サンタクロース「ブラッククリスマスの贈り物」(67)

「どうして一人でいるの? 一緒に遊ぼうよ。楽しいよ」

「・・・・・・いい」

「う、うーん、そっか。・・・ねえ、もうすぐクリスマスだよ。雪が積もってくれたら良いなぁ」

「・・・・・・・・・」

「この辺ってあんまり雪降らないんだよ。知ってる? ホワイトクリスマスになったら、きっと楽しいだろうな」

「・・・ばっかみたい」

「・・・えっ?」

「・・・クリスマスなんて・・・」



「・・・・・・一年でいっちばん嫌いな日」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 ―――――――――

 ――――――

 ――― 12月23日

少年「ふわぁ・・・」

少年「・・・もうすぐクリスマスだなぁ」

少年「・・・今日、何日だっけ・・・えっと」

少年「23日かぁ。あと、いーち、にーい・・・」

少年「・・・3回! あと3回寝れば・・・!」

「ふふ」

少年「ママ、おはよう。なんかおかしい?」

母「おはよう。あと2回よ。3回寝ちゃったら、少年ったら、プレゼントもらいそこねちゃうわねえ」

少年「ええっ! あ、そっか」

母「そうよ。さて、朝ごはんよ。降りていらっしゃい」

少年「はーい」

少年「パパ、おはよう!」

父「ああ、おはよう」

母「ほら、早く食べちゃいなさい」

少年「はーい」

父「少年、今日は母さんと一緒に買い物に行くけど、一緒に来るか?」

少年「どこに行くの?」

父「隣町までな」

少年「うーん、いいや。友達と遊ぶんだ」

父「そうか。分かった。お隣さんの少女ちゃんか?」

少年「うん。他にもいっぱい」

父「そうかそうか。仲良くするんだぞ」

少年「うん」

母「良い子にしててね」

少年「うん」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 コンコンコン

 ギィ・・・

少女母「あら、少年くん」

少年「こんにちは。少女、いますか?」

少女母「えぇ、待っててね」



少女「おはよう少年!」

少年「おはよう少女。さっ、行こうよ」

少女「うんっ」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

少年「雪降らないかなー」

少女「降ったらいいよね・・・ホワイトクリスマスだよ!」

少年「うん・・・積もったら雪だるま作れるし」

少女「それにロマンチックだもんね!」

少年「それに雪合戦もできるぞ!」

少女「少年ったら、遊ぶことばっかりね」

少年「いいじゃんべつに。それより公園行こうぜ、みんないるよ」

少女「うんっ」

少年「おー、みんないるいる」

少女「みんなで集まって何してるんだろ」

少年「さぁーね。おーーい」



「お、少年だ」

「少女も一緒だ」

「おはよー」

少年「おはよっ」

少女「おはよー」

「ちょうど良かった。サッカーでもしようと思ってたんだ」

「ちょうど二人足りないんだ。やろうぜ」

少年「良いね! やろう!」

「・・・くっそー」

「やっぱ少年は上手いなー」

少年「ありがとう!」

「次はこっちのチームに入ってくれよ! 勝てないよ!」

少年「良いよ! もう一回やろう!」

「よーし、今度こそ!」



少女「・・・みんな元気良いなぁ。・・・あれ?」





「・・・・・・・・・」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

「はぁ、疲れたぁ。ちょっと休憩にしようぜ」

少年「あぁー、さんせーい」

「しかし、少年が入ったチームは負け知らずだな」

「悔しいな・・・でも勝っても負けても楽しいからどっちでもいーよ」

「「ははははっ」」

少女「男の子ってほんと、タンジュンね」

少年「僕らみたいにアツくなれないなんて、逆に損してるね」

少女「むっ・・・」

「言えてるぜ」

「こういうのをセイシュンっていうのさ」

少女「・・・イミわかんないし」


「・・・・・・・・・」

少女「あっ・・・」

少年「・・・どうした?」

少女「・・・いや、なんでもない」

少年「・・・??」

少年「・・・あれ、あの子どうしたんだろう」

少女「・・・・・・わかんない」

少年「そういえば、さっきからずっといる気がする」

少女「そ、そうかしら」

少年「そうだよ! もしかして、一緒に遊びたいのかな」

「・・・あ、いや、たぶん・・・」

少年「?? たぶん、なに?」

「いや・・・」

少年「・・・誘ってくる!!」

「え!?」

「や、やめとけって」

少年「なんで?」

「いやー・・・ははは」

少女「・・・・・・」

少年「・・・・・・」

少年「・・・行ってくるぞ!」

少女「あ、あ、あのね、少年、あの子は・・・!!」




少年「おーい、そこの君っ!」




「・・・・・・・・・」

少年「こんにちは。僕、少年」

「・・・・・・」

少年「きみの名前は?」

「・・・・・・」

「・・・・・・"娘"」

少年「娘ちゃんだな? こんなところで何してるの?」

娘「・・・・・・」

少年「さっきからずっと見てたよね? 一緒に遊ぶ?」

娘「・・・遊ばない」

少年「え・・・あっ、そっか」

娘「・・・・・・・・・」

少年「・・・えーっと・・・この辺であんまり見ない顔だよね。この辺りに住んでるの?」

娘「・・・・・・」こくり

少年「そっか!」

少年「どうして一人でいるの? 一緒に遊ぼうよ。楽しいよ」

娘「・・・・・・いい」

少年「うーん、そっか。・・・ねえ、もうすぐクリスマスだよ。雪が積もってくれたら良いなぁ」

娘「・・・・・・・・・」

少年「この辺ってあんまり雪降らないんだよ。知ってる? ホワイトクリスマスになったら、きっと楽しいだろうな」

娘「・・・ばっかみたい」

少年「・・・えっ?」

娘「・・・クリスマスなんて・・・」



娘「・・・・・・一年でいっちばん嫌いな日」

少年「・・・・・・・・・」

娘「・・・・・・・・・」

少年「・・・ど、どうして?」

娘「・・・・・・別に」

少年「・・・えっと・・・」

娘「・・・・・・」

少年「・・・な、なんで?」

娘「・・・・・・別に」

少年「・・・ど、どういうこと?」

娘「・・・どうしても! 嫌いな物は! 嫌いっ!」

少年「だから、どうしてなのさ!」

娘「だから、嫌いなものは嫌い! どうしたもこうしたもないもん」

少年「じゃあ、なんでずっとここにいるの?」

娘「ずっとじゃない」

少年「じゃあ、どれくらい」

娘「・・・これくらい・・・」

少年「変わらないじゃないか」

娘「・・・うるさい」

少年「君の方がうるさいぞ」

娘「・・・・・・なによさっきから。友達と遊んでればいいじゃない」

少年「だから、一緒に遊ぼうって」

娘「それは、最初から"いい"って言ってる」

少年「だから、なんで?」

娘「"いい"って言ってるから、"いい"の」

少年「・・・・・・ふーーーーーん」

娘「やっと分かった?」

少年「分からないけど分かった」

娘「・・・・・・あっそ」

「・・・娘ちゃーん。・・・あら?」

娘「・・・ママ」

夫人「ごめんなさいね。ご近所さんに挨拶してて・・・」

娘「遅い。早く行こ」

夫人「はいはい。・・・あなた、この近くの子?」

少年「あ、はい」

夫人「そっか・・・仲良くしてあげてね」

少年「あー・・・えっと・・・」

娘「・・・・・・」むすっ

少年「・・・はい」

夫人「・・・ふふ、じゃあね。さよなら」

少年「はい。さよなら」

少年「・・・・・・」

少女「・・・少年、大丈夫?」

少年「・・・まあね」

少女「・・・・・・どうかした?」

少年「・・・いや・・・変わった子だなと思って」

少女「・・・うん・・・まあ・・・そうね」

少年「ところで、みんなは?」

少女「帰ったわよ・・・お昼よ」

少年「あ、そっか。そういえば、お腹空いたな・・・」

少女「うん、帰ろうよ」

少年「今日、パパとママも出かけてるんだ・・・少女の家で食べても良い?」

少女「うん。うちのママったらきっと張り切っちゃうわ」

少年「楽しみだ。よーし、帰ろう」

少年「寒くなってきたなー」

少女「うん。もしかしたら、本当に雪が降ってくれるかも・・・」

少年「だと良いなぁ・・・あ、そうだ」

少女「??」

少年「あの子に話しかけに行く前に、止めたよね。ていうか、あの子の事、何か知ってるの?」

少女「・・・あー・・・えっと・・・」

少年「なんだよ」

少女「・・・本当に知らないんだ?」

少年「知らないよ。だから聞いてるんだよ」

少女「うん、まあ、そうだよね」

少年「教えてよ! なんだか、あいつらも知ってたみたいだし・・・」

少女「ん・・・もうみんな知ってると思ってたけど」

少女「・・・あの子ね、つい最近引っ越してきたばっかりなのよ」

少年「へぇ。そうなんだ」

少女「そう。色々村中あいさつに回ってるみたいだけど・・・」

少年「みたいだね。あの子のお母さんがそう言ってた」

少女「うん・・・」

少年「・・・それで?」

少女「うん・・・それでね」

少女「あの子・・・娘ちゃん」





少女「目が見えないのよ」

とても短い話だけど、読んでくれる人には感謝
年齢は5.6歳程度
近世の英語圏の国のどこかの小さな村を想像してくれ
他に分からない所や質問等あれば受け付ける
続きはまた明日のこの時間帯くらいで

クリスマスの日に見えなくなったのかな?

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

少年「美味しかった! 少女のママ、ありがとう!」

少女母「どういたしまして」

少女「うー、お腹いっぱい」

少女母「この後はどうするの?」

少年「うーん、お昼までいっぱい遊んだし・・・」

少女「まさか、またサッカーとか言わないよね。外、寒いよ」

少年「うーん、そうだな・・・」

少女母「確かに寒くなってきたわね。お外はやめておきなさい」

少女母「風邪でも引かせてしまったら、少年くんの親御さんに顔向けできないわ・・・」

少年「・・・うん。そうします」

少女母「さて、少年くん、食後のデザートはどう?」

少年「食べます!」

少女「わたしも!」

少女母「あーら、あなた、さっきお腹いっぱいって言ったわよねえ」

少女「さ、さっきまではそうだったの!」

少女母「はいはい、持ってくるから待っててね」

少年・少女「「はーい」」





少年「・・・・・・・・・」

少女「・・・どうかした?」

少年「ん・・・いや・・・」

少女「あの子のことでしょ?」

少年「・・・うん・・・」

少女「だから止めたのに」

少年「なんで?」

少女「自分でも言ってたでしょ? あの子、相当気難しい性格でしょ?」

少年「・・・ハッキリ言うね・・・まあそうなんだけど」

少女「うん、だから皆もとっつきにくいし、それに・・・」

少年「目が見えない?」

少女「うん・・・」

少女「あの子、遊ばないんじゃなくて、遊べないのよ」

少女「そばにお母さんか誰かいないと、何もできないし・・・」

少年「・・・じゃあ、なんであそこで一人でいたんだろ?」

少女「・・・わかんないけど」

少年「お母さんは近所に挨拶にしにいってたみたいだよ。ついていかなかったんだ」

少女「・・・・・・ま、オトナの事情ってやつよ」

少年「なんだそれ・・・」


少女母「持ってきたわよー」

少年・少女「「わーい!!」」

少女母「ゆっくりしていってね」

少年「はい!」

少年「それで・・・ねえ、少女。あの子の家知ってる?」

少女「知らない・・・なんでそんなこと聞くの?」

少年「いや・・・ほら・・・」

少年「なにも知らないのに、悪いこと言っちゃったと思ってさ・・・謝りに行こうと思って」

少女「・・・・・・・・・」

少年「なに?」

少女「少年って、妙に律儀なところあるわよね・・・」

少年「リチギ?」

少女「・・・細かい気遣いとかができるってこと! お勉強しなさい!」

少年「なんでもいいけど、結局知らないんだよね?」

少女「知らないわよ・・・わたしのママなら知ってるかもしれないけど」

少年「そっか。少女のママー!!」



少女母「少年くん、どうかした?」

少年「あの、娘ちゃんの家、どこか知りませんか?」

少女母「娘ちゃん・・・? そんな子いたかしら・・・」

少女「ママ、最近引っ越してきたあの家族のこと。少年ったら、こんな言い方して分かるわけないでしょ」

少女母「ああ! あのご家族の娘さんの名前ね。お気の毒に、あの子、目が悪いんでしょう?」

少女「・・・悪いどころか・・・」

少年「見えない」

少女母「・・・あらまあ・・・」

少女「少年、もうちょっと言い方変えなさいよ。デリカシーがないわね」

少年「でり?? それで、少女のママ、知っていますか?」

少女母「うーん、ごめんなさい。最近噂になってるけど、私たちの家にはまだご挨拶まだみたいだし・・・」

少年「・・・わかんないかー」

少女母「ごめんなさいね」

少年「大丈夫です! その内僕の家にも来ます。そしたら、家の場所聞けるし」

少女母「・・・そう。だと良いわね」

少年「うん」

少女「・・・さーて、あと何しよっか?」

少年「うーん・・・ごろごろする・・・」

少年「まだパパとママ帰ってこないし・・・」

少女母「ゆっくりしていってね」

少年「はい!」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

少女「わたしの勝ち!」

少年「・・・ちぇっ」

少女「少年ってほんとトランプ弱いなあ」

少年「ふんだ。もうやめ」

少女「意気地なし」

少年「なんだと!」

少女「本当の事じゃない」

 こんこんこん

少年「もう一回だ!」

少女「待って! ・・・誰か来た」

少年「あの子かな!?」

少女「かもね」



少女母「少年くん! お父さんとお母さんよ!」

少年「え!? あぁ、帰ってきたんだ!」

少女母「すぐに行ってあげて。もう帰るわよね」

少年「うん・・・ありがとうございました」

少女母「いえいえ、またいつでも遊びに来てね」

少年「はい! 少女、ばいばい」

少女「うん。ばいばい」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

少年「ねえ、パパ、ママ」

父「どうした?」

少年「最近引っ越してきた、家族のこと知ってる?」

父「・・・ママからちょっとだけ聞いたけど」

母「あの人たちでしょう? 娘さんが目が悪いっていう」

少年「うん、そう」

母「どうかしたの?」

少年「ん、いや・・・ちょっと」

母「ふうん?」

少年「ところで、パパとママ、二人で何を買ってたの?」

父「やっと聞いてきてくれたか! ママ!」

母「ふふ、これよ!」



少年「・・・わあ!」



少年「クリスマスツリー!!」

父「飾りもたくさん買ってきたんだぞ」

母「明日、みんなで飾り付けしましょうね。少女ちゃんに見てもらおうね」

少年「うん! ぜったいびっくりするよ!」

 こんこんこん

母「・・・あら。こんな時間にどなたかしら」

母「どうぞ」

「こんばんは。こんな時間にお邪魔してすみません」

「私達、最近こちらに引っ越してきた者で・・・」

母「あら、もしかして夫人さんと娘ちゃんかしら?」

夫人「あ、御存じだったんですね・・・はい、そうです」

夫人「こちらは私の娘で・・・。娘、挨拶しなさい」

娘「・・・・・・」ぺこ

母「ふふ、こんばんは」

夫人「これからお世話になります。主人がいませんが、また挨拶に来させます・・・突然お邪魔してすみませんでした」

母「いえいえ、何か困ったら私たちになんでもどうぞ」

夫人「ありがとうございます。失礼します・・・娘、行くよ」

娘「・・・・・・」


少年「ママ、誰なの・・・・・・あっ」

夫人「あら、お昼の・・・こんばんは」

少年「こ、こんばんは・・・」

娘「・・・・・・」

母「少年、知ってるの?」

少年「ま、まあね」

母「・・・そうだったのね」

少年「・・・あ、あのさ! 娘ちゃん!」

娘「・・・・・・」

少年「・・・さっきはごめん。僕、なにも・・・」

娘「・・・・・・」ぷいっ 

 コツコツコツ・・・

夫人「こらっ、待ちなさい! ご、ごめんなさい。ちょっと照れ屋な子で・・・失礼します」

母「さ、さよならぁ」

少年「・・・・・・」

母「・・・少年?」

少年「・・・・・・」

父「・・・どうしたんだ?」

母「・・・少年が突然、あの娘ちゃんって子に謝って・・・」

父「なに?」

少年「・・・・・・・・・」

父「少年、あの子に何をしたんだ?」

少年「・・・うん・・・僕、あの子が目が見えないこと知らなかったんだ」

少年「それで僕、無理やり遊びに誘ったりしたり、悪いこと言っちゃったんだ・・・」

母「・・・・・・」

父「・・・そうか・・・それであの子に謝りたかったんだな?」

少年「うん・・・」

母「・・・少年・・・」

父「・・・偉いぞ、少年。それでこそ、パパとママの子だ」

少年「うん・・・でも、あんまり聞いてもらえなかったよ。怒ってたよ」

父「自分から行動を起こすっていうのが大事なんだぞ」

父「さぁ、ここじゃあ寒い。早くごはんを食べて、明日みんなでツリーの飾り付けをしよう」

少年「・・・うん!」

母「行きましょう」

 ―――――――――

 ――――――

 ――― 12月24日

少年「ふわぁ・・・朝だ」

少年「うっ・・・寒いな」

母「少年、おはよう」

少年「ママ、おはよう」

母「ね、少年・・・窓からお外見てごらん」

少年「外?」

母「うん」

少年「分かった」

少年「それっ」

 ばさぁ・・・

少年「うわっ・・・」



少年「雪だっ!!」



母「そうよ。だーいぶ、積もってるわ。ホワイトクリスマスね」

少年「うわぁ、すごいすごい!」

母「夜の間にこんなに降ったのね・・・まだまだ降るわよ・・・」

少年「ほんと!? やった!」

少年「早くごはん食べなきゃ!」

母「その前に、ちゃんと着替えなさい」

少年「あ、うん」

母「クリスマスツリーの飾り付けもしなきゃね?」

少年「うん!」

少年「ぜったい少女をびっくりさせてやる!」

母「ふふ、そうね。今年のクリスマスパーティは盛り上がりそうね」

少年「うんっ」

母「さぁ、着替えてごはんを食べましょう」

少年「ふふっ、雪だるまに雪合戦、キレイなクリスマスツリーに・・・パーティに」

少年「最高のクリスマスだ!」

少年「少女も、みんなも嬉しいだろうな」


少年「・・・ぁっ・・・」



少女『・・・ばっかみたい』
少女『・・・クリスマスなんて・・・』
少女『・・・・・・一年でいっちばん嫌いな日』



少年「・・・・・・・・・」

少年(どんなに雪が降っても・・・)

少年(どんなにツリーを飾っても・・・)

少年(どんなに楽しいパーティも・・・)

少年(あの子にとっては、なんにも見えない。分からない)

少年(僕らにとっては、楽しい楽しいホワイトクリスマス)

少年(あの子にとっては、真っ暗闇のブラッククリスマス)



少年(僕たちは、あの子に何がしてあげられるだろう?)

支援・読んでくれる人に感謝
続きはまた明日の同じ時間帯に

>>22
特に考えてない
生まれつきか、事故か、病気か、なんでも各人の好きなシチュに任せる

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 コンコンコン

「こんにちはー!」

母「はーい。待ってねー」



少女「少年! 外見た?」

少年「うん」

少女「雪だよ! すごい積もってる! 今夜はホワイトクリスマス!」

少年「そうだね」

少女「うわ! すごいクリスマスツリーね! きれい!」

少年「うん・・・」

少女「・・・どうしたの? 元気ないね」

少年「うーん・・・」

少女「らしくないわね。いっつもだったら、迷いなく外に遊びに行くのに」

少年「そうしたいけどね・・・」

少女「・・・もしかして、娘ちゃんのこと?」

少年「・・・・・・」

少女「そうでしょ。少年の家にも来たんでしょ? わたしの家にも来たよ。どうだったの?」

少年「まだ怒ってるみたいだった」

少女「うーん、あの子っていつもそんな感じよ」

少年「・・・ねえ、今年も僕の家でクリスマスパーティするよね」

少女「うん。もうずっと前からパパとママも楽しみにしてるよ」

少年「うん、僕の両親もそう・・・」

少女「・・・それがどうかした?」

少年「・・・・・・」

少年「娘ちゃんの家族を招待できかな、って・・・」

少女「えー・・・うーん」

少年「どう思う?」

少女「・・・そうね・・・」

少女「娘ちゃんのお母さんにお願いすれば、来てくれると思うわよ」

少年「娘ちゃんはついてくるかな」

少女「たぶん・・・」

少年「・・・まあ、言ってみるしかないね。なんとか連れてこさせて・・・」

少女「連れてこさせて、どうするの?」

少年「えっと・・・」

少年「・・・・・・・・・」

少女「・・・まさか、考えてないの?」

少年「うーん、例えば?」

少女「ホントに何も考えてないの・・・?」

少女「なんかあるでしょ・・・プレゼントとか」

少年「それだ!」

少女「・・・プレゼントねぇ・・・自分で言っておいてこんなこと言うのもなんだけどさ」

少女「あの子が目が見えないのよ。それに、好みとか・・・わたし、なんにも分からないわよ」

少年「・・・そっか・・・」

少女「よっぽどのものじゃない限り、喜ばないし、驚かないでしょうし・・・」

少女「難しいんじゃないの・・・」

少年「・・・あの子が・・・プレゼントされて・・・喜びそうなもの・・・」

少女「あったとしても、用意できるかな。今夜だよ?」

少年「・・・・・・」

少女「高いものだったら買えないし・・・お金持ってるの?」

少年「・・・・・・」

少女「ていうか、今日はクリスマスだし・・・お店はお休みだし・・・」

少年「・・・・・・」

少女「でも一番の問題は本人の好みよ・・・」

少年「・・・・・・」

少女「近所の人たちからいろいろ聞いたけど、実はあの家族、引っ越しを繰り返してるんだって」

少年「・・・・・・」

少女「お父さんの仕事の関係だとか言ってたけど・・・でも」

少年「・・・・・・」

少女「・・・・・・でも、本当の理由は」

少年「・・・本当の理由は、なに?」

少女「・・・娘ちゃんがああいう子だから。目が見えない、っていう意味で。えっと」

少年「・・・・・・」

少女「もう、分かるでしょ? ここまで言えば・・・」

少年「・・・うん」

少女「そういうわけで引っ越しを繰り返してるの・・・それで、友達とかできたことないのよ」

少年「・・・・・・」

少女「・・・ああ、かわいそうよね・・・・・・おっと、なんだか話がそれちゃったわね」

少年「・・・思いついたぞ」

少女「えっ!? なになに?」

少年「これなら簡単だ・・・難しくない」

少女「だからなによ! 教えてよ!」

少年「耳貸して」

少女「・・・うん」


 ・・・・・・・・・


少年「・・・・・・」

少女「・・・本気?」

少年「本気だ!」

少女「・・・ウソでしょ・・・」

少年「もちろん、ウソじゃないさ」

少女「・・・・・・ま、勝手にやったら」

少年「なに言ってるんだ? 少女も手伝ってもらうからな」

少女「ウソでしょ!?」

少年「少女はイヤなの?」

少女「・・・イヤじゃないけど・・・でも・・・恥ずかしい・・・」

少年「ほら、早く準備しなきゃ!」

少女「・・・もう、しょうがないなぁ・・・」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 コンコンコン

母「どうぞー」

「こんばんは」

母「あら、夫人さんこんばんは。それに・・・娘ちゃんも。いらっしゃい」

父「こんばんは、いらっしゃい。もう皆さん集まってます。寒いので、どうぞ中へ」

夫人「お誘い頂いて本当にありがとうございます・・・ほら、入りなさい」

娘「・・・・・・」

少年「いらっしゃい!」

少年「・・・みんな来たぞ。準備は大丈夫だろうな」

少女「・・・たぶん・・・これで大丈夫よ」

少年「よし・・・」

少女「ねえ、誰かに手伝ってもらうとか・・・」

少年「ダメだ! 娘ちゃんとお母さんだけじゃなく、みんなもあっと驚かせたいんだ」

少女「・・・後者のほうは余計よ・・・まあ、ここまできたらしょうがないわね」

少年「僕のパパとママには、全部じゃないけど説明してある」

少年「プレゼント交換の時間になったら、僕たちがいなくても始めてくれって・・・サプライズがあるからって・・・」

少女「・・・なるほどね」

少年「よし、後は・・・時間がくるまで楽しむか」

少女「そうね」

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

夫人「すみません、お手洗いをお借りしても・・・」

母「はいどうぞ。案内しますね」

夫人「お願いします。・・・ちょっと行ってくるからね」

娘「・・・・・・」



少年「やあ、娘ちゃん。クリスマスイブだね」

娘「・・・・・・」

少年「・・・まずは、来てくれて、ありがとう。楽しんでいって・・・」

娘「昨日言ったわよね。わたし・・・クリスマスなんて」

少年「ああ、待って! 分かってるから」

娘「・・・・・・」

少年「このパーティはね、クリスマスパーティであると同時に、歓迎パーティでもあるんだ」

少年「もちろん、君の家族の事だよ」

娘「・・・・・・」

少年「パパとママも、早くここに溶け込んでいってもらいたいからって・・・」

娘「その割には、大して集まってないみたいだけど」

少年「・・・い、いつものメンバーだよ」

娘「どうせここもすぐに引っ越しちゃうんだ。みーんな、わたしを煙たがる・・・」

娘「目が見えなくたって、分かるんだ・・・」

少年「・・・・・・」

娘「その内パパもママも愛想がつきるにきまってる。お父さんは口を開けばいつも仕事仕事・・・」

娘「お母さんは周りの冷やかしにいつも我慢してる」

娘「わたしなんて、きっと・・・うまれて」

少年「人生ってきっと、もっと楽しいよ」

娘「・・・は?」

少年「本当だよ。きっとだよ」

娘「昨日もこともそうだけど、その自信はどこから来るの?」

少年「さあね・・・言葉で表すなら、ヤセイのカンってやつさ」

娘「・・・・・・・・・」

少年「楽しいことがたくさん! そう思えばそうなってくるよ!」

娘「・・・あっそ」

少女(・・・・・・本当に大丈夫かなぁ)

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

父「さて、みなさん、お待ちかねのプレゼント交換です」

少年「少女! いくぞ」

少女「うん」



夫人「楽しみねえ。あの二人、喜んでくれるかしら・・・」

父「大丈夫です。少なくともうちの少年はなんでも喜びますから」

夫人「・・・だと良いんですが」

娘「・・・・・・」

母「・・・娘ちゃん、プレゼントは楽しみ?」

娘「・・・・・・」

夫人「・・・娘、楽しみ?」

娘「・・・別に」

母「あら・・・あはは」

夫人「す、すみません・・・」

父「さ、さぁ、交換にいきましょう」

夫人「あれ? 少年くんと少女ちゃんがいないようですが・・・?」

父「ああ、トイレにでも行ったんでしょう」

母「いっつも仲良しの二人ですからね。さぁ、一番最初はその少年と少女ちゃんから娘ちゃんへのプレゼントです」

夫人「・・・ほら、こっちおいで」

娘「・・・・・・」

父「さっ、これが少年と少女ちゃんからのプレゼントだよ」

夫人「・・・お、大きいですね。何が入ってるのかしら・・・」

娘「・・・・・・」

夫人「開けてみようね」

父「・・・しっかし、こんな大きいプレゼント、中身はいったい・・・?」

母「うん・・・確かに・・・」




夫人「・・・・・・えっ?」

娘「・・・・・・??」

少年・少女「「プレゼントは!」」



少年・少女「「友達です!!」」



娘「えっ・・・・・・!」

夫人「・・・まぁ・・・!!」

 ぎゅっ

少女「・・・ちっちゃな手ね。でも大丈夫よ」

少年「明日、公園で一緒に雪だるま作ろう!」

少女「わたしたちがお家まで迎えにいくわ。待っててね」

娘「・・・・・・・・・」

夫人「・・・あなたたち・・・・・・ほ、本当にありがとう・・・」

娘「・・・・・・・・・」

夫人「・・・娘。なんとか言いなさい。遊びに誘ってくれてるのよ」

娘「・・・手、離して」

少女「え・・・あっ」

夫人「・・・ちょっと!」

 ぎゅっ

夫人「あら・・・・・・」

娘「・・・・・・」

少年「・・・えーっと・・・」

夫人「・・・ぜひ、遊びにいきたいみたいね。この子ったら、恥ずかしいのよ・・・」

娘「ママ!!」

少年「・・・良かった」

父「・・・素晴らしいプレゼントじゃないか。少年」

少年「だったらいいんだけど・・・」

夫人「・・・きっと、今までで一番のプレゼントね・・・ね、娘」

娘「・・・・・・」

夫人「ふふ、照れ屋さんなんだから・・・」

少年「・・・明日、楽しみだ!」

少女「・・・あー、死ぬほど恥ずかしかった!」

夫人「・・・お二人とも、本当に・・・本当にありがとう」


 コンコンコン


母「あら・・・? こんな時間にどなたかしら」

夫人「・・・やっと来たのね」


「こんばんは。メリークリスマス!!」


 おわり

支援・読んでくれた人に感謝
できれば年内に終わらせたかったけど遅くなってしまった
後半が駆け足気味になってしまったのが後悔
話の内容はスレタイ通りもっと暗くしようと思ったけど、縁起が悪いのでやめた
機会があればまた別のスレで

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