勇者「変な人が仲間になった」くノ一「ニンニン♪」(118)

西の大陸 湖畔の街…

*「勇者殿~」

*「ゆ~しゃ~どの~!」

勇者「…」

*(おや…あんなところに。…何やら難しいお顔で考え事をしておられるご様子…)

*(しかしこれは好機にござる…後ろからそぉ~っと…)ソローリ…ソローリ…

*「…とぉ!」ギュッ…タユン☆

勇者「わ!…くノ一さん!?…いきなり何を!?離れて下さい!む、胸が当たって…///」ジタバタ…

くノ一「それならお気になさらずに。ワザとでござります故…」ムニュムニュ☆

勇者「く…くノ一さんが気にならなくても僕が気になりますよぉ!」バッ!

勇者「も~!どうしていつもこんな破廉恥な事ばっかりするんですか?」フーッ!

くノ一「何故と聞かれましても…このくノ一めは勇者殿のモノだからですよ?」ウフ…

勇者「しれっと恥ずかしいことゆ~な~!」ダダダ…

くノ一「あ!どこに行かれるのですか?待ってくださ~い!」シュタタタタ…

勇者「ついてこないでぇ~」

勇者「まったく…東方の女性の方々はもっと慎み深いと聞いていましたが…」ムスッ…

くノ一「それはそれ…これはこれでござる」フン♪フン♪

くノ一「お慕いする殿方の前では慎めません」ギュッ…

勇者「…///」カァ…

勇者「ま…まぁ百歩譲って後ろから抱きつくのはまだ良しとして…」

くノ一「よいのですか?」パア…

勇者「どうせダメと言っても聞いてもらえないのは目に見えてますからね…」

勇者「でも、今みたいに僕の頭の上に胸を置くのはやめて下さい…怒りますよ」

くノ一「それは…困るでござる…」スッ…

勇者(あぁ…おっぱいが離れていく…)

勇者(…ってイカンイカン!何考えてんだ僕は…!)ハッ!

勇者「…」チラッ…

くノ一「…」シュン…

勇者(…あ~、もう!…しょうがないなぁ…)

勇者「あの…たま~になら…のせてもいいですよ?…たま~になら」ゴニョゴニョ…

くノ一「…!…ではさっそく!」ギュッ…プルン☆


…アラ!マァ…
…ダイタンネェ…
…ワカイッテ、イイナァ…
…チクショ-…チクショ-!…


勇者(うぅ…やっぱり恥ずかしいよぉ…///)

勇者「と…とりあえず宿に向かいましょう!もう日も傾いてきましたし…」

くノ一「了解でござる~」フン♪フン♪

勇者「…はぁ」

夕方…

湖畔の街 宿屋 二階客室…

勇者「なに…これ…」ワナワナ…

くノ一「ベッドですね♪」ワクワク…

勇者「そんなの見れば分かりますっ!見れば見るほどに豪華なダブルベッドですよ!えぇ!」

勇者「けど何で一つしかないんですかーッ!」ウガー!

くノ一「勇者殿ッ!」キリリッ!

勇者「な…何ですか…急に真面目な顔して…」ドキドキ…

くノ一「殿方たる者、そんな些細なことでうろたえてはいけませぬ」

勇者「う…うん?…まぁ確かにそうかもですね。急に大きな声を出してすみません」

くノ一「そうですよ。私の故郷には“据え膳食わぬは男の恥”という諺がありまして…」ハラリ…プルン☆

勇者「あーもう!あーもう!いい話かと思ったらまたしても騙されましたっ!」プィッ!

勇者「男として自分が情けないですっ!それと早く胸を隠してくださいぃ///」ふぇぇ…

くノ一「ではまた次の機会に…」スッ…

勇者「もういいよ!///」

夜中…

勇者「あの…もう少し離れてはもらえませんか?」

くノ一「そうは言われましても…これ以上離れてたらベッドから落ちてしまいます」ギュッ…

勇者「くノ一さんの後ろ、どう見てもすっごく空きがありますよね…」

くノ一「じゃあこういうのはどうでござるか?私が出すなぞなぞに見事答えて頂ければ離れましょう」

勇者「なんでまたなぞなぞなんか…はぁ…まぁいいですよ。どうぞ」

くノ一「でわ失礼をば…」スッ…サワサワ…サワサワ…

勇者「ちょ…!くノ一さん!?…どこ触って…///」モジモジ…

くノ一「カチンコチン…寒くもないのに、カチンコン…これ、な~んだ?」フゥ-…

勇者「そ、そんなの答えれませんよぉ///ってか耳に息吹きかけるのやめてください!」モジモジ…

くノ一「どうして…答える事ができぬのですか?」サワサワ…

勇者「どうしてもだーッ///」カァ…

くノ一「では私の勝ちですね。ふふ…」ギュ…

勇者「うぅ…///」

真夜中…

くノ一「スゥ…スゥ…」zzz

勇者(くノ一さん…寝ちゃったみたいだ)チラッ…

くノ一「えへへぇ…ムニャ…ムニャ」ニヨニヨ…

勇者(はぁ…こっちはくノ一さんのせいでなかなか寝付けなくなったというのに…)

勇者「腹立つくらい幸せな寝顔してますね…」ボソ…

くノ一「う~ん…ゆ~しゃどの~…」

勇者(…!…起きた!?……いや…ただの寝言か…)

くノ一「…むちゅ~…」チュッ☆

勇者「む゙ーッ!んむ゙ーッ!」ジタバタ…

勇者「…ぷはっ!」バッ!

くノ一「スゥ…スゥ…」zzz

勇者(あー…びっくりした。まさか寝惚けてキスされるとは思わなかった…///)ドキドキ…

くノ一「スゥ…スゥ…」

くノ一(ふふふ…忍法、狸寝入りでござる♪)

…????…

???「君は…なぜ私をあのまま死なせてくれなかった…?」

??「さぁ…何ででしょうか?」ニコ…

???「かつての仲間に裏切られ…守るべき主を失い…国を追われ……今の私は復讐を果たす為だけに生きてきた醜い修羅だ」

???「そしてその復讐を遂げた今…もはや生きる価値すらないこんな私を生かして君に何の得がある?」

??「そうですね…確かに得する事はないかもしれません」

???「…真面目に答えろッ!童(わっぱ)!…何故だッ!?」チャキッ!

???「興味本意かッ?それとも同情かッ?」ググッ…

??「そのどちらでもありませんよ。ただ単純にあなたに生きていて欲しいと…そう思っただけです」ツーッ…ポタッ…ポタッ…

???「ならば君はこの私におめおめと生き恥を晒して無様に生きろとでも言うのか!?」

???「私にはもう何もない…生きる目的も…守るべきものも…。何も…。何も…ッ!」

??「だったらこういうのはどうでしょう?…僕を守ってはもらえませんか?」

???「君は…何を言って……」

??「それが…あなたの当面の生きる目的にはなりませんか?」ニコ…

???「…………私は…」カランッ…

朝…

…チュンチュン…チュンチュン…

くノ一「ふぁ~あ…んん~ッ!」ノビー…

勇者「おはようございます。よく眠れましたか?」

くノ一「はい!おかげ様で」ツヤツヤ…

勇者「そうですか。それはなによりです」ボー…

くノ一「おや?勇者様は良く眠れなかったのでござるか?目の下にクマが…」ツンツン…

勇者「えぇ…おかげ様で…」ボロッ…

勇者「とりあえず僕は顔を洗って来ますね」スタスタ…

くノ一「はい!いってらっしゃいませ」ニコッ

くノ一「…。」

くノ一(今の勇者殿…あの時のことを思い出して下さる時がいつか来るのでしょうか…)

くノ一「……。」

西の大陸 潤いと渇きを繋ぐ街道…

勇者「今日は湖畔の街と砂漠とを繋ぐこの街道を抜けてオアシスの街を目指しましょう」スタスタ…

くノ一「はい!…ところで勇者殿…」フン♪フン♪

勇者「なんですか?」スタスタ…

くノ一「もう砂漠に近いというだけあってなんだか暑いですね…」パタパタ…

勇者「なら僕に抱きついてないで離れればいいと思います」スタスタ…

くノ一「それはできません」ギュッ…

勇者「どうしてですか?」スタスタ…

くノ一「勇者殿がカワユイからですよ♪」スリスリ…

勇者「か…カワイイとかゆ~なッ///それとどさくさに紛れて頬擦りしないでぇ~///」ジタバタ…

くノ一「くふふふ…良いでわないか良いでわないか~♪」スリスリ…

勇者「は~な~し~てぇ~///」ジタバタ…

>>15 セリフ訂正


くノ一「おや?勇者様…」 ×



くノ一「おや?勇者殿…」 ○

山賊「オイ!そこのガキと女!」ザッ…

勇者「…なんですか?あなたたちは?」スッ…

山賊剣士「俺達は山賊だ…死にたくなけりゃ有り金全部置いてきな!」チャキッ!

くノ一(はぁ…せっかくの勇者殿と二人きりの時間が台無しです…)

山賊「ん?よく見りゃアンタすんげーべっぴんさんだな…」グヘヘ…

山賊剣士「そんなクソガキ放っといて俺らと一緒に来ねぇか?」ゲヘヘ…

くノ一「ふふ…冗談はその醜悪な顔だけにして下さい」クスクス…

勇者「く…くノ一さん!?いけません!」

山賊「んだとコラァッ!!ナメてんじゃねぇぞこのアマァッ!!」ブチッ!

山賊剣士「少し痛い目に遭いたいらしいな…!」ガシッ!
くノ一「…」ヒュッ…

山賊剣士「な…!?消えた…!?」

…ズバッ!…ザシュッ!…

山賊「がぁッ!痛て!痛ってぇッ!!」ブシュッ!

山賊剣士「う…腕が!…俺の腕があぁッ!!」ブシュッ!

くノ一「私の体に触れていいのは私が心に決めた御方、ただ一人のみ…」ヒユッ…スタッ…
くノ一「汚い手で気安く触らないで下さい…ブチ殺しますよ?」ニコ…

山賊「ひ…ひぃ…お助けぇ!」ガクガク…

くノ一「さて…どうしてやりましょうか…。あぁ、そう言えば…」

くノ一「先程あなた方はその御方を…私の主をクソガキとおっしゃいましたね…」チャキッ!

くノ一「やはり生かしておくことはできません…!」スタスタ…

山賊剣士「く…来るな!…来るなぁッ!」ズザッ…

勇者「くノ一さん!それだけはダメです!!」バッ!

くノ一「…分かりました。」スッ…チャキン…

くノ一「我が主に感謝して下さい…そして……今すぐ消えろ…私の気が変わらぬうちにな」ギラッ

山賊「に…逃げるぞ!」ダダッ…
山賊剣士「あ…あぁ!」ダダッ…

勇者「くノ一さん…」

くノ一「勇者殿~…怖かったでござる~…よしよしして下さい」イヤンイヤン…

勇者「どの口がそれを言いますか…」

勇者「それより…避けられる戦いは極力避けるべきです…」

勇者「くノ一さんは僕と初めて出会った時にこう言いましたよね?」

勇者「“自分は貴方をお守りする一振りの刀です”…と」

くノ一「はい」

勇者「いいですか?刀というモノの価値は何を斬ったかで決まります…」

勇者「僕自身ならともかく…僕は美しい刀が汚れるのを見たくはありませんからね」

くノ一「勇者殿…」キュン…

勇者「僕が言いたいことはそれだけです…では先を急ぎましょうか」ニコ…

くノ一「はい♪」ギュッ…

勇者「くノ一さん…」スタスタ…

くノ一「なんですか?」フン♪フン♪

勇者「暑いです…」スタスタ…

西の大陸 大砂漠…

勇者「…」

…ザッザッザッザッ…

くノ一「…」

…ザッザッザッ…ピタッ…

くノ一(私と勇者殿と初めてお会いした時のこと、か…)

くノ一(先程の勇者殿の言葉から察するに…今の勇者殿はやはり…)

勇者「くノ一さ~ん!何してるんですか~?もうすぐオアシスの街に着きますよ~!」

くノ一「あ!は~い!」シュタタタタ…

くノ一(それでも勇者殿はやはり勇者殿ですよね。…私はどこまでもお供いたしますからねっ)

基本思いつきで書くので非常に遅筆で申し訳ないです

でも絶対に完結させますのでご容赦を…

今日の夜にまた続きを書きます

夕暮れ…

西の大陸 オアシスの街…
勇者「夜になる前になんとか辿り着くことができました…」

くノ一「砂漠の夜は冷えますもんね」

勇者「さて…僕はこれからこの街の大聖教の教会へ行きますが、くノ一さんも一緒にどうですか?」

くノ一「……私は…東方の神を信仰しておりますゆえ、申し訳ありませんがご遠慮させて頂きます」ペコ…

勇者「でも教会に入るくらいなら…」

くノ一「いいえ…浮気はやはりいけません…それに…」

くノ一「東方の女は一途なのですよ…ゆ・う・し・ゃ・ど・のっ♪」ヒョイ!…ギュ~…

勇者「く…くノ一さん!…こんな所で抱きかかえないで下さい!///恥ずかしいですよぅ///」ジタバタ…

…リアジュウ…シネッ!…
…イイナァ‐…イイナァー…
…チクショー…チクショーッ!…
…アラアラ…ワカイワネェ…

勇者「…///…と…とにかくっ!僕は行ってきますから下ろしてください!」ジタバタ…ヒョイ!…スタッ…

くノ一「では私は勇者殿をお待ちする間に宿をとっておきますね」ニコ…

オアシスの街 教会…

神父「ようこそ、旅の方。この大聖教教会へ何かご用ですかな?」

勇者「えぇ。旅の安全をお祈りさせて下さい」

神父「わかりました…ではこちらの祭壇の前へいらして下さい」

勇者「はい…」

…スタスタスタ…

勇者(神よ…これまでの旅の無事を感謝致します…これからもこの旅路が順調でありますように…)

勇者(…僕が旅に出てからもうすぐ一年か…これまで本当に色々あったなぁ…)

勇者「………」

――――――

――――



一年前…

中央大陸 帝国都市 酒場…

勇者「あの!…すみません…」

女店主「いらっしゃ~…って…どうしたの?ボクぅ…ここはあなたみたいな子供が来る場所じゃないわよ?」

勇者「ぼ…僕は子供じゃありません!僕は…!」

傭兵「だったら何か飲みにきたってのか?ボウズ」ニヤニヤ…

騎士「頼むから“ミルク下さい”とか今時誰も言わねぇようなギャグかまさないでくれよ?」クク…

傭兵・騎士「「ハハハ…!」」

勇者「ちゃんと話を聞いて下さい!僕は勇者です!…仲間を…仲間を探しているんですっ!」

???「…!」

傭兵「勇者ぁ?」
騎士「仲間ぁ?」

勇者「はいッ!」

傭兵「はは…おもしれぇこと言うなこのガキんちょ」ハハ…
騎士「ガキはとっとと帰ってママのおっぱいでも吸ってな!」クク…

勇者「誰か…僕の話を…ッ!」グッ!…

???「そこを…通してもらえませんか?」スッ…

傭兵「あぁん?なんだアンタァ?」ジー…
騎士「んなことよりさぁ姉ちゃん…俺達と…」ニヤ…

???「通して…もらえませんか?」ズズ…

傭兵「う…わ、わかったよ…」

???「失礼…」スタスタスタ…

勇者(わぁ…綺麗な人…黒い髪に、黒い瞳…東方の女の人かな?)

???「探しましたよ…勇者殿。お久しぶりです…またお会いできましたね」ギュッ…

勇者「あ…///…あの…あのあの!…久し振りって……あなたは一体…?」

???「…!?」

???(…まさか…もう私の事まで…!?)

???「……失礼しました」

勇者「…?」キョトン…

くノ一「初めまして…私はくノ一と申します」ニコ…

勇者「くノ一…さん?」

くノ一「はいっ!私は……」ザッ…





……貴方をお守りする一振りの刀でございます……






オアシスの街 宿屋 客室…

勇者「………」ワナワナ…

くノ一「どうしたのでござる?勇者殿?」フン♪フン♪

勇者「くっ!…ツッこみませんからね…」ボソ…

くノ一「私は…勇者殿にならいつツっこまれても///むしろ今すぐに…」フリフリ…

勇者「流し目でこっち見ながらおしりフリフリしないでぇ///」

勇者「それより…アレなんなんですか!なんなんですかもう!」ウガー!

くノ一「ベッド?」テヘ☆

勇者「はい!ベッドですよ!ダブルベッド!今度はなんと天蓋までついちゃってますよ!えぇ!」

勇者「どうしてくノ一さんが宿をとるとダブルベッドになるんですかぁー!!」ウニャー!

くノ一「勇者殿ッ!」キリリッ!

勇者「な…なんでしょう?」

くノ一「私の故郷には…」キラン☆

勇者「さすがにそれはもうひっかかりませんよーッ!!」

夜…

…ガチャ…バタン…

くノ一「あぁーいいお湯でしたー…勇者ど…」

勇者「……」zzz

くノ一(もう寝ちゃってますね…カワユイ寝顔でござる)プニ…ツンツンッ!

勇者「……んぁ…」zzz

くノ一(すみません勇者殿…ついつい悪戯してしまいました)ナデナデ…

勇者「……」zzz

くノ一(それにしても…勇者殿は相変わらず大きな枕に抱きつくようにしないと眠れないんですねぇ…)

くノ一(おやすみなさい…勇者殿)チュッ☆

勇者「……」

勇者「…///」

…????…

??「だったらこういうのはどうでしょう?…僕を守ってはもらえませんか?」

???「君は…何を言って……」

??「それが…あなたの当面の生きる目的にはなりませんか?」ニコ…

???「…………私は…」カランッ…

???「…私…は……」ガックリ…

??「まぁそんな簡単にはいきませんよね」

??「では、あなたがまた生きる目的をを見つけられるまで…それまで僕があなたをお守りします!」ニコ…

???「君が…私を守る…?」

??「はい!」ガシッ!

???「…!?」ビクッ!

??「僕と一緒に行きましょう!そして……」





……一緒に…生きましょう……






今日はこのへんでとめます

続きはまた近々…書ける…ハズ

朝…

勇者「…ん…う~ん……」ガシッ!…モミュン☆…

*「あんっ♪」

勇者「……ん…?」サワサワ…

*「ふぁ…///」ピクン!

勇者「…え?」パチ…

くノ一「ハァハァ…おはようございます…勇者殿///」モジモジ…

勇者「な…ななななッ///…なんで僕、くノ一さんに抱きついて…!?僕の枕は…!?」アセアセ…

勇者「…(ハッ!)…そ…それより僕は今、なにを触って……!?」サワ…ジュン☆

くノ一「私の胸と……お股です…///」イヤンイヤン…

くノ一(ふふふ…忍法、変わり身の術でござる♪)

勇者「す…すす…すみませぇ~んッ///離れます!今すぐ離れますぅ///」ガバッ!

…ガシッ!…

くノ一「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのですよ勇者殿…私はいつでも…」フフ…

勇者「そんなのだ~めぇ~///」らめぇ!

西の大陸 大砂漠…

くノ一「勇者殿…」スタスタ…

勇者「…」スタスタスタ…

くノ一「ゆ~しゃどの~…」スタスタスタ…

勇者「…」スタスタスタスタ…

くノ一(うぅ…今朝は流石に悪戯がすぎました…あの温厚な勇者殿が口を聞いてくれません…)シュン…

くノ一(こうなってしまった以上…かくなる上は…!)シュタタタタ!

くノ一「あ~、こんなところにおっぱいが~…」ギュッ…タユンッ☆

勇者「…///」スタ……スタスタスタ…

くノ一(今僅かに反応がありました!…ここはもうひと押しでござる…)ムニュムニュ☆

勇者「くノ一さん…」スタスタ…ピタ…

くノ一「は…はい…」

勇者「何か…言うことはありませんか?」

くノ一「今朝は…すみませんでした…あの…勇者殿はやはり…怒っておられますよね?」

勇者「…別に怒ってはいませんよ。…ただ僕は……破廉恥なのはいけないと思います!///」めっ!

西の大陸 沿岸部 城塞都市近辺…

くノ一「勇者殿~!大きな城壁が見えてきましたよ~!城塞都市まであと少しですね」

勇者「えぇ…城塞都市から少し南に行くと港があって、そこから船で……」

くノ一「おや…?」

勇者「どうしたんです?…くノ一さん?」

くノ一「勇者殿…なにかこう…街の様子が変ではありませんか?」

勇者「様子が…変?」

くノ一「はい…街の正面にある三つの城門が全て開放されていますし…」

くノ一「不自然な場所から黒い煙が幾筋か上がっているように見えるのですが…」

勇者(…?…特に変わったところなんて…)ジー

…ドゴオォン!…ズズゥン!…

勇者「…!…西側の城壁が…!?」

くノ一「勇者殿…!」チラッ…

勇者「行きましょう…もしかすると魔物の仕業かもしれません!」ダダダッ!…

くノ一「了解でござる!」シュタタタタッ!…

城塞都市 正面第一城門前…

警備兵「おい!しっかりしろ!お前も先に避難した住民達と同様に港へ行け!」

剣士「ぐッ…うぅ…俺は…まだやれる…たかが腕の一本くらい…!」ゼェ…ゼェ…

警備兵「何言ってんだ!その体で何ができる!ここは任せて早く…」

勇者「何かあったんですか?」

警備兵「なんだ?…お前達は?」

くノ一「私達は旅の者です」

警備兵「旅人…ねぇ」ジー…

警備兵(黒髪黒瞳のえらく艶っぽい女に…軽く身の丈の倍はある馬鹿デカイ大剣を腰にさげた少年か…)

警備兵(なんともまぁ、妙な組み合わせだな…)

警備兵「…いきなり魔物共がこの城塞都市を襲撃してきやがったんだ」

くノ一「やはり魔物…ですか」

警備兵「あぁ…だからお前達も早くここから…」

勇者「分かりました…では行って来てます」スタスタ…

警備兵「おい!俺の話を聞いてたか!?今この城塞都市は…!!」

剣士「待ちな…そこのお二人さん…」ハァ…ハァ…

くノ一「…なんでしょうか?」

剣士「敵は少数だがかなり手強いぞ…」

剣士「街の中には獣人族の上位個体、ウルク・ハイの弓兵が五体潜んでやがる…それと…」

剣士「街の中央広場には…全身が鋼で出来た巨大な怪物がいる…気を付けろよ」

勇者「分かりました…ありがとうございます」

…タッタッタッタッタッ…

警備兵「お前…なんであいつらを行かせたんだ?」

剣士「お前こそあの二人を見て何とも思わなかったのか?」

警備兵「どういうことだ?」

剣士「あの二人…俺達なんかより遥かに強いぞ…」

警備兵「そう…なのか?」

警備兵(俺にはとても強そうには見えなかったが…)フム…

城塞都市 城壁内 市街地 …

…タッタッタッタッタッ!…

勇者「敵は全部で六体です…なんとしても被害を最小限に食いとめましょう!」タッタツタッ…

くノ一「では戦術は短期決戦一択ですね!」シュタタタタ…

勇者「えぇ…僕は中央広場に向かって鋼の化け物とやらの相手をしますので…」

勇者「くノ一さんはウルク・ハイの弓兵達をお願いします!」

くノ一「分かりました!直ぐに片付けて私も中央広場へ向かいますね」ヒユッ…!



勇者「……さて…僕も急ぎますか…」

…タッタッタッタッタッ!…

今日はここまでです…

城塞都市 南東部 商店街…

兵士「くそッ!どこだ!?…出てきやがれ!獣人どもッ!」キョロキョロ…

ウルク・ハイ弓兵「ギヒヒ…狙ワれてイるとモ知ラずに間抜けな奴だ…」ググッ…

くノ一「貴方もですよ…」ヒュッ…ザンッ!

ウルク・ハイ弓兵「な…ッ!?」ゴトッ…コロコロ…

くノ一「まずは一匹…」チラッ…

くノ一「向かいの建物の屋根にもう一匹…こちらに気付いていないお馬鹿さんがいるようですね…」ヒュッ…

くノ一「そこの獣人さん…」スタッ…

ウルク・ハイ弓兵「…!?…人間!?…いツかラ後ろ…に…」サクッ…ドサッ…

くノ一「これで二匹目ですね…」チャキッ…

ウルク・ハイ弓兵「そコまデだッ!人間ッ!」ググ…

ウルク・ハイ弓兵「よクも同胞を二人も殺っテくれタな?」ググ…

ウルク・ハイ弓兵「こノ落とシ前はツけさセてもラうぞ!」ググ…

くノ一「はぁ…あなた達は全くなっていませんね…」ヤレヤレ…

くノ一「狙撃手が敵に姿を晒すなど…自分は無能だと宣伝しているようなものですよ?」フフ…

ウルク・ハイ弓兵「なンだと!?」ググッ…ギリリ…

くノ一「お陰で探す手間が省けました…」ゴソッ…シュッ!

…ズドドドッ!…

ウルク・ハイ弓兵「ぐァッ!何だ…今ナにが起コった!?」

ウルク・ハイ弓兵「黒いダガーの様ナ物が腕に刺サって…」

ウルク・ハイ弓兵「抜けン!?…まサか、刃に“返し”でモ仕込まれテいるノか!?」

くノ一「そのクナイの仕込みは“返し”だけではありませんよ」グイッ!…ピーーン!

ウルク・ハイ弓兵「うオぉ!?体ガ宙に投げ出さレて…女に吸い寄せラれる!?」グワッ…

ウルク・ハイ弓兵「どウいうコとだ…こレは!?」グワッ…

ウルク・ハイ弓兵「…ッ!…ダガーの柄から…極細の鋼糸が…!?」グワッ…

くノ一「ご明察です…まぁそれが分かったところで…」チャキ!…スラアァ…

…ズババババッ!…

くノ一「あなた達の結末は何も変わりませんけどね…」チャキン…

ウルク・ハイ弓兵達「「「…」」」ドサドサ…ドサッ…

くノ一「さ~てと…勇者殿に誉めてもらいに行きましょうか」フン♪フン♪

城塞都市 中央広場…

…ズシン…ズシン…

指揮官「なんとしてもヤツをこの広場に足止めするわよ!盾を構えなさい!!」バッ!

重装兵達「「「はっ!」」」ガコンッ!

指揮官「しかし厄介な化け物もいたものね…」

鉄巨人「オォォ…」ズシン…

指揮官「剣や弓はもちろん魔術も効果が薄い…唯一の望みは拠点防衛用のバリスタだけか…」

指揮官(城塞都市が陥落するのも時間の問題かもね…けど泣き言ばかり言ってられないわ!)グッ…

指揮官「私が魔術を使って時間を稼ぐからもう一度バリスタを…」

魔術士「指揮官殿ーッ!避けて下さいぃッ!!」

指揮官「……え?」ゾクッ…

鉄巨人「ウオォォ!!」ズァッ!

指揮官(しまった…ヤツの足元にばかり気をとられて油断した…)

指揮官(真上から腕の振り下ろしが…!このタイミングじゃとても…避けきれない!!)ゾクッ…

…ゴオォォォ…

…ゴキイィィンッ!…

鉄巨人「オォ…?」

勇者「大丈夫ですか?」

指揮官「え…えぇ…あなたは?」ハッ…!

指揮官(…!?…こ、この子…あの化け物の剛腕を剣で…それも片手で受け止めてる…!?)

勇者「ここは僕に任せて下さい」ニコ…

指揮官「任せろって…一体何をするつもりなの!?」

勇者「見ててもらえれば分かりますよ…」スッ…ススッ…

指揮官(剣を指でなぞって…何かを描いてる…?)ジー

指揮官(あれは…炎のルーンね……大きな刀身が紅く輝いていく…)

勇者「はッ!!」ブンッ!

…スパッ!…ズズゥン!…

鉄巨人「グオオォォッ…!?」

指揮官(うそ!?…あの鋼の巨人の腕を…)

指揮官(…まるでバターを切るみたいに易々と断ち斬った…!?)

勇者(怪物が怯んだ……この隙にたたみかけてやる…)ブンッ!ブゥンッ!

…ザシュッ!…ズバァッ!…

鉄巨人「ガ…アァ…ア…」ヨロ…

…ドッシャアアァァァッ!…

勇者「これでよしっ…と」チャキン…

魔術士「あの怪物を一瞬で…」
重装兵「す…すげぇ…」

指揮官「私達を助けてくれてありがとう…」

勇者「どういたしまして」ニコ…

指揮官「あの…さっきは聞きそびれたけど…あなたは何者なの?」

勇者「僕はただの旅人で…」

くノ一「ゆ~しゃ~、どの~~!」フリフリ…

指揮官「勇者って…あなた…勇者様なの!?」

勇者「まぁ…その、一応…」ポリポリ…

勇者(くノ一さん…間が悪いというかなんというか…)

くノ一「敵の弓兵達をやっつけてきましたよ~!誉めてくださ~…」シュタタ…ピタッ…

指揮官「すっご~い!本物なんだ!…私は城塞都市警備隊のリーダーで指揮官って言うの!」パァ…

勇者「指揮官さん…ですか」タジ…

指揮官「えぇ!…それよりさっきはカッコ良かったよ!勇者様!」ギュッ!

勇者「わわ…///」ポフッ…

…ツカツカツカツカ…

くノ一「そこのあなた…勇者殿から離れて下さい」ゴゴゴ…

指揮官「あ、貴女は…?」ビクッ!

…タッタッタッタッ…

警備兵「おい!リーダー!…大変だ!!」ゼェ…ゼェ…

指揮官「どうしたの?」キリッ

警備兵「敵の増援だ!…鋼の怪物が新たに五体…この城塞都市に進攻してきてる!!」

指揮官「なんですって!?」

警備兵「今動けるヤツは全員連れて第一城門前に来てくれ!…それと…そこのお二人さんも来てくれるか?」

勇者「はい!」
くノ一「えぇ!」

城塞都市 正面 第一城門前…

…ズシン!…ズズシィン!…ズシンッ!…

鉄巨人達「「「「「オォォォ…」」」」ズシン…

指揮官「あっはは…これ、何の冗談…?こんなの…流石の勇者様だって…」

重装兵「悪夢だ…」
魔術士「勝てる…のか?」

警備兵「けどやるしかねぇだろ」
兵士「そうだな!」

勇者「これは警備隊の方々には少々荷が重すぎますね」

くノ一「はい…でも私達なら問題ありません…なんなら私だけでも…」チャキ…スラァ…

勇者「そうですね…でも、くノ一さんが出るまでもありません…」

勇者「…僕がまとめて相手をしてきます」

くノ一「分かりました…お気を付けて」スッ…チャキン…

勇者「はい…行ってきます」スタスタ…

くノ一「行ってらっしゃいませ…勇者殿」ニコ…

勇者「…」スタスタスタ…

魔術士「…!…皆さん!あそこをご覧下さい!!」
重装兵「ん…?あの子…何するつもりだ?」

勇者「…」ジャキ!…スッ…

警備兵(敵から離れたあんな所で…馬鹿デカイ剣を掲げた…?)ジー…

勇者「来たれ…神雷ッ!」カッ!
…カッ!…ドオォォオン!…

兵士「…ッ!…神雷だとッ!?」
魔術士「あの魔法は…伝説の…!?」

指揮官「雷を受けた大剣が帯電して…光ってる!?」

勇者「…」バチッ!…バチバチッ!…

警備兵「そ、それだけじゃねぇ!…光が…どんどん延びてくぞ!」

魔術士「あれは……巨大な光の…剣!?」

くノ一(そう…あれこそが選ばれた者にのみ扱える唯一無二の秘剣…!)

勇者「消し飛べぇーッ!!」ズァッ!

…ズバアァァッ!!…

兵士「あたり一面を…薙ぎ払った…!」

…ドドン!…ドンッ!…ドンドンッ!…

鉄巨人達「「「「「ガアァァ…!?」」」」」

指揮官「みんな…あれを見て!」
重装兵「…!…光に薙ぎ払われた巨人達が……!」

…ドドドン!…ドンッ!…ドンッ!…

魔術士「それぞれの胴に刻まれた切口から何度も爆発を起こして…」
兵士「…消滅していく…!?」

鉄巨人「「「「「ガ…ア…ア」」」」」キラキラキラ…



勇者「…」スッ…チャキンッ…

…スタスタスタ…

くノ一「おや?随分とお早いおかえりでしたねぇ…」ギユッ…

勇者「ただいまです…」スリスリ…

くノ一「ふふ…お疲れ様です。勇者殿」ナデナデ…

勇者「う…うん///」エヘヘ……ハッ!

勇者(いけないっ!流れでつい、くノ一さんに身を委ねてしまった…///)

勇者(でも…少しだけ…もう少しだけこのまま……ん?)

重装兵「…」ジー
魔術士「…」ジー
兵士「…」ジー

警備兵「リーダー、俺も…」ガシッ!

指揮官「ちょっと!ふざけてないで離しなさい!私はあの二人に話が…」

勇者「く…くノ一さん!…見られてます!いっぱい見られちゃってます!!…恥ずかしいですよぅ///」ふぇぇ

くノ一「別にいいじゃないですか…」ギュ…

勇者「よくな~~い!///」ウガー!

くノ一「よくなくないです!たまには私の我儘もきいて頂きますよ…だって…」

くノ一「さっきは誉めてもらえなかったばかりか、勇者殿ったら他のおなごと…」チラッ…

勇者「あれはちがっ…!」

くノ一「何がどう違うのですか?」

勇者「うー…///」

くノ一「と、言うわけですのでこのまま港町へ行きましょう!…着いたら離してあげるでござる♪」スタスタ…

勇者「そ、そんな~!」

指揮官「あ!待って!私はあなた達に話が…」ジタバタ…

城塞都市南方 港町近辺 平原…

夜…

勇者「はぁ…まさか町に着いたのに野宿するハメになるなんて…」

くノ一「今回ばかりは仕方ありませんよ」

くノ一「どの宿も城塞都市からの避難民で満室でしたからね」

くノ一「とりあえず明日に備えて今日はもう休みましょう」

勇者「そうですね」

くノ一「では焚き火を消しますよ」

…ザッ…ザッ…シュウゥゥッ…

勇者(……真っ暗だ)

くノ一「おやすみなさい、勇者殿」

勇者「はい、おやすみなさい…」

勇者(あれ?今日は珍しく何もして来ない…?)

くノ一「…」ニヤリ…

夜中…

勇者「…」

勇者「……」ソワソワ…

勇者「あの…くノ一さん」ボソ…

くノ一「……やはり眠れませんか?」

勇者「…はい」

くノ一「勇者殿は何かに抱きつかないと眠れないのですよね」フフ…

勇者「……はい」モジモジ…

くノ一「勇者殿…どうぞこちらに来て下さい」スッ…

勇者「………は、はい///」トテトテ…

…ギュッ…

くノ一「ふふ…この前、破廉恥な事は駄目だと仰っていませんどしたか?」ナデナデ…
勇者「こ、これは…その……」タジ…

くノ一「すみません…冗談です」チュッ☆
勇者「…くノ一さんは時々、意地悪です…///」

今回はここまでにしときます

2箇所セリフ訂正

すみませぬ…

>>77
くノ一「…と仰っていませんどしたか?」



くノ一「…と仰っていませんでしたか?」 ○



>>10
くノ一「…寒くもないのに、カチンコン…」 ×



くノ一「…寒くもないのに、カチンコチン…」 ○

くノ一「しかし今日は城塞都市の時といい、どうされたのですか?」
勇者「どう…とは?」キョトン…

くノ一「普段は抱き締めたりすると私の事をすごく嫌うじゃないですか」
勇者「き、嫌いじゃありません!…僕はくノ一さんのこと断じて嫌いなんかじゃないです…」アセアセ…


勇者「抱き締められるのは本当は好きです…ただ、どうしても…気恥ずかしくて…///」ゴニョゴニョ…
くノ一「そうだったんですか」ギュ…ピト…

勇者「えぇ、まぁ…///」カァ…
くノ一「ふふ…嬉しいです…」ナデナデ…

勇者(…確かに最近の僕はどうしたんだろう…こうやってくノ一さんに抱き締められると…)

勇者(嬉しいのと恥ずかしいのと同時に…なんだかとても懐かしい気がする……)

勇者「あの…くノ一さん…」
くノ一「はい、何ですか?」ニコ…

勇者「一つ聞きたいことがあるんですが…」
くノ一「どうぞ、何なりと聞いて下さい♪」

勇者「帝国都市の酒場で初めて出会う以前に…僕はどこかであなたに会っていたりしませんか?」
くノ一「……!」

くノ一「どうして…そう思ったのですか?」
勇者「最近、くノ一さんに抱き締められるとどこか懐かしいような気がするんです」

くノ一「懐かしい…ですか…」
勇者「はい…それから、オアシスの町にいる時に思い出したんですが…」

勇者「初めて会った時、くノ一さんは確か“お久しぶりです”と言いましたよね」くノ一「……」

くノ一(勇者殿…まさか憶が少しづつ戻って……)

くノ一(…今、“これまで”の事…お話しするべきでしょうか…)

くノ一(しかし…話したところでもし、思い出して頂けなかったら…)

くノ一(“これまで”の旅の事を…私の事を何もかもお忘れになられていたら…)

くノ一(それが怖くて…“今回”の旅では何も聞けずにいましたが…)

くノ一(よもや、こんな形で…勇者殿の方から不意に尋ねてこられるとは思いませんでした…)

勇者「…くノ一さん?」
くノ一「…」

くノ一(勇者殿…私は……)

おー…夏バテで死にかけてる間にこんなに支援が…
ありがとうございます。

明日また時間空きそうなんで今度こそ気合い入れて書かせてもらうッス!

勇者(くノ一さん…少し震えてる…)

勇者「変な事を聞いてごめんなさい、くノ一さん…」
くノ一「…え?」

勇者「別にくノ一さんを困らせたかった訳ではないんです…」
くノ一「……」

勇者「くノ一さんが話したくないのなら僕はもう何も聞きません」ニコ…
くノ一「勇者殿…」

くノ一「私は…その事について貴方に隠していることがあります…」
勇者「くノ一さん…?」

くノ一「…お察しの通り、私は勇者殿とずっと前にお会いした事があります」
勇者「そうだったんですか…」

くノ一「しかし…今、勇者殿にお答えできるのはそこまでです…私は……」
勇者「くノ一さん…」

勇者「僕はくノ一さんを信頼してますよ?…例え何があったとしても…」
くノ一「ゆ、勇者殿…///」カァ…
勇者「だから心配しないで下さい」
くノ一「はいっ♪」



くノ一(勇者殿…私の心の整理がついたら、いつか必ずお話しします…)

―????―

???「君はなぜこんな過酷な旅を続けるんだ?」

??「それが僕の使命ですから…」

???「それより君はなぜ今まで誰も仲間にしなかったんだ?」

??「こんないつ命を落とすかもしれない危険な旅に誰も連れていく訳にいきませんよ」

???「ならば私なら死んでも良いのか?」ムスッ…

??「もしそうだったらあの時に貴女をこの旅に誘っていませんよ」

???「それでは矛盾しているではないか」ニヤ…

??「でも放っておけなかったんです!…僕も…似たようなモノだから…」

???「似たようなモノ…?」

??「はい…くノ一さんは選ばれし者…勇者についての伝承はご存知ですか?」

くノ一「まぁ概要は知っている…聞きかじった程度だがな。確か……」

くノ一「勇者とは何度も復活を繰り返す魔王が現世に戻って来た際に、人間がその脅威に対抗するため…」

くノ一「大いなる女神の信託により神の加護を与えられた選ばれし者で…」

くノ一「彼らは皆等しくその身に、いにしえの英雄の血を引いている……と言ったところか」

勇者「はい…その通りです。今までは……」

くノ一「どういうこと?」

勇者「伝承では今から百年ほど前…魔王は封印されることなく完全に滅ぼされました」

勇者「しかし、それと同時に、いにしえの英雄の血を引く最後の勇者も力尽きたのです…」

勇者「それからしばらく平和な時代が続くんですが…」

くノ一「伝承とは別モノの魔王がまた現れてしまった…」

勇者「その通りです。でも困った事に勇者はいつまで経っても現れない…」

勇者「待てども暮らせども、女神の信託は下されなかったのです……」

勇者「そこで、業を煮やした帝国都市は最先端の魔科学を用いて…」

勇者「禁忌を犯し…魔術的措置で…人為的に…神の力の一部を行使できる、かりそめの勇者を作り出したんです」

くノ一「まさか…そのかりそめの勇者というのは……」

勇者「えぇ…僕なんです…」

勇者「それに、新しく現れた魔王の方も本物とは色々違う、いわばまがい物なんです」

くノ一「え…?」

勇者「ヤツらが一体何者なのかは分かりませんが伝承の魔王とは違って…」

勇者「倒しても復活することなく、またしばらくすれば別のまがい物の魔王が現れるんです」

くノ一「ちょっと待て…君はどうしてそんなことまで知ってるんだ!?」

勇者「実は最初のまがい物の魔王が現れたのは今から十年前なんですが…世間で騒がれる前に僕が倒したんです」

くノ一「それが本当だとして…どうして君はそんな少年のような姿のままなんだ?」

勇者「この体は…神の力を行使する際の負荷に耐えられるように作られたホムンクルスなんですよ…」

勇者「僕のように神の力を行使し得る何らかの資質を持った者達は自ら志願し、あるいは強制的に招集され…」

勇者「元の体から禁術で魂を抽出され…ホムンクルスに移植されたのですが…唯一成功したのは僕だけだったんです」

くノ一「…!」

勇者「ただしこの体の寿命は持って十年ほどしかないんです」

くノ一「なんと…」

勇者「だから魔王を倒したあとは体の寿命で魂もろとも死んでしまわないように…」

勇者「一旦帝国都市に帰還して体から僕の魂をまた抜き取って帝国のどこかに保管し…」

勇者「再び魔王が現れるとまたこの体と見た目も能力も寸分違わない新しい体が与えられるんです」

勇者「つまり僕は、魔王を倒す以外に…何もない…」

くノ一「だが…明白な使命があるだけ君はまだいいではないか…」

勇者「あと、これは今回初めて新しい体を与えられて判明したんですが…」

勇者「魂をホムンクルスに移植する度に禁術の影響で僕は徐々に記憶を失っていくそうなんです…」

くノ一「…!…そんなことって…!」

勇者「さっき僕もくノ一さんと同じようなモノだと言ったのはそういうことなんですよ…」ニコ…

勇者「いずれ僕は色んなものを失い続けて、何もなくなってしまう…」

くノ一「……」

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