王様「病弱な勇者だと?」(116)


大臣「はい」

王様「えっまじで?」

大臣「お告げにも出ていたので間違いないかと」

王様「ふむぅ…とにかく会ってみよう」


ズル…ズル…ズル

王様「……」

大臣「……」

勇者「ゴホッ…お見苦しい、所を…ゲボッ」プシャッ

王様(血吐いた…)

勇者「謁見早々で…ゴホッ…申し訳ありませんが…なにかの間違い――グボハァッ」プシャァ

王様(もうやだ)


王様「いや、お告げにも出た。お前が魔王を倒す者だと」

大臣「――という事です。よって貴方には過酷な旅に出てもらう事になりますが…」

勇者「ゼェ…ゼェ…」

王様(もうすでに疲れてるけど)

王様「まずは町の酒場へ向かうがよい。そこで旅の仲間を募るのだ」


勇者「わかり、ました…グッ…言って参ります…ゴホッ」

王様「大臣」

大臣「はい」

王様「軍資金は少し多めにな」ボソッ

大臣「はぁ」


―酒場―

キィィィ…

店主「いらっしゃ…ってあんた大丈夫かい!? 医者呼ぼうか?」

勇者「ゲホッ…大丈夫、です…」

勇者「そんな事より、ここで仲間を…ガハッ」プシャッ

店主「ほ、ホントに大丈夫? 仲間がなんだって?」

勇者「僕…勇者、なんです…ゴホッ」


店主「でもその調子じゃ…」

店主(歩いてる途中で死にそうだけど)

勇者「それで、も…ゴホッ…魔王を倒せば、平和に…ゲホッ」

店主「くっ、なんて世の中だっ。病人が戦いに行くなんて!」グスッ


店主「とりあえず集めてみたよ」

遊び人「勇者ちゃんヨロシクねっ」

戦士(死にそうじゃん…無理だろこんなのw)

僧侶「よろしくお願い致します勇者様」

勇者「…あぁ、よろしく、ゲホッ…お願いします…」


戦士「とりあえず次の町へ向かおうと思うのだが…大丈夫か?」

遊び人「少し休憩するー?」

僧侶「勇者様、私の肩につかまってください」ポヨン

勇者「ゼェ…すいま、せん…ゴホッ」

戦士「(乳が…)とりあえず全員分の装備を揃えてくる」

遊び人「あたしも行くー♪」


僧侶「お水です、どうぞ」

勇者「どう、も…ゴク…ゴク…ゲホッ」

僧侶「…断ろうと思えば断れるはずです」

勇者「ゼェ…え?」

僧侶「動けないほどの重病なら…誰も文句は言いません。なのになぜ?」


勇者「僧侶、さん…ゼェ」

僧侶「はい」

勇者「魔王が…この世に、現れ…ゲホッ…てから…どれだけの数の人々が亡くなったか、…ゴホッ…ご存知ですか」

僧侶「…およそ全人口の半数は犠牲になったと聞いています」

勇者「では…ゴホッ…その理由、は?」


僧侶「なぜかお告げが…出ませんでした」

勇者「…そう、です…ゴホッ…魔王とは表裏一体である、はずの勇者が…ッ…なぜか現れなかった…」

勇者「つまり…ゲホッ…人々の希望は――」

僧侶「…ゼロです。勇者様以外に魔王は倒せませんから」


勇者「そう…ッ…。そして今日、お告げが…出ました。希望が…ゴホッ…」

僧侶「……」

勇者「その期待、は…限りなくゼロに…ゲホッ…近いのかもしれま、せん…」

勇者「でも…」

僧侶「ゼロじゃない…」


勇者「…今も各地で…ゼェ…魔の手に怯え、る…ゴホッ…人達がいる…。その人達に少しでも…希望…を…ガハァッ」プシャッ

僧侶「わかりました」

勇者「…?」

僧侶「今日、この時から。改めて…お供をさせて頂きます勇者様。向かう先が地獄の果てであっても」

勇者「…ありが、とう…ゲホッ」


戦士「おーい戻ったぞ…って」

遊び人「あれれ、勇者ちゃんと僧侶ちゃん近いよ?」

僧侶「え…、ひゃっ! す、すいません!」

勇者「いや…こちらこそ…ゴホッ」

戦士「はぁ…まぁ、とりあえず出発しようか」


スライムが現れた!

戦士「きたぞ! 前衛は俺が引き受ける! 遊び人と僧侶は援護を頼む!」

遊び人「りょーかいー♪」

僧侶「はい!」

勇者「…ゴホッ」フラフラ

戦士「! こいつ、速い! まずい…後衛の方へ――」


遊び人「勇者ちゃん危ない!」

スライムの攻撃!

僧侶「させません!」

僧侶に4のダメージ!

戦士「今だ!」ズバッ

スライムを倒した!


――――
―――
――

僧侶「着きましたね」

遊び人「やっとだよー…疲れたー」

勇者「…ゴホッ…皆さんすいま、せん…ゲホッ…お役に…立…てず…」バタッ

僧侶「勇者様! は、はやく宿屋に!」

戦士「……」


―宿屋―

僧侶「お医者様の話ではしばらく安静にしているように、との事です」

遊び人「そっかー、まぁ結構長かったもんねーここまで」

僧侶「私は少し町へ出るのでお2人は夕飯でも行ってきて下さい。宿の中にあるみたいなので」

遊び人「うん! そうするー。戦士、行こー」


戦士「悪い、先に行っててくれないか」

遊び人「そう? んじゃまた後でー」

僧侶「では私も行きますね」

スタスタスタ…

戦士「……」


―勇者の寝室―

ガチャ

戦士「…よぉ、起きてるか?」

勇者「…ゴホッ…はい」

戦士「調子は」

勇者「大分…良く、なりました…ゲホッ」

戦士「そうは見えんがな」


勇者「それより…色々…ゲホッ…ご迷惑を…グッ…ゴホッ」

戦士「…あぁ」

戦士「その通りだよ」

勇者「…ゲホッ…」

戦士「戦闘では役に立たねぇ、歩けば倒れる。挙句の果てに僧侶に庇われる」

戦士「お前はどこまで俺達の足を引っ張るつもりだ」


勇者「…仰る…ゲホッ…通り、です…面目もございま…グッ…せん…」

戦士「別に謝罪が欲しくて言ってる訳じゃない」

戦士「ただ一つ言わせてもらう」

勇者「…コホッ…はい」

戦士「こんな戦い方をしていたら確実に―――全員死ぬ」


戦士「今はまだまだ敵は弱い。だが魔王の根城が近づけば、自ずと敵は強くなる」

戦士「俺もできる限り前衛で食い止めるつもりだ」

勇者「…ゲホッ」

戦士「だが…認めたくはないが不測の事態は必ずやってくる」


戦士「魔王を絶対に倒すという、揺るぎない意志がないならパーティを解散しろ」

戦士「俺はまた、魔物を討伐しながら次の勇者を待つ」

勇者「…ゴホッ…ゴホッ…」

戦士「言いたいことはそれだけだ。邪魔したな」

スタスタスタ

勇者「――明日」

戦士「?」

勇者「明日…ケホッ…答えを、見せます…ゴホッ…」

戦士「…あぁ」

バタン


―翌日―

僧侶「勇者様、無理をなさらずに… 」

勇者「いえ…ゲホッ…大、丈夫…」

戦士「…勇者、皆に言う事があるはずだ」

遊び人「んー?」

僧侶「言いたい事、ですか?」


勇者「…ゲホッ…はい、聞い…て下さい…ゴホッ」

勇者「昨日、は…ゴホッ…ご迷、惑をおかけしました…グッ…」

遊び人「まぁあたしなーんもしてないけどね」

僧侶「そんな…迷惑だなんて」

勇者「これからの…事、…ゴホッ…ですが…」


戦士(そうだ…それでいい)













勇者「…次からの…ゴホッ…戦闘は庇わな、…くていいです…」

戦士「そうだな…ってはっ?」


戦士「お前…」

僧侶「勇者様…一体…」

勇者「大丈夫です…ゴホッ…」

遊び人「まぁ勇者ちゃんがそういうなら」

僧侶「で、でも――」

戦士「わかった」

僧侶「戦士様まで…」

戦士(死にたいなら止めない…看取り人が欲しいのか知らんがここで終わりだ)


―平原―

遊び人「広いねー」

戦士「……」

僧侶「……」

勇者「ゴホッ…」

遊び人(なにこの雰囲気)


→グリズリーが現れた!

戦士「で、でかいな」

戦士「いつも通りに展開――

勇者「どうも…ゲホッ…失礼、します」

戦士「おま…なんで前衛に!?」

僧侶「勇者様!」

→グリズリーは様子をみている


勇者「メラ」ボッ

→グリズリーに5のダメージ!
→グリズリーは怒り狂っている!

遊び人「勇者ちゃん魔法使えたんだー弱いけど」

戦士「そんな攻撃で…ただの自殺行為だ」

僧侶「駄目…」

→グリズリーは勇者に狙いを定めた!


勇者「…ゲホッ」ユラリ

グリズリーの攻撃! ミス!

戦士(…チッ。運だけは並か)

グリズリーの三連撃!

勇者「……」サッ

ミス! ミス! ミス!

戦士「っ…これは…!」


遊び人「おぉー!」

僧侶「すごい…」

グリズリーの攻撃! ミス!

勇者「…ゴホッ…戦士さん」

戦士「あ、あぁ」

戦士の攻撃! グリズリーに107のダメージ! グリズリーは倒れた


――――
―――
――

戦士「……」

戦士(敵を苛立たせる弱い魔法を陽動に、異常なまでの回避率…)

遊び人「そんなのできるならもっと早くやればいいのに」

勇者「はは…ゴホッ…すいません…」

僧侶「……」ポー


戦士「勇者」

勇者「…は、い…ゲホッ」

戦士「お前の答え、しかと受け取った絶対に――」

戦士「絶対に魔王を倒そう」

勇者「…ゴホッ…もちろん、です…」


戦士「悪かったな…」ボソッ

勇者「え…、なんですか…? ゴホッ…」

戦士「な、なんでもねーよ!」スタスタスタ

遊び人「あ、戦士ちゃん待ってよー! 危ないよー」

勇者「ゴホッ…僕らも行きま、しょう…ゲホッ」

僧侶「は、はい」


?「ひっ…だ、だれか…」




戦士「ん…?」

僧侶「あれは…」

遊び人「誰か襲われてる! 早く助けなきゃ!」

戦士「よし」チャキ


魔物の群れを倒した!

少女「あ…」

勇者「ゴホッ…怪我は、ありません…か」

少女「えっ、大丈夫ですか?」

勇者「あぁ…ゲホッ…お構い無、く…」


少女「危ないところをありがとうございました」

戦士「しかし無用心だな。娘一人がこんな所で」

少女「すいません…。隣町から買い物の帰りで」

僧侶「わざわざ隣町から?」

遊び人「けっこう距離あるよね」

勇者「…ゴホッ…」


少女「その、色々事情が…」

戦士「…まぁなんにしても君の住んでる所まで送るよ」

僧侶「そうですね」

少女「何から何まで…すいません」ペコッ


―少女の村―

戦士「ここが?」

少女「はい、どうもありがとうございました!」

僧侶(なんか変な所…)

勇者「ゴホッ…ゲホッ…」

戦士(確かに日は暮れているが…人一人いないとは)


少女「たいしたおもてなしはできませんが、宿を手配するのでゆっくりして行って下さいね」

勇者「…ゴホッ…ありがとうござい、ます…」

僧侶「あの、少女さん?」

少女「そ、それじゃ一足先に!」タッタッタ

遊び人「行っちゃった」


―宿屋―

戦士「ここか」

遊び人「お腹すいたー」

勇者「ゼェ…ゼェ…ゴフッ」



主「いらっしゃ…あぁ、あんたらが少女の言ってた」

僧侶「お世話になります」


主「構わんよ。たが提供できるのは部屋のみだ。食事はないよ」

遊び人「」

僧侶「えぇ、手持ちがあるのでお気になさらず。では」

遊び人「あるの!?」

主「…ごゆっくりー」


―勇者・戦士部屋―

戦士「おかしい」

勇者「…ゲホッ…はい」

遊び人「なにが?」モグモグ

僧侶「人の気配が少なすぎます。それに…怯えも感じます」

戦士「怯え?」

勇者「なにか…ゴホッ」

勇者「問題、を抱えているかも…ゲホッ…しれませんね…」


僧侶「問題とはなんでしょう」

勇者「こればっかりは…ゴホッ」

遊び人「んじゃ聞いてみたらいーじゃん? あの女の子に」

戦士「つってもなぁ…」

コンコン

少女「皆さん?」

4人「!?」


僧侶「え、…っと…どうぞ」

少女「失礼します」ガチャ

戦士(タイミング良すぎだろ…さて、どう切り出すか)

遊び人「ねぇ、この村って何かあったのー?」

僧侶「えっ」

少女「あ…その…」

戦士「ストレートすぎんだろ! 色々考えてた俺がバカみてぇだろうが!」


遊び人「馬鹿なのは…ねぇ」ププッ

戦士「」イラッ

戦士「よし表出ろ」

遊び人「おっしゃー! やったるぜー!」

僧侶「2人とも静かにしてください…」

少女「……」

勇者「…ゴホッ…話しにくい、事ですか…?」


少女「いえ…私個人ではなんとも…」

勇者「村長さん…ゴホッ…と話せばいい、ですか…?」

少女「あの、失礼ですが貴方達は?」

遊び人「勇者ちゃんと愉快な仲間達だよ! 魔王を倒しに行くの」

戦士「誰が愉快なんだ誰が」

少女「勇者様の…まさか」

勇者「あ…ゲフッ…僕が勇者、です…ゴホッ」

少女「」


僧侶「それで先程の話ですが…」

少女「そうですね…少し村長さんと相談させて下さい」

勇者「ゴホッ…わかり、ました…」

少女「あ、そうだ。これ良かったら食べて下さい」

遊び人「おぉー! おいしそー」

戦士「まだ食べるのか…しかしいいのか?」

少女「はい。せめてものお礼なので。それじゃ、また後で伺います」


――――
―――
――

コンコン

僧侶「どうぞ」

少女「お待たせしました」ガチャ

遊び人「おかえりー」モグモグ

戦士「太るぞ」

勇者「ゴホッ…どう、でしたか?」

少女「許可をもらえたので…」

少女「お話しします」


―30分前・村長家―

村長「話は聞いた。勇者の一行が村に来ているそうだな」

少女「はい」

村人「俺見ましたよ。今にも死にそうな奴を連れた四人組」

主「なんだ、そうなのか」

村長「――それで、彼らに奴らを討伐してもらいたい。そう言いたいのかな? 少女」

少女「……」


村人「馬鹿な…奴らは誰にも言うなと言っていた。言えば村を滅ぼす、っつーオマケつきでな!」

主「落ち着けよ村人」

村人「これが落ち着いてられるかってんだ! 食料を貢げば襲われない、これでいいじゃないか…」

少女「でも、明日にでも人間の生贄を要求してくるかもしれないじゃないですか!」

村長「ふむ…」


村長「確かに…村が滅びては元も子もない」

村人「それでは――」

村長「しかしこのままではジリ貧も良いところだ」

村長「如何かな。両方の意見を取り入れ、リスクを払わずに彼らの力を借りるというのは」

主「まさか…」

村長「いいか少女」

村長「彼らはこの村には来なかった」

少女「…え?」


少女「どういう…意味ですか」

村長「今、この時より彼らと村との接点はない。彼らは、た ま た ま。奴らのアジトへ迷い込んだ、そういう事だ」

少女「それでは余りにも…!」

村長「理解しろ。この村の一員ならな。彼らには今すぐにでも発ってもらう。まだ奴らにも気づかれていないだろう」

少女「…はい。お話してみます」

バタン


村人「行きますかね…」

主「さぁな」

村長「行かざるを得ないだろう。"勇者"なら…」

主「しかし少々残酷では?」

村長「温いな主。人の上に立つ人間は時に冷酷な判断を下すものだ」

村長「討ち取れれば吉、失敗すればまた機会を待てばいい」

村人「そうですね…」


―時は戻り宿屋―

少女「―――こういう…結論に…」

戦士「……」

遊び人「ひどいなぁー」

少女「す、すみません…断ってくれて構いません。無理なお願いをしているのはこっちですから」

勇者「…ゴホッ…引き受けま、しょう…ゲホッ」

少女「そうですよね…それが当然の――って、えっ」


少女「いや、でも…」

勇者「もちろん…ケホッ…皆さんが同意して…ゴホッ…くれるなら、ですが…」

戦士「…何いってんだよリーダー。どこまでも着いていくっての」

遊び人「ま、仕方ないかなー…食べ物の恩もあるし」

僧侶「言うまでもありませんね」

勇者「では…ゴホッ…早速向かいましょう…」

勇者「奴らのアジト、…を教えて…ゲホッ…下さい」

少女「は、い…」ウルッ


―アジト前―

戦士「ここか?」

僧侶「そうみたいですね」

遊び人「ただの洞窟に見えるけどなー」

勇者「…ともかく…ゲホッ…入り、ましょう」


ジュ ボォォォ

戦士「さすがに夜は暗いな…」

勇者「まぁ…昼間に…ゴホッ…来ても暗いでしょう、が…」

遊び人「まぁ四人分も松明あればけっこう明るいけど」

僧侶「…ドラゴン、でしたか」

勇者「ゲホッ…えぇ。それも…知能のある」

戦士「いつもの戦いが通じるといいが…」


僧侶「ここは…」

勇者「大広間、のよう…ゴホッ…ですね…」

戦士「まぁさっきの通路よか戦いやすいが」

遊び人「あ、燭台あるよー、ほら」

ボッ

戦士「燭台…? …まて! それは―――」

遊び人「え?」

ボッボッボボボボホ


勇者「周りが明るく…ゲホッ」

戦士「おいおいこれは」

僧侶「壁一面に穴…巣穴でしょうか」

遊び人「あはは…ごめんごめん」

戦士「全くビビらせ―――くるぞ」

僧侶「四方から何かがすごい勢いで近づいてきます!」

勇者「あぁ、そうだ…ゴホッ…皆さんに言っておきま、す」


戦士「? なんだ!」

勇者「今回は…ゲホッ…陽動は無しです…」

僧侶「それって―――」

遊び人「……」ボソボソ

ドラゴンキッズが6体現れた!

遊び人「…」ボソ

遊び人はイオナズンを唱えた!


ドッゴォォン グラグラ

戦士「おいふざけんな! 洞窟ごと崩す気か!」

遊び人「……てへっ☆」ペロ

僧侶「――全員の強化完了しました!」

戦士「んなら突っ込むか!」

勇者「ゴホッゴホッ…」チャキ


戦士の連撃! ドラゴンキッズを4体倒した!

ドラゴンキッズが2体現れた!

戦士「ちっ、またか」

勇者「では…ゲホッ」スラッ

ドラゴンキッズの攻撃!
勇者は受け流した!
ドラゴンキッズは倒れた!

戦士「へぇ…そんな戦い方も見つけたのか」

勇者「ガハッ…身体にガタは…コホッ…きます、がね…ゲホッ」プシャァ


――――
―――
――

遊び人「こんなもんかな?」

戦士「いや、まだ親玉がいるはずだ」

僧侶「今のうちに回復しておきましょうか」

勇者「そう…ですn―――」

ズバッ


バトルレックスが現れた!

『貴様ら…我が仲間達を…!』

僧侶「うっ…」ポタポタ

遊び人「僧侶ちゃん!」

戦士「くそっ…卑怯な」ザッ

勇者「…僧侶さん…ゲホッ…は後方で自分の回復に集中、して…ください。戦士さんは…ゴホッ…僧、侶さんを守りな、がら援護を…ゴホッ」

勇者「…ゲホッ…遊び、人さんは…氷結系の魔法を…ゴホッ…中心に…」


遊び人「……」ボソッ

戦士「よしきた!」

僧侶「――つっ…はい!」

『自らを万物の頂点と驕る…愚かな人間どもめ』

『人風情は魔物の下で働いていればよい!』

バトルレックスの2連撃!
勇者は受け流した!
バトルレックスに64のダメージ!


戦士「くらえっ!」
遊び人「私もっ!」 ヒュオォ

バトルレックスに51のダメージ!
バトルレックスに43のダメージ!

『ぐぅぅ…がぁぁぁっ!』

バトルレックスのしゃくねつ!

勇者「させ、ません…ゴホッ」

勇者はバトルレックスの口をふさいだ!

『むぐっ…や、め…』

ボッゴォォォン

バトルレックスを倒した!


戦士「ふぅ…なんとかなったな」

遊び人「あぁー疲れた」

勇者「僧侶さん、…ゴホッ…大、丈夫ですか…ゲホッ」

僧侶「はい。おかげさまでほとんど治りました」

戦士「思ったりより大した事な……っておい、入口塞がってるぞ」

遊び人「あっ」

僧侶「どうしましょうか…」


勇者「このいくつも、ある…吹き抜けのどれかが…ゴホッ地上に繋がってるかも…ゲホッ」

戦士「…まぁ、行くしかないか」

遊び人「も、もう一回吹き飛ばすとか…」

僧侶「……」

遊び人「じょ、冗談だってば。やだなぁ」


勇者「この穴…ゴホッ」

僧侶「あ、わずかな風を感じます」

戦士「つまり外に繋がってるという事か?」

勇者「ゲホッ…おそらく」

『ピィピィ…キュイ?』


戦士「!」チャキ

勇者「…ゴホッ…あれは」

僧侶「子供の、竜でしょうか」

戦士「どうする?」

勇者「……ゴホッ」

僧侶「さすがに―――」

遊び人「まだ、残ってたんだね」

遊び人はメラミを唱えた!


『ビッ!ビィ!ビ…ギュィィ…』

戦士「お、おい…」

遊び人「…甘いよ皆は」

遊び人「子供でも育てば人を襲う。ましてや仲間が虐殺された場所で」

僧侶「遊び人さん…」

遊び人「…これでいい。私は間違ってない。魔物は敵」

勇者「ゴホッ…」


―次の日・村―

少女「皆さん、大変お世話になりました」

戦士「いいって事よ」

遊び人「…まぁ」

少女「あとこれ…村の皆から気持ちだけですが」ジャラ

勇者「いえ…ゲホッ…結構です」

少女「でも――」

僧侶「村の再建費用にでもあててください。これから先、何があるかわかりませんから」

少女「はい…」

少女「あ、あの! 本当にありがとうございました!」

僧侶「神のご加護が貴方たちにあらん事を…それでは」


―山道―

遊び人「……」スタスタ

戦士「昨日からずっとあんな感じだな」ボソッ

勇者「…ゴホッ…そうです、ね…」

僧侶「…ついに、この山を超えて…魔王の城までの最後の村」

戦士「装備と道具の最終確認をしないとな」

遊び人「……」スタスタ


―最後の街・宿―

戦士「――よし。こんなもんか」

僧侶「回復アイテムも大丈夫です」

勇者「…ゴホッ…やっと…」ボソッ

僧侶「? なにか言いましたか?」

勇者「いえ…ゲホッ」

戦士「そういや遊び人は?」

僧侶「街へ出るって言ったっきり…夕方には帰ると」

勇者「もう…夜です…ゲホッ…何かに巻き込まれ、てなければ…ゴホッ…」

戦士「…探しに行くか」

僧侶「そうですね…」

勇者「では…ゲホッ…手分けして探しましょう…」


―戦士サイド―

戦士「くっそ…どこ言ったんだアイツ」

戦士「お、そこのおっちゃん。カクカクシカジカこういうやつ見なかったか?」

戦士「そうか…」


―勇者サイド―

勇者「グッ…ゲホッ、ゴホッ…」

勇者「死ぬ…グハァッ」プシャ

勇者「あ、…大丈夫です…ゴホッ…すいません…」



?『……』

?『報告します。最後の街にて勇者を発見』

?『情報通り今にも召されそうです』

?『はっ…では帰還します』


―僧侶サイド―

僧侶「一体どこに…」

僧侶「すいません今急いでるので…」

僧侶「やめてください! メダパニ!」

僧侶「…遊び人さん…」

僧侶「? 街の外れに丘が…大きい樹…」


―街の外れ・大樹―

遊び人「…まどのないーへーやで、どーうぶつがいっぴーき…」

遊び人「どーあのぶがーはーずれーてきえーて…」

遊び人「さいごには…まっしろな、せかい…」

僧侶「ここにいたんですね」

遊び人「!」

遊び人「いたんだ」

僧侶「…ふふ、素敵な歌声ですね」


遊び人「褒めても何も出ないよ」

僧侶「さっきの歌を頂きましたので十分です」

遊び人「その台詞、臭いよ?」

僧侶「そう、かもしれませんね」

遊び人「……」

遊び人「遅くなってごめんね。そろそろ宿に帰――」

僧侶「星が、綺麗ですね」


遊び人「えっ?」

僧侶「横、座りますね」

遊び人「…うん」

僧侶「魔王の城も近いのに…こんなにも綺麗。瘴気が晴れればもっと…」

遊び人「欲張りだね」

僧侶「そうなんです、実は」

遊び人「…なにそれ」


僧侶「……」

遊び人「…私さ」

僧侶「はい」

遊び人「遊び人なのに攻撃魔法ばっかりって…変だと思った?」

僧侶「まぁ…不思議には思っていました」

遊び人「そう。…お母さんがね、魔法使いだったの」


僧侶「そうでしたか…」

遊び人「なんの才能もない私に色々…お母さんはすごいんだ」

僧侶「好き、なんですね。お母様の事」

遊び人「うん…。でもね」

遊び人「そんなお母さんも…死んじゃった…」

僧侶「っ…」


遊び人「切っ掛けは簡単。私が拾ってきた魔物の卵」

遊び人「皆の反対を押し切って飼い始めた卵…」

僧侶「……」

遊び人「それが孵った夜、村の人は皆死んだ。そして私だけが生き残った」

遊び人「馬鹿だよねー。何が入ってるかもわからないのに…少しの好奇心で大好きな人達を殺しちゃった」


遊び人「…私は魔物が嫌い。でもそれ以上に自分が嫌い」

遊び人「自分で一人ぼっちになった私が」

遊び人「一人ぼっち…の…」グス

ギュッ

遊び人「っ」


僧侶「遊び人さん…今はおいくつに?」

遊び人「…14……」

僧侶「それじゃ、私の方がお姉さんですね」

遊び人「見たらわかる、よ…」

僧侶「そうですね」

僧侶「自分が嫌いでもいいじゃないですか」

遊び人「…え」

僧侶「魔物が嫌いだっていい。好奇心もあればいい。後悔もいっぱいしたらいい」

僧侶「全て合わせて遊び人さんです」


僧侶「実は私、孤児なんですよ」

遊び人「ぇ…、そう…なんだ…」

僧侶「だから親を失う悲しみはわかりません」

僧侶「家族の暖かさもわかりません」

僧侶「だから…」ギュウゥ

遊び人「……」

僧侶「私に家族の温もりを与えてくれませんか?」


遊び人「それって…」

僧侶「今日から私が貴方の姉です。遊び人」

遊び人「ぅ…ぅぇぇ…」ギュ

僧侶「……」ギュッ







戦士「で、どうする?」

勇者「先に宿に…ゴホッ…帰り、ましょう…」


―魔王城―

戦士「さて、ついにここまでたどり着いた訳だが…」

僧侶「さ、さすがに壮観ですね…」

遊び人「私達なら大丈夫だよー」

勇者「…ゴホッ…えぇ…」

遊び人「魔王倒したら宴会しよう宴会!」

戦士「…そうだな! くっくっく…たらふく食ってやるぜ」

僧侶「はい…。全てを終わらせて皆で帰―――勇者様?」

勇者「…はい…ゲホッ…行きましょう…」

僧侶「…?」


戦士「なぁ」

遊び人「うーん…」

勇者「敵が…ゲホッ…いません、ね…」

僧侶「罠、でしょうか」

戦士「だとしても進む以外にないな」

遊び人「だね」


―魔王の間扉前―

遊び人「ここかな? 最後まで敵いなかったね」

勇者「そう、ですね…ゲホッ」

僧侶「おそらく…内側からとてつもない殺気を感じます」

戦士「ふぅ…武器よし…やる気よし」

遊び人「あれ、緊張してんの?」

戦士「う、うるせぇ!」

勇者「皆さん…」


遊び人「ん? 勇者ちゃんまでブルっちゃった?」

戦士「誰がブルったよ! どうした勇者」

勇者「……」

僧侶「勇者…様?」

勇者「最後まで…ゴホッ…」










勇者「…ゴホッ…嘘をついてて、すいませんでした…」


遊び人「嘘って…」

ギィィィ

戦士「扉が…おい、勇者…」

勇者「すいません…ゴホッ…。…イオ」ボソッ

ボン

戦士「おわっ!」

僧侶「きゃっ…」

遊び人「危なっ! 勇者ちゃ――」

ギィィィ

勇者「ありがとう…ゴホッ…ございました」スタスタ

僧侶「ゆ、勇者様…なにを…」

バタン


戦士「くそっ! 開かねぇ! あの野郎なんで1人でいっちまうんだ!」

遊び人「勇者ちゃんが死んじゃうよ! 早く行かなきゃ!」

僧侶「…なんで…」

戦士「くそ…ったれぇぇぇ!!!」


―魔王の間―

勇者「…ゴホッ…どうも…」

魔王『死に急ぎか、それとも蛮勇か…歓迎しよう半死人の勇者よ』

勇者「…ここまで…ゲホッ…魔物がいなかったのは…」

魔王『我の計らいである。配下の攻撃如きで死に絶えてもらっては困る故のな』

勇者「そうでしたか…ゲホッ…感謝、します…ゴホッ」


魔王『魔の王に感謝する勇者とは…人間どもの希望がこれでは救われぬな』

勇者「そう、かもしれません…ゴホッ…」

魔王『して、何故仲間を置いてきた。貴様如きで我を止められると?』

勇者「彼らには…ゲホッ…生きて、故郷に帰ってもらいます…」

魔王『それは叶わぬ。貴様を始末した後で彼奴らにも死んでもらう』


勇者「そう、ですか…ゴホッ…それは残念です―――」ヒュン

魔王『! (一瞬で…後ろに…!)』

ザッシュウゥゥ

魔王『ぐっ……ぅぅうおぉぉぉ!!!! 貴様ぁぁあああ!!』

勇者「両腕を…ゲホッ…頂きました…」

魔王『馬鹿な…! 貴様は、何故…っ!』

勇者「……ゴホッ」


勇者「ずっと…疑問に、思っていました…ゴホッ…」

勇者「生まれ出てから…ゲホッ…不治の病の…っ…僕をなぜ、神は創ったの、か…ゴホッ」

魔王『はぁ…はぁ…ぐっ…!』

勇者「そして…お告げが出…ゼェ…、戦い始めた時…ゴフッ…気付い、た…いえ…ゴホッ…気づいて、しまった…」

勇者「自分の、…中に眠る…っ…ゴホッ…人智を…ゼェ…越え、た力を…グッ…」


魔王『く……くっ、はっはっは…はっはっはははらはははははは!!!』

勇者「ゼェ…ゼェ…」

魔王「それ故の…策か。仲間を騙し、我を騙し…貴様に何が残る! 魔を滅する為だけに生まれた人ならざる者よ!」

勇者「思い、が…ゲホッ」プシャッ

勇者「こ、の皆さん…ゲホッ…との旅の思い出が…残りました…っ…。それで、…十分です…ゴフッ…」


魔王『…一時はがっかりさせられたが……これはこれは…、またとない好敵手…! 我の全身全霊を以て相手せん!』ボゴボコボココポコポ

魔王は形態を変えた!

魔王「さぁ来い! 絶望と悲しみの淵で我と踊ろうぞ勇者!」

勇者「…ゴホッ…えぇ…ゲホッ…」


魔王『ぬうぅぅぅぅ!!』ガッキィィィン

勇者「ゼェ…ゴホッ、ゲホッ…」

魔王『ハァ…そろそろ限界だろう…ハァ…吐血がひどいぞ? 楽になれ勇者』

勇者「ゼェ…ゴフッ…まさ、か…気のせい…ゲホッ…でしょう…」プシャッ

魔王『全く…神もとんでもない者を』ヒュン

勇者「!」


ズシャッ

魔王『ぐっ…ぅああ…っ!』プシャァァ

勇者「ゴフッ…ぐっ、…」プシャァ

勇者「相、討ち…でし……た…か…ゴホッ…」ポタポタ

魔王『っ…残念だ。そうはならぬ…我の治癒能力を舐める、な…。貴様が地に伏してからのんびりと回復して…くれる』ポタポタ

勇者「それは…ゴホッ…叶い、ません…ゲホッ」

魔王『何の負け惜しみを―――っ! 貴様…まさか…』

勇者「…皆さん…ゲホッ…さよう、なら…ゲフッ…」ボソッ

魔王『くそがあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!』







勇者「極大…、自爆魔法…ゲホッ」


ドッ ゴォォォォォォォオォン

戦士「! 今の音は…」

ギィィィ

遊び人「開いたよ! 早く―――」

ダッ

僧侶「っ…! 勇者様………!」


――
―――
――――


―4年後―

パサッ

「……」

4年前、扉が空き、中に駆け入った時、そこには何もありませんでした。

魔の瘴気も、勇者様のお姿も…。

戦士さんは言葉をなくし、遊び人は声をあげて泣きました。私は…ふふ、秘密です。

今では貴方がどこかで生きているんじゃないか、そう信じています。

だから、貴方が戻るまで…貴方がもたらした平和を堪能させてもらいますね。


「また来ますね。勇者様」

「あ、次は戦士さんと遊び人も一緒に」

「さようなら」













「どうも…、…ゴホッ…遅れてすいません…」

――そう、聞こえた気がした。


end

出来は微妙だけど完結させた自分をほめてやりたい

まだ読んでる人いたらありがとう

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