勇者「魔導人形?」 幼女「ユーシャ!」 (106)
・初めてのSS投稿です
・慣れない部分もありますがそこは見なかったことに…
・基本妄想の垂れ流しです
・書き溜めの部分もありますが、ゆっくり進行していきたいと思ってます
それでは初めていきます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418973751
勇者「魔導人形?」幼女「ユーシャ!!」
勇者「なんですか? この木箱」
受付「さぁ?勇者様にお預けするようにとしか言われてませんので……」
勇者「えー? 俺に? 今日は国からの支給金の申請に来ただけなんだけど……」
受付「魔王を倒した勇者は税金で悠々自適の毎日ですか……羨ましい」
勇者「それが魔王を倒した男の特権です」フンス
受付「パーティーの皆様はそれぞれ国のために日々尽力されているというのに、勇者様は日がな一日、そのような格好でブラブラと……」
勇者「いや、だって楽なんだもの。で、その箱なんだけど何が入ってるとかって書いてないの?」
受付「一応、王立研究所のものみたいですね」
勇者「王立研究所? じゃあ、魔法使いのところか……」
受付「手紙も預かってますけど読みますか?」
勇者「お願いします」
受付「えっと『勇者、久しぶりじゃの。ワシの最高傑作を送るから試験運用を兼ねて預かって欲しい。くれぐれも壊さぬようにな。詳細は追って連絡する』だそうです」
勇者「えー、面倒くせぇ」
受付「断るんですか?」
勇者「こっちは魔王倒して、平和で気ままな税金生活ですよ? そんな面倒くさいこと断るに決まってるじゃない。魔法使いに伝えておいてくださいよ、『面倒だからパス』って」
受付「分かりました、そのように伝えておきます。ただ……」
勇者「ただ?」
受付「勇者様は英雄支給金の受給資格要項を把握していますか?」
勇者「いや、知らないけど……」
受付「基本的には『受給者は国家の技術発展と国力増加に積極的に協力すること』です」
勇者「へー、そうなんだ。それで?」
受付「それに関してなんですが上から『もし勇者が依頼を断ったら即時支給金をストップするように』と承っております☆」
勇者「は?」
受付「かわいそうに勇者様。夢の税金生活から一転、明日から無職に……」
勇者「いや、ちょっと待って」
受付「仕方ありませんね、それでも断るというんですから……勇者様はその処分も甘んじて受けるとの覚悟がおありのようですし、私から上の方に伝えておきます」
勇者「いや、待てって!!」
受付「なんですか? 無職様?」
勇者「無職言うな!……なんでこんなことに……頑張って魔王を倒したのに……」
受付「それで、どうなさいますか?」
勇者「……断るって選択肢はどうせ無いんでしょ?」
受付「まぁ、今の自堕落な生活を続けていきたいのなら」
勇者「わかりましたよ、引き取ればいいんでしょ、引き取れば!」
勢いでタイトルも書き込んじゃった…
受付「流石勇者様! 快く引き受けてくださりありがとうございます! きっと王立研究所の方々も喜んでおられますよ」
勇者「どの口が言うんだか……じゃあこの箱、俺の家に送っておいてください」
受付「はぁ?」
勇者「え?なにか問題でも?」
受付「あいにく我々も通常業務に忙殺されておりまして、勇者様のお手伝いをすることができません」
勇者「いや、もしかしてこれ俺1人で持って帰れって言うんですか? 流石にそれは・・・」
受付「勇者様なら大丈夫ですよ! 家までなら転送呪文で一発ですよね?」
勇者「いや、俺、諸事情で今魔法使えなくて……」
受付「一発ですよね?」
勇者「ですからね、今、魔法使えないん……」
受付「慈悲深い勇者様は魔王に荒らされた街の復興業務に忙殺され、ここ半月は家に戻れていない我々しがない公務員に対して、そんな訳のわからない荷物運びを手伝えなんてまさか言いませんよね?」
勇者「はい……自分で持って帰ります……」
受付「ありがとうございます、流石勇者様!」
勇者「……街の復興はまだ終わらないんですか?」
受付「当分終わる気配はないですね。特に被害の多かった街は魔物の放つ瘴気に侵されて草も生えない不毛な土地になってしまいましたし、そこから以前のような土地に戻すにはそれこそ膨大な時間が必要なんだと思います」
勇者「……そうですか」
受付「でも大丈夫です。勇者様が魔王を倒してくれたお陰で少しずつですが各地に希望が戻ってきました。まだ平和とは程遠いけど、着実に平和に向かって歩き出しているんです」
勇者「あの、なんというか、頑張ってください」
受付「言われなくても頑張ります。勇者様のお相手をしていたせいでこんな時間になってしまいました。これは今日も徹夜ですよ、徹夜」
勇者「すみません、じゃあこれ預かりますんで」
受付「よろしくお願いします。なにかありましたらご連絡ください」
勇者「わかりましたよ……うわ!なにこれ重ッッ!!!」
受付「中身は一体何なんでしょうねぇ……」
勇者「これを家まで……マジかぁ……」
受付「本当に魔法使えないんですか?」
勇者「ええ、諸事情で……」
受付「災難ですねぇ……」
勇者「災難です……ねぇ、ちょっとだけでも運ぶの手伝って……」
受付「さぁて、私も仕事仕事!」
勇者「ですよねぇ……」
-勇者の家-
勇者「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……なんとか、なんとか家まで持って……帰る……ことが……できた……し、死ぬ……」ゴトン
勇者「魔法使いの奴め、俺が魔法使えなくなってるの知ってるくせに……これは嫌がらせだ……そうに違いない……」
勇者「改めてみるとやっぱり大きいな、この木箱。何が入ってるんだ?とりあえず開けてみよ」ガサゴソ
勇者「うん? あれ? なんだこれ? 金色の髪の毛……?」
???「ユーシャ!!!」
勇者「どわ!!!」ガッシャーン
勇者「なんだ? NA・N・DA!? 目の前が金色でなんにも見えない!! 敵襲!? 魔王復活!? 勇者絶体絶命!?……って……」
???「ユーシャ!!!」ダキッ
勇者「女の子……?」
???「ユーシャ……?」ツンツン
勇者「なんで木箱の中に女の子が? どういうことだ? まさか魔法使いの隠し子か!? あいつ俺の知らない間に……」
???(魔法使い)「そんなんじゃないわい」
勇者「ま、魔法使い!」
???(魔法使い)「この音声は録音じゃ、お前さんのことじゃから勘違いすると思って先に伝えておく。さて、これを聞いているということは木箱に入った幼女を見てさぞ腰を抜かしていることじゃろう、その光景を見ることができず、残念で仕方ない。お主と違ってワシも忙しくての」
勇者「この音声ってこの子から出てるのか?」
???「……」ピーガシャガシャ
???(魔法使い)「お主にこの子……便宜上『この子』なんて使い方をしているが『これ』と言っても問題はないじゃろう……とにかくこの子を送ったのは受付の女子にも伝えた通り、この子の試験運用を手伝って欲しいからじゃ」
勇者「試験運用……? ってその前にこの子は一体何者なんだよ」
???(魔法使い)「説明するのが遅れたの、今、お前の目の前に立っている幼女。こやつは人間ではない」
勇者「人間じゃない?」
???(魔法使い)「我々、王立研究所の技術の粋を結集させて作った『魔導人形』じゃ」
幼女「ユーシャ!!」ビシ!!
幼女(魔法使い)「少し触れ合えば分かるとおり、この子は生まれたばかりで赤ん坊同然、言わば何も持っていない。『言葉』も『感情』も『知識』も『体の動かし方』すらの」
勇者「いや、めっちゃ喋ってるし、めっちゃ動いてるし、めっちゃ嬉しそうなんですけど……」
幼女(魔法使い)「だから勇者、この子に色々と教えてやってほしい。この子の親代わりになってほしいのじゃ」
勇者「はぁ!? ちょっと待て、そんなの無理だって!」
幼女(魔法使い)「そうかそうか、引き受けてくれるか。ありがたいのう。生憎我々も研究に忙しくての、友人の中でもこのようなことを頼めるのは『毎日グータラ過ごしている税金暮らしニート』のお主しかおらんのじゃ。それではよろしく頼む」
勇者「誰が税金暮らしニートだ! 撤回しろ! こんな奴の面倒なんて見てられるか! 箱に入れ直してどっか捨ててきてやる!!」
幼女(魔法使い)「ちなみにどこかに捨てようとしても無駄じゃからの。この子には発信機をつけてあるからの、もし異変があったらすぐにワシの元に連絡が来るようになっておる、もしそのようなことになったら……」
勇者「なったら……どうだって言うんだよ」
幼女(魔法使い)「お前の支給金の支給がストップするので気をつけるのじゃぞ☆」
勇者「やっぱりそうきたかぁぁぁぁ!!」
幼女(魔法使い)「安心せい、時折ワシも様子を見に来るようにする。それでは勇者、くれぐれもこの子を頼んだぞ」ブチ
あ、ありがとうございます! 頑張ります!
勇者「ちょ、おい魔法使い? 魔法使いさーん……マジか、マジでか……どうしてこうもみんな俺の生活を邪魔しにくるんだよ……」
幼女「ユーシャ……」ツンツン
勇者「なんで俺がこんな金髪チビっ子の世話をしなければならんのだ? 適任者はいくらでもいるだろ。 あー、憂鬱だ……」
幼女「ユーシャ!!」ダキ
勇者「うわ、なんだよ!」
幼女「ユーシャ!」スリスリ
勇者「くっつくな!」
幼女「ムフー」
勇者「くっ、かわいい……」
幼女「ユーシャ?」
勇者「ちがうちがう! とりあえず離れろ!」
幼女「ユーシャ………」イヤイヤ
勇者「あぁ鬱陶しい! お前みたいな訳のわからない奴の相手なんてしてられるか!」
幼女「………」
勇者「うん?」
幼女「………ぅぅぅ」
勇者「ん? どうした?」
幼女「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんんんんん!!!!」カッ
勇者「へ?」
ドゴォォォォォォォォン!!!!!
勇者「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
――翌日、役所――
勇者「というわけで、箱の中身です」
受付「なんですか、この超絶かわいい生き物は? 私を萌え殺そうとしてるんですか、そうですか」
勇者「いや、こっちは実際死にかけたんですが……」
幼女「ユーシャ!!」ビシ!
受付「いやぁん、かわいい! お姉さん、この子持って帰るぅー!」
勇者「やめた方がいいと思いますよ」
受付「えー、ケチ」
勇者「あなたのためを思って言ってるんですけど。とにかく、昨日はこいつのせいで死にかけたんです! なんなんですかこの魔導人形ってのは!」
受付「さぁ?」
勇者「さぁって………なにかあるでしょう?」
受付「そんなこと言われましても… しかし信じられませんね、この子が魔王を倒した勇者様を殺しかけるなんて」
勇者「口からなんか出したんですよ、魔法的ななにかを! あともうちょっと回避が遅れていたら死んでましたよ!」
受付「あら、どうせだったら一回死んじゃったほうがそのひん曲がった根性も治るんじゃないですか?」
勇者「なんだと、この腐れ公務員」
受付「やりますか? 社会のゴミクズ………とまぁ、冗談はさておき」
勇者「冗談ですましやがった」
受付「その子についての情報はこちらにはほとんど開示されていません。どうやら、王国でも極秘扱いらしくて。勇者様が帰った後に届いた文書にも詳しいことはほとんど書いてありませんでした。私たちに回ってきた情報はそれこそこの子が『どのようなものか』と『どのようにして動くのか』程度のものだけです。」
勇者「じゃあ、本当に魔法使いが来るまでなにもわからないってことですか?」
受付「そうなりますね。ああ、動力源は私たちと同じ食べ物らしいですよ」
勇者「え、人形なのに大丈夫なんですか?」
受付「なんでも、物質のエネルギーを分解して動力である魔力に変えるそうで、基本的になんでも食べられるみたいです」
勇者「へー、ハイテクなんだな、お前」
幼女「ムフー」フンス
受付「うふふ」
勇者「なんですか、ニヤニヤしたりなんかして」
受付「いや、昨日までニートだった勇者様がいきなり子持ちのお父さんになるなんて面白いなぁって」
勇者「誰が子持ちだ。言っときますけど、魔法使いが来るまでの間だけですからね、あいつがきたらそのまま突っ返します」
受付「またまた! 勇者様がこんな可愛い子を手放せる訳ないじゃないですか!」ムギュー
幼女「ユーシャ……」クルシイ……
勇者「そいつで遊ばないでくださいよ」
受付「なんなら、私が、その、お母さんになってあげても……」
勇者「寝言は寝て言ってください、そんなこと言ってると結婚できませんよ。ほら、行くぞ」
幼女「ユーシャ!!」ダキ
受付「あー、幼女ちゃーん……」
勇者「それじゃ、また来ます」
受付「できるだけ来てくださいね、できれば毎日!」
勇者「仕事してくださいよ……」
受付「やってもやっても終わんないんですよ! 昨日も徹夜で書類作成でしたし! 私たち公務員は癒しが必要なんです!」
勇者「ご、ご愁傷様です……」
受付「同情するなら手伝ってくださいよ!」
勇者「そりゃ勘弁」
受付「この薄情者! それでも勇者か!」
勇者「もうそういうのは卒業したんで……」
受付「やっぱりその力を国のために使う気はないんですね」
勇者「いや、ただ単純に働きたくないだけ」
受付「もうあの凛々しい救世主はいないんですね……」
勇者「悪かったね、ニートで」
幼女「……ユーシャ」ツンツン
勇者「悪い悪い、そろそろ行くか、それじゃまたなにかあったら来ます。支給金、ちゃんと振り込んでおいてくださいね、ちゃんと!」
受付「かしこまりー☆」
勇者「適当な返事するな、腐れ公務員、ちゃんとやれよ、マジでちゃんとやれよ」
受付「仕事戻りたいんで早く幼女ちゃん置いて消えてくださいよ、害虫ニート」
勇者「そこまで言いますか……」
受付「ハイ☆」ニッコリ
受付「安心してください、国の規定に基づきお金はちゃんと送金しますから」
勇者「本当によろしくおねがいしますよ!ほら幼女、行くぞ」
幼女「ユーシャ!」ダキ
受付「はいはーい、幼女ちゃん、またね」
幼女「……」バイバーイ
受付「かわいい……」
同僚「受付――ってあんた凄い鼻血でてるわよ!」
――勇者の家――
勇者「というわけで家に帰ってきました」
幼女「ユーシャ!」ワーイ
勇者「さぁて、これからどうすっかなぁ。 支給金のお陰で生活には苦労しないけど、こんな年の子なんてどう接したらいいかわかんねぇよ………ったく、魔法使いめ、面倒なこと押し付けやがって、大体、俺は好きでこの生活やってんだっての! 魔王を倒したのも全てはこのニート生活のためだってのに……」ブツブツ
幼女「ユーシャ………」
勇者「なんだ? 腹減ったのか?」
幼女「………」コクコク
勇者「そういえば、なんだかんだでここに来てからお前はなにも食ってなかったよなぁ、とりあえず、なんか食うか?」
幼女「ユーシャ!」イエーイ
勇者「よし、待ってろ、すぐ作ってやる」
幼女「ユーシャ!」ピョンピョン
勇者「さて、確か冷蔵庫に卵とご飯の残りがあったから、炒飯でも作るかな」カチャカチャ
勇者「しっかし、お前、ずっと『ユーシャ』しか言わないのな。なんか他に喋れないのか?」
幼女「ユーシャ?」
勇者「そのうちちゃんと喋れるようになるのか?」ゴハンドバー
勇者「まぁ、こいつはリアクションが派手だから何考えてるのかわかりやすいけど………」ジュージュー
勇者「なんにせよ、魔法使いに聞かないとわからないよなぁ………よし、できた」
幼女「………!」ピョンピョン
勇者「いいか、幼女、これがチャーハンだ」
幼女「ユーシャ!」
勇者「美味そうだろ? ほら、椅子に座ってろ。すぐに持って行くから」
幼女「………」ピョンピョン
勇者「はい、両手を合わせて……いただきます」
幼女「………」モグモグ
勇者「どうだ? 美味いか?」
幼女「――!!」
勇者「美味いか! そりゃ良かった」
幼女「チャーハン!」
勇者「はは、よっぽど気に入ったみたいだな、口に米粒ついてるぞ」
勇者「まぁ、こんな子供をそこいらにほっぽり出すのも後味悪いし、とりあえず魔法使いが来るまでここに置いてやる。短い間だとは思うけどよろしくな、幼女」
幼女「………」ガタッ
勇者「ん? どうした? いきなり立ち上がって」
幼女「ユーーーーシャーーーー!!!」ダキッ
勇者「だぁぁぁ!! 抱きついてくるな! 米粒がー! 服に! くっつくっつーの!!」
――数日後――
受付「や、やっと休みが取れた……… 一週間連続役所で寝泊りすることになるとは思わなかったですよ………」
受付「というわけでやってまいりました! 勇者様の家! 勇者様ぁぁぁぁぁ!! 遊びましょぉぉぉぉ!!!」ドンドンガチャガチャ
勇者「やかましい! 家の前で騒ぐんじゃねぇ!」バターン
受付「いやぁ、久々のお休みでテンション上がっちゃいまして………」
勇者「そんなに大変なんですか? 復興作業………」
受付「そうですね、みんな死んだ目で業務にあたっております!」
勇者「うわぁ」
受付「勇者様が手伝ってくれればすぐに終わると思うんですけど」
勇者「自分たちで頑張ってください」
受付「ああん、勇者様のいけずぅ」
勇者「俺はこの生活に若干の不満を感じつつも気に入っているので」
受付「あ、そうですよ! せっかくの休みに勇者様の冴えない顔を見に来たわけじゃないんですよ、幼女ちゃん! 幼女ちゃんに会わせてください!」
勇者「断る」
受付「どうして! ハッ! さては幼女ちゃんは既に勇者様の手篭めにされて……… 見損ないましたよ! このロリコン!」
勇者「あんたの存在があいつの教育に悪いからです!」
受付「そんなぁ……… いいじゃないですかぁ、会わせてくださいよぅ……… この日のために頑張ってきたんですよぅ、幼女ちゃんに会えないと明日から私、頑張れない………」
幼女「ユーシャ?」トテトテ
勇者「あ、馬鹿!」
受付「ああぁ! 幼女ちゃん!」ダキッ!
幼女「???」
受付「ああん、幼女ちゃん可愛いよぅ! この時のために私は今まで頑張ってきたと言ってもいいわ! 幼女ちゃん、幼女ちゃん!」スリスリ
幼女「ユ、ユーシャ………」
勇者「こら! 離れろ変態公務員!」
受付「ヤですぅ! 今、今までの疲れを幼女ちゃんで癒してる最中なんですから、勇者様は邪魔しないでください!」
勇者「てめぇ……… とりあえず上がってください、家の前で騒がれると近所迷惑です」
受付「あら、勇者様も世間体をお気になさるんですね、生産力のない可燃物の癖に☆」
勇者「あんた、段々口が悪くなってないか?」
受付「すみません、私、思ったことすぐに口に出しちゃうタイプで。うふふ、おじゃましまーす」
勇者「はいはい、どうぞ」
受付「ここが勇者様の家ですか、なかなかいい家に住んでるんですね、生意気」
勇者「別にいいでしょ、そんなことは」
受付「どうですか? 幼女ちゃんとの生活は」
勇者「大変ですよ、こいつどういうわけか俺にべったり張り付いて離れなくて、ほら幼女、なんか適当にあそんでろ」
幼女「ユーシャ!!」
受付「ふふ、元気があっていいことじゃないですか」
勇者「よくないですよ、お陰で近所の人たちの視線が痛い……」
受付「あははは」
勇者「それで?」
受付「はい?」
勇者「どういったご要件ですか? まさかわざわざ幼女に会いに来たわけではないでしょう?」
受付「失礼な! メインディッシュはもちろん幼女ちゃんですよ!」
勇者「メインディッシュって……」
幼女「!!!」オリガミハッケン!
受付「でもまぁ、そのついでってことで役所の方からちょっち勇者様にお願いしたいことがありまして……」
幼女「………」オリガミオリオリ
勇者「お断りします」
幼女「♪♪♪」オリオリ
受付「そうしましたら、今月から支給金の振込はストップということに」
勇者「だぁぁぁ!! 分かりましたよ、とりあえず話だけでも聞きましょう!」
受付「ここから西にある洞窟をご存知ですか?」
幼女「………」ココカラムズカシイ
勇者「ああ、あの大昔ドラゴンがいたとかいないとか噂される洞窟のことですか?」
受付「はいです。 その洞窟に最近山賊団が入り浸るようになりまして」
勇者「それで?」
受付「勇者様にその山賊を追い払っていただきたいんですよ」
勇者「いや、そんなの俺の仕事じゃないでしょうよ、第一、剣士がいる王国直属の騎士団はどうしたんですか?」
受付「勇者様のお仲間の剣士様率いる騎士団は各地の復興作業の手伝いのために遠征しておりまして、この近くにはいないんですよ。それに王国に残ってる人間は貴族のお坊ちゃんばかりでまるで使えません」
勇者「ひどいこと言うね、同じ公務員でしょ」
幼女「!!!」デキタ!
受付「あんなのの給料が私たちと同じ給料体系でやってると思うとはらわた煮えくり返りますよ! ……既に近隣住民に被害も出ています。お力を貸していただけませんか?」
勇者「えー、めんどくさい」
受付「わかりました、無職様。 幼女ちゃんはかわいそうなので私が引き取りますね」
勇者「わかった、わかったって! ったく、これだから国家の犬は……」
皆様の書き込み、ありがとうございます! ある程度の書き溜めはありますので続けて投下していきます!
幼女「ユーシャ」ツンツン
勇者「悪い、幼女。ちょっと後にしてくれるか?」
受付「なんでですか! 幼女ちゃんが呼んでるのに!」
勇者「今、それどころじゃないでしょ。……それで被害っていうのはどれくらい?」
受付「えっと、近隣の村の農作物が根こそぎ、それと女性も何人かさらわれています」
勇者「思ったより被害が大きいですね」
幼女「ユーシャ」ミテミテ
受付「ええ、早急にこの問題を解決したいと王もお考えです。ですが貴族どものお坊ちゃん部隊とはいえ、曲がりなりにも国家の一大勢力を動かすことに反対の馬鹿貴族が多くて……王も苦心しています」
勇者「国王も問題視してる案件に役所の下っ端が使者としてやってくるんですか、この国は……」
受付「あら、私これでも偉い方ですよ?」
勇者「嘘だー、偉い人がこんなところに来て幼女抱きしめて鼻血なんかだしませんよ」
受付「は、鼻血なんて出してませんよ!」
幼女「……ぅぅ」
勇者「大体、偉い人が役所の受付業務なんてやるわけないじゃないですか、俺のイメージとしてはもっとこう、専用の部屋に篭ってああでもない、こうでもないって考えているイメージですよ!」
受付「現場を知らない人が勝手な憶測するのやめてもらいますぅ? 大体、仕事してる時点でニートの勇者様とは圧倒的な地位の差があるんですから、あなたと比べたら偉いのは私の方じゃないですか!」
勇者「俺、勇者! 今世界が平和なのは俺のお陰!」
受付「小さいですねぇ、過去の栄光にいつまでもすがってるなんて、男として恥ずかしくないんですか?」
幼女「ぅぅぅぅぅ」グス
勇者「そこまで言う? 大体あんたは最初から客に対する態度がなってないんだよ!」
受付「生産性のない可燃ごみの言葉なんて聞く耳もちませーん」
幼女「うううううう」グスグス
勇者「ん? 幼女? あー、やばい……」
受付「どうしたんですか? 勇者様?」
勇者「受付さん、死にたくなかったらできるだけ安全なところに隠れてください……」
受付「へ?」
勇者「とんでもないのが、来ます……」
受付「へ?」
幼女「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんんんん!!!!」カッ
ドゴォォォォォォォォン!!!
勇者・受付「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
――――――――――
受付「な、なるほど…… これが勇者様を殺しかけた魔法……」
勇者「本当にこいつ何者なんですか? あんな威力の魔法、魔法使いでも使えませんよ」
受付「ええ、運良く助かりました……」
幼女「………」スヤスヤ
勇者「寝てる姿は本当に人間の子供と変わらないんですけどね……」
受付「まだ喋れないんですか?」
勇者「はい、決まった単語しか口にしません。魔法使いが俺にこいつを寄越したのが『教育』っていう目的だったんで俺も普通に話せるようになるために色々試したんですが……」
受付「ダメだったんですか」
勇者「あいつ『ユーシャ』と『チャーハン』しか喋れないんですよ。普段は『ユーシャ』の一単語とジェスチャーでコミュニケーションをとってますね」
受付「でもおかしいですね」
勇者「なにがですか?」
受付「私が見たところ幼女ちゃんは十分喋れる知能は持ってるはずです。それに勇者様が箱を開けたその時から話しだしたんですよね?」
勇者「え、ええ。そうです。箱を開けたらあいつが俺の名前を叫びながら飛び出してきて……」
受付「魔法使い様は『知能という知能がなにも入っていない』空っぽな状態で幼女ちゃんを送り出したんですよね?」
勇者「そうです。だからこそ幼女に録音した音声を俺の前で再生させたんです。俺に状況説明をするために」
受付「でしたらなぜ幼女ちゃんは最初から『ユーシャ』という単語を知っていたんでしょう?」
勇者「……」
受付「それにあの魔力、自衛のために搭載させるにしては度が過ぎています」チラ
勇者「そうですね、この間と今日の分で……」チラ
受付「山が2つ、きれいに消し飛びましたもんね……」
勇者「2回とも奇跡的に怪我人がいなくてよかった……」
受付「とにかく、この子はまだ謎が多すぎます。子育てはくれぐれも慎重にお願いしますよ、勇者様!」
勇者「別に俺は預かってるだけで育てる気は」
受付「お願いしますよ、勇者様!」
勇者「……はい」
受付「それで山賊団の件なんですが……」
勇者「ああ、わかりましたよ、どうせ断れないんでしょ? 面倒だけど、引き受けますよ」
受付「わぁ、流石勇者様!」
勇者「ただし! 今度支給される支援金の金額をもうちょっと上乗せしてくれるとありがたいなぁって」
受付「流石勇者様!困っている人たちのためなら『無償』で助けてくださるなんて」
勇者「あれ? この展開前にも聞いた気がする……だから!」
受付「流石勇者様!困っている人たちのためなら『無償』で助けてくださるなんて」
勇者「あ、ダメだ。こいつ2回も同じこと言いやがった」
受付「『無償で』」
勇者「やめろぉ! 何回も言うなぁ!……わかったよぅ、行けばいいんでしょ、行けば」
受付(ちょろい)
勇者「その代わり、俺が行って帰ってくる間、幼女の面倒見ててくださいよ!」
受付「もちろんですよ! 勇者様が『無償』で頑張って下さるんですもの、幼女ちゃんの一人や二人!」
勇者「おい待て、もしかしてそれが目的か!!」
受付「でへへへ……」
勇者「くっそ…… 夕方前には帰りますから、変な気起こさないでくださいよ!」
受付「早く行ってくださいよ、私は幼女ちゃんの寝顔を堪能したいんですから…… ん? ところで勇者様」
勇者「なんですか?」
受付「もしかしてその格好で行く気ですか?」
勇者「え、ええ。 あとそこにあった棒持って行きますけど」
受付「そんな近くの市場に行くような格好で?」
勇者「こっちの方が動きやすいし、え? なんか変?」
受付「い、いってらっしゃーい……」
勇者「いってきまーす?」タッタッタ
受付「流石世界を救った勇者様。 山賊退治にあんな軽装で……」
幼女「………」スヤスヤ
受付「まぁ、そんなことはさておき、幼女ちゃんの寝顔を楽しむとしますか! えへへ、幼女ちゃーん」
同時刻、役所にて
同僚「まったく! 受付の奴!!」
課長「どうしたんだね、同僚くん? おや、今日は受付くんはいないのかね?」
同僚「休みですよ、休み! ったく、こっちは猫の手を借りたいくらい忙しいっていうのに……」
課長「まぁまぁ、彼女も一週間寝泊りして働き通しだったんだ、たまには休むことも必要だよ」
同僚「あたしだって一週間寝泊りして働いてるんですよ! それに、あいつ……」
課長「なんだね?」
同僚「今日提出期限の書類、全部あたしに押し付けていきやがったんですよ!!」
課長「それは困ったね……」
同僚「なんでも? 『私には私の使命があるのです!』とか言いながら? あたしに? いつもの笑顔で? 全く悪びれる様子もなく? 大量の仕事を置いてったんです!」ウガー
課長「受付くんは思い立ったら一直線なところがあるからねぇ…… どこに行くのか聞いたのかい?」
同僚「えっと、確か西のはずれにある、勇者様の家ですよ」
課長「西? 西に行くと言ったのかい? それはまずいねぇ……」
同僚「なにか問題でもあるんですか?」
課長「これはあんまり大きい声では言えないんだけども……今さっき、王宮から連絡が入ったんだ」
同僚「本店さんから? よっぽどのことですね、なにかあったんですか?」
課長「西のはずれにある洞窟、わかるかな? あそこの洞窟を山賊団が根城にしているらしいんだ」
同僚「今時、暇な奴もいるんですねぇ、こっちは復興作業で死ぬ思いしてるってのに。 そんなに暇ならこっち来て手伝え!」ダン!
課長「山賊団は、近隣の農村を襲撃し、被害も出ているらしい」
同僚「それで、なにか対策は?」
課長「それが、まだ何もできていないようでね、騎士団も動かせないらしいし、被害も広がるばかり。王様も心を痛めているようだ。そういうことだから役所の人間は周辺の警戒を強化するようにと、上からお達しがあったんだよ」
同僚「魔王も倒れたっていうのに、物騒ですねー」
課長「それにしても大丈夫かな、受付くんは」
同僚「大丈夫でしょ、あの子襲ったところでなにするって言うんですか」
課長「彼女も年頃の女性だ、襲われた村では何人か女性もさらわれたらしい。ああ、心配だなぁ」
同僚「あんなぺたんこに欲情する男なんているわけないじゃないですか、性格悪いし」
課長「君もなかなか言うね…… でも、あぁ、心配だなぁ」
同僚「なんですか、受付になにかあったら問題でもあるっていうんですか?」
課長「だって貴重な労力だよ? 山賊なんてそんなつまらないことで失うなんてもったいないじゃないか」
同僚「あー、課長もなかなか性格悪いですね」
課長「あはは、仮にも上司にそんなこと言っちゃいけないぞ。じゃあ同僚くん、追加の書類作成、お願いね」ドサドサ
同僚「ゲッ! ちょっと待ってくださいよ! あたしにも休みくださいよー」
課長「ちなみに提出期限は明後日だから、よろしく」スタスタ
同僚「あ、ちょっと!! ……くそう、早く帰ってきやがれ、馬鹿受付……」シクシク
――――西の洞窟周辺――――
山賊A「なぁ、聞いたかよ?」
山賊B「なにをだよ?」
山賊A「俺らが根城にしているこの洞窟、昔、龍がいたって噂!」
山賊B「聞くもなにも、ここいらの人間だったら周知の事実だぞ? 村の子供たちはみんな、親から龍の伝説を聞いて育ってきたんだ」
山賊A「へぇ……え? お前、ここの出身なの?」
山賊B「まぁな。色々なことがあって、今は山賊としてやってるが昔はよくこの辺りに勝手に入って村長に怒られたもんだ」
山賊A「なぁなぁ、その龍の伝説っての聞かせてくれよ」
山賊B「大した話じゃないぞ? それに聞いていて面白いのかどうかもわからん」
山賊A「いいから、いいから! どうせ俺たち見張りは暇なんだ。話してくれよ」
山賊B「わかった、わかった。まぁ、伝説って言ってもよくある類のものなんだが……その昔、世界にまだ魔王がいなかった時のこと」
山賊A「魔王がいなかった時代の話? 魔王って最初からいたんじゃねぇのか?」
山賊B「お前は、本当になにも知らないんだな。魔王が現れたのはたかだか200年前かそこらなんだぞ?」
山賊A「へぇ……じゃあその前は誰が魔王の代わりだったんだ?」
山賊B「いや、魔王の様に各地を力で支配するような存在はいなかった。ただその代わり、各地には龍がいてその地の守り神として君臨していたんだ」
山賊A「へ? じゃあその龍はどこに行っちまったんだ?」
山賊B「魔王に消された。」
山賊A「消された? 全部?」
山賊B「そう。この地の龍以外はな。実際には殺されたのか封印されたのかはわからない」
山賊A「そうなのか……お前物知りだなぁ。で、ここの龍ってのはどうなったんだ?」
山賊B「封印されたんだよ、人間に」
山賊A「人間に?」
山賊B「そう。それがこの地方に伝わる伝説の話。龍は様々な要因で人々が苦しむのを助けてあげていた。その感謝の証として、人々は龍に捧げ物をしていた」
山賊A「みかじめ料ってやつか?」
山賊B「まぁ、間違っちゃいないが、そんな荒っぽいものじゃない。ほとんどの龍は思慮深く、人間の繁栄に協力的だった。ところがこの地の龍は違った。多くの捧げ物を要求してきた。人々が無理だと訴えると、その村を龍のブレスで焼き尽くす。周りの龍が止めようにも言うことを聞かない、それに」
山賊A「それに?」
山賊B「とうとう、人間の女を生贄によこせと言ってきたんだ」
山賊A「ひゃー、そりゃ酷い話だ」
山賊B「もちろん人間は抵抗した。しかし、抵抗するものを龍は片っ端から焼き殺す。もはや龍の言うことを聞くしかなくなっていた」
山賊A「それで、それで? 龍はどうやって封印されたんだ?」
山賊B「最後まで聞けって。龍の言うことを聞くしかない人々は苦しい生活を余儀なくされた、そんなある日、1人の男が訪れたんだ。男は人々から龍の話を聞くと人々の静止も聞かず龍がいるこの洞窟へ駆け出した。三日三晩、龍の咆哮と激しい音が鳴り止まなかったらしい。そして4日目の朝、男が戻ってくると、龍の姿はどこにもなかった。」
山賊A「おお!」
山賊B「男は『龍を封印した』とだけ言い残すとどこかへ消えていったそうだ。だから、この地にはまだ悪い龍が封印されていて、無闇矢鱈に入ってはいけないとされている」
山賊A「なるほどなぁ……でもよ」
山賊B「うん?」
山賊A「村を襲ったり、女をさらったりってまるで今お頭たちがやってることじゃねぇか?」
山賊B「そうだよ。だから俺はお頭のやり方に反対したんだ。小さい頃から聞いてた昔話をそっくりそのまま、しかも同じ場所でやる必要なんてどこにある? しかも予想される結末は昔話と同じ……」
山賊A「男が来てやられておしまい……か」
山賊B「実際に男が来るかなんてのはわからないが、こんなこといつまでも続くわけがない。それを何度も言ったんだが、お頭は相手にしてくれなかった。それで」
山賊A「俺と同じ見張りってわけか」
山賊B「不本意ながらな」
山賊A「俺もお頭に今回は手を引いたほうがいいって……」
山賊B「お前は単純に使えねぇからだろ」
山賊A「そんなこと言うなよ、兄弟~」ダキッ
山賊B「抱きつくな! 気持ち悪い!」
――――西の洞窟周辺の村―――――
頭領「これで全部か?」
村長「もう勘弁してください、この村に備蓄してある食料は全てお渡ししました」
山賊C「お頭ぁ! こっちにまだたんまりとありましたぜ!」
頭領「おいおい、村長さんよ、嘘はいけねぇなぁ、嘘はよぉ」
村長「それは年貢の分と最低限の食料です。それが無ければ我々は冬を越すことができません! 何卒! 何卒ご勘弁を!」
頭領「うるせぇ! そんなことは知ったこっちゃねぇんだよ! この世は食うか食われるか! そうだろう? ああ?」
村長「お願いします! それだけは! それだけはぁ!!」
山賊D「うるさいじじいっすね、お頭、殺っちゃっていいっすか?」
村長「ひ、ひぃぃぃぃぃ……」
頭領「好きにしろ」
山賊D「それじゃあ、早速……」ギラッ
「おやめください!」
村長「村娘! こっちに来るでない!」
山賊C「なんだぁ? お嬢ちゃん、俺たちは今忙しいんだ、邪魔するんじゃねぇぞ!」
村娘「私たちは要求通りに渡せるものは全てお渡ししました! これ以上の乱暴はおやめください!」
頭領「お嬢ちゃん、なかなかいい根性してんじゃねぇか……気に入った、村長。この嬢ちゃんもついでにもらっていくぜ」
村長「な、なにを?」
頭領「この嬢ちゃんに免じて村人全員の命だけは助けてやる、ありがたく思うんだな。ほら、こっちへ来い!」グイッ
村娘「は、離してください!」
頭領「この俺様に文句があるっていうのか? そういうことなら、この村の人間全員皆殺しだなぁ?」
村娘「そ、それだけは!!」
頭領「だったらおとなしくついて来やがれ」
村娘「この! 卑怯者!」
頭領「卑怯で結構! 力があればなんだって許される! 即ち、俺が正義だ! ガッハッハッハッハッハァァァァ!!!」
「いつの時代の悪党だよ、見た目はゴリラでももう少しスマートにできないもんかね?」ザッザッザ
頭領「なんだてめぇ?」
勇者「ただの通りすがりの……税金暮らしニートです!」ビシッ
山賊C「そんな棒きれ一本でなにができるってんだ? なめてんのか?」
山賊D「やっちまうぞ! こらぁ!」
勇者「え? 許可取らなきゃ攻撃しちゃダメな感じだった?」スタッ
山賊D「い、いつの間に後ろに?」
山賊C「て、てめぇ!!……!!??」グラ
山賊D「クソッ! ……なにを…しやが……た」ドサドサ
勇者「まずは2人。立てますか? お二人共」
村長「わ、わしは大丈夫じゃ」
村娘「ありがとうございます」
勇者「ちょっと暴れるんで、村のみんなを連れて少しだけ離れてください」
村娘「お一人で戦うおつもりですか? 無茶です!」
勇者「大丈夫。……多分」
村娘「多分!?」
勇者「税金暮らしは伊達じゃないんです! ほら、行ってください!」
村娘「は、はい! お気をつけて!」
とりあえず、今日の投下はここまでです
明日、また投下します
>>1 それでは初めていきます→× それでは始めていきます→○
初投下で誤字って……穴があったら入りたい……
自分が考えてたよりも多くのレスがついていて感動しています! 必ず完結させますのでよろしくお願いします!
今日の投下は大体21時頃を予定しています。よろしくおねがいします!
お待たせしました、投下開始していきます
今日で終わればいいな……
頭領「なにをごちゃごちゃ言ってやがる! オメェら! 相手は一人だ! たたんじまいなぁぁぁぁああああ!!」
山賊団「ウォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!」ドドドドドドドドド
勇者「さて、人のため、国のため、そしてなにより俺の優雅な税金生活のため、いっちょやりますか!」
勇者「死にてぇ奴だけかかって来やがれ! ……なんちって」ボソ
山賊団「ウォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
――――勇者の家―――――
幼女「……ぅん?」パチ
受付「むふふふふふふ」ジー
幼女「ユ、ユーシャ!?」ビクッ
受付「あ、幼女ちゃん、おはよう。寝てる幼女ちゃんも可愛いですけど起きてる幼女ちゃんもやっぱり可愛いですね!」ビシ
幼女「ユーシャ?」キョロキョロ
受付「勇者様はちょっと出稼ぎに行ってるの。まぁ、帰ってこなくても私としては一向に構わないんですけどねぇ」アハハ
幼女「ユーシャ……」ションボリ
受付「ああ、しょんぼりしてる幼女ちゃんもかわいい……じゃなくて。大丈夫よ、幼女ちゃん、夕方までには帰ってくるって言ってたから心配しないでも」
幼女「………!!」ピクッ
受付「あら、その手に持ってるの、折り紙で折ったの? 幼女ちゃんすごいわ……うん? どうしたの?」
幼女「………」ジー
受付「あっちは……西の洞窟のあたり……よく勇者様がいるところがわかるわね」
幼女「ユーシャ!!」ダッ
受付「こら、幼女ちゃん! どこに行くの」ダキ
幼女「ユゥゥゥゥゥシャァァァァァ」ジタバタジタバタ
受付「勇者様なら大丈夫だから、安心して! ……それにしてもすごい力ね」
幼女「んむぅ……ん!」パッ
受付「あ、ダメよ幼女ちゃん! 待ちなさい! 幼女ちゃん」ダッ
幼女「ユーシャァァァァ!!!」ドドドドドドドド
受付「すごいスピード! 待ってぇ! 幼女ちゃん!」
ドドドドドドドドドドドドドドドド
――――西の洞窟周辺――――――
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
山賊A「お、おい。なんだよこれ……?」
山賊B「地震か?」
山賊A「おい、あれ見てみろ!」
山賊B「洞窟が揺れている!?」
山賊A「どうなってんだよ!?」
山賊B「封印された龍……?」
山賊A「はぁ? だってあれは地方に伝わるおとぎ話かなんかだろ? 子供を危ない目に合わせないとかそういう類の教訓じみた昔ながらのおとぎ話なんじゃないのかよ!」
山賊B「俺もそう思ってた、だけどこの揺れ、普通じゃない」
ギャォォォォオオオオオオオオオオオ!!!
山賊B「この声、ますます普通じゃないな……」フッ
山賊A「笑ってる場合か!」
山賊B「来るぞ!」
ドカァァァン
「誰だぁ? 俺の封印を解いてくれたのは? お礼にキスしてやりたい気分だ」ドスドスドス
山賊A「あわわわわわわわ!」
山賊B「あれが、龍……」
「おう? お前らか? 俺の封印を解いたのは? チッ、男かよ。つまんねぇなぁ」
山賊B「お前は何者だ?」
「なんだ? 最近の人間ってのは龍族に対しての口の利き方すらなってねぇのかよ、知らねぇのか? 名乗るときはまず自分からって常識」
山賊B「……名乗る程の名など無い。人様のものを勝手に頂戴して、その日をなんとか食いつないでるケチな山賊だ」
火竜「山賊ねぇ……俺は火竜。この地を任された龍だ」
山賊A「じゃ、じゃああのおとぎ話は本当だったのか!?」
火竜「おとぎ話ぃ? どういうことだ?」
山賊B「人々を苦しめる悪い龍を突然立ち寄った男が封印する……あんた、随分評判が悪かったんだな」
火竜「封印……そうだ、あの野郎はどこに行きやがった!!」
山賊B「伝説に出てくる男はお前を封印した後にどこかへ消えたよ。もう随分昔の話だ」
火竜「段々思い出してきやがった、 ああ、思い出しただけでもムカつくぜぇ!」ゴォ!
火竜「ムカつく、ムカつく、ムカつくぅ!! 殺してやる、俺に楯突くやつは全員許さねぇ!」バッ
山賊B「待て、火竜。どこへ行くつもりだ!」
火竜「俺は今、最高にムシャクシャしてるんだ、ストレス発散も兼ねて人間どもに誰がこの世界の支配者かを思い知らせてやるんだよ! そうだなぁ、手始めにあの村から灰にしてやるか」ニィ
山賊A「あそこって……お頭が行ってるところじゃねぇか! そんなことしたら……」
山賊B「待て、火竜。罪もない人間をお前の勝手で殺すというのか!」
火竜「ああん? 人間どもがどうなろうと俺の知ったこっちゃねぇ。あいつら人間は俺の気分を害した。その罪はなによりも重い。だから俺のストレス発散に付き合ってもらう。なにか間違ったこと言ってるか?」ニタァ
山賊A「伝説通りのクズ野郎だな」
火竜「お前ら、さっきから誰にそんななめた口利いてやがる? まずはお前らから殺してやろうか!」
山賊A「クソッ、どうする?」ボソ
山賊B「お前は逃げろ。逃げてお頭にこのことを伝えるんだ。俺が時間を稼ぐ」ボソ
山賊A「はぁ!? そんな真似できるかよ! 相手は龍だぞ? 絶対死ぬって!」
山賊B「どのみち2人がかりでも勝てる相手じゃない、お前は足が早いだろ?」
山賊A「カッコつけんなよ! お前は俺の友達だ、死んで欲しくなんかない!」
山賊B「カッコつけさせろよ、安心しろ、死ぬ気なんてこれっぽっちもない。ほら、早く行け! みんなを頼んだぞ」
山賊A「絶対死ぬなよ、約束だからな!」ダダダ
火竜「逃げるか! 人間!!」ゴォ
山賊B「逃げる? 冗談じゃねぇ、あんたの相手は俺一人で十分だ」ジャキッ
火竜「本気で言ってんのか? 人間が龍に勝てるわけねぇだろ!」
山賊B「俺さ、今はこんなところで山賊なんてことやってるけど、小さい頃は英雄になりたかったんだよ。あの魔王を倒した勇者のように、誰かを助けるために頑張る英雄ってやつに……!!」ググッ
火竜「小生意気な人間風情が……そんな剣一本でなにができるってんだ?」
山賊B「そうだなぁ……あんたを倒して、英雄になれる!」
火竜「ほほぅ、おもしれぇ、消し炭にしてやるよ!」
山賊B「いくぞ! うぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」
―――道中――――
受付「幼女ちゃーん! 待ちなさーい!」タッタッタ
幼女「………」ダダダダ
受付「はぁはぁ……最近運動不足だったせいかしら、辛いわ……さっきから地震とこの世のものとは思えない鳴き声が聞こえてきてるんだけど、まさかね? ……幼女ちゃん! 本当に危ないから止まりなさーい!!」
幼女「………ユーシャ」ダダダダダ
――――周辺の村―――――
勇者「よし、これで終了っと……」パンパン
村長「す、すごい……」
村娘「あんなにいた山賊団が……」
頭領「……ものの数分で全滅だと!」
勇者「ああ、殺してないから安心してね。まぁ、お頭さんの態度しだいでどうなるかわからないけどさ。どうする、一応戦っとく?」スチャ
頭領「……いや、戦わねぇ」
勇者「戦わないのか? 力が全てなんだろ?」
頭領「ああそうさ。この世は力が全てだ。だからこそ、俺は魔王がいなくなった世界でもこの古ぼけた考えでやってきた。だからこそ、お前さんに頼みがある」
勇者「聞く気はないけど一応言ってみろよ」
頭領「俺の首で、若いのの命は勘弁してくれねぇか」ザッ
勇者「………」
頭領「これも好き勝手やってきた罰だ。受け入れる。だけどよ、俺の勝手に付き合ってくれたやつらだけは勘弁してくれ。あいつらは悪くねぇ」
勇者「だけど、さっき村長さんを殺そうとしてたよな?」
頭領「それも俺の責任だ。だからどうか、どうか見逃してやってくれ」ザザッ
勇者「………困ったね」
ダダダダダダダダダ
山賊A「お頭! 大変です……ってなんですかこの状況」
頭領「お前! 見張りはどうした!?」
山賊A「そんなことどうだっていいんです! 洞窟から龍が……」
村長「もしや、封印されていた龍が目覚めたのか!?」
村娘「ええ!? あれってただのおとぎ話じゃなかったの?」
山賊A「急いで逃げてください、あいつ、手始めにこの村を焼き払うって!」
頭領「なんだと!」
勇者「すぐに逃げる準備を! 村の人も含めて避難しないと」
村長「村娘、皆に逃げる準備をさせるように、早急にじゃ」
村娘「わかりました」
頭領「おい、あいつはどうした? 姿が見えねぇじゃねぇか」
山賊A「それが、俺を逃がすために時間稼ぎを……」
勇者「1人で龍と戦ってるのか?」
山賊A「……はい」
頭領「あの馬鹿たれが……」
勇者「頭領、お前らのことは後で片付ける、今は非常事態だ。村の人とともに遠くへ逃げろ」
頭領「だが、俺の仲間を助けねぇと」
勇者「龍相手にお前らじゃ無茶だ。俺が行ってくる。案内してくれるか?」
山賊A「もちろんです、お頭、みんなを頼みます」
頭領「ああ」
勇者「行くぞ」タッタッタ
――――西の洞窟周辺―――――
火竜「ええい! ちょこまかとうざってぇ!!」ゴォォォォ
山賊B「そんなこと言わずに付き合えよ、急な運動は体に悪いんだぜ、火竜くん?」
火竜「馬鹿にしやがって! いいだろう、俺の真の力を見せてやる!」バサッ
山賊B「飛んだ!?」
火竜「これが龍のブレスだ……」コォォォォォォ
山賊B「これは正直、まずいよな……」
火竜「死にやがれぇぇぇぇ!!」
ゴォォォオオオオオオオオオオ!!!
山賊B「うわぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
火竜「ケッ、運のいいやつだ」
山賊B「嘘だろ? 森が一瞬にして、灰になっちまった」
火竜「だが、その運も続かねぇだろう? 俺様に逆らった罰だ、あの世で後悔しな」コォォォォォォ
山賊B「チッ、ここまでか……やっぱり俺は英雄になれねぇのかよ……」
火竜「死ねぇぇぇ!」
「させねぇよ!」ヒュン
火竜「なにぃ!?」
勇者「落ちやがれ!!」バシッ
火竜「グハァァァ!!」
ドシーン!
山賊B「あんたは……?」
勇者「うん? 通りすがりの税金暮らしニートです!」ビシッ
勇者「本日二度目!」
山賊B「もしかしてあんた、勇者か!?」
勇者「今はただのニートだよ。しかし、あんたよくあんなのを相手に時間稼ぎができたな」
山賊B「魔王を倒したあんたが、よく言うぜ」
火竜「魔王、今、魔王と言ったのか? 魔王を倒しただと?」
勇者「お陰で毎日、悠々自適に税金生活を送ることができてるよ!」
火竜「こいつはいい! あんな大口を叩いておきながら、あいつは人間に殺されたのか! はは! ざまぁねぇな!!」
山賊B「なんの話をしている?」
火竜「ああ、気にするな。こっちの話だ。さて、勇者とやら、お前も俺の邪魔をするのか?」
勇者「お前がおとなしくしてくれるならこちらからは危害を加えない。伝説にあった他の龍と同じように、人々と協力し合い、平和に過ごせ」
火竜「なぜ俺様が、あんな日和見主義の奴らと同じように人間どもに媚びへつらわねばならねぇんだ? あんなことをしておいて……… 冗談じゃねぇ!」
勇者「どうやら話し合いは通用しなそうだな……」
山賊B「おい、勇者、勝ち目はあるのかよ?」コソ
勇者「無い」コソ
山賊B「は?」
勇者「いやー、お宅さんのところの山賊相手だったら肉弾戦のみで勝てたんですけどねぇ……まさか、あんなレベルの方と闘っていらっしゃるなんて……いやー、予想外」アハハ
山賊B「おい、ちょっと待て、どういうことだ? 勝ち目がない? 本当なのか?」
勇者「わたくし、諸事情で魔法が使えなくなってしまいましてねぇ……はいぃ」
山賊B「魔法が、使えない……?」
勇者「はいぃ、諸事情で……どうしましょう?」
山賊B「どうしましょうじゃねぇだろ? あいつやる気まんまんだぞ!」
勇者「みたいですねぇ、脅せばなんとかなるかなぁと思ったんだけどねぇ……『勇者』のネームバリューって案外、こんなもんなんですね!」アッハッハッハッハ
山賊B「爽やかに諦めてんじゃねえ!」
勇者「まぁ、王国にいる魔法使いや、剣士が駆けつけてくれたら十分倒せると思いますよ?」
山賊B「思いますよって……」
勇者「なので私たちができることはぁ……」
山賊B「できることは?」
勇者「時間稼ぎ」
山賊B「結局それか」
勇者「それな」
山賊B「うるせぇよ、このガッカリニート」
勇者「俺にだって心があるんだよ?」
火竜「てめぇら、俺抜きでなにを盛り上がってやがる……」イライラ
山賊B「来るぞ!」
火竜「てめぇら全員、皆殺しだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
――――――――――
ドシーン!
ギャオォォォォォォォオオオオオオオ!!
山賊A「だ、大丈夫かな? あいつ。でも、俺じゃあ足でまといになるだけだって、あの人に言われちまったし……ちくしょう! 見てることしかできねぇのかよ!……ん?」
幼女「………」ドドドドドドド
山賊A「なんだぁ? 金色の毛玉がこっちに向かってくる? 女の子か?」
幼女「………」ドドドドドドド
山賊A「おい、お嬢ちゃん! こっから先は危険だ! 龍が大暴れしてるんだ! それ以上先に言ったら死んじまうぞ!」
幼女「………」ドドドドドド
山賊A「ダメだって、止まれ!」ガシッ
幼女「――!!」ジタバタ
山賊A「わがまま言うんじゃねぇ! 本当に死んじまうぞ!」
幼女「――!!!!!!!」ジタバタジタバタ
山賊A「こいつ、本当に子供か? なんつう力してんだよ!」
幼女「んんんぅぅぅぅぅううううううう!!! うん!!!」パッ
山賊A「うお! あ、こら、待て!」
幼女「ユーシャ……」ドドドドドド
山賊A「行っちまった……」
受付「待ってー、幼女ちゃーん!」
山賊A「おい、こっから先はダメだって!」
受付「あの! こっちに金髪の小さい女の子が来ませんでしたか?」ハァハァ
山賊A「あんた、あの子の保護者か?」
受付「来たんですか? どこに行ったかわかります?」
山賊A「あっちの方向に行った、ただ……」
受付「あっちですね、ありがとうございます」
山賊A「ダメだ!」
受付「どうしてですか? 早くみつけないと、迷子になっちゃいます」
山賊A「西の洞窟で龍が暴れている。俺もあの子を止めたんだが逃げられた。あっちは危険だ。あんたを行かせるわけにはいかない」
受付「そんな、龍が? 大変です! 早く呼び戻さないと!」ダダダ
山賊A「あぁ! ちょっと! まったく、人の話聞かない奴らばっかりじゃねぇか!」ダダダ
―――― ――――――
幼女「ユーシャ!! ………!!!」ビクゥ
火竜「うん? なんだぁ? お嬢ちゃん、誰か探しているのかい?」ニタァ
幼女「………」コクコク
火竜「よし、俺も協力してあげよう。誰を探しているんだい?」
幼女「ユーシャ……」キョロキョロ
火竜「そうかぁ、勇者という人を探しているのかぁ……困ったなぁ、俺、全然わからないよ」ニヤニヤ
幼女「………」オロオロ
火竜「あれぇ? そういえば、さっき俺、人間のお友達と遊んでたぞぅ? その人たちに聞いてみるかい?」
幼女「………」コクコク
火竜「ほら、楽しく遊びすぎて、そっちでおねんねしているぜぇ!!!!」
山賊B「………うぅぅ」ボロ
勇者「さすがに魔法を使わないで龍に勝つのは無理か……」ボロボロ
幼女「ユーシャ……? ユーシャ!!!」タタタタタ
幼女「ユーシャ! ユーシャ! ユーシャ! ユーシャ!」ユサユサ
勇者「ん? 幼女? お前なんでこんなところにいるんだよ!? 早く逃げろ! 死んじまうぞ!」
幼女「ユーシャ! ユーシャ!」ダキ
勇者「なにやってる、早く逃げろ!」
幼女「ユーシャぁ……」フルフル
勇者「クッソ! こんなことなら横着しないで、勇者時代の装備、ちゃんと装備しておくんだった……いいか、幼女。ここにいちゃ危ない。俺を置いてさっさと逃げるんだ。いいな?」
火竜「そうだぞぅ。今から俺は、俺に逆らった奴に制裁を加える。そこにいたらお嬢ちゃんまで消し炭になっちゃうぞぅ?」
幼女「………」キッ
火竜「なんだその目は? 人間は全て等しく嫌いだが、俺はそういう目をする人間はもっと嫌いだ。優先的に殺してやりたくなる」
勇者「やめろ、この子はまだ子供だぞ! 龍は子供をも手にかけるってのかよ!」
火竜「子供だろうがなんだろうが、そんなものは関係ない。何度も言ってるだろう? 俺に逆らう奴は皆、等しく殺すと」
勇者「幼女、逃げろ。頼むから逃げてくれ」
幼女「………」フルフル
火竜「ほぅ、勇者をかばい、俺の前に立つか。おもしれぇ、だったらまとめて殺してやるよ」コォォォォォ
勇者「幼女! ダメだ! 逃げろ!」
火竜「今度こそ完全に! 塵一つ残さず! 死ねぇぇぇぇぇええええ!!!」
幼女「ユーシャ」ニコッ
勇者「幼女ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!」
ゴォォォオオオオオオオオオオ!!!!
―――――???――――
幼女「……ぅん?」キョロキョロ
「やっほー♪ 幼女ちゃん!」
「目が覚めたみたいだね♪」
幼女「………」ビクゥ!
女「私は女! この空間を管理しているかわいいお姉さんだよ!」
男「僕は男! この空間でのんびりと過ごす、かっこいいお兄さんさ!」
幼女「………」シーン
男「固まってるな」ヒソ
女「掴みは失敗みたいね」ヒソ
幼女「ユーシャ……」キョロキョロ
女「……ユーシャはここにはいないよ」
男「お前は今、勇者達がいる世界とは別の世界にいる」
女「詳しいことはあまり説明できないんだけど、幼女ちゃんが凄いピンチ! っていうことだから、無理やりこっちに来てもらったの」
幼女「???」
女「ねぇ、幼女ちゃん。ユーシャを助けたい?」
幼女「!!!」コクコク
男「だったら、その体。俺に貸してみないか……ってグハァ!!」
女「させないっつーの! ったく、あんたはこっちが油断するとすぐそういうこと言う」
男「いいだろう? ずっとこの空間にいるとやることがないんだ! たまには刺激っていうものをね……」
女「ダメ! 私がそんなことさせません! あんたは大人しくそこでゴロゴロしてなさい!」
男「ああ、暇だ暇だ暇だ暇だー」ゴロゴロゴロゴロ
女「うるさいわねー、静かにしなさい!」
男「うーん………ここでおもむろにブリッジ!!」ビシッ
幼女「………」オオオ
女「………」ゲシッ
男「ああ、やめて! 無言で蹴らないで! ブリッジが! ブリッジが崩れるぅ……」プルプル
女「幼女ちゃん、あんな馬鹿放っておいて、話を先に進めましょう」
幼女「………」ジー
男「負けねぇぞ! なんたってこのブリッジの上には数千人がまだ取り残されているんだ!」プルプル
男(裏声)「いやー! たすけてー」 「ああん、落っこちちゃうわー」
女「………」スタスタ ドカッ バキッ
男「グハァ!! すまねぇ、みんな…… もう……限界……だ」ドシャ
幼女「………」アアア…
女「黙ってそこで死んでろ!」
幼女「………」トテトテ ダイジョウブ?
男「気遣ってくれるのかい? 君は優しい子なんだね……もう少し早く君に出会えたら、こんなことには……」ガクッ
女「よ、幼女ちゃん? ユーシャ、助けたくないの?」
幼女「!!!」フルフル
女「……あいつのせいで、無駄な時間使っちゃったわ。」
女「正直なところ、諸事情で私があなたに直接力を貸してあげることはできないの」
幼女「………」
女「私はあなたにあなたが持つ力の使い方をサポートし、あなたの覚悟を問うだけの存在………」
女「私は物語の書き手でも読み手でもない、盛り上がっている物語を一歩引いた目線で見下して、偉そうに意見を並べ、無責任に立ち去るだけのそんな自分勝手なアドバイザー……」
女「幼女ちゃん、あなたにはこれから辛い出来事がたくさんあると思うわ。しなくてもいい苦労がこれからたくさんあるのよ」
女「自分勝手な私は、あなたがここで勇者共々火竜の業火に焼かれて、消えて無くなってしまうのも間違いじゃないと思うのよ。でも……」
女「あなたにはその現実を超える力を持っている。ユーシャを救う力を持っている。幼女ちゃん、あなたはどうしたい?」
幼女「………ハン」プルプル
女「ん?」
幼女「……チャーハン……ユーシャ……」グス
幼女「……ユーシャ……スキー……!!!」グスグス
女「そうかぁ、幼女ちゃんはユーシャのことが大好きなんだね」
幼女「ユーシャ……」コクコク
女「うん、それだけで十分だよ。あなたはそれだけで辛い現実を乗り越えてゆける。お姉さん、応援するわ!」
幼女「!!!」ピョンピョン
女「頑張ってユーシャを助けましょう!」グッ
幼女「ユーシャ!」ビシッ
男「微力ながら某も力添えするでござる!」ガバァ
女「あら、まだ死んでなかったの?」
男「俺を誰だと思ってやがる……素敵で愉快なお兄さんだぞ? ……幼女、ちょっとこっちに来い」
幼女「………」トテトテ
男「目、瞑ってな」パァァァァァ
女「ちょっと! 幼女ちゃんになにする気?」
男「どうもしねぇよ、ただちょっとあちらさんを驚かせてやろうと思ってな……おし、もういいぞ」
女「幼女ちゃん、気持ち悪いとか、なんかイカ臭いとかない?」
男「んなわけねぇだろ!」
幼女「???」フルフル
女「そう…… もうそろそろ時間ね……行きなさい、幼女ちゃん。頑張ってね」
幼女「………」コクコク
男「お弁当持った? ハンカチとちり紙はある? 向こうについたら、ちゃんと連絡するのよ?」
女「お母さんか」ビシ
男「あふん」
幼女「………」バイバーイ
女「……幼女ちゃん!」ダキッ
幼女「……!!」
女「………こんなことにあなたを巻き込んでしまってごめんなさい……」ボソ
幼女「???」
女「それじゃあね、元気で」スッ
幼女「………」コクコク
女「忘れないで、私は、いつもあなたを見守っているから……」
――――――――――
山賊B「……うん? 俺は確か、火竜のブレスに焼かれて……どうなったんだ?
火竜「どういうことだ!? なぜお前がそんな力をもっている!?」
山賊B「あれは……? 金髪の女の子? なんで光ってるんだ?」
勇者「幼女? 幼女、お前がやったのか?」
幼女「………」ゴゴゴゴゴ
火竜「それにそのお前が纏っている光、これじゃあまるで……」
幼女「!!!」カッ
ドゴォォォォォォォォン
火竜「なにぃ!!」サッ
火竜「危ねぇ……ちょっと待て! なぜお前が龍族のブレスを撃つことができる!?」
勇者「あれって龍族のブレスだったのか……どうりでであんなデタラメな威力が出るわけだ……」
火竜「その身に纏っている光、そしてあのブレス……そんなものを扱えるのは龍族でもただ一人だけ……いや、そんなのあり得ねぇ! あの方は死んだんだ! 俺の目の前で!」
勇者「火竜! お前はこの子について、なにか知っているのか?」
火竜「うるせぇ! お前らはいつだってそうだ! 俺の邪魔ばっかしやがって! ムカつくぜ、ムカつく、ムカつく!!」ギャォォォ!!
火竜「あのお方は死んだんだ! 俺は確かにこの目で見た!」
山賊B「勇者、火竜はなにを言っているんだ」
勇者「わからん、ただなにか知っているみたいだ」
火竜「その光を真似するのはやめろ! あのお方を愚弄するのはやめろ! やめやがれぇぇぇ!」コォォォ
勇者「まずい! デカイのがくるぞ!」
山賊B「といっても俺は動けないんだけどな……」
幼女「………ユーシャ」クルッ
勇者「幼女……? お前、その目の色……」
幼女「……大丈夫、肉体が消えてなくなったってユーシャも幼女ちゃんも私が死なせないから……」
勇者「え? お、お前……」
幼女「……ユーシャ! スキー!!!!」スッ
火竜「死ねぇぇぇぇぇえええええ!!」カッ
幼女「!!!!」カッ
ドゴォォォォォォォォン
――――――――
受付「な、なんですか! さっきからこの世の終わりみたいな音は!」
山賊A「だから! あっちの方で龍が暴れてるって言ってるだろ!」
受付「幼女ちゃん! 幼女ちゃんはどこですかー!」
山賊A「危ないから、これ以上はダメだって!」
受付「なに言ってるんですか! 私の命より幼女ちゃんの命に決まっているでしょうが!」
山賊A「だったらしっかりリードでも着けておけよ!」
受付「あなた、いくら初対面だからと言ったって幼女ちゃんを馬鹿にするなら殺しますよ!」
山賊A「こ、殺す!?」
受付「それにリードをつけた犬耳ルックの幼女ちゃんなんて……」ポワポワポワ
幼女「………」ワン!
山賊A「おい、鼻血! 鼻血ぃ!!」
受付「………ハッ! 一瞬三途の川が見えた」
山賊A「大丈夫か、あんた……」
受付「ん? あっちに幼女ちゃんの匂いがするわ! さっさと行きますよ! ついてきなさい!」ダッシュ
山賊A「だからそっちは危ないんだって! 話聞けよ!」
受付「幼女ちゃぁぁぁぁぁんんんん!! ここねぇぇぇぇぇ!!」ガサガサ
山賊B「………」チミドロ
受付「ぎぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ! 血みどろお化けぇ!」
山賊A「なんだ? 何があった!?……ってこれは」
山賊B「終わったんだよ」
山賊A「お前! よかった……生きてたんだな! 嬉しいぞ、兄弟ぃ!」ダキッ
山賊B「くっつくな! こっちは体中あちこち傷だらけなんだよ!」
山賊A「おお、わりぃ、すぐに回復魔法かけてやるからな……それで、終わったって?」ポワァ
山賊B「あの子が火竜を倒したんだ、まぁ正確には火竜の片翼を『消し飛ばした』っていうのが正しいのか」
山賊A「だ、誰が、なんだって?」
山賊B「あそこの金髪幼女が、謎の光を纏いながら、謎の光線を放って、きれいに火竜の翼の片方を消し飛ばしました。それで戦意をくじかれた火竜はもう片方の翼でどこか遠くに飛んでいきました」
山賊A「お前ってそんな冗談言うタイプだったか?」
山賊B「俺だって未だに信じられない」
受付「幼女ちゃん!? 幼女ちゃんはどこですか!?」
山賊B「あぁ、あそこで勇者に抱きついてる」
受付「なんですって! 幼女ちゃぁぁぁぁぁん!」
幼女「ユーシャ………」ダキッ
勇者「幼女、ありがとな。命拾いした」
幼女「………」フルフル
勇者「そうだ! お礼に今日の夕飯はチャーハン作ってやる」
幼女「チャーハン!!」ピョンピョン
勇者「そうか、嬉しいか?」
幼女「♪♪♪」
勇者「はは、あんまりはしゃぐなよ?」
幼女「……!!」ゴソゴソ
勇者「ん? なんだ? 幼女?」
幼女「ユーシャ!」アゲル
勇者「これって……折り紙で折った、花?」
幼女「………」コクコク
勇者「くれるのか?」
幼女「!!!」コクコク
勇者「ありがとな、幼女。大切にする」
受付「なにを親子で円満な時間を築いてやがるんですか! このダメ勇者ぁ!!」ゲシ
勇者「痛ッ! あんた……来てたのか」
受付「来てたのかじゃねぇですよ! なんですかその傷は! 幼女ちゃんまで危険な目に会わせて……元勇者ならねぇ! 龍の一匹や二匹、なんとかしてくださいよ!」
勇者「無茶言うなって……」
受付「自堕落な生活を送っていた罰ですね! これを機に働いたらどうですか?」
勇者「それは嫌です」
受付「頑なですね」
勇者「俺には守らなきゃならない一線があるんです! それに……」ジッ
幼女「……?」
勇者「色々と知っておかなきゃな、って」ナデナデ
幼女「///」テレテレ
受付「なに、幼女ちゃんにナデナデしてるんですかぁ! ……ハッ! まさかついに禁断の領域に踏み込んじゃったんですか、勇者様!」
勇者「そんなんじゃないっての!」
ギャーギャー
山賊A「なんか、ああいうのいいよな」
山賊B「どうしたんだ? いきなり」
山賊A「なんか言葉では上手く言い表せないけど、なんか暖かいって気がする」
山賊B「……まぁ、わからんでもないな」
山賊A「俺、足洗おうかな……」
山賊B「いいんじゃないか? 昔から思ってたが、お前向いてねぇよ、山賊なんて」
山賊A「なっ! そこまではっきり言うか!? 俺の口から言わせればなぁ、お前の方がよっぽど向いてないからな!」
山賊B「なんでだよ、俺は上手くやってる方だろ?」
山賊A「お前みたいな誰かのために自分を犠牲にできる奴が悪の道なんてこれっぽっちも似合わねぇよ」
山賊B「じゃあ、なにが似合うって言うんだよ?」
山賊A「お前には英雄がお似合いだ」
山賊B「……なっ/// 聞いてたのか? あの時!」
山賊A「いいんじゃないの? 英雄! 俺は似合ってると思うぜ!」
山賊B「う、うるせぇ!」
山賊A「だって、お前はその力で俺を、そして山賊団のみんなや村の人たちを守ってくれたじゃねぇか。それってお前だからできたんだよ」
山賊B「お前……」
山賊A「俺にとって、あの時のお前はまさしく英雄だった! だから、もうなっちまえよ! みんなを助ける、英雄って奴に!」ニカッ
山賊B「……なにカッコいいこと言ってんだよ……」
山賊A「カッコよかった? 俺今カッコよかった?」
山賊B「くそ、なんかムカつく!」
山賊A「へへ…… めでたしめでたしってやつ?」
山賊B「………」フゥ
山賊B「違ぇねえ」フッ
――――1ヶ月後 役所――――
受付「あれでエンディングだと思った? 残念! 受付ちゃんでしたぁ!」
勇者「急になにを言い出すんですか? あなたは……」
受付「いや、一度でいいからこの台詞言ってみたくてですね……」
勇者「よくわからないですけど」
受付「ああ、あんまり気にしないでください。それでですね、支給金の件なんですけど、今月もこれくらい支給されます☆」
勇者「ありがとうございます!」
受付「ちなみに幼女ちゃんが毎日来てくれたら私のポケットマネーから上乗せします」
勇者「えー、めんどくさい」
受付「それじゃあ、マイナス5万……」
勇者「できる限り善処させていただきます!」
受付「よろしい」
勇者「でも、今日であの事件から1ヶ月ですか……早いですね」
受付「その後の幼女ちゃんはどうですか?」
勇者「変わらず元気ですよ、まぁ、あの時みたいに金色には光りませんけど」
受付「それにしても未だに信じられません、あの幼女ちゃんが龍を倒しちゃうなんて……」
勇者「しかも龍族のブレスですからね……魔法使いはなにを考えてあいつを作ったのか……」
受付「まぁ、でもとにかく! 山賊の件も片付いたし、幼女ちゃんもかわいいし! よかったじゃないですか」
勇者「そうだ、山賊の件ってどうなりました? なんかあの後うやむやになっちゃいましたけど……」
受付「ああ、山賊達はですね、結果的に誰も殺していなかったとはいえ、近隣の住民に多大な迷惑と怪我を負わせたということでですね、向こう10年牢獄に入れられることに……」
勇者「そ、そうですか……」
「お客様、お茶をどうぞ」
勇者「あ、ありがとうございます……ってあんた」
元頭領「お世話になってます、勇者の兄貴」
受付「なってたんですが、もったいなかったんで私の方から無理言ってここで働いてもらうことになりましたー☆」
勇者「あんた、むちゃくちゃだな!!」
受付「あ、お頭さん、私の机に置いてある明日中に提出しなきゃいけない資料、代わりにやっといてもらえますか?」
元頭領「わかりました姉御! おいてめぇら! 姉御から直々のお達しだ! 気合入れてとりかかりやがれぇ!」
元山賊達「「「ガッテンだ! お頭ぁ!!!」」」
元頭領「バカ野郎! ここではそんな汚ぇ言葉使うんじゃねぇ! 『かしこまりました』と言え!」
元山賊達「「「かしこまりました!」」」
受付「お陰で定時で帰れるようになりました☆」
勇者「あんた何者なんだよ……」
受付「ただのしがない役所の受付嬢ですよ?」
勇者「………あんまり考えないようにします」
受付「その方がいいかもしれません」
勇者「はぁ……そろそろ帰ります、幼女を待たせてるんで」
受付「え!? 幼女ちゃん来てるんですか? どうして会わせてくれないんですか!?」
勇者「あいつに合わせると手続きそっちのけで幼女に付きっきりになるからですよ」
受付「どこですか? どこに幼女ちゃんがいるんですか!?」
勇者「それじゃあ、なにかあったらまた来ます」スタスタ
「あー! どこにいるの幼女ちゃん!?」「姉御、この資料について聞きたいことが……」「邪魔しないで! 殺しますよ!?」「か、勘弁してくだせぇ!」
勇者「幼女!」
幼女「ユーシャ!」トテトテ ダキッ
勇者「待たせて悪かったな、寒かったろ?」
幼女「………」フルフル
勇者「じゃあ、帰るか!」
幼女「………」スッ
勇者「? ああ、わかったわかった」ギュ
幼女「♪♪♪」
勇者「幼女、今日の夕飯はなにが食べたい?」
幼女「チャーハン!!」
勇者「お前、そればっかりだな……わかったよ、今日はチャーハンにしような」
幼女「♪♪♪」
勇者「魔導人形?」幼女「ユーシャ!」 終わり
魔法使い「なにか食べたいものはあるかの?」幼女「チャーハン!」に続く
以上です、ありがとうございました
初めての投稿で色々と戸惑うこともありましたが、なんとか終わることができました
あまりにも大風呂敷を広げすぎたため、今回のお話では色々と回収できていません、続編もできることなら作っていきたいと考えているのでこのような形で終わらせました
最後に、ここまで付き合ってくださた方々、ありがとうございました、感想等ありましたら書き込んでいただけると嬉しいです、ありがとうございました。
予告編
魔法使い「久しぶりじゃの、 勇者。息災でなによりじゃ」
勇者「じゃあ、幼女はなんであんなことができるんだよ?」
受付「うるさいんですよ! 私と幼女ちゃんの逢瀬を邪魔する奴は例え親でも、王様でも死んでもらいます!」
メイド「あなた達、我が主のためにその身を捧げてくれますか?」
剣士「英霊祭か……あまり気分のいいものではないな……」
男「……おもむろに一人ピラミッド!!」ビシッ
女「あんた寂しいわね……」
火竜「俺は知っている……あの小娘と同じ色の光を纏ったあのお方を……俺の全てだったあのお方を……その名は……」
幼女「ユーシャ………」
魔法使い「なにか食べたいものはあるかの?」幼女「チャーハン!!」
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