タッカー「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」 (5)

時に皮肉なものである

最早、命を創る事すら思いのままとならなくなって2年が経った
今宵も私の噂を耳にした少年が訪ねてくる


またーーー

一人の雄を扉の向こうへと導いてしまうのか

雄と雄が交わる事
一度禁忌を犯してしまった私は思うのだ

ああ、なんと救いのない魂なのだろうか。と

おっと。客人の到着だ



エド「タッカーさん、ご連絡したエドワード・エルリックです」

タッカー「君が鋼の錬金術師、エドワード・エルリックかい。話は聞いているよ」

エド「エドでいいですよ」


タッカー「エド。まあ入りなさい」




エド「あれ、ニーナって娘とアレキサンダーで犬がいると聞いていたんですが」

タッカー「ああ、彼女らは親戚の家に預けてあるんだ」

エド「奥さんは、どうされたんですか?」

タッカー「彼女は出て行ってしまったんだ」


タッカー「2年前かな。私のホモセックスを目撃してしまってね」

タッカー「こうして私を訪ねてきたということは、興味があるんだろう?」


タッカー「雄と雄が交わるという最大の禁忌に」

エド「はい。俺と弟が身体を取り戻すヒントを、ホモセックスに見出したんです」

エド「綴命の錬金術師ーーー初めて男と男の営みを成功させ、国家資格を手にしたあなたなら」





少年は下を俯き、小さく身震いしているようだった

まあ、無理もないだろう
私も初めはそうだった


タッカー「エドワード、消せない罪を背負う覚悟はあるかい?」

少年は顔を上げる
ここにきて初めて、目と目が合った

その目は?がついているように見えた


タッカー「さあ、真理の扉を開けよう」



夜空は月が満ちていた

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