北上「え、ショッピング?」 (44)
―北上の私室―
北上「やーすーみー……おーやーすーみー……」
北上(提督からお休みをもらったのはいいものの、しばらく出撃ばっかりだったから、こうなると暇だね)
北上(最近発売したゲームとかは操作方法わかんないし……かといってサクッと終わらせられるゲームは手持ちにないなぁ……)
北上「……ドラクエでもやる?」
北上「んあー、でも絶対今日中にクリアできないしなぁ……私にTASが搭載されてればねぇ」
北上(艦についててもどうなんだって話だけど)
ピーンポーン……
北上「……んあ?」
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大井「北上さぁん、私です、大井ですよー♪」
北上「お、大井っちだ……大井っちも今日はお休みなのか」
ガチャッ
北上「どうしたんですかー?」
大井「あの、その……北上さんと一緒に行きたい場所g」
北上「あ、そうだ。せっかく来たんだし一緒にゲームしようよ。プレステの古いレースゲームだけど、やってみる?」
大井「え、ええと……せっかくの北上さんのお誘いですけど……」
大井「一緒にショッピングに行きませんか!?」
北上「……え、ショッピング?」
大井「はいっ! 鎮守府出てすぐのところにあるショッピングモールの……」
北上「あー、パス」
大井「どうしてですかぁ!?」
北上「そういうところは私は向かないって……それこそ今風な子を捕まえて行って来ればいいんじゃない? 女子力高いことかさ。ほら、駆逐艦にはそういう子多そうだよ?」
大井「じゃあ、北上さんは何して過ごすんですか?」
北上「んー、とりあえずゲームして暇つぶし……って考えてたけどそれもないから……まあ寝るくらい?」
大井「……北上さんは、布団と私どっちが大事なんですか!?」
北上「その聞き方はずるいなぁ……そんなふうに言われたら、大井っちって答えるしかないじゃん……」
大井「き、北上さん……!!」
北上「んじゃ、ちょっと待っててね、着替えるから」
大井「はーい♪」
北上「……なんでナチュラルに部屋入ろうとしてるの?」
大井「だ、だって北上さんが着替えるって……」●REC
北上「大井っち、カメラ降ろそう」
大井「わかりました! この目にしかと焼き付k」
北上「ちょっと外で待っててね」
大井「はいっ!!」
―ショッピングモール―
北上「おお……でっかいねぇ……」
大井「あれ、もしかして北上さん、来た事ないですか?」
北上「うん、お初だよ」
大井「生活感のカケラもないですね!! でもそれがいい!!」
北上「ちょっとよくわかんない」
大井「まあ大体こういうところのおつかいだったら、駆逐艦が済ませちゃいますからね……」
北上「さて、燃料が残ってる間に、行きますかぁ」
大井「あの、行先決めてるんですか?」
北上「……え、羅針盤持ってないよ?」
大井「そう言う事じゃないですよ!」
―同じくショッピングモール 西口―
阿武隈「はーい、到着到着~♪」
潮「これが……これがショッピングモール……!!」
阿武隈「そう! いつも潮ちゃんには色々世話になっちゃってるし……今日はお礼ね!」
潮「そんな……私なんてまだまだで……」
阿武隈「いいからいいから! ほら、いこっ!」
潮「あ、わ、そんな引っ張らないでくださいっ」
―2F 食品売り場―
大井「ここで主婦とかが、安い野菜を求めてお買い物をするんですよ」
北上「へぇ、そうなんだ。あら、各種飲み物も取り揃えられてますねぇ……燃料はないの?」
大井「うーん、ここにはないんじゃないですかね?」
北上「そっかぁ、ちょっと残念だな」
大井「あったら買ってたんですか?」
北上「うん」
―3F ファッション―
北上「おお……何かここはまぶしいねぇ……」
大井「はい、ここが今回の私のメインです!」
北上「えっ、大井っち何か買うの!? このドレスとか?」
大井「違いますよっ! 北上さんに似合う服を選ぶんです!」
北上「え」
大井「私の選んだ服に身を包んだ北上さんが……私に選んでもらったという照れと感謝をこめて……」
北上(妄)「……は、恥ずかしいよこういうの……でも、大井っち、ありがと……えへへ」
大井「ってな具合に!!」
北上「お、このジャージいいね。くつろぐときに欲しいなぁ」
大井「それさっき着てた奴じゃないですか」
北上「えー? でも最近の……なんてーの? 何か、こう、すごい化粧の……」
大井「ギャルですか?」
北上「そう、それ。そんな感じの子が着てるような服は、私には似合わないよ?」
大井「んー、まあそうですよね……北上さんに似合うのは……あ、これなんてどうですか?」
北上「……え、早速服じゃない」
大井「これ、こういう風に耳に当てれば……温かくて冬も快適~っていうもこもこです」
北上「おお、質感は全然魚雷と違うね……」
大井「そりゃ布ですからね」
北上「鋼材いくつ使ったらこんなの作れるんだろう?」
大井「0ですね」
北上「つけてみよ……くぁ、なにこれ~……超温か~い……はふぅ」
大井「ぐぁっ!!」
北上「あれ、大井っち、なんで倒れてんの?」
大井「いえ、今のは破壊力が……めちゃくちゃ高くて……おかずなしでご飯3杯は余裕ですっ!!」
北上「バランスよく食べようね」
大井「それじゃあ……あ、このスカートいいんじゃないですか?」
北上「おお……長めだねぇ」
大井「今の季節に合わせた奴じゃないと、やっぱり北上さんに体壊してほしくないですからね。どんな季節でもスカートがかなり短かったり、ましてや年中スク水なんてもってのほかですよ」
『でち?』
北上「それじゃあ、上部装甲は?」
大井「今だけは服って言いましょ? ……んー、あ、このセーターとか! すっごく可愛くなれそうな予感です!」
北上「可愛くかぁ……可愛くなってもどうしようもないんだけどね」
大井「せっかくなんだし可愛くしましょ?」
北上「まあ、大井っちがそういうんならね」
大井「さあ、北上さん、着替えちゃってください!」
北上「え、今ここで?」
大井「あっちに試着用の個室がありますから!」
北上「うん、なるほどね。確かに試着は大事だよね」
大井「思ってたより短かったり、大きかったりしたら大変ですから!」
北上「うん、じゃあ着てくるね」
テテテテ……
大井「はぁ~……北上さんマジ……すげぇ可愛い……歩く度にぴょこぴょこするあのおさげが可愛い……」
―同じく3F―
阿武隈「ほら、見て! この髪飾りとかすっごい可愛いよ?」
潮「うわぁ……本当ですね!」
阿武隈「潮ちゃんに似合うんじゃない?」
潮「え、わ、私ですか?」
阿武隈「うん! いいと思うんだけどなぁ……買う?」
潮「で、でも、私なんかよりもっと似合う人も……いるんじゃ……」
阿武隈「そんなことないよ! あたしが言うんだから間違いないって! 結構女子力には自信あるんだからっ!」
潮「うーん……わかりました! 買います!」
阿武隈「本当!? えへへ、嬉しい! じゃあレジにいこっか♪」
大井「うわあああああああああああ!! すっごい似合ってますよおおおおおおお!!」
阿武隈「……!?」
北上「え、そう? というか、これもくつろげる恰好っちゃあくつろげる恰好だよね」
大井「超いいと思いますぅ!! いくらでこの北上さん買えますか!?」
北上「非売品です」
大井「じゃあこの服はもう買います?」
北上「うん、そうしようかな」
大井「きゃー! じゃあ私、全力で買いに行きますんで、すぐ脱いでください!」
北上「え、ここで?」
大井「試着室です!」
北上「はーい」
阿武隈「……や、やばい……」
潮「あ、北上さんと大井さんだ……お二人も買いmふぐぅっ!」
阿武隈「だめっ!! あの人たちに気付かれたら終わりよ!」
潮「な、なんで……?」
阿武隈「何をされるか分からない……きっと、あたし達やられるわ……」
潮「や、やられる?」
阿武隈「『うわ、阿武隈じゃーん、何やってんのぉ?』き、北上さん、これは……その『何北上さんにその口は? すべての生き血をささげなさい』そ、そんな……『もぉー、大井っち可哀想じゃーん。ほら、2Fでパン買ってきてよ、一番高いの。もちろん阿武隈のお金で』ひ、ひえぇ~!」
阿武隈「……的なことになるから!」
潮(すごい、阿武隈さんすごい! ……被害妄想が)
阿武隈「とにかくここは急いで逃げなきゃ! あ、でもこのままだと勘違いされちゃう……でもレジには北上さんと大井さんが……うぅ~、どうすればいいの!?」
潮「あの、普通に行けば……」
阿武隈「そ、そんな事言ったって……とにかく今はこの髪留めをあきらめて、できるだけ遠くに避難を……」
北上「あれ、阿武隈じゃん、それと潮も。何やってんの?」
阿武隈「もうバレたあああああああ!!」
とりあえず今日はここまでで。
この4艦の他に夕立、愛宕とかを推してます。
潮「あ、北上さん、大井さん、こんにちは!」
大井「はい、こんにちは。てか、なんで潮の後ろで、阿武隈はびくついてるの?」
阿武隈「ひぃっ!!」
北上「んー、なんででしょうねぇ……」
阿武隈「い、いえ! ビクついてなんか、なななななないですよ!?」
阿武隈(なんでこの2艦がいるのよ!? よりにもよって会いたくない2艦が!! こ、ここは穏便に済ませて、潮ちゃんをうまく丸めて逃走しよう)
阿武隈「じゃ、じゃああたし達はこれから4F行くんで……」
北上「ん、4Fって何があるの?」
大井「ゲームセンターとか、百円ショップ、おもちゃ売り場とか……まあそんな感じですね」
北上「ゲーセンかぁ……」
阿武隈「し、失礼します! 潮ちゃん、いこっ!!」
潮「え、ちょっ!?」
大井「あ、露骨に逃げやがった……ちっ」
北上「阿武隈は逃げ出したってやつだね。なんでこんな嫌われてんのかねぇ、私」
夕立「あっ! 阿武隈ちゃんに潮ちゃん! 見つけたっぽい!」
五月雨「え、本当!?」
阿武隈「ええ!? 夕立ちゃんに五月雨ちゃん!?」
北上「しかしまわりこまれてしまった」
大井「運の無い子ね、あの子も……」
潮「え、ええと、夕立ちゃんと五月雨ちゃんもお買い物?」
夕立「そうだよー。やっぱ最新のファッションは、艦娘としてはチェックしとかないとね!」
北上「そうなの?」
大井「絶対そうってわけじゃないです」
五月雨「夕立ちゃんがお買い物に行くって聞いたので、私もついてきちゃいました」
夕立「五月雨も買いたい物があるんでしょ? 何だっけ?」
五月雨「今日はおねぎが特売日なんですっ!」
大井「主婦の鏡か、アンタは……」
阿武隈「逃げられなかった……」
潮「もうあきらめましょうよ阿武隈さん……」
北上「ネギの特売? じゃあもうネギ買って帰ればいいんじゃないの?」
五月雨「それがそう言うわけにもいかないんですよ! ネギの特売始まるの、5時くらいからで」
北上「なるほどね……ってまだ3時間もあるじゃん。どうするのさ?」
夕立「暇つぶしのお洋服タイムよ!」
潮「暇つぶしで3時間もお洋服見るの!?」
五月雨「結構夕立ちゃんは時間かかるよ?」
大井「私達は30分かからなかったわよ……最近の若い子って怖いわね」
北上「年的にも見た目的にも、私達はそんな変わんないはずなんだけどね。あー、でも若いっていいわ~本当」
夕立「急にババアっぽい!」
北上「おっと、ド直球に傷をえぐりにきますねぇこの駆逐艦は……」
阿武隈「ぐすん」
五月雨「え!? どうして阿武隈さんは泣いてるんですか!?」
北上「ああ、気にしなくていいよ。私達が近くにいるといつもそうだから」
大井「本当迷惑な話よね~」
潮「あの、あんまり阿武隈さんをいじめないで上げてください……」
阿武隈「い、いいの、潮ちゃん……あたしが強くならなきゃいけないんだから……えぐっ」
北上「ティッシュ上げるから、鼻かんできな」
夕立「北上さんの鼻かみティッシュ……」
大井「もう一回それ言ったら20発酸素魚雷ね」
夕立「それは嫌っぽい!」
五月雨「あ、そういえばみなさんはもうお帰りですか?」
北上「ううん、今からこの4人でゲーセン行くとこなんだけど」
潮「え、私も?」
阿武隈「け、決定済みですか!?」
大井「アンタらも暇なら来てみる? 五月雨はゲーセンとか行ったこと無さそうだけど……」
五月雨「な、ないですね……」
大井「それじゃあ行ってみないとね!」
五月雨「え?」
北上「それじゃあ、4階に向けて、しゅっぱーつ!」
潮「ま、待ってください!」
北上「んあ?」
潮「えっと、一応さっきの髪留め……買わせてほしいです! 阿武隈さんが選んでくれたものなので……」
阿武隈「う、潮ちゃん……!!」
北上「……あ、そう? じゃあ待ってるねぇ」
大井「あ、北上さんこの黒いブラなんてどうですか?」
北上「大井っち、戻してこようね」
―4F ゲームセンター―
北上「ほぉ……いいねぇこのやかましさ……砲雷撃戦を思い出すよ」
大井「実際あそこにシューティングゲームもありますしね!」
北上「とりあえず全部1回くらいはやってみたいねぇ……」
阿武隈(け、獣の目!!)
五月雨「うわぁ……!」
夕立「あ、あのぬいぐるみ可愛い! 取りたいなぁ……」
潮「ここが……ここが近代化センター……!」
大井「あながち間違ってはないわよね……」
北上「それじゃあ……水雷戦隊、ゲームセンター、行くよ!」
「「「おー!!」」」
―エアホッケー―
北上「ふっふっふ……さあ、挑戦者は誰?」
夕立「はいはーい! あたし、こういうのは得意っぽい!」
北上「へぇ……面白いじゃん」
夕立「エアホッケーで守ることをせず、ひたすら撃ちかえす技法で、そのプレイングの荒さから、別名狂犬とも呼ばれたこの夕立が……北上ちゃんと戦うっぽい!!」
北上「よし……いいよ、駆逐艦に負けるほど、重雷装巡洋艦は落ちぶれちゃいないからね……!」
大井「北上さーん!! ファイトー!」
五月雨「夕立ちゃんもがんばってー!」
北上「まずは先手……甲標的をくらいな!!」
夕立「ぽいっ!!」
北上「てりゃっ!」
夕立「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽっ!!」
北上「お、おおっ!?」
―ユーフォーキャッチャー―
五月雨「一生懸命、頑張りますね!」
大井「狙って狙って……アームはつかむ物じゃないわよ……」
五月雨「は、はい……緊張しますね……」
夕立「取れたっぽい? 取れたっぽい?」
潮「ど、ドキドキしますね……」
阿武隈「あたしも(北上さんと大井さんにはさまれて)ドキドキしてるわ……」
北上「お、おお……どうだ……!?」
ガチョッ
五月雨「うわっ!? あー……もう少しなのになぁ……」
『不幸だわ……』
北上「!?」
潮「こ、今度は私が……参ります!」
大井「しっかりやりなさいよー」
潮「……はいっ!」
夕立「あら、ちょっと外したっぽい?」
潮「うーん、だめでしょうか……?」
阿武隈「あ、でもこっちに倒れて……」
ボトッ
潮「あ、やった! ゲットです!」
大井「さすがの運ステータスね……」
北上「やったじゃん! おめでとー!」
潮「えへへ……!」
―レースゲーム―
北上「これは……私の持ってるやつとは全然違うね……マジ物のハンドルじゃん」
大井「最近はこういうのにもリアリティを出そうとしてるんですよね! さ、4人まで着任できるわよ」
北上「私はこれは見てるよ」
五月雨「わ、私も! ハンドルドジしてアレしちゃいそうなんで……」
夕立「どういうことなの……」
大井「そんじゃあ残ったのは……あ、阿武隈じゃーん」
阿武隈「ひぃっ!?」
大井「ほら、一緒に楽しむわよ! 座りなさい!」
阿武隈「は、はいっ!!」
潮(阿武隈さんすっかり飼いならされてるなぁ……)
夕立「それじゃああたしも!」
潮「こういうの……苦手なんですけどね……」
大井「それじゃ、やるわよ!!」
―シューティングゲーム―
北上「さあ、ゾンビ……どこからでもかかってきなさい!」
ズガン! ズガン!
ゾンビ『ぐぎゃああああ……』
北上「いいねぇ……やっぱ銃撃戦は楽しいねぇ……!!」
大井「北上さん、スイッチオーン!!」●REC
阿武隈「ま、まさかの常備ですか!?」
大井「当たり前じゃない! いつ可愛い北上さんが来るかなんてわかったもんじゃないわ! 3フィルム分くらいあるわよ!」
阿武隈「怖っ!!」
北上「五月雨、ゾンビ来てるよ!」
五月雨「は、はいっ!」
ズドドドドッ!!
北上「いい腕してるよ……これは成長が楽しみだね」
五月雨「あ、ありがとうございますっ!」
北上「このままノーコンティニュークリア、行くよ!」
五月雨「はいっ!!」
ドガーン!!
北上「あ……」
五月雨「た、体力……見てませんでしたね……」
北上「むぅー……大井っち、百円!」
大井「あの北上さんが見れるなら何億でも!!」
潮「お、大井さん……」
阿武隈「潮ちゃん見ちゃだめ……アレは多分貢いだりした人の末路みたいなものだから……」
夕立「……ソシャゲに課金するダメな人っぽい?」
阿武隈「ストレートすぎるよぉ!」
―2F 食品売り場―
北上「あー楽しかったぁ。まだちょっと気分が上がってるねぇ……魚雷かますゲーム機とかおいてあればよかったのになぁ」
大井「本当ですよねぇ」
潮「何か恐ろしい話してますね……」
夕立「あっちはあっちで気合入ってるっぽい」
五月雨「タイムサービス、タイムサービス……!」
阿武隈「うふふふ、色々な物があって目移りしちゃう……!」←もうどうにでもなれ!精神が来てる
北上「さて、そんで、ネギは?」
五月雨「うーん、多分もうすぐです」
『タイムサービスのお知らせです。今から1時間、新鮮なおねぎ145円のところ、一本で98円のビッグ特価を……』
五月雨「ダーッシュ!!」
北上「っ! 目の雰囲気が変わった……!?」
大井「走ってる時にこけそうな感じがまるでしないわ……!」
潮「すごい……五月雨ちゃんすごい!」
夕立「夜戦でもあれくらいできれば……」
阿武隈「ゆ、夕立ちゃん……」
北上「うあー、それにしてもすごいね……ネギに皆群がって……」
大井「そりゃあ安く買えるんですものねぇ……」
北上「ふぅん、何かよくわかんないけどさ。安いってすごいんだね」
潮「確かに、安いっていうのは素晴らしいことですよ!」
五月雨「取ってきましたぁ……」
北上「お疲れー、ってうわ……ほぼ小破じゃん」
五月雨「もみくちゃにされますからね……」
北上「いつもこんな大変なことしてんの?」
五月雨「提督におつかいを頼まれた時は、こんな感じです」
大井「駆逐艦も大変ね」
五月雨「いえ! 皆さんに役割があるので、お役に立ててうれしいですよ!」
北上「うーん、五月雨はいい子だね。特別になでなでしてあげよう」
五月雨「あ……えへへ」
大井「あー、いいなー!! 北上さん、私も……ぐふふっ」
北上「とりあえずよだれしまおう」
―ショッピングモール お外―
北上「うわ……もうすっかり真っ暗だね……」
大井「もう冬ですねぇ……」
北上「温かい物買っとけばよかったねぇ」
夕立「クリスマスも近いよー! どんなパーティーする?」
潮「パーティー……いいですね」
阿武隈「あたし、お菓子作ってきちゃおっかなー? 提督にいつもありがとうケーキとか、どうかな?」
五月雨「うわぁ! いいですね!」
北上「ふぅ……何か平和だねぇ」
大井「そうですね……こんな平和なんですよね、陸は」
北上「……まあ、それも私達が海で必死に防衛してるから、だけどね」
「えー、次どこいこっかー?」
北上「……?」
女子高生A「私もうこの辺でいいや」
女子高生B「えー? そんな事言わないでさぁ、ほら、ここの近くのおいしいお店知ってるし、行こうよー」
女子高生C「え、マジ? どんなお店?」
女子高生B「えー? そりゃお肉系っしょ!」
女子高生A「お肉……か」
女子高生C「あ、今行きたくなったんじゃないの?」
女子高生A「……ママに電話してみるから、待って」
女子高生B「えー、ママって! ウケるぅ」
女子高生A「悪い?」
女子高生C「ちょ、怒らないでって!」
北上「…………」
大井「北上さん?」
北上「……あ、ごめんごめん。かえろっか」
―夜 北上の部屋―
北上「……全身鏡の前、新しい服に身をつつんだ私……」
北上「慣れない匂いがするけど、いつか私の香りに染まって、それは気にならなくなるよね……」
北上「えっと、鏡、鏡……うん、こうしてると、普通の女の子だね」
ピーンポーン……
北上「……?」
ガチャッ
大井「あ、北上さん……大井ですって、もうその服着たんですか!? やっぱり似合いますね! 選んだかいもありました!」
北上「うん、これいいね。あがってよ」
大井「お邪魔しまーす♪」
北上「……このセーターとか耳当てとかさ、こうやって当てるとすっごく温かくて気持ちいいんだ」
大井「良かったです!」
北上「大井っち、連れてってくれてありがとね。特にシューティング、超楽しかったよ」
大井「あの時の北上さん、今日一のハイテンションでしたからね!」
北上「……また、できるかな?」
大井「え?」
北上「……何かさぁ、今日の帰り、普通の女子高生の女の子たちが、何か楽しそうに話しててさ?」
大井「え? ああ、そんな子たちもいましたね」
北上「それ見て、何かいいなぁって思っちゃってね」
大井「……………………」
北上「私達がいないと、深海棲艦に陸にいる人は、簡単に負けちゃうんだよ。でも、今日普通の女の子になってみて……何かいつまでも平和が続くような、そんな寝ぼけた感覚になっちゃってさ」
大井「北上さん……」
北上「でも、ここに戻ってきたら、この服着ても、何か現実見ちゃうんだよね。ああ、明日も出撃かなーって。もしかしたら死んじゃうのかもしれないんだよなーって」
北上「なーんかこう、言いづらいけど……すごい、うん……ね」
大井「……行きましょう?」
北上「……え?」
大井「次も、その次も、またまたその次も……絶対、絶対に行きましょう? 私達は艦娘として、安泰を命かけて守らなくちゃいけない。でも、今日で分かったと思います。だからといって……」
大井「……私達が戦う機械でいる必要はないんです」
北上「……大井っち」
大井「皆それぞれの気持ちがあって、色々な理由があって戦ってる。まだ見つかってないお姉さんを助けるために戦ってる人や、妹を守るために戦ってる人、ただただ戦闘が好きなお馬鹿さんとか、それこそ皆を守るために戦ってるような子だって……でもその子達は、皆死との恐怖と常に戦ってるわけじゃないと思うんですよね」
北上「確かにね……」
大井「だから、遊ぶときは思いっきり遊びましょうよ。北上さんも!」
北上「……うん、私、もっと色々な世界、見てみたいよ」
北上「ショッピングとかだけじゃない。もっともっと平和になった世界とか、皆が仲良くしてる世界とか……そういう世界も見てみたいなぁって、何か今思ったんだ」
大井「……はい」
北上「そのためにも、大井っちと私の最強コンビで……明日も平和のために頑張ろう!」
大井「ふふっ、ちょっと臭いですけど、私こういうの、嫌いじゃないですよ?」
北上「……うん、頑張ろうね、大井っち!」
大井「はい! 北上さん!」
―翌日 鎮守府―
提督「それでは、今日の総員の任務を確認する! 北上、大井!」
大井「はーい」
提督「第一艦隊にて敵輸送艦を撃破せよ!」
北上「あいよー」
提督「旗艦は北上に任せる、戦隊を編成してあるから、出撃だ!」
北上「了解」
―ある海域―
北上「ふぅ……さて、大井っち、用意はいい?」
大井「もちろん、北上さんと私が組めば……最強ですからね!」
北上「そうだね……あははっ、何か今日は体が軽いよ」
大井「私もです……!」
北上「さ、そんじゃ、行きますか……」
北上「第一艦隊旗艦、北上!! 砲雷撃戦、用意!!」
―END―
というわけで、これにて無事終了。
ただショッピングに行くだけの山も落ちもない話でしたが、こういうのんびりした感じも大好きです
読んでくださった方、ありがとうございました。
次はどんなの書くか、まだ考え中です。
このSSまとめへのコメント
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