やすな「ソーニャちゃん、私ちょっと購買に行ってくるね」
ソーニャ「ああ」
やすな「ふっふっふ」
ソーニャ(……?)
ソーニャ「あいつにやけながらなんか机の上においてたな……」
ソーニャ「どれ」
ソーニャ「えーと、なになに……キン肉マン?」
ソーニャ「何だこれ? 漫画か?」
やすな「ふふふ、かかったねソーニャちゃん!」
ソーニャ「いや別になんにもかかってないと思うけど」
やすな「その漫画に興味があるんだね」
ソーニャ「いや別に無いっ」ポイッ
やすな「もう、そこは嘘でもあるッていうところだよ!」
ソーニャ「私はマンガとか読まないし、お前が読んでるとなるとますます読む気はない」
やすな「ひどーいソーニャちゃん!そこまで言わなくても」
ソーニャ「お前は最近調子に乗ってるからな、これでも優しいくらいだぞ」
やすな「優しくないじゃん! もう、今度は購買に行ってくるから」
ソーニャ「ふぅ……やっと行ったか」
ソーニャ「それにしてもなんでおでこに肉という字が書いてあるんだ……」
やすな「ふふふ……」
ソーニャ(……無視しとこう)
ソーニャ(ちょっと読んでみるか)
ソーニャ(えーっと主人公はこの豚顔のマッチョで……ギャグ漫画なのか)
ソーニャ(絵柄も古いしギャグの風刺も古い……結構昔のマンガか……)
ソーニャ(……おっプロレスが始まった……おおこれはなかなか)
ソーニャ(……)
やすな(ふふふっ)
やすな(私はこの時を待っていたのさ……
ソーニャちゃんは殺し屋……暗殺術……プロレス技
キン肉マンに熱中するはず)
やすな(殺し屋なんて危険な仕事私が辞めさせてやる!)
ソーニャ「ほーこれは……」
やすな「くらえ! 私のフェイバリットホールドのパロスッ……ぐへっ!」
ソーニャ「……こんな技もあるのか」
やすな「忘れてた……この技は後ろからの攻撃だった……」
ソーニャ「お前何でそこで寝転んでるんだ? 大丈夫か?」
やすな「ソーニャちゃんがぶったんじゃんかー」
ソーニャ「ええっ? ああそうか悪かったな」
やすな「せっかくパロスペシャルきめようと思ってたのに~」
ソーニャ「パロスペシャル? 何がスペシャルなんだ?」
やすな「あれまだそこまで読んでないの?」
ソーニャ「何の話だ?」
やすな「いい? ソーニャちゃん、パロスペシャルというのはこのページの技の事」
ソーニャ「こいつのか?」
やすな「そうそうウォーズマンのフェイバリットホールドなんだよ」
ソーニャ「えっとこんな感じか?」
やすな「えーと……もうちょっと手をつかむ位置は上だよ」
ソーニャ「そうか……じゃあここをこうか」
やすな「うん、そうそう……その体制で大丈夫だよ」
ソーニャ「そうか……ありがとなっ!!」
やすな「しまった! ぎゃあいたい!」
やすな「酷いよソーニャちゃん!」
ソーニャ「うっせー!! お前だって私にかけようとしただろ!」
やすな「うう……どうせかかんなかったよ」
やすな「っていうか……シャレにならないよこの技!!」
ソーニャ「許してやる」
やすな「くそう、ホントにこんなに抜け出せないとは……」
ソーニャ「で、なんでこんな漫画持ってきてるんだ?」
やすな「ソーニャちゃんに対抗できるように読み始めたんだけど
面白かったからソーニャちゃんにも読ませてあげたいと思って」
ソーニャ「うん……そうだな確かに暗殺に応用できるかもしれない」
やすな「しまった! 少年漫画の技が暗黒面に落ちてしまう」
やすな「そんなことに使わないでよ? ごっこ遊びの為に持ってきたんだから」
ソーニャ「またなんかやる気か?」
やすな「放課後にキン肉マンごっこをやるよ!!」
ソーニャ「そうか……一人遊びも大変だな」
やすな「一人じゃないよ! ソーニャちゃんもやるんだよ」
ソーニャ「お前なぁ……そんな小学生じゃないんだから」
ソーニャ「もっと有意義なことに時間を使えよ」
やすな「えーっ自分だってさっきやってたくせに」
ソーニャ「いやあれはだから……」
やすな「自分のことを棚に上げるなんて……駄目だよ?」
ソーニャ「……くっ! ……お前に言われるとなんかむかつく」
やすな「」
ソーニャ「わかったわかった……つきやってやるよ」
やすな「わーい! さっすがソーニャちゃん話がわかるぅ~」
ソーニャ「今までの流れ見てそんな風に見えるか?」
やすな「ソーニャちゃんはやっぱりウォーズマンをやらないとね」
ソーニャ「ああさっきのやつか……」
やすな「ウォーズマンはロシア出身のロボ超人なんだよ!」
ソーニャ「ロシアか……なら私と同じ出身だな」
やすな「冷酷さも似てるし、ソーニャちゃんも実はロボットなんじゃないの?」
ソーニャ「さっきのやつもう一回かけられたいのか?」
やすな「へっ……そんな脅し……き、聞かないよ」
ソーニャ「そんな痛いのかあれ……技の中に入れておこう」
やすな「……やめて……健全な少年誌の技をそんな風に使うのは」
ソーニャ「いい技があったら使うしかないだろ」
ソーニャ「ところでお前はどのキャラなんだ」
やすな「ふふふっ、やっぱり私は奇跡の逆転ファイターキン肉マンだよ! 日本代表だし」
やすな「最初は劣勢だけど、どの試合にもギリギリで勝つ感動ファイトを送るんだよ」
ソーニャ「この豚顔のキャラがねぇ……で、お前にそんなたいそうなキャラが演じられるのか?」
やすな「へのツッパリはいらんですよ」
ソーニャ「言葉の意味は分からないがすごい自信だな」
やすな「おっ! ソーニャちゃんわかってるねぇ……このこのっ」
ソーニャ「おいなんだよ! 肘でつつくなっ!」
やすな「いやぁお決まりのセリフにお決まりで返すとは
……実はソーニャちゃんこの漫画大好きなんじゃないの?」
ソーニャ「はぁ? 何のことだ?」
やすな「ほらこのページのこのコマの……」
ソーニャ「……お前っ」
やすな「いやあれはソーニャちゃんが勝手に返してきただけだしっ!」
ソーニャ「問答……無用っ!」
やすな「ひっ! ソーニャちゃんの鋭いキックが!」
やすな「えーっとこんな時は……そうだっ!」
やすな「ふふっ! 肉のカーテンっ!」
ガァァァン
ナンダナンダ スゴイオトダッタナー
ソーニャ(ん? 確かにあたった感じはしたが……少し感覚が)
ソーニャ「靄が晴れていく……」
やすな「うっ……強烈なキックだねソーニャちゃん」
ソーニャ(何? なんでこいつ立ってられるんだ?)
ソーニャ「もう一発っ!」
ガァァァン
マタダ ナンナンダローナ
ソーニャ「全身全霊を込めたパンチだ……いくら丈夫なあいつでもこれは耐えられんだろう」
ソーニャ「また靄か……」
ソーニャ「えっ! なんだと!?」
やすな「へへへっ……いいパンチだねソーニャちゃん」
ソーニャ「信じられん……やすなが私の攻撃に耐えている……」
ソーニャ「しかも顔の前を両手でガードするだけでなんて……」
ソーニャ「おいっ! お前っ! なんかイカサマしてるんじゃないだろーな?」
やすな「私もちょっと信じられないんだけど……技ができちゃった」
ソーニャ「技?」
やすな「肉のカーテン……漫画の中のキン肉マンの技」
ソーニャ「肉のカーテン? どのページだ?」
やすな「えっと……このページだよ」
ソーニャ「……信じられんこんな技があるとは」
やすな「私もびっくりしてるよ」
やすな「……もう一回蹴ってみて」
ソーニャ「いいのか?」
やすな「うん」
ソーニャ「行くぞっ……ふんっ!!」
ガァァァン
やすな「やっぱり……できてる!!」
ソーニャ「……」
やすな「……ふふふこれさえあれば……」
ソーニャ「お前まさか……」
やすな「止めないでソーニャちゃん……もう決めたんだよ」
ソーニャ「待て早まるなっ!」
やすな「びっくり人間ショーに出られる!」
ソーニャ「……」
ソーニャ「いや……そうだよな、ハハ心配した私がばかだった」
やすな「わーっ! 自分でバカって認めたーっ」
やすな「やーいバーカバーカっ」
ソーニャ「うるせぇ!」
やすな「なんの! 肉のカーテン!」
ガァァァァァン
ソーニャ「はぁバカで体が丈夫だと思ってたけど……ここまでバカだったなんて……」
やすな「……」
ソーニャ「はぁ疲れたから今日はもう帰る、それじゃあ」
やすな「待ってソーニャちゃん! 私きめたっ!」
ソーニャ「何だよ?」
やすな「私超人になる!」
ソーニャ「すまん……前に頭を殴り過ぎたか」
ソーニャ「なるったって……それ漫画の話だろ?」
やすな「実際に技ができてるから……何とかなるよ!」
ソーニャ「ずいぶんとお気楽な論理的推論だな」
やすな「ジェロニモだって人間から超人になったんだよ!」
やすな「よーし燃えてきた! それじゃ超人になってくる!」
ソーニャ「いやだからあれは……まぁいいや」
ソーニャ「それじゃ私は帰るから」
第一章 完
~2か月後~
ソーニャ「おっ今日は雨か……」
ソーニャ「……いかんいかん感傷的になっちゃ駄目だ」
ソーニャ(……)
ソーニャ(……)
先生「えーそれで、ここがこうあるからして」
ソーニャ「……ふぅ」
今までと何にも変わらない日々
ぐるぐると同じような時間が流れていく
しかしその中に彼女はいない
そう折部やすなはここにはいない……。
ソーニャ「あのバカもいるとうるさいけれど、いなくなったら張り合いがないな」
ソーニャ「まぁおかげでこうして静かに学園生活が送れるわけだが」
ソーニャ(……)
ソーニャ(あいつまさか死んでたりしないよな?)
ソーニャ「今日はとっとと帰るとするか……」
______________________
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ソーニャ「……あいつ今日は休みか」
ソーニャ「風邪でもひいたのか? まあどうでもいいが」
先生「ん?折部は休みか……ソーニャは何か聞いてないか?」
ソーニャ「いえ何も」
先生「そうか……後で家に連絡してみるか」
次の日
ソーニャ(今日も休みか……バカのくせにこじらせたか)
先生「えーっ、実はみなさんに言わなければならないことがあります」
先生「折部さんの事なのですが……」
男子生徒「折部?ああそういえば休んでるな」
ソーニャ(何だ?)
先生「一昨日の夜に手紙を置いて家から出て行ったそうで、
親御さんが現在捜索願を出しているそうなのです」
先生「世間一般的にみると行方不明といった扱いになるのかもしれません」
ソーニャ(あいつ……マジでなんかしたのか……)
ソーニャ(そういや、超人になるとか言ってたな……よく意味は分からないが)
先生「大変心配です……一刻も早く見つかることを祈っています」
先生「それでは授業を始めましょう」
ソーニャ(……後で手紙について聞いてみるか)
___________
_______________
それからの2か月、あいつについての情報はほとんど出ることがなく
その中で唯一わかったことはアフリカに単身で渡ったということだけだった。
ソーニャ「それにしてもなぁ……手紙の内容がこれだもんな」
母・父よ
超人になるための修業に出ます
探さないでください
ソーニャちゃん
超人になって帰ってくるから
待っててね!
ソーニャ「……」
行方不明の生徒がいるという噂は学校中に広まり、全校生徒が噂をするようにまでなった
死亡説やら宇宙人にさらわれたやらいろんな説が飛び回っていたけれど
10日もするとそんな噂はほかの新しい情報にかき消され話題に出ることは少なくなっていった。
ソーニャ「やっぱり死んでるかもな……」
どうでもいいやつのはずなのに
なぜか死んでるのではないかと思うと胸のあたりが苦しくなってくる。
あぎり「あっソーニャ久しぶり~」
あぎり「河川敷で何たそがれてるの?」
ソーニャ「ああお前か……いやなんでもない」
ソーニャ「最近疲れてるから涼しい風に当たってるだけだ」
あぎり「そうなの、私もご一緒していいかしら」
ソーニャ「ああ、好きにしろ」
あぎり「やすなちゃん元気かしらねぇ」
ソーニャ「ふん! アフリカに単身渡航したんだ」
ソーニャ「どうせどっかの砂漠でへばってるだろう」
あぎり「そうよね~準備なしに行くのは私たちでもきついからね」
あぎり「でもあの子丈夫だから、どこかの商店でウエイトレスとかしてるかも」
ソーニャ「……」
やすな『くそう! 言葉がわからないっ』
ソーニャ「いやないだろう」
あぎり「忍法千里眼の術~」
ソーニャ「いきなりだな」
あぎり「ソーニャこの筒をのぞいてみて」
ソーニャ「ああ、ここだな」
ソーニャ「おおっ! あいつがなんか特訓してる光景が見える」
あぎり「はい、じゃあ場面転換」
あぎり「ちょっと目をつむってね」
あぎり「あれ? うまく入らない」
ソーニャ「絵を入れ替えてるだけだろ?」
あぎり「違いますよー」
ソーニャ「いやそうだろ……まったく、こんなことだろうと思った」
ソーニャ「それじゃあ私は帰るから」
あぎり「それじゃあね」
ソーニャ(あいつめ、忍者のくせに本当に忍術使えるのか?)
ソーニャ「まったく……」
ソーニャ「帰って寝るか」
ソーニャ「……」
~次の日~
先生「それでは授業を始めます」
ソーニャ(すっかりいないことが当たり前になってるな)
ソーニャ(まるで最初からあいつはいなかったみたいだ)
ソーニャ(あいつやたらと私に絡んできたからな……うざくて仕方なかったけどそれが当たり前になっていた)
折部やすなは本当に存在したのだろうか?
もしかして私が勝手に作り出した幻想の人物なのかもしれない……
ソーニャ「なんてね」
ソーニャ(あいつのうざさは今でも覚えてるし……あんなにうざい顔は忘れられないだろうな)
窓の外を見るときれいな青空とのどかな町の風景が広がっていた
ぼけっと外を眺めていると、あのうざい顔がその中に浮かびあがって
今にも「ソーニャちゃーん」と呼びかけてくるようだった
ソーニャ「おかしいな……どうしたんだ私」
ソーニャ「窓の外に人の姿を思い浮かべるなんて……疲れてんのかな」
その顔は笑顔でクラスを興味津々で見つめているようだった
風で髪がゆれて鼻にかかり、くしゃみをするような顔に……って
ソーニャ「おいっ! お前何やってるんだ」
やすな「久しぶりソーニャちゃん!!」
ソーニャ「なんで窓の外にいるんだ……ってかここ2階だぞ?」
ソーニャ「あれっ? やっぱり私がおかしいのか?」
やすな「いやいや私だよ私! ひどいなぁ顔も忘れちゃったの?」
ソーニャ「いやお前はやすなだろ!! そこはわかってるなんで2階に顔をだしてるんだ」
ソーニャ「あっ! わかった梯子かなんか使ってるんだろ」
ソーニャ「くそっ! わざわざそんな手の込んだことして驚かせやがって」
やすな「いや……私は別に驚かせようだなんて」
ソーニャ「梯子から落としてやる!!」
やすな「やめてっ! それ死んじゃうから」
ソーニャ「そんなのしるかっ! でやっ!」
ソーニャ「……梯子がない?」
やすな「やーい! 引っかかったー!」
ソーニャ「くっ……」
ソーニャ「あれ……お前浮いてないか?」
やすな「そりゃ超人だもん飛ぶことぐらいお茶の子さいさいだよ」
ソーニャ「これは夢だな……人が空を飛ぶなんて聞いたことがない」
ソーニャ「先生今日は帰ります」
やすな「あっソーニャちゃんが現実逃避してる」
ソーニャ「まあそんなわけでとりあえず河川敷まで来たわけだが」
やすな「いやほんとに2か月ぶりぐらいだねぇ」
やすな「なつかしいよ」
ソーニャ「最初に一つだけ言っておくことがある」
やすな「うんうん」
ソーニャ「お前なんだこの手紙は!」
やすな「えっ! 何さっきの浮遊術を聞くんじゃないの?」
ソーニャ「そんなのどうでもいい! こんな文章じゃ失踪したとしか思えないぞ!」
やすな「雰囲気出そうと思って」
ソーニャ「物語ではいいかもしれないけど、現実じゃアウトだ」
ソーニャ「まったく親御さんにまで散々心配かけて……ちゃんと謝ったのか?」
やすな「うん、謝ってきたよ……」
やすな「悪いことしちゃったな……反省してる」
ソーニャ「そうか……ならいいが」
やすな「でも超人になったと知った時は泣いてよろこんでたんだー」
ソーニャ「お前の言う超人がよくわからない……それは冗談で言ってるのか?」
やすな「冗談じゃないよ」
やすな「過酷な特訓と試練の上で超人の神様たちに認められて私は超人になったんだ」
ソーニャ「ふーん」
やすな「あれ? 驚かないね?」
やすな「『なんだってー』ぐらいは言わなきゃ」
ソーニャ「さっきの浮いてるの見ていろいろ感覚が麻痺してきた」
ソーニャ「まぁあってもおかしくはないんじゃないか」
やすな「意外と素直だね」
ソーニャ「殺し屋の世界にも裏の世界の住人がいて、私達じゃ太刀打ちできないやつらがいるらしい」
ソーニャ「そいつらもしかしたらその超人ってやつらなのかもしれない」
とりあえずここまでです
続きは明日書こうかなと
やすな「へー、殺し屋世界にもそんなのが……」
やすな「あっ!! それってもしかして悪行超人ってやつなんじゃ」
ソーニャ「悪行超人?」
やすな「超人にもいろいろな種類があるんだよ、例えば私は正義超人だし」
ソーニャ「正義超人……お前が正義」
ソーニャ「世も末だな」
やすな「もうソーニャちゃんったら、相変わらずひどい~」
ソーニャ「それで超人になったらしいが……超人は何をするんだ」
やすな「……さあ?」
ソーニャ「お前な……何か目的があるからなるかと思ってたのに」
やすな「だってなることが目的だったから」
ソーニャ「まったく……ん?」
ソーニャ「くっ……ナイフがっ」
カッカッカッ
ソーニャ「くっ」チラッ
やすな「ひ、ひえ~」
ソーニャ「なんだ? 刺客か?」
ソーニャ「最近そんな話は聞いてなかったが……」
???「ふっふっふっ」
ソーニャ「誰だっ! お前は」
???「まさか忘れたとは言わせないぞこの顔をっ」
バサッ
ソーニャ「くっ……」
やすな「あっ、あなたはまさか」
殺し屋a「ふふふ、久しぶりだな」
やすな「……」
ソーニャ「……」
やすな「えーと……」
ソーニャ「どっかで見たような」
やすな「ソーニャちゃん誰だっけ?」ヒソヒソ
ソーニャ「うーん……私にもわからん」ヒソヒソ
殺し屋a「ええっ、もしかして忘れられてるっ?」
やすな「……はい」
ソーニャ「誰だお前は?」
殺し屋a「くそう、まさか忘れられているとは……私は」
あぎり「私が説明しますよ~」
やすな「あっ、あぎりさん」
やすな「いろいろありがとうございました……助かりましたよ」
あぎり「いやいやいいのよ~」
ソーニャ「?」
殺し屋a「お前はあの時の忍者また空気を読まずに邪魔して」
あぎり「この人は原作の1巻に出てきた刺客の人で私のブーメランでやられた人ですよ~」
ソーニャ「あーそういえば、そんな奴いたな」
やすな「あの時はいきなりナイフ飛んできて怖かったな……」
やすな「『まさか忘れたとは言わせないぞこの顔をっ』とか言っといて覆面かぶってるからね」
ソーニャ「うんうん」
殺し屋a「またいろいろとられた……まあいい」
ソーニャ「それでまた私を殺しに来たのか? 懲りない奴だ」
殺し屋a「いや今日のターゲットはお前ではない」
ソーニャ「なに?」
殺し屋a「今日のターゲットはお前だ! そこにいるお前!」
ソーニャ「あぎりか? この前倒されたというのに」
殺し屋a「違う! 折部やすなだ」
ソーニャ「は?」
やすな「えっ、えっ? 私?」
殺し屋a「そうだお前だ」
ソーニャ「まさか前に倒されたから私怨で殺しに来たとかじゃないだろうな」
殺し屋a「失礼な、私もプロなんだ……依頼されたこと以外はせん」
やすな「でも……なんで私?」
殺し屋a「ふふふ……聞くところによると最近超人になったそうじゃないか」
ソーニャ「あっ」
殺し屋a「しかも正義超人にな」
やすな「おおもう結構な有名人になってるのかな」
殺し屋a「そりゃあ超人界では有名になってるよ」
殺し屋a「馬鹿で丈夫な人間が超人になったと」
ソーニャ「それでなんでやすなを狙ってるんだ? それだけのはずないだろ」
殺し屋a「ああ……私達殺し屋超人は裏から世界を配することを秘密裏に計画している」
ソーニャ「なんだと……そんな話聞いたことないぞ」
殺し屋a「それで正義超人になった奴は片っ端から早いうちにつぶせという上からの命令が下っている」
殺し屋a「だからここで倒す! 折部やすな!」
やすな「うわっ」
あぎり「ストップでーす」
やすな「あぎりさん助けてくれるんですね!」
殺し屋a「なっ、また邪魔をするのか忍者め」
あぎり「あなたさっき私達殺し屋超人がって言いましたよね?」
殺し屋a「ああたしかに言ったが」
ソーニャ「ん?」
あぎり「超人同志戦う際はリングの上で これ常識」
やすな「へっ?」
殺し屋a「ああっそうだった忘れてた」
あぎり「ってことで、忍術手品の術~」
ソーニャ「おい名前に手品って入ってるぞ」
あぎり「ここに何の変哲もない大きな布があります」
あぎり「これを地面にひきます」
ソーニャ「……」
あぎり「皆でこの布の端を持ってください」
やすな「?」
殺し屋a「こうか」
ソーニャ「持ったぞ」
あぎり「はーい、それでは私の声と同時にひき上げてください
いいですか?」
あぎり「それでは、いち、にのはいっ」
あぎり「はいこの通り~」
ソーニャ「おおっ」
やすな「これは……」
殺し屋「ゲ、ゲェェェェ 布の下から何の変哲もないリングが出てきやがった!」
ソーニャ「すごいな……でもなんでリングなんだ」
あぎり「それはですねぇ」
あぎり「キン肉マンの漫画を読めばわかります」
ソーニャ「ああそうか超人だからリング上で戦うのか」
やすな「えっ待って! 急展開だから忘れてたけど私がこの上で戦うのっ?」
殺し屋a「今更何を言っているんだ? 超人になったという事は過酷な戦いの日々を受け入れると覚悟したんだろう」
やすな「えっ! そうなの!? そんな話聞いてないよっ」
ソーニャ「そういいつつも、リングの上に乗ってるじゃないか」
やすな「本物かどうか調べてたんだよ~」
あぎり「リング上なら問題ありませんよ~」
殺し屋a「そうか助かったぞ忍者 では行くぞっ!」
やすな「うわっ! ナイフとか構えないでっ」
ソーニャ「面白そうだから見とくぞ、頑張れ」
やすな「助けてよ~ソーニャちゃん」
今日はこの辺で書き終えます
毎日はかけないと思うけれど
ちょくちょく20レス位書いていこうかなと
ソーニャ「相手の狙いはお前なんだろう? 自分で何とかしろ」
やすな「えっー、そんなこと言わないでよぅ」
あぎり「まだですかー?」
やすな「あぎりさんがなぜ審判の恰好を!?」
あぎり「私がレフリーをやります」
殺し屋a「おお、忍者がレフリーなんてできるのか?」
あぎり「任せてください、大丈夫です」
殺し屋a「そうか、じゃあ任せた」
ソーニャ「もう準備はできたみたいだがお前は大丈夫なのか?」
やすな「うう……」
殺し屋a「早く準備しろ」
あぎり「……」
やすな「うう……」
やすな「うわーっ! 絶対無理ー!」
ソーニャ「あっ逃げた」
殺し屋a「お、おいっ! 待てっ!」
あぎり「早くしないと不戦勝になってしまいますよ~」
ソーニャ「あいつもうあんな所まで行ってる」
あぎり「ソーニャ追いかけなくていいの?」
ソーニャ「なんで私が?」
あぎり「……」ジーッ
ソーニャ「お、おい……わかったわかった」
やすな「はぁ……はぁ」
やすな「戦うなんて絶対無理だよ」
やすな「死んじゃうかもしれないのに……」
???(それでホントにいいのか?)
やすな「誰っ!? 何この声はっ!?」
???(ホントに逃げていいのか? それで超人といえるか?)
やすな「でもっ……そんなこと言ったって死ぬかもしれないし」
???(お前の友達は仕事で死と直面している……正義超人がなすべきことは
自分の体を持って世界中の人々を守ること)
やすな「はっ! そうか」
???(体は自分のものだけれど、自分だけのものではない……
超人の体は世界を守るためにあるのだ……)
やすな「これは私だけの戦いじゃない……誰かを守るための戦いなんだ」
???(そうだ……そのことをわかればいい)
やすな「誰だか知らないけれど、ありがとう! 私戻らないと!」
???(頑張ってこい)
やすな「よしっ……行かなきゃ」ダッ
???(……)
???「……オラも甘くなったズラ」
ソーニャ「まったく……あいつどこまで行ったんだ」
やすな「おーーい、ソーニャちゃん」
ソーニャ「あっ、いたっ」
ソーニャ「逃げないで戦えよ」
やすな「うん……わかってる、急いで戻らなきゃ」
ソーニャ「え?」
やすな「お願いがあるんだけど、セコンドについてくれない?」
ソーニャ「あれ? お前なんか悪いもんでも食べたか?」
やすな「食べてない、真剣にお願いしてるの」
ソーニャ「そうか、まぁセコンドぐらいならなってやってもいいが」
やすな「ありがとう、じゃあ行くよ」
ソーニャ「おい! あんまり引っ張るな」
殺し屋a「帰ってこないな」
あぎり「そうですねぇ……これだと不戦勝に」
やすな「待った!」
殺し屋a「来たか……」
あぎり「間に合いましたねぇ……戦うつもりはありますか~?」
やすな「はいっ!」
あぎり「わかりました~では~」
あぎり「やすな選手、リング上へあがってください~」
先生「ちょっと待った」
殺し屋a「また邪魔か」
男「俺たちが」
先生「解説役を」
男「うけるぜ」
ソーニャ「あれ? まだ授業やってる時間じゃ?」
あぎり「ではお願いします」
殺し屋a「解説なら仕方がないな」
あぎり「解説だからね~」
ソーニャ「いや納得できん」
先生「さあ、この何もない河川敷にぽつんと置かれた純白のリング上で
今まさに超人同士のプロレスが始まろうとしています!!」
ガヤ「おっなんだなんだ? なんか始まるのか?」
主婦「あらこんなところリングなんてあったかしら?」
先生「では選手の入場から始めます!」
先生「殺し屋超人の冷酷なナイフ使い! 殺し屋a!!」
ガヤ「ナイフだってー?」
主婦「あらやだ物騒ね」
先生「これに対して反対のコーナーからは、丈夫なバカ!
正義超人期待のバカルーキー! 折部やすな!」
モブ「バカなのか~」
主婦「あらやだあの子バカなのね」
男「そして本日実況します! 男です!」
先生「解説の先生です!」
男「いやー先生まさか超人プロレスが見られるとは思いませんでしたねぇ」
先生「ホントですよ、街中でいきなりは中々ないですからね」
殺し屋a「……」
やすな「……」
あぎり「……」
ソーニャ「……」
ガヤ「早くはじめろーっ!」
主婦「夕飯の準備があるのよー!」
男「わあっ、実況席に空き缶を投げ込まないでください!!」
先生「前ふりはやめて始めた方がいいようです」
男「それでは開始の合図を待ちましょう」
あぎり「それでは二人とも~用意はいいですか~?」
殺し屋a「ああ」
やすな「はいっ」
あぎり「それではやすな選手vs殺し屋a選手の一本勝負を始めます」
あぎり「レディゴー!」
カァァァン
男「さあ戦いのゴングが今高らかに鳴り響きました」
男「二人の戦いはどのようになるでしょか先生?」
先生「そうですね……資料によりますと殺し屋aの技は巧みなナイフ攻撃となっています」
先生「私自身その技を見たことはないのですが聞いた話では恐ろしく芸術的な技だと聞いています」
先生「やすな選手はそれに苦戦する試合になるのではと考えています」
男「そうですか、ということはやすな選手に勝ち目はないということでしょうか?」
先生「いえ、やすな選手もデビュー戦ということもあり技を公開していません」
先生「見事な技で不意打ちで勝つ展開が考えられます」
男「なるほど」
先生「まあでもテクニックの面で殺し屋aが勝るのでやすな選手には苦戦する試合になるでしょうね」
男「なるほどありがとうございます……ではリングはどうなっているでしょうか」
男「二人ともその場から動かず、相手の出方をうかがっています」
やすな「へっ……来るならきなよベイベーッ」
殺し屋a「簡単な挑発には乗らんぞ」
ソーニャ「いいか! 相手の動きを見切るんだ!」
ソーニャ「攻撃方法を見て覚えてから、攻めないと相手のペースにはまるからな」
やすな「わかったよソーニャちゃん」
殺し屋a「ふふっ、見切れるならの話だがな」スチャッ
やすな「……」
男「おっと、ここで殺し屋aがナイフを構えた」
殺し屋a「喰らえっ!」
カッカッ
やすな「うわっ」
男「おっと! ここで殺し屋aはナイフ投げを行いました」
ソーニャ「超人なのにただのナイフ投げか?」
やすな「びっくりしたけど、ただのナイフ投げ? 拍子抜けしちゃった」
殺し屋a「これを見ても言ってられるかな?」スチャッスチャッ
やすな「えっ!?」
男「おっとこれは一体どういうことなんだ? 殺し屋aの手に無数のナイフがあります」
殺し屋a「ふふふっくらえ! 必殺100本のナイフ!」
カッカッ
やすな「うわっ」
カカカッ
やすな「うわああっ」
ソーニャ「やすな!? 大丈夫か?」
男「おーっと! なんということでしょう、殺し屋aから無数のナイフがこれでもかといわんばかりに
やすな選手へ向かって襲い掛かります!!」
男「これはまるでナイフの雨! ナイフの豪雨であります」
ソーニャ「くっ、やすなっ! 大丈夫か」
男「これほどの攻撃をまともに受けたら服はともかく、ひどいダメージを受けることになるでしょう」
殺し屋a「ふふふっ、私のこの攻撃は並の超人ではよけられん」
解説「いやーっ素晴らしい攻撃ですね……ただ一度破られると後には役に立たない攻撃ではありますが」
男「そうですね……しかしやすな選手は大丈夫なのでしょうか?」
男「あっ! 靄が晴れてきましたっ!」
ソーニャ「おおっ!」
あぎり「あら」
殺し屋a「何だと!?」
やすな「ひゅーっ! 全部、よ、よけれたーっ!」
殺し屋a「な、信じれん……」
男「なんとやすな選手! あの豪雨をかいくぐって雨宿りをしていたようです!」
先生「たいしたやつだ……」
やすな「ソーニャちゃんのナイフ投げをよけてたら、こんなの全然遅く感じちゃうよ」
やすな「ソーニャちゃんのおかげだねっ」
ソーニャ「ああ、そうか……」
ソーニャ「あっ、気をつけろ!」
殺し屋a「まさかこの技をよけるとは……驚いた」スチャ
殺し屋a「しかしこれは避けられないだろう!!」
男「またナイフ投げです」
やすな「ふふん! バカの一つ覚えってやつだね」
ソーニャ(いや……奴もプロだ一度外した技はしてこないはず)
ソーニャ(何かあるはずだ……ん? やすなの足元のナイフが……)
やすな「避けながらパンチを繰り出しに行くぞー!」
ガッ
ソーニャ(あっ……)
ソーニャ「やすなー! 足元だっ! 足元のナイフっ!」
やすな「へっ?」
ザシュ
やすな「うっ……」
殺し屋a「くっ……セコンドの助言で直撃は免れたようだ」
男「おーっとなんということだ! 殺し屋aの投げたナイフはよけたものの
投げ終わって床に刺さっていたナイフがやすな選手に向かっていったー!」
やすな「ひえ~っ……右腕が」
男「やすな選手! 直撃は免れたものの、ナイフが右腕をかすめてシャツが少し破れています」
ソーニャ「なんだ? なんで床のナイフが?」
殺し屋a「ふふふ教えてあげよう」
殺し屋a「実は私はナイフを自由自在に操ることができるのだ」
殺し屋a「生まれたときからナイフとともに生活をし、物心がついたときにはナイフが宙を舞っていた」
ソーニャ「そうか……超人だから」
殺し屋a「今までのはただの練習なんだ」
殺し屋a「戻れ! ナイフたちよ」
カッカッカッ
スススッ
男「何とこれは驚いたっ! 殺し屋aの上空に無数のナイフが佇んでいるー!」
やすな「ううっ……」
殺し屋a「ふふふっ、これで最後にしてやる!」
殺し屋a「行け、ナイフの豪雨よ!」
男「おおっと! これはすごいぞ!」
男「先ほどまでの直線のナイフ攻撃ではなく、滑らかに無数のナイフがやすな選手へ向かっております」
ソーニャ(これはやばいんじゃないか……)
男「無数のナイフが塊となって向かっていく!まるでイワシの群泳のようだーっ!」
モブ「ゲェェェェェ ナイフが巨大なサメの形をつくりだしてやがるーッ!!」
やすな「ひえぇ」
ソーニャ「よけろっ!」
ブォオオオン
今日はこの辺で終えます
続きは明日書こうかと
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