兵士「勇者が魔王と和解した」 (270)


市民「勇者様が帰って来るぞ!」

ワー ワー

兵士「なんで大合戦で戦って帰ってきたらすぐに交通整理なんだ...」

モブ兵「仕方ないだろ?首都に駐屯してる兵の数が少ないんだから、番兵も近衛兵も交通整理に駆り出されてるんだ文句言うな」


上官「おい!勇者御一行が帰って来たぞ!さあ行くぞ!交通整理の時間だ!」


兵士「了解!よし行こう!」



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中央通り

兵士「はい押さないでー!ここからは入らないで!」


「勇者様ー!お疲れ様ー!」

「キャーこっち見てー!」


兵士(凄まじい熱気だなこりゃ...さっさと通り抜けてくれんものか)


市民「しかし魔王もよく和解する気になったな」

「何百年も争ってたのになあ...まあこれで隣国との憂いも無くなったんだ!今日は祝おうぜ!」

兵士(んなことどうでもいいから押すなよ!転ぶだろうが!)

上官「おっす」

兵士「上官!どうかしましたか?」

上官「ここの交通整理は終わって次は城門前の警備だ、勇者御一行が近くで見えるぞー?」

兵士「そこの警備は近衛兵の仕事では?」

上官「国王様の演説中の警備は近衛兵の仕事勇者様の演説は貴様らの仕事、さあ移動だ移動、ほら行け!」

兵士「了解しました...」

上官「シャキッとせんか!」

兵士「へいへい...」

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キャー ユウシャサマ!


兵士(そろそろだな...)


勇者『えーっと...マイクのスイッチ入ってる?アーアーテステス...』

『もうスイッチ入ってますから!』


勇者『え?入ってんの?!えー...』


勇者『えーっと...紹介が遅れました!っつても紹介しなくてもわかると思うけど...ただいま帰って来ました!勇者です!』

キャー! コッチムイテー! 


勇者『本当はもうちょっと早く帰って来る予定だったんだけど...ちょっとまだいざこざがあって少し遅くなりました!』

勇者『でもみんな元気で帰って来れました!最後の戦いはこの国の兵隊さんの力を借りて魔王の城に乗り込んだけど...なんとか和解まで漕ぎ着けました!』

イイゾー! ヨクガンバッタ!


勇者『ここまで無事に帰ってこれたのはここにいるみんなのおかげだと思います!』












勇者『それとこんな僕と最後まで一緒に戦ってくれた仲間に深く感謝します、最後までありがとう!』

戦士『成長しやがって...』

僧侶『勇者様とならどこへだってついていきます!』

魔法『付きまとうの間違いでしょ』




勇者『真面目な話はここまでにして...何か質問ある人~!』


「旅の話してくれよ!」

オレモキキタイ! ワタシモー!


勇者『えー...?そうだな~...じゃぁ...最後によった町の話でも話そうかな...』


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町長「お願いします!裏の洞窟に潜む魔物をやっつけて下さい!」

町民「オナシャス!」

魔法「わかりました...ではその魔物がこの町にどんな被害を与えたのですか?詳しく教えて下さい」

町民「それは...」

町長「はい、我が町の財産の宝石・石炭を食い荒らししかも宝石の採掘中には鉱夫が襲われ大怪我を負いました...中には死人も...」

町民「うっ...」

魔法「そうですか...そのような...」

勇者「ふーん...いつから宝石を掘り始めてるの?」

町長「はっ...?えっと...それはもう何百年と...」

勇者「そんな歴史があるんだ...?」

僧侶「いろんな町の文献や資料を見てきましたが...そのような内容は...」

町長「っば...バカなことを...」

戦士「めんどくさいな~はっきり言いなよ...最近見つけたんでしょ?宝石やら石炭やらなんかは」

町長「ッチ...めんどくせえなぁ...」

勇者「は...?」

町長「ああ、そうだよ?掘り始めたのも一年前だ、だが魔物に襲われてるのは事実だ」

魔法「それなら採掘をやめて鉱夫を洞窟から引き上げてそっとしていれば被害はなくなると思うんですが...」

町長「はあ?バカかお前?やっとの思いで炭鉱を見つけて、くそみてえな魔界に近いこんな町に活気が出てきたんだぞ?これを使わないで何しろっつうんだよ?教えてくれよ、なぁ...言ってみろっつうんだよ!」

勇者「でもこの件はこちら側に非があるから...」

町長「てめぇ今まで何してきたんだ?町や村に被害をもたらす魔物を倒しながらこんなとこまで来たんだろうが」

僧侶「しかし...」

町長「他の町は良くて俺らの村はダメっつうことか?あれか?金でも払えってことだな?今までもそうしてきたんんだなぁ...そうかそうか」

勇者「そうじゃない!」

町長「じゃあさっさと倒してこいや、被害が出てんのは事実なんだぞ?」

勇者「...」

僧侶「勇者様...出ましょうよこんな町...」

戦士「こんな奴のために戦うのはごめんだぜ?」

町長「さぁどうすんだよ?やる気がないならいいんだぜ?そのかわりこの町から出てってもらうがな、そうだなぁ...勇者様御一行にも見捨てられた町ってコンセプトで観光地にするのもありかもな?はっはっはっはこりゃ傑作だ...」

勇者「わかりました...行きます」

僧侶「勇者様!なぜですか...!こんな奴のために...」

勇者「人が亡くなってるのは事実だよ、この人は気に入らないけど...」

戦士「おいまじかよ...」

町長「ほらさっさと行けよ...勇者様が行くっつてんだぞ?」


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勇者『...と、まぁそんなこともあって、魔物も倒したんだけど...なんとも言えないモヤモヤもありみんなで話し合ったわけで...』


『あの...時間押してるんで...』


勇者『え?!あ...じゃぁこれでこの話はおしまい!』

エー?  モットキカセロー!


『ハ...ハイありがとうございました!』

兵士「やっと終わりましたね...」

上官「ふう...これで俺らの任務は終了だ、あとは近衛兵の連中にでも任せよう...」

兵士「よーし飯食いましょうよ!」

上官「まあ待てや俺は任務の報告があるんだよ、先に行ってろ」

兵士「はーい」


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兵士「あー食った食った...」

上官「じゃあまた明日、俺は寝る」

兵士「まだ昼ですよ?」

上官「兵隊はな?寝れるときに寝とくもんなんだよ憶えとけ、軍隊で生きる基本だ...」

兵士「また女騎士さんに弄られますよ~?」

上官「うるせえよ余計なお世話だ、じゃあな」

兵士「お疲れさんです」

上官「おーう...あー疲れた...」トコトコ

兵士「ふぅー...散歩でもするか...」

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城の裏の土手

兵士「久々にここ来たな...昼寝でもするか...」


兵士「...」

兵士(今年は激動の一年だったな...)

兵士(俺ってあんな合戦の中でえ生き残ったんだな...俺だけが...)

兄も弟も兵隊だった、階級は二人とも俺よりも上だ

二人とも世渡りが上手く身体能力も俺よりも高い、俺は兄と一緒の年に軍隊に入隊した

弟は2年後に入隊した

弟が入隊した年に魔族と王国の国境ででっかい合戦があった 結果は辛くも勝利した

で、俺の同期の半分が死んだ 一緒に酒を飲んだ中の奴は左目と片足をもがれた

その合戦で弟と兄は敵の分隊長と大将格を切り殺した 俺は雑魚敵しか切ってないから上には上がれなかった、まぁ死ななかっただけでもマシだ いまの上官も言ってる命あっての人生だ

うそだ、悔しかった 誰よりも俺は戦ってた 

俺は見てたんだ、兄は枯草の中で隠れてた震え、弟は味方の看護をしてる振りをしながら必死に遺体を運びながら何処かへ消えてった 

弟と兄が特進したのは合戦が終わってすぐに聞いた、最初は死んだのかと思って涙を流したが違った兄は敵の大将格を、弟は敵の分隊長を2人殺した

俺は必至になってみんなに説明した「そんなはずない、あの二人は逃げ隠れていた」と、しかし相手にされなかった、まあ当たり前だ、雑魚敵と上官は格が違う、でも俺は戦ってたあいつらよりも

結果俺が逃げ回ってたってことになった、誰も俺の姿を見なかったからだ、俺は最前線にいたから見えなかったのかもしれない




兵士「...はぁ」

ダメだ、寝ようとするといつも昔のことや嫌な記憶を思い出す

兵士「昼寝は出来ねえなこりゃ...」

起き上がり体についた草を払う、するとどこからか棒か何かを振る風切り音が聞こえてきた

兵士「やっと戦から帰って来たっつうのにご苦労なこったな...」

そんな疲れ知らずのバカを見てやろうと音のする方へ行ってみた

兵士(お...?ありゃぁ...)


さっきまで長々と演説をしていた勇者様とやらが演習用の剣を軽々と持ちながら素振りをしていた、なかなか様になっている

兵士「ご...ご苦労様です!」

勇者「へ?!あ...はい...」

やはり英雄ぐらいの人と話すのはなぜか緊張してしまう、兵隊っていうのはそうゆうつくりなのかもしれない

勇者「こんな人気のないところで何してるの...?」

兵士(おめえに言われたかねえよ)

兵士「はっ、ここで昼寝をするのが入隊した時から気に入っておりまして...ははっ...」

勇者「へえ~...僕もね?この国に来てからここで剣の素振りをするのが日課っていうのかな?とにかく気に入ってるんだ...」

兵士「そうなんですか...なんか照れます...」

俺が入隊した時には勇者は魔王討伐の旅に出てたから会うことはなかったんだろう、しかし中々良いところを見つけたと我ながら思っていたが人が作ったとこには人がいるんだな

兵士「自主練習の邪魔をして申し訳ありません、自分がいては気が散るでしょうから、それでは...」

勇者「別にいてもいいよ?一人でいるとなんかあれだし...」

俺は帰りたいんだよ

兵士「そ、そうですか...?ではお言葉に甘えて...」

兵隊とは上の人間には逆らえない、そういう生き物だ

いや、いてもいいってことだから逆らうって言うのはおかしいな、まあいい

兵士「勇者様はなぜ勇者になったんですか?」

勇者「う~ん...血筋...かなぁ?別にならなくても良かったんだけど...何か成り行きで勇者になった感じ?」

英雄ってのは案外気楽なのかもしれない

兵士「そうなんですか...何か夢があって、とかじゃないんですね」

勇者「うん...そうかもね、周りの人が勇者の器じゃなかったから、僕が勇者になっただけだからね」

他にも勇者候補はいたんだな

兵士「本当に成り行きですね...」

勇者「この前の合戦で指揮してた軍師いたでしょ?」

ああ、あの線の細い女みたいな奴か

兵士「はい、その方がどうかしたんですか?」

勇者「僕と一緒に勇者の座を争ってた中なんだ、まぁ一方的にあっちが言ってただけなんだけどね」

あの軍師が勇者候補生か、何かあんま想像できないな

兵士「ところで話は変わるんですが...「勇者様~!!!!!!!!!!」


勇者「僧侶ちゃん?どうしたの?」

僧侶「どうしたのじゃありませんよ!私たちとご飯食べに行くって約束したじゃないですか!」

勇者「へ?...あぁ!そうだった!忘れてた!」

僧侶「行きましょ!魔法も戦士も待ってますよ!早く早く!」

勇者「分かったから...それじゃぁね?知り合い以外の人とこんなに長く話したの初めてだよ、また何か話そうね!」

兵士「はっ、ありがたき幸せ...」

勇者「さっきの態度とは全然違うじゃん!まぁ良いや、じゃあね!」

「早く行きましょうよ~!」


「服引っ張らないで!」


兵士「...」


笑顔が...とても眩しかった、あんな笑顔を見て嫌う奴なんか居ないってぐらい最高の笑顔だった


兵士「はぁ...疲れた...」

いつもは上官とかに対しては斜に構えてる俺だが...英雄格の人間にはあんなに性格が変わるもんなんだと実感した1日だった

ところ変わって

王室

国王「軍師よ、なかなか素晴らしい戦い方だったぞ」

軍師「はっ、ありがたき幸せ...」

国王「まぁそんなに畏まるでない...まぁ正直言って軍隊を出動せんでも勇者一行でも乗り込めるぐらいの戦力だったがの...勇者一行に無為だな損害を出さずそして、お前の名を近隣諸国に広めることは出来たじゃろうて...」

軍師「しかし...」

国王「ん?どうした?」

軍師「今回の合戦で600人近くの戦死者を出してしまいました...肝心の主力部隊の魔法戦士の部隊も参加させていれば...」

国王「案ずるでない...歩兵など所詮は盤上の駒にすぎぬ、それに、5万もの兵力をつぎ込んだが死んだのはたったの600人...初陣にしては最高の出来じゃ...他の者なんぞに文句は言わせぬさ」

軍師「はい...それでは業務に戻ります...」

国王「あまり無理はするなよ、お前はこの国の次期国王じゃからな、今体を壊されては困るぞ...それに勇者との婚約も...」

軍師「勇者は僕と結婚するつもりはありません、僕は勇者の意見を尊重します...それでは」
バタン...

国王「...奴も奥手じゃのう...困ったもんじゃ」

ーーー
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酒場

僧侶「ここの手羽先がおいしいんですよね~」

戦士「大将!うち唐翌揚げ定食ね!」

アイヨー!

勇者「こんなところ初めて来たよ~」ワクワク

魔法「勇者は騒がしいとこが苦手だからな、でもこんな汚いとこが結構穴場なんd...ガンッ

夫人「汚いは余計だよ!ほーら勇者様~?たんとお上がり?今日は大サービスだよ~?」

勇者「あ、ありがとうございます!」

夫人「嫌だよ~!敬語なんか使わなくても~!お母さんみたいに甘えてくれたって構わないからねー?」

勇者「はい...」

逞しい人だけど、何か安心するこういうとこで食事するのも良いかもしれない

「姉さん!こっち生ビールね!」

夫人「はいよ!じゃ!なんかあったら呼んでね?はいはいただいま行きますよ~!」


魔法「あの人の息子さんこの前の合戦で大怪我してね、一時は死ぬかもしれないって状態だったんだけど...あの夫人、「死んだら許さないからね!」っつっておもいっきし頬しばいたんだ...そしたら息子さん、息吹き返したんだ...あの人は不器用だけどいい人なんだよ」

勇者「そうなんだ...」

すごい人だ...この人たちを守ったという実感が湧いてきた、苦労して旅をした甲斐があった

僧侶「勇者様~?食べないんですか~?」

戦士「オーイ、ぼけっとしてたら僧侶に食われちまうぞ?」

勇者「へ?あぁ...食べるよ、うん」

僧侶「まぁ!私をなんだと思ってるんですか?!」

魔法「大飯食らいでしょ?」

僧侶「まぁひどい!勇者様も何か言ってください!」

勇者「僕はノーコメントで...」


こうして、夜は更けていった...

ーーー
ーー

城門 歩哨詰所


兵士「...」

上官「いや~すまんなすまん、会議が長引いちまってよ」

兵士「また会議中に女騎士様と喧嘩してたんですかい?」

上官「そうなんだよ!あの女によ~こんな陣地構成じゃぁすぐ突破されますよ?っつたらあいつムキになりやがってそこから口論だよ...」

兵士「俺まで嫌味言われるんだから口には気を付けて下さいよ~?何回食堂で女騎士様に相談されたことか...」

上官「何?!貴様女騎士様とプライベートで会ってんのか?!」


いつもこれだ...女騎士の事となるとムキになる、まぁ相談されると言っても上官の好きな食べ物とか、そんな事しか聞かれない、さっさと告白すればいいものを上官は子供なんだからいつも女騎士の前じゃモジモジして上手く言葉を伝えれないのだ、会議の席じゃあキリッとしててカッコいいと女騎士は惚気ていたが


上官「くそ野郎が...良い部下と思っていたのに...」

兵士「嘘ですよ、あの上官をどう言い負かしてやろうかって話あってるだけですよ」

上官「貴様ぁ...もう奢ってやらんからな!絶対だ!」

兵士「え~?それは勘弁して下さいよ~」

上官「うるさい!」

ーー
ーーー

ーーー
ーー


兵士「上官!飯食いに行きませんか?」

上官「良いけど、ちょっと先に行っててくれねえか?」

兵士「は~い、じゃあいつもの酒場で」

上官「おうまたあとで...」


酒場 

ワイワイ  ガヤガヤ 


兵士「相も変わらず人が多いところだなここは...」

「勇者様も飲んでほら!」

「ちょ...お酒は...」


兵士「ん?ありゃあ...」



勇者「お酒は飲めないんだって!」

僧侶「え~?ゆうしゃしゃまものみまひょうよ~?」

戦士「こいつはもう放っておけ、さっさと飯食うぞ」

魔法「なんで来る前から飲んでんだこの生臭シスターは」

僧侶「なにこそこそはなしてんでしゅか~?」

勇者「もう、気を付けないと...体壊しちゃうよ?」



兵士「お、勇者さま御一行だ...」

勇者「全くもう…ん?あっ、君はこの前…」

兵士「あっ…どうも…」


戦士(おい、この男誰だ?)

僧侶(あっ!こいつ何か勇者様と話をしてた奴ですよ!)

魔法(奥手だった勇者にも遂に春が来たか)

僧侶(それは許せません!)

勇者「まぁ座りなよ」

兵士「はっ...しかし...」

勇者「ん?どうしたの?ほら遠慮なんか良いのに...」

兵士(向かい側にいる狂犬をどうにかしてくれ...まだ死にたくねえんだよ)

僧侶 グルルルルル...

戦士「ああ、こいつは気にするな!ちぃいと頭のネジが外れてんだ...なあ?」

魔法「ああ気にすることはないよ、さぁ座って座って」

兵士(こいつら分かって言ってるんだろうな...)

兵士「では...失礼します!」 


戦士「ところで兵士さんよ?こいつとはどこで知り合ったんだ?」

兵士「城の裏手にある土手で...」

魔法「へぇ...あそこは勇者のお気に入りの場所なんだけど...あんなところにも他の人間が来るんだね」

兵士「はい、入隊した年からあの場所で休憩を取っております...」

俺はなんで英雄達と酒なんか飲んでんだろうな、上官早く来てくれ...

魔法「話はガラッと変わるが...君はこの前の合戦には出たのかい?」

兵士「はい、大した事はしておりませんが...勇者様のお役に立てたと思います」

僧侶「役に立つも何も...正直私達だけでも行けましたよね?」

兵士「へ?」

戦士「あぁ...あの魔王自体そこまで強くなかったからなー最初の方で強い奴出しまくったんだろうな」

おい何だこの流れは

魔法「何で国王はあんなところで兵なんか出したんだろうか」








兵士「あ、あそこで兵を出せば勇者様に何かあっても被害を最小限に抑えられると...国王が...」

魔法「いや、いらなかったよ?」

僧侶「確かに兵はいりませんでしたね...敵もそこまで強くなかったですし...正直言って...ねえ?」

やめろ...それ以上言うな、俺らは...

戦士「足手まとい...つうか...なぁ?勇者?」

勇者「え...っと...まぁ頑張ってたよ?けど...」

兵士「邪魔...でしたか?」

勇者「い...いやそんな事はないよ?」



戦士「あぁ!めんどくせぇ!もう正直に言おう!あぁ邪魔だった!お前ら兵士共々みんな邪魔でした!くっそ弱い敵一匹にに何人も切りかかってるのを見てて必死になんなよって思いました!」



兵士「...」

戦士「ふぅ...そういうことだ」

兵士「...勇者様...この前聞けなかった事...あるんですけど」

勇者「へ...?なに?」

兵士「勇者様は何故魔王と和解を...」

僧侶(今聞くんですか...)

勇者「えっと...少し長くなるんだけど...?」

兵士「お願いします」

勇者「前に話したんだけど...その続きから...」

ーーー
ーーーー

洞窟...

戦士「火薬くっせえなぁ...どんだけ火薬使ってんだよ...」

僧侶「もう帰りましょうよ~...あんな奴の為に頑張る必要ないですよ~...」

魔法「まぁまぁ...ここで文句を言っても仕方ないよ」

僧侶「でも~...」

勇者「こんなことに巻き込んでごめんね...ここで働いてる人は命を懸けて働いてるから見過ごせなかったんだ...あの人は気に入らないけど...」

僧侶「勇者様...」キラキラ

戦士「コンだけ目ぇ輝かせてりゃ松明いらずだな」

勇者「ははは」

僧侶「もう!からかわないで下さい!」


グルルル...

グルルルルルルルルルル...


勇者「...聞こえた?」

僧侶「え?何をですか?」

戦士「あぁ...」

魔法「凄い...姿も見せてないのに凄まじい威圧感が...これは久々の強敵だよ」

僧侶「え?え?」

?「何もんだ...てめぇら...」

僧侶「え?!何ですか?!」

?「俺の家に勝手に上り込んであなた誰はねえだろうよ...まぁいい、俺はこの洞窟の主って奴だ...どうしてこんなところまで?」

勇者「僕たちは魔王を倒しにここまで旅をしてきました、その途中にここから近くの町まできたんですが...」

洞窟の主「ほう?あの生臭町長に頼まれて俺を倒しに来たと?」

勇者「そういう事です」

僧侶「なんでわかったんですか?」

洞窟の主「何年生きてきたと思ってんだこの野郎、あいつのやることは昔から変わんねえ」


僧侶「あいつのことを知ってるんですか?」

洞窟の主「ああ、あいつがガキの頃から知ってるよ...昔っから何も変わらない
自分に利益があると分かると他人をも蹴落とす...ある意味人間らしい奴だよ。」

勇者「...」

洞窟の主「で?何しに来たんだ?俺を殺しにここまできたのか?」

勇者「最初はそのつもりだったけど、気が変わった!」

洞窟の主「あ?」

勇者「もう町の人には手を出さない...僕はそれが言いたかったんだ」

洞窟の主「ほう...言いたいことはそれだけか?」

勇者「うん、それだけ」

洞窟の主「しかしなぁ、ここの鉱石は俺の主食なんだ...いきなり食い物を取られてんだはいそうですかで済むわけねえ
だろ」

戦士「話し合えばいいじゃん、鉱石は死ぬまで無くならないでしょ?」



洞窟の主「いやまあそうだけどさぁ…」

勇者「じゃあ決まり!街の鉱夫さんとも仲良くするって事で良いね?」

洞窟の主「まぁ…それで良いよもう…」

戦士「話がわかる奴で良かったよ」

洞窟の主「何か納得出来ねぇな…」

僧侶「これで一件落着ですね!流石勇者様!」

勇者「僕だけの力じゃないよみんなのおかげだよ」

洞窟の主「はぁ...話は済んだなら帰ってくれ...俺は眠たいんだ」

魔法「それじゃぁ街に戻りましょうか」

勇者「さてと...あの町長にも話を付けてこようか...」

僧侶「あんな奴に話が通じるんですかねぇ...」

戦士「無理矢理でも決着をつけるさ」

魔法「力づくはダメです、私達の今後の評判に響きますよ?」

そして...

勇者「町長、話を付けてきました」

町長「おう、お疲れさんじゃあもう帰っても良いぞ」

魔法「その前に...」

町長「あ?俺の用事は終わったぞ?さぁ出てけよ邪魔だよ」

勇者「僕たちの用事は終わってないからね、戦士こいつ縛ってくれない?」

戦士「ラジャー」

町長「お、おい!何すんだ!おい誰か来い!」

魔法「あ、人呼んでも無駄だよ?みんな眠ってるから」

町長「はぁ?!おい勇者ともあろうものがこんなことしても良いのかおい!今なら黙っといてやるから!」

勇者「別に黙ってなくても良いよ?みんなに喋りたければ喋ればいいよ」

町長「はぁ?お、お前何言ってんのかわかってるのか!」

勇者「ん?何が?」

町長「何が...ってお前...」

戦士「君さぁ...今の立場わかってないよね?」

町長「...」 ギリッ

勇者「洞窟の主はこれからも鉱石は採っても良いって言ってたよ?でも節度を持って計画的にってことでよろしく」

町長「何言ってんだこのアマぁ!離せよォ!」

勇者「はぁ...やっぱダメか」

戦士「強硬手段と行きましょうか?」

魔法「だから...」

勇者「強硬手段...それにしよう」

魔法「だから...はぁ、もういいです」

町長「わ、わかった金はいくらでも出すから!」 ガタガタガタガタ

戦士「こいつビビってるぞ」

勇者「別に殴るとかそんなんじゃないんだけどなぁ...」

戦士「どうする?」

勇者「そうだねー...じゃぁもう鉱石は採り過ぎない事と...危険だって分かったら鉱夫さん達を避難させること!」

町長「はい、はい!わかりました!」

戦士「ホントか?やっぱ〆といた方が良いんじゃねえか?」

勇者「そうだなーじゃあ約束を破ったら...幻覚魔法の実験台ってことで良いかな?」

魔法「勝手に決めないで下さいよ...まぁ良いけど」

町長「分かりました!気を付けます!」

戦士「だってよ」

勇者「よし、じゃあ一泊したら魔王城に乗り込もうか!」

「「「おう!!」」」

ーーーー
ーーー

勇者「それでねーそのあとねー」

兵士(こりゃ長くなりそううだな、聞くんじゃなかった)

兵士「あ!もうこんな時間だ!仕事に戻らないといけないんでお邪魔しました!」

勇者「え?話はまだ終わってないよ?」

兵士「いや、続きを聞きたいのは山々なんですが...なんせ仕事が...」

戦士(この時間はこいつらの仕事はとっくに終わってる筈なんだが)

魔法「仕事なら仕方ないですね...」

僧侶「それなら早く行って下さい!」

兵士「いやーすいません、それでは」タタタッ



勇者「こんな時間にまで仕事があるんだねー兵士も大変だね」

戦士「あいつ嘘ついてんぞ」

勇者「え?」

魔法「さしずめさっきの話で相当傷ついてんだろうね」

僧侶「え?嘘ついてたんですか?!」

勇者「嘘...ついてる?」

戦士「まぁしゃあねえやな」

魔法「駒でもプライドって物は平等に備わってますからね」

勇者「嫌われちゃったかな...みんな以外の人と初めて仲良くなれると思ったんだけどなぁ...」

僧侶「勇者様は私のそばに居ればいいんです!他の人間と仲良くする必要はありません!」

魔法「まぁ...そんな落ち込まないで、馬が合わなかっただけですよ」

戦士「そうだよ、良いから飲もうぜ?」

勇者「...」

戦士(うわ、めっちゃショック受けてる...こりゃ治るまで時間かかるぞ)


上官「遅れてすまんな、ん?」

上官「あれぇ?兵士の奴まだ来てねえのか?」

次の日...

モブ兵「おい兵士よ~、元気ねえな?どうした」

兵士「お前には関係ねえよ...」

こんな気楽な奴でも生き残れたんだ、戦士の言う通りたいした合戦じゃなかったのかもな

モブ兵「それよりさ!あの上官がこんど女騎士さんとデート行くことになったらしいぜ?」

兵士「へぇあの超奥手な上官が誘ったのか?中々やるな」

こりゃ明日は槍でも降って来るな

モブ兵「それがよ!女騎士さんが直々に誘ったらしいぜ?きのうの居酒屋でたまたま出会ったらしい」

何だ誘ったんじゃないのか

兵士「そりゃそうだ、上官が誘えるはずがない」

モブ兵「ははは!そりゃひで...

兵士「ん?」

上官「随分と楽しそうで...兵士君」

兵士「あ...あぁ...」

上官「昨日てめえは俺との約束すっぽかしてよ~どこ行っちまったんだ?あぁ?」

兵士「いや...いろいろありまして...」

上官「おかげで俺はあの小汚い居酒屋で恥さらしちゃってさぁ?」

大方、女騎士に誘われた時にでも気絶したんだな

上官「起きたら看護室に居ました」

兵士「やっぱりね」



上官「あぁ?!もうぜってえ奢らねえかんな!」

兵士「えぇ...気絶したのは自己責任だと思うんですが」

モブ兵「上官気絶したんですか?!」

上官「し、しとらんわ!もういい!今日は終わりだ!」

兵士「お疲れ様でしたー」

上官「ふんっ!」


モブ兵「お前人を怒らすことにかけては一流だな」

兵士「んなこたぁない、それで...また早上がりですか...どうしようかな、お前は?」

モブ兵「あぁ、俺郵便局に行かないといけねえンだった」

兵士「おう、じゃぁまたあとで」

モブ兵「おう、またあとでなー」 タッタッタ



兵士「さてと...どこ行きますかね」

こんなこと言っても行くとこは大体決まってる

兵士「勇者様がいないことを祈ろう...」

今あったら間違いなく険悪なムードになるな

兵士「あの狂犬シスターには絶対合わないように神に祈るか」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「よかった...誰もいねえな...よいしょ」

ここの土手は山脈から吹く風で夏はとても涼しいから気持ちがいい

兵士「そろそろ夏だなぁ...まぁ行くとこなんてないけどな...」

兵士「つってもまだ肌寒いな...ん?誰か...来る」



国王「どうした勇者よ...そんなに落ち込んで...」

勇者「いえ...何でもないです...」


兵士「やっべ、国王と勇者様じゃねえか...ここの草むらにでも...」 ガサガサ


国王「なぜこの様な場所へ来たのだ?」

勇者「国王陛下にここを見て欲しくて...」

国王「ほぅ...何十年も国を見てきたが...このような場所があるのだな...」

勇者「はい、この国にはまだまだ良い所はありますここは僕だけの場所...って訳じゃないんですが
僕のお気に入りの場所なんです」

国王「うむ...素晴らしい場所じゃのう...ここは勇者だけが見つけた土手じゃな」

勇者「いえ、実は僕が初めて来たときも人がいました、この国の兵士で...僕よりも前から来てたみたいですが」

国王「ほう...いつもはいるのか?」

勇者「あいつが来るタイミングはよく分からないんで...」

国王「そうか、うむ、戦士達以外の人とも交流を持った方が良いかもしれんな」

勇者「そうしたいのですが...何か僕嫌われちゃったみたいで...」

国王「嫌われた...?どうしてじゃ」

勇者「先の合戦の話をしてる時に...つい...」

国王「そうか...」



兵士(さぁてどう抜け出すべきか、つうか何話てんだろ)

国王「まぁ喧嘩は誰でもすることじゃ、そう気に病む出な...時間が解決してくれるさ」

勇者「それなら良いんですけど...」

国王「ワシは仕事に戻るが...勇者はどうするかね?」

勇者「もう少し残ります、時間を取らして申し訳ございません」

国王「いいんじゃよ、わしが勝手に付いて来たんじゃ、では、また後で」

勇者「はい...」



兵士(お、国王が帰った...)


勇者「さてと...さっきから何してるの?」

兵士「ヘぁ!?」

勇者「やっぱり兵士だった...何してたの?」

兵士「いえ...少しばかり雑草のスケッチを...」

勇者「へぇ...見せてくれる?」

兵士「いや...見るに堪えないものなので...」

さて、どう抜けだすべきか

勇者「また嘘ついたんだ...昨日もそうだった」

兵士「え...?」

勇者「何で昨日帰っちゃったの?」

兵士「いや...それは」

勇者「僕何か気に障るようなこと言ったかな...よく分かんないんだ、こうやって他の人と接するっていうのが...」

兵士「じ、自分にもプライドっていうものがあります...ただの駒ですが...」

勇者「...」

兵士「この前の合戦でも自分の同期は沢山死にました...勇者様達にとっては足を引っ張る存在だった
そうですが...」

勇者「そんなことは...」

兵士「いえ...いいんです、上の人間がそう言ってたのですから...しかし...」

勇者「...」

兵士「あなた方がただの駒と言う兵隊にも家族や妻がいるんです!「正直邪魔だった」と片づけられる程の存在だったと
しても...」

勇者「君たちはよく戦ってくれたよ...それは分かって

兵士「あんたに何がわかるんだ!死んだ奴らがどんな気持ちで戦ったと思ってる!あんたらにこれからの国の未来を託して
死んだんだ!魔物どもが人を殺しに来ないそんな未来を...なのにあんたはあの魔王と和解しやがった!なぜだ!」

勇者「だからそれは...!」

兵士「いいよなぁ...あんたらは帰ってくれば勝手に国民どもが英雄と称えてくれるからな!それなのに俺たちは何だ?
俺たちは英雄じゃぁ無いらしい...お前らは気楽でいいy バチンッ!

勇者「...」フルフル

兵士「...」

勇者「君には...僕たちの苦労は分からない...」

兵士「...まるで俺らが苦労してないみたいな言いぐさだな」

勇者「...もういい...帰って...」

兵士「ふんっ...」

食堂

上官「...どうしたお前、その頬」

兵士「何でもないです」

モブ兵「女湯でも覗いたのか?」

兵士「そんなんじゃねえつうの...」

上官「まぁ...喧嘩は程ほどにな?」

兵士「ウッス...」

ところ変わって...

勇者「...」


軍師「勇者...何かあったの?」

戦士「いつからこんな感じなんだ?」

軍師「昼過ぎに帰ってきてから...」

魔法「そっとしといてあげなよ」

僧侶「なにか...やっちゃったんでしょうかね」

国王「何しとるんだ?」

軍師「あ...国王陛下...勇者の様子がおかしくて...」

国王「ほう...?あの後何かあったのかのう?」

戦士「あのあと?勇者といたんですか?」

国王「あぁ、勇者がよく行く土手についてったんじゃが...ワシは途中で帰っての...」

僧侶「よく行く...お気に入り...あぁ!!」

魔法「うわ...ビックリした」

僧侶「あの一兵卒ですよ!あの男が勇者様に何かしようと...あんのくそ野郎...」

軍師「とりあえず...話を聞きましょうか...」

そして...

勇者「ということが...」

国王「そんなことが...」

軍師「それは...貴方たちにも原因がありますね...」

戦士「え~?でも正直邪魔だった...」

魔法「確かに...ちょっと言い過ぎたとは思ってたけど...そこまで来るとは」

僧侶「まったく!勇者様になんてことを!」

魔法「君はちょっと黙って」

国王「まぁあの合戦は正直しなくても良かったんじゃがの...」

勇者「え...?」

国王「なんとか軍師にも華を持たせようとしたんじゃがのぅ...」

軍師「...」

勇者「そんなことで...何百もの兵を犠牲にしたんですか...!」

国王「仕方ないじゃろう、軍師は次の国王候補なんじゃから」

勇者「そうだとしても...」

軍師「あんなに戦死者が出たのは僕の采配ミスだ...兵士に不満が出るのも仕方ない...」

魔法「さてと...どうしたものか...」



戦士「慰霊碑でも立てとけば満足なんじゃない?」

勇者「慰霊碑ぐらいで...兵士が許してくれるわけないよ...」

魔法「しかし、それ以外に方法はないと思いますよ」

戦士「なら勇者が兵士を抱くとか」

僧侶「それは私が許しません!」

勇者「そんな...///」

戦士「なに照れてんだよ」

軍師「やっぱ慰霊碑かなぁ...」

国王「もうそれでいいじゃろ」

魔法「ちょっとは真面目に考えて下さい」

国王「兵が死んだくらいで毎回議論してたらワシの体がもたんよ」

数日後...

兵士「頭痛てぇ...」

モブ兵「二日酔いか~?情けねえ奴だな」

兵士「酒樽ごと飲んでたお前は何で平気なんだよ...」

モブ兵「体の作りが違うんだよ...おっ、上官だ...」


上官「...」オドオド キョロキョロ



兵士「女騎士さんとデートって今日だったのか?」

モブ兵「めっちゃキョドってんな上官」



モブ兵「上官も大変なんだな」

兵士「戦よりも緊張してんだろあれ...お、女騎士さんきたぞ」



上官「こ...っこっこんにちは!」

女騎士「遅れてすまんな...つうかまだ朝だというのに元気だなお前は...」

上官「あっ、そうですね!まだ朝でしたね...」

女騎士「じゃぁ行こうか?」

上官「はい!一緒に行きましょう!」

女騎士「デートなんだから一緒に行くのは当たり前だろ...」



兵士「ありゃ相当だぞ」

モブ兵「まぁ俺らは女の子とデートしたこと無いから大変さなんて知らんがな」

兵士「さぁてと...」

モブ兵「これからどうするよ?またいつものとこに行くのか?」

兵士「いやー...どうする?」

モブ兵「質問を質問で返すなよ...んー...俺もその場所につれてってくれや」

兵士「え?何だ珍しい...」

モブ兵「いやー俺も行ってみたくなってよー、いいだろ?」

兵士「良いけど...ちょっとなぁ...あそこは訳ありでな...」

モブ兵「訳あり?幽霊でも出んのか?」

モブ兵「そいやぁお前、この前の殴られた跡って...」

兵士「いやぁ、いろいろありまして...」

モブ兵「なんだよ気になるだろ...ん?勇者さまだ」

兵士「ゆ、勇者?!やべぇ...どっか隠れれるとこ...」オロオロ

モブ兵「お、おいどうしちまったんだ?待てよ!」

兵士(良いから黙ってろ!)

モブ兵(どうしたんだよ...)

勇者 キョロキョロ

僧侶「もう帰りましょうよ~、疲れました~」

戦士「じゃぁお前だけ帰ればいいだろ」

魔法「その方が邪魔にならない」

僧侶「ええ?!何ですかそれぇ!」

魔法「ジョークだよ」

戦士「まぁ半分嘘だ」

僧侶「んもう!」

勇者「いないなぁ~...」

魔法「勇者さん、もうすぐ始まりますよ?」

勇者「でも...兵士には見て欲しくて...」


モブ兵(お前の事じゃねぇか...何で隠れてんだ?英雄がお呼びなんだぞ?)

兵士(いろいろと入り用なんだよこっちは...)

上官「...」

女騎士「なにしてるんだ?」

モブ兵「ファ?!」

兵士「じょ、上官!どうしてここに!」

上官「そりゃこっちのセリフだボケ...せめて識別票はずせバカ!」

兵士「ば、大声出さないで下さい!」

上官「今お前バカって言おうとしたな!?」



戦士「なんだぁ?喧嘩か?」

僧侶「あれって...!」

勇者「兵士...やっと見つけた!」

勇者「兵士~!!」 タッタッタッタ

上官「兵士?お前...勇者様に呼ばれてんぞ?」

兵士「うわヤバイ!」

上官「何逃げようとしてんだ」ガシッ

兵士「上官!後生です離して下さい!」ジタバタ

女騎士「じょ、上官...」

上官「申し訳ございません、デートは一旦中断です、こいつをどうにかせんと...」

女騎士「はぁ~分かったよ...」

上官「申し訳御座いません、さぁ兵士!観念しやがれ!」

勇者「ありがとうございます...兵士...ちょっと良いかな?」

兵士「お、俺ちょっと女が待っております故、それでは御免!」

勇者「お、女ぁ?!」

上官「お前に彼女とか女友達なんて出来た事無いだろ、さぁ観念して勇者様の話を聞くんだ」

兵士「...」ガクッ

勇者「また嘘...」

上官「貴様勇者様に嘘ついた事あんのか?!」

兵士「もう離して...逃げませんから...」

上官「勇者様、よろしいですか?」

勇者「はい...」

上官「ぜってー逃げんなよ?」

兵士「了解...」

勇者「へ、兵士...時間あるかな...?」

兵士「はい...有り余ってますよ時間なんて...」

勇者「ちょっと着いて来てくれる...?」

兵士「えーえー何処にでも着いて行きますよ...」

勇者「ほんと?!じゃあ来て!」ガシッ

兵士「ひ、引きずらないで...」

ーーー
ーーーー

広場

兵士「で、なんか用でも?」

勇者「兵士、これ...」

『先の合戦で散っていった英雄達、ここに眠る』

兵士(なんだこの石饅頭)

勇者「あの後考えたんだ...兵士の気持ちも知らないで僕は...」

兵士「いや...うん」

勇者「これで許して貰おうとは思ってないよ...ただ、気持ちだけでもと...」

兵士「あ~...うん良いんじゃないですか?」

勇者「良いんじゃない...って、真面目な話なんだよ?」

兵士「いや、慰霊碑作られても...なんて反応すりゃ良いのか...別に俺は大事にして欲しいなんて言ってないですし...
あの戦いでこんな事もあったと思っていただければそれで満足だったんですが...」

勇者「...」

兵士「はぁ...やっぱ役人の考える事だな」

勇者「どういう意味...?」

兵士「いや、もうこれで良いですはい、天国の戦友達も満足でしょうよ」

勇者「ちゃんと説明して!」

兵士「別に俺から言う事は無いですよ?この石饅頭作って勇者様の株もダダ上がりで良かったですね」

戦士「何か不満でもあるってのか?」

兵士「無いですよ?ええ無いですとも、英雄様達が知恵を振り絞って作ってくれたんですよ?
文句なんてそんな畏れ多いこと言う訳ないでしょう」

勇者「...」

兵士「帰って良いですか?俺から言う事は無いんですから」


「勇者様が作って下さったんだぞ!」

「勇者様は兵隊を大切にして下さってると言うのに...何たる無礼者じゃ!」


兵士(俺が悪者かいな)

僧侶「そうです!別にこんな事勇者様がしなくても良かったんですからね!」

兵士「じゃぁするなよ」

僧侶「んな?!」

兵士「お前らが下の人間をどう思って言おうがもう俺はどうでも良いんだよ
ただこんな石饅頭一個で死んだ仲間達を弔ってる振りをして欲しいなんて一言も言ってないぞ」

上官「おい、もうやめとけ...」

勇者「じゃぁ...僕はどうすればいいの?!」

兵士「お?逆切れですか?」

戦士「この...黙ってりゃ調子に乗りやがって」

兵士「元はと言えばお前らが原因だろうが!こっちが下手に出てりゃいい気になりやがって!だいたい何だ?!「正直足手まといだった~」って?
こっちだって行きたくて行った訳じゃねぇんだよ!しかも魔王を倒さずにのうのうと戻って着やがって!」

魔法「お、落ち着いて...」

兵士「何だ?俺はどうすりゃ良いんだ?この慰霊碑を見て俺はどう反応すればお前らは満足なんだ?教えてくれよ...」

勇者「...ッ」 ポロポロ

兵士「泣いてちゃわかんねぇだろうが...」

戦士「す、すまん...こんな大事になるとは...」

兵士「あんたホントは真面目に考えてなかったんでしょ?「こうすりゃ満足だべ」って」

戦士「そ、それは...」

勇者「...」

兵士「勇者様、あんたは戦士さんたちとつるんでりゃ良いんだ、無理に背伸びしない方が人を傷つけない」

勇者「...」

兵士「ッチ...何とか言えよ...」

上官「これ以上はやめとけ」ドスッ

兵士「えぇ...」バタッ

上官「自分が責任持って処罰しますので...なにとぞご勘弁の程お願い申し上げます...」

勇者「うん...」

戦士「すまない...」

上官「重いなこいつ...」

女騎士「血気盛んなのはお前譲りかな?」

上官「そ、そんな事は無いと思うんですが...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー
重営倉


兵士「ん~...やべぇよなこりゃ」

見張り「英雄に楯突こうなんざぁバカの極みだで」

兵士「ちいと熱くなりすぎたね俺」

見張り「お前さんの上官が必死こいて土下座してたぞ?国王陛下と勇者様も流石に困ってたで」

兵士「うーん申し訳ない」

見張り「ほんとに思ってんかいな...」

ガチャ

国王「今良いかな?」

見張り「陛下?!こんな臭いとこに来んでも言ってくれりゃ自分が連れてきますよ」

国王「不敬罪は立派な軍規違反だ、ちょっと席を外してもらえるかな?」

見張り「御意」

バタン

兵士(誰か俺を助けて)

国王「勇者に随分と言ってくれたね?」

兵士「は、はい」

国王「別に責めている訳ではない、勇者もちいと幼稚過ぎた」

兵士「そんな事は...」

国王「して、君と君の上官の処罰についてだが...」

兵士「上官もですか?」

国王「あぁ、その場に居ながら君の暴走を止められ無かったからな一応罰は受けてもらうよ」

兵士(本格的に申し訳なくなってきた)

国王「上官は...騎士団長の雑用係」

兵士「騎士団長...女騎士さんの雑用って事ですか?」

国王「あぁ、秘書が実家へ帰省しているらしくてな、人手が足りなかったんだ」

兵士(上官は泣いて喜ぶだろうな)

国王「君は~...」

兵士 ゴクッ...

国王「勇者一行の雑用係だ」

兵士「まじっすか...?」

国王「期限はワシが良いと言うまでな」

兵士「oh...」

国王「じゃぁ明々後日、ここから出た瞬間に刑がスタートって事で」

兵士「はい...」

国王「それでは」

バタン

モウヨイゾ

オツカレサマデシタ!

見張り「どうだったよ」

兵士「うん...まぁ」

説明中...

見張り「はえ~、まぁ重営倉に入ってる割には軽い刑だでや」

兵士「軽い?お前分かってんのかよ!めっちゃ気まずい空気のまま無期懲役とか死にたくなるわ」

見張り「そんなん自業自得だで」

兵士「そだけどさぁ~嫌だよ~...」

見張り「知らんがな...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「マジかよおい」

兵士「あれ?てっきり聞いてるもんだと思ってたんですが」

見張り「飯持って来たぞい」

兵士「あんがとよ」

見張り「あんたのは無いよ」

上官「いらねぇよ...まぁ詳しくは隊長から聞いて見るが...」

兵士「天職ですな」

見張り「あんた女騎士様に惚れてんのか?良かったなぁ~?」

兵士「うちの隊じゃ有名だ」

上官「ば!別にそんなわけじゃねえよボケ!」

見張り「っつても女騎士様の雑用かぁ~ナニすんだろうなぁ...ウヒヒヒ」

上官「貴様女騎士様のナニ考えてんだ!」

兵士「そりゃもうナニでしょうなぁ...」

上官「お前一生檻に入ってろ」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

見張り「さぁここから出て行く準備は出来たか?」

兵士「あぁ、少ない期間だったがありがとう...しかし色々あったなぁ...

見張り「時間稼ぎは良いからさっさと出てけおら!」

兵士「いやぁ!いやぁ!気まずいのいやぁ!」

見張り「お前が蒔いた種だで?一生気まずい空気を味わえ、さぁ外で上官が待ってるで」

兵士「はい」

ギイ...

上官「おっ!来た来た」

モブ兵「お勤めご苦労さん」

兵士「むしろこれからお勤めなんだがな...」


女騎士「じゃぁこれから刑の始まりだな、上官君?」

上官「そ、そうですね...」

女騎士「早速だがついて来い」 ガシッ

上官「ひ、引っ張らないで...」

兵士「体に気を付けて」

上官「お、お前もナ...


モブ兵「んじゃ次はお前だな」

兵士「あぁ...行ってくるよ...」

モブ兵「ほれ地図だ、勇者様のいる部屋に印付けてっから迷う事はねぇだろ...」

兵士「ありがとう」

モブ兵「逃げんなよ?」

兵士「あ、ああ...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士(逃げるったって周りから目付けられてるからなぁ...素直に行くしかないよな...)

兵士(しっかし広い城だなおい...城の中まで入るのは初めてだぞ)

「あぁ~!!いたぁ!!」

兵士「ファ?!」

僧侶「営倉いっても居ないから城外へ逃げたかと思いました!さァ観念して私の言う事を聞きやがれです!」

兵士「に...逃げるなんてそんな...ま、まずは勇者様に挨拶をと思いまして...」

僧侶「そんなの後で良いです!」

兵士「えぇ...」

僧侶「この書類を大至急事務室の受付まで届けなさい!」

兵士「い、今からですかぁ?」

僧侶「今すぐです!早くしないと孤児院に物資の配給が来ないんです!さぁ早く!」

兵士(そういうのはお前の仕事じゃねぇのか...)

兵士「わ、分かりました...」

僧侶「分かれば良いんです!勇者様~待って~!」

兵士(いるんならついでに挨拶させろや...まぁ良いか)

兵士「事務室っつたって俺まともに城入ったの初めてだしなぁ...どこ行きゃいいんだ?」

兵士「くっそ~こんなもん大切な書類じゃないんなら破り捨てたいとこだが...子供達に罪はねぇしなぁ...
しかたねぇ、誰かに聞くか...」

戦士「おっ、もう仕事してんのか?」

兵士「あ、お前は」

戦士「お前?」

兵士「せ、戦士様...あ!良いところに!」

戦士「な、なんだよ」

兵士「事務室ってどこにありますか?僧侶様にこの書類届けろって言われまして...」

戦士「事務室なら王座の間の隣だ、案内してやる」

兵士「ありがとうございます!」

兵士「いや~助かりました、城にまともに入ったのは初めてな物で...」

戦士「兵隊なら用は無くとも城の間取り位把握しとけよ...」

兵士「いや、入隊した頃は教えられたんですがね?中まで入る用事なんて無いもんで...」

戦士「全く...ほらここだ」

兵士「ありがとうございます」

戦士「あと、勇者がお前の事探してたぞ?多分部屋に戻ってると思うから行ってやれ」

兵士「はい」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「んじゃぁお願いします」

事務員「今回は僧侶さんじゃ無いんですね?何かあったんですか?」

兵士「いやぁまぁ頼まれまして...」

事務員「そーですかぁ、いやねぇ?いつもは僧侶さんがこの書類出すんですがねぇ...いっつも提出期限を遅れる
んですよ?でも今日は貴方が出してくれたお陰で僧侶さんも減給されずに済みましたよ」

兵士「毎回遅れる?」

事務員「そうなんですよぉ、大切な書類だってのにねぇ?困ったもんですよホント...今度からは貴方が
この書類だしてくれませんかねぇ?」

兵士「いやぁ...はは...」

事務員「まぁありがとうございます、これで神父に嫌味言われずに済みますよ」

兵士「どうも...」


兵士(あの僧侶やる気あんのかいな...)ハアー

兵士「まぁいいや...勇者様のとこに行こう...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「ここが勇者様の部屋か...」

兵士「んっん”...失礼します!」

「どうぞー」

ガチャ

勇者「あ...」

兵士「きょ、今日から雑用係をさせて頂く、兵士と申します!なんなりとお申し付け下さい!」

勇者「ホントに来てくれたんだね...嬉しいよ」

兵士「いや...国王陛下の命令ですし...」

勇者「あ、そうだよね...うん...」

兵士「...」

勇者「あっ!じゃぁちょっと仕事手伝ってくれるかな?」

兵士「は、はい!何なりと...」

勇者「それじゃぁこの書類達に判子押して貰えるかな...?」

兵士「うわ...山みたいですね」

勇者「一人じゃ時間かかるんだ、僕はこっちの書類をやるからこっち半分をお願いね?」

兵士「了解」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士(うーん意外と気まずく無い、これならいける)

勇者「ムー...」

兵士(ん?手止まってんぞ)

兵士「記入漏れですか?」

勇者「ううん..来年度の予算についての書類何だけどこんな部隊あったかなと思って...」

兵士「ん?ありゃ、こりゃ嘘書いてますねぇ...上官も言ってたんですが良くあることですよ
予算の水増しやら何やらは...こう言う時は大臣とかに聞かずに直接国王陛下に聞いた方が良いですね」

勇者「へ~」

兵士「お金に関わる書類は気を付けて下さいね、そう言った書類はおかしいと思ったら国王に相談してみて下さい」

勇者「うん、そうするよありがと!」

兵士「さてと...だいぶ終わりましたね」

勇者「ホントだあんなにあったのに、ちょっと休憩しようか」

兵士「勇者様は休んどいて下さい、これ進めときますので...」

勇者「兵士も休憩しなよ、コーヒー入れてくるね?」

兵士「あ、自分がやりますよ?」

勇者「僕こう見えてもコーヒー入れるのは上手なんだよ?」

兵士「へ~じゃぁお手並み拝見としますね」

勇者「ちょっと待っててね~」


兵士(いや~これは意外と行けるぞ、うまい事やれば何事も無く終わるな...)

「砂糖とミルク何個入れる~」

兵士「あ、二個ずつでお願いします」

「は~い」

兵士(うん、悪くない...)

勇者「お待たせー、はい兵士の」

兵士「ありがとう御座います」

勇者「あの...兵士...」

兵士「はい?」

勇者「この前はごめん...あの...」

兵士(いきなりだなおい...)

勇者「僕、パーティー以外の人とあまり付き合った事無くて...その...」

兵士「...」

勇者「うまく接するって言うのが僕どうしても苦手で...こんなの言い訳に過ぎないけど...
その...兵士の気持ちも考えないで...自分で早合点して兵士の気分を害しちゃって...」

兵士「いえ、あれは自分も悪かったです、勇者様の好意を無碍にする形で勇者様の苦労も知らずに...
自分だけ努力したみたいな気になって...」

勇者「でも...」

兵士「...そうですね」

勇者「え?」

兵士「この話はもう終わりにしましょう!どちらも悪い、喧嘩両成敗って事で...」

勇者「...それで良いの?」

兵士「はい、自分はもうこの話題はこれ以上喋るつもりは無いです」

勇者「うん!分かった!」

兵士「それで良いんですこれでこの話は終わりって事で」

勇者「...」ポロッ

兵士(なぜ泣く?!)

勇者「えへへ...安心したら何か涙でちゃった...グスッ」

兵士「えぇっと...何か拭くもの...」オロオロ

ガチャ

魔法「お邪魔しま...えぇ」

兵士「いや、これはですね?」

魔法「さっそく主人泣かすとか君すごいね」

兵士「いやその...」

勇者「ウワアアン!」

兵士「えぇ?!」

魔法「いったい何したの...?」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「って訳です」

魔法「へー」

勇者「ごめん...」

兵士「びっくりしました」

魔法「まぁ二人が仲直りしたならそれで良いけど...僕も謝っとくよ、ごめん」

兵士「いえそんな」

魔法「じゃ、この話は終わりって事で良いんだよね?」

兵士「は、はい...」(こいつは末代まで恨んでやる)

勇者「ふぅ...泣いたらすっきりしちゃった、じゃぁ続きしようか」

兵士「はい、がんばりましょう」

魔法(勇者に僕達以外の知り合いが出来るなんて珍しいな、まぁ悪い事じゃないけど)

そして...

勇者「ン"-...やっと終わった~...」

兵士「お疲れ様です」

勇者「この後どうしようか...」

魔法「そう言えば僧侶達は何処行ったんだい?」

勇者「さぁ?そろそろ戻って来るとは思うけど...」

魔法「あ、そうだちょっと兵士君頼まれてくれるかな?」

兵士「はい何なりと」

魔法「この書類を事務室に...」

兵士「はぁ...分かりました...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

事務員「本日二度目ですね」

兵士「はは...すいません」

事務員「魔法使いさんは期限を守ってくれるんで問題は無いですよ」

兵士「なら良かったです」

事務員「それにしても勇者御一行の雑用係ですか?えらい大変な仕事を...」

兵士「はは...命令なんで」

事務員「へー兵隊も大変なんですね~、それじゃ、確かに受理しました」

兵士「お願いします」

事務員「はい、がんばって下さいね」

兵士「ありがとうございます」

ーーー
ーーーー



その頃

勇者「♪~」 ゴリゴリ

魔法「何してるんだい?」

勇者「コーヒー豆挽いてるんだ、兵士が戻ってきたら入れようかなと思って」

魔法「へぇー」

勇者「兵士まだかな~♪」

ーーーー
ーーー

兵士「事務室酷使しすぎだろ全く...」

「ちょっと良いかしら?!」

兵士「ん?」

?「あなた...この前広場で勇者様と喧嘩をしてた人ですね?」

?「間違いないです!」

兵士「あ、あの~どちら様で?」

?「私達は王室のメイド改め、勇者様愛好会よ!」

兵士「え?」

メイド「私達の勇者様にボロクソ言ってくれたみたいね~」

メイド2「八つ裂きにしてやりましょう!」

兵士「あ、あの...何か用があるなら早めに言って下さい...」

メイド「そうね...用は無いけど助言しておくわ?夜道には気をつけなさい?いつ刺客が現れても不思議じゃないわよ?」

メイド2「いま殺らないんですか?!」

メイド「楽しみは後で取っとくものよ、行きましょう!」

メイド2「はい!」


兵士「な...何だよ...」

兵士(勇者様の人気っぷりを侮ってたな...まさか命狙われるとは...)

兵士「さっさと戻ろう...ここに居たら危険だ」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

ガチャ

兵士 キョロキョロ

勇者「ど、どうしたの...?」

魔法「まるで命を狙われている人みたいだね」

兵士「じ、自分スパイごっこが好きでして...」

勇者「スパイカッコいいよね!僕も好きなんだ!」

兵士「そ、そうですか...」

兵士(あの刺客のことは黙っといた方がいいか...)

魔法「あ、そろそろ昼食の時間だね」

兵士「あ、ホントだ...それじゃあ自分は食堂で飯食ってきますので後ほど」

魔法「君も一緒に食べれば良いじゃないか」

勇者「そうだよ!一緒にご飯食べよう?」

兵士「...パーティー全員でですか?」

魔法「戦士も僧侶も居るよ」

兵士「しょ、食堂で食ってきます!」

バタン

勇者「...」 グスッ

魔法「まぁまぁ彼も理由があるんだ」

魔法(まぁ僧侶と一緒に居るのは怖いよね)

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

食堂

兵士「いやー...あんな狂犬といっしょに飯なんて食えねえぇよ...」

モブ兵「なんだ?もう逃げ帰って来たのか?」

兵士「チゲーよ飯食いに来ただけだボケ」

モブ兵「なんだ、なら問題ねぇやな」

兵士「心配してくれてんのか?」

モブ兵「別に?」

兵士「あっそ、、まぁ良いや飯食おうや」

モブ兵「どうだ?今日半分終わったが」

兵士「なんとなく行ける気がする」

モブ兵「つまんねぇなぁ...それよりもよ」

兵士「ん?」

モブ兵「上官、さっそく女騎士様と喧嘩したらしいぜ?」

兵士「なんだもうやっちまったのか?」

モブ兵「主人とさっそく喧嘩とは勇気あるよな~」

兵士(俺はもう泣かしちゃったけどね)

そして

モブ兵「いや~食った食った」

兵士「んじゃ俺戻るわ」

モブ兵「あ、ちょい待ち...エーットあったあった!」

兵士「?」

モブ兵「お前の兄貴が渡してくれって」

兵士「兄貴がぁ?」

モブ兵「退役するって聞いて無かったんか?」

兵士「さっぱり」

モブ兵「あれ~?まぁ良いかほれ」

兵士「こりゃ...親父の持ってた短刀」

モブ兵「持って帰るには荷物になるからって言ってたぞ」

兵士「はぁ...兄貴のすることはさっぱり分からん」

モブ兵「んじゃ確かに渡したからな、ほいじゃ」

兵士「おう」

兵士(こんなん渡されても荷物になるだけだろうが...)

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「戻りました~...って誰も居ない」

兵士「ふぅ~次はなんの仕事をさせられるのやら...」

ガタッ

兵士「誰だ!」

メイド「ばれた!!」

兵士「な、何してんだお前は」

メイド「こ、これは...そう!掃除だ!勇者様に頼まれてな!」

兵士「頭にパンツ被って掃除するバカがどこに居る」

メイド「こ、これが私のやり方だ!」

兵士「アホなこと言ってないでパンツ渡せ」

メイド「い、嫌だ!これは私のだ!」

兵士「今なら許すから!さっさと渡して出ろ!勇者様にバレたらどうすんだ!」

メイド「貴様に許しを請うた覚えは無いぞ!」

兵士「バカな事言ってないで早く渡せ!」

メイド「ど、どうすれば見逃してくれる?!貴様のナニをしゃぶれば良いか?!」

兵士「良いから出てけバカチンが、ほれパンツ渡せおら!」

メイド「くっそ~...お宝が...」

兵士「うんこれで良いんだ」

兵士(可愛らしいパンツ履いてるじゃねぇか、こっそり持って帰るか...)

ガチャ

勇者「あぁ~美味しかっt...」

兵士「あ、どうも」

魔法「そ、その下着は...」

兵士「あぁこれは...」

メイド「そちらに居る兵士に強い口調で渡せと申されましたので...」

魔法「うわ~無いわ...」

兵士「え?」

魔法「なんだい?次は下着まで盗るつもりだったのかい?」

兵士「盗る?!そ、そんな滅相も無い!おい何嘘言って...」

メイド「間違った事は言ってないのですが...「(その可愛い)パンツを渡せおら!」と言いましたでしょう?」

兵士「間違ってないけど違う!」

メイド「?」

兵士「こんのアマ...!」

魔法「とりあえず、言い訳は営倉で聞いてあげるよ...警備隊が来た」

兵士「えぇ...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

見張り「前から思ってたがお前アホだな」

兵士「違うんだって!誤解なんだって!」

見張り「お前がやったかやってないかなんて俺の知った事じゃねぇよ」

兵士「あ~!あの変態メイド末代まで呪ってやるからな!」

見張り「勝手にせい」

兵士「なんだって俺ってばいっつもこうなんだろうな~...」

見張り「運が悪かったんだべや、自分の運の悪さを恨むだで」

兵士「今回ばかりは俺悪くないんだってば!」

見張り「知らんよそんなこと」

兵士「くっそ...何だってこんな」

見張り「んにしてもこれからどうすんだ?重営倉から出れたと思えりゃまた営倉行きだで?」

兵士「俺はどうする事も出来ねえよ...流れに身を任せるだけだ...」

見張り「...兵隊やめた方がいいんでねぇか?お前さんにゃ向いてないだで」

兵士「はぁ?なに言ってんだよ俺は何年も兵士やってんだ、今更別の仕事を探すつもりはねぇぞ」

見張り「しかしなぁ...」

兵士「はぁ~...何かもう疲れちまったなぁ...」

見張り「まぁ今日は休めや...」

兵士「考えてみりゃ情けねぇ話だよな...俺浮かれてたんだなぁ...たった半日だ、たった半日で勇者様に近づけて。
勇者様と仲直りしたと思えりゃこのザマだ...」

見張り「しかも捕まった理由がパンツ盗んだ容疑だもんな」

兵士「そうそう...信者なめてたわホント」

見張り「もう寝ろ、お前と居ると暗い気持ちになるわ」

兵士「へいへい」

そして...

見張り「朝だで、起きんかい」

兵士「もうちょい寝かしてくれや...」

見張り「ほれ朝刊だ、お前の記事あんぞ」

兵士「ほう、どれどれ」

『不敬の一兵卒、盗難未遂で捕まる
 勇者様との口論を展開した事で話題になったあの一兵卒が勇者様の衣服を盗むところを王室メイドに見つかり
 メイドに怪我を負わせた容疑で捕まりました...』

兵士「俺怪我なんてさせたっけ」

見張り「報道は多少誇張せにゃ購読者は増えんからな、仕方ない」

兵士「もう俺はだめかも分からんね」

見張り「つってもさすがにヤバイでこりゃ...」

ガチャ

上官「...」

兵士「上官?どうかしましたか?」

見張り(おうおう怒ってるで) 

兵士「上官?」

上官「お前に除隊並びに首都から追放の命令が出された、今すぐ荷物をまとめて首都から出てけ...ってさ国王が言ってたぜ」

兵士「な、何でですか?」

上官「勇者の世話係が犯罪起たんだ、たとえ冤罪でも国民や役人やらは良い気にはならんだろうからな
口論の事件を起こした時から国王はそうするつもりだったんじゃないか?」

兵士「...」

見張り「お前ホントにやってないんだろ?何か反論しとけって...さすがにヤバイでこりゃ」

兵士「これはもう無理だな」

見張り「何か反論とか出来るだろ...」

兵士「一度生まれた誤解は簡単には消えないんだ、そして俺には誤解を消せる程の能力や権力、力はねぇ
世論は国を守った兵士よりも変態メイドを守った...ただそれだけの事なんだろうな」

上官「お前はそれで良いのか?」

兵士「もう良いですよ学習しました、俺は自分が国を守った英雄と思っていたんだな...勇者様と同等と勘違いしてた
んだろうな...俺は自覚は無かったが俺の世渡りが下手という事が今ここで教えられたんですな」

上官「そうか、なら仕方ないな...じゃあさっさと荷物をまとめて首都から出てけ、それがお前がこれから安全に暮らせる
手段だ」

兵士「分かりました、今まで世話になりました」

上官「...用件は済んだもう戻る」

兵士「はい、体に気を付けて」

上官「...」

バタン

見張り「...まぁ第二の人生の始まりだでや」

兵士「...泣いて良い?」

見張り「勝手にせい」

ウオオオオオオオン

アーヤッパウルセエダデ!ダマレ!

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

翌日

兵士「んじゃあな」

見張り「なにもこんな朝っぱらから出んでも時間あるで?」

兵士「バカ共に石投げられちゃかなわんからな...それにさっさと出た方が迷惑は掛けないよ」

見張り「誰に迷惑がかかるだ...まぁ元気にせいや、お前と一緒に居た時間は何気に...楽しかったでや...」

兵士「よせやい照れるぜ...」

見張り「じゃぁ行ってこいや第二の人生の幕開けだ」

兵士「おう」

ヤッパイキタクナイー!

アアウルセエエ!ハナセボケ!



女騎士「良いのか?見送りに行かなくても」

上官「はい、あいつはもう俺とは関係のないただの一般市民です...見送る義理はないっ...です」

女騎士「そうか...」

上官「さぁ仕事しましょう」

女騎士「うん、仕事仕事!」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー
裏の土手

兵士「結局...どこ行きゃ良いかわかんねえな...」

兵士「さっさと街から出ないと警備隊に捕まっちゃうわ...どうしましょうかね」

ガサッ

兵士「...何ですか」

勇者「ここに居たんだね...僕の雑用は?」

兵士「もう終わりです...つっても一日だけでしたが」

勇者「そっか...給料上げなきゃだけどお金持ってないんだ、ごめんね?」

兵士「そりゃ労基に相談しなきゃいけませんね」

勇者「...これからどこへ?」

兵士「そうですね...とりあえず国中を回ってみようかと」

勇者「一人で?」

兵士「一人で行きたい訳じゃないけど、まぁ一人になりますね」

勇者「そいえば...下着」

兵士「はい?」

勇者「盗ってないんでしょ?僕の下着」

兵士「さあ?身に覚えがありませんね」

勇者「使い方違うと思うよ?」

兵士「はは...慣れてないんですよ、犯罪者として生きるの」

勇者「君は犯罪者じゃないでしょ?」

兵士「そう言ってくれると助かりますが...もう行かなきゃ」

勇者「行くんだ...」

兵士「えぇ、俺の第二の人生の幕開けです行き先はシャングリラでも目指そうかな...」

勇者「僕も行きたいな、地上の楽園...」

兵士「貴方はこの国では必要とされてる人です。俺なんかと一緒に居たら...」

勇者「前話したよね?勇者になった理由」

兵士「え?あぁ...成り行きとか...器?的なこと言ってましたね」

勇者「ホントはなりたくなかったんだ、勇者」

兵士「へぇ~」

勇者「やめよっかなぁ勇者」

兵士「簡単に辞められるもんなんですか?」

勇者「無理でしょ、一度生まれた誤解が簡単に解けないように、勇者って言う職業も簡単にはやめられない
んだよね」

兵士「辞めようとは思いませんがね、普通」

勇者「いろいろと大変なんだよ?勇者って仕事も」

兵士「俺には分からん世界です」

勇者「一緒に行ってもいい?」

兵士「また迷惑かけられたらたまらんです」

勇者「今度は気をつけるから...」

兵士「第一、なんで俺と行きたいんですか?」

勇者「んー...何でかな?」

兵士「なら...」

勇者「でも僕が行きたいって思ったからって理由は...だめ?」

兵士「...荷物は?」

勇者「もうまとめてあります」

兵士「...次は下着以外も盗られますよ?」

勇者「君はそんな人じゃないでしょ?」

兵士「ホントはあの下着持って帰ろうと思ってました」

勇者「じゃぁ盗ったら営倉行きだね」

兵士「それは避けたいですね」

勇者「...」

兵士「後悔はしませんね?」

勇者「後悔しても我慢できるよ」

兵士「はは...じゃぁ行きましょう勇者、あのシャングリラへ」

勇者「シャングリラって何処にあるの?」

兵士「さぁ?」

勇者「んじゃぁ...また冒険の始まりだね」

兵士「今度は自分の利益の為です...それでも良いですか?」

勇者「もちろん、君といけるなら」

兵士「ハイ、行きましょう」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

「そっちにはいたか?!」

「いません!」

「勇者様はどこに行かれたのだ...」

国王「あの若造か...」ボソッ

「陛下?」

国王「なんでもない、引き続き勇者の捜索にあたれ」

「「「はっ!」」

魔法「まさか僕達を置いて行くとはね~」

戦士「あの兵士と行っちまったってのか?」

僧侶 ズーーーーン...

魔法(めっちゃ落ち込んでる)

戦士「まぁいつか戻ってくるだろ、気長にまとうや」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「宿泊施設があってよかったですね~」

勇者「とりあえず今日は泊まって明日何処へ向かうか決めよっか」

兵士「そうですね...しかし大丈夫でしょうか」

勇者「何が?」

兵士「ここの休憩所は首都から近いんです、だから顔バレしてたら半日もかからずに警備隊に捕まるかも...」

勇者「そう思っといて一応フード被ってるよ」

兵士「勇者様まじ有能ですね」

勇者「まぁね」 フンスッ

兵士(ウザ可愛いというのはこの事なんだな)

兵士「もう寝ましょうか、明日は早めに出ましょう」

勇者「うん」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「Zzz...」

勇者「...」 ムクッ

勇者(まだ夜か...)

兵士「Zzz...」

勇者「ふふっ...ぐっすり寝てる...」

兵士「...」

勇者「今まで迷惑掛けてごめんね...」ナデナデ

兵士「...」

勇者「これからも迷惑掛けちゃうかもだけど...よろしくね...」

兵士「Zzz...」

勇者「寝よ...」


兵士(あぁあぁこんなの初めてぇ!)

兵士(ずっと斜に構えてたがこれは耐えられませんよ)

兵士(う~ん今日は寝られないぞ...)

勇者「グー...」

兵士「...頭冷やそう」



兵士「ああ~あ...これからどこ向かうかな~シャングリラなんかある訳ねぇしな~」

兵士「東...いや、魔物の森があるから近づきたくないしな...西...港があるが国王の関係者も
いっぱいだからなぁ~」

兵士「北は山脈、行ったって何も無いし南は魔王の世界...」

兵士「東だな!うん東行こう!」

「うるせえ!」

兵士「すいません!」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

「どこ行ったんすかねぇ勇者様...」

「もしかするとあの変態と一緒に...」


戦士「みんな慌ててるなあ」

魔法「そりゃ国の英雄が消えたんだから慌てるよ」

僧侶 ズーーーーーーーン

魔法(こりゃだめかもね)

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「と、言うわけで東で行きましょう」

勇者「なんで?」

兵士「な、なんでってあなた...まぁそりゃ色々楽なんで」

勇者「ふーん、じゃ行こっか!」

兵士「そうっすね」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「はい...はい分かりました、連絡が付き次第報告します」

「お願いします、では」

上官「お疲れ様です」

女騎士「勇者様の件か?なぜお前に」

上官「おそらく兵士と一緒に行動しているかもってんで上の連中は兵士が俺に連絡するかも
って事で俺に」

女騎士「貴様には関係ない事だと思うが...」

上官「ははっ...まぁ元上司ですからね...しかし兵士と居るってのが本当なら
兵士は中々どうして手が早いな」

女騎士「私の前で下品な発言は慎むべきだと思うが?」

上官「申し訳ありません」

女騎士「まぁいい、ところで今度東にある町へ騎士団とお前の隊が遠征する事になった」

上官「遠征ですか?またどうしてそんな」

女騎士「同盟国のエルフ騎士団と我が国の騎士団が魔物の住む森で討伐作戦をしている
んだが、ここ一ヶ月ほど連絡が取れないらしいんだ、だからちょっと様子を見て来いとのことだ」

上官「...あまり乗り気にはなれませんね」

女騎士「まぁ実質は死体を見て来いって事だ、しかも我が騎士団の中には年頃の娘も在籍している...
魔物の住む森には山賊やオーク...無事ではないだろうな」

上官「...」

女騎士「嫌か?」

上官「いやですが...それよりも怒りの方が上回ってますんで」

女騎士「なら話は早いな」

上官「準備をしてきてもよろしいでしょうか」

女騎士「あぁ、しっかりやって来い」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「傭兵?」

おじさん「あぁこれから東の町まで薬売りをしに行くんだが...道中がなかなか治安が悪いらしいんだ
みたところ君達は兵隊だよね?」

兵士「まぁ兵隊でしたけど」

おじさん「なら国民を守る義務があるだろ?」

兵士「もう兵隊じゃないんだ、あんたを守る義務なんか無いよ」

勇者「タダでやれってこと?」

兵士「冗談じゃないですよ」

おじさん「ん~...じゃぁ報酬出すから!」
勇者「だって」

兵士「いくら出す?」


おじさん「5000!」

兵士「今回は縁が無かったという事で」

おじさん「あぁ!分かった分かった!100000で良いだろ?!」

兵士「う~ん」

勇者「やってあげようよ?困ってるみたいだし」

兵士「う~ん...分かりました引き受けましょう」

おじさん「おおやってくれるか!じゃぁ明日の朝に村の門の前に集合って事で!じゃ!」


兵士「う~んやっぱやめようかな~」

勇者「だめだよ?人が困ってるんだから...それに今回は報酬もあるんだしさ」

兵士「まぁ...良いか、ひとまず、村入りましょ」

兵士「ちいさい村ですね」

勇者「そうかな?この国はこんな村たくさんあるよ?」

兵士「へぇ~お、売店だ...」

勇者「ちょっとみて回ってくるね」

兵士「はい...さてと」

兵士「今日の朝刊まだ置いてますか?」

店員「お運が良いなこいつが最後だ」

兵士「はいお金」

店員「ありがとさん...ん?お前さんどこかで見た顔だな...」

兵士「そうですか?こんな顔の人間はたくさん居ますよ」

店員「ん~...まぁ良いか!他には何かいるかい?」

兵士「いえもう大丈夫です」

店員「そうか、またよってくれや!」


兵士(おいおい何で朝刊に俺の顔載ってんだよ...)

『変態一兵卒、勇者様を誘拐?!
 勇者様の失踪事件について王室警察の所長は次のコメントをした
 「昨今の勇者様失踪事件は先日問題を起こし追放された兵士が行方を知っている可能性が出てきた」
  街道沿いの宿泊施設で勇者様とよく似た人物を見かけた、近くには男も居た。との情報もでて
  おり今後の...

兵士「こりゃ...厄介な事になったなおい」

勇者「ん?どうしたの?」

兵士「いえ、ちょっと...」

勇者「?」

兵士(そろそろ顔を知られる頃だな...って言うかなんで俺がこそこそしなきゃいけないんだよ!)

勇者「大丈夫...?」

兵士(まぁでも...付いてきても良いって言ったのは俺だしな...勇者様に八つ当たりすんのは
筋違いってやつか?)

兵士「ひとまず宿に泊まりましょう」

勇者「うん...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

おじさん「おっ!きてくれたか!」

兵士「そりゃ大金もらえるならね」

おじさん「んなこと言うなよ~困ったときはお互い様って言うだろ?」

勇者「そうだよ兵士、助け合わなきゃ」

おじさん「そうだよ」

兵士「一方的な助け合いはってのは新しいな」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

おじさん「シャングリラァ?」

勇者「うん!兵士と一緒に行くんだ!」

兵士「その話はやめて」

おじさん「お前さんシャングリラ行きたくて兵隊辞めたのか?」

兵士「んなわけないだろ...」

おじさん「あーあーいいよいいよ言い訳は...シャングリラ...その名を知ったら一度は夢見るもんだよなぁ...」

兵士「な、なんだよ」

おじさん「シャングリラ...男の夢にして最後の楽園...誰だって仕事を捨ててまで行きたく
なるってもんだよなぁ...」

勇者「男の夢...何かかっこいい...」

兵士「そうですか?」

おじさん「良いだろ!二人とも、俺を無事に東の街まで連れてってくれたらお前らの求めてる
シャングリラに連れてってやろう!」

勇者「ホント?!」

おじさん「俺も久々にシャングリラ行こうかな~...」

勇者「おじさん行ったことあるの?!」

おじさん「あぁ、もう遠い昔だがな...初めてシャングリラへ言ったときは
浮き足立って俺は何も出来なかった...」

兵士「おじさん...ほんとに行くのか?」

おじさん「あぁ、いこうぜシャングリラへ...久々にテンション上がってきたぜ」

兵士「勇者もいるんだぞ...?」

おじさん「勇者様も納得してくれるさ...」

勇者「?」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「騎士団の安否確認...気が重いな」

モブ兵「騎士団の連中無事ですかね...もしかしたらもう殺されて...

上官「殺されていればまだマシかもな、何せ相手はオークや山賊...捕まっても良い思いはせんだろうよ」

モブ兵「年端もいかねぇ女を騎士団に入れれること自体間違ってるんですよ...戦場で捕虜になりゃぁ...胸糞悪いっすよ」

上官「...お前の姉さんもあの討伐作戦の一員だそうだな」

モブ兵「えぇ、結婚する予定だったんですがね...作戦が入っちまって延期してたとこなんです」

上官「...お前も救出作戦のメンバーだが...辞退しとくか?」

モブ兵「いえ、死んでたら骨持って帰って姉貴の旦那に叩っかえしてやりますよ」

上官「ほう、何でだ?」

モブ兵「姉貴の旦那、姉貴が作戦に行った途端他の女とイチャツイてたんです...他にも良い噂は聞きませんや」

上官「そうか...じゃぁお前も行くか」

モブ兵「えぇ、しかし...兵士もいりゃぁ戦闘には困らないんですがねぇ」

上官「あいつは帰って来ないよ、今頃勇者様と一緒に居るんじゃないか?」

モブ兵「やっぱ噂はホントだったんですね、あの野郎手が早いんだな」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー
東の街

兵士「ついた...」

勇者「ねぇ男の楽園って何?」

おじさん「行けば分かるさ...」

兵士「まずは宿取らないといけませんな」

おじさん「宿なんて後だ、それよりも急いだ方がいいぞ、あそこはこの時間でも人が多いんだ」

兵士「こんな時間から開店してんのか?」

おじさん「あぁ、あまり表ざたにはしたくないらしいが...この街の主要産業みたいなものなんだあそこは」

兵士「へぇ~風俗がねぇ、何か情けない話だな」

おじさん「まぁそう言うな、その情けない店に男は集まるんだよ」

兵士「それもそうだな」

勇者「ごめん、話に付いて行けないんだけど...」

兵士「つっても勇者様はまだ入れなさそうだしな...」

おじさん「お前と一つ違いだろ?なら平気だろ」

兵士「まぁバレテも勇者だって言えば平気か...」

勇者(なんか僕の考えてた所とはだいぶ違うみたいだなぁ...)

兵士「よし勇者様、覚悟は出来てますか?」

勇者「え?覚悟?」

おじさん「店に入りゃぁ嫌でも覚悟は決まるさ...さぁ行くぞシャングリラへ」

兵士「おう」

勇者(え?店?え?)

兵士「ここか...」

おじさん「もう後戻りは出来ねえぞ?」

兵士「俺の辞書に撤退という言葉は無い」

おじさん「よし、入るぞ...」

兵士「おう、勇者様行きましょう」

勇者「う、うん」

勇者(何かエッチな感じがする建物だなぁ...)

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

おじさん「受付は済ませた、後は...」 チラッ

兵士「勇者様は外で待機してて下さい」

勇者「えぇ?!何で?!僕も男の楽園見たいよ!」

兵士「これはもう決定した事なんです...勇者様はまだ風俗と言う店の存在は知るべきではないんです」

勇者「で、でも兵士は...」

兵士「勇者様、外へ...行って下さい、俺も我慢の限界なんです」

勇者「う、うん...」

兵士「ありがとう御座います」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

おじさん「良いのか?」

兵士「えぇ...勇者様はまだ清い人で居るべき人間なんです」

おじさん「そうか...しかしここに居る奴らはまっとうな人間だけでは無いからな大丈夫だと良いが」

兵士「勇者様なら平気でしょう」

おじさん「そうか...」

「○○番でお待ちのお客様~、準備が整いました、こちらへどうぞ」

兵士「では、いって参ります初風俗」

おじさん「おぉ...健闘を祈る」

おじさん(何か胸騒ぎがするな)

おじさん(杞憂だと良いが...)

「○○番でお待ちのお客様~」

おじさん「はい」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

勇者(兵士のバカバカ!何で僕だけのけ者なんだよ!)

勇者(兵士は僕のこと...嫌いなのかな...)

勇者(そ、そんなこと無いよね...この話は終わりッ)

勇者(そ、それにしても...ここエッチな看板ばっかりだなぁ...)

勇者(早めに離れたいけど...兵士と何処で集合するか話してなかった...どうしよ)

「あら^~?可愛い子じゃないのさ~」

勇者「うぇ?!」

カマ「ああ怖がらないで~っと、言ってもこの容姿はびっくりするわよね~分かる~」

勇者「あ、あの...」

カマ「あぁあたし?あたしはね~そこの曲がり角でバーやってるカマよ、よろしくね☆」

勇者「な、なんで女の子の格好を...」

カマ「え?!オカマなのに男の服装してたら本末転倒じゃないのさ!」

勇者「お、オカマ?え?なにそれは...」

カマ「あら~?あなた相当ウブなのね~...それも国宝級の、あたしもそう言う時代あったわ~!」

勇者(なにこの人...ムキムキで怖い)

カマ「こんなところを一人で歩いてるなんて危ないわよ~?どうしたのこんな街に来てまさかエッチな店
に来たわけでもないでしょう」

勇者「え、えっと...その...」

カマ「うん?迷子かしら、話してごらんなさいな」

勇者(この街怖い...早く出たいけど...) ブルブル

勇者「ウエッ...ヒック...」

カマ「あぁ!泣かないでぇ!あたし困っちゃうわ~」

勇者「だ、ダッテ...グスッ」

カマ「あぁ困ったわ~...と、とにかくあたしの店に来て頂戴な、ね?怖いことしないから?」

勇者「ウン...」



『カマバー』

カマ「ささ、ジュース飲んで」

勇者「ありがとう御座います...」

カマ「あなた未成年でしょ?この地区には立ち寄れないはずなんだけど...あっ、観光客かしら?」

勇者「えっと...付き添いで...」

カマ「えぇ?!付き添い?!なんて無責任な親なの?!こんな可愛い子居たら接客の人間のに捕まるよ!」

勇者「はは...親と言うよりか...相棒?」

カマ「相棒?ふーん...旅でもしてるの?」

勇者「うん、当ても無く国中をグルグル回る予定」

カマ「予定...旅を始めたばかりなのね~...それにしてもあなた!」

勇者「は、はい!」

カマ「お店に入らないならこの地区からすぐに出なさい?何処で集合するか決めて無かったの?」

勇者「はい...兵士がものすごい勢いでお店に入ったので...」

カマ「まったく...これだからチェリーボーイは...その子見つけたらあたしが食べてやるわ!」

勇者「ちぇ...チェリー?」

カマ「あぁ良いの気にしないで...で、話を戻すけど、ここはとっても危険な街なの...こう言うのはアレだけど...客層は
良くないわこの街は」

勇者「...」

カマ「山賊の端くれや街角でタムロしているアウトローも...夜になったらこの街に集まってくるの、そうしたら...
身なりの良いあなたは真っ先に標的にされるわ...ここの司法は死んでいるの、憲兵もここは見てみぬ振り...それどころか
経営者から賄賂を貰っている始末よ...」

カマ「でもあたしも人の事はいえないわ...この街のどんな店よりも綺麗な商売をしているつもりだけど...やっぱ生きていくには尻尾振らないと
ここで生活は出来ないのよ...普通の暮らしをしたかったけど...無理だった、あたしはここでの生活がお似合いなのよ」

勇者「でも...お金を貯めて出て行けば...」

カマ「そうしたいけど...あたしね、この街のとっても偉い人にお金借りちゃってるの...それも莫大な金額よ...一年ちょっとじゃ返せない...
下手したら一生かかっても無理な...だからここでお店を経営してお金を返す以外方法が無いのよ...」

勇者「そんな...だったら僕が...!」

カマ「あなた勇者様でしょう?」

勇者「え?」

カマ「勇者様はね?こんな人を助けちゃいけないの...助けられるべき人間が他にも居るはずよ...?」

勇者「...」

カマ「同情して欲しいわけでは無いのよ...ただ、勇者様にもこんなバカな人間が居るって事も知っておいて欲しいの」

勇者「...」

カマ「そろそろ相棒が出てくる時間じゃないの?店の近くまで着いていってあげるわ」

勇者「カマさんは...」

カマ「ん?」

勇者「カマさんはそれで良いの?」

カマ「...どうゆう意味?」

勇者「カマさんはこの街から出たいとは思わないの?」

カマ「...」

勇者「カマさんは何で偉い人にお金を借りたの?遊びに使うわけではないでしょ?」

カマ「...そうね」

勇者「...」

カマ「あたしの両親はね?昔から病気がちで...働くのに支障をきたす程でね~...お金が無かったのよ」

カマ「で、あたしは成長して働き始めたのだけれど、そのときに同僚だったのが、この街の偉い人」

カマ「最初は良い奴でね~、飲みに誘ってくれて、その時も奢ってくれる程で...」

カマ「でね、あたし恋人が出来たの...年上の紳士でね?それはもう幸せな日が毎日続いた...そのときからだったわね
あいつの態度が変わったの」

カマ「おじ様と一緒にデートした話をときも...「気持ち悪いからやめてくれ」って...前はそういった話も笑って聞いてくれてた
けど...」

カマ「ある日父親が倒れてね...何があったと言う間に死んじゃって、そしたら母親も倒れて死んじゃったの...葬式代と入院費...
保険に入れなかったからトンでもない額を請求されてね~」

カマ「その事をおじ様に相談したの、そしたら...「借金抱えたカマと付き合える訳が無い」って捨てられちゃった...」

カマ「それで、他に相談できる相手が居なかったからあいつに相談したの...そしたら、「今まで奢ってやった分も返すんなら貸してやってもいい
って言ったの...あたしは他に頼れるところが無いから仕方なく借りたのよ...」

勇者「それで借金が...」

カマ「さっ!この話は終わりよ...早く行きましょう?」

勇者「でも借金は...」

カマ「どうしようも無いわ...これはあたしの問題...英雄...いや、他人にどうしてもらおう何てもう
思わないわ...」

勇者「...」

カマ「じゃ、行きましょう!チェリーボーイ君の顔を見てやらなくちゃ!」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「...」ゲッソリ

おじさん「失敗、か...?」

兵士「あぁ...相手は百戦錬磨...嬢のワザには勝てなんだ...」

おじさん「もしかしてお前...本番は?」

兵士「出来る訳が無い...奴は...魔物だ...」

おじさん(あちゃー...初風俗でトラウマ抱えちまったか...)

兵士「さぁ...俺らはもう解散だ...今までありがとよ...」

おじさん「あれ?あんたの相棒は?」

兵士「あ、集合場所決めるの忘れてた」

おじさん「お前って奴は...」

おじさん「もしかしたらこの地区から出ちまったかなぁ...」

兵士「この街かなり広いぞ...どこ行っちまったんだよ」

おじさん「何か事件に巻き込まれて無けりゃ良いが...」

兵士「へ~カマバーなんてあるんだ」

おじさん「こ、ここはやめとこう」

兵士「え?何で?」

おじさん「良いからここはダメだ、他を探して見よう、な?」

兵士「はぁ~い...」

ガチャ

カマ「あら?お客さん?ごめんね~開店時間はまだ...あんたぁ」

おじさん「よ、よう...」

兵士「知り合い?」



カマ「なんだい?今月分のは払ったけど?」

おじさん「いやそういう件で来たわけじゃないんだがな?」

勇者「え?何?」

カマ「こいつ...さっき言った街の偉い人」

勇者「え?え?おじさんが?」

おじさん「そういう事だ...」

カマ「で?用事って?」

おじさん「借金は帳消しだ...それを伝えに来た」

カマ「あ、あんた何血迷って...」

おじさん「お前が昔惚気てたおじ様とやら...覚えてるよな?」

カマ「あぁ...」

おじさん「そいつ、お前を捨てたことを後悔してたらしくなぁ、死ぬ前に...まぁ償いと言っちゃあ何だが
...遺産をお前に託すってさ、で、その遺産を俺が一部貰って借金はチャラ...分かった?」

カマ「...」

おじさん「だからお前もこの街に居る必要は無いってことだ...残った遺産もお前の口座に振り込んでおいた」

カマ「あっそうかい...あっけないもんだね...」

おじさん「そういうこった、んじゃぁな」

カマ「あぁあんたの顔見ないで済んで清々するよ」

おじさん「ほう、言うじゃねえかまぁ俺もこんな街...さっさと若いのに託して旅に出るかいな」

カマ「託してなくたって放浪してばっかじゃないのさ...」

兵士(勇者様、こりゃいったいどういう事で...?)

勇者(知らないっ!) プンプン

兵士(な、何怒ってんですか...?)

カマ「で?どう言う風の吹き回しで?」

おじさん「あ?どういう意味だ?」

カマ「おじ様はね、2年前に死んでんだよ」

おじさん「...」

カマ「守銭奴のあんたがワケも無く借金をチャラにしてくれる訳がない...何企んでんだい?」

おじさん「企んでる...んー言い方が気に入らんが...まぁそう言われてもしゃぁねえか...別に何にも企んでなんかないぜ?
お前の借金は完済された、俺は完済したと言う報告をしに来た...ただそれだけの事だ...それじゃぁ駄目か?」

カマ「駄目って事はないさ、ただ何十年も返済し続けてきたあたしにとっちゃあ納得いかないってだけさ」

おじさん「そうか...お前に話す気はなかったんだがなぁ、俺、末期のガンなんだよねぇ」

カマ「それで?」

おじさん「お前とのわだかまりを取ろうと思った」

カマ「あんたに得はないじゃないのさ」

おじさん「...まぁそうだよな、俺もガンだって知らなけりゃてめえから搾り取ってたところだが...なんか空しくなっちまった
んだよ...俺こう見えても昔はお前の事好きだったんだぜ?今じゃぁ筋肉だるまに見違えちまったが」

カマ「...」

おじさん「それなのにお前は気づいてるのか知らなんだが...あのクソジジイと付き合いやがってよ」

おじさん「柄にもなく嫉妬に燃えたな~あんときゃ若かったんだよな...
そしたらお前が借金の話をしに来た、お前は勝手な奴だと思ったぜ?おじ様とやらに集ればよかった物を
捨てられたからって俺に集りに来た...悔しかった、俺は金づるかと...それでとんでもない額を吹っかけたんだよ」

カマ「それは...悪い事をした」

おじさん「いや良いさ、オカマなんぞに惚れちまった俺にも非がある」

カマ「...」

おじさん「さぁ話は終わりだ、俺の墓参りに来るときはメロンでも供えてくれや」

勇者「お、おじさん...」

おじさん「あぁ、ごめんな?こんな話聞きたくなかっただろうに...」

勇者「おじさんは...」

おじさん「俺はもう満足だよ、気持ちも伝えた、蟠りも消えた、安心して地獄に行けるさ」

兵士「そうか、ならもう良いな...ここで俺らは解散って事で良いな?」

おじさん「あぁ、今日までありがとうよ...次は上手く本番にいけよ?次は見てやれんからな」

兵士「あぁ、次はテクを身に付けて嬢を昇天させてやるさ」

おじさん(嬢ちゃんといる間は風俗には行けなさそうだがな)

勇者「か、カマさん...その」

カマ「あぁ何も言わなくても良いよ...次来るときは泣かないでくれよ?」

兵士「泣く?」

カマ「あんたが勇者の相棒かい?...ふ~ん美味そうな尻してんじゃないのさ?」



兵士「勇者様行きましょう」 ガシッ

勇者「え?ちょっと...!」

タタタタッ


カマ「ふふ...さぁてと...これからどうしようかね?」

おじさん「両親の墓参りにでも行けば良いんじゃねえか?」

カマ「あんたも来るかい?」

おじさん「行くわけ無いだろ」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

モブ兵「いや~遠征は疲れますな」

上官「何回遠征やっても慣れることは無いだろうな...ふう」

「東の街が見えてたぞ!!」

「何年ぶりかな~」

「あの店まだあっかな?」

上官「はいはい!東の街はよりません!」

「「「「えぇ~~」」」

上官「お前らはここで野営!はいはいテント組め!」

「「「は~い...」」」

上官「俺はちょっと騎士団のとこに行ってくるわ。モブ、後は任せたぞ」

モブ兵「了解、女騎士さんと喧嘩せんで真っ直ぐ帰ってきてくださいね?」

上官「努力する」



騎士団本部

上官「○○師団△隊□小隊!! 上官入ります!!」

女騎士「お、もう着いたのか早かったな?」

上官「いえ、まだ遅い方ですよ」

女騎士「はは、謙虚なとこは変わらないんだな...さてと、本題に入ろうか」

上官「...」

女騎士「討伐隊の生き残りからの戦闘経過の報告によると、討伐作戦三日目の夜にオーク並びに山賊から奇襲攻撃
を食らったそうだ。その結果騎士団はチリジリになり。ほぼ壊滅といったところだな...捕虜も居るらしい」

上官「奇襲攻撃で壊滅...」

女騎士「まぁそう呆れてくれるな、作戦に参加した騎士団は皆若手で...いや、こんなの理由ならないな」

上官「それで、女のいる騎士団は...?」

女騎士「大体が捕虜になった...あるいはその場で犯され...殺された」

上官「ッ...」

女騎士「本当は我が騎士団が尻拭いをしなきゃいけないんだが...君達の隊を巻き込んですまなかった」

上官「いえ、女騎士様と仕事が出来て光栄です」

女騎士「ははありがとう、では隊の方に戻ってくれ、明日作戦の詳細を伝える」

上官「はっ!失礼しました!」

女騎士「あぁまた明日」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「もうあんなタイプの連中とは付き合わないようにしましょうね...」

勇者「...」

兵士「勇者様?」

勇者「兵士はあの店で何してたの...?」

兵士「あの店?あぁ...まぁ色々と...」

勇者「え、エッチな事?」

兵士「えぇそうです、エッチな事です!!俺もうあの店には暫く近寄りたくないし話たくも無いんです!
もう行きましょう!」

勇者「そんな...」

兵士「あの嬢は魔法でも使ってたんだ...絶対そうだ...」 ブツブツ

勇者「き、今日の宿はどうしようか...?」

兵士「あ~...考えてなかった、どうしましょうか?」

兵士「ちょっと宿で空きあるか聞いてみます、勇者様は...

勇者 ムッスー

兵士「一緒に行きましょうか」

勇者「うん!」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「どうだ?テント張れたか?」

モブ兵「はい、上官の分もやっときました」

上官「おう、ありがとよ...ん?」

モブ兵「どうしました?」

上官「...何人か抜けてる」

モブ兵「え?...あっ!」

上官「あいつら風俗街行きやがったなぁ...ハアー」

モブ兵「ど、どうしましょうか...」

上官「まぁ慌てるな...打つ手は無いが」

モブ兵「明日は何か作戦の予定は...」

上官「一日待機だが...まぁ宝を前に我慢しろってのも無茶な話だったな...ほっとけもう」

モブ兵「問題が起きなけりゃ良いんですが...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「う~ん流石商業都市だけはありますね、宿の空きが一つもない」

勇者「で、郊外まで来たけど...どうするの?」

兵士「今日はここをキャンプ地とします」

勇者「キャンプ?!て、テント持ってるの?」

兵士「んな贅沢な物一介の兵士風情が持ってる訳ないでしょ?毛布で包まってりゃ何とかなりますよ」

勇者「だ、大丈夫なのかな...」

兵士「勇者様先に寝てて良いですよ?俺見張ってますので」

勇者「兵士は寝ないの?」

兵士「俺はちょっと考え事をば...」

勇者「ふーん...わかったじゃぁ先に寝てるね?」

兵士「はい」

勇者(考え事...何か悩みでもあるのかな...まぁ原因は僕しか思い当たらないんだけど) ウトウト

兵士「おやすみなさい」

勇者「うん...おやすみ...」


兵士「よし、寝たな」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「クッソまだ全員戻ってねえのか?!」

モブ兵「流石にもう戻ってこないとまずいですよねー...」

上官「何で俺の隊は絶倫バッカなんだよ...」

モブ兵「自分そこら辺哨戒してきますね」

上官「おぉ...見つけたら俺に知らせてくれ」

モブ兵「了解しました」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「ここならバレないだろう...」

兵士「こっそり買っておいたアダルト本...勇者様に見つかっちまったらなんて顔されるか...」ペラッ

兵士「でも中見ないで買っちゃったからな~...ハードな内容だったらどうしよ」ペラッ

兵士「まぁこんな事もあろうかと昔から幅広い性癖を身に着けて来たんですがね...」

兵士「あ、熟女物だ...しかも五十代...」

兵士「...寝よ」

「...おい」

兵士「ひゃい!!どちら様で!!」

モブ兵「...何でこんな所に居るんだよ」



兵士「も、モブじゃねえか!?どうしたんだよ?お前も追放か?」

モブ兵「お前と一緒にするなボケ!哨戒だよ哨戒...で?手に持ってる本は何だ?」

兵士「魔術書ですが何か?」

モブ兵「嘘こけバカ野郎...で、勇者様はどこに居るんだよ」

兵士「勇者様?さぁ俺の知らない事ですが」

モブ兵「お前なぁ...勇者様が消えたせいで首都の人間は大パニックなんだぞ?まぁちょっとは収まったが...
一時は僧侶って子?がリーダーになって捜索隊を結成してたぐらいだ」

兵士「そりゃ気の毒に」

モブ兵「この...

「兵士~??どこ行ったの~??ウエーン!」

モブ兵「...」

兵士「頼む黙っといてくれ...俺は勇者様に狼藉を働くような事は何一つしていないから...」

モブ兵「お前さぁ...」

兵士「いや...今回ばかりは勇者様が...」

モブ兵「はぁ~...勇者様連れて来い、お前を上官のとこ連れてって洗いざらい吐いて楽になれ」

兵士「えぇ...上官絶対キレるって...キレた上官怖いのお前も分かってるだろ...?」

モブ兵「うるせぇさっさとつれて来い」

兵士「は~い...」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「...」 イライライラ

兵士「...」ガクガクブルブル

上官「おい、何か言う事はねえのか?あ?」

兵士「ぼ、僕からは何も言う事は無いです...『バアン!!!!!!』 ヒイ!」

上官「はぁー...そいやあ勇者様から聞いたが...お前風俗デビューしたんだな?」

兵士「へへ...」

上官「で?勇者様を風俗街のど真ん中に置き去りにし、てめえが思い出したく無いほどプライドを傷つけられた初風俗の感想は?」

兵士「そ、それは...」

上官「言っとくが別にてめえの風俗体験記を聞きてぇ訳じゃねえんだこっちは、勇者様を風俗街に連れ込んだ理由を教えて欲しいんだ俺は」

兵士「え?俺の風俗体験記は...?」

上官「他人のクソみたいな体験記なんざぁコンビニ本の風俗情報で見飽きたから聞きたかねえ」

上官「あのさぁ、お前には分かないと思うが勇者様はトンでもない...
そりゃもう神に値するレベルの英雄なんだぞ?そりゃ立ち振る舞いは可愛げのある子にしか
見えないが...ちょっとは俺の立場も考えてくれてもいいだろ」

兵士「すません...」

上官「まぁ勇者様も良い思い出が出来たと思うが...今の勇者様にはもう
普通の生活には戻れないし戻っちゃいけないんだよ、可哀想だが」

兵士「でも勇者様は...」

上官「普通の女の子...と言いたいのか?何万もの魔王の軍勢を一気に鎮め、何百年と続いた戦争を
終わらせたけど、普通の子...そう言いたいのか?」

兵士「...」

上官「小説ならそれで許されるけどさ...こっちにも事情があるんだ、勇者様がいたら外交にも使えるし
戦場に送り込めば全体の士気の向上にも繋がる。可哀想だが勇者として生まれた以上はこうして生きて
貰うしかないんだよ...」

兵士「...」

上官「ま、後はお前に任せるわ...」

「入っていいかな?」

上官「どうぞ」

女騎士「失礼、やっと勇者様が見つかっただって?」

上官「お、女騎士様...はい、この男と一緒に野営している所を歩哨が見つけました」

女騎士「おぉ、やっぱり君だったか、君のお陰で国中とんでもない騒ぎになってるよ、まぁ
今は多少収まったがね」

兵士「いやー、すいません...」

女騎士「君は連れ去ったのか?」

兵士「いえ、勇者様が着いて行きたいと...」

>>226 性別はどっちでも良かったけどもうめんどくさいので女でも男でもどちらでも良いと思います

女騎士「そうか、それが本当なら君を責めるのは筋違いってわけだ、そうだろ?」

上官「そうですけど、とばっちり食らったの俺ですよ?多少は責める権利はありますよ」

女騎士「はははっ、まぁそれもそうか」

上官「だからもう少しだけいいっすよね?」

兵士「あ、そういえば女騎士様、上官ってば街の風俗情報なんか見てこれからどこ行くかって
悩んでましたよ?」

上官「は?お前何言ってんだ...グエッ」グイッ

女騎士「上官君?君は任務中に何考えてるんだ...?」 ビキビキ

上官「お、俺は何も...ウゲエ!!」

女騎士「ちょっと着いてきてくれるかな?お話がある」

上官「ちょ!!俺の話を聞いて...て、てめぇ覚えてやがれ!!ぶっk...」

ズリズリ

「痛い痛い!!引っ張らないで下さい!!」

兵士「さぁてと...これからどうしますかな...まさかまた営倉行きって訳じゃないよな」

兵士「やだなぁ~...そいやぁ勇者様は何してんのかな」

勇者「兵士...?居る?」

兵士「あ、どうも、どうでした?」

勇者「女騎士さんから叱られちゃった...へへ」

兵士「俺も上官から絞られました...ははっ」

勇者「兵士...ごめんね、僕が一緒に行きたいって言ったから...」

兵士「別に謝らなくてもいいですよ、俺も楽しかったですし」

勇者「えへへ...そう言ってくれると嬉しいな...」

兵士(あ~これでまた営倉生活か~、あの見張り元気にしてッかな~)

「上官!!上官!!ありゃ?!上官は?!」

兵士「あぁ、何か用事があるってよ、どっか行っちまった、何かあったのか?」

「あぁ!街から帰る途中で山賊の集団に襲われちまって...2人が怪我負っちまったんだ!!」

兵士「山賊だぁ?あいつら山で引きこもってたんじゃなかったのか」

勇者「そんな事より早く衛生兵呼ばないと!」

兵士「上官なら女騎士さまのとこに居るかもしれねえ、俺と勇者様は衛生兵呼んでくっから早く行って来い!」

「おう!てか何でお前居るんだよ」

兵士「まぁ...色々ありまして」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「バカ共が...心配かけさせやがって」

「すいません...」

「...」 

勇者「もう一人はまだ話せる状態じゃ無いから安静にって...」

兵士「危険犯してまで風俗なんか行くなよ」

上官「お前は後で殺す」

女騎士「はぁ...貴重な戦力が...どうした物か」

上官「申し訳ありません...自分の監督不届きで...」

女騎士「う~ん...致し方ない...兵士、お前を本日付で原隊に再編入だ、勇者様は...どうされますか?」

勇者「僕も作戦に加わるよ、兵士だけに罰を受けさせない」

兵士「別に営倉入るくらい慣れてますよ?」

勇者「そう言う事じゃないでしょ!?」

上官「良いんですか?こいつうを見つけたら憲兵に突き出せって...」

女騎士「その憲兵が居ないんだ、どうしようがココの指揮官は私だ、つまりココは私の領地と言っても
過言ではないよ」

上官「アンタそれは流石に過言ですよ」

女騎士「...ま、まぁ良い兵士よ、作戦内容は上官から聞いてくれ、私は勇者様と打ち合わせがある」

兵士「はい、ありがとうございます」

女騎士「勇者様、良いですか?」

勇者「うん、兵士また後で」

兵士「はい」


上官「女騎士さまには後で礼行っておかないとな...」

兵士「それで、何やってるんすか?」

上官「あぁ、先ほど山賊共が本隊を襲撃しただろ?今回の敵はオーク並びに山賊の殲滅が任務だ...
まぁ主任務は騎士団の捜索だが無事に生きてる奴は居ないと思うから、殲滅作戦が主任務と思ってくれ」

兵士「騎士団?それなら騎士団がやるべきでしょ」

上官「上からの命令だ仕方ないだろ、それに騎士団に親類が居る兵もいる、モブ兵もその一人だ」

兵士「モブ兵...あぁ姉が騎士団に居るって言ってましたね」

上官「そう言う事だ、お前にやる気なんか無いだろうが皆の前でそのふざけた態度で出るなよ?
今回ばかりはおふざけじゃ済まないからな」

兵士「了解です...」

除隊させて国外追放してんのに何で上司面してんの

>>235 上の命令なんで上官は逆らえないって事でよろしくオナシャス

上官「しかし、お前もやるようになったもんだな?」

兵士「何をですか?」

上官「女には縁がなかったお前にだぜ?一緒に旅するような女が出来たとは」

兵士「勇者様は物好きなんすよ、多分」

上官「こりゃヤルとこまでやらねぇと由緒正しい歩兵連隊の名が廃るってもんだ...まぁ下手打たず上手くやって
くれよ?俺も暇つぶしになる」

兵士(作戦が終わったら女騎士さまにある事無い事ちくってやるからな...)

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「只今から今作戦の詳細を伝える、モブ、頼む」

モブ兵「はい、今作戦の任務は二つ、一つ、騎士団の救助、二つ、山賊と取り巻きの魔物の殲滅。となります
山賊と魔族は捕虜は取らず皆殺し、と大隊指令から連絡が来ました、主任務は以上です、で。昨晩情報が入ったのですが
村の娘と街の娘が何人か捕らわれているようで、生き残っている場合はこれも救助せよ。と、以上です」

上官「ん、あんがと...本作戦には緊急で勇者様が作戦に加わって下さった、あと兵士の野郎も加わりやがったから...
まぁ手柔らかに扱ってやれや」

「「「えぇ~?」」」

「便所掃除でもさせますか?」

上官「あぁ、それで良いならな」

兵士「ちょっとは俺の話も...」

上官「さてと...何か質問は?」

勇者「あの~...」

上官「はい、どうぞ」

勇者「魔物とか山賊を皆殺し...って言うのはちょっと...」

上官「はい、気が引けるとはお思いでしょうが...こいつらは生かしていてもしょうも無い連中です。
檻にぶち込んで、刑期を終えたらまた山賊家業に復帰するでしょう、しかもこいつらは再犯の前科もあります
キャラバンの隊を襲撃し、女子供を無差別に殺害しております」

勇者「そっか...」

上官「...現場では女騎士さまと勇者様に指揮を一任したいと思います、現場で勇者様がお決め下さい」

勇者「分かった」

上官「これで詳細は以上だ、何か他に質問は...無いか、よし今日はゆっくり休んで明日、作戦区域に入る、解散」
ゾロゾロ
「さぁて兵士の野郎には何させッかな~」

「全員分の飯作らせッか?」

兵士「良いのかお前ら?」

「「はぁ?」」

兵士「そんな事させたら勇者様が...」

勇者「兵士の作ったご飯食べてみたいな!」

「だとよ」

兵士「あれぇ...?」

兄弟に関してはもう触れないの?

>>241 恥ずかしい話ですが1から行き当たりばったりで話進めてるんで、そこら辺の設定は後になるかなぁと

夜...

兵士「フアー...いきなり夜間の警備とかついてねぇなぁ...」

兵士「勇者様ちゃんと寝れてるかな~...」

兵士「なぁどう思うよ?」

モブ兵「あぁ?俺が知るかってんだ何で俺までこいつと...」ブツブツ

兵士「荒れてるなぁおい」

モブ兵「誰のせいだと思って...!」

兵士(静かに...何か...いるよな?)

モブ兵(あぁ...少なくとも...五人以上)

兵士(モブ、みんなを起こしに行ってくれ...おそらく山賊の連中だ)

モブ(おう...) ヌキアシサシアシ


兵士(耳をすませば...)

ーーーーー

山賊A「へっへ...今日も大漁だったなぁ...」

女「ンムッーーー!?ンムッー!」

山賊B「っへ、こいつらにやらせりゃ簡単に事が済むぜ...」

オーク「俺らは便利屋じゃねえぞ...しかしそろそろ拠点を移したらどうだ?
ここら辺の村はもう狩りつくしたぞ」

ゴブリンA「そろそろ港町襲いやんか?奴隷共を売りさばいて一儲けしましょうぜ?」

山賊D「そうだなぁ...檻ももうそろそろ埋まるしなぁ...ここら辺に小さい港町でもありゃ良いが」

ゴブリンA「えぇ?!何ででかい港町襲わないんですかい?!」

山賊C「ちょっとは考えろよ、でかい港町襲えば軍が動くに決まってらぁ...だから小さい漁港...
小さい漁港あたりが良いかもな」

オーク「すばやく攻めて...かつ男と子供は皆殺し、女は奴隷...」

山賊A「あぁ...ボスに相談してみようぜ...ヒッヒッヒ」


ゴブリン「このアマ黙りやがれ!」

女「ングウッ!!」
ーーーーー

兵士「...ッチ」

兵士(野郎共ぶっ殺してy...

上官(抑えろ、兵士)

兵士(上官!離して下さい!こいつら殺さねぇとあの女性が...!)ジタバタ

上官(気持ちは分かる!だが今作戦を無視し行動すれば山賊共に知られちまう、今は...あの女性の無事を祈れ...!)

兵士「...」


「ッハッッハッハこの女小便漏らしてやがるぜぇ...

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

兵士「クソがぁ...!」 ドカッ!!

上官「落ち着かんか!!」

兵士「ッハアッハア...すいません...」

上官「山賊に襲撃にあった兵はまだ一般人として見られてたのは不幸中の幸いだったんだ...
昨日行動すれば間違いなく作戦はおじゃんになる、そうすれば山賊の殲滅も難しくなるんだ...胸糞悪いとは思うが分かってくれ」

兵士「分かってます...分かってます...」

勇者「兵士...大丈夫...?」

兵士「えぇ...騒いじゃってすいません...」

勇者「兵士って...優しいんだね」

兵士「んな事は無いですよ...ハア」

「兵士よぉ落ち着いたか?」

兵士「あぁ...すまん...」

「いいって事よ...俺らも気持ちはおんなじだ」

「んだ、第一もっと早くに山賊を処刑しとけばよかったんだ...何が山賊にも家族がいるだよ」


勇者「...」

兵士「まだ迷ってるんですか...?」

勇者「ううん...でも...人を[ピーーー]のは初めてで...何か怖くて...」プルプル...

兵士「...」

兵士(人を[ピーーー]のが怖い...いつからそんな感情が自分からなくなったんだ...)

兵士(とりあえず抱きしめとけ)

ギュ...

勇者「...兵士」 ギュ...

「おぉ?!兵士てめぇ!!」

「人が優しくしてりゃ!!こんにゃろ!ぶっ殺せ!」

兵士「え?!いや違うの!そうじゃないの!」

上官「何だお前、元気じゃねえか」

モブ兵「心配して損したぞおい」

「ったく、ちょっと煽てりゃまぁ~すぐに調子扱きよってから」

兵士「下心は無いんです、下心は...」

勇者「だ、大丈夫だよね...?」

兵士「えぇ...おそらく」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー
殲滅作戦 決行日

モブ兵「各自装備の点検。点検終了後一時間後に作戦区域へ出発します、以上」

兵士「山賊はどこに拠点を置いてるんですか?」

上官「山の中腹にあるもう長い事使われて無い砦だ」

勇者「え?使われない砦って解体処理するものじゃ無いの?」

女騎士「あぁ通例じゃぁそう言う事になってるんですが...行政の方で手違いがございまして
間違って砦を買収させてしまったんです、それが山賊の前代の頭領にあたります」

兵士「そんなに老舗なら結構な力つけてるんじゃ...」

上官「おっ察しがいいな」

上官「お察しの通り、山賊どもは魔物共を配下に治め今や小国の軍隊程度には力を付けているらしい」

兵士「はえ~」

勇者「何でここまで酷くなる前に対処しなかったんだろう...」

女騎士「その件に関しては...作戦が終わってから説明します」

勇者「?」

上官「ファ~...んじゃぁ時間になったら起こしてくれ」 ゴロン

兵士「了解」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

「てめぇらこんなに持ってきやがって誰がエサ代払うと思ってんだ!!」

「す、すいやせん!!今すぐ処理します!」

「ングッー!!ムグッー!!」

ーーー
ーーーー

兵士(あれがボスか?)

モブ兵(わからんが...下っ端って訳では無さそうだ...)


バシュウーーン...

兵士「信号弾、赤色だ」

モブ兵「攻撃開始、各員2メートル間隔で付いて来い先頭は兵士」

兵士「了解、行きます」


「お?花火か?」

「な、何だありゃぁ!?」



山賊A「あ、ありゃ軍の信号弾だ!」

ゴブリン「な、何で軍が攻撃を?!」

オーク「知るか!!戦闘準b...

ザシュッ

オーク「へ...?お、俺の腕...?」


兵士「フンッ!!」 

ズバアッ!!!

オーク「か、カハッ...」 バタッ

山賊A「な、何だてめぇ!!」

モブ兵「下っ端か、捕虜にとる価値もねぇか...」


「武器を捨てろ」

山賊A「お、おいゴブリ...逃げやがったなぁ...!」

兵士「お前らの族も今日で解散だなぁ、何か言い残す事は?」

山賊「...う、うおおぉおぉぉぉ!!!!」ッダッダッダ

ブンッ

カキイン バキッ

山賊A「こ...鋼鉄の剣が...折れた...」

兵士「当たり前だ、国産品舐めんなアホ」

兵士「よしいい子だ...で。お前らのボスはどこに隠れてる?」

山賊A「っへ...知るもんかよ...」

兵士「あまり時間は取りたくないんだ...さっさと吐け、
言いたくないなら今までさらった女性たちはどこに閉じ込めてるか言え」

山賊A「ははっしらないねぇ?俺はさらった後のアフターケアはしないもので」

モブ兵(なぁ、ほんとに知らないんじゃないか?下っ端すぎて)

兵士(あぁ...そういう事ね)

兵士「よし分かった、手間取らせて悪かったなモブ兵、いいか?」

モブ兵「あぁ」

山賊A「は、早く離してくれよ、怪我の治療しねぇと...」

兵士「は?[ピーーー]ば痛みも感じねぇだろ?なにいってだこいつ」

山賊A「は、はぁ...?」

兵士「じゃぁ地獄で会おう...なっ!!」

ブシャぁぁぁ...

山賊A「ッカハ!ヒューヒュー...」ジタバタ

モブ兵「楽に死なせてやりゃぁいいのに」

兵士「こいつらを楽に死なせるほどの価値はねぇ、ほんとは
一年くらい拷問してから三年無給で働かせてそれで海で溺死させりゃ今までやってきた事の半分はチャラにしてやる位だ」

モブ兵「...馬鹿が」

兵士「何とでも言え」

女性「あ、貴方たちは...?」

モブ兵「救出が遅れて申し訳ありません...どこかお怪我は...」

女性「だ、大丈夫です...っで、でも中に捕まった女の子達が...っ!」

兵士「情報ありがとうございます。モブ兵、衛生兵の所まで連れてってくれ」

モブ兵「おう、行きましょう。歩けますか?」

ーーー
ーーーー

ーーーー
ーーー

上官「まずは一人、か」

兵士「砦の中にも囚われた民間人が居るはずです、入りましょう」

モブ兵「まぁ待て、勇者様達と合流してからでも遅くはないよ」

兵士「それでは手遅れに!」

上官「こう言ってはアレだがなぁ...もう民間人が捕まっている時点で手遅れなんだ」

兵士「...っ」

上官「まぁ焦るな、族共はもう逃げられんさ。今頃は恐慌でも起こしているころじゃないか?」


「母ちゃんに会わせてくれ~!」

「もうおしまいだぁ~!」


上官「...な?」

兵士「...はい」

モブ兵「おいでなすった」

女騎士「遅れてすまない、尋問に手間取ってな」

勇者「兵士...?!血が!」

兵士「あ?あぁ、返り血ですよ、怪我はないです」

勇者「よかった...」

兵士「上官、隊が合流しました。突入しましょう」

上官「おk、各員装備の点検急いで済ませろ。30分後に突入だ」

兵士「さぁ~て賊共を血祭りにあげてやらう...」

モブ兵「この隊にサイコパスがいますね...」


女騎士「上官、なぜ彼は昇進できないのだ?」

上官「...あいつは上の人間には嫌われるタイプの人間でしてねぇ、一度情に流されると任務も放棄して
しまう様な性格で...今もちょっとヤバイです」

女騎士「剣の腕は確かだと思うがなぁ...」

上官「そうだとしても上が気に入らなければこちらはどうしようも無いので...」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年10月20日 (火) 15:12:33   ID: hc6ZgUnw

味がないおかゆを食べさせられた様なss

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