青葉「天竜さーん!起きてくださーい!朝ですよー!」ドンドンドン
……ガチャ
天竜「……んだよ朝っぱらからうるせぇなぁ……オレは今日非番だぞ……」
青葉「だから呼びに来たんですよ!さぁ、早く着替えて着替えて!」ヌガセヌガセ
天竜「うわっ!ちょっおまっ!服脱がせんな!つーか何の用だよ!」
青葉「グルメレポートに行きますよ!」
天竜「はぁ?」
青葉「実は大変恐縮ながらこの青葉、艦娘と同時に鎮守府での広報も兼任していまして(キリッ」
天竜「広報っつーかアレほとんどお前の趣味だろ」
青葉「えぇ、まぁそうなんですが」
天竜「で、なんでまたグルメレポートなんかしようと思ったんだよ」
青葉「それはですねぇ、やはり一流記者を目指す者はワールドワイドな情報を鎮守府内の皆様に伝えなければならないと思いましてですね?」
天竜「へぇー」ミミホジー
青葉「すごく興味なさそうですねぇ」
天竜「まぁ理由はなんとなく分かったけどよ、なんでオレも行かなきゃなんねーんだよ」
青葉「それは……天竜さんなら面白い画が撮れそうな気がして」カメラスチャッ
天竜「ハッ倒すぞお前」
天竜「つーかオレは今日非番なんだよ!なんで休みの日にお前の趣味に付き合わなきゃならねーんだよ!」
青葉「まぁまぁまぁ、アルバイト料の代わりと言っては何ですが代金はすべて青葉が持ちますから」
天竜「そう言う問題じゃねーっての!ここの所遠征続きでオレは疲れてんだよ!」
青葉「そう言わずに、三川艦隊のよしみじゃないですかぁ」
天竜「それなら衣笠とかでいいだろ!」
青葉「他の皆さんはお仕事です!」
天竜「こういう時に限ってチクショウ!!」
青葉「まぁそういう訳なのでご同行お願いしまーす!」
天竜「いーやーだ!お前ひとりで行けばいいだろ!」
青葉「そんなこと言わずに!紙面に華を持たせるには天竜さんのような方の写真が必要なんですよ!」
天竜「な、なんだよ、おだてたってオレは行かねーかんな!」
青葉「それだけじゃありません!天竜さんの素直な感性は、料理の美味しさを伝えるうえで重要なものなんです!」
天竜「そ、そうなのか?///」
青葉「えぇそうです、そして残念ながらこの青葉には紙面を飾る華も、素直な感性も持ち合わせていません……」
青葉「つまりグルメレポートには天竜さんの力がどうしても必要なんです!」
天竜「……」
青葉「ダメですか?」
天竜「……し、しょーがねーな、そこまで言うなら仕方なくついて行ってやるよ!着替えて来るから待ってろ!」
青葉(チョロイですねぇ)
天竜「で、どこに行くんだ?まさか行き当たりばったりとかじゃねーだろうな」
青葉「それはちゃんと決めてありますよー、隣町のカレー屋さんです」
天竜「カレーってまたベタな」
青葉「第一回だからベタでいいんですよベタで」
天竜「ま、オレはただ飯食えればなんでもいーけどな」
青葉「さぁ!着きましたよ!お目当てのカレー店『TIKKA』!」
天竜「道中バッサリカットしたな」
青葉「さぁさぁ天竜さんお店の前に立ってください!既に取材は始まってますよ!」
天竜「え?お、おう、こ、こんな感じでいいか?///」テレテレ
青葉「照れないで!もっと自然に笑ってください!」パシャッパシャッ
天竜「こ、こうか?///」ニッ
青葉「うーん、若干照れが残ってるけどまぁいいでしょう、多分使わないですし」
天竜「お前マジでハッ倒すぞ」
天龍の漢字間違ってるよ
カランコロンカラーン
天龍「おぉ……結構いい雰囲気の店だな」
青葉「んふふーそうでしょうそうでしょう」
店員「ハーイ、イラシャマセヨー」ナマステー
天龍「うおぉ、インド人だ!青葉!インド人が店員だぞ!」ユサユサ
青葉「それくらいで騒がないで下さいよぉ……さて、取材してもいいか店長さんと掛け合ってきますね」
>>9
素で間違えてました……スミマセン
店員「オキャクサー、アイテルオセキドゾー」
天龍「……ん?おいちょっと待て」
青葉「どうかしましたか?」
天龍「いやいやいや、お前今から許可貰うのかよ!店は決まってるって言ったじゃねーか!」
青葉「店は決めてあるとは言いましたが許可を貰っているとは言ってませんよ?」
店員「オキャクサー?ドサレマシター?」
天龍「断られたらどうすんだよ!」
青葉「次のお店に行きましょう!」
天龍「それ結局行き当たりばったりじゃねーか!」
店員「オキャクサー、ダジョーブ?ケンカダメーヨ?」オロオロ
…………5分後
青葉「いやー、無事に許可をいただけましたねぇ」
天龍「あー、駆逐艦どもの世話よりだりぃ……」
青葉「む、失礼な、青葉はそんな子供じゃありませんよ?」
天龍「あーわかったわかった、さっさとメニュー表くれよ、朝飯食ってないから腹減ってんだ」
青葉「んふふふー、それには及びません!実は青葉、こんなものを用意してきたんです!」デンッ
天龍「……ルーレット?」
青葉「えぇそうです!青葉が選んだこのお店のおすすめメニューを9つ書いたルーレットです!」
天龍「やたらデカいバッグ持ってると思ったらこんなもん持ってきたのかよ」
青葉「もちろん取材を断られた場合を想定して、今日回る予定だったお店の分全て用意してあります!」
天龍「わかった、お前アホだろ、それも超弩級の」
青葉「いやぁ一度こういうのやってみたかったんですよー」キラキラ
天龍「お前記者よりもバラエティー番組のプロデューサーとかの方が向いてんじゃねぇか?」
青葉「さぁ、まずは天龍さんからどうぞ!」
天龍「オレが先かよ……ん?」
青葉「どうかされましたか?」ワクワク
天龍「このドクロマークはなんだ?」
青葉「あちゃー、気づいてしまいましたか」
天龍「いや普通気づくだろ」
青葉「それはこの店自慢の超激辛ハバネロカレー(¥15、000円)です!」
天龍「いや、大体予想できたけど値段高すぎんだろ!」
青葉「高いうえにすごく辛くて完食はおろか注文する人すらいないそうです」
天龍「メニューから外せよ!」
天龍「えぇ~……オレ普通に決めていい?」
青葉「ダメですよ!青葉もちゃんと回しますから!」
天龍「……えーいくそっ!どうにでもなりやがれ!」
シャーーーーーーーーーッ
天龍「頼む……ッ、ハバネロだけは勘弁してくれ……ッ」
ピタッ
青葉「どれどれぇ……えーっと、四季の野菜たっぷりグリーンカレー……ですか」チッ
天龍「おい今舌打ちしただろ」
青葉「さて……それじゃあ青葉も回しますか」
天龍「あ、おい待てよ青葉」
青葉「なんですか?」
天龍「お前、グリーンカレーだったらもう一回回せよな」
青葉「!!」
ここで青葉に衝撃走るっ……天龍は気づかなかったルーレットに潜ませた小さな悪意っ……!
9つのメニューの内っ……8つが激辛カレーという罠っ……!
イカサマで引く予定だったグリーンカレーを封じられればっ……安全地帯は0っ……圧倒的0っ……!
天龍「どうかしたか、青葉?」
青葉「……いえ、仮に被ったとして回す必要がありますかねぇ?」
青葉ゴネるっ……!
ここを乗り切ればルーレットに仕込んだ磁石でグリーンカレーを引き当てるっ……!
天龍「えー、だって同じメニューのレポートするより違う方が良くねーか?」
―――筈が、その算段も打ち砕かれるっ……お節介っ……圧倒的お節介っ……!
ルーレットの悪意に気づいたわけでもなくっ……青葉がルーレットに細工をしていることも知らないっ……!
純粋な善意っ……それが厄介っ……!
青葉「そ、それもそうですねぇ、じゃあ被ったらもう一回回しましょうか」
青葉引き下がるっ……ゴネ続けてイカサマがバレれば、待ち受けるは確実な地獄っ……!
ハバネロカレーを食べさせられる最悪の事態っ……それだけは避けたいっ……!
青葉「さーて、回しますよぉー」
天龍「さっさと決めろよなー」
シャーーーーーーーーーッ
回る運命の羅針盤っ……!
カレーの女神が下した審判はっ……!
?
ギルティっ……!
青葉「」ズーン
天龍「……まぁ、元気出せよ、な?」
店員「オマタセヨー」
天龍「おぉすっげー、ホントに緑色だぜ青葉」
青葉「こっちはすごい真っ赤です、この距離で目に沁みそうな匂いが漂ってます」
天龍「赤と緑ってクリスマスカラーみてーだな!」フフフ
青葉「そうですね」
書き溜め?
天龍「それじゃ、いただきまーす」パクリ
天龍(~~~~~っうまいっ!)
天龍(あんまり緑色なもんだから青臭いかと思えば全然そんなことはねぇ!むしろ食欲をそそるスパイスの香りが野菜の濃縮された風味で一段と引き立ってやがる!)
天龍(そして辛さの奥に野菜の旨みと甘みが溶け込んで、マイルドな口当たり!)
天龍(後味も舌に残ることなくさっぱりとして次々と口に運びたくなる味だぜ!)
天龍「おい青葉!これ滅茶苦茶うま……」
青葉「」チーン
天龍「青葉あああああああ!!」
>>31
書き溜めたのを修正しながら投稿してます
天龍の誤字には気づけてませんでしたが……
店長「いやーすごいね、このカレー食べ切るなんて」
店員「オキャクサースゴーイ」
青葉「ひょふぉふふへふ!(恐縮です!)」ビシッ
天龍「いや、なんて言ってるかわかんねーよ」
店長「まさか気を失ってまで食べるとは思わなかったよ」
店長「その食いっぷりを称えてハバネロカレーの料金はただでいいよ」
青葉「ほんふぉほへふふぁ!?(本当ですか!?)」
天龍「おお、よかったな青葉」
青葉「ふぁい!(はい!)」
その後、カレー店には、にこやかに笑う店長と肩を並べて、
唇を腫らした少女が誇らしげに写った写真が飾られたそうな。
―――翌週
天龍「お、青葉の壁新聞新しくなってんな……えーっとグルメレポートは……お、あったあった」
大きな紙面の片隅、小さなグルメレポートの枠には、店の前でやや恥じらった笑顔を見せる
眼帯をつけた少女の写真の下に『グリーンカレーが美味しかったそうです。』とだけ書かれていた。
天龍「アイツ全然ダメダメじゃねーか!!!!」
おわり
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