貴音「貴方様、今宵も月が……」 (22)

・アイマスSSです。
・すぐ終わります。

ではよろしくお願いします。

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貴音「……………………赤ェ!!!」

貴音「えっ…………」

貴音「えっえっ…………」

貴音「月……、わっつろん……!?」

貴音「と、兎に角皆にもこの異常事態を報せねば……!!」


TV『現在、皆既月食をより良い場所で観ようと、多くの方々がこの山に~』

春香「皆既月食だって、凄いよね」

響「自分、沖縄に居た頃は見たことなんて無かったなぁ……」

春香「え、でも皆既月食って年に何回もあるんだよ?」

響「ええぇ、そうなの!?」

春香「もしかして、ずっと気付かなかった……、とか?」

響「い、いや気付かなかったワケない! うん、見たことあるぞ!!」

春香「でも見たこと無かったって言ったよね?」

響「うがっ……!! それは……、そのぅ……」


貴音「皆は居ますか!?」バァン

響「貴音? どうかしたのか?」

貴音「月!! 月が赤いのです!!!」

春香「あぁ、それは皆既…………」

貴音「怪奇ぃ!? そ、そんな面妖な事が!?」

春香「そ、そうじゃなくて……、皆既げっしょ」

貴音「響!! 響はこの事態をご存知なのですか!?」

響「えっ……、あの……、自分はぁ…………」

貴音「響!!!!」

響「ひぃ知らないぃ!! 知らないです!!!」


貴音「響も知らない程、となると。 やはり突然起こった現象……」

春香「いやいやいやいや貴音さん待って」

貴音「……はっ!? そういえば春香、春香はなにやら知っている素振りでしたが……」

春香「勿論知ってますよ! あれはですね?」

貴音「………………!!!!」

春香「怪奇げ……、どうかしました?」

貴音「よもや……、春香が月を……!?」

春香「なんで!!!」

貴音「私も響も知らないことを、春香は知っていた。 という事から導き出される答えは……」

春香「…………ふっふっふ」

貴音「やはり!!!!!」

春香「あぁあぁぁ違うんですちょっとノってみようと思っただけで」


貴音「響!! ここに居ては危険です、早く逃げるのです!!!」

響「え、ちょ」

春香「ま、待っ」

貴音「響、早く!!! 私はプロデューサーの元へ行って参ります!!!」

響「たかっ」

ビュンッッ

響・春香「」ポツーン



P「………………んー?」

P「……うん」

P「………………あ゛ぁ腰痛ぇ」

P「……よし、取り合えずこっちは一段落っと」

貴音「貴方様貴方様!!!」バァン

P「やたら賑やかなんが来たな……」

貴音「貴方様、空が!! いやさ月が!!!」

P「んー、そういう時もある」

貴音「なんと響も知らなかったようで、やはり異常事態としか!!」

P「異常っちゃ異常だな」

貴音「実は春香が裏で手を引いていたようで」

P「マジか」


貴音「ですが今は春香よりも、月の問題を解決することが先決!!」

P「どうやって?」

貴音「むぅん…………」

P「むぅんて」

貴音「まずは貴方様、あの月を見てください」

P「んー」カタカタ

貴音「見ての通り赤く濁ってしまい、かつての煌びやかさは失われてしまいました」

P「んー」カタカタ

貴音「あれでは、月に住む兎も餅を搗くことが出来ないでしょう。 ……あぁ餅」

P「んー」カタカタ

貴音「貴方様? 見てますか?」

P「見てる見てる」カタカタ


貴音「ならば良いのです。 ……あの美しさを取り戻すためには、やはり祈りしか無いと」

P「んー」カタカタ

貴音「祈りが届けば、きっと月を覆う物も晴れるのではないかと」

P「んー」カタカタ

貴音「貴方様?」

P「んー」カタカタ

貴音「見ていられるのですよね?」

P「うん、見てる見てる」カタカタ

貴音「…………そうですか」

P「うん」カタカタ


貴音「それでですね、祈りをするにしても、その祈りを届けさせるにはといった部分が一番重要かと」

P「んー」カタカタ

貴音「そこで歌を届けようかと。 765プロの皆で歌うことで、月まで歌を届けさせるのです」

P「んー」カタカタ

貴音「…………貴方様」

P「見てる見てる」カタカタ

貴音「………………」

P「んー」カタカタ

貴音「………………………………」

P「んー」カタカタ

貴音「…………………………貴方さ、あな、お前ェ!!!!!」

P「」ビクゥ


貴音「見ていないでしょう聞いていないでしょう!!!!」

P「い、いやちゃんと」

貴音「では、思い出してください。 私は先程月に何をすれば良いと言いましたか?」

P「………………舞いだっけ?」

貴音「…………ッッ」ブチィ

P「すいません聞いてませんでした何のことだったんでしょうか!!!」

貴音「…………あの月のことです」

P「あの月……?」

貴音「百聞は一見に如かず、こちらに」

P「………………あぁ、そういえば今日か」

貴音「まさかっ、貴方様もご存知で!?」


P「あぁ、皆既月食だな」

貴音「怪奇……!! やはり……!!!」

P「お前何か勘違いしてないか……? 皆既月食、こんな字な。 それよりも月食の説明か。
 月食って言うのは、地球が太陽と月の間に入って影になることを言うんだ」

貴音「…………普通太陽と月の間に、地球はあるのでは……!?」

P「お前小学校の時習わなかった? そこの説明はまたするから今は待ってろ。
 まぁ、太陽と月の間に入れば、太陽の光が地球に当たって、影が出来るよな? その影が月に当たるんだ」

貴音「……そのせいで暗く見えると?」

P「まぁ、そんな感じ。 で、地球が太陽を殆ど全部隠しちゃうのが皆既月食って言うんだ。
 ちょっとしか影にならない奴は、逆に部分月食って言う」

貴音「………………つまり」

P「別に月はおかしくもなんともないし、明日になればいつも通りになってるよ。
 いや、確か月食ってめちゃくちゃ短いんだっけ? あと数時間もすれば元通りかもな」


貴音「……………………」

P「他に聞きたい事は?」

貴音「……一つだけ」

P「ん」

貴音「………………私の、取り越し苦労だった、と?」

P「……残念ながら、その通りで御座います」

貴音「…………ほーりーしっ!!!」

P「お前なんでそんな無理して英語使おうとすんの?」


貴音「……少々取り乱してしまいました、お恥ずかしい限り……」

P「そんな事ないさ、貴音のそういう所。 俺は好感が持てる」

貴音「早とちりすることがでしょうか……?」

P「そう卑屈になるな。 お前だけだよ、いつも通りの真っ白い月に戻ることを喜ぶのは」

貴音「…………というと?」

P「皆、毎日月を眺めたりしないくせに、こういう時だけ躍起になって見ようとする。
 月の色が変わっただけだぞ? そんなん月に行ってペンキ塗りたくれば済む話だろ。
 ……何の話だっけ、あぁそうだ。 何が言いたいかと言うと、こういう時だけ月を見る奴よりも、貴音みたいな奴の方が俺は好きだなって話」

貴音「………………」

P「……なんか柄にも無いことくっちゃべっちまったな。 忘れてくれ」


貴音「………………」

P「…………貴音?」

貴音「……貴方様。 月が綺麗ですね」

P「何だよそれ、さっきまで月がおかしいとかのたまってただろ?」

貴音「…………ふふっ、そうですね」

P「……、なんか隠してないか?」

貴音「ふふ、ふふふっ。 いいえ、何も? ただ月が綺麗だと申しただけの事です」

P「嘘つけ、やたら笑いやがって。 月が綺麗以外にも………………、あ。
 お、お前もしかして……」

貴音「ふふっ、とっぷしぃくれっとで御座います♪」


・ ・ ・ ・ ・


春香「貴音さん、帰ってこないね」

響「プロデューサーが止めてくれてるから大丈夫だろ」

春香「うん、そうなんだけど…………」

響「だけど? どうかしたの?」

春香「一つだけ気になる事があって。 貴音さんについてなんだけど」

響「なになに?」

春香「貴音さんって、月をいっつも見てるよね? そりゃもう、気付いたらってくらい」

響「ん~、そうだなぁ。 言い方悪いけど、暇さえあれば見てるってくらいだよね」


春香「うん、夜になるといっつも話しかけづらいんだよね。 邪魔しちゃうみたいで。 それでなんだけど……。
   なんで貴音さん、皆既月食の事知らなかったのかな?」

響「そりゃ、自分みたいにたまたま知らなかったからとか……」

春香「響ちゃんと違って、ほぼ毎日のペースで月を見てるのに?」

響「あ…………」

春香「さっき貴音さんが来る前に言ったように、月食って年に何回かあるくらいの頻度で起こってるの。
   だから、貴音さんが今日初めて見たっていうのは、絶対おかしいと思う」

響「…………何が言いたいんだ?」

春香「もしかして…………」

響「もしかして…………?」


春香「ここに来るまで貴音さんは月食の無い、地球とは別の所で月を見てたとか!!!」

響「………………」

春香「……………………」

響「…………………………ぷ」

春香「あっはははは!」

響「あっははっはははは!!」

春香「はぁ、はぁ……」

響「ははは…………」

響・春香「…………まっさかねぇ~」





おしまい

ここまで読んでいただき、どうも有難う御座いました。
なんとか皆既月食があった日の内に書けました。

書かなきゃ勿体無いと思って書き上げたんですが、かなり既出ネタっぽいですね。
ありがちな感じ、被ってたらごめんなさい。

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