春香「天海ブリリアントパーク!」 (141)

アイマス×甘ブリのクロスですが
甘ブリを知らなくても全然大丈夫です。

というか甘ブリ要素ほとんどありません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418463140

ここは東京の外れに位置する、『天海ブリリアントパーク』

言わずもがな、れっきとしたテーマパークである。

二年前、アイドル事務所の社長が閉園した遊園地を再建したが、閑散とした日々が続いている。

つまりは客が来ない。

そんなワケありの天海ブリリアントパークは当然のごとく、閉園の危機に迫られていた..............

天海春香「はぁ~..............」

星井美希「どうしたの春香、最近元気ないよ?」

春香「美希~、私が悩んでる理由わかるでしょ~」

美希「ゲストが来ないから?そんなの最初っからなの。今更悩んでも仕方ないって思うな」

春香「でもゲストが来なかったら閉園しちゃうんだよ?」

美希「それはそれでいいの。そしたらミキ、ずっと寝てるの」

春香「美希...........................」

春香「今更かぁ~.........」


天海春香、この天海ブリリアントパークの支配人を務める高校生。
アイドルを目指すも鳴かず飛ばずで、そのままパークの支配人となる。
しかしアイドルを諦めたわけではない。


美希「いい天気なのにだーれも来ないの」


星井美希、このパークのキャストであり、清掃員でもある。
しかし勤務中に寝てしまうため、春香に世話を焼かせている。
こちらもアイドルを諦めたわけではない。


美希「ふぁ~........あふぅ。ミキなんだか眠くなってきちゃったの。おやすみー」パタ

春香「えぇ!?美希!」

高木順一朗「どうかね音無君、今日の来場者数は」

音無小鳥「1人です.............」

高木「..........................」

高木「もぅマヂ無理。。。閉園しょ。。。」

小鳥「社長!諦めないでください!」

高木「これじゃあ閉園するしかない!」


高木順一朗。アイドル事務所765PROの社長であり、天海ブリリアントパーク代表取締役社長。
従業員を増やそうとするも中々うまくいかない。手品が好き。
人を喜ばせたいという想いとアイドルの宣伝の理由で、パークを再建。


小鳥「いい策は必ずあるハズです!」


音無小鳥。765PROの事務員を務めていたが、パーク再建後、受付・アナウンス係を担当している。
2X歳独身であり、結婚について目をギラギラさせている。
妄想癖あり。

訂正。
すいません>>9は高木順二朗です。

高木「前のパークの再建のおかげで無駄なお金は使わなかったにしても、ゲストが全くは来ない...........
天海君と星井君に任せてしまっている事にも心が痛む.........私も頑張ってはいるんだがねぇ....」

小鳥「やっぱり高校生が支配人というのは無理がありますよ」

高木「わかってはいたんだがね........しかし、私も若い子がどんな物を好み楽しむかわからんのだよ。
やはり代役を探した方がいいかね.........」

小鳥「............それにこのパーク自体、他のテーマパークと変わってますからね」

高木「変わってるにも何も、非常に信じがたい現象が起こっているからね......」

小鳥「どうすればいいんでしょうか........」

.....................................




男「.............................」

男「あ~...........また落ちたぁ~........チキショウ!」

男「刺身に菊を入れる仕事で不採用って...........どうすりゃいいんだよ!」

男「働きたくないけど.....親も周りもうるさいしなー...........」

ヒュゥゥゥゥ..........

バサバサッ

男「ん?なんだ......?」

男「チラシか」ヒョイ

男「『天海ブリリアントパーク』.........そういや、遊園地が新しくなったって言ってたな.........一度も行ってなかった」

男「.............気分転換に行ってみるか、ここから近いし。ジェットコースターにでも乗れば何もかも忘れるだろう」

トボトボ...............

男「ここが天海ブリリアントパーク.........結構デカイな」

男「............人いないけど、やってるのか?」




@受付

小鳥「何この独身イジメの記事!」

小鳥「『20はピーク、30ピンチ、40過ぎたら早く逝け』って!」

小鳥「あんまりだわ!」ガチガチガチガチ

男「あのー」

小鳥「.....ま、カップルはカップルで好きにしてればいいわ。しかしだ!私の前でイチャコラするなら我ら独身は
迷うことなくカップルの主要な都市にばぁくだん攻勢を開始するだろう!」

男「あ、あの~..............」

小鳥「週にひとつ...........えっ」

男「い..........一枚ください........」

小鳥「」

男「.........7650円は高いよな~......買うものもないし、まあいっか」

男「................受付の人、美人だったな~」

男「人がいないな......大丈夫か、このパーク」

男「.............ていうかアトラクションがねぇ!どういうことだ!?」




春香「.............!」

春香「ミキ!ゲストの人だよ!」

美希「ん~............むにゃむにゃ.........」

男「アトラクション............馬鹿には見えないとか......えっ」

春香「ようこそ!」

男「うぉ!?」

春香 ニコニコ

男「(キャストの人か.........とその隣で寝てる子もか.......?)」

男「すいません、あの......アトラクションって....」

春香「はい!コチラになります!」

春香「ホラ!行くよ美希!」

美希「はい.........なの~....」ズルズル

男「.........................」

男「え...............二つだけ?」

春香「はい............」

美希 スピー スピー

男「7650円で....ふたつだけ!?」

春香「はい..................」

男「(本来ならここで怒ってたけど、こんな高校生の子に怒れないよな.....ましてや女の子に)」

春香「ごめんなさい...........グスッ..........」

男「うわぁ!泣かないで!大丈夫だから!」アセアセ

春香「うぅ..............」

男「と、とりあえずアトラクションの紹介をしてくれるかな.........?」

春香「はい...........」

小鳥「社長!ゲストが一人入りましたよ!」

高木「おぉ!子供かね?」

小鳥「いえ、男性で大人の方です」

高木「大人の.......しかも男性.........実に興味深い」

小鳥「え?」

高木「見に行こう音無くん!」

小鳥「え、ちょ社長!私受付!」

高木「待ってても来やしないよ!ほら!」

小鳥「えぇ!?」

春香「これが『ジェラシー・オブ・ザ・サン』です!」

http://i.imgur.com/zTEEHtq.png

男「大きいね」

春香「はいっ!それでは中にどうぞ!」

春香「美希は掃除でもしててね」

美希「はいなの~..................」

男「.........................」

男「へぇ~..........中も結構シッカリしてるんだね。照明も水も..........水?」

春香「スプラッシュ系のアトラクションです!」

男「なるほどね」

春香「では、こちらのボートにどうぞ!」

男「(6人席に1人か...........初めてだな)」

男「よいしょ」ガタン

ゴウン

男「おぉ、動いた」

春香「それでは行ってらっしゃ~い」フリフリ

ゴウン ゴウン チャプ チャプ

男「ほぉ~...........中も普通に本格的だな。一つ一つ細かく作られてる」

『 天海ブリリアントパークへようこそ! 』

男「(おっ、さっきの子の声だ)」

『天海といえば海!皆さん、海は好きですか?』

男「い、いえ~い」

『えへへ、私も大好きです!だってキレイですからね!』

『そんなキレイな海に似合うのはズバリ人魚!』

男「あ、このボート人魚なのか。...........人魚が喋ってるのね」チャプ チャプ

『輝く太陽!輝く海!輝く人魚!』

『追いかけて 逃げるふり~をして そっと潜る私マーメイ♪』

男「可愛い歌声だな」

『でも皆さん、こんな怖い話を知っていますか?』

男「お?」

『水をかけると増えてしまう春香さんを!』

男「(そういう設定キャラもいるんだな)」

『しかし最近の研究によると、春香さんは海水に浸かると巨大化してしまうのです!』

男「水で増殖、海水で巨大化.........細かい設定だな」

『なので春香さんはとっても恐ろしい.......』

ドォォォン!

『キャア!』

男「うわ!?なんだ!?」ゴウン ゴウン

『あぁー!皆さん!後ろを見てください!』

男「えっ?」クルッ

巨大春香さん「カッカアアア――」プカプカ

男「」

巨大春香さん「カッカアアアアアアア」ジャバジャバ

『巨大春香さんが追ってきますよ!逃げましょう!』

ゴウンゴウンゴウンゴウン!!!

男「うぉぉぉぉぉぉ!?」

巨大春香さん「ハルカッカアアアアアア!!」ザブーンザブーン

男「はえぇぇぇぇぇぇ!!春香さんもボートもはえぇぇぇ!!」

『しっかり掴まっててください!春香さんに追いつかれますよ!』

男「アレ作り物だよね!?スゴイリアルなんだけどォォ!?3D映像とかだよねぇ!?」

男「最近の3Dはスゴいなァァァ!アァーーーハッハハハハwwwwwww」

巨大春香さん ザブーン!ザブーン!

男「速いぃぃぃぃぃぃぃ!!」

『あっ!洞窟の出口が見えてきました!一気に出ますよ!』

男「オオオオオオオオオ――ッ!」

ビュゥゥゥン!

水 バッシャァァァァ!!

『ふ~.....なんとか逃げ切ったみたいですね!』

『海には危険なものがたくさん潜んでいます!海水浴の際には十分気を付けてくださいね!』

『それでは良い旅をさよ~なら~』




男「楽し..........かった.........」ガクッ

http://i.imgur.com/k3iXSuy.png

【 ジェラシー・オブ・ザ・サン 】

天海春香本人のアナウンスと共に喋るマーメイド型のボートに乗り、
海水で巨大化した春香さんから逃げるスプラッシュ系アトラクション。
思ったよりスピードが出るので結構濡れる。ちなみにこのアトラクションの水は近くの海から引いている。
普通の水では春香さんが大量発生して逆に厄介になる。
ちなみに春香さんが本物の生物かどうかはまだわからない。
パフォーマンス時間は7分程度。

集客―A 時間―B 演出―B 設定―B

春香「どうでしたか?」

男「意外と...ハァハァ........楽しかったよ........スリル....満点で.....ハァハァ.......」

春香「良かったです♪」

男「でもあの春香さん、だっけ?アレ凄いリアルだったね..........もしかして本物?」

春香「次は美希のアトラクションに行きましょう!」

男「ちょ」

高木「お、あの人だね」

小鳥「はい」

高木「うんむむむむ...........!」

小鳥「どうしたんですか社長?」

高木「ティーーーーンときたぁ!」

小鳥「え?」

美希「これがミキのアトラクションなの」

http://i.imgur.com/3pYtG29.png

男「『ふるふるフューチャー☆』..........か」

美希「じゃあ入るの」



ガチャ キィィィ



男「(中はシアター形式か.........映像見ながら椅子が揺れたりするやつだな)」

美希「適当に座ってなの」

男「はい」

美希「やっぱりこの時間は眠いの..........」ゴシゴシ

男「(..........しかし眠そうな........やる気のないキャストは客に嫌わ)」

美希「みんなー!こんにちはなのー!」

男「」

美希「む~、ゲストはひとりだけだけどちゃんと返してほしいなっ」

男「あっ.....え、こんにちは....」

美希「うんうん!挨拶はいいことなの!」

男「(スゴイなこの子........さっきまで眠そうにしてたのに.......)」

美希「自己紹介が遅れたの!ミキの名前は星井美希、おにぎりと昼寝が大好きなの!」

男「(星井、美希ちゃん........やる時はやる子なんだね)」

美希「ミキね、いーっつも寝てるから、いーっぱい夢を見るんだ!」

美希「それでね?ミキが今まで見た、不思議な夢をみんなに体験してほしいの!」

男「(夢のアトラクション.......)」

美希「どの夢が見たい?じゃあそこの人!」

男「............あぁ!俺か!えっと........モニターに映っているのは........」

①きゅんっ!ヴァンパイアガール
②マリオネットの心
③涙のハリケーン
④ショッキングな彼
⑤???

男「⑤って何かな?」

美希「それはまだ開発中なの!アハ☆」

男「そ、そっか..........」

男「じゃ、じゃあ②の『マリオネットの心』で」

美希「了解なの!それじゃあ夢の中へごあんな~い」



ポワワワワワ



―マリオネットの心―



美希「う~ん.........ここ暗いの~、どこ~?」

男「(俺があの星井美希ちゃんの夢の目線か........それをアフレコするのがあの子の役割....)」


ヒタ...........ヒタ...........


美希「後ろに誰かいるの?」クルッ

美希「..................何もいないの......」

男「(うん、リアルだ)」


ヒタ.......ヒタ.............


美希 クルッ

男「.......................」

美希「う~ん...............」


ヒタヒタ.........ヒタヒタ.............


美希「やっぱり何かいるの!」クルッ

人形「バァッ」

男「こえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

美希「は、走るの!」

ダッダッダ!

男「あぁ!イスが!揺れる!」ガタ ガタ ガタ

男「(さっきのはマジでビックリした......)」ドキドキ

美希「道が別れてるの!そこの人!どっちに行く?」

男「え!?あ、右!」

美希「右に行くの!」

ダッダッダ!

男「(な、なるほど!ゲスト参加型ってコトか!)」

美希「右に行ったらおにぎり見つけたの!」

男「こ、効果は!?」

美希「ないの」

男「ないのー!?」

美希「まだ走るの!」

男「ハァハァ.........」

男「(これはアトラクションなんだ..........ただの映像だ......)」

美希「まだ来てるかな!?」

クルッ

人形「マリオネッツ!」

男「ぎゃああああああああああ!!!!」

http://i.imgur.com/nslaqF1.png

【 ふるふるフューチャー☆ 】

星井美希が見たという夢①~⑤の中から指名されたゲストが選択する。
またパフォーマンス中に選択肢を選ばせるゲスト参加型アトラクションである。
夢の詳細は以下の通りである。

①きゅんっ!ヴァンパイアガール
己がヴァンパイアとなり、人間の血を吸っていく物語。
空を飛ぶシーンで、向かい風の演出がある。

②マリオネットの心
暗い屋敷に迷い込んだ美希が人形たちに追いかけられる物語。
道中におにぎり、いちごババロア、キャラメルマキアートがあるも、役には立たない。
マジで怖い映像が流れるため、幼い子にはトラウマになる。
超低確率で、ヒムロマリオネットとホテイマリオネットが出てくる。

③涙のハリケーン
ただただ美希がハリケーンから逃れる物語。
ヴァンパイアガールより強い風の演出、猛烈に揺れる椅子で、大多数のゲストのケツが終わる。

④ショッキングな彼
彼とゾンビ映画を見ていたら、彼がゾンビ化して踊り出す物語。
習った覚えもないのにゲスト全員が映像につられて踊るだけで、演出は特になし。

⑤???
再建当時から⑤の詳細は明かされていない。
これはパーク全員にもわからない。難点なのが、⑤を消せないこと。

本日はここまで

ありがとうございました

男「マジで怖かった...............」

美希「でも楽しんでたよね?」

男「う、うん......怖かったけど、それなりに面白かったし」

美希「ならいいの!」

春香「良かったです!」

男「.......................あの」

男「本当に、アトラクションは二つしかないの?」

春香「はい............」

男「でも、こんな広い所に二つだけなんて...........」

高木「それについては私が説明しよう」

春香「社長!」

男「(社長?........このパークのか.............?)」

高木「いやぁ、このパークに遊びに来る人はいないに等しいからねぇ、
どんなゲストの方が遊びに来てるのか気になって見に来てしまったよ」

男「は、はぁ................」

男「(本当に人がいないんだな..............)」

小鳥「もう社長!全部ほったらかして!」

男「あっ、さっきの...............」

高木「聞きたいことが.........あるんだね」

男「ま、まぁそんな真面目なアレでもないですけど............」

男「ただ..........アトラクションがどうして二つだけなのかと......」

高木「.............................」

高木「この、天海ブリリアントパークの再建時にはもっとアトラクションが多くあった」

男「!」

高木「私だって、パークには多くのアトラクションが必要だと考えていた。一般人だからね、考えることは同じだよ」

高木「以前使用していたアトラクションを新しくしたんだ。コスト削減のためにね」

高木「........しかし完成した翌日、アトラクションが全て消えたのだよ」

男「な...........なに言って」

春香「.........................」

美希「.........................」

小鳥「.........................」

男「(ほ、本当なのか?)」

男「いや、でもそんな話」

美希「あるの」

男「え.......................」

美希「あーんなにいっぱいあったのにね、次の日にはぜーんぶなくなっちゃったの」

美希「キレイさっぱり。ミキ、夢でも見てたのかなーって」

男「..........................」

美希「でね?なーんにもなくなった後に、あの二つが出てきたの」

男「あの二つって..............アレ?」

美希「そうなの!もう地面からズゴゴゴー!って」

男「................................」

小鳥「私達も信じられませんでした..........そんなワケないって」

春香「でも........どう思い返しても、真実なんです!」

高木「私は、二つのアトラクションを見て思った。その人にあったアトラクションが生まれるのだと。
しかしそれは違かったんだ。ある子を雇ったんだがね、何も反応がなかった。........つまりこのパークは」

美希「『人を選ぶ』の」

高木「おぉっと美希君、それを言いたかったのに!まいったなぁ、ハハハハ」

美希「アハッ☆」

男「人を...............選ぶ」

男「(信じられない............けど.......)」

男「(この人達は嘘をついていない、それだけはわかる)」

男「...............信じられないですけど、本当なんですね?」

高木「あぁ......................」

男「..............それともう一つ聞きたいんです」

男「なんで、あんな面白いアトラクションがあるのに客がいないんですか?お金が高いから?」

高木「..................キミ、前のパークの事件を知っているかね?」

男「え、えーっと.............あっ」

男「死者が、出たって...................」

高木「やはりそうか..................」

男「え........?」

高木「アレは全くの誤解なんだよ」

男「誤解......?どういうことですか?」

小鳥「........二年前、つまり天海ブリリアントパークではない時、一人の子供が亡くなったという事件......」

小鳥「それはパーク内ではなく、パークを出たすぐにある一般道で、子供が車に轢かれたんです」

男「っ!...........アトラクションのせいとか、不審者の侵入とかではなく.....」

高木「単なる交通事故なのだよ」

春香「........私も、社長に言われるまで知りませんでした」

美希「ミキも、なの」

男「.............では、何故このパークの事件になったんですか?」

高木「キミは、誰にも愛される芸能人の汚い部分の話、興味はないかね?」

男「.........................つまり、無理矢理パークのネタにされたんですね.......?」

高木「そういうことだよ」

男「ヒドイな...............ネタになるからって.......そんな......」

高木「...............世の中には、そういう人間もいるのだよ」

男「そうですよね............再建したからって....新しくなったからって、元は死人が出たという情報があれば、
来たくないですよね.......」

男「俺も...........今日はそんな事件忘れてましたけど.......覚えてたら..........」

高木「あぁ、来ないだろうね」

春香「................................」

高木「だから、このパークはゲストが呼べなくて閉園の危機に迫られている」

男「でしょうね...........」

高木「だが、我々は君と出会った」

男「.......................え?」

高木「私はキミを一目見てこう、ティンと来たのだよ!」

高木「キミならこのパークを繁栄させてくれる!そう思った!」

小鳥春香「!」

男「なっ!?そんなこと急に言われても!」

高木「人生に迷っているのだろう?」

男「!」

高木「私にはわかるぞ!迷える若者の顔など!伊達に老いてはいないよ!」

高木「どうかね、我が天海ブリリアントパークで働く気はないかい?」

男「................................」

男「俺が.............ここで................」

男「でも俺.............何も出来ないです...........」

高木「そんなのやってみなきゃ何もわからんよ」

高木「それに見たまえ!」

男「え?.............!!」

美希「わ~.......」

春香「パーク全体が.........輝いて..........」

キラキラ キラキラ

男「な............なんで.............」

高木「美希君、このパークは一体どういう所だね?」

美希「『人を選ぶ』ところなの!」

男「!」

高木「そうだよキミィ!このパークは君を歓迎してくれている!」

高木「キミの人生が、ここで始まろうとしているのだよ!」

男「俺の........人生....................」

男「人を選ぶ.......か」

男「そんな事言われたら、嬉しくて.......断れないですよね」

高木「あぁ」

男「...............わかりました。俺、働きます」

男「ここで、天海ブリリアントパークで、働きます!」

高木「あぁ!」

春香「やっと新しい従業員が増えましたね!社長!」

美希「これで少しは寝る時間が増えるの」

小鳥「良い方向に進んでくれればいいんですけどね~」

高木「心配ない!彼ならやってくれるハズだ!」

男「.........で、具体的に俺は何をすればいいんですか?清掃とか、事務とかですか?」

高木「いいや!君には天海君に変わって支配人を務めてもらうよ!」

男「え...............?」

男「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

男「そんなの無理ですよ!俺、若い子が何を好み楽しむかわかりませんし!」

小鳥「社長と同じコト言ってますね」クスッ

高木「キミも十分若いじゃあないか」

春香「私も高校生で色々わかりませんし.............」

美希「支配人代行、なの」

男「え........えぇぇ..........」

男「あっ、じゃ、じゃあ!俺が支配人の補佐をするってのはどうですか!?サポート!」

高木「うぅむ、まぁそれでもかまわんよ!」

春香「それじゃあ支配人代行さんではなくて.....................」

男「そ、そうだな....................ちょっと違うけど......」






男「プロデューサー...........かな?」







高木「ほう!いいねキミィ!」

春香「これから宜しくお願いしますね!プロデューサーさん!」

美希「よろしくなの!」

小鳥「よろしくお願いします♪」

高木「さぁ!繁栄させてくれたまえ!このパークは君にかかっている!」

P「はい!一生懸命、頑張ります!」






ここは天海ブリリアントパーク。客は来なくとも、選ばれしものが集うところ。

彼ら彼女らの人生は始まったばかり。

MUSICは流れたばかり。

それは永遠に鳴り止まぬだろう...............

本日はここまで
ありがとうございました

@翌日



高木「よし、ではこのパークの説明をしようじゃあないか!」

高木「それでは音無君、彼を案内してくれたまえ。受付は私がやっておくよ」

小鳥「わかりました」

P「お願いします」

小鳥「プロデューサーさんが入場した正門になります」

http://i.imgur.com/y9VqtB1.png

P「改めて見るとやっぱり大きいですね.........」

小鳥「前のパークの門の色と看板を変えただけですから、コスト削減になりました」

P「前の所有者の方は承諾してくれたんですか?」

小鳥「はい、取り壊すのにまたお金がかかってしまいますからね。再利用できるならしてくれと」

P「なるほど」

小鳥「天海ブリリアントパークは東西南北そして中央、5つのエリアに分けられています。
面積は分かりやすく言うと、東京ドーム8個分にあたります。そして現時点で存在する
2つのアトラクションは北エリアにあります」

P「なるほど.......だから入場してしばらくアトラクションが見えなかったのは入場門が南だったからですね?」

小鳥「はい。以前にいらしたお客様にもアトラクションが見つからないーって言われました.......」

P「そうですか..........でも一応ゲストは来るんですね?」

小鳥「来るのは以前のパークの事件を知らない人です........」

P「誤解なのに.........悔しいですね」

小鳥「はい......................」

P「う~ん............やっぱり東西にはなにもないんですね........それに中央も...」

P「というかトイレも少なすぎませんか?これだと........えっ、まさかトイレまで人を選ぶんですか!?」

小鳥「い、いえ!それはさすがにないみたいです!ただ社長がアトラクションの近くに建てればいいんじゃないかって」

P「でもゲストはそれを知らないわけですからね.........それもどうでしょうか.......」

小鳥「春香ちゃんと美希ちゃんの話って聞きましたか?」

P「春香ちゃん......?あぁ、支配人の子ですか?」

小鳥「名前聞いてなかったみたいですね。そうです、あの子が天海春香ちゃんです」

P「天海.........ということは、あの子の名字から取ったんですか?」

小鳥「はい」

P「そうだったんですか。あっ、話の腰を折ってすいません。あの二人の話ってなんですか?」

小鳥「実はあの子達.........アイドルなんです.......」

P「アイドル............えぇ!?知りませんでした!」

小鳥「やっぱり............」

P「おっかしいなー........人並みにテレビは見てるハズなのに....」

小鳥「仕方ありませんよ、まだテレビに出たことないですから.......」

P「あっ............そうでしたか.............」

小鳥「この天海ブリリアントパークは彼女達の副業というところです」

P「ではアイドルが本業?」

小鳥「はい............でもアイドルの仕事がなくてこっちが本業になっちゃってますけど........」

P「.................................」

P「でもよくあの二人はコッチも許してくれましたね」

小鳥「『人を喜ばせることに変わりはない』って言ってました」

P「.......イイ子だな..........本当」

小鳥「そしてここが私達の仕事をする事務室になります」

P「狭いと思ってたんですけど、結構広いですね」

小鳥「以前のままですから」

P「そうでしたね...........前は従業員が多かったんですよね........」

小鳥「はい.......」

小鳥「これですべての場所を紹介しました!何か質問はありますか?」

P「そうですね....................」

P「あの............これを音無しさんに聞くのもどうかと思うのですが...........」

P「彼女達は........アイドルを諦めたワケではないんですよね?」

小鳥「.........................................」

小鳥「そうだと思います。社長もそれを理解した上で、あくまで765PROアイドルの宣伝として、
このパークを建てたのですから.................」

小鳥「有名でなくとも、人気がなくとも、春香ちゃんと美希ちゃんはアイドルの夢を捨てないでしょう」

P「そう..........ですか...................」

P「......................もし」

小鳥「?」

P「...........もし出来るなら、アイドルの事も視野に入れてあげたいです.............」

小鳥「プロデューサーさん..................」

P「そうだ音無さん、アンケートボックスってありますか?」

小鳥「あっ.............ゲストが来ないから存在を全く忘れてたわ.............」

P「え?」

小鳥「これです!」

P「よし、これについては全員と話した方がいいですね...........音無さん、
受付にみんなを呼んでくれますか?事務室だとゲストの対応が出来ないので」

小鳥「了解です」

P「えー、これより天海ブリリアントパーク従業員による、合同会議を始ます」

高木「おぉ!パークらしいね!」

美希「本格的ってカンジなの!」

春香「うん!」

小鳥「今までになかったものね~」

P「えーっと........今からアンケートを読んで、改善策を見出していこうと思います」

P「それでは一枚目........」ガサゴソ

『チケット代が高い』

高木「.................................」

P「おそらく、一番の問題だと思います」

P「今のパークのクオリティで7650円はさすがに高すぎます。一泊付きならまだ話も別ですが.....」

P「かと言ってホテルを付けるほどお金があるわけでもありません。それに、学生には中々手を出せない金額です」

高木「う~む..............」

P「天海さんと星井さんは、7650円のチケットにどう思う?」

春香「高いです」

美希「高いの。それとミキでいいよ」

春香「私も春香でイイですよ!」

P「そ、そうか.................ありがとう。春香、美希」

美希「子供も同じ値段だとやっぱりオカシイって思うな。中学生のミキの年代も金額を変えるべきなの」

P「ちゅ、中学生!?............中学生とは思えないスタイルだな.............」ゴクリ

P「と、とりあえず!料金を分けてみよう」

美希「もういっそのこと30円とかにしちゃうの」

P「確かにそれだと集客にはイイかもしれないね。でもお金のことも考えるとそうはいかないんだ」

P「じゃあ美希、美希はショッピングする時、いくらぐらい使う?」

美希「毎回違うからわからないの。でも美希に似合う服なら結構買うかも」

P「じゃあ仮に一万円としよう。それを基準としてパークのチケット代が30円........」

P「つまり、その一万円という額は333人ものゲストのチケット代になるんだ」

P「その額で働く.........従業員の俺たちはどう思う?」

美希「ちょっと安すぎるの」

P「だよね。お互いの納得が何よりも大事なんだ」

高木「では、具体的にどうするのかね?」

P「そうですね.................」カキカキ

P「こんな感じですかね....」




一般    4000円  親子ペア  5000円

高校生   2500円  シニア   3000円

小中学生  1500円  夫婦    5500円




美希「1500円.............」

P「今はこんなだけど、アトラクションが増えてもこの値段だったらどう?」

美希「それはお得なの!」

高木「では、この値段で変えないということかね?」

P「はい、先程資料やちょっとした検査をしてみたところ、このパークの..........
出現としたと言われるアトラクションは不思議な事に無駄な金が発生してないんです」

P「この先、アトラクションが10に増えても、それに予測される集客を計算すれば、ギリギリ赤字ではありません」

春香「アトラクションが増えるにつれて、値段を上げていくのはどうですか?」

P「いや、それだと客は納得しない。今の世の中、牛丼やインスタント麺の10円単位の上昇で騒がれる消費者の時代だ。
テーマパークが100円、多く言って1000円の差を出すと集客は減る」

春香「う~ん」

P「それに値段が上がった、という情報を誰もが知れるワケではないだろう?SNSやネットで見れるにしても、
そういうものに関心や縁のない人もたくさんいるんだ」

小鳥「でも万が一の場合.........」

P「その時は........その時です。もう一度考えます」

P「............それにこのパークは金目当てで運営しているのではないんですよね。社長」

高木「おや、音無君に聞いたんだね。そうだよ、あくまでこのパークは彼女達の宣伝のためだ。
多くの収入が出たら、君達従業員の納得のいく給料や事務所の拡大と考えている」

P「そうですか............ありがとうございます」

P「金はこの先、一生関係していくもの。毎度課題になっていきます」

P「では続いて...........」ガサゴソ

『トイレの場所を聞こうとしてスタッフを探したが、トイレもスタッフも見つからなくて普通に漏らした』

高木「ワロスwwwwwwwwwwwwwwwww」

小鳥「社長!笑い事じゃないですよ!」

美希「この人、内股でプルプルしながらアンケート書いてたと思うと笑えるの」

春香「や、やめてよ.....美希............」プルプル

P「(.............明るい人たちでよかったな............)」

P「と、とりあえず、トイレは増やすべきですね」

高木「アトラクションの近くだけと考えていたが、了解した!」

本日はここまで
ありがとうございました

P「それじゃあ最後の................」ガサゴソ

『清掃が行き届いてない』

全員「.............................」

P「...................本当?」

のワの「イキトドイテマスヨ」

P「............................」

@中央エリア


P「あぁ~........東西のエリアが結構汚れてるな......表面上はキレイに見えるけど」

春香「ごめんなさい..............」

P「いや、この広いパークを二人で掃除しろってのも無理な話。春香や美希が悪いわけではないよ」

高木「そうだよ天海君」

春香「はい................」

美希「ミキも毎日掃除してるけど、すぐ眠くなっちゃうの」

P「ははっ........暇だと眠くなっちゃうよね.............」

P「とりあえず今日は本格的に掃除をしよう。俺もやる」

高木「私も手伝うよ!」

P「いえ、社長にやらせるわけにはいきません」

高木「いやしかしだな..........」

P「社長には雇ってくれた恩があります。それに、こういう労働は若者にやらせてください」

高木「そ、そうかね?では、お言葉に甘えさせてもらうよ」

P「よし、やるか」

春香「プロデューサーさんは掃除とか得意なんですか?」

P「人並み..........かな」

美希「心配なの」

P「...........................」

P「まずは東エリアから始めよう」

P「この汚れは一体なんだ?」

美希「取れなさそうなの」

春香「これ効きそうじゃないですか?」

P「使ってみるか」

スプレー シュー フキフキ

春香「全然ダメですね」

P「う~ん」

P「西エリアも葉がヒドイな」

美希「この木切ってほしいって思うな」

P「緑はなるべく残しておきたいけどな~」

ハキハキ サッサッ



@北エリア



P「やっぱり不思議なアトラクションでも汚れるものは汚れるんだね」

美希「自動清掃機とかないのかな?」

P「あったら便利だね」

春香「プロデューサーさーん!お水持って来まっきゃあっ!?」

ドンガラガッシャーン

P「................................」

美希「言ってなかったけど、春香はよく転ぶの」

P「そうなんだ..............」

春香「何で落ちないんだろ~」フキフキ

P「落ちない汚れって存在するのか?こうなるんだったら幼い時から母さんに教わるんだった.......」

春香「お母さんって何でも知ってますよね」

P「助けてカーチャン..........」フキフキ

美希「ふわぁ............あふぅ。ミキ、眠くなってきちゃったの」

春香「まだ頑張ろっ!」

美希「ねぇ~プロデューサー、もう閉園時間だよ?帰らないの?」

P「うん.........これ落ちそうなんだ..........もう少し........」フキフキ

美希「ミキ、帰ってもいーい?」

P「あぁ!今日はありがとう、お疲れ様!」

春香「お疲れ!」

美希「うん、お疲れ様なの」

P「なぁ春香、これキレイか?」

春香「あー、ダメですね。横から見ると汚れてます」

P「そうだよな~.............」フキフキ

P「せめてこれだけでも...........」フキフキ キュキュ

美希「..........................」

美希「....................もうっ」フキフキ

P「美希!もう帰って大丈夫だぞ?」

美希「............もう少し.........付き合ってあげるの」

P「...........................ありがとう、美希.......」

@夜


高木「なっ!こんな時間まで掃除していたのかね!?」

P「途中からヤケになっちゃいまして........あはは.........」

春香「私も...............」

高木「美希君もかい?」

美希「なーんか、プロデューサーを見てたらやめるにやめられなくなったの」

美希「眠いの~......」

P「悪いな美希.............」

春香「はぁ~疲れたぁ........でもこんなに頑張ったのに全体の3割くらいしか出来てないんですよね.........」

高木「た........大変だね.............」

P「明日またやるしかないな...........」

P「ごめんね二人とも、こんな遅くまで付き合わせちゃって.....」

美希「ホントなの」

春香「いえ!全然大丈夫ですよ!」

P「本当にゴメンね..........」

P「もう遅いから、二人とも車で送るよ」

美希「それはイイ考えなの!」

春香「あっと私は~............」

P「あっ............知り合って間もない奴の車になんて乗れないよな。ごめん、無神経で」

春香「いえいえ!私、電車で2時間かかりますから、車だと余計に大変だと思って.........」

春香「それに、私はプロデューサーさんを信用してますから大丈夫ですよ!」

P「ありがとう春香...........2時間も大変だね」

春香「音楽を聴いてたらあっという間ですよ。ここに来るのも楽しいですし、苦じゃありません♪」

P「そっか..........」

美希「春香、もう電車来ちゃうよ?」

春香「あ、ホントだ!....それじゃあお疲れ様でした!」ペコリ

P「あぁ、お疲れ様。気を付けてね」

美希「お疲れなの~」

タッタッタ............

ドンガラガッシャーン

アイタタタ

P「..............................」

P「行こう、美希」

美希「はいなの~.............あふぅ」

@P車


ブロロロ...............


美希 スピー スピー

P「..............................」

P「(アイドル...........女の子にとっては輝かしい夢...........)」

P「(俺に出来ることがあれば............)」

P「......................」

美希 スピー スピー



ブロロロロロ........

....................................

..............

.......

P「そりゃ不審に思うよな~............先に連絡しておくべきだった.....」



ガチャ



P「ただいまー..............」

P「やっぱ一人暮らしは寂しいな...........」

P「........................おっと、そうだ」

プルルルルル プルルルルル 

P「あ、母さん?うん、俺」

P「就職先決まったよ。.......うん、天海ブリリアントパークっていう.........」

P「そう、その事件のとこ。でもアレ違うんだ」

P「.............うん、あぁいい人達だよ。給料の心配もないし」

P「はいはい、あーっと金は大丈夫だから、うん。それじゃあ」

P「え.........いやまだ来ないで。今、そのなんて言うか.......まだテーマパークとして成り立ってないから。
うん..........色々あるんだよ」

P「うん......うん...........それじゃ」

ピッ

P「.............あっ、掃除のこと聞けばよかったかも」

P「まぁいいや.............眠いし...............」

東京ドーム8個分の面積を誇る天海ブリリアントパーク。

その広大な敷地面積に佇むアトラクションは二つだけ..........

テーマパークとは言えない。

従業員と客、わずかなキャストとゲスト、金の問題、そして清掃............

その他様々な問題を抱えた天海ブリリアントパークはこの先どうなるのだろうか........

@翌日 天海ブリリアントパーク



ガチャ

P「おはようございます」

高木「おはよう!」

小鳥「おはようございます♪」

P「さぁ今日も張り切って........あれ、二人はまだ来てないんですか?」

高木「彼女達は学生だからねぇ、週2日の午前だけ学校に行っているよ」

P「そういえば学生でしたね.............でもそれじゃあ二人の休みはないんじゃないですか?」

高木「それなんだがねキミィ、何度休めと言っても休んでくれないのだよ。
ここを大事にしてくれているのは嬉しいんだがね........」

P「言いそうですね...........二人とも..........」

P「それでは引き続き清掃に入ります」

高木「あぁ、出来ることがあれば呼んでくれたまえ!」

小鳥「私も!」

P「はい!」

P「さすがに一人は厳しいなぁ...............」フキフキ

P「ジェラシー・オブ・ザ・サン............海水から引いてるし.......いつの間にか許可も取れてるし......」

P「よくわからないな..........」シューシュー フキフキ

P「何もかも......」

P「東西南北に3つずつくらいがいいな。絶叫、子供向け、レストラン....」

P「そういや、飯食うところもないな」パシャ

P「うまい具合に出てこないかな~」サッサッ

P「それにしても寂しいな」フキフキ

P「......................」キュキュ

P「..............あっ、もう昼か」

P「よし、休憩しよう。よっこいせ」

スタスタ.............................

....................

.........

....

自動販売機<ピー ガタン

P「.......................ここが事件のあった道路か.......」カシュ

P ゴクゴク

P「っふ~...............」

P「早急に手を打たないとな..............」

P「しっかし、あの汚れをどうやって落とすかなぁ~」

P「やっぱり母さんに」

サッサッ ササッ

P「ん?」

少女 サッサッ キュッキュッ

P「(小さいのに偉いな...........家の周りの掃除かな.........)」

P「(............手際がいいな)」

少女 ササッ フキフキ サッサ

ピカピカ

P「(さっきまで汚い歩道だったのに.......みるみる綺麗になっていく......)」

P「(そうだ!あの子に聞いてみよう)」

P「あ、あのー」

少女「はい?私ですかぁ?」

P「うん、ちょっと掃除について聞きたいことがあるんだけど......いいかな?」

少女「いいですよー!」

P「ありがとう、こういう拭いても落ちないのって、どうすればいいのかな?」

少女「コレはですね、台所にある食器用洗剤を使ったりすると落ちますよー!」

P「え、そんなのでいいの?」

少女「はいー!それ用の洗剤と言っても、他にも効果があったりするんですぅー!」

P「そうなんだ......................」

P「.......................................」

P「あの.........一つお願いがあるんだ」

少女「なんですか?」

P「俺、そこの天海ブリリアントパークっていう所で働いてるんだけど、どうやっても綺麗にならない
箇所がいくつかあるんだ」

P「もしよかったら、教えてくれるかな.............?」

少女「いいですよー!」

P「ありがとう!えっと.........何て呼べばいいかな?」

高槻やよい「私、高槻やよいって言いますぇー!やよいでいいですよー!」

P「じゃあやよい、よろしくね」

やよい「はぁいっ!」

本日はここまで
明日には終わります
ありがとうございました

小鳥「あら?プロデューサーさん、その子は?」

P「あぁ、どうやら掃除に詳しいので、手伝ってくれると.....」

やよい「はいー!」

小鳥「(可愛い)」

やよい「はわぁ~..........大きいですー!」キラキラ

P「あれ、ここに来るのは初めて?」

やよい「はいー!家の近くですけど、お金がなくて......」

P「.............そう、なんだ」

やよい「でもいつか来たいと思ってましたぁ!」

P「そっか............じゃあ良かった」

やよい「はいー!」

やよい「これはスプレーをかけて放っておくんですよー」

P「なるほど」



.........................................



やよい「拭いて、裏で拭いて.........」

やよい「こうすれば綺麗になりますぅー!」

P「おぉ!本当だ!」



.........................................



P「これがどうやっても」

やよい「まずは水で濡らして...................」

P「やよいはひとりっ子?」フキフキ

やよい「いえ!弟が四人と妹が一人いますー!」

P「多いね!」

P「それじゃあお姉ちゃんなんだ」フキフキ

やよい「はい!」シュー シュー 

やよい「みーんなでここに来たいねーって言ってたんです!」フキフキ

やよい「あっ落ちましたよ!」

P「おぉー!」

やよい「あのー、この遊園地って、これだけしかないんですか?」

P「うん..............ちょっと説明しにくいんだけどね、今はこれしかないんだ」

P「後になれば増えるかも..........」

やよい「楽しみですねー!」

P「そうだね」

やよい「どんなのができるのかな~........」キラキラ

P「.....................」

高木「おっ、その子かね?手伝ってくれているのは」

P「はい、高槻やよいちゃんです」

やよい「こんにちは!」

高木「うむ、こんにちは!一般の方に手伝っていただくのは恐縮だが、頑張ってくれたまえ!」

やよい「はいー!」

@駅



春香「~♪」

美希「あっ春香!」

春香「美希!電車一緒だったんだね」

美希「うん、じゃあ行くの」

春香「お掃除今日で終わるかな.........無理だと思うけど」

美希「もうミキ掃除はこりごりなの~」

@天海ブリリアントパーク


P「ほぉ~ピカピカだ!」

やよい「簡単でしたぁ!」

高木「ここまで綺麗になるものなのか.............」

P「これはこれを使って..........復習しよ」




....................................




美希「あれ?昨日より全然キレイなの」

春香「ホント............これ全部プロデューサーさんが......?」

P「おぉ春香、美希、お帰り」

高木「お帰り!」

春香「あっプロデューサーさん!社長!パークがすごく綺麗に............」

P「そうなんだ!この子が手伝ってくれたんだ!」

美希「誰?」

やよい「高槻やよいですー!」

P「俺が休憩中に掃除してるのを見かけて、手伝ってもらってたんだ」

春香「それじゃあこんなに綺麗になったのは高槻さんのおかげなんですか?」

P「そう」

やよい「おかげだなんてぇ...........えへへっ」

P「とりあえずまだ終わってないから、二人とも手伝ってほしい」

春香「わかりました!」

美希「仕方ないなぁ~...........」





それから数時間、四人は本格的な清掃に入った。

落とし、拭き、掃き、磨き...............

清掃を通して次第にやよいとの仲も深くなり、お互いを名前で呼びあう仲まで発展した。

誰もが好まない掃除を、四人は楽しく元気に汗を流した。

高木もPに断れながら手伝った。

そして時は過ぎた.................

やよい「終わりましたぁー!」

春香「もうどこもピッカピカだね!」

美希「キラキラなの!」

高木「いやぁ助かった!」

P「ありがとうやよい!」

やよい「うっうー!皆さんが頑張ったからですよー!」

P「やよい、今日は本当にありがとう。これほんのお礼なんだが..........」

やよい「はわ!?ダメですよぉお金なんて!受け取れません!」

高木「キミには感謝しているのだよ、やよい君」

やよい「で、でも!ダメですぅ!」

高木「うぅむ....................」

P「....................じゃあ、お金の代わりにここで遊ぶってのはどう?」

やよい「え?」

P「俺達はどうしても君に恩返ししたい。それがお金じゃ無理なら、是非ここで遊んでいってくれ」

P「もちろん無料で」

やよい「!」

P「いいですよね、社長」

高木「あぁ!かまわんとも!」

美希「それがいいの!」

春香「うんうん!」

やよい「でもでも~............」

P「大丈夫、弟たちも連れてきていいよ」

やよい「えぇ!」

P「ここに来るのが夢だったんでしょ?だったら連れておいで」

P「アトラクションは二つだけで、楽しんでもらえるかどうかわからないけど.......」

やよい「あ............ありがとうございますぅー!」ガルーン

やよい「それじゃあ連れてきます!」

タッタッタ.....................

美希「イイ子なの」

春香「うん!」

P「...........................」

高槻長介「うぉぉー!ここが遊園地..........のワリに寂しいな」

やよい「コラ長介!そんなこと言わない!」

高槻かすみ「でも広いなぁ~」キラキラ

高槻浩太郎「わ~!」

高槻浩司「長介おにいちゃん!早く乗ろうよ!」

春香「ようこそ!天海ブリリアントパークへ!」

長介「誰?」

やよい「この人は春香さんって言って、ここの偉い人なんだよ!」

春香「偉い人............かなぁ、えへへ......」

長介「ふ~ん」

春香「ではアトラクションにご案な~い」

P「やよい、みんな連れて来たのか?」

美希「賑やかなの」

やよい「あっ!プロデューサー!美希さん!」

やよい「一番下の浩三は連れてこれませんでした。でも家にお母さんがいるので大丈夫ですー!」

P「そっか、浩三くんの分まで楽しんでいってな」

やよい「はいー!」

長介「やよいお姉ちゃん!早く行くよ!」

やよい「あ、待ってー!」

P「春香、ジェラシーの速度を下げておいてくれ。身長制限を今回だけ無効にする」

春香「了解しました!」

かすみ「ボートなんて初めて!」

浩司「僕もー!」

巨大春香さん「カッカアアアア」

長介「うぉ!すげー!でっけー!」

かすみ「本当に生きてるみたい!」

やよい「すごいですーっ!」

ゴウンゴウン チャプチャプ

美希「アハっ☆ふるふるフューチャーへようこそなの!」

美希「この中から美希の夢を選んでなの!」

長介「じゃあ④のショッキングな彼がいい!」

美希「了解なの!」

..........................................

やよい「すりーらー!」

かすみ「すりーらーないっ!」

美希「(とっても可愛いの!)」

※④のショッキングな彼はゾンビと共に体が勝手に踊りだしてしまう

やよい「楽しかったねー!」

かすみ「うん!」

長介「二つだけなのにたいしたモンだぜ!」

浩太郎「そうだね!」

浩司「楽しかったー!」

P「良かった、楽しんでもらえて」

長介「兄ちゃん誰だ?」

P「俺はこのパークのプロデューサーをしているよ」

長介「ふ~ん」

やよい「ほらみんな!この人が招待してくれたんだよ!」

長介「に、兄ちゃんが!?あ、ありがとう!」ペコ

かすみ「ありがとうございます」ペコリ

P「(礼儀のいい子達だな.................)」

春香「楽しんでもらえたみたいだね♪」

美希「良かったの!」

やよい「あの、今日は本当にありがとうございましたー!」ガルーン

やよい「とーっても楽しかったですぅー!」

P「ちゃんと恩は返せたかな?」

やよい「はいー!」

やよい「いつもならお金がないから来れないんですけど...........」

やよい「皆さんに会えて、本当に良かったですー!」

P「俺もだよ、やよい」

春香「私も!」

美希「ミキもなの!」

P「そうだやよい、一つ聞きたいことがあるんだ」

やよい「なんですかぁ?」

P「このパークの..........前の事故の話を知っているか?」

やよい「................あっ」

やよい「でもアレって、交通事故ですよね?遊園地は関係なくって............」

春香「やっぱり、近隣の人は理解してくれてるみたいですね.........」

P「そうか..........いや、なんでもないんだ」

やよい「?」

やよい「今日は本当に、本当にありがとうございましたーっ!」

高槻家「「「ありがとうございましたー!」」」

やよい「それではー!」

ワイワイ マタコヨウネ ウン!





P「..............................」

高木「いいのかね?キミ」

P「社長!」

高木「私はキミの考えていることと同じだ。それをキミはどうするかね?」

P「俺は............................」

P「俺は..........」グッ




P「やよい!」

やよい「!」

P「やよい!このパークで働く気はないか!?」

やよい「え!?」

P「俺は、やよいがこのパークに必要だと感じる!」

P「掃除が出来るからとかじゃなくて!本能的に感じたんだ!」

春香「プロデューサーさん.............」

やよい「.........................」

P「是非!是非やよいに来てほしい!どうだ!?」

やよい「...........................でも弟たちの面倒を....」

長介「そんなの気にしなくていいよ」

やよい「え............?」

長介「おれ達、いつも面倒見てくれる姉ちゃんに感謝してるんだ」

長介「自分の好きな事とか、やりたいこと放っておいて世話してくれて............」

かすみ「だからお姉ちゃんのやりたいことをしてほしい............」

長介「大丈夫だよ、弟たちの面倒はおれが見る」

かすみ「私も!」

やよい「長介..........かすみ..................」

長介「あんなに楽しそうなやよい姉ちゃん、久しぶりに見たよ!姉ちゃんのクセに子供みたいでさ!あはは!」

やよい「うぅ...............グスッ......」

長介「............だから、いいよ。やよい姉ちゃん」

やよい「長介ぇ.................うぅ..................」

P「......................まとまったかい?やよい」

やよい「..............はいっ.......私.....私........」





やよい「ここで..........働きますー!」





春香「やったー!」

美希「キャストが増えたの!」

P「改めてよろしくな、やよい!」

高木「よろしく!」

やよい「はぁいっ!」

P「えっと......長介君、かすみちゃん、二人ともありがとう」

長介「あぁ!別に姉ちゃんと会えなくなるわけじゃないしな!それに、おれも成長しなくちゃ!」

かすみ「お姉ちゃんを宜しくお願いします」ニコッ

P「あぁ...................」

浩太郎「頑張ってね、やよいお姉ちゃん!」

やよい「うん!」

浩司「お姉ちゃん、いなくなっちゃうの..............?」

長介「違うよ。心配すんな」

やよい「よーっし!『明日からラッキーに頑張りますよぉー!』」

P「あぁ!」

..............................ゴゴゴゴゴ



やよい「はわっ!?」

P「地震か?」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!






美希「違うの!」

高木「これは地震なんかじゃあない!」





ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!





春香「これは...........!」

P「まさか!!」

高木「東エリアだ!」

タッタッタ......................


P「本当だったんだ..................」

P「本当にこのパークは............人を選ぶのか!」


http://i.imgur.com/86CTMh3.png


やよい「じ、地面から出て来たんですかー!?」

P「そうだ..............このパークがやよいを選んだんだ!」

やよい「!」

長介「すげぇや姉ちゃん!やっぱりここで働くべきだな!」

かすみ「うん!」

やよい「ありがとう........みんな!」

小鳥「一体何事............!あっ!」

高木「紹介しよう音無君!今日からうちの従業員になった高槻やよい君だ!」

やよい「よろしくお願いしまーっす!」

小鳥「よろしくお願いします!」

小鳥「三人目ですね!」

P「はい!この調子でパークを再建していきますよ!」

春香「私も頑張ります!」

美希「ミキは、まぁ適当に頑張るの」





P「よし!天海ブリリアントパークの繁栄を願って!」

春香「いくよ!765プロー!ファイトー!」

全員「「「オ――ッ!」」」

これにて閉園。

またのご来場をお待ちしております。

ありがとうございました!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom