイセエエエエエエエエエエエエエエイ!!)
海未(…といつもなら叫ぶところですが今日ばかりは我慢できません!)
海未(叫びたい…大勢のお客さんの前で…)
海未(んほおおおおおおおおおおおと叫びたい…)
海未(9人いるわけですし、私が少しンホったところで悪目立ちはしないはずです!)
海未(では、いきます…)
海未(…? この感覚…)
穂乃果(……!)
ことり(……!)
海未(穂乃果! ことり! あなたたちも同じことを…!)
穂乃果(私たちだけじゃないよ、海未ちゃん!)
海未(ま、まさか!)
まきりんぱな(叫びたい!)
にこえりのぞみ(叫びたい!!)
海未(みんな!!)
海未(みんなの心がひとつに!!!!)
海未「アイセ……ンホオオオオオオオオオオオオオオ!!」
ことり「ンホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
希「ンホオオオオオオオオオオオオオ!!」
絵里「ンンンッホオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
にこ「ンホオホホホホホホオオオオオオオオオオオオ!!!」
花陽「ンホオオオオ!」
凛「ンニャアアア!」
真姫「ンホオオオオオオオオオオオオ!!」
穂乃果「ンホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
客「んほお!?!?!?」
・・・・・・・・・・・・・
理事長「で、どうしてあんなことをやったの…?」
ことり「お母さんっ!!」
穂乃果「あ、あれは…! みんなの心がつながった結果というか…!」
花陽「理事長! あれはμ'sの団結の証なんです!」
凛「そうにゃ…です! 来年は! 来年は必ず!」
理事長「悪いけど、今年あんなことをやらかしてしまった以上…来年の出場は…」
穂乃果「そ、そんな!」
海未「確かに今回は失敗に終わったかもしれません」
海未「ですが私たちがあのステージで得たものは、決して価値のないものではありません!」
海未「穂乃果! 落ち込んでいる時間はありませんよ!」
海未「もうラブライブに出られないなら、私たちが新しいラブライブを作ればいいんです!」
穂乃果「新しい…ラブライブ…!」
海未「そう、さらなる愛の形を追求したラブライブ…」
海未「ンホライブを!!!!!!!!!」
ンホライブ! 完
海未ちゃんの戦いはこれからだ!!
終わりです
読んでくれたみなさんに感謝!
このSSまとめへのコメント
なぜンホライブで優勝しないのか
めちゃくちゃだけどすごく面白い
勢いがいいですね
おもしろかった!
どーでもいいけどなんかのスレ思い出したわ。
面白かったです。
ンホォォォォォォオォ!