あやめ「クリスマスと言えば忍者です」みく「……うん?」 (13)


みく「は? 何にゃ?」

あやめ「ですから、クリスマスと言えば忍者ですよね」

みく「ごめんあやめチャン、それはみく、ちょっとわかんないにゃあ」

あやめ「聞けばサンタクロースとは、煙突から屋内に潜入し、誰にも気付かれること無く置き土産を残すそうな……」

みく「言い方がおかしいと思うにゃ。その言い方は語弊があるよ」

あやめ「雪に足音を隠し、影のように任務を遂行する技……名は轟けど、その正体は誰も知らないと来ました」

みく「正体知ってる人、結構いると思うんだけどにゃあ。サンタさん、結構身近にいると思うんだけどにゃあ」

あやめ「なんと! では前川殿は、サンタクロースの正体を掴んでいるのですか!」

みく「いや……うん、その……なんというか……まあ、そうなる、かな……」



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あやめ「なんと……流石ですね前川殿……猫の動きから技を得た忍ドルだけはあります……」

みく「みく、忍ドルになった覚えはないんだけど……ん? ていうかあやめチャン、サンタさんの正体知らないのかにゃ?」

あやめ「はい、恥ずかしながら。 と言うのもわたくし、クリスマスにサンタクロースからプレゼントを受け取ったことが有りませぬ故」

みく「にゃにゃ!? ホントかにゃ!?」

あやめ「ええ……ふふっ…恐らく、わたくしの殺気に恐れを為したのでしょうね」

みく「え、えぇー……なんでそんなに楽しそうなの……」

あやめ「それは勿論、わたくしの殺気がサンタクロースほどの剛の者にも通用したからに他なりません」

みく「あやめチャンの中のサンタ像はどうなってるの。忍者なの?忍者なのかにゃ?」

あやめ「え? 忍者でしょう?」

みく「あー……うん……またそれは、なんでそう思っちゃったのかにゃあ……」


あやめ「実はですね、前川殿。きちんと証拠があるのです」

みく「その返しは予想してなかったにゃ……まさか有るとは思わなかったよ、証拠」

あやめ「これから話すことは、くれぐれも内密にしていただきたい……」

みく「そ、そんなに凄まれても……。にゃんだかにゃあ…みくとあやめチャン、話題への温度差が激しい気がするにゃあ……」

あやめ「これは昨年のクリスマス……つまり12月25日の早朝のことです。わたくしは修行のため、6時30分に設定した目覚ましで目を覚ましました」

みく「わりと普通の時間……っていうかそれ、休日の午前レッスンに合わせて起きたんじゃ……」

あやめ「目を覚ました部屋には、いつも通りの光景が広がっていましたが……ただ一か所、枕元に見覚えの無い物が……」

みく「………あれ? 普通のクリスマスだにゃ。ちなみに、その身覚えの無い物って?」

あやめ「これです」

みく「……………あー…大体、理解できたにゃ」

あやめ「身覚えの無い八方手裏剣……恐らく、サンタクロースは甲賀の手の者……わたくしの命をねらっていたのでしょう、フフッ」


あやめ「しかし、わたくしは睡眠中にも関わらずこれを躱して見せたのです。柔よく剛を制す、戦わずして敵を退けるとは……自分が恐ろしい、フフフッ」

みく「まあ……楽しそうだし、別にいいかにゃあ」

あやめ「どうですか? サンタクロースが忍であると、これで納得いただけたことかと」

みく「服装がすこぶる派手なことと、ソリで空を飛ぶという目立つ移動手段を重用していることに目を瞑れば、忍と言って言えないことも無いかにゃあ……」

あやめ「ですよね!やはり、サンタは忍者です! これはもはや、前川殿とて私の意見を否定することは出来まい!」

みく「あやめチャンはかわいいにゃあ……。仕方ないからね、みくは自分を曲げるよ。あやめチャンの熱意に免じて」

あやめ「勿体無きお言葉。では、これで結論が出ましたね。クリスマスと言えば忍者です」

みく「クリスマスと言えば忍者だにゃあ」

あやめ「では参りましょう!クリスマスライブは忍者一色!これで決まりです!」

みく「それはダメにゃ」



おしまい

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