○ここは咲-Saki-の二次創作安価スレでございます
○そしてもはや数えることも不可能なN番煎じの京太郎スレ
○目標は麻雀の強い女の子たちに近付き
その力を学び最強になることです
○女の子とイチャイチャするのが目的ではありません(真顔)
○闘牌について
雀力+コンマ+技能+異能で一回判定
(対戦プレイヤーが振込回避系の技能を使用した場合は技能なしになります)
○闘牌描写は非常に曖昧
○前スレとか
京太郎「俺は一番になりたい」
【咲‐Saki‐】京太郎「俺は一番になりたい」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402318848/)
(読まなくてもこのスレを見るにあたり影響はございません)
〇連投は5分以上経過ならおk
選択安価の連取は制限中。コンマ安価は特になし
連投制限は稀に短縮されることもあります
〇>>1は雑談・考察好きなので
スレの内容から外れるか過度に埋めない限り歓迎です
○SSは初めての試みなので随時ご意見募集中であります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420038006
この世界には麻雀という競技がある
四人のプレイヤーがテーブルを囲み
136枚の牌からなる山から手牌を組み上げ
誰よりも先に美しい完成形を目指すものだ
ターンリミットまでにより多く手を作ったものが
手を作ったことにより積み上げた点棒が
他者よりも多いプレイヤーが勝利を掴む
国民競技人口は数千万人を数え上げる大衆娯楽
老若男女問わず愛される麻雀
周りを見ればどこかしらに打てる人間がいたのならば
俺もまた麻雀に熱狂し、頂点を目指すべく精進しているのも
ある意味では当然と言えるだろう
だがしかし――
俺の中で麻雀で勝った記憶というのは
非常に稀有で片手で数えるほどしかない
対戦相手が悪いのか俺が弱っちいのか……
前者だとは信じたいが校舎の可能性の方が高いのは
何とも言えない悲哀を漂わせているよな
努力が足りないのかなぁと毎日勉強すれども
幼馴染の姉妹にはいつだって返り討ちばかりで
彼女らと三麻をすればラス確定なのはツラい
もう何度心が折れそうになったことか
姉の方に連続で削られるわ、妹にはワケの分からんツモされるわ
嫌気がさして中学でハンドボール部に入ったら
競技人口の少なさも相まって県大会準優勝だよ、やったね!
違う! そうじゃない!
俺は麻雀で勝ちたいんだよ!
スポーツで勝ってみて改めて解った
麻雀は楽しい。それは絶対の大前提だ
でもいくら楽しくったって負け続けるだけじゃあ
楽しさのもっと先にある
もっと別の、違った楽しさには辿り着けない
それを知らないままで俺は終わりたくなかった
だから決めたんだ
これからはもっと真剣に
今まで以上に麻雀に打ち込んで
もっともっと楽しんでやろうって
限界を確かめてやろうってさ
そのために必要なものは何か?
俺は暫くの間、必死こいて考えたのさ
ハンドボールを投げることと麻雀の役しか無い
低容量の脳味噌で頑張ってさ
それで辿り着いた答えが――
京太郎「来たぞぉおおぉぉおおおぉおぉおおおお!!!」
京太郎「北大阪、吹田市千里山!!!」
ということで触りは終わりです。再開はまた明日の朝か昼頃にでも
お疲れ様でした
あけましておめでとうございます
いきなりですがYABOYOが入ったんで夕方くらいから再開します
四月の頭も頭、エイプリルフールの翌日である
俺は高揚する気分を押し隠せないまま
完全に未知の土地である千里山の地へと足を踏み入れていた
勿論、受験時に一度は来ているのだが
あの時の自分は部外者、お客様的身分であり
こうしてこの学校の一員になるのだな、などと
妙な感慨を持って臨んでいるのとでは気分的に大きく違いがある
千里山高校の古めかしい木造校舎は
阪急千里線千里山駅から歩いて五分程度の位置にある
周囲を住宅街に囲まれて、今でも新しいマンション等の工事が
ちらほらと見受けられる程度には人の多い街のようで
ほど近くに私立の大学もあることと相まってか
学習塾やら飲食店などが電車の窓からも結構見受けられた
俺は両手や背中に抱えた荷物を背負い直して
数日もすれば母校になるであろう高校に背を向けて歩き出す
引っ越しの荷物が届くのは明日の予定なので
今日一日分、最悪を想定して三日分の着替え等々を
抱え込んでいるだけに、荷物は無駄に重たかったが
気分は実に軽やかであった
故郷・長野や最愛のペット(カピバラ)との離別という
心震わされる、実に哀しいイベントは
そりゃあないわけもなく、事実としてありましたけれども
それ以上に俺の内心を占めている感情は
麻雀が与えてくれる、見たこともない打ち手との出会い
新しい土地で新しい生活を始めることへの期待感であった
普通そこは不安がるところじゃないのかと言われれば
不安以上に気分が高揚する方が勝っているってだけ
と、俺は答えるだろう
兎に角俺は浮かれていた。実に浮かれていた
足に羽根でも生えていたら飛んでいきそうなくらいには
遭遇判定
0 問題なく帰宅
4 事故に遭う
7 人に遭う
安価↓
麻雀で強くなりたい
そう考えた俺がだした結論とはズバリ
目ぼしい強豪校の麻雀部の門戸を叩くことであった
候補として挙げられるのは――
龍門渕・風越・白糸台などなど
流石に女子校には入れないし
女装して入学とか現実的に考えて有り得ない
というかそんなことが可能なのは作り話の世界だけ
なので必然的に入れる学校は限られてくるわけでして
まずは龍門渕を検討したんだよね
龍門渕高校と言えば風越女子の天下だった
長野県代表の座を彗星のごとく掻っ攫っていき
その後のインハイにおいても優れた成績を残した
新興にして新星の強豪だ
……これ女子だけの話ではあるんだけどね
気になって調べてみれば龍門渕に男子部員はおらず
それどころか部長の名前が龍門渕透華と来ている
明らかに学校経営周りの関係者だよなぁ
龍門渕なんて苗字はそうそうあるはずないし
と、すれば龍門渕高校麻雀部は
龍門渕透華とその取り巻きによる少数精鋭の可能性が高い
俺はそう結論付けて候補から名前を消した
麻雀を学ぶのであれば先達による指導は受けたい
しかし既に完成されきっているコミュニティに切り込むには
一定以上の代償を払う必要があるものだ
例えば麻雀を勉強する時間とか、ね
もし俺の予測が当たっているのだとすれば――
これほどの本末転倒はない
とかなんとか理屈を捏ねながら
全国津々浦々の強豪と呼ばれる学校を精査して
選んだのがこの千里山高校であった
実績としては、夏のインハイ常連校であり
昨年度の成績では全国二位と、実力も申し分ない
しかも監督として指導に携わっているのが
元プロ雀士の愛宕雅枝という人らしい
……らしいというのも
俺があまりプロ雀士に詳しくないからだ
国内無敗と名高い小鍛冶プロとか
朝の人気番組を持っている瑞原プロとか
あの辺りくらいの知名度じゃないと知らない程度には
いざ受験する学校を決めたところで
学力が足りなければ入学は叶わない。当然だな
幸いにして千里山高校は偏差値自体はそこまで高くなかったので
俺のポンコツな頭でも無事に入学することができた
問題は……その後なんだけどね
長野を遠く離れた大阪に進学するにあたり
親に反対されるとかそういうことはなかった
寧ろ「古来なら15歳は元服して云々」などと
独り立ちの心構えを説かれたくらいである
おまけに独り暮らしまであっさり認めて貰えた
しかし元服ってなぁ。平安時代かよ
中学で比較的仲良くしていた相手にも
「えっ、大阪に行くんすか!?」と驚かれはしたが
そこまで重大なリアクションをされてはいないと思う
では俺の大阪進学に対して反対したのは誰なのか?
それはズバリ、俺が麻雀を強くなりたいと
決意させる大元の原因となった幼馴染の姉妹であり
――特に姉の方だった
「強豪校に行きたいのなら、白糸台に来ればいい」
と、不機嫌そうに低い声で抗議されたのだ
彼女の通う高校は丁度、白糸台であり
白糸台高校はなんと千里山を上回る全国一位――
もう一度言おう。全国一位なのである
しかもその姉の方が個人でも全国一位というオマケつき
俺は改めて愕然とした
麻雀雑誌の特集に別人のような笑顔で写る当人にというのもあるが
それ以上に、贔屓目を抜いても相当強いとは思っていたが
まさか高校生の頂点立つレベルなんて事実に、だ
やっぱり相手が悪かったんじゃねえか!
渾身の心の叫びは置いておいて
白糸台を選ばなかったのには、ちゃんと理由があるのだ
みっともないと思われるかもしれないようなものだけど
その後しばらくの間――
姉の方の機嫌は悪いままだったのだが
俺の決意の固さを察してくれたのか
気付けば平常運転に戻っていた
まあ俺の与り知らぬ何かがあったとも限らないが
一番の反対者をどうにかすることに成功して
そのまま俺は中学を卒業し、大阪へと来たわけである
……ん?
ああ、勿論のこと妹の方にも反対されはしたけど
姉の方ほど強くされたわけでもなかったし
あいつはあいつで何だか思う所があったみたいで
卒業間際には腰を据えて話をする機会もなく
そのまま俺は長野から旅立ってしまった
今思えば何か悩みでもあったみたいだが……
時すでに遅し。気にしても仕方がない、か
4/2(土) 夜 普通 \5000
京太郎「何事もなく新居に着きました……」
下見に来た時も思ったが、何もない部屋というのは
広く見えはするが、実際には寒々として写って
何だか精神衛生的に悪いような気がする。気がするだけだが
1.周囲を探索する (上昇無し)
2.勉強する (学力向上)
3.荷解きする (器量上昇)
4.寝る (体調向上)
5.自由安価
安価↓
間隔空きまくってますけれど中断します
京太郎「…………」
パソコンでもあればネト麻という選択肢もあったが
生憎と今の手持ちにの荷物の中にはなく
明日に来るであろう引越し屋待ちとなっていた
テレビも無く、あるのは携帯だけ
寝るには早いし晩飯もここに来る途中で食べたので
本格的に眠くなるまでやることがない
うーむ……
引っ越し初日だし、この辺の地理の周知も兼ねて
ここら一帯を少し歩いて探索してみようか
もしかしたら面白いものも発見できるかもしれないし
遭遇判定
0 スーパー
4 事故
7 人
安価↓
千里山高校から二駅ほど離れた場所にある
須賀京太郎の新しい住居は見た目の小奇麗な1LDKで
特筆すべきは、なんと風呂とトイレが別々に存在しているのである
二つの一体化した安いホテルにありがちなアレを想像していただけに
軽く衝撃的だったのは記憶に新しい
父さん曰く「出来る限りいいところに住んだ方がいい」らしく
どうせ使うあてのない金だとばかりに
こんな家賃の高そうなところを選んで俺を送りだしたのだ
全くもって感謝してもしきれないぜ……
父さんには本当に頭が上がらないね
男手ひとつで俺をここまで育て上げたりとか
カピバラなんぞという
一般的じゃないペットを買ってくれたりとかさ
長野の日々に思いを馳せながら歩くこと30分あまり
細い路地の奥まったところに格安スーパーを発見した
まっすぐ家に帰ってみたところ歩いて5分程度だったので
これからの買い物場所はあそこになるかね
……あんまり自炊とか、できないんだけどさ
その辺りもおいおい勉強してかないとなぁ……
>時間が経過します
4/3(日) 夜 普通 \5000
今日は非常に忙しい一日だった
朝は引っ越し業者がやって来て荷物を運び込み
昼は荷解きと整理を少々やって
取り敢えずは大丈夫だろうというくらい終わったところで
高校の制服を取りに行くため再び千里山高校へ
一応正装で行った方がいいかと思い
中学の頃の学ランを着て行ったのだが、周りは私服が多かった
やはりというか、この辺に住んでいる同世代連中は
揃って千里山高校に進学するのか
和気藹々とした集団をいくつか見かけて前途多難な気持ちに
一学年が二百人近い生徒数いるから
年度初めは大体みんなボッチだろと高を括るのは
止めた方がいいのは明らかだね……
あと少し気になったのは
数日後には同級生になるであろう連中から
妙に俺が注目されていたような気がすることだ
自意識過剰かもしれないけどさ
1.探索 (上昇無し)
2.勉強 (学力向上)
3.交流 (友好度上昇(小))
4.ネト麻 (雀力上昇)
5.早寝 (体調向上)
6.テレビ (上昇無し)
安価↓ 2が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
大阪に来て早くも二日目
学校が始まっているわけでもなく
そのための準備をしている段階なのだから
現地に新しい知り合いはなく――
京太郎「いや別に寂しいとか、そんなことはないぞ」
一人で静かな家の中に居るのが心細いとか
決してそんなことはないはずだおそらくきっと
メイビー
……ないよね?
ま、まあ? 近況報告も兼ねて
誰ぞに連絡するくらいならば別に問題はないだろう
ていうか何の問題があるというか、俺よ
まったくもう一人の時間が長すぎて
色々と感覚が狂いまくってしまっているんじゃないだろうか
京太郎「誰に連絡しようか……」
1.父親
2.宮永照
3.宮永咲
4.東横桃子
安価↓ 電話かメールかも指定してください
京太郎「むむむ……」
自分の携帯の電話帳と睨めっこすることしばし
時間帯も考えてメールにしようと思ったんだが
誰に送ればいいのか、これが存外に難しい
父さんとかは時間を気にするようなことはしなくてもいいし
そもそも向こうから連絡を寄越すかもしれないしで却下
となると、次に思い浮かぶ照さんか咲にでも送ってみるか
いやしかし二人とも結構な機械音痴だからな……
使わない時は電源を切ってるとか、普通にありそうで困る
それだと別にいま送る必要はないような気もしてくるし
京太郎「あ、そっか」
頭の中で電球が灯るようなイメージだ
こういう時のために中学の頃の同級生がいるのか
仲が良かった面子を絞り出してみて
その中でも特に、三年間同じクラスで世話になった奴へ
ちょっとした近況報告をしようか
>友好度が上昇しました(小)
時間が経過します
???「いらっしゃ~い」
???「まー、ホンマにもうお久しぶりやね」
???「久しぶり過ぎて患者さんの顔が懐かしいですよーぅ」
???「ではでは、何します?」
1.現在のステータス
2.今後のヒント
3.自由質問
4.やっぱいい
安価↓ (無効の場合さらに安価↓)
???「ヒントっちゅうか、状況整理なるけどええかな?」
???「まず、千里山高校麻雀部についてなんやけど」
???「部員総数は約150人程度……」
???「半数が男子だとしても75人」
???「少なくともそこで一番にならんとインハイには行けないませんよーぅ」
???「ま、当然といえばそうなんやけど」
???「ちょーっと難易度は高いですね」
???「でおインハイ行けないとなるとお話も続けられまへんし」
???「頑張ってほしいとこではありますけど……」
???「あぁ、でももしかしたら――」
???「本当にもしかしたらの話なんやけども」
???「五月の半ば頃までに“ある人”と交友を深めれば」
???「インハイに行けなくても大丈夫かもしれまへん」
???「勿論、可能性の話ですよーぅ?」
>>38
×
???「でおインハイ行けないとなるとお話も続けられまへんし」
○
???「でも、インハイ行けないとなるとお話も続けられまへんし」
???「他には何かあります?」
1.現在のステータス
2.自由質問
3.もういい
安価↓ (無効の場合さらに安価↓)
???「はーい♪」
○ステータス
須賀京太郎(すが・きょうたろう)
性別:♂ 年齢:15 種別:オカルト ベース:《神器》
所属高校:千里山高校 体調:普通 評判:なし
雀力 177 (-) 友好度
技能 123 (-) 東横桃子 02
異能 177 (-) 加治木ゆみ 01
学力 73 (-) 宮永照 02
器量 58 (-) 宮永咲 02
???「まだ何かします?」
1.自由質問
2.もういい
安価↓ (無効の場合さらに安価↓)
???「今回は前回と違って、もう目覚めてますよーぅ」
???「オカルト雀士なら100、デジタル雀士なら200がラインやね」
???「調子を掴むために一度どこかで対局してみるのもええかも」
???「一先ず今日はここまでやね」
???「見知らぬ土地での新生活やけど、応援してるから」
???「悔いのないよう、頑張ってくださいよーぅ」
>時間が経過します
自由質問の安価は説明不足過ぎですね……ちと修正しときます
それと仕様変更のお知らせですが、時間表示を変更させてください
旧仕様 → 新仕様
4/3(日) → 4月第2週
明確な日時をしていしていると従来の方法では穴が開き過ぎる
しかし毎日判定するのは時間がかかりすぎる――両者の妥協です
4月第2週 朝 普通 \5000
中学の頃、三年間暮らすの同じだった同級生は二人いる
一人は件の幼馴染姉妹の妹の方である宮永咲で
残るもう一人は、中学で知り合った東横桃子というやつだ
前髪を気ままに伸ばしているせいか
やや暗い雰囲気を漂わせていることに加えて
どこか妙に存在感に欠ける女子ではあるのだが
ギャグに対する耐性が高いと言うのだろうか
なんというか、中々にノリのいい性格であったし
顔つきとかも結構整っていて、美少女と言ってもよかった
咲と違って胸部装甲も将来性がゲフンゲフン
兎に角も、三年間友人として付き合えるほどにはいい奴だった
そんな奴に近況報告のメールを送ったところ
桃子『楽しそうで結構っすねぇ。こっちは色々大変なのに』
と、そんな感じで返事が返ってきたのだった
一体何が大変だと言うのだろうか
あいつは確か、鶴賀学園とかいう私立に行く予定だったが……
まさかそれ絡みで何かトラブルでもあったのだろうか?
もし何かがあって忙しさで
てんてこ舞いになっていたのだとしたら
もしかすると俺の呑気な近況報告は
迷惑なものだったのやもしれない
今更悔やんだって仕方ないし、真相は分からないけどさ
そんなこんなで入学式である
パリッパリの真新しい制服を着こんで電車に乗り込み
数分もしないうちに千里山高校へと到着
同じように制服を着こなした先輩や同級生に紛れ
桜の舞い散る校門を潜って俺は一人、入学式の待機列に並ぶ
無駄に高い身長が幸いしてか、同じクラスどころか
二つ隣くらいのクラスの人間の顔まで見えるぜ……
時間が来るまでの間、手持無沙汰すぎるが故に
高身長を活かした人間観察などという
寂しすぎる暇潰しを行っていたのだが
隣近所で既に雑談の輪が出来上がっているのは
おそらくだが中学からの知り合い組だろうことは
想像に難くない
……入学早々コミュニティが出来上がってるとか
遠く離れた長野からやって来た俺には厳しいことですね
判定
偶数 同じクラスに変な制服の奴がいた
奇数 隣のクラスに変な制服の奴がいた
安価↓
時間が来て講堂へと移動する中で俺の視界にチラッと
妙ちきりんな制服を着た女子が写りこんできた
列の並び位置からして、おそらくは隣のクラスだろうが
……ノースリーブのセーラー服って、何なんですかね
改造制服なの? えぇ? それとも俺の幻覚か……?
眼を瞬かせ、両手の甲でこすって見直してみるが
既に目的の女子は建物の中へと移動しきっているようで
もう俺の視界のどこにも見えることはなかった
いやいやいや
四月とは言えまだまだ寒い中でノースリーブとか
え? ツッコミどころはそこじゃないって?
N条=サンはクラスメイトにならなかったようです
一旦中断するので、質問などあればどうぞ
凄いどうでもいいかもしれませんけど、実はスレタイミスってます
再開前にまた謝らなければいけないことが実はあるのです……
夢世界で一つ新しい機能が追加されていたのを出し忘れていました
○ヴィジョンクエスト
指定された条件をクリアすると
夢世界でちょっとした小話を見ることができます
1-1《開示条件・友好度10達成2人》
1-2《開示条件・二周目クリア》
1-3《開示条件・友好度10達成3人》
1-4《開示条件・三周目クリア》
1-5《開示条件・友好度10達成5人》
1-6《開示条件・????》
2-1《開示条件・友好度10達成3人》
2-2《開示条件・友好度10達成4人》
2-3《開示条件・四周目クリア》
2-4《開示条件・全ステータス平均値200突破》
2-5《開示条件・2-4達成》
2-6《開示条件・全ステータス平均値250突破》
3-1《条件・1-6達成》
3-2《条件・????》
3-3《条件・????》
3-4《条件・????》
3-5《条件・????》
3-6《条件・????》
4-1《開示条件・対局で一度でもプロに勝利》
4-2《開示条件・対局通算勝利75勝(ネト麻込み)》
4-3《開示条件・対局通算勝利100勝(ネト麻込み)》
4-4《開示条件・対局通算勝利125勝(ネト麻込み)》
4-5《開示条件・対局通算勝利150勝(ネト麻込み)》
4-6《開示条件・4-5達成》
5-1《開示条件・第一章コンプリート》
5-2《開示条件・第二章コンプリート》
5-3《開示条件・第三章コンプリート》
5-4《開示条件・第四章コンプリート》
5-5《開示条件・????》
5-6《開示条件・異能値500突破》
まあオマケ要素みたいなものなのであまり気にしなくてもいいです
校長やら理事長といったお偉いさん方が
催眠性のある怪電波を発信する入学儀式も終わり
新入生たちがぞろぞろと自分のクラスとなる教室に
これでもかと押し込まれ、颯爽と現れた担任教師の号令により
レクリエーションという名の自己紹介大会が行われる
期待と希望を眼差しに込めた少年少女らが
生き生きと自身の名前と同時に、どこ中出身だとか
何が趣味で何が得意で、どこの部活に入るか等といった
個人情報的なそれを声高らかに披露していく
教室の右端から順にア行カ行と席順は並び
ややも緊張しながら自分の順番が来るのを待つ俺
ややどころじゃないよ、すげぇ緊張してるよ!
俺は強心臓でも何でもない一般人だからね!?
特に見知らぬ土地で初めての自己紹介になるんだぜ?
もういつ胃が痛くなるかと頭痛がしてくるくらいだ
あ、やべんなことを考えているうちに俺の番だよ――
1.須賀京太郎です。よろしくお願いします
2.須賀京太郎、特技は麻雀とハンドボールだ。ヨロシクぅ!
3.拙者、須賀京太郎でござる。何卒宜しく……
4.か、彼女募集中です!(高い声で)
5.自由安価
安価↓
京太郎「須賀、京太郎です。よろしくお願いします」
焦っていたせいか特に捻りのないどころか
なーんの特徴も盛り込んでない自己紹介が口を突いて出た
教室中の視線が一瞬で俺の方に集まったかと思うと
先程まで少しざわついていたのが一気に静まり返った
何故だ
……ていうかこれ自己紹介っていうか名乗り上げただけだよ!
ほら、見てよ! 丁度前の席に座ってる女子の顔!
「え? それだけなの?」みたいな顔して俺を見上げてるんだよ!?
しかも俺の身長が無駄に高いせいか見上げるのがツラそうなんだよ!?
判定
0 何も言えなかった(特になし)
4 何も言えなかった(悪印象)
7 イケメンの京太郎は上手く機転を利かせた
ゾロ目=7 ただし44=4
安価↓
しかし――
ここで更に何かを言えるほど俺には度胸はなく
あったとしても何を言えばいいのかもわからず
テキトウにお茶を濁す笑いをクラスメイトに向けるだけで
そのままストンと椅子に座り込んだ
俺に集まっていたいくつもの視線も
それっきり興味を失ったように俺の後方
次に自己紹介をするクラスメイトへと向かって行った
……なんだか幸先の悪いスタートだな
これが所謂、高校デビュー失敗というアレなのだろうか
>評判が更新されました
『なし』→『良くも悪くも普通』
たぶん、今日はここまで。お疲れ様でした
三が日過ぎたら文章量減っていくと思いまする
あ、質問などあれば再開前までにはお答えします
テス
入学初日ということで短縮授業の二限で学校は終わり
高校に入学しての初めての放課後へと突入だ
どうやら一年生だけでなく学校全体がもう終わりらしく
帰宅しようとする一年生を勧誘しようとでもいうのか
サッカーやバスケらしいユニフォームを着た男女や
そのほか部活道具やチラシなどを抱えた先輩らが
廊下やら玄関口やら、あちらこちらに見受けられた
千里山高校は一日目から部活への参加okなのね……
などと考えながら俺は配布された教科書を鞄に詰め
教室に残っていた数人のクラスメイトを尻目に教室を出る
何だかこの調子だと友達を作るのも前途多難みたいだが
なんとかなるだろうと楽観している自分がいるのも事実で
一先ずは名門麻雀部の門戸を叩きに行こうという考えが
俺の身体を突き動かしていた
麻雀部は部室棟の限られたスペースのうち
なんとまあ五部屋も占有して使用している大所帯で
これは流石に、名門と言われるだけはあるよな
どの部屋がどういった役割を持っているのかは分からないが
取り敢えず、俺と同じで入部しに来たのであろう
フレッシュそうな顔つきをした制服の列に加わって
ボンヤリとその場で目の前の列が掃けるのを待つ
「一般入部希望生徒は列に従って入室してくださーい」
10分ほど待っただろうか
数学の教科書から顔を上げると十数人だった列は
俺の後ろの方に倍くらいの人数が立ち並んでいた
全体をざっと見て30~40人ほどかな
眼鏡をかけ、髪先に強い癖のある女生徒の声に従い
俺を含めた入部希望者たちからなる列は
ゾロゾロと彼女が潜った扉の先へと入って行く
入った先の部屋は200人単位で入れそうな講堂で
麻雀部専用の部室、という風ではなかった
たぶん学校行事や学年集会なんかでも使われるものだろう
前から順番に並べられた椅子に座り、またしばらく待機
なんか教科書を見るのも場違いな気がして
することもなく首を回して周囲を見てれば
男女比率は圧倒的に女子の方が多く
どこか居心地の悪さにも似た、首の据わらない感じがして
意味もなく制服の襟首を伸ばして顔を埋めた
女子の方が圧倒的に多いのも
男子麻雀よりも女子麻雀の方が注目度が高いから
仕方のないことかもしれないけどさ……
もうそろそろ用意された席が埋まりきるぞ、というところで
もう新しく講堂に入ってくる入部希望者は尽きたらしく
バタン、と扉が閉まる音がすると
浮足立って騒めいていた雰囲気は徐々に静まって行った
静寂が室内全体に浸透していくのが分かる
別に何かをしたわけでもないのだが
不思議と緊張してしまっている
長髪を靡かせた女教師が咳払いを一つし
マイクの調子を確かめるように声を出すと
つかつかと壇上に登る
彼女が誰であるか、俺には見覚えがあった
進学先を決める時に色々調べていて出てきた情報の中に
この女性に関することもいくつかあったのだ
マイクを持ってステージに登った女教師は
右から左へと視線を眼鏡越しに舐めるように動かすと
雅枝「今日は来てくれてありがとう」
雅枝「私はこの麻雀部で監督兼顧問をやらしてもろうとる、愛宕雅枝や」
雅枝「今年もかなりの新入部員が来てるみたいやけど」
雅枝「ウチの方針としては入部テストみたいなことはやらんから」
雅枝「楽しんでやるもよし、周りと切磋琢磨して」
雅枝「名門の名に恥じぬ実力を付けてくれるもよし」
雅枝「自分なりに目標を設定してやっていってもらえればええ」
雅枝「私からはこんなところかな」
……ほぁあ
すげぇあっさりした挨拶だ……
しかも名門校なのに勝ちに拘らない姿勢ってのは
実のところかなり意外な宣言なんじゃないか?
名門が名門たる有縁は、実績を残せるかどうかにかかっている
もし長き歴史に一度でも穴を空けてしまえば
簡単に揺らいでしまうくらい世間からの評価というものは厳しいものだ
故郷・長野でちょうどいい例があるのを俺は知っている
6年連続で団体でのインハイ出場を果たしていた
長野の古豪・風越女子だったのだが――
昨年は彗星の如く現れた龍門渕高校に敗退し
インハイ連続出場の記録を途絶えさせてしまった
その後の風越女子の評価は散々なもので
秋季や冬季の大会での前評判は酷いものだった
よほどの叛骨心でもない限り奮起できそうもないくらいには
ボコボコに叩かれていた憶えがある
愛宕監督にもここ千里山をそうはさせないという
責務があるはずだけど……
しかも千里山は風越以上に歴史があるはずなのだ
何も感じてないことはないと思うんだが
壇上の姿からは全くそう言った重圧のようなものを
感じている風には見えなかった
よっぽど自信でもあるのかね
これまで育ててきた教え子と
今いる教え子たちの持つ実力に
生徒の自主性に委ねるってのは
ある意味では教師っぽいけどな
雅枝「私が言うことももうないと思うし」
雅枝「次は部長にでも挨拶してもらおうかな」
雅枝「それじゃ、あとは任せたで」
ステージの端に置かれていたスタンドにマイクを置くと
愛宕監督は一礼してにこやかに階段を下りていく
その一方で面食らったように目を瞬かせたのは
講堂の壁沿いに立って様子を見守っていた制服の女性
長い黒髪と制服の上からでも分かる良好なスタイル
白のハイソックスとスカートの間から覗く太ももが眩しい
その容姿は少女というよりは女性と言う方が相応しく
まさに絵にかいたような美人――
竜華「あー、えと……部長の清水谷竜華です」
竜華「え? うん? あ、学年は三年です」
同級生らしき男子生徒に背を押されて
慌ててステージへと駆け上がった清水谷部長は
愛宕監督と同じようにマイクチェックをする――
必要はあるのだろうか? さっきやってたからね
と、兎に角も壇上に上がりマイクに声を吹き込む
本当に事前に何も言われていなかったのか
何を言おうか惑った風に視線を彷徨わせながらも
竜華「監督の言う通り名門っちゅう看板に囚われ過ぎず」
竜華「自分の麻雀を楽しんでほしいな、というのはありますけれど」
竜華「うち個人としては――やっぱり目標はインハイ優勝!」
竜華「白糸台に春のリベンジをしたいと思ってます」
竜華「もしインハイを目指したいって人がいたらやけど」
竜華「団体戦のメンバーはまだ決まってないから」
竜華「新入部員でも十分チャンスはあるってことは憶えといてな」
先程まで狼狽えていたのが嘘のように
晴れやかな笑みを見せてお辞儀をすると
パラパラと散発的に拍手が起こり
喝采とまではいかないものの
その小さな音の波は徐々に広がっていった
俺もつられるようにして軽く手を叩き
最前列から清水谷部長を見上げる
一仕事を終えてホッとした様に胸を撫で下ろし
彼女を送り出したのと同じ先輩に迎えられ
壇上で見せたのとは違う落ち着いた笑顔を見せていた
その不意打ち気味に垣間見えた表情に
内心ドキリとして目を釘付けにされてしまったのは
一体全体、どういうことなのか――
初めてのことで、俺自身にもよく分からなかった
……下世話な話になるけどさ
さっきから清水谷部長と親しそうにしている
学ランを着た先輩らしい人物は
彼女の恋人だったりするのだろうか
何故かそんなことが気になっていた
今日はこれだけ
キャラが掴みきれてないのと方針が固まりきってないので
中々に書き進めることができなくて、本当に申し訳ないです
質問等あれば再開前までにはお答えします
コンマ下二桁
安価↓
しばらく意識を失ってました…
配られた入部届けに名前やクラスなど必要事項を書いて
今後の部活動の形式について詳細な説明を聞く
なにやら所属部員は1~5軍にまで実力で分けられ
その中で自由に打って練習するのが基本らしかった
部室が五部屋分あるのもその為なんだと
監督が指導に多く時間を割り振るのは、所謂レギュラーたる一軍
それに次いで準レギュラーともいえる二軍の部員だそうで
三軍以下は週に数回あるかないか程度
本気で上を目指したいのであれば
週に一度行われる入れ替え戦で昇格していく必要がある
4から5に上がるだけならば
ガッチガチのやる気に満ち溢れた連中よりも
エンジョイしたい人間の方が多いだろうし
すぐにでも上がれると思う
千里山高校の平均レベルが分からないのが
何とも言い難いところだが……
大入りだった入部説明会もわり
入部届けが受理されるのを確認して
新入部員のみで行われるという部内新人戦を
明日にでもやるという話を聞いて俺は
鞄を抱えてさっさと帰ることにした
思い立ったが即行動じゃないが
ネト麻なりなんなりで実践の感覚を
どうにか取り戻しておきたい気持ちがあったからだ
???「よっ、須賀っち」
部室棟を出てすぐだったか。俺はそんな風に声をかけられた
須賀っちなどという気安い呼び名で
俺のことを呼ぶ相手など心当たりはなく
聞き覚えもない声だったので、無視するかどうか
三秒ほど悩んで――応えてみることにした
立ち止まって声のした方、後ろを振り返る
京太郎「……どちらさまですか?」
訝しむ内心が声と表情に出ていたのであろう
振り向いた先で人懐っこい笑みを浮かべていた男は
小走りに俺へと近寄ると
???「おいおいおい、クラスメイトに向かってそりゃあないぜ」
京太郎「アッハイ」
洋画に出てくる愉快な黒人のようなテンションで
俺の肩をバシバシと叩いた
結構身長差があるので難しい体勢なんだが……
よくもまあ器用にやれるもんだ
八十島「俺は八十島(やそじま)ってんだ」
八十島「さっきも言ったけど同じクラスなんだ、よろしく頼むぜ」
京太郎「お、おう」
何故このタイミングになって俺に話しかけたのか? とか
そもそも何が目的なんだ? とか
頭の中に湧きあがる疑問は尽きないが、取り敢えずは
差し出された手を握り返し、握手をする
八十島と名乗ったクラスメイト?は満足そうに頷くと
俺の顔をじっくりと観察すること数秒
八十島「さては『こいつ……何の目的で俺に!?』とか考えてない?」
当たりだ
八十島「まー、考えちゃうよねぇ」
八十島「我ながら今の俺って結構怪しいと思ってるしさ」
京太郎「だったらどうにかできなかったのかよ……」
八十島「はっはっはっ。そこまで頭が回らなかった」
呆気からんと笑う八十島に溜息が漏れる
本当に、何なんだろうこいつは
八十島「おっとと……こんな無駄な前置きをグダグダ続けて」
八十島「これ以上怪しまれるのはマズいマズい。本題に入ろう」
京太郎「本題?」
八十島「うむ」
がっしりと腕を組んで頷くポーズの八十島
八十島「実は俺も麻雀部に入ったんだけどさー」
八十島「見た感じ、同じクラスで麻雀部なのは須賀っちしかいないみたいで」
八十島「これも何かの縁だし、仲良くしておこうかなーって」
京太郎「……はぁ」
八十島「おぉっと、なにさなにさ」
八十島「これでも俺、生まれも育ちも千里山」
八十島「大阪のことなら阿倍野から三箇牧までなんでもござれよ?」
八十島「俺の持つ情報がどこかしらで役に立つかもしれないぜ」
妙なポーズを取って目を輝かせる八十島は
どことなーく子供っぽいというか
話してて邪気が抜かれるというか
気が抜けていくというか……
1.友達になるくらい、いいけどな
2.おう、じゃあ早速なんか情報くれよ
3.お前は麻雀、強いのか?
4.自由安価
安価↓
一時間くらい中断
コンマ二桁が80だったので八十島です
オリキャラですけれど嫁田君ポジくらいの認識でおkです
>>84
×
八十島「見た感じ、同じクラスで麻雀部なのは須賀っちしかいないみたいで」
○
八十島「見た感じ、同じクラスの男子で麻雀部なのは須賀っちしかいないみたいで」
京太郎「そこまで言うんだから自信はあるんだろうな」
八十島「おうっともよさ!」
胸板をバシンと叩く漫画みたいな反応
やだ……なんかこいつのことを
ちょっと面白いと思ってしまっている自分がいる
八十島「気になることは何でも聞いてくれていいぜ」
京太郎「それじゃあ……」
1.最初に一般入部って言われてたけど……
2.麻雀部のレギュラーについて
3.北大阪地区の他の麻雀部について
4.クラス内での評判について
5.自由安価
安価↓
京太郎「最初に講堂に入る時さ」
京太郎「一般入部の生徒って言われてたけど――」
八十島「ああ」
八十島「監督が、自分の好きに麻雀を打てばいいって話してたじゃん?」
京太郎「うん」
八十島「あれの理由の一つは、俺の見立てだと“特待生”にある」
京太郎「特待生ぃ?」
普通に生きていればそうそう聞き慣れないような単語に
俺は顔を顰めて鸚鵡返しにする
何が面白いのか八十島は「ははは」と笑うと
八十島「千里山も結構歴史のある名門だからなー」
八十島「その7看板を維持するために選ばれたエリート様たち」
八十島「所謂ところの麻雀ガチ勢って奴ですな」
京太郎「……成程」
八十島「これ以上説明しなくても分かるとは思うけど」
八十島「俺たちが入部する以前にここの麻雀部には」
八十島「全国の大舞台を目指すために千里山に入学したようなのが」
八十島「集まって来てるってわけだ」
八十島「だから監督は『好きにしろ』なんて大口叩けるのさ」
八十島「必要最低限の素質がある奴は中学の頃に青田買いしてあるし」
八十島「一般入試でやってきた生徒の中に逸材がいれば尚よし、って感じでさ」
京太郎「ふんふむ……」
特待生制度。そんなものがあるとは知らなかったな
入学資料などにはざっと目を通したくらいだし
見落としていても仕方がないとは思うんだけどさ
もしかしたら中学での実績がないと厳しいのかも
宮永姉妹にボコられるのが当然の俺は
「こんなんじゃあ勝てるわけねぇ!」とばかりに
インターミドルとか予選にすら出なかったけど
八十島「まだ他には何かあるかい?」
京太郎「そうだなぁ」
1.麻雀部のレギュラーについて
2.北大阪地区の他の麻雀部について
3.クラス内での評判について
4.自由安価
安価↓
すまん安価はこっちに差し替え
1.麻雀部のレギュラーについて
2.北大阪地区の他の麻雀部について
3.クラス内での評判について
4.自由安価
5.もういいや
安価↓
他に気になっているのは……そうだな
京太郎「今の千里山のレギュラーってどうなってるんだ?」
京太郎「特に1軍、2軍に関してなんだけど」
八十島「そこきたかぁ……」
八十島「まず須賀っちはさ、千里山麻雀部がどのくらい強いか知ってる?」
1.もちろん。全国二位だろ
2.全然まったく。これっぽっちも
3.この間の春季大会は残念だったな……
4.自由安価
安価↓
京太郎「この間の春季大会は残念だったな……」
八十島「残念っていうか、惨敗っていうか」
苦笑いを浮かべつつ八十島は肩を竦めてみせた
八十島「俺も見てたけど、あれは酷いもんだったよな」
京太郎「…………」
今年の春季大会と言えば――注目されたのは
昨年のインハイを制した白糸台と
我が千里山高校とのリベンジマッチが決勝で実現したのだ
インハイ当時とメンバーこそ入れ替わってはいるものの
一年生が新しくそこに加わる可能性を考えてみれば
間違いなく夏の前哨戦ともいえる試合であったから、尚更
注目に注目を集めることとなった
八十島「大将まではそこそこいい試合をしてたんだけどなぁ」
八十島「やっぱり宮永照は別格だよ」
八十島「そん時のうちの大将――分かってるとは思うけど」
八十島「今日挨拶してた清水谷部長だけど……悔しかったろうな……」
京太郎「…………」
あの試合のことは俺も鮮明に思い出せる
その時点ではもう俺の進学先は千里山に決まってはいたが
せめて今日だけは、と
照さんの応援をしようと観戦していたのだ
だがそこで繰り広げられたのは、一方的な展開で
誰もが無抵抗に照さんから点棒を毟り取られていくばかりだった
正直、俺から見ても引くくらいには
照さんも鬼気迫った闘牌を見せていたように思う
夏のインハイよりも強烈だった感すらあった
元々黙って聞いていた俺と
黙り込んだ八十島にしんみりとした空気が流れ始め
それに耐えられなくなったのか
八十島「なんだか話が逸れてるな、戻ろう」
と、八十島
八十島「千里山のレギュラーってのはだいたい」
八十島「全国でもトップクラスの実力と言ってもいい」
八十島「団体戦に出場する5人を含めると」
八十島「1軍にいるのは男女合わせて20人ってとこだ」
八十島「もしお前がインハイ狙いなら――」
八十島「特待生という厚い壁を越えて」
八十島「今度は現レギュラーを蹴落とさないといけないってところだな」
まるで俺の内心を見透かしたように見上げる八十島に
鼻息一つで返事をすると、俺は鞄を抱え直す
京太郎「……やるのが遅いか早いかってだけだよ」
八十島「お?」
京太郎「俺は麻雀で強くなるためにここへ来たんだ」
京太郎「チャンスがあるなら、なんだって挑戦してやるさ」
歩き出した俺に並ぶようにして立った八十島は
俺の顔を何度か覗き込んでから、前を向くと
笑っていると分かる声で、朗らかにこう言った
八十島「いいね。益々気に入ったよ、須賀っちのこと」
京太郎「どーも」
八十島「いいじゃんいいじゃん? 目標は高く、全国の頂よ!」
京太郎「なんでお前の方がやる気だしてんのさ」
八十島「そこは同じクラスで部活の仲間としてだね……」
八十島「あっ、てか須賀っちってどこ住み? 電車通?」
京太郎「電車だね」
どうでもいい会話をしながら桜咲く道を帰路に着く
こんなことを考えるのは少し癪だが
八十島のお陰でどこか救われた自分がいたのは
確かな事実ではあった
>時間が経過します
4月第2週平日 夕方 普通 \5000
八十島と駄弁りつつ昼飯を食って解散し帰宅
長野から来た、と教えてやったらあいつ
「道理で見たことない顔だとは思った」とのたまった
なんだよ見たことない顔って
ここら辺一帯の同学年の顔でも暗記してるのかよ
あー、でも
もしかしたら、制服を取りに行った時に感じた
妙に注目を集めている感じは
他県から来たってのが雰囲気に滲み出ていたからとかだったり
……ないよな
1.探索 (上昇無し)
2.勉強 (学力向上)
3.交流 (友好度上昇(小))
4.ネト麻 (雀力上昇)
5.テレビ (上昇無し)
6.早寝 (体調向上)
安価↓ 2が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
京太郎「まぁなんか大分早いような気がするけど寝るか」
京太郎「色々あってちょっと疲れてるし……うん」
京太郎「お休みなさい……」
判定
01~49 朝までグッスリ
50~98 夜中に目が覚めましたとも
ゾロ目 ???
安価↓
今日はここまで
八十島君は元々「モブ山」みたいな名前の予定だったんだけど
一発キャラでもないのに名前にモブってついてるのは違和感があったので
名前を付けてしまったという、オリキャラというか名有りのモブというか
大体そんな感じです
今のところ見てる人が少なさそうなので安価は直下を取ってますが
もし差支えがないようなら以前と同じように↓2でやろうかな、とも考えてます
質問などあれば再開前にはお答えします
乙
夜中起きたらイベントあった?
このスレ体調大事だったなとか思って思わず早寝しちまったけど
乙
あっ安価だ、って思ったら次の瞬間には取られてるから、個人的に↓2だとありがたい
>>110
むしろ>>1がネト麻などで実戦の感覚取り戻したいって書いてるからネト麻じゃね
それか八十島に自由安価で雀荘のこと聞いて行ったり一緒に麻雀しながら親睦深めるなりしたほうが
コンマ判定直下でそれ以外は下2の方がいいな
>>110
起きてしまえばまた別に行動安価が出てました
イベントがあるかどうかはそこ次第ですね
>>112>>115
成程。選択安価は直下だと埋まるのが早すぎるですか……
今日は↓2でやってみようかな、と思います。コンマは直下で
できれば1800前後には始めたい所存
新・闘牌システムを組んだので
少しばかしテストプレイにご協力ください
>>1にも書いてある通り
『雀力+コンマ(+異能)+技能』での一回判定になります
ただし新しい要素として『技量補正』というものが存在します
またこの『技量補正』のために
以前は『技能』と『器量』に分かれていたステを合併し
新しい『技量』のステとさせていただきました
『技量補正』でどうなるのかを説明しますと
プレイヤー(=京太郎)以外の技量値は雀力値と同等として
(プレイヤーの技量値)-(対戦相手の技量値)の数値(『技量補正値』)を出します
この数値が+になった(プレイヤーの技量値の方が大きい)場合
該当する相手の技能の効果を軽減することができます
例えば現在の京太郎の技量値は181ですので、相手の技量値が100の場合
181-100=81 となり
その相手の技能の効果を81%カットすることができます
逆に技量補正値が-になってしまった時は
自分の技能が該当する相手に適用されないというデメリットが発動します
デジタル雀士の場合、この技量補正値に無条件でボーナスがつきます
オカルト雀士の時よりも技能を生かしやすくなると思われます
技能とかオカルトのデータはまだ用意しきれていないので
完全な状態とは言えませんが……ちょっとやってみます
使用する技能選択
1.狙い撃ち
2.引っ掛け
3.絞り打ち
4.色順読み
安価↓2
《狙い撃ち》使用!
該当レスコンマ下一桁=8→技能発動条件を満たしました
誰を狙いますか?
1.モブA(160)
2.モブB(200)
3.モブC(181)
安価↓2
技量補正値
181-160=21 につき《狙い撃ち》成功!
京太郎(177) 安価↓
モブA(160-100) 安価↓2
モブB(200) 安価↓3
京太郎 177+47 224
モブA 160-100+76 136
モブB 200+40 240
モブC 181+73 254
モブCの勝利! 京太郎は3位でした(対局ボーナス・中)
今回はモブオブモブズの技能と異能そのものを弾きましたが
だいたいこんな感じになると思います
ゲームバランス的には
・自分より雀力が高い相手を倒しにくい
・自分より雀力が低い相手には事故負け以外起こりにくい
というものを想定しています
あと忘れてましたがコンマ77で無条件勝利確定です
それでは本編始めます
4月第2週平日 朝 普通 \5000
体調自体は普通だったのだが
どことなーく蓄積していっていた疲労が
早寝したお陰かすっかり消え去っているような感覚で
気持ちのいい自然な目覚めで朝を迎えることができた
あんな早い時間から寝るとか
そりゃあもう夜中に目が覚めるかとも思ったが
存外朝までグッスリと眠ってしまっていたさ
遭遇判定
0 スルー
4 事故
7 人
ゾロ目=7 44=4
安価↓
何事もなく千里山高校へとたどり着く
歩いて数分の駅から電車に乗って二駅なのだから
寧ろ何かある方が恐ろしいというものだが……
自分と同じ学ランやセーラー服に囲まれて
通学路を歩いていく
これから毎日三年間この道をこんな風にして歩くのかと思うと
少し途方もないような
呆気に取られるような気分になるが
三年なんて長いようで意外と短いものなのは
中学の頃に体験済みではあった
登校二日目ではあるけれども
千里山高校は早くも平常運転になるようで
一限から六限までびっしり授業が詰まった
時間割に眩暈のする思いだが
学生の本分は勉強なのだから
あまり疎かにするべきじゃあないんだよな
だがしかし、駄菓子菓子。そうは分かっていても
春の麗らかな陽気には抗えなくて
こっくりこっくり俺の首は舟を漕ぎ始め――
教師「それじゃあこの問題を……そうだな、須賀ぁ」
京太郎「は、はいっ」
たのを目敏く発見されてしまったのか
歴史教師に指名されてしまった
歴史教師「ちゃっちゃかと答えて下さい。お願いします」
関西特有のイントネーションで繰り出された
生徒に対する歴史教師からの挑戦状とは
一体何の問題なのか黒板から探してみると
そこに書かれていたものとは……
問題
キリストが生まれてから西暦は始まりましたが
キリストが生まれる以前を紀元前で表します
さて、キリストが生まれる一年前はいったい何年でしょうか?
1.西暦0年
2.紀元前0年
3.紀元前1年
安価↓2
西暦というのは大雑把に言ってしまえば
キリスト教における元号のようなものである
平成や昭和と何が違うかって
世界標準になっているか否かくらいのものだと思う
ではその例に倣うのならばキリストが生まれた年が
西暦元年であり、西暦0年というのは存在しない
ということは即ち紀元前0年もまた存在しないことになり
導き出される答えは必然、紀元前1年なのである
京太郎「えと……紀元前1年です」
指名されてから問題を把握し、解答する
この間僅か十秒程度
自分でもびっくりするくらい迅速な行動に
歴史教師も意外そうな顔つきを作ったのだが
すぐさまそれを崩すと
歴史教師「はい。その通りですね」
そう言い放って俺から目線を外し
眼鏡のつるを抑えた後に再びチョークを握ると
授業を再開した
どうやら選んだ答えは正解だった
>学力が上昇しました(大)
評判が少し良くなりました
猛烈に眠気を催してきたので一旦中断、申し訳ない
安価ですが、2000以降に↓2でそれ以前は直下で進めて行こうと思いまス
ちくせう……一時間だけのつもりだったのに……
再開します
4月第2週平日 昼 普通 \5000
京太郎「さーてっと。昼休憩だなぁ……」
午前中の三限が終了し念願の昼食タイムである
教室中を見渡せば、クラスメイトは三々五々といった感じで
まだまだクラス内で大きくグループなりが
出来上がっているようではなかった
一緒に飯を食おうぜ、なんて話をしているのも
二、三人のものである
早速ボッチになっているんじゃないかという
不安に支配されていた昨日とは打って変わって
見えている景色の違い様に少し驚いた
1.教室 (学力(大))
2.食堂 (異能(大)・特殊判定甲)
3.購買 (雀力(大)・特殊判定甲)
4.屋上 (体調向上)
5.中庭 (体調向上)
6.図書室 (学力(大))
7.トイレ (特殊判定乙・行動回数を消費しません)
安価↓2(無効の場合さらに安価↓・特殊判定甲は同レスコンマ047で体調向上)
ゾロ目かぁ……
1.特殊判定甲はゾロ目でも適用する!
2.別にゾロ目だからってボーナスいらないし
安価↓~↓3
>体調が向上しました(普通→好調)
遭遇判定
0 スルー
4 事故
7 9 人
ゾロ目=7 44=4
安価↓
1=0→スルー
食堂で昼にしようと思えど特に拘りもなく
また拘るとしても、何があるのかもまだ知らず
結果として俺は人の波が落ち着くであろう
昼休憩の終了間際に食堂へと駆け込んだ
目論見通り人っ気のない食堂は
無駄に広いせいかどこか閑散としていて
これなら混むのを気にしなくてもよかったかなぁ
あ、このチーズ入りさつま揚げってのが美味そうだ
>異能が上昇しました(大)
時間が経過します
4月第2週平日 放課後 普通 \5000
とうとうこの時がやって来てしまった
放課後であり、初めての部活であり
大阪という未知の地での初対局でございます
……それも一週間ぶりのブランク付き
昨日は暇っちゃあ暇だったものの
帰って着替えて早寝してしまったから
ネト麻をすることもなく今日を迎えたわけだ
うーむ……我ながらガバガバである
昨日八十島にいい雀荘はないかとか聞けばよかったかな
今更そんなこと後悔しても仕方ないし
割り切って部内新人戦に臨むだけだが
八十島「おーっす、須の字」
京太郎「呼び名変わってる!?」
迷わず辿り着けた5軍のだだっ広い部室で
所在なく始まるのを待っていると
見知った顔にそんな風に挨拶をかまされた
八十島「やー……緊張するねぃ」
八十島「今日の試合が須の字の野望の第一歩になるのかと思うと」
京太郎「お前、呼び方はそれで固定でいいのか?」
須賀っちは微妙に恥ずかしかったから変えてほしかったが
まさかそうくるとは誰も思わないだろ……
しかも須賀っちより恥ずかしくないか、それ
京太郎「というかお前が緊張してどうする」
八十島「俺が代わりに緊張したら須の字の緊張解れたりしない?」
京太郎「しないしない」
顔の前で片手を横に振ってアピール
よほど俺の表情が渋いものだったのか
八十島は残念そうに「そっかー」と呟くと
学ランの下に着ているのであろう
パーカーのフードを揺らしながら隣に並び立つ
……やっぱりこいつと会話してると何か気が抜けるな
部室内に人が集まって来て
騒がしく渾然とした様相を呈し始める
俺は時計を確認すると
昨日予め伝え聞いていた開始時刻はすぐそこに迫ってきている
京太郎「なぁ、八十島よ」
八十島「なんだ?」
京太郎「試しに聞くんだが、今日の新人戦には」
京太郎「勿論、特待生連中も出てくるんだろ?」
八十島「だろうね。予想の域は出ないけど」
八十島「一般入部からやって来る、須の字みたいに」
八十島「やる気のある人間かどうかを判別するんなら」
八十島「特待生とどこまでやれるかってのは」
八十島「一番の物差しになるからなぁ」
京太郎「お前もそう思うか」
概ね俺と同じ意見を聞いて安心した
八十島「……もしかして、特待生倒すとか考えてる?」
胡乱な目つきでこちらを見上げる八十島に
俺は「ああ」と言葉一つで肯定して腕を組む
特待生ってのがどれくらいの実力か知らないが――
強くなって、全国の舞台を目指すためには
そいつらも倒さないといけないというのならば
あわよくばいまここでそうさせてもらうさ
勿論、俺の方が実力は上だという仮定での話だけど
京太郎「昨日も言ったろ」
京太郎「違いは早いか遅いかってだけだよ」
京太郎「全員、倒す」
メラメラと湧きあがってくる闘志が
内心を燃やし尽くして体中に充満し
俺の身体を焦がしつくしてしまうかと思うほど
気分が高揚していた
照さんや咲のような
痺れる闘いができる相手と出会えるかもしれない期待と
千里山高校麻雀部という
底の知れない巨大な怪物に挑む恐怖感が合わさって
今にも呑まれてしまいそうだ
俺のそんな複雑に揺れる内面が
どこかから見て取れたのだろう
八十島は暫く呆気取られた様に大口を開けていたが
やがてクツクツと笑いだすと
片手で顔の上半分を覆いながら、尚も笑い続けた
八十島「いいね、いいね!」
八十島「やっぱり最高だよ! 須の字はさ」
八十島「お前に着いて行けば最高に面白いものが見れそうだ」
京太郎「……そうかい」
八十島「こうなったら俺も本気でやっちゃうぜー!」
肩をグルグル回してやる気になっている八十島
こいつの実力が如何ほどかは知らないが
心強い味方を得たような気分になっていた
さて、もう間もなく開戦の時間は来る――
俺は両手を打ち鳴らし、そのまま頬を張ると
深呼吸で肺の中の空気を一斉に入れ替えた
よし。覚悟完了!
新・闘牌システムで使用する
技能と異能の用意をするので今日はここまで
明日の再開は1800頃の予定ですが
人がいないようなら向こうのスレで小ネタやるかもしれないです
質問などありましたらどうぞよろしくお願いします
乙です
ところで遭遇スルー率高すぎないですか
絶好調にするにも大変だし普通で20%で好調で30%のはずなんだが
前回から遭遇判定成功したの何回あったけ?
まあ>>1にある
>○女の子とイチャイチャするのが目的ではありません(真顔)
なのは判るんだがイベントスルーしてる感が強すぎて……
>>168
前周と違って今週のイベント判定は
・判定回数が多いが確率は低い
・判定回数が少ない代わりに確率の高い
のどちらかになっており
今のところイベントの内容が差し替わるまでの期間は
凡そ5月中旬~6月初旬を予定してますので
これくらいのスルーであれば大丈夫だと……思います。たぶん
取り敢えずはこの辺りで。お疲れ様でした
晩飯用意しつつバランス調整で悩んでたらこんな時間に
始めます……と思います
こちらが新しい技能リストになります
いくつかの技能を削除+効果を変更してます
習得済みなのは
ベタオリ・拝み打ち・浮き打ち の三種類
(一発消しは新システムの犠牲になりました)
○技能リスト
狙い撃ち…コンマ下一桁257以外で成功。他家一人の雀力-100
ベタオリ…下一桁047以外で技量+100
引っ掛け…コンマ下一桁367以外で成功。自身の雀力+100
アシスト…他家一人の雀力+50
順ずらし…自身の雀力と技量+50
絞り打ち…上家の雀力-20・下家の雀力-40
色順読み…自身の雀力+50
回し打ち…他家一人の雀力と技量-50
止めリー…他家一人の雀力-50し自身の技量+50
浮き打ち…コンマ下一桁1357以外で技量+50
カラギリ…雀力320以上の相手に有効。他家3人の雀力-50
単騎待ち…自身の雀力を+50する毎に技量-50。ただし技量は50以下にならない
全ツッパ…自身の雀力-75
反射読み…自身の雀力+50し、下一桁247以外で技量+100
迷彩打ち…コンマ判定時の下一桁が049の時、自身の雀力+50かつ他家3人の雀力-50
決め打ち…デジタル雀士に有効。他家3人の雀力-40
拝み打ち…コンマ下一桁2468以外で技量+50
火事場力…技量を25%にする代わり、自身の雀力+250
Fドライブ…三年生限定適用。自身の雀力+30
Aスタンス…無条件で雀力+25補正
Bスタンス…無条件で全体に雀力-25補正
Tバースト…コンマ7での技能失敗を無効化する
スキルツリーに関しては改訂したものをまた作ります
そして新システム用に組み替えられた京太郎のオカルトがこちらになります
オカルト
《スヴァローグ》
対局経験を血肉に変えるオカルト
直接対局したことのある相手の異能を模倣することができる
現在→能力開放レベル60%(ストック2枠)
現在セットされているコピーオカルト
《世界ノ終焉ヲ照ラス焔》
卓上に存在するバフ系異能を半減する
自身にかかる-補正を反転。雀力÷6を+補正
技量÷6を技量補正値に+補正する
副次効果《照魔鏡・劣》
同卓した相手の異能の内容を見ることができる
(この異能は宮永照の持つ異能の劣化コピーである)
部内新人戦と言っても
全員が全員、参加するわけではないようで
10人ほどの特待生と
我こそは、と名乗りを上げた一般生徒――
俺や八十島みたいな奴らを合わせた
30人程度で勝ち抜けのトーナメント戦を行うとのことだった
インターハイと同じ上位二人抜けのルールで
人数の都合で出来たシード枠でない限りは
全部で四回戦ほど半荘をやるそうな
流石に前後半に分けると時間がかかりすぎるので
一発勝負なわけだが
半荘一回ぽっきりで実力なんて測れるものじゃあないよなぁ
流石に素人レベルの腕前相手に事故負けはないが……
対戦相手判定
01~59 特待生1一般生2
60~89 特待生2一般生1
90~98 特待生3
ゾロ目 一般生3
安価↓
京太郎「C卓か……」
八十島「俺はF卓だな。じゃ、健闘を祈ってるぜ」
ひらひらと手を振って歩み去る背中に「お前もな」と声をかけ
俺は抽選で引いた文字に従って指定された卓に就く
特待A「よろしく~」
特待B「……よろしく」
一般A「あっ、あっ、よろしくお願いします……」
俺と時を同じくして座った三人だが
少し怖気付いた様な素振りを見せる一人を除いた
他の二人はどちらも余裕そうな雰囲気を纏わせ
この場で誰よりも自信に満ち溢れているように見える
おそらくは実力か実績に裏打ちされたものだろう
こいつらが所謂、特待生に違いない――
背凭れに身体を預けて卓を眺める
果たしてこれは運がいいのか悪いのか
全員倒すなんて調子のいいことを言いはしてみたものの
まさか初っ端から複数人と当たるとは思ってもみなかった
そのことが予想外であると同時に
手すりの上に置いた掌を開いて閉じる
この動作をする間にも、内心に沸々と湧きあがる感情があった
恐怖や焦りとは違う――そう、もっとワクワクするような
そんな感情だ
特待A「それじゃあ、全員卓に着いたみたいだし始めましょうか」
一般A「は、はい……!」
特待B「…………」
声をかけた特待生らしき一人が全自動雀卓を起動
洗牌する小気味のいい音が戦いの始まりを告げる合図で
俺は知らず知らずのうちに自分の口元が
釣り上がっていたことに後から気付いた
部内新人戦
須賀京太郎の使用する技能/異能を選択してください
所持技能
ベタオリ…下一桁047以外で技量+100
拝み打ち…コンマ下一桁2468以外で技量+50
浮き打ち…コンマ下一桁1357以外で技量+50
所持異能
《世界ノ終焉ヲ照ラス焔》
卓上に存在するバフ系異能を半減する
自身にかかる-補正を反転。雀力÷6を+補正
技量÷6を技量補正値に+補正する
副次効果《照魔鏡・劣》
同卓した相手の異能の内容を見ることができる
(この異能は宮永照の持つ異能の劣化コピーである)
相手の使用する技能は>>177より1種類です
安価↓2(技能)
安価↓3(異能を使用するか否か) 向こうならさらに↓
技能ベタオリ
異能使う
異能の使用はデメリットあるか複数持ってて一つしか使えない時以外は聞かなくっていいような
>>186
なるほど。それではデメリットがない限り自動使用+複数所持でない限りは安価を取らない方式で行きます
特待A
《順ずらし》使用→自身の雀力と技量+50
特待B
《決め打ち》使用→デジタル雀士に有効。他家3人の雀力-40
一般A
《色順読み》使用→自身の雀力+50
京太郎
《ベタオリ》使用→下一桁047以外で技量+100
特待A(230) 安価↓
特待B(230) 安価↓2
一般A(150) 安価↓3
京太郎(177) 安価↓4
特待A 230-40+50+54 294
特待B 230+86 316
一般A 150+50-40+35 195
京太郎 177+30+48 255
特待A「はーい、お疲れ様でした~」
特待B「お疲れ」
一般A「おつ、かれさまです……」
京太郎「……お疲れ様です」
京太郎「…………」
京太郎「………」
京太郎「……」
京太郎「…」
京太郎「……あっれー?」
対局が終わり表示された点数を呆然と眺める
二位と少し離されての三位
一位と二位が接戦の中で食い下がり切れなかった
そんな感じにも見える得点結果だが
一番重要なのはそんなことではなく
京太郎「……ふへ、は、あはははは……」
三位という結果では先に進めないということだ
まさか、まさかのまさかである。一回戦落ち
あれだけ事故負けはないだの
特待生だろうが倒すだののたまっておいて
こんな、呆気なく終わるなんて――
力が抜けて崩れ落ちるようにして雀卓に額をつける
目の前に広がる現実は分かっているはずなのに
心の方が理解するのを拒んでいるようだった
そうか、これが認めたくない現実だというのか……
ああ、クソッ!
クソッ! クソッ! クソッ!
こんなところで立ち止まってる場合じゃないのに……!
俺は、何をやってるんだ
きつく握りしめた拳で太ももを叩いても何も変わらない
ただ自分の足が痛くなるだけだ
でも、何故かそうでもしないと
今すぐにでも大声をあげながら走り出してしまいそうだった
それくらい、悔しかった
>部内新人戦、一回戦敗退
対局ボーナスを獲得しました(3位・中)
判定
偶数 京太郎の対局を見ていた人影があった
奇数 京太郎の対局は見向きもされなかった
安価↓
すいません、さっきの判定に体調(好調)の補正入れるの忘れてたので
判定し直してもいいですか……?
勿論、一回安価取ったんだからそれに従えよとの意見が多ければこのまま進めます
それでは気を取り直して
判定
偶数 京太郎の対局を見ていた人影があった
奇数 京太郎の対局は見向きもされなかった
ゾロ目=偶数 ただし77と44は別イベント(44は悪いイベント)
安価↓
京太郎「はぁ~……」
ズルズルと負けたショックを引きずりながら
準決勝卓を遠巻きに眺めている俺は
それはそれは近寄り難い雰囲気を醸し出しているのだろう
試合も残すところ目の前の二試合と決勝のみにも拘らず
俺の半径1メートル周囲には誰もいなかった
色んな意味で哀しい……
八十島「おいおいおい大丈夫かよ須の字」
京太郎「全然大丈夫じゃない……」
隣にやって来た八十島は俺の言葉に一つ笑いを飛ばすと
八十島「ほれ」
京太郎「おわっ、と、とと」
学内の自販機で買ってきたのであろう缶ジュースを投げて寄越す
俺が何かを言う前に「130円な」と先回りされてしまい
返す言葉を失ったので黙ったままプルタブを開け
口を湿らせるように少量だけ含んでジュースを飲んでいく
それからずっと無言
準決勝卓ではそろそろ決着がつきそうな局面だったが
さきほどまで熱心に向き合っていたというのに
今となってはそこまで興味がなくなってしまっているのは
自分自身に失望しているせいなのか
それとも、照さんや咲みたいな
厄介な相手がいなさそうなのが原因か……
というか何故にこいつは立ったままなんだろうか
椅子はいっぱい空いてるんだし座ればいいのに
中身の少なくなったアルミ缶を上に傾けて
残りを一気に飲み干す
喉元に残っている熱を流す様に
胸元で滞っている気持を解す様に
腹の底で煮えたぎる自分への怒りを冷ます様に――
そうこうしているうちに準決勝卓で決着がついたのか
どよめきとも歓声とも取れる声が聞こえてきて
そちらの方にゆるゆると視線を向けるが
如何せん立ち見する生徒が多くて様子を把握しきれない
舌打ちしたい気持ちを堪え
前方の群集と同じようにして立っている八十島にでも
どうなったのか訊いてみるか
京太郎「準決勝、どうなったんだ?」
八十島「ん? あぁ、決着がついたんだが――」
八十島「……って、ぇ?」
京太郎「? 八十島?」
どうしたんだろうか
急に俺の方を見て固まってさ
そんな大口開けてるとアホみたいだぞ
八十島の方は口をパクパクさせた後
綺麗に気を付けの体勢を取って姿勢を正す
さっきから急に固まるのといい、こいつは何をやっているんだ
俺がよっぽど不審そうな目つきで八十島を見上げていたのか
八十島は目線を頻繁に動かして
挙句の果てには顎を出したり引いたりし始めた
京太郎「……んん?」
眉間に皺が寄っていくのを感じつつも
八十島が俺に何を伝えようとしているのかを考え――
京太郎「後ろ……?」
どうやら八十島から見て俺の方向
つまり俺の背後に何かがあるらしいということを読み取り
何の疑問も持たないまま
何があるのかという予測すら立てずに振り返って
竜華「…………」
千里山高校麻雀部長の視線と真っ直ぐにぶつかった
京太郎「…………」
八十島「…………」
竜華「…………」
ただひたすらに無言
もしかしたら八十島が目をひん剥いてから
十秒も経っていないかもしれないが
体感的には既に10分くらいには感じられていた
10分は短いだろって、ずっと沈黙はツラくない?
周りの音が一気に遠のいてしまって
俺たちだけ別世界に隔離されてしまったような錯覚すら憶える
竜華「……キミ、新入生だよね?」
やや赤みを帯びた、紫色に近い瞳は
真っ直ぐに俺を射掛けていたが
何かの間違いや俺の早とちりの可能性もあったので
一応首を回して他に人がいないか確認
……うむ。八十島しかいない
ということはやはり勘違いとかではなく
目の前に立っている清水谷部長は
俺に対して話しかけてきているわけで――
京太郎「――――」
竜華「っ!?」
自分の置かれた立場を理解した身体が
俺を反射的に椅子から立ち上がらせ
八十島と同様に一本の柱の如く真っ直ぐに直立させる
その勢いに驚いたのか清水谷部長は
目を丸くして両腕を胸の辺りでクロスする謎のポーズ
……ちょっと可愛い仕草だな
年上の女性にそんなことを考えるのは
失礼かもしれないけど
京太郎「1年B組の、須賀です。須賀京太郎」
相手の警戒を解くわけではないが
先程の質問にまず答えようと俺は頭を下げた
下げた頭に清水谷部長の視線が刺さるのを感じつつ
竜華「頭、上げてくれてええよ」
竜華「ていうかそんな深々と下げられても困るしな」
言われたとおりに顔を上げれば
困ったように笑う清水谷部長とまた目線がぶつかり
俺は思わず目を逸らしてしまう
竜華「? どした?」
京太郎「いえ、なんでもありません」
不思議そうに俺を見上げる清水谷部長の自然な仕草と
距離の縮まったことによって仄かに感じられる
女性特有の甘い香りに一瞬意識を奪われるが
努めて冷静に声を絞り出し、後ろ手に組んで直立する
俺を前にして目を丸くする彼女の様子に
混乱状態から抜け出したとは言い難い頭で
可能な限り状況を整理し、ここを乗り切るためには
どうすればいいのか。その為の情報を入手する
京太郎「――それで、清水谷部長」
竜華「うん?」
京太郎「俺に何か御用なのでしょうか……?」
声は震えていなかったと思うが
妙な口調になってしまい頭を抱えたくなる
別に発言の意図は伝わっているだろうが
清水谷部長ほどの美人に、変な奴だとは思われたくないという
男の哀しい性が発動しての後悔なのだ
こうして激しい後悔を抱きながらも
男は日々を戦い抜いているのである……
俺がボンヤリと現実逃避に入ろうかと
至極どうでもいいことを考えはじめていたのが
それも清水谷部長の「あっ、そうや」という声で中断される
竜華「そうや。キミにちょっと訊きたいことがあって」
竜華「少し話でもできひんかなーって思ってるんやけど……」
ダメかな? と軽く首を傾げて問い掛けられ
淀みなく流れては揺れる黒髪に
平常時の俺ならば間違いなく「ハイ喜んでェ!」と
居酒屋チェーン店の店員バリに即座に応えていただろうが
未だに頭が混乱から抜け出せないことと
全国2位の千里山高校麻雀部長ともあろうお方が
部内新人戦一回戦負けとかいう無様を晒す俺に
一体何を訊きたいというのか、と
訝しむ思考が平常時の行動を阻害して
表情筋で困惑した内心を表情として出力することしか
できなくなってしまっていた
竜華「あ、ホントそんな大した事やないんやけどな」
目を細めて象られた苦笑いは果たして
渋い顔で固まっている俺に向けられたものなのか
はたまた彼女自身の内心に起因するものなのか
判断する材料はなく
自分に向けられているのだと考えると
少し心が不安定になりそうだったので考えないことにする
竜華「もしよかったらこの後でも、後日でもええから」
竜華「ちょっとばかりうちに時間もらえたらなーって」
再度の問いかけになる
清水谷部長にこう何度も似たようなことを言わせているのは
とどのつまり固まり続けて「うぅ」とか「あぁ」みたいな
呻き声すら出せない不甲斐ない俺のせいであって
そろそろいい加減にしないと不味いぞとばかりに
自分の中の冷静な部分がガンガン警鐘を鳴らし始めていた
清水谷部長の真意を探るよりもまずは
部員として部長の問いかけに答えるという
義理を果たす方が優先されるはずだ
しかし……話が聞きたいかぁ
内容にもよるんだが、概ねどんな話題でも大丈夫だが
果たして何を訊かれて、何を喋らないといけないのか
……あぁ! いかんいかん
また思考がループを始めるところだった
取り敢えずは何でもいいから答えて状況を落ち着かせよう
1.いいですよ (この後すぐ)
2.いいですよ (後日改めて)
3.すみません (すっぱり断る)
4.自由安価
安価↓2
よし。うん
ここは清水谷部長の誘いに乗ってみよう
ただし日を改めてってのは
ここで決断した勢いを失いたくないし
本人がどちらでもいいと言ってくれてるしで
京太郎「……分かりました。この後でもよければ」
竜華「ホント!?」
本当は相手とキチンと顔を合わせるべきなのだろうが
目を合わせるのが気恥ずかしくて
雀卓の方に首を傾けながら答えてしまう
視線だけ清水谷部長の方に向ければ
嬉しそうにうんうんと頷いていた
京太郎「えと、それで……」
竜華「うん。この後うちはちょっと用事あるから」
清水谷部長の目線の先にあるのは
始まったばかりの新人戦決勝卓
どんな面子が打っているのかまでは把握しきれないが
きっと全員が特待生なのは想像に難くない
彼女の用事というのはこれ絡みか
竜華「それが終わったら――」
判定
0 食堂とかどうかな?
4 一軍の部室に来てもらえるかな?
7 9 校門前で、帰り道にでもええかな?
ゾロ目=7 9 44=4
安価↓
竜華「食堂とか、どうかな?」
竜華「落ち着いて話すには丁度ええと思うし」
京太郎「はい。大丈夫です」
選択権が俺にはあるとはいえ
場所がどこであろうとも関係ないような気はしたし
これが「一軍の部室に来て~」とかだったりした日には
胃痛のあまりこの世からサヨナラバイバイする自身すらある
少年のハートはガラス細工で出来てるのだよ
愛の囁きで壊れてしまいそうになるくらいには繊細だ
竜華「うん、じゃあまた後でな。須賀君」
眩しい笑顔のまま軽く手を振って
清水谷部長は身体をクルリとターンさせて
元々いたであろう人混みの向こう側
先輩たちが新人戦を眺める為に拵えられた
特別席のようなところに戻って行った
彼女の姿が視界から見えなくなって
ようやく緊張やら何やらでガッチガチに固まった
両肩の力を抜くことが叶った
やろうやろうと考えてはいたのだが
どうしても上手くいかなかった
やっぱり精神状態が肉体に及ぼす影響というのは
計り知れないものなのだなと一人納得
もう一度、椅子に座り直して脱力し深呼吸をする
さて。どうやら厄介事なのかは分からないが
普通じゃあ絶対に接点が持てないようなお方と
会話することはおろか、名前まで覚えてもらって
あまつでさえ別個に会う約束までしてしまったぞ
これは一大事である。天変地異と言ってもいい
中学三年間色気の微塵も感じられない
雀士兼ハンドボーラーだった俺が、だぜ?
他人事のようだが、本当に珍事だよこれはさ
そして内容がどうあれ――清水谷部長ほどの美人との約束は
どうしてか心が踊りそうになる
軽快に、タップダンスとかね
京太郎「……ところでいつまで固まってるんだ、八十島」
八十島「…………」
京太郎「八十島?」
八十島「…………」
京太郎「やーそーじーまーくーん?」
八十島「……んで」
京太郎「ん?」
八十島「何をしたんだよ、須の字ィ!?」
京太郎「はぃい!?」
清水谷部長が去って少しして――
完全に路傍の石状態でフリーズしていた八十島は
急速解凍すると同時に俺へと詰め寄る
俺の方が10センチほど身長が高いので
詰め寄るのもやや苦労しそうだが
兎も角も、八十島は詰め寄ってきた
八十島「お前、清水谷部長と言えば平均素点は関西随一で」
八十島「去年インハイ個人戦2位だった荒川憩に並ぶと言われる実力者だぞ!」
八十島「しかも美人! ココ重要ですハイ憶えといて!」
八十島「高レベルの美人なんです!」
八十島「女子高生雀士ばっかり取り上げたアングラ雑誌で」
八十島「佐々野いちごと並んで特集が組まれるくらいには」
八十島「普遍的一般的世間的評価で美少女なんだぞ!?」
京太郎「お、おう……」
あまりの勢いにその場で二歩くらい下がりたかったが
生憎と背後は壁で、仰け反ることすらままならなかった
かなり美人だなぁ、くらいにしか考えてなかったけど
雑誌で取り上げられるくらいなのか。それは凄い
だけど佐々野いちごって誰だよ
八十島「それはどうでもいい」
京太郎「どうでもいいのか……」
八十島「それよりも重要なのは、だ」
キッと俺を睨めつけ両腕を組む八十島
八十島「なーんで他県からやって来た」
八十島「それも新入生のお前に清水谷部長が話しかけたのか!」
京太郎「理由なら俺だって知りたいわ……」
なにせ突然現れて話がしたいだもんな
未だにどこか状況が呑み込めていなくて
あれは俺の見た白昼夢だったんじゃないかと
疑っている自分だっているんだから
俺があまりにも渋い顔をしていたのか
それとも他の理由で追及の手を止める気になったのか
八十島は長く息を吐くと
八十島「何か心当たりはないわけ?」
京太郎「……全然。これっぽっちも」
強いて言えば麻雀を打っていたくらいだが
一回戦負けの一般入部生徒の打ち筋を見たって
強豪校の部長ならば何とも思わないだろう
もっと色々な雀士や打ち筋を見て来たはずなんだから
京太郎「清水谷部長と約束した通り行ってみるしかねぇよ」
京太郎「たぶんお前の聞きたい答えも、俺の知りたい答えも」
京太郎「そん時に分かるだろうさ」
八十島「だよねぇ……」
天井に顔を向けて考え込んでいる様子の八十島だったが
背伸びをすると、足元に置いていた鞄を背負って
八十島「ま、よかったら明日にでも教えてくれ」
頑張れよー、と応援の言葉を残すと部室から出て行った
京太郎「……何を頑張るんだよ」
ふっと独りになった孤独感が襲って来て目線を動かせば
新人戦の決勝卓はもう既に決着がつく直前といったところで
初めの頃に比べれば、部室内に残っている生徒の数も
思っていたよりは減っているようだった
勝ち抜け方式だから負けてしまえばその後暇になるし
部活も今日はこれっきりのようだからな
まあ特に用事でもない限りここには残らないか……
負けたのはショックだったが
それ以上に衝撃的な出来事が会ったせいで
どこか感覚が麻痺したまま俺も八十島に倣って部室を出る
俺はそのまま約束の場所である食堂まで
早足気味に向かって行った
>時間が経過します
判定
0 誰もいなかった
4 数人他に生徒がいた
7 9 気怠げにする女生徒がいた
安価↓
というワケで今日はここまで
なんだか急激に話が進んだような気がしますけれども
しばらく質問などあれば(選択肢の何が正解だったとか)どうぞ
乙です
正解って合ったんですか?
技量補正が低くても自分の技能が相手に効かなくなるくらいしかデメリットないって解釈でいいんかな?もしそうだとしたら火事場力を覚えればそうそう負けないんじゃ
>>237
正解というよりは最善と言う方が正しいですね
例えば>>215の三択なら、1.○ 2.△ 3.× でした
>>241
その解釈で合ってます。そしてこのままだとゲームバランス崩壊するので
少しばかし調整を入れさせてもらいます。申し訳ない
これって前やってた鶴賀の2週目ってことなんかな?
>>243
お恥ずかしながらその通りでございます……
※対局ルール変更
技量補正値がマイナスとなった場合
その値に応じて該当する相手からの技能効果が増大します
例:京太郎の技量(181)で相手の技量(200)の場合
181-200=19
相手→京太郎への技能の効果が19%上昇
これで火事場力はリスキーなスキルになるはず……
新しいスキルツリーです
以前と比べるとかなりスッキリしましたね
(火事場力) (全ツッパ) (アシスト)
↓ ↓
↓ ↓
(Fドライブ)+(単騎待ち) (決め打ち)
↓ ↓ ↓
(Tバースト) (順ずらし)―+―(絞り打ち)
↓ ↓
(迷彩打ち)(カラギリ)
↓ ↓
(狙い撃ち)(Bスタンス)
↓
(ベタオリ)――+――(順ずらし)
↓ ↓
(反射読み)(色順読み)
↓ ↓
(引っ掛け)(Aスタンス)
携帯からでもこれならたぶん正しく見られるはず
(火事場力) (全ツッパ) (アシスト)
↓ ↓
(止めリー) (回し打ち)
↓ ↓
(Fドライブ) (単騎待ち) (決め打ち)
(Tバースト) (順ずらし)―+―(絞り打ち)
↓ ↓
(迷彩打ち)(カラギリ)
↓ ↓
(狙い撃ち)(Bスタンス)
↓
(ベタオリ)――+――(順ずらし)
↓ ↓
(反射読み)(色順読み)
↓ ↓
(引っ掛け)(Aスタンス)
だだっ広い食堂は放課後ということもあって
人っ子一人いない状態だった
一応営業自体はやっているらしいが
自販機以外に動くものはなく
厨房へと通じるカウンターにもシャッターが下ろされていた
京太郎「やっぱり俺の方が先か……」
150人近いという部員を抱える名門の部長なのだから
それなりに忙しいだろうことは予想できたし
短縮授業のお陰で時間自体にも余裕はあるしな
念の為に二人分の水を注いでおいて
手頃な椅子に座り大窓から中庭を眺める
校舎に囲まれているせいか日差しの差し込みはなく
夕刻という時間も相まって仄暗く見えるそこは
ガーデンテーブルがいくつかと
3本ほど植えられた楓の木が新芽を付けている
時折吹く風に葉がカサカサと揺れる音以外に
存在を主張するものはどこにもなく
慣れない土地に一人でいるという事実を
ずっしりと俺の気分の上に乗算させていた
勿論、周囲に人がいるよりは
誰もいない方が気分的には楽な状況だが……
竜華「須賀くーん!」
やけに反響して聞こえる声に呼ばれて顔を上げれば
通学鞄を手に持った清水谷部長が
こちらに向かって小走りに近付いてきていた
俺は椅子から立ち上がって
何か一言でも言おうかと考えたのだが
走っていることで揺れてしまっている
清水谷部長のある一点に目が釘付けになってしまい――
京太郎「…………」
バシッ、バシッ、バシッと存外にいい音がした
目を閉じて無言のまま自分の頬を叩いた俺に
ぎょっとするのも当然のことだろう
清水谷部長の方から声なき困惑がひしひしと伝わって来て
京太郎「……気にしないでください」
竜華「え……でも……」
京太郎「大丈夫ですから! 気にしないでください」
京太郎「そうしてくれると、本当に助かるので……」
竜華「あぁ、うん……」
納得のいってなさそうな表情のまま
清水谷部長を対面に座るよう促して俺も再び腰を下ろす
どうぞ、と予め用意しておいた水を促すと
竜華「あ、ごめんな。気ぃ遣わせて」
先程までの様子を取り繕ったように言って
躊躇いなくコップに口を付けるものの
彼女の目は間違いなく不思議なものを見る目だった
死にたい。豆腐の角に頭をぶつけて
もしかすれば今なら死すら本望かもしれないが
だってあんなにも素晴らしい光景を拝めたんだからさ
はぁ……大きかったな
竜華「……なんか、須賀君変なこと考えてない?」
京太郎「っ、全然、そんなことはないですよ?」
竜華「そーぉ?」
ジットリとした目線を投げかけられて狼狽える
似たような状況――邪な思考を読まれて不審がられる――は
宮永姉妹相手にも何度かあって
あの頃は相手が幼馴染だから内心を読まれてんのかと思っていたが
清水谷部長とは、昨日存在を知って
今日初めて口をきいた仲である
その状態で読まれてしまったということは即ち
俺がよっぽど考えてることを読まれやすいのか
それとも女性というのは須らく勘のいい生き物なのか
疑問は尽きないが……今それは重要じゃない
重要なのは、そう
清水谷部長は俺から何を訊きたくて呼び出したのか、だ
判定
0 京太郎「あの、清水谷部長……」
4 竜華「単刀直入に訊くけど――」
7 9 竜華「もう大阪には慣れた?」
安価↓
申し訳ないちょっと急用入ったので中断します
たぶん1時間あれば戻って来られるとは思います……
先手必勝とは少し違うが
主導権を握ること自体は悪いことではないだろう
京太郎「あの、清水谷部長……」
竜華「須賀君さ」
「「あっ」」
被った
ものの見事に被った
間延びした様な気まずい空気が流れ出し
お互いに口を噤んで相手の出方を見る体勢で
しばらくの間、無言
少し遠くから空調の音が聞こえてくるくらいには
気まずい無言……
いやいやいや、どう考えてもこれはマズい
どれくらいマズいかというと
カレーにボーキサイトが投入されるくらいには、マズい
早いとここの空気を打破しないと
あまりの気まずさに精神が衰弱して
最悪の場合死に至ってしまう可能性がある
さりとて向こうも言いたいことがあって
声が被ってしまったわけなのだから
年下の俺の方から言い出すのも気が引けるしで
ここは清水谷部長に譲ろう。そうしよう
……先手必勝とは何だったのか
京太郎「清水谷部長からでいいですよ」
竜華「そ、そう? 遠慮せんでも――」
京太郎「いえ。そういうわけでは……」
何だか埒の開きそうにない会話の気配が漂い始めたぞ
清水谷部長も譲ろうという考えがどこかにあるようだが
俺の方は単刀直入に用件を訊くというだけであって
もしかしたら彼女が言いかけた内容と合致するものかもしれない
それを考えれば俺が譲った方が建設的だろう
ここは少し押し気味に畳みかけた方が良さそうだ
1.俺の方が年下ですから、先にどうぞ
2.遠慮なんかじゃなくて本心ですよ
3.ここは部長の方からお願いします
4.自由安価
安価↓
ミス
ここから↓2
判定
0 竜華「そか。それじゃあ――」
4 竜華「なんや、悪いような気もするけど」
7 9 竜華「大した事じゃないんやけどな」
安価↓
だいたいいつも書き忘れてますが、ゾロ目は79で44は4です
それと少し補足説明しますと、三択には○△×が必ず含まれていて
△を選択した場合、判定が入ります
判定で0ならば△のまま進みますが
7だと○、4だと×に変化して進む仕様になってます
京太郎「遠慮なんかじゃなくて本心ですよ」
それも――嘘偽りがないくらいには
心なしか少しばかり姿勢を正して
真っ直ぐに清水谷部長を見詰める俺から
ふいっと視線を外して清水谷部長は
どこか言い難そうに手元でコップを弄ぶ
まだまだ半分以上残っている水面が揺れ
そちらに俺の意識が動いたのを見逃さないとばかりに
竜華「そか。それじゃあ――うちからやね」
清水谷部長は声を上げた
竜華「須賀君を待たせてしまったのは悪いし」
竜華「早速やけど、本題に入らせてもらいます」
今までと声のトーンが変わったのを感じて
逸れていた意識は再び清水谷部長へと向かう
俺と同様に背筋を正して
これまでの気さくな雰囲気とは違う
研ぎ澄まされた空気を纏った清水谷部長は
怜悧な美女と評するのが相応しい、と
文学青年的なことを思い付いてしまうくらいには
真剣さを感じさせる風であった
竜華「実は今日の新人戦のことでな」
竜華「本来ならうちは準決勝から見る予定やったんやけど」
竜華「……ちょっと恥ずかしい話、時間間違えてもうてな」
竜華「少し早めに来てしまったんよ」
苦笑いをしつつ頬を掻く様子に軽く追笑する
ここまで彼女と話していて分かったことは
本質的に“いい人”だということだ
率直に自分の感情を表現すると言えばいいのか
兎に角、よく表情が変わる
喜び、遠慮、関心、驚きや羞恥
溌剌として揺れ動くその様は、羨ましいくらいに
彼女がいい人であるのだと物語っていると
そういう風に感想を抱いた
もしかしたら――だからなのかもしれない
俺が彼女を深く疑うこともなく
こうしてその誘いに従って、現在進行形で面と向かっているのは
竜華「それで偶然、君の対局を見ててな」
その言葉を最後にして清水谷部長は表情を曇らせた
ぴっちりと閉じられた唇と
悩ましげに寄せられた眉根からは
彼女が何かを躊躇っているということしか判断できず
どうすればいいのか、俺には分からなかった
中途半端ですがここまで、申し訳ない
明日にはこのイベント終われそうですが
おそらく明後日は更新自体お休みになると思います
質問などあれば再開までにはお答えします
いくらじれったくとも急かすのが悪手なのは
少し考えるまでもなく分かることで
俺は聞く姿勢のまま清水谷部長を待つ
躊躇い言い淀むのにはきっと理由があって
そこから先へと踏み出すのには
少しばかり思い切りの良さが必要だ
時に勇気や傍若無人とも称されるそれを
彼女が発揮するまでどのくらいかかるのか……
考えて、しかし俺の考えに反するように
清水谷部長はゆっくりと重い口を開いた
竜華「今から話すのはちょっとした予想というか」
竜華「推測みたいなもんで……それがうちの早とちりやったり」
竜華「勘違いやったりしたら申し訳ないんやけど――」
一瞬、息継ぎをするために言葉が止まる
一秒間が十倍にも引き伸ばされたような気がして
俺は吸い寄せられるように清水谷部長の
淡く桃色の唇を注視する
竜華「須賀君は……宮永照の関係者、だったりするんかな?」
そして彼女の口から告げられた言葉に
俺の中で動いていた時間という時間が一斉に停止した
何を言われているのか分からなくなって
理解の鈍い頭を再起動させるつもりで片手で額を叩く
俺が……宮永照の関係者だって……?
現実に認識が追い付いていくにつれて
ようやく『清水谷部長が何を言いたかった』を理解した
理解して、しかし新たな疑問が次々に湧きあがる
どうやって知った?
どうして見抜けた?
もしその予想が当たっているとして
俺に一体何を求めているんだ?
内心で半ば恐慌状態に陥った俺を尻目に
清水谷部長は言葉を続ける
竜華「どう、かな。もし違ってたらごめんな?」
竜華「こんな大した事ないことで態々呼び止めて」
京太郎「いえ……」
咄嗟に声が出ていたのは反射的な行動だったが
続けて何と答えればいいのか見当もつかないまま
額を叩いた片手でそのまま顔を覆い隠す
表情が知らず知らずのうちに強張っていたらしい
大きく息を吐きだして顔を和らげる
何はともあれ落ち着くんだ、俺
彼女にどんな思惑があってあんな質問をぶつけてきたにせよ
はいそうですよ、とホイホイ何もかもを
洗い浚い喋ってしまうのは止めた方がいいのは間違いない
清水谷部長は、本質的に良い人だ
だが、良い人であるが故に
何気ない言葉の裏に隠したつもりの意図を
隠しきれていない……
その正体まで読みきることはできないが
少なくとも、相手が何かを隠し立てしている状況下で
こちらの手札を晒すのは避けた方がいいだろう
特にこれは個人的な情報に繋がりかねない
デリケートな質問だと思うし
慎重に答えを選ばないとな――
1.――どうしてそう考えたんですか?(回答の先送り)
2.そうですよ。姉、みたいなものです(強い肯定)
3.貴女は俺に何を求めてるんですか?(軽い肯定)
4.自由安価
安価↓2
彼女にどんな目的があったとしても
一定以上の信用はしてもいいとは思う……たぶんね
千里山高校麻雀部という巨大な組織の頂は
多くの人からの信頼で成り立っていると信じたい
そういう意味も込めて、だ
京太郎「……そうですよ」
京太郎「宮永照は、まあ俺にとっては姉みたいなものです」
正確に言うと幼馴染で、幼馴染の姉なわけだが
似たようなものでしょ
竜華「そうなんか……そうなんやな……」
俺の言葉を受けて、どこか遠い目をして
窓の外を見る清水谷部長に
内心で焦りのようなものが出てきた
反応が鈍すぎる
俺がどういう意味で言ったのかを理解して
その上での彼女の静けさに……空恐ろしさを感じる
まるで「その言葉を待っていた!」とばかりに
自分の予想が正しかったと裏付けを得て
静かに喜んでいるような印象を受けた
竜華「なぁ、興味ついでに訊くんやけど」
竜華「宮永さんのことを、仮にも“姉”って呼ぶくらいやし」
竜華「やっぱりかなり親しいんよね」
京太郎「……ええ。そう、なるんじゃないですかね」
こちらに身を乗り出して俺に迫る様子は
何気なく“何か”を俺から聞き出そうとしているようで
ここに至って完全に俺はさっきの質問への答えが
失敗であることを悟った
もう、彼女は俺のことなど見てはいない
須賀京太郎は目の前にいるのに、そこを見ていない
俺の向こう側にある――
宮永照の影を清水谷竜華は見ていた
判定
0 受け入れるしかない
4 絶対に受け入れたくない
7 9 咄嗟の天啓が閃く
安価↓
拒絶しようと思えばできた
貴女は俺に何を求めているんだと、声高に問い質して
内心に隠された本音の一部分でも知ることだって
……できたはずなのだ
だが、実際はどうだ?
俺が信用してみようと考えた
千里山高校麻雀部という巨大な組織は
いきなり目の上のたん瘤へと変貌を遂げてしまった
――彼女は部長なのだ
部員たちの過半数以上から間違いなく信用されているだろう
そして俺は、昨日入部したばかりの新入生で
部内に於いて発言力が強いのはどちらだ?
どちらの言葉に賛同する人間が多いと思う?
ここで俺が彼女を拒絶すれば――俺はどうなる?
どんなに“良い人”であっても
全ての人が無条件にそうだということなどは絶対にない
敵意を向けられれば牙を剥き
必ずその要因を排除しようとする……それが人間だ
それも相手が人間であるならば
なにも直接的に対立することだけが唯一の方法じゃあない
忌み嫌い、疎外することで蓋をして
なかったことにすることだってできるのだ
もし、拒絶してそうなったらどうなる?
俺は麻雀を奪われるかもしれない
ここで打つことすらできなくなって
たった一つの願いすら――
京太郎「っ……!」
それだけは絶対に認めちゃいけなかった
どれだけ自分が、須賀京太郎という人間が
相手に評価されていなかったとしても
自分の中に居る、別の誰かを見られているのだとしても
それが――俺という人間の尊厳を犯しているのだとしても
絶対に認めるわけにはいかないことだった
俺は、俺から麻雀を奪われるわけにはいかない
どんな理由であれ、相手が誰であれ
勝って、勝ち続けて、その先にあるかもしれない
森林限界を超えた先にある景色を見る
その、ちっぽけで些細な
たった一つの願いを、失いたくはなかった
だから、堪える。必死になって
出来る限り平生の表情を保ち
掌に爪が食い込みそうなほど強く握られた
拳は机の下に押し隠して
いつも通りの、須賀京太郎を演じる
竜華「うちは一人っ子やったし」
竜華「頼りになる年上の知り合いなんかも身近にはおらんかったしなぁ」
暢気に笑顔を咲かせる清水谷部長だったが
もう俺は彼女の言葉の半分は聞き流す体勢で
どうにか早く満足して切り上げて欲しいと思う気持ちでいっぱいだった
それくらいに、耐えられなかった
自分が自分として見られていないということを
ハッキリと悟ってしまった後というのは
こんなにも虚しい気持ちでいっぱいになるなんて
誰が予想できたのだろうか……
その後もいろいろと質問攻めの憂き目にあったが
極力角の立たないよう返事をしつつも
曖昧な答えを繰り返しているうちに
清水谷部長は納得したのか満足したのか、お開きになった
校門で別れて北へ向かうセーラー服の背中を見送りながら
どっと疲れた気分が襲い掛かって来て
今すぐにでも布団に横になりたかった
横になって目を閉じて、何もかもを忘れたかった
帰りの電車の中で、携帯の電話帳に
新しいアドレスが登録されているのを確認して
即座に削除したくなったが
したくなって、踏みとどまる
まだ、切り捨てるのには早いのではないだろうか
彼女の本質的な部分に賭けてみてもいいんじゃないか
人の善意を信じられなくなったら、絶望するしかない
そう、小さく主張する自分に同意したくなって
俺は込めた力を緩め、その場に踏みとどまった
>時間が経過します
清水谷竜華と友好度が発生しました(01)
少し中断します
4月第2週平日 夜 好調 \5000
冴えない気分のまま自宅に戻り
晩飯の用意をして、昨日たいた米をレンジで温める
なんなんだろうな
温かい飯を食っているはずなのに
気持ちは冷え込みきっていた
1.探索 (上昇無し)
2.勉強 (学力向上)
3.交流 (友好度上昇(小))
4.ネト麻 (雀力上昇)
5.教本 (技量上昇)
6.早寝 (体調向上)
安価↓ 2が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
ここから↓2
特殊判定
0 モブ
4 モブ(強)
7 9 自由安価(高校生雀士一人)
ゾロ目 7 44 4 それ以外 0
0になった場合は再安価出します
安価↓
モブ雀力=コンマ下二桁×2
モブあ 安価↓
モブい 安価↓2
モブう 安価↓3
ネト麻
モブあ(144)
モブい(30)
モブう(168)
京太郎(178)
須賀京太郎の使用する技能を選択してください
所持技能
ベタオリ…下一桁047以外で技量+100
拝み打ち…コンマ下一桁2468以外で技量+50
浮き打ち…コンマ下一桁1357以外で技量+50
相手の使用する技能は>>177より1種類です
安価↓2(技能)
モブあ
《狙い撃ち》使用→コンマ下一桁257以外で成功。他家一人の雀力-100
モブい
《反射読み》使用→自身の雀力+50し、下一桁247以外で技量+100
モブう
《止めリー》使用→他家一人の雀力-50し自身の技量+50
京太郎
《ベタオリ》使用→下一桁047以外で技量+100
同レスコンマ下二桁で狙う相手も判定
モブあ(144) 安価↓ (123:い 456:う 789:京)
モブい(30) 安価↓2
モブう(168) 安価↓3 (123:あ 456:い 789:京)
京太郎(178) 安価↓4
モブあ 144+20 164
モブい 30+48+50-114 14
モブう 168+83 251
京太郎 178+48-19 207
初めての部活でもあまり打てなかったし
憂さ晴らしとは違うけれど……気分転換に
ネト麻をやってみれば2位という終わり方だった
一人だけ凄く弱い人入ってて
打ち辛いことこの上なかったし
誰がその人から毟るのかを競っていたようにも思えて
余計に気分は沈みがちになっていく
弱い相手から奪うのはこのゲームの基本だが
実力差が圧倒的だったのは目に見えていただけに
何とも後味が悪かった
>時間が経過します
対局ボーナス・2位(該当ステ上昇(大))
判定
0 現状維持
4 後ろ向きになる
7 9 前向きになる
安価↓
77と44は別イベ(44は悪いイベント)を書き忘れてたけど……どうします?
1.判定し直そう(提案)
2.このまま悪いイベントを見よう(ゲス顔)
3.普通に4扱いでいいんじゃないの?
判定
0 現状維持
4 後ろ向きになる
7 9 前向きになる
ゾロ目=7 ただし77と44は別イベ(44は悪いイベント)
安価↓
4月第2週休日 朝 好調 \5000
京太郎「…………」
目覚ましに設定した一時間前に目が覚めてしまった
今日は偶数週なので学校はないが
部活があることは麻雀部の連絡網で知っていたから
学校に行くのと同じ時間に目覚ましをかけたのだが
どうやら必要なかったらしい
清水谷部長との会合から数日
寝て起きて、冷静になって考えると――
彼女にとって俺個人に、どこまで価値があるのか?
ということを分析してみれば
少なくとも、須賀京太郎のパーソナリティ全体よりは
その一部分である『自称:宮永照の弟』という部分に
価値を見出して注目するのは当然のことで
あの日の俺は、独り相撲も甚だしい独白を抱いていたことは
確定的に明らかな事であった
一人で勝手に期待して、解った風になって、失望して
――本当に、道化もいいところだ
勿論あの時の清水谷部長の態度だって
全部が全部許されることじゃないとは思うけど
やはりよく知らない相手へ過度に想いをかけすぎたことは
俺のミスだったと言えるだろう
それで、俺はどうする?
自分の失態を自覚した上で
次に何をするべきなんだ、何がしたいんだ?
そうだ……何がしたいか、なんだよ
俺はどうしたいんだ? どう在りたいんだ?
しっかし、通学途中の電車に揺られながら
自分の存在意義を問うなんて
15歳にして哲学の入口に立ったような気分だね
さぁ、どうするんだ俺は
1.誰かに相談する(再安価)
2.兎に角強くなればいい
3.清水谷部長に挑戦状を突きつける
4.自由安価
安価↓2
どう在りたいかなんてのは分かりきってることさ
兎に角強くなればいい
今のままじゃあ、照さんや咲はおろか
部内の特待生相手でも同じ土俵に立てそうにない
だから強くなるんだ。どこまでも
……強くなるアイデアは、イマイチないんだけどね
千里の道もなんとやら、ローマは一日にして成らずというし
コツコツやっていけばいいのだが
それだと時間がかかりすぎるし――
京太郎「…………ん?」
京太郎「……んんん?」
待てよ
待て待て待て
何で俺はこんなに焦ってるんだ?
別に強くなるだけなら、現状を受け入れて真面目に部活して
三年間で行けるところまで行けばいいだけなのに
どうして、俺は――こんなに焦ってるんだ
すぐにでも強くなりたいって、考えてしまってるんだ……?
判定
0 気付かない
4 事故に遭う
7 9 気付く
安価↓
生存判定
0 数か所の打ち身
4 意識不明と骨折
7 9 擦り傷と捻挫
ゾロ目=7 9 ただし77は無傷 44は死亡
安価↓
意識が戻るまでの時間
コンマ下一桁(1~9)
二桁目が4ならそれを×3
ただしゾロ目だと1日で快復
なお44で死亡
安価↓
死亡エンドは回避しました
今日はここまで。お疲れ様でした
質問などあれば再開前には(ry
申し訳ない、終わる前に一回だけ安価取らせてください
目覚めた時に京太郎の傍にいたのは……
偶数 短髪
奇数 長髪
ゾロ目=両方 ただし77と44は別人(44は会いたくない人)
安価↓
今度こそ本当に終わりです。ご協力ありがとうございました!
悲惨と言っても入水や分割や夢幻世界入りに比べたら可愛いものだと思います
明日はやります。日曜もやります
土曜は未定……と言いつつ多分やりません
明日っていつさ!?
他は分かるが夢幻世界入りって?
>>364ちゃん! 明日って今さッ!
金曜から今日の朝まで急な仕事で死んでたんだ、申し訳ない
年始から休みなくて変な笑いに塗れそうですがゆっくりと始め……たいです
>>366
京太郎「俺が活躍する!?」 で検索するといいと思います
そうやって考え込んでいたのが悪かったのか
ただ単に運がなかっただけなのか
千里山駅を出て幹線道路沿いを歩いて
見慣れ始めた通学路で学校へ向かう途中
ドンッ、という衝撃と共に
俺は想定外のタイミングで圧倒的な質量に衝突され
成す術なく、吹き飛ばされた
悲鳴、騒めき、クラクション、近付いてくる足音
思考に没頭していた頭に周囲の情報が急激に流れ込んできて
何が起こったのかを考えるよりも
自分の身体が錐揉みするのをどこか冷静に分析しつつ
景色はゆったりと回転しながら、冷たい地面に到達した
強打した全身は茹で上がったように熱く
ようやく何が起こったのかジワジワと理解が及んできたのだが
痛いとか、そういうことを考えたり
悪態の一つでも吐くことすらままならないまま
俺の意識は焼失した
>時間が経過します
タン、タン、と聞き慣れた音が耳朶を擽る
不規則に、しかし途切れることなく聞こえるその音に
どこか懐かしさを感じて
閉じられていた瞼をゆっくりと上げた
いつの間に眠っていたのだろう……?
軽くズキズキと痛む頭を押さえながら
目覚めるよりも前のことを思い出そうと記憶を辿れども
部活に出ようといつも通り通学路を歩いていて
俺はどうしたんだったかな
瞼を開けた先に広がっていたのは
見慣れた雀卓と綺麗に並べられた麻雀牌
それじゃあさっきから聞こえてくる音は
麻雀牌を扱う時のものなのかと
首を回して周りを見渡せば、俺以外にも三人の人間が
雀卓を囲んでいるのが見受けられた
しかし――その顔までは分からない
まるで霧がかったようにそこだけボンヤリとしていて
首から下の体格から女性らしいということを
判断できる程度だ
???「どうしたの? 京ちゃんの番だよ」
対面に座っている少女が、そう声をかけた
どこかで聞いたことのあるような、ないような
そんな風に聞こえた声だったのだが
???「もしかして迷ってる?」
???「何を切れば逃げ切れるか――」
言われてすぐさま河と手牌を確認し
安牌を把握、二向聴ならこのまま和了りも目指せる
腕を伸ばして現物を手に取るとそのまま河に置く
そこまでの俺の所作に、左右に座っている少女が微笑んだ
不愉快な嘲笑ではなく
恐らくは俺がベタオリを蹴って和了りを目指すのを
内心のうちに歓迎して、出たものだろう
???「――答えは出たみたいだね」
金糸みたいな髪を揺らして少女は笑う。朗らかに笑う
我が事のように喜んで、彼女は笑い続けた
そして自分の自摸番になると、迷わずに牌を捨てる
彼女はリーチをかけていた
もう少しでこちらは和了るぞ、という最後通告を
同卓する人間に突きつけていた
順番は巡り、再び俺の番が来る
この状況下で俺のすべきこととは何か……
対面の少女を和了らせない
手牌を進めて俺自身も聴牌、或はリーチにまで持って行くこと
何よりもまずは、諦めないこと
どんなに絶望的な選択肢しか目の前に無くても
そこから最善を導き出すことを諦めてはいけない
諦めた瞬間に人は終わってしまうのだ
無理なんだと決めつけ考えることを止めてしまい
気付けたかもしれないことにも気付けないまま
???「今みたいに――」
???「麻雀みたいに何かを選択しなければならない時」
???「すっごく悩んで、考えても答えなんか全然分かんなくて」
???「間違った選択をしてしまうこともあるかもしれない」
???「そのせいで取り返しのつかないことになって」
???「ずっと、ずっと、迷い続けることになるかもしれない」
???「絶対的な正解なんてないんだもの、仕方ないことだよね」
???「だけど、何がしたいのか、どうなりたいのか」
???「どう在りたいのか――それがハッキリと分かっているんなら」
???「迷ったとしても、答えは分からなかったとしても」
???「ゴールには辿り着けるんだよ」
???「だって京ちゃんは―――――で――も――」
京太郎「何を言ってるんだ、なあ、お前は……!」
少しずつ遠ざかっていく姿に
俺は必死に手を伸ばして呼び止めようとした
繋ぎ止めようとした
ここで見失ってしまったら
もう二度と会うことはできない。そんな気がして
限界まで力を振り絞り、無謀だと分かっていても
それでも俺はこの手に掴むんだと
踏ん張って伸ばし続けて――
京太郎「――――」
目の前に広がるのは、知らない天井だった
白くて、タイル張りみたいでどこかヒンヤリとした
病院で横たわっているのか……? ということだけが
自分の置かれた状況ですぐに把握できたことで
体を起こそうと力を入れて走った痛みに
思わず顔が歪み、呻き声が漏れる
渇いたのどを空気が通る耳障りな音が頭に響いて
俺は一気に脱力するとベッドに沈み込んだ
ダメだ。起き上がれない
どのくらい長い間、寝転んでいたのか
全身の筋肉が固まってしまったように身体が硬い
せめて首か腕だけでも動かせないものか、と
眉間に力が入ったのと同時、右手に温かい感触が触れた
染み渡るような温かさ――人肌の温度というのだろうか?
少なくとも自分は腕を動かしていないのだから
これは何らかの拍子で何かが俺の手に当たったか
どこかの誰かが俺の手を握ったかの二択になるわけだが
果たして、答えは後者の方だった
竜華「須賀君!? 目ぇ醒めたん!?」
突如として現れた温かさの持ち主は
慌て驚いた風に俺の顔を覗き込むと
早口に「大丈夫か」だの「気分はどうか」などと
俺の目を覗き込んで捲し立てるのだが
京太郎「――ぁう、ぉ――」
乾ききった口では上手く言葉が出ず
驚いて見開いた目もジワジワと乾いていく
段々と残された水分が奪われていく焦りに
そもそもなんで貴女がここにいるんだとか
俺の身体に一体全体何が起こったのだとか
色々と聞きたいことはあるんだけど
取り敢えず、出来ればナースコールとか
してもらえたらありがたいかなーって
その後どうにか助け起こしてもらえて
水で口を潤わせるとただちにナースコルのボタンを押した
状況が完全に分からんちんだったし
もしかすれば一刻の余地もないようなものかもしれない
病院でこういう時は医者を呼ぶのが一番だって、ばっちゃが言ってた
婆ちゃんの顔はおろか名前すら知らないけど
ナースコールで駆け付けた医者は
俺が平気そうに身体を起こしているのに大層驚きつつも
小さいながらも個室の病室を見渡し
清水谷部長の姿を認めると、一時退出するよう言い含めつつ
彼女が座っていた椅子に腰を下ろすと
俺がまず訊きたかったことを話し始めた
それによると5日前の朝、登校途中に俺は
居眠り運転で歩道に突っ込んだ自動車に撥ねられ
意識不明のまま運ばれてきたそうな
外傷はなく、あばら二本の骨折しか怪我はなかったものの
意識が戻らないまま今日を迎えたらしい
父さんは一度だけここに来たらしいが
仕事の都合ですぐに戻ったとか……
ま、年中ずっと忙しいようだし仕方ないね
医者「それで……あの娘とはどういう関係なんだい?」
京太郎「…………」
京太郎「……はい?」
長方形の眼鏡の向こう側に怜悧な視線を持った
担当医師は話の最後にそう切り出した
感覚を取り戻しがてらに手を握ったり開いたりしつつ
天井の四隅を順番に見渡してから
彼が誰のことを指して言っているのか俺はようやく気付いた
京太郎「あぁ、えっと、高校の先輩で――」
それだけである
何かやましいことがあって言葉が止まったのはなく
本当に、事実として俺と彼女の間には
それだけしかなくて、何も言うことがなくなったのである
俺がそのまま無言になったことで病室に沈黙が生まれる
プラティパス(点滴の袋だ)の中から
チューブへと規則的に落ちていく液体の静かな音以外には
夕暮れの空を飛ぶ鳥の鳴き声の他
全ての音が途切れてしまったかのような沈黙
耳が痛くなりそうだったが、目の前の医者はそうでもないのか
眼鏡のつるに人差し指を置いて位置を直すと
医者「そうか。あまり深い関係ではないようだが……」
医者「まぁ、少なくとも後でお礼は言っておくといい」
京太郎「え?」
医者「彼女、君が運ばれてきてから毎日ここに来ていたんだよ」
京太郎「は? ちょ、それ、ま、ほ、本当です、か……?」
医者「マジだ」
至って真面目な顔というか
若干キメ顔を含んだような凛々しい顔で肯定された
もうどこから突っ込めばいいのか分からない
謎が謎を呼ぶとはまさしくこのことだった
その後やって来たのは警察で
俺が目を覚ましたという連絡を受けて駆け付けたらしい
事故当時の状況などを訊きたかったらしいが
記憶が前後していて殆ど覚えていないと答えると
とても残念そうに調書を切り上げて帰って行った
聞いたところによると、加害者側は深く反省しており
既に俺の治療費などは保険会社を通じて支払われ
そのほか慰謝料についても払う用意はあるとのことだったが
その辺りのややこしいことは父さんに任せることにしよう
意識不明に陥ったとはいえこうして目覚めはしたし
自動車にぶっ飛ばされてあばら二本で済んだのは
寧ろ僥倖と言うべきでして……呼吸すると若干ツラいけどね
そんなこんなで色んな人に会ってゴタゴタしつつ
ようやく優先事項はほぼ片付いたか、という頃には
夕焼けは闇空に移り替わりつつあるような時間帯だった
俺が目覚めたのはちょうど陽が落ち始めるくらいだったから
大体三時間ばかり拘束されていたことになる
リクライニングで背凭れを起こしたベッドに身体を預け
差し入れで貰ったジュースで口を潤しつつ
何かを忘れているような、そんな気がして病室のドアに目を向ければ
まるでそのタイミングを見計らっていたかのように
恐る恐るドアは横に滑って――清水谷部長が顔を覗かせる
一際明るい病室内の灯りに目を細めつつ
バッチリ俺と目が逢った彼女はバツが悪そうに
鞄を前にして室内に入ってきた
改めてまじまじと清水谷部長を観察して――やはり美人だなと
もう何度目になるかもわからない感想を抱き、捨てる
いやいやいや、そうなんだよ、忘れてたよ
どうして彼女がこんなところにいるのか
偶々、偶然たまさか居合わせたのなら
部員が入院したと聞いてやって来たのだとか
無理矢理にでも納得できたのだが
医者の話によると毎日来ていたようで
俺程度の人間の為に、どうして……?
疑問と共に湧きあがるのは
「もしかして彼女は俺を利用したいだけなのでは?」
という言いがかりめいた邪推で
どうやって利用するのだとか
そういうことを考えつきもしない内に
相手に悪い印象を持ってしまうのは、よくない
疑って警戒する程度に留めて様子を見る
凡その見当がつくまではそれで悪くないはずだ
備え付けの丸椅子に座りつつ
俯きがちに黙り込んで、目を泳がせる清水谷部長の表情は
色々な感情が蠢いていて、それぞれが鬩ぎ合って
どうすればいいのか本当に分からない
そんな風に見て取れた
成程、彼女はやはり腹に何かを抱えているらしい
相も変わらずそのこと自体は分かり易いけど……
さて、相手の言葉を待つのもいいが
あまり時間をかけすぎると
ここの面会時間も終わってしまうかもしれないし
自分から話しかけるのも手だな
どうしようか
1.もしかして気に病んでますか?(相手は悪くないと言う)
2.少し独り言をしてもいいですか?(自分のことを話す)
3.やっぱり待ってみるか
4.自由安価
安価↓2
何か言い難いことでも持っている相手の
出方を何もしないで待つよりかは
こちらかアプローチをかけて
話し易くした方がいいのかな……
ちょっと違うかもしれないけど
学校集会とかで雑談の輪が広がるのは
誰かが口を開いて、自然とそれにつられるようにして
周りも口を開き始めるってのが多いし
俺が何かしらテキトウに話でもすれば
清水谷部長も決心がつくんじゃないだろうか
京太郎「――少し、独り言をしてもいいですか?」
沈黙を破るための出だしはそれで
そこから先は何を話そう、なんてことは
これっぽっちも考えてなかったけど
どうしてか頭の中はスッキリとしていて
自然と言葉が口をついて出ていた
竜華「ぁ、うん。お構いなく……」
俺の言う所の意味が分からないのだろう
ぎこちなく頷いて、清水谷部長は身体ごと顔を
俺の方に向けると静かに聞く姿勢になる
京太郎「ありがとうございます」
一言、御礼を口にして俺は目を閉じた
これから話すのは……そう、俺のことだ
須賀京太郎がどうしてここまでやってきのかという
つまらない、筋書きだ
京太郎「――御存じの通り、俺は長野からこっちにやって来ました」
須賀京太郎は長野生まれの長野育ち
もしかしたら生まれは違うかもしれないけど
少なくとも育ちは長野だし、幼馴染だっているし
兎に角も大阪に来るまでは立派な長野県民をやっていた
京太郎「物心ついた時にはもう母親はいませんでした」
京太郎「所謂、片親・父子家庭って奴ですね」
京太郎「父さん曰く俺が赤ん坊の頃に死んだらしいですけど」
事の真相は置いておくとして
父一人、子一人の過程で育った俺だったが
そのことを特にコンプレックスに感じたり
女性に対して母性を求めるがあまり行き過ぎた行動を取ったり
そういうことをすることはなかったと思う
幼馴染の二人は高校生になった今も
母性などとは無縁なスレンダー体型だしな!
京太郎「!?」
竜華「ど、どした!?」
京太郎「……いえ、少し背筋がゾワゾワして」
竜華「ぇえ……?」
二人の悪口はもう止めておこう
こんな遠距離でも察知して殺気を飛ばしてくるとは
麻雀を極めし血族とは恐ろしいものよのぅ……
そんな宮永姉妹という幼馴染を得つつも
小学生を修了し、中学生を経て
俺こと、須賀京太郎は単身、大阪に乗り込んだんだ
京太郎「ここまではどこにでもある筋書です」
京太郎「陳腐で、有り触れていて」
京太郎「同じ境遇の人間なんて探せばいくらでもいる様な」
だからここから先の内容も大した事ではない
そう、言外に付け足して俺は一度言葉を切った
そのまま即席麺が出来上がるくらいには
たっぷりと間を置いて、再び口を開く
京太郎「――俺は悔しかったんです」
竜華「悔しかった……?」
京太郎「ええ」
自分自身と向き合ってくれる人を探していた
と言う方が正確かもしれない
だが、まずはこれまでずっと抱き続けてきた
俺自身の想いを、鬱屈として押し込めてきたそいつを
ほんの少しだけでも解き放ってやろう
京太郎「誰も俺のことを見てくれない」
京太郎「『須賀京太郎』という人間には目もくれない」
京太郎「それは、生まれてからずっとでした」
父さんは仕事が忙しくて家を空けることが多く
宮永姉妹にしたって細々と麻雀を打ったり
どこか抜けてる二人の面倒を見ていたくらいであって
自分の“我”を曝け出す様な機会に恵まれなかった
京太郎「小さい頃は『あの子は家が金持ちだから』」
京太郎「『母親がいないのは変だ』って、遠巻きに見るだけで」
京太郎「誰も自分から近寄ろうとしてくれなかった」
京太郎「大きくなったらなったで」
京太郎「『髪を染めてるのは不良だからだ』とかって」
京太郎「一方的に怖がられてて」
京太郎「あ、一応言っときますけどこれ地毛ですからね?」
京太郎「千里山に入学する時も説明がホント面倒だったんですよ!」
それで、俺は中学生になって
その頃にはもう照さんがそこそこ有名になってる頃で
あの人はあの人で人を寄せ付けないというか
ほっといたら独りになることに頓着しないような
そんな人だったせいか、照さんと親しいと言えば
真っ先にやり玉に挙げられるのは俺でして
宮永照の腰巾着だのなんだのと
陰口紛いの呼ばれ方をされた時期もあったんです……
それも照さんが白糸台に入学するために
東京へと越して行った頃には沈静化してたけど
眠気がブチギレ限界突破なので今日はここまで
明日はたぶん早目に始められると思います。始めたいです
ではでは
早目とは一体ウゴゴゴゴ
割合いつも通りですが始め……ます?
京太郎「それでも偏見や固定観念がなくなるわけじゃない」
京太郎「色んな人と親しくなれば」
京太郎「そういうこと抜きで接してくれる人もいましたけど」
京太郎「でもやっぱり大勢の目に映る俺は」
京太郎「“須賀京太郎”という個人ではなく」
京太郎「その周囲や背後にいる人の影法師みたいなものでした」
そのことが嫌で堪らなかった
どう足掻いても俺は俺になれないのだと
無情にも突き付けられているような気がして
どうしようもなく悔しかった――
京太郎「だけど俺は諦めなかったんですよね」
竜華「そう、なん?」
京太郎「はい」
まあ、十年近いものですから
普通ならそこで泣き寝入りしたりとか
慣れたなんて言って自分を騙して知らない振りをしたり
どうにもできないことに抗っても無駄だと
諦める方向で行動するのは妥当だと思います
だけど、生まれついてのことなのか
こういう境遇が育んだのかは分かりませんが
俺は諦めの悪い男だったんです
京太郎「どうしても自分が認められないんだったら」
京太郎「認められるよう、俺の身近にいた誰にも」
京太郎「為し得なかった大きなことをやって見せれば」
京太郎「俺は俺に、須賀京太郎になれるんじゃないかって」
京太郎「無い知恵を振り絞って考え付いたんです」
ハンドボールを始めた切欠ってのはそういうことだった
別に競技自体に興味があったからとかではなく
人口が少なくて、直ぐにでも活躍して
実績が残せそうだったからっていう、不純な動機
それ以外にも丁度同じくらいの時期に咲から押し付けられた
恋愛小説の主人公が、俺と似たような境遇で
ハンドボールをやり始めたって内容だったのも
影響していないとは言いきれないが……
しかしあの小説の最後は切なかったな
京太郎「……ハンドボールってご存知ですか?」
竜華「へっ、あ、あれやろ? えと……」
竜華「サッカーとバスケを足しで二で割った、みたいな……」
京太郎「……ソウデスネ」
一般的な知名度なんぞそんなものですよね
ヨーロッパだとメジャー競技なんだけどなぁ
如何せん日本では盛り上がる気配がこれっぽっちもない
中学の県大会も参加校は6校しかなくて
二回勝って決勝戦、そして負けて準優勝だ
字面だけ見れば十分すぎる実績かもしれないが
知名度負けしていることを考慮すれば
ハンドボールへの挑戦は
俺の目論んだ結果になったかどうかなどは
推して知るべしである
京太郎「三年に進級すると同時に人数も足りなくなって」
京太郎「無期限休部になっちゃいましたしね」
諸行無常とはまさにこのことである
かつては栄華を極めた野球やサッカーですら
今や大衆娯楽の頂点に立つ麻雀に
駆逐されかけているような時代なんだ
ハンドボールを含めたマイナースポーツ全体が
厳しい状況なのは火を見るよりも明らかで
京太郎「でも……確かに手ごたえはあったんですよ」
京太郎「自分が自分らしく、この手で何かを為したような――」
京太郎「須賀京太郎を、他の誰でもない一人の人間だと」
京太郎「沢山の人に認めてもらえるような、そんな気が」
だから、今度はもっと大きなことに挑みたくなった
準優勝なんかじゃなくて、もっと高いところに
そしてハンドボールよりももっと知名度が高くて
誰もが知っているような何かで
自分の名前を残して、俺はここにいるんだぞ、と
世界に向けて示したくなった
……ちょっと大仰すぎるか?
京太郎「それで思い付くのは、やっぱり麻雀なんですよね」
矛盾しているかもしれない
麻雀とは即ち、“須賀京太郎”を多くの人にとって
“宮永照”の影へと落とした元凶で
嫌いはしても好きでい続けるには難しいはず
不純な動機とは言え、ハンドボールにも熱中していたりと
逸れた脇道を選ぶことだって出来たはずなのに
それでも――俺は戻ってきたのは
京太郎「麻雀が、好きだからなんですかね」
自分でもそこのところよく分からない
けれどどうやっても嫌いにはなれなかった
それが忌々しい記憶と経験の元だったとしても
前向きに考えれば――
麻雀で少しでも何か大きなことができれば
俺に見向きもしなかった連中に一矢報いられるかな
なーんて
京太郎「それで俺は千里山にやって来ました」
麻雀を打つために
麻雀で一番になるために
焼け付くような興奮と
ひりつくスリルを越えて
自分になるために
京太郎「でも打つだけなら千里山でなくともいいじゃないですか」
だけど俺にとっては大きな意味があったんだ
長野から遠く離れた大阪でなら
俺を知る人間が誰一人としておらず
俺の知る人間が誰一人としていない
自分を縛る柵のない場所でなら
少なくとも俺を俺と認めてもらえるって
京太郎「まさかあっさりと見破られるとは」
京太郎「これっぽっちも考えてもみませんでしたけど」
乾いた苦笑いが陽の堕ちた病室に薄く響いて
窓の外には星の明かりが煌めいていた
やはり長野ほど空気が澄んでいないのか
星々の数は大した数でもないが
少ない星は、それはそれで美しかった
暗闇に輝く希望の灯みたいで――
凡その身の上話は終わり
これ以上は話すネタなんかないぞと
無言を保ったままの清水谷部長に少し不審さを感じ
そちらに目を向ければ、彼女は胸に手を当てて
苦しさを堪えるように両手を握りしめ顔を俯けていた
流れるように長い黒髪に隠されて
表情を窺い取れず、どうしたものかと焦る気分だったのだが
竜華「……っ、ぐす……うぅ……」
血色のいい頬を伝って光るものが流れ落ちたと思うと
目の前の女性は小さくしゃくりを上げ始めた
京太郎「……はい?」
え、え、えぇ……?
何が起こってるんだ、これ……
竜華「ぅええぇえ……ぐすっ……」
ついに堪え切れなくなったのか
涙腺を決壊させ清水谷部長は俺の目を憚ることなく
声を上げて泣き始めた
零れ落ちる大粒の涙を両手で拭い取りながら
わんわんと泣く彼女に
俺はあたふたと慌てふためいて
気の利いた言葉一つかけられないまま
まごまごと手を拱くことしかできない
京太郎「な、何か変な事でも――」
京太郎「いや気に障ることでも俺言いましたか!?」
もしそうなのだとしたら非常に申し訳ない
態々こんな所まで来てもらってるのに
だけど清水谷部長は
竜華「違うんよ……そうやなくて……」
竜華「ごめんなぁ……ホンマに、ごめんなぁ……」
そう言って泣きじゃくるばかりで
取り付く島もない
第一、謝るのは俺の方であって
何故に彼女はこんなに謝罪の言葉を述べているのか……
これじゃあまるで俺が泣かしたみたいじゃないか!
俺の話を聞いて泣いたのだとしたら
強ち間違いではないのだが
年上の女性を泣かせて喜ぶ趣味はないし
早く泣き止んでもらった方が精神衛生によろしいしで
どうにかせねば、と意気込む
何をすれば清水谷部長を宥められるかなんて
これっぽっちも考えつかないが
兎に角行動あるのみだな
京太郎「あの――」
竜華「……同じやったんやな」
京太郎「へ?」
意を決して開いた口はしかし
清水谷部長の小さな呟きに遮られて
その内容の意味が一瞬はおろか数秒考えても分からず
俺は間抜けな声を上げて訊き返すが
竜華「……なんでもない。うん。なんでもないよ」
これが最後とばかりに鼻を啜って
ぐりぐりと両手の甲で顔を拭うと
清水谷部長は顔を上げて俺と正面から見合った
パッチリと大きな目に見詰められ
気恥ずかしさが急に出てきて視線を逸らそうとしたのだが
それを阻止するかのタイミングでギュッと握られた
両手の温かさに、視線ごと釘付けにされる
ドコドコと速度を増していく心音が
喧しいほどに体内を駆け巡って行く中で
俺はずっと清水谷部長と見つめ合う
もう、本当に、思考は白熱して頭の中は完全に真っ白
何が起きるのかなんて状況予測をするのなんて夢のまた夢で
清水谷部長の鮮やかな唇が開かれていくのを
まるでスローモーションの世界にいるかのように
ゆっくりと見届けて――
竜華「須賀君、うちと一緒に強くならへん!?」
ちょい中断します
2230頃までに動きがなければ寝落ちしたと思ってください……
ツッコミが一つも来ないのが不思議な展開ですけれど、再開します故
視界が一瞬で真っ暗闇になって、火花が散った
何事だ!? と反射的に浮かんだ思考よりもまず
額にじんわりとした痛みが襲ってきたことで
どこかしらと衝突事故を起こしたのか、ということが解った
問題は、どことぶつかったのか、なワケだが
京太郎「ぃっっ……」
額をさすりながら片目だけ開けてみると
清水谷部長も目を閉じて両手で額を押さえていた
先程までアレだけ涙を流していたのに
また目元に薄らとだが涙が浮かんでいるのは
なんだか凄いことなんじゃないだろうか
……別に凄くないか
実は重要な伏線を一つ入れ忘れてるの(227~228辺り)で
ここ一帯の展開が「どうしてそうなるんだ!?」ってなると思うんです
>>1が気にしすぎてるだけかもしれませんが
いつの間にお互い前のめりになっていたのか
頭と頭がごっつんこ、していたようだ
可愛く言っても痛みは緩和されないが
気分は軽くなった気はするし、いいじゃないか
勿論のこと俺だって自分自身で言うよりは
目の前で頭を抱えている女性に言ってもらった方が
心が豊かになるってもんだが
しかし――清水谷部長はなんと言った?
うちと一緒に強くならないか、だっけか
うちって誰だ? そら関西弁における一人称よ
そしてこの場合においては清水谷部長のことで
問題のセリフの一番前には、須賀君、なんて呼びかけがあって
つまりは彼女が俺に呼びかけているわけでして……
ここで須賀京太郎に稲妻走る
そーいえば八十島がなんか言ってたような気がする
清水谷部長と言えば平均素点が関西随一とか、なんとか
全国個人戦二位の荒川憩にも引けを取らないとか
京太郎「…………」
これ以上強くなりようがないんじゃないんですかねぇ
少なくとも、高校生の内は
だって平均素点って要するに純粋な強さの指標となる数値だし
現に全国二位と引けを取らないレベルらしいし
……今以上に強くなったら、それこそ照さんレベルじゃないか
京太郎「……あの、ですね」
考えを巡らせているうちに
俺はある一つの可能性に辿り着いてしまい――
出来ればそうであって欲しくないなぁ
なーんてボンヤリと思いながらも
なんだかこの予想が正解のような気がしつつ
恐る恐る、俺と同様に痛みから復帰したであろう
清水谷部長へと声をかけた
竜華「うん?」
若干まだ涙の残った視線を返されて
自然と喉が鳴ったのに意味なんてない
絶対、本当にないんだからな!
京太郎「もしかすると――もしかしての話なんですけどね?」
京太郎「強くなるってのは、その……」
自分でもまどろっこしいとは思うが
出来れば応えは聞きたくないという心理的な働きかけが
意識的に働いて、直截な物言いを避けようと
表現を探しながら口を開いたのだが
俺が薄っぺらい語彙力を探索するよりも先に
清水谷部長の方が俺の言いたいことを理解してしまったようで
竜華「うん! そう、目指せ打倒・宮永照! やで!」
途轍もなくいい笑顔でそう返されてしまい
俺は何も言えなくなってしまった
どうしてとか、なんでとか
言いたいことは沢山あるんだけど……あるんだけど……
清水谷部長の顔を見ていると
どれ一つとして言い出せなくなって
ぐぅ、と変な呻き声だけが俺の口から漏れた
今現在書いている分のキリが悪いので
投下は明日に回して今日は切り上げます。申し訳ない
質問などあればどうぞよろしくお願いします
今回のヒロインは竜華か
>>432
前回で言う所の麻雀にのめり込むパートに値するので
ヒロインは、まだ、まだ分かりませんから……(震え声)
調べ物してるので、投下だけして終わりになるかもです
混乱状態異常にかかった俺を見て冷静になったのか
少し気恥ずかしそうにもぞもぞと身体を捩じらせていたが
それも収まってきたのか背筋を伸ばして最初の位置に戻ると
咳払いを一つして、瞑想する様に目を閉じた
今がチャンスか?
総攻撃チャンス! ではなく
先の発言にはどんな意図があって、そもそも何故出てきたのか
走り抜ける様な興奮と狂騒が冷めつつある頭で
その答えが欲しくて、俺は清水谷部長を見遣れども
目ぼしい反応はない
こりゃあこっちから訊いてみるべきなのか……?
あんまり沈黙が続くと意識して集中しているのが
途切れてしまいそうで
一先ず何か言おうと開きかけた口は、しかしして
竜華「――うちは悔しかったんや」
静かに切り出された清水谷部長の言葉が先回りした
まるで俺の語り口調を踏襲したような出だしに面喰いつつも
彼女の話が始まるのだとすれば、終わるまでは黙っていよう
竜華「一年生の頃から一軍で、二年生の夏はどうにかレギュラー入りして」
竜華「でも、レギュラー入りしたんはいいけど何もできなくて」
竜華「すごく……すっごく悔しかった」
京太郎「…………」
昨年の夏のインターハイ、か
俺は一応全ての試合を(軽く)確認していたが
清水谷部長らしき人が
目立った成績を残したなんて記憶は確かにない
千里山で印象に残っていたと言えば
当時三年生だった蔵垣るう子や穂積緋菜といった
今でもそれなりに名の知れた選手たち
彼女たちと並び立って戦いながらも――
決して同じ土俵に立っていたとは言えなかったのか
それは……悔しいだろうな
少しでも何かしなければならないという思いとは裏腹に
何もできない自分ばかりが目に映る現実で
途轍もない無力感に苛まされるんだ
竜華「でも、まだ時間はある」
竜華「秋季大会も春季大会も、インハイは来年にもある」
竜華「時間だけはまだたっぷりあるんや」
竜華「先輩たちだっておらんくなってしまう」
竜華「だから、今度こそは、次こそは」
竜華「何もできへんで悔しい想いはしたくない」
竜華「そう思って、必死になって練習を重ねたんやけどな……」
どこか遠くを見るような目線の清水谷部長に
見えている光景は、かつての自分か
それとも、果てしなく先に立ちはだかる目標か、或はその両方か
首を横に振って肩を竦め彼女は言葉を続ける
竜華「まっ、結果だけ言うなら惨敗」
竜華「それも宮永照と大将でぶつかって、一方的に」
悲しさや、悔しさとは少し違う――そう、だな
――寂しさのような、そんな声音に
俺もまたベッドの上の拳に力が入る
彼女の気持ちが、痛いほどによく分かってしまったから
今のままではいられないと汗水流したはずなのに
どれだけ努力しても追い付けない目標に
気持ちが疲れ、意志が萎え、行動が錆びついていく
やがては全身から自分を突き動かしていた熱が奪われ
決定的な挫折が訪れるのだ
それは俺にも経験があることだった
京太郎「……照さんは、俺から見ても少し違いますからね」
何が、ということを具体的には表現しづらいが
麻雀に愛されているというか
ギュルギュル回っているというか
眉間の当たりがビリビリするような圧力がある
……流石に日常生活ではそんなことはないが
洋書を好んで読む大人しい娘だ
時たま変なことを言いだしたりやりはじめたりするのは
もういい歳なんだし止めて欲しいんだけども……
兎に角も、照さんは別格だ
それは一緒に卓を囲まなくたって分かるくらいには
竜華「そうやなぁ」
俺の発言の何が面白かったのか分からないが
清水谷部長はちょっとだけ楽しそうに笑ったように見えた
気のせいかもしれないけど
竜華「同じ二年生なのに、なんでこうも違うんやろ?」
竜華「どうしてうちはこんなにも無力なんやろか?」
竜華「そんなことばっかり考えてて」
竜華「秋季大会で負けてから、ずっと上の空やった」
上級性も引退して、部長も任されたのに
こんな体たらくじゃダメやって分かってたのになぁ
そう付け足して、清水谷部長はコツンと頭を叩く
竜華「努力が足りひんかったら、また頑張ればええだけなのにな」
竜華「元々持ってる才能に大きな差があったとしても」
竜華「アキレスと亀やないんやから」
竜華「追いつける可能性はいくらでもあるはず」
竜華「……小数点以下かもしれんけど」
努力をしているのは自分だけではない
追いかけている対象もまた、追いつかれまいと
必死に前を向いて走り続けているはずなのだ
一歩差を縮めては、また一歩差を広げて
その繰り返しでどんどん先へと向かって行く
未だ見ぬ境地へと自らを運んでいく
もしかすると諦めるという行為は
その永続的な行いを自ら否定するということなのかもしれない
進み続ける限りは前に向かえるかもしれない可能性を
一寸先は闇だからと言って尻込みして切り捨てる
そして清水谷部長は切り捨てなかったのだ
二度も挫折に打ちのめされたにも拘らず
立ち上がって、また前を見て歩み出したんだ
それこそ、本当に凄いことだよ
照さんに叩きのめされて、それでも這い上がれるなんて
よほどの性根が据わっているか麻雀が好きでなければ
出来ないことだと俺は思う
才能や実力の差というものはどれだけ覚悟していても
実際に味わってみれば、その隔たりに絶望を感じるものだ
喩えるならば――
俺たちが膨大な労力をかけて藁の中から針を見つけ出す傍らで
彼女たちは大した時間もかけずに同じことをやってのける
まるで神様にでも愛されているかのように
当然と言わんばかりに実行するのだ
清水谷部長はその絶望に二度も直面して
だけど、それでも諦めなかったんだ
それは凄いことだと思う。尊敬してしまうくらいには
遅くなりすぎだし推敲してないから変かもしれないですが
本日はこれにて切り上げます。連日こんなもので申し訳ない……
間隔空いてますがちょっとだけやりますやで
竜華「本当に感謝せんとあかんのは」
竜華「そんなうちを見放さずにいてくれた監督と」
竜華「沢山の部員の皆に、なんやろなぁ」
京太郎「……っ」
そんなことはない、そう言おうとして俺は言葉を止めた
照さんの絶対的な強大さは直接相対せずとも
ある程度の実力があれば理解できるものだろう
それも、名門千里山の部員であればなおさら
だとすれば宮永照と二度も直接対決をし、敗北し
その上で心折れず未だに立っていられる清水谷部長を
尊敬こそすれ、呆れて見放すなんてことはないはずなんだ
だけど、清水谷部長本人はそうは思っていない
『宮永照』に勝てなかった自分を恥じて
より前に、より先に進もうとしている
そこにどんな想いが込められているにせよ
前を向いて歩こうとしている相手に対して
水を差すようなことが……俺には出来なかった
竜華「幸か不幸か、うちと宮永照は同い年で」
竜華「白糸台は間違いなく、全国の舞台に立ち続ける限り」
竜華「最後の壁になって立ちはだかるやろ」
竜華「今まではその壁が越えられなくて――ずっと負けてきた」
窓の外を支配し始める夕闇を見詰める彼女の瞳は
夏のインハイで、もう一度
照さんと闘うことになるかもしれない未来を
悲観する暗いものではなかった
竜華「だから今度こそは、相手にとっても」
竜華「うちにとっても最後の夏になるから」
竜華「白糸台高校に……ううん、宮永照に勝ちたい」
竜華「勝って、一番になりたい」
寧ろ、ぽつぽつと空を彩り始めた星々よりも明るく
希望を抱いて燦然と輝いていたんだ
そのあまりの眩しさに、思わず目を逸らした俺の頭には
いくつもの疑問符が飛び交っていた
どうしてこんなにも彼女は前向きなんだろう
勝算だってあるかも分からない、既に二度も負けている
そんな状況だっていうのに、なんでこうも――
竜華「それに、約束もしてるしな。千里山(うち)のエースとも」
京太郎「約束、ですか……?」
竜華「そ」
照れ臭そうに後ろ頭を掻いた清水谷部長は
一度首を傾けて俯くと逡巡している様子を見せ
次にはまた顔を上げて、ゆっくりと話し出した
竜華「中学の時からずっと一緒なんやけどな」
竜華「これが滅法麻雀は下手っぴ」
竜華「千里山に入っても全然上達なんかせぇへんかったんや」
京太郎「……へぇ」
仮にも部長からエースと呼ばれる人物がそれでいいのか
少なくとも、肩書から部内では相当な実力者だと
考えられるはずなんだけどな……
竜華「――でも、あの娘にはあの娘にしかないもんがある」
竜華「それこそが、エースをエースせしめてるってぇ言えばええんかな?」
竜華「ちょっとよく分からへんかもしれんなぁ……ゴメン」
京太郎「や、謝られることでは」
勿論、エースと呼ばれる人物が
何を以てエース足り得ているのか
そこに興味がないわけではないが
聞き出したところで俺が実践できるかどうかは
また別の話だし、照さんの打ち筋のように
明確に模倣できるようなものでもないかもしれない
そもそも照さんの打ち筋を真似ることができるのだって
小さい頃からずっと見てきたものだからだし……
竜華「ま、そのエースと約束してるんや」
竜華「全国行こうな、全国で優勝しようなって」
京太郎「…………」
成程
俺は全部を話し切ったように満足げな表情をする
清水谷部長に、彼女の“強さ”――鋼のような精神と
真っ直ぐにひたむきな姿勢がどこから来ているのか
何が彼女をそこまで動かしているのかを少しだけ見たような気がした
人は希望を信じられる内は前向きでいられる
強く、未来を望む気持ちと信念があれば理不尽にでも抗える
つまりはそういうことなのかもしれない
しかし、だ
現状、俺にとっての問題と興味はそこではなく――
1.あの、そろそろ面会時間が……
2.それで、今の話と俺にどう関係が?
3.羨ましいですね。エースの方が
4.自由安価
安価↓
今の清水谷部長の独白ともとれる話と
俺に一体何の関係があるか、だ
そこそこ興味深い話を聞けたとは思うが
そもそもそんなことを聞く為に
彼女が何か言うのを
待っていたわけじゃあないからさ……
少し粗雑な物言いにはなってしまうが
面会時間も多少押しているし、仕方ない
京太郎「それで……今の話が俺にどう関係があるんですか?」
前置きをせずに放った言葉に清水谷部長は
ポカーンと目を丸くして口を開けたのだが
先程までの自分を振り返っているのか
何度か瞬きをして
竜華「ぅ、あ、わわっ」
両手を頬に当て俺に背を向ける形で屈みこんだ
背凭れのない丸椅子の上で見事に一回転し
頭を抱えるような様子の清水谷部長は――ちょっと可愛い
竜華「め……」
京太郎「……め?」
竜華「メッチャ恥ずかしいなぁ! あは、あはは……」
京太郎「…………」
無理に笑っているのが見え見えな、白々しい声音に
思わず白目になりそうな自分を律して
京太郎「目的地からはかなり遠回りしてるみたいですしね」
と、何気なく返すと
竜華「うっ」
胸を押さえるようなポーズで清水谷部長は再び固まった
えっ
なんなの……?
もしや華麗に地雷でも踏み抜いたのかとやや焦りが出るが
ここで下手にまた何かを言って
事態が拗れるのは本望ではないしで
真剣に話を聞く状態を崩さず
清水谷部長の動きを窺っていたのだが
竜華「……もしかして怒ってる?」
控えめに動き出した彼女の第一声はそれだった
上目遣いに見詰められるのが気恥ずかしくて視線を逸らしつつ
京太郎「なんで怒る必要があるんですか」
竜華「だって、さっきから結構きつくない?」
京太郎「いやいや、このくらいでキレるほど短気でもないですし」
京太郎「清水谷部長は、その……」
どうして心穏やかでいるのかという説明をしようと
瞬時に脳内を駆け巡って理由を探し出し
それを言おうとして、一旦言葉を濁らせる
自分から言い出そうとすると恥ずかしいな、これ
京太郎「毎日、来てくれてたらしいじゃないですか、お見舞い」
京太郎「だから、このくらい別にどうってことはないです」
それに、まあ
元々は『うちと一緒に強くならへんか?』という言葉の
真意が知りたくて、口を挟まずに黙って聞いていたのだ
だというのに、その答えが得られないまま
清水谷部長の思い出話を聞かされただけで
しかも当の本人はやり切った風な態度をしていたのだから
直截な物言いになってしまったのも仕方のないことだと思う
というか思いたい
先輩(しかも女性)相手に辛辣とも受け取れるような
態度を取ってしまったなんて
あまり考えたくはないことだからさ
明日早いのでここまで
そして明日は寝落ちしなければここのパート終わらせます……
少年漫画並に引っ張りすぎてて申し訳ないです
竜華「それは……」
竜華「須賀君がこうなってしまったんは、半分くらい」
竜華「もしかしたらそれ以上にうちのせい、やから」
京太郎「……?」
つと、翳りの差した表情の理由が分からなくて眉を顰める俺を
ずぶ濡れの小犬みたいな表情で見返した清水谷部長は
竜華「……事故の後、な。タイミングがタイミングやったから」
竜華「須賀君の友達の、えっと――」
京太郎「八十島ですか?」
竜華「そう! 八十島君に、言われたんや」
竜華「『先日、部長と会ってから須賀やんの様子はおかしかった』って」
京太郎「…………」
また呼び名が変わってる
今それは重要なことじゃないのだが……!
なんだかツッコまなかったら負けな気がしません?
スルーしたら俺の中の大切なものが
失われて――ってそれは大袈裟過ぎるだろうか
様子がおかしかった、か
確かにそうかもしれないな……
今となっては割り切りきれたとはいえ
あの当時俺の頭の中を満たしていたのは
どこまで行っても自分について回る影を
的確に言い当てられた衝撃と、劣等感にも似た何かで
それをどうやって解消しようか
そのことばかりに考えがいっていた
んで、考えに没頭するあまりこっちに向かってくる車に気付かず
そのままぶっ飛ばされて昏睡とは、なんとも間抜けな話だ
父さんや幼馴染、たぶん心配してくれたであろう
同級生の心境も考えれば笑い事ではないが
だけど――
1.こうして無事だったんだからいいじゃないですか
2.だけど、俺の事故の原因と貴女に関係はないですよ
3.悪いと思ってるんなら……分かりますよね?
4.自由安価
安価↓2
先輩が来てくれるとは思ってませんでした
どういうニュアンスでいけばいいのですかね
具体的なことは書かれてないのでどう取ってもいいんですが、いちおう
・喜び
・怒り
・哀しみ
・驚き
・桃の木、山椒の木
……など
>>466さんいらっしゃいましたら、ご自由にどうぞお願いします
いらっしゃらないようなのでそのまま進めます
京太郎「先輩が来てくれるとは思ってませんでした」
竜華「……そうかな?」
京太郎「そうですよ。どう足掻いたって俺と貴女じゃあ接点がない」
京太郎「今回のことだって直接的には何もしてないんですから」
竜華「…………」
京太郎「それでも……先輩は来てくれた。その事実は変わらないし」
京太郎「事故のこと、責任を感じてくれて嬉しいってのも」
京太郎「変な言い方になりますけど」
京太郎「――自分もまだまだ捨てたもんじゃないなぁ、って」
竜華「???」
面食らった表情でよく分かっていない様子の
清水谷部長に、小さく笑みが漏れる
自分でもよく分からない。けど、分からないなりに
この気持ちを言葉にしてみよう
京太郎「誰かに心配してもらえて、昏睡して眠ってても」
京太郎「先輩みたいに、会いに来てくれる人だっているんです」
京太郎「それは少なくとも誰かに気に掛けて貰えてるってことで」
京太郎「俺は決して、一人なんかじゃないって証明みたいなもので」
京太郎「それがスゲー嬉しいっていうか、なんていうか――」
京太郎「……なに、言ってるんでしょうかね。はは……」
やはりというか、上手く言葉が出ない
この胸の内に渦巻いている感情を言葉にするには
圧倒的に経験値も、語彙力も、何もかもが足りていなかった
だから、言葉が虚しさを帯びてくる
喉元まで来ている途中には確かにあった“熱”が
口から出た途端、急激に温度を失っていくのだ
それがもどかしかった
そもそもの話、事故の件と清水谷部長は
全然、これっぽっちも関係ない、と俺は思う
これっぽっちもってのは言い過ぎかもしれないけどさ
元々の問題は、ずっと昔から何時だって俺の中にあって
今までに自己解決できなかった俺が弱いというだけ
問題を呼び起こした原因が清水谷部長にあったとしても
それは彼女が作ったわけではなく
最初から俺自身が抱えていたものなのだから
気に病む必要はない……と言ったところで
目の前にいる女性はこれっぽっちも納得なんかしないんだろうけど
だから、もしかしたら――
竜華「あはは。ホント、須賀君もよく分からんやっちゃなぁ……」
無暗に否定するよりも
肯定して、彼女を少しでも笑顔にできたのなら
竜華「でも……喜んでもらえたんなら」
竜華「うちも須賀君に何かできたって、ことなのかな」
それはそれで、歪な形だとしても
正解と言えるものなのかもしれない
京太郎「何かどころじゃないですよ。大助かりっす」
実際の所、気分は悪くない
どころかかなりいい方なんだ
だって普通に学校生活を送ってたら
高嶺の花! 間違いなしの先輩に
気に掛けてもらうことはおろか
毎日足繁く自分の元に通ってもらえるんだぜ!?
これで気分を良くしない男はきっと
ソッチの気があるかナニかに違いない
一時間くらい中断します
昨日宣言した通り、終わりまではやります
おつ
ところで八十島には元ネタとかはある?
再開します
>>475
名前は既出の通りコンマで決めました
性格などについては90年代ギャルゲーのテンプレ的な悪友をイメージ
……元ネタらしい元ネタはないということになりますかね?
また>>1の中では便利な舞台装置レベルの扱いです
ま、その間俺は夢の中にいたんですけどね
なーんて真黒なジョークを飛ばすほど口は軽くなく
二人分の笑みで少しは温かさを得た病室も
時間が経てば、また寒々しさを感じさせる一室に戻っていく
緩やかに温度が奪われていくような錯覚に
このタイミングを逃してしまえば
次は何時になるのか分からないという
妙な確信が湧きあがって来て俺は
京太郎「あの――」
自然、いつの間にか下がっていた視線を上げると
清水谷部長のそれとぶつかった
竜華「?」
俺が目覚めてからというもの
随分と喜怒哀楽を表現した彼女の瞳は
夜の澄んだ空を思わせる色合いをしていて
不覚にも――本当に、不意に
故郷の空を思い出して言葉に詰まってしまった
じんわりと懐かしい気持ちが湧いてきて
違う意味で泣きたくなってきた
これは別に、身体が弱った反動で
ホームシックにかかってしまったとかではないと思いたい
京太郎「ぅ、あの、ですね」
竜華「なに? どしたん?」
すっかり本来の目的を忘れたように
ケロッとした顔で返す清水谷部長に頭を抱えたくなった
もしかして、薄々勘付いてはいたんだけどさ
この人、天然なんじゃないだろうか……
どしたん、じゃあないんだよ
脇道に逸れまくってるからド忘れしてしまうのも仕方ないが
まだ本題は話し終えてないんだってば……
とは、先輩相手に言うわけにもいかず
もどかしさで一杯になる心の許容量に余裕を確保しつつ
京太郎「先輩は、どういう意図があって言ったんですか?」
竜華「……ほぇ?」
京太郎「アレですよ、ほら、一緒に強くなろうとか」
竜華「…………」
竜華「……うん。ゴメン」
木魚を四度叩く間くらいの時間を置いて
俺の発言により固まっていた清水谷部長は
再び顔を真っ赤にしつつ現実に復帰した
両手で顔を覆うその姿を
どこか見慣れつつある自分が恐ろしい
竜華「ええっと、どこまで話したんやっけ……」
咳払いを一つして、顔に若干の赤みを残したまま
右手を額に当てて考え込むポーズ
頭痛を堪えている人にしか見えないし
頭痛を堪えたいのは俺の方だ
京太郎「絶対に勝ちたい、て……宮永照にってとこですかね」
照さん、と言いかけて、言い直す
何となくこの人の前では
そうした方がいいような気がしたからだ
京太郎「あとはエースと約束したとか」
竜華「あぁ、うん。そっか、そんなとこか……」
清水谷部長の右手は顎へと向かい
今度は考える人のポーズへと転身する
竜華「――須賀君はさ、半荘一回の対局ってどう思う?」
京太郎「……はぃ?」
竜華「なんでもええよ。半荘一回」
竜華「長く感じるー、とか。一回で相手の実力は計れん、とかでも」
京太郎「…………」
唐突過ぎる質問と内容に、どう答えていいものか
半荘一回、か
単純に考えれば東風戦二回だし
東南一回戦ずつという見方もある
確かに半荘一回は長いようにも感じるが
もっと長いスパン、例えば年間通して打った場合には
たかが半荘一回と言うことだってできる
竜華「うちはね、一期一会やって思うてる」
京太郎「一期一会、ですか」
竜華「うん」
竜華「半荘一回で卓を囲んだ相手の実力は計れん」
竜華「それはよく言われてることやし、その通りだとも思う」
竜華「半荘一回やってみれば……」
竜華「右も左も分からん初心者が役満自模ることだってあるし」
竜華「プロが高校生相手に競り負けることだってある」
竜華「ある意味では運頼みみたいなもんやな」
竜華「でも――世の中にはその運頼みを」
竜華「半荘一回で起こった“偶然”を――」
竜華「まるで“必然”のように振る舞う人間も確かにおるんや」
京太郎「…………」
清水谷部長の言葉は、俺の耳に痛く突き刺さった
偶然を、必然のように振る舞う人間
全くもってその通りだ
そういう打ち手が実際に存在することを俺は知っていた
まるで槓材が分かっているかのように――
和了れば次第に打点が上昇し――
他家から一切察知されることがなく――
自分以外の誰かの打ち筋を真似ることができる――
常識的に考えれば“一度きりの偶然”で処理されるものを
何度だって再現して“必然”へと転換する
そういう、オカルト染みた所業を為し得る人間
竜華「うちにとって、半荘一回ってのは」
竜華「そんな打ち手たちと闘ってるんかも、って考えさせられる」
竜華「一期一会ってわけや」
京太郎「……でも」
それが、何の関係があるのか
口から出る寸前だった言葉は、しかし突如として走った
電撃のような閃きによって喉の奥に押し戻され
俺は先日の、清水谷部長との会話を思い出していた
そうなんだ。そうなんだよ
彼女はあの時、俺に対してなんと言っていた?
竜華『それで偶然、君の対局を見ててな』
彼女は俺の対局を見ていたんだ
俺が千里山高校で打った、初めての半荘を
半荘一回を――
京太郎「まさか、先輩、貴女って人は」
竜華「……たぶん、須賀君が思ってる通り」
竜華「まぁ、伊達に宮永照に二度も完敗してないってことや」
竜華「直ぐに同じやって、気付いてしもた」
京太郎「…………」
どうせ照さんの打ち筋を真似たって
俺自身の実力が伴っていない分、それは少なからず変質する
だから、どこか安心しきっていた
根底にあるものは同じとは言え
俺は所詮真似事をしているだけで照さんそのものじゃない
だけど清水谷部長は、あっさりと看破したっていうのか
竜華「気付いたら、どうしても居ても立っても居られなくなって」
竜華「直ぐにでも須賀君を問い質したかった」
竜華「君は一体何者なのかって」
竜華「どうやってその打ち筋を憶えたのか、って」
竜華「……結果的に、それで須賀君には」
竜華「嫌な思いをさせてしまったみたいやけど」
京太郎「いえ……」
出来る限り話の腰を折らないよう
軽く否定しながら俺は左手で顔を覆う
しかし、一期一会とはよく言ったものだ
成程、確かに彼女にとって俺はまさしく
一期一会の出会いに相応しい存在だったってことか
これ以上はないだろう、千載一遇の――
だとすれば先の発言である
一緒に強くなろう、という提案の意味も
ここでようやく理解することができる
京太郎「つまり先輩は、宮永照に勝つ為に」
京太郎「俺に、力を貸してほしいってワケですか」
照さんの打ち筋を真似ることができる俺から学び
夏のインハイで起こり得るであろう本番に備える
いや、そこで今度こそ勝つつもりなんだ、この人は
竜華「うん。その代り、っていうのはおかしいかもしれへんけど」
竜華「須賀君が強くなれるよう、うちがサポートする」
竜華「それこそ関西で最強に――」
竜華「――ううん。全国でも一番になれるように」
京太郎「――――」
あまりのスケールのデカさに俺は言葉を失った
だって、関西という狭い(?)範囲ならまだしも
全国でも一番だぞ。男子高校生のトップだぞ
正直なところ一番にはいつかなれればいいなくらいの
心構えしかなかった俺には、遠すぎて大きすぎる目標に
完全に言葉を失ってしまっていた
もう何を言えばいいのか分からない……
竜華「悪い話やないと思う」
竜華「さっき話してくれた通り、須賀君が」
竜華「本気で麻雀を強くなりたいって」
竜華「強くなって、他の誰でもない“自分”になりたいって」
竜華「そう思ってるのが本心からなら――」
竜華「うちはその言葉だけで、君を助けられる」
竜華「もしかしたら全国一は無理かもしれへんけど」
竜華「最低でも大阪、いや、関西一にはしたる」
竜華「……だからっ、お願い、します……」
京太郎「…………」
俺の目を真正面から見て、頭を下げてまで
そう言ってくれる清水谷部長だが――
確かにこの話自体は悪くない
なんたって平均素点では関西随一かつ
全国二位の千里山で部長を務めるほどの実力者に
直接教えを受けることができる機会なんて
これを逃してしまえば絶対にないかもしれない
だが、それと同時にここで彼女に協力するのは
照さんを裏切ることになるのではないのか?
そう静かに口にする自分がいるのも確かで
照さんは前人未到、夏のインハイ個人・団体戦で
三連覇がかかっている最後の年なのだ
その障害になるであろう千里山に利することをしてまで
俺は強くなりたいのだろうか……?
俺の中で疑問を唱えていた自分が小さく笑い
陽炎の如く揺れて消えたような気がした
――俺は、どうすればいいんだ
言葉を失い、思考は迷路の中に舞い込み途方に暮れる
どうすればいいのか、全く見当もつかないし
誰かの知恵や力を借りるわけにもいかない問題でもあって
だけど決断はしないといけない
協力するにしろ、断るにしろ。自分で決めないといけないんだ
京太郎「…………」
竜華「…………」
気まずい沈黙が病室に漂い始める
清水谷部長に催促しているつもりはないんだろうが
通常、目上であるはずの相手に頭を下げさせたままなのは
精神衛生によろしくないな……
1.そのまま無言
2.もし全部嘘だって言ったらどうします?(話は受ける)
3.頭上げてくださいよ、俺の方から頼みたいくらいです
4.丁重に断る
5.自由安価
安価↓2
書いてる途中でデータぶっ飛んだんで復旧作業含めて中断します
昨日は寝落ちするしで本当に申し訳ないです……
京太郎「頭、上げてくださいよ」
竜華「ぇ……」
まずはこの現状からどうにかしよう
その思いから出た言葉だったのだが
清水谷部長には、違ったニュアンスに聞こえたらしく
悲壮感を漂わせた表情を上げるとそのまま俺を見返した
おおぅ。なんつーかこういう先輩も
薄幸の美人って感じでグッとくる――じゃなくてだな
また変な行き違いが起きてそれを解消するために
また話があっちへこっちへとっ散らかるのは避けないと
京太郎「別に変な意味はないですってば」
京太郎「えと、先輩にそんなことさせるのは悪いと言いますか……」
俺には格上の相手を屈服させて喜ぶ趣味だってないし
さっき清水谷部長の話を、決意を、覚悟を、聞いていたじゃないか
悲しいすれ違いこそあったものの
俺も彼女も目指す場所は同じはずで
だとすれば、本当に頭を下げるべきはどちらなのか
京太郎「貴女が頭を下げるまでもなく」
京太郎「俺の方から頼みたいくらいです」
ベッドの上と言う窮屈な場所ながら
俺は清水谷部長に身体ごと向き合って、頭を下げた
その一連の言動がどういうことなのか
理解できずに困惑している雰囲気を漂わせているのが
見なくても分かってしまうくらいには
清水谷部長もテンパってしまっているのだろう
竜華「ぁ、えっ、それじゃあ――」
京太郎「――はい。こんな俺でもよければ」
京太郎「目指しましょう。全国の、頂って奴を」
顔を上げてキチンと宣言する
目の前でしどろもどろになっている人に向けたものだが
ある意味では自分に向けた所信表明にもなる
竜華「っ! 須賀君っ、ありがとなっ!」
今の言葉でようやく俺がどうするのかを理解したのか
目にも止まらぬ機敏な動きで俺の手を取ると
清水谷部長は嬉しそうな声音で笑顔を咲かせた
感極まったのか、安心からか、それとも両方か
目尻にはもう一度、薄らと涙が浮かんでいるのが見えたが
――それは悲しさや痛みからくるものではない
だから彼女の気が済むまま、されるがまま
俺は彼女に握られた手に力を込めて、しっかりと握り返した
そうだよな、そうなんだ。俺はここから始まる
俺が俺になるための戦いは、今この時より始まったんだ
この手の中にある温もりはその為に道を切り開く力で
他の誰でもない、俺自身がそうすることを選んだんだ
そうして決意を固める俺がいると同時に、そのすぐ傍には
これでいいのか? と問い掛けるもう一人の自分がいる
身震いしてしまうほど冷たい視線をなげかけられ
もしかすると――この決断は間違いなのではないかと
どこか恐怖を感じ始めていたのだが
しかし、それでも、歯を食いしばり、その場に留まって
俺は精一杯、力の限りでもう一人の自分に答えてやった
これでいいんだ
この選択が照さんを裏切ることになるとか
そんなことは知ったこっちゃないし、関係ない
一番大切なのは俺がどうしたいか、だ
どう在って、どこを目指したいのか
そしてその為には何をするべきなのか
考えた結果の選択がこれってことなのさ
そもそも裏切るも何も、俺が進学先を
白糸台ではなく千里山にした時点で決着は着いてたんだ
だとすれば照さんだって俺を経由して
自分が分析されることなど覚悟しているはずで
その上で勝ちに来る。あの人はそういう人だ
だから俺が一人でグチグチ悩むことに意味なんてない
俺は、俺らしく、俺の為に未来を選ぶ。それだけさ
突き付けられた答えを吟味する様にもう一人の俺は
顎に手を当てて無言を貫いていたのだが
そうか、と笑いを含んだ一言を残して消えていく
去り際に見たそんな自分の表情は
まるで俺が選んだ未来の意味を
よく考えてみろと言っているような、気がした
>Aルートが選択されました
Bルートはロックされます
評判が更新されました。噂をされているようです
清水谷竜華の友好度が上昇しました(1→3)
時間が経過します
友好度数値変動ボーナス発生!
お好きなステを一つ上昇(大)させます
雀力・異能・技量・学力 より一つお選びください
安価↓・↓2
あ、質問などあればどうぞよろしくお願いします
今回学力はどのくらいないとヤバイんだっけ?
>>502
○学力の目安
500 ココロオドルーサー
480~ 天才中の天才
400~ 数学オリンピック出場レベル
280~ 旧帝大生平均程度
160~ 高校生平均程度
100~ 留年しそう
5~ 学力たったの5か。ゴミめ
これ、かなーりギリギリじゃあないですかね……
4月第3週平日 朝 好調 \5000
意識は戻ったものの、怪我はそのままだし
もしかしたら何か変調でも起きる可能性があるから、と
三日ほど検査のために入院を勧められ
断る理由も特に思い当たらなかったために
担当医の言葉のまま入院することにした
どうせ治療費は加害者持ちだ……って考え方はマズいか
高校入学初っ端から入院とか
ボッチングが加速するのは確定的に明らかだが
これから夏に向けて麻雀漬けになることを考えたら
それはそれでよかったのかもしれない
……なーんて前向きに考えたところで
割り切るには難しくありませんこと?
このまま三年間、友達が八十島だけとかヤバくないっすか
1.テレビ (異能上昇)
2.携帯 (雀力上昇)
3.探索 (上昇無し)
4.勉強 (学力上昇)
5.寝る (時間経過・体調向上)
安価↓2
判定
0 八十島「生きてるかぁ?」
4 誰とも会わなかった
7 9 ?「おろ、見ぃひん顔やな」
安価↓
意識が戻ったということで
個室から引っ越すらしく、それまで30分ほどを
売店などで潰してくれと言われてしまい
念の為に、と渡された松葉杖を弄びながら
売店の新聞を眺めたりして時間を潰した
あばらにヒビが入ってるらしいが案外平気なものなんだな
稀にズキッと来ることはあるけど
それも大した痛みじゃないし
あー……そういや勉強、しとかないとだなぁ
父さんが教科書類とかは持って来てくれてたみたいで
部屋の机にちょこんと積まれてたな
売店で筆記用具一式とノートを購入し
もう大丈夫だろうと思い引っ越し先の病室へと向かう
個室ではないものの、定員四人のそこそこに広い部屋で
カーテンで仕切ってもその内側には
だいぶ余裕があるくらいには広そうな部屋だった
俺以外にも患者がいるのか四つあるベッドのうち
一つはカーテンで仕切られ、もう一つは生活用品などが
備え付けのテーブルに散乱していた
京太郎「……ここかぁ」
これから三日ほどお世話になる簡素なベッド
リクライニング可能という点だけが取り柄である
それはそれで凄い取り柄なのかもしれないが……
ベッドを跨ぐ様に懸架できる長机を設置し
主要科目の教科書を広げて目に付いた演習問題を解く
ひたすらに解く
眠りこけてる五日間と、今日を入れた入院の三日間で
どこまで進むのかも分からないまま
京太郎「…………」
あれ……?
それってつまり終わりの見えない作業ってことですか?
終わりのないディフェンスなの?
京太郎「…………」
急激に虚しくなってきて
シャーペンを放り投げたくなるが、我慢だ。我慢
入学する時も確か補欠合格だったし
このまま勉強もせず学校に復帰すると
進級すら危ういかもしれない
……進級できなかったら麻雀どころじゃないぜ
京太郎「よしっ」
頬を叩いて一念発起気合を入れる
乾いたいい音がしたことよりも
何故か肺の方にズキッと来た方が痛かった
京太郎「ぁいつつつ……」
胴体に巻かれたサポーターのごつごつした感触越しに
痛みのした辺りをさすりつつも
勉強を再開しようとシャーペンを握り
ふと、本当に何気なく意味もなく理由もなく正面を向いて
?「…………」
京太郎「…………」
バッチリ目が逢った
それはもう――
目線と目線で正面衝突するくらいには、バッチリと
部屋を仕切っていたカーテンの一つが開かれ
その奥にいたであろう他の入院患者と目が逢ったわけだが
これが、大体俺と同じくらいの年頃の女性だった
肩くらいで切り揃えられたショートカットに
深海や宇宙を思わせる深く暗い青色の瞳は
眠そうに半分程度瞼が落ちて閉じられかけている
もしかするともしかしなくても寝起きなのか
ピンク色のパジャマの胸元が肌け――
京太郎「あでっ!?」
?「オイタはアカンでー、少年」
京太郎「がぁあ、あぁあぁッッッ」
ものの見事に額へと何か固いものが直撃していた
炸裂したような痛みに頭を押さえてベッドで悶えれば
今度はヒビの入ったあばらが主張し始める始末
二か所からの痛みで一瞬止まった呼吸のまま枕元に視線が飛んで
俺は自分の額にクリーンヒットした物体の正体を知った
スチール製っぽい、マグカップ
そんなもんが投げつけられたんならそら痛いわな
今日はここまで
まさかゾロ目が出るなんてこの海のリハクの云々
質問などあればどうぞよろしくお願いします
?「しっかし少年、見ぃひん顔やなぁ」
京太郎「き、のうっ、まで、個室でしたからっ」
?「あぁ」
右手にグーを、左手にパーを作って打ち合わせる
漫画のような仕草をしつつ納得の声を上げた少女は
よっと掛け声一つでベッドから降りると
パジャマの着崩れを直して俺の方へと歩み寄ってくる
京太郎「? ……あぁ」
京太郎「これですか」
?「せやせや。やー、すまんなぁ。つい反射的に」
京太郎「いえ……」
ジンジンするデコを撫でつつマグカップを拾うと
俺はすぐ傍にまで近付いてきていた少女に手渡した
いきなり手痛い一撃を貰ったのには驚いたが
欲望のままに不躾な視線を送った俺に非はあるだろう
女性ってのはその辺結構敏感で
割りと気を付けるようしていたはずなんだけどな……
昏睡状況が続いたせいで理性の箍が緩くなってるのか?
?「……もしかして、ウチの生徒やったりする?」
京太郎「ウチって……千里山ですけど」
?「ああ、うん。そうやな。千里山」
京太郎「……?」
何でそんなことを訊いてきたんだろう
それによく分かったもんだ……って、成程
教科書を見て判断したのかな?
公立とは違うものを使ってるらしいから、それで
判定
0 ?「入学早々大変やねぇ」
4 ?「お大事にー」
7 9 ?「なぁなぁ、ちょーっと聞きたいんやけど」
安価↓
?「入学早々大変やねぇ」
京太郎「入院が、ですか?」
?「うん。勉強に着いてけんくなったりとか」
?「友達もできんまま一年が終わったりとか」
京太郎「…………」
同じことでも、自分で想定するのと違って
他人から指摘されると妙に現実味を帯びてくるな……
軽く笑いかける目の前にいる娘にも
そういう経験があるからこそ言えるのだろうかな?
でもそういうことは面と向かって訊けるようなことじゃないし
第一、相手の名前も知らない完全初対面なんだ
なんて返そうかと少しの間迷ったけれど
京太郎「……確かに不安っちゃあ不安ですけど」
京太郎「そうやって不安がって何もしないよりは」
京太郎「まず手に付くことからやろうって思ってます」
京太郎「それからでも遅くはないって」
と、これっぽっちも気の利かない
実直そのものな言葉が突いて出たのは
初対面の相手にどこまで打って出ていいのか
見当がつかなかったってのが大きい
?「そか。前向きなんやね、君」
面白みに欠ける返しのせいか
はっきりとではないが、表情を曇らせた彼女は
俺が机の上に置いていた教科書の山を
どこか懐かしむような緩慢な動きで一撫ですると
?「そういや言い忘れてたけど、ウチも千里山の生徒なんよ」
?「もし長居するようやったらよろしゅうなぁ」
?「ゆーてもウチ二、三日しかおらへんけど」
次の瞬間にはケラケラと笑い
病室の外に向かって歩き出していた
後ろ手にヒラヒラと手を振りながら歩くその背に
――宜しくされたんなら、こっちも何か言わないと
そう使命感のような気持ちが湧いてきて俺は……
1.どこかに行くんですか?
2.俺は須賀です。一年の、須賀京太郎
3.……宜しくお願いします。こちらこそ
4.自由安価
安価↓2
京太郎「あのっ!」
?「ん?」
思ってたよりも大きな声が出て
自分で軽く驚くと同時にドアに手をかけた状態で
少女は髪を靡かせて振り返る
明るい光を宿した瞳に射抜かれて
何を言おうとしたのか頭の中からぶっ飛んでしまい
ちょっと変な間が空いて
京太郎「えと、俺は須賀です。一年の須賀京太郎」
?「ぉ、あぁ……ほーん……」
?「ウチは園城寺、怜」
怜「千里山高校の三年や」
見定められているような視線に
居心地の悪さを憶えたのも束の間
フッと表情を崩して目を細め口元に笑みを浮かべるその姿は
どこか儚さを持ち合わせつつも
艶やかという言葉がよく似合う蠱惑的なもので
どうしようもなく目を釘付けにされてしまった
今日はここまで
明日はやらないと思います
4月第3週平日 昼 好調 \5000
目の前のベッドに居座る高校の先輩は
検査や何やらで昼前まで不在にしていたのだが
昼食が運ばれてくると時を同じくして戻り
既に配膳されていた病院食にゲンナリしていた
なんでだろうな、とは思いつつも
深く気にすることはなく自分の分を口に運んで
――あまりの味の薄さに絶望した
し、塩気が足りないんじゃありませんこと……?
1.テレビ (異能上昇)
2.交流 (雀力上昇)
3.探索 (上昇無し)
4.勉強 (学力上昇)
5.寝る (時間経過・体調向上)
安価↓2
判定
0 京太郎「……何してるんです?」
4 なにもなし
7 9 怜「暇やなぁ……」
安価↓
さーて、と
昼も昼とてお勉強の続きです
約一週間の遅れは一朝一夕じゃあ取り返せはしない
少しずつでも、こうやって積み重ねることが
遠回りのようで近道だったりするんだよね
ほら、なんかの漫画でも主人公が言ってたよ
随分遠回りしてゴールに辿り着いたけど
それこそが近道だったんだよ――的な
昼飯が昼飯だっただけにピザでも食べたくなってきた
モッツァレラチーズをたっぷり使った
京太郎「…………」
京太郎「…………」
怜「…………」
京太郎「…………」
京太郎「……何してるんです?」
妙に視線を感じると思って顔を上げると
ベッド脇の丸椅子に座って園城寺さんがこちらを見ていた
より正確に言うなれば、机の上を、だろうが
怜「ん? や、何してるんかなって」
京太郎「はぁ」
あっけからんと言ってのける園城寺さんに
気の抜けた相槌が出た。実際、コメントし辛かったし
怜「熱心やね、少年も。朝見かけた時も勉強してたけど」
京太郎「少年じゃないです、須賀です」
京太郎「やっといて損はない、というか」
京太郎「やらないと損するじゃないですか、こういうのって」
病気だから、怪我をしたから、何かあるから、と
理由を付けては努力する手間と時間を惜しめば
同じだけ積み重ねていく人間とは自然と差ができていく
だとすれば授業を受けられなかった俺と
普通に学校生活を送っている同級生とでは
既に一週間分の差が生まれているはずなのだ
それを埋めないと、巡り巡って損するのは自分自身
だからこうして勉強することは間違っていないと思うんだが
俺の返答が気に食わなかったのか
園城寺さんは眉根を寄せて身体を乗り出すと
机の上に置いてあった数学の問題集を手に取って
怜「ホント、真面目なんやなー」
怜「ウチかて結構、それこそ一年の頃から」
怜「よく通院で欠席とかしとったけど」
怜「その分まで勉強しようなんて思ったことないわ」
京太郎「…………」
一年の頃から、よく通院欠席していた?
問題集をパラパラと捲りながら渋い顔をする
園城寺さんの言葉の意味を測りかねて
喉元にまで出かかっていた言葉が引っ込む
怜「今も暇やからって他人を茶化してるしな」
怜「……もしかしてだいぶ邪魔してたり?」
京太郎「いえ、それほどでも」
ひと段落は着いてるから多少の余裕はある
それに部屋の中で孤独を感じているよりは
誰かと会話でもしている方が気が楽だからで
彼女が喋るのに任せていたわけだが
しかし園城寺さんはそうと受け取らなかったようで
ん、と小さく声を漏らしてこちらに問題集を手渡すと
怜「真剣に勉強してる相手の邪魔するんも悪いし」
怜「自分の時間潰しくらい、自分で見つけんとなー」
よっと、掛け声一つで椅子から飛ぶように立ち上がると
怜「でも勉強もほどほどにせんと」
怜「今度は知恵熱で倒れることになるで、須賀君」
初めて名前で呼ばれたことに軽く驚きつつも
俺の身長が無駄に高いのか
園城寺さんの身長が低いのか
ベッドから見た、立ち去ろうとする彼女の背中は
なんだか少し小さく見えて
そこに壊れてしまいそうな怖さを
どうしてか憶えてしまって、俺は――
1.趣味とかないんですか?
2.勉強、見ててもらえませんか?
3.もしよかったら、どこか行きませんか?
4.息抜きするんで付き合ってくださいよ
5.……そっとしておこう
6.自由安価
安価↓2
京太郎「あのっ」
怜「ん?」
不思議と既視感のようなものを感じて――
ああ、そういやあ昨日も確かこんな感じで
園城寺さんを呼び止めたんだったか
自分のワンパターンさというか
女性を前にして常に後手に回ってる感じは
どうにかしたいが……今はそれよりも
京太郎「もしよかったら、ですけど」
京太郎「これから息抜きするんで付き合ってくださいよ」
怜「……ほぇ?」
渾身の勇気を振り絞って放った言葉は
目を丸くして呆けた声で返されてしまった
怜「息抜きって、勉強はどしたん?」
京太郎「ひと段落しちゃったんで、いいかなーっと」
怜「……はぁ」
重い溜息を吐かれると同時に
ジットリとした目線を向けられる
なんだなんだ、変な事でも口走ったかな、俺
そんなことはないと思うんだけどもな
特段、邪なことだって考えてはないから
それを口に出しちゃう――なーんて
古典的ギャグ展開にはならないはずだし
京太郎「と、兎に角! どうします!?」
右手で脇腹を庇いつつベッドから降りて
俺は園城寺さんの真正面に立つ
彼女の身長は低い、なんてことはなく
感覚的には、咲とそう大して変わるものじゃないくらい
視覚的には丁度頭のてっぺんが顎から下唇辺りに
やって来るくらいのもので
旋毛ってのは意外と綺麗なもんなんだな、とか
どうでもいいような感想が思い浮かぶ俺に
怜「付き合うくらいならええけど……行くあてはあるん?」
園城寺さんの投げかけた言葉は的確に突き刺さって
どうしていいのか、また分からなくなってしまった
もー、ホント最近こういうことばっかだ
何をしていいのか、どうすればいいのか
何一つとして分からない状況に陥ってばっかり
……だけど、それも悪くないと思ってしまうのは
どうしてなんだろうね?
判定
偶数 売店とかふらふら
奇数 中庭などぶらぶら
ゾロ目 竜華と遭遇
ただし77と44は別イベ(44は悪いイベント)
安価↓
一旦中断しますです
ある意味ゾロ目じゃなくてよかった……かも?
昨日の今日で外出許可が貰えるわけもなく
そもそも俺が取れたとして園城寺さんも、と
いうわけにはいかないと思われるしで
大人しく病院内を散策するだけに留める
大体どこに何があるのか
必要だと思われる設備の場所は把握していたが
息抜きや気晴らしができる場所など
ベンディングコーナーか
レストスペースくらいしか思い付かない
元・体育会系からすればちょっと出歩くだけでも
気分転換することができると言えばそうだが……
京太郎「…………」
怜「…………」
横を少し離れて歩く少女がそういうタイプだとは
到底考えられない。もっとこうお嬢様チックな
そう! 深窓の令嬢的なアトモスフィアを感じるんだ
しかし病室を出てから体感で五分ほどとはいえ
お互いに一言も発しないなんてのは、どうなんだろうか
京太郎「え、と。園城寺さん?」
怜「んー?」
1.よくここには来るんですか?
2.部活とかには入ってるんですか?
3.ちょっと自販機まで行きますけど……
4.自由安価
安価↓2
判定
0 怜「まー、そうなるんかなぁ」
4 怜「……須賀君には、関係ないやろ」
7 9 怜「うち、病弱やから……」
安価↓
京太郎「よくここには来るんですか?」
怜「ここって、病院のこと?」
京太郎「はい」
さっき確かにそんな趣旨のことを言っていたのが
妙に気にかかってしまったので訊いてみたのだが
眉間に皺を寄せて沈黙を作る園城寺さんの反応に
もしや地雷を華麗に踏み抜いて行ったか――と
不安に思うこと数秒
怜「そうやなぁ。よくってほどでもないけど」
怜「通算で見たらかなりお世話になってるかな」
京太郎「そうなんですか」
怜「ほら、うち、病弱やから……」
京太郎「…………」
悲しげに目を伏せながらしなを作る園城寺さんだったが
あくまで個人的な見解を述べさせてもらえるなら――
あまり病弱を自称できるほど弱弱しくは見えないんだ
血色だっていいし、こうして会話をしていて色んな表情を
見ることだってできてるんだし
時折儚げな雰囲気が覗くことはあれども
それだって気になるほどでもないし
しかしそう親しいわけでもない人の自己申告を
真っ向から否定することもできないわけでして
京太郎「…………」
怜「…………」
納得する無言を置いたら会話が止まった
……なんでだ?
怜「……そこはなんか突っ込むところちゃうん?」
京太郎「ぇあっ!? えっ、えぇ……?」
本日二回目となるジットリとした目線を投げつけられて
驚きとかその他諸々のリアクションをひっくるめて
喉から裏返った声が出た。凄い高音の
怜「ダメやなー。ダメダメやで須賀君」
怜「そんな調子やったら苦労するで、これから」
京太郎「ぇえ……?」
チチチ、と人差し指を顔の前で振って
したり顔をする園城寺さんに脱力
大阪人は話にオチが着いているかどうかや
ボケとツッコミに敏感だとは風の噂に聞いていたが
どうせ固定観念化した誇大妄想の産物だろうと
真に受けなかった結果がこれか。これだよ!
大阪で生活するならやはりお笑いのノウハウは
必須習得技能だったか。精進せねば――
京太郎「いやいやいや、今の会話の流れでツッコめって」
京太郎「かなり難易度が高いと思うんですけど!?」
怜「そうかな」
京太郎「ですって」
怜「えー」
アヒル口でぶー垂れる園城寺さんは
それだけで中々に様になっているという不思議があったが
それ以上に、お互いの間に漂っていた
ぎこちないような空気が霧散し
いつの間にか、気軽に声をかけ合い始めることが
できていたことに気付いたのは
病室に戻って晩飯を食い終わった後のことだった
かなり自然な流れで二人で談笑しつつ飯を食ったもんで
全く気付かなかった……
>時間が経過します
4月第3週平日 夜 好調 \5000
今日も清水谷部長が来ていたらしいのだが
俺が園城寺さんとぶらぶらしている間に来たようで
タイミングが全く合わないまま帰ってしまったと
見回りのナースさんから教えてもらった
どおりで机の上に麻雀の教本が増えていると思った
俺が使っているものではなく、既に使い古されたような
少しくたびれた見た目のそれはおそらく
千里山麻雀部の備品か何かなのだろう
ククク……
しかし清水谷部長も気が利くなぁ
これさえあればどれだけ暇してても時間が潰せるぞ
1.探索 (上昇無し)
2.勉強 (学力向上(大))
3.交流 (友好度上昇(小))
4.ネト麻 (雀力上昇(大))
5.教本 (技量上昇(特大))
6.早寝 (体調向上)
安価↓2 2が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
京太郎「……って、おぉう」
京太郎「気付いたらこんな時間かよ」
いやに周りが静かだなと思ったら既に日付は回り
枕元にある電気の灯りも自分以外のものは
少なくともこの病室内では確認できなかった
京太郎「俺も早く寝ないとな……」
十分な睡眠をとることこそ全快への第一歩だとかなんとか
まあ、兎に角も寝よう
勉強だって結構順調に進んでるし
このまま継続的にやっていればまず心配はないかな
>時間が経過します
>>565
× 2が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
○ 3が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
時間経過(入院1日分)
コンマ下一桁×1.5全ステータス上昇
小数点は切り下げ
安価↓
0=10 ですね
本日はここまで。お疲れ様でした
どうしようか悩んでたら全然進まなかった……反省しよう
質問などあればどうぞよろしくお願いします
更新前に仮眠しよう→気付いたら朝だ……
始めます
4月第3週平日 朝 好調 \5000
気付けば検査入院も今日が最終日で
昼前にレントゲン検査などを行った後に
晴れて退院となるらしい
住めば都という言葉は真っ赤な嘘なんじゃないかと思うほど
病院暮しというのは気が滅入ることが多かったが
園城寺さんが話し相手となってくれたり
勉強とか教本を読んだりとか
そこまで大きく時間を持て余すことがなかったのは幸いだった
1.テレビ (異能上昇)
2.教本 (雀力上昇)
3.散策 (上昇無し)
4.勉強 (学力上昇)
5.寝る (時間経過・体調向上)
安価↓2
判定
0 京太郎「静かだ……」
4 看護師「検査の時間ですよ~」
7 9 怜「おっ?」
安価↓
京太郎「…………」
だらしなくベッドに寝転んで教本を広げる
普段使っているものとは別物だから
同じ内容も異なる書き方がしてあったりと興味深い
俺の手に渡る以前にこれを使っていた誰かのメモ――
ここはこうするべきだ、とか
あそこには注意する、みたいな注意書きが
教本をパラパラっと捲って見ればあちこちに散見されて
真面目に読んでみれば、意外と気付かないことであったり
そうなのか、と新しい考え方に出会うこともあり
とてもためになる教本となっていた
うーむ。清水谷部長にはちゃんとお礼を言っておかないとな
京太郎「しかし、静かだな……」
園城寺さんともう一人の患者さんが出払って
病室内に俺しかいないというだけなのに
ここまで静かになるものなのかね
>雀力が上昇しました(大)
部長から貰った教本により効率上昇!
静かな環境で勉強したことで効率上昇!
雀力上昇にボーナスがかかります
4月第3週平日 昼 好調 \5000
再検査の結果、特に問題はないだろうということで
出来る限りは安静にしていることを言い含められ
サポーターやら湿布やらを貰って無事に退院
持ち帰る荷物に関しても背負い鞄一つで済んだし
今から学校……は、止めておいた方がいいな
となると結構な時間を暇することになるが、どうしようか
もし街中をブラブラしててまた事故に遭ったりしたら
洒落にならないのか最早ギャグなのか分からねぇな
そういえば園城寺さんも今日で退院するんだっけ
俺が帰り支度をしている一方で
彼女の方にそんな素振りはなかったが……
1.散策 (再安価)
2.交流 (再安価)
3.食事 (異能上昇・体調向上)
4.待機 (上昇無し)
5.帰宅 (時間経過・体調向上)
安価↓2
京太郎「退院したんだし、その連絡でもしとくか」
特に父さんやら、長野にいる知り合いたちには
結構な心配をかけただろうし……かけたよね?
これでこれっぽっちも気に掛けてもらえてなかったら
俺ってば哀しみで心が壊れて死んでしまいますですよ
割りとマジで
さて、誰に第一報をかけようかと携帯を取り出して――
京太郎「あっ」
ちょっと待て、今は平日の真昼間じゃないか
てことは電話をかけたとして大抵の相手は出られるはずもなく
メールにしたとしてもすぐに帰ってくる保証はない
ん? すぐに帰ってくる必要はないのか?
じゃあ誰にメールしますかね
1.宮永照
2.宮永咲
3.東横桃子
4.清水谷竜華
5.父親
6.一括送信
安価↓2
まあ……まずは父さんに、と思いきや
父さんは俺の退院日が今日だって知ってるわけで
だったら帰ってから電話しても遅くはない……と思う
それにメールの無味乾燥な文面よりも
直に声を聞いた方が親を安心させるには一番いいんじゃないか?
少なくとも俺はそっちの方が嬉しい
ではまず候補から父さんを外して、誰にメールするかと言えば
咲は……ないよなぁ
だってあいつ、携帯持ってたっけ?
持っていたとしてメールをまともに打てるんだろうか
これを面と向かって行ったら怒られそうだが
そういう疑いをかけられる程度には
自分がドジをやらかすことがあるということを自覚してもらいたい
照さんに連絡しておけばそこ経由で咲にも伝わるかな
……最悪は家に帰ってからあいつの家電にかけるまでさ
京太郎「無事退院しました。ご心配とご迷惑をおかけしました、っと」
ちょっとぎこちない文面だが
近況報告なんてこんなもんだろう
照さんのことだから自分が使う時以外は電源を切ってて
このメールに気付くまでにかなりの時間を要する可能性もあるが
もう送っちまったもんはどうしようもないし
この件はこれで考えるのを止めようか
携帯をポケットに収め、鞄を背負い直して空を見上げる
抜け落ちる様な晴天と木々を揺らす風は心地よく
如何にも“春”って感じで、時間すらゆっくり流れているように錯覚する
――さて、小腹も空いたし何か食べてから帰ろう
>時間が経過します
4月第3週平日 夜 好調 \5000
久々に帰ってきたはずの我が家だったのだが
特に久しぶりだとかそんなことは感じなくて
眠ってた時間を除けば、家に帰って来られなかった期間は
実質4日程度だったわけだし、大阪からも離れてないしで
懐かしみを憶えるまでもなかったって事かな
1.探索 (上昇無し)
2.勉強 (学力向上(大))
3.交流 (友好度上昇(小))
4.ネト麻 (雀力上昇(大))
5.教本 (技量上昇(大))
6.早寝 (体調向上)
安価↓2 3が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
特殊判定
0 モブ
4 モブ(強)
7 9 自由安価(高校生雀士一人)
ゾロ目 7 44 4 それ以外 0
7 9になった場合は再安価出します
安価↓
モブ雀力=コンマ下二桁×2
モブえ 安価↓
モブお 安価↓2
モブか 安価↓3
ネト麻
モブえ(128)
モブお(42)
モブか(182)
たろー(183)
須賀京太郎の使用する技能を選択してください
所持技能
ベタオリ…下一桁047以外で技量+100
拝み打ち…コンマ下一桁2468以外で技量+50
浮き打ち…コンマ下一桁1357以外で技量+50
相手の使用する技能は>>177より1種類です
安価↓2(技能)
モブえ
《決め打ち》使用→デジタル雀士に有効。他家3人の雀力-40
モブお
《順ずらし》使用→自身の雀力と技量+50
モブか
《絞り打ち》使用→上家の雀力-20・下家の雀力-40
たろー
《拝み打ち》使用→コンマ下一桁2468以外で技量+50
モブえ(128) 安価↓
モブお(42) 安価↓2
モブか(182) 安価↓3
たろー(183) 安価↓4
現在の所、上家・下家の概念が曖昧なので《絞り打ち》の効果を修正します
修正前:上家の雀力-20・下家の雀力-40
↓
修正後:上家・下家の雀力-40
あと通常モブの雀力は02~200までなので
今の技量値ならベタオリに成功すれば
相手の技能を完全に拒否できるんですよね
雀力勝負では勝てなくても技量勝負は勝っているという現状……
モブえ 128+50 178
モブお 42+61-40-56+50 57
モブか 182+59-40 201
たろー 183+09-20 172
京太郎「ぅあー……」
久々に触れた麻雀の結果は酷いもんだった
しかも接戦も接戦、惜しいところで競り負けた分
余計に悔しい気持ちがある
復帰戦を華橋く勝利で飾る――なんてことは
今の俺の実力じゃあまだまだ厳しいのかねぇ……
PCの電源を落として通学鞄と明日の時間割を確認し
ベッドに身体を頬り投げる
染み一つない天井とは対照的に俺の内心は真っ暗
一緒に強くなろう。そう言ってくれた清水谷部長に
申し訳ないような、実力のなさが情けない気持ちでいっぱいで
くよくよしてたって仕方ないなんてわかっていても
そうすることでしか内心のモヤモヤとしたものを
吐き出すことができなかった
>対局ボーナス・3位
該当ステが上昇しました(中)
時間が経過します
4月第3週休日 朝 好調 \5000
学校に復帰してみればなんてことはない
クラスで『ヤクザに報復された』とか『痴情の縺れが……』などと
噂をされていたが、どうせ冗談半分での言葉だろうし
その程度なら可愛いもんだ
一番悲惨なのは遠巻きにしながら小声で陰口を叩かれる状態で
もうそこまでいくとこちらとしても手の打ちようがない
人間、一度偏見で凝り固まった目でものを見てしまうと
どうしてもそういう風にしか見えなくなるもんだ
遭遇判定
0 スルー
4 寝坊
7 9 人
ゾロ目=7 44=4
安価↓
ちょいコンマ取らせてください
安価↓
今日も今日とて部活の為に朝から学校に向かっているのだが
年度切り替わりの時期だからか、清水谷部長は忙しく立ち回っており
退院して以来、部活内で直接顔を合わせる機会もなく
俺は俺とて部活に参加しないわけにもいかず
八十島を見よう見真似て4軍の練習室の隅っこで
同じ一年生を集めたりしてのんべんだらりと打っていたのだが――
昨晩、清水谷部長からメールでこうお達しがあったのである
―――――――――――――――――――――
FROM:部長
―――――――――――――――――――――
色々立て込んでてほったらかしにしてゴメン!
今年は新入部員も多いしで大変なんよ(-_-;)
それで今後のことについて話し合いたいし
明日、一軍の練習部屋に来てもらえへんかな?
―――――――――――――――――――――
と、まあ大体こんな所である
ほったらかしにされていたと言ってもたかだか二日だし
清水谷部長は俺と違って立場があるから
俺を含め、自分のことにかかりきりになれないのは仕方ないと思う
というか部長がただの一人に感けているってどうなんだ
しかし今年は新入部員が多いのか……
一年生、とは言ってないから二、三年生からも
新入部員ってのはいるのかな、なーんて考えつつも
新入部員が何人いようと何年生だろうと関係ないけどな!
俺は自分の為に強くなるってだけだ
そしてやって来ましたよ、一軍の練習室に
八十島やいつも卓を囲んでくれている先輩方に断りを入れ
四軍の練習室から歩くこと数分
同じ部活、同じ建物の中にあるのに
どうしてこう辺りに漂う空気が違うのか疑問だが
兎も角も、俺は一軍練習室の扉前で突っ立っていた
最初に思いついた感想はは「意外と小さいな」で
よくよく考えればランクが上がるごとに所属する人数が減るんだから
四軍の練習室よりも小さいのは当然のことで
寧ろ、他の部活と比べてみれば大きい部類に入るものだろう
流石名門と言ったところか
ここまで来ておいてナンだけど急に緊張してきたな
目の前にあるのはただのドアのはずなのに
威圧感すら感じられて、心なしか
ピリピリとした空気を発生させているような気さえする
この扉を隔てた向こう側に……いるんだよな
清水谷部長をはじめとした全国二位の称号を関する猛者たちが
頂点に最も近く、ただの高校生とは既に一線を画した
魑魅魍魎――は言い過ぎかもしれないが
傑物と言える人たちがいるのだ
そう考えると、握り拳は汗で湿り緊張で背筋は伸びる
このまままごまごしていたら明らかに不審な奴だし
清水谷部長を待たせるわけにもいかないしで
よし、と掛け声一つ。意を決して扉を叩いた
まだまだあるんですがキリが悪いのでここまで
お疲れ様でした
うわああああ完全に寝てたorz
明日は早目に始めます
アニメ見ましたけどなんで金剛だけ改二なんですかね……
始めます
京太郎「失礼しまーす……?」
ぬおっ
「…………」
人間、音がする方向に意識を向けがちになるとは言われているが
にしたって部屋にいた大半の人間がこっちを見ることはないでしょ
しかも大抵は「誰?」とか「なんなの?」みたいな
完璧に不審者を見る目つきなのはどうしてなんですかね……
いくら俺がビジュアル面で不良っぽいとは言いましても
中身はただの人畜無害で善良な市民なのに
京太郎「あ、ぇと……」
突き刺すような幾つもの視線に気圧されて
さっきまで喉元に出かかっていた言葉が
引っ込んだのがマズかった
扉に手をかけた姿勢のまま俺は固まる俺に
部屋にいた十数人の中から一人が
立ち上がってつかつかとこっちへと歩み寄ってきたのだ
「……何か御用でしょうか?」
俺の身長的に見上げる形になった女生徒は
なんだか不遜というか、つっけんどんとした風に
俺に向かってそう訊いてきた
一連の出来事は予想外もいいところではあったが
質問の内容自体は俺にとっては都合のいい助け舟で
京太郎「あの、清水谷部長に用があって来たんですけど――」
「部長に、ですか?」
京太郎「はい」
愛想笑いを浮かべる俺をどう思ったのか
訝しそうな目で上から下までじっくりと観察しつつ
女生徒は眉根を寄せて口を開いた
「只今部長は不在にしてます」
「お急ぎの用事でなければ時間を置いてまた来てください」
京太郎「ぇ?」
話しは終わりだ、とばかりに女性とも扉に手をかけ
部室から俺をシャットアウトしようとするが
反射的に力を込めた俺によって防がれてしまい
訝しげな表情を忌々しさにグレードアップさせつつ
「……なんですか?」
京太郎「いやいやいや、それはこっちのセリフですよ」
京太郎「別に締め出さなくてもいいじゃないですか」
俺だって端くれとはいえ麻雀部の一員なんだし
京太郎「それに部長がここに戻ってくると分かれば」
京太郎「もう一度訪ね直すよりも」
京太郎「ここで待っていた方が建設的だと思うんですけど」
「…………」
偽らざる本音というやつだが
同時にほんの少しの打算も混ざってはいた
一軍の練習風景を見ることで
何か吸収できることはないか、という
「そういう手には乗りませんよ」
だから彼女のその言葉は
俺のそんな内心を看破したものかと焦り
「そうやって一軍メンバーに取り入ろうったって無駄ですから」
しかし次に放たれた言葉によって
どういう弁解をしようとか、次は何を言おうとか
考えていたことが全部ぶっ飛んでいってしまった
それはもう見事なまでに
京太郎「……はぃい?」
「ふん。惚けちゃって」
京太郎「惚けるも何も、そんなつもりは――」
「犯罪者はみんな同じことを言うんですよ」
「そんなつもりじゃなかったんだって」
犯罪者と同じにされましても……
ていうか俺はまだ何もしてないどころか
何かをする前に門前払いを喰らうとこだったんだが
「貴方の気持ちも分からなくはないけれど」
「全国でもトップレベルの千里山高校ですもの」
「適当にお近付きになってあわよくば、なんて輩」
「掃いて捨てるほど見てきたわ」
京太郎「……あの、ですね」
普通ならいい加減頭痛がしてくる頃だろうが
それ以上にカチンと来てしまった
こいつは一体何を根拠にして喋っているんだ?
俺の一体どこを見てそんなことを言っている?
無暗にレッテル張りして得することなんてないぜ
あまり女性相手に威圧はしたくなかったが
一方的に嬲られ続けるのも我慢ならなくて
俺は一歩前に出て彼我の距離を詰める
「!? な、なによ……!」
怯えるような色が見えたのも一瞬で
すぐに強張った表情でとりなすと
これまで以上に警戒芯を露わに俺へとぶつける
漂い出した一触即発の空気に
ただならぬものを感じ取ったのか他の部員たちも
何事かとこちらを窺ったり歩み寄ったりと
様々な反応を見せる中で――
判定
0 怜「須賀君?」
4 現実は非常である
7 9 竜華「ちょっと、なにしてん」
安価↓
ものっそい今更だけどモブ子が標準語で喋ってますね……
そういうキャラだということにしておいてください(震え声)
「――須賀君?」
鈴の音が鳴るような声が軽やかに響き渡る
というのはいささか表現が過剰だが
俺と女生徒が扉を間にして繰り広げる問答から
一気に視線を持って行くほどにその声の存在感は大きかった
俺との睨み合いを中断して何事かと女生徒が振り向けば
立ち上がってこちらを窺っていた生徒が
波を引くようにして一歩下がり、場所を開ける
まるでモーセが海を割って道を作ったような光景
そして道ができたということは、そこを通る人間がいるわけで
京太郎「あ、貴女は……!」
冬用のセーラーとスカートを微風に揺らめかせ
ゆったりとした足取りでこちらに近付いてくる少女は
つい最近知り合った、しかしそれなりには親しいと呼べる人で
怜「やっほ。やっぱ須賀君やんな。この間ぶり」
京太郎「園城寺さん!」
入院中に知り合った高校の先輩、園城寺怜さんその人は
右手をヒラつかせながら自然に俺と女生徒の間に割り込むと
何やら女生徒に向かって目配せするのだが
女生徒の方は事態についていけてない困惑か
それとも自分の予想は的中していて
しかし既に手遅れだったんだ、などと考えているのか
納得がいかないという顔で口を開きかけて
怜「工藤さんはええから、ここはウチに任しとき」
ぴしゃりと言い放った園城寺さんに何も言えなくなり
か細い声で「分かりました」とだけ言って引き下がった
成程、彼女は工藤という名前なのか。一応覚えておこう
工藤さんの反応を見て周りの野次馬めいたギャラリーは
俺との出来事は事なきを得たとでも判断したのだろう
ある者はそのまま興味を失ったように視線を外し
また別の者は園城寺さんに
意味深な目線を飛ばしたりしつつも
俺が部室の扉を開ける以前の状態へと各々戻って行った
その様子を視界の端に園城寺さんを含めながら
俺は矯めつ眇めつ眺める
怜「……それで、どしたん? 麻雀部なんかに来て」
相変わらずどこか気だるげな目線の園城寺さんは
冬服のせいか、どこかぼってりとした印象を受ける
個人的にだが、彼女は薄着の方が似合っていると思う
京太郎「あぁ、清水谷部長に――」
怜「竜華に?」
おぉう
下の名前を呼び捨てときましたか
と、なると園城寺さんは部長とかなり仲がよろしいのか
いわば、親友というアレですよ
男同士の場合、親友でも下の名前で呼ぶことはそうそうないけど
まあそれは置いといて
俺が気になったことはそこだけじゃあないんだ
それは何かというと、一体どこまで話していいのか?ってこと
恐らくだが園城寺さんは「部長に用がある」というと
どんな用事なのか訊いてくるだろう
訊いてこない可能性だって勿論あるけれど
訊いてきた場合の想定はしておいて損じゃない
さて、どんな用事なのかと訊かれて
どう答えるのが最善なのだろうか
曖昧な言葉でお茶を濁すのか
それとも部長に呼ばれたのだと正直に言うのか
……後者だとよからぬ誤解が生まれそうだな
園城寺さん相手ならそんな不安もそうない
とは、言いたいところだけど
1.部長に用があるんです (誤魔化す)
2.部長に呼ばれてきたんです (ある程度話す)
3.先輩に会いたくて……
4.自由安価
安価↓
下手に隠し事して心証を悪くしたり
それで話が拗れてややこしくなるのは本末転倒だしな
部長のメンツとかもあるだろうから
全部が全部ってわけじゃなくても話せることは話そうか
京太郎「――清水谷部長に呼ばれて来たんです」
怜「? 竜華が、須賀君を?」
京太郎「はい」
怜「???」
園城寺さんが困惑で表情を曇らせるのも当然だろう
というか、俺と部長の繋がりを知っている人間なんて
八十島くらいしかないはずで、この反応は妥当なのだ
京太郎「これからの部活動のことで少し話があるみたいで……」
怜「えっ、須賀君麻雀部やったん?」
京太郎「? そうですけど……」
怜「えぇー……私、そんなん初めて聞いたわ……」
京太郎「そんなこと言ったら俺だって」
京太郎「園城寺さんが麻雀部だって聞いてなかったですよ」
怜「訊かれんかったしな」
しれっと言いやがったよ、この先輩
京太郎「それも一軍って……凄いじゃないですか」
怜「そーぉ?」
京太郎「ですです」
怜「面と向かって言われると照れるな……」
はにかみながら後頭部を掻く園城寺さんは
よくよく見ると部長と負けず劣らずの美少女だよな
部長の方が幼さを残した美人って感じならば
園城寺さんは差し詰め正統派美少女、というところか
一部分は部長の圧勝なんだけどっとくぁwせdrft
怜「須賀くーん? 何を考えてるんかなぁ」
京太郎「ずびばぜん……」
気付かぬうちに視線がそこに飛んでいたのか
園城寺さんから凸ピンを有り難く頂戴した
しかも当たり所が良かったのか結構ジンジン来る
助兵衛やなぁ、とニコニコ冗談めかして笑う様子に
怒ってはいないんだろうと安心する半面で
もしかしたら内心すら悟らせない
最強のポーカーフェイスだとしたら……?
麻雀という無表情が強みにもなる競技なら
あり得ないという可能性に戦慄しつつ
以前にも似たようなことがあったことに思い当り
どうしてこう、園城寺さんは的確に
俺の内心の声を読んでいるんだ?
と、浮かんできた疑問を吟味しようとして
怜「このまま立ち話もなんやし、取り敢えず上がり」
怜「お茶くらいなら出るで」
京太郎「園城寺さんが出すんじゃないんですね……」
怜「部費から出てるし、マネージャーもおるしなぁ」
京太郎「はぁ」
マネージャー。そういうのもいるのか
>>648
× あり得ないという可能性に戦慄しつつ
○ あり得なくもないという可能性に戦慄しつつ
怜「何なら今から自販機でも行く?」
京太郎「あ、いや、お構いなく。上がらせてもらいます」
怜「はいはーい」
園城寺さんに導かれるようにして後ろ手に扉を閉め
一軍の練習室へと足を踏み入れる
ネットリとして固体化したような空気に押し入っているような
実力者が発する空気というか、雰囲気が充満していて
外で感じた以上に息苦しい空間だった
知り合いが園城寺さんしかいない
完全アウェーだからってのもあるかもしれないが
対局の検討会でもやるのだろうか
テレビといくつかのソファと長机の置かれた
談話スペースのような場所に案内され、座るよう言付かる
一部活の部室にソファって何事だよ
おっかなびっくり座れば何の変哲もないソファなのだが
妙に座りごこちが良く感じるのは、アレか
一軍部室内の空気から一時的に遮断されて
精神が安定化しているとかそんな感じの
工藤「……どうぞ」
京太郎「あ、どうもご丁寧に。ありがとうございます」
座りながら和んでいたらホッカホカのお茶が出てきて
何気なく紙コップを手にしたら湯気の向こう側に
工藤と呼ばれていた先程の女生徒がいて
いっきに背筋が寒くなった
もしお茶を口に含めていたら間違いなく噴き出していただろう……
工藤「…………」
怜「お待たせー……って、どしたん?」
怜「なんか表情、強張ってない?」
京太郎「そ、ソンナコトハナイデスヨ?」
怜「ほーん?」
俺のすぐ隣に腰を下ろし、両手でコップを持ちながら
息を吹きかけお茶を冷ます様子の園城寺さんは
とても可愛らしく、飽きるまで眺めていたかったのだが
その更に向こう側で立ち尽くす工藤さんが
まるで俺を監視するように視線を差し向けているのが
何とも言えない恐ろしさを帯びていて
口に含んだお茶の味もよく分からなかった
しばし中断
気を付けてはいるんですが怜のキャラが変かもしれない
あと工藤さんの名前は、コンマ下二桁が90だったから
八十島と同じく便利な舞台装置レベルの認識でおkです
京太郎「高校生雀士四天王を連れてきたよ」
照「東の高校生雀士……」
竜華「西の高校生雀士や!」
由暉子「北の高校生雀士です」
小蒔「南の高校生雀士、です……?」
照「…………」ペタペタ
照「人選に悪意を感じる」
京太郎「胸囲の格差って奴ですね、ナハハ」
照「…………」
照「京ちゃん、最近本格的に麻雀を始めたらしいね」
京太郎「……はい?」
照「どれくらい強くなったか試してあげよう」ギュルギュル
京太郎「ちょ、え、まっ」
京太郎「コークスクリューは勘弁してくださぁああああ――」
カンッ
そういやあ北とか南にも高校生探偵いたよなぁ、と思いつつ
始めます
怜「そういや、須賀君」
京太郎「はい」
怜「竜華に呼ばれたって言ってたけど、どういうことなん?」
遂に来たか、その話題が
事前の心構えはしてあるし、方針も決まってるし
焦ることはないはずなのだが……
何でか焦るな
京太郎「この間の、と言っても俺が入学する前ですけど」
京太郎「春季大会で部長はまた、宮永照に負けたじゃないですか」
怜「……私らでも言い辛いことをハッキリと言うんやな」
京太郎「そうですか?」
このこと自体、俺は部長本人の口から聞いていたし
本人もかなり前向きな様子だったから
タブー視されるようなことじゃあないと思ってるんだが……
どれだけ緑色の水面を見詰める
園城寺さんの表情を窺っても、そこに答えはない
京太郎「……続けますけど、部長は今度こそ勝つつもりらしいです」
怜「…………」
京太郎「夏のインターハイで、宮永照に」
ピクリと、気だるそうな顔が
一瞬揺れ動いたような気がしたのだが
それも気のせいだったのではないのかと言うほど
先程と変わらない調子で園城寺さんは
怜「んで、それは知ってるけど」
怜「須賀君と何の関係があるん?」
ですよね。普通そう思いますよね
そしてその普通こそが、俺の求めていた状態なのに
どうして俺はそれを望んで壊すような真似をしてるんだろう
この先を言ってしまえば、目の前の彼女は
間違いなく俺に対する態度を変える
それは今までに出会ってきた多くの人間がそうだったから
興味、畏怖、憧れ、妬み、色々な感情を以て
俺の向こう側にあるものを見始めるのだ
俺は……それでいいのか?
自分が今まで望んできたものを捨てていいのか?
今この場で嘘を吐き誤魔化しを通すことを選択せず
真実を白日の下に晒して、いいのだろうか
俺は――
1.宮永照と知り合いなんですよ
2.少し説明が難しくて……後でもよければ
3.さて? 部長には部長の考えがあるんでしょう
4.俺だって知りませんよ、そんなこと
5.自由安価
安価↓2
自分に嘘を吐いていたとしても
対外的に嘘を吐くよりは遥かにマシだろう
それに、もしかしたら、だけど
全てを知った上で、自分を見失わないでくれる相手だって
出会うかもしれないのだから
それは過去に出会った人、これから出会う人
今こうして目の前で話している人かもしれない
その時がいつなのか分からない以上
無暗やたらと嘘は吐くもんじゃない……と、思う
ていうか今決めたよ。うん
今日からはもう少し正直者として生きて行こう
京太郎「少し説明が難しくて……後でもよければ」
怜「後って?」
京太郎「えっ? あ、えー……」
京太郎「後ってのは、その、部長が来てから、ていうか」
京太郎「それならもう部長が説明した方が早いんじゃ……?」
怜「なーにぶつくさゆぅてんねん」
呆れたような声をかけられハッと意識を戻す
面白そうなものを見る目の園城寺さんはお茶を口に含んで
怜「ま、なんか複雑な事情があるのは分かった」
怜「その辺、私も人のこと言えへんしな……」
京太郎「?」
怜「ああ、気にせんでええよ」
怜「多分、須賀君には関係ない話やから」
京太郎「そうですか……」
表情が物憂げに沈んだのも束の間
園城寺さんは病院で知り合った頃と同じように
俺に笑いかけて、それ以上は何も語ろうとしなかった
話すべきことは何もない、という意思表示なのか
それとも俺に話すようなことではないのか
……さして親しいってワケでもないし妥当だな
でも、何故だろう
ちょっと水臭いぜ、と思ってる自分がいるのも確かで
俺はそんなキザったい野郎にいつからなったんだ、と
内心でセルフツッコミしていた
怜「あ、工藤さんお茶おかわり貰える?」
工藤「はいっ」
京太郎「…………」
なんか、台無しだ……
京太郎「ところで訊きたかったんですけど」
怜「うん?」
京太郎「もしかしてここの麻雀部って」
京太郎「マネージャー専門の部員とかって、いるんですかね?」
体育会系の部活だと、グラウンドの整備だったり
用具や器具の管理なんかをやる人間がいて
レギュラーメンバーは練習に専念する
そんな感じのところだってあると噂に聞く
大所帯なら当然あるかもしれないし
ここも人数が多い分、そういう部員がいるかも
なんて思い付いて訊いてみたのだが
怜「なんや、そんなことか」
怜「そらおるで」
答えはイエス。それもあっさりと出てきた
京太郎「マジすか……スゲーな、オイ」
怜「そーぉ?」
京太郎「そうですよ。麻雀打たないで雑用に専念とか」
京太郎「俺だったら三日と耐えられませんよ! 死にます!」
怜「んー……そこは価値観の違いっちゅうか」
怜「ウチも名門言われるだけはあるからなぁ」
怜「どんな形でも所属してるだけでいいちゅのもおるんやで」
京太郎「……わっかんないです、その感覚」
怜「そか。でも、中にはおるんやで?」
怜「サポートに徹することで、レギュラーが活躍することに」
怜「自分のこと以上に喜ぶ人間ってのも」
京太郎「……そう、ですか」
怜「せやせや」
なんで貴女が得意げなんですかとか
ツッコミたいところはいくつかあったけれど
そうか、そうやって自分の居場所や立ち位置を
確保する人間だっているんだな
皆が皆、俺みたいに我武者羅に上を目指すって訳じゃあ
ないんだな……
竜華「戻ったでー」
一軍の練習室にお邪魔して20分くらい経った辺りだろうか
何やらプリントの束を抱えて部屋に入って来た部長は
室内にいた部員全員から挨拶を受けつつ
竜華「ん? うちにお客さん? 誰やろ……」
と、自分が呼び出したことも忘れたようなことを口にしつつ
プリントを手近な棚に置いてこちらに歩いてくる
そして俺の姿を認めると
竜華「なんだ、須賀君かぁ……って、怜ィ!?」
その隣で園城寺さんが一緒にお茶しているのを見るや
ギョッとした表情で急接近し
一歩踏み出せば衝突してしまいそうな距離で立ち止まった
その勢いに圧倒されつつ首を縮めて
無駄にでかい背丈をこれでもかとカモフラージュ
……できてないぜ! とかそういう野暮なツッコミはナシだ
精神的に安心できればそれでよいのですよ……
怜「おかえり、竜華。どやった? 合宿の件」
竜華「それはまた後で全員に話するから……やなくて」
竜華「怜、あんた一体何してんねん」
怜「? 別に後輩とお茶しとるだけやけど」
なー、と可愛らしく同意を求められ
事実無根というワケでもなくて否定するわけにもいかず
俺は壊れた人形のように首を縦に振る
怜「それに竜華のおらん間に来たお客さんやしなぁ」
怜「ぞんざいにはできひんわ」
竜華「うっ……。それは、有難う」
納得できてない風な部長を
のらりくらりと園城寺さんは畳みかけるのだが
竜華「――ていうか、須賀君。怜と知り合いやったん?」
京太郎「ぅえっ!?」
部長の標的が俺の方へと向いてしまい
まさかこっちに飛んでくるとは思わなかったので
変な声が出た
YABOYOができたんで今日はここまで。お疲れ様でした
うーん、いつになったら竜華と怜以外のメンツが出てくるんだ……?
これがマンガなら既に背景では出てるんですけどね
ちょっと訊きたいんですけれども
天照大神の四人の中だと誰が一番人気っぽいですかね?
一般的な話ではなくてこのスレ見てくれてる人の意見でいいですけど
あとやはり長野勢よりも全国編キャラの方が需要あるのかな……
ここは公平におもち比べをして勝った子で!
>>1のお気に入りでいいかと…
物語に出すんだったら京太郎と面識ある照が一番使いやすいんじゃない?
テッルだったら人気も申し分ないし
>>682
どの辺りが公平なんですかね……?
>>683
天照大神は甲乙つけがたいんですよね
強いて言えばころたんだと犯罪チックになるくらいで
>>684
明日は京太郎の誕生日
あとは……分かりますよね?
選べないならいっそコンマに委ねたら?
全員…(ボソッ
>>686
そう言えばその手がありましたね
>>688
ネタの数と時間的に全員は難しいので……(震え声)
よーしじゃあコンマに委ねちゃうぞ~
01~33 長野県内
34~98 全国津々浦々
ゾロ目 自由
安価↓
奇数 Aブロック
偶数 Bブロック
ゾロ目 自由
安価↓
Aブロック
阿知賀女子 01~25
白糸台高校 26~50
千里山女子 51~75
新道寺女子 76~98
ゾロ目 自由
安価↓
(コンマ取った意味とは一体……)
最初の方針から半分に絞れたことを喜ぶべきか悲しむべきなのか
奇数 宮永照
偶数 大星淡
安価↓
無事に決まったようなので取り掛かります
こことは個別にスレ建てるかも?
本編はもちっとしてからやります
確かに園城寺さんとは知り合いでしたけど
入院したときに偶さか同じ高校だからって知り合っただけで
まさか部活まで同じな先輩だったなんて
ついさっきまでは知りませんでしたよ――
というような主旨のことを
しどろもどろになりつつ取り急いで説明し
上手く伝わったかどうかは果てしなく不安だが
やや強硬気味だった部長を落ち着かせることには成功した
……なんで俺がそういうアフターケア的なことを
自分の手ずからやってるんですかね……?
竜華「入院してる時に偶然、か。なるほどなぁ」
京太郎「ホント、凄い偶然だと思いますけど」
いくらアレだけの規模の病院は
ここら一帯だと限られてくるとはいえ
ないわけではないし、接骨と入院するだけなら
小さい病院でもカバーできたりするしね
園城寺さんと同じ病院で、同じ時期に入院していたことは
出来過ぎてるくらいの偶然だ
怜「ちゅーわけで須賀君とは知り合いやったわけやね」
うんうんと頷く園城寺さんだが
説明責任を果たしていない貴女が
一仕事終えたみたいな空気を出してるのは
なんか納得いかない
怜「どちかというと竜華と知り合いな方が意外やったわ」
竜華「それは……」
怜「一年の新入部員に今のうちからツバつけとこって――」
竜華「なっ、何ゆうてんねん!?」
顔を真っ赤にして否定する部長と
部長の様子を楽しそうに笑う園城寺先輩を
交互に見比べて冷めつつある手元のコップを傾ける
唾をつける
確かにそういう側面がないこともないことはないが
残念なことに色っぽい意味はない。本当に残念だ
京太郎「……本題に入っても大丈夫ですか?」
このまま上級生二人の仲睦まじい様子を
眺めていてもよかったのだが
それ以上に逸る気持ちと、園城寺先輩の言葉を
否定する気持ちが入り混じって単刀直入に切り出す
竜華「あ……そう、やね」
竜華「やることはあるし、時間は有効活用せんとな」
しまった、という風に顔を歪めたのも一瞬で
直ぐに取り繕った表情で部長は
俺と園城寺先輩の対面に背筋を伸ばして座る
育ちの良さか、御両親の教育の賜物か
部長の姿勢は素人目に見ても綺麗だと分かるほど
ピンと伸びて洗練された空気を漂わせていた
その雰囲気にのまれるようにして俺も
この部屋に入って来る時の緊張感が思い起こされて
背筋を伸ばし姿勢を正し両手を握りしめて膝上に置く
これじゃあまるで卒業式にでも出席してるみたいじゃないか
この場における構図的には三者面談の方が近いが
部長が教師だとして、園城寺さんがどういうポジションなのか
明確には定義づけしがたいが
……清水谷先生、か。なんだ……こう、イイネ
眼鏡とかかけちゃってさ、そのズレを直すわけよ
クイッと! クイッと!
竜華「怜は練習に戻らんでええの?」
怜「構わんで。私ばっかり打っててもあれやし」
怜「さっきセーラとやったんでちょっと疲れてるしな」
竜華「……あんまり無茶するのは」
怜「分かってる」
部長の言葉を遮るようにして言い切った園城寺先輩は
怜「自分のことだから、よく分かってるつもりや」
テーブルの上に紙コップを置いてその縁をなぞる
まるで線引きをしているかのような動きに違和感を覚え
園城寺先輩の表情を横目で窺うも、俺の目には
先程と大きく変化があるようには見えなかった
だけど、違和感を感じたこと自体は間違いないはずで
それが気のせいとか杞憂ならいいんだけど
怜「それに、これは個人的なことなんやけど……」
そう言って目を伏せた園城寺先輩は勿体ぶるように溜める
一体彼女は何に興味があるんだ……?
疑問もさることながら、立ち込め始めたやや緊迫した空気に
俺と部長の視線が集まり、自分の生唾を呑む音が
やけに大きく聞こえ――園城寺さんが口を開いた
怜「竜華は、何をするつもりなんや?」
怜「言い方は悪くなるけど――」
怜「どこの誰かも分からん新入生を抱え込んで」
怜「どうするつもりなんや。それが知りたい」
竜華「…………」
京太郎「…………」
舞い降りる沈黙の帳は重苦しく
同じ部屋の中で麻雀を練習している人間がいることが
嘘のように静かに感じるほどに無言が漂う
もしかして練習してる奴らも息を潜めて
聞き耳を立ててるんじゃないか?
なんて邪推が浮かんでは来るけどもそれを確かめるすべはない
昨日は申し訳ない……本当に申し訳ない……
誕生日ネタ終わり次第こっちも進めたいです(希望的観測)
書いても書いても終わらぬぇ……って
また>>1の悪い癖が発病してるだけです
日付は跨ぐ。間違いない、レベルのペース
……大丈夫だろうか
酉を入力し忘れるってどういうことね……
最高の褒め言葉です
ようこそ、このクソッタレなスレへ
微修正したので>>701の続きから
京太郎「……本題に入っても大丈夫ですか?」
このまま上級生二人の仲睦まじい様子を
眺めていてもよかったのだが
それ以上に逸る気持ちと、園城寺先輩の言葉を
否定する気持ちが入り混じって単刀直入に切り出す
竜華「あ……そう、やね」
竜華「やることはあるし、時間は有効活用せんとな」
しまった、という風に顔を歪めたのも一瞬で
直ぐに取り繕った表情で部長は
俺と園城寺先輩の対面に背筋を伸ばして座る
育ちの良さか、御両親の教育の賜物か
部長の姿勢は素人目に見ても綺麗だと分かるほど
ピンと伸びて洗練された空気を漂わせていた
その雰囲気にのまれるようにして俺も
この部屋に入って来る時の緊張感が思い起こされて
背筋を伸ばし姿勢を正し両手を握りしめて膝上に置く
これじゃあまるで卒業式にでも出席してるみたいじゃないか
この場における構図的には三者面談の方が近いが
部長が教師だとして、園城寺さんがどういうポジションなのか
明確には定義づけしがたいが
……清水谷先生、か。なんだ……こう、イイネ
眼鏡とかかけちゃってさ、そのズレを直すわけよ
クイッと! クイッと!
竜華「怜は練習に戻らんでええの?」
怜「構わんで。私ばっかり打っててもあれやし」
怜「さっきセーラとやったんでちょっと疲れてるしな」
竜華「……あんまり無茶せんでな」
怜「分かってる。わーってるって」
部長の言葉を遮るようにして言い切った園城寺先輩は
怜「自分のことだから、よく分かってるつもりや」
テーブルの上に紙コップを置いてその縁をなぞる
まるで線引きをしているかのような動きに違和感を覚え
園城寺先輩の表情を横目で窺うも、俺の目には
先程と大きく変化があるようには見えなかった
だけど、違和感を感じたこと自体は間違いないはずで
それが気のせいとか杞憂ならいいんだけど
怜「それに、これは個人的な興味でもあるんやけど……」
そう言って目を伏せた園城寺先輩は勿体ぶるように溜める
一体彼女は何に興味があるんだ……?
疑問もさることながら、立ち込め始めたやや緊迫した空気に
俺と部長の視線が集まり、自分の生唾を呑む音が
やけに大きく聞こえ――園城寺さんが口を開いた
怜「竜華は、何をするつもりなんや?」
怜「言い方は悪くなるけど――」
怜「どこの誰かも分からん新入生を抱え込んで」
怜「どうするつもりなんや。それが知りたい」
竜華「…………」
京太郎「…………」
舞い降りる沈黙の帳は重苦しく
同じ部屋の中で麻雀を練習している人間がいることが
嘘のように静かに感じるほどに無言が漂う
もしかして練習してる奴らも息を潜めて
聞き耳を立ててるんじゃないか?
なんて邪推が浮かんでは来るけどもそれを確かめるすべはない
怜「…………」
それっきり口を閉ざした園城寺先輩の目線は
真っ直ぐに部長へと向けられていて
俺が何か口を挟めるような雰囲気ではなかった
至極当然の疑問と言われればそうだろう
部長がどの程度コンセンサスというか、根回しをしたのか
比較的仲がいいと思われる園城寺先輩相手にも
詳細はおろか朧げな輪郭すら伝えていなかったことから
推して知るべし、と言ったところだ
それに俺自身だってまだ
自分がこれからどうするのか、どうなるのか
全然見当がついていないんだ
それを知るという意味でもここは余計なことは言うまい
竜華「うちは……勝ちたいんや、宮永照に」
怜「そら竜華だけの気持ちやないと思うけど……」
怜「何をしてでもってのは、ナシやで」
声に若干の鋭さが帯びた――ような気がする
寝起きに冷水を一気飲みしたような感覚に
俺は自然と詰襟の首元を撫でつけていた
何をしてでも、あらゆる手を使ってでも……ね
俺を利用してどんな権謀術数を張り巡らせるというのか
スパイ活動とか色仕掛けが思い付いてしまうあたり
幼馴染の読書傾向に俺も毒されてしまってるんじゃ……
いやいや、そういうどーでもいいことは置いといてだな
少なくとも部長の考えていることは
真っ当な手段であるはずだ
その段階から疑われちゃあ話も進まないぞ
助け舟を出すべきかと
部長の方を窺ってみて、その必要はなさそうだった
竜華「勿論、後ろ指差されるようなことをするつもりはない」
竜華「そんなことしたら、負けを認めてるようなもんや」
力強く語るその姿に、ふっ、と見覚えのある影が重なった
いつの日にか見た情景。懐かしいのとは違う、フラッシュバック
どこかで見たはずなのに見覚えのないそれの正体を探ろうと
目を閉じて思い起こしてみれども、刹那の間にスルリと
記憶の影は脳裏から消え失せていた
今のは一体……何なのだろうか?
答えが出るはずはないと分かってはいても、せずにはいられない
そんな不可思議な現象。だけど――何故だろう
その僅かな間に結ばれた像を見て俺は、本当の意味で
清水谷竜華という女性を信じてもいいような
そんな、気分になってしまったのだ
怜「それじゃあ……?」
竜華「当然! 真っ向勝負に決まってる」
竜華「実力を上げて、相手を分析して」
竜華「真正面からぶつかって勝つんや。それしかない!」
園城寺先輩の声に、握り拳を作って高らかに宣言
京太郎「oh……」
なんて脳筋論理なんだ……
分析観察とか入ってる分まだクレバーだと信じたいけど
目の中を炎で燃え滾らせる部長は
普段のTHE・大和撫子といったお淑やかさはなく
年相応――よりも幼い?風に見えて
落差の激しさに忙しい人だなぁ、と思いつつも
全力全開で生きている人だと、改めて感じた
そういう人って素敵だよね。俺もそう在りたい
怜「……竜華の気持ちは分かったけど」
呆れたような、それでいて突き放したわけではない声音で
会話を継続させた園城寺先輩は、ちら、と俺を見てから
怜「未だにこの須賀君が竜華の話に」
怜「どう関係してるんか見えてこんのやけど……」
竜華「あ、うん。それはな、端的に言うと――」
??「彼が、対宮永照専用の秘密兵器ってワケですか」
京太郎「!?」
落ち着き払った声が突如として降って湧き降りる――
緊張とか諸々で余裕のあまりない俺はこれ以上に
登場人物が増えると頭がパンクしてどうにかなってしまうぞ
驚き半分、呆然が半分の内心で声のする方を見れば
こちらにつかつかと歩き寄るニューカマーは
一直線に切り揃えられた前髪と、カールした後ろ髪
標準的な眼鏡の奥に半目を光らせている
そのまま清水谷部長の横に立つと、眼鏡のツルを押さえつつ
??「おばちゃん……もとい監督から多少聞いた程度ですけど」
??「まさか、こんなチャラそうな男子やったとは……」
ジットリとした視線をこちらに向かって投げてきて
俺はその舐めるような視線に
面食らって開けていた大口をゆっくりと閉じた
チャラそうって、なんだ。チャラそうって
金髪は地毛なんだから仕方ないじゃないか……
それに真剣な話をしている場なのだし
軽薄そうな表情もしてない、と思うんだが
普段の俺なら多少なりとも
言い返さなければ気が済まないのだが
今この場でそういう行動に移るのは
色々とマズいだろうから自制して、堪える
竜華「こら、浩子」
竜華「いきなりそゆこと言うのは失礼やろ」
浩子「えろうすみません」
部長に窘められペコリと頭を下げた
浩子というらしい女生徒は、しかしして
浩子「けど清水谷部長? 感心しませんなぁ」
浩子「まだ監督にも詳しくは言ゆうてないのに」
浩子「当の本人をここまで上げる、なんてのは」
返す刀で鋭く指摘する眼鏡の女生徒の言葉には
貴女は騙されているのではないのか?
暗にそう言っているようなニュアンスを感じられて
そこはかとない仕方なさと諦めをを抱きつつも
どこか、釈然としない気持ち……
そりゃあぽっと出の俺なんかを
最初から信じろなんてのは無理難題だが
仮にも清水谷部長はあんたがたの信任した
この部の代表者なんじゃないのか?
ここであからさまに俺へ疑いの眼差しを向けるのは
彼女の事を信じられないと言っているようなもんだぞ
こっちに来てからずっと、こうも警戒されっぱなしだと
そろそろ限界だぜ。俺の自制心って奴も
竜華「監督にはこの後で話すつもりで呼んだんや」
竜華「口で説明するよりも見てもらった方が早いしな」
竜華「それに――須賀君は信じてもええと思ってる」
竜華「こう見えても真面目やし、しっかりしてるし」
もう少しで自ら声を上げるところだったが
その先を行くようにして反論していたのは、部長で
俺はソファから浮かびかけていた腰を再び下ろす
なんだか、無性に嬉しいかった
たかだか一回の対局を見ただけなのに
ここまで気にかけてもらえるってことが
誰かに信じてもらえているということが
どうしてか分からないけど、嬉しかったんだ
そしてなんと、声を上げたのは部長だけではなかったのだ
怜「……そのことに関してはウチも同意見や」
静かに切り出した園城寺先輩は
目を細めたまま紙コップの中身を啜り
ゆるゆるとした動作で紙コップを机に置くと
一同の顔を眺めるように視線を一周させる
怜「竜華を信用してるっていうか」
怜「須賀君との短いなりの付き合いから出した答えなんやけど」
竜華「とーきぃ……?」
怜「や、仕方ないやろ。竜華ってば」
怜「すーぐ通販番組に感化されて衝動買いするタイプやし」
竜華「えぇ!?」
京太郎「…………」
暇を持て余した主婦か何かか?
ちょっとミーハーな毛がある先輩が
金髪の優男を連れ込んで来たら疑いたくもなるってもんですよ
まともな感性の持ち主なら
しかし久々過ぎて感覚が分からない……
申し訳ないけれど今日はこんな所で
30日の2000頃から再開したいと思います
対局安価(久しぶり)があるので参加していただければ幸いです
ちと遅れたけど始めマスやで
果たして部長が感化されやすいタイプなのか
それとも平均的な大阪人がそういうものなのか
……果てしなくどうでもいい考察だな
どうでもいいと言えば、部長みたいな人が主婦
もとい奥さんとか凄い羨まけしからんと思いません?
一日の終わりに仕事から疲れて帰って来ると
玄関先で出迎えてくれるんですよ、エプロン姿で
それでテンプレを通り越して通過儀礼レベルに昇華された
例のあのセリフを繰り出してくるわけです
ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……
なんてね! なぁーんてね!!!
京太郎「…………」
浩子「……なんで急にニマニマと気持ち悪い笑み浮かべとるんです?」
怜「たまーに出る病気みたいなもんやから気にせんでもええで」
浩子「はぁ」
竜華「? 須賀君どっか悪いところでもあるん?」
浩子「そういう病気とは違うと思いますよ……」
竜華「???」
病気とは失礼な。平均的で健全な男子高校生だぞ
怜「まあ、そんなどうでもええことは置いといて」
どうでもよくないんですけど……という
抗議の声を上げる間もなく園城寺先輩は続ける
怜「本当に見た方が早いっちゅうんなら、見せてもらおか」
怜「フナQも、グダグダ言い合うよりそっちの方がええやろ?」
ふなきゅう?
浩子「園城寺先輩にまでそう言われてまうと」
浩子「言い出しっぺとしては断れなくなるやないですか」
全く馴染みのない呼称に耳を疑うたものの
部長には浩子、と呼ばれていた女生徒はしかし
何かのリアクションを取ることもなくすんなりと
ノータイムで園城寺先輩に受け応える
何さ何さ何なのさとは思うんだけど
下手に口出しして話の腰は折りたくないし
もしかすると、綽名みたいなもので
それに対して態々突っかかるのも野暮ったいというか
兎に角、気にはしつつも俺はだんまり
借りてきた猫の如く息を潜め静まり返る
浩子「部長の見込んだ腕、見せてもらいましょか」
眼鏡を反射光で光らせつつ
鼻息一つ、呆れたように言い放った女生徒の
どこか胡乱なものを見る目つきは変わらないものの
先輩(だと思うのだが)二人から異を唱えられてしまえば
強くは出られない、ということなのだろう
京太郎「じゃあ……」
竜華「そう、やね。須賀君さえよければやけど」
竜華「今から軽く打ってみようか」
京太郎「問題ないっす」
簡単に信用されようだなんて思っちゃいない
自分自身の行動でその証を立てることこそ一番だろう
そのチャンスが巡ってきたのなら、逃す理由はない
竜華「うん。それで、面子は――」
怜「あー……ウチはパス」
怜「宮永照への秘密兵器とか、そんなんとやった日には」
怜「疲労で死んでしまうかもしれへんわ……」
んな大げさな……
またまたこの人は何を言ってるんだ、と
半ば俺の内心とは裏腹に先輩方二人の表情は
園城寺先輩に同調するそれそのもので
いやいや、ちょっと待ってほしい
麻雀を打って疲れるのはいいとしよう。うん
長丁場になればそれだけ座ってる時間とか
集中しなければならない分、疲れもするだろう
だけど――その疲労で死に至るって
一体全体どういうことなのさ……
偶に入院する、みたいなことは言っていたけど
そんなレベルで園城寺先輩は病弱なのか?
でもなぁ。ホント麻雀打つだけで、だぜ
そのまんま永久にオネンネとか
どういう麻雀したらそうなるんだ
小一時間くらいみっちりと問い詰めたいわ
竜華「身体が資本やからね。怜の判断でいいと思うわ」
竜華「今日も結構練習してたみたいやし」
やっぱり――苦笑気味な俺とは対照的に
本気で身を案じているような部長の態度には
少しばかり違和感を覚える
勿論のこと、彼女たちの方が俺なんかより
ずっと付き合いが長いんだから
俺みたいなポッと出のヒヨッコには分からないことが
本人か、当人たちの間にはあるんだろうが……
浩子「園城寺先輩抜きとなると、誰を呼びます?」
竜華「うーん……セーラ、は、止めとこか」
竜華「セーブしてとか様子見とか」
竜華「そういうのとは全く正反対に位置する人間やし」
浩子「ですね。相手の出方を見るよりまず」
浩子「自分のペースに巻き込んでいくタイプですから」
竜華「と、なると……」
何やらゴニョゴニョと二人で相談していたのだが
話がまとまったのか、浩子と呼ばれていた彼女は
単身、談話スペースを離れていき、俺たちが残される
恐らくはこれから使うであろう卓の準備と
残りの一人を捕まえに行ったんだろうが
やべ、今更ながらに緊張してきた……!
胃がキュッと絞まる感覚というか、据わりの悪い感じだ
京太郎「あ、あのー……」
竜華「ん?」
京太郎「や、その、出来れば、ホントに出来ればでいいんですけど」
京太郎「手心とか、多少は加えてもらえると……」
こんな状態で名門中の名門、千里山の
それも主力格の選手を相手取らないといけないのか
などと考えたらいても立っても居られなくなって
すぐそばの部長にそんなことを口走っていた
言い訳染みてはいるが、こちとらまだまだ
中級者――もしくは初心者に毛が生えた程度の
ぺーぺーに等しいワケだぜ? この場合
圧倒的格上が寄ってたかって本気で来るとあっちゃあ
俺のフルボッコエンドは火を見るよりも明らか
でもそれだと、疑いをかけられている俺の
有用性を証明すること叶わず終わるんじゃ……
という危惧もあってのことだったんだ
しかしそんな俺の申し出が意外だったのか
部長は目を丸くして二、三回瞬きすると
竜華「そら多少は考えるけど、やるからには本気」
竜華「さ、行くで!」
途轍もなくいい笑顔で俺の背中を押して
雀卓の並んだ部屋の奥へと勇んで歩いて行った
途中、練習中であろう他の部員たちの
俺を見る目が完全に奇異なものや不審者を見るそれだったのが
精神に負ったダメージを加速させてしまったのは
言うまでもないだろう……
さて、対局である
入院などもあって実際に牌に触るのは久しぶりだが
ネト麻は定期的にやっていたし、問題はないはずだ
何かしら懸念材料があるとすれば――それは相手だろう
竜華「よろしくな」
浩子「よろしゅう」
一軍A「よろしく!」
京太郎「……よろしくお願いします」
最早慣れ親しんだ動作のひとつとして
自分の中に“鏡”をイメージして形作る
自身を映しだし、見るものを映し出し
その本質を暴く光を持った“鏡”
まずは見せてもらうとしようか
貴女達が一体どういう打ち手なのか――
>《照魔鏡・劣》発動!
清水谷竜華(デジタル)
《観理眼×精神加速》(専用技能)
自身よりも基本雀力が高い者が存在するとき
その人数×50を雀力と技量に+補正してもよい
船久保浩子(デジタル)
《デルタブレイン》(専用技能)
自身にかかる-補正を一つだけ無効化する(ランダム)
自身の技能による±補正効果を200%にする
京太郎「……ん?」
脳裏に映って見えたのは――
ハッキリ言ってしまえば少しボンヤリとした像で
これは“鏡”で見た相手には特別なものが
なかったということなのだが
これは……意外だな
頭数を合わせるために呼ばれた、名前も知らない
今日が初対面の一軍の人ならいざ知らず
関西でも随一と評される程の打ち手である部長に
その部長に対しても臆せず意見する船久保先輩
この二人が、ほとんど何も持たない
言ってしまえば真っ新な実力だけで
今の地位に就いていることが――少なからず驚きだった
そういう実力者というのは大抵の場合
ちょーっと不可思議なことをする人間のはずなんだ
宮永姉妹然り、プロ雀士然り
だけど、彼女たちはそうじゃない
摩訶不思議で人知の及ばないもの――
例えて言うなれば、武器を持った人間相手に
彼女たちは素手のまま、或は日常使うもので
互角にまで拮抗、いや関西圏だけで言うならば
凌駕してしまっているんだ……
その厳然たる事実に驚かされたことで
この対局も、その後にも、期待せざるを得なかった
練習試合
席順決め コンマの大きい順
竜華(360) 安価↓
浩子(340) 安価↓2
一軍A(300) 安価↓3
須賀京太郎の使用する技能/異能を選択してください
所持技能
ベタオリ…下一桁047以外で技量+100
拝み打ち…コンマ下一桁2468以外で技量+50
浮き打ち…コンマ下一桁1357以外で技量+50
所持異能
《世界ノ終焉ヲ照ラス焔》
卓上に存在するバフ系異能を半減する
自身にかかる-補正を反転。雀力÷6を+補正
技量÷6を技量補正値に+補正する
相手の使用する技能は>>177より1種類です
安価↓2(技能)
安価↓3(異能を使用するか否か) 無効ならさらに↓
浩子
《絞り打ち》使用→上家・下家の雀力-40
京太郎
《拝み打ち》使用→コンマ下一桁2468以外で技量+50
一軍A
《止めリー》使用→他家一人の雀力-50し自身の技量+50
竜華
《狙い撃ち》使用→コンマ下一桁257以外で成功。他家一人の雀力-100
止めリー対象(該当安価同時判定下二桁目)
1234 浩子
5678 竜華
90 京太郎
狙い撃ち対象(該当安価同時判定下二桁目)
1234 浩子
5678 一軍A
90 京太郎
浩子(340) 安価↓
京太郎(184) 安価↓2
一軍A(300) 安価↓3
ゾロ目ってどういう扱いだったっけ……と
遡ってみても何も言及していなかったので
このままゾロ目は特に何もなしということで行きます
現状のバランス自体は悪くない(はず)なので
浩子 340+42 382
京太郎 184+60-122 122
一軍A 300+66 366
>対局ボーナスを獲得しました(4位・小)
京太郎「おっ……おっ……ぅごご……」
浩子「お疲れ様」
一軍A「おっつかれー」
竜華「お疲れ様でした」
案の定というか、なんというか
とっても上手に焼けましたー!!!
見るも無残な焼死体が一丁出来上がりましたとさ
予定調和過ぎて苦笑すら浮かばねぇ
竜華「……その、うん。何かゴメン」
京太郎「謝らないでくださいよ……」
対局の内容自体はそこまで悪くなかったはずなんだ
配牌・自摸牌ともに良好で、出足もよかったのだが
それでもやはり彼我の差が生まれたのは
俺自身の持ちうる実力の足りなさに由来するものだろう
だから謝られるのは筋違いだと思うし
受け取るのも自分が情けなくって嫌だった
いいんだいいんだ
惨めに敗北を喫してもいいもん……
俺が「宮永照の打ち筋を再現できる」ことを
今回の対局で示すことそのものが
目的なんだからさ
京太郎「…………」
悔しいことには、変わりないけど
結果はどうだったんだろう?
悔しい気持ちとか、今すぐにでも走り出して
奇声を上げながら校舎を駆けずり回りたい衝動を
ぐっと堪えて席に座ったまま、上家に座っている
船久保先輩の表情を窺い、横目で対面の部長を見る
先程と表情はほぼ変わらないままに
右手を顎に当てて考え込んでいる姿を
部長と俺が挟み込むようにして見守っている様は
まず間違いなくシュールなこと請け合いで
一軍A「あ、あの、私もう……」
数合わせとはいえ参加してくれた
一軍の先輩の上げた声に
恐る恐るといった風な……まあ、何だね
俺たちを敬遠するようなアトモスフィアを
感じずにはいられなかったのだが
竜華「あ、そやった……ありがとね。忙しいとこ付き合ってもらって」
部長は格段そうでもないのか
それとも態度に表わしていないだけなのか
一軍の先輩に笑顔で応対する
一軍A「い、いえ! 部長のお役に立てたのなら光栄です」
先輩の方も慌てた風にそう返すと
一礼して席を発っていく
京太郎「…………」
お役に立てて光栄です、か
その言葉が本心かどうかは分からないけれど
どちらにしろ、そんなことを言われるだけの人望が
清水谷竜華という女性にはあるということだろう
それは、物凄いことだと思うんだが――
竜華「――――」
船久保先輩がこの対局を経てどう切り出してくるのか
期待と不安に満ち満ちて張り裂けそうな表情で
固唾を呑んでいる姿を見ていると、なんというかですね
俺の知っている部長と、部員の認識の中にある部長は
実は全くの別人なんじゃないかとも思ってしまうのであった
浩子 340+42 382
京太郎 184+60+31+70 345
一軍A 300+66 366
>対局ボーナスを獲得しました(3位・小)
こちらが正しい対局結果です。申し訳ありません
浩子「……正直、まだ何とも」
しばらくして船久保先輩が下した判断は
非常に曖昧模糊としていて
竜華「まだ……?」
その内容に困惑を隠せないままに部長は
先輩の言葉尻を捕えて、繰り返すように呟く
正直なところ――
ちょっとはこの展開は予想していただけに
大きな驚きというものはなかったが
不思議と、落胆するような気持ちになる自分がいて
目の前も少し光を落として暗くなったような
そんな気分になる
浩子「ええ。強いて言うなら心当たりはありますけど」
浩子「確信するには至らない、そういう感じですかね」
竜華「……なるほどなぁ」
京太郎「…………」
確信に至らない最大の原因は――俺自身だ
いくら他人の打ち筋を再現できるとは言えども
それを扱う人間の実力までもを真似られるわけじゃない
だから綻びが生じる。再現されたものが歪んで
俺の実力相応分の機能しか卓上に働きかけられなかった
それに部長を下して三位という結果も
俺の実力を引き立てようと助けてもらったが故で
強くなりたい
今までよりもずっと強く、そう思わずにはいられない
俺がもっと強ければこんなややこしいことにだってならず
もっとスムーズに話が進んでいたはずなんだよ
胸を張って、俺は更に強くなりたいんだと言えたはずなんだ
竜華「……ぁ」
何よりも、この人に少なからず迷惑をかけてしまっている
そのことが悔しくて堪らなかった
今日はここまで……そこまで進んでないですね、ハイ
一応時間が取れるようにはなったので
可能な限り毎日やるとは思います。お疲れ様でした
人類基盤史研究所(通称・BOARD)の新人所員である京太郎とその先輩のハギヨシは
古代から蘇った不死身の殺戮生命体“アンデッド”を封印するため
BOARDが開発した特殊兵器“ライダーシステム”を用い『仮面ライダー』として日夜戦っていた
そして今日も新たに出現したバットアンデッドと戦う二人
戦闘経験の浅い京太郎は苦戦を強いられるが、ベテランであるハギヨシの活躍により封印に成功する
「やっぱり一流だよなぁハギヨシさんは、俺はまだ足元にも及ばないよ…」
強く頼もしい先輩を京太郎は尊敬し、信頼しているのであった
その夜、剣崎に同僚の杉野歩からBOARDがアンデッドに襲撃されているという連絡が入る
彼はBOARDへ急ぐが時すでに遅く、施設は破壊され、所員はほとんど殺された後だった……
彼はかろうじて生き残っていた杉野を発見する
「以前から所長と確執のあった橘がアンデッドを操りBOARDを攻撃させたのかもしれない」
共に戦っていた仲間であるハギヨシを信頼していた京太郎は杉野の言葉が信じられず苦悩する
そんな彼の前にBOARDを襲撃していたローカストアンデッドが現れ、京太郎は怒りに任せてブレイドに変身
ローカストアンデッドに挑むが、敵は強く防戦一方に
そんな光景を影から見つめる者がいた……。ギャレン=ハギヨシだ
「ハギヨシさん!」
「何故見てるんです!?」
「オンドゥルルラギッタンディスカー!?」
京太郎は戦いながらそう問い掛けるがギャレンは何も答えず姿を消してしまう
「そんな…何故だぁ――っ!」
京太郎は静かに去って行くギャレンに激昂する
しかし今彼に出来る事は目の前の敵と戦い、封印する事だけであった……
◇ 運命の切り札をつかみ取れ! ◇
仮面ライダー剣
2050年 春 COMING SOON…
情けないハギヨシさんとか……見てみたい。見たくない?
因みに一番好きなライダーはWです
>>1のコピペ改変能力と言語認識力が
ライダーシステムのせいでボドボドなだけであってケンジャキは無関係
四月馬鹿の嘘予告だし多少の粗があっても許してください
竜華「で、でも何か気になるとこはあったんやろ?」
浩子「それは……そう、ですね」
食い下がり気味の部長に面食らったように
船久保先輩は答え、眼鏡のズレを直す
浩子「対局前の部長の言葉と合わせるならば、ですが」
浩子「そこの彼が一体何をしたのか? ちゅうことにも」
浩子「ある程度の確信を持って答えは出せます」
竜華「だったら――」
浩子「だけど、それは完璧やありませんし」
浩子「半荘一回の結果で判断を下せるもんでもないですよ」
ぴしゃりと言い放ち、先程の対局の牌譜を受け取り
グラス越しにそれをじっくりと吟味するように眺める
浩子「麻雀は運の要素を抜きにして語ることはできひんもんです」
浩子「たかが半荘一回程度であればプロが素人に大負けし」
浩子「出現率の低い役が連発されることもしばしばあります」
竜華「それは、そうやけど……」
京太郎「…………」
正論に次ぐ正論
ぐうの音も出ないどころか、俺は部長に対して
もう無理に食い下がってくれなくてもいいと
言いたいくらいにその事実を噛みしめていた
これ以上、貴女が無理をしなくたっていいんだ
こうなってしまった原因は俺にある
与えられたチャンスを生かしきれなかった俺に……
浩子「そんな中で、彼が『なにをしたか?』』なんて結論を出しても」
浩子「不確定要素ばかりが先行して」
浩子「信頼性に欠ける答えになると、私は思います」
浩子「……まあ、最終的に決めるのは部長ですし」
浩子「監督も、皆も特に反対はせえへんでしょう」
部長が誰よりもこの部のことを考え
白糸台への雪辱を果たしたいと願っている
そのことをよく知っているから――
そういう趣旨を言外に仄めかす船久保先輩に
部長はただただ無言のまま、俯く
京太郎「…………」
彼女がどう選択するのか、か
具体的に言えば、俺をこのまま放り出すのか
それとも当初の予定通りに囲い込むのか、ということ
どちらにせよ目立った反発はないだろうと言われても
やはり今の中途半端な実力の俺を受け入れるのには
相応のリスクを覚悟しなければならないだろう
そのリスクを避けるために、対局をして
俺がここにいるのに相応しい人間だと証明するつもりだった
第一歩として彼女を納得させて、部内に食い込んでいく
だけどそれは上手くはいかず、こうして立往生
部長は難しい判断を迫られ、今も無言で考え込んでいる
一体どういう判断を下すのか、何を考えているのか
本人ならぬ俺には分からないが
もし、部長が俺を引き入れる判断を下したのならば
そのことで、彼女を傷付けてしまうかもしれない
謂れのない中傷や出鱈目な風評に追い詰められて
取り返しのつかないところまで行ってしまう……
それだけは避けたかった
麻雀で強くなって自分の身を立てる、なんて
自分勝手な都合で、欲望で、誰かを傷付けてまで
俺は何かを手に入れたいわけじゃない
だけど、何も手に入れられないままこの場を去るなんて
そんなことだって、出来るわけはなくて、俺は――
1.潔く退く
2.退かぬ媚びぬ
3.妥協点を探す
4.自由安価
申し訳ない寝落ちってました
安価は再開前にまた取ります……
それじゃあのんびり始めます…
1.潔く退く
2.退かぬ媚びぬ
3.妥協点を探す
4.自由安価
安価↓2
弱気になるべきじゃない
というか俺がここでヘタレてどうするんだ!
そうそう何度も絶好の機会を逃すなんて
自分が何をしたいのかすら、見失ってるんだ
だけど、今の俺はそうじゃない
自分がどう在りたいのか、どう為りたいのか
明確なビジョンがあるとは言い難いけれど
方向性はしっかりと持てているはず
ならそこに向かうために俺は何をすればいい?
考えろ、考えるんだ――
竜華「…………」
清水谷竜華という人は、とても優しい人だ
ほんのちょっと面識がある程度の俺が
ドジやらかして事故に遭った事の責任を
一人で勝手に感じて、こっちの知らない間に
背負い込もうとしたりしてさ
今もこうして俺の為に働きかけてくれている
全然長くもなんともない付き合いだけど
彼女がそういう人間であるってことくらいは
俺にも十分に理解できたんだ
だからもし――ここで俺が自ら退けば
この場は上手く治まって、何事もなく一軍は
今までと同じように活動を再開させるだろう
決まりきった練習内容と目標を掲げて
愚直なまでにひたすら邁進することだけを考え
でも、それは麻雀部全体の話であって
部長自身はどうなるんだ?
俺が退けば、優しい彼女はそのことを気に病むだろう
どうして力になってあげられなかったのか、と
もっと自分が努力していれば結果は違った、と
自分を追い込んで責めてしまう――と、思う
たぶん
だから、というわけじゃないけど
ここで俺は退くべきではないんだ
あくまでも自分の目的のために
部長を気遣って、なんてのは二の次で
だって部長が気に病まないために、なんて
どう考えたってお仕着せがましい善意だろう
そんなことしたって誰も喜ばないのは間違いない
この選択は結局、エゴを通すことになる
部長の名誉を犠牲にしてでも
ベストな解答じゃないことも分かってる
妥協すれば皆が納得できる道を探すことだってできた
だけど、それでも!
ひたすらに、がむしゃらに、実現したい夢がある!
ここじゃない、もっとずっと先にある景色を見るんだ!
京太郎「――後悔はさせません」
京太郎「よかった、と。思わせてみせますよ」
挑発的に言ってのけたのは誰に向かってなのか
自分でもよく分からず、部長と船久保先輩の
両方の顔をじっくりと行き来して、俺は大きく息を吸った
口角を上げろ! 想像できる限り不敵に笑え!
語彙を動員しろ! 自身を振り絞れ!
今の俺じゃない、もっと先にあるものを見せろ!
京太郎「こけおどしのハッタリでもなんでもなく」
京太郎「あの時、受け入れる決断をして正解だった」
京太郎「間違いなくそう思わせることを、約束します」
間違いない、俺は今人生最大の大言壮語を吐いている
どこまでやれるかなんて
そんなことは俺自身にも分からないのに
輝かしい理想論をのたまってさ
自覚からくる気恥ずかしさを勢いで上塗り
ここで冷静になるんじゃあない、俺よ
普段のテンションならこんなこと
天地がひっくり返るくらいしないと言わないんだ
だったらとっとと言うだけ言うのみよ
京太郎「保障がないと言うならば、全身全霊で!」
京太郎「足りないと言うなれば、決死の覚悟で!」
京太郎「恥辱に塗れ罵られようと――」
京太郎「誰よりも貢献してみせましょうとも!」
立ち上がり、拳を握りしめて行った宣言に
シ―――ンっと、周りが静まり返ったような気がした
そこまで大きい声であーだこーだ言ってたわけでもなし
完全無欠なまでに気のせいだよ、絶対
静寂に包まれた中、仁王立ちする俺と
それを見守る先輩二人
周囲のギャラリーも注視しているとするなら
もっと沢山の先輩に見守られてることになるのだが
そんなことはどうだっていいんだ
さっきも言った通り、少しくらい恥をかいてもいい
惨めな姿を晒し、泥の中這いずり回ってでも
捨てられないものを天秤に懸けたのだから
それから、それから
たっぷり一分くらいそうして突っ立っていたのだが
そろそろ唖然とした表情の部長を眺めるのにも飽きてきて
いい加減、俺の発言に対して何かしらのリアクションを
してもらえると有り難いなー、などと
考え始めた頃になってようやく――
浩子「っ……くくっ……ぷふふ……」
漏れ聞こえたのは小さな笑い声
京太郎「…………」
何故笑ってるんです!?
と、勢いよく問い質したい気分だったがやめておく
彼女のリアクションが笑うだけで終わるわけはないと
不思議とそういう風に感じていたから
浩子「んふふ……面白いやっちゃなぁ、君」
ひとしきり笑うのを見届けると
船久保先輩は俺へ真っ直ぐに向き直り
開口一番にそう放り込んできた
心なしか最初の時と比べて
俺を見る目の色が変わっているような……
うん、まあ希望的観測だということは認めよう
しかし、全く印象に変化がなかったかといえば
そうではないらしく、笑みを湛えたまま彼女は
浩子「えーっと、須賀君? やっけ?」
京太郎「……そうですけど」
浩子「そこまでいってのけるってのは、エライことやで」
雀卓に軽く身を乗り出してそう続けた
京太郎「それは、どういう――」
浩子「言わんでも分かるとは思うけど」
浩子「ここは名門中の名門、千里山高校麻雀部やで?」
浩子「君みたいな、どこの誰かも分からない」
浩子「実績も実力もない部員なんて掃いて捨てるほどおる」
京太郎「…………」
実際、これまで実力は多少ある方だと
自負していただけにここ数日の敗北は
身に染みて力のなさを実感させられはした
俺程度の実力者なんていくらでもいることだって
言われなくとも分かっているさ
浩子「そんな中で、君はオンリーワンな人材になると」
浩子「部長の前で宣言してみせたわけや」
船久保先輩につられて俺も部長の方を見る
竜華「……ふぇ? え、うち?」
なんだか自分が話題の俎上に上った理由が
よく分かってないように見受けられる部長は
自分の鼻の辺りに人差し指を向けて
ひたすらわちゃわちゃしていた。可愛い
目を細め、鼻息一つ吐き出して
再び俺と向き合った船久保先輩は
浩子「それがどれだけ大変なものか――分かった上での覚悟なら」
浩子「私に部長を、何より君を止める理由はありまへん」
落ち着き払った声音で言い切った
こちらの目を見て、真剣な眼差しを送り
言葉と態度、両面からの問いかけに、俺は
握り拳を解いて、今一度、握り直す
京太郎「覚悟なんてとっくにできてますよ」
部長から共に強くなろうと申し出られた
あの日に決めてから、これまでずっと、ね
静かに対峙する俺と船久保先輩を纏う空気から
ビリビリとした刺々しい感じが消えて
ごくごく一般的な文科系部室の雰囲気が戻ってくる
同時に、俺の中でピンと張りつめていた
緊張の糸も弛緩して、落ちるようにして椅子に座る
やった、のか
不思議と達成感とは違う充足感で一杯なことに困惑しつつ
今度こそチャンスを取りこぼさずにものにできたんだ、と
ようやく頭が回ってきて実感がモワモワと湧き上がって――
竜華「それじゃあ……!」
浩子「ええ。監督にも私から言っておきますわ」
浩子「部長が見つけてきた新入生、見所ありますって」
竜華「っ! やったで、須賀君!」
京太郎「ぉぷ」
感極まった、というと少し大袈裟かもしれないが
少なくとも喜色ばんだ声音で部長は俺の名前を呼ぶと
横から勢いよくタックル――ではなく、抱き付かれた
いつの間に対面から移動していたんだ、とか
あんまり密着されると部長のやわこい身体に
俺の理性がオーバードライブしそう、とか
色々言いたいのは山々なんですけれど! ですけど!
ああ、ダメだ。なんて甘美な感触なんだ……
表情がっ……! 蕩けるっ……! 圧倒的っ……!
浩子「ま、私としても興味深いデータが」
浩子「取れるに越したことはありまへんし」
ジットリとした視線を投げかけつつ
そんなことをさらりと言ってのける先輩に
どことなく危機感を覚えた俺は
名残惜しさに血涙が流れ出そうになりながらも
気力を総動員して部長を引き剥がすことにした
京太郎「ぁ、あのですね……部長、その、身体が」
竜華「……へ?」
一連のものは咄嗟の行動だったのだろう
俺がやんわりと指摘すれば、キョトンと
自分のつま先から首元までしっかりとご覧になって
顔を真っ赤にすると勢いよく――それこそ
抱き付いて来た時と同じくらいで
俺から三歩くらい飛び退って椅子の影に隠れた
そして船久保先輩の下世話な視線にハッとするや否や
竜華「こ、これはっ、その、違くて……!」
浩子「別になーんにも言ってませんやん」
竜華「うぅ~……」
身振り手振りでしどろもどろに否定語を並べるのだが
船久保先輩に簡単に言い負かされると部長は
背凭れの頂点を両手で掴んで顔を俺たちから隠すのだが
艶やかな黒髪の頭頂部は丸見えだった。可愛い
浩子「面白いもんも見れたことですし、この辺で退散しますか」
浩子「あとの事は部長にお任せしますわ」
笑みを含みながらそう言って席を発つ船久保先輩に
居ても立ってもらいられない気分で、頭を下げた
無茶苦茶なことを言ったもんだと自覚はある
その上で、一旦は俺を信用すると表明してくれたことは
感謝しても、しきれそうにもなくて
こうしてただ黙って頭を下げることくらいしか
俺には何も示すことが出来ない……いや、違うな
大言壮語を、有言実行に変えてみせる
それこそが俺にできるたった一つの事なのかもしれない
君の決意の言葉、本当は誰に向けられたものなのかな?
去り際に聞こえた船久保先輩の声に
振り返って答えを求めれども、素知らぬ風で
ゆったりと歩く背中を暫く見送っていた
今日はここまで
ようやく一区切り。何だか感慨深い
(他ヒロインも)まだチャンスある……と、思います
明日はちょっとYABOYOあるのでお休みします
続きはまた明後日からとなります。ご容赦ください
竜華「今日のうちに話しておきたいこと」
竜華「決めておきたいことはまだあるし」
竜華「もう少し付き合ってくれへんかな?」
大過なく……というには色々あったが
対局前と同じように談話スペースに戻った
部長は開口一番にそう言った
だら~、と脱力し弛緩してソファに座る
園城寺先輩を特に気にする風でもない
真剣な面差しに俺は無言のまま頷く
正直なところ、船久保先輩に認められたからといって
それで何もかもが解決したわけでもないし
俺がこれから何をすべきかも定まっちゃいない
竜華「ん。じゃあ、まず今後のことなんやけど」
竜華「須賀君は……えっと、今は四軍か」
どこからともなく取り出した
プリントの束を捲り確認を取る部長
恐らくは部員名簿なのだろうが
所属人数が三桁を数える巨大部活動ともあれば
探すのにもちょっとした手間だろうな
京太郎「そう、ですね」
竜華「それなんやけど、来週頭、月曜からは」
竜華「ここで一、二軍の練習に参加して貰うようになるから」
京太郎「一、二軍……ですか?」
竜華「そそ」
部室自体は一軍専用のものだったはずだが……
確かに今この部屋にいる人数が多いとは思ったが
一軍のみならず、二軍の生徒までいたのか
室内をぐるっと見渡した俺の動向を見てか
それとも納得のいかない表情でもしていたのか
部長は何かに気付いたように声を上げると
竜華「普段は別々に、なんやけどな」
竜華「卒業生や新入生、メンバーの入れ替わりもあったし」
竜華「夏のインハイ予選がもう二ヶ月後に迫ってるしで」
竜華「そのメンバー選出も含めてるってこと」
京太郎「なるほど……」
夏のインターハイは麻雀を志す高校生にとって
憧れの大舞台といっても過言ではない
それも長い期間連続で出場を決めている千里山では
インハイ出場レギュラーに選ばれることは
尚更に格別価値のあるなことに違いない
誰にでも、というワケではないが
一軍、二軍といった
麻雀に対して努力してきたものに対して
平等にチャンスを与えようという考え方は
素直に好感が持てた
京太郎「でも、それでメンバーを選んだとして」
京太郎「春季大会の時と大きく変わったりするんですかね?」
たとえチャンスを与えられたところで
経験で培われる実力の生み出す差が
どうこうできるとは考え難いのも念頭にあって
そのことを俺は素直に口に出していた
竜華「……ふふっ」
対する部長は、楽しそうに笑う
竜華「それが案外、蓋を開けてみるまで分からんもんやで」
竜華「名門でここまで登り詰めたってだけで違うもんや」
竜華「みんなずっと先、インハイっちゅう高いところにある」
竜華「景色を見たくて必死になってるんや」
そういう意味では、須賀君とやね――
締めくくりに部長の言った言葉が脳ミソで反響して
ぐわんぐわん、と意識が揺さぶられたような気になり
麻雀部の部室でソファに腰かけているという意識が
どこでもない空間を当てもなく彷徨っているような
そんな、感覚になって、視線が下がった
俺と同じ。言われたことの意味を反芻して
下がった視線の先にある紙コップを見れども
そこに何があるというワケでもなく
言葉に詰まった俺は頬を掻くと顔を上げた
自分と同じ人間がこんなにも沢山いる――
それは、頭の中では分かっていたけれど
事実として突き付けられるのは初めてのことで
俺は――決して一人じゃないんだと
見知らぬ土地で、誰も知る人間のいない場所で
実感させられたことがとても不思議で
どこか、呆気なかった
なんかよく分からないんですけど、日曜起きたら体が動かなくて
無理矢理起きてみたら左肩が上がらないんですよ
んで、腕を動かすのも激しい痛みを伴ってもうワケ分からんちん
昨日は大人しく寝込んでたら今日はマシになったかな……という感じ
数日中に病院逝きたいですね……(´・ω・`)
竜華「ま、そのことはまたおいおい話すとして」
竜華「須賀君にとって重要なのは、次の話かな」
京太郎「…………」
竜華「来週末になるんやけど、特待生と一部の部員で」
竜華「強化合宿みたいなのをやる予定になってて」
京太郎「合宿、ですか」
俺の言葉に頷いて魅せる部長に、旅館で泊まり
浴衣で雀卓を囲み麻雀に明け暮れる光景が想起され
いやいや、これただの旅行じゃねーか
などとセルフツッコミするまでを約二秒間で完結させる
普通に考えれば合宿という名前のついている通り
実力を底上げするため練習に集中できる環境へ
何日か移動しよう、という催しなのだろうが
……まさか、そこに俺も参加するっていうアレじゃ
竜華「須賀君にはそれにも参加してもらうかなーって」
ですよね
実力が足りてないことはよくよく分かっているし
合宿に参加すること自体は吝かでもないのだが
問題となるのは、特待生+一部の生徒が参加するという
要するに狭き門をくぐってきた感じのメンツに
一般入学の俺が囲まれる、なんてとこに飛び込むことでして
強い相手と闘える興味や興奮もあるが
それ以上に、ここ数日間でボコられてしまったのが
堪えるものがある、というのか、なんだろう……
そう! そうだ!
こう、リベンジしたいのは山々なんだけど
リベンジする相手を前にして特訓するのは
全然王道じゃないっていうか、イカデビルっていうか
特訓てのは誰にも知られず秘密裏にするからこそ
燃える展開になるんじゃないんですか!?
……何を言っているんだ俺は
内心、忸怩たる思いがないわけではないけれど
提案としてはこれ以上ないほどの話ではあるし
素直に受けた方がいいのは明らかだ
利用できるものは……利用した方がいいし
京太郎「来週末、ですよね?」
竜華「うん。振り替えも含めたら十連休の頭にやることになるな」
京太郎「はえぇ……」
そういやあ千里山はゴールデンウィーク中に
飛び石で登校するよりも、纏めて休みを取るんだったな
その分、休日に登校したりすることは後々あるが
連休自体の日数が伸びるのは喜ばしいことだ
それを謳歌できるかどうかは、また別としてね……
竜華「覚悟しときー? みっちり扱いたるからな」
京太郎「……え゛っ」
ど、どういうことナンデスカネシミズダニサン
竜華「? 言葉の通りやけど……」
京太郎「…………」
特待生と、一部の部員
うん
その一部に部長が含まれてるのはおかしくない
おかしくはないんだけどさ、おかしくないんだけどさ!!!
鏡を見ずとも難しい表情になっているのが分かる俺とは
対照的なニコヤカさを振りまいて部長は
竜華「須賀君には早いとこ実力付けてもらわんと」
竜華「夏の本番に間に合わんくなってまうからな」
竜華「最低でもインハイに出られるくらいには鍛えたるから」
竜華「頑張ろー! おぉー!」
怜「おー」
京太郎「……ハイ、ガンバリマス」
片手を振り上げ、よく分かってなさそうな顔で
追随して声を上げる園城寺先輩を見ていると
さっきまでピンと張り詰めていた力と緊張感が
一気に流れ出て行ったような気分だ……
そしてこの後、名門の一軍による洗礼という名の
可愛がりというか、扱きをみっちりと受けた俺は
夕方、家に帰るなりベッドに身体を投げ出して
次の日の朝まで眠り続けることになったのだった
安価↓コンマ下二桁×0.5全ステ上昇
4月第4週平日 朝 好調 \5000
なんと今月は第5週まであるんだぜ
1ヶ月が大体4週間なのを考えたら
最大で7日間も増えることになるんだぞ
1ヶ月と1週間のパワーが合わさり10倍だ! 10倍だぞ!
とまあ、どこかのレスラーのような冗談は置いといて
35日で月がサイクルするようになったら
全国の働いてるお父さんお母さんが真っ青になるから
足元にある地球様には頑張って
このままの公転速度を維持してもらいたい
遭遇判定
0 スルー
4 バッド
7 9 人
ゾロ目=7 44=4
安価↓
電車に揺られ商店の並んだ通りを歩いて学校に着く
特に知った誰と会うこともなかったから歩みはスムーズで
寂しいと言えば、そうだけれども
春の空気感みたいなものを味わえたので良しとするか
>時間が経過します
4月第4週平日 昼 好調 \5000
八十島「おいおいおいおいおい!」
京太郎「おわっ」
昼休憩に入るなり詰め寄って来た八十島は
八十島「一体どんな手を使ったんだ、えぇ?」
八十島「四軍でひっそりしていたお前が一軍に大抜擢!」
八十島「しかも船久保先輩の前でメンチ切ったとかなんとか」
八十島「あっちこっちで噂されてるぞ!」
人差し指を俺の鼻先にビシッと突き付け
一息にまくし立てる
その勢いに気圧され仰け反らせていた背中を
幾分か戻し、ぐるっと周囲を見遣る
すわ何事かとこちらを注視していたのだろう
何人かのクラスメイトと目が逢ったが
何れからも視線を逸らされてしまい
朝から妙に好奇な視線に包まれていた理由は
それだったのかと、一人得心しつつ
京太郎「別にタネも仕掛けもねーよ」
京太郎「ちょっと思った以上に上手くいっただけさ」
八十島「……何を言ってるのか全然分からんぞ」
京太郎「あー……兎に角だな」
京太郎「疚しいこととか、後ろ暗いことは」
京太郎「これっぽっちもねーよ」
どんな噂を流されているのか知らないが
これだけはハッキリと言えることだ
俺も、俺を持ち上げた人間――部長にも
他人から手痛く糾弾されるようなことは
全くもって、一切合財無いのだ
加えて
京太郎「みょうちきりんな噂が本当だとしても」
京太郎「俺が何かしたってんなら、監督が黙ってないでしょ」
まだ一対一で話したことがあるわけではないから
どういう人柄なのか分からないけれども
仮にも教師なのだし、その辺りは厳しいに違いない
部長も話は通した、的なことを言っていたのなら
何か問題があるわけでもないだろう
八十島「それは、そうかもしれんが」
どこか納得がいかない、という表情
何が引っ掛かっているのか俺には分からないが
京太郎「堂々としてれば問題ないだろ」
京太郎「人の噂も七十五日というし、そのうち立ち消えるって」
八十島「…………」
名門校では、在籍する人間が性質的に
大人しい、品行方正である、ということが多く
この手のスキャンダラスな話題には敏感だ
という話も聞いたことがある
刺激に飢えているということだろう
退屈な日常と鬱屈した感情を晴らしてくれるのならば
それが偽りであっても貴重なのさ
八十島「そんな楽観的でいいのか……?」
そういうことを言うの止めなさいよ
怖くなってくるでしょ
1.教室 (学力(大))
2.食堂 (異能(大)・特殊判定甲)
3.購買 (雀力(大)・特殊判定甲)
4.屋上 (体調向上)
5.中庭 (体調向上)
6.図書室 (学力(大)・特殊判定甲)
7.トイレ (特殊判定乙・行動回数を消費しません)
安価↓2 (無効の場合さらに安価↓・特殊判定甲は同レスコンマ047で体調向上)
京太郎「…………」
やたら広くてきれいなトイレだよな、ここ
特殊判定乙
ゾロ目 or 7 絶好調
安価↓
1.教室 (学力(大))
2.食堂 (異能(大)・特殊判定甲)
3.購買 (雀力(大)・特殊判定甲)
4.屋上 (体調向上)
5.中庭 (体調向上)
6.図書室 (学力(大)・特殊判定甲)
安価↓2 (無効の場合さらに安価↓・特殊判定甲は同レスコンマ047で体調向上)
弁当を家で作って持参し、昼時に食べる
などという殊勝な行為からは遠くかけ離れた位置にいる
一人暮らしの男子高校生なのでして俺は
即ち、昼休憩に飯を食おうとすれば必然的に
事前に買っておくなり食堂に行くなりしなければならない
駅に丁度コンビにあるしそこで買ってもいいのだが
食堂や購買に比べると割高だしで
財布の紐もキツく絞まるというもの
中学の頃からの経験則として
早目に行かないと品を選ぶ余裕がなくなってしまうが
今日は八十島に絡まれていたせいで
完全に出遅れて、菓子パンくらいしか買えなかった
おのれ八十島レフ
>時間が経過します
今日はここまで
噂の正体を探ってみるのもまた一興かもしれません
病院にはちゃんと行き、ちょっと安静にしてました
御心配おかけして申し訳ありませんでした……
おはよう!(錯乱)
今日はやります
判定
0 強くない
2 それなりに強い
4 めっちゃ強い
7 9 泉ァ!
ゾロ目=自由選択 ただし44は4
安価↓
PCの方でトラブってて再起かけたりしてました。申し訳ない
4月第4週平日 夕方 好調 \5000
今日から心機一転、通い慣れた四軍の部室ではなく
真っ直ぐに一軍の部室へと俺は向かっていた
途中まで一緒だった八十島には
別れ際にまた色々と言われたが
そこまで気にしてても仕方ないし
テキトーに流しておいた
京太郎「こんちわーっす……」
そしておっかなびっくり部室のドアを開ける俺
だって仕方ないじゃないか
ただの扉の癖して猛烈な威圧感を放ってるんだもん
後ろ暗いところはないんだし
もっと堂々としろ、と言われても
こればっかりは一朝一夕にとはいかないだろう
部室にはまだあまり部員はおらず
(といっても10人くらい?はいるけど)
ドアの方に顔を向けたのも数人で
その殆どが俺だと確認するなり
興味を失ったように自分の作業に戻っていく
むむむ
人数の多い部活とはいっても
放課後になったばっかりならこんなものか
部室に入っていった俺は手近な棚に荷物を押し込んで
そこで俺は、急激に、唐突に
風が吹けば桶屋が儲かる並に突拍子もなく
冷静になった。冷静になって思い至った
麻雀部の練習って、何をするんだ……?
例えば――これが野球部ならば
グラウンドなり校外なりでランニング
ノックされたボールを追って守備練習し
白球をひたすら打ち返し打撃練習を行う
何のために、何をすればいいのか
それが明確になっているからこその光景だ
しかし麻雀は個人の占めるウェイトが圧倒的な競技
問題を炙り出し、修正するという行為を
団体で練習という形に落とし込めるには
無茶苦茶な部分があるんじゃなかろうか?
これが少人数の部活とかなら、とりあえず打って
ここを直しましょうねー、鍛えましょうねー
なんてのを見つけ修正することが早い段階で出来る
一方でここのような大人数だと
指導者が複数いない限り、高いレスポンスは期待できない
つまり練習自体の能率が落ちるわけでして
能率を上げようとすれば質を下げざるを得ない本末転倒
状況的には詰んでるよね、これ
だけど実際には練習の質・量の低下が招く
負のスパイラルに支配されているようには見えないし
実績面から見てもそれは確かなものだ
じゃあ、千里山高校麻雀部はどんな方法で
部員の実力の質を一定水準に保っているんだろう
今後、ここの練習に参加するならそのうち分かるけど
一度気になってしまったらその疑問が解決するまで
気が済まなくなってしまって……俺の悪い癖だ
浩子「おい、須賀。聞こえとるんか」
京太郎「はっ」
冷水を浴びるように投げかけられた言葉で
自分の世界から引きもどされる感覚を味わいつつ
聞き覚えはないが、知らない声ではないと
その正体を首を左右に振って探せど見つからず――
浩子「下や、下!」
京太郎「へ? ぅおっ……船久保先輩……!」
浩子「…………」
船久保先輩は比較的背の高い方だが
それでも俺とは頭一つ分程度の差がある為
慌てて周囲確認すると見落としてしまうのも
致し方ないと思うんだ
だからそんな目で睨まないでくださいコワイです
荷物を棚に押し込んでいる姿勢のまま固まる俺と
そんな俺を見上げる船久保先輩という
端から見ても多分に気まずいであろう光景
このままだんまりを決め込んでこの状況が続けば
俺が心を痛めてしまうのは確定的なので
京太郎「えーっと、な、何か御用でしょうか……?」
浩子「御用も何も、練習するから呼んでるんや」
京太郎「アッハイ、スミマセン」
浩子「別にそんな萎縮せんでもええのに……」
京太郎「ウィッス」
なんつーかちょっと苦手意識というか、うん
先日、この人にはコテンパンにしてやられた記憶が
苦々しいメモリーとなって脳ミソに刻まれちゃってる
それが昨日今日の内に取り除けるかって話題でして
あと単純に関西弁が怖い。キレてるみたいに聞こえて怖い
借りてきた猫のように大人しく
出来る限り身体を小さくしたつもりになって
先導する船久保先輩に着いて行く
浩子「……なんか不気味や」
京太郎「…………」
それはどういう評価なんだ、一体
浩子「君らにはもう必要ないかもしれへんけど――」
浩子「そこの新入りの為に、も一回説明しとくわ」
船久保先輩に連れて行かれたのは
部室内にいくつか並んでいる雀卓の一つで
そこには既に俺たち以外に、二人の一年生が座っていた
男女一人ずつの構成で、どちらも見覚えがない
男の方は……関西弁で怒鳴られでもしたら
恐怖で震え上がる自信があるくらいの強面で
女の方は対照的にすごく気が弱そうというか
ちょっとでも驚かしてしまったら
死んでしまいそうな気さえするような娘で
どちらも、興味津々ですと言わんばかりの視線を
俺に注いでくれちゃっている
よせやい照れるじゃないか。照さんだけに
なぁーんっつってな!
浩子「大会の予選も控えとるし、今のところ」
浩子「一軍と二軍の境はあってないようなもんやけど」
浩子「正直なところ、一年からレギュラーに食い込める」
浩子「実力者は、ま、一人おればええ方かなと思ってる」
浩子「かと言ってほったらかしにするのも道理が通らんしな」
浩子「取り敢えず理解しておけばええのは」
浩子「君ら三人は一つのグループで、教えるのは私ってこと」
浩子「不安や不満があれば、それこそ監督に直訴すればええ」
浩子「曲がりなりにも千里山でここまで食い込んでくる実力はあるんや」
浩子「監督も悪いようにはせんと思うで」
浩子「さて、何か質問はある?」
全員に向けたようでいて実際には俺に向けられた言葉
うーむ……
頭の隅にあった疑問自体はさっきの説明で
凡そ解決してしまっているしな
部活動に関することで聞きたいこと、かぁ
何かあったっけな……?
1.船久保先輩大会に出たことあるんですか?
2.他の先輩方と打つ機会ってあるんですか?
3.雑用とかしなくてもいいんですかね?
4.ネト麻とかはやらないんですか?
5.船久保先輩って、今彼氏いるんですか?
6.特にないです
7.自由安価
安価↓2
すまんミス上のはなしで
>>890の続き
浩子「大会の予選も控えとるし、今のところ」
浩子「一軍と二軍の境はあってないようなもんやけど」
浩子「正直なところ、一年からレギュラーに食い込める」
浩子「実力者は、ま、一人おればええ方かなと思ってる」
浩子「かと言ってほったらかしにするのも道理が通らんしな」
浩子「千里山では基本的に二、三年生が分担して」
浩子「新入部員の指導に当たることになってる」
浩子「人に教えるっちゅう行為は自分の勉強にもなるし」
浩子「一人でもうちらの技術を学び取ってもらえれば」
浩子「また次の年に、それを誰かに伝えることが出来る」
京太郎「おおっ」
成程なぁ
上級生から下級生へと伝えていく過程を
脈々と続けることで質を維持するってワケか
勿論、絶対に上手くいく保証はないからそこは
名門のブランド力を生かして人を集め
量で補う形で確率を少しでも上げるってことだ
浩子「取り敢えず理解しておけばええのは」
浩子「君ら三人は一つのグループで、教えるのは私ってこと」
浩子「不安や不満があれば、それこそ監督に直訴すればええ」
浩子「曲がりなりにも千里山でここまで食い込んでくる実力はあるんや」
浩子「監督も悪いようにはせんと思うで」
浩子「さて、何か質問はある?」
全員に向けたようでいて実際には俺に向けられた言葉
うーむ……
頭の隅にあった疑問自体はさっきの説明で
凡そ解決してしまっているしな
部活動に関することで聞きたいこと、かぁ
何かあったっけな……?
1.船久保先輩大会に出たことあるんですか?
2.他の先輩方と打つ機会ってあるんですか?
3.雑用とかしなくてもいいんですかね?
4.ネト麻とかはやらないんですか?
5.船久保先輩って、今彼氏いるんですか?
6.特にないです
7.自由安価
安価↓2
最悪、後で訊けばいいかな、と思いつつも
そういえば昼頃に八十島が
俺の噂がどうのって言ったな
ふむ
なんか船久保先輩ならその手のアレコレに
情報が早そうなイメージもあるし
試しに訊いてみるのもいいかもしれないな
特に仲のいい知り合いってワケでもないし
知ってたらありのままを教えてくれそう
京太郎「え~……じゃあ、なんていうか」
浩子「ん?」
京太郎「変な話、なんか俺って噂されてるというか」
浩子「…………」
京太郎「もしそのことについて何か知ってたら、知りませんか……?」
浩子「…………」
船久保先輩の眼鏡越しの視線
感情の読み取りにくいそれが明らかに
怒涛の勢いで温度を下げ、俺に殺到してきた
絶対零度に辿り着くかという冷たさに
背筋を悪寒が走り抜け、頭一つ分の身長差が
逆転して、小動物にでもなったような
蛇に睨まれた蛙の心地に早変わりだ
これはヤバい。ダメだ、アカン。マズった
そうして数秒俺を睨めつけると
船久保先輩は地獄の底から噴き上がって来るような
深い深い溜息を吐くと、呆れたように
浩子「いや、お前なぁ……」
浩子「部活のことで質問はないか、って言ってるのに」
浩子「なんで須賀自身のことを訊かれなきゃならんのや」
浩子「そんなん今ここで訊くべきことやないやろ」
まっこと正論を仰ったのであった
確かに……言われてみればそうなのである
俺が噂されていることなど、俺自身の問題であって
麻雀部での活動を説明してもらっている
この場で出すべき話題としての優先順位は限りなく低い
そのことに思い至らなかったのは、俺の非だ
京太郎「すみません」
浩子「反省してるんならええよ」
浩子「そこまで厳しく言うつもりもないし……」
浩子「けど、そういうのは相手に失礼やから今後せんようにな」
京太郎「うっす」
浩子「そこの返事は『はい』や」
京太郎「はいっ」
素直に頭を下げると、意外にも船久保先輩は
あっさりと赦してくれた……ケチは付いてしまったが
指摘された内容については、間違いなく俺が悪いし
言われた通り、今後はやらないように気を付けないと
返事に関して、体育会系のノリがつい出てしまうのは
ある種の癖みたいなものだし……
意識して直していかないとダメかな、こりゃ
浩子「――と、まあ余計なことに気ぃ回すくらい」
浩子「須賀は余裕みたいやし」
浩子「特に質問もないって考えさせてもらいますわ」
京太郎「ヴェッ!?」
俺の方を見て、ニヤッと口元に笑みを浮かべ
船久保先輩はそう言うと雀卓の空いた席に座る
いやいやいやいや、ちょっと待ってほしい
確かに後で訊けばいいじゃんなんて考えてたけど!
絶好の質問チャンスがなくなっちゃうと
心の準備も全然できないままなんですけど!
ていうか俺以外の二人って絶対にぜーったいに
特待生で入ってきた奴らだよね!?
悔しいが実力差は確実にあるわけでして
いきなりこいつらと実地で対局して練習とか
はっ! まさか! まさか!!!
船久保先輩の狙いはそれなのか!?
この間、部長のゴリ押しに負けて
俺を渋々一軍に入れた腹いせで
こんなスパルタ練習を仕組んだのだとか
そーいうことなのか!?
浩子「それじゃ、部活はじめよか」
浩子「目標は来週の合宿で結果を出すことやな」
浩子「さ、気合入れて行くでー」
問答無用という風情で準備を進める船久保先輩に倣い
同級生(?)たちも次々に対局を始める準備に
取り掛かっていく様を一人アホみたいな顔をして
ボッ立ちのまま眺めるのを十数秒演じてから
俺はようやく、事態は既に動き始めていて
独力ではもうどうしようもないところにまで
至ってしまっていると理解した。したくなかったが
待ってくださぁああああああい!!!
叫べるものならそう叫びたかった
しかし船久保先輩は待ってくれない
そして時間が過ぎるのも待ってはくれない
部長の提示した夏までに、という期限は
こうしている間にも一秒ずつ消化されていくのだ
だったら足掻いてやろうじゃないか
闘うことでしか生き延びられないのなら
俺は闘おう。自分自身の為にさァ!
部活行動説明
・前回と同様に二回行動になります
・ネト麻は廃止になりました
・イベントが何か起こるかも?
1.技能習得 (技能習得or経験値入手)
2.対局 (該当ステ上昇(小)~(特大))
3.雑用 (技量上昇(大))
4.イベント待機 (コンマ判定再安価)
安価↓2
ゾロ目でイベント ただし44は悪いイベント
安価↓
出たな妖怪め…
疲労、睡眠、いずれもマッハ! なので今日はここまで
出足がグダったせいで思うように進まず申し訳ないです
土日の方が忙しい! 不思議!
ちょっとしてから始めます
京太郎「…………」
練習中、何とはなしに部室を眺める
ここ十数年は女性雀士の台頭が顕著な影響もあってか
部内の男女比率も女性側に傾いている……気がする
京太郎「あでっ」
浩子「なーにボケっとしとるんや」
京太郎「」
怒られてしまった。とほほ……
あと条件反射的に声が出ただけで別に痛くはなかった
……誰に言い訳してるんだろう
1.技能習得 (技能習得or経験値入手)
2.対局 (該当ステ上昇(小)~(特大))
3.雑用 (技量上昇(大))
4.イベント待機 (コンマ判定再安価)
安価↓2
京太郎「…………」
疼く
体が疼く
あまりにも強烈に湧き上がってくる欲求を
何とか抑え込めている状況に、うずうず、というオノマトペが
俺の周囲に形を伴って漂い始めてるんじゃないか
でも、我慢しなきゃいけないんだよな
練習中だし、さっき怒られたばっかりだし
それに――
京太郎「…………」
ああっ!
ダメだ我慢できねぇ!
こればっかりは気になって仕方がない……!
ああ、自分の性格がこんな形で恨めしくなる日が
来ちまうなんて想像もしてなかった
どうしよう
このままだと対局にも集中できなくて
練習にも身が入らないなんて悪い冗談だ
あれを放置しておけば誰かが困ることになるだろうし
今のうちに何とかしておきたいんだが……
浩子「ツモ。メンタンピン、ドラは――なしか」
どうしようかと悩んでるうちに
船久保先輩が和了ってしまった
手牌を確認してみれば二向聴だが
和了りの形はフリテンが多いという
半ば以上にカオスなもので
それだけで如何に集中力が欠けていたか
よく分かる手作りの様相だった
しかしこれでよく刺されなかったな……
浩子「――気になったのはこんくらいかな」
そして先輩の有り難いご指導が耳に入ってない俺
自分のことだけどどうしようもね、これ……
本格的にこのままだと不味い。早く何とかしないと
ん? だが待てよ落ち着け須賀京太郎
今ので対局が一つ終わったということは……
浩子「席変えてもっかいやるでー」
千載一遇のチャンス到来――!?
このタイミング!?
この瞬間を待っていたんだっ!?
今ならば席を離れても全く不自然ではない!
まるで神様の存在を信じたくなるような好機に
心臓の拍動は五月蠅いくらいに高まって
全身にどぎついビートをドンドコドンドコ響かせる
冷静になれ……頭を冷やすんだ……
焦りは失敗を生む最大にして最凶の敵だ
ここは心をフラットに、平静を思い出して
速やかに目標を遂行させるのみ――
瞑想する様に一度瞼を閉じ、頭を整理
心拍の動きが遠くに聞こえるほど冷えた思考で
かっ、と勢いよく目を開いた俺はそれに続いて席を発つ
なるたけ自然に、滑らかに雀卓周りから離れ
表情と視線を動かさず、すぐそばにあった
しかし果てなき遠くにある感すら漂っていた
目的地へ辿り着くや否や身体を僅かに捻る
あった
俺が気になっていたもの
喉に刺さった魚の骨の如く不愉快で
なんとしてでも解消したいと願ったそれが
たった今、俺の眼前で轟然と屹立している……!
京太郎「…………」
わななく身体を必死にいつも通り振る舞うよう
強い意志で制御しながら俺は目的のものを引き抜くと
素早く、的確に、悟られないよう別の場所へ
我ながら感心するほど見事な手際で移動させた
やった
間違いなくやった。成功したんだ
誰にも気付かれないまま、やり遂げたぞ!
やったんだよ、俺は! あ――っはっはははっ!
浩子「須賀?」
内心で歓喜のガッツポーズを決めていた
もう一人の自分が音を立てて固まる
ギギギ、と首の骨が擦れる音がしそうなほど
心理状態の極限まで反映されてしまった
出来の悪い機械そのものの動きで
俺に声を投げかけた船久保先輩を振り返る
もしかしなくとも……バレたか?
冷や汗が止まらないもう一人の俺と呼応するように
背筋が徐々に冷えていき、胃の辺りがグルグルする
あの感覚に、否が応でも眉根が寄ってしまう
浩子「どした? なんか動きが妙やけど」
京太郎「あ、いや、少し、そこの棚が気になって……」
浩子「?」
絶対に目が泳いでいる自信があるね
何度受けても慣れそうにないジットリとした目線に対し
しどろもどろに言い訳ともつかないことを口にする俺を
なに言ってんだこいつ、みたいな顔をしつつも
何事もなかったように席を移った船久保先輩に
無言のまま続いて、俺も指定の場所へと移るのだった
気付かれてなかった―――!
特別座り心地がいいわけでもない椅子ですら
極楽浄土のような気分で、全体重を預けると
肺中の空気という空気を吐き出して、入れ替える
ふぅ……任務完了
これで練習以外に気を散らさずに済むかな
>技量が上昇しました(大)
雑用コマンドは環境設定とそぐわないかもしれませんね
ちょっと次回以降のためにその辺りの仕様など考えておきます
というかものっそい時間をかけて一体何を書いているんだ……
4月第4週平日 夜 好調 \5000
自宅で一人になって冷静に考えてみると
あれ程度のことなら言ってもよかったんじゃないかなぁ
作業自体はちょちょっとすれば済むんだしさ
タイミングを計ってコソコソしなくても
まぁ、部活に入りたてで何をするにも
多少の気まずさが入り混じっているというのも
考慮すれば自分の行動も擁護できるんじゃねーかな
自分で擁護するとそれは見事に言い訳がましいんだが
今度は見かけたら素直に申告してみようか
牌譜のファイルの位置がナンバリングと一致してなかったって
ああいうのって一度気になるとさ
直すまで気が済まなくなっちゃうんだよなー……
1.探索 (上昇無し)
2.勉強 (学力向上(大))
3.交流 (友好度上昇(小))
4.ネト麻 (雀力上昇(大))
5.教本 (技量上昇(大))
6.早寝 (体調向上)
安価↓2 3が選ばれた場合再安価(無効の場合さらに安価↓)
特殊判定
0 モブ+フレンド(呼び出せない可能性もあります)
4 モブ(強)
7 自由安価(高校生雀士一人)
ゾロ目 7 44 4 それ以外 0
0になった場合は再安価出します
安価↓
申し訳ない、好調なので下一桁9も7扱いです。忘れてました
ということで自由安価取りたいのですが……
人もいないっぽいので今日はこの辺にしておきます
自由安価(ネト麻)取りたいと思います
2030頃、人も居なさそうなのでしばらく直下進行で
コンマ9=自由安価(高校生雀士一人)
作中時間で高校生の雀士をお一人自由にお選びください
(フレンドでも可、該当安価がゾロ目の場合人数を追加)
現在フレンドは宮永照・宮永咲・東横桃子
安価↓
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/:.:.:.: ´ ハ 。:.:.八 /ー―‐1 {::::::/ :|
:.:.:./ 、|::ヘ ゚。:.:/ )、 { } ィ:::: ∧; ┐ おもち……
:. / / ̄)/ /:.:、 > ゝ--- ′< ノ:::::///:
: ′ _ | 丁 | |` ミ \ ̄/,,_ |彡"彳/ /::::::::.___
: | 、__) ー | ,.:┐t'⌒{ } 入 | r v // r―::′
! r‐、} '^ | | {ニ=- ∨ _ノ┴ュ'′/ } 〈_/ \
し ー |ニニニ{ニ}ニニニニ} / ,ノ、 rヘ,_〉
} / ニニニィ¨ト=ニニ7 { ‘,  ̄}::.
. イ∧ /ニニニ/ マニニニ\ :, /し':::::::.
/ ゝ /'⌒ヽ/ マ> ´ \ /::::::::::::i::}
大阪―奈良くらいなら2000円あれば往復できるので
もしかしたら何らかの形で出番があるかもですね……
モブ雀力=コンマ下二桁×2
モブこ 安価↓
モブさ 安価↓2
ネト麻
モブこ (66)
モブさ (44)
くーろん (330)
たろー (190)
須賀京太郎の使用する技能を選択してください
所持技能
ベタオリ…コンマ下一桁047以外で技量+100
拝み打ち…コンマ下一桁2468以外で技量+50
浮き打ち…コンマ下一桁1357以外で技量+50
相手の使用する技能は>>177より1種類です
安価↓(技能)
モブこ
《色順読み》使用→自身の雀力+50
モブさ
《順ずらし》使用→自身の雀力と技量+50
くーろん
《反射読み》使用→自身の雀力+50し、下一桁247以外で技量+100
たろー
《拝み打ち》使用→コンマ下一桁2468以外で技量+50
モブこ (66) 安価↓
モブさ (44) 安価↓2
くーろん (330) 安価↓3
たろー (190) 安価↓4
申し訳ない、急用ができたのでここで
このSSまとめへのコメント
乙やで
続きはよ