のび太「強くてニューゲーム」(25)
ドラえもん「……きての……ん」
のび太(うーん……休日くらいゆっくり寝たいのに、でも、なんか懐かしい声だなー)
ドラえもん「起きてよのび太くん」
のび太「ふぁあ……ド、ドラえもん!?なんで君が?」
ドラえもん「早く着替えて、遅刻するよ」
のび太「遅刻?」
ドラえもん「なに寝ぼけてるんだい、学校に遅れちゃうから早く早く」
のび太「学校?」
のび太(これは夢じゃない)
のび太(僕は若返ったんだ……)
先生「野比、また遅刻か!」
のび太「申し訳ない」
先生「?」
のび太「いえ、ごめんなさい先生」
先生「宿題を提出して早く席につけ」
のび太(宿題は……無いな、ははは!この時代の僕なら仕方ないか)
スネ夫「あーらのびちゃん、さては宿題忘れたざますね?」
先生「バッカモーン廊下に立っとれー!」
のび太(思えばこの頃が一番幸せだったな……大人になった僕の人生は……最悪だ!)
のび太(妻の浮気……リストラ……離婚……自己破産……)
ジャイアン「ようのび太、昨日野球の試合さぼったろ!放課後覚悟しとけっつーの!」
のび太「」
スネ夫「やめなよジャイアン、のび太いないから勝てたんじゃないか。のび太はドジでマヌケで運動音痴だから」
しずか「ちょっとスネ夫さん、のび太さんがかわいそうよ」
のび太「!?」
しずか「さあ帰りましょう、のび太さん」
のび太(僕の人生をめちゃくちゃにした元凶……この女……この女さえいなければ)
しずか「どうしたの、なんか顔色が悪いわ」
のび太(順調だった僕の人生を……)
のび太(ぶち壊した!!)
出木杉「やあ、今日は塾が休みなんだ。よかったら一緒に帰らないかい?」
しずか「ええ、もちろんいいわ。……のび太さん?」
のび太「悪いけど用事があるから先にかえるね」
出木杉「?」
しずか「変なのび太さん」
のび太(出木杉、お前も同罪だ)
ジャイアン「見つけたぞのび太!」
のび太「なんだジャイアンか、なにか用かい?」
スネ夫「へへっ、サッカーの人数が集まらなくてね」
スネ夫「偶然にもこのゲームは3人用なんだ。だからお前も仲間に入れてやるよ」
のび太「そんな気分じゃないんだけどな」
ジャイアン「なにぃ?俺の誘いを断るっつーの?」
のび太「まあいいや……場所はどうせ空き地だろう、早く行こうか」
ジャイアン「お、おう」
スネ夫「ものわかりがいいのびちゃんは素敵ざます」
のび太(あの二人に復讐するには駒が必要だ、それも僕の命令を忠実に守る駒が)
ジャイアン「余所見してんじゃないっつーの!始めるぞ!」
のび太(地獄を見せてやる、それも僕の仕業だと絶対にわからない方法で。僕の苦しみを味会わせる。くくく)
ジャイアン「やる気あんのかのび太!?」
のび太「ごめんごめん、ちょっといいかな?」
スネ夫「なんだよ、空気読めよなー」
のび太「僕はジャイアンに話があるんだ」
ジャイアン「?」
のび太「ジャイアン、君に大事な話があるんだ。悪いけどスネ夫は帰ってくんない?」
ジャイアン「二人じゃサッカー出来ねえじゃんか!」
のび太「実は君の大事な妹、ジャイ子ちゃんの話なんだ」
スネ夫「ミーに帰れと?寝言は寝てから言うざんす」
ジャイアン「今日の訓練は中止とする。スネ夫お前は帰れ」
のび太「そうゆう事、悪いけどスネ夫は帰ってよ」
スネ夫「ちぇっ、のび太のくせに生意気だな。はいはい帰ればいいんでしょ」
ジャイアン「で、ジャイ子がどうしたって?」
のび太「僕はジャイアンと二人で話がしたかっただけ、ジャイ子なんて知るもんか、あんなブサイク」
ジャイアン「なんだとぉー!ぶん殴るぞ!!」
ゴスッ
ジャイアン「うぐっ」
のび太「はははははは、やっぱり子供だなー、体が大きくても喧嘩は小学生だね」
ジャイアン「てめえのび太!」
のび太「あらら、まだ力の差がわからないの?ふーん、僕に逆らうんだ」
ジャイアン「うるせえ、ぎったぎたにし……
ゴスッゴスッ
ジャイアン「ぐあぁぁ」
のび太「君を痛めつけたい訳じゃない、本意じゃないんだよ。こんなやり方は」
のび太「でも」
のび太「子供は体でわからせるのが一番早いよね」
ゴスッゴスッゴスッゴスッ
ジャイアン「ぴぃぃー」
のび太「はぁはぁ、まだやる気?」
ジャイアン「ひ、ひぃ、かあちゃーん!」
のび太「ふふ……だめだよジャイアン。言ったろう、僕は話があるって」
ジャイアン「は、話?」
のび太「今日から君は僕の家来だ。いいね?」
ジャイアン「……わかった」
のび太「なにも君に恥をかかせるつもりはないんだ、学校ではいつも通りでかまわない」
ジャイアン「?」
のび太「ジャイアンはガキ大将。のび太はイジメられっ子。これでいいんだ」
のび太「僕とジャイアンの二人だけの秘密さ。だけど」
のび太「僕の命令は必ず聞く事。あと誰かに秘密を漏らしたら、もちろんスネ夫やしずかちゃんにもだよ。もし約束を破ったら……わかるね?」ゴキッゴキッ
ジャイアン「かあちゃんに誓って守る!乱暴はやめてー」
のび太「くくく」
のび太「ただいまー」
たま子「おかえりのびちゃん、おやつのどら焼テーブルに置いてあるわよ」
のび太「ドラえもんの好物のどら焼だよ、よかったら僕の分も食べて」
ドラえもん「えっ?いいのかい?」
のび太「君には迷惑かけてばっかだから、ね」
ドラえもん「ありがとうのび太くん、いただきまーす」
のび太「さーて宿題、宿題と」
ドラえもん「むしゃむしゃ、はふはふ、ぶはっ!!のび太くんが宿題!?」
のび太「なんだ汚いなーそんなに驚く事ないじゃないか」
ドラえもん「だって」
のび太「はい終わり。簡単だなーこんな問題」
ドラえもん「え?まだ数分しかたってないよ。さては適当な事書いてごまかす気だね」
のび太「なら見てごらん、自分の目で確かめてよ」
ドラえもん「うん、ええと……あってる」
ドラえもん「すごいよのび太くん、やっぱりやれば出来る子なんだね。僕はうれしいよ……うう……」
のび太「さて、お風呂掃除してこようっと」
ドラえもん「のび太くん……」
のび太(ドラえもんは未来の孫が僕を矯正する為に送りこんだ教育ロボット。矯正の必要がなくなれば未来へ帰るはず)
のび太(この計画にドラえもんは邪魔だ。僕が欲しいのは未来道具だけ)
たま子「今日はのびちゃんの大好物のハンバーグよ」
のび太「いただきまーす」
ドラえもん「……」
のびパパ「おや、ドラちゃんはハンバーグ嫌いだったかい?」
ドラえもん「……」
たま子「玉子焼きなら食べれる?」
ドラえもん「違うんです、パパさんママさん」
のび太「むしゃむしゃ、はふはふ」
ドラえもん「僕は未来に帰ります」
のびパパ「急になにを言うんだ、誰も迷惑だなんて思ってないよ。君がいなくなると我が家
が寂しくなる、なあママ」
たま子「そうよドラちゃん、ずっと居てくれていいのよ」
ドラえもん「僕はのび太くんを立派な大人にする為に未来から来たんです。でも今ののび太くんは僕がいなくても大丈夫だから……」
ドラえもん「パパさんママさん。今までお世話になりました」
たま子「ドラちゃん……」
のび太「おかわりー!」
ドラえもん「未来から君を見守ってるよ」
のび太「本当に帰っちゃうんだね」
ドラえもん「さようならのび太くん」
のび太「待ってドラえもん、君との付き合いがこれまでなんてあんまりだよ。せめてもしもの時は連絡くらい……」
ドラえもん「そうだよね、僕の都合で急にいなくなるんだから……じゃあ、スペアポケットを置いてくね。なにかあったら僕に知らせて」
のび太「バイバイ、ドラえもん」
ドラえもん「バイバイ、のび太くん」
のび太「まさか今日の今日でフェードアウトしてくれるとは……くくく、まず第一歩」
のび太「でも未来道具は使わない。タイムパトロールに目をつけられたくない。たがら使うならここ一番、それも絶対的で効果的な場面」
のび太「僕はこの時代の神になる!!」
のび太「もしもし、夜分すいません野比です」
母ちゃん「あら、野比ちゃんかい。たけし~、電話だよ!」
ジャイアン「かーちゃん、その電話、誰……?」
母ちゃん「野比ちゃんからだよ。なにしてんだい、待たせるんじゃないよ」
ジャイアン「しー!俺は出かけていないって言ってくれよ」
母ちゃん「バカ言ってんじゃないよ!こんな時間にどこ行くってんだい、いいから代わりな」
ジャイアン「もしもし……」
のび太「困るなー、ジャイアン」
のび太「もしかして、僕の電話、逃げようとしなかった?」
ジャイアン「ご、ご、誤解だのび太!俺はそんなつもりじゃ」
のび太「くくく、まあいいや。でも、次はないから……ね?」
のび太「で、早速君に頼みたい事がある」
ジャイアン「俺になにをさせるつもりだ?」
のび太「そう構えるなよ。心の友じゃないか、僕たち」
ジャイアン「……」
のび太「明日の給食はカレーだったね、そこで、しずかちゃんのお皿に」
のび太「下剤を入れて欲しい」
ジャイアン「冗談じゃないっつーの、出来る訳ないっつーの」
のび太「給食当番の君なら簡単だろう?あんまり僕を困らせないでよ、ね?」
ジャイアン「……わかった……じゃあ切るぞ……」
のび太「まだだよ」
のび太「話はまだ途中だよ。君には一番早く登校してもらいたい」
ジャイアン「そんな事か、いいぜ。用はすんだか?」
のび太「それで女子トイレのトイレットペーパーを全部抜きとるんだ」
ジャイアン「女子トイレだって!?」
のび太「早朝なら誰にも見られずに済むからね、僕の心遣いさ」
ジャイアン「」
のび太「これで話はおしまい。ほら、早く寝なくちゃ!寝坊しても知らないよ。まあ恥をかくのは君で、それも面白いかな」
のび太「くくく、おやすみジャイアン」
ジャイアン「……」
安雄「やったー、僕一番!」
スネ夫「!?」
ジャイアン「もぐ……もぐ……」
スネ夫「不動の早食いチャンプ、ジャイアンが負けるなんて……」
ジャイアン「もう食えねえ……なんか食欲湧かなくてよ」
しずか「大丈夫たけしさん?保健室で熱はかった方がいいわ」
のび太(他人の心配してる場合じゃないのに、君は)
ジャイアン「余計な事すんなっつーの!」
しずか「たけしさん……」
のび太「さて、僕も準備するかな」
先生「で、あるからして…日帝の略奪と破壊行為は揺るぎない事実であり、えー、朝鮮の近代化を妨げた一番の原因であり、えー」
しずか「あの~先生……」
先生「なんだね源くん」
のび太(やっと効いてきたか。こうかはばつぐんだ)
先生「いかに受け止めづらい内容であっても、歴史に目を背けてはいかん」
しずか「トイレに行かせて欲しいんです」
先生「次からは休み時間に済ませるようにしなさいね」
ジャイアン「……」
先生「我々日本人はドイツを見習い、半島の方々に心から謝罪と賠償をしなければならず……」
のび太「先生、ぼくもトイレ!」
のび太「うふふ」
スネ夫「なにニヤニヤしてんだよ、気持ち悪いな」
のび太「あ、いや、なんでもないんだ。じゃあねスネ夫」
ジャイアン「待てよのび太」
のび太「僕はねー用事があるの。邪魔しないでくれる?ok?」
ジャイアン「しずかちゃんの後に、お前もトイレなんていくらなんでも怪しいぜ」
スネ夫「はは~ん、さては覗いてたなコイツ?」
のび太「まっさか~!僕がそんな人間に見える?」
ジャイアン「ならいいけどよ、俺の思い過ごしか」
スネ夫「おませなのびちゃんはお仕置き決定」
のび太「覗きはしてないけど、おかげでいい画が撮れたよ。ありがとうジャイアン」
ジャイアン「!?」
スネ夫「ひそひそ話はズルいよ。僕も仲間に入れるざんす」
ジャイアン「スネ夫は向こう行ってろ!ぶん殴るぞ!」
スネ夫「ヤレヤレすぐこれだ。ほんとに乱暴なんだから」
のび太「この動画であの女を脅すんだ。あー考えただけでゾクゾクするなー」
ジャイアン「そんな真似は許さねえ」
のび太「なにその目。どう許さないの?僕に逆らう気?」
ジャイアン「俺が全部ばらしてやるっつーの!」
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