QB「メリークリスマス!」 (53)

--ほむらの家--

QB「んっしょんっしょ……よし」

ほむら「……キュゥべえ。そんな大きな袋に赤い帽子までかぶって……何をしているのかしら?」

QB「見てわからないのかい? サンタクロースだよ」

ほむら「それは分かるけど……」

QB「魔法少女達のメンタルケアもかねてね。僕達がプレゼントを配る事によって魔法少女のソウルジェムの濁りを抑える事が出来る。それにそれとは別に新たな魔法少女を見つける事も目的の一つさ」

ほむら「……あなた達そんな事やっていたの……?」

QB「……そもそもサンタクロースの正体は僕達だよ」

ほむら「……え?」

QB「僕達は普通の人間には見えないし、プレゼントを配るにも人数は充分だ。何せ僕達は世界各地にいるんだから」

ほむら「……えぇえ!? じょ、冗談でしょ!?」

QB「冗談に決まってるじゃないか。何を言っているんだい?」

ほむら「……」

QB「無言で首を掴まないでくれるかな。個体一つ失ったところで僕達に支障はないけど、勿体ないじゃないか」

ほむら「あなたがくだらない冗談を言うからよ。ていうかあなたいつ冗談なんて言う事を覚えたのかしら?」

QB「僕達は日々人間の感情を研究しているからね」

ほむら「……まぁいいわ。今後一切私の前でそんなくだらない事はしないと約束してくれない?」

QB「やれやれ、君達は僕が冗談を言うといつも同じような……いたた、力を強めないでくれ……わかったよ」

QB「……などと茶番をやってる暇はないんだよ。早くプレゼントを配りにいかないと」

ほむら「あ、そっちは本当だったのね」

QB「うん。僕の管轄は……まぁいつものメンバーだね」

ほむら「まどかになぎさにさやかに杏子にマミ……。……一応言っておくけどまどかやなぎさに変な事をしたら」

QB「しないよ。役割だからプレゼントは配るけど魔法少女に勧誘はしない。したいけど、君にこの世界から消滅されてしまってはたまったものではないからね」

ほむら「……分かっているのならいいけど」

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--外--

QB「さて、ではまわっていくことにしよう」

QB「まずは……さやかと杏子だね。何か嫌な予感もするけれど……行ってみよう」

--さやかの家--

さやか「へへーん。あんたなんかに首位は渡さないよ」

杏子「アイテムは緑甲羅一つか」

さやか「あはは。それじゃぁさやかちゃんのバナナ防御は崩せないぞー」

杏子「ま、充分だな。てい」

さやか「……な!? 壁の反射で横から当てられたぁ!?」

杏子「はい、あたしの勝ち。さやかは……」

さやか「うわ、ボム兵!? ……い、嫌なトラウマが。てぎゃ! ブーメラン!? さらに赤甲羅が! あ、体当たりされてそのまま穴に……」

杏子「……最下位じゃん。どんまい」

さやか「おーのーれー! 次こそは絶対に……」

杏子「まてさやか。……誰か来たぞ」

さやか「……うん。気づいてる。あたしの家に侵入してくるなんていい度胸じゃん」

QB「はいはいキュゥべえサンタ……うわ!!」

杏子「覚悟……ってキュゥべえじゃん」

さやか「……あんた。何しに来たの?」

QB「成程。結界を張って侵入者に気づけるようにしていたんだね」

杏子「あぁ。最近例の事件といい物騒な事が多いしな。用心するにこした事はないだろ?」

さやか「で、本当にあんた何しに……っていうか何その恰好」

QB「サンタクロースだよ。見て分からないのかい?」

さやか「……はい?」

QB「魔法少女のメンタルケアの意味も込めてプレゼントを配って回っているんだよ。……まさか襲いかかられそうになるとは思ってもいなかったけど」

杏子「あー。悪ぃ……」

さやか「……ごめん」

QB「さやかにはこれだよ」

さやか「……ぅぉぅレコード。年代物ですなぁ」

QB「最近はレコードが流行ってると聞いたからね」

さやか「あー……アナログ音源ブームとかあるらしいね」

QB「でも音はCDの方がいいはずだよね。自分で持ってきておいて何だけど、何でわざわざ音の悪い媒体を好むのだろう」

さやか「確かアナログでしか出せない音とかあるとかなんとか……シベリウス……お、カラヤンじゃん」

杏子「カラヤン。何だそれ、うまいのか?」

さやか「え? カラヤンだよ? 指揮者の。知らない?」

杏子「全然知らん」

さやか「……一緒に聞いてみる? かなりいいやつだよこれ」

--30秒後--

さやか「レコードもこれはこれで味がありますなぁ」

杏子「飽きた」

さやか「……ですよねー……。でもよく30秒も我慢してた。えらいぞ杏子。いい子いい子」

杏子「うっせぇ、あたしを子供扱いすんな。てかあたしのプレゼントはないのかよ」

QB「君の分はこれだよ」

杏子「こ……これは……プレミアムロッキーじゃねぇか!」

さやか「……何それ。凄いの?」

杏子「すげぇも何も限定生産で数週間しか販売されなかった超レアもの高級食品だぞ! こんなのどうやって手に入れたんだよ」

QB「僕達インキュベーターの科学力を舐めてはいけない……まぁ、今日の為にあらかじめ購入しておいて干渉遮断フィールドで外界からの干渉を無効化し、賞味期限を遅らせたりしてただけなんけどね」

さやか「む、無駄に凝った事を……」

杏子「うめー! 超うめー!! さやかも食うかい?」

さやか「たかがロッキーにどれだけ……ってめちゃうま!」

杏子「だろ?」

さやか「……ロッキー侮りがたし」

QB「じゃぁ僕はそろそろ行くよ」

さやか「……待って!」

QB「?」

さやか「……あんたのした事を許す気はない。……でも、それはそれ、これはこれだよね。だから」

さやか「プレゼントありがとう。このレコード、大事にするよ」

杏子「あたしもロッキー大事にするぜ。サンキュー」

QB「や、ロッキーは賞味期限があるから早めに食べた方がいいよ」

杏子「あーそりゃそうかぁ……でもプレゼントって考えると何か勿体ないしなぁ……賞味期限ぎりぎりまではしまっとく」

QB「……後でロッキーの状態から賞味期限を算出して杏子に教えるよ。まぁ、喜んでくれてよかった。それにしても……さやか、まだ過去の事、覚えていたんだね」

さやか「当たり前でしょ。さやかちゃんはしつこいんだ!」

QB「僕は立場上援護もできないし、君が彼女に勝つのは厳しいと思うよ」

さやか「……あたしはあたしなりにあいつとの決着はつけるつもりだよ。……キュゥべえ、あんたが心配しなくても大丈夫」

QB「心配しているわけでもないけどね。……まぁ頑張って」

さやか「おう、あいつに目にものをみせてやる!」

杏子「……おい、何の話だよ」

さやか「こっちの事。じゃぁゲーム再開といきますかー!」

杏子「ん? 最下位がなんだって?」

さやか「このー! 今度は負けないぞー! あ、そうだ。キュゥべえも一緒にやっていきなよ」

QB「え、僕は時間が……」

杏子「いいじゃん。やってけよー」

QB「……分かったよ。でも手加減はしないよ。何をやるにも全力が僕の主義だからね!」

杏子「……言うじゃん。さぁ一名様ご案内ー」

さやか「次こそさやかちゃんが絶対に勝ーつ!」

QB「無駄に時間をかけてしまった……ちなみに勝負の結果は……さやかの名誉の為に伏せておこう」

QB「それにしても、美樹さやかにまだ記憶が残っているなんてね。この事を暁美ほむらに……伝えなくてもいいか」

QB「さて、次はマミとなぎさだね。確か今日は一緒にいるって話だったから二人分簡単にすませられそうだ」

--マミの家--

なぎさ「そろそろおねむなのです……」

マミ「もう夜も遅いものね。今日は来てくれてありがとう、なぎさちゃん」

なぎさ「チーズとマミがいるところにはいつでもかけつけるのです。両方あったら大歓迎なのです」

マミ「もう、調子がいいんだから……」

マミ「……なぎさちゃん。ちょっと奥に隠れてて」

なぎさ「……マミ?」

マミ「大丈夫。心配しなくていいから」

マミ(結界に誰か侵入してきた。……まさか、最近の魔法少女狩りの犯人? それにしてもこんなに堂々と襲ってくるなんて……)

マミ「そこまでよ! ……ってあなた」

QB「やぁ、クリスマス仕様キュゥべえだよ。 その物騒なマスケット銃をおろしてくれると助かるかな」

マミ「キュゥべえ! ……もう、驚かさないでよ」

QB「さやかの家の結界と同じだね。成程、君が結界を作っていたわけだ」

マミ「えぇ。件の魔法少女狩り。家を直接襲うなんて選択肢を考えていないとも思えないし。……本当に驚いたわ」

QB「ごめんごめん」

なぎさ「それよりも、その袋の中身はなんなのですか?」

QB「あぁ。はいなぎさ。君へのクリスマスプレゼントだ」

なぎさ「これは……カマンベールチーズなのです!」

QB「君はよくカマンベールカマンベール言っていたからね」

なぎさ「? よくわからないですけど……いただきますなのです!」

マミ「こら、さっきチーズケーキを食べたばかりでしょ。それに夜遅くに食べるのはよくないわ」

なぎさ「むぅ……マミ、お母さんみたいなのです」

QB「それで後はマミの分なのだけれど……正直悩んだんだよ。君は何を受け取っても喜びそうだしね。それだけにこれという物が分からない」

QB「感情を持った僕達が集合して作られたネットワークがあってね。そこにアクセスしてアイディアを出してもらったんだ。それで選ばれたのが……」

マミ「これは……セーターに鍋つかみにエプロン、手袋にそれにマフラー。随分いっぱいあるわね……」

QB「特に数は制限してなかったからね」

マミ「このマフラー随分長いわね」

QB「何でも恋人歩きというのが出来るらしいよ」

マミ「恋人歩き!? ……でも、いいわね。そういうのも」

QB「マミ?」

なぎさ「カメラの設定はOKなのです!」

マミ「それじゃキュゥべえ、なぎさちゃん。準備はいい?」

QB「僕も準備はいいというか、マフラーに巻きつけられて動けないんだけどね」

なぎさ「ばっちりなぎさも巻きつけたのです。いつでも大丈夫なのですよ」

マミ「じゃぁ、三人で撮りましょう。はい」

なぎさ「チーズなのです!」

QB「マフラーが……もがもが」

なぎさ「Zzz……チーズがいっぱいなのです……」

マミ「寝ちゃったわね」

QB「それでは僕もそろそろ……」

マミ「キュゥべえ。その……少し話し相手になってくれないかしら」

QB「どうしたんだい?」

マミ「……魔法少女狩りの件よ。茜ヶ咲中学の『切り裂きさん』。あなた何か情報を持っていないかしら」

QB「僕は中立だからね。あまり助言は出来ないけれど……結界での対応という判断は間違っていないと思うよ」

マミ「そう……」

QB「……じゃぁそろそろ」

マミ「ま、待って。その……プレゼントありがとう。とっても嬉しいわ。あ、後ね。別に私が何をもらっても嬉しいわけじゃなくて、その……」

マミ「あなたからプレゼントをもらえることが、嬉しいのよ」

QB「そういうものなのかい。そういう感情は僕にはあまり理解ができないなぁ」

マミ「……最近あなたが暁美さんのところにいつもいってて……凄くさびしかったんだから」

QB「マミが寂しがり屋なのは相変わらずだね。でも、今はなぎさがいるじゃないか」

マミ「なぎさちゃんは好きだけど……あなたは私の命の恩人で、戦い方を教えてくれたなぎさちゃんとはまた違う理由で、大切な人だから」

QB「僕は人じゃないよ。大体戦い方は大部分君が独学で編み出したものじゃないか。……まぁ、最初にリボンを振り回して戦っていた頃はいろいろ助言していたけれど」

マミ「あなたがいたから今の私があるのよ。だから……一緒に話をしてくれているだけでも、嬉しいの」

QB「……分かった。今日はあまり長くは居られないけれど、付き合うよ」

QB「随分長く話続けてしまった」

QB「……マミもまだ中学生だしね。これからはまたマミの家にもちょくちょく顔を出す事にしよう」

QB「さて次は……まどかの分だ」

--まどかの家--

まどか「Zzz……」

QB「寝てるみたいだね」

QB「見る感じ……家族パーティーをやっていたようだ」

QB「寝てるのを起こすのも忍びないし、枕元にプレゼントだけおいて立ち去るとしよう」
まどか「……タツヤ―……」

QB「まどか?」

まどか「……ぎゅー」

QB「まどか、寝ぼけているのかい。僕はキュゥべえだよ。タツヤじゃないよ。抱きしめないで」

QB「……身動きがとれない」

QB「……しょうがないなぁ……」

--朝--

まどか「んん……」

QB「おはよう、まどか」

まどか「!? きゅ、きゅぅべえ!? 何で部屋の中に!?」

QB「君が抱きしめて離さなかったからだよ。それよりも……ほら、クリスマスプレゼントだ」

まどか「わ、プ、プレゼント!? わぁ、これは、黒猫のぬいぐるみ?」

QB「うん。君は事前に小さくてもふもふしている動物が好きという情報があったからね」

まどか「エイミーみたい……ありがとうキュゥべえ!」

QB「さて、他の家族も起きてくるところだろうし、何か余計な事を言ったらほむらに滅ぼされてしまいそうだし、僕はこの辺で失礼するよ」

まどか「キュゥべえ」

QB「なんだい?」

まどか「メリークリスマス!」

QB「……うん。メリークリスマス」

--ほむらの家--

ほむら「……戻ってくるの、随分遅かったじゃない」

QB「君のことだ。一部始終全て見ていたんじゃないのかい?」

ほむら「えぇ、あなたのやる事だもの、何か好からぬ事でもたくらんでるのではないかと思っていたけど……まさか、本当にプレゼントを配るだけなんて……」

QB「ん? だから魔法少女のメンタルケアの為に……」

ほむら「……もういいわ」

QB「不満なのかい?」

ほむら「……まぁ、不満ではないけれど」

QB「さて、君が最後だ。はいプレゼント」

ほむら「え? 私に? ……何で?」

QB「いつものメンバーに渡すって言ったじゃないか。君がそれをどう解釈したのかはしらないけど」

ほむら「……まぁいいわ。私に何の……って銃じゃない。こんなもの……ってこれって……まさかオートマグ!?」

QB「君らの世界では希少性の高い銃らしいと聞いたけれど」

ほむら「本当に希少よ……こんなものどこから……って言うのもナンセンスよね。あなた達ならこれぐらいのものは用意できるのだろうし」

ほむら「それじゃぁ、早速……試し撃ちといきましょうか」

QB「無駄だと分かっているのに凝り」

ほむら「冗談よ」

QB「……」

ほむら「ありがとうキュゥべえ。大事にしまっておくわ」

QB「武器としては使わないのかい?」

ほむら「今の戦闘スタイルじゃ銃なんて使わないし……それにオートマグはオートジャムなんて言われててね。とにかく作動不良を起こしやすいの。武器としては欠陥品と言ってもいいわ」

QB「……欠陥品なのに希少性が高いのかい?」

ほむら「……銃の魅力は使いやすさや破壊力だけではないと言う事よ」

QB「ふーん……。よくわからないなぁ」

ほむら「あなたには難しいかもしれないわね。こういう感情は」

ほむら「さて……私ももう寝るわ」

QB「あぁ……僕の監視を続けてたということは、つまりずっと起きていたという事だからね。でも学校はどうするんだい?」

ほむら「今日はもう冬休みよ……」

QB「成程ね。……君も一応魔法少女ではあるわけだし、休息は必要だ。ゆっくり休むといい」

ほむら「お休みなさい。キュゥべえ、後……メリークリスマス」

QB「メリークリスマス。おやすみ、ほむら」

--マミの家--

まどほむマミ杏さやなぎ「では、みんなそろったので早速……」

6人「メリークリスマース!」

QB「……メリークリスマース」

QB「って何だいこれは。僕まで呼び出して何をするかと思えば……」

さやか「いやー。あんたにプレゼントをもらっただけで終わるのもあれだしさー」

マミ「私達も何か出来ないかとみんなに提案して集まってもらったの」

QB「それで鍋料理……?」

マミ「あなたにもらった鍋つかみとエプロン。使わせてもらったわ」

杏子「まーあたしは食べにきただけだけどなー」

なぎさ「杏子は食いしん坊なのです」

杏子「そういうお前だって涎たれてんぞ」

なぎさ「たたたたれてないのです!」

マミ「ほら、みんな集まったんだし、席について……では」

6人「いっただっきまーす」

QB「……えーと」

QB「……いただきます」

ほむら「……ふぁぁ」

QB「ほむら、眠いのかい?」

杏子「そりゃだってこいつは……」

さやか「杏子! ……あはは。何でもないよー」

QB「……?」

さやか「それより、キュゥべえいいセンスしてんじゃん。さっきマミさんと一緒に買い出しにいった時見たんだけど、あの手袋とセーターってあんたが選んだんでしょ?」

QB「あぁ。最近の流行などしっかり調べた上でマミに似合うものを選ばせてもらったよ」

さやか「いやーマミさん、愛されてますなぁ」

マミ「美樹さんったらもう……」

QB「セーターと言えば、僕達のネットワークで調べた時に少し気になった言葉があったんだけど」

さやか「何さ。さやかちゃんに何でも聞いてくれたまえ」

QB「胸があるのにナイロンってどういう意味なんだろう」

まどマミ杏さやなぎ「……」

ほむら「……」

QB「……何故今僕はほむらに無言で殴られたのだろう」

まどか「キュゥべえ。デリカシーがなさすぎだよ……」

なぎさ「流石に今のはないのです……」

QB「……人間の感情は本当に難しいね」

さやか「さて、そろそろいいかな」

QB「ん? みんなどうしたんだい?」

6人「メリークリスマース!」

QB「わ、何だいこの小さなプレゼント箱の山は……これは、グリーフキューブ? それもものすごい量だ」

杏子「まぁ、それぐらいしかあんたの喜びそうなものがうかばなかったしなー」

ほむら「マミに携帯で起こされて一緒に魔獣狩りに付き合わされて……大変だったわよ」

さやか「その割にほむら、すっごいやる気満々だったよね」

ほむら「……否定はしないわ」

マミ「本気モードの暁美さんってすごいのね……羽で物凄い勢いで魔獣をなぎ倒していたわ……」

ほむら「本当の本気モードだと地球が危ないから、それなりに抑えてはいたわ」

マミ「……暁美さんってそんな冗談も言うんだ。ちょっと意外ね」

さやか(……冗談じゃないんだよなぁ)

QB「嬉しいけど……ソウルジェムは大丈夫かい?」

杏子「ばーか。あんたの為にそこまで無茶はしねぇよ」

さやか「ま、ボーナスか何かだと思って受け取ってくださいな」

QB「ありがとう。とっても嬉しいよ」

QB「……と、僕に感情があったらそう思うんじゃないかな」

さやか「一言多い!」

杏子「まぁ、こいつらしいんじゃねぇの?」

まどか「わたしからは……これ!」

QB「これは……僕のぬいぐるみ?」

まどか「手芸部ですから!」

まどか「……ま、まぁ前から作ってたんだけど、今回いい機会だから完成させてみたんだけど……どう、かな」

QB「ありがとうまどか。大切にするよ」

なぎさ「なぎさからは……これなのです」

QB「チーズだね。ありがとうなぎさ」

QB「……なぎさ、手を放してくれないと」

なぎさ「……このチーズはなぎさの大好きな大好きなチーズなのです。それを特別にキュゥべえに断腸の思いで……断腸の思いで!!!」

QB「……無理に欲しいとは僕も思わないんだけど……」

なぎさ「断腸の思いでぇえええええ!!」

まどか「なぎさちゃん。頑張って!」

QB「だから無理に……」

杏子「うーん満腹満腹ー。そろそろ腹ごなしにゲームでも……」

マミ「佐倉さん……慣れた手つきでうちの物を勝手に……」

杏子「お、このゲームマミも持ってたんだな!」

さやか「こら杏子! ……あ、これ面白いですよね。あたしも杏子もはまってるんです」

まどか「さやかちゃんも持ってたんだ! ……実はわたしも」

なぎさ「なぎさもマミの家でよくやるのです!」

ほむら「……私も持ってるわ」

マミ「そうなの? 良かったら……少しやってく?」

さやか「やりましょう! ってあれ? このユーザー名って……」

さやか「……昨日の八時ごろ、みんな何やってた?」

杏子「ん? あたしはさやかと一緒にゲームをしてた」

ほむら「キュゥべえの監視をしつつゲームをしてたわ」

まどか「パパの料理の手伝いをしながら、空いた時間でゲームをちょっと……」

マミ「ケーキを食べ終わって、ゲームをやっていたわね」

なぎさ「なぎさもマミと一緒にゲームをやっていたのです」

さやか「……ちょっとみんなのユーザー名教えてくれない?」

さやか「つまり……」

杏子「さやかに緑甲羅を当てたのがあたしで」

ほむら「さやかにボム兵を投げたのが私で」

マミ「美樹さんにブーメランを投げたのが私で」

まどか「さやかちゃんに赤甲羅を投げたのがわたしで」

なぎさ「さやかに突撃して穴に落としたのがなぎさだったというわけですか……」

QB「すごい偶然もあるものだね」

さやか「……決闘だ」

QB「……ん?」

さやか「決闘だぁあああああ! みんなでこのゲームで勝負しよう! そして全員あたしが倒してやる!」

QB「さやか……僕も付き合った方がいいのかな」

さやか「当然! あんたにもメッタメタにやられたからね! リベンジだ!」

QB「あ、君の名誉の為に言わなかったのに……」

さやか「今日はみんな帰らせないぞー!」

マミ「帰らせないもなにもここは私の家……」

さやか「しょーうーぶーだー!!」

マミ「もう……しょうがないわね」

さやか「……燃え尽きた……真っ白に……」

杏子「見事なまでにさやかの完全敗北だったな……」

なぎさ「でも、こうしてみんなで遊ぶのもひさしぶりで楽しかったのです!」

まどか「本当だね……あれ?」

ほむら「……まどか?」

まどか「あれ……わたし、そうだ。こんな日が来たらいいなと思っていて……でも、わたしには大事な役割があって出来なくて……何でだろう。涙が止まらないよ」

なぎさ「ま、まどか!? 急にどうしたのです?」

さやか「……まどか。いいよ、泣いても」

ほむら「……」

さやか「……大丈夫だよ。ほむら、あたしは何もしない。……今は、ね」

ほむら「……ならいいわ」

QB「……」

マミ「ほら、みんな。食後のデザートが出来たわよ」

杏子「早い者勝ちだぁ! 食わないならあたしが食べてやる!」

マミ「佐倉さん。ちゃんと全員分あるから……って鹿目さん、どうしたの?」

まどか「いえ……大丈夫です。……わたしも食べます!」

なぎさ「なぎさもなぎさもー」

ほむら「……私も、いただくわ」

さやか「あ、あたしも! 今度はデザート早食い対決で……」

杏子「……食い物はゆっくり味わった方がおいしいぞ」

さやか「あんたが言うか!」

--ほむらの家--

ほむら「……今日は楽しかったわ」

QB「僕には感情がないけれど……何か高ぶるものはあったよ」

ほむら「……前から疑問だったんだけど……あなた、本当に感情ないの?」

QB「僕には感情はないよ」

ほむら「……」

QB「僕には感情はないよ」

ほむら「何で二回言う必要があるのかしら?」

QB「何となくね。さて、と」

ほむら「……私の部屋に何を閉まっているの?」

QB「何って……もらったプレゼント類を」

ほむら「まどかのキュゥべえ人形はともかく……チーズとグリーフキューブは早めに処理しなさい。特にグリーフキューブは使用済みのものなんだから、早く食べてもらわないと、うちに魔獣が……」

QB「佐倉杏子の気持ちが少しわかったかもしれない。プレゼントは大事にとっておきたくなるものなんだね」

ほむら「……だからあなた感情……もういいわ」

ほむら「……ねぇキュゥべえ」

QB「何だいほむら」

ほむら「かつての私も、ずっとこんな世界を夢見てきたの。でもまどかを救う為割り切ってしまって、マミの気持ちも、杏子の気持ちも、さやかの気持ちも……まどかの気持ちさえ踏みにじってしまった」

ほむら「それでも……どこかでこういう世界があったらいいなってそう思っていた。……それが歪なものであったとしても」

QB「……」

ほむら「……おかしいかしら」

QB「少なくとも君は、自らの手で幸せな世界を掴み取ったんだ。そこは誇ってもいいことだと僕は思うけどね」

ほむら「……ありがとう、キュゥべえ」

QB「……と、もしも僕に感情があったら考えるかもしれない」

ほむら「……何。今のあなたその話し方がブームなの?」

QB「そういうわけでも……って危ない! ほむら!」

ほむら「大丈夫よ……ちょっと倒れかけただけ……」

QB「まる二日間ほぼ寝ないで活動していたんだから、無理もないよ。今度こそゆっくり休むといい」

ほむら「……ありがとう、キュゥべえ……じゃぁ……おやすみ」

QB「おやすみ、ほむら」

QB「本当にありがとう。僕の為にここまで尽くしてくれるなんて。僕に感情があったなら、喜びで満ち溢れていると思うよ」

QB「今の君の状態なら問題なく」

干渉遮断フィールドに捕らえる事が出来るね

???「キュゥべえ。それが例の子?」

QB「うん。今は干渉遮断フィールドで封印してるから、力を出せないだろう。彼女本来の力を取り戻せば破る事は出来るだろうけど、それまでまだ時間はあると思うよ。少なくともこの夜の間は」

???「ふーん。じゃぁこの夜の間にスズネちゃんには頑張っていっぱい殺してもらわないとね」

QB「……分かっていると思うけど、全て終わったら君を」

???「暁美ほむらの作り上げた世界、もしくは円環の理の解析の為の実験体にするんでしょ。言われなくても分かってるよ。そういう交換条件なんだよね」

QB「うん。君を魔女化させて得られるエネルギーよりも、最終的に彼女達の解析にまわした方が遠い将来僕達としても利益が大きい」

???「魔女化……? まぁいいけど。それにしても君って……いつも利益利益ばっかだよね」

QB「それが僕達の目的だからね。当然じゃないか。僕はあくまで合理的な判断をするまでさ」

QB「ねぇ、暁美ほむら。君が夢見ていた世界を君は実現させた。それは確かに凄い事だと思うけれど」

QB「どんな世界もいずれは滅ぶんだ。僕達はそれを幾度も見てきた。少しの綻びが生まれれば世界なんてあっけないものさ。例えば、君達6人の誰かが欠けたとすれば、君の幸せな世界は脆くも崩れ去るだろう。その時、鹿目まどかはどうするんだろうね」

QB「もし彼女が円環の理に戻るようなら僕達は円環の理に対しての解析を続行すればいい。まぁうまくいかなくても、今までのように実験体を用いて君に対する解析を進めるさ。勿論今回のように君にバレないように、こっそりとね。明日の朝君が起きる頃には君に対する干渉遮断フィールドは解除するから、僕のしている事に君が気づく事はない」

QB「まぁ、せめて夢の中では幸せな世界を見ているといい。……ひょっとしたら朝には君の望んだものとはまた違う世界を見る事が出来るかもしれないね」

QB「メリークリスマス。ほむら」

--マミの家--

マミ「ふぅー。今日は楽しかったわね。なぎさちゃん」

なぎさ「マミと二人でいるのもいいけど、みんなで一緒にいるのも楽しいのです」

マミ「暁美さんも意外と楽しかったみたいだし……またみんなで集まれたら、いいな」

なぎさ「なのですー……zzz」

マミ「……なぎさちゃん。先に休んでて」

なぎさ「……また魔獣ですか?」

マミ「えぇ。……大量にいるわね。電話で暁美さんに……つながらない……」

マミ「じゃ、じゃぁ佐倉さんに電話を……」

--さやかの家--

ピーンポーン

さやか「ん……こんな夜更けに誰が?」

杏子「さやか……一応警戒しておけ」

さやか「ん、分かってる。……誰でしょうね、と……きょ、杏子!」

杏子「どうした、さやか!」

さやか「何か知らない人が倒れてる!」

杏子「……まじか!」

???「お願い……誰かスズネちゃんを……止めて……」

さやか「……ちょっと! しっかり!……傷だらけだ」

杏子「魔獣にやられたのか……?」

ジリリリリ

杏子「このタイミングで電話!? ってマミか。……いや、こっちはちょっと面倒な事に……」

さやか「この子の手当はあたしがするから、あんたはマミさんの所に向かって!」

杏子「さやか?」

さやか「……何か嫌な予感がする……早くマミさんの所に向かってあげて」

杏子「……分かった。待ってろマミ!」

--外--

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???「くふふ。相変わらず見滝原はエキサイティングですねぇ。まぁ厄介だった暁美ほむらもお休み中みたいですし、私は思う存分暴れられますよ。くふふ。くふふふふふ」

-----------------------

???「噂のダークオーブが手に入るかもと聞いて来てみたけど……他にも綺麗なソウルジェムをもった子がいっぱいいるぅ。いいなぁ……欲しいなぁ……」

-----------------------

マミ「魔獣の数が多い……一人では少しきついわね」

???「……手伝うわ」

マミ「え、あなたは……誰?」

???「先にこの魔獣達を倒さないと」

マミ「え。えぇ……わかったわ」

QB「魔獣はどうやら倒しきったようだね」

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マミ「助けてくれてありがとう。助かったわ。あなたは炎の魔法が使えるのね」

???「……」

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QB「あー何も相手は魔法少女なんだから、変身を解く事もないのに。……あれは、僕のあげたセーターに手袋じゃないか。急いでいたはずなのに、何でわざわざ着ていくのかな。僕には理解できないよ」

----------------------------

マミ「……どうかしたの?」

???「……ううん。何でもないわ。それより自己紹介がまだでしょ? 私は天乃鈴音。あなたの名前は?」

マミ「私は巴マミ。よろしく、天乃さん」

鈴音「えぇ……」

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QB「マミ……」

----------------------------

鈴音「……さよなら」

----------------------------

そして、惨劇の夜が幕を上げた

誰か読んでる人いたのかね……
ちょっと自由にいってみた

SS談義スレ117
>>819-820,>>822-823の人
SS談義スレ118
>>211->>215の人
ネタ提供サンクス

鈴音「!? ……これは、リボン!? っく!」

マミ「今ので拘束するつもりだったけれど……その斬り口。あなたが『切り裂きさん』ね」

鈴音「……」

マミ「その沈黙は肯定と受け取るわ。……あなたの魔法少女狩り、ここで止めさせてもらう!」

鈴音「!? さっき魔獣と戦っていた時と全く動きが違う……」

鈴音「……私を罠にはめたのね」

マミ「ご明察。そして……」

杏子「マミ! 大丈夫か!!」

マミ「何とか無事よ。佐倉さん」

鈴音「……2対1……か」

杏子「……形勢逆転、だな」

マミ「佐倉さん、相手を侮らないで。……私達2人でやっとややこちらの有利といったところよ」

杏子「……まじかよ」

鈴音「……狩る対象が2人に増えただけね。……あなた、名前は?」

杏子「あんたに名乗る必要なんてねぇだろ」

鈴音「そう……なら、斬ってから改めて名前を調べさせてもらう」

マミ「……来るわ!」

杏子「上等だ!」

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QB「……成程。敢えて私服姿に見せて鈴音が魔法少女狩りかどうか確かめようとしたわけだ」

QB「……そう簡単にはいかないようだね。まぁ君達がどこまでやれるか、高見の見物をさせてもらうよ」

QB「……あの手袋とセーターもリボンで見せかけただけ? でも何のために……」

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マミ「……キュゥべえ。ちょっとホッとしてるじゃない。私が助かったところにホッとしたのか自分のあげた手袋とセーターが無事だった事にホッとしているのか……後でとっちめて聞いてやる」

鈴音「戦闘中によそ見? 随分余裕ね」

杏子「何してんだマミ!」

マミ「……そうね。ここからは本気でいかせてもらうわ」

……あまりキュゥべえにかっこ悪いところ見せたくないし

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