不知火「怪我だらけの提督」 (199)
不知火「遠征艦隊が帰還しました」
提督「結果は?」
不知火「失敗です」
提督「……」
不知火「50回遠征に出て50回失敗しました」
提督「……分かってる」
不知火「50回遠征に出て――」
提督「うるさいな!分かってるって言ってるだろうが!」
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不知火「司令、どうしてこの鎮守府だけ資源が送られてこないのですか?」
提督「……知らん」
不知火「それと、海軍特別警察隊の方々が司令を連れて行く度に――」
不知火「――怪我が増えてる気がしますが」
提督「特警は関係ない、これは…階段から転げ落ちただけだ」
不知火「……随分と面白い落ち方ですね」
提督「……無駄話しはここまでだ、この山みたいな書類をとっとと片付けるぞ」
不知火「司令、このままでは資源が底をつきます」
不知火「早く対策を」
提督「……そう言われてもな」
不知火「もう一回別の鎮守府に忍び込んで盗みますか?」
提督「バレて憲兵に追い回されただろうが」
提督「アホな事言ってないで早く遠征隊を出せ」
不知火「遠征隊に回す資源が足りません」
提督「……」
不知火「お手上げです」
提督「……」
――――――――――――――――――――
赤城「あれ?どうかしたんですか不知火さん。提督の部屋の前で突っ立って」ムシャムシャ
不知火「司令が寝込んでしまって」
赤城「何かあったんですか?」ムシャムシャ
不知火「えぇ、資源の事で」
赤城「そうですか…提督大丈夫でしょうか。心配で美味しい物しか喉を通りませんね」ムシャムシャ
不知火「……」
翌日
不知火「司令、大丈夫ですか?」
提督「あぁ…大丈夫だ」
不知火「それで、資源はどう確保しますか?」
提督「仕方無い、解体するか…」
提督「この大潮軍団を解体する時が来たな」
大潮軍団「「「「大潮です!」」」」
不知火「凄い人数ですね」
提督「さっさと解体して資源にするぞ」
不知火「……司令」
提督「あん?」
不知火「昨日の晩、特警の方々に工廠の妖精さん達を一人残らず連れて行かれました」
不知火「これでは解体出来ません」
提督「……どうして昨日言わなかった」
不知火「司令がふて寝してましたから」
提督「アイツらふざけやがって」
不知火「それで、どうしますか?」
提督「…俺達で解体するぞ」
不知火「大丈夫ですかね」
提督「大丈夫だろ」
不知火「このプラズマカッターってのを使うんですか?」スチャ
提督「あぁ、解体室にあるって事はそうなんだろ」
不知火「それでは解体を始めます」
解体に失敗しました
提督「それ工具なのか?」
不知火「そのハズなんですが…」
提督「解体に失敗とか始めて見た」
不知火「……大潮軍団全て解体しても失敗」
不知火「資源は相変わらず残りわずかです」
提督「あぁ…ん?」
ボーキサイト:20
提督「おい、ボーキサイトこの前まで500あっただろ」
不知火「恐らく赤城さんが勝手に食べたせいかと」
提督「あのアマry」
時雨「大変だ提督!鎮守府付近の海域に深海棲艦が現れた!」バンッ!
提督「クソッ!中も外も敵だらけだ!」
―――――――――――――――
不知火「なんとか撃退出来ましたね」
提督「あぁ…その代わり資材が全て無くなったがな」
不知火「仕方ありませんね」
提督「何をする気だ」
不知火「他の鎮守府から資材を盗むんですよ」
提督「でも憲兵…あと特警が」
不知火「背に腹は代えられません。とりあえず燃料・弾薬・鋼材・ボーキサイト5000000ずつ頂戴しましょうか」
提督「…他の提督、朝起きたら発狂するぞ」
提督「大体どうやって5000000も盗む…いやそれ以前にどうやって忍び込むんだ」
提督「他の鎮守府はこの鎮守府と違ってしっかりと警備もされているし、入り込めるなんて猫か虫ぐらいだぞ」
不知火「多摩さんを使いましょう」
提督「いや…猫じゃないだろ多摩は」
不知火「分かってますよそれぐらい、とりあえず不知火にお任せ下さい」
夕立「提督さん、特警の人達が呼んでるっぽい」
提督「あぁ、分かったすぐに行く。いいか不知火、頼むから本当にバレずにな」
不知火「はい、根こそぎ盗みに行って参ります」
提督「根こそぎは止めておいた方がいいと思うが…」
深夜
提督「ハァ…ハァ…」ズズ…
提督「クソッ…アイツら無抵抗の人間をボコスカ殴りやがって…」
提督「ぐっ…!」ガクッ
提督「早く、部屋に…戻らないと…」ググ…
提督「あぐっ!」バタ!
榛名「提督…?提督!?大丈夫ですか!?」ダッ!
提督「来るなッ!」
榛名「!?」ビクッ!
提督「榛名…消灯時間は既に過ぎてるが…何故こんな時間にウロウロしている?」
榛名「ト、トイレに行ってて部屋に戻ろうとしたら……提督が倒れていて…」
提督「……」
榛名「提督…やはりその怪我は特警の方々に…」
提督「階段から落ちただけだ、特警は関係ない」
榛名「前もそう言ってたじゃないですか!」
提督「……早く、部屋に、戻れ…これは…命令だ…」ズズ…
榛名「提督!」
提督(………)
提督(不知火は…まだ帰ってないか…)
朝 提督の部屋
提督「ふぁ~あ…(クソ…まだ体中ズキズキしやがる…)」
不知火「お目覚めですか司令」
提督「帰ってきてたのか」
不知火「えぇ」
提督「それで?資源は?」
不知火「根こそぎとまではいきませんでしたが、そこそこ」
提督「そこそこでいい」
不知火「それで?どうしますか?」
提督「……とりあえず朝飯食べて考える」ゴソッ
――――――――――――――――
提督「さーて…どうしよっかなー…」
不知火「とりあえずボーキサイトは隠してあります」
提督「よし」
雷「おっはよー!司令官!」ポンッ
提督「あぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!」
雷「!?」ビクッ
提督「おぐぉおお……」
雷「だ、大丈夫!?」オロオロ
提督「大丈夫…ちょっと、驚いただけさ…」
雷「そ、そう?」
不知火「……」
提督「さぁ、早く行け」
雷「う、うん…」ダッ
不知火「……司令、また怪我が増えたんじゃry」
隼鷹「おっはよーう!提督ゥーッ!」バシンッ!
提督「ぱぴぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!?!?」
隼鷹「!?」ビクッ
隼鷹「おいおい、大丈夫か?」
提督「だ、大丈夫だ…気にするな…!」
不知火「……」
隼鷹「ふぅん、ならいいけどさ」スタスタ…
提督「……」
不知火「司令」
提督「大丈夫だ」
不知火「いえ、大丈夫じゃありません」
不知火「……司令、せめて不知火にだけ話してくれませんか?何故、特警の方々が司令に暴行を加えるのかを」
提督「……」
提督「特警の連中に恨みを持たれてる訳じゃない、その特警の中の一人に恨みを持たれているんだ」
不知火「一人…?」
提督「そいつは…海軍の元司令官だ」
不知火「!」
提督「そいつは深海棲艦を絶滅まで追い込み、轟沈させた艦はゼロだったらしい」
不知火「そんな凄い人がどうして特警なんかに」
提督「……かなり、危ないヤツだったからな」
不知火「…?」
提督「アイツ……艦娘に人殺しをさせてたらしい」
不知火「…!」
提督「情けを消させる訓練とか言って貧しい人達を殺させていたんだ」
提督「当然PTSDを訴える者も出たが、遠慮無しに続けさせた」
提督「『国に住み着く害虫も駆除出来るし、お前達も強くなり一石二鳥だ』ってな」
不知火「よく殺されませんでしたね、その人」
提督「艦娘の装備に自分に向けて弾が出ないように細工されてたらしい」
提督「接近戦じゃアイツの方が強いし…」
提督「まぁその事を知った大将が、そいつを新しく設立された海軍特別警察隊に移籍させたんだ」
不知火「除隊ではなく…?」
提督「除隊反対するヤツが多かったんだ、それも高い階級のヤツらがな」
提督「しかし特警に移籍したのはいいが、あっという間に特警はアイツの支配下に落ちた」
提督「やりたい放題さ」
不知火「……その人がどうして司令に恨みを?」
提督「それは――――」
夕立「提督さん、特警の人達が提督さんをお呼びっぽい?」
提督「あぁ、すぐに行く」
不知火「不知火も行きます」
提督「……後ろからついて来い、バレないようにな」
外
無精髭の特警「来たな」
提督「…さっさとすませろ」
無精髭の特警「あぁ、もちろんさ。オイ、連れて行け」
太った特警「はい!」
提督「……」
不知火「…使われてない倉庫に向うようですね」コソコソ
榛名「………」
――――――――――――
倉庫
太った特警「このクソが!何で連れて来れられたか分かってるか!?」ドゴッ!
提督「グッ…!」
太った特警「漣ちゃんを寄越すって手筈だったろうがッ!」
無精髭の特警「そんなんじゃねぇよボケが」
太った特警「そんなんじゃねぇんだよ!」ガッ!
提督「がはっ!」
太った特警「夕立ちゃんの下着寄越せって言ってるだろッ!」ドコッ!
提督「ぐぅっ!」
無精髭の特警「冗談はお前の体型と顔と親と生涯だけにしろ」
無精髭の特警「下がれ」
太った特警「は、はい…」
無精髭の特警「いいか?悪い事は言わねぇ…司令官を辞退しろ」
無精髭の特警「そうすりゃブン殴られる事もないぞ?」
提督「寝言は寝て言え…!誰がお前なんかに…!」
無精髭の特警「……」バキッ!
提督「ぐっ!」
無精髭の特警「俺を陥れて昇格して随分と偉くなったなァ、えぇ?」
提督「昇格したのは実力だ…それに、誰かがお前を止めないと罪の無い人が死んでた」
提督「艦娘達も傷つく」
無精髭の特警「知った事かそんな事ッ!」ドゴッ!
提督「ぐはっ!」
無精髭の特警「このッ!このッ!このッ!」ガッ!ガッ!
不知火「ッ…!」
「やめなさい!」
不知火「!?」
無精髭の特警「誰だ?」
榛名「提督から離れなさい!」ジャキッ!
提督「榛名…!」
無精髭の特警「……ふん、それで?そいつをどうするつもりだ、撃つのか?」
榛名「撃ちます…!だから、早く提督から…!」
無精髭の特警「そうか、なら撃て」
榛名「……ッ!」
無精髭の特警「はぁ…あーあーあーあー…」ツカツカ…
ドゴッ!
榛名「うぐっ!?」
バキィッ!
榛名「あぐぅっ!」ズシャア!
提督「やめ…!」
無精髭の特警「躾がなってないな小娘。こいつは提督に問題があるんじゃあないか?」ガッ!
榛名「うっ!」
無精髭の特警「あんなカス見たいな提督に甘やかされてるから、いざという時に撃てねぇんだよボケが」グググ…
榛名「うわぁあああッッ!!!」ギリギリ
パーン!
太った特警「あひっ!?」チュイーン!
無精髭の特警「…!?」
不知火「不知火は…撃てますよ…」チャキッ
提督「不知火…」
無精髭の特警「……」
不知火「……取引をしましょう」
無精髭の特警「ほぅ?」
不知火「このカメラ…そしてボイスレコーダー…もう分かりますね?」チャッ
無精髭の特警「!」
不知火「これを上に…大将に渡れば色々とマズイんじゃないですか?」
不知火「あの大将、何がなんでもあなたを除隊させたいようですし」
無精髭の特警「チッ…」
太った特警「ど、どうしましょう…!」アワアワ…
無精髭の特警「…何が望みだ?」
不知火「もう二度と司令に関らないで下さい…」
無精髭の特警「……分かった、帰るぞ」ザッ
太った特警「は、はひ……」
――――――――――――――
榛名「申し訳ありません提督…お力になれなくて…」
提督「いや…いいんだ、気にするな」
榛名「でも、これでヤツらの弱みを握れましたね不知火さん!」
不知火「…残念ながら、このカメラもボイスレコーダーも壊れてます」
榛名「え…?」
提督「……」
不知火「不知火に落ち度…いえ、分かってます」
不知火「それでどうしましょう…この事を皆に言うべきでしょうか」
提督「いや、それだけはやめてくれ。士気が下がる」
不知火「どうして?」
提督「特警に今までボコボコにされてた、なんて知ったらみんな情けないと思うだろう」
提督「だから言わなかったんだ」
不知火「……そんなものですかね?」
提督「そんなものだ」
榛名(……)
提督「不知火、榛名。この事は誰にも言うんじゃないぞ」
―――――――――――――――
榛名(って…提督言ってましたけど…)
榛名(……お姉様達になら…大丈夫でしょう…)ガチャ
金剛「ンー?榛名?その怪我、どうしたノー?」
霧島「わっ、酷い怪我ですね」
比叡「提督みたいに階段から転げ落ちたの?」
榛名「実は…」
―――――――――――――――
榛名「と、言う事なんです」
榛名「あの特警の人達はもう来ないでしょうけど…」
榛名「榛名は…悔しいで…す…!あんなヤツを撃てないなんて…!」
比叡「ま、まぁまぁ!そんな人撃ったって何にもならないし!」
比叡「提督も榛名も無事で良かった!特警の人達はもう来ないんでしょう?」
比叡「これでハッピーエンドだよ!ねぇ!?お姉さま!?霧島!?」
金剛「……」
霧島「……」
比叡「あれ?どうしたんですか?二人共」
霧島「比叡お姉様…何を呑気な事を言ってるんですか?」
比叡「へ?」
金剛「テートクだけではなく、ワタシ達の妹を傷付けられたんだヨ…?」
比叡「そ、そうですけど…」
霧島「そいつは入ってはいけない領域まで踏み込んだ。然るべき報復を与えてやる」ガタッ
比叡「えっ!?な、何を…二人共!?」
港
金剛「離して比叡ッ!」
霧島「そいつの臓物を引き抜いて海にばら撒くだけですから!」
比叡「駄目なモノは!駄目です!そんな事したらタダじゃすみませんから!」
不知火「何をしてるんですか」
比叡「不知火さん!二人を止めるのを手伝って下さいよ!」
不知火「弾薬と燃料。盗んだ物でよかったらどうぞ」ドンッ
金剛「サンキュー不知火」
比叡「不知火さんッ!?」
黒潮「何しとるんやアンタらー」
不知火「黒潮…」
――――――――――――――――――――
黒潮「ほぉん、それでモツ抜くとか言うとんのか…」
不知火「本当は言うなって言われてたんですけどね…」
榛名「榛名がお姉さまに話したらこんな事になってしまって」
不知火「司令は士気が下がると言ってましたが、逆に上がってる気がしますが…」
不知火「あまり広まると混乱が起きそうですね」
榛名「黒潮さん!どうか誰にも話さないで下さいね!」
黒潮「分かってるがなー。ウチ口堅いからなー」
―――――――――――――
黒潮「っつー事があってなぁ」
電「そ、そうだったのですか…酷いのです…」
黒潮「せやろ?あの特警のヤツら…許せんなぁ…」
黒潮「不知火姉ちゃんや榛名はんから言うなって言われてたんやけど…」
黒潮「電ちゃん、誰にも言ったらあかんで」
電「はい!電は喋らないのです!」
――――――――――――――
電「っという事を黒潮さんから聞いたのです」
雷「司令官…そんな事があったなんて」
暁「しかもレディーを叩くなんて酷い人ね」
響「…電、誰にも喋っちゃ駄目って黒潮さんに言われたんじゃ」
電「あ、暁達ならいいかなって思って…」エヘヘ…
電「みんな!絶対に誰にも言っちゃ駄目ですよ!?」
雷「分かってるわよ!」
響「分かってる。心配しなくていいよ」
暁「暁は絶対に喋らないわ、一人前のレディーですもの!」
――――――――――――――
暁「……」ソワソワ
暁「……」ウロウロ
曙「はぁ~あ、訓練疲れたー」
暁「……」チラチラ
曙「ん?何?暁?」
暁「あ、曙」
曙「?」
響「暁……」
暁「ひゃい!?ひ、響!?ま、まだ言ってないわよ!」
響「本当に?」
暁「本当よ!」
曙「何の話?」
響「いやー、実は司令官や榛名さんが特警の人にボコボコにされて――――」
暁「あーーーーッ!!!ズルイ!!!!」
曙「あぁ…その話なら雷から聞いたわ」
響「……」
暁「……」
響「とにかく曙、言っちゃ駄目だよ」
曙「フン、話すほどの事でもないわ」クルリ
暁「言っちゃ駄目だから!言っちゃ駄目なんだからね!」
曙「分かってるわよ!」
―――――――――――――――――
曙「って事があったの」
犬「?」
曙「…何も変わってないわね、あの男」
曙「『英雄』と呼ばれていたあの時代から」
曙「何が英雄よ…笑わせるわ」
曙「罪の無い貧しい人達を私達に殺させて…」
曙「あの男はクソ提督でも、ましてや英雄でも何でもなかったわ…」
曙「ただの、狂人よ」
犬「わふ」ペロ
曙「ん…ありがと…まぁ私は、あの男の下に着いて数日で飛ばされたから、あの訓練には参加してなかったけど…」
曙「ホント、あの男に比べたら提督なんて優しい方でry」
青葉「………」
曙「あ……」
青葉「青葉…」
青葉「聞いちゃいましたッ!」
曙「ちょっ!待って下さい青葉さん!!!誰にも言わないで!お願いだから!!!」
青葉「こんなオイシイネタ、とっておくなんて勿体ないでry」
ドンッ!
青葉「あ、スミマセry」
不知火「……」
青葉「あ、し、不知火さん…きょ、恐縮です…」ビクビク…
不知火(今、青葉さんを逃せばあっという間に話しが広がってしまう…)
不知火(しかし、皆は士気が下がるどころか上がる一方……)
不知火(……逃しておくか)
不知火「いえ、何でもありませんよ。どうぞ、ご自由に」
青葉「あ、あれ?てっきりオラオラされると思って身構えてたんですけど…」
不知火「して欲しいですか?」スッ
青葉「けっ、結構です~~~!」ビューン
不知火「……」
――――――――――――――――
翌日
提督「それじゃあ久々の出撃行って貰おうか」
不知火「……」
夕立「本当に久々っぽい!」
金剛「……」
加賀「……」
霧島「……」
比叡「ふぁ~あ…」
不知火(……これで鎮守府内に昨日の話を知らない人は居なくなった)
不知火(誰かが司令に昨日の話を聞いてくると思いましたけど…その心配は無さそうですね)
不知火(さて、更に士気を上げさせましょうか)
不知火「一番戦果を上げた者にはムツ●ロウバリに可愛がって下さいね、司令」
提督「えっ!?」
不知火「それぐらい良いじゃないですか。減る物じゃありませんし」
提督「そうだが…」
金剛「…不知火、提督が困ってマスよ?」
加賀「そうよ…大体、そんな事してもらわなくても私達は十分よ」
霧島「まぁまぁ二人共、折角ですし、してもらいましょうよ」
霧島「スキンシップも大事って誰か言ってましたし」
金剛「霧島が言うなら」
加賀「まぁ、期待してませんけど」
提督「……」
赤城「それよりボーキサイトいっぱいください!!!!!!!!!!!!!!!!」ガラッ!
不知火「うるさい。とっとと行きましょう」
不知火(意外とドライ……失敗か…?)
海上
加賀「敵艦発見。そこそこ居ますね」
金剛「デスね」
加賀「赤城さんを連れてこられなかったのが残念です」
不知火「それは仕方ありません」
比叡(しかし、ムツゴ●ウ並って事は物凄く撫でられるんでしょうか…)
比叡(他の皆はともかく…珍しく、金剛お姉様興味無さそう…やはり提督の事を情けなく思ったのでしょうか)
比叡(……私が一番戦果上げたらどうしよう、なーんて)
不知火「……それでは攻撃開始!!!」
金剛「ウシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
加賀「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
霧島「皆殺しだあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
比叡(ヒエエエーーー!?)
夕立「ビックリしたっぽい!?」
不知火「ヒュー…」
ヲ級「ヲッ♪ヲッ♪」
ヲ級「ヲ?」
ウォォォォォ……
ヲ級「あれなんや?(素)」
霧島「空母ォォオオーーーーッッッ!!!!」
ヲ級「ヲーーーーッ!!??」
金剛「どけ霧島!私の獲物に手を出すんじゃあないッ!」
比叡「えぇっ!?お姉さまそんな口調でしたっけ!?」
加賀「退くのは貴女方です!アレを先に見つけたのは私です!この私だァァーーーーッッ!!!」
霧島「知った事かァァーーーッッ!!!」
ヲ級「ヲーーー!!!」
夕立「逃がさないっぽい!」ガシッ!
ヲ級「ヲヒーーー!?!?」
金剛「Be Gone!」ブンッ!
ヲ級「ヲー!」サッ!
霧島「死ね!」ブンッ!
ヲ級「ヲーッ!?」サッ!
加賀「くたばれッ!」ブンッ!
ヲ級「ヲーーッ!」サッ!
比叡「素手で倒そうとしてる…」
不知火「比叡さん、あっちの方角に多数の敵の艦を発見」
不知火「こんなチャンス滅多にないですよ、殲滅しましょう」
比叡「よーし!気合!入れて!行きます!」
―――――――――――――――
不知火「と、言う訳で。一番戦果が大きかったのは比叡さんです」
不知火「それじゃあ、どうぞ司令」
提督「え」
不知火「ほら」
提督「うむ…」
比叡「え、えぇ…えーっと…」
金剛「……」
霧島「……」
加賀「……」
比叡「や、やっぱり―――」
提督「そい」ポンッ
比叡「ふぃあッ!?」
提督「よしよ~~し」ワシャワシャ
比叡「あわわわ…///」
鎮守府外
吹雪「……ん?」
無精髭の特警「……」
吹雪「!」バッ!
吹雪(あ、あの人は…確か…!)
無精髭の特警「……証拠諸共、ここを燃やすとするか」
吹雪(えっ…!?)
無精髭の特警「……」スッ
吹雪(ライター!?)
吹雪「そうはさせません!」バッ!
無精髭の特警「……」シャッ
吹雪(煙草……)
無精髭の特警「……」シュボッ
無精髭の特警「フー…何か?」
吹雪「あ……―――ッ」キッ
吹雪「ここに何の用ですか…?」
無精髭の特警「何の用だと思う?」
吹雪「司令官…ですか?」
無精髭の特警「違う。ここの艦娘に会いに来た」
吹雪「……」
無精髭の特警「お茶に招待しようと思ってな…丁度キミが居る、どうかね…私と…」
吹雪「お断りします」
無精髭の特警「フン、そう言うと思ったよ」
無精髭の特警「君は知ってるかね…アイツ…あぁいや、君達の司令官の嫁を…」
吹雪「嫁…?」
無精髭の特警「ん?知らなかったのか?知っているものだと思っていたが……」
無精髭の特警「まぁ私は知っていたが、てっきり司令官の実家に居ると思って行ったんだが」
無精髭の特警「司令官の両親も誰一人と居なかったんだ…どうやら司令官の親は事故で死んだらしくてね」
吹雪「……」
無精髭の特警「それで調べたのだよ、司令官の嫁の居場所を」
無精髭の特警「どうやら病院に居るらしい、何かの病で寝たきりなんだとさ」
無精髭の特警「キミが来ないと言うなら…私はその嫁の所に『お見舞い』に行くんだが…」
無精髭の特警「ま…キミが嫌と言うなら、それで構わんよ」
吹雪「ま、待って下さい…い、行きます…!お茶に…」
無精髭の特警「……そうか」
車内
無精髭の特警「出せ」
運転手「はい」
無精髭の特警「あぁ、そうだ吹雪ちゃん…さっき司令官の両親は事故で死んだと言ったな…」
無精髭の特警「ありゃ事故で死んだ訳じゃねぇ…俺が『殺した』んだ」
吹雪「え…」
無精髭の特警「あの野朗が何回殴っても司令官を辞退しねぇから、アイツの親を目の前に引っ張り出して来たんだ」
無精髭の特警「それで…どうしたと思う…?」
無精髭の特警「両親をアイツの目の前で殺してやったんだよ。じっくりと時間をかけてジワジワとなぁ」
無精髭の特警「まだそこで俺は止めなかった!両親の死体を鋸でバラバラにして、その二人の肉を無理矢理ヤツに喰わせてやったんだ!!!!」
吹雪「!!!」
無精髭の特警「それでアイツはククッ…!ゲーゲー両親の肉を吐きまくってよォ…!ハハッ…!クソッ面白かったなァ?えぇ?」
若い特警「え?え、えぇ…」
無精髭の特警「笑え」
若い特警「あ、あはは…はははははは!」
無精髭の特警「ハハハハハハハハハハハハハーーッ!!!」
無精髭の特警「まぁ残りの肉はー…あー、犬に食わせたか、海に捨てたか…いや、造花にしたんだっけかな?」
吹雪「あ、あなたは…!あなたという人は…!」
無精髭の特警「まぁそういう事だ…アイツは善人かもしれんが、『無能な善人』だ」
無精髭の特警「それに対して私は『有能な善人』…どちらが司令官に向いてるかは火を見るよりも明らかだろ?」
吹雪「自分を…善人だと思っているのですか…!?あなたは…!?」
無精髭の特警「あぁ、心優しい人間と自負してるよ」
吹雪「……このッ!」
無精髭の特警「おい、病院に行け」
運転手「はい」
吹雪「なッ!?着いて行ったら病院には行かないって…!」
無精髭の特警「そんな事一言も言ってない、言ってたとしても覚えてない」
無精髭の特警「キミが着いて来ようが来まいがどちらにせよ病院に行く予定だったさ」
吹雪「……ッ!」
無精髭の特警「クックックッ……」
病院前
無精髭の特警「見張ってろよ。人質は多い方が良い」ガチャ
運転手「はい」
無精髭の特警「行くぞ」
若い特警「はい」
バタン
吹雪(ど、どうしよう……)
運転手「……うぅ」モジッ
運転手「ちょっ、ちょっとトイレ……」
運転手「動くなよ!絶対動くなよ!」ガチャ
運転手「動くと…お前、アレだからな!」
吹雪「は、はい…」
バタン
吹雪「……」
吹雪「よし今だ!」ガチャ
吹雪「早く止めなきゃ!」
ドンッ
吹雪「いたっ!ご、ごめんなさい!」
患者服の女「……」
吹雪「あ、あの…私、急いでますんで…」
ガシッ
患者服の女「……」スタスタ
吹雪「ちょっ!どこに連れて行くつもりですか!?」
患者服の女「……鎮守府」
吹雪「!」
吹雪「わ、私、病院に戻らないと…司令官の奥さんが…」
患者服の女「……大丈夫、見つからないわ」
吹雪「……?」
吹雪「って大体、私が所属する鎮守府の場所分かってるんですか!?」
鎮守府前
吹雪「案内無しで……」
患者服の女「……またここに、ヤツらが君を探しにここに来る」
患者服の女「………何か、車のタイヤをパンクさせれる物無い?」
吹雪「え…?」
患者服の女「…早くしなさい」
吹雪「は、はい!」
――――――――――――
吹雪「工廠にあった金属の針なら…」
患者服の女「…一本じゃ足りない、もっと」
吹雪「ど、どうぞ」
患者服の女「……ありがとう」
患者服の女「吹雪ちゃん…」
吹雪「えっ…どうして名前を…?」
患者服の女「……知らない人に軍の物を渡しちゃ駄目よ」スタスタ
吹雪「だ、だって……威圧が…」
数分後
若い特警「運転手は死んでます」
無精髭の特警「フン、殺す手間が省けたな」
若い特警「どうしてこんな所に金属針が…」
無精髭の特警「まるでここを通ると分かってたかのように置いているな」
若い特警「どうします?車は木にぶつかってもう動けません」
無精髭の特警「…仕方無い、歩いて行くか」
「きゃー!」
若い特警「い、今女性の悲鳴が!」
無精髭の特警「ほっとけ」
若い特警「待って下さい、もしかしたら病室を抜け出した女かもしれませんよ?」
無精髭の特警「……チッ、行くぞ」
執務室
不知火「――なるほど、またあの方々が」
提督「ま、何も無くてよかったな…で?その女の人にお礼は言ったのか?」
吹雪「あ、い、いえ……」
提督「まぁ今度会ったら、ちゃんと言っておけよ」
吹雪「は、はい…あの…」
提督「何だ?」
吹雪「結婚されてたんですか?」
提督「言ってなかったか?」
吹雪「初耳ですよ」
提督「そうか…まぁ、別に言う必要無いと思ってな」
吹雪「不知火さんは知ってたんですか?」
不知火「はい。一度お会いした事があります」
提督「それだけか?」
吹雪「はい、ご迷惑かけて申し訳ありませんでした」ペコリ
提督「あぁ」
提督「ところで不知火、また比叡にやったアレするのか?」
不知火「いえ、アレはもう止めましょう。内乱一歩手前でしたし」
吹雪(そっか…不知火さんや私以外は司令官に奥さん居る事を知らないんだ…)
吹雪(もし広まったら……)
廊下
摩耶「さっき執務室の前で盗み聞きしてたら、なんと提督に嫁が居たんだとよ」
木曾「へぇ」
摩耶「んだよ。反応薄いな」
木曾「別に、そんな驚く程の事でもないな」
摩耶「それにしても、なるほどな~どおりで、あの提督はセクハラとかしない訳だ」
木曾「…?」
摩耶「他の提督は普通に艦娘にセクハラしたりするらしいぜ」
木曾「あぁ、セクハラどころか強姦しようとしたヤツも居たな」
摩耶「確かそいつ特警に捕まって、両足切り落とされて北方海域の海に叩き込んでブチ殺したんだっけな。表向きには病死ってなってるが」
摩耶「まぁそれは置いといて…ウチの提督は度が過ぎたスキンシップはしないだろ?」
木曾「うむ…まぁ言われてみればそうだな」
摩耶「アタシはてっきり、あの提督がモーホーかと思ってたよ」
木曾「何故?」
摩耶「これだけ女が居る所に誰一人にも手を出さないんだぜ?それに」
木曾「それに?」
摩耶「アタシや木曾、天龍の錬度が異様に高いだろ?」
木曾「…?どうして俺達の錬度が高いと提督が同性愛者って結論になるんだ?」
摩耶「バカ、分かんねぇのか?」
摩耶「男勝りなヤツばかり高いじゃないか」
木曾「自覚してるんだな」
摩耶「うるせぇ」
木曾「だがそれは違うぞ摩耶」
摩耶「何ィ?」
木曾「不知火が居るじゃないか、アイツはぶっちぎりにトップだぞ?」
摩耶「アイツも男勝りじゃないか」
木曾「…かもな、だけどこれはどうだ?」
木曾「夕立と比叡も俺達より錬度が高いぞ?」
摩耶「ム…そう言えば…」
木曾「カッコいいって理由で育てまくってるらしい」
摩耶「カッコいい?」
木曾「あぁ」
摩耶「比叡が?」
木曾「あぁ、提督的にはカッコいいんだろう」
摩耶「あの比叡がだぞ?」
木曾「あぁ」
比叡「何の話ですかー?」
摩耶「い、いや、何でも…提督に嫁が居たーっつー話ししてたんだよ、なぁ?」
木曾「あ?あぁ」
比叡「ふーん」
比叡「え?奥さん居たんですか」
摩耶「何かの病気で病院に居るらしいけど」
青葉「な、なんと!提督に奥さんが居たとは!」
青葉「これは大スクープ!」バッ!
不知火「待ちなさい」
青葉「ヒィッ!?」
不知火「その情報だけは…絶対に拡散させる訳にはいきません」
青葉「フッ…フフ…」
不知火「?」
青葉「不知火さん…青葉を舐めちゃあいけませんよ」
青葉「この青葉、これまでありとあらゆる修羅場を乗り越えてきました」
青葉「今まで不知火さんにアッという間に倒されていましたが…」
青葉「今の青葉はこれまでの青葉と一味も二味も違います!」
不知火「……」
青葉「青葉を倒せるものなら倒してみろォーーーッ!!!」バッ!
―――――――――――――――
鎮守府 外
不知火「……」ザックザック
古鷹「不知火ちゃん?こんな所で何をしてるの?」
不知火「あぁ、桜の苗を植えてるんです」
古鷹「へー…あっそうそう、青葉ちゃん見なかった?」
不知火「さぁ…?知りませんね…」
古鷹「そっか…どこに行っちゃったんだろう…」
――――――――――――
???「青葉さんがやられたか…」ザッ
???「だが、青葉さんの魂は死なず!」
秋雲「私が青葉さんの魂を継ぐ!」
秋雲「青葉さんの無念を晴らしてやるぅ!」
青葉「ワ レ ア オ バ ワ レ ア オ バ ワ レ ア オ バ」ブツブツ…
青葉「ハッ!?」
青葉「ぶっはぁああ!!!危なァァーーーッッ!!!」ゴボォオ!
青葉「って、あれ?秋雲ちゃん?」
秋雲「す、凄い!?さすが青葉さん!」
秋雲「不知火姉ぇの数千数万の素早く重い拳の雨をまともに喰らって、ギャグマンガみたいに窓を突き破って『あびゃーッ!』っとか叫んでブッ飛ばされたのにピンピンしてる!」
青葉「フフ…『ソロモンの狼』の名は伊達じゃありません」
青葉「前世の記憶が凄く鮮明に見えましたけど」
秋雲「ちなみにボコボコにされてる青葉さんのイラストを描いておきました!」バーン!
青葉「そんなの描かなくていいですよ!」
青葉「それで…何か用ですか?」
秋雲「この秋雲が協力して、青葉さんが仕入れたネタを載せてやろうじゃないですか!」
青葉「いや…もういいです」
秋雲「ええっ!?」
青葉「このネタはあまりにも危険です…今度はボコボコに殴られるどころか、脳を別の脳に入れ替えられてしまうかもしれません…」
秋雲(ボコボコに殴られて前世が見えてたにも関らず、ネタの内容が飛んでないってやっぱりこの人凄い…!)
秋雲「それで、どうするんですか?」
青葉「このネタは一旦、置いておきましょう」
青葉「まずは不知火さんの弱みを握ります!」
青葉「秋雲ちゃん!不知火さんの妹なら何か不知火さんの落ち度的な物知らない!?」
秋雲(あれだけボコボコに殴られたのに不知火姉ちゃんに挑むなんて…やっぱりこの人プロだ…!)
秋雲「う~ん…不知火姉ちゃんは落ち度の塊…いや、変人だからなぁ…」
―――――――――――
ミーティング室
不知火「えー、という訳で突然起きる出来事に瞬時に対応せねばなりません」
不知火「もし誰かのスクリューが破損したら」
ラズヤリョーンヌイ『大変ッス!一大事ッス!スクリューがズタボロになったッス!』
ラズヤリョーンヌイ『誰かスクリュー貸して欲しいッスー!このままじゃ変な所に行ってしまうッスー!』ビエーン!
ラズームヌイ『うるさいな!分かった分かった!ホラ持ってけ!』
ラズヤリョーンヌイ『わーい!спасибоッスー!』
不知火「と、このように代えのスクリューを他の艦から貸してもらいましょう」
不知火「まぁ彼女のスクリューが貧弱なだけで、基本的に我々は無いと思いますが、一応頭に入れておいて下さい」
不知火「えー続いては海が凍って、閉じ込めたれたら」
ラズヤリョーンヌイ『氷に閉じ込めたれたッスー!嫌ッスー!こんな所にずっと居たら寒さで凍え死ぬか飢え死にしちゃうッスー!砕氷船はまだッスかー!?』ビエーン
ミコヤン『もー…何やってるんですか』
ラズヤリョーンヌイ『わーいспасибоー!』
不知火「と、このように砕氷船を要請してください」
不知火「まぁ我々が担当する海域にはこのような事態は無いと思いますが、一応頭に入れておいて下さい」
深雪「はいしつもーん」
不知火「はい、何でしょうか?」
深雪「さっきから映像に出てるパツキンの娘は誰ですか?」
不知火「響さんの友人らしいです」
不知火「それで、これから皆さんは輸送船団の護衛を勤めてもらいます」
不知火「こんな事になはならないで下さいね」
ラズヤリョーンヌイ『頑張るッス!』
数分後
ラズヤリョーンヌイ『霧ッス!何にも見えないッス!』
ラズヤリョーンヌイ『前方に障害物!』
ラズヤリョーンヌイ『うげーッ!島に衝突したッスー!』ビターン!
不知火「霧には気をつけて下さい」
グロウラー『ヒーハッハッハー!ノロマな駆逐艦はっけーん!』ザバーン!
ラズヤリョーンヌイ『なんッスかこの潜水艦!?(驚愕)』
グロウラー『バラッバラに分解してやる!ガブー!』ガブー
ラズヤリョーンヌイ『ひぇええええええ~~~!頭を齧られてるッス~!潜水艦にあるまじき攻撃ィィ~~~!』
グロウラー『この歯ごたえがなんとも……!』ガジガジ
不知火「潜水艦にも気をつけて下さい」
――――――――――
深雪「潜水艦なんて出る訳ないよー!潜水艦の深海棲艦が出る海域じゃないし」
綾波「そうだよね、そもそもアメリカとはもう敵同士じゃないし」
提督「いいや、襲われるかもしれんぞ」
深雪「どういう事?」
提督「アメリカ近くの海域は深海棲艦が少ないから、潜水艦達が無法者の様な事をしてると聞いた事がある」
提督「アメリカは自分達の潜水艦じゃないと言ってるが…」
時雨「大丈夫だよ、滅多に会わないんだし」
提督「……気をつけろよ」
夕立「提督さん失敗性っぽい、夕立も居るから大丈夫!」
提督「あぁ、みんなを頼んだぞ」
提督(……その潜水艦達に資材や食料を大量に渡すと、どんな任務も引き受けるらしい)
提督(もし…『アイツ』が、そいつらを雇っていたら……)
海上
夕立「みんなー、周りを警戒して進むっぽい」
時雨「ここまで順調に行ってるね」
深雪「時雨さーん、そんな事言うとトラブルが起こるよー」
時雨「どうして?」
深雪「フラグだよ、フラグ」
時雨「?」
綾波「皆、見てください!誰かこっちに向って来ますよ!」
???「……」ザバァァ…
時雨「何か用かい?悪いけど…急いでるんだよね」
???「……」
深雪「あの艤装…潜水艦…?」
???「それ…資材を積んでる船だよね…?」
時雨「……それが?」
ハーダー「私はハーダーと言う者だ…その資材を貰おうと思ってね」
ハーダー「あまり私は争い事が好きではないんだ、ただそこにある資材を我々に渡すだけで良い」
夕立「お断りっぽい」ジャキッ
ハーダー「あらら…」
夕立「お前、アホっぽい。潜水艦のクセに浮上してくるなんて」
ハーダー「……浮上して近付いたのは、貴様達の気を逸らす為だ」
ハーダー「海中を見てみろ!」
夕立「! みんな!離れて!」
深雪「えっ!?」
時雨「魚雷ッ!?」
ドォオオオオオオオオオオン!!!
時雨「しまった!船が!」
???「ハーダーのアホったれガ、余計な事を教えやがっテ」
???「仕方無いだろアルバコア、そうしないとハーダーがやられてた」
アルバコア「ハッ、そんなんだから死にかけるんだよシーライオン」
シーライオン「言ってろ」
時雨(シーライオン…ハーダーにアルバコア…!アメリカの潜水艦の有名所じゃないか…!)
時雨(どうしてそんなヤツらが…!?)
アルバコア「YO、運が悪かったと思いナ…まぁ海の中も悪いモンじゃねぇゼ?」
シーライオン「待て、沈めさせない予定だったろ」
アルバコア「あァン?何を甘ったるイ事を言ってるんダ?」
シーライオン「資材を取るだけ、そう約束したハズだ」
ハーダー「私もシーライオンの言う事に賛成です。魚雷や弾薬だってタダじゃないんですから」
アルバコア「OK、OK…分かったヨ、分かっタ」
アルバコア「オイ、オマエら。この二人に感謝するんだナ、特別に資材だけ持って帰らせてもら――」
ドウッ!
アルバコア「ッ」サッ!
ドォオーン!
アルバコア「ヒュー…」
夕立「そうはさせないっぽい!」ジャキッ
時雨「君達の好き勝手にさせるもんか!」
アルバコア「……Aha」
鎮守府
不知火「司令、夕立達は現在アメリカの潜水艦達と戦闘中」
提督「やっぱり出たか…」
提督(アイツがもうスデに雇っていたのか……?どちらにせよ夕立達を助けなくては…)
提督「不知火!艦隊を組んですぐさま夕立達を救出するぞ!」
不知火「了解!」
「急げ急げ!」
「いたた!足踏まないでよ!」
「お姉!何を持って行くつもりですか!?」
「そんな事よりボーキサイトありませんか!?!?!?」
秋雲「なんか騒がしくなってきましたねー」
青葉「何かあったんでしょうか?」
――――――――――――――
夕立「ハァ…ハァ…!」
アルバコア「ヘイヘーイ、全然当たんねェゾー」
夕立「クッ…ッ!」ジャキッ!
ハーダー「フン、隙だらけだ」ドウッ!
時雨「夕立!避けろ!」
夕立「えっ…!?きゃあああ!」ドゴォオオッ!
時雨「クソッ…!」
シーライオン「もう十分だ、勝負は着いた…周りを良く見ろ」
深雪「ハァ…ハァ…」
綾波「痛い…痛い…!」
シーライオン「そこの二人はもうスデに戦闘不可能だ、早くその子達を連れて帰った方がいい」
時雨「くっ…!」
シーライオン「悔やむ事は無い、敗北も経験の一つだ……上から目線で言わせてもらうがな」
夕立「……まだだ」
シーライオン「……」
アルバコア「オイオイ、そんなにボロボロになってまでまだやる気かヨ」
アルバコア「いい加減に…諦めろっつーノ」
ハーダー「もう貴様を相手にするのも飽きた、とっとと沈めてやる」ジャキッ!
シーライオン「! 待てハーダーッ!」
ハーダー「何だ?さっきからどうしてコイツらの肩を持つ、お前は日本軍に一回殺されてるんだぞ?」
シーライオン「……それは昔の話、しかも戦争の頃の話しだ。だが今は違う」
シーライオン「ハーダー、撃つというなら私もお前を撃つかもしれんぞ」
ハーダー「やれるものなら…どうぞ?」
シーライオン「……ッ!」
アルバコア「アーアーアー……」
アルバコア「ファイアッ」ドゥッ!
ドゴォオオオーーーン!!!
時雨「!」
夕立「!」
ハーダー「アルバコア!?何故船を!?」
アルバコア「喧嘩するから興が冷めちまったヨ」
ハーダー「だからって轟沈させる事はないだろう!?」
シーライオン「おい、12時の方向に船影が」
時雨「あれは…!」
雷「みんなーーー!助けに来たわよ!」
ハーダー「何ッ!?」バッ
雷「みんなから離れなさいッ!このォッ!」ドウッ!
ハーダー「ゥッ!?」バスッ!
ハーダー「ぐわあああああ!!!!右目がァァーーーッ!!!」
シーライオン「ハーダーッ!」
アルバコア「1…2…3…4…次々と来るナ」
シーライオン「逃げるぞアルバコアッ!ハーダーが負傷した!」
ハーダー「クソッ…!うぐぅ…!あんな…!あんなマグレ弾で私の眼が…!」
アルバコア「フーム……潜水すルゾ!」ザバァッ!
吹雪「敵潜水艦、潜水しました!」
不知火「どうやら逃げたようですね…今のうちに夕立達の救出を」
――――――――――――
鎮守府
提督「みんな、ご苦労…輸送船は残念だったが、夕立達が無事でよかった」
提督「それと雷、よく潜水艦達を退けてくれた」
雷「フフーン!これぐらい当然よ!」
不知火「えぇ、さすが雷。相手の眼を撃ちぬくとは、日頃の訓練の賜物ですね」
雷「い、威嚇射撃のつもりだったんだけど…だ、大丈夫かしら…あの人…」オロオロ…
提督「……夕立達はしばらくドックから出て来れないな」
――――――――――――
翌日 朝
不知火「提督、シーライオンがお見えになってます」
提督「……?通せ」
シーライオン「失礼する」
提督「何か用か?」
シーライオン「まず、この間の襲撃を謝りたい」
シーライオン「だが、謝っても許されないと分かってる」
提督「……いや、別に…気持ちさえありゃ――」
シーライオン「それで…お詫びと言ってはなんだが…オイ」
「は、始めまして…」オドオド…
提督「……?」
シーライオン「こいつは…あー…メイド…って分かるかな?」
提督「使用人の事か?」
シーライオン「そうだ…コイツを好きなだけコキ使ってもいい」
メイド「よ、よろしくお願いします!」
提督「いいの?」
シーライオン「あぁ…まだ不満か?」
提督「いや、別にいい…大丈夫だ」
シーライオン「そうか…それでは私はこれで、これお前の荷物だ」スッ
メイド「あ、ありがとうございます…」
提督「おう」
メイド「え、えっと…な、何でも申し付けて下さいね!」
提督「あ、あぁ…」
―――――――
メイド(シーライオンさんの顔に泥を塗る訳にはいきません…頑張らないと)フンス!
不知火「メイドさん、あなたもひょっとすると艦娘で?」
メイド「は、はい。そうです…艤装はカバンの中ですけど…」ビクビク
不知火「名前は?」
メイド「名乗る程の物じゃありません…私なんてシーライオンさん達に比べればまだまだヒョッコで……」
不知火「ふぅん…ところでメイドさん、何か出来るんですか?」
メイド「え、えーっと……わっ!?」ドンッ!
羽黒「きゃっ!」
メイド「あわわわわ!」
羽黒「あわわわわ!」
メイド「ごめんなさい!ごめんなさい!」ワタワタ
羽黒「ごめんなさい!ごめんなさい!」ワタワタ
メイド「すみません!すみません!」ペコペコ
羽黒「すみません!すみません!」ペコペコ
不知火「……」
―――――――――――
天龍「ん?よぉ、不知火ー、そいつ誰だ?」
メイド「ヒッ…」ビクッ
不知火「シーライオンがお詫びとして来て下さったメイドさんです」
天龍「フーン…こいつも艦娘なのか?」
不知火「らしいです」
天龍「いかにも弱そうなヤツだな、目に全く覇気がねぇ」
メイド「……」ブルブル…
天龍「お?何だ?フフ、俺が怖いか?」
メイド「…あ…い…いえ…そんな事は…」ガタガタ…
天龍「何だと!?俺が怖くねぇってのか!?」クワッ!
メイド「ヒィッ!怖いです!怖いです!怖いですぅぅ~~!」ブルブル
天龍「ハッハッハッ!コイツは面白いな!」
不知火「あんまりイジメないであげて下さい」
天龍「あぁ、分かってるって。そんじゃーな」スタスタ
不知火「すみませんね、うちの天龍さんが」
メイド「い、いえ…大丈夫です…」
鎮守府 外
不知火「とりあえずここの掃除をしてもらいましょう」
メイド「分かりました…箒を下さい」
―――――――――――
メイド「……」サッサッ…
雷「あ、メイドさん?」
メイド「は、はい、何でしょうか?」
雷「あの…右目をやられた人…どうなったか知ってる?」
メイド「え…?あ、あぁ…ハーダーさんですね?」
メイド「瞬時に避けたから失明までには至りませんでした、大きな直線の傷の痕が残りましたけど…」
雷「そう…ハーダー…」
雷「今度その人に会ったら、謝っておかないとね!」
メイド「多分…もう絶対に許してくれないと思いますけど…」ボソッ
雷「え?」
メイド「い、いえ!きっと許してくれますよ!」
雷「そう言えば、メイドさんの名前って何なの?」
メイド「そ、そんな…名乗る程の者でも…」
雷「えー?教えてくれたっていいじゃなーい」
メイド「あ、は、はい…じゃあ…」
アルバコア「私の名前は…アルバコアっていいます」
雷「そう!アルバコアさんね!これからよろくしね!」
アルバコア「は、はい!」
――――――――――――
南西諸島付近
ハーダー「クソ…!まだ傷が疼く…!あの小娘め…今度あったらブチ殺してやる…!」
シーライオン「イライラすると余計に傷が痛むぞ」
ハーダー「ところで、アルバコアはどうした?」
シーライオン「……遠征中だ」
――――――――
食堂
不知火「えーっと次は…間宮さんの手伝いをお願い出来ますか?」
アルバコア「は、はい!」
間宮「それじゃあお願いしますね」
――――――――――――
間宮「それじゃあ、皿洗い頼みますね」
アルバコア「は、はい!」
天龍「オーッス間宮さん…あ?何だ、お前も居たのか?」
アルバコア「あ、は、は、はい……」ガクガク…
摩耶「おい、天龍」
天龍「あ?何だよ?」
摩耶「アイツがお前が言ってたメイドかぁ?艦娘らしいけど…弱そうなヤツだなー」
天龍「ひょっとしたら商船も潰せないんじゃないのか?」
アルバコア「ふぅー…疲れた」
不知火「お疲れ様です」
アルバコア「あ、ありがとうございました…明日もお願いします」
不知火「はい…あ、メイドさんの部屋、ここですので…荷物はスデに置いてあります」
アルバコア「あ、ありがとうございます、わざわざ、用意してくれて」
――――――――
コンコン
アルバコア「あ、はい、ど、どうぞ」
漣「失礼しますー」ガチャ
アルバコア「何か御用ですか?」
漣「いや、メイドさんってどんなのか見たかっただけです」
アルバコア「そ、そうですか…こ、こんなんです…はい」
深夜
大潮「メイドさ~~ん」ガチャ
アルバコア「はい?どうしたんですか?」
大潮「うぅ~~…プラズマカッターで解体される夢を見て寝れなくなっちゃいました…」
アルバコア「プ、Plasma cutter…?」
アルバコア「うーん…それじゃあ、眠くなるまで一緒に話しをしましょうか?」
大潮「はい!」
―――――――――――――――
アルバコア「ーって事がありまして」
大潮「へー!そうなんですかー!」
大潮「あー…何だか眠くなってきました…」
アルバコア「もうとっくに消灯時間過ぎてますけどね…そうだ、一緒に寝ます?」
大潮「あ、はい。そうしてださい、部屋に戻るのも辛いか…も…」ボス
大潮「……スピー」
アルバコア「あらら…」
港
ザザー…
アルバコア「はぁー…夜風が気持ち良い…」
摩耶「おー居た居た」
天龍「オーッス」
アルバコア「な、何ですか…?」
摩耶「まぁ、そう身構えるなよ…お前、艦娘なんだろ?」
アルバコア「は、はい…」
天龍「俺と一対一で腕試ししようぜ」
アルバコア「い、良いんですか?」
天龍「あぁ、ほら、とっとと艤装を取って来いよ」
アルバコア「分かりました…待ってて下さい…」
天龍「逃げんなよ!」
摩耶「さて…どうなんだろうな?」
天龍「何が?」
摩耶「強いのかな?」
天龍「ハッ、あんなの一分以内に決着を着けれるっつーの、戦うまでもねぇよ」
摩耶「木曾のヤツはただならぬオーラを感じるとかなんとか言ってたけどな…」
アルバコア「お待たせしましたー」ガチャガチャ
摩耶(潜水艦の艤装か…)
天龍「オイオイ、どうして艤装を装備しないんだよ」
アルバコア「海で装備して…いいですか?」
天龍「あぁ、いいぜ。来いよ」
―――――――――――――――
海上
天龍「これぐらい離れてりゃいいだろ、オラ、さっさと装備しろよ」
アルバコア「は、はい…お手柔らかにお願いします…」ガチャ
天龍「よし、お前から攻撃していいぜ?」
天龍「まぁ、全部当たらないだろうけどよ」
摩耶(凄い余裕ブッこいてるな…)
アルバコア「ハッ……」
天龍「?」
アルバコア「いいのカ…?ワタシから攻撃しテ…」
アルバコア「本当に良いんだナ?」
天龍「良いっつってんだろうが…アレ?お前そんな口調だっけ?」
アルバコア「Show Time……」ジャキッ
執務室
不知火「司令、夕立が復帰しました」
夕立「心配かけたっぽい…」
提督「いや、とにかくお前が無事で良かった。災難だったな」
夕立「あいつら絶対に許さないっぽいー!」ムカー!
不知火「だから潜水艦に気をつけろと言ったじゃないですか」
夕立「そんな事言われたってぇ…」
提督「それで、不知火。メイドさんはどうだった?」
不知火「はい、ドジっぽそうな方でしたが…問題なくやってくれました」
夕立「メイドさんって何の事?」
不知火「シーライオンが、お詫びで連れてきた使用人の方です」
夕立「へー、夕立も会ってみたいっぽいー」
提督「明日な」
――――――――――
翌日 鎮守府正面海域
ハーダー「クソッ…シーライオンめ、自分が行けばいいのにどうして私がアルバコアの様子を見に行かなきゃならいんだ」
ハーダー「……付いて来たんですか、トートグ」
トートグ「おや?バレちゃった?」ザバァ
ハーダー「あなた、シーライオンと居たんじゃないんですか?」
トートグ「ハッハッハ!シーライオンの姉御と二人っきりなんて、長時間サウナに入ってるモンさ」
ハーダー「同感ですね…それで?どうして付いて来たんですか?」
トートグ「いやぁ、ハーダーの姉御の右目を見事に撃ち抜いた名誉駆逐艦に勲章でもあげようと思ってね」
ハーダー「フン、あんなのマグレですよ」
―――――――――
鎮守府内
「天龍!しっかりしろ天龍!」
「泡吹いてるぞ!」
「どうしてこんな事になってるんだ!?」
ギャー!ギャー!
トートグ「お取り込み中みたいだね」
ハーダー「なんて騒がしい所だ…」
アルバコア「あ…ハーダーさん、トートグさん」
ハーダー「アルバコア、この騒ぎは一体なんですか?」
アルバコア「い、いや…実は…」
―――――――
ハーダー「なるほど、腕試しで…」
トートグ「ハッハッハ!アルバコアの姉御は艤装を着けると猛獣みてーに凶暴になるからねぇ!」
トートグ「まったく、Unhappyな子だねぇ~…」
雷「あ!」
ハーダー「げっ!」
トートグ「ん?」
雷「あ、あの!私、目を撃つつもりは無かったの!ごめんなさい!」
トートグ「ん…まさか…君が撃ったの…?君が?」
雷「…?えぇ…」
トートグ「ハッ…ハハハッ!ハーハッハッハッハッハッ!」
トートグ「な、なんとも可愛らしいスナイパーだな?えぇ?ハーダーの姉御?」
トートグ「『わんぱく賞』としてキスでもしてあげたらどうだい?」
ハーダー「喧嘩売ってんのかこのボケェッ!!!上等だクソッタレが表出ろテメェッ!!!」
トートグ「あーあー、ジョーダンですよジョーダン。まったく、本当に怒りっぽいんだから」
トートグ「そんなにキレると頭の血管がズタボロになっちゃうよ?」
ハーダー「ハァ…!ハァ…!」
ハーダー「ッ!」キッ!
雷「!」ビクッ!
ハーダー「この傷の借りは必ず返してもらうからなッ!覚えておけッ!」ズカズカ
トートグ「あーあ、行っちゃった…それじゃあアルバコアの姉御、後は頑張れよ」
提督「何騒いでるんだ?ん…?お前は?」
トートグ「あぁ、アンタがここの司令官か。私はトートグ、アルバコアの姉御と同じアメリカの潜水艦さ」
トートグ「よろしく旦那」サワッ
提督「うっひゃあ!何すんだ!?」ビクゥッ!
トートグ「それじゃあ、アルバコアの姉御を頼みましたよー」
トートグ「see you again~♪」ピッ
提督「アイツ…」
提督「俺のケツを触りやがった…」
―――――――――――――
深夜 廊下
青葉「う~~…暗い廊下は怖いですね~…」
青葉「青葉の部屋の近くにトイレがあればいいのに…このままでは漏れてしまいます」
青葉「あぁ、外はすっかり真っ暗……」
患者服の女「……」ジィィー…
青葉「どわっ――!?」
患者服の女「しっ」パシッ
青葉「むぐぅっ!?」
患者服の女「……結局こうなるのね」
青葉「ぅぅ……」ショワアアア…
青葉(ひーん、やっちゃいましたー…)
患者服の女「……後で不知火ちゃんから、下着を借りれるから。ここに居てね」
青葉「あ、あの…あの…」
患者服の女「……ごめんなさいね」スタスタ…
青葉「ど、どっから入って来たんでしょうか…?あの人…」
不知火「……こんな所で座り込んで何してるんですか?」
青葉「あ、不知火さん…どうしてここに?」
不知火「不知火は見回りで…青葉さんこそ…ん?」
不知火「青葉さん……」ハァ…
青葉「うぅぅ……」
――――――――――――
アルバコアの部屋
不知火「アルバコアさん、下着ありますか?ジャージ的な」
アルバコア「は、はい…ありますけど…どうして名前を?」
不知火「広まってますよ」
アルバコア「そ、そうなんですか…えーっと…確か…」ゴソゴソ
アルバコア「はい、これ。ハーダーさんが履いてたジャージのズボンです」サッ
不知火「どうしてハーダーさんのを」
アルバコア「シーライオンさんが間違えて入れてたようで……」
不知火「あ、そうそう、二階の廊下が雨漏りか何かで濡れてる場所があるんです」
アルバコア「は、はい。分かりました、使わないタオルを探して敷いておきます」
―――――――――――
不知火の部屋
不知火「まったく…いい歳して…」
青葉「うぅ…恐縮です…」
不知火「下着…チッ、不知火のヤツでいいですか?」
青葉「構いませんけど……ハッ!」
不知火「?」
青葉「そ、そうだ!不知火さん!この鎮守府に患者服を着た女の人がウロウロしてましたよ!?青葉見ました!」
不知火「あぁ…大丈夫です、その人、害はありませんから。ハイ」
青葉「あ、どうも…うわ、随分と可愛らしいのを…」
不知火「その女の人、司令に会いに来てただけですから」
青葉「え?どうして司令官に?」
不知火「…さぁ?」
――――――――――――――
朝
青葉「ふぁ~あ…いやぁ…昨日は散々でした」
古鷹「あれ?青葉ちゃん、どうして下だけジャージなの?」
青葉「あ、いや…こ、これは」
古鷹「パジャマは?」
青葉「寝ぼけてパジャマで出撃してしまって炭になりました」
古鷹「どうして誰も何も言わなかったの!?」
青葉「言われてたらしいです、あまりにも眠すぎて気付いてませんでした」
廊下
古鷹「あ、アルバコアさん。こんな所で何をしているんですか?タオルなんか敷いて」
青葉「……」
アルバコア(あれは…私が不知火さんに貸したジャージ…)
アルバコア「ど、どうやら雨漏りがあったみたいで…」
古鷹「? 昨日雨降ってなかったのに?」
アルバコア「え?えぇ…そうですね…溜まってたのが落ちてきたのでしょうか…」
古鷹「ふーん…」
青葉「ほ、ほら!そんな事より古鷹!食堂に行きましょうよ!」
古鷹「うん?うん、分かった」
加古「ふぁあ~あ…眠みぃ…」ドカドカ
アルバコア「あ、あの…タオルの上を歩かないで下さい…」オロオロ…
港
提督「不知火、倉庫にあったあの資材はどこから取ってきた?また盗んできたのか?」
不知火「いえ、貸してくれる方が居まして」
不知火「司令をこの鎮守府に案内して下さった――」
提督「清水か」
不知火「はい」
提督「……」
不知火「申し訳ありません、勝手な事をして」
提督「いや、別にいい。だけどこんなに貰ったらさすがに悪いだろ」
不知火「……」
「何を遠慮してるんだ、海軍兵学校からの仲だろ?」
提督「…清水」
清水提督「よぉ、勝手に入ってきて悪いな」
提督「……本当に良いのか?こんなに資材をもらって」
清水提督「別に構わん。調べたんだが…お前達に送られる資材は全部特警の連中に勝手に差し押さえられてるぞ」
提督「やっぱりアイツらか…」
清水「それと…もっと調べたんだが…」
清水「深海棲艦を椥辻のヤツが操ってる事が分かった」
提督「何だと!?」
不知火「椥辻?」
提督「あの無精髭の特警の事だ」
清水「アイツが深海棲艦を追い詰めた後、本来深海棲艦を指揮していた男を殺している」
清水「その男は日本の上層部の人間だったのだが…」
清水「とにかく椥辻は、そいつを殺して深海棲艦を手に入れたんだ」
提督「……どうやって深海棲艦を操ってるんだ?」
清水「それは分からん…だが、何か仕組みがあるんだろ」
不知火「しかし、この事実を上に知らせれば…」
清水「いや、証拠不十分だ…これでは弱い」
清水「決定的な物が欲しい」
提督「やけに嬉しそうだな」
清水「当たり前だろ、あともう少しで、あのクソを終わりに出来るんだぞ」
提督「『右腕』と『左脚』の恨みか?」
清水「まぁそれもある」
清水「とにかく、あんな危険なヤツを海軍にずっと置いておく訳にはいかない」
清水「お前の奥さんの場所もバレたんだろ?」
提督「……大丈夫だ、捕まりやしねぇよ」
清水「…なぁ」
提督「ん?」
清水「良い案があるんだが…」
提督「何だ、言ってみろ」
―――――――――――――
翌日
椥辻「何だと?アイツが行方不明になった?」
太った特警「えぇ、何でもそうらしく」
椥辻「……」
若い特警「どうかしましたか?」
椥辻「ハッ!ハハハハッ!そうかそうか!それで?後任は誰になるんだ?」
太った特警「し、清水のヤツが一時的に後任を務めるようです」
椥辻「フン…清水か。まぁいい…」
椥辻「だがこれで俺が再び提督になれるチャンスが舞い降りたという訳だ」
椥辻「そうとなれば上層部のヤツらに早く金を渡しておかないとな」
―――――――――――――
北方海域にある無人島
提督「クソ…清水め…身を隠してろだと?こんなクソ寒い所に居させやがって」
提督「食料はあるのが救いか……ん?」
ザアァァァ……
提督「艦娘…?誰だ?」
不知火「提督、ここに居ましたか」ザァァ…!
提督「不知火!?どうしてここが分かったんだ?」
不知火「清水提督が不知火にだけ教えてくれました」
不知火「『寂しがってると思うから行ってやってくれ』って」
提督「あの野朗……」
不知火「だから提督…あ、いや司令…」
提督「どっちでもいい…というか今は提督じゃないけどな」
提督「指揮権は一旦清水に渡ったし」
不知火「あぁ、そうなんですか」
不知火「それじゃあタメ口でいいわね」
不知火「おい、お前」
提督「……」
不知火「分かってますよ、ジョーダンです」
不知火「それじゃあなんて呼べばいいんですか?」
不知火「今だけは司令じゃないから……」
不知火「北方海域の無人島に住む謎の男?」
北方海域の無人島に住む謎の男「長い」
不知火「島民?」
島民「別に住んでる訳じゃねぇ、隠れてるだけだ」
不知火「文無し?」
文無し「あんまりだ」
不知火「じゃあどう呼べばいいのですか?」
不知火「生憎、不知火は司令の名を知りません」
提督「何で知らないんだ…」
不知火「あ、そうだ…あなたって呼んでいいですか?」
提督「お前がいいなら」
不知火「あなた」
提督「……」
不知火「あ!お腹の子が動いた!」
提督「何言ってんだ」
不知火「ごっこですよ、ごっこ」
不知火「あなたはいつも奥さんにしてる事をすればいいんです」
提督「いつもしてる事って、リンゴ剥いて食べさせる事か?」
不知火「いや…はいそうです、食べさせて下さい」
提督「どっちなんだ…まぁいい、リンゴあったかな…」
提督「あった…ナイフで剥いてと…」シャリシャリ…
不知火「慣れてますね」
提督「まぁな…ちゃんと切って…ほらよ」
不知火「あむ」シャリ
不知火「変わった味がします」モグモグ
提督「リンゴの味だろ」
不知火「とても甘酸っぱい味」
提督「リンゴだろ」
不知火「何でしょうね?」
提督「…何って…リンゴだろ」
不知火「……皆、どうしてるでしょうか」
提督「清水のヤツが上手くやってくれてるよ」
不知火「だといいんですが…ん?」
不知火「司令、誰か来ますよ」
提督「結局司令か…あれは…?」
青葉「おーい!しれいかーん!」ザァァ…
提督「なんだ、青葉じゃないか。というかどうやって知ったんだ?」
不知火「迎撃します」
提督「味方だぞ」
青葉「あれ?不知火さんも居たんですか?」
不知火「居ちゃ悪いんですか?」
青葉「い、いえ…そんな事はありませんけど…」ガクブル
提督「で、どうやってこの場所を知った」
青葉「トートグさんから聞いちゃいました!」
提督「トートグ?アメリカの潜水艦の?」
青葉「はい!北方海域の無人島に司令官らしき人が居たって」
不知火「余計な事を…」
青葉「でも、司令官が見つかってよかったです!さぁ、帰りましょう!」
不知火「……青葉さん、司令がここに居るってスデに皆は知ってるんですか?」
青葉「はい!もちろんです!」
不知火「フンっ!」ボギャアアアアアア!
青葉「ぎゃああああああ!!!青葉の艤装がああああああああ!!!!」
提督「素手でぶっ壊した!?」
不知火「あまり長居出来ませんね、早く別の島に移動しましょう」
提督「そ、そうだな…船がある、そいつで移動しよう」
船内
青葉「軍艦が船に乗るって変な気分ですね」
不知火「艤装を外してるから今は軍艦ではありませんけどね」
青葉「外したというか壊されたんですけど…」
――――――――――――――
提督が潜伏していた北方海域無人島
日向「誰も居ないぞ」
霧島「うーん…青葉さんのデマだったのかしら」
日向「かもしれんな…まったく、来て損した」
船内
???「あーーー!」
不知火「?」
青葉「誰かこちらに向かって来ますよ」
不知火「?」
秋雲「青葉さーん!おーい!」
青葉「秋雲ちゃんです!」
不知火「迎撃しましょう」
青葉「自分の可愛い妹ですよ!?」
不知火「……司令、船を止めて下さい」
提督「分かった」
不知火「秋雲」
秋雲「あれ、不知火姉ちゃん居たの?って、あれ?司令?」
提督「よぉ」
不知火「とりあえず艤装を外して船に乗って下さい」
秋雲「分かった」ガチャガチャ
秋雲「よっと」
不知火「…艤装は海へ」ポイ
ボチャン
秋雲「え…ちょ…」
秋雲「な、何してくれんのーーーーっ!?!?」
――――――――――――――
鎮守府
清水「……それでは、皆。しばらくの間よろしく」
パチパチ・・・
日向「……清水提督」
清水「何だ?」
日向「その腕は…義手か?その足も」
清水「……そうだ、それがどうした?」
日向「…気になっただけだ。余計な詮索をしてすまない」
清水「……」
廊下
伊勢「どうして清水提督が義肢だって分かったの?日向」
日向「歩き方や手の動きがぎこちなかったからな…」
日向「しかし一体何が原因で失ったか気になるな」
伊勢「?」
日向「まぁ…大方事故かもしれんが」
――――――――――――――
執務室
北上「オーッス」ガチャ
清水「君は?」
北上「私は北上、代理提督の顔を見たくてね」
清水「北上……」
清水「……そうか、よろしく」
北上(……?)
北上「ん、よろしくね~…えーっと清水提督?」
清水「そうだ」
北上「あのさ~…私達の提督ってどこに行ったんだろうね?」
清水「……さぁな、だがきっと戻って来るさ」
北上「本当は知ってるんじゃないの~?提督が今どこに居るか?」
清水「知ってる。が、教えられん」
北上「え~、どうしてさ~」
清水「…口を滑らすとあっという間に広がってしまうからな」
北上「大丈夫だよ~私口堅いからさ~」
清水「……」
北上「…分かったよ。言えない理由があるみたいだし」
北上「それじゃーね」ガチャ
バタンッ!
清水「……」
――――――――――――――
西方海域の無人島
不知火「もうすっかり日が暮れましたね」
青葉「……ん?秋雲ちゃん、何描いてるの?」
秋雲「いや、ちょっと本業の方を…」カリカリ…
青葉「何ですかー?見せてくださいよー」スッ
秋雲「あ」
青葉「…んンっ!?」
青葉「こ、こ、こ、ど、あ、秋雲ちゃんッ!」
青葉「こ、これ…この絵の人物は…!」
秋雲「久し振りに百合物を描こうと思ってて、いやーよかったー原稿持ってきて」
不知火「?」スッ
青葉「っ!」サッ!
不知火「……どうして不知火だけ、何を描いてたのですか?」
秋雲「べ、別に?何でも?」
青葉「そ、そうそう!大したものじゃないですよ!」
不知火「大したものじゃないなら見せて下さいよ」
青葉「駄目なものは駄目です!」
不知火「そう言われると逆に見たくなります」
青葉「どうしても見たいと言うなら青葉を倒してから見てくださいッ!」ビシィッ!
ボゴォッ!
青葉「サルボーッ!」ズザァァ!
秋雲「錬度が違い過ぎた!」
不知火「どれどれ…」スッ
秋雲(ま、まずい…!こんな所で描くんじゃなかった…!)
秋雲(こ、こうなったら…!)
秋雲「う、うぉおおおおおおおおお!!!」ドドドド!
秋雲「可愛い妹を殴れるものなら殴ってみろーーーーーッッ!!!」ドォオオオ!
秋雲「殴ったら陽炎姉ちゃんに言いつけてやるーーーーッ!!!!」
不知火「………」
ボキッ
不知火「さて…と、一体どんな内容」ペラッ
早霜『今からこの魚雷を不知火さんの大事な所に突っ込みます…』
不知火『や、やめて下さい早霜さん!それだけは!』
早霜『うるさい!』
不知火『ああーー!!!』
早霜『これで不知火さんは私の物だ!♀』
不知火「……」パタン
青葉「」ピクピク…
秋雲「あ、足が…」ピクピク…
不知火「……」スタスタ…
不知火「秋雲、立ちなさい」
秋雲「え…?」
不知火「立て」ガシッ
秋雲「」ガクガクガクガクガク…
秋雲「」ブルブルブルブルブル…
不知火「秋雲…あなたは、この不知火だけではなく、早霜さんまでこんな如何わしい本に出させた」
不知火「あなたの罪は重い」
秋雲「ひょっ、表現の自由だよ…」ガクガクガクガク…
不知火「表現の自由にも限度があります」
秋雲「あわあわあわわ……許してくださーい!靴舐めますからー!」ペロペロペロペロ
不知火「何するんですかバッチイ…とりあえずこの本は処分しますから」クルリ
秋雲「ハーッハッハー!ばーかめーーー!これを見ろォッ!」バッ!
不知火「!」
秋雲「ちょいとでもおかしな動きをすれば、この携帯を使って陽炎姉ちゃんに言いつけてやる!指はスデに発信ボタンに触れているぞ!」
秋雲「さぁ!言いつけられたくなかったら大人しくその本を私に返すのだ!」
不知火「ハァ…いいでしょう、電話を掛けてみてください」
秋雲「な!?い、いいの~~…!?本当にいいの~~~…!?」
不知火「くどい、早くしなさい」
秋雲「ハハハーッ!言いつけてやるー!言いつけてやるかんねーーー!」ピッ
『おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、 電源が入っていないため、かかりません』
秋雲「……」
圏外:
不知火「……」ザッ
秋雲「はぴゃああ!ゆ、許して下さい~~~!」
不知火「許しを請うなら、早霜さんに言いなさい」
不知火「不知火は最初からあなたを許すつもりは…無い」
秋雲「ち、鎮守府に帰ったら私のヘソクリがあるから~!それをあげるから~!」
不知火「まったく、あなたは史上最低最悪の……残念ですけど秋雲…あなたの罪は」
不知火「金では償えません」
―――――――――――――――
提督「秋雲…?何やってんだ」
秋雲「スケッチです…」サラサラ
提督「何の?」
秋雲「この…風景…」サラサラ
秋雲「嗚呼…美しい……」サラサラ
提督「……」
―――――――――――――
秋雲「不知火お姉様、ごきげんよう」
不知火「えぇ」
提督「……」
秋雲「あら、提督。さっきぶりですわね」
秋雲「私の描いたスケッチ、つい先程完成したばかりですの。御覧になります?」
提督「……」
青葉「あ、秋雲ちゃん…?」
秋雲「あら青葉さん、ごきげry」
青葉「秋雲ちゃーーーんッ!!!!しっかりしてェーーーーッ!!!!」ガクガクペシペシペシ
秋雲「あば!?あばばばば!や、やめてくださいまし青葉さ…あばばば!」ブンブンブン
青葉「元に戻ってぇええーーーッ!!!青葉を一人にしないで下さいーーーッ!!!」ガクガクガク
秋雲「あばばばばばばばばば」
不知火「フンっ」ゴスッ!
秋雲「はべっ!?」
秋雲「ハッ!?わ、私は…!?」
青葉「も、元に戻った!?よかったーーっ!本当によかったーっ!」ヒシッ!
秋雲「???」
提督「……またやったのか不知火」
不知火「すみません、妹の愚行をどうしても見逃せなかったので」
南西諸島海域
ハーダー「~♪」スィー
ハーダー「ん?漂流物……?」
???「あ、見てください!アメリカの艦ですよ!」
???「やったー!私達助かったのね!」
???「神は私達を見捨ててなかったんだ!」
ハーダー「……沈みかけてるけど、あなた達も潜水艦?」
エクセター「いいえ、違います。私は重巡エクセター、こっちは駆逐艦のエンカウンターと同じく駆逐艦のポープ」
エンカウンター「よろしく!」
ポープ「よろしくです!」
エクセター「実は先程、深海棲艦の奇襲に会ってしまって…艤装を外して逃れたものの…御覧の通り溺れかけてるのです…ウルウル…」
エンカウンター・ポープ「「えーん!えーん!」」
ハーダー「……で?」
エクセター「『で?』じゃねぇよ!目と耳腐ってんのかこのボケェッッ!さっさと助けろよこのアメ公がッ!」
エンカウンター「早くしろよウスノローッ!」
ポープ「張っ倒すぞッ!」
ハーダー「歴代女王陛下によろしく」スィー
エクセター「ま、待って下さーい!違うんです!ジョークですよジョーク!イギリスジョークです!」
ポープ「行っちゃった……」
エクセター「うぅぅ…もうおしまいだわ…」
エンカウンター「あんな事、言わなきゃよかったわ…」
電「雷!漂流物です!」
雷「あれは…人じゃない!早く助けないと!」
電「なのです!」
ポープ「あ!また誰か来ましたよ!」
エクセター「どうせ敵でしょ…分かってるのよ…まぁいいわ、私みたいなヘボ重巡なんて魚の住処がお似合いだわ…」
エンカウンター「卑屈にならないでください!」
ハーダー「とは言ったものの…助けておいた方がいいかもな」
ハーダー「うん…?あれは…?」
雷「早く助けてあげないと!」
電「なのです!」
ドォオオンッ!
雷「きゃっ!?な、何!?」
ハーダー「これはこれは…お久し振りですね」
雷「あ、あなたは…!」
ハーダー「右目の借り、返しに来ましたよ」
電「雷…この人……」
雷「……電、あなたがあの人達を助けてあげて」
電「で、でも雷…!」
雷「早く!」バッ!
電「雷!」
ハーダー「逃がすかッ!潜行ッ!」ザバァァッ!
雷「……追いかけて来るわね」
雷「えいっ!」バッ!
ドボォンッ!
ハーダー「! 爆雷か、小癪な!」グォオオ!
ドボンッ!ドボン!
ハーダー「また爆雷が…!」
ハーダー「クソッ…魚雷を喰らえッ!」ドシュゥッ!
雷「きゃっ!」ドバァッ!
ハーダー「もう一発ッ!」バシュゥッ!
雷「うぅっ!」ズザァッ!
ハーダー「チッ、避けられたか!」
ハーダー「ちょこまかとッ!」バシュゥッ!
雷「し、しまっ…!きゃああ!」ドゴォオッ!
ハーダー「ハァ…!ハァ…!」ザバァア…
雷「うぅ…」
ハーダー「このしみったれた小娘め…!この私に三本も魚雷を…!」
ハーダー「沈めてやるっ…!このクソガキ!」ジャキッ!
ザアァァァ……
ハーダー「チッ、スコールか…」
雷「ま、まだよ……」
ゴロゴロ・・・
ハーダー「?」
雷「まだ…私は…やられてないわ…!」
雷「ノコノコと私に近付いたのが命取りよッ!」ジャキッ!
ハーダー「き、貴様!まだそんな力が―――!」
ピシャアアーーーーン!
ハーダー「うぐあああああッ!!!」
雷「追加攻撃ッ!」ジャキッ!
ドォンッ!
ハーダー「うぐぅっ!」ボゴォオ!
ハーダー「この私が…!この私が…!この私がァァーーーッッッ!!!」
バシャアア!
雷「ハァ…!ハァ…!」
雷「ッ!」ザアァッ!
ガシッ
ハーダー「!?な、何をする!?離せッ!」
雷「離す訳ないでしょ!」ザバァア!
ハーダー「ぐぅっ!」
ハーダー「き、貴様…!この私に…情けを…!」ギリギリ…
「ハッハッハ!いやー流石ですねぇ」
雷「!? あ、あなたは…」
トートグ「トートグですよ、お久し振りです」
ハーダー「何だ…!?私を笑いに来たのかトートグ…!」
トートグ「それもありますが…それより面白い物を見れた」
トートグ「自分を殺そうとした相手を助けるだなんて」
トートグ「あなたのような艦は非常に珍しい」
雷「……」
トートグ「ハーダーの姉御も見習うべきじゃないですかね?えぇ?」
ハーダー「……」
トートグ「おや?スコールが止みましたね」
ハーダー「……私は帰る」ザッ
ハーダー「だが覚えておけ、お前を倒すのはこの私だ」
ザッバアアア!!!
雷「……」
トートグ「ハーダーの姉御が憎いですか?」
雷「いや…一生消えない傷を残しちゃった私にも原因があるから攻められないわ」
トートグ「ハッハッハッ!本当に甘い方だ!」
トートグ「だけど誤解しないで欲しい、ハーダーの姉御は怖い方じゃない」
トートグ「自分を隠しているだけさ」
雷「自分を隠す?」
トートグ「あぁ…本来のハーダーの姉御を見せてあげるよ、付いて来てくれ」
ペットショップ前
雷「ペットショップ…?」
トートグ「おっと、来たよ」
雷「え?あの子?」
トートグ「バレないつもりなのかマスクを着けてる」
ハーダー「……」キョロキョロ
ハーダー「……」コソコソ…
雷「入って行ったわ!」
雷「このままではマズイわ!可愛い動物達が料理されちゃう!」
トートグ「アハハッ、君はどうやらハーダーの姉御に物凄い偏見を持ってるようだ」
ハーダー「…!」ダダダダダ!
雷「凄い勢いで走り去って行った!?」
トートグ「別にハーダーの姉御は今晩のディナーの材料を探してた訳じゃない」
トートグ「ただ動物を見に来ただけだ」
雷「……冷やかし?」
トートグ「そーいう事になるな」
トートグ「だからハーダーの姉御だって普通の乙女…ん?」
巻雲「お姉さんお姉さん」
ハーダー「私か?」
巻雲「そうですぅ、本を売ってるんですが…どうです?お一つ」
ハーダー「何だこの薄っぺらい本ry」
ハーダー「何だこの如何わしい表紙はッッッ!?」
巻雲「『同人誌』と呼ばれる物ですぅ、オータムクラウド先生の遺作いかがですかぁ?」
ハーダー「要るか!」バシィッ
巻雲「まぁまぁ試しに読んでみてくださいよぉ」
巻雲「きっとお気に召すはずですぅ、残念ながらBLではありませんがどうぞぉ」
ハーダー「チッ、パッと見るだけだからな…」
ハーダー「……」
ハーダー「……」ペラッ
ハーダー「……」ペラッ
ハーダー「…うぉっ」ペラッ
ハーダー「えぇ…」ペラッ
ハーダー「……嘘ぉ」ペラッ
長門「ん?何だ?何を売ってるんだ?」
巻雲「あ、いらっしゃいぃ」
長門「何だこの薄っぺらい本…何だこのイヤラシイ表紙は!?」
巻雲「どうです?お一つぅ?オータムクラウド先生の遺作ですよぉ~」
長門「い、いらな…いや、試し読みさせてくれ」
巻雲「はいどうぞぉ、ロリショタ物ですけどぉ」
長門「……」ペラッ
長門「……」ペラッ
長門「……」ペラッ
長門「うわ…」ペラッ
長門「えぇ…?こんな幼いのに、こんな破廉恥な……」ペラッ
長門「うわぁぁ…え?嘘、こんな所でするつもりなのか…?」ペラッ
ハーダー「……いやいや、そんな馬鹿な」ペラッ
ハーダー「うわ、そんな…えぇぇ…?」ペラッ
シーライオン「ん?見覚えがある後姿……」
シーライオン「何だ、ハーダーじゃないか」
ハーダー「ち、違う!誰だそれは?」
シーライオン「ん…?そっちは...確か…ビック7の長門?」
長門「ち、違う、私は長門ではない!陸奥だ!」
シーライオン「え、ハーダーと長門じゃ」
ハーダー「違う」
長門「人違いもとい艦違いだ」
ハーダー「そ、それじゃあ私は三冊程買って帰るから」
長門「私は五冊」
巻雲「まいどぉー」
ハーダー「それじゃ!」バビューン!
長門「さらばだ!」ビューン!
シーライオン「……?」
巻雲「お姉さんもどうですかぁ?」
シーライオン「い、いや…要らん」
雷「あれ何を買ったのかしら?」
トートグ「な、何だろうねぇ」
暁「あれ?雷?こんな所で何やってるの?」
雷「あ、暁……」
暁「その人は?」
トートグ「私はトートグ。初めましてお嬢さん」
暁「トートグさんね、よろしく」
巻雲「そこの方達ー、この本買いませんか~?」
トートグ「おいおい、見境無しか」
巻雲「買いませんかぁ?オータムクラウド先生の遺作ですよぉ~?」
トートグ「悪いけど必要無い」
暁「あれ何なの?」
トートグ「あれは…大人の本さ」
暁「大人……」
暁「アレ買うわ!」バーン!
トートグ「えぇっ!?」
トートグ「オイオイオイオイオイオイオイオイ」
暁「何?」
トートグ「あんなの買ったって何も面白くないぞ?」
暁「何?何の本なの?」
トートグ「あ、あれはだな…宇宙がどうとか、地球がどうとか、ワシントンが桜の木を折ってどうとか、リンカーンが暖炉の傍で勉強してどうとか…クソつまらない事ばかり書かれてるんだ、辞書の方が面白いと思えてくるぞ?」
暁「うぅ……(何か良く分からない…)」
暁(だけど、あれを買えば大人になれる気がする!)
暁「それでも!それでも買うわ!」
トートグ「オイオイオイ、勘弁してくれ…旦那にブッ殺されちゃうよ」
巻雲「一冊ですか?」
暁「一冊…いや、二冊!」
巻雲「まいどありぃ」
暁「さ!読むわよ!」バッ!
雷「私にも見せてよ~」グイッ
トートグ「しーらない…」コソコソ…
憲兵「憲兵だ!きさまを逮捕するッ!」グワシィッ!
巻雲「うわぁああああああああああああーーーッッッッ!!!!」ズルズル…
トートグ「…害悪は取り除かれた」
暁「あ、あわわわわわ…///」
雷「ちょっ…///これ大丈夫なの…?///」
トートグ「大人の階段を駆け上ってしまったか…」
ピピピ・・・
トートグ「ん、あぁ、もしもし?」ピッ
トートグ「…何か用か?」
トートグ「……」
トートグ「そうか…グロウラーのヤツ…」
トートグ「私達の潜水艦じゃない。そう伝えてくれ」
トートグ「巻き込まれるのはゴメンだからな」
トートグ「あぁ…ん?あと何か用か?」
トートグ「……日本の海軍特別警察隊からの依頼?」
トートグ「それで依頼内容は…?ほぅ、捜索と抹殺ね標的は同一人物か」
トートグ「報酬は…?ハッハーん、悪くないねぇ」
トートグ「分かった、考えておくよサウスダコタ」
ピッ
暁「どこか行くの?」
トートグ「あぁ、仕事にね」
雷「また遊びに来てね」
トートグ「もちろんさ…あぁ、そうだ。そいつを人前で読むんじゃないぞ?」
暁「わ、分かってるわよそんなの!」
――――――――――――――――
鎮守府 廊下
北上「ふんふ~ん」
北上「あいてっ」ボスッ
北上「あぁ、ごめんごめん。前をよく見てなかった……よ?」
連装砲ちゃん(大)「………」ドォオオーーーン!
北上(デカー!こ、これ、確か、島風の『アレ』じゃ…!)
連装砲ちゃん(大)「こっちもよく見てなかったよ、すまないね」
北上「喋った!?」
島風「んー?あれ?連装砲ちゃん、ここに居たの」
島風「早く行くよー」
北上「ちょっと待って、それ本当に連装砲ちゃん?」
島風「? そうだけど?」
北上(連装砲『ちゃん』と言うより、連装砲『さん』だけど)
―――――――――――
食堂
連装砲ちゃん(大)「ほーぅ、いい所じゃないか」
島風「連装砲ちゃんも食べる?」
連装砲ちゃん(大)「ハッハッハ!そいつは無理だ」
島風「どうして?」
連装砲ちゃん(大)「さっきサンドイッチ食って腹いっぱいだからな」
島風「晩御飯はっやーい!」
鈴谷「何…アレ…?」
熊谷「」
熊野「なんですのアレ!?」
島風「連装砲ちゃんだよ!」
熊野「嘘おっしゃい!どう見たって気ぐるみじゃない!」
鈴谷「ちょ、熊野」
連装砲ちゃん(大)「ん?」クルリ
熊野「そのふざけた物を取りなさい!」
連装砲ちゃん(大)「取ると言われても…何を取ればいいんだ?」
熊野「惚けるつもり…!?あなたが取らないと言うなら、わたくしが直々に…!」
熊野「とぉぉおおおぉぉおおぉーー!」バッ!
連装砲ちゃん(大)「おっと」ボスッ
鈴谷「あ、捕まった」
熊野「ムーッ!」ジタバタ
島風「やめて!連装砲ちゃんに酷い事しないでよー!」
連装砲ちゃん(大)「これは…困ったな…ちょっと、どうにかしてくれないか?」
鈴谷「え?私?」
熊野「鈴谷に近付かないでくださいまし!」ドンッ!
連装砲ちゃん(大)「うおっ!?とっとっ…!」フラフラ
ドンガラガッシャーン!
ボスッ!ゴロゴロゴロ…
島風「いやァァーーーッ!連装砲ちゃんの首がァァーーーッ!!!」
熊野「さぁ!素顔を見せなさい!この薄汚い獣(けだもの)!」
熊野「こんな物に化けて艦娘に近付くなんて、どこの馬鹿……!?」
鈴谷「熊野?」
島風「ああぁあ…連装砲ちゃんが…連装砲ちゃんが…!」
島風「び、病院…!救急車!」オロオロ…
トートグ「いたた…大丈夫かい?」
熊野「あ、え、いや、その……」
トートグ「本当に?」スッ
熊野「あ……」
トートグ「あぁ良かった、傷一つも付いてない」
トートグ「しかし間近で見ると、とても美しい方だ」
熊野「美し…っ!?」
トートグ「私が男だったら、君を放っておかなかったね」
トートグ「もしこんな美しい顔に傷でも付けていたら私は一生自分を責めるだろう」
熊野「……!」
鈴谷「あれ、やっぱり中に人が居たんだ」
トートグ(とりあえず褒めちぎって怒りの矛先が向かないようにしよーっ……と)
トートグ「いやー残念だなー、私が男だったら付き合ってたのにー残念だなー」
熊野「……大丈夫ですの」
トートグ「は?」
熊野「わたくしは…!女でも大丈夫ですわ…!」
トートグ「え………?」
鈴谷「なんの話してるの?さっきから?」
トートグ「わ、私はそういうつもりで言ったんじゃ…!」
熊野「熊野の心を弄んだというの!?」
トートグ「そうじゃない、そうじゃないよ?」
トートグ「だけどね、同性でってのは風当たりがキツイだろう?」
熊野「周りの目なんて熊野は気にしませんわ!」グググ…
トートグ「君は気にしないかもしれないけど私は気にする…!うわっ!ちょっ!近い!」
鈴谷「熊野!?」
トートグ「ま、待ってくれ!それだけは勘弁してくれないか!」
熊野「無理な相談ですわ!」ガバァア!
トートグ「いやぁああああああああああ!!!」
鈴谷「熊野ォーーーーーッ!?」
西南海域 無人島
秋雲「ハッ!?」ピキーン
青葉「どうしたの秋雲ちゃん!?」
秋雲「今、凄いインスピレーションが湧いてきた!」バッ!
シュババババババババ!
青葉「おぉ…凄いペン捌き」
秋雲「うはははははははーーーッ!凄い!面白いように湧いてくるぞォーーーッ!!!」シバババババ!
秋雲「ウヒーヒッヒッヒッヒーーーッ!!!」ガリガリガリガリ
西方海域だった
鎮守府
エクセター「この度は、どうもありがとうございました」
清水「礼なら電と雷に言ってくれ」
エクセター「この恩、絶対に忘れません。さぁ、みんな帰ろう」
ポープ「はい」
エンカウンター「さようならー」
清水「……」
北上「行っちゃったね」
清水「あぁ」
北上「ねぇ清水提督ぅ」
清水「何だ」
北上「余計な詮索かもしれないけど、腕と足どうしたの?」
清水「……事故でな」
北上「腕と足を切断する程大きな事故にあった記録無いけど?」
清水「…調べたな?」
北上「霧島さんの独り言を盗み聞きしただけだよ」
清水「……」
北上「別に嫌なら答えなくていいよ、ただ気になっただけだよー」
清水「この腕は…特警の椥辻にやられた」
北上「あの無精髭の目つき悪い特警?」
清水「そうだ…」
清水「一人の艦娘のミスでアイツに呼ばれてな」
清水「本当に些細なミスなんだ」
清水「それでも椥辻のヤツにイチャモンを付けられて」
清水「腕と足をスパッとな」
北上「……」
清水「実は、腕と足を切ったのはこれで二回目だ」
北上「え?」
清水「今回は椥辻に切られたが」
清水「『その前』は自分で切った」
北上「……?」
清水「俺は……とある軽巡洋艦に乗ってた」
北上「……?」
清水「その艦に、ある物が搭載された」
清水「みんなそれに乗って行かなきゃならないって空気になって…俺は空気に流されてそれに乗るように志願してしまった」
清水「それで俺は腕と足を自分で切った、それに乗らない為に」
北上「……!」
清水「だが俺は義足と義腕を付けられて引っ張り出された」
清水「ま…結局それに乗る事もなく使われる事もなく、俺は艦載機の攻撃を受けて死んだ」
北上「死んだ…?」
清水「そうだ」
北上「何言ってるのさ…今しっかりと生きてるじゃん…」
北上「それともゾンビとでも言うの?」
清水「さぁな、まぁそれに近いかもしれん。俺はあの時死に、そしてここに呼ばれた」
清水「俺もお前達の提督も」
北上「提督も…?」
北上「じゃあ…私達の提督も一度死んでるの?」
清水「ここに居るって事はそうなるだろうな」
北上「……」
清水「殆どのヤツは前世を覚えていない」
清水「だが俺は鮮明に覚えている」
北上「私達の提督は…なにで死んだのさ?」
清水「分からん、だが俺はアイツと前世会っている」
清水「パイロットだった、どう死んだか知らん」
清水「まぁ撃ち落されたんだろう」
北上「……」
清水「おっと…もうこんな時間か、俺はこれで失礼する」
北上「……」
―――――――――――
西方海域 無人島
提督「………」
不知火「……」
青葉「ぬふーっ!ぬふーっ!」
秋雲「ぐふふふっ!ぐふふっ!」ガリガリガリ
不知火「司令」
提督「ん?」
不知火「どうかされたのですか?」
提督「いや、夕日が綺麗だな…と思ってさ」
不知火「そうですか」
青葉「おぅふっ!ちょ、ちょっと!秋雲ちゃん!それ過激スギィ!」
秋雲「あぁぅ!ううン!うぉおん!」ガリガリガリ
提督「……」
不知火「……」
不知火「司令…」
提督「何だ?」
青葉「ウヒーッヒッ!あ、ヨダレが!」
秋雲「ジュルルル!ジュルルル!」ガリガリガリ
不知火「夕日…綺麗ですね」
提督「……あぁ」
青葉「うわぁーッ!突っ込んだ!突っ込んじゃった!」
秋雲「うハはっはははははっははははははーーッッ!!!」ガリガリガリ
不知火「今度、奥さんと…二人でここに来られたらどうですか?」
提督「……」
青葉「売れるッ!これ絶対売れるよーーーッ!」
秋雲「うぉおおおーーーッッ!私の右手が真っ赤に燃えるぅうううう!!!!」ガリガリガリ
提督「いや…三人で来よう」
不知火「え?」
青葉「うわぁああーーッ!あああン!いけずゥ!」
秋雲「こ、ここここコケーッ!コケコッコー!」ガリガリガリガリガリガリ
提督「お前と俺と嫁と三人で」
不知火「いいのですか…?不知火も来て…」
提督「もちろんだ」
青葉「LUILUILUIッッーーーー!!!」
秋雲「イィィィィーーーーッ!!!」ガリガリガリガリ
提督「家族だろ?」
不知火「……不知火が、ですか?」
提督「あぁ…もちろん、鎮守府のみんなそうだけどよ」
不知火「フフ…分かってますよ」
青葉「凄い!あなたは天才だ秋雲ちゃんッッ!!!!」
秋雲「出来たァァーーーーッッ!!!完成したァーーーーッ!!!」
秋雲「極上のエ●本をォォォーーーーッッッ!!!」
不知火「……」クルリ
提督「お、おい不知火?どこに?」
不知火「……」スタスタ…
ゴキッ! ボキッ!
ザッパァ―――――――ン!!!
鎮守府 廊下
シーライオン「そうか…ここの司令官は西方海域の無人島に」
トートグ「あぁ、移動したようだ」
シーライオン「ん?どうしたトートグ、いつもの元気が……まさか誰かに何かされたのか!?」
トートグ「そうじゃないけど…」
シーライオン「どうして隠す?私達は仲間だろ?」
トートグ「そうじゃないってば。別に嫌じゃなかったし」
シーライオン「嫌じゃないってどういう事だ!?まさかお前男に無理矢理…!」
トートグ「いや女さ(どういう思考回路してんだ)」
シーライオン「同性にだと!?」
トートグ「気にするなよシーライオンの姉御、私は大丈夫だ。ホレられちまったモンはしょうがないさ」
シーライオン「でもお前…でもお前…でもお前……!」
金剛「HEY!トートグ!何をナチュラルに鎮守府に来てるんデスかー!?」
トートグ「いやー、悪いね。ちょっと色々あってここに身を隠させてもらうよ」
トートグ「一緒には戦えねーけどアルバコアの姉御みてーな事するからさー」
金剛「そんな勝手許されない…ン?」
トートグ「?」
シーライオン「ん?」クルッ
金剛(シーライオン!?)
金剛「NOOOOOO----!!!」ダダダダダ…
トートグ「おやおや?何だ何だ?」
シーライオン「…ハッ!?」
トートグ「?」
シーライオン「ま、まさか…!」
トートグ「シーライオンの姉御の『まさか』は絶対にロクな事じゃない」
シーライオン「私達の仲間にあんな事やこんな事をされたのでは!?」ドギャーーン!
トートグ「ほらね」
シーライオン「クソッ…!なんという事だ…!私のミスだッ!」ダンッ!
シーライオン「早く謝らなくてはッ!」ダッ!
トートグ「あー…追いかけない方が…って聞いてないか」
――――――――――――――――
ドタタタタタタタタ!!!
清水「あぁ?何か騒がしいな…まぁいいそれよりも…」
清水(……椥辻のヤツの尻尾を掴めた)
清水(あのヤロウ、上層部やなんやらに金を渡してやがる)
清水(これを大将に渡して本当に終わりだ)
清水(……これでアイツはもう、海軍には居られないだろう)
―――――――――――――――
憲兵「椥辻大佐」
椥辻「……憲兵隊が何の用だ」
憲兵「少しお話があります」
椥辻「……チッ」
椥辻「清水のヤローか…」
椥辻(これで俺に勝ったつもりか清水…?)
椥辻(まだだ、俺にはまだ深海棲艦がある…)
椥辻(思い知らせてやる…!)
―――――――――――
西方海域 無人島
不知火「見てください司令、船が」
提督「…あれは」
―――――――――――
清水「よぉ、探し回ったぞ」
提督「悪いな、部下に場所バレて」
清水「そうか…それより…」
提督「やったのか?」
清水「あぁ、あの馬鹿が上層部とかに金を渡していた事を大将に突きつけた」
清水「これで本当に終わりだろう」
提督「いや、まだだ」
清水「?」
提督「まだ、あいつには深海棲艦が残ってる」
清水「あぁ…そうだったな」
清水「……とにかく今日は帰ろう」
提督「あぁ、みんな待ってるだろうし」
不知火「司令?」
提督「何だ?」
不知火「怪我、引いてますね」
提督「あぁ、長い間、アイツにボコボコにされなかったからな…今じゃ懐かしい思い出だ」
提督「だけどヤツが俺に付けた心の怪我は一生消えない」
不知火「………」
海上
不知火「……!誰かこっちに向ってきますよ」
提督「何だあれは?」
不知火「……不知火が行きます」
―――――――――――――
不知火「待ちなさい!」
???「………」ズザァアア
不知火「あなたもアルバコアやハーダーの仲間ですか?」
???「アルバコア…?あんな野蛮なヤツらと一緒にしないで欲しいわね」
サウスダコタ「私の名前はサウスダコタ。そこの男、恨みはないけど…命を貰うわ」
提督「!」
サウスダコタ「トートグがバックレたから、私がやるハメになっちゃったわ」
清水「……お前達に金を渡した依頼主はスデに捕まっているぞ」
サウスダコタ「そんなの関係無いわ、金を貰った以上…仕事はこなさないとね」
不知火「そうはさせません!」バッ!
サウスダコタ「フン!たかが駆逐艦が何が出来るというの!?」
不知火「沈めっ!」ボォンッ!
サウスダコタ「貧弱ッ!」ボォオンッ!
不知火「うっ!」ドォーン!
サウスダコタ「いいかしら?恐竜と蟻とじゃ戦力がぜーんぜん違うの、蟻であるあなたは、恐竜である私に踏み潰される運命なのよ」
サウスダコタ「あなたなんか一捻りに出来るけど、私の心はグランドキャ二オンの様に広いからね」
サウスダコタ「そこを退いたら、あなたを沈めないであげるわ。そもそもあなたは標的じゃないからね」
サウスダコタ「だけど退かないと言うなら…ズドーンだよ?」
不知火「フフ…ご冗談を…不知火が退くとでも?」
不知火「寝言は寝て言って下さい」
サウスダコタ「フーン、じゃ…バイバーイ」ジャキッ
提督「不知火!」
「待ちなさいッ!」ザァアア!
不知火「霧島さん!?」
霧島「砲撃の音が聞こえて何かと思って駆けつけたら…!」
霧島「提督も不知火さんも!今までどこに行ってたんですか!?」
提督「あ、後で説明する…」
サウスダコタ「ちょっとちょっと、何よ何なのよあなた」
サウスダコタ「いきなり出てきてさぁ」
霧島「あなたは…?アルバコアさんやシーライオンさんの仲間ですか?」
サウスダコタ「ハァー…だーかーら、あんなのと一緒にしないでよ」
霧島「……ここから去りなさい」
サウスダコタ「お断りよ。まだ私の仕事が終わってないもの…それに」
サウスダコタ「どーしてあなた何かに命令されなくちゃならないのよ」
サウスダコタ「それに何?その服?それに眼鏡?」
サウスダコタ「とてもじゃないけど、その組み合わせは『カッコイー』とも『カワイー』とも思えないわ」
サウスダコタ「どちらかっていうと『地味』ね!」
霧島「……」ピクッ
サウスダコタ「ハッキリ言っちゃうと『ダサい』わね!」
サウスダコタ「不人気キャラのオーラが滲み出てるわ!」ケラケラケラ
霧島「……」ピクピクッ!
サウスダコタ「そんな格好してて恥ずかしくないのォ?」
サウスダコタ「あなたと同じ格好するぐらいなら藁でも着てた方が100000000000000倍マシよ!」
サウスダコタ「いいや、そもそも服装が悪いんじゃなくて着てる方が悪いもんね!」
サウスダコタ「いくらどんな着飾った服を着ても、着てる人間が地味オーラを撒き散らしてる女が着ても――」
サウスダコタ「――地味オーラが服の良さを喰らい尽しちゃうモンねー!」
サウスダコタ「『基本』が悪いのよ『基本』がーっ!」
サウスダコタ「ハーハッハッハッハッハーッ!」
霧島「………」
霧島「ねぇ…さっきの事、もう一回言ってみて…」
サウスダコタ「いいわよ?何千何万何億回でも言ってあげるわよ」
サウスダコタ「あなたって、すごーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく『地味』ね!」
霧島「」プツーン
霧島「マイクチェックの時間だ……」
サウスダコタ「ゑ?」
―――――――――――――
サウスダコタ「げほっ!ひゃめめてください…死んでしまいます…」
霧島「まだ殴りたりないです」
サウスダコタ「そ、そんな~~~!」
ドォオオンッ!
霧島「ッ!?」
???「あーもう!外したー!」
サウスダコタ「ワ、ワシントン!」
ワシントン「んっふふー!サウスダコタちゃんには悪いけど!その女は私が倒しちゃうよ!」
提督「なッ!?まだ居たのか!?」
ワシントン「そして報酬のお金は私の物になるのだー!」ジャキッ!
不知火「させません!」バシュッ
ドォーンッ!!
ワシントン「ひゃん!?ぎ、魚雷!?も、もう!駆逐艦のクセに生意気なー!」ジャキッ!
サウスダコタ「ワ、ワシントン!早く撃て…いや…!」
サウスダコタ「逃げろォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
ワシントン「へ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
霧島「射程距離…入りました…」
ワシントン「あ……」
霧島「この距離なら、あなたの頭部を粉砕する事は可能です」
霧島「マイクチェック、ワン、ツー……」
ワシントン「」
サウスダコタ「ワシントン!」
不知火「動かないで下さい、動くと不知火ビッグバンが炸裂しますよ」ジャキッ
サウスダコタ「ビ…ビッグバン…!?」
ワシントン「」チーン
サウスダコタ「」チーン
霧島「ふぅ……」
提督「霧島…お前やっぱり強いな…」
霧島「そんな褒められたら照れちゃいます…」テレテレ
提督「いや…まぁいい」
提督「とりあえずコイツらを鹵獲出来たし…シーライオンのヤツらに引き渡すとするか」
不知火「久々の鎮守府ですね」
提督「あぁ」
霧島「みんな心配してましたよ」
提督「あぁ、謝らないとな…」
―――――――――――――
港
サウスダコタ「クソッ…ワシントン、どうしてあの時早く来なかったんだ!」
ワシントン「だってサウスダコタがヘボなんだもん!」
サウスダコタ「何だと!?」
ワシントン「何よ!?」
サウスダコタ「お前だって一瞬にしてボコボコにされたじゃないか!」
ワシントン「何ですって!?」
サウスダコタ・ワシントン「「フーンだ!」」
ハーダー「この人達ずっと喧嘩してますね」
トートグ「だな」
アルバコア「ふ、二人共、喧嘩はよくないですよ…?仲間じゃないですか…ね?」
サウスダコタ・ワシントン「「誰がこんなのとッ!!」」
アルバコア「あうぅ……駄目ですよ~喧嘩は~」ウルウル…
トートグ「やっさし~~なアルバコアの姉御は」
アルバコア「だ、だって…私達は…」
トートグ「『もう一人』のアルバコアの姉御の意見も聞くか」ガチャリ
アルバコア「殺しあって決着を着けロ!!!肉を削ぎ落とし骨を砕き内臓をブチ潰しありとあらゆる器官を破壊しつくして血反吐を吐かせ相手をブッ倒したヤツが勝者ダ!!!」
アルバコア「艤装なんて必要無イ!弾薬の無駄だ!刃物や鈍器で殴り刺し殺し合エ!二人だけでしたくないなら私も参加してやル!」
アルバコア「二人共ブッ殺して喧嘩両成敗にするってのもいい手だナ!!!クカカカカカカカカッ!!!」
アルバコア「オイ!誰か鈍器や刃物持ってこイ!!!ありったけナッ!!!」
トートグ「はい艤装解除」ガチャッ
アルバコア「あ、あの!?さ、さっき何か変な事言いました!?」オロオロ…
サウスダコタ「……ナニコノセンスイカンコワイ」ガクガク…
ワシントン「」ジョロロ…
アルバコア「も、もう!トートグさん!」ブンブン!
トートグ「ハッハッハッ!すまんすまん」
―――――――――――――――
???
椥辻「……」ザッ
椥辻「とうとう俺の立場も危うくなってきたな……あのジジィ共め、あれだけ金をやったというのに――」
椥辻「――共倒れを避ける為に掌を返しやがった」
椥辻「だが、俺には深海棲艦がある。コイツらを使って、いずれ艦娘も手に入れてやる」
ドタドタドタ・・・バン!
チ級「…!…!」
椥辻「どけ」
ドゴォッ!
チ級「ッ!」ズザアア!
ル級「!」チャキッ!
椥辻「……」カチッ
ル級「!?」ガクンッ
椥辻「……久々に使ったな、艦娘相手に使ったこの制御装置」
椥辻「お前達が先に生まれ、お前達の次に開発されたのが艦娘だから基本同じだ」
椥辻「何せ、作ったヤツが同一人物だからな」ザッ
―――――――――――
数年前
椥辻「長門、今日から子供達がこの鎮守府を見学に来る」
長門「……突然だな」
椥辻「まぁな…そこで長門、その子供達を案内して欲しい」
―――――――――――――――
「うわー!スゲー!長門だー!」
「カッコいいなー!」
「初めて生で見たー!」
ワイワイワイ・・・
長門「お、おい…少し静かにしてくれないか…」
「ながとながとー!」
「ながとー!」
長門「うぅ…」
椥辻「それじゃ頼むぞ、この道順で案内してくれよ」ポンッ
長門「……」
女の子「あ、あの…」
長門「ん?どうした?」
女の子「わ、私ね!この日の為に長門の絵を描いてきたの!」
長門「わ、私の…?」
女の子「うん!」
「俺も描いたー!」「私もー!」「私もー!」「俺も俺もー!」
ワー!ワー!
長門「……!」
「あれ?長門泣いてる?」「長門が泣いたー!」
長門「う、うるさい!泣いてなんかない!」グシグシ
アハハハハハ・・・
―――――――――――
港
長門「よしそれじゃあ皆、あの海の上にある建物まで船で行くぞー」
「「「はーーーい!」」」
長門「このビッグ7の火力を見せてやるからな、楽しみにしておけ」
―――――――――――――
海上
椥辻「長門、準備は出来たか?」
長門「あぁ…提督」
椥辻「何だ?」
長門「私は、提督の事を誤解していた」
椥辻「……」
長門「子供達と触れ合う事で…本来忘れかけていた人間の心を取り戻す事が出来た」
長門「礼を言う」
椥辻「………フン、礼を言うのは後にしろ」
椥辻「それでは…あー…訓練を始める」
長門「了解した、それじゃあ早速的を用意してくれ」
椥辻「……何を言ってる、既にあるぞ」
長門「え…?」
長門「ま、まさか…子供達が居る…!」
椥辻「そうだ、狙え」
長門「そ、そんな…そんな事をすれば…!」
椥辻「死ぬ」
長門「……ッ!やはり貴様は正真正銘の……!下衆野朗だッ!」ジャキッ!
椥辻「……」カチッ
長門「ぐっ!?な、何だ…!?体が動かん…!?」
椥辻「上官に砲を向けるな長門…何を躊躇っている?」
椥辻「お前が前世で殺して来た人数が、ただ増えるだけじゃないか」
椥辻「たかが貧乏人のガキの命数個だ、普通の人間の命一つにもならん」
椥辻「いいか?あいつらは貧乏人のガキ共だ、この日本を巣食う害虫の子だ」
椥辻「その害虫の子を殺してお前はさらに強くなり、害虫駆除も出来る」
椥辻「一石二鳥ではないか」
長門「……ッ!」
椥辻「あと人間の心は捨てろ、そんなものはお前には不要だ」
椥辻「早く撃て長門……撃てぬか?撃てないのか?」
長門「当たり前だろ…!」
椥辻「ならば…『撃たせてやる』」カチッ
長門「な、何…!?艤装が勝手に…!?」ウィィン…
椥辻「今から起こる光景を…しっかりと目に焼き付けておけ長門」
長門「や、やめろ……!」ガチガチ…
椥辻「よーーーく…しっっかりとな……」
長門「やめろォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!」
カチッ
ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
―――――――――――――――
「いたい…いたいよ…」
「熱い…」
「いたい…」
「」
「熱い…」
「熱い…」
「たすけて…」
「ながと…ながと…」
「あー…あー…」
「見えない…見えないよ…」
長門「うっ…うわぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
長門「す、すまない!みんな!すまない!すまない!すまない!」バシャバシャ
女の子「うぅ…」
長門「は、早く!早く病院に!」
女の子「長門…」
長門「!? だ、大丈夫か!?い、今すぐに病院に……!」
長門(うっ…!腕が…!)
長門(顔も…!)
女の子「長門…私は…信じてるよ…長門がやったんじゃないって…」
長門「え…?」
女の子「あの…おじさんが…撃ったんでしょ…?」
長門「え…?」
女の子「だって…長門は…そんな酷い事しないもん…私知ってるよ…」ニコッ
ドォンッ!
女の子「」ビシャア!
長門「……!?」
椥辻「フン…戯言を…耳を貸すな」
椥辻「それにしても一撃死とは行かなかったか…砲の改良が必要だな…おい、船を死体に近づけろ」
長門「き、き、き……!」
長門「貴様ァァァァーーーーーーーーッッ!!!!」
長門「よ、よくも!よくも皆を!」ブルブル…
椥辻「……その眼は何だ?」
椥辻「私は貴様の上官だぞ?」
長門「知るかッ!そんな事ッ!」
椥辻「……大体、撃ったのはお前だぞ?」
長門「何…!?」
椥辻「私はお前に撃たせたに過ぎない、直接『撃った』のはお前だ」
椥辻「私がお前に『撃たせて』、お前が『撃って』、ガキを『殺した』」
椥辻「だが悔やむな、こんなカス共に同情なんかするな」
椥辻「するだけ無駄だ」
長門「……!……!…!」ポロポロ…
椥辻「涙を流すという事はまだ人間の心を捨てられないか……まだ『特別訓練』をする必要があるな」
長門「何回…!何回殺させるつもりだ…!?」ボロボロ…
椥辻「無論、人間の心を捨てるまで」
長門「……うぅぅ!」
青年兵「……っ」
椥辻「おい、早く船を近づけろ」
青年兵「……はい」
青年兵「あの…」
椥辻「何だ?」
青年兵「いくらなんでも…」
椥辻「私に意見か?」
青年兵「い、いえ…」
椥辻「では黙ってろ」
青年兵「……」
――――――――――――――――
鎮守府 廊下
曙「離してッ!離してよ漣!」
漣「やめて曙ちゃん!」
曙「離してよ!アイツを…!アイツを殺してやる!」
曙「アイツのせいで潮が…!潮が…!」
漣「そんな事しても何もならないよ!」
「そうだ、私を殺しても何もならない」
曙「!」
椥辻「そして―――ー」
ドゴォッ!
曙「がぁっ…!?」ズシャア!
椥辻「――潮はもう戻って来ない、いや…お前達の知ってる潮には戻らない」
椥辻「それと貴様…」ガシッ!
曙「あぐぅっ!」
椥辻「上官を殺すとよく堂々と言えたな、たかが駆逐艦の分際で」
椥辻「デカイ口を叩くなこの小娘がッ!」バシィッ!
曙「うぅっ!」ドシャア!
漣「曙ちゃ――」
椥辻「……」ドゴッ!ゴッ!ボコッ!
曙「ぐはっ!おぐ…っ!」
漣「や、やめて…」
曙「ぐ……」
椥辻「お前も明日から『特別訓練』だ」
椥辻「訓練の結果次第、今回の事は大目に見てやる」
椥辻「まぁ精々、正気を保てるように努力するんだな」
椥辻「潮のようになりたくなければ、な」
椥辻「あの程度の事で容易く心が壊れてしまうようなヤツは我が艦隊には不要だ」
曙「……!」
このSSまとめへのコメント
よくこんな虫唾が走る文章思いつくもんだな、頭おかしいんじゃねーの?
唐突な回送ワロタ
自分で持て余すくらいなら、そもそも書かなきゃいいものを…
1;さんよ、そんなの言うなら初めから見なければいいんじゃね?
頭おかしーんだなこの作者、最後まで書く気無いならスレ立てんなごみ、時間の無駄だったわ
落ち着いてー(゚д゚lll)
内容はともかく途中で投げ出す位なら最初から書かない方が良い。
時間の無駄。
作者は神!
批判米しねしねひねしね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね時間の無駄だまじで。
続きを書いて下さい
マジで不快なモン書くなゴミムシ
内容は好きなんだけどなー
最後まで書いてほしかった
作者死ねよ
ストレートすぎたろ、、、13さん、、