亜美「まだなにも言ってないっしょ」

やよい「でも分かるもん」

亜美「なにがさ」

やよい「亜美が悪いってこと」

亜美「真美の方が」






やよい「亜美は賢くないから」

亜美「は？」

やよい「賢くないからね」

亜美「なにいってるの？」

やよい「亜美は賢くないんだよ」

亜美「チョー賢いっしょ」

やよい「全然だよ、全然」

亜美「ならやよいっちの方が賢くないし」

やよい「なんだと」






亜美「亜美の方が賢い」

やよい「賢くない」

亜美「だいいち亜美が賢くなかったらさ」

やよい「真美は賢いよ」

亜美「なんで」

やよい「真美は私と一緒で賢いし」

亜美「嘘だ」

やよい「えらい」

亜美「やよいっちはテキトーだね」






やよい「これだから亜美は」

亜美「やよいっちこそ」

やよい「亜美がなんとか小町でアイドル出来るのも」

亜美「待って」

やよい「待たない」

亜美「ゼッタイ知ってるっしょ」

やよい「真美と私が頑張ってるからだよ」

亜美「は？」






やよい「わんつーているずはすごい」

亜美「すごくない」

やよい「妹はお姉ちゃんのいうこと聞かなきゃだめだもん」

亜美「双子だから関係ないよ」

やよい「ある」

亜美「ない」

やよい「それに真美は左利きだし」

亜美「だからなんなのさ」

やよい「賢い」






亜美「やよいっちは右利きじゃん」

やよい「あっ」

亜美「じゃあやよいっちは賢くないんだね」

やよい「違う」

亜美「なんでよ」

やよい「今は双海家の問題だもん」

亜美「ずるい」

やよい「高槻家はそんなの関係ない」






亜美「高槻家はみんな賢くないもんね」

やよい「なんだと」

亜美「亜美は賢い、やよいっちは賢くない」

やよい「くだらん」

亜美「竜宮が頑張ってるからしっぽ組がやっていけるだけだし」

やよい「ほんとうに亜美は子供だね」

亜美「は？」

やよい「お姉ちゃんが叱ってあげます」

亜美「ひとつしか変わらないじゃん」






やよい「めっ」

亜美「」

やよい「なんとか小町はダメだね」

亜美「ダメじゃない」

やよい「そういうところがいけないんだよ」

亜美「しっぽ組よりもすごいっしょ」

やよい「笑わせないで」

亜美「本気だからね」

やよい「でも亜美のお母さんはわんつーているずのファンだもん」

亜美「えっ」






やよい「お父さんも」

亜美「」

やよい「真美が言ってたからね」

亜美「そんなことないし」

やよい「ほんとうだよ」

亜美「違うし」

やよい「認めなきゃダメだよ」

亜美「認めないし」






やよい「よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

亜美「やめて」ﾊﾞｯ

やよい「竜宮はメンバーがダメ」

亜美「そんなこと」

やよい「まず伊織ちゃん」

亜美「カンペキっしょ」

やよい「うん」






やよい「合格だね」

亜美「えっ」

やよい「伊織ちゃんはかわいいから」

亜美「はい」

やよい「ちょっと常識知らずなところもあるけど」

亜美「でもいおりんだし」

やよい「うん」






やよい「だから合格」

亜美「なんでやよいっちが」

やよい「次、亜美だね」

亜美「イジワルはヤダかんね」

やよい「うーん」

亜美「なんでよ」






やよい「ギリギリで合格だね」

亜美「」

やよい「ほんとうは真美が良いと思うけど」

亜美「そんなことない」

やよい「亜美が賢くないから竜宮も賢くないんだよ」

亜美「賢いし」

やよい「あといつまでも子供だし」

亜美「チョー大人だし」

やよい「そんなことないし」

亜美「あるし」






やよい「律子さんには言っておくから」

亜美「やめて」

やよい「最後」

亜美「どうせまた変なコトいうんでしょ」

やよい「三浦」

亜美「それやめて」

やよい「三浦はなにをしてもダメ」

亜美「やよいっちなんかじゃ全然相手にならないし」






やよい「はいはい」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

亜美「」

やよい「亜美」

亜美「もうこの話は」

やよい「目をつぶって」

亜美「なんでよ」

やよい「いいから」






亜美「はい」ﾊﾟﾁ

やよい「想像してください」

やよい「亜美は今、ステージの上にいます」

亜美「はい」

やよい「なにをしていますか？」

亜美「踊っています」

やよい「そうです」






やよい「亜美は今、夜更かしの猫ちゃんです」

亜美「惑わします」ｸｲｯ

やよい「ほかにステージ上には」

亜美「ふたりいます」

やよい「ふたりいますね」

亜美「あれはいおりんでしょうか」

やよい「間違いありません」






亜美「なによ!!」

やよい「なんなのよ!!」

亜美「真剣に踊っています」

やよい「素敵ですね」

亜美「はい」

やよい「次です」

亜美「次」

やよい「伊織ちゃんのとなりには」

亜美「あずさお姉ちゃんがいます」

やよい「そう」






やよい「三浦がいます」

亜美「やめてください」

やよい「失礼しました」

亜美「あずさお姉ちゃんです」

やよい「なに色ですか」

亜美「アメジスト・バイオレットです」






やよい「そうですか」

亜美「はい」

やよい「三浦さんの頭」

亜美「アタマ」

やよい「頭にはなにがありますか」

亜美「帽子があります」

やよい「帽子」

亜美「小さな帽子です」

やよい「でも」






やよい「それは本当に帽子でしょうか」

亜美「えっ」

やよい「しっかりと見てください」

亜美「帽子です」

やよい「いいえ」

亜美「そんなこと」

やよい「ヘタです」

亜美「はい？」



やよい「あれはナスのヘタです」






亜美「んふっ」

やよい「ﾄｪｪｪｪｲ」

やよい「笑った」

亜美「ち、違っ」

やよい「亜美は笑ったんだよ」

亜美「そんなことない」

やよい「亜美にもナスのヘタに見えたんだね」

亜美「やめて」

やよい「ダメだよ」

亜美「違う!!」






やよい「かわいそうな三浦」

亜美「」

やよい「しかたないよ」

亜美「あ、亜美は」

やよい「だってあれはナスのヘタだもん」

亜美「うぅ」

やよい「だからさ」

亜美「……っ」

やよい「一緒にわんつーてい」

あずさ「そこまでよ」






やよい「なんだと」

亜美「あずさお姉ちゃん!!」ﾀﾞｷｯ

あずさ「亜美ちゃん」ｷﾞｭｯ

やよい「亜美は裏切ったんだよ」

亜美「そ、そんなこと」

あずさ「大丈夫」

やよい「笑ってた」

亜美「だってあれは!!」

あずさ「分かってるわ」






あずさ「全部、分かってるから」

亜美「あずさお姉ちゃん……」

やよい「ぐぬぬ」

あずさ「ここは私に任せて」

亜美「うん」

あずさ「亜美ちゃん」

亜美「えっ」

あずさ「よく頑張ったわね」ｷﾞｭｯ






亜美「うわあん、あうあうあう!!」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

あずさ「大丈夫よ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

やよい「くだらん」

あずさ「待たせたわね」

やよい「ほんとうは亜美も思ってる」

あずさ「くだらないわ」

やよい「くだらなくない」






あずさ「子供ね」

やよい「なんだと」

あずさ「そんなお子様は竜宮にはいらないわ」

やよい「子供じゃない」

あずさ「子供よ」

やよい「なんで」

あずさ「着ないの」

やよい「えっ」






あずさ「大人は『MARCH』なんて着ないのよ」

やよい「」

あずさ「高槻はまだ子供」

やよい「ち、違っ」

あずさ「違くないわ」

やよい「私は」






やよい「『765のオーデコロン』なのに」ﾌﾙﾌﾙ

あずさ「やよいちゃん」

やよい「そんな」

あずさ「知っているの？」

やよい「えっ」

あずさ「オーデコロンを知っているのかしら？」

やよい「知らない」






あずさ「んふっ」

やよい「」

やよい「……っ」

あずさ「どうしてこんなこと」

亜美「やよいっち……」

やよい「だってあの時」






やよい「……亜美が」

あずさ「亜美ちゃん？」

亜美「えっ」

やよい「プリンがなくなった時の犯人探しで」

真美『君が悪いんじゃあない、貧乏が悪いんだ』

亜美『プリンってものを、食べてみたかった』ﾄﾞﾝｯ

やよい『……私プリンぐらい食べたことあるよ？』

やよい『昨日だって家族みんなで食べたんだから!!』



亜美『まったまたぁ』

真美『ありえないっしょ』






やよい「ショックでした」

亜美「」

やよい「その後、ウニ代わりに食べてるんだって」

やよい「ウソをつきました」

やよい「そうでもしないと私の心が」

やよい「ガラガラと崩れてしまいそうで」






やよい「うわあん、あうあうあう!!」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

あずさ「辛かったのね」ﾋｼｯ

亜美「」

やよい「ああああ」ﾌﾙﾌﾙ

あずさ「大丈夫、大丈夫よ」ｷﾞｭｯ

亜美「あ、亜美」






亜美「亜美のせいで、やよいっちは」

あずさ「あ、亜美ちゃん？」

亜美「やっぱり亜美じゃなくて真美の方が」

あずさ「違うわ!!」

亜美「ごめんねやよいっち」ﾌﾙﾌﾙ

やよい「……でも」

あずさ「やよいちゃん？」

やよい「本当に悪いのは、亜美じゃない」

亜美「えっ」






やよい「プリンを盗んだ人」

亜美「……っ!!」

あずさ「えっ」

亜美「で、でも」

やよい「冷蔵庫にプリンがあったらこんなこと」

亜美「……確かに」

やよい「みんなのプリンを」

亜美「盗んだ人」

やよい「私は絶対に許さな」






あずさ「それは違うわ」

亜美「えっ」

やよい「えっ」

あずさ「きっと犯人さんにはどうしようもない事情があったの」

亜美「でも」

あずさ「私は765に犯人がいるなんて考えたくない」

やよい「だって」

あずさ「私はみんなを、信じているから」






あずさ「信じているから」

やよい「はい」

亜美「はい」

亜美「じゃあ、やっぱり亜美じゃなくて真美の方が」

あずさ「えぇ」

亜美「ごめんねやよいっち」

やよい「そうだね」






亜美「でもさ」ｶﾞｼｯ

やよい「えっ」

亜美「あの時」

やよい「はい」

亜美「真美も一緒に言ってたよね」

あずさ「あら」



やよい「んふっ」






やよい「」ﾀﾞｯ

亜美「ﾄｪｪｪｪｲ」ﾀﾞｯ

あずさ「ﾄｪｪｪｪｲ」ﾀﾞｯ

真美「こっちに!!」

やよい「真美!!」

ｶﾞﾁｬﾝ






亜美「開けろ」ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ

あずさ「社長室なんて卑怯よ」ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ

小鳥「ちょっと」

亜美「ぐぬぬ」

あずさ「ここは退くしかなさそうね」

亜美「そんな」

あずさ「覚えてなさい」






あずさ「……『765のオーデコロン』!!」

亜美「んふふ」

やよい「伊織ちゃん」

伊織「あら、やよい」

やよい「竜宮の衣装なんだけど」

伊織「……また」

やよい「三浦の帽子って」

伊織「やめなさ」

やよい「ナスのヘタだよね」



伊織「んふっ」






伊織「」

やよい「ﾄｪｪｪｪｲ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終

真美「どう考えても亜美が悪い云々」

貴音「姉はいつでも正しいですからね」

響「いやいや」

美希「違うよ？」

貴音「いいえ、正由」






響「妹こそ正義で」ｷﾞｭﾑ

貴音「いひゃああああ」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

美希「お姉ちゃんはガマンしないとだめなの」

真美「ミキミキは賢くないね」ﾊｧ

美希「ちょっと待つの」

貴音「姉に歯向かうなんて」

響「姉にはポンコツしかいないから」

真美「妹はおとなしくしてなきゃ」

美希「お姉ちゃんは優しくなるべきで」

ｷﾞｬｰｷﾞｬｰ



真「またケンカ？」

雪歩「姉妹云々って」

真「いやいや」






真「一人っ子がいちばん」

雪歩「だよね」

　　　　　　　　　　　　　　　　今度こそ終