提督「問題児だらけの鎮守府ぅ?」 (53)
元帥「そうだ、前任の提督が色々とやらかしてな」
提督「何で新米の俺がそんなメンドクセーとこの担当なんだよ脳みそ腐ったかヒゲジジー」
元帥「問題児には問題児だ。だいたい貴様が他の教官に折檻くらうの何回不正でやったと思ってるクソガキが」
提督「だから言うこと聞けってか、ヤダね、鞭打たれたって言うこと聞かねー」
元帥「まぁ聞け、貴様にとっても悪い話ではないのだからな」
提督「んだとぉ?」
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元帥「今の時代、多くの海軍軍人が深海棲艦との戦いの前線に立ち、瞬く間にその身を散らす。故に、どんな新人でも提督職に起用せざるを得ない、それは知っているな」
提督「ったりめーだろ。そのために軍は俺みてーな奴を大量に育成してるからな」
元帥「そうだ。たとえ性格面に問題があろうとも成績さえ優秀であれば少佐の階級を与えられ、鎮守府の提督として任命される。お前がいい例だ」
提督「そりゃどーも」
元帥「我々に手段を選ぶ暇はない、一人でも多くの優秀な人材を前線にて活躍させねばならん。そこで、提督任務に就いたならお前に一つ特権を与える」
提督「んだよ」
元帥「自由にしていい」
提督「……」
提督「マジか?」
元帥「冗談は好かん」
提督「自由ってのはあれか、極論だけどよ、深海棲艦側について反旗をひるがえすのもありか?」
元帥「極論中の極論だな。好きにしろ。深海棲艦がお前を受け入れるか、艦娘がそれについていくかは疑問だがな」
提督「はー……思い切ったことするね」
元帥「それだけ後がないということだ。もはや沿岸部は人の住めぬ場所になっている。このままでは人類は、陸の内に押し込められ、諦観のうちに壊死するだろう。それを打破するには、お前のような自由な力が必要なのかもしれん」
提督「ふーん……吐いた言葉を取り消すなよ」
元帥「そんな女々しい根性はとうに捨てたわ」
提督「okだ。提督として働いてやる」
元帥「よし。迎えの車を外に待たせてある。必要最低限の物も積んだ。ほかに必要なものは後で輸送しよう」
提督「準備万端だな、無理やりにでも行かせるつもりだったか?」
元帥「 ばれたか」
提督「ジジイ……」
提督「はぁったく……海軍学校卒業してすぐこれかよ、まだ20歳にもなってねーってのに……」
「ぐちぐち言ってんじゃないわよ」
提督「あん?……ぉ?叢雲?」
叢雲「なによ」
提督「お前こんなとこで何してんだ?昨日俺が卒業してしばらく休暇じゃねーのか?」
叢雲「あんたが提督として鎮守府に着任することになったから、担当艦の私もあんたについてく羽目になったのよ」
提督「……マジで?」
叢雲「マジよ」
提督「っか~~~!卒業してやっとこのクソうるせー壊れたスピーカーから離れられると思ったのによ~!」
叢雲「顔面粉砕するわよブ男」
提督「こんなイケメン捕まえといて何ほざいてやがる!」
使い「あの、そろそろ出発したいんですけど」
提督「あ、さーせん」
ブロロロロ……
提督「叢雲ぉ、俺らが行く鎮守府って、噂とか聞いたか?どんなとこだ、とかよ」、
叢雲「噂ねぇ……たしか、前任の提督が無能だったとか、所属する艦娘が殆どストライキ起こしてるのか、そんなん聞いたことあるわ」
提督「新任提督に対してハードすぎねぇか?」
叢雲「あんたが在学中に教師ぶん殴ったり勝手に艦隊組んで出撃したりしたせいでしょ。私がどれだけ尻拭いのために奔走したか知ってんの?」
提督「シラネ」
叢雲「」バキッ!
提督「ぐばあっ!!テメーコノヤロー!!」
叢雲「艦娘とやろうっての?その顔アンパンマンにしてやるわ!!!」
バキッ!ドゴッ!
使い「あ、あの、車の中で暴れないで……」
某鎮守府
提督「ついたな」
叢雲「ついたわね」
提督「連絡、言ってんだよな?」
叢雲「タブンネ」
提督「お出迎えの一つもねーなぁ」
叢雲「そうね」
提督「……どうしよう、この鎮守府に、シワひとつない海軍制服とトランクケース一つで乗り込むのが怖すぎる」
叢雲「わたしも練度23で乗り込むのが非常に気後れするわ。誰かさんがちゃんとレベリングしてくれればこんなことにならなかったのに」
提督「耳もぐぞクソガキ……仕方ねぇ、入るか」ガチャ
シーン……
提督「……ゴースト鎮守府?」
叢雲「シャレにならないわね」
提督「おーい、誰かいませんかねーーーーーー」
シーン……
提督「ウォーイ、ウォーイ、ポッターーー」
シーン……
提督「ばいあずーらばいあずーらばいあずーら!!!」
シーン……
提督「ちくしょうマジで返事がねぇな」
叢雲「明かりもないし……」スッ
叢雲「埃も溜まってるわね」
提督「おいマジでゴースト鎮守府か?問題児だらけの鎮守府っていってたじゃねーか、そもそもだれもいねーぞ」
叢雲「参ったわね……それもこれもあんたが不真面目だから」
提督「うるせぇイガグリ投げるぞ……ん?」
……!…!
提督「……なんか、聞こえるな」
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