~☆
風「お? 今日は自分で起きられたんだ」
樹「し、新年……だから……」
風「そっかそっか、感心感心」
風「朝ごはんできてるから、布団から早く出て来なさいよー」
樹「……うん」
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~☆
風「くぅー、やっぱり新年はお雑煮から始めるに限るわねぇー」モチモチ
樹「ね」モチモチ
風「知ってる? お雑煮には家庭によって、白味噌とあんこが入ってるパターンもあるのよ」
樹「へー」
風「あんこというか、あんこ入りの餅みたい」
風「丸もち、角もち、あんこ入りの餅」
風「お餅だけ見てもこれだけバリエーションがあるんだから、面白いわよね、お雑煮」
風 樹「……」モチモチ
風「いつか家庭の味を、一つ一つぶらり食べ歩きしてみたいわ」
風「私は、これからも犬吠埼家に代々伝わるレシピに従って作るつもりだけど」
樹「なんか、お姉ちゃんがお隣さんを訪問して、お雑煮、ごちそうになってるのが目に浮かぶね」
風「……なんか、言葉に含みがある気がするんだけど、気のせいかしら?」
樹「気のせいじゃないかな」ニコッ
風「ふーん」
風「……」モチモチ
風「それにしても、まさかこんな、普通の新年が迎えられるなんて、感慨深いわね」ボソッ
樹「…………そうだ、ね」
~☆
友奈「わああああああああ、凄おおおおおいいいいっ!」
おせち「」デデーン
東郷「友奈ちゃんのお母さんとついはりきったら、こんなものができちゃった」
おせち「」デデーン
友奈「これ、食べきれるのかな……」ジュルリ…
東郷「大丈夫、問題ないわ」
東郷「何も一回で食べきらなきゃいけないわけじゃないし、残ったら私の家にも持っていくから」
友奈「ああ、そっか」
東郷「あと、夏凜ちゃんの家に」
友奈「夏凜ちゃん?」
東郷「ええ。だって、あの子おせち料理とか、一人だと絶対食べてなさそうだし」
友奈「確かに」
友奈「……じゃあ、さっそく私たちで食べよっか」
東郷「ダメだよ、友奈ちゃん」
東郷「友奈ちゃんのお母さんとお父さんが席について、
いただきますを全員でするまでちゃんと待たないと」
友奈「う゛っ」
友奈「そ、そうでした」アハハ
~☆
夏凜「アッハッハッ!」バタバタ
夏凜(この漫画、むっちゃ面白いわね)
夏凜(風、なかなかいいセンスしてるわ)
夏凜「……ふぅ」
夏凜(ちょっと喉渇いた。冷蔵庫の水、飲もっと)
夏凜「――っ!」ハッ!
夏凜(ってヤダ! もう朝になってるじゃない!)
夏凜(漫画読んでたら徹夜しちゃった……)
夏凜(あー、生活リズム無茶苦茶……。これじゃ勇者失格だわ……)
夏凜(もう変身できない勇者ってのも変だけど)
夏凜(いや、変身できる勇者が変なのかな?)
夏凜(勇者と言えば、伝説の鎧を着こんで、伝説の剣を装備して――)
夏凜「ふわぁ……」ネムネム
夏凜(うぅー)
夏凜(なんか、朝になったと気付いた途端、気が抜けて眠くなってきたね)
夏凜(ベッドから出るの、ちょっとめんどくさい)
夏凜(あー、眠い眠い)
夏凜「…………」
夏凜「背中、かゆ」ポリポリ
夏凜「……」
夏凜(――よし、後で本格に起きてから、水飲みに行けばいいわよね)
~☆
大赦の人「~~~~~~」
園子「zzzzzzzz」
大赦の人「……」
園子「zzzzzzz」
大赦の人「園子様、園子様」ユサユサ
園子「う、うーん」
大赦の人「園子様っ!」ユサユサ!
園子「……なぁんですかぁ~」ポケー
大赦の人「大変申し訳ありませんが、目をお覚まし下さい」
大赦の人「良き年が来ることの祈願を目的とした祝詞を奏上する最中に、
肝心の園子様がお眠りになられてしまっては」
大赦の人「こちらもなんのために長々とお祈り申し上げているのか、
わからなくなってしまいますので」
園子「そんなこと言ったって、私は神様じゃないよぉ~」
大赦の人「いえいえ。八百万の神、という世界観で万物を捉えるならば、
園子様は、紛れもなく我々大赦がお祀り致すべき神の一柱でございます」
大赦の人「それも現世に生きている神、守護の神として――」
園子「――おろかぁっ!」クワッ
園子「うぬらは、その神の安眠を妨げると言うのか~」ポケー
大赦の人「それが仕事ですので」
園子「…………」ムスー
大赦の人「これが終わりましたら、三日ほど前、
勇者部の皆様より園子様に手向けられた品をお見せ致しますから――」
園子「ねえ、ちょっと」
園子「それ、全然聞いてないんだけど、いったいどうなってるの」
大赦の人「えー、贈られてからまずどのような中身の物か、はたして園子様に送られるにふさわしいものか、
大赦としてはその是非をお調べする必要がありましたので」
園子「……」ジー
大赦の人「それに、新年の贈り物としてお渡しされたものですから――」アセアセ
園子「だとしても贈られたって事実は先に伝えてくれなきゃだめだよ~」
園子「隠し事はどんなことでもあっても二度とするな、
自分たちで判断する前にすぐ私に報告しろってあれほど言っておいたのに~」
園子「報連相すら守れなくて、どうして四国が守れるつもりなのかわけがわらないよ~」
園子「きみ、神官どころか社会人としての基礎がいまだになってないって、よっぽどじゃないかな~」
園子「だいたい――」
大赦の人「も、もうしわけありませんでした!」ガバッ
園子「その、土下座すればどうにかなると思ってる根性がますます――」
~☆
夏凜「……まだ、朝」
夏凜(喉が渇きすぎて、舌の根が喉にくっつきそうだわ)
夏凜「……」
夏凜(でも眠い)
夏凜(よし)
夏凜「もう一回ねよっか」
~☆
友奈「ほりゃ」パコッ
東郷「……」パコッ
友奈「てい」パコッ
東郷「……」パコッ
友奈「うり」パコッ
東郷「……」パコッ
友奈「あっ」
ポテッ
友奈「あー、落ちちゃった」
東郷(……さあ、どんな落書きを友奈ちゃんにしようかな?)
友奈「東郷さんってさ」
東郷「なに?」
友奈「羽を打つとき声を出さず、動きも最小限にやるんだね」
東郷「え?」
東郷(……言われてみればそうかも)
東郷(真剣にやってるから、声出してる余裕なんてないんだわ、きっと)
東郷「へ、変かしら?」
友奈「ううん。そうじゃなくて、始終表情もほとんど崩さなくて、
歴戦の戦士みたいな感じがしてかっこいいな、って」
東郷「か、かっこいいだなんて、そんな照れるわ……///」テレテレ
友奈「私、どうしても声が出ちゃうんだよねー」
友奈「癖なのかな」
東郷(……かっこいいって言われたのは嬉しいけど、
どうせなら、友奈ちゃんと御揃いな感じになるのがいいな)
東郷「次は、声を出すわ」
友奈「え? 別に意識して出さなくても――」
東郷「さあ、来てっ! 友奈ちゃんっ!」ドンッ!
友奈「う、うん」
友奈「とお」パコッ
東郷「パコッ」パコッ
友奈(あっ、口に出すのって、そういうのなんだ……)
~☆
夏凜(にぼしはやっぱりいいわね)
夏凜(水とよく合うわ)
夏凜「…………」ポリポリ
夏凜「しっかし書初めの漢字、まったく思い浮かばないわね……」
~☆
風「そろそろ夏凜の家いこっか」
樹「そうだね」
風「おせち持った? 忘れ物してない?」
樹「うん」
風「どうせ東郷がすっごいの用意してるでしょうし、私たちは控えめにしたんだからね」
風「私が本気を出したらこんなもんじゃないの。樹、わかる?」
樹「う、うん」
風「……あっ、人生ゲーム鞄に入れ忘れてたわ」ハッ
~☆
園子「…………」
大赦の人「…………」
園子「…………」
大赦の人「…………」
園子「…………あの雲、風船に似てる~」
大赦の人「どちらかというと、蛸に似てるように思いますが」
園子「え~、風船だよ~」
~☆
ピンポ-ン
夏凜(ん? 誰かしら?)
夏凜「兄貴が年賀状送ってきたのかな」
夏凜(……いや、今年は友奈たちのぶんもあるんでしょうね、きっと)
夏凜(両親は、私と似てああいうのあんまり好きじゃないのよね)
ピンポーン
夏凜「はいはーい、いま出まーす」テクテク
ガチャ
友奈「夏凜ちゃん、あけましておめでとー」
東郷「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」ペコリ
夏凜「……あんたたち、何しに来たの?」
友奈「何しに、って遊びにだよ?」
夏凜「普通、三が日って家族団らんして過ごすものじゃないの? よく知らないけど」
友奈「だとしても、夏凜ちゃんは私にとってほとんど家族だから、大丈夫だね」
夏凜「そ、そういうの止めなさいよ」
東郷「……」ニコニコ
夏凜「友奈のちょっと後ろで、生温かい目こっちに向けてくるのも禁止」
夏凜「……」
夏凜「まあ、そのあれよ」
夏凜「大したおもてなしもできなくて恐縮だけど、そんな所に立ってたら寒いから早く入りなさい」
友奈「はーい、おじゃましまーす」テクテク
東郷「おじゃまします」テクテク
友奈「…………ねえ、夏凜ちゃん」
夏凜「なによ」
友奈「これ、部屋の壁に貼ってあるの書初めだよね」
夏凜「ええ、そうよ」
夏凜「結構良くできてるでしょ。力作なんだから」エッヘン
友奈「書初めってさ、普通は明日やらない?」
夏凜「……え?」
~☆
ピンポーンピンポーンピンポーン
夏凜「あー……」
夏凜「賭けてもいいけどこれは風ね」
夏凜「となると樹もいるわ」
友奈「だろうね」
夏凜「ふー、よっこらしょ」グイッ
友奈「夏凜ちゃん、お婆ちゃんみたい」
夏凜「だまらっしゃい」テクテク
ガチャ
風「よっす。あけおめ」
風「お裾分けと、あとみんなで人生ゲームやりに来ました」
樹「こんにちは。あけおめ」
夏凜「どうも」ペコリ
風「おっ、靴があるってことは、東郷と友奈もう来てるんだ」
夏凜「ええ、そうよ」
夏凜「まったく、SNSで打ち合わせしたわけでもないのに、どうしてこううまく揃うの」
夏凜「もしかして私をのけ者にして、私の家に来るプチサプライズでも計画してたの?」
夏凜「それとも東郷や友奈の家に、二人がいるか確認とったあととか?」
風「いやいや、そういうわけじゃないけどさ」
風「なんというか雰囲気でわかるじゃん」
風「今日は勇者部、ここで集結するんだろうなってフィーリングで」
風「ね、樹?」
樹「うん」
夏凜「わかんないわよ。何そのプチ超能力」
風「またまたぁ~。バーテックスに向かって、
目と耳が使えなくなっても突撃できた奴がよ~言うわ」
夏凜「あ、あれは必死だったからできただけよ!」
風「それができちゃう時点で超能力なんじゃないのぉ~」ニヤニヤ
夏凜「いや、だから――」
樹「あの、二人とも、そろそろ、中に……」
夏凜「あっ、そうだったわね」ハッ
夏凜「入って」テクテク
風「うん」
風「おせち、多分東郷の袋だと思うけど、これの隣に置いとくね」ドサッ
夏凜「ええ」
友奈「樹ちゃん、あけましておめでとー」
樹「今年も、よろしくお願いします」
東郷「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」ペコリ
樹「こちらこそ、お願いします」ペコリ
風「新年のあいさつってさ」
夏凜「うん?」
風「自分の目の前で先にそれが一段落済んじゃってるの見ちゃうと、
なんかそこに被せ辛い気しない?」
夏凜「また、わかるようなわからないようなことを……」
~☆
園子「……」パコッ
大赦の人「……」パコッ
ポテッ
園子 大赦の人「……」
大赦の人「……」パコッ
ポテッ
園子 大赦の人「……」
大赦の人「お、お気になさらず――」
園子「次」
大赦の人「はい」
大赦の人「……」パコッ
ポテッ
園子 大赦の人「……」
大赦の人(なんだこの緊張感に満ちた羽根つき……)
~☆
コロコロ
夏凜「三、ね」
夏凜「一、二、三」
夏凜「怪我で病院――」
夏凜「病院多すぎでしょ、私」
風「どんまいどんまい」
友奈「夏凜ちゃん、成せば大抵なんとかなるだよ」
夏凜「ねえ、友奈」
夏凜「私、ゲームの中でこのままだと破産が相当近いんだけど」
夏凜「下手したら次、あそこに止まった場合は破産よ」
友奈「な、なんとかなるのは大抵だから……」
コロコロ
東郷「六」
東郷「出産」
風「東郷は子供産みすぎでしょ」
東郷「友奈ちゃん、子供は何人欲しい?」
友奈「え?」
樹「どうしてそこで友奈さんが……」
~☆
園子「…………」
大赦の人(運動はまだ無理だとはっきりしたので)
大赦の人(福笑い)
大赦の人(園子様、目を隠してるのにセンスあるなぁ……)
園子「…………」
園子「…………」ウツラ ウツラ
園子「…………」
園子(……眠い)
~☆
風「さあさあそれでは樹大先生の神秘の技、今年の趨勢を早くも真っ裸にする、新年初占いが始まるよ~!」
友奈「わー!」パチパチ
東郷「……」フレッ! フレッ!
夏凜「東郷」
夏凜「その今振ってる指サイズの小さい旗、どうしてこのタイミングで都合よくあるの?」
東郷「普段から持ち歩いてるだけです」
夏凜「持ち歩いてるんだ」
樹「……それでは、行きます」ゴクリ
夏凜「樹、樹」
樹「なんですか?」
夏凜「新年だし、いつもより気前よくカードの種類と数増量! とか派手なのないの?」
樹「ないです」
夏凜 樹「…………」
夏凜「……えっと、その、なんかごめんなさい」ペコリ
風「…………」
風(樹、タロットにはネタでもなんでも、妥協しないこだわりがあるからな~)
風(それにしても、新鮮なのは夏凜よ、夏凜)
風(こういう行事でみんなと騒ぐのに慣れてないから、いつもよりはしゃいでるっぽい感じねー)
風(うーん、まったくもって単純で初々しい奴よなぁ)ウンウン
夏凜(……なんか風が、私にちょっと失礼なこと考えてる気がする)
~☆
園子「zzzzz」
園子「zzzzz」
園子「zzzzz」
ピロリロリーン
園子「zzzzz」
園子「zzzzz」
~☆
東郷「駄目ですね。そのっちから反応返ってきません」
友奈「うーん……」
友奈「朝のあけおめにはちゃんと反応してくれたのにな~」
風「あの子、寝てるんじゃない?」
樹「大いにありうる」
夏凜「まあ、とりあえず行ってみない? ダメだったら、そのまま帰ればいいわ」
風「帰るって、どこに?」
夏凜「……友奈の家とか?」
~☆
園子「zzzzz」
大赦の人(お昼寝するのは別にいいんですけどね)
大赦の人(掛布団くらい自分にかけてから寝てくださいよ)
大赦の人(まったく……)パサリ
園子「zzzzz」
~☆
夏凜「今年の話なんだけど」
夏凜「風がいなくなった勇者部、そこで誰が部長になるかって、重要なことだと思うの」
風「これまたずいぶんと気が早いわね」
樹「でも、一理あるかも」
夏凜「樹はまだ、一年生で若いから、候補から外れるとして」
夏凜「問題は私たち三人の内で誰がなるかよね」
友奈「私は、誰でもいいかなーって」
風「三人って言うけど、友奈と東郷が勇者部の初期からいたんだし、
二人のどちらかが私の跡を継ぐべきじゃない?」
夏凜「ええ、確かに一見、そう見えるかもしれないわ」
夏凜「ところが、これから勇者部をより良い物としてゆくために、
外部から新たな風を吹き込むという視点でことを一たび考えてみると、なんとこの私が――」
東郷「外部から風を入れるってことなら、
今年讃州中学に転入してくるそのっちが一番適任じゃないかしら」
夏凜「そのっち?」
東郷「私たち三人と同い年だし、あの子、ああ見えてもいざってときにはしっかりするんです」
東郷「勇者グループのリーダーをかつて務めた実績もあるわ」
東郷「それに、満開を連続で二十回もした根性だってある」
風「なんと、まるで勇者部新部長を、担うためこの世に生まれてきたような逸材ですな」
夏凜「……あれ?」
~☆
友奈s「「「「「「王様だーれだ!」」」」」」
園子「私だよ~」
夏凜「また? あなた、くじ運強いのね」
園子「たまたまだよ~」
風「で、命令は?」
園子「そうだね~」
園子「一番は、王様とハグ~」
友奈「あっ、一番は私だ」
園子「友奈ちゃ~ん」ギュー
友奈「乃木さ~ん」ギュー
夏凜「無茶苦茶平和ね」
風「いやー、素のテンションでやるのは難しいこのゲームが、
まさかここまでスムーズに進行するとは」
夏凜「ならなんで、そんなものの用意をわざわざここまで持ち込んで、
さあやろうって提案したのよ」
東郷「…………」ジー
東郷(あの二人の絡みを見ていると、こう、胸の奥がもやもやしてくるのだけれど、
この言葉に言い尽くせない感情は、まさか恋心なのでは……っ!?)
樹(東郷さんが、なんか一人別世界で佇んでるみたいな顔してるよ……?)
~☆
ドドーン!
園子「新年を祝う花火、綺麗だね~」
東郷「そうね」
東郷 園子「…………」
園子「わっしーは、私と二人、花火を見に行ったこと、覚えてる?」
東郷「いいえ」
園子「そっか」
東郷「――でも」
園子「?」
東郷「絶対に、いつか思い出してみせる」
園子「……わっしー」
東郷「三ノ輪銀さんのことも、もっと詳細に、正しく」
東郷「この世界は、彼女が勇者として生きて、守ってくれた世界でもあるから」
東郷「そのことを大切に感じて、噛みしめて、これからきっちり生きていきたい」
園子「そうだね~」
東郷 園子「…………」
園子「今年は二人で、ミノさんのお墓参りに行こう?」
園子「お葬式でお別れはちゃんとしたけど、
あの頃は戦いが忙しかったり色々余裕がなくて、お墓参りには行けなかったから」
園子「今だったら、行けるよ」
東郷「ええ、そうね……」
~☆
友奈「今日は、乃木さんと二人で花火見て、どうだった?」
東郷「凄く楽しかった」
友奈「ふふっ、そうなんだ」ニコニコ
友奈「楽しみだね、乃木さんが勇者部に入るの」
東郷「ええ」
友奈「……今年は、どんな年になるのかなあ?」
東郷「それはわからないけど――」
友奈「けど?」
東郷「きっと、去年より、いい年になるわ」
友奈「!」
友奈「うん」
友奈「そうだね、きっと、そうだよ」ニコッ
~☆
風「樹」
樹「なに?」
風「明日、みんなで初詣行こう」
風「やっぱり新年の挨拶を神樹様にしておかないのは、ちょっとね」
樹「うん、そうだね」
樹「でも――」
風「でも?」
樹「今日は乃木さんと逢ったから、なんかもう参拝したような気持ちがする」
風「アハハ、わかるわ、その気持ち」
風「……だけど、そっか」
風「みんな、とは言ったけど、乃木さんはまだ行けないんだよね」
風「身体が遠出できるほど安定してないから」
樹「…………」
風「くよくよ考えても、しょうがないか」
風「明日、今年はいい年になりますように、ってとびっきりの念を込めて、
神樹様にお願いしておこう」
風「それこそ乃木さんのぶんまで」
風「彼女は、自分のぶんくらい神社に出向かなくてもやれちゃいそうだけどね
風「セルフ巫女さんとして」
樹「お姉ちゃん」
風「うん?」
樹「今年も、いい年になりますように、でしょ。神樹様にお願いするのは」
風「……はは、そうだね。樹の言うとおりだ」
風「まったく、よくできた妹なんだからこの子は」ヨシヨシ
樹「わ! 急になにぃ?」アワアワ
風「なんでもないわよっ」クスッ
~☆
園子「zzzzz」
園子「zzzzz」
園子「zzzzz」
大赦の人(お昼あんなに寝たのに、夜もこんなに寝られるの凄いな……)
~☆
夏凜(あー、漫画読み終わんない)
夏凜(うーん……。二日連続で、徹夜まがいをするのはマズいわよね)
夏凜(でも、続き、読みたい……)
夏凜「…………」
夏凜(まあ、いいや。寝よう)
夏凜(明日もあることだし)
夏凜(……そう言えば今日も、みんなにSNSでお休みの挨拶しそびれたわ)
夏凜(一度気付いちゃうと、ムズムズする)
夏凜(万一この時間にスマホがブルブルして、起こしたら悪いからやんないけど)
夏凜「…………」
夏凜(えーい、この際、口にだしとけ)
夏凜「おやすみなさい、みんな」
夏凜「…………」
シーン
夏凜「…………」
夏凜(あっ)
夏凜(一人なのに口に出してみんなにお休みの挨拶するのって、
思ってたよりなんか数倍は空しいわね)
夏凜(次から気をつけよっと)
終わり
二日前くらいに書き溜め終えてたのに0時丁度から始められなかった悲しさ
HTML化依頼してきます
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