上条「赤いテレフォンカード?」 (82)

CALL.01 赤いテレフォンカード

「くそっ、何で俺がこんな目に!? あーもうちくしょー、不幸だーーーーっ!!!!」

 変態じみた叫び声だと自覚しつつも、上条当麻は凄まじい逃げ足を止めようとしない。
 時刻は既に深夜を回って完全に暗がりとなった路地裏を走り抜けながら、上条は思わずチラリと背後を振り返る。

 十人。
 かれこれ2kmは走り続けているのにまだ十人。
 見る者全てが不良だと断言するような恰好をした男達が上条に罵声を浴びせながら追いかけてきていた。
 無論、少々喧嘩慣れをしてることを除けば普通の高校生に過ぎない上条にはこの人数を相手にしても勝ち目がない。
 そもそも高校生同士の喧嘩なんて二人以上数が離れれば話にすらならないだろう。

 よって上条に残された選択肢は彼らが諦めてくれるまで逃げ続けるしかなかった。
 道に放り出されたポリバケツに躓きながらも、上条は足を止めることなく走り続ける。
 もし捕まってしまえば、待っているのはサンドバッグの刑だ。
 そしてどうしてこんな事態になっているのか、上条は先ほどまでの出来事を思い返す。

 こうなった原因があるとすれば、やはり不幸という言葉しか思い当たらない。
 補習が終わった後のヘトヘトになった帰り道、偶には奮発しようとファミレスに入ったのが運の尽きだった。
 明らかに酔っぱらった不良に囲まれる中学生くらいの女の子。
 放っておけばいいものの、思わず助けてやっかーという常軌を逸した思考回路が働いてしまったのだ。

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 ……まさかトイレからゾロゾロとお仲間が出てくるとは。
 トイレに集団で行くのは女の子の特権だと思っていた上条の偏見が見事にぶち殺された瞬間だった。

「結局頼んでた料理が来る前に飛び出しちまったと思ったら、挙句にまだ食ってもないのに食い逃げ扱いされてるし。 何なんですか、この不幸はっ!?」

 頭を掻きむしりながら、路地裏から大通りへと一気に飛び出す上条。
 突然飛び出してきた不審人物に驚きで目を丸くする通行人達には脇目も振らず、上条はそのまま走り続ける。
 しかし既に最終下校時刻を過ぎているというのに、まだ随分と人が多い。
 それも目に付くのはカップルばかり。
 盛るなら部屋の中でにしろ、と独り身の上条は心の中で絶叫する。

 そして上条は走りつつ、チラリと自分の右手に目を向けた。
 そこに宿る力もこんな状況ではまるで役に立たない。
 不良を倒す力があるわけでも、テストの点も上がらなければ当然女の子にモテたりもしない。
 この街で何の力もない無能力≪レベル0≫と烙印を押された特異な力。

「うぅ、不幸だ、不幸すぎます! コンチクショーーーーっ!!」

 携帯で増援を呼ばれたり、バイクなどを持ち出されないためにも、不良の集団を完全に振り切ることはできない。
 わざと相手に殴らせて体力を奪うボクシングの戦法のように、適度に「上条当麻」という餌をチラつかせつつスタミナ切れでぶっ倒れて貰わなければ。
 あくまで上条の目的は「人助け」で、無駄に殴りあわずとも諦めさえてしまえばこちらの勝ちなのだから。
 しかし我ながら完璧、誰も傷つかないパーフェクトな解決方法だと思いながらも、


「おるぁっ! ちくしょう、この糞ガキ! 止まれや、この逃げ足大王がっ!!」

 何でこんなことに青春を懸けなければならないのか?
 周りはカップルだらけの中、一人の上条は何だか物凄い惨めな気分になる。

 それから更に2kmほど。
 背中に罵声を浴び続けながら走り続けた上条は、都市部を離れて大きな川に出ていた。
 大きな川には長さ百五十mほどの無骨な鉄橋が掛かっている。
 車もなく、ライトアップもされていない、夜の暗闇に塗り潰された鉄橋。
 
 その鉄橋を突っ走りながら、上条はふと後ろを振り返った。
 いつの間にか、後を追っていた不良が一人もいなくなっている。

「やっと撒いたか」

 足を止めた上条はその場にペタンと座り込みたくなる衝動を抑え、夜空を見上げて大きく息を吐く。
 誰も殴らずに問題を解決できた、本当にそのことだけは自分を褒めてやりたい。


「ったく、何やってんのよ? 不良を守って善人気取り、それとも熱血教師なのアンタは?」


 瞬間、上条の背筋が凍る。
 鉄橋には灯りの一つもなかったため気付かなかった。
 上条の走ってきた方向から5mほど先に佇む一人の少女。
 灰色のプリーツスカートに半袖のブラウス、その上にサマーセーターを着込んだ何の変哲もない中学生くらいの女の子だ。
 そしてファミレスで絡まれていた女の子というのが他ならぬ彼女だった。


「もしかして後ろの連中が追ってくなくなったのも」

「うん、めんどいから私が焼いといた」

 パチンと少女の髪の毛先から散った青い火花を見て、上条は本気で頭を抱え込みそうになる。
 この少女と上条は初対面という訳ではない。
 ただしかれこれ三ヶ月近く顔を合わせているにも拘らず、お互いの名前すら覚えようとしていない。
 つまり友達になろうという訳ではないのだ。

「久しぶりに顔を見たかと思ったらこれだもんな。 はぁー、不幸だ」

「溜息吐きたいのはこっちよ! アンタが余計な真似したせいで、無駄な労力使っちゃったじゃない」

「無駄な労力って、格下の不良をいたぶることかよ?」

「別にそれが目的だったわけじゃないわ。 まあ最初からアイツらには少し痛い目を見てもらうつもりだったけどね」

「お前なぁ」

 少女の名前に興味はないが、少女の持つ力を上条は今まで嫌というほど身を以て味わされていた。
 「記憶術」やら「暗記術」やら何たらという名目で学生達が「脳の開発」を平然と時間割りに組み込んでいる場所。
 それが上条達が暮らす街『学園都市』のもう一つの顔だ。

 「脳の開発」を経て学生達は超能力を発現させ、その力の強弱によって六つのレベルへと振り分けられる。
 その中でも最上位に位置する真に超能力者と呼ぶべき力の持ち主レベル5。
 レベル5は人口230万人の学園都市でも七人しか存在せず、そして彼女はその第三位に位置するまさに1/328571の天才だった。
 いくら武装した不良集団であろうと、彼女の前では赤子に等しい。


「結局本命には辿り着けなかったし、ホント時間を無駄にしちゃった」

「本命?」

「……アンタには関係ない話よ。 でもこうやってアンタに会えたのはラッキーだったかもね」

 そこに気になる男の子に会えて嬉しい、などというラブコメみたいな含みは全く存在しない。
 バチン、と青白い火花の音が響いた。
 肩まである少女の茶髪の髪が風で揺れる度に、まるで髪自体が電極であるかのようにバチバチと火花を散らしている。
 『超電磁砲』――学園都市でも数多くいる発電能力者の頂点に立つ最強の電撃使い《エレクトロマスター》
 レベル5の一角を成す彼女の力は一人で軍隊と戦えると言われるほどだ。
 そんな少女から向けられる敵意とも取れる感情が、チリチリと肌を焦がすように上条を強張らせる。

「やっぱりこうなるのかよ? ったく、少しお前のことも心配した俺が馬鹿みたいじゃねぇか」

「はぁ!? 何で私がアンタに心配されなきゃなんないのよ?」

「……お前、身体の何処か痛めてるだろ?」

「え?」

「何て言うか、動きがぎこちないっていうかな? ファミレスで見かけた時から少し違和感があったんだよ」

 もちろんレベル5の少女が少しくらい身体を痛めていようと、無能力者≪レベル0≫の不良達を相手に後れを取るとは思えない。
 上条が助けようと思っていたのも無謀にもこの少女に絡んでいた不良達がメインで、心配の度合いもせいぜい不良9少女1といった割合くらいだった。


 しかしそれでも万が一という可能性はある。
 だから上条はわざわざ自分が身体を張って無駄な争いが起きないようピエロに徹したのだ。
 その努力も少女自身の手によって水泡に帰してしまったが。

「でも結構な距離を走ったのに平気でついてきたってことはやっぱり大したことなかったのか? 良かった良かった」

「……何よそれ、強者の余裕ってやつ?」

「何でそうなるんだよっ!? 人がせっかく心配してたのを捻くれた捉え方しやがって……」

 少女の醸し出す不穏な空気に、上条は内心悲鳴を上げる。
 あわよくばこのままやり過ごせるかと期待してたのに……。

 今もこのように絡んでくる少女を相手にして、上条はこれまで一度も負けたことがない。
 たった一度の例外もなく、完全に全戦全勝。
 適当に負けてあげれば少女の気も逸れたのかもしれないが、如何せん上条は演技が壊滅的に下手糞だ。
 以前「マイリマシター」とその場に倒れこんだら、一晩中女子中学生に追い掛け回されるという貴重な体験をする羽目になった。
 それに負けたことがないと言っても食らえば即死してもおかしくない電撃を前にすれば、上条の精神が疲弊するのも当然だろう。

「はぁー。 ……いいわ、今日は見逃してあげる」

「へ?」

 もしかして上手く誤魔化せた?
 いつもならここで問答無用で電撃が飛んできそうなものだが、本当に臨戦態勢を解いたのか少女の周りでバチバチ言ってた火花も収まっていく。

 だが油断はできなかった。
 ただ自分より強い人間が許せないという、今時の格闘漫画のキャラクターよりシンプルな思考の持ち主だ。
 何がキッカケで再び襲いかかってくるか分からない。


「何よ、その顔は? 文句があるならやっぱり相手になってもらいましょうか?」

「いえいえ、滅相もございません!」

 再び大きく火花を散らした少女を前に、上条は激しく顔を横に振る。
 あれだけ気性の荒い少女が妙に大人しいのは逆に薄気味悪く感じるが、『不幸』を回避できるならそれに越したことはない。
 そして見逃してもらえるなら、上条がこれ以上この場に留まる理由もなかった。

「じゃあ、俺はここら辺で……」

「ちょっと待って」

 だが背を向けて立ち去ろうとした上条を、何故か少女が引き留める。
 見逃してくれるんじゃなかったのかよ、と心の中で溜息を吐きながら、上条は恐る恐る少女の方へと再び振り返った。

「あの、まだ何か?」

「……聞きたいことがあるんだけど、赤いテレフォンカードの噂って知ってる?」

「赤いテレフォンカード?」

 流石にテレフォンカードは上条も知っているが、学園都市ではあまり馴染みのないものだった。
 科学の最先端を行く学園都市でも、公衆電話は各地に点在している。
 ただし携帯電話がこれだけ普及している今、その利用目的は付随している無料のルーターが殆どだ。
 そもそも上条は利用したことすらないため、学園都市の公衆電話でテレフォンカードが使えるかも分からない。

「その様子じゃ聞いたことはなさそうね。 知らないんだったら別に構わないわ」

「おい、その言い方だと何だか気になるじゃねえか」

「噂の中身自体はそこら辺にありふれた都市伝説よ。 ただその赤いテレフォンカードっていうのは実在して、何か人体に悪影響を与える磁気を放ってるみたいでね」

「うげっ、何だよそれ?」

「どうせどっかのバカがした悪ふざけでしょ? 学園都市でテレフォンカードを使うことなんて殆どないだろうし、もし見つけたら半分に折って処分しといてくれない?」


 人体に悪影響を与える可能性があるものを個人で処分しておけというのは何だか酷な話の気もするが、少女の相手をするよりはずっとマシだ。
 一刻も早くこの場を去りたいという思いが強いため、上条は少女の要求に素直に従う。

「分かったよ、半分に折って捨てておけばいいんだな?」

「ええ、お願いね」

 やはり今日の少女の様子は少しおかしい。
 いつもの好戦的な性格が鳴りを潜めているのもそうだが、言葉の一つ一つが何処か素直なものになっている。
 これだったら普段も少しは話が通じそうなものなのに……。
 ただこれまでの少女とのやり取りを鑑みるに、今日が例外だと思っておいた方が良いだろう。

「それで話が終わりだったら、俺はそろそろ行くぞ。 じゃあな、ビリビ「御坂美琴」」

 ようやく解放されて帰ろうとした上条だったが、再び少女の声がそれを遮る。

「私には御坂美琴って名前があるって、いつも言ってるでしょうが」

 そういえば少女の名前はいつも聞かされてはいた。
 しかし会うたびに勝負勝負と鬱陶しい上に、命の危険がある電撃まで飛んでくる。
 上条にとって目の前に立つ少女は迷惑な存在でしかなく、出会ってからというもの自分から関わりを持とうと思ったことなど一度もない。

 だが今日は「偶々」荒事を抜きに、ほんの少しだけ話をする機会があった。
 そのせいか普段は完全に聞き流してしまう少女の名前も、今は頭の片隅に留めておく程度の余裕がある。

「へいへい。 じゃあな、御坂」

「……じゃあね」

 今度こそ上条はその場を後にする。
 改めて名前を覚えた美琴の気配をまだ背中に感じるが、振り返るようなことはしなかった。
 少しだけ話が通じたからといって、別に上条と美琴が仲良くなった訳でもない。
 次に会えばいつものように電撃が飛んでくるだろう。
 そんな日常が幸せだとは間違っても思えないが、きっとそれが上条と美琴の本来あるべき姿だ。
 そして鉄橋を渡りきったところで一度だけ後ろを見るが、もう美琴の姿を見つけることはできなかった。




「……不幸だ」

 しかし何とか無事に一日を過ごせたという安堵も空しく、その日も上条の不幸は終わらなかった。
 
リリリリリリリリリリリリリリ

 帰る途中で偶々見つけた電話ボックス。
 そしてどう見ても無人である筈の電話ボックスで、公衆電話がしきりに鳴り続けている。
 先ほどあんな話を聞いたばかりだ。
 美琴との約束を律儀に果たす義理はないのだが、鳴り続ける電話が妙に気になって上条は恐る恐る電話ボックスへと近づいていく。

「公衆電話つっても番号が分かれば掛けられるよな? どうする、出た方がいいのか?」

 辺りを再度確認するが人の気配はなく、その間も公衆電話は鳴り続けたままだった。
 どうやらテレフォンカードも使えるらしいが、美琴の話にあった赤いテレフォンカードは見つからない。
 その時点で離れても良かったものの、そもそも誰が公衆電話などに電話を掛けるのか?
 恐らく天文的確率に等しいだろうが、誰かが助けを求めているという可能性はないのか?

(結局は偽善使い≪フォックスワード≫なんだよな)

 そして無意識の内に受話器に手を伸ばしていた自分に、上条は苦笑いを浮かべる。
 上条が電話に出ようとしたのは純粋な善意によるものではない。
 この電話に出なかった時に起こり得る万が一の可能性を恐れたからだ。
 何の解決にならないとしても、何かしたという慰めだけは欲しい。
 それが今の上条の行動理由だった。


「『もしもし、どちらさまですか?』」

 だがそんな自嘲を吹き飛ばすように、上条の心臓は突如起こった異変にドキリと撥ねた。
 真上。
 電話に答えた上条自身の声が、何故か電話ボックスの上方から聞こえてくる。
 思わず電話ボックスから飛び出た上条が見上げた先にいたのは……。

【ピー…、ピー…、ガガガッ】

 一言で表すなら怪人。
 人のような姿をした「何か」が、上条を見下ろすように宙に浮いている。

「だ、誰だ?」

 学園都市では能力を応用して宙に浮ける人間がいてもおかしくない。
 ただその妙な恰好や不気味な雰囲気といい、目の前にいる存在が人間だとはとても思えなかった。
 まるでこちらを観察しているかのように爛々と光る怪人の目が、上条の身体を射竦めている。

【ピー……ガッ…、Q…!! ピーッガガッ】

 その場から一歩も動けずにいた上条だったが、やがて怪人はまるで煙のように姿を消してしまう。
 怪人が消えると操り糸が切れたように、上条はドッと地面に尻をついた。

「な、何だったんだ、今の? 幻?」

 幻覚でも見ていたのだろうか?
 しかし先ほどまで感じていた得体の知れないプレッシャーに、今も上条は動悸が収まらずにいる。
 ただの幻覚ではなく確かに存在した現実によって、上条は言い得ぬ恐怖を覚えたのだった。


ピーピーピー

 そして公衆電話は何かを知らせる通知音を鳴らしている。
 これと良く似た音を上条は知っていた。
 ATMなどで現金やカードを取り忘れた際に鳴る音。
 上条が覚束ない足取りで公衆電話に再び近寄ると、そこにあったのは……。

「……赤いテレフォンカード」

 公衆電話に取り残された赤いテレフォンカード。
 さっき見た時はなかった筈だ。
 
 これは切っ掛け。
 選ぶのは自分自身。
 ――――世界を繋げる鍵はすぐそこにあった。

禁書×PSYRENのクロスオーバー

禁書キャラによるパロではなく、世界観を無理やり合わせた自己満ss

そのため辻褄合わせの改変や原作との矛盾も多数出てくると思います

基本的に禁書キャラの視点で話が進んでいく予定です

文中でなるべくPSYRENについても分かるように描写していきたいですが

何か分からない点や疑問に思った点があったら言ってください

……ついでに魔術サイドについてはお察しください

前に禁書サイレン書いた人?

投下します

CALL.02 嘘の理由

「ピシ、プレシン……? 何て読むんだこれ?」

 不可思議な怪人を目撃した翌日、上条は赤いテレフォンカードを手に取ってそこに書かれた文字を眺めていた。
 ビリビリ中学生もとい御坂美琴から破棄するよう言われていたテレフォンカード。
 しかし今も上条はそれを捨てることができずにいる。

 ちなみに美琴が言っていた人体に悪影響を与える磁気については測定済みだ。
 結果、その奇妙な模様を除けば特に異常な点はなし。
 わざわざ自腹で高い計測機器を買うなど普段なら正気の沙汰とは思えないが、上条の胸に渦巻くこのテレフォンカードを切っ掛けに何かが始まるという妙な予感。
 取りあえず手元に置いといても大丈夫なのか確認しておきたかった。

(まあ今度会った時、ビリビリに請求しとけばいっか)

 無能力者で奨学金も少ない上条にとっては手痛い出費だったが、そもそも美琴が嘘を吐いたことが原因だ。
 そもそもあの怪人も全て美琴が陰で仕組んだものじゃないのか?
 美琴の話と赤いテレフォンカードを見つけたタイミングの良さといい、美琴にからかわれていると思った方がしっくり来る。

 だがそれならそれで今度は美琴が嘘を吐いた理由がはっきりしない。
 上条に無駄な出費をさせようと目論んでいたにしても、あの件だけでそこまで誘導できるとは美琴も思わないだろう。

 それに未だ上条の胸に残る圧迫感。
 学園都市の第三位を何回も相手にしてきた上条にとっても、あの時の空気は異常なものだった。
 赤いテレフォンカードと怪人と美琴の嘘、それらを結びつけるものがあるとしたらやはり……。


「あれっ、それってもしかして噂のテレフォンカードちゃう?」

 上条がテレフォンカードに向けていた視線を上げると、そこにはクラスメイトの一人が立っていた。
 青色に染めた髪にピアスをしているという理由から、あだ名はまんま青髪ピアス。
 大分変わった男ではあるが、気の置けない上条の大切な友人だ。
 青髪ピアスは興味深そうにマジマジと上条の手にあるテレフォンカードを眺めている。

「でもカミやんがあの噂に食いつくとは思ってなかったんやけどな」

「お前もあの話を知ってたのか」

「学園都市で時々見つかる赤いテレフォンカード。 それを使えば超能力とは違う人間を超えた力が手に入る。 ネットなんかでも色々と話が飛び交ってるみたいやけど、僕には眉唾もんにしか思えへんけどなー」

 美琴と別れて寮に帰った後、上条も美琴の言っていた都市伝説について調べてみた。
 その中身は青髪ピアスの話と全く同じだ。
 どうやらスキルアウトを中心に無能力者の間で赤いテレフォンカードが頻繁に取引されているらしい。
 しかしその殆どが偽物(そもそも本物が存在するかどうかも分からない)のようで、掲示板の書き込み等も大半が苦情によるものだった。

「まさかカミやんも大金叩いてそのカードを買ったんじゃないやろうな? 駄目やでー、ただでさえカミやんは幸薄くて金欠気味なのに。 どーせ偽物を掴まされたに決まっとる」

「うっせー、余計なお世話だ!」

 別に上条もその噂を信じているわけではないし、このテレフォンカードだって偶然手に入れたものだ。
 人体に悪影響を与えるという話を真に受けて、大金を払っているという事実に変わりはないが……。


(けど噂の真偽はともかく、このカードに何もないってことはないだろうし)

 人間を超える力が手に入るとか、そんなことは正直どうでもいい。
 ただ赤いテレフォンカードを見つけた時、上条は実際に奇妙な体験をしている。
 これより先に踏み込んでは碌なことにならないと本能が警報を発しているものの、それ以上にこのまま放っておいては良くないことが起きるという予感の方が上条の中で上回っていた。

(やっぱりビリビリに会って話を聞くのが一番早いか)

 明らかに美琴は赤いテレフォンカードについて何か知っている。
 ネットで得られる情報には限界があるため、これより先の手掛かりを探すなら今は美琴を頼る他なかった。

「……こっちからビリビリを探す日が来るとは思ってなかったな」

「何々ビリビリって? まさか女の子とちゃうやろね?」

 何故かしつこく食い下がってくる青髪ピアスを物理的に黙らせると、上条は行動を開始すべく放課後を待つ。
 だが普段は会いたくなくても顔を合わせてしまうに拘らず、こんな時に限って中々美琴と遭遇しない。
 途中で出会った美琴が通う学校――常盤台女子中学の生徒に美琴の居場所を聞いてみても、非常に怪訝な表情を浮かべたかと思うとそのまま逃げ去られてしまった。
 常盤台はとんでもないお嬢様学校で男子に免疫がないのは理解できるが、それにしたってあの逃げっぷりは少し異常な気がする。

 結局その後も美琴に会えぬまま、時間だけが過ぎ去っていく。
 このままでは埒が明かない。
 三日経って違う手段を探し始めた上条だったが、その時になってようやく事態は思わぬ方向へと動き始めるのだった。




「風紀委員ですの!」

 少々変わった名乗り声と共に、突如として上条の目の前に現れた二人の少女。
 その言葉通り二人の腕には学生達によって構成される学園都市の治安維持組織――風紀委員の腕章が付けられている。
 現れ方を見るに恐らく少女のどちらかが空間移動の能力者なのだろう。
 いきなり目の前に人が現れて驚く上条に少女の一人が声を掛けてきた。

「上条当麻さんですよね?」

 何も身に覚えがなくとも警察に声を掛けられれば緊張してしまうのと同様に、上条の心臓も風紀委員を前にして鼓動を大きくしていた。
 ましてや上条を名指しだ。
 これはつまり巡回中に偶々声を掛けたという訳ではなく、最初から二人の目的が上条だったということになる。
 自分が知らぬ間にまた不幸に巻き込まれたのではないかと、上条は身体を強張らせた。

「何だか挙動が怪しいですわね。 何か疚しいことでもあるんですの?」

「えっ? いや、俺は別に……」

 髪をツインテールに纏めている少女の方に詰め寄られ、上条は思わず後ずさる。
 その剣幕は明らかに上条に対して好意的ではなく、何だかこのまま組み伏せられそうな勢いだ。

 というより、この少女からは敵意を通り越して殺意さえ感じる。
 少女達とは初対面で、もちろん恨みを買うようなことをした覚えもない。
 何が何だか分からないまま困惑する上条だったが、花飾りをしたもう一人の少女が諌めるように間に入ってきた。


「白井さん、少し落ち着いてください! この人が関わってるってまだ決まったわけじゃないんですよ」

「しかしお姉様の身に何かあったりしたら」

「お姉様?」

「常盤台のエース、御坂美琴お姉様のことですの!」

「お姉様ってビリビリのことかよ? というかビリビリに何かあったのかっ!?」

「っ、白々しい! ここ最近、あなたがお姉様のことを嗅ぎまわっていたのは知ってますわよ!」

 美琴に何かあったのか逸早く知りたいところだが、どうやら何か誤解されているようだ。
 常盤台の生徒に美琴について尋ねた時に逃げられたのも何か関係あるのだろうか?
 しかし話を聞こうにもツインテールの少女は完全に殺気だっており、とても冷静に話し合えるような状態ではない。
 再びツインテールの少女は上条に詰め寄ってその胸倉を掴み上げるが……。

「だ~か~ら~、落ち着いてくださいって言ってるでしょうがっ!!」

 どちらかというと大人しそうな印象だった花飾りの少女の声が辺りに響き渡った。
 この騒動に集まっていた野次馬達も、あまりの声の大きさに肩をビクッと震わせる。
 ツインテールの少女にとっても予想外だったのか、表情を引きつかせていた。


「う、初春?」

「私達が今ここで焦ったって御坂さんが見つかるわけじゃないんですよ? 無駄に騒ぎを大きくして、この件を私達に任せてくれた人達にまで迷惑を掛けるつもりですか?」

「そ、そんなつもりでは」

「だったら少し頭を冷やしてください」

 花飾りの少女の有無を言わさぬ迫力に、ツインテールの少女は上条から離れる。
 そして今度は花飾りの少女が前に出て、上条に向かって深々と頭を下げた。

「同僚がご迷惑を掛けて申し訳ありません」

「それはいいんだけど、御坂に何かあったのか?」

「……本当に何もご存じないんですよね?」

 少女の視線にゾクリと上条の背筋に冷たいものが伝った。
 こうやって話し合える程度の理性は残っているが、この少女もツインテールの少女と変わらぬ激情を胸の内に秘めているのが伝わってくる。

 だがそれは誰彼かまわずぶつけるようなものではなく、きっと一つの感情から生まれるものだ。
 美琴と少女達がどのような関係なのか上条は知らない。
 ただ彼女達が心の底から美琴を心配していることだけは上条にもはっきりと分かった。


「ちょっと聞きたいことがあって、この三日間くらい御坂を探してたのは本当だ。 でも結局見つからないままで……」

「そうですか」

「それで御坂に何があったんだよ?」

「……三日前から行方不明なんです」

「御坂が行方不明!?」

 二人の態度から状況がかなり緊迫しているのは予想できたが、流石にそれほど深刻だとは思っていなかった。
 上条が最後に御坂に会ったのは四日前。
 日付が変わっていたから、正確には三日前になる。
 ということは上条が最後に見てから殆ど間をなくして美琴は行方を晦ませたということだ。

「今は少しでも御坂さんの情報が必要なんです。 これから少しお話を聞いても大丈夫ですか?」

「あぁ、俺も詳しく話を聞きたいし」

 少女達は互いに確認するように顔を見合わせる。
 そして少女達に促され、上条は近くの喫茶店へと入るのだった。




 喫茶店に入った上条達は軽く自己紹介すると、美琴について互いに知る情報を共有すべく話し合いを始める。
 ちなみにツインテールの少女の名前が白井黒子で、花飾りの少女の名前が初春飾利。
 白井が美琴の後輩で、その縁で美琴と初春も友達になったらしい。
 今は彼女達も少しは上条に対する警戒心を解いてくれたようで、特に揉めることはなく話は進んだ。

「それじゃあ御坂が姿を消したことはこれまでも何回かあったのか?」

「はい、最初は今からちょうど一ヶ月ほど前。 私の知る限りでは今回で三回目になりますの」

 上条が美琴に出会ったのはおよそ三ヶ月前。
 それから二ヶ月間は何かと絡まれることも多かったのだが、残りの一ヶ月はまるで姿を見かけなかった。
 先日顔を合わせたのは一ヶ月ぶりの再会ということになる。
 その一ヶ月間に会うことがなかったのもやはり何か関係があるのだろうか?

「何があったか尋ねても、お姉様はずっと黙り込んだままでして。 お姉様に限ってそんなことはないと思っていましたが、学校の方はその……何か良からぬことに巻き込まれて精神的な傷を負ってしまったのではないかと」

「おい、それって!?」

「いえ、検査をしても多少怪我をしてることを除けば特に異常は見当たらなかったそうですわ。 ただ姿を消していた間に何をしていたかは、結局その後も話してくださらないままで。 お姉様を相手に無理に精神系の能力者を頼ることもできず、最終的にお姉様には学校に行く以外は外出禁止という謹慎処分が下されましたの」

 白井の話を聞いて特に美琴の身に何もなくて良かったと思う反面、それだけだったら普段の美琴でも十分にあり得るのではないかと上条は疑問に思う。
 上条と美琴が初めて出会ったのもお嬢様には似つかわしくない繁華街だったし、それ以降も完全下校時刻を過ぎてから顔を合わせることがざらにあった。
 まさに漫画に出てくるようなテンプレ通りの不良娘。
 常盤台のお嬢様といえば並の男子なら大半が気後れしてしまうような高嶺の花だが、美琴のせいで上条には変な耐性が生まれてしまっていた。


「ですが謹慎処分中にお姉様は再び姿を消してしまわれて、戻ってきた時も同じように黙り込んだままでした。 それに加えて今度は夜な夜な寮から抜け出す有り様で、学校側もより重い処罰を下そうとしたところでまた完全に姿を消してしまったんですの」

「俺が会ったのは寮を抜け出してた時だったのか」

「本当はこうやって行方不明者の捜索をするのは風紀委員の管轄外なんですけど、私達は御坂さんと親しいということで警備員の捜査に加わらせてもらってるんです」

 美琴の行動に何か理由があるのか上条は頭を悩ませた。
 話を聞くと普段の美琴と変わらぬようにも思えるが、確かに今回は度を過ぎている気もする。
 実際にこうやって警備員や風紀委員まで駆り出されているのだ。
 上条が思っている以上に事は大きくなっているのかもしれない。

「それで上条さんと御坂さんはどんな関係なんですか? 話を聞いてると随分親しいみたいですけど」

「俺とビリビリが親しい?」

「はい。 だってあの御坂さんをビリビリだなんて普通は言えませんよ」

 初春の言葉に何故か表情を険しくする白井。
 そして上条は美琴と親しいと言われて思わず苦笑いを浮かべていた。
 会うたびに一方的に電撃を浴びせられるのだ。
 今まで深刻な被害を受けたことはないとはいえ、二人の関係を表すなら加害者と被害者という言葉が一番しっくりくる。
 ビリビリという呼び名もどちらかと言えば嫌味に近く、少なくとも美琴とは親しいと言い難い間柄だった。

(でもそんな嫌味もこいつらから見たら親しいって思う材料になるんだよな)


 学園都市のレベル5第三位、名門常盤台中学のエース。
 友人である白井と初春にとっても美琴が憧れの的であることは言葉の端々から窺えた。
 ただ友人でさえもそんなフィルターを通して自分を見ている。
 そのことを美琴はどう思っていたのか?

 確かにそれらの肩書は名誉あるものだろうし、他人である上条に彼女達の関係をとやかく言う資格はない。
 だが上条にとって美琴は我儘ばかり言っている、良く言えば年相応の子供らしさを残した普通の女の子に過ぎなかった。
 もちろんレベル5という強大な力を無暗にぶつけられるのは堪ったものではないし、年など関係なく大きな力に責任が伴うのは当たり前だ。
 それでもそんな力のせいで友達とも完全に距離を縮められずにいる。
 その点だけは上条も美琴に同情せざる得なかった。

「初春、今はその話はどうでもいいですの。 それよりもお姉様が姿を消す一番直前に顔を合わせていたのはあなたみたいですけど、何かお姉様の行動で不審な点などは見つかりませんでしたの?」

「不審な点ってほどか分からねえけど、その時は御坂に電撃をぶつけられることがなかったな」

「えっ、御坂さんが白井さん以外にも電撃を?」

「……いつも何とか命からがら逃げ切っております」

「他には何かありませんでしたの?」

「スルーかよっ!? ……まあそれはともかく、そういえば本命に辿り着けなかったとか何とか言ってたな」

「本命ですか?」

「あぁ。 俺が見かけた時、ビリビリの奴ファミレスでスキルアウトに絡まれてたんだよ。 多分その時に何か探ってたんじゃねえかな?」


 そして上条には美琴が何について調べていたか心当たりがあった。
 赤いテレフォンカード。
 美琴が話を切り出したタイミングといい、スキルアウト内で取引されていることといい、何も関係ないと思う方が難しいだろう。

 まさか美琴が行方不明になってるとは夢にも思ってなかったが、やはり赤いテレフォンカードに関わる何かに巻き込まれている可能性が高い。
 それが一刻を争う事態なのか分からないが、いくら少しは手掛かりがあったところで上条一人にできることは高が知れている。
 上条は赤いテレフォンカードについて二人に話そうとしたが……。

「やはり端末の履歴が念入りに消されていたのは、何か調べていたからなんですね」

「え?」

「お姉様は電撃使いの頂点に立つ方ですから。 その力を用いて外部からは分からぬようハッキングすることも十分可能ですの」

「……つまり足が付かないように、何について調べていたか痕跡を残さないようにしてたってことか?」

「確かにお姉様はハチャメチャな部分もありますけど、本当はとても心優しい方ですの。 きっと私達を巻き込むまいとして……」

 美琴が本当は優しいと白井は言っているが、残念ながらその言葉を手放しに受け入れることを上条はできなかった。
 今まで散々迷惑を掛けられていたし、本音を言えば絶対に関わり合いになりたくないタイプの人種だ。
 それでも上条の胸を閊えさせているのは美琴が吐いた一つの嘘。
 その理由が分かってしまったが故に、上条にはもう目を逸らすことができない。


「他に何か御坂さんについて思いつくことはありませんか?」

「……悪い、それ以外に話すようなことはないな」

「そうですか」

「とにかく今は情報をサルベージできないか、もう一回試してみるしかありませんの」

「はい」

 白井と初春はやるべきことが定まったのか、これ以上時間を無駄にしてはられないといった様子で席を立つ。

「ご協力感謝しますわ。 もし他にも何か分かったことがあったら、風紀委員第一七七支部に連絡をお願いしますの」

「分かった」

 二人は上条に一礼すると、そのまま喫茶店を後にした。
 中学生に奢らせてしまったことを若干後悔しつつ、一人残った上条はこれからすべきことに思考を巡らせる。

「ったく、あんまり人様に迷惑かけるような真似してんじゃねえよビリビリ」

 そして一回大きく深呼吸すると、上条もその場を後にするのだった。




「お前が柄にもない真似するから、こっちまで面倒事に関わる羽目になっちまったじゃねえか」

 喫茶店を出て上条が向かった先は公衆電話。
 あの怪人と出会い、赤いテレフォンカードを手にした場所だ。
 先日の奇天烈な体験から少し腰が引き気味になる上条だったが、上条は電話ボックスの中へと足を踏み入れる。
 そして財布から赤いテレフォンカードを取り出した。

「測定器に掛かった金はしっかり払ってもらうぞ」

 取り出したテレフォンカードを差し込み口に入れると、カードはそのままスルスルと公衆電話の中に吸い込まれていく。
 何で親しくもない人間のためにこんなアホらしいことを試しているのか?
 上条は自問自答を繰り返すが、全て美琴がつまらない嘘を吐いたのが悪いと結論付ける。

 あの時に上条と美琴が出ったのは全くの偶然で、その時点で上条は赤いテレフォンカードについて何も知らなかった。
 だから何も知らない上条が話を真に受けて、もし赤いテレフォンカードを見つけてもそのまま破棄することを美琴は期待したのだ。
 ネットでは赤いテレフォンカードの噂が飛び交っているし、そこに人体に悪影響を与えるという情報など一つもない。
 美琴の吐いた嘘は少し調べればすぐに分かる、正直お粗末なものだった。

 それでも美琴がそんなお粗末な嘘を吐かなければならなかった理由。
 それは端末の履歴などを消して白井達を巻き込むまいとしていたのと同様に、美琴が上条のことも赤いテレフォンカードに関わらないよう配慮した為だった。
 嘘の中身が吟味されたものでないのは二人が出会ったのが偶然で、恐らくその場の出まかせだったからだろう。


 しかしいくらお粗末であろうとなかろうと、上条の中ではっきりしてるのは美琴が嘘を吐いてまで自分を巻き込むまいとしていたことだけだ。
 本気で殺す気はないと信じたいが、普段の美琴はあれだけ上条に容赦のない電撃を放っている。
 そんな美琴が上条の身を気遣わなければならないほどの状況。
 逆に考えれば、それだけ美琴が窮地に立たされている可能性が高いということになる。

ピポパポピポパポ トゥルルル トゥルルル

 上条は美琴のことが好きではない。
 我儘で傲慢で、人に迷惑を掛けることを何とも思わないただの餓鬼。
 少し顔が可愛いからといって、それだけでホイホイ付いていくほど飢えている訳でもない。
 だが例えそれが気まぐれで単なる偶然であったとしても、美琴は上条に対して小さな善意を見せた。
 その善意を知りながら見て見ぬふりをするなど上条にはできなかった。

『おはようございます! 世界は つ・な・が・る サイレン入国管理センターです!』

 その選択が何を意味するのか少年はまだ何も知らない。
 しかし何も知らずとも、少年はその一歩を踏み出してしまった。
 世界を繋げる鍵――それを用いて定められし運命に抗う道の……。

以上になります

>>16さん
別人です
ちょうどこのクロスを書こうと思ってた時に他の人がスレ立てをしてて実際に書くかどうか先延ばしにしてました
本当は現行で他にも書いてるものがあって複数スレ立てするのはどうかと思ったんですが
色々あって好きなことができる時に好きなことをしようと思い立ちました

感想などあったら嬉しいです

>>1
アンチスキルの人ですか?

投下します

CALL.03 入国審査

『――それではこれから入国審査を行います』

「はぁ!? 入国審査って、ちょっと待『質問にお答えください。 質問ハ二択ニナッテオリマス』」

 赤いテレフォンカードを入れると、自動で何処かへ繋がる公衆電話。
 そして電話を取った先から聞こえてきたのはふざけた女の声だった。
 サイレン入国管理センター。
 その言葉を聞いて上条はようやく赤いテレフォンカードに書かれた『PSYREN』という文字が『サイレン』と読むことに気がつく。

(それに良く聞くと、これって録音音声じゃねえか。 取り敢えず今は従うしかないよな?)

 本当はすぐに美琴の居場所を上条は問い質したかったが、これでは電話の先に誰かがいるかどうかも分からない。
 しかしだからと言って手掛かりが他にない以上、ここで電話を切ったり、下手に逆らったりしてあちら側から切られる訳にもいかなかった。

『はいノ場合ハだいやるノ①ヲ、いいえノ場合ハだいやるノ②ヲ押シテ下サイ。 第1問――12歳以上ノ日本人デアル Yes or No』

 思ったよりも普通の質問に若干拍子抜けしながらも、上条は①のダイヤルを押す。

『第2問――コノ国ノ未来ニ絶望シテイル Yes or No』

 そしてその後も質問は続いていき……。


『第31問――80℃以上ノ熱湯ヲ顔面ニカケラレタ事ガアル Yes or No』

「うっ、不幸だけど①」

 質問の中身はまるで心理テストでもされているかのように多岐に渡っていく。
 中には「青い血を流したことがある」「人間より大きな生き物を殺した経験がある」など、かなりぶっ飛んだものまであった。
 質問を答えていく内に上条の心を支配していく妙な薄気味悪さ。
 怪人に出会った時に感じたプレッシャーとは違う、言い得ぬ不快感を上条は肌に感じていた。

『第61問――将来ノ事ナンテ何モ考エテイナイ Yes or No』

 いつまでこの質問は続くのだろうか?
 上条の目的はあくまで美琴の居場所を突き止めることだ。
 手掛かりがこの電話しかないとはいえ、美琴がどんな状況にあるかも分からない。
 上条は徐々に焦りを募らせていくが……。

『第62問――過去ニ家族以外ノ人間カラ疫病神ト疎マレ続ケタ挙句ニ、借金ヲ背負ッタ男ニ包丁デ刺サレタ事ガアル』

「えっ、何で」

『理不尽ニ降リカカル不幸ニ、半バ自分ノ幸セヲ諦メテイ……』

 次の質問を最後まで聞くことなく、上条は電話ボックスの外に飛び出していた。


「どっかで見てるんだろっ!? いるんだったらさっさと顔を出しやがれ!」

 今の質問。
 それは意味があるのか分からないこれまでの質問とは異なり、まるで上条を狙い澄ましたかのように身に覚えのあるものだった。
 上条はすぐ近くで見張っている人間がいる筈だと周囲を見渡すが、電話ボックスの周辺はシンと静まり返り人の気配は感じられない。

「何なんだよ、お前? どうして俺のことを知っている?」

 電話ボックスに戻った上条は思わず感情のままに受話器に向かって質問をぶつけていた。
 何処の誰だか知らないが、この録音音声の主は間違いなく上条のことを知っている。
 それも上条が学園都市に来る以前のことまで……。
 確かに過去も含めて上条のプロフィールを調べ上げることは不可能ではないだろうが、何の為にそんなことをしたのか?
 上条がこの公衆電話で赤いテレフォンカードを使うことを決断したのはつい先程で、これでは上条の行動を予知していたと言わんばかりだ。

「御坂をどこにやった? 答えろ!」

 上条の中で疑問が膨れ上がるものの、今はそれに構っている暇はなかった。
 姿の見えない電話でどのようにして上条の存在を特定したかしらないが、どうやらこの質問はただ録音音声を繰り返していた訳ではないらしい。
 それならば今も電話の先に美琴を何処かに連れ去った人間がいる可能性もある筈だ。
 自らの疑問を掻き消すように、上条が今一番知りたい答えを電話に求めると、

『ジジ……ジジジ、本当にその答えを知りたいか?』

 一瞬ノイズが走った後、電話の音声がクリアなものへと切り替わる。
 先程までの録音された女の声ではない。
 何処か無機質で中性的な印象を受けるが、今の声は恐らく男のものだろう。
 そして今度は一方的な録音音声ではなく、ちゃんと会話が通じるようだ。


「その為にこんな真似してるんだ! 御坂は今どこにいる?」

『超電磁砲は現在あるゲームに参加させられている』

「ゲームだと?」

『そうだ。 そして彼女を連れ戻す為には君もそのゲームに参加しなければならない』

 胡散臭くなってきた話に上条は顔を顰める。
 ゲームと言われても、言葉通りに安易なものとして受け止めることはできない。
 現に今も風紀委員や警備員が行方不明者として美琴の行方を捜しているのだ。
 まだ中学生の少女とはいえ、レベル5をゲームと称した「何か」に強制的に巻き込むだけの力の持ち主。
 そこにどんな危険が潜んでいるか分からないし、返事をするにはあまりにも情報が少な過ぎた。

『最初に断っておくが、そのゲームを仕組んだのは私ではない。 超電磁砲の「所有権」は今も私が握っているがね。 だがゲームそのものに関与していない以上、ここでいくら私を恫喝したところで彼女は帰ってこないことは理解できるだろう?』

「テメェじゃないんだとしたら、誰が御坂をそのゲームってヤツに巻き込んだんだよ?」

『残念ながらその質問に答えることはできない。 ただ私にしてみれば超電磁砲の為だけに君をあのようなゲームに参加させて、そのまま失うような事態になるのは大きな損失なのだよ』

「何っ!?」

『ここで君が何もしなくても、彼女が無事に帰ってくる可能性は十分にある。 それどころか今の君が不用意にゲームに参加したところで、却って足手纏いになる可能性が高いくらいだ』


 上条は心の中で男の言葉を反芻していた。
 その言葉通りに受け止めるなら、この男にとってレベル5の第三位である美琴より上条の方が価値が高いということになる。
 学園都市でも他に類を見ない上条の右手に宿る特異な力。
 身体検査ではレベル0という判定を受けているものの、確かに学園都市ならこの力に目を付ける人間が存在してもおかしくない。
 そういう人間なら上条の過去について調べていても一応の筋は通っている気がする。

 そして次に注視しなければならないのは、そんな上条の力も男の言っているゲームでは恐らく役に立たないということ。
 今まで美琴を相手にしても負けたことが一度もない上条だったが、その力の使いどころは酷く限定的だ。
 右手の力と少々喧嘩慣れをしていることを除けば、上条本来のスペックは普通の高校生と何ら変わりない。
 それに比べて美琴の力は応用できる範囲が広く、危機的状況に置かれた時に力になるのは間違いなく美琴の方だろう。
 だとすれば美琴を助けると息巻いたところで、実際に上条ができることは……。

『もう良いのではないか? 君は決して見て見ぬふりをした訳ではない。 ここまでやったら後は他の人間に任せても問題ないだろう?』

(っ、コイツ!?)

 この男は上条の過去だけではない、上条当麻という人間の在り方まで良く知っている。
 何の解決にならないことを知っていても、何かやったという慰めだけは欲しい。
 美琴の行方に関する手掛かりは得ることができた。
 ここから先は何の力にもなれないのが分かっているならば、後は事情を話して然るべき人間に託すべきではないのか?
 男の言っていることは上条の思考に基づいた、上条がこれから取るであろう行動そのものだった。


「……るな」

『何か言ったか?』

「ふざけるなって言ったんだよ、このストーカー野郎っ!!」

 しかし男があまりにも的確に自分のことを理解しているからこそ、上条が男の言葉に素直に従うことはなかった。

「どこまで調べてんのか知らねえが、人のことを知った風な口利きやがって! そもそもテメェが本当のことを言ってるって証拠だって何一つないんだ! 得体の知れない奴の言うことに、はいそうですかって頷くとでも思ってんのか!?」

 過去に人間関係で凄惨な経験をしているとはいえ、上条は人間嫌いでもないし人間不信に陥ってもいない。
 だが他人が言うことを全て真に受け、人の善性を疑わぬほど盲目的なお人好しという訳でもなかった。
 本当に相手が信用に足る人物なのかどうか?
 もちろん完全とまではいかないが、最低限の人を見る目はあるつもりだ。

 男は上条の身を心配するようなことを口にしつつも、その一方で危機的状況にあるかもしれない女の子を放っておけと平気で言う。
 別に上条に美琴を助ける義務がある訳ではない。
 男の言う通り、上条では何の力にもなれないのかもしれない。
 ただ自分のことをやたらと念入りに調べ上げている正体不明の相手を信用できるかと聞かれた時、上条の答えはNOに決まっている。
 美琴が本当に無事に帰ってくる確信も何もないまま、男の言葉に従ってこのまま引き下がるなどできる筈がなかった。

『ならどうする? 君自身に命の危険が及ぶかもしれないようなゲームに参加すると言うのか?』

「そのゲームってヤツの真相も含めて、俺は自分の目で確かめる。 だから本当に御坂の居場所を知ってるなら教えてくれ」

『……やはりこうなるか』


 上条がこのような決断をすることまで予測していたというのだろうか?
 電話の先で男は残念そうに呟く。
 まるで全てを見透かされているかのように、何もかもがこの男の手の上で進んでいるような錯覚。
 それが上条は気に食わないが、今更自分の意志を曲げるつもりはない。

『ではせめて君が最初のゲームを生き残れるよう一つだけ贈り物をさせて貰おう』

「贈り物?」

『超電磁砲と共に帰ってくるか、それとも二人揃って命を落とすか、それは全て君次第だ。 私が失望することないよう、君の健闘を祈っている』

「ちょっと待て! 贈り物って何のこ『第63問』」

 しかし男の答えは返ってくることなく、再び電話の音声が切り替わる。
 受話器から聞こえてくるのは先ほどまでと同じ女の録音音声になっていた。

『"さいれん"ニ行キタイ Yes or No』

「そういえば入国審査とか言って始まったんだっけ」

 一時間にも満たない出来事であったにも拘らず、随分と精神的に振り回された気がする。
 「さいれん」というのが男の言っていたゲームのことなのだろうか?
 いくつかの情報を手に入れることはできたが、それ以上に知らなければならないことが増えてしまった。


「……ホント、何でこんなことしてるんだろうな?」

 そして上条は公衆電話の①のダイヤルを押した。
 これは上条が自分で決めたことなのだから美琴に責任を押し付けることはできないのだが、何だか測定器の代金を払って貰うだけでは割に合わない気がする。
 今までの迷惑料も含めて、二度と電撃をぶつけてこない事くらい約束させても罰は当たらないんじゃないか?
 とにかく美琴の無事を無事に連れ戻せたら、文句の一つでも言ってやろうと上条は心に決めるのだった。

『入国ノ意志ヲ確認シマシタ。 特別枠デノゴ案内トナリマス。 げーむヘノ呼ビ出シガ始マリマシタラ、電話二オ出ニナッテクダサイ』

ジリリリン ジリリリン ジリリリン

 目の前の公衆電話のものでも、ポケットに入ってる携帯電話のものでもない。
 上条の頭の中に直接電話のベルが鳴り響く。
 どういう理屈か分からないが、これがゲームへの呼び出しと見て間違いないだろう。
 電話に出ろという言葉に従って、既に手に取っていた公衆電話ではなく携帯電話の通話ボタンを上条が押した瞬間、

 静寂

 頭の中でけたたましく鳴り響いていた電話のベルは止まり、上条の身体を一筋の風が吹き抜けた。
 何が起こったか理解が全く追い付かない。
 上条がいたのは夕焼け色に染まった電話BOXの筈だ。
 それなのに上条の目の前に今広がっている光景は……。


「何だ……何だよ、これっ!?」

 見渡す限り広がる荒れ果てた大地。
 まるで隕石でも降ってきたかのように穴が開いた巨大なクレーターや、崩壊した建物の数々。
 それはSF映画などでよくある荒廃した世界そのものだった。

「ギャアアアァァァ!!!!」

 しかし上条がこの異常事態をはっきりと認識する間もなく、更なる異常が襲い掛かってくる。
 上条の耳に飛び込んできたのは誰かの悲鳴。
 悲鳴のした方に目を向けると、どうやら崩れた建物の中から聞こえてきたらしい。
 声の様子からして何か緊迫した状況にあるのは明らかだ。
 上条は咄嗟に建物に向かって走り始めるが、

「た、助けて」

 建物の中で助けを求めていたのは中年の男性だった。
 しかし助けを求める人間を目の前にしても、上条はその場から足を動かすことができない。

ジュルルルルルル

 気味の悪い呻きを上げながら、倒れた男性の上を蠢く不気味な生き物。
 ムカデのような体躯に、アリジゴクのような大顎。
 それだけなら只の巨大な蟲に見えなくもないが、何よりも異形なのはその頭に当たる部分だ。


「うっ」

 化け物の顔はまるで人間のようだった。
 ただしそれを完全に人の顔と形容するのはあまりにも憚られる違いが大きい。
 不気味に蠢き続ける白い瞳孔に、口からは触手のように飛び出した多数の細い管。
 そんなグロテスクな存在を前にして上条は吐き気を覚える。
 それが例え想像であっても許されないような、人に不快感を催すだけの歪な存在。

「お願いだ、助けてくれええぇぇ!!」

 必死に助けを求める男性と目が合った。
 この状況から何よりも連想されるのは『死』のイメージ。
 実際に化け物に襲われている男性だけじゃない。
 上条もこの場に溢れる現実味を帯びない異様な雰囲気に、死というものを間近に感じ取っていた。

「頼む、見捨てないで!!」

 思わず後ずさっていた上条に、男性の悲痛な叫びが追い打ちを掛ける。

 助けてと言われたって、こんな状況でどうしろって言うんだ?
 見ず知らずの男のために、あんな化け物に立ち向かえって言うのか?

 上条の中で様々な思いが去来する。
 考えが甘過ぎた。
 別に上条は美琴を救い出してヒーローになりたかった訳じゃない。
 ただ美琴の善意を知りながら、放っておくことができなかっただけだ。
 それがこんな非現実的な事態に直面する羽目になるなんて……。


ジュルルル、ギィ

 逃げるべきだった。
 上条の目的はあくまでも美琴を連れ帰ることで、ましてや今は自分の身が安全なのかどうかすら分からない。
 そんな状況で保身も考えずに動けるような者がいたとしたら、それこそ本物のヒーローくらいなものだ。
 そして化け物の鋭い大顎が男性に振り下ろされた瞬間、

「くそっ!」

 まるでコンクリートの壁にでもぶつかったような固い感触。
 上条の体当たりを食らった化け物は、その衝撃によって男性の上からずり落ちる。

「早く逃げろっ!!」

「ひぃっ!」

 化け物が退くと同時に、男性は一刻も早くこの場から逃げ出すために走り始めた。
 そして上条もすぐにその後に続く。
 上条は何も無欲で、男性を助ける為だけに動いた訳ではなかった。
 ただここで生きている人間を見殺しにして、これから先のうのうと暮らしていくことが果たしてできるかどうか?
 そんな思いを天秤に掛けた結果、精神的な安寧を図っただけだ。
 しかし結果として、上条の選択は最悪の誤りだった。

「ぐああぁぁっ!!!!」

 右脚の脹脛に激痛を感じると共に、上条の身体は地面に倒れ込む。
 嫌な予感と共に上条が倒れたまま後ろに目を向けると、そこには


ジュルルルルルル

 上条の右脚に大顎を突き刺す化け物の姿があった。
 あまりの痛みと恐怖に上条は声にならない悲鳴を上げる。
 そして上条は縋る思いで顔を上げるが、

「ははっ」

 こんな状況であるにも拘らず、上条は小さな笑いを零す。
 男性はチラッと一瞬だけこちらを振り返るが、足を止めるようなことはなかった。
 そのまま男性は上条からみるみる遠ざかっていき、すぐにその姿は見えなくなってしまう。
 助けを期待するのが恩着せがましいことだとは分かっている。
 それでも、ほんの少しでも躊躇う素振りさえ見せてくれたら救われるものもあっただろうに……。

 ズブリと音を立て、上条の脹脛から化け物の大顎が引き抜かれる。
 しかしこの脚では逃げ切ることができないのを上条は悟っていた。
 何よりその気力が湧いてこない。
 美琴を助けに来た筈が、見つけることもできないまま人知れず死んでいく。

 思えば電話であの男が言っていたことは全て正しかった。
 何の力もないのに、自分から首を突っ込むような真似をして。
 ヒーローなんかにはなれないと思いつつも、そのくせ実際はヒーローを気取っていただけなのかもしれない。

(まあ偽善使いにお似合いの最期ってことかもな)

 化け物は上条の背中を這い、乗りかかってくる。
 奇しくもその体勢は先ほどの男性と全く同じだった。
 その悍ましい感覚に反して、あれほど感じていた恐怖は次第に収まっていく。


 死を完全に覚悟したとは言えない。
 だが笑えるくらいここまで男の言葉通りに事は進んでいる。
 それならば上条が何もせずとも、美琴が無事に帰ってくる可能性があるという話も本当なのかもしれない。
 まだ何の確証もない可能性の話に縋るのは難だが、今はそれだけが上条にとって救いになっていた。
 
ジュルルル、ギィ
 
 今度は足止めの為ではない。
 止めを刺すために化け物が上条の急所に向かって大顎を突き刺そうとしたその瞬間、

バチィバリバリバリィ

 何処か聞き覚えのあるスパーク音が聞こえたかと思うと、上条の上にドシリと重い物体が圧し掛かってきた。

「今の出力じゃ完全に倒しきれないから、コイツが伸びてる間に早くこっちに……って何でアンタがここにいるのっ!?」

 この状態から救い出されるのまで、先ほどと非常に良く似ていた。
 ただし上条を救い出したのはヒーロー気取りの偽善者などではない。

(これじゃあ測定器の代金を請求するなんて図々しい真似はできないな)

 上条は思わず苦笑いを浮かべた。
 そして見知ったその恩人に片手を上げて軽く挨拶をする。

「よぉ」

「どうなってんのよもう!」

 驚いているのか、呆れているのか?
 何とも言えない表情を浮かべた美琴が上条の目の前に佇んでいた。

以上になります

期待の声ありがとうございます
自分もPSYREN大好きでした

原作の○○○○ターを考えると今回の話は不自然な点が多いですが、一応自分なりに理由付けはしています
それが明かされるのは先になると思いますが、それまではどうか突っ込まずにいてやってください

>>39さん
それも別の方ですw
あんまり他のスレの話はしないつもりなんですが、この酉でしかss書いてないので良かったら検索してみてください

それとここからは読んでくださってる方に質問です
このssは禁書キャラによるパロディという訳ではなくPSYREN原作とのクロスオーバーになります
よってこの先はPSYREN側のキャラクターも登場してきます
そしてゲームの最中はPSYREN側のキャラと行動を共にすることが殆どなのですが
元の世界ではアゲハ達とは別視点での話になります
ただ上条さん達の視点に限定するとPSYRENを読んでない方は理解しづらい部分が出てくるかもしれません
説明するだけで理解してもらえるよう何とか頑張るか、それともPSYREN側のキャラ視点もしっかり書くか
そもそもPSYRENを読んでない方がこのssを読んでるか分かりませんが、考えを聞かせていただけると幸いです

生存報告
もう少しお待ちください

本当にすみません
年度末は仕事が忙しすぎて書き溜める暇が全然ない
四月になったらまた定期的に投下できるようになると思います

2週間以内に投下します

すまぬ
今回はマジで帰ってこれないかもしれない
一回落として生存できたらまた立て直す

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月30日 (火) 15:46:43   ID: ISo6BWZ5

これは…上条さんが鼻血出して
ライズとか使えるようになるんだろうか

2 :  SS好きの774さん   2015年01月05日 (月) 03:21:22   ID: TZaPFuF_

カード自体が能力で作り出したものだから触ったら消えるだろ

3 :  SS好きの774さん   2015年01月05日 (月) 03:27:31   ID: TZaPFuF_

原作読んでから書けよ

4 :  SS好きの774さん   2015年01月05日 (月) 12:23:39   ID: AiSrWa2p

※2※3
まだ本格的に物語も始まってないのにこれだからオツムの足りない禁書厨は

5 :  SS好きの774さん   2015年01月05日 (月) 14:56:09   ID: TZaPFuF_

※4
禁書じゃなくてPSYRENの話なそんなことも解らないのか

6 :  SS好きの774さん   2015年01月05日 (月) 16:16:28   ID: erGK6myT

原作厨キモ過ぎ
そんなの誰でも分かってるし、そうならないのは理由があるからだろ
それ言ったらカード消えるのもそうだが、サイレンにだって行けないんだし
少なくとも話の核心に触れるまでは黙ってろよ

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