貴音「真、面妖な…!」(29)
貴音「このモノに抗い続けて早5時間…」
貴音「このとっぷあいどるである私を、ここまで苦しめるとは…」
貴音「真、面妖としか言いようがありません」
貴音「しかし私、そろそろお腹が減ってこのモノに打ち負けそうです…」
貴音「ですからあなた様…この健気な私に、是非ともらぁめんという心強い援軍をば…!」
p「やだよ…俺もこたつから出たくねぇもん」ヌクヌク
貴音「なんと!」ヌクヌク
貴音「いけずです!あなた様はいけずです!私はこんなにも、このこたつに抵抗を続けているのと言うのに…!」ヌクヌク
p「抵抗って…もう5時間もこたつから出られてない時点で、それはもうこたつに飲まれてるよ」
貴音「そのようなことはありません!その証拠に…はっ!」
p「…何してるんだ?」
貴音「このように、まだ手を出すことは可能です」ブンブン
p(一生懸命手を振る貴音…可愛いなぁ)
貴音「しかしこのままでは手さえも出せなくなり、最終的には今のあなた様の様に、こたつから頭のだけしか出せない状況に…」ヌクヌク
p「だってぬいんだもの」ヌクヌク
貴音「ですから、そうなる前にどうか私にらぁめんを…!」
p「えー…やだよ。だって台所はもっと寒いしさぁ…行きたくねぇよ」
貴音「そんなっ!」
p「でもまぁ…たしかに俺もお腹は空いてきたなぁ…もう7時だもんなぁ」
貴音「では…!」キラキラ
p「でも台所は寒いから、正直料理なんてしたくないし……」ヌクヌク
貴音「こたつの魔力とは、真恐ろしきものです…」ヌクヌク
p「今日だしたのは失敗だったかなぁ……おっ」
貴音「いかがいたしました?」
p「そうだ…よし、出前を取ろう。出前ならこたつから出ずとも夕飯にありつけるぞ」
貴音「! それは妙案でございますねあなた様」
p「そうだろう?まぁ、少々値は張るが…貴音の為だ」ヌクヌク
貴音「では早速、注文の電話を…!」ユサユサ
p「分かった分かった。で、ラーメン屋の品書きは…あっ」
貴音「はて、いかがいたしました?」
p「あー、すまん…品書き……玄関だ」
貴音「なんとっ!?それでは…」
p「玄関までなんて行きたくねぇよ…一番寒い所だぞ」
貴音「そんな…ようやくらぁめんを食せると期待していたと言いますのに…あなた様はいけずです!」
p「そう言われてもなぁ…俺もその気だったし……じゃあ、そんなにお腹が減ってるなら仕方ない…誰か料理が出来そうなやつでも呼ぶか?」
貴音「それはなりません!」
p「なんでだ?そうするれば、俺も貴音もこたつから出なくて済むぞ?」
貴音「それでもなりません…私は、あなた様と2人っきりがいいのです…///」ギュッ
p「貴音…あぁもぉ、やっぱり貴音は可愛いなぁ!ごめんよ察してやれなくて!」ナデナデ
貴音「///」
p「って、それじゃあ本当にどうするか……」ナデナデ
貴音「はぁぁ…///」ヌクヌク
p「やっぱろ腹を括ってこたつから出るしか…」ナデリナデリ
貴音「ほわぁ…///」ポケー
p「…貴音?」ナデリナデリ
貴音「はっ!い、いけませんあなた様!今の私では到底、あなた様のなでなでとこたつのぬくさの合わせ技には太刀打ちできません!」
p「あ、あぁ…そうか、すまんな」ピタッ
貴音「あっ…」シュン
p「…いや、別に無理しないででも、普通にこたつむりになってもいいんだぞ?」
貴音「えっ…し、しかしそれでは、あなた様にはしたない女と思われるのではと……」
p「いや、全然そんなこと思わんぞ?そもそも既に俺がこたつむりだし」
貴音「なんとっ!では私の今までの努力は……」
p「と言うか、今さらそんなことをずっと気にしてたのか?」
貴音「むぅ、そんなこととは何事ですか!」プクー
p「いやぁ、だって貴音は、もう何回も俺の家に来てだらけたりなんだりしてたのになぁ…って」
貴音「それはそうですけれど…それとはまた違うのですっ」モゾモゾ
p「ふむ、俺には良く分からんな」
貴音「あなた様はもう少し女心を学ぶべきです。それだから勘違いしてしまう娘達が増えていくのですよ?」ギュッ
p「大丈夫。俺は貴音一筋だよ」ナデナデ
貴音「ふわぁ…///」
p「首元まで毛布を被って…貴音もすっかり立派なこたつむりの仲間入りだな」ナデナデ
貴音「え、えぇと…///」
p「安心しろ、めちゃくちゃ可愛いから」ナデナデ
貴音「なっ…も、もぅ!やはりあなた様はいけずですっ…///」ギュー
p「はっはっはっ、いけずで結構」ナデナデ
貴音「むー…///」ヌクヌク
数分後
貴音「すぅ…すぅ…」zzz
p「ふむ、貴音が寝てしまった…寝顔も可愛いなぁおい」ナデナデ
貴音「むにゅ…」zzz
p「さて…この間に俺は、夕飯の準備に取り掛かるとするか。貴音の為なら、こたつの外もなんののそのってな!」モゾモゾ
貴音「んっ…」ギュー
p「…どうしよう。貴音にがっちり抱き着かれて抜け出せない」
p「ふぅ、なんとか抜け出せた…非常に惜しい気もしたが」
p「さて、まずはこの、あらかじめ用意ておいたスープをあっためて…あと麺を茹でる湯を……」
p「…」
p「俺、どんどんラーメン作りだけが上手くなっていくな…他の料理はてんでダメなのに」
p「貴音の影響力って凄い。改めてそう思った」
貴音「すぅ…すぅ…」モゾモゾ
貴音「んっ…?」モゾモゾ
貴音「…あなた、さま…ぁ…?」モゾモゾ
貴音「んーっ……はっ…!」パチッ
貴音「あ、あなたさま…?」キョロキョロ
貴音「どこへいってしまわれたのです…?」
貴音「あなた様ぁ」トテトテ
p「…」グツグツ
貴音「あなた様ー」ヒョコ
p「ん?おぉ、貴音、起きたのか?って、こたつから出れるんじゃないか」
貴音「えぇ、だって…あなた様のいないこたつには、私は未練はありませんから。こたつは、あなた様と一緒に入ってこそ、あの私を魅了する面妖な魔力を持つのです」ニコッ
p「貴音、そこまで俺の事を…嬉しいなぁおい!」
貴音「ふふっ…はっ!あ、あなた様、そういえばこの香しい匂いはもしや…」ワクワク
p「あぁ、貴音が寝てる間にラーメンの準備をな…もう麺も茹で上がるし、戻ってこたつで待っていてくれてもいいぞ」
貴音「いえ、私も出来ることを手伝います。私は、あなた様のお側にいたいですから」
p「そ、そうか…そこまで言われると、流石に俺も照れるな///」
貴音「ふふふっ///」
p・貴音「いただきます」
貴音「ふーっ、ふーっ…はふっ」
p「ズルズル…ほぅ、我ながら中々」
貴音「えぇ、あなた様は日々、らぁめん職人としての腕を上げていきますね。真、嬉しきことです」
p「ラーメン職人じゃないんだけどな…」
貴音「はふはふ…しかし」
p「ん?」
貴音「このこたつにらぁめん、そしてあなた様の組み合わせ…これは私の、冬の三種の神器となりそうです」
p「三種の神器かぁ…貴音の神器の一角を担えるとは光栄だ」
貴音「無論、あなた様がいなければどちらも成り立ちませんが」
p「…ラーメンもか?」
貴音「今はらぁめんも、あなた様と食べなくては楽しみが半減してしまいます」ピトッ
p「可愛いこと言ってくれるじゃないか」ナデナデ
貴音「ふふっ///」
p「ズルズル…にしても」
貴音「はふ?」
p「やっぱこたつはいいなぁ…食べ終わったらまたこたつむりになるか」
貴音「まぁ…ですが食べてすぐ横になっては、牛なると申しますよ?」
p「うーん…そう言われても、まったく抗える自信がないぞ……いいじゃん?貴音も終えと一緒に牛なろう」
貴音「ふふっ…えぇ、あなた様と一緒ならばなににでも」ピトッ
p「いやぁ…こたつの魔力は恐ろしいな」ナデナデ
貴音「はい。真、面妖で…///」ギュー
終わり
今日こたつを出したから書いた
やっぱりこたつはいい
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