後輩「就活失敗しました!先輩、私の事を飼って下さい!!」∧@`@`∧(130)

男「買って?」

後輩「飼って、です!」フンス!





∧,,∧
( `-ω-) ようこそID睡眠スレへ!
/ ∽ |  可愛い後輩を飼育したい、したくない?
しー-J     

ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の時間だけ睡眠をするという、
どんな状態でも寝れるためのトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 7+12=19 なので19時間寝ましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日はオールしてください

さあ!存分に睡眠するがよい!(`-ω-´) ↓


男「ふむ……」

後輩「お買い得ですよ? 器量よしの子猫ちゃんと言われる後輩ちゃんですからね」

男「一つ質問してもいいでしょうか?」

後輩「なんです?」

男「あなたを飼育することで私にどんなメリットがあるのか、プレゼンテーションしてください」


後輩「そうですねぇ」

後輩「まず第一に! 先輩がお帰りのさいはいつでも玄関で出迎えます!」

後輩「心配りは細やかにっ。承りは速やかにっ」

後輩「そして何より、お仕事お疲れ様のキスも欠かしませんよ!」

男「なるほど」

男「商談は不成立ということで」

後輩「どうしてですかっ!」

男「歯を磨く前のキスは不衛生だからです」

男「また、私はあなたをそこまで束縛するほどの甲斐性がありません」

男「よって、お祈りの手紙を送らせていただきたく」


後輩「くっ……でも後輩ちゃんは諦めませんよ!」

後輩「チャンスは一度じゃない。そうですよねっ?」

男「あなたの心が折れるまでは、お好きにどうぞ」

後輩「そんな先輩の優しさに、わたしはどこまでもフォールインダウンです!」

男「……一つ確認しますが」

後輩「はい」

男「あなた、ダウンを下という意味で使ってますか?」

後輩「そうですよ?」

男「……。……とりあえず、下に落ちるのはやめましょう。迷惑ですからね」


男「では、どうぞあなたを売り込んでください」

後輩「小動物系と名高いわたしですが、いつでもそうとは限りません」

後輩「家計簿をつけるときはキリンのように慎重にっ」

後輩「料理ではアリクイのような栄養バランスをご提供!」

後輩「そしてベッドではライオンとして、先輩に襲いかかるのですっ」

後輩「こんなにもいろんな顔を見せる後輩ちゃんが、お値段たったの先輩しだい!」

後輩「どうです、お買い得でしょう?」

男「あなたの比喩表現は買い渋る要因になりますね」


男「今回、あなたは自分を有能な妻として売り込みたかったようですが」

男「あなたは私に飼われる、つまり愛玩されたいのですよね?」

男「さきほど挙げられた利点は、どれもペットとしては首を傾げたくなります」

男「よって、お祈りの手紙を送らせていただきたく」

後輩「……ところで先輩? 就職に失敗したわたしに、もう見慣れてしまった文面で断るんでしょう?」

男「もちろん、嫌がらせですよ?」

後輩「趣味が悪い! でもそんなところも素敵っ」

後輩「あ、今の半分が嘘です」


後輩「むー。わかってはいましたけど、先輩もなかなかな強情ですねっ」

男「では諦めますか?」

後輩「いいえ! 駄々をこねることに関しては譲れませんよっ」

男「つまり迷惑をかけている自覚はあったのですか。あなたはなかなかな強かさですね」

後輩「なかなか泣き止まない後輩ちゃんとして有名でしたっ」

男「なかなかな」

後輩「なんだかなー」

男「いえ、それをあなたに言われたくはありませんが」


後輩「むーっ」

男「おや、今度は行き当たりばったりではないんですね」

後輩「先輩の望むものを見極めねば、飼ってもらえませんからね」

男「では待つとしましょう」

後輩「待っている間は暇でしょうから、わたしが話し相手になりましょうか?」

男「……そうですね、お願いします」

後輩「先輩って確か、以前に犬か犬っ娘を飼ってましたよね?」

男「よく覚えておいてください、私が飼っていたのは犬です」

後輩「どっちを飼っていたかは重要じゃありませんっ」

男「私の沽券に関わるほど重要な問題です」

後輩「それよりも、わたしが犬耳と猫耳のどちらをつければいいかの方が大事ですよ!」

男「ケモ耳をつけただけで私がなびくと思われるのは心外なのですが……」


後輩「どうしてでしょう。雑談を装って、先輩の好みを聞き出す作戦に失敗しました」

男「もう少し搦め手から入れば良かったのかと」

後輩「おお、なるほどっ。でも先輩、実は大胆ですね!」

男「そうでしょうか?」

後輩「では失礼して」ギュッ

男「――あの」

後輩「では質問しますよ? 犬耳と猫耳のどちらが好きです?」

男「いえ、そんなことはどうでもよく。それより、どうして抱きついてくるのです?」


後輩「もう少し絡めてからとのことなので、まず腕をからめてみました」

後輩「あ、それとも足をからめた方がよかったですか?」

男「もう少し恥じらいを持っていただきたい」

男「それと、そろそろ離れてくださいね」

後輩「はい」

後輩「それで先輩。わたしの搦め手はどうでしたか?」

男「……あなた、私を謀りましたね」

後輩「先輩の心を計ったまで、ですよっ?」


男「間違った努力をしているのは認めますが、あなたを飼う決め手にはなりませんね」

後輩「むぅ。飼ってから初めてわかることもあると思いますよっ?」

男「例えばなんでしょう?」

後輩「わたしは癒され系小動物として有名ですからね、先輩はわたしを癒さずにいられませんっ」

男「ペットとしての才能だというならお断りですね」

後輩「ですが諦めませんっ。先輩、また挑戦しても?」

男「構いませんが、帰らなくて大丈夫なのですか?」

後輩「そろそろ時間ですね。おばあちゃんやおじいちゃんがわたしの作るカレーを待っています」

男「あまり待たせてはいけませんよ?」

後輩「ですねっ。二人はわたしのカレーを食べるくらいしか楽しみがありません!」

男「帰ったらおじいちゃんとおばあちゃんに謝りなさい」

後輩「どうしてかはわかりませんけど、謝ってみます」

後輩「それでは先輩、また明日」

男「ゆっくり休んで、冷静になってからいらしてくださいね」

修正
>>15
男「一つ質問してもいいでしょうか?」
→男「一つお願いしてもいいでしょうか?」
>>19
後輩「……ところで先輩? 就職に失敗したわたしに、もう見慣れてしまった文面で断るんでしょう?」
→後輩「……ところで先輩? 就職に失敗したわたしが嫌がる文面をぶつけてくるのはどうしてです?」


後輩「先輩! 私のことを飼ってくださいっ」ウルウル

男「泣き落としですか? 古風ですね」

後輩「基本に立ち返ろうと思いまして」

男「自分の要求を押し通そうとする姿勢には感服します」

後輩「では飼ってもらえますね?」

男「私は自分を育てるのに手いっぱいですので」

男「よってお祈りのお手紙を送らせていただきたく」


男「一日考えた結果がこれでしょうか」

後輩「シンプルウィズベストの精神ですっ」

男「会って数分で頭が痛くなってきました」

後輩「頭痛ですか? お薬いります?」

男「いりません」

男「頭痛薬を持ち歩いているんですか?」

後輩「わたしの痛いの痛いの飛んでけはすごいですよ? バファリンの二倍は優しいです」

男「その飛んでけは、きっと医薬部外品なんでしょうね」


後輩「ところで、先輩はどうしてわたしを飼いたくないんですかっ?」

男「常識の観点ではないでしょうか」

後輩「ですがほら、禁断の果実はもぎりたくなりますよ? 先輩も実はわたしを飼いならしたくありません?」

男「ありません」

後輩「では何が気に入らないというんですかっ? わたしと話した人は皆、ペットのしつけをしている気分だと言ってくれます」

後輩「みなさんを飼い主気分にさせる天才、後輩ちゃんです!」

男「褒められてはいないことを察しましょう」


後輩「むーっ、仕方ありません。こうなれば禁じ手でいきましょうっ」

男「嫌な予感がするのでやめてください」

後輩「先輩はお部屋にいてくださいねー? 覗いたら、わたし飛び立っちゃいますよ?」

男「ぜひ飛び立ってほしいのですが、早々に覗いてもいいでしょうか」

後輩「残念! 後輩ちゃんに翼はないのでしたっ」

後輩「秘密を知った先輩には、責任を取ってもらわなきゃ困りますねー?」

男「最初から覗き見るつもりはありませんから、何かをするなら早めにお願いします」


後輩「じゃーん! どうです先輩っ」

男「水着ですね」

後輩「ふっふっふ~。このわたしの魅力的な体を見ては、先輩もわたしを飼わずにいられませんよっ?」

男「無力的な体?」

後輩「魅力です!」フンスッ

男「その出るところが出なかった体を見ていると、悲しい気持ちになるのですが」

後輩「なるほど。胸が小さいことを恥ずかしがる姿がそそりますか」

後輩「先輩はかなりの通ですねっ」

男「言っていて悲しくなりませんか?」

後輩「とても」


男「しかしこの時節にそんな恰好をして、寒くはありませんか?」

後輩「このわたしにかかればこれくらいの寒さへっちゃ……」

後輩「……ぶえっくしょいっ!!」

男「言わんこっちゃありませんね。暖房の温度を上げましたが、早く服を着てください」

後輩「ありがとうございま……ぶえっくしょいっ!!」

男「それと、酷なことを言いますが、もうちょっと可愛らしいくしゃみをお願いします」


後輩「戻りましたー」

男「ようやく人心地がついた気分です」

後輩「わたしが一緒にいるだけでそんな効能が現れるんですよ?」

後輩「これはもう飼うしかないのではっ?」

男「犬小屋を置く場所がありませんので」

男「よってお祈りの手紙を送らせていただきたく」

後輩「あまりわたしを困らせるようだと、実力行使に出ますよっ!」

男「こんなに困らされても我慢している私に、何という仕打ちでしょう」


男「それで、実力行使とはどんな?」

後輩「まずコカ・コーニャを出します」

男「はい」

後輩「飲みます」ゴクゴク

後輩「おいしいです」

男「良かったですね」

後輩「よろしければ先輩もどうぞ?」

男「ありがとうございます」

男「念のため言っておきますが、私は間接キスで動揺するほど幼くありません」ゴクゴク

後輩「いえ、さすがに先輩の年齢でそんな中学生みたいな反応されたら、ドン引きです」

男「ではこれは何のために?」

後輩「わたしの調合した惚れ薬を飲ませるためですっ!」


男「なるほど」

後輩「はいっ」

男「…………」

後輩「…………」

男「特に変化はありませんね」

後輩「強がっては体に毒ですよ?」

男「先に飲んだあなたは効果が現れましたか?」

後輩「何も現れませんね」

後輩「――先輩ひどいっ。わたしを騙しましたねっ?」

男「冤罪とはこのように生まれるのですね。勉強になりました」


後輩「むーっ、どこで間違えたんでしょう。本当なら、先輩をメロメロにしている頃合いなのですけど」

男「薬に頼ろうという安易な考えは許されないのでしょうね」

後輩「おー、先輩がかっこいいですっ」

男「そう言ってくれるのはあなただけですよ」

後輩「でしたら、これから毎日言いましょうか?」

男「義務のように言われては嬉しくありませんね」

後輩「わかりました、ここぞという時にとっておきます」

男「そうしてください」


後輩「では先輩。わたしは今度こそ先輩に心を入れ替えてもらうため、いろいろと用意をしてきますねっ」

男「もう帰るのですか?」

後輩「そのつもりですけど、どうしました?」

男「あと少し一緒にいたいなと思っただけです。無理強いはしませんよ」

後輩「帰るのなんて後回しですっ!」

男「いいのですか?」

後輩「わたしは先輩のお言いつけとあればからあげにだってレモンをかけますよっ」

男「やめてください」

後輩「わかりました、やめます」

男「偉いですね」

後輩「じゃあ頭をなでてくださいっ」

男「よしよし」ナデリナデリ

後輩「わーい」


後輩「先輩と全年齢にゃんにゃんしていたら、すっかり遅くなってしまいました」

後輩「おじいちゃん、おばあちゃん、ただいまっ」

ジジ「おー後輩ちゃん。今日の面接はどうだった?」

ババ「やですよーおじいちゃん。面接までいったことないじゃありませんか」

ジジ「おーそうじゃったそうじゃった。一七社目だったかいの?」

ババ「やですよーおじいちゃん。もう三〇社を超えたじゃありませんか」

後輩「ぼけたふりしてわたしをからかうのやめてくださいっ」


後輩「まったく。こんなおじいちゃんおばあちゃんに育てられ、どうしてわたしはこんなにまっすぐ育ったのでしょう」

後輩「世の中には不思議がいっぱいです」

後輩「明日にでも、先輩に聞いてみましょう」


後輩「聞いてください先輩っ!大変なことが起きましたっ」

男「どうしましたか?」

後輩「もう無理かなーと思っていましたが、このたびようやく内定が取れましたっ!」

男「  」ガシャン

後輩「先輩? コップ、割れちゃいましたよ?」

男「大丈夫ですか? 騙されていませんか? 会社の名前を教えてください、いかがわしい噂がないか調べます」

後輩「わたしを甘く見てもらっては困りますよ? あまりの話の通じなさに、詐欺師さえ泣いて謝ると評判ですっ」


男「いえ、やはり安心はできません。私がきちんと調べます」

後輩「先輩って過保護ですね? あ、わたしだからですかっ?」

男「当たり前です。あなたでなければこんな心配はしません」

後輩「わたしであればそんな失敗はしません」

男「その自信はどこからくるのでしょうか」

男「そもそも、後輩さんが面接試験を乗り切れるとは思えないのですが」

後輩「たくさん笑ってくれたので、わたしの勝ちでしたよ?」

男「あなたは面接で何と戦ったんですか?」


~~~

    ◇面接中

人事「では当社を希望した理由をお願いします」

後輩「何をしている会社かわからなかったからですっ」

人事「ぶっ!?」

後輩「どうしましたかっ?」

人事「し、失礼……ではあなたは、どうしてそんな何をしているかわからない会社を選んだんです?」

後輩「先輩の名前と会社の名前が同じだったからですね」

人事「その先輩というのは……?」

後輩「わたしの飼い主ですよ?」

人事「げふっ、えふっ!?」

後輩「大丈夫ですか? 霊柩車を呼びましょうかっ?」

人事「せめて救急車を……ではなく、ええと、話を戻します」

人事「つまり敬愛する人と同じ社名だったため、繋がりを感じ希望された、ということですか」

人事「あなたはそういった直感を大事にする人なんですね」

後輩「そうだと思います!」

人事「では一つ意地悪な質問をしますが、社名が変わるとなったらあなたは我が社をやめてしまうのでしょうか?」

後輩「つまり結婚するんですか? おめでとうございますっ」

人事「ぷっ、くくく……っ」

人事「し、失礼……誤解しないでください、我が社は今のところ結婚する予定はありません」

後輩「そうですかっ、安心しました。吸収合併される予定は今のところないんですねっ」

人事「頭が回るのか突き抜けたアホの子なのか、わからなくなってきました」

後輩「後輩ちゃんですよ?」

人事「それはわかっています」

後輩「良かったです、安心しました」

人事「……結果は後日ご連絡します。本日はありがとうございました」

後輩「こちらこそっ!」


~~~

後輩「というような感じでしたねー」

男「その人事の方はよっぽど懐が深いのでしょうか」

男「あなたが入社した後、文句を言われないか心配ですが」

後輩「大丈夫ですっ! いつでもやらかす準備はできています!」

男「用意したものは家に置いていきましょう。いいですね?」

後輩「先輩のお言いつけとあらば従いましょう」

男「ところで、どんな会社なんです?」

後輩「何をする会社かはやっぱりわかりませんが、商品企画開発室に配属したいそうです」

男「そうですか」

男「世の中、何があるかわからないものですね」


男「しかし、これでようやく私も肩の荷が下り――」

後輩「就活成功です! 先輩、わたしのことを飼ってくださいっ!」

男「――ませんでしたね、ええ」

男「どうして就職先が決まったのに飼われようとするんですか?」

後輩「先輩、入社することがゴールではないんですよ? そこで満足すると人は堕落しちゃいます」

男「言いたいことはわかりますが、こちらの言いたいことをわかってください」


後輩「うーみゅ……」

男「それほど難しい話ではないかと思いますが、考えていただけるなら嬉しいです」

後輩「わかりましたっ。動物アレルギーだからペットは飼えないという話なんですね!」

男「私は昨日、あなたの頭をなでたと思いますが」

後輩「あの時はペットじゃなかったのでアレルギーを発症しなかったんですね?」

男「アレルギーの定義が疑わしくなります」


後輩「いっそ方向性を変えてみればいいのでしょうか」

男「というと?」

後輩「先輩! わたしのペットになってくださいっ!」

男「私は割れたコップを掃除しますから、あなたは部屋で正座していてください」

後輩「どうしてです?」

男「お説教です」

後輩「しつけですねっ!」

男「教育的指導です。間違えないようお願いします」


後輩「おぉ、足がビリビリします!」

後輩「このまま先輩に触ったら、ビリビリさせちゃうから気をつけなきゃいけませんね」

男「大人しくしていましたか?」

後輩「もちろんです! 大人になろうと頑張っていると評判の後輩ちゃんですよっ」

男「周りの方とは周回遅れなことを忘れないようにしてください」

後輩「先輩っ。いくらわたしの胸が控えめだからって、そういうこというのはひどすぎますっ!」

男「待ってください」

男「大人になろうと頑張ってるって、あなた、何を頑張ったんですか?」

後輩「それは内緒です」


……


後輩「先輩の話はよぉくわかりました」

後輩「みだりにペットとか飼育とかご主人様とか言ってはいけないんですねっ?」

男「ああ、ようやくわかってくれましたか」

男「私の努力も報われるというものです」

後輩「もちろんですっ。つまりこうですよね」

後輩「わたし、先輩の家に住みついてもいいですかっ?」

男「変に生々しいので余計にダメです」

後輩「先輩の物差しは計れない部分が多すぎますっ」


後輩「ではこうしましょう? 先輩以外にはこんなお願いはしません」

男「ほぼ現状維持ではありませんか?」

後輩「そうですねぇ。先輩以外にはこんなこと言いませんし」

男「どうして私にだけ言うんですか?」

後輩「え?」

後輩「……どうしてでしょう。考えたこともありませんでした」

男「せめて考えてから発言していてほしかったですね」

後輩「どうして、先輩にだけ……?」

男「後輩さん?」

後輩「先輩、今日は帰りますねっ?」


男「余計なことを言ってしまった、でしょうか」

男「変にぎくしゃくしなければいいのですが、ね」

これでやっと自覚して進展してくっついて覚醒ですねわかります


後輩「先輩! わたしのお兄ちゃんになってくださいっ」

男「今日は幻聴がひどいようですね」

男「あなたを飼う気はありませんよ?」

後輩「そうではなく。わたしのお兄ちゃんになってくださいっ」

男「幻聴じゃありませんでしたかー。そうでしたかー」


男「ではまず、どうしてその発想に至ったかを説明していただけますか?」

後輩「わたし、夕べぐっすり寝てから考えたんです」

後輩「どうして先輩に甘えちゃうんでしょうって」

後輩「そして閃きましたっ。わたしは一人っ子なので、先輩の優しさをお兄ちゃんらしさと錯覚したのです!」

男「なるほど。内容は突拍子ですが筋道としては突拍子じゃありませんね」

後輩「ではどうでしょう? わたしのお兄ちゃんになってみてはっ?」

男「私はあなたの兄になれる器ではありません」

男「よってお祈りのお手紙を送らせていただきたく」


後輩「先輩の優しさは兄として十分にやっていけると思いますよ?」

男「私はそうは思いませんね」

後輩「どうしてですっ?」

男「あなたがいつか、誰かにもらわれていく時に、冷静に送り出すことはできないからです」

後輩「なるほど。お前に妹がやれるか! というやつですねっ」

男「近しくも遠いですが、大枠としてはそれで正しいかと」

後輩「ならわたしが嫁に行かなければいいんですねっ」

男「はい?」

後輩「わたしはずっとお兄ちゃんと一緒にいます! だからわたしのお兄ちゃんになってくださいっ」


男「…………」

男「………………」

男「……いえ、やはりお祈りの手紙を送ります」

後輩「あと一押しが足りませんでしたかっ?」

男「他に私が悩む要素を増やせるのですか?」

後輩「お兄ちゃん、兼、ご主人様ですっ」

男「ごてごてしすぎかと」

後輩「お兄ちゃん、今日もわたしをしつけてくださいにゃんっ?」

男「…………」

後輩「ほら、どうですどうです?」

後輩「外では妹、家ではペット、従順可憐な後輩ちゃんですっ」

男「ありがとうございます、おかげで冷静になれました」

後輩「ほうほう。ということは?」

男「あなたのお兄ちゃんにもご主人様にもなりません」

後輩「望んだのと逆方向の考えになっちゃってます!?」


後輩「やっぱり先輩は難攻不落ですっ。やる気が出ます!」

男「そのやる気は別の場所で使っていただければ」

後輩「わたしの熱意は先輩にしか向けられません!」

男「あなたの熱意は私も認めているんですよ。ええ」

後輩「では何がダメなのでしょう?」

男「発想や言動や行動じゃないでしょうか」

後輩「それでも直しません! わたしはわたしらしく先輩の心をつかんでみせます!」


男「そうですか」

男「あなたのまっすぐなところは、私も素敵だと思っていますよ?」

後輩「褒められてしまいました。嬉しいですっ」

男「挫けない強さ、陰らない明るさ、太陽のような笑顔」

男「あなたが自覚しているかはわかりませんが、素敵なところはたくさんありますね」

後輩「先輩……そんな、そんなことばかり言わないでください」

後輩「わたし、わたし……」

男「後輩さん――」

後輩「わたし! やっぱり先輩に飼われたいですっ!」

男「ええ、これで話が進むとは思いませんでしたよ、ええ」


男「しかしどうしたものでしょうね。このままでは平行線です」

後輩「それならわたしは攻勢あるのみですよっ?」

男「あなたの攻撃は大振りな上にすっとんきょうな場所に向けられているのですが」

後輩「大丈夫です! 今回は先輩の心をダストミートですよ?」

男「ああ、頭痛が」

後輩「痛いの痛いのー」ナデナデ

後輩「飛んでけーっ」ブンッ

後輩「治りました?」

男「なごみました」


後輩「今日はまず、先輩のペットに対する苦手意識をなくそうと思いますっ」

男「そもそもペットを飼うこと自体は嫌じゃないのですが」

後輩「いいえっ! これまでずっと断ってきたのですから、無意識下の深層心理では何か拒否する理由があるはずです!」

男「理由は道徳観の表層に大きくあるのですが、まあ今は良しとしましょう」

後輩「そこで、これですっ」

男「あの、それはもしや」

後輩「まずわたしの首につけます」

後輩「そして先輩に渡します」

後輩「これでお散歩スタイルの完成ですっ」

男「ああ、やはり首輪とリードでした」

後輩「最近のおもちゃ屋さんはいろいろあるんですねぇ。びっくりしました」


後輩「さあ先輩! 外にお散歩に行きましょうっ」

男「お待ちなさいな後輩さん」

後輩「どうして止めるんですっ?」

後輩「わたしを散歩させてみれば、ペットの良さを心から理解できるはずです!」

男「ええと、そうですね、理由があります」

後輩「なんでしょうか」

男「散歩というからには、そう、あなたはよつんばいになりますね?」

後輩「もちろんですっ」

男「もちろんでしたか……危なかったです」

男「それはともかく、道路はあなたが思う以上に荒く、そして固いのです」

男「あなたの手や足が傷つくのは見過ごせません」

後輩「なるほど……」


男「他にも、テレビのCMで外に出たペットがノミやダニをもらってくると聞いたことはありませんか?」

後輩「たくさんあります」

男「そんな劣悪な環境に後輩さんを連れていくことはできません」

後輩「先輩……っ。そんなにわたしのためを思ってくれてるなんて!」

男「そう思っていただけるならありがたいです」

後輩「そうですね、家猫なんていうのも最近では珍しくありません」

後輩「先輩! わたし、先輩の家の中で飼われる後輩ちゃんになりますっ!」

男「もう忘れているのかもしれませんがあなたを飼うことは了承していませんよ?」

男「よってお祈りの手紙を送らせていただきたく」

後輩「あれ、おかしいです。この流れでどうして断られたのでしょう」

後輩覚醒しようーよー


後輩「あ、そういえば先輩。わたしそろそろ卒業式があります」

男「そうですね。その前に勤め先が決まって何よりでした」

後輩「わたしの卒業式には来てくれますか?」

男「時間は取れると思うのですが、私が行っても大丈夫でしょうか」

後輩「なんでしたら、おじいちゃんやおばあちゃんの代わりに来てくださいっ」

男「私にそこまでの大役を押しつけるのはやめてください」


男「でしたら行きますよ。あなたの祖父母にも久々に挨拶をしたいですからね」

後輩「先輩のこと忘れてなければいいですねっ」

男「その冗談はシャレにならない可能性があるのでやめてください」

後輩「心配性ですねー。大丈夫ですよ? ……まだ」

男「ええ、そのまだがいつまでも来ないことを願っています」


後輩「それじゃあ先輩! 約束ですからねー!」

男「ええ、約束です」

後輩「卒業式が終わったら、一緒にお祝いしましょうねっ」

男「いいですね。ですがクラスの方でも打ち上げなどはやるのでは?」

後輩「先輩と二人になりたいと言ったら、どうぞどうぞと言われました!」

男「あなたが変なことを言い触らしていないか、私はとても心配です」

後輩「大丈夫ですよぉ! それでは先輩、また明日っ」

男「気をつけて帰ってくださいね」



男「さて」

男「卒業の日に合わせて、花束の準備をしておきますか」

>>56,>>70
おまけ

後輩「先輩はいまいちわたしの魅力を理解していませんっ」

男「そんなことはないと思いますが」

後輩「よってこれですっ!」

男「猫耳と猫の手ですか?」

後輩「猫の尻尾もあったのですが、どこにつけるのかわからなかったので諦めました」

男「それはおし……いえ、なんでもありません」

後輩「?」

後輩「それはそれとして、これを装着します!」

後輩「これこそ! 後輩ちゃんパーフェクトエディションverニャンニャンっ、ですっ」

男「かわいいですね」

後輩「にゃーんっ。先輩をひっかき傷だらけにしてやるんだにゃあ!」

男「ちょっと狂暴すぎるのが玉にキズですが」

男「覚醒すると動物になる。誰しもがそうなのかもしれませんね」


後輩「先輩がわたしを飼ってくれない理由がわかりましたっ」

男「期待は裏切られるとわかっていますが、あえて目をつぶります」

男「そうでしたか。ようやくわかってくれたんですね?」

後輩「はいっ。友達に、先輩がどうしてわたしをペットにしてくれないのか、質問したのです」

後輩「そしたらあっさりと判明しました!」

男「なるほど、良識ある友人を持ったのですね」

後輩「わたしは従順すぎるから、わざわざ飼う意味が薄いらしいのですっ」

男「後輩さん、友達はもっと選びましょう」


後輩「ですが先輩。わたしは目から逆鱗が落ちる思いでしたよっ?」

男「まずどこを指摘すればいいやら」

後輩「なのでわたしはここに来るまでの間に考えました。先輩がわたしを飼いたくなるのはどんな性格かを!」

男「重要なのは性格じゃなく生態なんですよ?」

後輩「そこで今日は、後輩ちゃんをアップグレードしまくりますっ」

男「魔改造の予感しかしません」


後輩「従順ではいけないということですから、やはり勝気な性格でなくてはいけません」

後輩「なのでまず、ツンデレな妹でいきますっ」

男「ああ、すでに眩暈が」

後輩「もうお兄ちゃんっ。具合が悪いならちゃんとベッドで寝てなきゃダメですよっ」

後輩「早く良くなってくれないと、お兄ちゃんのこと大好きになっちゃいますからね!」

男「あの、後輩さん。一つ質問が」

後輩「なんですっ? 今いいところだったんですよ?」

男「今のはおそらく、素直になれないけど兄を大切に思っている健気な妹ではないかと」

後輩「そんなはずありませんっ? 後輩ちゃんのリサーチは完璧です!」

男「そうであればいいのですが……」

後輩「そうに決まってますっ。サーチアンドデストロイですよっ」

男「やはり穴だらけでしたね」


後輩「むーっ。では続けていきますよ!」

男「今度はどんな感じになりたいので?」

後輩「ずばり、先輩を敬っていない小生意気な後輩ですっ」

後輩「えへへっ、これは楽勝ですね!」

男「その自信はどこから出るのやら」

後輩「この少しだけ大人しい胸からですっ。では始めますね?」


後輩「もう先輩? またこんなところに一人でいるんですねー?」

男「おや、それっぽいですね」

後輩「ここは先輩とわたし二人の場所なんですから、独り占めされては困りますねえ」

男「おや、もうぽいっとされましたね」

後輩「わたしはこれからお弁当を食べるんです、静かにしていてくださいね?」

後輩「欲しいと言われても、ハンバーグと卵焼きを一つずつしかあげませんっ」

後輩「あーんだって一回しかしないんですから!」

後輩「――――とまあこんな具合ですよっ。どうでしたか先輩っ」

男「先輩と付き合い始めて日が浅く、甘えるのが苦手な後輩のように思えました」

後輩「すごいです……先輩って想像力豊かなんですねっ」

男「私のとらえ方の問題なんでしょうか。違うと思うのですが」


後輩「ですがわたしはくじけませんっ」

後輩「最後に高飛車なお嬢様でやってみますよ!」

男「期待はできませんが、よろしくお願いします」

後輩「まったく、先輩ってばまた一人なんですねっ」

後輩「こんな素敵な場所を独り占めするなんて、わがままにもほどがありますよ!」

後輩「わたしも隣に座るんですから、もっと端に座ってください」

後輩「これくらいのことは察してくれなきゃ困りますよっ?」

後輩「うふ。いくら自分の部屋だからって、先輩一人でいるのはもったいないですよ」

男「ふむ……」

後輩「どうですっ? 高飛車なお嬢様をペットにしたくなりませんでしたか!」

男「つまり後輩さんは、私の部屋に二人でいるのが好きなんですか?」

後輩「どうしてそんなことになったんです!?」

男「あなたが言ったんじゃありませんか」


後輩「お、おかしいです……こんなはずではありませんでしたっ」

男「私としては予定調和な終わり方でしたが」

後輩「本当なら、わたしの小憎らしさに先輩が肩をつかんでくる予定ですよ?」

男「もう少し地に足のついた計画を立てましょう」


後輩「どうしましょう……このままじゃ間に合いません!」

男「何かあるのですか?」

後輩「友達に相談した時、言われました」

後輩「卒業して、就職したら、先輩のところにはほとんど行けなくなるらしいのですっ」

後輩「そうなる前に、先輩に飼われなくてはいけませんよ?」

男「まず飼われようとする判断が間違いだと思うのですが」

男「ご友人は何も言いませんでしたか?」

後輩「わたしなら、ちょっと押し倒せばすぐだと太鼓判を押されましたよっ?」

後輩「ですが、この前猫の姿で押し倒した後、やっぱり飼ってはくれませんでしたし」

後輩「やつら、あてにはなりませんねっ」

男「友人になんということを」


男「私としては、このまま後輩さんが空回りをしている方がありがたいのですが」

後輩「先輩ってきちくなんですねっ」

男「違います」

男「……そうですね。なんと言いましょうか」

男「来週を楽しみにしていてほしい、そういうことですよ」

後輩「先輩のおっしゃることは哲学的で難しいです……」

男「もっと単純に考えていただければ」

男「卒業式の日までは、今の関係でいいと思っているんですよ?」


後輩「ではつまり、卒業したらわたしは晴れて先輩に飼われることに!?」

男「なりません」

後輩「で、ではわたしのお兄ちゃんに!」

男「なれません」

後輩「となるとまさか、わたしのペットになりたいんですかっ!」

男「ああ、よくいますね。散歩していると、飼い犬にひっぱられてしまう飼い主さん」


後輩「……なるほど、わかりましたっ」

男「察しが良いですね。わかったんですか?」

後輩「はいっ。卒業するまでわからないことがわかりました!」

男「あなたらしくて安心しました」

後輩「そうですかっ。いつもあなたに安心を、後輩ちゃんです!」

男「いえ、あなたを見ていると基本的には不安になるんですよ?」

以上です。

そして時は流れ、明日はいよいよ卒業の日になるのでした。

>>89
>そして時は流れ、明日はいよいよ卒業の日になるのでした。
ほう、良い締めだ
金貨百枚にも劣らんだろう
続けて下さいませ、どうかお願い申し上げます


    ◇卒業式

後輩「先輩っ。わたしが卒業証書を受け取る姿、どうでしたっ?」

男「何かやらかしやしないかと不安でしたが、無事に終わってほっとしましたよ」

後輩「でしょう? いつだって、ほっと一息、後輩ちゃんです!」

男「できれば心配をかけないでくれるとありがたいのですが」

後輩「それは無理ですよっ」

男「即答しないでください」

後輩「だってそうじゃないと、いつまでも先輩に見ていてもらえませんっ」

男「……なるほど。一本取られました」


後輩「ところで先輩? 高校生じゃなくなるわたしから、一つお願いがありますよ?」

男「なんでしょうか。卒業祝いとして、できるなら叶えたいところです」

後輩「その言葉、二言はありませんねっ?」

男「できるなら、という言葉の意味を深く考えていただければ」

後輩「なら大丈夫です! 先輩ならきっと叶えてくれると信じていますっ」

男「わたしも後輩さんを信じたいのですが、ね」

後輩「信じていいですよっ。ではお願いをしますね」



後輩「高校を卒業しましたっ。わたしのことを飼ってください!」


男「やはり信じてはいけませんでしたか」

後輩「先輩? どうでしょうかっ」

男「私はあなたと主従関係になりたいわけじゃありません」

男「よってお祈りの手紙を送らせていただきたく」

後輩「……やっぱり先輩は、わたしの手に届かないお人でしたっ」

後輩「無理だって……わかってましたよ。わかってましたともっ」

男「泣かないでください」

後輩「それでもわたしは、先輩に、飼われたかったですっ!」

男「お願いですから、その内容で泣かないでください」


男「まったく。あなたときたらいつもいつも、私におかしなお願いをしてきましたね」

男「お願いを聞いた記憶はほとんどありませんが、たまには私もお願いする側に回るとしましょうか」

後輩「先輩、わたしに何かお願いがあるんですか?」

男「ええ。とびっきりのお願いが、一つ」

後輩「…………はっ!」

後輩「先輩専属のメイドさんですね!」

男「違います」

後輩「ダメですか? もちろんミニスカですよ?」

男「メイド服といえばヴィクトリアン調に決まっています。これは譲れません」


男「……話がそれました」

男「後輩さん。私のお願いを叶えてくれなくてもかまいませんが、どうか聞いてくれませんか」

後輩「もちろんですっ」

後輩「わたし、先輩から初めてお願いされるので、とても緊張していますよっ!」

男「一番緊張しているのは私ですけどね」

男「……後輩さん」







男「ずっとあなたが好きでした。私の恋人になってくれませんか?」

やっときたああああああ


後輩「……、……」

男「どうでしょう。考えてみてはくれませんか」

後輩「先輩……わたしのことを、好きだったんですか?」

男「ええ。気づかなかったのは後輩さんくらいです」

後輩「先輩が、わたしを、好き……」

男「あなたはどうでしょう? 私のことはお嫌いですか?」

後輩「そんなはずありませんっ」

後輩「だって、だってわたし……ずっと先輩のことが好きでした!」


男「……よかった」

男「では、私の恋人になってくれますか?」

後輩「そのこと、ですが」


後輩「ごめんなさい。先輩の彼女にはなれません」


男「……私のことが好きなんですよね?」

後輩「大好きですっ」

男「でも、恋人にはなれないと?」

後輩「もちろんです!」

男「もちろん、ですか……少しばかり傷つきます」

男「何か思うところがあるのですか?」

後輩「おおありですよっ」



後輩「だってわたし、ずっと先輩に飼われたかったんですっ!」


後輩「その夢を捨てて、先輩の恋人になるなんて……そんな夢みたいなこと、できませんっ」

男「…………」

男「まったく――――あなたという人は」

後輩「先輩、笑ってます?」

男「はは。これが笑わずにいられますか。あなたは本当に、どこまでも予想ができません」

男「ですが私は引き下がりませんよ。絶対にあなたの恋人になります」

後輩「わたしだって諦めませんっ。先輩に飼われたいと思った年月は、先輩の恋心以上ですっ!」


男「私のことが好きだとわかっているんですからね。どんな手段を用いてでも、私の彼女になりたいと懇願させてみせます」

後輩「先輩こそ覚悟してくださいっ。わたしの可愛さでいちころな先輩を、きっと口説いて飼われてみせます!」

男「もちろんです。私の大好きな後輩さん」

後輩「ありがとうございます。私の大好きな先輩」


男・後輩「「これからもよろしくおねがいします」」

以上で完結です。たぶん。
いったいどちらが勝つのでしょうね?

>>91
ちょっと紛らわしかったですね、すみません

>>97
今回で! なんと! ついに! きませんでしたー

なるほど、後日談
明日のお楽しみですね


後輩「先輩のことが好きです! わたしのことを飼ってくれませんかっ?」

男「あなたは行動がぶれませんね。もう少し譲ってくれるとありがたいのですが」

後輩「わたしってわがままなんですよ? このわがままなボディーからわかるようにっ」

男「ままならないボディー?」

後輩「わがままなボディーです!」フンスッ

男「度を超えたスレンダーだとばかり思っていましたが」

男「よろしければ後輩さん、万歳をしてくれませんか?」

後輩「こうでしょうかっ」ワーイ

男「胸をそらせても全く主張しない、とてもおしとやかな子が育ったようですね」


後輩「なんだかはずかしめられた気がしますっ」

男「申し訳ありませんね、つい粗相をしました」

後輩「構いません! つまり先輩は、わたしをペットではなく手籠めにしたかったんですね?」

男「いえ違いますが」

後輩「そうと決まればこの後輩ちゃん、行動にためらいがありませんよっ」

男「何をやらかすつもりでしょう」

後輩「先輩を誘惑するため、着替えますっ」


後輩「では失礼して」ヌギッ

男「お待ちなさいな後輩さん」

後輩「なんでしょう?」

男「どうして私の目の前で着替えようとするのです?」

後輩「先輩、わたしのことが好きなんですよね?」

男「ええ。あなたが思っているよりもずっと」

後輩「わたしも先輩のこと好きですよっ」

後輩「なのでいいかなと思いましたし、友人からも行動あるのみ! と推奨されました」

男「校門で堂々と告白したのは間違いだったかもしれません」

男「ですが着替えは私の見えないところでお願いします」

後輩「わたしは先輩に見られてもかまいませんよ?」

男「…………」

男「………………」

男「やはり外でお願いします」


後輩「着替えましたっ」

男「これは……」

後輩「後輩ちゃんパーフェクトエディションverにゃんにゃこメイド、ですっ」

男「昨日の今日でメイド服を買ってきたのですか?」

後輩「先輩の熱い思いを聞かされては、買わざるをえませんでした!」

男「そこまで深く語った記憶はありません」

後輩「それより、わたしの姿はどうですっ?」

男「かっちりとした媚びない服装でありながら、猫耳や猫の手をつけるという媚びた装飾」

男「加えて、従順さを装いながらも獲物に襲いかからんとする猛獣の瞳」

男「かわいいですよ、とても」

後輩「ありがとうございます」


後輩「先輩」コソッ

男「なぜ二人きりなのに耳打ちを?」

後輩「先輩に尽くすことを誓ったメイドのわたしを、先輩は好きにしていいんですよ?」

後輩「わたしのことを飼ってくれるなら……たっぷり先輩に甘えちゃいます」

後輩「どうですか? わたしのこと、飼いたくありませんかっ?」

男「この私が、そう簡単にあなたに手を出すと思いますか?」

後輩「なら先輩、わたしの肩をつかんでどうしたいんですかっ」

男「……くっ」

男「攻守交代を要請します」

後輩「望むところですよ!」


男「まずはこちらの椅子に座ってください」

後輩「はいっ」チョコン

男「そして私が後ろから抱きしめます」ギュッ

後輩「こ、これは……っ」

男「後輩さんと、こんな風に緩やかな時間を過ごしたいと思っていました」

男「もしあなたが私の恋人になってくれるなら、これからもこういった時間が取れるでしょう」

後輩「心がふわっとします……」

後輩「どうしてでしょう、今すぐ振り向いて、先輩の背中に手をまわしたいです……」

男「それはあなたが、私にも愛情を注ぎたいからですよ」

男「甘えるだけじゃない、愛されるだけじゃない、愛し合うことを望んでいるんです」

後輩「先輩っ」

男「さあ、答えは出ませんか?」

後輩「もちろん出ていますっ。わたしはまず先輩に飼われたいです!」

男「返事は変わりませんでしたか、残念ですね」


後輩「こんな風に時間を過ごすのはとても魅力的ですっ。胸がときめいちゃいますよっ」

男「それでも気持ちは変わらないんですか?」

後輩「わたしが簡単になびくと思ったら大間違いですよっ」

後輩「先輩に飼っていただいて、オシオキをしてもらうまでは諦められません!」

男「ちなみにですが、あなたはどんなオシオキを想定しているのでしょう」

後輩「そこは先輩任せですっ」

男「何もわからないまま憧れてしまいましたか。とてもたちが悪いですね」


男「しかし弱りましたね」

後輩「何がです?」

男「どちらも負けを認めないままいたずらに時間が過ぎることは、想像にかたくありません」

男「楽しくはあるでしょうが、もったいないという思いもあります」

後輩「なるほど、先輩はいつだって心配性ですねっ」

男「それは褒めていますか?」

後輩「もちろんです!」

男「ありがとうございます」

後輩「でしたら先輩、わたしから一つ提案がありますっ!」


男「珍しく嫌な予感がしません。どんなものか教えてもらえますか?」

後輩「はいっ」


後輩「……一年が過ぎて、それでも今のままでしたら、引き分けです」

後輩「その時は、飼われることも恋人になることも諦めて、夫婦になりませんか?」

後輩「痛み分けですっ」


男「なるほど」

男「そうですね。時間の制限を設ければ、限られた中で真剣に努力できるでしょう」

後輩「はい! わたしもこれまで以上に努力しますよ!」

後輩「ガールズビーアンビシャスですっ」

男「今日は言い間違いませんでしたね。褒めてあげます」ナデリナデリ

後輩「わーい」


男「ですが後輩さん。私は『絶対に』あなたの恋人になることを諦めませんよ?」

後輩「わたしだって『絶対に』先輩に飼われることを諦めませんっ」

男「これからの一年間は忙しくなりそうですね」

後輩「はいっ。楽しい一年にしましょうね、先輩!」

以上です。
一年後、二人はどちらも笑っていることでしょう。

二人の結婚生活は皆さんの心の中にあります。
よくわかりませんが後輩ちゃんがそう言ってました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年12月05日 (月) 04:10:36   ID: F76Yr3GD

ほんわかした

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