男「生意気なお嬢様だ? 興味ねーな」 (98)

遅筆です。のんびりと書くので、適当に呼んでくれると幸いです。

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友「いや興味ないって、君ね……」

男「お前が珍しく面白い話があると言うから、」

男「話だけは聞いてやろうと思ったんだが、つまんねえな」

友「何様だよ、君……」

男「男様だ」

友「そんな返し、初めて聞いたよ」

友「んじゃ、この話はしない方がいい?」

男「いや、話だけは聞かせろ」

友「興味ないって言ったよね!?」

男「最後まで聞かなきゃ分からねえだろ」

友「前言撤回ですか……。まあ慣れてるからいいけどさ」

友「んで、そのお嬢様ってのが、最近転校してきた子」

友「知ってるよね? 隣のクラスの、一か月くらい前に転校してきた女の子」

男「ああ、あれか。知らないな」


友「知らないなら知らないって、はっきり言おうよ……」

男「じゃあ知らない」

友「じゃあって、君さ……」

男「その転校生がお嬢様ってことか?」

友「うん、そういうことだね」

男「何がおもしれえんだ?」

友「まあ聞いてよ」

友「その転校生は、偉い社長さんの子なんだよ」

友「その父親の、娘ってところかな」

男「偉い社長だと? 金持ちか。世間知らずのお嬢様か?」

友「ま、そんな感じ。しかもその会社の権力が結構すごくてさ」

男「そりゃ権力がなけりゃ、大した会社にはならんだろ」

友「いちいちつっかかってこないで……、話が進まないから」

友「まあ、それでそのお嬢様は周りから敬遠されがちなんだ」

友「のくせ態度だけは一人前。周りは下手に手を出せないから、」

友「周囲はストレスがたまる一方ってところかな?」

男「ほう。まるで興味がわかない話だが」

男「そのお嬢様のご機嫌を損ねたら、自分たちがえらい目に遭うとか思ってんのか?」

友「たぶんね」

男「とんだ莫迦だな、そいつら」

男「そんなことでいちいち権力振りかざしてる暇があると思ってんのか?」

友「理屈じゃそうだけど、君子危うきに近寄らず、でしょ?」

男「まあどうでもいい。それよりお前だ」

友「え、僕?」

男「今の話の何が面白いんだ? できれば五文字以内で説明してくれ」

友「無茶だなぁ、相変わらず……」

友「なんとなく、だよ!」

男「見事に五文字だ。だが、そんなんでいちいち話吹っかけられたらたまったもんじゃねえ」

男「興味ねえから、この話は終わりにしようぜ」

友「あっ、そう……」

男「あー、退屈だ。友がもっと面白い話をしてくれればな」

友「ほんと、何様だよ君はっ!」

~昼~


男「おい、友。飯行くぞ、飯」

友「はいはい、待ってて。まだノートうつしきってないんだ」

男「待てって言って待つ俺じゃねえな」スタスタ

友「って、本当に行っちゃうの!?」

男「学食行ってる。適当に席取っておくから、あとから来いよ」

友「あまり面倒ごと起こさないでね……」

男「おう」


男「ちっ、相変わらず人が多いなここは」

男「(学食じゃなくて、購買でパンを買うべきだったか?)」

男「おっと、先に席取っておかないとな……」

男「まあ、席は空いてるっちゃあいてるが……」

男「(これじゃ、飯を頼みに行けないな)」

男「(頼んでいる間に席をとられちまう)」

男「(どうすっか……。友が来るのを待っているのもいいが)」

男「(それじゃあ、あいつを置いて先に行った意味がねえ)」

お嬢様「…………」スタスタ

男「おっ」

男「おいっ、そこのお前!」

お嬢様「……え? 私?」

男「そうだ、お前以外に誰がいるんだよ」

お嬢様「何よ、その態度。私とあなた、初対面のはずだけど?」

男「だからどうしたってんだ」

お嬢様「まるで長年付き合ってきた友人のように接するのはやめて頂戴」

男「ああ? それはお前の都合だろ」

男「それより今はちょっと俺に手を貸せ」

お嬢様「……それこそあなたの都合じゃない」

男「うるせえ。お前はここで座ってろ」

お嬢様「はあ?」

男「いいから座れ」グイ

お嬢様「ちょっと……!」

男「食いたいもんあるか?」

お嬢様「はあ? なんのこと……」

男「学食に来て、それはないだろ」

男「何か頼みたいものあるかってことだ」

お嬢様「あいにく、庶民の食い物に興味ないわね」

男「ああ?」

お嬢様「もういい? 私行くわよ」スッ

男「待てって」グイ

お嬢様「きゃっ、ちょ! 服引っ張らないで!」

友「って、男! 面倒事起こさないでって言ったでしょ!」

男「おう、友か」パッ

お嬢様「きゃあっ、いきなり放さないでよ!」

男「きゃあきゃあうるさいな。こいつ頭おかしいのか?」

友「いや、僕に聞かないでよ……」


お嬢様「あんたねぇ……っ! 黙って聞いてればさっきから……」

お嬢様「私が誰だか分かっていて?」

友「男、さっき説明したお嬢様だよ」ボソ

男「ああ、お前が親の権力を当てに、」

男「周りに威張り散らしてる奴か」

お嬢様「なんですって……っ!?!」

男「確かにこいつは態度がでかいな」

友「いやぁ……、男もたいがい態度がでかい気が」

男「これと比べたら可愛い方だろ」

友「どうだろう。男の方が勝っているような」

お嬢様「……し、しっっんじられない!」

お嬢様「こんなに侮辱されたのは生まれて初めてよ!!」

お嬢様「しかも、初対面の人に……!!」

男「この程度で生まれて初めてだと?」

男「こいつ、多分友人にバカとか言われたこともないぞ」

男「しかしそんな性格じゃ、敵も多そうだな」

お嬢様「…………」

お嬢様「余計なお世話よ、もう話しかけないで……」

お嬢様「あなたと話してると頭がおかしくなりそうだわ」

男「いざ襲われたときに助けてくれる人がいなさそうだな」

お嬢様「あんたにだけは間違っても助けてくれなんて言わないから安心して」

男「なるほど、見物するには楽しそうだな」

友「男、いい加減にしなって……」

男「あぁ?」

友「周りの視線気にしようよ。みんな箸止めてこっち見てるよ……」

ザワザワ ガヤガヤ

男「ああ、そうか。学食にいたのか」

お嬢様「……っ!」タッタッタ

男「あ、逃げやがった」

友「当然でしょ……。ていうか、僕も逃げていい?」

男「いや意味が分からねえ」

友「周りの視線が恥ずかしいってことだよ! わかってよ!」

DQN「てめぇ、んなとこで突っ立ってんじゃねえようぜえわ」ドン

男「あぁ?」ドン

DQN「あぁ!?!」ドドン

男「あぁあぁ!?」ドドドン!

DQN2「おい、騒ぎ起こすとセンコーくるぜ。だりぃからやめろよ」

友「あぁ……、もうどうしてすぐ面倒事を起こすかな……」

DQN「最近お前うぜーんだよ、少し調子乗りすぎなんだよ」

男「別にお前にうざかられようが、こっちは元からお前は眼中にないな」

男「どんまい、片思いだ」

DQN「あぁぁ!?」

DQN2「いいから行こうぜ、DQN! 生徒指導部のうぜぇ野郎につかまるのはだりぃわ!」

DQN「お前はびびりすぎたっつーの!」

DQN2「でもよ、ここ学食だぜ。糞ババァも見てんだからよ、さっさとずらかろうぜ」

DQN「ちぃっ、わーったよ。おい、てめぇぜってーしばくわ」

DQN「覚えてろよ」

男「おう、もう忘れた」

DQN「てめぇ!」

男「誰だお前?」

DQN「あぁ!? ケンカ売ってんのか!」

男「買ってほしいとは言っていねぇよ」

友「もう! 男ってば! やめなって!」

男「ったく、わーったよ。おい、お前、覚えてろよ」

DQN「はっ、誰がてめえなんか覚えてるかよ! もう忘れたわ!」

男「おい友見ろよ、鶏なみの頭脳だぜコイツ」

DQN「てめぇえぇえ!」ピキピキ

DQN2「DQN2ももうやめろって。流石にセンコーくるわマジで」

DQN「チッ、クソが……」

男「全く、最近の若者はすぐにキレるな」

友「ねえ男。君はどうしてすぐに問題起こすかなぁ?」

男「問題があっちから寄ってくるんだ。俺から絡んだわけじゃねーよ」

友「君にも問題がある気がするんだけどね……」

男「っと、もう飯食う時間ねえぞ。さっさと食おう」

友「分かったよ。でもすっかり席取られちゃってるね」

男「あのクソ女のせいだ」

友「仕方ないよ」

疲れたので寝ますね。今日はここまで。お休みなさいませ。
次は明日か明後日か明々後日に投稿します。


~放課後~


男「いいことを思いついたぞ友」

友「嫌な予感しかしないんだけど」

男「そのお前が以前言っていた、権力を振りかざすお嬢様だが」

男「俺も興味が出た」

友「へえ。男にしては珍しいね?」

男「何がだ?」

友「いや、女の子に興味抱くなんて、意外だなぁと」

男「別に女だから興味抱いたわけじゃねえーよ」

友「へえ、じゃあどうして?」

男「暇つぶしだ。食堂であったっきりだが、アイツ結構おもしれえぞ」

友「……そんなことだろうと思ったよ」

男「よし、早速会いに行こうぜ。あいつどこのクラスだ?」

友「えーと、3クラスかな?」

男「よし、あの女が帰る前にさっさと見つけるぞ友」

友「えっ!? 僕も付き合わなきゃいけないの!」

男「当たり前だろ、何言ってんだ。頭おかしいのか」

友「いやいや! おかしくなんてないよ!」

男「グダグダ言ってないで行くぞオラ」

~3クラス~


男「あ? あの女どこだ」

男「友は知ってるか?」

友「うーん、僕も知り合いじゃないから、どの席までかは分からないなぁ」

男「使えん奴め」

友「最近、僕の扱い酷くない?」

男「愛情の裏返しだ」

友「絶対嘘だよねぇ!」

男「おいそこのモブ」

クラスメイト「えっ、俺のこと?」

男「お前以外に誰がいんだよ」

クラスメイト「ていうかモブって」

男「えーと、誰だったか。アイツ見たか?」

クラスメイト「いやアイツって誰だ」

男「ほら、生意気できゃあきゃあうっさくて、のわりにいつも一人でいる奴だよ」

クラスメイト「あー、そういえばさっき、女子のグループにどっかに連れていかれていたな」

友「分かるんだ……」

男「そりゃ、んな奴一人しかいねえだろ」

男「さんきゅーな、モブ」

クラスメイト「おう。……にしてもモブって」

男「って、連れていかれたことが分かったはいいが、どこにいるか分かんねえ」

友「馬鹿だよね、男って」

男「ああん? あのモブが詳しく言わねえのがいけねえんだろ」

友「でも妙だよね。連れていかれた、って言い方」

男「カツアゲでもされてんじゃね?」

友「やめようよ、そういう発想……」

男「よしカツアゲって言えば、校舎裏が定番だろ」

友「定番なの……? というか、カツアゲ前提……」

男「行くぞ友」

友「分かったよ、分かりました。最後まで付き合うよっ」

~校舎裏~


男「お……? あれじゃね」

友「ほんとだ……。でも変だね」

友「なんかお嬢様を囲むようにして、話してるよ?」

男「マジでカツアゲか?」

友「……ひ、否定できない状況なのが悔しいな」

男「よし、もう少し近寄って見てみようぜ」

友「盗み聞きは趣味じゃないんだけどなぁ」

男「最後まで付き合うって言ったろ。前言撤回する気か」

友「分かったよもう……」

お嬢様「あなたたち、どういうつもりなの?」

ギャル「あなたたち、どういうつもりなの? ハッ、マジ受けるわ」

ギャル2「どっかの社長の娘だかしんねーけどさぁ、オマエマジでうぜえんだよ」

ギャル3「調子乗ってんじゃねえぞ?」

お嬢様「……はぁ。どうしてこういうのに絡まれるのかしら」

ギャル「ああ? 聞いてんのかよっ、オラ!」ドッ

お嬢様「っ!?! ぐっ、あぅ……!」

ギャル2「お、おい暴力はまずいだろ……」

ギャル「はん。コイツの父親がどれだけ凄い権力もっていようが関係ないだろ」

ギャル「どーせ退学になったって構わねーし」

ギャル3「ギャルの言う通りだよ。つーか、そんな程度でわざわざ親絡んでこねーだろ」

ギャル2「そうだけどさ……」

お嬢様「ひ、卑劣ね……」

ギャル「それによー、万が一、親や先生にチクるってんなら」

ギャル「こっちも考えあるしな?」スッ

ギャル3「おっ、いいカメラじゃん。何撮る気?」

ギャル「言わなくても分かるだろー」

友「ね、ねえ、男。あ、あれって結構まずい状況じゃ……」

友「って! 男、なに動画撮ってるの!?」

男「なにって、面白そうだから以外ないだろ」

友「……さ、最低だね、男」

男「遅かれ早かれああなるって、俺は食堂で忠告したんだがな」

友「冷静だね、男?」

男「別に友人や恋人でもあるまい、俺が焦る必要があるか?」

友「そ、そうだけどさ……」

男「よし、撮れるもん撮ったし帰るか」ピッ

友「えぇ? 帰っちゃうの……?」

男「なんだその子犬みたいな目は」

友「だ、だってイジメだよ? このまま見過ごすのって……」

男「知らねーよ。イジメなんてどの学校でも一つや二つはあるもんだ」

男「今時珍しいもんでもねーだろ」

男「それにあの女に、あなたにだけは間違っても助けてなんて言わない、って言われたしな」

男「ここで俺が助けに行ったら、あの女のプライドを傷つけるってわけだ」

友「それはその場の勢いで言っちゃったんでしょ。とにかく止めようよ」

友「見なかったことにするのは後味悪いよ」

男「ならお前が止めろ。正義感振りかざしておいて、一人じゃ怖いなんて偽善は間違っても吐くなよ」

友「……う」

友「男って、変なところで正論言うからきらい……」

友「分かったよ、僕が助ければいいんでしょ。男は帰るなり、僕の無様な姿を傍観するなり好きにすればいいよ……」スタ

男「おう」

男「やっぱやめだ」グイッ

友「ぐぇっ、な、なにするの!」

男「お前が行ったら余計に面倒にしそうだしな」

男「俺が行く」

友「男が行った方が余計面倒になりそうなんだけど……」

男「まあ、適当にあしらうから見てろよ」

友「男が行くなら僕も行く」

男「結局二人で行くことになるのかよ、まあいいわ」

お嬢様「あ、あなたたち! こんなことをしておいて、ただじゃ……!」

ギャル「ああ? まあ好きにすりゃいいさ」

ギャル「ただ、全裸姿をネットに公開されてもいいならな」ピッ

ギャル3「ほら、ギャル2。脱がせちゃえよ、あたしが抑えとくから」

ギャル2「あ、ああ」

お嬢様「や、やめて……!」

ギャル「きゃあきゃあうるさいな」

男「それは俺も同感だな」

ギャル1,2,3「!?」

お嬢様「あ、あなた……!」

ギャル「ああ? なんだよお前?」

男「男様だ」

友「それ流行ってるの?」

男「俺の中でな」

ギャル3「なんか用かよ? それともイジメとめに来た正義のヒーロー?」

ギャル「あれじゃね、この女助ければ、好感度上がるとか思ってんじゃね?」

ギャル3「ありえる~。男ってホント下心ばっかで単純だよなぁ」

男「いや間違っても、そこの女に挿れてえとは思わねえよ」

友「お、男、ストレートすぎだよ……」

ギャル「じゃ、なんの用だよ」

男「見学しに来た」

ギャル3「くっそ受ける~。あんたまじ鬼畜だわ!」

お嬢様「く……っ!」キッ

男「ああ? なんで俺が睨まれなきゃなんねえんだよ」

男「お前は、俺に言った言葉を忘れた訳じゃねえよな?」

ギャル2「なに、この女がコイツに言った言葉って」

ギャル「なにそれ~、めっちゃ聞きたい!」

男「あなたにだけは間違っても助けてくれなんて言わないから安心して、だったよな?」

ギャル3「ははは! この女が言いそうなセリフだわ!」

友「…………」

男「で? お嬢様とやら。俺の助けはいらねえんだな」

お嬢様「誰があなたなんかに!」

男「強情な女だな。でも好みだ」

ギャル「いやお前さっき、この女には突っ込みたくねーっていったじゃん!」

ギャル2「マジおもしれー、コイツ」

友「……男」

男「わーってる。分かってる」

男「まあ、俺もちょっとそこのお嬢様に用があるんでね」

男「ちょい、コレ貸してくれね?」

ギャル「は? 無理に決まってんじゃん。やっぱ最初からそれが目的?」

男「いやまぁ、俺も荒いことはしたくねえんだ。素直に聞いてくれよ」

ギャル3「こいつあたしらに暴力振るってよ! それこそやってみろよ!」

ギャル2「一瞬で停学だな」

男「ああ? 停学になんのはてめえらだろ。舐めた口聞くんじゃねえよ」

ギャル「は? マジで何言ってんのコイツ。頭おかしいんじゃね」

男「ほらよ。お前らのイジメの証拠」ピッ

ギャル1,2,3「!?」

友「(……なんだ、やっぱり男最初から助ける気だったんだ)」

友「(まあ昔からの付き合いで分かるけど……)」

友「(相変わらず素直じゃないっていうか、不器用だなぁ……)」

ギャル「てめえ、返せ!」

男「返せはないだろ。これ俺の携帯だぜ」

男「ああ? イジメの次は窃盗かよ」

ギャル3「く……」

男「まあ俺も鬼畜じゃねえから、今後こういうことしねえって誓うなら」

男「さっさと去れよ、目障りだ」

ギャル「くそ! 行くぞ!」

ギャル2,3「あ、ああ!」

男「去り際に、覚えてろよ! みたいな定番台詞が欲しかったな」

友「それ昼に食堂で言われたでしょ……」

男「よう、大丈夫か」

お嬢様「触らないでくれる?」パシッ

男「ひでえな。助けてやったのに」

お嬢様「誰も助けてなんていってないわ」

男「おい友。こいつの服脱がせ」

友「ちょっと! 助けておいてさっきの人たちと同じことする気なの!?」

男「冗談だ」

お嬢様「……」ビクビク

男「……いや、冗談だからな? マジで怯えるなよ」

お嬢様「怯えてなんかいないわよ!」

男「こいつ素直じゃねえぞ友」

友「それは男も人のこと言えないよ……」

男「ああ? 俺は心が真っ白なほど正直者だぜ」

友「白ければ白いほど、染まりやすいけどね……」

男「それは嫌味か? なんならお前色に染まってやろうか」

友「や、やめてよ、変なこと言うのは」

男「変なこと言い始めたのはお前だろうが」

お嬢様「ちょっと! 私をおいてなに勝手に盛り上がってるのよ!」

男「怖くて寂しいから私に構いなさい! だってよ友」

友「意外とその訳はあってるかも……」

お嬢様「あ、あなたたち!」

男「俺は男だ。あなたなんて呼ぶな。れっきとした名前がある」

友「僕は友だよ」

お嬢様「……べ、別に名前なんか」

男「名称は大事だぜ?」

男「数えきれないほどいる生物の中で、名称で呼び合うのは人間だけだ」

男「なんか、で片づけられるほどどうでも良いことじゃねえ」

友「なんで俺良いこと言った、みたいな顔してるの」

お嬢様「……私は」

男「んで、お嬢様。そろそろ家に帰らなくていいのか?」

お嬢様「あなた、知ってるんじゃないの!」

男「おう。別に名乗れなんて言ってねえよ」

お嬢様「……!!」ピクピク

友「お、お嬢様、落ち着いて。男はいつもこんな調子だから」

お嬢様「あ、あなたはよくこんな人と付き合えますね?」

友「もう慣れちゃったよ……」

お嬢様「嫌な慣れね……」

~校門~

お嬢様「私の家はこちらだから」

男「ああん? 歩いて帰んのかてめえ」

お嬢様「てめえって呼び方よしてくれないかしら」

男「おめえ」

お嬢様「……さっき、私があなたたちと言って、男はどんな返しをしたか覚えてる?」

男「忘れた」

お嬢様「……っ!」イライラ

友「も、もうよしなよ、男!」

友「お、お嬢様も。とりあえず落ちつこ?」

お嬢様「分かったわ……」

男「んで、てめえはなんで歩いて帰んだ?」

お嬢様「………………」

お嬢様「別に良いでしょ」

男「ほー。てっきりリムジンでもベンツでも、庶民じゃ乗れねーような車で送迎されるかと思ってたが」

男「そりゃ映画の世界だけか?」

お嬢様「わ、私が歩きたくて歩いているの!」

男「へー、どうして?」

お嬢様「あ、あなたこそどうしてそこまで聞くのよ」

男「なんとなく」

お嬢様「なんとなくで聞かないでもらえない!?」

男「どうしてんなことでムキになんだよ。あー、あれか。太ってんのか?」

男「ダイエット?」

お嬢様「……あなたと話してると頭がおかしくなりそうだわ」

男「それ昼にも聞いたぜ」

お嬢様「とにかく私は帰るから」

男「歩いて?」

友「男、しつこいよ」

男「分かったよ、じゃあ俺たちも、歩いて、帰ろうぜ」

お嬢様「さようなら」

男「おう。また明日な」

お嬢様「…………え、ええ。明日」

友「さよならー、お嬢様ー!」

友「ねえ、男。お嬢様のこと気に入ったの?」

男「あ? なんでそう思う」

友「男がああいう風に絡むのって、気に入った相手にしかやらないよね」

男「お前は何が言いたい?」

男「俺は好きな女をついイジメちゃう小学生男子とでも言いてえのか?」

友「あながち間違いじゃないよね?」

男「つまりなんだ? 俺もお前が好きだからイジメてるって?」

友「え、え、ええ!?」

男「それで? お嬢様も好きだからイジメてるって?」

男「二股だな、こりゃいつか刺されるわ」

友「……な、なんだ冗談」

男「くだらねえこと言ってねえで帰るぞ」

友「う、うん」

男「なに顔赤くしてんだ?」

友「……なんでもないよ」

男「あっそ」

男「んじゃ帰るぞ」

友「うん……」

とりあえず今日はここまでです。最初に言った通り、投稿遅いのは大目に見てください!
それでは皆様、良いお年を!

投稿かなり遅れていました。すみません。初めに言っていたように遅筆です。そして今回は年始で色々忙しかったので投稿遅れました。
一応言っておきますが、終わらせる気はありますので気長に見てくれると嬉しいです。

というわけで、昨日急ピッチで書いたのを投稿するとします。

~翌朝~


女子「ねえ、聞いた?」

女子2「なんのこと?」

女子「ほら、あのギャルたちだよ。昨日の放課後さぁ、あのお嬢様連れていったじゃん?」

女子3「あぁ、なんかシメるとか言ってたよね。大丈夫だったのかな?」

女子「それがさぁ、噂だと返り討ちにあったらしいよ?」

女子2「何それ。お嬢様って実は武術でも習ってたの?」

女子「そうじゃないよ、ほら……」

女子3「あぁ、噂の権力で? えぐいね」

-教室の前-

お嬢様「(……はあ。噂に尾ひれがつきすぎて、反論する気にもならないわね)」

お嬢様「(権力だなんて馬鹿馬鹿しい……)」ガラ

女子1,2,3「!?」

お嬢様「…………」

女子「で、でさー! この前のファミレスでー」

女子2「う、うんうんっ!」

お嬢様「露骨に話題を変えなくてもいいわよ。続けたければ続ければ?」

女子3「なっ、何の話?」

お嬢様「それが露骨だと言っているのだけど」

女子2「あ、はは。べつに私らは……」

お嬢様「陰口で盛り上がるなんて、ほんと―――」

男「おらぁっ!」ガラァッ ガン!!!

クラスメイト「「「!!?!?」」」

男「あ、なんでコイツらこんなに俺に注目してんだ?」

友「そ、そりゃ、朝っぱらからそんなに激しくドア開ければそうなるでしょ」

男「俺の魅力に惚れんのは勝手だがな」

友「いや君は僕の話を聞いていた?」

男「ああ、魅力うんぬんの話だろ?」

友「えーと、うん。君が聞いていないことはよく分かったよ」

男「つーか、てめえらいつまで俺を見てやがる。見世物じゃねえよ、見てんじゃねえ」

モブ「あ、君は昨日の」

男「おうモブ。昨日はサンキューな」

モブ「あ、ああ、うん。ていうかモブは確定なんだ」

男「あいつはどこにいる?」

モブ「あいつって誰だ」

男「きゃあきゃあうっさい女」

モブ「ああ、それならあそこの席に」

友「君ら……」

女子「ね、ねえ、あの人って……」ヒソヒソ

女子2「う、うん。確か……」

男「確か?」

女子1,2,3「いつの間に!?」ギック

男「気配を消して歩くのが癖なんだ」

友「まあ男ってある意味、中二くさいよね」

男「みんなは口揃えて中二は痛いというが、漢ってのぁ心のどこかでそれに憧れているんだよ」

友「へー」

男「でだ。お前ら俺の話をしていたか?」

女子「し、してないよ? ねー?」

女子2「う、うんうん! ファミレスの話してたし!」

女子3「だよねー」

男「嘘つけ」

女子1,2,3「……う」

男「俺がかっこいいとか、彼女いるかな? とか噂していたんだろう?」

女子「そ、それはさすがに……」

女子2「……引く」

女子3「てかそんな話してないし」

男「あ? じゃあなんだよ。俺の話でそれ以外って見当つかねえが」

友「どんだけ自意識過剰なのっ」

女子「仮にそんな話してたらどうするの?」

男「俺も混ぜてもらおう」

女子2「いやいやいやいやいや」

女子3「本人いる前で噂話してどうするの」

男「はぁ? 陰口じゃねえなら別に構わねえだろ」

男「遠慮なく俺のことをかっこいいって言ってもいいぞ」

女子「いや最初から言ってないし」

男「じゃあ思ってるだけか? 言った方がすっきりするぞ」

女子「仮に思ってても本人にはなかなかそう言うのって伝えられないよね?」

女子3「少なくともあたしは、噂話の張本人の前で噂できないわ」

女子2「そもそもそれって噂って言わないよね」

男「俺をただ褒めるだけになるな」

女子「男くんはどうしてもそこに話を収束させたいんだね」

男「俺がかっこいいのに間違いはないだろ」

女子2「まー……」

女子3「かっこわるくはないね」

女子「てか、男くんって結構面白いね?」

男「ああ? 喧嘩売ってんのかてめえ」

女子2「あ、分かる。噂じゃ怖いって聞いたんだけど」

男「俺は優しいぞ」

友「…………」

男「おい黙るな友。共感しろ」

女子3「怖いってか、面白い」

男「だからさっきからてめえらは喧嘩売ってんのか? あぁ?」

男「いきなり人を面白い人扱いすんじゃねえよ」

女子「それで、男くんは何しにうちらのクラスに来たの?」

男「お嬢様に用があってきたんだ」

女子3「え……? な、なにするの?」

男「なんでお前がビビってんだよ。もしかして権力うんぬんって噂、マジで信じてんのか?」

お嬢様「……」

女子2「ちょ、ちょっ、聞こえてるって!」

男「はぁ? 盗み聞きとは性格悪いな」

お嬢様「……こんな近距離で盗み聞きも何もないのだけど」

男「こんなの、ただの生意気な女じゃねぇか」

お嬢様「こんなのって言わないでもらえる?」

男「生意気な女はいいのか?」

お嬢様「あんたの発言自体、鬱陶しいの!」

女子1,2,3「……」ビクビク

男「だからなんでお前らビビってんだよ」

男「言ってるだろ。たとえば、コイツにチョップしたって俺の首がとぶわけないだろ」ガンガン

お嬢様「痛――、いたっ、いたいっ、やめ、やめてって!」

友「それ、ただの暴力じゃあ……」

男「こまけぇことは気にすんな」

男「まー、生意気なのはどうしようもねえが」

お嬢様「あなたっ!!! 私に嫌がらせしに来たの!?」

男「あなたじゃねえ、男だ」

お嬢様「知らないわよっ! 食堂で会った日から変に絡んできて!」

お嬢様「何様のつもりよ!」

男「そりゃお前」

友「三度目はないよ」

男「友てめえ」

男「分かった分かった。俺が悪かった。許してください」

お嬢様「ぜんっぜん誠意が感じられないわ」

男「ごめんください」

お嬢様「…………」

友「男?」

男「わーってるよ。もう帰ればいいんだろ」

女子「男くん結局何しに来たのー?」

男「暇つぶし」

女子2「暇つぶしでお嬢様をからかうとか、度胸あるね」

男「度胸があるのは俺の取り柄なんだ」

友「図々しいだけでしょ……」

男「さっきからお前はやたら絡んで来るな」

男「じゃあな。行くぞ友」

友「ていうか、なんで僕はついてきたんだろう」

男「俺が連れてきたからだろ」

友「そんなの分かってるよ! どうしてついてきたんだろうって自問自答したの!」

ガラ バタン


女子「……なんだったんだろう」

女子2「台風みたいだったね」

女子3「あー、でもなんか馬鹿みたいに思えるようになちゃったわあたし」

女子「え?」

女子3「ねえお嬢様。さっきの男とどういう関係?」

女子2「ちょっ」

お嬢様「知らないわよ。昨日から妙に絡んでくるの」

女子3「へー。ああ、なんか食堂でDQNと喧嘩があったって聞いたんだけど」

お嬢様「あの馬鹿じゃないの」

女子3「ありえるー。あのガチコワのDQNですらぶれない性格で喋りそうだしなぁ」

お嬢様「……あなた、何がしたいのよ?」

女子3「何がって? 別に、君と話してみたかっただけだけど?」

お嬢様「鬱陶しいだけだからやめてもらえる?」

女子3「まぁまぁ、あたしもさっきの男の毒うつっちゃってさぁ」

お嬢様「……そ」

女子3「アイツ面白いじゃん、なんで仲良くしないの?」

お嬢様「あなたはゴキブリと仲良くなれと言われて仲良くできるの?」

女子3「うっわ、酷いなぁそれ」

――――――――


――――


――



友「ねえ、男。どうしちゃったの?」

男「どうしたって、お前、俺の頭のこと言ってんのか?」

友「違うよ。今日、というかお嬢様と会ってからなんか様子が変だよね」

男「実は半分血の繋がった生き別れの兄妹だったんだ、ていう展開でもねえぞ別に」

友「いや考えてもいなかったから」

男「まぁ、真面目に答えるとだな」

男「なんか妙に引っかかるんだよ、あの女」

友「引っかかる?」

男「どうしてあの女、孤立してんだ? 別に金持ちだろうが、権力のある会社の子だろうが、それが理由で孤立するか普通」

男「しかも理由が、お嬢様の機嫌を悪くしたら自分に火の粉が降ってくるだ。んな馬鹿話あるか」

友「う、うーん……。言われてみればそうだけど」

男「お嬢様を嫌っている誰かが意図的にそうしたのか、あいつが望んでやったのか、どちらも間違ってるか」

男「――って俺は考えてるが」

友「憶測でしょ、それ」

男「証拠もねえのに断言できるかよ。昨日会ったばかりでここまで推理したんだ、それについて褒めろよ」

友「い、いやぁ……、褒めるような内容じゃないような」

男「つまんねギャグ言ってんじゃねえ」

友「あっ、ち、違うよ! そんなつもりじゃないから!」

男「まあ、初対面で「庶民の料理なんて」とか言っている時点で、たいがいイカれてるが」

友「そんなこと言ってたの?」

男「の割に食堂にいる矛盾に、あのクソ女は気づいてんのか?」

友「様子見に来たんだじゃない?」

男「編入して間もない頃ならまだしも、一ヶ月も経ってか」

男「ま、それは別に構わねえが、にしちゃあ胡散くせえな」

友「えと、一ついいかな」

男「なんだ」

友「時々、男が何を考えているか分からなくなることがあるんだよ」

友「今の男、何考えてるの?」

男「あー、つまりだ。チンパンジーでも分かる様に説明してやるからよく聞け」

友「相変わらず口悪いなぁ、もう……」

男「よーするに、あのクソ女、生意気な振りしてんじゃねえかって疑ってるだけだ」

友「え?」

男「演技。わざと人を遠ざけてるんじゃねーか?」

友「い、いやそれはもはや憶測というか、あてずっぽうというか、適当じゃ」

男「じゃなんであんなツンケンしてんだよ」

友「男も人のこと言えないよね」

男「ツンケンしてねえよ別に。ただ適当に思ったこと口にしてるだけだ」

男「それに、だから分かるんだよ」

男「猫被ってるわけじゃないが、本音っていうもんを全部心の奥底に隠しこんでる奴はな」

友「……それって」

男「ああ。なんとなく、俺に似てるような気がしたから興味を持ったんだ」

友「お嬢様が……?」

男「俺の考えが外れていたら、とんでもないアホだな俺は」

友「でも、今ではもう男、自分を取り繕ったりしてないよね」

友「全部それ、本音でしょ?」

男「本音も口にできねえような、狭苦しい世界で生きるのは嫌なんだ」

友「なんかかっこいいこと言ったように見せて、ただ自分勝手なだけだよね?」

男「とにかく、だ。俺はあの女を調べてみようと思う。手伝え」

友「どうぞお好きに……、って僕も!? どうして!」

男「共犯者になれよ。一人より二人の方が行動しやすい」

友「いつも勝手すぎないかなぁ、男は!」

男「こういう性格なのは昔から知ってんだろ」

友「……そうですけど」

友「というか、さっきお嬢様に会いに行った意味あったの」

男「なんとなく、あいつらがあのクソ女に張ってるレッテルってのを剥がしたくなっただけだ」

男「権力に物を言わされて、社会的に抹殺になるとかいう噂だが」

男「要するに一人でもスケープゴートがいりゃ、噂好きの連中は理解するだろ」

男「ああ自分たちが愚かでした、間違っていました、ごめんなさいお嬢様ってな」

友「……はあ。男ってさぁ」

男「なんだその溜息は」

友「不器用だよね、昔っから……」

男「器用だったら、もっとうまく生きているが」

友「うん。でもそんなところが男の良いところかも」

男「惚れ直したか」

友「はいはい。そうやって冗談言うのも慣れてますよーだ」

今日はここまでです。長い期間投稿しなかった割には短いですが、次は早めに投稿しますので、長い目で見てくれると嬉しいです。

乙!そして>>1に確認を取りたい

友は男なのか女なのかを…………!

>>89
ご想像にお任せします……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月03日 (土) 03:28:40   ID: 1JPDS_wC

男....嫌いじゃないぜ

2 :  SS好きの774さん   2015年01月28日 (水) 13:33:41   ID: KCW9UtEo

友は男の娘だ!

3 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 02:03:00   ID: BnS4UvIC

面白いな、こう言う話、嫌いじゃないぜ。

4 :  SS好きの774さん   2015年12月23日 (水) 11:34:10   ID: C32-e-Il

BL?嫌いじゃないぜ❤

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